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技術 FcRnアンタゴニスト及び使用方法

出願人 アルゲン−エックスビーブイビーエーザボードオブレゲンツオブザユニバーシティオブテキサスシステム
発明者 ペテルウルリクフトスクリストプヘブランチェトトトルステンドレイエルジョハンネスデハアルドイー.サリーワードオベルニコラスジー.エイチ.オンゲナエ
出願日 2019年1月10日 (7ヶ月経過) 出願番号 2019-002272
公開日 2019年5月23日 (3ヶ月経過) 公開番号 2019-076103
状態 未査定
技術分野 突然変異または遺伝子工学 微生物による化合物の製造 微生物、その培養処理 医薬品製剤 蛋白脂質酵素含有:その他の医薬 抗原、抗体含有医薬:生体内診断剤 化合物または医薬の治療活性 ペプチド又は蛋白質
主要キーワード 造影成分 抗体薬物複合体 温度ストレス 落葉状 スキム 生物反応器 再利用経路 クレスト
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (11)

課題

改変Fc領域と比較して、増大された親和性及び低下されたpH依存性を有する、FcRnと特異的に結合するバリアントFc領域を含む新規FcRnアンタゴニスト、それを含む組成物および抗体介在性障害(例えば、自己免疫性疾患)を治療する方法の提供。

解決手段

バリアントFc領域、又はそのFcRn結合断片を含む単離FcRnアンタゴニストであって、該バリアントFc領域のFcドメインアミノ酸配列が特定の3つのアミノ酸配列からなり、かつ該FcRnアンタゴニストが抗体可変領域又はCH1ドメインを含まない、前記単離FcRnアンタゴニスト、該FcRnアンタゴニストを含む医薬組成物、前記組成物を用いて抗体介在性障害(例えば、自己免疫性疾患)を治療する方法。

概要

背景

背景
免疫グロブリンγ(IgG)抗体は、自己免疫性疾患炎症性疾患、及びその病理がIgG抗
体の過剰発現を特徴とする障害(例えば、高γグロブリン血症)のような、多くの障害の
病理において重要な役割を果たす(例えば、Junghansの文献、Immunologic Research 16
(1):29 (1997)を参照されたい)。

血清中のIgGの半減期は他の血漿タンパク質血清半減期と比較して長期に及ぶ(Roope
nianらの文献、J. Immunology 170:3528 (2003);Junghans及びAndersonの文献、Proc. N
atl. Acad. Sci. USA 93:5512 (1996))。この長い半減期は、部分的には、IgGのFc領域
Fc受容体であるFcRnと結合することに起因する。FcRnは最初は新生児において母から受
け継いだIgGを輸送する受容体として特徴づけられたが、FcRnは成体において該IgGを分解
から保護するようにも機能する。FcRnは飲作用により取り込まれたIgGと結合し、該IgGを
細胞外区画へと戻すように再循環させることにより、分解を担うリソソームへの輸送から
該IgGを保護する。この再循環は、IgGのFcRnへのpH依存的な結合により促進される。ここ
で、IgG/FcRn相互作用は、酸性エンドソーム内のpHにおいて、細胞外の生理学的pHにお
けるよりも強くなる。

IgGの血清濃度利用可能なFcRn分子を上回るレベルに達すると、結合していないIgGは
分解機構から保護されなくなり、その結果低下した血清半減期を有することとなる。その
ため、FcRnへのIgGの結合を阻害すると、IgGのエンドソームによるIgG再循環が妨げられ
ることにより、IgGの血清半減期が低下する。従って、FcRnへのIgGの結合と拮抗する薬剤
は、自己免疫性疾患、炎症性疾患などのような抗体介在性障害を制御し、治療し、又は予
防するのに有用となり得る。IgG FcのFcRnへの結合と拮抗させる方法の一例は、FcRnに対
する阻止抗体の作製を伴う(例えば、WO2002/43658を参照されたい)。また、FcRnの機能
と結合し、該FcRnの機能と拮抗するペプチドも同定されている(例えば、US6,212,022及
びUS8,101,186を参照されたい)。さらにまた、FcRnとの結合が強化され、pH依存性が低
下したバリアントFc受容体を含む全長IgG抗体もIgGに対するFcRnの結合と拮抗することが
特定されている(例えば、8,163,881を参照されたい)。しかしながら、抗体介在性障害
の治療に使用するための、IgGに結合するFcRnと拮抗する改善された薬剤が、当技術分野
において求められている。

概要

改変のFc領域と比較して、増大された親和性及び低下されたpH依存性を有する、FcRnと特異的に結合するバリアントFc領域を含む新規FcRnアンタゴニスト、それを含む組成物および抗体介在性障害(例えば、自己免疫性疾患)を治療する方法の提供。バリアントFc領域、又はそのFcRn結合断片を含む単離FcRnアンタゴニストであって、該バリアントFc領域のFcドメインアミノ酸配列が特定の3つのアミノ酸配列からなり、かつ該FcRnアンタゴニストが抗体可変領域又はCH1ドメインを含まない、前記単離FcRnアンタゴニスト、該FcRnアンタゴニストを含む医薬組成物、前記組成物を用いて抗体介在性障害(例えば、自己免疫性疾患)を治療する方法。

目的

概要
本件開示は、新規FcRnアンタゴニスト組成物を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

バリアントFc領域、又はそのFcRn結合断片を含む単離FcRnアンタゴニストであって、該バリアントFc領域のFcドメインアミノ酸配列が配列番号:1、2、又は3に記載されるアミノ酸配列からなり、かつ該FcRnアンタゴニストが抗体可変領域又はCH1ドメインを含まない、前記単離FcRnアンタゴニスト。

請求項2

野生型IgG1Fc領域のFcγ受容体に対する親和性と比較して、前記バリアントFc領域が該Fcγ受容体に対する増大された親和性を有する、請求項1記載のFcRnアンタゴニスト。

請求項3

バリアントFc領域、又はそのFcRn結合断片を含む単離FcRnアンタゴニストであって、該Fc領域のFcドメインがそれぞれEU位置252、254、256、433、434、及び436にアミノ酸Y、T、E、K、F、及びYを含み、かつ野生型IgG1 Fc領域のFcγ受容体に対する親和性と比較して、該Fc領域が該Fcγ受容体に対する増大された親和性を有する、前記単離FcRnアンタゴニスト。

請求項4

前記Fc領域がIgGFc領域である、請求項3記載のFcRnアンタゴニスト。

請求項5

前記Fc領域がIgG1 Fc領域である、請求項3記載のFcRnアンタゴニスト。

請求項6

前記Fc領域がキメラFc領域である、請求項3記載のFcRnアンタゴニスト。

請求項7

前記バリアントFc領域のFcドメインのアミノ酸配列が、配列番号:1、2、又は3に記載されるアミノ酸配列を含む、請求項3記載のFcRnアンタゴニスト。

請求項8

前記バリアントFc領域のFcドメインのアミノ酸配列が、配列番号:1、2、又は3に記載されるアミノ酸配列からなる、請求項3記載のFcRnアンタゴニスト。

請求項9

バリアントFc領域からなり、該バリアントFc領域のFcドメインのアミノ酸配列が配列番号:1、2、又は3に記載されるアミノ酸配列からなる、請求項3記載のFcRnアンタゴニスト。

請求項10

抗体可変領域又はCH1ドメインを含まない、請求項2〜9のいずれか1項記載のFcRnアンタゴニスト。

請求項11

遊離システイン残基を含まない、請求項1〜10のいずれか1項記載のFcRnアンタゴニスト。

請求項12

前記バリアントFc領域が、CD16aに対する増大された親和性を有する、請求項1〜11のいずれか1項記載のFcRnアンタゴニスト。

請求項13

前記バリアントFc領域のFcドメインが、EU位置297にN-結合型グリカンを含まない、請求項1〜12のいずれか1項記載のFcRnアンタゴニスト。

請求項14

前記バリアントFc領域のFcドメインが、EU位置297にアフコシル化N-結合型グリカンを有するFcドメインを含む、請求項1〜12のいずれか1項記載のFcRnアンタゴニスト。

請求項15

前記バリアントFc領域のFcドメインが、該FcドメインのEU位置297にバイクティングGlcNacを有するN-結合型グリカンを含む、請求項1〜12のいずれか1項記載のFcRnアンタゴニスト。

請求項16

前記バリアントFc領域が、半減期エクステンダーに連結されている、請求項1〜15のいずれか1項記載のFcRnアンタゴニスト。

請求項17

前記半減期エクステンダーがポリエチレングリコール又はヒト血清アルブミンである、請求項16記載のFcRnアンタゴニスト。

請求項18

請求項14記載の複数のFcRnアンタゴニスト分子を含むFcRnアンタゴニスト組成物であって、該分子の少なくとも50%(任意に、少なくとも60、70、80、90、95、又は99%)がバリアントFc領域又はそのFcRn結合断片を含み、アフコシル化N-結合型グリカンを含む、前記FcRnアンタゴニスト組成物。

請求項19

請求項15記載の複数のFcRnアンタゴニスト分子を含むFcRnアンタゴニスト組成物であって、該分子の少なくとも50%(任意に、少なくとも60、70、80、90、95、又は99%)がバリアントFc領域又はそのFcRn結合断片を含み、バイセクティングGlcNacを有するN-結合型グリカンを含む、前記FcRnアンタゴニスト組成物。

請求項20

請求項1〜19のいずれか1項記載のFcRnアンタゴニスト又はFcRnアンタゴニスト組成物、及び医薬として許容し得る担体又は賦形剤を含む、医薬組成物

請求項21

対象に有効量の請求項20記載の医薬組成物を投与することを含む、該対象においてFcRnの機能を阻害する方法。

請求項22

Fc含有薬を投与された対象において該Fc含有薬の血清レベルを低下させる方法であって、対象に有効量の請求項20記載の医薬組成物を同時に又は逐次的に投与することを含む、前記方法。

請求項23

前記Fc含有薬が抗体又はイムノアドヘシンである、請求項22記載の方法。

請求項24

前記Fc含有薬が治療薬又は診断薬である、請求項22記載の方法。

請求項25

前記Fc含有薬が造影剤である、請求項22記載の方法。

請求項26

前記Fc含有薬が抗体薬物複合体である、請求項22記載の方法。

請求項27

対象に有効量の請求項20記載の医薬組成物を投与することを含む、該対象における抗体介在性障害治療する方法。

請求項28

前記抗体介在性障害が自己免疫性疾患である、請求項27記載の方法。

請求項29

前記自己免疫性疾患が同種膵島移植片拒絶反応円形脱毛症強直性脊椎炎抗リン脂質症候群自己免疫性アジソン病アルツハイマー病抗好中球細胞質自己抗体(ANCA)、副腎の自己免疫性疾患、自己免疫性溶血性貧血自己免疫性肝炎、自己免疫性心筋炎自己免疫性好中球減少症、自己免疫性卵巣炎及び精巣炎、自己免疫性血小板減少症、自己免疫性蕁麻疹ベーチェット病水疱性類天疱瘡心筋症キャッスルマン症候群、セリアックスプルー皮膚炎慢性疲労免疫機能不全症候群、慢性炎症脱髄性多発ニューロパチー(CIDP)、チャーグ・ストラウス症候群、瘢痕性類天疱瘡クレスト症候群寒冷凝集素病、クローン病皮膚筋炎拡張型心筋症円盤ループス後天性表皮水疱症本態性混合型クリオグロブリン血症、第VIII因子欠乏症線維筋痛症-線維筋炎糸球体腎炎グレーブス病ギランバレーグッドパスチャー症候群移植片対宿主病(GVHD)、橋本甲状腺炎血友病A特発性膜性ニューロパチー特発性肺線維症特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、IgAニューロパチー、IgM多発ニューロパチー、免疫介在性血小板減少症、若年性関節炎川崎病扁平苔癬硬化性苔癬エリテマトーデスメニエール病混合性結合組織病粘膜類天疱瘡多発性硬化症1型糖尿病多巣性運動ニューロパチー(MMN)、重症筋無力症、傍腫瘍性水疱性類天疱瘡、妊娠性類天疱瘡、尋常性天疱瘡落葉状天疱瘡悪性貧血結節性多発動脈炎多発性軟骨炎、多腺性症候群、リウマチ性多発筋痛症、多発性筋炎及び皮膚筋炎、原発性無ガンマグロブリン血症原発性胆汁性肝硬変乾癬乾癬性関節炎再発性多発軟骨炎レイノー現象ライター症候群関節リウマチサルコイドーシス強皮症シェーグレン症候群実質臓器移植拒絶反応スティフ・マン症候群、全身性エリテマトーデス高安動脈炎中毒性表皮壊死症(TEN)、スティーブンスジョンソン症候群(SJS)、側頭動脈炎/巨細胞性動脈炎血栓性血小板減少性紫斑病潰瘍性大腸炎、ぶどう膜炎、ヘルペス状皮膚炎脈管炎抗好中球細胞質抗体連脈管炎白斑、及びウェゲナー肉芽腫症からなる群から選択される、請求項28記載の方法。

請求項30

前記抗体介在性障害が静注免疫グロブリン(IVIG)、血漿交換及び/又は免疫吸着を用いて治療することができる、請求項27記載の方法。

請求項31

前記自己免疫性疾患が自己免疫性チャネル病である、請求項27記載の方法。

請求項32

前記チャネル病が、自己免疫性辺縁系脳炎癲癇視神経脊髄炎ランバート・イートン筋無力症症候群、重症筋無力症、抗N-メチル-D-アスパラギン酸NMDA)受容体脳炎、抗α-アミノ-3-ヒドロキシ-5-メチル-4-イソオキサゾールプロピオン酸AMPA)受容体脳炎、モルヴァン症候群、神経性筋強直症連鎖球菌感染関連小児自己免疫性精神神経障害(PANDAS)、及びグリシン受容体抗体関連障害からなる群から選択される、請求項31記載の方法。

請求項33

前記抗体介在性障害が高グロブリン血症である、請求項27記載の方法。

請求項34

前記FcRnアンタゴニストが追加の治療薬とともに同時に、又は逐次的に前記対象に投与される、請求項27記載の方法。

請求項35

前記追加の治療薬が抗炎症薬である、請求項34記載の方法。

請求項36

前記追加の治療薬が白血球除去薬である、請求項34記載の方法。

請求項37

前記白血球除去薬がB細胞除去薬である、請求項36記載の方法。

請求項38

前記B細胞除去薬が抗体である、請求項37記載の方法。

請求項39

前記抗体がCD10、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD24、CD37、CD53、CD70、CD72、CD74、CD75、CD77、CD79a、CD79b、CD80、CD81、CD82、CD83、CD84、CD85、又はCD86と特異的に結合する、請求項38記載の方法。

請求項40

前記追加の治療薬が、リツキシマブダクリズマブバシリキシマブ、ムロノマブ-CD3、インフリキシマブアダリムマブオマリズマブエファリズマブナタリズマブトシリズマブエクリズマブ、ゴリムマブ、カナキヌマブ、ウステキヌマブ、ベリムマブ、又はそれらの組合せである、請求項34記載の方法。

請求項41

請求項1〜19のいずれか1項記載のFcRnアンタゴニストをコードする、核酸分子

請求項42

請求項41記載の核酸分子を含む、発現ベクター

請求項43

請求項42記載の発現ベクターを含む、宿主細胞

請求項44

FcRnアンタゴニストが発現するような条件で、請求項43記載の宿主細胞を培養することを含む、FcRnアンタゴニストの生産方法

技術分野

0001

(関連出願)
本出願は、その全体が引用により本明細書に組み込まれている、2013年12月24日に出願
された米国仮出願第61/920,547号に対する優先権を主張する。

背景技術

0002

背景
免疫グロブリンγ(IgG)抗体は、自己免疫性疾患炎症性疾患、及びその病理がIgG抗
体の過剰発現を特徴とする障害(例えば、高γグロブリン血症)のような、多くの障害の
病理において重要な役割を果たす(例えば、Junghansの文献、Immunologic Research 16
(1):29 (1997)を参照されたい)。

0003

血清中のIgGの半減期は他の血漿タンパク質血清半減期と比較して長期に及ぶ(Roope
nianらの文献、J. Immunology 170:3528 (2003);Junghans及びAndersonの文献、Proc. N
atl. Acad. Sci. USA 93:5512 (1996))。この長い半減期は、部分的には、IgGのFc領域
Fc受容体であるFcRnと結合することに起因する。FcRnは最初は新生児において母から受
け継いだIgGを輸送する受容体として特徴づけられたが、FcRnは成体において該IgGを分解
から保護するようにも機能する。FcRnは飲作用により取り込まれたIgGと結合し、該IgGを
細胞外区画へと戻すように再循環させることにより、分解を担うリソソームへの輸送から
該IgGを保護する。この再循環は、IgGのFcRnへのpH依存的な結合により促進される。ここ
で、IgG/FcRn相互作用は、酸性エンドソーム内のpHにおいて、細胞外の生理学的pHにお
けるよりも強くなる。

0004

IgGの血清濃度利用可能なFcRn分子を上回るレベルに達すると、結合していないIgGは
分解機構から保護されなくなり、その結果低下した血清半減期を有することとなる。その
ため、FcRnへのIgGの結合を阻害すると、IgGのエンドソームによるIgG再循環が妨げられ
ることにより、IgGの血清半減期が低下する。従って、FcRnへのIgGの結合と拮抗する薬剤
は、自己免疫性疾患、炎症性疾患などのような抗体介在性障害を制御し、治療し、又は予
防するのに有用となり得る。IgG FcのFcRnへの結合と拮抗させる方法の一例は、FcRnに対
する阻止抗体の作製を伴う(例えば、WO2002/43658を参照されたい)。また、FcRnの機能
と結合し、該FcRnの機能と拮抗するペプチドも同定されている(例えば、US6,212,022及
びUS8,101,186を参照されたい)。さらにまた、FcRnとの結合が強化され、pH依存性が低
下したバリアントFc受容体を含む全長IgG抗体もIgGに対するFcRnの結合と拮抗することが
特定されている(例えば、8,163,881を参照されたい)。しかしながら、抗体介在性障害
の治療に使用するための、IgGに結合するFcRnと拮抗する改善された薬剤が、当技術分野
において求められている。

0005

概要
本件開示は、新規FcRnアンタゴニスト組成物を提供する。これらの組成物は一般に、未
改変のFc領域と比較して、増大された親和性及び低下されたpH依存性を有する、FcRnと特
異的に結合するバリアントFc領域又はそのFcRn結合断片を含む。本発明は部分的に、ある
単離バリアントFc領域(例えば、それぞれEU位置(EU番号)252、254、256、433、434、
及び436にアミノ酸Y、T、E、K、F、及びYを含むバリアントFc領域)がインビボにおいて
そのバリアントFc領域を含む全長抗体よりも効果的なFcRnアンタゴニストであるという驚
くべき発見に基づいている。本件開示のFcRnアンタゴニスト組成物は、Fc含有薬(例えば
、抗体及びイムノアドヘシン)の血清レベルを低下させるのに特に有用である。従って、
本件開示は本明細書に開示されるFcRnアンタゴニスト組成物を用いて抗体介在性障害(例
えば、自己免疫性疾患)を治療する方法も提供する。同様に提供されるのは、該FcRnアン
タゴニスト組成物を製造するための、該FcRnアンタゴニスト組成物をコードする核酸、組
換え発現ベクター及び宿主細胞、並びに該FcRnアンタゴニスト組成物を含む医薬組成物
ある。

0006

本明細書に開示されるFcRnアンタゴニストは過去に記載されたFcRnアンタゴニスト組成
物及び公知の抗体介在性障害の治療と比較して際立った利点を有している。例えば、本明
細書に開示されるFcRnアンタゴニストは多くの抗体介在性障害に対する現在の治療薬であ
静注γグロブリン(IVIG)よりも小さく、より効力が高い。従って、開示されるFcRn
アンタゴニストの有効投与量はIVIGの有効投与量よりもずっと少ないものとすることがで
きる。さらに、IVIGはヒトドナーから単離及び精製され、その結果、著しいバッチ間の変
動があるという難点がある。本明細書に開示されるFcRnアンタゴニスト組成物は、組換え
により生産でき、又は化学的に合成でき、そのためずっと均質である。本明細書に示され
ている通り、本明細書に開示されるFcRnアンタゴニストはまた、驚くべきことに、Vaccar
oらの文献、Nature Biotech 23(9) 1283-1288 (1997)に記載されているような、バリアン
トFc受容体を含む全長IgG抗体よりもずっと効果的である。

0007

従って、一態様において、本件開示はバリアントFc領域又はそのFcRn結合断片を含む単
離FcRnアンタゴニストを提供し、ここで、該Fc領域又は断片はそれぞれEU位置252、254、
256、433、434、及び436にアミノ酸Y、T、E、K、F、及びYを含み、かつ該FcRnアンタゴ
ストは全長抗体ではない。

0008

特定の実施態様において、該FcRnアンタゴニストは抗体可変領域又はCH1ドメインを含
まない。特定の実施態様において、該FcRnアンタゴニストは遊離システイン残基を含まな
い。特定の実施態様において、該Fc領域はIgGFc領域である(例えば、ヒトIgG Fc領域)
。特定の実施態様において、該Fc領域はIgG1 Fc領域である(例えば、ヒトIgG1 Fc領域)
。特定の実施態様において、該Fc領域はキメラFc領域である。

0009

特定の実施態様において、該FcRnアンタゴニストは配列番号:1に記載されたバリアント
Fc領域アミノ酸配列を含む。特定の実施態様において、該FcRnアンタゴニストはバリアン
トFc領域を含み、該バリアントFc領域のFcドメインのアミノ酸配列は配列番号:1、2、又
は3に記載されたアミノ酸配列からなる。特定の実施態様において、該FcRnアンタゴニス
トはバリアントFc領域からなり、該バリアントFc領域のFcドメインのアミノ酸配列は、配
列番号:2に記載されたアミノ酸配列からなる。

0010

特定の実施態様において、該FcRnアンタゴニストは、野生型IgG1Fc領域のFcγ受容体
に対する親和性と比較して、変化した(増大された又は低下された)Fc受容体に対する親
和性を有するバリアントFc領域を含む。特定の実施態様において、バリアントFcはCD16a
に対する増大された親和性を有する。

0011

特定の実施態様において、FcRnアンタゴニストはEU位置297にN-結合型グリカンを含ま
ないバリアントFc領域を含む。特定の実施態様において、該FcRnアンタゴニストはEU位置
297にアフコシル化N-結合型グリカンを含むバリアントFc領域を含む。特定の実施態様に
おいて、該FcRnアンタゴニストはEU位置297にバイクティングGlcNacを有するN-結合型
グリカンを含むバリアントFc領域を含む。

0012

特定の実施態様において、該FcRnアンタゴニストは半減期エクステンダーに連結された
バリアントFc領域を含む。特定の実施態様において、半減期エクステンダーはポリエチレ
グリコール又はヒト血清アルブミンである。特定の実施態様において、本件開示は本明
細書に開示される複数のFcRnアンタゴニスト分子を含むFcRnアンタゴニスト組成物を提供
し、ここで、該分子の少なくとも50%(任意に、少なくとも60、70、80、90、95、又は99
%)はバリアントFc領域又はそのFcRn結合断片を含み、アフコシル化N-結合型グリカンを
有する。特定の実施態様において、本件開示は本明細書に開示される複数のFcRnアンタゴ
ニスト分子を含むFcRnアンタゴニスト組成物を提供し、ここで、該分子の少なくとも50%
(任意に、少なくとも60、70、80、90、95、又は99%)はバリアントFc領域又はそのFcRn
結合断片を含み、バイセクティングGlcNacを有するN-結合型グリカンを含む。

0013

特定の実施態様において、本件開示は本明細書に開示される複数のFcRnアンタゴニスト
分子を含むFcRnアンタゴニスト組成物を提供し、ここで、該組成物中の該FcRnアンタゴニ
スト分子の95%超(例えば、95、96、97、98、99、99.1、99.2、99.3、99.4、99.5、99.6
、99.7、99.8、99.9%超)は単量体である。

0014

特定の実施態様において、本件開示は本明細書に開示される複数のFcRnアンタゴニスト
分子を含むFcRnアンタゴニスト組成物を提供し、ここで、該組成物中の該FcRnアンタゴニ
スト分子の5%未満(例えば、5、4、3、2、1、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2
、0.1%未満)が凝集体中に存在する。

0015

特定の実施態様において、本件開示は本明細書に開示される複数のFcRnアンタゴニスト
分子を含むFcRnアンタゴニスト組成物を提供し、ここで、該組成物はFcRnアンタゴニスト
分子の分解産物を実質的に含まない。

0016

別の態様において、本件開示は本明細書に開示されるFcRnアンタゴニスト又はFcRnアン
タゴニスト組成物を含む医薬組成物、及び医薬として許容し得る担体又は賦形剤を提供す
る。

0017

別の態様において、本件開示は対象においてFcRn機能を阻害する方法であって、該対象
に有効量の本明細書に開示されるFcRnアンタゴニスト組成物を投与することを含む、前記
方法を提供する。

0018

別の態様において、本件開示はFc含有薬を投与された対象において、該Fc含有薬の血清
レベルを低下させる方法であって、対象に有効量の本明細書に開示されるFcRnアンタゴニ
スト組成物を投与することを含む、前記方法を提供する。特定の実施態様において、該Fc
含有薬は抗体又はイムノアドヘシンである。特定の実施態様において、該Fc含有薬は治療
薬又は診断薬である。特定の実施態様において、該Fc含有薬は造影剤である。特定の実施
態様において、該Fc含有薬は、抗体薬物複合体である。

0019

別の態様において、本件開示は対象において抗体介在性障害を治療する方法であって、
該対象に有効量の本明細書に開示されるFcRnアンタゴニスト組成物を投与することを含む
、前記方法を提供する。特定の実施態様において、該抗体介在性障害は、高グロブリン血
症である。特定の実施態様において、該抗体介在性障害は、静注用免疫グロブリン(IVIG
)を用いて治療することができる疾患又は障害である。特定の実施態様において、該抗体
介在性障害は、血漿交換及び/又は免疫吸着を用いて治療することができる疾患又は障害
である。

0020

特定の実施態様において、該抗体介在性障害は、自己免疫性疾患である。特定の実施態
様において、該自己免疫性疾患は同種膵島移植片拒絶反応円形脱毛症強直性脊椎炎
抗リン脂質症候群自己免疫性アジソン病アルツハイマー病抗好中球細胞質自己抗体
(ANCA)、副腎の自己免疫性疾患、自己免疫性溶血性貧血自己免疫性肝炎、自己免疫性心
筋炎自己免疫性好中球減少症、自己免疫性卵巣炎及び精巣炎、自己免疫性血小板減少症
、自己免疫性蕁麻疹ベーチェット病水疱性類天疱瘡心筋症キャッスルマン症候群
セリアックスプルー皮膚炎(celiac spruce-dermatitis)、慢性疲労免疫機能不全症候
群、慢性炎症脱髄性多発ニューロパチー(CIDP)、チャーグ・ストラウス症候群、瘢痕性
類天疱瘡(cicatrical pemphigoid)、クレスト症候群寒冷凝集素病、クローン病、皮
膚筋炎、拡張型心筋症円盤ループス後天性表皮水疱症本態性混合型クリオグロ
リン血症、第VIII因子欠乏症線維筋痛症-線維筋炎糸球体腎炎グレーブス病(Grave
’s disease)、ギランバレーグッドパスチャー症候群移植片対宿主病(GVHD)、橋
甲状腺炎血友病A特発性膜性ニューロパチー特発性肺線維症、特発性血小板減少
紫斑病(ITP)、IgAニューロパチー、IgM多発ニューロパチー、免疫介在性血小板減少症
若年性関節炎川崎病扁平苔癬(lichen plantus)、硬化性苔癬エリテマトーデス
(lupus erthematosis)、メニエール病混合性結合組織病粘膜類天疱瘡、多発性硬化
症、1型糖尿病多巣性運動ニューロパチー(MMN)、重症筋無力症、傍腫瘍性水疱性類天疱
瘡、妊娠性類天疱瘡、尋常性天疱瘡落葉状天疱瘡悪性貧血結節性多発動脈炎、多発
軟骨炎(polychrondritis)、多腺性症候群、リウマチ性多発筋痛症、多発性筋炎及び
皮膚筋炎原発性無ガンマグロブリン血症(primary agammaglobinulinemia)、原発性
肝硬変乾癬乾癬性関節炎再発性多発軟骨炎レイノー現象(Reynauld’s phen
omenon)、ライター症候群関節リウマチサルコイドーシス強皮症、シェーグレン
候群 (Sjorgen’s syndrome)、実質臓器移植拒絶反応スティフ・マン症候群、全身性
エリテマトーデス、高安動脈炎中毒性表皮壊死症(TEN)、スティーブンスジョンソン
症候群(SJS)、側頭動脈炎/巨細胞性動脈炎(temporal arteristis/giant cell arteritis
)、血栓性血小板減少性紫斑病潰瘍性大腸炎、ぶどう膜炎、ヘルペス状皮膚炎脈管炎
抗好中球細胞質抗体連脈管炎白斑、及びウェゲナー肉芽腫症からなる群から選択され
る。

0021

特定の実施態様において、該自己免疫性疾患は自己免疫性チャネル病である。特定の実
施態様において、該チャネル病は、自己免疫性辺縁系脳炎癲癇視神経脊髄炎ラン
ート・イートン筋無力症症候群、重症筋無力症、抗N-メチル-D-アスパラギン酸NMDA)受
容体脳炎、抗α-アミノ-3-ヒドロキシ-5-メチル-4-イソオキサゾールプロピオン酸AMPA
)受容体脳炎、モルヴァン症候群、神経性筋強直症連鎖球菌感染関連小児自己免疫性精
神経障害(pediatric autoimmune neuropychiatric disorders associated with strep
tococcal infection) (PANDAS)、及びグリシン受容体抗体関連障害からなる群から選択
される。

0022

特定の実施態様において、FcRnアンタゴニストは追加の治療薬とともに同時に、又は逐
次的に該対象に投与される。特定の実施態様において、該追加の治療薬は抗炎症薬である
。特定の実施態様において、該追加の治療薬は、リツキシマブダクリズマブ、バシリキ
シマブ、ムロノマブ(muronomab)-cd3、インフリキシマブアダリムマブ、オマリズマ
ブ、エファリズマブナタリズマブトシリズマブエクリズマブ、ゴリムマブ、カナ
ヌマブ、ウステキヌマブ、又はベリムマブである。特定の実施態様において、該追加の治
療薬は白血球除去薬(leucocyte depleting agent)である。特定の実施態様において、該
追加の治療薬はB細胞除去薬である。特定の実施態様において、該B細胞除去薬は抗体、例
えばCD10、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD24、CD37、CD53、CD70、CD72、CD74、CD75
、CD77、CD79a、CD79b、CD80、CD81、CD82、CD83、CD84、CD85、又はCD86に特異的に結合
する抗体である。

0023

別の態様において、本件開示は本明細書に開示されるFcRnアンタゴニストをコードする
核酸分子を提供する。別の態様において、本件開示は本明細書に開示されるFcRnアンタゴ
ニストをコードする核酸分子を含む発現ベクターを提供する。別の態様において、本件開
示は発現ベクター又は本明細書に開示されるFcRnアンタゴニストをコードする核酸を含む
宿主細胞を提供する。別の態様において、本件開示はFcRnアンタゴニストを生産する方法
であって、FcRnアンタゴニストが発現するような条件で、本明細書に開示される宿主細胞
を培養することを含む、前記方法を提供する。

図面の簡単な説明

0024

(図面の簡単な説明)
図1は、カニクイザルにおけるトレーサ抗体(FR70-hIgG1)の血清レベルに対するFc-Abdeg及びHEL-Abdegの効果を決定するための実験結果を示している。
図2は、カニクイザルにおける全IgGの血清レベルに対するFc-Abdeg及びHEL-Abdegの効果を決定するための実験結果を示している。
図3は、カニクイザルにおけるアルブミンレベルに対するFc-Abdeg及びHEL-Abdegの効果の実験結果を示している。
図4は、カニクイザルにおけるトレーサ抗体(FR70-hIgG1)の血清レベルに対するFc-Abdeg及びIVIGの効果を決定するための実験結果を示している。
図5は、ヒトCD16aに対するFc-Abdeg、Fc-Abdeg-POT及びFc-Abdeg-S239D/I332Eの親和性を比較するELISA検定の結果を示している。
図6は、マウスCD16-2に対するFc-Abdeg、Fc-Abdeg-POT及びFc-Abdeg-S239D/I332Eの親和性を比較するELISA検定の結果を示している。
図7は、Promega社のRajiベースADCCレポーター生物検定を用いた抗CD20誘発性のADCCシグナルに対するFc-Abdeg、Abdeg-POT及びFc-Abdeg-S239D/I332Eの効果を決定するための実験結果を示している。
図9は、インビトロでの抗CD70誘発性のCD70+ U266細胞の溶解に対するFc-Abdeg及びAbdeg-POTの効果を決定するための実験結果を示している。
図9は、免疫性血小板減少症の急性マウスモデルにおける血小板レベルに対するFc-Abdeg、Fc-Abdeg-POT、Fc-Abdeg-S239D/I332E及びIVIGの効果を決定するための実験結果を示している。
図10は、例示的なFc-Abdegのゲルろ過精製の結果を示している。

0025

(詳細な説明)
本件開示は新規FcRnアンタゴニスト組成物を提供する。これらの組成物は一般に、未改
変のFc領域と比較して、増大された親和性及び低下されたpH依存性を有する、FcRnと特異
的に結合するバリアントFc領域又はそのFcRn結合断片を含む。本発明は部分的に、ある単
離バリアントFc領域(例えば、それぞれEU位置252、254、256、433、434、及び436にアミ
ノ酸Y、T、E、K、F、及びYを含むバリアントFc領域)がインビボにおいてそのバリアント
Fc領域を含む全長抗体よりも効果的なFcRnアンタゴニストであるという驚くべき発見に基
づいている。本件開示のFcRnアンタゴニスト組成物は、Fc含有薬(例えば、抗体及びイム
ノアドヘシン)の血清レベルを低下させるのに特に有用である。従って、本件開示は本明
細書に開示されるFcRnアンタゴニスト組成物を用いて抗体介在性障害(例えば、自己免疫
性疾患)を治療する方法も提供する。同様に提供されるのは、該FcRnアンタゴニスト組成
物を製造するための、該FcRnアンタゴニスト組成物をコードする核酸、組換え発現ベクタ
ー及び宿主細胞、並びに該FcRnアンタゴニスト組成物を含む医薬組成物である。

0026

(I.定義)
本明細書に別途定義されない限り、本発明に関して使用される科学用語及び技術用語
業者によって通常理解されている意味を有するものとする。用語の意味及び範囲は明確
であるべきであるが、万一隠れた曖昧さがある場合、本明細書に提供される定義がいかな
辞書又は外部の定義に先行して解釈される。さらに、文脈からそうでないことが要求さ
れない限り、単数形の用語は複数物を含み、複数形の用語は単数物を含むものとする。一
般に、本明細書に記載される細胞培養及び組織培養分子生物学免疫学微生物学、遺
伝学並びにタンパク質化学及び核酸化学並びにハイブリダイゼーションに関して使用され
専門用語、及びこれらの技術は、当技術分野で周知かつ通常に使用される専門用語及び
技術である。

0027

本発明をより容易に理解できるようにするため、特定の用語をまず定義する。

0028

本明細書に使用される用語「FcRnアンタゴニスト」は、Fc領域を介してFcRnと特異的に
結合し、FcRnと免疫グロブリンの結合を阻害するFc領域(例えば、本明細書に開示される
バリアントFc領域)を含む任意の薬剤を指す(ただし、該薬剤は全長IgG抗体ではない)

0029

本明細書で使用される用語「Fc領域」は、その2つの重鎖のFcドメインによって形成さ
れる未改変の免疫グロブリンの部分を指す。未改変のFc領域はホモ二量体である。

0030

本明細書で使用される用語「バリアントFc領域」は、未改変Fc領域と比較して1以上の
変化を有するFc領域を指す。変化には、アミノ酸の置換、付加及び/若しくは欠失、追加
成分の連結、並びに/又は未改変のグリカンの変化を挙げることができる。この用語は構
成要素であるFcドメインのそれぞれが異なっているヘテロ二量体Fc領域を包含する。その
ようなヘテロ二量体Fc領域の例には、限定されることなく、例えば、その全体が本明細書
に引用により組み込まれているUS 8216805において記載されている「ノブと穴」技術を用
いて作製されるFc領域がある。また、この用語は例えば、その全体が本明細書に引用によ
りそれぞれ組み込まれているUS20090252729A1及びUS20110081345A1に記載されているよう
に、構成要素であるFcドメインがリンカー成分によって共に連結されている単鎖Fc領域も
包含する。

0031

本明細書で使用される用語「Fcドメイン」は、パパイン切断部位のすぐ上流ヒンジ
域において開始し、抗体のC末端終止する単一の免疫グロブリン重鎖の部分を指す。従
って、完全なFcドメインはヒンジドメインの少なくとも一部(例えば、上部、中央、及び
/又は下部ヒンジ領域)、CH2ドメイン、及びCH3ドメインを含む。

0032

本明細書で使用される用語「FcRn結合断片」は、FcRn結合を与えるに十分なFc領域の一
部を指す。

0033

本明細書で使用される用語「EU位置」は、Edelman, G.M.らの文献、Proc. Natl. Acad.
USA, 63, 78-85 (1969)及び「免疫学の対象となるタンパク質の配列(Sequences of Pro
teins of Immunological Interest)」U.S. Dept. Health and Human Services, 第5版,
1991中のKabatらの文献に記載されたFc領域についてのEU番号付けの慣例におけるアミノ
酸位置を指す。

0034

本明細書で使用される用語「CH1ドメイン」は、約EU位置118〜215から延在する免疫グ
ロブリン重鎖の第一の(最もアミノ末端寄りの)定常領域ドメインを指す。CH1ドメイン
はVHドメイン及び免疫グロブリン重鎖分子のヒンジ領域に対するアミノ末端と隣接し、免
グロブリン重鎖Fc領域の一部を形成しない。

0035

本明細書で使用される用語「ヒンジ領域」は、CH1ドメインをCH2ドメインとつなぐ重鎖
分子の部分を指す。このヒンジ領域はおよそ25残基を含み、可撓性であり、そのため2つ
N末端抗原結合領域が独立に動くことを可能にする。ヒンジ領域は3つの別個のドメイン
:上部、中央、及び下部ヒンジドメイン(Rouxらの文献、J. Immunol. 161: 4083 (1998)
)へと細分することができる。本件開示のFcRnアンタゴニストは全ての又は一部のヒンジ
領域を含むことができる。

0036

本明細書で使用される用語「CH2ドメイン」は、約EU位置231〜340から延在する重鎖免
疫グロブリン分子の部分を指す。

0037

本明細書で使用される用語「CH3ドメイン」は、CH2ドメインのN末端からおよそ110残基
に、例えば約位置341〜446(EU番号体系)から延在する重鎖免疫グロブリン分子の部分を
含む。

0038

本明細書で使用される用語「FcRn」は、新生児のFc受容体を指す。例示的なFcRn分子は
RefSeq NM_004107に記載されたFCGRT遺伝子によりコードされるヒトFcRnを含む。

0039

本明細書で使用される用語「CD16」は、抗体依存性細胞介在性細胞傷害(ADCC)に要求
されるFcγRIIIFc受容体を指す。例示的なCD16分子はRefSeq NM_000569に記載されたヒ
トCD16aを含む。

0040

本明細書で使用される用語「遊離システイン」は、成熟FcRnアンタゴニストにおいて実
質的に還元された形態で存在する未改変の、又は操作されたシステインアミノ酸残基を指
す。

0041

本明細書で使用される用語「抗体」は、4つのポリペプチド鎖、すなわちジスルフィド
結合により相互接続された2つの重(H)鎖及び2つの軽(L)鎖を含む免疫グロブリン分子
、並びにそれらの多量体(例えば、IgM)を指す。それぞれの重鎖は重鎖可変領域(VHと
略記される)及び重鎖定常領域を含む。重鎖定常領域は3つのドメイン、CH1、CH2及びCH3
を含む。それぞれの軽鎖軽鎖可変領域(VLと略記される)及び軽鎖定常領域を含む。軽
鎖定常領域は1つのドメイン(CL)を含む。VH及びVL領域は、フレームワーク領域(FR)
と命名されたより保存された領域をところどころに挟む相補性決定領域(CDR)と命名さ
れた超過変性領域へとさらに細分することができる。

0042

本明細書で使用される用語「N-結合型グリカン」は、Fc領域のCH2ドメイン中に存在す
シークオン(すなわち、Asn-X-Ser又はAsn-X-Thr配列。Xはプロリンを除く任意のアミ
ノ酸である)中のアスパラギンの側鎖中の窒素(N)に結合したN-結合型グリカンを指す
。そのようなN-グリカンは、例えば、その全体が引用により本明細書に組み込まれている
Drickamer K及びTaylor MEの文献 (2006)「糖鎖生物学への入門(Introduction to Glyco
biology)」第2版に十分に記載されている。

0043

本明細書で使用される用語「アフコシル化された」は、その内容の全体が本明細書に引
用により組み込まれているUS8067232に記載されたような、コアフコース分子を欠いて
いるN-結合型グリカンを指す。

0044

本明細書で使用される用語「バイセクティングGlcNac」は、その内容の全体が本明細書
に引用により組み込まれているUS8021856に記載されているような、コアマンノース分子
に連結されたN-アセチルグルコサミン(GlcNAc)分子を有するN-結合型グリカンを指す。

0045

本明細書で使用される用語「抗体介在性障害」は、対象における抗体の存在により引き
起こされるか、又は悪化するあらゆる疾患又は障害を指す。

0046

本明細書で使用される用語「Fc含有薬」は、Fc領域を含む任意の分子である。

0047

本明細書で使用される用語「白血球除去薬」は、投与に際し対象における白血球の数が
減少する薬剤を指す。

0048

本明細書で使用される用語「B細胞除去薬」は、投与に際し対象におけるB細胞の数が減
少する薬剤を指す。

0049

本明細書で使用される用語「T細胞除去薬」は、投与に際し対象におけるT細胞の数が減
少する薬剤を指す。

0050

本明細書で使用される用語「自己免疫性チャネル病」は、イオンチャネルのサブユニッ
ト又は該チャネルを制御する分子に対する自己抗体によって引き起こされる疾患を指す。

0051

本明細書で使用される用語「治療する」、「治療すること」、及び「治療」は、本明細
書に記載される治療的又は予防的手段を指す。「治療」の方法は、対象、例えばIL-6関連
疾患又は障害(例えば、炎症及び癌)を有する対象、又はそのような疾患若しくは障害を
有する素因のある対象に、該疾患若しくは障害、又は再発した疾患若しくは障害の1以上
の症状を予防し、治癒し、遅延させ、重症度を低下させ、又は改善するために、或いはそ
のような治療なしで予期される生存を上回って対象の生存を延長させるために、本発明の
抗体又はその抗原結合断片を投与することを利用する。本明細書で使用される用語「対象
」は、あらゆるヒトまたは非ヒト動物を含む。

0052

本明細書で使用される用語「イムノアドヘシン」は、Fc領域とともに結合タンパク質
例えば、受容体、リガンド、又は細胞接着分子)の機能ドメインを含む抗体様分子を指す

0053

(II.FcRnアンタゴニスト)
一態様において、本発明は新規FcRnアンタゴニスト組成物を提供する。一般に、これら
の組成物は未改変のFc領域と比較して、増大された親和性及び低下されたpH依存性を有す
る、FcRnと特異的に結合するバリアントFc領域又はそのFcRn結合断片を含む。これらのFc
RnアンタゴニストはインビボでFc含有薬(例えば、抗体及びイムノアドヘシン)とFcRnの
結合を阻害し、それによりFc含有薬の分解速度が高まり、かつ同時に、これらの薬剤の血
清レベルが低下する。

0054

本明細書は、ある単離バリアントFc領域(例えば、それぞれEU位置252、254、256、433
、434、及び436にアミノ酸Y、T、E、K、F、及びYを含むバリアントFc領域)がインビボに
おいて同じバリアントFc領域を含む全長抗体よりも効果的なFcRnアンタゴニストであるこ
とを初めて開示する。従って、特定の実施態様において、該FcRnアンタゴニスト組成物は
全長抗体ではない。特定の実施態様において、該FcRnアンタゴニスト組成物は抗体可変
メインを含まない。特定の実施態様において、該FcRnアンタゴニスト組成物は抗体可変ド
メインもCH1ドメインも含まない。しかしながら、特定の実施態様において、該FcRnアン
タゴニスト組成物は抗体可変ドメインを含む1以上の追加の結合ドメイン又は結合成分
連結されたバリアントFc領域を含むことができる。

0055

任意のFc領域を変化させて、本明細書に開示されるFcRnアンタゴニスト組成物において
使用するためのバリアントFc領域を生産することができる。一般に、Fc領域又はそのFcRn
結合断片は、ヒト免疫グロブリン由来する。しかしながら、該Fc領域は、例えばラクダ
動物種齧歯類(例えば、マウス、ラットウサギモルモット)又は非ヒト霊長類
例えば、チンパンジーマカク)種を含む任意の他の哺乳類種の免疫グロブリンに由来し
てもよいことは理解されよう。さらに、該Fc領域又はその部分は、IgM、IgG、IgD、IgA及
IgEを含む任意の免疫グロブリンクラス、並びにIgG1、IgG2、IgG3及びIgG4を含む任意
の免疫グロブリンアイソタイプに由来してもよい。特定の実施態様において、該Fc領域は
IgG Fc領域(例えば、ヒトIgG領域)である。特定の実施態様において、該Fc領域はIgG1
Fc領域(例えば、ヒトIgG1領域)である。特定の実施態様において、該Fc領域はいくつか
の異なるFc領域の部分を含むキメラFc領域である。キメラFc領域の適当な例は、その全体
が引用により本明細書に組み込まれているUS20110243966A1に記載されている。種々のFc
領域遺伝子配列(例えば、ヒト定常領域遺伝子配列)が公開寄託形式で利用可能である。
本発明の範囲にはFc領域の対立遺伝子、バリアント及び変異が包含されることが理解され
よう。

0056

Fc領域はさらに切断され、又は内部が欠失されて、その最小FcRn結合断片を生産するこ
とができる。Fc領域断片のFcRnに結合する能力は、当技術分野で認識された任意の結合検
定、例えばELISAを用いて決定することができる。

0057

本明細書に開示されるFcRnアンタゴニストの製造性を高めるためには、構成要素である
Fc領域が、ジスルフィド結合を形成していないシステイン残基を含まないことが好ましい
。従って、特定の実施態様において、該Fc領域は遊離システイン残基を含まない。

0058

未改変のFc領域と比較して、増大された親和性及び低下されたpH依存性を有する、FcRn
と特異的に結合する任意のFcバリアント又はそのFcRn結合断片は、本明細書に開示される
FcRnアンタゴニスト組成物に使用することができる。特定の実施態様において、バリアン
トFc領域は所望の特性を与えるアミノ酸変化、置換、挿入及び/又は欠失を含む。特定の
実施態様において、該バリアントFc領域又は断片は、それぞれEU位置252、254、256、433
、434、及び436にアミノ酸Y、T、E、K、F、及びYを含む。バリアントFc領域中に使用可
なアミノ酸配列の非限定的な例は、本明細書の表1に記載されている。特定の実施態様に
おいて、該バリアントFc領域のFcドメインのアミノ酸配列は、配列番号:1に記載された
アミノ酸配列を含む。特定の実施態様において、該バリアントFc領域のFcドメインのアミ
ノ酸配列は配列番号:1、2、又は3に記載されたアミノ酸配列からなる。特定の実施態様
において、FcRnアンタゴニストはバリアントFc領域からなり、ここで該バリアントFc領域
のFcドメインのアミノ酸配列は配列番号:1、2、又は3に記載されたアミノ酸配列からな
る。

0059

表1.バリアントFc領域の非限定的な例であるアミノ酸配列

0060

特定の実施態様において、該バリアントFc領域は、追加のFc受容体に対する変化した(
例えば、増大された又は低下された)結合親和性を有する。該バリアントFc領域は1以上
のFcγ受容体、例えば、FcγRI(CD64)、FcγRIIA (CD32)、FcγRIIB (CD32)、FcγRIIIA
(CD16a)、及びFcγRIIIB (CD16b)に対する変化した(例えば、増大された又は低下され
た)結合親和性を有することができる。追加のFc受容体に対する親和性を変化させる任意
の当技術分野で認識された方法を利用することができる。特定の実施態様において、バリ
アントFc領域のアミノ酸配列が変化させられる。

0061

特定の実施態様において、該バリアントFc領域は、Kabatの文献に記載されたEU指標
より番号付けされた234、235、236、239、240、241、243、244、245、247、252、254、25
6、262、263、264、265、266、267、269、296、297、298、299、313、325、326、327、32
8、329、330、332、333、及び334からなる群から選択される1以上の位置に、天然に存在
しないアミノ酸残基を含む。任意に、該Fc領域は当業者に公知の追加の及び/又は代替
位置に天然に存在しないアミノ酸残基を含むことができる(例えば、その内容の全体が本
明細書に引用により組み込まれた米国特許第5,624,821号; 第6,277,375号; 第6,737,056
号; PCT特許公開第WO 01/58957号; 第WO 02/06919号; 第WO 04/016750号; 第WO 04/02920
7号; 第WO 04/035752号及び第WO 05/040217号を参照されたい)。

0062

特定の実施態様において、該バリアントFc領域は、Kabatの文献に記載されたEU指標に
より番号付けされた234D、234E、234N、234Q、234T、234H、234Y、234I、234V、234F、23
5A、235D、235R、235W、235P、235S、235N、235Q、235T、235H、235Y、235I、235V、235F
、236E、239D、239E、239N、239Q、239F、239T、239H、239Y、2401、240A、240T、240M、
241W、241 L、241Y、241E、241R、243W、243L 243Y、243R、243Q、244H、245A、247V、24
7G、252Y、254T、256E、262I、262A、262T、262E、263I、263A、263T、263M、264L、264I
、264W、264T、264R、264F、264M、264Y、264E、265G、265N、265Q、265Y、265F、265V、
265I、265L、265H、265T、266I、266A、266T、266M、267Q、267L、269H、269Y、269F、26
9R、296E、296Q、296D、296N、296S、296T、296L、296I、296H、269G、297S、297D、297E
、298H、298I、298T、298F、299I、299L、299A、299S、299V、299H、299F、299E、313F、
325Q、325L、325I、325D、325E、325A、325T、325V、325H、327G、327W、327N、327L、32
8S、328M、328D、328E、328N、328Q、328F、328I、328V、328T、328H、328A、329F、329H
、329Q、330K、330G、330T、330C、330L、330Y、330V、330I、330F、330R、330H、332D、
332S、332W、332F、332E、332N、332Q、332T、332H、332Y、及び332Aからなる群から選択
される少なくとも1つの天然に存在しないアミノ酸残基を含む。任意に、該Fc領域は当業
者に公知の追加の及び/又は代替の天然に存在しないアミノ酸残基を含むことができる(
例えば、その内容の全体が本明細書に引用により組み込まれた米国特許第5,624,821号;
第6,277,375号; 第6,737,056号; PCT特許公開第WO 01/58957号; 第WO 02/06919号; 第WO
04/016750号; 第WO 04/029207号; 第WO 04/035752号及び第WO 05/040217号を参照された
い)。

0063

本明細書に開示されるFcRnアンタゴニストにおいて使用できる他の公知のFcバリアント
は、限定されることなく、その内容の全体が本明細書に引用により組み込まれているGhet
ieらの文献、1997, Nat. Biotech. 15:637-40; Duncanらの文献、1988, Nature 332:563-
564; Lundらの文献、1991, J. Immunol., 147:2657-2662; Lundらの文献、1992, Mol. Im
munol., 29:53-59; Alegreらの文献、1994, Transplantation 57:1537-1543; Hutchinsら
の文献、1995, Proc Natl. Acad Sci USA, 92:11980-11984; Jefferisらの文献、1995, I
mmunol Lett., 44:111-117; Lundらの文献、1995, Faseb J., 9:115-119; Jefferisらの
文献、1996, Immunol Lett., 54:101-104; Lundらの文献、1996, J. Immunol., 157:4963
-4969; Armourらの文献、1999, Eur J Immunol 29:2613-2624; Idusogieらの文献、2000,
J. Immunol., 164:4178-4184; Reddyらの文献、2000, J. Immunol., 164:1925-1933; Xu
らの文献、2000, Cell Immunol., 200:16-26; Idusogie らの文献、2001, J. Immunol.,
166:2571-2575; Shieldsらの文献、2001, J Biol. Chem., 276:6591-6604; Jefferisらの
文献、2002, Immunol Lett., 82:57-65; Prestaらの文献、2002, Biochem Soc Trans., 3
0:487-490); 米国特許第5,624,821号; 第5,885,573号; 第5,677,425号; 第6,165,745号;
第6,277,375号; 第5,869,046号; 第6,121,022号; 第5,624,821号; 第5,648,260号; 第6,5
28,624号; 第6,194,551号; 第6,737,056号; 第6,821,505号; 第6,277,375号; 米国特許公
開第2004/0002587号及びPCT公開第WO 94/29351号; 第WO 99/58572号; 第WO 00/42072号;
第WO 02/060919号; 第WO 04/029207号; 第WO 04/099249号; 第WO 04/063351号に開示され
たFcバリアントを含む。

0064

特定の実施態様において、該バリアントFc領域はヘテロ二量体であり、ここでは構成要
素であるFcドメインは互いに異なっている。Fcヘテロ二量体を生産する方法は、当技術分
野で公知である(例えば、その全体が本明細書に引用により組み込まれているUS 8216805
を参照されたい)。特定の実施態様において、バリアントFc領域は単鎖Fc領域であり、こ
こで構成要素であるFcドメインはリンカー成分により一緒に連結されている。単鎖Fc領域
を生産する方法は、当技術分野で公知である(例えば、それぞれその全体が本明細書に引
用により組み込まれているUS20090252729A1及びUS20110081345A1を参照されたい)。

0065

自己免疫性疾患において観察される病原性IgG抗体は、これらの疾患の病原性の誘因
なるか、又は疾患の進行に寄与し、かつ細胞のFc受容体の不適切活性化を介して疾患の
媒体となると考えられている。凝集した自己抗体及び/又は自己抗原複合体を形成した
自己抗体(免疫複合体)は、活性化したFc受容体と結合し、非常に多くの自己免疫性疾患
を引き起こす(これらは部分的に自己組織に対する免疫学的に介在される炎症が原因で発
生する)(例えば、それぞれその全体が本明細書に引用により組み込まれるClarksonらの
文献、NEJM 314(9), 1236-1239 (2013); US20040010124A1; US20040047862A1;及びUS2004
/0265321A1を参照されたい)。従って、抗体介在性障害(例えば、自己免疫性疾患)を治
療するためには、有害な自己抗体を除去すること、及びこれらの抗体の活性化したFc受容
体(例えば、CD16a のようなFcγ受容体)との免疫複合体相互作用を阻止することの両方
が有益であろう。

0066

従って、特定の実施態様において、該FcRnアンタゴニストのバリアントFc領域はCD16a
(例えば、ヒトCD16a)への増大された結合性を示す。このことは、該FcRnアンタゴニス
トが、FcRnの阻害による除去の標的となる自己抗体の、免疫複合体誘発性の炎症性応答
さらに拮抗することを可能とすることにおいて特に有利である。CD16a(例えば、ヒトCD1
6a)に対する親和性を高める任意の当技術分野で認識された方法を利用することができる
。特定の実施態様において、該FcRnアンタゴニストは(例えば、EU位置297に)N-結合型
グリカンを含むバリアントFc領域を含む。このケースにおいて、グリカン構造を変化させ
ることによりCD16aに対する該FcRnアンタゴニストの結合親和性が高まる可能性がある。F
c領域のN-結合型グリカンの変化は、当技術分野で周知である。例えば、アフコシル化N-
結合型グリカン又はバイセクティングGlcNac構造を有するN-グリカンは、CD16aに対する
増大された親和性を呈することが示されている。従って、特定の実施態様において、該N-
結合型グリカンは、アフコシル化されている。アフコシル化は、当技術分野で認識されて
いる任意の方法を用いて達成することができる。例えば、FcRnアンタゴニストはフコシル
トランスフェラーゼ欠損した細胞中で発現させることができ、その結果フコースは、該
バリアントFc領域のEU位置297のN-結合型グリカンに付加されない(例えば、その内容の
全体が本明細書に引用により組み込まれるUS 8,067,232を参照されたい)。特定の実施態
様において、N-結合型グリカンはバイセクティングGlcNac構造を有する。該バイセクティ
ングGlcNac構造は、当技術分野で認識された任意の方法を用いて達成することができる。
例えば、FcRnアンタゴニストはβ1-4-N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII
(GnTIII)を発現する細胞中で発現させることができ、その結果バイセクティングGlcNac
は、該バリアントFc領域のEU位置297のN-結合型グリカンに付加される(例えば、その内
容の全体が本明細書に引用により組み込まれているUS 8021856を参照されたい)。さらに
、又はそれに代わり、該N-結合型グリカン構造の変化も、インビトロの酵素的方法により
達成できる。

0067

特定の実施態様において、本件開示はFcRnアンタゴニスト組成物を提供し、ここで該組
成物中に含まれているFcRnアンタゴニスト分子の一部は、変化したグリカン構造を含む。
特定の実施態様において、該FcRnアンタゴニスト組成物は本明細書に開示される複数のFc
Rnアンタゴニスト分子を含み、ここで該分子の少なくとも50%(任意に、少なくとも60、
70、80、90、95、又は99%)がアフコシル化されたN-結合型グリカンを有するFc領域又は
そのFcRn結合断片を含む。特定の実施態様において、該FcRnアンタゴニスト組成物は、本
明細書に開示される複数のFcRnアンタゴニスト分子を含み、ここで該分子の少なくとも50
%(任意に、少なくとも60、70、80、90、95、又は99%)がバイセクティングGlcNacを有
するN-結合型グリカンを含むFc領域又はそのFcRn結合断片を含む。

0068

特定の実施態様において、該バリアントFc領域はN-結合型グリカンを含まない。このこ
とは、当技術分野で認識された任意の方法を用いて達成できる。例えば、該Fcバリアント
はN-結合型糖鎖付加をすることのできない細胞中で発現させることができる。さらに、又
はそれに代わって、該Fcバリアントのアミノ酸配列を(例えば、NXTシークオンの変異に
より)変化させて、N-結合型糖鎖付加を妨げ、又は阻害することができる。あるいは、該
Fcバリアントは無細胞系において合成することができる(例えば、化学合成)。

0069

特定の実施態様において、共有結合によって該FcRnアンタゴニストがFcRnに特異的に結
合することが妨げられないように、例えば、FcRnアンタゴニストに分子(例えば、結合又
造影成分)を共有結合させることにより、FcRnアンタゴニスト分子を改変することがで
きる。例えば、限定する意図はないが、該FcRnアンタゴニストは糖鎖付加アセチル化
ペグ化、リン酸化アミド化、公知の保護基による誘導体化タンパク質分解性切断、細
胞リガンド又は他のタンパク質との連結などによって改変することができる。

0070

特定の実施態様において、該FcRnアンタゴニストは半減期エクステンダーと連結された
バリアントFc領域を含む。本明細書で使用される用語「半減期エクステンダー」は、本明
細書に開示されるFcRnアンタゴニストと連結した場合、FcRnアンタゴニストの半減期を増
加させる任意の分子を指す。任意の半減期エクステンダーを(共有結合的にも非共有結合
的にも)該FcRnアンタゴニストに連結することができる。特定の実施態様において、該半
減期エクステンダーはポリエチレングリコール又はヒト血清アルブミンである。特定の実
施態様において、該FcRnアンタゴニストは、対象において存在する半減期エクステンダー
に特異的に結合する結合分子、例えば血清アルブミン(例えば、ヒト血清アルブミン)、
IgG、赤血球などのような、血液により運搬される分子又は細胞に連結される。

0071

本明細書に開示されるFcRnアンタゴニストは優れた製造性を有する。例えば、本明細書
の実施例5に示されているように、該FcRnアンタゴニストは哺乳類細胞中で高レベルに(
例えば、10 Lの撹拌タンク生物反応器中のCHO細胞で6 g/Lを)発現させることができる。
さらに、プロテインAによる精製後、得られた精製FcRnアンタゴニスト組成物は非常に高
パーセンテージのFcRnアンタゴニスト単量体を有し、極度に低いレベルのFcRnアンタゴ
ニストタンパク質凝集体及び分解産物を含む。従って、特定の実施態様において、本件開
示は本明細書に開示される複数のFcRnアンタゴニスト分子を含むFcRnアンタゴニスト組成
物を提供し、ここで該組成物中のFcRnアンタゴニスト分子の95%超(例えば、95、96、97
、98、99、99.1、99.2、99.3、99.4、99.5、99.6、99.7、99.8、99.9%超)が単量体であ
る。特定の実施態様において、本件開示は本明細書に開示される複数のFcRnアンタゴニス
ト分子を含むFcRnアンタゴニスト組成物を提供し、ここで、該組成物中のFcRnアンタゴニ
スト分子の5%未満(例えば、5、4、3、2、1、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2
、0.1%未満)が凝集体中に存在する。特定の実施態様において、本件開示は本明細書に
開示される複数のFcRnアンタゴニスト分子を含むFcRnアンタゴニスト組成物を提供し、こ
こで、該組成物はFcRnアンタゴニスト分子の分解産物を実質的に含まない。

0072

(III.FcRnアンタゴニストの使用)
本件開示のFcRnアンタゴニスト組成物は、Fc含有薬(例えば、抗体及びイムノアドヘシ
ン)の血清レベルを低下させるのに特に有用である。従って、一態様において、本件開示
は対象においてFcRn機能を阻害する方法を提供し、該方法は一般に、該対象に有効量の本
明細書に開示されるFcRnアンタゴニスト組成物(例えば、医薬組成物)を投与することを
含む。

0073

Fc含有薬(例えば、抗体及びイムノアドヘシン)の血清レベルの低下は、抗体介在性障
害(例えば、自己免疫性疾患)の治療に特に適用可能である。従って、一態様において本
件開示は本明細書に開示されるFcRnアンタゴニスト組成物を用いて抗体介在性障害(例え
ば、自己免疫性疾患)を治療する方法を提供する。

0074

任意の抗体介在性障害は、本明細書に開示されるFcRnアンタゴニスト組成物を用いて治
療することができる。特定の実施態様において、該抗体介在性障害は、IVIGによる治療に
適している障害である。特定の実施態様において、該抗体介在性障害は、自己免疫性疾患
である。限定されない自己免疫性疾患には、同種膵島移植片拒絶反応、円形脱毛症、強直
脊椎炎、抗リン脂質症候群、自己免疫性アジソン病、アルツハイマー病、抗好中球細胞
質自己抗体(ANCA)、副腎の自己免疫性疾患、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、自
己免疫性心筋炎、自己免疫性好中球減少症、自己免疫性卵巣炎及び精巣炎、自己免疫性血
小板減少症、自己免疫性蕁麻疹、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、キャッスル
マン症候群、セリアックスプルー皮膚炎、慢性疲労免疫機能不全症候群、慢性炎症性脱髄
性多発ニューロパチー(CIDP)、チャーグ・ストラウス症候群、瘢痕性類天疱瘡クレスト
症候群、寒冷凝集素病、クローン病、皮膚筋炎、円盤状ループス、本態性混合型クリオグ
ロブリン血症、第VIII因子欠乏症、線維筋痛症-線維筋炎、糸球体腎炎、グレーブス病、
ギラン・バレー、グッドパスチャー症候群、移植片対宿主病(GVHD)、橋本甲状腺炎、血友
病A、特発性肺線維症、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、IgAニューロパチー、IgM多発ニ
ューロパチー、免疫介在性血小板減少症、若年性関節炎、川崎病、扁平苔癬、エリテマト
ーデス、メニエール病、混合性結合組織病、多発性硬化症、1型糖尿病、多巣性運動ニュ
ーロパチー(MMN)、重症筋無力症、傍腫瘍性水疱性類天疱瘡、尋常性天疱瘡、落葉状天疱
瘡、悪性貧血、結節性多発動脈炎、多発性軟骨炎、多腺性症候群、リウマチ性多発筋痛症
、多発性筋炎及び皮膚筋炎、原発性無ガンマグロブリン血症、原発性胆汁性肝硬変、乾癬
、乾癬性関節炎、レイノー現象、ライター症候群、関節リウマチ、サルコイドーシス、強
皮症シェーグレン症候群、実質臓器移植拒絶反応、スティフ・マン症候群、全身性エリ
テマトーデス、高安動脈炎、中毒性表皮壊死症(TEN)、スティーブンス・ジョンソン症候
群(SJS)、側頭動脈炎/巨細胞性動脈炎、血栓性血小板減少性紫斑病、潰瘍性大腸炎、ぶど
う膜炎、ヘルペス状皮膚炎脈管炎、抗好中球細胞質抗体関連脈管炎、白斑、及びウェゲナ
ー肉芽腫症がある。

0075

特定の実施態様において、該自己免疫性疾患は自己免疫性チャネル病である。限定され
ないチャネル病には、視神経脊髄炎、ランバート・イートン筋無力症症候群、重症筋無力
症、抗N-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)受容体脳炎、抗α-アミノ-3-ヒドロキシ-5-メ
チル-4-イソオキサゾールプロピオン酸(AMPA)受容体脳炎、モルヴァン症候群、及びグリ
シン受容体抗体関連障害がある。

0076

本件開示のFcRnアンタゴニスト組成物は、血清免疫グロブリンの過剰生産を特徴とする
抗体介在性障害を治療するのに特に適している。従って、特定の実施態様において、該Fc
Rnアンタゴニスト組成物は、高γグロブリン血症を治療するのに使用される。

0077

また、FcRnアンタゴニスト組成物は、1以上の追加の治療薬と組み合わせて使用するこ
ともできる。特定の実施態様において、該追加の治療薬は、抗炎症薬である。任意の炎症
薬を本明細書に開示される組成物と組み合わせて使用することができる。特定の実施態様
において、該治療薬はリツキシマブ、ダクリズマブ、バシリキシマブ、ムロノマブ-cd3、
インフリキシマブ、アダリムマブ、オマリズマブ、エファリズマブ、ナタリズマブ、トシ
リズマブ、エクリズマブ、ゴリムマブ、カナキヌマブ、ウステキヌマブ、又はベリムマブ
である。特定の実施態様において、該追加の治療薬は白血球除去薬(例えば、B細胞又はT
細胞除去薬)である。任意の白血球除去薬を本明細書に開示されるFcRnアンタゴニスト組
成物と組み合わせて使用することができる。特定の実施態様において、該白血球除去薬は
、B細胞除去薬である。特定の実施態様において、該白血球除去薬は、細胞表面マーカー
に対する抗体である。適当な細胞表面マーカーには、限定されることなく、CD10、CD19、
CD20、CD21、CD22、CD23、CD24、CD37、CD53、CD70、CD72、CD74、CD75、CD77、CD79a、C
D79b、CD80、CD81、CD82、CD83、CD84、CD85、又はCD86がある。該FcRnアンタゴニスト及
び追加の治療薬(複数可)は、同じ又は異なる投与経路(複数可)を介して、該対象に同
時に、又は逐次的に投与することができる。

0078

また、本件開示のFcRnアンタゴニスト組成物は対象におけるFc含有薬の血清レベルを速
やかに低下させるのにもよく適している。そのような速やかな排除は、該Fc含有薬(例え
ば、抗体-薬物複合体又は免疫原性の薬剤)が毒性を有するケースで有利である。それは
、そのような速やかな排除により該対象の薬物への曝露が低下するためである。また、速
やかな排除は、該Fc含有薬が、造影を促進する薬剤が低い血清レベルであることを要求す
る造影剤であるケースにおいて有利である。従って、特定の実施態様において、該FcRnア
ンタゴニスト組成物を使用して、Fc含有薬を投与された対象における該Fc含有薬の血清レ
ベルを低下させる。任意のFc含有薬(例えば、治療薬又は診断薬)の血清レベルを、本明
細書に開示されるFcRnアンタゴニスト組成物を用いて低下させることができる。非限定的
なFc含有薬の例には、造影剤(例えば、標識化抗体)、抗体薬物複合体、又は免疫原性薬
剤(例えば、非ヒト抗体又はイムノアドヘシン)がある。FcRnアンタゴニストを該Fc含有
薬と同時に、又は逐次的に(例えば、該Fc含有薬の前若しくは後に)投与することができ
る。

0079

さらに、治療薬の投与が要求される疾患又は状態において、該対象はしばしば治療薬に
対する抗体(例えば、抗薬物抗体)を発達させ、その結果該治療薬がその意図された治療
目的に利用可能となるのを妨げ、又は該対象における有害反応を引き起こす。従ってまた
、本明細書に開示されるFcRnアンタゴニスト組成物を使用して、対象において発達する該
治療薬に対する抗体(例えば、抗薬物抗体)を除去することができる。

0080

また、本明細書に開示されるFcRnアンタゴニスト組成物を治療用タンパク質と組み合わ
せて使用して、IgGレベルを低下させることにより該治療用タンパク質の利益を高めるこ
とができる;ここで、IgG抗体は、治療用タンパク質の生物学的利用能を低下させる原因
となる。特定の実施態様において、本件開示は、凝固因子に対する免疫応答に起因する障
害を治療する方法を提供し、該方法は対象に治療有効量の本明細書に開示されるFcRnアン
タゴニスト組成物を投与することを含む。適当な凝固因子には、限定されることなく、フ
ブリノーゲンプロトロンビン、第V因子、第VII因子、第VIII因子、第IX因子、第X因
子、第XI因子、第XII因子、第XIII因子、又はフォンウィルブランド因子がある。この
方法を使用して、例えば血友病A又は血友病B罹患する患者における凝固因子に対する免
応答を制御、又は治療、又は予防することができる。特定の実施態様において、該方法
を使用して、赤芽球癆(PRCA)に罹患する患者において例えば治療用エリスロポエチン
対する免疫応答を制御し、又は治療することができる。

0081

FcRnは妊娠女性における胎児への胎盤を通した母から受け継いだ抗体の輸送を担う。従
って、妊娠女性にFc含有薬(例えば、治療用抗体)を投与する場合、該薬剤は胎盤を通し
たFcRn介在性輸送の結果として胎児に接触することができる。胎児の発達に対するFc含有
薬の何らかの潜在的な有害作用を回避するため、FcRn機能を阻止することは有益であろう
。従って、本件開示は妊娠女性における胎児へのFc含有薬(例えば、治療用抗体)の胎盤
輸送を妨げる方法を提供し、該方法は該女性に本明細書に開示されるFcRnアンタゴニスト
組成物を該Fc含有薬と同時に、又は逐次的に(前に又は後に)投与することを含む。

0082

また、本明細書に開示されるFcRnアンタゴニスト組成物を使用して、限定はされないが
喘息、潰瘍性大腸炎、及び炎症性腸症候群アレルギー性鼻炎/副鼻腔炎、皮膚アレル
ギー(蕁麻疹/蕁麻疹、血管性浮腫アトピー性皮膚炎)、食品アレルギー、薬物アレル
ギー、昆虫アレルギー、肥満細胞症を含むアレルギー、変形性関節炎、関節リウマチ、及
脊椎関節症を含む関節炎を含む炎症性障害を治療することもできる。

0083

疾患又は状態の治療のための遺伝子療法の実施の成功は、導入遺伝子によりコードされ
た治療用タンパク質並びにおそらくは導入遺伝子の送達に用いたベクターに特異的な抗体
の発達により妨害され得る。従って、本明細書に開示されるFcRnアンタゴニスト組成物を
遺伝子療法と組み合わせて投与して、IgGのレベルを低下させることにより、コードされ
た治療用タンパク質の利益を高めることができる。これらの方法は、IgG抗体が遺伝子療
法ベクター又はコードされた治療用タンパク質の生物学的利用能を低下させる原因となる
状況において特に有用である。遺伝子療法ベクターは、例えば、アデノウイルス及びアデ
随伴ウイルスのようなウイルスベクターとすることができる。遺伝子療法を用いて治療
できる疾患には、限定はされないが、嚢胞性線維症血友病、PRCA、筋ジストロフィ
ー、又は例えばゴーシェ病及びファブリー病のようなリソソーム蓄積症がある。

0084

当業者は定例の実験により、どの程度の有効で毒性のない量のFcRnアンタゴニスト組成
物が抗体介在性障害の治療目的に沿うかを決定することができるだろう。例えば、治療的
活性量のポリペプチド病期(例えば、ステージI対ステージIV)、年齢性別医学
併発症(例えば、免疫抑制状態又は疾患)、及び対象の体重、及び該対象において所望の
応答を引き起こす抗体の能力のような因子によって変化し得る。投薬レジメンは最適治療
応答を提供するように調節することができる。例えば、いくつかの分割された服薬量を毎
日投与してもよいし、又は該服薬量を治療状況の緊急性によって示される通りに比例的に
減らしてもよい。しかし一般に、有効な投薬量は1日当たり約0.1〜10,000 mg/kg体重の範
囲内、例えば1日当たり約1〜1000 mg/kg体重、約10〜500 mg/kg体重、又は約50〜250 mg/
kg体重(例えば、1日当たり約70 mg/kg体重)であると予想される。

0085

(IV.医薬組成物)
別の態様において、本件開示は、本明細書に開示されるFcRnアンタゴニスト又はFcRnア
ンタゴニスト組成物及び医薬として許容し得る担体又は賦形剤を含む医薬組成物を提供す
る。適当な医薬担体の例は「レミントン薬科学(Remington's Pharmaceutical Sciences
)」(E. W. Martin編)に記載されている。賦形剤の例には、デンプングルコース、ラ
クトース、スクロースゼラチン麦芽、米、小麦粉チョークシリカゲルステア
酸ナトリウムモノステアリン酸グリセロールタルク塩化ナトリウム、乾燥スキム
ミルクグリセロールプロピレン、グリコール、水、エタノールなどを挙げることがで
きる。また、該組成物はpH緩衝試薬、及び湿潤剤又は乳化剤も含むことができる。

0086

該医薬組成物はボーラス投与による非経口投与(例えば、静脈内又は筋肉内)のために
製剤化することができる。注射用製剤は、単位剤形、例えば防腐剤の追加されたアンプル
中、又は複数回投薬容器中に提示することができる。該組成物は、懸濁液、溶液、又は油
ビヒクル又は水性ビヒクル中乳剤のような形態をとることができ、かつ懸濁剤、安定
剤、及び/又は分散剤のような配合剤(formulatory agent)を含むことができる。あるい
は、活性成分は適当なビヒクル、例えばパイロジェンフリー水で構成するための粉末形態
とすることができる。

0087

FcRnアンタゴニストは、米国特許第5,326,856号に記載されたキレート剤のようなキレ
ート剤と連結することができる。ペプチド-キレート剤複合体を続いて放射性標識し、IgG
レベルの制御を伴う疾患又は状態の診断又は治療のための造影剤を提供することができる

0088

(V.FcRnアンタゴニストの生産)
一態様において、本発明は、本明細書に開示されるFcRnアンタゴニストをコードするポ
ヌクレオチド、ベクター及び宿主細胞を提供する。また、これらのポリヌクレオチド
発現させることを含む、FcRnアンタゴニストを製造する方法も提供される。

0089

本明細書に開示されるFcRnアンタゴニストをコードするポリヌクレオチドは、典型的に
所望の量の請求されるFcRnアンタゴニストを生産するために使用することができる宿主
胞に導入するための発現ベクターに挿入される。従って、特定の態様において、本発明は
本明細書に開示されるポリヌクレオチドを含む発現ベクター並びにこれらのベクター及び
ポリヌクレオチドを含む宿主細胞を提供する。

0090

用語「ベクター」又は「発現ベクター」は、明細書及び特許請求の範囲のために、細胞
中に導入し、所望の遺伝子を細胞中で発現させるための伝達手段として、本発明に従って
使用されるベクターを意味するために本明細書において使用される。当業者に公知である
ように、そのようなベクターはプラスミドファージ、ウイルス及びレトロウイルスから
なる群から容易に選択することができる。一般に、本発明に適合するベクターは、選択マ
ーカー、所望の遺伝子のクローニングを容易にする適当な制限部位、及び真核細胞又は原
核細胞進入し、かつ/又は該細胞中で複製する能力を含むものとする。

0091

多くの発現ベクター系を本発明の目的のために利用することができる。例えば、あるク
ラスのベクターは、ウシパピローマウイルスポリオーマウイルス、アデノウイルス、ワ
クシニアウイルス、バキュロウイルス、レトロウイルス、(RSV、MMTV又はMOMLV) 又はSV4
0ウイルスのような動物ウイルスに由来するDNAエレメントを利用する。他のベクターは、
内部リボソーム結合部位を有する多シストロン性の系の使用を伴う。さらに、該DNAをそ
染色体統合した細胞は、形質移入された宿主細胞の選択を可能にする1以上のマーカ
ーを導入することにより選択することができる。該マーカーは、栄養要求性の宿主に原栄
養性を提供し、殺生物剤(例えば、抗生物質耐性又は銅のような重金属への耐性を提供
することができる。選択可能なマーカー遺伝子は、発現させるDNA配列に直接連結するか
、又は共形転換により同じ細胞に導入することができる。また、最適なmRNA合成のため
には、追加のエレメントも必要となり得る。これらのエレメントにはシグナル配列スプ
ライスシグナル、並びに転写プロモータエンハンサ、及び終止シグナルを含むことがで
きる。

0092

より一般的には、いったんFcRnアンタゴニストをコードするベクター又はDNA配列を作
製すれば、この発現ベクターを適当な宿主細胞に導入することができる。すなわち、該宿
主細胞形質転換することができる。該宿主細胞へのプラスミドの導入は、当業者に周知
の様々な技術によって達成することができる。これらには、限定はされないが、形質移入
電気泳動法及び電気穿孔法を含む)、原形質融合リン酸カルシウム沈殿法エンベロ
ープ付きDNAによる細胞融合微量注入、及び未加工ウイルスによる感染がある。Ridgway
, A. A. G.の文献「哺乳類発現ベクター(Mammalian Expression Vectors)」 24.2章, p
p. 470-472 Vectors, Rodriguez及びDenhardt編 (Butterworths, Boston, Mass. 1988)を
参照されたい。最も好ましくは、該宿主へのプラスミド導入は、電気穿孔法を介する。形
質転換された細胞を該FcRnアンタゴニストの生産に適当な条件下で増殖させ、FcRnアンタ
ゴニストの発現を検定する。例示的な検定技術には、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)
ラジオイムノアッセイRIA)、又は蛍光活性細胞選別分析FACS)、免疫組織化学
などがある。

0093

本明細書で使用される用語「形質転換」は、遺伝子型を変化させ、結果として受容株
胞に変化をもたらす該受容株宿主細胞へのDNAの導入を指すように、広い意味で使用され
るものとする。

0094

これらと同様に(Along those same lines)、「宿主細胞」は組換えDNA技術を用いて
構築され、かつ少なくとも1つの異種遺伝子をコードするベクターによって形質転換され
た細胞を指す。組換え宿主からのポリペプチドの単離方法の記載において、用語「細胞」
及び「細胞培養」は、そうでないことが明示されない限り、FcRnアンタゴニストの供給源
を意味するように、互換的に使用される。言い換えれば、FcRnアンタゴニストの「細胞」
からの回収は、スピンダウンされた全細胞から、又は培地及び懸濁細胞の両方を含む細胞
培養から回収することを意味し得る。

0095

一実施態様において、FcRnアンタゴニストの発現に使用される宿主細胞株は、哺乳類
起源とする;当業者は、特定の宿主細胞株内で発現させる所望の遺伝子産物に最適な該宿
主細胞株を決定することができる。例示的な宿主細胞株には、限定はされないが、DG44及
びDUXB11 (チャイニーズハムスター卵巣株、DHFR陰性)、HELA (ヒト子宮頸癌)、CVI(サ
腎臓株)、COS (SV40T抗原を有するCVIの派生株)、R1610 (チャイニーズハムスター
維芽細胞) BALBC/3T3 (マウス線維芽細胞)、HAK (ハムスター腎臓株)、SP2/O (マウス骨
腫)、BFA-1c1BPT (ウシ内皮細胞)、RAJI (ヒトリンパ球)、293 (ヒト腎臓)がある。一
実施態様において、細胞株は該細胞株から発現させたFcRnアンタゴニストの糖鎖付加の変
化、例えば、アフコシル化を提供する(例えば、PER.C6.RTM. (Crucell社)又はFUT8-knoc
k-outCHO細胞株 (Potelligent(商標) Cells) (Biowa社, Princeton, N.J.))。一実施
態様において、NS0細胞を使用することができる。CHO細胞は特に好ましい。宿主細胞株は
典型的に商業的サービス、アメリカ合衆国培養細胞系統保存機関(American Tissue Cult
ure Collection)、又は公表文献から入手可能である。

0096

インビトロでの生産により、スケールアップして大量の所望のFcRnアンタゴニストを得
ることが可能となる。哺乳類細胞を組織培養条件下で培養する技術は当技術分野で公知で
あり、例えばエアリフト反応器又は連続撹拌反応器内での均質懸濁培養、又は例えば、中
空繊維内、マイクロカプセル内アガロースマイクロビーズ上又はセラミックカートリッ
ジ上での固定化細胞培養若しくは捕獲細胞培養がある。必要であり、かつ/又は所望され
る場合、ポリペプチドの溶液を慣例のクロマトグラフィー法、例えばゲルろ過、イオン
クロマトグラフィーDEAE-セルロース上でのクロマトグラフィー及び/又は(免疫)ア
フィニティークロマトグラフィーにより精製することができる。

0097

また、本発明のFcRnアンタゴニストをコードする遺伝子は、細菌又は酵母又は植物細胞
のような非哺乳類細胞で発現させることもできる。この関連で、細菌のような様々な単細
胞非哺乳類微生物;すなわち、培養又は発酵において増殖させることのできる微生物もま
た形質転換させることができることが理解されよう。細菌は形質転換を受けやすく、大腸
菌(Escherichia coli)又はサルモネラ(Salmonella)の菌株のような腸内細菌科のメン
バー;枯草菌(Bacillus subtilis)のようなバチルス科(Bacillaceae);肺炎連鎖球菌
(Pneumococcus);ストレプトコッカス属(Streptococcus)、及びインフルエンザ菌(H
aemophilus influenzae)が挙げられる。細菌において発現させる場合、該FcRnアンタゴ
ニストは封入体の一部となり得ることがさらに理解されよう。該FcRnアンタゴニストは単
離され、精製され、続いて機能分子へと組立てられなくてはならない。また、原核生物
加え、真核生物の微生物も使用することができる。出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae
)、すなわち一般的なパン酵母真核微生物の中で最も一般的に使用されるが、いくつか
の他の種が一般的に利用可能である。

0098

また、細胞ベースの発現系に加え、該FcRnアンタゴニストは無細胞法又は化学合成法
用いて生産することもできる。特定の実施態様において、該FcRnアンタゴニストはイン
トロでの化学合成により生産される。

0099

(IV.実施例)
本発明は以下の実施例によりさらに例証され、これらはさらに限定するものとして解釈
されるべきではない。配列表、図面並びに本願の全体を通じて引用される全ての引用文
、特許、及び公開された特許出願の内容は、明白に引用により本明細書に組み込まれる。

0100

(実施例1:カニクイザルにおける血清IgGレベルに対するFc-Abdegの効果)
トレーサ抗体の血清IgGレベルに対するヒト抗リゾチームIgG(HEL-Abdeg)及びそれぞ
れEU位置252、254、256、433、434、及び436にアミノ酸Y、T、E、K、F、及びYを含むヒト
IgGFc領域(Fc-Abdeg)(Fc-Abdeg;配列番号:2)の効果をカニクイザルにおいて決定
した。具体的には、カニクイザルに1 mg/kgの抗マウスCD70 hIgG1トレーサ抗体(FR70-hI
gG1; Oshimaらの文献、Int Immunol 10(4): 517-26 (1998))を静脈内ボーラス投与によ
り投与した。5分後、動物に7 mg/kg Fc-Abdeg、20 mg/kg HEL-Abdeg、又はPBSのいずれか
注入した(群当たり2個体のサル)。注入を1時間以内に実施し、動物に10 ml/kgの分量
を投与した。血液試料(3×150 μl)を投薬の5分前に採取し(「投薬前」)、注入の終
了から5分、2時間、6時間、24時間、48時間、72時間、96時間及び120時間後に採取した。
トレーサレベルをmCD70結合ELISAを実施することにより決定し、データを投薬終了時のト
レーサレベルに対してプロットした(図1)。また、全カニクイザルIgGレベルも決定した
(図2)。これらの実験結果はFc-Abdegが、等量のHEL-Abdegよりも効率的にトレーサ抗体
を減少させたことを示している。

0101

IgGの再利用経路におけるその重要な役割に加え、FcRnはアルブミン恒常性にも関係
する(Chaudhuryらの文献、J Exp Med. 197(3):315-22 (2003))。FcRnはIgG-Fc及びアル
ブミンと異なる部位で相互作用し、結合は同時に起こり得る(Andersenらの文献、Nat Co
mmun. 3:610 (2012))。概念上、Abdegを改変した分子を用いてIgG再循環を阻止すること
により、アルブミン-FcRn相互作用が干渉されるべきでない。この仮説はマウスのインビ
試験において確かめられた。ここでは、発明者らはAbdegを備えたhIgG1分子がアルブミ
ンレベルに何ら影響しないことを示した(Patelらの文献、J Immunol 187(2): 1015-22 (
2011))。また、先に記載の実験において、注入の終了から-3日、3日及び17日後にアルブ
ミンレベルも決定された。マウスでの試験と同様、Fc-Abdeg又はHEL-Abdeg処置後にアル
ブミンレベルの有意な変化は観察されなかった(図3を参照されたい)。

0102

続く実験において、Fc-Abdegの抗体除去効力をIVIGと比較した。具体的には、70 mg/kg
Fc-Abdeg又は2 g/kg IVIGによる投薬の2日前に1 mg/kgトレーサ抗体 (FR70-hIgG1)をカ
ニクイザルに投与した(群当たり2個体のサル)。Fc-Abdeg及びIVIGの注入は4時間以内に
実施し、動物に20 ml/kgの分量を投与した。血液試料(3×150 μl)を投薬の5分前に採
取し(「投薬前」)、注入の終了から5分、2時間、6時間、24時間、48時間、72時間、96
時間、120時間、及び168時間後に採取した。トレーサレベルをmCD70結合ELISAにより決定
し、投薬前のレベルに対してプロットした(図4)。臨床投与量(2 g/kg)のIVIG処置と
比較し、70 mg/kg Fc-Abdegは有意に高められたトレーサ排除の動態を示し、またより効
率的に排除することができた(Abdegについて、4日で>95%のトレーサ排除、対しIVIGに
ついて、7日で〜75%の排除)。

0103

(実施例2:Fc-AbdegのヒトCD16a及びマウスCD16-2への親和性に対するアフコシル化の効
果)
Fc-AbdegのhCD16aへの結合親和性を決定し、アフコシル化形態(Fc-Abdeg-POT)と比較
した。同実験には、全てのFcγRに対する親和性の向上を示すFc-Abdegバリアント(「Fc-
Abdeg-S239D/I332E」)を含めた。具体的には、Maxisorpプレートを100 ng/ウェルのNeut
ravidinビオチン結合タンパク質(ThermoScientific, 31000)でコーティングし、4℃で
一晩インキュベートした。翌日、該プレートをPBS+1%カゼインにより室温で2時間ブロ
キングした。続いて、ビオチン標識hCD16a(Sino Biological社, 10389-H27H1-B)の25
0 ng/ml溶液(PBS+0.1%カゼイン中に希釈)100 μl/ウェルを該プレートに加え、Fc-Ab
deg又はFc-Abdeg-POT分子の濃度勾配(1 μM〜0.005 nM)を適用する前に室温で1時間イ
ンキュベートし、適用してからさらに1時間インキュベートした。hCD16aへの結合はHRP結
ポリクローナルヤギ抗ヒトFc抗体(Jackson ImmunoResearch社, 109-035-008)(室温
で1時間インキュベート、PBS+0.1%カゼイン中に1/50,000希釈)を用いて、続いて100
μlの室温に平衡化させたTMB(SDT社試薬#s TMB)を追加することにより検出した。プレ
ートを10分間インキュベートし、その後100 μl 0.5 N H2SO4を加え、OD450nm測定を行っ
た。EC50値をGraphPad Prismソフトウェアを用いて決定した。図5に記載されたこれらの
実験の結果は、Fc-Abdeg分子が脱フコシル化されるとhCD16aへの親和性が>30倍上昇する
ことを示している(Fc-Abdeg-POTについてEC50=13 nM、対しフコシル化Fc-Abdegについ
てEC50>0.4 μM)。予想された通り、Fc-Abdeg-S239D/I332EバリアントのhCD16aに対す
る結合親和性は野生型Fc-Abdeg (EC50=6 nM)と比較して高かった。

0104

先に記載の手順と類似した実験手順を用い、マウスCD16-2(Sino Biological社, 50036-
M27H-B)に対する結合親和性を決定した。図6に記載されたこれらの実験の結果は、またし
ても野生型Fc-Abdegと比較してアフコシル化バリアントの親和性が高いことを示している
(EC50=11 nM対EC50>100 nM)。野生型Fc-Abdegに対するFc-Abdeg-POTバリアントのmCD16
-2に対する親和性の倍数上昇は、ヒトCD16aへの結合について観察された倍数上昇と比較
して低い。この効果はFc-Abdeg-S239D/I332Eバリアント(EC50=2 nM)については観察され
ず、該バリアントはヒト及びマウスCD16の両方に対し野生型Fc-Abdegと比較して同程度の
親和性の倍数上昇を有する(EC50=2 nM)。

0105

自己抗原と複合体を形成した自己抗体は活性化したFcγRと結合し、それにより自己
疫性疾患の誘因となる。自己免疫性疾患は部分的に自己組織に対する免疫学的介在性炎症
が原因で発生する。Fc-AbdegがNK細胞上で自己免疫性抗体及びFcγRIII受容体の相互作用
と拮抗する能力を、2つのADCCベースの検定において評価した。

0106

最初に、ADCCレポーター生物検定(Promega社, G7016)を使用して、Fc-Abdeg、Fc-Abd
eg-POT及びFc-Abdeg-S239D/I332Eの競合的なhCD16a結合効力を分析した。具体的には、10
0 ng/mlの抗CD20抗体及び上昇濃度の競合因子の存在下、10,000個のCD20発現Raji細胞(
標的細胞)を、60,000個のhCD16aを発現するJurkat細胞エフェクター細胞)とともにイ
ンキュベートした。細胞を37℃で6時間インキュベートし、その後ADCC活性規準である
生物発光シグナルを測定した。ルシフェラーゼシグナルを競合因子の非存在下で100 ng/m
l抗CD20により得られたシグナルに対してプロットした(図7を参照されたい)。これらの
実験はFc-Abdeg-POT及びFc-Abdeg-S239D/I332Eの両方が抗CD20誘発性のADCCシグナルを効
率的に阻止し、対して野生型Fc-AbdegによるインキュベーションがJurkat細胞上に発現す
るhCD16aに対する競合的結合をもたらさないことを示している。

0107

次のADCC検定において、Fc-Abdeg及びFc-Abdeg-POTによる抗hCD70抗体(27B3-hIgG1)
溶解活性の阻害を、競合的hCD16結合の規準として試験した。具体的には、約50,000個
のhCD70発現U266細胞を、50 ng/mlの抗hCD70抗体並びにFc-Abdeg、Fc-Abdeg-POT及びIVIG
の濃度勾配の存在下で約300,000個の健康なドナーから直前に精製したPBMC中に添加した
。U266細胞を2日間インキュベートし、続く細胞溶解をU266細胞に特異的なマーカー(CD2
8)を用いたFACSにより分析した。図8に記載されたこれらの実験の結果は、抗CD70抗体
効率的にU266細胞を溶解し、Fc-Abdeg-POTの追加により、この除去を用量依存的な様式で
弱めることができるが、野生型Fc-Abdeg及びIVIGのいずれによってもこの除去を弱めるこ
とができないことを示している。これらのデータはFc-Abdeg POTが野生型Fc-Abdeg及びIV
IGと比較して高められた競合的CD16a結合特性を有することを示している。

0108

(実施例3:マウス急性ITPモデル)
Fc-Abdeg、Fc-Abdeg-POT、Fc-Abdeg-S239D/I332E分子の治療効力を急性免疫性血小板
少症のマウスモデルにおいて試験した。具体的には、C57BL/6マウスを腹腔内注入によりI
VIG (20 mg/動物)、Fc-Abdeg (1 mg/動物)、Fc-Abdeg-POT (1 mg/動物)、Fc-Abdeg-S239D
/I332E (1 mg/動物)又は生理食塩水で処置した(5個体の動物/群)。処置前に、ベースラ
インの血小板数の測定のため血液試料を採取した。1時間後、マウスを5 μg/動物の抗マ
ウス血小板抗体MWReg30 (Nieswandtらの文献、Blood 94:684-93 (1999))で処置した。血
小板数を24時間にわたりモニタリングした。各マウスについて血小板数を最初の数に対し
正規化し、血小板数を抗CD61染色を介したフローサイトメトリーを用いて決定した。図
9に記載されたこれらの実験の結果は、Fc-Abdegによる前処理によりMWReg30誘発性の血小
板減少症が、7倍高いモル用量のIVIGと比較して同程度の効力で低下すること、並びにさ
らに、180分及び1440分時点における血小板数の向上から見て取れるように、Fc-Abdeg PO
T及びFc-Abdeg-S239D/I332EによるFcγRの阻止はこのモデルにおいて相乗的な利益的効果
を有することを示している。

0109

(実施例4:Fc-Abdegの製造性)
Fc-Abdeg(配列番号:2を有するFcドメインを含む)を一過性形質移入によりCHO細胞(
Evitria社, Switzerland)で生産した。形質移入に続き、高力価のFc-Abdegを上清中で検
出した(200〜400 mg/ml)。Fc-AbdegをCHO GS-XCEED細胞株(Lonza社, Great-Britain)
に安定的に組み込んだ発現構築物から発現させた場合も、同様の良好な生産プロファイル
が見られた。安定形移入体は10 L撹拌タンク生物反応器中で、平均して3 g/L産生し、
最大で6 g/LのFc-Abdegを生産するクローンがいくつか同定された。

実施例

0110

先述のFc-Abdeg生産ラン(production runs)のプロテインA精製後の凝集体及び分解産
物の分析により、Fc-Abdegの製造性をさらに調査した。具体的には、137 μgのFc-Abdeg
をAktaPurifierクロマトグラフィーシステムに接続したSuperdex 200 10/300 GLゲルろ過
カラム(GE Healthcare社)上に加えた。図10に記載されたこの実験の結果は、非常に小
さなパーセンテージのFc-Abdeg凝集体(〜0.5%)のみが観察され、一方Fc-Abdeg分解産
物は検出されなかったことを示していた。さらに、プロテインA精製したFc-Abdegに様々
ストレス条件凍結融解、回転又は温度ストレス)を適用しても、物理化学的及び機能
的特性における容易に認められる変化をもたらさなかった。まとめると、これらのデータ
はFc-Abdegの優れた製造性を示している。

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