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図面 (20)

課題

様々なモードでの運転支援が実行されている状態において、運転者に違和感を与えにくい車両制御装置を提供する。

解決手段

車両制御装置は、周辺物標検出部10bと、目標走行経路算出部10cと、この目標走行経路を補正する補正走行経路算出部10fと、車線逸脱の可能性を判断したとき、車線内を走行するよう補助する自動操舵制御部10eと、を有し、補正走行経路算出部は、回避すべき周辺物標が検出された場合において、周辺物標に対する許容相対速度の上限ラインを設定するように構成されていると共に、上限ライン、評価関数及び制約条件に基づいて補正走行経路を算出するように構成され、目標走行経路算出部は、自車両が車線を逸脱する可能性があると自動操舵制御部によって判断された場合には、車線の中央に対して逸脱の可能性がある側にオフセットした目標走行経路を設定することを特徴としている。

概要

背景

特開2010−155545号公報(特許文献1)には、車両制御装置が記載されている。この車両制御装置は、障害物の緊急回避時において、その際の車速に応じて制動回避ブレーキ操作のみ)と操舵回避ステアリング操作のみ)のいずれかを選択し、最適化処理を用いて目標走行経路計算をするように構成されている。この車両制御装置では、制動回避が選択されると、縦方向(車両前後方向)の運動のみに計算条件が簡略化される。また、操舵回避が選択されると、横方向(車両幅方向)の運動のみに計算条件が簡略化される。このように、この技術では、緊急時において計算負荷が軽減されるため、高い計算精度を確保しつつ、計算時間を短くすることができるようになっている。

概要

様々なモードでの運転支援が実行されている状態において、運転者に違和感を与えにくい車両制御装置を提供する。車両制御装置は、周辺物標検出部10bと、目標走行経路算出部10cと、この目標走行経路を補正する補正走行経路算出部10fと、車線逸脱の可能性を判断したとき、車線内を走行するよう補助する自動操舵制御部10eと、を有し、補正走行経路算出部は、回避すべき周辺物標が検出された場合において、周辺物標に対する許容相対速度の上限ラインを設定するように構成されていると共に、上限ライン、評価関数及び制約条件に基づいて補正走行経路を算出するように構成され、目標走行経路算出部は、自車両が車線を逸脱する可能性があると自動操舵制御部によって判断された場合には、車線の中央に対して逸脱の可能性がある側にオフセットした目標走行経路を設定することを特徴としている。

目的

本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、車両制御装置による様々なモードでの運転支援が実行されている状態において、運転者に違和感を与えにくい車両制御装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

車両の運転支援する車両制御装置であって、周辺物標及び自車の走行車線を検出する周辺物標検出部と、車両の目標走行経路を算出する目標走行経路算出部と、この目標走行経路算出部によって算出された上記目標走行経路を補正した補正走行経路を算出する補正走行経路算出部と、自車両が車線を逸脱する可能性があると判断したとき、車線内を走行するように車両の操舵補助する自動操舵制御部と、を有し、上記補正走行経路算出部は、上記周辺物標検出部によって回避すべき周辺物標が検出された場合において、周辺物標に対して車両が走行可能な許容相対速度の上限ラインを設定するように構成されていると共に、上記上限ライン、所定の評価関数及び所定の制約条件に基づいて上記補正走行経路を算出するように構成され、上記目標走行経路算出部は、自車両が車線を逸脱する可能性があると上記自動操舵制御部によって判断された場合には、車線の中央に対して逸脱の可能性がある側にオフセットした目標走行経路を設定することを特徴とする車両制御装置。

請求項2

上記目標走行経路算出部は、自車両が車線を逸脱する可能性がないと上記自動操舵制御部によって判断された場合には、車線の中央に目標走行経路を設定する請求項1記載の車両制御装置。

請求項3

上記補正走行経路算出部は、自車両が車線を逸脱する可能性の有無に関わらず、上記制約条件として、走行中の車線の外側の領域を設定する請求項1又は2に記載の車両制御装置。

請求項4

上記自動操舵制御部は、対向車に対する操舵回避制御を実行した場合に、自車両が車線を逸脱する可能性があると判断する請求項1乃至3の何れか1項に記載の車両制御装置。

請求項5

上記自動操舵制御部は、後方又は側方に対する操舵回避制御を実行した場合に、自車両が車線を逸脱する可能性があると判断する請求項1乃至3の何れか1項に記載の車両制御装置。

請求項6

上記自動操舵制御部は、車線又は道路逸脱回避制御を実行した場合に、自車両が車線を逸脱する可能性があると判断する請求項1乃至3の何れか1項に記載の車両制御装置。

技術分野

0001

本発明は、車両制御装置係り、特に、運転者による車両の運転支援する車両制御装置に関する。

背景技術

0002

特開2010−155545号公報(特許文献1)には、車両制御装置が記載されている。この車両制御装置は、障害物の緊急回避時において、その際の車速に応じて制動回避ブレーキ操作のみ)と操舵回避ステアリング操作のみ)のいずれかを選択し、最適化処理を用いて目標走行経路計算をするように構成されている。この車両制御装置では、制動回避が選択されると、縦方向(車両前後方向)の運動のみに計算条件が簡略化される。また、操舵回避が選択されると、横方向(車両幅方向)の運動のみに計算条件が簡略化される。このように、この技術では、緊急時において計算負荷が軽減されるため、高い計算精度を確保しつつ、計算時間を短くすることができるようになっている。

先行技術

0003

特開2010−155545号公報

発明が解決しようとする課題

0004

しかしながら、特許文献1記載の発明においては、障害物の回避が制動回避又は操舵回避の何れかによって行われるので、車両制御装置による車両の制御が、運転者が現在行っている運転操作整合しない場合があり、このような場合には運転者に強い違和感を与えてしまうという問題がある。

0005

本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、車両制御装置による様々なモードでの運転支援が実行されている状態において、運転者に違和感を与えにくい車両制御装置を提供することを目的としている。

課題を解決するための手段

0006

上述した課題を解決するために、本発明は、車両の運転を支援する車両制御装置であって、周辺物標及び自車の走行車線を検出する周辺物標検出部と、車両の目標走行経路を算出する目標走行経路算出部と、この目標走行経路算出部によって算出された目標走行経路を補正した補正走行経路を算出する補正走行経路算出部と、自車両が車線を逸脱する可能性があると判断したとき、車線内を走行するように車両の操舵補助する自動操舵制御部と、を有し、補正走行経路算出部は、周辺物標検出部によって回避すべき周辺物標が検出された場合において、周辺物標に対して車両が走行可能な許容相対速度の上限ラインを設定するように構成されていると共に、上限ライン、所定の評価関数及び所定の制約条件に基づいて補正走行経路を算出するように構成され、目標走行経路算出部は、自車両が車線を逸脱する可能性があると自動操舵制御部によって判断された場合には、車線の中央に対して逸脱の可能性がある側にオフセットした目標走行経路を設定することを特徴としている。

0007

このように構成された本発明によれば、周辺物標検出部によって回避すべき周辺物標が検出された場合には、補正走行経路算出部は、周辺物標に対して車両が走行可能な許容相対速度の上限ラインを設定する。また、補正走行経路算出部は、この上限ライン、所定の評価関数及び所定の制約条件に基づいて補正走行経路を算出する。このように、補正走行経路算出部が所定の制約条件を備えているので、設定可能な多数の補正走行経路の中から適切な経路を少ない計算量で算出することができる。さらに、目標走行経路算出部は、自車両が車線を逸脱する可能性があると自動操舵制御部によって判断された場合には、車線の中央に対して逸脱の可能性がある側にオフセットした目標走行経路を設定する。このように、車両が車線から逸脱する可能性がある場合には、逸脱側にオフセットした目標走行経路が設定されるので、自車両が車線から逸脱した場合であっても、運転者に違和感を与えることなく、逸脱側の近くに設定された目標走行経路に復帰することができる。

0008

本発明において、好ましくは、目標走行経路算出部は、自車両が車線を逸脱する可能性がないと自動操舵制御部によって判断された場合には、車線の中央に目標走行経路を設定する。

0009

このように構成された本発明によれば、車線逸脱の可能性がない場合には、車線の中央に目標走行経路が設定されるので、車線を走行する運転者に安心感を与えることができる。

0010

本発明において、好ましくは、補正走行経路算出部は、自車両が車線を逸脱する可能性の有無に関わらず、制約条件として、走行中の車線の外側の領域を設定する。

0011

このように構成された本発明によれば、車線逸脱の可能性に関わらず、制約条件として、走行中の車線の外側の領域が設定されるので、緊急の衝突回避の場合等を除き、補正走行経路が走行中の車線内に設定され、不要な車線の逸脱を回避することができる。

0012

本発明において、好ましくは、自動操舵制御部は、対向車に対する操舵回避制御を実行した場合に、自車両が車線を逸脱する可能性があると判断する。
このように構成された本発明によれば、対向車に対する操舵回避制御が実行されたとき、車線逸脱の可能性ありと判断されるので、対向車を回避するために車線を逸脱した場合であっても、違和感なく自車両を車線内に復帰させることができる。

0013

本発明において、好ましくは、自動操舵制御部は、後方又は側方に対する操舵回避制御を実行した場合に、自車両が車線を逸脱する可能性があると判断する。
このように構成された本発明によれば、後方又は側方に対する操舵回避制御が実行されたとき、車線逸脱の可能性ありと判断されるので、後方又は側方に対する操舵回避のために車線を逸脱した場合であっても、違和感なく自車両を車線内に復帰させることができる。

0014

本発明において、好ましくは、自動操舵制御部は、車線又は道路逸脱回避制御を実行した場合に、自車両が車線を逸脱する可能性があると判断する。
このように構成された本発明によれば、車線又は道路の逸脱回避制御が実行されたとき、車線逸脱の可能性ありと判断されるので、車線又は道路の逸脱回避の後、車線内に復帰した場合であっても、運転者に違和感を与えることがない。

発明の効果

0015

本発明の車両制御装置によれば、様々なモードでの運転支援が実行されている状態において、運転者に違和感を与えにくくすることができる。

図面の簡単な説明

0016

本発明の実施形態による車両制御装置の構成図である。
本発明の実施形態による車両制御装置の運転者操作部の詳細を示す図である。
本発明の実施形態による車両制御装置の制御ブロック図である。
本発明の実施形態による車両制御装置により計算される第1走行経路の説明図である。
本発明の実施形態による車両制御装置により計算される第2走行経路の説明図である。
本発明の実施形態による車両制御装置により計算される第3走行経路の説明図である。
本発明の実施形態による車両制御装置における走行経路の補正による障害物回避の説明図である。
本発明の実施形態による車両制御装置において障害物を回避する際の障害物と車両との間のすれ違い速度の許容上限値クリアランスとの関係を示す説明図である。
本発明の実施形態による車両制御装置における走行経路補正処理の説明図である。
本発明の実施形態による車両制御装置における車両モデルの説明図である。
本発明の実施形態による車両制御装置における運転支援制御処理フローである。
本発明の実施形態による車両制御装置の補正走行経路算出部が使用する制約条件等を設定するためのフローチャートである。
本発明の実施形態による車両制御装置において、補正後の走行経路が満足すべき走行経路に対する制約条件を示す図である。
本発明の実施形態による車両制御装置において、補正後の走行経路が満足すべき走行経路に対する制約条件を示す図である。
本発明の実施形態による車両制御装置において、補正後の走行経路が満足すべき走行経路に対する制約条件を示す図である。
本発明の実施形態による車両制御装置において、補正後の走行経路が満足すべき走行経路に対する制約条件を示す図である。
本発明の実施形態による車両制御装置において、補正後の走行経路が満足すべき走行経路に対する制約条件を示す図である。
本発明の実施形態による車両制御装置において、補正後の走行経路が満足すべき走行パラメータに対する制約条件を示す図である。
本発明の実施形態による車両制御装置の補正走行経路算出部によって算出された、制約条件を満足する最適な補正走行経路の一例を示す図である。

実施例

0017

以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態による車両制御装置について説明する。まず、図1及び図2を参照して、車両制御装置の構成について説明する。図1Aは車両制御装置の構成図であり、図1Bは運転者操作部の詳細を示す図であり、図2は車両制御装置の制御ブロック図である。

0018

本実施形態の車両制御装置100は、これを搭載した車両1(図3等参照)に対して複数の運転支援モードにより、それぞれ異なる運転支援制御を提供するように構成されている。運転者は、複数の運転支援モードから所望の運転支援モードを選択可能である。

0019

図1Aに示すように、車両制御装置100は車両1に搭載され、車両制御演算部(ECU)10と、複数のセンサ及びスイッチと、複数の制御システムと、運転支援モードについてのユーザ入力を行うための運転者操作部35を備えている。複数のセンサ及びスイッチには、車載カメラ21,ミリ波レーダ22,車両の挙動を検出する複数の挙動センサ車速センサ23,加速度センサ24,ヨーレートセンサ25)及び運転者の挙動を検出する複数の挙動センサ(操舵角センサ26,アクセルセンサ27,ブレーキセンサ28),測位システム29,ナビゲーションシステム30が含まれる。また、複数の制御システムには、エンジン制御システム31,ブレーキ制御システム32,ステアリング制御システム33が含まれる。

0020

図1Bに示すように、運転者操作部35は、運転者が操作可能なように車両1の車室内に設けられており、複数の運転支援モードから所望の運転支援モードを選択するためのモード設定操作部として機能する。運転者操作部35には、速度制限モードを設定するためのISAスイッチ36aと、先行車追従モードを設定するためのTJAスイッチ36bと、自動速度制御モードを設定するためのACCスイッチ36cが設けられている。さらに、運転者操作部35には、先行車追従モードにおける車間距離を設定するための距離設定スイッチ37aと、自動速度制御モード等における車速を設定するための車速設定スイッチ37bと、を備えている。

0021

図1Aに示すECU10は、CPU,各種プログラムを記憶するメモリ入出力装置等を備えたコンピュータにより構成される。ECU10は、運転者操作部35から受け取った運転支援モード選択信号設定車速信号、及び、複数のセンサ及びスイッチから受け取った信号に基づき、エンジン制御システム31,ブレーキ制御システム32,ステアリング制御システム33に対して、それぞれエンジンシステムブレーキシステムステアリングシステムを適宜に作動させるための要求信号出力可能に構成されている。

0022

車載カメラ21は、車両1の周囲を撮像し、撮像した画像データを出力する。ECU10は、画像データに基づいて対象物(例えば、車両、歩行者、道路、区画線車線境界線白線、黄線)、交通信号交通標識停止線交差点、障害物等)を特定する。さらに、本実施形態においては、車載カメラ21として、車両を運転中の運転者を撮像する車室内カメラも備えている。なお、ECU10は、交通インフラや車々間通信等によって、車載通信機器を介して外部から対象物の情報を取得してもよい。

0023

ミリ波レーダ22は、対象物(特に、先行車、駐車車両、歩行者、障害物等)の位置及び速度を測定する測定装置であり、車両1の前方へ向けて電波送信波)を送信し、対象物により送信波が反射されて生じた反射波を受信する。そして、ミリ波レーダ22は、送信波と受信波に基づいて、車両1と対象物との間の距離(例えば、車間距離)や車両1に対する対象物の相対速度を測定する。なお、本実施形態において、ミリ波レーダ22に代えて、レーザレーダ超音波センサ等を用いて対象物との距離や相対速度を測定するように構成してもよい。また、複数のセンサを用いて、位置及び速度測定装置を構成してもよい。

0024

車速センサ23は、車両1の絶対速度を検出する。
加速度センサ24は、車両1の加速度(前後方向の縦加速度、横方向の横加速度)を検出する。なお、加速度は、増速側(正)及び減速側(負)を含む。
ヨーレートセンサ25は、車両1のヨーレートを検出する
操舵角センサ26は、車両1のステアリングホイール回転角度操舵角)を検出する。
アクセルセンサ27は、アクセルペダル踏み込み量を検出する。
ブレーキセンサ28は、ブレーキペダルの踏み込み量を検出する。

0025

測位システム29は、GPSシステム及び/又はジャイロシステムであり、車両1の位置(現在車両位置情報)を検出する。
ナビゲーションシステム30は、内部に地図情報を格納しており、ECU10へ地図情報を提供することができる。ECU10は、地図情報及び現在車両位置情報に基づいて、車両1の周囲(特に、進行方向前方)に存在する道路、交差点、交通信号、建造物等を特定する。地図情報は、ECU10内に格納されていてもよい。

0026

エンジン制御システム31は、車両1のエンジンを制御するコントローラである。ECU10は、車両1を加速又は減速させる必要がある場合に、エンジン制御システム31に対して、エンジン出力の変更を要求するエンジン出力変更要求信号を出力する。

0027

ブレーキ制御システム32は、車両1のブレーキ装置を制御するためのコントローラである。ECU10は、車両1を減速させる必要がある場合に、ブレーキ制御システム32に対して、車両1への制動力の発生を要求するブレーキ要求信号を出力する。

0028

ステアリング制御システム33は、車両1のステアリング装置を制御するコントローラである。ECU10は、車両1の進行方向を変更する必要がある場合に、ステアリング制御システム33に対して、操舵方向の変更を要求する操舵方向変更要求信号を出力する。

0029

図2に示すように、ECU10は、入力処理部10a、周辺物標検出部10b、目標走行経路算出部10c、運転意志判断部10d、自動操舵制御部10e、及び補正走行経路算出部10fとして機能する単一のCPUを備えている。なお、本実施形態では、単一のCPUが複数の上記機能を実行するように構成されているが、これに限らず、複数のCPUがこれら機能を実行するように構成することができる。

0030

入力処理部10aは、各センサ、運転者操作部35、及びカメラ21から入力された入力情報を処理するように構成されている。この入力処理部10aは、走行路面を撮像したカメラ21の画像を解析し、自車両が走行している走行車線(車線の両側の区画線)を検出する画像解析部として機能する。
周辺物標検出部10bは、ミリ波レーダ22、カメラ21等からの入力情報に基づいて周辺物標を検出するように構成されている。
目標走行経路算出部10cは、ミリ波レーダ22、車載カメラ21である車室外カメラ、各センサ等からの入力情報に基づいて車両の目標走行経路を算出するように構成されている。

0031

運転意志判断部10dは、車載カメラ21である車室内カメラにより撮像された画像に基づいて運転者の運転意志の有無を判断するように構成されている。即ち、運転意志判断部10dは、車室内カメラにより撮像された運転者の画像を画像解析し、これに基づいて運転者が居眠りをしていないか、脇見をしていないかを判断する。運転者に居眠り等がない場合には、運転者によるステアリングアクセルの操作は、運転者の意志に基づくもの(運転意志あり)と判断することができる。

0032

自動操舵制御部10eは、車載カメラ21、ミリ波レーダ22等の検出信号に基づいて、自車両が車線を逸脱する可能性があるか否かを判断すると共に、逸脱の可能性があると判断された場合には、車線内を走行するように車両の操舵を補助するように構成されている。即ち、自動操舵制御部10eは、対向車に対する操舵回避(OCP:On Coming Prevention)、後側方からの物標の接近に対する操舵回避(BSP:Blind Spot Prevention)、又は車線・道路からの逸脱に対する操舵回避(LDP,RDP:Lane/Road Departure Prevention)が作動されたとき、制御システム(ステアリング制御システム33)に要求信号を送り、車両が車線内を走行するように車両の操舵を補助する。

0033

補正走行経路算出部10fは、目標走行経路算出部10cによって算出された目標走行経路を補正して、補正走行経路を算出するように構成されている。例えば、補正走行経路算出部10fは、周辺物標検出部10bによって回避すべき周辺物標が検出された場合に、周辺物標に対して車両が走行可能な許容相対速度の上限ラインを設定し、この上限ラインを満足するように、目標走行経路算出部10cによって算出された目標走行経路を補正する。

0034

さらに、補正走行経路算出部10fは、車両が走行可能な許容相対速度の上限ラインを満足する走行経路の中から、所定の制約条件を満たす走行経路を選択する。さらに、補正走行経路算出部10fは、選択された走行経路の中から所定の評価関数が最小となる走行経路を最適な補正走行経路として決定するように構成されている。即ち、補正走行経路算出部10fは、上限ライン、所定の評価関数及び所定の制約条件に基づいて補正走行経路を算出する。また、本実施形態においては、最適な補正走行経路を決定するための制約条件は、選択されている運転支援モードや、運転者による運転状況に基づいて、適宜設定される。

0035

ECU10は、補正走行経路算出部10fによって決定された最適な補正走行経路を走行すべく、少なくともエンジン制御システム31,ブレーキ制御システム32,又はステアリング制御システム33のいずれか1つ又は複数に対する要求信号を生成し、出力する。

0036

次に、本実施形態による車両制御装置100が備える運転支援モードについて説明する。本実施形態では、運転支援モードとして、4つのモードが備えられている。即ち、ISAスイッチ36aを操作することにより実行される運転者操舵モードである速度制限モードと、TJAスイッチ36bを操作することにより実行される自動操舵モードである先行車追従モードと、ACCスイッチ36cを操作することにより実行される運転者操舵モードである自動速度制御モードと、何れの運転支援モードも選択されていない場合に実行される基本制御モードが備えられている。

0037

<先行車追従モード>
先行車追従モードは、基本的に、車両1と先行車との間に車速に応じた所定の車間距離を維持しつつ、車両1を先行車に追従走行させる自動操舵モードであり、車両制御装置100による自動的なステアリング制御速度制御エンジン制御ブレーキ制御),障害物回避制御(速度制御及びステアリング制御)を伴う。

0038

先行車追従モードでは、車線両端部の検出の可否、及び、先行車の有無に応じて、異なるステアリング制御及び速度制御が行われる。ここで、車線両端部とは、車両1が走行する車線の両端部(白線等の区画線,道路端縁石中央分離帯ガードレール等)であり、隣接する車線や歩道等との境界である。走行路端部検出部としてのECU10は、この車線両端部を車載カメラ21である車室外カメラにより撮像された画像データから検出する。また、ナビゲーションシステム30の地図情報から車線両端部を検出してもよい。しかしながら、例えば、車両1が整備された道路ではなく、車線が存在しない平原を走行する場合や、車載カメラ21からの画像データの読取り不良等の場合に車線両端部が検出できない場合が生じ得る。

0039

なお、上記実施形態では、ECU10を走行路端部検出部としているが、これに限らず、走行路端部検出部としての車載カメラ21が車線両端部を検出してもよいし、走行路端部検出部としての車載カメラ21とECU10が協働して車線両端部を検出してもよい。

0040

また、本実施形態では、先行車検出部としてのECU10は、車載カメラ21による画像データ及びミリ波レーダ22による測定データにより、先行車を検出する。具体的には、車載カメラ21による画像データにより前方を走行する他車両を走行車として検出する。更に、本実施形態では、ミリ波レーダ22による測定データにより、車両1と他車両との車間距離が所定距離(例えば、400〜500m)以下である場合に、当該他車両が先行車として検出される。

0041

なお、上記実施形態では、ECU10を先行車検出部としているが、これに限らず、先行車検出部としての車載カメラ21が前方を走行する他車両を検出してもよく、ECU10に加えて車載カメラ21及びミリ波レーダ22が先行車両検出部の一部を構成してもよい。

0042

なお、先行車追従モードにおいて、先行車の有無、車線両端部の検出の可否にかかわらず、周辺物標検出部10bによって回避すべき周辺物標が検出された場合には、目標走行経路が補正され、自動的に障害物(周辺物標)が回避される。

0043

<自動速度制御モード>
また、自動速度制御モードは、車速設定スイッチ37bを使用して運転者によって予め設定された所定の設定車速(一定速度)を維持するように速度制御する運転者操舵モードであり、車両制御装置100による自動的な速度制御(エンジン制御,ブレーキ制御)を伴うが、ステアリング制御は行われない。この自動速度制御モードでは、車両1は、設定車速を維持するように走行するが、運転者によるアクセルペダルの踏み込みにより設定車速を超えて増速され得る。また、運転者がブレーキ操作を行った場合には、運転者の意思優先され、設定車速から減速される。また、先行車に追いついた場合には、車速に応じた車間距離を維持しながら先行車に追従するように速度制御され、先行車が存在しなくなると、再び設定車速に復帰するように速度制御される。

0044

<速度制限モード>
また、速度制限モードは、車両1の車速が速度標識による制限速度又は運転者によって設定された設定速度を超えないように、速度制御する運転者操舵モードであり、車両制御装置100による自動的な速度制御(エンジン制御)を伴う。制限速度は、車載カメラ21により撮像された速度標識や路面上の速度表示の画像データをECU10が画像認識処理することにより特定してもよいし、外部からの無線通信により受信してもよい。速度制限モードでは、運転者が制限速度を超えるようにアクセルペダルを踏み込んだ場合であっても、車両1は制限速度までしか増速されない。

0045

<基本制御モード>
また、基本制御モードは、運転者操作部35により、何れの運転支援モードも選択されていないときのモード(オフモード)であり、車両制御装置100による自動的なステアリング制御及び速度制御は行われない。ただし、対向車に対する操舵回避(OCP:On Coming Prevention)、後側方からの物標の接近に対する操舵回避(BSP:Blind Spot Prevention)、車線・道路からの逸脱に対する操舵回避(LDP,RDP:Lane/Road Departure Prevention)は実行されるように構成されている。車両1が対向車等に衝突する可能性がある場合には、これらの制御が実行され衝突が回避される。また、これらの衝突回避は、先行車追従モード,自動速度制御,速度制限モードにおいても同様に実行される。なお、BSP及びLDP,RDPについては、基本制御モードにおいて実行されないように構成することもできる。

0046

次に、図3乃至図5を参照して、本実施形態による車両制御装置100により計算される複数の走行経路について説明する。図3乃至図5は、それぞれ第1走行経路〜第3走行経路の説明図である。本実施形態では、ECU10に備えられた目標走行経路算出部10cが、以下の第1走行経路R1〜第3走行経路R3を時間的に繰返し計算するように構成されている(例えば、0.1秒毎)。本実施形態では、ECU10は、センサ等の情報に基づいて、現時点から所定期間(例えば、3秒)が経過するまでの間の走行経路を計算する。走行経路Rx(x=1,2,3)は、走行経路上の車両1の目標位置(Px_k)及び目標速度(Vx_k)により特定される(k=0,1,2,・・・,n)。更に、各目標位置において、目標速度以外に複数の変数(加速度、加速度変化量、ヨーレート、操舵角、車両角度等)について目標値が特定される。

0047

なお、図3乃至図5における走行経路(第1走行経路〜第3走行経路)は、車両1が走行する走行路上又は走行路周辺の物標(駐車車両、歩行者等の障害物)に関する周辺物標の検出情報を考慮せずに、走行路の形状,先行車の走行軌跡,車両1の走行挙動,及び設定車速に基づいて計算される。このように、本実施形態では、周辺物標の情報が計算に考慮されないので、これら複数の走行経路の全体的な計算負荷を低く抑えることができる。

0048

以下では、理解の容易のため、車両1が直線区間5a,カーブ区間5b,直線区間5cからなる道路5を走行する場合において計算される各走行経路について説明する。道路5は、左右の車線5L,5Rからなる。現時点において、車両1は、直線区間5aの車線5L上を走行しているものとする。

0049

(第1走行経路)
図3に示すように、第1走行経路R1は、道路5の形状に即して車両1に走行路である車線5L内の走行を維持させるように所定期間分だけ設定される。詳しくは、第1走行経路R1は、直線区間5a,5cでは車両1が車線5Lの中央付近の走行を維持するように設定され、カーブ区間5bでは車両1が車線5Lの幅方向中央よりも内側又はイン側(カーブ区間の曲率半径Lの中心O側)を走行するように設定される。

0050

目標走行経路算出部10cは、車載カメラ21により撮像された車両1の周囲の画像データの画像認識処理を実行し、車線両端部6L,6Rを検出する。車線両端部は、上述のように、区画線(白線等)や路肩等である。更に、目標走行経路算出部10cは、検出した車線両端部6L,6Rに基づいて、車線5Lの車線幅W及びカーブ区間5bの曲率半径Lを算出する。また、ナビゲーションシステム30の地図情報から車線幅W及び曲率半径Lを取得してもよい。更に、目標走行経路算出部10cは、画像データから速度標識Sや路面上に表示された制限速度を読み取る。なお、上述のように、制限速度を外部からの無線通信により取得してもよい。

0051

目標走行経路算出部10cは、直線区間5a,5cでは、車線両端部6L,6Rの幅方向の中央部を車両1の幅方向中央部(例えば、重心位置)が通過するように、第1走行経路R1の複数の目標位置P1_kを設定する。

0052

一方、目標走行経路算出部10cは、カーブ区間5bでは、カーブ区間5bの長手方向の中央位置P1_cにおいて、車線5Lの幅方向中央位置からイン側への変位量Wsを最大に設定する。この変位量Wsは、曲率半径L,車線幅W,車両1の幅寸法D(ECU10のメモリに格納された規定値)に基づいて計算される。そして、目標走行経路算出部10cは、カーブ区間5bの中央位置P1_cと直線区間5a,5cの幅方向中央位置とを滑らかにつなぐように第1走行経路R1の複数の目標位置P1_kを設定する。なお、カーブ区間5bへの進入前後においても、直線区間5a,5cのイン側に第1走行経路R1を設定してもよい。

0053

第1走行経路R1の各目標位置P1_kにおける目標速度V1_kは、原則的に、運転者が運転者操作部35の車速設定スイッチ37bによって設定した速度、又はシステム100によって予め設定された所定の設定車速(一定速度)に設定される。しかしながら、この設定車速が、速度標識S等から取得された制限速度、又は、カーブ区間5bの曲率半径Lに応じて規定される制限速度を超える場合、走行経路上の各目標位置P1_kの目標速度V1_kは、2つの制限速度のうち、より低速な制限速度に制限される。さらに、目標走行経路算出部10cは、車両1の現在の挙動状態(即ち、車速,加速度,ヨーレート,操舵角,横加速度等)に応じて、目標位置P1_k,目標車速V1_kを適宜に補正する。例えば、現車速が設定車速から大きく異なっている場合は、車速を設定車速に近づけるように目標車速が補正される。

0054

(第2走行経路)
また、図4に示すように、第2走行経路R2は、先行車3の走行軌跡を追従するように所定期間分だけ設定される。目標走行経路算出部10cは、車載カメラ21による画像データ,ミリ波レーダ22による測定データ,車速センサ23による車両1の車速に基づいて、車両1の走行する車線5L上の先行車3の位置及び速度を継続的に計算して、これらを先行車軌跡情報として記憶し、この先行車軌跡情報に基づいて、先行車3の走行軌跡を第2走行経路R2(目標位置P2_k、目標速度V2_k)として設定する。

0055

(第3走行経路)
また、図5に示すように、第3走行経路R3は、運転者による車両1の現在の運転状態に基づいて所定期間分だけ設定される。即ち、第3走行経路R3は、車両1の現在の走行挙動から推定される位置及び速度に基づいて設定される。
目標走行経路算出部10cは、車両1の操舵角,ヨーレート,横加速度に基づいて、所定期間分の第3走行経路R3の目標位置P3_kを計算する。ただし、目標走行経路算出部10cは、車線両端部が検出される場合、計算された第3走行経路R3が車線端部に近接又は交差しないように、目標位置P3_kを補正する。

0056

また、目標走行経路算出部10cは、車両1の現在の車速,加速度に基づいて、所定期間分の第3走行経路R3の目標速度V3_kを計算する。なお、目標速度V3_kが速度標識S等から取得された制限速度を超えてしまう場合は、制限速度を超えないように目標速度V3_kを補正してもよい。

0057

次に、本実施形態による車両制御装置100における運転支援モードと走行経路との関係について説明する。本実施形態では、運転者が運転者操作部35を操作して1つの運転支援モードを選択すると、選択された運転支援モードに応じて走行経路が選択されるように構成されている。

0058

先行車追従モードの選択時には、車線両端部が検出されていると、先行車の有無にかかわらず、第1走行経路が適用される。この場合、車速設定スイッチ37bによって設定された設定車速が目標速度となる。
一方、先行車追従モードの選択時において、車線両端部が検出されず、先行車が検出された場合、第2走行経路が適用される。この場合、目標速度は、先行車の車速に応じて設定される。また、先行車追従モードの選択時において、車線両端部が検出されず、先行車も検出されない場合、第3走行経路が適用される。

0059

また、自動速度制御モードの選択時には、第3走行経路が適用される。自動速度制御モードは、上述のように速度制御を自動的に実行するモードであり、設定車速入力部37によって設定された設定車速が目標速度となる。また、運転者によるステアリングホイールの操作に基づいてステアリング制御が実行される。

0060

また、速度制限モードの選択時にも第3走行経路が適用される。速度制限モードも、上述のように速度制御を自動的に実行するモードであり、目標速度は、制限速度以下の範囲で、運転者によるアクセルペダルの踏み込み量に応じて設定される。また、運転者によるステアリングホイールの操作に基づいてステアリング制御が実行される。

0061

また、基本制御モード(オフモード)の選択時には、第3走行経路が適用される。基本制御モードは、基本的に、速度制限モードにおいて制限速度が設定されない状態と同様である。

0062

次に、図6乃至図9を参照して、本実施形態によるECU10の補正走行経路算出部10fにおいて実行される走行経路補正処理について説明する。図6は走行経路の補正による障害物回避の説明図である。図7は障害物を回避する際の障害物と車両との間のすれ違い速度の許容上限値とクリアランスとの関係を示す説明図であり、図8は走行経路補正処理の説明図であり、図9は車両モデルの説明図である。
図6では、車両1は走行路(車線)7上を走行しており、走行中又は停車中の車両3とすれ違って、車両3を追い抜こうとしている。

0063

一般に、道路上又は道路付近の障害物(例えば、先行車、駐車車両、歩行者等)とすれ違うとき(又は追い抜くとき)、車両1の運転者は、進行方向に対して直交する横方向において、車両1と障害物との間に所定のクリアランス又は間隔(横方向距離)を保ち、且つ、車両1の運転者が安全と感じる速度に減速する。具体的には、先行車が急に進路変更したり、障害物の死角から歩行者が出てきたり、駐車車両のドアが開いたりするといった危険を回避するため、クリアランスが小さいほど、障害物に対する相対速度は小さくされる。

0064

また、一般に、後方から先行車に近づいているとき、車両1の運転者は、進行方向に沿った車間距離(縦方向距離)に応じて速度(相対速度)を調整する。具体的には、車間距離が大きいときは、接近速度(相対速度)が大きく維持されるが、車間距離が小さくなると、接近速度は低速にされる。そして、所定の車間距離で両車両の間の相対速度はゼロとなる。これは、先行車が駐車車両であっても同様である。

0065

このように、運転者は、障害物と車両1との間の距離(横方向距離及び縦方向距離を含む)と相対速度との関係を考慮しながら、危険がないように車両1を運転している。

0066

そこで、本実施形態では、図6に示すように、車両1は、車両1から検知される障害物(例えば、駐車車両3)に対して、障害物の周囲に(横方向領域後方領域、及び前方領域にわたって)又は少なくとも障害物と車両1との間に、車両1の進行方向における相対速度についての許容上限値を規定する2次元分布速度分布領域40)を設定するように構成されている。速度分布領域40では、障害物の周囲の各点において、相対速度の許容上限値Vlimが設定されている。本実施形態では、すべての運転支援モードにおいて、障害物に対する車両1の相対速度が速度分布領域40内の許容上限値Vlimを超えることがないように走行経路の補正が実施される。

0067

図6から分かるように、速度分布領域40は、原則的に、障害物からの横方向距離及び縦方向距離が小さくなるほど(障害物に近づくほど)、相対速度の許容上限値が小さくなるように設定される。また、図6では、理解の容易のため、同じ許容上限値を有する点を連結した等相対速度線が示されている。等相対速度線a,b,c,dは、それぞれ許容上限値Vlimが0km/h,20km/h,40km/h,60km/hに相当する。本例では、各等相対速度領域は、略矩形に設定されている。このように、補正走行経路算出部10fは、周辺物標検出部10bによって回避すべき障害物(周辺物標)が検出された場合には、障害物に対して車両が走行可能な許容相対速度の上限ラインを設定している。そして、この上限ラインを満足するように、目標走行経路算出部10cによって算出された目標走行経路が補正される。

0068

なお、速度分布領域40は、必ずしも障害物の全周にわたって設定されなくてもよく、少なくとも障害物の後方、及び、車両1が存在する障害物の横方向の一方側(図6では、車両3の右側領域)に設定されればよい。

0069

図7に示すように、車両1がある絶対速度で走行するときにおいて、障害物の横方向に設定される許容上限値Vlimは、クリアランスXがD0安全距離)までは0(ゼロ)km/hであり、D0以上で2次関数的に増加する(Vlim=k(X−D0)2。ただし、X≧D0)。即ち、安全確保のため、クリアランスXがD0以下では車両1は相対速度がゼロとなる。一方、クリアランスXがD0以上では、クリアランスが大きくなるほど、車両1は大きな相対速度ですれ違うことが許容される。

0070

図7の例では、障害物の横方向における許容上限値は、Vlim=f(X)=k(X−D0)2で定義されている。なお、kは、Xに対するVlimの変化度合いに関連するゲイン係数であり、障害物の種類等に依存して設定される。また、D0も障害物の種類等に依存して設定される。

0071

なお、本実施形態では、VlimがXの2次関数となるように定義されているが、これに限らず、他の関数(例えば、一次関数等)で定義されてもよい。また、図7を参照して、障害物の横方向の許容上限値Vlimについて説明したが、障害物の縦方向を含むすべての径方向について同様に設定することができる。その際、係数k、安全距離D0は、障害物からの方向に応じて設定することができる。

0072

なお、速度分布領域40は、種々のパラメータに基づいて設定することが可能である。パラメータとして、例えば、車両1と障害物の相対速度、障害物の種類、車両1の進行方向、障害物の移動方向及び移動速度、障害物の長さ、車両1の絶対速度等を考慮することができる。即ち、これらのパラメータに基づいて、係数k及び安全距離D0を選択することができる。

0073

また、本実施形態において、障害物は、車両,歩行者,自転車,崖,溝,穴,落下物等を含む。更に、車両は、自動車トラック自動二輪区別可能である。歩行者は、大人,子供,集団で区別可能である。

0074

図6に示すように、車両1が走行路7上を走行しているとき、車両1のECU10に内蔵された周辺物標検出部10bは、車載カメラ21から画像データに基づいて障害物(車両3)を検出する。このとき、障害物の種類(この場合は、車両、歩行者)が特定される。

0075

また、周辺物標検出部10bは、ミリ波レーダ22の測定データ及び車速センサ23の車速データに基づいて、車両1に対する障害物(車両3)の位置及び相対速度並びに絶対速度を算出する。なお、障害物の位置は、車両1の進行方向に沿ったx方向位置(縦方向距離)と、進行方向と直交する横方向に沿ったy方向位置(横方向距離)が含まれる。

0076

ECU10に内蔵された補正走行経路算出部10fは、検知したすべての障害物(図6の場合、車両3)について、それぞれ速度分布領域40を設定する。そして、補正走行経路算出部10fは、車両1の速度が速度分布領域40の許容上限値Vlimを超えないように走行経路の補正を行う。補正走行経路算出部10fは、障害物の回避に伴い、運転者の選択した運転支援モードに応じて適用された目標走行経路を補正する。

0077

即ち、目標走行経路を車両1が走行すると、ある目標位置において目標速度が速度分布領域40によって規定された許容上限値を超えてしまう場合には、目標位置を変更することなく目標速度を低下させるか(図6の経路Rc1)、目標速度を変更することなく目標速度が許容上限値を超えないように迂回経路上に目標位置を変更するか(図6の経路Rc3)、目標位置及び目標速度の両方が変更される(図6の経路Rc2)。

0078

例えば、図6は、計算されていた目標走行経路Rが、走行路7の幅方向の中央位置(目標位置)を60km/h(目標速度)で走行する経路であった場合を示している。この場合、前方に駐車車両3が障害物として存在するが、上述のように、目標走行経路Rの計算段階においては、計算負荷の低減のため、この障害物は考慮されていない。

0079

目標走行経路Rを走行すると、車両1は、速度分布領域40の等相対速度線d,c,c,dを順に横切ることになる。即ち、60km/hで走行する車両1が等相対速度線d(許容上限値Vlim=60km/h)の内側の領域に進入することになる。したがって、補正走行経路算出部10fは、目標走行経路Rの各目標位置における目標速度を許容上限値Vlim以下に制限するように目標走行経路Rを補正して、補正後の目標走行経路Rc1を生成する。即ち、補正後の目標走行経路Rc1では、各目標位置において目標車速が許容上限値Vlim以下となるように、車両3に接近するに連れて目標速度が徐々に40km/h未満に低下し、その後、車両3から遠ざかるに連れて目標速度が元の60km/hまで徐々に増加される。

0080

また、目標走行経路Rc3は、目標走行経路Rの目標速度(60km/h)を変更せず、このため等相対速度線d(相対速度60km/hに相当)の外側を走行するように設定された経路である。補正走行経路算出部10fは、目標走行経路Rの目標速度を維持するため、目標位置が等相対速度線d上又はその外側に位置するように目標位置を変更するように目標走行経路Rを補正して、目標走行経路Rc3を生成する。したがって、目標走行経路Rc3の目標速度は、目標走行経路Rの目標速度であった60km/hに維持される。

0081

また、目標走行経路Rc2は、目標走行経路Rの目標位置及び目標速度の両方が変更された経路である。目標走行経路Rc2では、目標速度は、60km/hには維持されず、車両3に接近するに連れて徐々に低下し、その後、車両3から遠ざかるに連れて元の60km/hまで徐々に増加される。

0082

目標走行経路Rc1のように、目標走行経路Rの目標位置を変更せず、目標速度のみを変更する補正は、速度制御を伴うが、ステアリング制御を伴わない運転支援モードに適用することができる(例えば、自動速度制御モード、速度制限モード、基本制御モード)。
また、目標走行経路Rc3のように、目標走行経路Rの目標速度を変更せず、目標位置のみを変更する補正は、ステアリング制御を伴う運転支援モードに適用することができる(例えば、先行車追従モード)。
また、目標走行経路Rc2のように、目標走行経路Rの目標位置及び目標速度を共に変更する補正は、速度制御及びステアリング制御を伴う運転支援モードに適用することができる(例えば、先行車追従モード)。

0083

次に、図8に示すように、ECU10に内蔵された補正走行経路算出部10fは、設定可能な補正走行経路の中から、センサ情報等に基づいて、最適な補正走行経路を決定する。即ち、補正走行経路算出部10fは、設定可能な補正走行経路の中から、所定の評価関数及び所定の制約条件に基づいて最適な補正走行経路を決定する。

0084

ECU10は、評価関数J、制約条件及び車両モデルをメモリ内に記憶している。補正走行経路算出部10fは、最適な補正走行経路を決定するに際し、制約条件及び車両モデルを満たす範囲で、評価関数Jが最小になる最適な補正走行経路を算出する(最適化処理)。

0085

評価関数Jは、複数の評価ファクタを有する。本例の評価ファクタは、例えば、速度(縦方向及び横方向)、加速度(縦方向及び横方向)、加速度変化量(縦方向及び横方向)、ヨーレート、車線中心に対する横位置、車両角度、操舵角、その他ソフト制約について、目標走行経路と補正走行経路との差を評価するための関数である。

0086

評価ファクタには、車両1の縦方向の挙動に関する評価ファクタ(縦方向評価ファクタ:縦方向の速度、加速度、加速度変化量等)と、車両1の横方向の挙動に関する評価ファクタ(横方向評価ファクタ:横方向の速度、加速度、加速度変化量、ヨーレート、車線中心に対する横位置、車両角度、操舵角等)が含まれる。

0087

具体的には、評価関数Jは、以下の式で記述される。

0088

式中、Wk(Xk−Xrefk)2は評価ファクタ、Xkは補正走行経路の評価ファクタに関する物理量、Xrefkは目標走行経路(補正前)の評価ファクタに関する物理量、Wkは評価ファクタの重み値(例えば、0≦Wk≦1)である(但し、k=1〜n)。したがって、本実施形態の評価関数Jは、n個の評価ファクタの物理量について、目標走行経路(補正前)の物理量に対する補正走行経路の物理量の差の2乗の和を重み付けして、所定期間(例えば、N=3秒)の走行経路長にわたって合計した値に相当する。

0089

制約条件は、補正走行経路が満足する必要がある条件であり、制約条件によって評価すべき補正走行経路を絞り込むことにより、評価関数Jによる最適化処理に要する計算負荷を減少させることが可能となり、計算時間を短縮することができる。なお、後述するように、適用する制約条件は、設定されている運転支援モードや、運転意志判断部10dによって判断された運転者の運転意志に応じて変更される。

0090

車両モデルは、車両1の物理的な運動を規定するものであり、以下の運動方程式で記述される。この車両モデルは、本例では図9に示す2輪モデルである。車両モデルにより車両1の物理的な運動が規定されることにより、走行時の違和感が低減された補正走行経路を算出することができると共に、評価関数Jによる最適化処理を早期に収束させることができる。

0091

0092

図9及び式(1)、(2)中、mは車両1の質量、Iは車両1のヨーイング慣性モーメント、lはホイールベース、lfは車両重心点前車軸間の距離、lrは車両重心点と後車軸間の距離、Kfは前輪1輪あたりのタイヤコーナリングパワー、Krは後輪1輪あたりのタイヤコーナリングパワー、Vは車両1の車速、δは前輪の実舵角、βは車両重心点の横すべり角、rは車両1のヨー角速度、θは車両1のヨー角、yは絶対空間に対する車両1の横変位、tは時間である。
このように、補正走行経路算出部10fは、目標走行経路、制約条件、車両モデル等に基づいて、多数の走行経路の中から、評価関数Jが最小になる最適な補正走行経路を算出する。

0093

次に、図10乃至図18を参照して、本実施形態の車両制御装置100における運転支援制御の処理フローを説明する。図10は運転支援制御の処理フローである。
ECU10は、図10の処理フローを所定時間(例えば、0.1秒)ごとに繰り返して実行している。まず、ECU10(入力処理部10c)は、情報取得処理を実行する(S11)。情報取得処理において、ECU10は、測位システム29及びナビゲーションシステム30から、現在車両位置情報及び地図情報を取得し(S11a)、車載カメラ21,ミリ波レーダ22,車速センサ23,加速度センサ24,ヨーレートセンサ25,運転者操作部35等からセンサ情報を取得し(S11b)、操舵角センサ26,アクセルセンサ27,ブレーキセンサ28等からスイッチ情報を取得する(S11c)。

0094

次に、ECU10(入力処理部10c)は、情報取得処理(S11)において取得した各種の情報を用いて所定の情報検出処理を実行する(S12)。情報検出処理において、ECU10は、現在車両位置情報及び地図情報並びにセンサ情報から、車両1の周囲及び前方エリアにおける走行路形状に関する走行路情報(直線区間及びカーブ区間の有無,各区間長さ,カーブ区間の曲率半径,車線幅,車線両端部位置車線数,交差点の有無,カーブ曲率で規定される制限速度等)、走行規制情報(制限速度、赤信号等)、先行車軌跡情報(先行車の位置及び速度)を検出する(S12a)。

0095

また、ECU10は、スイッチ情報から、運転者による車両操作に関する車両操作情報(操舵角,アクセルペダル踏み込み量ブレーキペダル踏み込み量等)を検出し(S12b)、更に、スイッチ情報及びセンサ情報から、車両1の挙動に関する走行挙動情報(車速、縦加速度、横加速度、ヨーレート等)を検出する(S12c)。

0096

次に、ECU10(走行経路制御部10a)は、計算により得られた情報に基づいて、走行経路制御処理を実行する(S13)。走行経路制御処理は、走行経路計算処理(S13a)、走行経路補正・最適化処理(S13b)、要求信号生成処理(S13c)を含む。
走行経路計算処理(S13a)では、上述のように、第1走行経路,第2走行経路,又は第3走行経路が計算される。

0097

走行経路補正・最適化処理(S13b)では、ECU10は、周辺物標等(例えば、図6に示した駐車車両3)に基づいて、目標走行経路が補正されると共に、算出された補正走行経路の中から、所定の評価関数及び所定の制約条件に基づいて最適な補正走行経路が決定される。

0098

要求信号生成処理(S13c)では、ECU10は、選択されている運転支援モードに応じて、車両1が最終的に算出された走行経路上を走行するように、該当する制御システム(エンジン制御システム31,ブレーキ制御システム32,ステアリング制御システム33)へ出力する要求信号を生成する。具体的には、ECU10は、算出された目標走行経路(最適走行経路)によって特定されるエンジン,ブレーキ,操舵の目標制御量に応じて、要求信号(エンジン要求信号,ブレーキ要求信号,ステアリング要求信号)を生成する。

0099

更に、ECU10は、生成された要求信号に基づいて、エンジン制御システム31,ブレーキ制御システム32,ステアリング制御システム33へ要求信号を出力する(システム制御処理:S14)。

0100

次に、図11乃至図18を参照して、図10の走行経路補正・最適化処理(S13b)の詳細な処理フローを説明する。図11は、補正走行経路算出部10fが使用する制約条件等を設定するためのフローチャートである。また、図12乃至図16は、補正後の走行経路が満足すべき、走行経路に対する制約条件を示す図である。図17は、補正後の走行経路が満足すべき走行パラメータに対する制約条件を示す図である。図18は、補正走行経路算出部10fによって算出された、制約条件を満足する最適な補正走行経路の一例を示す図である。

0101

以下に説明するように、目標走行経路算出部10cによって算出された目標走行経路は、補正走行経路算出部10fによって、種々の制約条件を満足するように補正され、補正走行経路が生成される。また、適用される全ての制約条件を同時に満足する走行経路が算出できない場合には、安全な走行に関わる制約条件が優先的に適用されて、補正走行経路が生成される。

0102

まず、図11のステップS21においては、対向車に対する操舵回避(OCP)、後側方からの物標の接近に対する操舵回避(BSP)、又は車線・道路からの逸脱に対する操舵回避(LDP,RDP)の何れかが作動中であるか否かが、自動操舵制御部10eによって判断される。何れかの操舵回避制御の実行中である場合には車線逸脱の可能性があると判断され、ステップS22に進み、ステップS22においては、図12に示すように、目標走行経路算出部10cは、車両1が走行中の車線の逸脱側の区画線の内側30cmの位置に目標走行経路Rを設定する。また、補正走行経路算出部10fが使用する制約条件として、走行中の車線の外側の領域A(図12斜線の領域)が設定される。

0103

図12に示す例では、対向車に対する操舵回避(OCP)により、自動的に左側に操舵が行われている。このため、目標走行経路Rは車線左側の区画線の内側30cmの位置に設定されている。即ち、目標走行経路Rは車線両側の区画線の中央に対して逸脱の可能性がある側にオフセットした位置に設定される。一方、自動操舵制御部10eによって車線逸脱の可能性がないと判断され、車線が検出されている場合には、後述する図13に示すように、目標走行経路Rは車線中央に設定される。

0104

また、図12に示すように、制約条件は、車両1の両側の区画線よりも外側の領域Aに設定されている。このように制約条件が設定されることにより、補正走行経路算出部10fは、車両1が領域Aに侵入しない範囲で目標走行経路Rを補正する。一方、自動操舵制御部10eによって車線逸脱の可能性がないと判断された場合においても、補正走行経路算出部10fは、車両1の両側の区画線よりも外側の領域を制約条件として設定する(例えば、図13)。

0105

一方、何れの操舵回避制御も実行されていない場合には、ステップS21からS23に進み、ステップS23においては、運転支援モードが先行車追従モード(TJA)に設定されているか否かが判断される。先行車追従モードに設定されている場合にはステップS24に進み、先行車追従モードに設定されていない場合にはステップS29に進む。ステップS24においては、車載カメラ21の画像を解析した入力処理部10a(画像解析部)によって車線が検出されているか否かが判断される。以下に説明するように、本実施形態の車両制御装置においては、モード設定操作部である運転者操作部37によって設定されている操舵モード(先行車追従モードか否か)に応じて制約条件が変更されると共に、車線が検出されているか否かによって制約条件が変更される。

0106

車線が検出されている場合にはステップS25に進み、ステップS25においては図13に示すように目標走行経路及び制約条件が設定される。即ち、自動操舵モードである先行車追従モードの実行中であり、且つ車線が検出されている場合には、目標走行経路算出部10cは、車線両側の区画線の中央に目標走行経路Rを設定し、補正走行経路算出部10fは、制約条件として、検出された車線(両側の区画線の外側の領域A(図13の斜線の領域))を設定する。即ち、車線が検出されている場合には、先行車追従モードの実行中であっても、車線の中央に目標走行経路Rが設定され、車線の外側の領域Aに制約条件が設定される。このように制約条件が設定されることにより、補正走行経路算出部10fは、車両1が領域Aに侵入しない範囲で目標走行経路Rを補正する。

0107

一方、車線が検出されていない場合にはステップS24からS26に進み、ステップS26においては、車載カメラ21による画像データ及びミリ波レーダ22による測定データにより、先行車が検出されているか否かが判断される。ステップS26において、先行車が検出されている場合にはステップS27に進み、先行車が検出されていない場合にはステップS28に進む。

0108

ステップS27においては、図14に示すように目標走行経路R及び制約条件が設定される。即ち、先行車追従モードにおいて、車線が検出されず、且つ先行車両が検出されている場合には、先行車3の走行軌跡が目標走行経路Rとして設定される。さらに、この目標走行経路R(先行車両の走行軌跡)を自車両が走行した場合における推定走行経路を中心とする自車幅よりも外側の領域Aが制約条件として設定される。このように、先行車3の走行軌跡と同一の経路を自車が走行した場合において、自車が通る領域の外側が制約条件として設定される。このように制約条件が設定されることにより、補正走行経路算出部10fは、車両1が領域Aに侵入しない範囲で目標走行経路Rを補正する。

0109

一方、ステップS26において、先行車が検出されていない場合には、ステップS28に進み、ステップS28においては、図15に示すように目標走行経路R及び制約条件が設定される。即ち、先行車追従モードにおいて、車線及び先行車両が検出されていない場合には、運転者の意志による現在の運転状況が継続された場合に車両が走行すると推定される推定走行経路が目標走行経路Rとして設定され、この推定走行経路を中心として、自車幅よりも外側の領域Aが制約条件として設定される。即ち、先行車両が検出されていない場合には、目標走行経路算出部10cによって算出された目標走行経路Rを基準とした制約条件が設定される。このように制約条件が設定されることにより、補正走行経路算出部10fは、車両1が領域Aに侵入しない範囲で目標走行経路Rを補正する。

0110

一方、ステップS23において、運転支援モードが先行車追従モード(TJA)に設定されていないと判断された場合には、ステップS29に進む。ステップS29においては、運転意志判断部10dによって、運転者に運転意志があり、且つ車載カメラ21によって車線が検出されているか否かが判断される。即ち、運転意志判断部10dは、車両1に搭載された車室内撮影用の車載カメラ21によって撮影された運転者の画像を解析し、運転者が居眠りをしていないか、脇見をしていないか等を判断する。運転意志判断部10dは、運転者が居眠り等をしていない場合には、運転者に運転意志があると判定する。運転者に運転意志があり、且つ車線が検出されている場合には、ステップS30に進み、それ以外の場合にはステップS31に進む。以下に説明するように、本実施形態の車両制御装置においては、運転意志判断部10dによって判断された運転意志の有無に基づいて制約条件が変更されると共に、車線が検出されているか否かによって制約条件が変更される。

0111

ステップS30においては、図16に示すように目標走行経路R及び制約条件が設定される。即ち、先行車追従モード以外の制御モードにおいて、運転者に運転意志があり、且つ車線が検出されている場合には、運転者の意志による現在の運転状況が継続された場合に車両が走行すると推定される推定走行経路が目標走行経路Rとして設定される。図16に示す例では、車両1は、車線内において、車線中央よりも左側の区画線に近い位置を、運転者の意志により走行しており、この運転状況が継続すれば、車両1は左側の区画線に近い位置を走行し続けると推定される。このため、推定される走行経路である車線中央よりも左側の区画線に近い位置が、目標走行経路Rとして設定される。さらに、この推定走行経路を中心として、自車幅よりも外側の領域であり、車線両側の区画線よりも外側の領域である領域Aが制約条件として設定される。このように制約条件が設定されることにより、補正走行経路算出部10fは、車両1が領域Aに侵入しない範囲で目標走行経路Rを補正する。

0112

一方、ステップS29において、運転者に運転意志がないか、車線が検出されていない場合には、ステップS31に進む。ステップS31においては、図15に示すように目標走行経路R及び制約条件が設定される。上述したように、図15においては、運転者の意志による現在の運転状況が継続された場合に車両が走行すると推定される推定走行経路が目標走行経路Rとして設定され、この推定走行経路を中心として、自車幅よりも外側の領域Aが制約条件として設定される。

0113

次に、図17を参照して、補正後の走行経路が満足すべき走行パラメータに関する制約条件を説明する。
上述したように、ECU10の目標走行経路算出部10cは目標走行経路Rを算出し、この目標走行経路Rは、補正走行経路算出部10fによって、上記各制約条件(図12乃至図16)を満足するように補正される。これに加えて補正走行経路算出部10fは、図17に示す走行パラメータをも満足するように目標走行経路Rを補正する。即ち、補正された走行経路が図12乃至図16に示す制約条件を満足しているとしても、自車両1の運動性能に対して実現困難な走行経路であったり、車両の乗員に不快感を与える走行経路であったりしては、採用することができない。このため、本実施形態においては、車両の加速度等に関する走行パラメータに対しても制約条件を設けている。

0114

即ち、図17に示すように、本実施形態では、先行車追従モード(TJA)においては、自車の前後加速度が±3m/s2以内に制限され、自車の横加速度が±4m/s2以内に制限され、自車の前後加加速度が±5m/s3以内に制限され、自車の横加加速度が±2m/s3以内に制限され、自車の操蛇角が±90rad以内に制限され、自車の操蛇角速度が±90rad/s以内に制限され、自車のヨーレートが±10rad/s以内に制限される。このように、自動操舵モードである先行車追従モードにおいては、制約条件が走行パラメータの絶対値として与えられ、走行パラメータにこのような制約条件を設けることにより、車両の乗員に大きなG(加速度)が作用し、不快感を与えるのを防止している。

0115

一方、自動速度制御モード(ACC)においては、自車の前後加速度が現在値の±2m/s2以内に制限され、自車の横加速度が現在値の±1m/s2以内に制限され、自車の前後加加速度が現在値の±2m/s3以内に制限され、自車の横加加速度が現在値の±1m/s3以内に制限され、自車の操蛇角が現在値の±30rad以内に制限され、自車の操蛇角速度が現在値の±30rad/s以内に制限され、自車のヨーレートが現在値の±2rad/s以内に制限される。このように、運転者操舵モードである自動速度制御モードにおいては、制約条件が走行パラメータの現在値からの変動幅として与えられ、走行パラメータにこのような制約条件を設けることにより、車両の急激な加減速等を防止している。

0116

次に、図18を参照して、補正走行経路算出部10fによって算出される最適な補正走行経路の一例を説明する。
図18に示す例では、自車両1において、先行車追従モード(TJA)が設定され、また、対向車に対する操舵回避(OCP)等は作動されていない。さらに、車載カメラ21によって走行車線が検出されている。このため、図11のフローチャートにおいては、ステップS21→S23→S24→S25の順に処理が進み、ステップS25においては、検出されている車線の中央に目標走行経路Rが設定される。

0117

しかしながら、前方には車両3が駐車しており、ECU10の周辺物標検出部10bは、回避すべき周辺物標として車両3を検出し、車両3の周囲に自車両1が走行可能な許容相対速度の上限ライン(図18の例ではラインa:許容相対速度0(ゼロ))を設定する。図18に示す例においては、自車両1が目標走行経路Rを走行し続けると、自車両1は車両3に対する許容相対速度0のラインa内に侵入してしまう。

0118

このため、ECU10の補正走行経路算出部10fは、自車両1がラインa内に侵入しないように、先に設定された目標走行経路Rを補正する。この際、補正後の走行経路に対し、制約条件として、(1)車線両側の区画線の外側の領域A(図18の斜線の領域)に自車両1が侵入しないこと、及び、(2)走行パラメータが図17のTJA制御中に対して設定された値の範囲を超えないこと、が適用される。補正走行経路算出部10fは、これらの制約条件を満足する走行経路のうち、上述した評価関数Jが最小となる経路を補正走行経路Rcとして算出する。この際、評価関数Jの値を計算すべき走行経路が各制約条件によって絞り込まれているので、少ない計算量で最適な補正走行経路を算出することができる。

0119

本発明の実施形態の車両制御装置100によれば、周辺物標検出部10bによって回避すべき周辺物標が検出された場合には、補正走行経路算出部10fは、周辺物標に対して車両1が走行可能な許容相対速度の上限ライン(図6のラインa〜d)を設定する。また、補正走行経路算出部10fは、この上限ライン、所定の評価関数J及び所定の制約条件に基づいて補正走行経路Rcを算出する。このように、補正走行経路算出部10fが所定の制約条件を備えているので、設定可能な多数の補正走行経路Rcの中から適切な経路を少ない計算量で算出することができる。さらに、目標走行経路算出部10fは、自車両1が車線を逸脱する可能性があると自動操舵制御部10eによって判断された場合(図11のステップS21→S22)には、車線の中央に対して逸脱の可能性がある側にオフセットした目標走行経路Rを設定する(図12)。このように、車両1が車線から逸脱する可能性がある場合には、逸脱側にオフセットした目標走行経路Rが設定されるので、自車両1が車線から逸脱した場合であっても、運転者に違和感を与えることなく、逸脱側の近くに設定された目標走行経路R(車線内)に復帰することができる。

0120

また、本実施形態の車両制御装置100によれば、車線逸脱の可能性がない場合(図11のステップS21→S23)には、車線の中央に目標走行経路Rが設定される(図13)ので、車線を走行する運転者に安心感を与えることができる。

0121

さらに、本実施形態の車両制御装置100によれば、車線逸脱の可能性に関わらず、制約条件として、走行中の車線の外側の領域が設定される(図12図13の領域A)ので、緊急の衝突回避の場合等を除き、補正走行経路Rcが走行中の車線内に設定され、不要な車線の逸脱を回避することができる。

0122

また、本実施形態の車両制御装置100によれば、対向車に対する操舵回避制御(OCP)が実行されたとき、車線逸脱の可能性ありと判断される(図11のステップS21→S22)ので、対向車を回避するために車線を逸脱した場合であっても、違和感なく自車両1を車線内に復帰させることができる。

0123

さらに、本実施形態の車両制御装置100によれば、後方又は側方に対する操舵回避制御(BSP)が実行されたとき、車線逸脱の可能性ありと判断される(図11のステップS21→S22)ので、後方又は側方に対する操舵回避のために車線を逸脱した場合であっても、違和感なく自車両を車線内に復帰させることができる。

0124

また、本実施形態の車両制御装置100によれば、車線又は道路の逸脱回避制御(LDP,RDP)が実行されたとき、車線逸脱の可能性ありと判断される(図11のステップS21→S22)ので、車線又は道路の逸脱回避の後、車線内に復帰した場合であっても、運転者に違和感を与えることがない。

0125

以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、上述した実施形態に種々の変更を加えることができる。特に、上述した実施形態においては、自動操舵モードとして先行車追従モード(TJA)が設定され、運転者操舵モードとして自動速度制御モード(ACC)が設定されていたが、他の制御モードを自動操舵モード或いは運転者操舵モードとして設定することもできる。また、上述した実施形態では、自動速度制御モードにおいて自動操舵が実行されることはないが、緊急の危険回避等、所定の場合において自動速度制御モードであっても自動操舵が実行されるように本発明を構成することもできる。

0126

1 車両
10車両制御演算部(ECU)
10a入力処理部(画像解析部)
10b周辺物標検出部
10c目標走行経路算出部
10d運転意志判断部
10e自動操舵制御部
10f補正走行経路算出部
21車載カメラ
22ミリ波レーダ
23車速センサ
24加速度センサ
25ヨーレートセンサ
26操舵角センサ
27アクセルセンサ
28ブレーキセンサ
29測位システム
30ナビゲーションシステム
31エンジン制御システム
32ブレーキ制御システム
33ステアリング制御システム
35運転者操作部(モード設定操作部)
36aISAスイッチ
36b TJAスイッチ
36cACCスイッチ
37a距離設定スイッチ
37b車速設定スイッチ
40速度分布領域
100 車両制御装置

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