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技術 表示装置、溶接トーチ、ワイヤ送給装置、および、中継装置

出願人 株式会社ダイヘン
発明者 宮部浩一坂口善規今町弘希下菊秀記
出願日 2017年10月20日 (1年9ヶ月経過) 出願番号 2017-203500
公開日 2019年5月23日 (2ヶ月経過) 公開番号 2019-076907
状態 未査定
技術分野 アーク溶接の制御
主要キーワード 加圧ハンドル 電力伝送線 ロッカスイッチ インチングスイッチ 自己的 増加度合い セルフシールド 速度設定信号
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2019年5月23日)のものです。
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図面 (13)

課題

インチング時の溶接ワイヤの送給状況を作業者に把握させることにより、溶接ワイヤが溶接トーチの先端から余分に出過ぎてしまうことを抑制できる表示装置を提供する。また、それぞれが当該表示装置を備えた溶接トーチ、ワイヤ送給装置、および、中継装置を提供する。

解決手段

本発明の表示装置(溶接トーチ3)は、溶接ワイヤを溶接トーチ3に送給するための送給モータ21を備えたワイヤ送給装置2を有する溶接システムA1の表示装置(溶接トーチ3)であって、インチングの実行操作停止操作とを受け付ける操作部33と、操作部33がインチングの実行操作を受け付けたとき、送給モータ21の駆動を指令するインチング指令部352と、インチングが開始されたときからの溶接ワイヤの積算送給量を表示する表示部32とを備えている。

概要

背景

消耗電極式の溶接システムにおいて、作業者溶接作業の下準備として、溶接電力を供給せずに溶接ワイヤを送給するインチングを行う。インチングでは、作業者はインチングスイッチオンにして溶接ワイヤの送給を開始させる。特許文献1にはインチング可能な溶接装置が開示されている。作業者は、インチングを開始すると、溶接トーチの先端から溶接ワイヤが送り出されたことを目視により確認し、インチングスイッチをオフにしてインチングを停止する。

概要

インチング時の溶接ワイヤの送給状況を作業者に把握させることにより、溶接ワイヤが溶接トーチの先端から余分に出過ぎてしまうことを抑制できる表示装置を提供する。また、それぞれが当該表示装置を備えた溶接トーチ、ワイヤ送給装置、および、中継装置を提供する。本発明の表示装置(溶接トーチ3)は、溶接ワイヤを溶接トーチ3に送給するための送給モータ21を備えたワイヤ送給装置2を有する溶接システムA1の表示装置(溶接トーチ3)であって、インチングの実行操作停止操作とを受け付ける操作部33と、操作部33がインチングの実行操作を受け付けたとき、送給モータ21の駆動を指令するインチング指令部352と、インチングが開始されたときからの溶接ワイヤの積算送給量を表示する表示部32とを備えている。

目的

本発明は、上記課題に鑑みて考え出されたものであり、その目的は、インチング時の溶接ワイヤの送給状況を作業者に把握させることにより、溶接ワイヤが溶接トーチの先端から余分に出過ぎてしまうことを抑制できる表示装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

溶接ワイヤ溶接トーチに送給するための送給モータを備えたワイヤ送給装置を有する溶接システム表示装置であって、インチング実行操作停止操作とを受け付ける操作部と、前記操作部がインチングの実行操作を受け付けたとき、前記送給モータの駆動を指令するインチング指令部と、インチングが開始されたときからの前記溶接ワイヤの積算送給量を表示する表示部と、を備えることを特徴とする表示装置。

請求項2

前記表示部は、図形表示によって前記積算送給量を表示する、請求項1に記載の表示装置。

請求項3

前記表示部は、前記積算送給量の目標値をさらに表示する、請求項1または請求項2に記載の表示装置。

請求項4

前記積算送給量は、インチングの開始後に所定の条件を満たすと、初期値にされる、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の表示装置。

請求項5

インチング時の前記溶接ワイヤの目標送給速度の設定を指令する設定指令部をさらに備える、請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の表示装置。

請求項6

前記積算送給量を取得する情報取得部をさらに備えており、前記表示部は、前記情報取得部が取得した前記積算送給量を表示する、請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の表示装置。

請求項7

実際に送給されている前記溶接ワイヤの送給速度である実送給速度を取得する情報取得部と、前記情報取得部が取得した前記実送給速度から前記積算送給量を算出する送給量算出部と、をさらに備えており、前記表示部は、前記送給量算出部が算出した前記積算送給量を表示する、請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の表示装置。

請求項8

前記送給モータの回転速度を取得する情報取得部と、前記情報取得部が取得した前記回転速度から前記溶接ワイヤの実送給速度を算出する送給速度算出部と、前記送給速度算出部が算出した前記実送給速度から前記積算送給量を算出する送給量算出部と、をさらに備えており、前記表示部は、前記送給量算出部が算出した前記積算送給量を取得する、請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の表示装置。

請求項9

前記情報取得部は、溶接電力を供給する溶接電源装置あるいは前記ワイヤ送給装置のいずれか一方から取得する、請求項6ないし請求項8のいずれか一項に記載の表示装置。

請求項10

請求項1ないし請求項9のいずれか一項に記載の表示装置を備えることを特徴とする溶接トーチ。

請求項11

請求項1ないし請求項9のいずれか一項に記載の表示装置を備えることを特徴とするワイヤ送給装置。

請求項12

前記ワイヤ送給装置から前記溶接トーチまでの前記溶接ワイヤの誘導経路の途中に配置され、前記溶接ワイヤの送給を中継する中継装置であって、請求項1ないし請求項9のいずれか一項に記載の表示装置を備えることを特徴とする中継装置。

技術分野

0001

本発明は、消耗電極式の溶接システムにおける表示装置に関する。また、本発明は、消耗電極式の溶接システムにおける溶接トーチワイヤ送給装置、および、中継装置に関する。

背景技術

0002

消耗電極式の溶接システムにおいて、作業者溶接作業の下準備として、溶接電力を供給せずに溶接ワイヤを送給するインチングを行う。インチングでは、作業者はインチングスイッチオンにして溶接ワイヤの送給を開始させる。特許文献1にはインチング可能な溶接装置が開示されている。作業者は、インチングを開始すると、溶接トーチの先端から溶接ワイヤが送り出されたことを目視により確認し、インチングスイッチをオフにしてインチングを停止する。

先行技術

0003

特開2015−16500号公報

発明が解決しようとする課題

0004

しかしながら、ワイヤ送給装置と溶接トーチとを接続するケーブル透明部材ではないため、溶接ワイヤの送給状況が分からない。したがって、インチングの停止を目視により判断する場合、溶接ワイヤが溶接トーチの先端から急に出てくることになる。そのため、適切なタイミングでインチングスイッチをオフにすることができず、溶接ワイヤが溶接トーチの先端から出過ぎてしまうことがある。出過ぎた余分な溶接ワイヤをペンチ等で切断しなければならなかった。特に、ワイヤ送給装置と溶接トーチとの距離が例えば10m以上離れている場合、インチングでの溶接ワイヤの送給速度を速くすることがある。この場合、適切なタイミングでインチングスイッチをオフにするのが困難となる。

0005

そこで、本発明は、上記課題に鑑みて考え出されたものであり、その目的は、インチング時の溶接ワイヤの送給状況を作業者に把握させることにより、溶接ワイヤが溶接トーチの先端から余分に出過ぎてしまうことを抑制できる表示装置を提供することにある。また、それぞれが当該表示装置を備えた溶接トーチ、ワイヤ送給装置、および、中継装置を提供することにある。

課題を解決するための手段

0006

本発明の第1の側面によって提供される表示装置は、溶接ワイヤを溶接トーチに送給するための送給モータを備えたワイヤ送給装置を有する溶接システムの表示装置であって、インチングの実行操作停止操作とを受け付ける操作部と、前記操作部がインチングの実行操作を受け付けたとき、前記送給モータの駆動を指令するインチング指令部と、インチングが開始されたときからの前記溶接ワイヤの積算送給量を表示する表示部とを備えることを特徴とする。この構成によると、インチングが開始されたときからの溶接ワイヤの積算送給量が、表示部に表示される。したがって、作業者は、インチング時の溶接ワイヤの送給状況を把握しながら、インチングスイッチを操作することができる。これにより、溶接ワイヤが溶接トーチの先端から余分に出過ぎてしまうことを抑制できる。

0007

前記表示装置の好ましい実施の形態においては、前記表示部は、図形表示によって前記積算送給量を表示する。この構成によると、表示部に、図形表示された積算送給量が表示される。したがって、作業者は、この図形表示された積算送給量を確認することで、溶接ワイヤの送給状況を直感的に把握することができる。

0008

前記表示装置の好ましい実施の形態においては、前記表示部は、前記積算送給量の目標値をさらに表示する。この構成によると、表示部に、インチングによって送給したい溶接ワイヤの積算送給量の目標値が表示される。したがって、作業者は、インチング中に、目標に対してどの程度、溶接ワイヤが送給されているかを確認することができる。

0009

前記表示装置の好ましい実施の形態においては、前記積算送給量は、インチングの開始後に所定の条件を満たすと、初期値にされる。例えば、所定の条件としては、インチング作業が終了したと判断できる条件が設定される。この構成によると、1回のインチング作業が終了する度に、溶接ワイヤの積算送給量が初期化されるので、1回のインチング作業毎の溶接ワイヤの積算送給量を表示することができる。

0010

前記表示装置の好ましい実施の形態においては、インチング時の前記溶接ワイヤの目標送給速度の設定を指令する設定指令部をさらに備える。この構成によると、作業者はインチング時の送給速度を変更することができる。したがって、作業者は、表示部に表示された溶接ワイヤの積算送給量を確認しながら、例えば溶接トーチ付近まで速い送給速度でインチングし、溶接トーチ付近から遅い送給速度でインチングすることができる。これにより、溶接ワイヤが溶接トーチの先端から余分に出過ぎてしまうことをより抑制できる。

0011

前記表示装置の好ましい実施の形態においては、前記積算送給量を取得する情報取得部をさらに備えており、前記表示部は、前記情報取得部が取得した前記積算送給量を表示する。この構成によると、表示装置は、積算送給量を取得するので、積算送給量を算出する必要がない。したがって、表示装置の構成が単純なものになる。

0012

前記表示装置の好ましい実施の形態においては、実際に送給されている前記溶接ワイヤの送給速度である実送給速度を取得する情報取得部と、前記情報取得部が取得した前記実送給速度から前記積算送給量を算出する送給量算出部と、をさらに備えており、前記表示部は、前記送給量算出部が算出した前記積算送給量を表示する。この構成によると、表示装置は、実送給速度を取得し、取得した実送給速度から積算送給量を算出する。したがって、表示装置は、自装置で算出した積算送給量を表示させることができる。

0013

前記表示装置の好ましい実施の形態においては、前記送給モータの回転速度を取得する情報取得部と、前記情報取得部が取得した前記回転速度から前記溶接ワイヤの実送給速度を算出する送給速度算出部と、前記送給速度算出部が算出した前記実送給速度から前記積算送給量を算出する送給量算出部と、をさらに備えており、前記表示部は、前記送給量算出部が算出した前記積算送給量を取得する。この構成によると、表示装置は、回転速度を取得し、取得した回転速度から実送給速度および積算送給量を算出する。したがって、表示装置は、自装置で算出した積算送給量を表示させることができる。

0014

前記表示装置の好ましい実施の形態においては、前記情報取得部は、溶接電力を供給する溶接電源装置あるいは前記ワイヤ送給装置のいずれか一方から取得する。この構成によると、表示装置は、溶接電源装置あるいはワイヤ送給装置のいずれかから情報を取得することができる。なお、情報とは、積算送給量、実送給速度、あるいは、回転速度のいずれかである。

0015

本発明の第2の側面によって提供される溶接トーチは、上記第1の側面によって提供される表示装置を備えることを特徴とする。この構成によると、作業者は、溶接トーチによって、インチング開始時からの積算送給量を確認しながら、インチングの実行操作と停止操作とを行うことができる。

0016

本発明の第3の側面によって提供されるワイヤ送給装置は、上記第1の側面によって提供される表示装置を備えることを特徴とする。この構成によると、作業者は、ワイヤ送給装置によって、インチング開始時からの積算送給量を確認しながら、インチングの実行操作と停止操作とを行うことができる。

0017

本発明の第4の側面によって提供される中継装置は、前記ワイヤ送給装置から前記溶接トーチまでの前記溶接ワイヤの誘導経路の途中に配置され、前記溶接ワイヤの送給を中継する中継装置であって、上記第1の側面によって提供される表示装置を備えることを特徴とする。この構成によると、作業者は、中継装置によって、インチング開始時からの積算送給量を確認しながら、インチングの実行操作と停止操作とを行うことができる。

発明の効果

0018

本発明によれば、インチング時の溶接ワイヤの送給状況を作業者に把握させることができる。これにより、作業者は溶接ワイヤが溶接トーチの先端から余分に出過ぎてしまうことを抑制できる。

図面の簡単な説明

0019

第1実施形態に係る溶接システムの全体構成を示す概要図である。
第1実施形態に係る溶接システムの機能ブロック図である。
第1実施形態に係る溶接トーチの一例の外観を示す図であり、(a)は正面図であり、(b)は平面図である。
インチング時にディスプレイに表示される画面の一例である。
作業者がインチングを行った場合のタイミングチャートである。
第2実施形態に係る溶接システムの機能ブロック図である。
第3実施形態に係る溶接システムの機能ブロック図である。
第4実施形態に係る溶接システムの機能ブロック図である。
第5実施形態に係る溶接システムの全体構成を示す概要図である。
第5実施形態に係る溶接システムの機能ブロック図である。
第6実施形態に係る溶接システムの機能ブロック図である。
第7実施形態に係る溶接システムの機能ブロック図である。

実施例

0020

本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して、以下に説明する。

0021

図1および図2は、本発明の第1実施形態に係る溶接システムA1を示している。図1は、溶接システムA1の全体構成を示す概要図である。図2は、溶接システムA1の機能構成を示すブロック図である。第1実施形態の溶接システムA1は、溶接電源装置1、ワイヤ送給装置2、溶接トーチ3、パワーケーブル41,42、電力伝送線5、ガスボンベ6、ガス配管7、および、信号線81,82を備えている。

0022

溶接システムA1において、溶接電源装置1は、電力系統Pから入力される交流電力を変換して、一対の出力端子から出力する。溶接電源装置1の一方の出力端子は、パワーケーブル41を介して、溶接トーチ3に接続されている。ワイヤ送給装置2は、溶接ワイヤを溶接トーチ3に送り出して、溶接ワイヤの先端を溶接トーチ3の先端から突出させる。溶接トーチ3の先端に配置されているコンタクトチップにおいて、パワーケーブル41と溶接ワイヤとは電気的に接続されている。溶接電源装置1の他方の出力端子は、パワーケーブル42を介して、被加工物Wに接続される。溶接電源装置1は、溶接トーチ3の先端から突出する溶接ワイヤの先端と、被加工物Wとの間にアークを発生させ、アークに電力を供給する。溶接システムA1は、当該アークの熱で被加工物Wの溶接を行う。

0023

溶接システムA1は、溶接時にシールドガスを用いるガスシールド溶接における構成である。ガスボンベ6のシールドガスは、溶接電源装置1およびワイヤ送給装置2を通るように設けられているガス配管7によって、溶接トーチ3の先端に供給される。なお、溶接システムA1は、溶接トーチ3に冷却水循環させるように構成されていてもよい。また、溶接システムA1が溶接時に溶接ワイヤから自己的ガスが発生することによりシールドガスを必要としないセルフシールド溶接の場合、ガスボンベ6、ガス配管7を含まない構成であってもよい。

0024

溶接電源装置1は、アーク溶接のための電力を溶接トーチ3に供給するものである。溶接電源装置1は、電力系統Pから入力される三相交流電力をアーク溶接に適した電力に変換して出力する。また、溶接電源装置1は、電力系統Pから入力される三相交流電力を、ワイヤ送給装置2を駆動するための電力に変換して、電力伝送線5を介してワイヤ送給装置2に出力する。

0025

溶接電源装置1は、溶接条件などに応じて電力を出力するように制御されており、溶接条件などは、溶接電源装置1に設けられた操作部(図示略)の操作に応じて変更される。また、溶接電源装置1は、信号線81,82を介して溶接トーチ3から入力される信号に応じて、溶接条件などを変更する。

0026

ワイヤ送給装置2は、溶接ワイヤやシールドガスを溶接トーチ3に送り出すものである。ワイヤ送給装置2は、電力伝送線5を介して溶接電源装置1から供給される電力により稼働する。ワイヤ送給装置2には、溶接ワイヤが巻回されたワイヤリール201が取り付けられている。ワイヤリール201は、ワイヤ送給装置2に対して着脱可能である。ワイヤリール201の溶接ワイヤは、ワイヤ送給装置2によって、後述するトーチケーブル308および溶接トーチ3の内部に設けられているライナの内部を通って、溶接トーチ3の先端に導かれる。

0027

ワイヤ送給装置2は、図2に示すように、溶接トーチ3を接続するためのコネクタ202を有する。コネクタ202は、例えば凹型接続用端子であり、溶接トーチ3のトーチケーブル308の一端に備えられた凸型トーチプラグ(図示略)を差し込まれることで、溶接トーチ3とワイヤ送給装置2とを接続する。このコネクタ202を介して、ワイヤ送給装置2の内部のパワーケーブル41、ガス配管7、ライナ、電力伝送線5および信号線82が、それぞれ、トーチケーブル308の内部のパワーケーブル41、ガス配管7、ライナ、電力伝送線5および信号線82に接続される。

0028

本実施形態においては、ワイヤ送給装置2は、図2に示すように、機能ブロックとして、送給モータ21、検出部22、第1通信部231、第2通信部232、制御部24、および、記憶部25を備えている。

0029

送給モータ21は、溶接ワイヤを送給するための駆動力を発生させるものである。送給モータ21は、制御部24(後述する駆動部241)によって駆動される。送給モータ21の回転軸には送給ロール(図示略)が取り付けられており、送給ロールは送給モータ21の駆動により回転する。なお、送給ロールを送給モータ21の回転軸に取り付けるのではなく、1個以上のギヤにより、送給モータ21の回転力を送給ロールに伝達させ、送給ロールを回転させる構成であってもよい。溶接ワイヤは、この送給ロールに接触しており、送給ロールが回転することにより、送給される。したがって、送給モータ21が駆動することで、溶接ワイヤが送給される。なお、溶接ワイヤを確実に送給するための加圧ハンドル加圧ロール、さらに、送給ロールからコネクタ202にかけ、トーチケーブル308内のライナに溶接ワイヤを円滑に送給させるためのアウトレットガイドなどが設けられているが、図への記載および説明は省略する。

0030

検出部22は、送給モータ21の回転速度を検出するものである。検出部22は、例えば送給モータ21の速度制御のための電機子電圧、送給モータ21に取り付けられたエンコーダ検出値ホール素子の検出値などのいずれかに基づいて、送給モータ21の回転速度を検出する。なお、送給モータ21の回転速度を検出可能であれば、検出部22の構成は、これらに限定されない。本実施形態においては、検出部22は、ロータリーエンコーダを含んで構成されている。検出部22は、当該ロータリーエンコーダによって、送給モータ21の回転に応じたエンコーダパルスを発生させる。そして、発生させたエンコーダパルスに応じて、送給モータ21の回転速度を検出する。検出部22は、検出した回転速度を制御部24に出力する。

0031

第1通信部231は、信号線81を介して、溶接電源装置1との間で通信を行うためのものである。第1通信部231は、制御部24から入力される信号を溶接電源装置1に送信し、溶接電源装置1から受信する信号を制御部24に出力する。本実施形態においては、第1通信部231は、溶接電源装置1との間で、信号線81を用いた有線通信を行う場合を説明するが、無線通信を行うようにしてもよい。

0032

第2通信部232は、信号線82を介して、溶接トーチ3との間で通信を行うためのものである。信号線82は、ワイヤ送給装置2と溶接トーチ3との間において、トーチケーブル308の内部に設けられている。第2通信部232は、制御部24から入力される信号を溶接トーチ3に送信し、溶接トーチ3から受信する信号を制御部24に出力する。本実施形態においては、第2通信部232は、溶接トーチ3との間で、信号線82を用いた有線通信を行う場合を説明するが、無線通信を行うようにしてもよい。

0033

制御部24は、ワイヤ送給装置2の制御を行うものである。制御部24は、例えばマイクロコンピュータなどによって実現される。制御部24は、ワイヤ送給装置2に設けられた操作部(図示略)の操作信号や第1通信部231および第2通信部232から入力される各種信号に基づいて、ワイヤ送給装置2の各部を制御する。また、制御部24は、第1通信部231を介して溶接電源装置1に各種信号を送信し、第2通信部232を介して溶接トーチ3に各種信号を送信する。本実施形態においては、制御部24は、駆動部241、送給速度算出部242、および、送給量算出部243を含んでいる。

0034

駆動部241は、送給モータ21の駆動を制御するものであり、溶接トーチ3への溶接ワイヤの送給を制御するものである。駆動部241は、送給モータ21に駆動信号を入力することで、送給モータ21を駆動させる。すなわち、溶接ワイヤの送給を実行させる。本実施形態においては、駆動部241は、第2通信部232から制御部24に入力される溶接実行信号(後述)またはインチング信号(後述)に応じて、送給モータ21を駆動させる。

0035

送給速度算出部242は、実際に送給されている溶接ワイヤの送給速度(以下、「実送給速度」という)を算出する。本実施形態においては、送給速度算出部242は、検出部22が検出した回転速度から、所定の演算式を用いて、溶接ワイヤの実送給速度を算出する。例えば、送給速度算出部242は、所定間隔ごとに実送給速度を算出する。

0036

送給量算出部243は、インチングが開始されてから現時点算出時点)までの、実際に送給された溶接ワイヤの送給量(以下、「インチング積算送給量」という)を算出する。本実施形態においては、送給量算出部243は、送給速度算出部242が算出した所定間隔ごとの実送給速度を、当該所定間隔により時間積分することで、所定間隔ごとに実際に送給された溶接ワイヤの送給量(以下、「実送給量」という)を算出する。そして、算出した実送給量を、記憶部25に記憶されるインチング積算送給量に加算する。これにより、インチング開始時から算出時点までのインチング積算送給量が記憶部25に記憶される。なお、インチング積算送給量の算出方法は、上記したものに限定されない。例えば、送給量算出部243は、インチングの開始以降に送給速度算出部242から入力される所定間隔ごとの実送給速度を記憶部25に記憶する。そして、記憶したインチング開始時から現時点までの実送給速度を時間積分することで、インチング積算送給量を算出してもよい。

0037

記憶部25は、ワイヤ送給装置2の各種制御を行うために必要な情報を記憶する。記憶部25は、制御部24によって、情報の書き込みおよび読み出しが制御される。本実施形態においては、記憶部25には、インチング積算送給量、および、インチング時の目標送給速度(以下、「目標インチング速度」という)が記憶されている。記憶部25に記憶されるインチング積算送給量は、所定の条件を満たした場合に、制御部24によって初期値(例えばゼロ)にされる。所定の条件としては、1回のインチング作業が終了したと判断できる条件が設定される。具体的には、インチングが停止してから所定時間経過したとき、後述する溶接実行信号が入力されたとき、インチング積算送給量のリセットを指示する操作が入力されたとき、あるいは、溶接電源や送給装置電源がオフされたときなどがある。制御部24は、これらの少なくとも1つの条件が満たされたことを判断すると、記憶部25に記憶されるインチング積算送給量を初期値にする。これにより、1回のインチング作業が終了する度に、インチング積算送給量が初期化されるので、次回のインチング時に、インチング積算送給量がゼロから加算される。すなわち、1回のインチング作業毎の溶接ワイヤの積算送給量を算出することができる。

0038

本実施形態では、制御部24において、インチング信号が第2通信部232から入力されると、以下に示す処理が行われる。すなわち、第2通信部232から制御部24にインチング信号が入力されると、駆動部241は、入力されたインチング信号に従い、送給モータ21を駆動させる。送給モータ21が駆動すると、検出部22によって送給モータ21の回転速度が検出される。そして、送給速度算出部242は回転速度から実送給速度を算出し、送給量算出部243は、実送給速度からインチング積算送給量を算出する。算出された実送給速度およびインチング積算送給量は、第2通信部232を介して、制御部24から溶接トーチ3に送信される。

0039

本実施形態においては、駆動部241は、インチング時においては、送給速度算出部242によって算出された所定間隔ごとの実送給速度が目標インチング速度になるように、フィードバック制御を行う。また、駆動部241は、溶接時においては、溶接時に対して設定された目標送給速度になるように、フィードバック制御を行う。なお、駆動部241は、送給量算出部243によって算出された所定間隔ごとの実送給量がインチング時および溶接時毎に設定された目標送給量になるように、フィードバック制御してもよい。

0040

溶接トーチ3は、溶接電源装置1から供給される溶接電力により、被加工物Wの溶接を行う。溶接トーチ3は、電力伝送線5を介して溶接電源装置1から供給される電力により稼働する。なお、溶接トーチ3に備える二次電池蓄積された電力を用いて稼働するようにしてもよい。図3は、溶接トーチ3の一例の外観を示す図である。同図(a)は正面図であり、同図(b)は平面図である。図3に示すように、溶接トーチ3は、トーチボディ301、ハンドル302、制御基板303、ディスプレイ304、トーチスイッチ305、インチングスイッチ306、複数の操作ボタン307、および、トーチケーブル308を備えている。

0041

トーチボディ301は、金属製の筒状部材であり、内部に、溶接ワイヤが挿通されたライナ、パワーケーブル41、ガス配管7が配置されている。トーチボディ301の先端には、ノズル301aが取り付けられている。トーチボディ301は、作業者が被加工物Wに対してノズル301aを向けやすいように、湾曲部分を有している。

0042

ハンドル302は、作業者が把持するための部位であり、トーチボディ301の基端部を保持するように設けられている。作業者は、このハンドル302を把持して、溶接作業を行う。ハンドル302には、ディスプレイ304、トーチスイッチ305、インチングスイッチ306、および、操作ボタン307が配置されている。また、ハンドル302の内部には、制御基板303が配置されている。

0043

ディスプレイ304は、各種表示を行うものである。ディスプレイ304は、図3(a)に示すように、ハンドル302のトーチスイッチ305とは反対側に配置されている。

0044

トーチスイッチ305は、溶接の実行操作と停止操作とを受け付けるための操作手段である。トーチスイッチ305は、ハンドル302に取り付けられており、ハンドル302を把持した作業者が、人差し指押動操作しやすい位置に配置されている。本実施形態においては、トーチスイッチ305は、プッシュスイッチで構成されており、押下されることで、溶接の実行操作を受け付け、押下が解除されることで、溶接の停止操作を受け付ける。したがって、トーチスイッチ305が、押下されると、溶接電力が出力され、かつ、溶接ワイヤが送給される。そして、トーチスイッチ305の押下が解除されると、溶接電力の出力が停止され、かつ、溶接ワイヤの送給が停止される。作業者は、トーチスイッチ305の操作によって溶接を実行する。

0045

インチングスイッチ306は、インチングの実行操作と停止操作とを受け付けるための操作手段である。インチングスイッチ306は、ハンドル302に取り付けられている。本実施形態においては、インチングスイッチ306は、プッシュスイッチで構成されており、押下されることで、インチングの実行操作を受け付け、押下が解除されることで、インチングの停止操作を受け付ける。したがって、インチングスイッチ306が、押下されると、インチングが実行される。そして、インチングスイッチ306の押下が解除されると、インチングが停止される。本実施形態においては、インチングスイッチ306が押下されている間だけインチングが実行される場合を示すが、インチングスイッチ306を一度押下することで、インチングが継続して実行されて、もう一度押下することで、インチングが停止する構成であってもよい。作業者は、インチングスイッチ306の操作によってインチングを実行する。なお、インチングスイッチ306は、プッシュスイッチではなく、トグルスイッチロッカスイッチなど他のスイッチで構成されていてもよい。

0046

操作ボタン307は、画面の切り替えや各種設定値を変更する操作を行うための操作手段である。操作ボタン307は、ハンドル302において、ディスプレイ304と同じ側であって、ハンドル302の把持部分とディスプレイ304との間に配置されている。操作ボタン307は、上ボタン307a、下ボタン307b、左ボタン307c、および、右ボタン307dからなる。左ボタン307cおよび右ボタン307dは、ディスプレイ304に表示される画面を切り換えるための操作手段である。上ボタン307aおよび下ボタン307bは、ディスプレイ304に表示されている設定値を変更するための操作手段である。作業者は、複数の操作ボタン307の操作によって、例えば溶接条件、目標インチング速度の設定、および、インチング積算送給量の目標値の設定などを行う。

0047

各操作ボタン307の押下を検出するセンサは、制御基板303に搭載されている。また、ディスプレイ304は、同じ制御基板303上に配置されている。本実施形態においては、作業者がディスプレイ304の表示画面を見ながら各操作ボタン307の操作を行いやすいように、ディスプレイ304の表示画面が制御基板303に対して所定の角度を有するようになっている。なお、ディスプレイ304は、表示画面が制御基板303と平行になるように配置されていてもよい。

0048

なお、溶接トーチ3の外観は、図3に示したものに限定されない。たとえば、ディスプレイ304、トーチスイッチ305、インチングスイッチ306、および、各操作ボタン307の配置場所や形状は限定されない。また、本実施形態においては、複数の操作ボタン307が互いに独立した4つのボタンである場合を示したが、1つの十字ボタンであってもよい。また、ボタンの数も限定されない。さらに、インチングスイッチ306を設けた場合を示したが、操作ボタン307を操作することで、インチングが実行されるようにしてもよい。

0049

溶接トーチ3は、機能ブロックとして、図2に示すように、通信部31、表示部32、操作部33、記憶部34、および、制御部35を備えている。これら、通信部31、表示部32、操作部33、記憶部34、および、制御部35を構成する回路は、制御基板303に搭載されている。

0050

通信部31は、ワイヤ送給装置2との間で通信を行うためのものである。通信部31は、制御部35から入力される信号をトーチケーブル308内部の信号線82を介して、ワイヤ送給装置2に送信する。また、通信部31は、トーチケーブル308内部の信号線82を介してワイヤ送給装置2から入力される信号を受信して、制御部35に出力する。通信の規格としては、例えばCAN(Controller Area Network)が使用される。本実施形態においては、通信部31は、ワイヤ送給装置2との間で、信号線82を用いた有線通信を行う場合を説明するが、無線通信を行うようにしてもよい。

0051

表示部32は、各種表示を行うものであり、例えば液晶表示装置であるディスプレイ304を含んでいる。表示部32は、制御部35によって制御されている。表示部32(ディスプレイ304)は、記憶部34に記憶されている溶接条件を表示する。また、表示部32(ディスプレイ304)は、インチング中において、溶接ワイヤのインチング積算送給量、溶接ワイヤのインチング積算送給量の目標値、および、現在の溶接ワイヤの送給速度(上記実送給速度)などの表示を行う。

0052

図4は、インチング中に、ディスプレイ304に表示される画面の一例を示している。本実施形態においては、ディスプレイ304には、図4に示すように、インチング中であることを示すアイコン表示S1、現在の溶接ワイヤの送給速度(上記実送給速度)を示す数値表示S2、インチング時のインチング積算送給量の目標値を示す数値表示S3、現在の溶接ワイヤのインチング積算送給量を示す数値表示S4、および、現在の溶接ワイヤのインチング積算送給量とインチング積算送給量の目標値とを示す図形表示S5などが表示される。図4に示す図形表示S5においては、複数の四角形マークが並んでいる。これらの四角形マークは、溶接ワイヤの送給(インチング)が開始される前はすべて白色であり、溶接ワイヤが1m送給される度に、図左から順に黒色になる。図4においては、「6」と「7」との間のブロックまでが黒色となっているので、インチング積算送給量が7mであることを示している。また、図4に示す図形表示S5において、黒色の逆三角形マークがインチング積算送給量の目標値(10m)を示す位置に表示されている。なお、ディスプレイ304に表示される画面は、これに限定されず、少なくとも溶接ワイヤのインチング積算送給量が表示されていればよい。

0053

操作部33は、複数の操作手段を備えており、作業者による各操作手段の操作を操作信号として制御部35に出力するものである。本実施形態においては、操作部33は、操作手段として、トーチスイッチ305、インチングスイッチ306、および、複数の操作ボタン307を含んでいる。よって、操作部33は、トーチスイッチ305の操作に応じた操作信号、インチングスイッチ306の操作に応じた操作信号、および、各操作ボタン307の操作に応じた操作信号を制御部35に出力する。なお、操作部33には、他の操作手段が設けられていてもよい。

0054

記憶部34は、溶接条件などの各設定値を記憶する。また、記憶部34は、目標インチング速度およびインチング積算送給量の目標値を記憶する。インチング積算送給量の目標値は、例えばトーチケーブル308の長さに基づいて予め設定されている。また、インチング積算送給量の目標値は、操作部33(操作ボタン307)の操作によって、設定変更可能であってもよい。

0055

制御部35は、溶接トーチ3の制御を行うものであり、例えばマイクロコンピュータなどによって実現されている。制御部35は、操作部33から入力される各種操作信号に応じて、所定の処理を行う。また、制御部35は、通信部31による通信や、記憶部34の情報の書き込みおよび読み出し、表示部32への表示を制御する。本実施形態においては、制御部35は、溶接指令部351、インチング指令部352、設定部353、情報取得部354、および、画像作成部355を有する。

0056

溶接指令部351は、操作部33から制御部35にトーチスイッチ305の操作に応じた操作信号が入力されると、この操作信号に応じて溶接実行信号を生成する。溶接実行信号は、例えば、トーチスイッチ305が押下され、溶接の実行操作をされているときにオン状態となり、押下が解除され、溶接の停止操作をされているときにオフ状態となる。そして、生成した溶接実行信号を、通信部31を介して、ワイヤ送給装置2および溶接電源装置1に送信する。これにより、溶接指令部351は、ワイヤ送給装置2に送給モータ21を駆動させて溶接ワイヤを送給させ、溶接電源装置1に溶接電力を出力させる。本実施形態においては、溶接実行信号がオン状態であるときに、溶接ワイヤの送給および溶接電力の出力は行われ、溶接実行信号がオフ状態であるときに、溶接ワイヤの送給および溶接電力の出力は行われない。

0057

インチング指令部352は、操作部33から制御部35にインチングスイッチ306の操作に応じた操作信号が入力されると、この操作信号に応じてインチング信号を生成する。インチング信号は、例えば、インチングスイッチ306が押下され、インチングの実行操作をされているときにオン状態となり、押下が解除され、インチングの停止操作をされているときにオフ状態となる。そして、生成したインチング信号を、通信部31を介して、ワイヤ送給装置2に送信する。これにより、インチング指令部352は、ワイヤ送給装置2に送給モータ21を駆動させて溶接ワイヤを送給させる。本実施形態においては、インチング信号がオン状態であるときに、溶接ワイヤの送給は行われ、インチング信号がオフ状態であるときに、溶接ワイヤの送給は行われない。なお、インチング信号は上記したものに限定されない。例えば、インチングの開始と停止とだけを指示する信号であってもよい。この場合、ワイヤ送給装置2は、開始を指示する信号を受信すると、停止を指示する信号を受信するまで、溶接ワイヤの送給を行う。また、インチング指令部352は、インチングスイッチ306が押下されているときだけ、オン状態のインチング信号をワイヤ送給装置2に送信するようにしてもよい。

0058

設定部353は、操作部33から制御部35に各操作ボタン307の操作に応じた操作信号が入力されると、この操作信号に応じて、所定の設定処理を行う。本実施形態においては、所定の設定処理として、溶接条件の設定処理、目標インチング速度の設定処理、および、インチング積算送給量の目標値の設定処理などがある。溶接条件の設定処理としては、設定部353は、溶接条件の設定を変更するための溶接条件設定信号を生成し、これを溶接電源装置1に送信する。そして、溶接電源装置1が、受信した溶接条件設定信号に応じて、溶接条件の設定値を変更する。これにより、溶接条件の設定が行われる。目標インチング速度の設定処理としては、設定部353は、目標インチング速度を設定するためのインチング速度設定信号を生成し、これをワイヤ送給装置2に送信する。そして、ワイヤ送給装置2が、受信したインチング速度設定信号に応じて、記憶部25に記憶される目標インチング速度の設定値を変更する。これにより、目標インチング速度の設定が行われる。なお、インチング速度設定信号は、目標インチング速度の設定値自体を示す信号であっても、設定値を増加または減少させるための信号であってもよい。本実施形態においては、設定部353が、本発明の「設定指令部」に相当する。インチング積算送給量の目標値の設定処理としては、設定部353は、記憶部34に記憶されるインチング積算送給量の目標値を変更する。これにより、インチング積算送給量の目標値の設定が行われる。

0059

情報取得部354は、通信部31を介して、ワイヤ送給装置2から所定の情報を取得する。本実施形態においては、情報取得部354は、インチング中に、実送給速度およびインチング積算送給量を取得する。インチング中であるか否かは、操作部33から制御部35にインチングスイッチ306の操作に応じた操作信号が入力されているか否か、または、インチング指令部352によって生成されたインチング信号がオン状態であるか否かに基づいて、判断することができる。

0060

画像作成部355は、表示部32に表示させる各種画像を作成する。本実施形態においては、情報取得部354が取得した実送給速度およびインチング積算送給量と記憶部34に記憶されるインチング積算送給量の目標値とを用いて、インチング中に表示させる表示画像図4参照)を作成する。画像作成部355は、作成した表示画像を表示部32(ディスプレイ304)に表示させる。

0061

以上のように構成された溶接システムA1において、作業者によるインチングスイッチ306の操作に応じて、インチング指令部352がインチング信号を生成する。そして、インチング信号は、ワイヤ送給装置2に送信される。ワイヤ送給装置2は受信したインチング信号に応じて、送給モータ21を駆動し、溶接ワイヤの送給を開始する。すなわち、インチングが開始される。インチングが開始されると、情報取得部354は、ワイヤ送給装置2から送信される実送給速度およびインチング積算送給量を取得する。そして、画像作成部355は、情報取得部354によって取得された実送給速度およびインチング積算送給量と記憶部34に記憶されるインチング積算送給量の目標値とを用いて、インチング中の表示画像を作成し、これを表示部32(ディスプレイ304)に表示させる。このようにして、インチングが実行される。

0062

次に、溶接システムA1におけるインチング作業の一例について説明する。図5は、作業者がインチングを行った場合の、タイミングチャートである。図5(a)は、インチング信号を示している。図5(b)は、溶接ワイヤの実送給速度を示している。図5(c)は、溶接ワイヤのインチング積算送給量を示している。インチングは、例えば新しいワイヤリール201をワイヤ送給装置2に取り付けた後の溶接準備として行われる。また、インチングは、溶接ワイヤの送給動作の異常の有無を確認する場合や、ワイヤリール201に巻回された溶接ワイヤのうち外周部に位置する溶接ワイヤであって、汚れや錆が付着した溶接ワイヤを破棄する場合にも行われる。なお、インチングの目的は、上記した事由に限定されない。

0063

作業者は、インチングを行うため、時刻t1でインチングスイッチ306を押下して、インチングの実行を指示すると、図5(a)に示すように、インチング信号がオン状態となる。当該インチング信号は、インチング指令部352から通信部31および第2通信部232を介して、ワイヤ送給装置2に送信される。そして、駆動部241は、受信したインチング信号に応じて、送給モータ21を駆動させる。これにより、溶接ワイヤの送給が開始される。

0064

送給モータ21が駆動すると、検出部22が送給モータ21の回転速度を検出し、当該回転速度が送給速度算出部242に出力される。そして、送給速度算出部242が検出部22から入力される回転速度から、溶接ワイヤの実送給速度を算出する。このとき、駆動部241は、実送給速度が予め設定されている目標インチング速度(第1の目標インチング速度V1)となるように制御する。したがって、図5(b)に示すように、溶接ワイヤの実送給速度が時刻t1から徐々に上昇し、時刻t2で第1の目標インチング速度V1となった後、溶接ワイヤの実送給速度が第1の目標インチング速度V1で維持される。また、送給量算出部243は、送給速度算出部242が算出した実送給速度から実送給量を算出する。送給量算出部243は、実送給量を算出する度に、これを制御部24の記憶部25に記憶されるインチング積算送給量に加算する。この結果、図5(c)に示すように、時刻t1からインチング積算送給量が増加する。

0065

溶接トーチ3の制御部35(情報取得部354)は、インチング中に、ワイヤ送給装置2から実送給速度およびインチング積算送給量を取得する。画像作成部355は、情報取得部354が取得した実送給速度およびインチング積算送給量と記憶部34に記憶されるインチング積算送給量の目標値とを用いて、例えば、図4に示す表示画像を作成し、これを表示部32(ディスプレイ304)に表示させる。これにより、作業者は、ディスプレイ304に表示された表示画像(図4参照)により、溶接ワイヤがどれだけ送給されたかを確認できる。

0066

その後、作業者は、ディスプレイ304に表示されるインチング積算送給量を確認し、インチング積算送給量が、例えばインチング積算送給量の目標値L2よりも小さい値L1に達する(時刻t3)と、インチングスイッチ306の押下を解除する。このインチングスイッチ306の押下の解除により、図5(a)に示すように、時刻t3でインチング信号はオフ状態となり、駆動部241は、送給モータ21の駆動を停止させる。このとき、送給モータ21は、回転速度が瞬時に「0」にならず、徐々に低下していき「0」になる。このため、溶接ワイヤの実送給速度は、インチングスイッチ306の押下を解除した時刻t3から徐々に低下していく。そして、時刻t4で実送給速度が「0」となり、溶接ワイヤの送給が停止される。なお、時刻t3から時刻t4までにおいても、溶接ワイヤは送給されているため、図5(c)に示すように、インチング積算送給量は増加している。

0067

続いて、作業者は、溶接トーチ3の操作部33(各種操作ボタン307a〜307d)を用いて、インチング時の送給速度として、先ほど設定されていた第1の目標インチング速度V1より低い目標インチング速度(第2の目標インチング速度V2)を設定する。そして、時刻t5で再びインチングスイッチ306を押下する。これにより、図5(a)に示すように、インチング信号が時刻t5でオン状態となり、駆動部241は送給モータ21を駆動させる。そして、図5(b)に示すように、実送給速度が第2の目標インチング速度V2となるように、溶接ワイヤの送給が制御される。なお、時刻t3から時刻t5までのインチング信号がオフ状態である期間が所定時間以下であるため、すなわち、インチングの停止を指示してから所定時間経過していないため、図5(c)に示すように、インチング積算送給量は初期化されていない。また、駆動部241が送給モータ21を駆動させ、溶接ワイヤの送給が行われるため、図5(c)に示すように、時刻t5からインチング積算送給量が増加する。このとき、実送給速度が遅くなったため、インチング積算送給量の増加度合いは小さくなっている。

0068

作業者は、溶接トーチ3の先端を見ながら、溶接ワイヤの先端が、溶接トーチ3の先端からちょうどよい長さ(例えば10cm程度)突出したことを確認すると(時刻t7)、インチングスイッチ306の押下を解除する。これにより、図5(a)に示すように、インチング信号が時刻t7でオフ状態となり、駆動部241は、送給モータ21の駆動を停止させる。よって、溶接ワイヤの送給が停止される。したがって、作業者は、インチングによって溶接ワイヤが適切な位置まで送給されたときに、インチングを停止させることができる。

0069

なお、上記したインチング作業は一例であって、これに限定されない。例えば、上記一例においては、インチング積算送給量が所定の長さL1になった時点で、一度インチングの実行を停止させたが、停止させずに、第1の目標インチング速度V1のまま、インチング積算送給量の目標値L2まで溶接ワイヤを送給するようにしてもよい。また、インチング積算送給量が、インチング積算送給量の目標値L2から所定値小さい値L1になったとき、あるいは、インチング積算送給量の目標値L2の所定割合(例えば90%)になったときに、自動的に第2の目標インチング速度V2に変化するように構成されていてもよい。

0070

次に、溶接トーチ3の作用効果について説明する。

0071

第1実施形態によると、インチング時の溶接ワイヤの送給量(インチング積算送給量)がディスプレイ304(表示部32)に表示される。したがって、作業者は、ディスプレイ304(表示部32)の表示を見ることで、インチング積算送給量を認識することができる。これにより、作業者は、インチング時の溶接ワイヤの送給状況を確認しながら、インチング作業を行うことができるので、溶接ワイヤが溶接トーチ3の先端から余分に出過ぎてしまうことを抑制できる。

0072

第1実施形態によると、ディスプレイ304(表示部32)およびインチングスイッチ306(操作部33)は、溶接トーチ3に設けられている。したがって、作業者は、手元で溶接ワイヤのインチング積算送給量を確認しながら、インチング作業を行うことができる。さらに、本実施形態においては、溶接トーチ3によって目標インチング速度の設定が可能である。したがって、作業者は、手元で、溶接ワイヤの送給状況を確認しつつ、目標インチング速度の設定を行うことができる。

0073

第1実施形態によると、ディスプレイ304(表示部32)には、溶接ワイヤのインチング積算送給量とともに、インチング積算送給量の目標値が表示される。これにより、作業者は、インチング積算送給量の目標値に対してどれだけ溶接ワイヤを送給したかを把握することができる。また、これらを数値表示だけでなく、図形表示させている(図4のS5参照)。これにより、作業者は、インチング時の溶接ワイヤの送給状況を直感的に把握することができる。

0074

第1実施形態においては、溶接ワイヤのインチング積算送給量をディスプレイ304に表示する場合について示したが、ディスプレイ304への表示だけではなく、例えば、目標の90%の長さのときに溶接トーチ3に設けられたスピーカ(図示略)から音声によって報知してもよいし、振動させてもよい。この場合、作業者はディスプレイ304を常に注視する必要がない。

0075

第1実施形態においては、表示部32(ディスプレイ304)に、送給量算出部243が算出したインチング積算送給量をそのまま表示した場合を示したが、これに限定されない。例えば、図5に示すように、インチング信号がオフ状態になっても、実送給速度は瞬時に「0」にならず、徐々に低下していき「0」になる。そのため、図5において、時刻t3から時刻t4までにおいて、インチングスイッチ306の押下が解除されているにも関わらず、インチング積算送給量が上昇する。よって、作業者は、ディスプレイ304に表示されるインチング積算送給量が所望する値となったときにインチングスイッチ306の押下を解除しても、溶接ワイヤの送給が実際に停止したときには、インチングスイッチ306の押下を解除したときに表示されていたインチング積算送給量より多いインチング積算送給量が表示される。そこで、制御部35は、インチング中の現在の実送給速度において、現在のタイミングでインチングスイッチ306の押下が解除されたときに、実送給速度が「0」になるまでに送給される溶接ワイヤの送給量を、送給モータ21の性能(減速度合い)および実送給速度などに基づいて予測する。そして、この予測した送給量を、送給量算出部243が算出したインチング積算送給量に上乗せ(加算)してディスプレイ304に表示させる。このようにすることで、インチング中であっても、実際に溶接ワイヤの送給が停止するときのインチング積算送給量を表示させることができる。

0076

図6図12は、本発明の他の実施形態を示している。なお、これらの図において、上記第1実施形態と同一または類似の要素には、上記第1実施形態と同一の符号を付している。

0077

次に、第2実施形態に係る溶接システムA2について説明する。本実施形態においては、溶接トーチ3がインチング積算送給量を算出する。図6は、溶接システムA2の機能ブロック図である。同図に示すように、溶接システムA2は、溶接トーチ3の制御部35が送給量算出部356を有している点で、上記第1実施形態(図2参照)と異なる。

0078

送給量算出部356は、上記送給量算出部243と同様に構成される。すなわち、送給量算出部356は、溶接ワイヤの実送給速度からインチング積算送給量を算出する。本実施形態においては、送給量算出部356は、情報取得部354が取得した実送給速度に基づいて、インチング積算送給量を算出する。具体的には、情報取得部354が取得する実送給速度は、所定間隔ごとの実送給速度であるので、送給量算出部356は、所定間隔ごとの実送給速度を当該所定間隔により時間積分することで、所定間隔ごとの実送給量を算出する。本実施形態においては、記憶部34にはインチング積算送給量が記憶されており、送給量算出部356は、算出した実送給量を、記憶部34に記憶されるインチング積算送給量に加算する。これにより、インチング開始時から算出時点までのインチング積算送給量が記憶部34に記憶される。以上のようにして、送給量算出部356は、インチング積算送給量を算出する。

0079

溶接システムA2において、インチング指令部352によって、インチングの実行が指令されると、情報取得部354は、通信部31を介して、ワイヤ送給装置2から送給速度算出部242が算出した実送給速度を取得する。送給量算出部356は、情報取得部354が取得した実送給速度に基づいて、インチング積算送給量を算出する。画像作成部355は、情報取得部354が取得した実送給速度、送給量算出部356が算出したインチング積算送給量、および、記憶部34に記憶されるインチング積算送給量の目標値などが表示された表示画像(図4参照)を作成する。そして、画像作成部355は、作成した表示画像を表示部32(ディスプレイ304)に表示させる。

0080

第2実施形態によると、インチング時の溶接ワイヤの送給量(インチング積算送給量)がディスプレイ304に表示される。したがって、作業者は、ディスプレイ304の表示を見ることで、溶接ワイヤのインチング積算送給量を認識することができる。これにより、作業者は、インチング時の溶接ワイヤの送給状況を確認しながら、インチング作業を行うことができるので、溶接ワイヤが溶接トーチ3の先端から余分に出過ぎてしまうことを抑制できる。つまり、第2実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。

0081

次に、第3実施形態に係る溶接システムA3について説明する。本実施形態においては、溶接トーチ3が溶接ワイヤの実送給速度およびインチング積算送給量を算出する。この点で上記第1実施形態と異なる。図7は、溶接システムA3の機能ブロック図である。同図に示すように、溶接システムA3は、溶接トーチ3の制御部35が送給速度算出部357および送給量算出部356を有している点で、上記第1実施形態(図2参照)と異なる。

0082

送給速度算出部357は、上記送給速度算出部242と同様に構成される。すなわち、送給速度算出部357は、送給モータ21の回転速度から実送給速度を算出する。

0083

本実施形態においては、情報取得部354は、検出部22が検出した送給モータ21の回転速度を取得する。

0084

溶接システムA3において、溶接トーチ3からワイヤ送給装置2にインチング信号が送信され、インチングが実行されると、情報取得部354は、ワイヤ送給装置2から送給モータ21の回転速度を取得する。次に、送給速度算出部357は、情報取得部354が取得した送給モータ21の回転速度から溶接ワイヤの実送給速度を算出する。次に、送給量算出部356は、送給速度算出部357が算出した実送給速度からインチング積算送給量を算出する。次に、画像作成部355は、送給速度算出部357が算出した実送給速度、送給量算出部356が算出したインチング積算送給量、および、記憶部34に記憶されるインチング積算送給量の目標値などが表示された表示画像(図4参照)を作成する。そして、画像作成部355は、作成した表示画像を表示部32(ディスプレイ304)に表示させる。

0085

なお、溶接システムA3において、図7に示すように、ワイヤ送給装置2の制御部24は、送給速度算出部242を有している。これは、駆動部241が溶接ワイヤの実送給速度によるフィードバック制御を行うために設けている。ただし、ワイヤ送給装置2が、溶接トーチ3の送給速度算出部357から実送給速度を取得する場合には、送給速度算出部242がなくてもよい。

0086

第3実施形態によると、インチング時の溶接ワイヤの送給量(インチング積算送給量)がディスプレイ304に表示される。したがって、作業者は、ディスプレイ304の表示を見ることで、溶接ワイヤのインチング積算送給量を認識することができる。これにより、作業者は、インチング時の溶接ワイヤの送給状況を確認しながら、インチング作業を行うことができるので、溶接ワイヤが溶接トーチ3の先端から余分に出過ぎてしまうことを抑制できる。つまり、第3実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。

0087

次に、第4実施形態に係る溶接システムA4について説明する。本実施形態においては、ワイヤ送給装置2にインチング積算送給量を表示させる。この点で上記第1実施形態と異なる。図8は、溶接システムA4の機能ブロック図である。同図に示すように、溶接システムA4は、ワイヤ送給装置2に表示部26および操作部27が設けられている点で上記第1実施形態(図2参照)と異なる。また、図8に示すように、制御部24が、インチング指令部244、設定部245、および、画像作成部246をさらに含んでいる点で上記第1実施形態(図2参照)と異なる。

0088

表示部26は、溶接トーチ3の表示部32と同様に構成されている。表示部26は、各種表示を行うものであり、例えば液晶表示装置であるディスプレイを備えている。表示部26は、制御部24によって制御されている。表示部26は、溶接ワイヤのインチング積算送給量、溶接ワイヤのインチング積算送給量の目標値、実送給速度などの表示を行う(図4参照)。

0089

操作部27は、溶接トーチ3の操作部33と同様に構成されている。操作部27は、複数の操作手段を備えており、作業者による各操作手段の操作を操作信号として制御部24に出力するものである。本実施形態においては、操作部27は、操作手段として、インチングの実行操作および停止操作を受け付けるためのインチングスイッチと、目標インチング速度およびインチング積算送給量の目標値の設定操作を受け付ける操作ボタンと、を少なくとも有する。

0090

インチング指令部244は、インチング指令部352と同様に構成される。インチング指令部244は、操作部27から制御部24に、インチングの実行操作に応じた操作信号が入力されると、インチング信号を生成する。そして、生成したインチング信号を駆動部241に出力する。これにより、駆動部241は、インチング信号に応じて、送給モータ21を駆動させて、インチングを実行する。

0091

設定部245は、設定部353と同様に構成される。設定部245は、操作部27から制御部24に各種設定操作に応じた操作信号が入力されると、この操作信号に応じた所定の設定処理を行う。本実施形態においては、所定の設定処理として、目標インチング速度の設定処理およびインチング積算送給量の目標値の設定処理などがある。目標インチング速度の設定処理としては、設定部245は、記憶部25に記憶される目標インチング速度の設定値を変更する。これにより、目標インチング速度の設定が行われる。インチング積算送給量の目標値の設定処理としては、記憶部25にはインチング積算送給量の目標値が記憶されており、設定部245は、記憶部25に記憶されるインチング積算送給量の目標値を変更する。これにより、インチング積算送給量の目標値の設定が行われる。本実施形態においては、設定部245が本発明の「設定指令部」に相当する。

0092

画像作成部246は、画像作成部355と同様に構成される。画像作成部246は、送給速度算出部242が算出した実送給速度、送給量算出部243が算出したインチング積算送給量、および、記憶部25に記憶されるインチング積算送給量の目標値などが表示された表示画像(図4参照)を作成する。画像作成部246は、作成した表示画像を表示部26に表示させる。

0093

溶接システムA4において、作業者による操作部27の操作(ワイヤ送給装置2に設けられたインチングスイッチの操作)に応じて、インチング指令部244がインチング信号を生成する。そして、駆動部241は、このインチング信号に応じて、送給モータ21を駆動させて、インチングを実行する。インチングが実行されると、検出部22は送給モータ21の回転速度を検出し、これを制御部24に出力する。そして、送給速度算出部242が、入力される回転速度から実送給速度を算出し、送給量算出部243が、インチング積算送給量を算出する。画像作成部246は、送給速度算出部242が算出した実送給速度、送給量算出部243が算出したインチング積算送給量、および、記憶部25に記憶されるインチング積算送給量の目標値が表示された表示画像(図4参照)を作成する。そして、これを表示部26に表示させる。このようにして、インチングが実行される。

0094

第4実施形態によると、インチング時の溶接ワイヤの送給量(インチング積算送給量)がワイヤ送給装置2の表示部26に表示される。したがって、作業者は、表示部26の表示を見ることで、溶接ワイヤのインチング積算送給量を認識することができる。これにより、作業者は、インチング時の溶接ワイヤの送給状況を確認しながら、インチング作業を行うことができるので、溶接ワイヤが溶接トーチ3の先端から余分に出過ぎてしまうことを抑制できる。つまり、第4実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。

0095

第4実施形態においては、インチング指令部244を備えている場合を説明したが、これを備えていなくてもよい。この場合、操作部27から制御部24にインチングの実行操作に応じた操作信号が入力されると、当該操作信号に応じて、駆動部241が送給モータ21を駆動させるようにすればよい。これにより、インチングが行われる。

0096

第4実施形態においては、ワイヤ送給装置2の表示部26にインチング積算送給量が表示されるため、溶接トーチ3に表示部32を備えていなくてもよい。また、第4実施形態においては、ワイヤ送給装置2にインチングスイッチおよび操作ボタンが設けられているため、溶接トーチ3にインチングスイッチ306および操作ボタン307を備えていなくてもよい。

0097

第4実施形態においては、ワイヤ送給装置2は、表示部26および操作部27を有しており、溶接トーチ3は、表示部32および操作部33を有している。そこで、例えば、溶接トーチ3の操作部33を用いてインチングの実行操作および停止操作を行った場合には、溶接トーチ3の表示部32にインチング積算送給量を表示し、ワイヤ送給装置2の操作部27を用いてインチングの実行操作および停止操作を行った場合には、ワイヤ送給装置2の表示部26にインチング積算送給量を表示するようにしてもよい。

0098

次に、第5実施形態に係る溶接システムA5について説明する。本実施形態においては、ワイヤ送給装置2から溶接トーチ3までの溶接ワイヤの送給を中継する中継装置にインチング積算送給量を表示させる。この点で上記第1実施形態と異なる。図9は、溶接システムA5の全体構成を示す概要図である。図10は、溶接システムA5の機能構成を示すブロック図である。

0099

溶接システムA5は、図9に示すように、中継装置9をさらに備えている点で、上記第1実施形態に係る溶接システムA1(図1参照)と異なる。中継装置9は、ワイヤ送給装置2から溶接トーチ3までの溶接ワイヤの誘導経路の途中に配置されている。また、中継装置9は、上記するようにワイヤ送給装置2から溶接トーチ3までの溶接ワイヤの送給を中継する。また、中継装置9は、ワイヤ送給装置2および溶接トーチ3と通信可能である。中継装置9は、例えば、高所での溶接作業、長尺物大型構造物の溶接作業、狭い所での溶接作業など、ワイヤ送給装置2や溶接電源装置1の設置あるいは移動が困難な場合において、利用される中継フィーダである。中継装置9は、中継ケーブル901およびコネクタ902を含む。

0100

中継ケーブル901は、ワイヤ送給装置2に繋がっている。中継ケーブル901は、トーチケーブル308と同様に、ケーブル内部にパワーケーブル41、ガス配管7、ライナ、電力伝送線5および信号線82が配置されている。中継ケーブル901の一端は、トーチケーブル308の一端と同じく凸型のプラグであり、ワイヤ送給装置2のコネクタ202に差し込むことが可能である。中継ケーブル901をワイヤ送給装置2のコネクタ202に差し込むことで、このコネクタ202を介して、ワイヤ送給装置2の内部のパワーケーブル41、ガス配管7、ライナ、電力伝送線5および信号線82が、それぞれ、中継ケーブル901の内部のパワーケーブル41、ガス配管7、ライナ、電力伝送線5および信号線82に接続される。

0101

コネクタ902は、コネクタ202と同じく凹型の接続用端子であり、トーチケーブル308の上記する凸型のトーチプラグを、差し込むことが可能である。溶接トーチ3のトーチケーブル308を中継装置9のコネクタ902に差し込むことで、このコネクタ902を介して、中継装置9の内部のパワーケーブル41、ガス配管7、ライナ、電力伝送線5および信号線82が、それぞれ、トーチケーブル308の内部のパワーケーブル41、ガス配管7、ライナ、電力伝送線5および信号線82に接続される。

0102

なお、中継装置9は、その他、駆動ローラ従動ローラ、および、駆動ローラを回転駆動させるモータなどを有する。中継装置9において、駆動ローラおよび従動ローラの間に溶接ワイヤが挟まれており、駆動ローラの回転駆動により溶接ワイヤが溶接トーチ3へ送り出される。従動ローラは、たとえば駆動ローラ側に所定の付勢力付勢されている。これにより、駆動ローラが回転駆動すると、駆動ローラおよび従動ローラ間に挟まれた溶接ワイヤは送り出される。

0103

本実施形態においては、中継装置9は、図10に示すように、機能ブロックとして、第1通信部911、第2通信部912、表示部92、操作部93、記憶部94、および、制御部95を備えている。

0104

第1通信部911は、中継ケーブル901内部の信号線82を介して、ワイヤ送給装置2との間で通信を行うためのものである。第1通信部911は、制御部95から入力される信号をワイヤ送給装置2に送信し、ワイヤ送給装置2から受信する信号を制御部95に出力する。本実施形態においては、第1通信部911は、ワイヤ送給装置2との間で、信号線82を用いた有線通信を行う場合を説明するが、無線通信を行うようにしてもよい。

0105

第2通信部912は、トーチケーブル308内部の信号線82を介して、溶接トーチ3との間で通信を行うためのものである。第2通信部912は、制御部95から入力される信号を溶接トーチ3に送信し、溶接トーチ3から受信する信号を制御部95に出力する。本実施形態においては、第2通信部912は、溶接トーチ3との間で、信号線82を用いた有線通信を行う場合を説明するが、無線通信を行うようにしてもよい。

0106

表示部92は、溶接トーチ3の表示部32と同様に構成されている。表示部92は、各種表示を行うものであり、例えば液晶表示装置であるディスプレイを備えている。表示部92は、制御部95によって制御されている。

0107

操作部93は、溶接トーチ3の操作部33と同様に構成されている。操作部93は、複数の操作手段を備えており、作業者による各操作手段の操作を操作信号として制御部95に出力する。本実施形態においては、操作部93は、操作手段として、インチングの実行操作および停止操作を受け付けるためのインチングスイッチと、目標インチング速度およびインチング積算送給量の目標値の設定操作を受け付ける操作ボタンとを少なくとも有する。

0108

記憶部94は、中継装置9の各種制御を行うために必要な情報を記憶する。記憶部94は、制御部95によって、情報の書き込みおよび読み出しが制御される。本実施形態においては、記憶部94には、インチング積算送給量の目標値が記憶されている。

0109

制御部95は、中継装置9の各種制御を行う。制御部95は、例えばマイクロコンピュータなどによって実現されている。制御部95は、操作部93から入力される操作信号に応じて、所定の処理を行う。また、制御部95は、第1通信部911および第2通信部912による通信や表示部92への表示を制御する。制御部95は、図10に示すように、インチング指令部952、設定部953、情報取得部954、および、画像作成部955を有する。

0110

インチング指令部952は、インチング指令部352と同様に構成される。インチング指令部952は、操作部93から制御部95にインチングの実行操作に応じた操作信号が入力されると、インチング信号を生成する。そして、生成したインチング信号を、第1通信部911を介して、ワイヤ送給装置2に送信する。これにより、ワイヤ送給装置2は、受信したインチング信号に応じて溶接ワイヤを送給する。

0111

設定部953は、設定部353と同様に構成される。設定部953は、操作部93から制御部95に各種設定操作に応じた操作信号が入力されると、この操作信号に応じた所定の設定処理を行う。本実施形態においては、所定の設定処理として、目標インチング速度の設定処理およびインチング積算送給量の目標値の設定処理などがある。目標インチング速度の設定処理としては、設定部953は、目標インチング速度を設定するためのインチング速度設定信号を生成し、これをワイヤ送給装置2に送信する。そして、ワイヤ送給装置2が、受信したインチング速度設定信号に応じて、記憶部25に記憶される目標インチング速度の設定値を変更する。これにより、目標インチング速度の設定が行われる。インチング積算送給量の目標値の設定処理としては、設定部953は、記憶部94に記憶されるインチング積算送給量の目標値を変更する。これにより、インチング積算送給量の目標値の設定が行われる。本実施形態においては、設定部953が本発明の「設定指令部」に相当する。

0112

画像作成部955は、情報取得部954が取得した実送給速度およびインチング積算送給量と、記憶部94に記憶されるインチング積算送給量の目標値とが表示された表示画像(図4参照)を表示部92に表示させる。

0113

溶接システムA5において、作業者による操作部93の操作(中継装置9に設けられたインチングスイッチの操作)に応じて、インチング指令部952がインチング信号を生成する。そして、インチング信号は、ワイヤ送給装置2に送信される。これにより、インチングが行われる。インチングが行われると、中継装置9は、情報取得部954によってワイヤ送給装置2から実送給速度およびインチング積算送給量を取得する。そして、画像作成部955によって情報取得部954が取得した実送給速度およびインチング積算送給量と記憶部94に記憶されるインチング積算送給量の目標値とが表示された表示画像(図4参照)を作成し、これを表示部92に表示させる。

0114

第5実施形態によると、インチング時の溶接ワイヤの送給量(インチング積算送給量)が中継装置9の表示部92に表示される。したがって、作業者は、表示部92の表示を見ることで、溶接ワイヤのインチング積算送給量を認識することができる。これにより、作業者は、インチング時の溶接ワイヤの送給状況を確認しながら、インチング作業を行うことができるので、溶接ワイヤが溶接トーチ3の先端から余分に出過ぎてしまうことを抑制できる。つまり、第5実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。

0115

第5実施形態においては、中継装置9は、情報取得部954によってワイヤ送給装置2からインチング積算送給量を取得する場合を示したが、これに限定されない。例えば、中継装置9の制御部95が、ワイヤ送給装置2より取得した実送給速度からインチング積算送給量を算出するようにしてもよい。あるいは、中継装置9の制御部95が、ワイヤ送給装置2から回転速度を取得し、取得した回転速度から実送給速度およびインチング積算送給量を算出するようにしてもよい。また、上記第2および第3実施形態のように溶接トーチ3にインチング積算送給量を算出させ、中継装置9の制御部95が、溶接トーチ3からインチング積算送給量を取得するようにしてもよい。

0116

第5実施形態においては、中継装置9の表示部92にインチング積算送給量が表示されるため、溶接トーチ3に表示部32を備えていなくてもよい。また、第5実施形態においては、中継装置9にインチングスイッチおよび操作ボタンが設けられているため、溶接トーチ3にインチングスイッチ306および操作ボタン307を備えていなくてもよい。

0117

第5実施形態においては、中継装置9は、表示部92および操作部93を有しており、溶接トーチ3は、表示部32および操作部33を有している。そこで、例えば、溶接トーチ3の操作部33を用いてインチングの実行操作および停止操作を行った場合には、溶接トーチ3の表示部32にインチング積算送給量を表示し、中継装置9の操作部93を用いてインチングの実行操作および停止操作を行った場合には、中継装置9の表示部92にインチング積算送給量を表示するようにしてもよい。

0118

次に、第6実施形態に係る溶接システムA6について説明する。本実施形態においては、ワイヤ送給装置2の制御部24の機能が、ワイヤ送給装置2の代わりに溶接電源装置1に備わっている。この点で上記第1実施形態と異なる。図11は、溶接システムA6の機能ブロック図である。同図に示すように、溶接システムA6は、上記第1実施形態に示す溶接システムA1(図2参照)と比べて、次の点で異なる。それは、溶接電源装置1は、通信部11、制御部12、および、記憶部13を備えており、ワイヤ送給装置2は、第1通信部231、第2通信部232、制御部24、および、記憶部25を備えていない。

0119

通信部11は、ワイヤ送給装置2を通るように設けられた信号線82を介して、溶接トーチ3の通信部31と通信を行う。よって、本実施形態における信号線82は、溶接トーチ3とワイヤ送給装置2との間だけでなく、ワイヤ送給装置2と溶接電源装置1との間にも接続されている。

0120

制御部12は、溶接電源装置1の制御を行うものである。制御部12は、例えばマイクロコンピュータなどによって実現される。制御部12は、駆動部121、送給速度算出部122、および、送給量算出部123を含んでいる。

0121

駆動部121は、上記駆動部241と同様に構成される。すなわち、駆動部121は、送給モータ21の駆動を制御する。本実施形態においては、図11に示すように、溶接電源装置1の制御部12とワイヤ送給装置2の送給モータ21とは専用の信号線83で接続されており、駆動部121は、当該信号線83を介して、送給モータ21に駆動信号を入力する。本実施形態においては、溶接トーチ3のインチング指令部352が生成したインチング信号は、溶接トーチ3から溶接電源装置1に送信されるように構成されている。よって、インチング指令部352は、生成したインチング信号を、通信部31を介して溶接電源装置1に送信する。駆動部121は、溶接トーチ3の通信部31から信号線82を介して通信部11に入力されるインチング信号に応じて、送給モータ21を駆動させる。

0122

送給速度算出部122は、上記送給速度算出部242と同様に構成される。すなわち、送給速度算出部122は、送給モータ21の回転速度から実送給速度を算出する。本実施形態においては、図11に示すように、溶接電源装置1の制御部12とワイヤ送給装置2の検出部22とは専用の信号線84で接続されており、送給速度算出部122は、当該信号線84を介して、検出部22から送給モータ21の回転速度が入力される。

0123

送給量算出部123は、上記送給量算出部243と同様に構成される。すなわち、送給量算出部123は、溶接ワイヤの実送給速度からインチング積算送給量を算出する。本実施形態においては、送給量算出部123は、送給速度算出部122が算出した実送給速度に基づいて、インチング積算送給量を算出する。

0124

記憶部13は、インチング積算送給量および目標インチング速度を記憶している。記憶部13は、制御部12によって、情報の書き込みおよび読み出しが制御される。

0125

本実施形態では、制御部12において、インチング信号が通信部11から入力されると、以下に示す処理が行われる。すなわち、通信部11から制御部12にインチング信号が入力されると、駆動部121は、入力されたインチング信号に従い、信号線83を介して、駆動信号を送給モータ21に入力する。これにより、送給モータ21が駆動する。送給モータ21が駆動すると、検出部22によって送給モータ21の回転速度が検出される。この回転速度は、信号線84を介して、制御部12に入力されるので、送給速度算出部122は回転速度から実送給速度を算出し、送給量算出部123は実送給速度からインチング積算送給量を算出する。算出された実送給速度およびインチング積算送給量は、通信部11を介して、制御部12から溶接トーチ3に送信される。

0126

以上のように構成された溶接システムA6において、作業者によるインチングスイッチ306の操作に応じて、インチング指令部352がインチング信号を生成する。そして、インチング信号は、溶接トーチ3の通信部31から、信号線82を介して、溶接電源装置1の通信部11に送信される。溶接電源装置1の制御部12は、通信部11が受信したインチング信号に応じて、駆動部121によって、送給モータ21を駆動し、溶接ワイヤの送給を開始する。すなわち、インチングが開始される。インチングが開始されると、情報取得部354は、溶接電源装置1から送信される実送給速度およびインチング積算送給量を取得する。そして、画像作成部355は、情報取得部354によって取得された実送給速度およびインチング積算送給量と記憶部34に記憶されるインチング積算送給量の目標値とを用いて、インチング中の表示画像を作成し、これを表示部32(ディスプレイ304)に表示させる。このようにして、インチングが実行される。

0127

第6実施形態によると、インチング時の溶接ワイヤの送給量(インチング積算送給量)がディスプレイ304に表示される。したがって、作業者は、ディスプレイ304の表示を見ることで、溶接ワイヤのインチング積算送給量を認識することができる。これにより、作業者は、インチング時の溶接ワイヤの送給状況を確認しながら、インチング作業を行うことができるので、溶接ワイヤが溶接トーチ3の先端から余分に出過ぎてしまうことを抑制できる。つまり、第6実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。

0128

第6実施形態によると、ワイヤ送給装置2は、送給モータ21を制御するための回路構成(制御部24)を備えていない。これにより、ワイヤ送給装置2の軽量化が図れる。また、ワイヤ送給装置2は、送給モータ21による溶接ワイヤの送給時に、振動や粉塵が発生する。この振動や粉塵は、マイクロコンピュータなどの故障の原因になりうる。しかしながら、ワイヤ送給装置2にマイクロコンピュータなどによって構成される制御部24を備えていないため、送給モータ21を制御するための回路構成の故障を抑制することができる。

0129

次に、第7実施形態に係る溶接システムA7について説明する。本実施形態においては、溶接電源装置1とワイヤ送給装置2との間の通信において、信号線83,84を用いず、信号線81を用いている。この点で上記第6実施形態と異なる。図12は、溶接システムA7の機能ブロック図である。同図に示すように、溶接システムA7は、上記第6実施形態に示す溶接システムA6(図11参照)と比べて、次の点で異なる。それは、溶接システムA7は、上記するように、信号線83,84を備えておらず、溶接電源装置1とワイヤ送給装置2とを繋ぐ信号線81を有している。また、ワイヤ送給装置2は通信部230および制御部24を備えている。さらに、溶接電源装置1の制御部12は駆動部121を備えておらず、ワイヤ送給装置2の制御部24は駆動部241を備えている。

0130

通信部230は、信号線81を介して、溶接電源装置1との間で通信を行うとともに、信号線82を介して、溶接トーチ3との間で通信を行うものである。通信部230が行う、溶接電源装置1との間の通信においては、上記第1通信部231と同様に行われる。また、通信部230が行う、溶接トーチ3との間の通信においては、上記第2通信部232と同様に行われる。また、通信部230は、溶接電源装置1と溶接トーチ3との間の通信を中継する。なお、溶接電源装置1と溶接トーチ3との間で専用の通信線を備えていてもよい。通信部230は、制御部24によって制御されている。なお、通信部230の代わりに、上記第1実施形態と同様に、第1通信部231および第2通信部232を備えていてもよい。

0131

制御部24は、本実施形態においては、上記するように駆動部241を備えている。制御部24は、溶接電源装置1から通信部230を介してインチング信号が入力されると、駆動部241によりインチング信号に応じた駆動信号を生成して、送給モータ21に出力する。また、制御部24は、検出部22から入力される送給モータ21の回転速度を通信部230に出力して、溶接電源装置1に送信する。

0132

本実施形態では、制御部12において、インチング信号が通信部11から入力されると、以下に示す処理が行われる。すなわち、通信部11から制御部12にインチング信号が入力されると、制御部12は、当該インチング信号を、通信部11を介してワイヤ送給装置2に送信する。ワイヤ送給装置2は、インチング信号を受信すると、受信したインチング信号に応じて、送給モータ21を駆動させる。具体的には、ワイヤ送給装置2において、通信部230から制御部24にインチング信号が入力されると、制御部24の駆動部241は、入力されたインチング信号に従い、駆動信号を生成する。そして、生成した駆動信号を送給モータ21に入力することで、送給モータ21を駆動させる。送給モータ21が駆動すると、検出部22によって送給モータ21の回転速度が検出される。この回転速度は制御部24によって通信部230に出力され、信号線81を介して、制御部12に入力される。そして、送給速度算出部122は回転速度から実送給速度を算出し、送給量算出部123は実送給速度からインチング積算送給量を算出する。算出された実送給速度およびインチング積算送給量は、通信部11を介して、制御部12から溶接トーチ3に送信される。

0133

以上のように構成された溶接システムA7において、作業者によるインチングスイッチ306の操作に応じて、インチング指令部352がインチング信号を生成する。そして、インチング信号は、溶接トーチ3の通信部31から、信号線82,81を介して、溶接電源装置1の通信部11に送信される。また、溶接電源装置1の制御部12は、通信部11が受信したインチング信号を、通信部11,230を介して、ワイヤ送給装置2に送信する。そして、ワイヤ送給装置2の制御部24は、受信したインチング信号に応じて、駆動部241によって、駆動信号を生成し、生成した駆動信号を送給モータ21に出力する。これにより、送給モータ21が駆動し、溶接ワイヤの送給が開始される。すなわち、インチングが開始される。インチングが開始されると、検出部22によって検出された送給モータ21の回転速度が、ワイヤ送給装置2から通信部230,11を介して、溶接電源装置1に送信される。そして、溶接電源装置1において、実送給速度およびインチング積算送給量が算出される。溶接トーチ3の情報取得部354は、溶接電源装置1から実送給速度およびインチング積算送給量を取得する。そして、画像作成部355は、情報取得部354によって取得された実送給速度およびインチング積算送給量と記憶部34に記憶されるインチング積算送給量の目標値とを用いて、インチング中の表示画像を作成し、これを表示部32(ディスプレイ304)に表示させる。このようにして、インチングが実行される。

0134

第7実施形態によると、インチング時の溶接ワイヤの送給量(インチング積算送給量)がディスプレイ304に表示される。したがって、作業者は、ディスプレイ304の表示を見ることで、溶接ワイヤのインチング積算送給量を認識することができる。これにより、作業者は、インチング時の溶接ワイヤの送給状況を確認しながら、インチング作業を行うことができるので、溶接ワイヤが溶接トーチ3の先端から余分に出過ぎてしまうことを抑制できる。つまり、第7実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。

0135

第7実施形態においては、インチング信号が溶接トーチ3から溶接電源装置1に送信され、その後、溶接電源装置1からワイヤ送給装置2に送信される場合を示したが、これに限定されない。たとえば、インチング信号が溶接トーチ3から溶接電源装置1を介さずワイヤ送給装置2に直接送信されるように構成してもよい。

0136

第7実施形態においては、制御部12と検出部22との間の通信を、信号線81を介して行う場合を示したが、これに限定されない。たとえば、制御部12と検出部22との間の通信を専用の信号線を用いるように構成してもよい。この場合、上記第6実施形態のように、制御部12と検出部22とを接続する信号線84を備えておく。そして、検出部22から信号線84を介して制御部12に回転速度が入力されるように構成しておく。

0137

第7実施形態においては、ワイヤ送給装置2の制御部24に駆動部241を備える場合を説明したが、これに限定されない。たとえば、駆動部241の代わりに、溶接電源装置1の制御部12に駆動部121を備えるように構成してもよい。この場合、上記第6実施形態のように、制御部12と送給モータ21とを接続する信号線83を備えておく。そして、駆動部121から信号線83を介して送給モータ21に駆動信号が入力されるように構成しておく。

0138

第7実施形態においては、制御部24に、駆動部241のみを備えている場合を示したが、さらに、送給速度算出部242、送給量算出部243の少なくともいずれか1つが備えられていてもよい。すなわち、溶接電源装置1の代わりにワイヤ送給装置2が、実送給速度の算出、インチング積算送給量の算出のうちの少なくともいずれか1つを行うように構成してもよい。また、溶接電源装置1の制御部12に送給速度算出部122を備え、かつ、ワイヤ送給装置2の制御部24に送給速度算出部242を備えていてもよい。

0139

第6および第7実施形態においては、溶接電源装置1において、実送給速度の算出およびインチング積算送給量の算出が行われる場合を示したが、これに限定されず、上記第2実施形態と同様に、インチング積算送給量の算出を、溶接トーチ3が行うように構成してもよい。また、上記第3実施形態と同様に、実送給速度の算出およびインチング積算送給量の算出の両方を溶接トーチ3が行うように構成してもよい。

0140

第6および第7実施形態においては、溶接トーチ3の表示部32(ディスプレイ304)にインチング積算送給量を表示させる場合を示したが、これに限られない。例えば、上記第4実施形態と同様に、ワイヤ送給装置2の表示部26にインチング積算送給量を表示させるようにしてもよい。また、上記第5実施形態と同様に、中継装置9の表示部92にインチング積算送給量を表示させるようにしてもよい。

0141

第1ないし第7実施形態においては、検出部22が送給モータ21の回転速度を検出し、そして、送給速度算出部242(357,122)が回転速度から実送給速度を算出する場合を示したが、これに限定されない。例えば、検出部22が送給モータ21の回転に応じた信号を生成し、送給速度算出部242(357,122)がこの信号から実送給速度を算出してもよい。具体的には、検出部22がロータリーエンコーダで構成されている場合、検出部22は、送給モータ21の回転に応じたエンコーダパルスを生成する。そして、送給速度算出部242(357,122)がエンコーダパルスから所定間隔ごとに実送給速度を算出してもよい。あるいは、検出部22が送給モータ21の回転量を検出し、送給速度算出部242(357,122)が回転量から実送給速度を算出してもよい。

0142

第1ないし第7実施形態においては、送給量算出部243(356,123)が、送給速度算出部242(357,123)が算出した実送給速度からインチング積算送給量を算出する場合を示したが、これに限定されない。例えば、検出部22が検出した回転速度からインチング積算送給量を算出してもよい。また、上記のように、検出部22が回転速度ではなくエンコーダパルス(あるいは回転量の情報)を生成する場合には、送給量算出部243(356,123)は、エンコーダパルス(あるいは回転量の情報)からインチング積算送給量を算出してもよい。

0143

本発明に係る表示装置、表示装置を備える溶接トーチ、表示装置を備えるワイヤ送給装置、および、表示装置を備える中継装置は、上記した実施形態に限定されるものではない。本発明の表示装置、表示装置を備える溶接トーチ、表示装置を備えるワイヤ送給装置、および、表示装置を備える中継装置の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。

0144

A1〜A7:溶接システム
1 :溶接電源装置
11 :通信部
12 :制御部
121 :駆動部
122 :送給速度算出部
123 :送給量算出部
13 :記憶部
2 :ワイヤ送給装置
201 :ワイヤリール
202 :コネクタ
21 :送給モータ
22 :検出部
230 :通信部
231 :第1通信部
232 :第2通信部
24 :制御部
241 :駆動部
242 :送給速度算出部
243 :送給量算出部
244 :インチング指令部
245 :設定部
246 :画像作成部
25 :記憶部
26 :表示部
27 :操作部
3 :溶接トーチ
301 :トーチボディ
301a :ノズル
302 :ハンドル
303 :制御基板
304 :ディスプレイ
305 :トーチスイッチ
306 :インチングスイッチ
307 :操作ボタン
307a :上ボタン
307b :下ボタン
307c :左ボタン
307d :右ボタン
308 :トーチケーブル
31 :通信部
32 :表示部
33 :操作部
34 :記憶部
35 :制御部
351 :溶接指令部
352 :インチング指令部
353 :設定部
354 :情報取得部
355 :画像作成部
356 :送給量算出部
357 :送給速度算出部
41,42:パワーケーブル
5 :電力伝送線
6 :ガスボンベ
7 :ガス配管
81,82,83,84:信号線
9 :中継装置
901 :中継ケーブル
902 :コネクタ
911 :第1通信部
912 :第2通信部
92 :表示部
93 :操作部
94 :記憶部
95 :制御部
952 :インチング指令部
953 :設定部
954 :情報取得部
955 :画像作成部
P :電力系統
W :被加工物

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