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技術 圧電材料とその製造方法及びインジェクタ

出願人 株式会社SOKEN株式会社デンソー
発明者 進藤仁志中瀬善博寺西真哉浅野浩章
出願日 2017年10月12日 (1年11ヶ月経過) 出願番号 2017-198730
公開日 2019年5月16日 (4ヶ月経過) 公開番号 2019-075419
状態 未査定
技術分野 圧電、電歪、磁歪装置 燃料噴射装置 酸化物セラミックスの組成2
主要キーワード 最大最小差 変位量特性 三乗根 基準密度 溶比率 Sb酸化物 乖離幅 各温度領域
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (20)

課題

PZT系の圧電材料において、変位温度特性をよりフラットにして、室温から高温まで安定して高い変位量を実現する圧電材料を提供すること。

解決手段

一般式ABO3で表されるペロブスカイト型酸化物を主成分とする圧電材料であって、第1成分が、Pb(Zr,Ti)O3を基本組成とし、Aサイト置換元素としてBa及びSrを、総置換量が10モル%以下となる範囲で含み、Bサイトの置換元素としてY及びNbを1:1のモル比で、総置換量が5モル%以下となる範囲で含むPZT系材料であると共に、Zr及びTiの合計に対するTiのモル比率が、45モル%超49.5モル%未満であり、第2成分が、KNbO3であると共に、上記第1成分に対する上記第2成分の添加量が、1モル%超15モル%未満である。

概要

背景

圧電材料は、電気的エネルギー機械的エネルギーに変換し(すなわち、逆圧電効果)、あるいは機械的エネルギーを電気的エネルギーに変換する作用を有しており(すなわち、圧電効果)、これらを応用したアクチュエータモータセンサ等が広く知られている。圧電アクチュエータは、印加電圧に応じた変位を発生し、高応答であることから、例えば、車両用燃料噴射装置に用いられて、インジェクタの駆動部を構成し、燃料噴射を高度に制御可能としている。

セラミックス材料である圧電材料は、一般に、A(2価)B(4価)O3、A(1価)B(5価)O3、あるいは、A(3価)B(3価)O3で表記されるペロブスカイト構造を有する。これらペロブスカイト型酸化物に、必要性能(例えば、変位、応答性、逆圧電効果、圧電効果)に合わせて、価数の同異関係なく種々の元素を含む物質を添加し、固有物性値を有するペロブスカイト型酸化物として利用することが行われている。具体的には、所望の元素を、ペロブスカイト構造の物質を形成して固溶させたり、酸化物他各種材料として一時的に共晶反応を起こさせたりすることにより置換させ、場合によっては界面にその一部を、ペロブスカイト構造とは異なる材料や圧電性を持たない材料として微量に有する構成とすることができる。

その中でも、2価のPbと、4価のZr、Tiを組み合わせたPb(Zr,Ti)O3を基本組成とするPZT系材料は、変位が相対的に大きいことが知られている。そこで、さらに変位量を向上させるために、PZTの構成の一部(例えば、AサイトかBサイト)を、多種の元素で少量置換した複合ペロブスカイト構造の圧電材料の研究が進められている。

例えば、特許文献1には、車載用機器等に用いられるPZT系の圧電材料として、Pb(Ti,Zr,Y,Nb)O3で表される複合ペロブスカイト酸化物のAサイトに、2価の置換元素、又は、3価の置換元素を導入した複合酸化物が開示されている。2価の置換元素は、SrとBaであり、3価の置換元素は、Ce及びLaの1つ以上とされ、置換量置換比率所定範囲にすることで、高キュリー点、高変位量が期待される。

概要

PZT系の圧電材料において、変位の温度特性をよりフラットにして、室温から高温まで安定して高い変位量を実現する圧電材料を提供すること。一般式ABO3で表されるペロブスカイト型酸化物を主成分とする圧電材料であって、第1成分が、Pb(Zr,Ti)O3を基本組成とし、Aサイトの置換元素としてBa及びSrを、総置換量が10モル%以下となる範囲で含み、Bサイトの置換元素としてY及びNbを1:1のモル比で、総置換量が5モル%以下となる範囲で含むPZT系材料であると共に、Zr及びTiの合計に対するTiのモル比率が、45モル%超49.5モル%未満であり、第2成分が、KNbO3であると共に、上記第1成分に対する上記第2成分の添加量が、1モル%超15モル%未満である。

目的

さらに、このような圧電材料を用いた圧電積層体駆動源とすることで、制御圧力を広い温度域で安定に得ることができ、良好な駆動性能を有するインジェクタを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

一般式ABO3で表されるペロブスカイト型酸化物を主成分とする圧電材料であって、第1成分が、Pb(Zr,Ti)O3を基本組成とし、Aサイト置換元素としてBa及びSrを、総置換量が10モル%以下となる範囲で含み、Bサイトの置換元素としてY及びNbを1:1のモル比で、総置換量が5モル%以下となる範囲で含むPZT系材料であると共に、Zr及びTiの合計に対するTiのモル比率が、45モル%超49.5モル%未満であり、第2成分が、KNbO3であると共に、上記第1成分に対する上記第2成分の添加量が、1モル%超15モル%未満である、圧電材料。

請求項2

上記ペロブスカイト型酸化物は、下記式1で表される、請求項1に記載の圧電材料。式1:(Pb1-x-yBaxSry)a{(Zr1-bTib)1-c(Y0.5Nb0.5)c}O3+αKNbO3ただし、式1中、x、y、a〜c、αは、以下を満足する。0<x+y≦0.1、x,y>01≦a≦1.010.45<b<0.495、0.505<1−b<0.550<c≦0.051<α<15(単位:モル%)

請求項3

副成分として、Sb及びNbのうち少なくとも1つの酸化物を、さらに含有する、請求項1又は2に記載の圧電材料。

請求項4

上記ペロブスカイト型酸化物は、下記式2で表される、請求項3に記載の圧電材料。式2:(Pb1-x-yBaxSry)a{(Zr1-bTib)1-c(Y0.5Nb0.5)c}O3+αKNbO3+βNb2O5+γSb2O3ただし、式2中、x、y、a〜c、α、β、γは、以下を満足する。0<x+y≦0.1、x,y>01≦a≦1.010.45<b<0.495、0.505<1−b<0.550<c≦0.051<α<15(単位:モル%)0<β+γ≦0.5(単位:質量%)

請求項5

上記第1成分と上記第2成分は、少なくとも一部又は全部が固溶している、請求項1〜4のいずれか1項に記載の圧電材料。

請求項6

請求項1〜5のいずれか1項に記載の圧電材料を製造する方法であって、上記第1成分の出発原料となる化合物調合し、混合して仮焼する工程と、上記第2成分の出発原料となる化合物を調合し、混合して仮焼する工程と、上記第1成分及び上記第2成分の仮焼物を混合して成形する工程と、得られた成形物焼成する工程とを有する、圧電材料の製造方法。

請求項7

請求項1〜5のいずれか1項に記載の圧電材料からなる圧電セラミックス層電極層とを交互に積層した圧電積層体(101、201)を駆動源として備え、上記圧電積層体を伸縮動作させることにより、ノズルニードル(102、202)の制御圧力増減させて、噴孔(103、203)を開閉する、インジェクタ(I)。

技術分野

0001

本発明は、例えば、車載装置の駆動部等に用いられる圧電材料とその製造方法、圧電材料を用いた駆動部を備えるインジェクタに関する。

背景技術

0002

圧電材料は、電気的エネルギー機械的エネルギーに変換し(すなわち、逆圧電効果)、あるいは機械的エネルギーを電気的エネルギーに変換する作用を有しており(すなわち、圧電効果)、これらを応用したアクチュエータモータセンサ等が広く知られている。圧電アクチュエータは、印加電圧に応じた変位を発生し、高応答であることから、例えば、車両用燃料噴射装置に用いられて、インジェクタの駆動部を構成し、燃料噴射を高度に制御可能としている。

0003

セラミックス材料である圧電材料は、一般に、A(2価)B(4価)O3、A(1価)B(5価)O3、あるいは、A(3価)B(3価)O3で表記されるペロブスカイト構造を有する。これらペロブスカイト型酸化物に、必要性能(例えば、変位、応答性、逆圧電効果、圧電効果)に合わせて、価数の同異関係なく種々の元素を含む物質を添加し、固有物性値を有するペロブスカイト型酸化物として利用することが行われている。具体的には、所望の元素を、ペロブスカイト構造の物質を形成して固溶させたり、酸化物他各種材料として一時的に共晶反応を起こさせたりすることにより置換させ、場合によっては界面にその一部を、ペロブスカイト構造とは異なる材料や圧電性を持たない材料として微量に有する構成とすることができる。

0004

その中でも、2価のPbと、4価のZr、Tiを組み合わせたPb(Zr,Ti)O3を基本組成とするPZT系材料は、変位が相対的に大きいことが知られている。そこで、さらに変位量を向上させるために、PZTの構成の一部(例えば、AサイトかBサイト)を、多種の元素で少量置換した複合ペロブスカイト構造の圧電材料の研究が進められている。

0005

例えば、特許文献1には、車載用機器等に用いられるPZT系の圧電材料として、Pb(Ti,Zr,Y,Nb)O3で表される複合ペロブスカイト酸化物のAサイトに、2価の置換元素、又は、3価の置換元素を導入した複合酸化物が開示されている。2価の置換元素は、SrとBaであり、3価の置換元素は、Ce及びLaの1つ以上とされ、置換量置換比率所定範囲にすることで、高キュリー点、高変位量が期待される。

先行技術

0006

特開2001−322870号公報

発明が解決しようとする課題

0007

ところで、車載装置用のアクチュエータは、使用温度域が広いことから、変位量が大きいだけでなく、低温から高温にわたって、安定した変位量を維持することが必要とされる。ところが、従来の圧電材料は、必ずしも低温から高温の温度域の広い範囲において安定した変位が得られない場合があった。例えば、特許文献1に記載される圧電材料においても、3価の置換元素を導入したものは、焼成温度を同等にすると焼結性が悪く十分な変位量が得られず、2価の置換元素を導入したものも、室温から100℃前後の温度域において変位量が変動したり、より高温側ににおいて変位量が増大したりすることが判明した。

0008

このような圧電材料を、駆動部の変位によりノズルニードル直接駆動する直動式のインジェクタに用いた場合には、例えば、高温側での変位に合わせた制御を行うと、より低い室温近傍の温度域において、変位量の不足が発生することになる。そのため、低温域での作動が不十分となって、ノズルニードルが十分にリフトせず、燃料が十分にノズルシートを通らずに、燃料噴射量が不足する結果、エンジントルク不足となるおそれがあった。その対策として、温度に応じて噴射時間を調整するといった取り組みも可能ではあるが、製品化においては現実的ではない。

0009

本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、車載用機器等に用いられるPZT系の圧電材料において、変位の温度特性をよりフラットにして、室温から高温まで安定して高い変位量を実現する圧電材料とその製造方法、そのような圧電材料を駆動部に使用するインジェクタを提供しようとするものである。

課題を解決するための手段

0010

本発明の一態様は、
一般式ABO3で表されるペロブスカイト型酸化物を主成分とする圧電材料であって、
第1成分が、Pb(Zr,Ti)O3を基本組成とし、Aサイトの置換元素としてBa及びSrを、総置換量が10モル%以下となる範囲で含み、Bサイトの置換元素としてY及びNbを1:1のモル比で、総置換量が5モル%以下となる範囲で含むPZT系材料であると共に、Zr及びTiの合計に対するTiのモル比率が、45モル%超49.5モル%未満であり、
第2成分が、KNbO3であると共に、上記第1成分に対する上記第2成分の添加量が、1モル%超15モル%未満である、圧電材料にある。

0011

本発明の他の態様は、上記圧電材料を製造する方法であって、
上記第1成分の出発原料となる化合物調合し、混合して仮焼する工程と、上記第2成分の出発原料となる化合物を調合し、混合して仮焼する工程と、上記第1成分及び上記第2成分の仮焼物を混合して成形する工程と、得られた成形物焼成する工程とを有する、圧電材料の製造方法にある。

0012

本発明のさらに他の態様は、上記圧電材料からなる圧電セラミックス層電極層とを交互に積層した圧電積層体(101、201)を駆動源として備え、上記圧電積層体を伸縮動作させることにより、ノズルニードル(102、202)の制御圧力増減させて、噴孔(103、203)を開閉する、インジェクタ(I)にある。

発明の効果

0013

圧電材料の主成分であるペロブスカイト型酸化物は、第1成分として、所定の組成のPZT系材料を含み、第2成分として、KNbO3を含む。第1成分は、PZTのAサイトに、いずれも2価のBaとSrの両方を導入し、Bサイトに3価のYと5価のNbを1:1で導入して、それらの置換量を所定範囲とすることで、高い変位量を実現する。また、Tiのモル比率を所定の範囲とし、さらに、第2成分として、KNbO3を所定の範囲で添加することで、高い変位量を維持しながら、その変動を抑制することができる。KNbO3は、低温域から高温域にかけて多様な結晶相相転移するので、第1成分に添加されることで、広い温度域で多種の結晶構造の安定性を高める。これにより、比較的小さな電場がかかるだけでも結晶構造が変化しやすくなり、その結果、結晶構造により異なる方位分極を形成するので、分極方位選択肢が多くなる。つまり、広い温度域で分極の方位が揃いやすくなり、変位の温度特性をフラットにする効果が得られる。

0014

上記態様によれば、車載用機器等に用いられるPZT系の圧電材料において、変位の温度特性をよりフラットにして、室温から高温まで安定して高い変位量を実現することができる。この圧電材料は、第1成分の出発原料と、第2成分の出発原料とを、それぞれ調整して仮焼した後、得られた仮焼物を混合して焼成する製造方法により、多様な組成の粒子集合体として得られ、温度特性を良好にする。さらに、このような圧電材料を用いた圧電積層体を駆動源とすることで、制御圧力を広い温度域で安定に得ることができ、良好な駆動性能を有するインジェクタを提供することができる。
なお、特許請求の範囲及び課題を解決する手段に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。

図面の簡単な説明

0015

実施形態1における、圧電材料の構成と組成を説明するための模式図。
実施形態1における、圧電材料を構成するぺロブスカイト型酸化物の第1成分であるPZT系材料の相平衡図。
実施形態1における、PZT系材料の組成比と結晶構造及び自由エネルギーの関係を示す図と正方晶から菱面体晶に変化するときの自由エネルギーの変化の概念図。
実施形態1における、PZT系材料の組成比とMPB領域及び変位の温度依存性の関係を示す図。
実施形態1における、PZT系材料の結晶構造と分極方向及びその自由度を示す図。
実施形態1における、PZT系材料の温度と自由エネルギーの大小の変化に伴う結晶相の変化と対称性の低い結晶構造:単斜晶準安定相として持つ時のエネルギー障壁の低下を示すMPB領域近傍の結晶相変化に伴う自由エネルギーの変化図。
実施形態1における、PZT系材料の温度と静電容量の関係を示す図。
実施形態1における、PZT系材料の低温側の結晶相の安定化に伴う相転移点の変化を示す図。
実施形態1における、圧電材料を構成する結晶誘電率及び自由エネルギーと相転移点の関係を示す図。
実施形態1における、圧電材料を構成する結晶粒子多様化と誘電率又は変位の温度特性の関係を示す図。
実験例1における、圧電材料を構成するPbOとSb2O3の相平衡状態図。
実験例1における、圧電材料のサンプル(すなわち、実施例1と比較例1〜2)の変位の温度特性を比較して示す図。
実験例1における、圧電材料のサンプル(すなわち、実施例2)の変位の温度特性を示す図。
実験例2における、圧電材料のサンプル(すなわち、実施例1〜2と比較例3)の誘電率の温度特性を比較して示す図。
実施形態1における、圧電材料のサンプル(すなわち、実施例1〜2と比較例1〜4)について、圧電特性測定時の極大値及び極小値を示す周波数の差δfと電気機械結合係数Kp及び平均密度との関係を、それぞれ比較して示す図。
実施形態1における、圧電材料のサンプル(すなわち、実施例1〜2と比較例1〜4)の圧電歪定数d33を測定した結果を比較して示す図。
実験例3における、圧電材料のサンプル(すなわち、比較例5、6)の焼成温度と密度の関係を示す図。
実験例3における、圧電材料のサンプル(すなわち、参考例1、2)の焼成温度と密度の関係を示す図。
実験例4における、圧電材料のサンプル(すなわち、比較例7)を用いた圧電積層体の変位の温度特性を比較して示す図。
実験例4における、圧電材料に各種副成分を添加したサンプル(すなわち、参考例3)の変位の温度特性を比較して示す図。
実験例5における、PZT系材料の結晶構造とAサイト及びBサイトイオン半径との関係を示す図。
実験例5における、圧電材料の各サンプル(すなわち、実施例1と比較例2)の結晶構造のX線回折による測定結果を比較して示す図。
実験例4における、圧電材料のサンプル(すなわち、比較例2)の結晶構造のX線回折による測定原理と測定結果を説明するための図。
実施形態2における、圧電積層体を駆動源とする加圧型インジェクタの概略構成図。
実施形態2における、圧電積層体を駆動源とする加圧型インジェクタの概略構成図。

実施例

0016

(実施形態1)
圧電材料とそれを使用するインジェクタに係る実施形態について、図面を参照して説明する。
本形態による圧電材料は、一般式ABO3で表されるペロブスカイト型酸化物を主成分とし、広い温度範囲において高変位量となる特性を示す圧電セラミックス材料である。圧電材料となるペロブスカイト型酸化物は、第1成分として、チタン酸ジルコン酸鉛、すなわち、Pb(Zr,Ti)O3を基本組成とするPZT系材料を含む。また、第2成分として、ニオブ酸カリウム、すなわち、KNbO3を含む。
このような圧電セラミックス材料は、例えば、車両用燃料噴射システムにおいて、インジェクタ用の圧電アクチュエータの構成材料として好適に用いられる。圧電アクチュエータは、インジェクタの噴射孔を開閉するための駆動部を構成する。インジェクタは、例えば、直動型又は圧力伝達型とすることができ、それらの詳細構成については、後述する。

0017

ペロブスカイト型構造を有する第1成分は、Aサイト及びBサイトに、それぞれ複数の置換元素を所定の割合で含むことにより、高変位を実現する。具体的には、第1成分は、AサイトのPbの置換元素としてBa及びSrを、総置換量が10モル%以下となる範囲で含み、Bサイトの置換元素としてY及びNbを1:1のモル比で、総置換量が5モル%以下となる範囲で含む。また、BサイトのZr及びTiの合計に対するTiのモル比率は、45モル%超49.5モル%未満とするのがよい。

0018

この第1成分に、さらに、ペロブスカイト型構造の第2成分を添加することにより、高変位を維持しながら、変位の温度特性をよりフラットにする効果が得られる。第1成分を100モル%としたとき、第2成分の添加量は、1モル%を超え、15モル%未満であるのがよい。

0019

ここで、圧電材料は、主成分となるペロブスカイト型酸化物のみで構成されていてもよく、その場合においても、ペロブスカイト型の第1成分及び第2成分以外に、例えば、出発原料に起因する不可避不純物を含むことができる。また、後述するように、主成分となるペロブスカイト型酸化物の特性を向上させる目的で、副成分を添加することもできる。

0020

主成分となるペロブスカイト型酸化物は、第1成分及び第2成分を用いて、好適には、下記式1で表される。
式1:(Pb1-x-yBaxSry)a{(Zr1-bTib)1-c(Y0.5Nb0.5)c}O3+αKNbO3
ただし、式1中、x、y、a〜c、αは、以下を満足する。
0<x+y≦0.1、x,y>0
1≦a≦1.01
0.45<b<0.495、0.505<1−b<0.55
0<c≦0.05
1<α<15(単位:モル%)

0021

第1成分は、Aサイトに、Pbの置換元素としてBa及びSrの双方を含み、Ba、Srの置換量は、それぞれ0モル%を超える(すなわち、x,y>0)。Aサイトの置換元素であるBa及びSrは、いずれもPbと同じ2価であり、電荷補償されるので、空孔は形成されない。Baのイオン半径はPbよりも大きく、Srのイオン半径はPbよりも小さいので、これらの両方を置換元素として含むことで、構造が安定になり、Aサイトの総置換量を比較的多くしてもキュリー点の低下を抑制可能になると推測される。
具体的には、Ba及びSrによるAサイトの総置換量は、10モル%以下とするのがよく(すなわち、x+y≦0.1)、キュリー点の低下を抑制しつつ、室温又は高温(例えば、150℃)において変位量を向上させる効果が得られる。この効果を得るために、BaとSrを同量置換する必要はないが、好適には、Baの置換量とSrの置換量を同等程度にすることで、構造がより安定になり、望ましい。

0022

また、第1成分は、Bサイトに、Zr及びTiを含むと共に、それらの置換元素としてYとNbを1対1のモル比で含む(すなわち、Y:Nb=50モル%:50モル%)。BサイトのZr及びTiは、いずれも4価であり、置換元素である3価のYと5価のNbを1対1のモル比とすることにより、電荷が補償され、空孔は生じない。Aサイトに加えてBサイトに置換元素を導入することで、変位量をより向上させる効果が得られる。この効果を得るために、Y及びNbによるBサイトの総置換量は、0モル%を超え、5モル%以下の範囲とするのがよく(すなわち、0<c≦0.05)、5モル%を超えると、変位量の向上効果が低下する。

0023

なお、AサイトとBサイトは、理論上は1対1のモル比であればよいが、AサイトのPbが昇華性を有することを考慮して、Aサイトが過剰となるように、モル比を設定してもよい。具体的には、Bサイト:Aサイト=1:1〜1.01として、Aサイトを1モル%程度の範囲で増加させることができる(すなわち、1≦a≦1.01)。

0024

また、第1成分は、結晶構造が変化する相境界の近傍において、変位量を向上する効果が高い。相境界は、Zr/Ti比が1を超えた付近にあり、BサイトのZrとTiのモル比が増減することで、結晶の安定性が変化して相転移点がシフトする。Tiのモル比率が、45モル%を超えて大きくなると、低温側において変位を向上させる効果が高くなり、変位の温度特性のフラット化に寄与する。一方、Zrのモル比率が小さくなると、焼結性が低下するおそれがあるので、Tiのモル比率は、49.5モル%未満の範囲とするのがよく(すなわち、0.45<b<0.495)、高い変位量を安定して得ることが可能になる。このとき、Zrのモル比率は、50.5モル%を超え55モル%未満の範囲となり(すなわち、0.505<1−b<0.55)、Zr/Ti比は、1.02を超え1.22未満の範囲となる。

0025

より好適には、ZrとTiのモル比は、Tiが46モル%以上49モル%以下の範囲(すなわち、0.46≦b≦0.49)、Zrは、51モル%以上54モル%以下の範囲(すなわち、0.51≦1−b≦0.54)にあるとよく、焼結性の低下を抑制して十分な密度を確保しながら、変位の温度特性のフラット化に寄与する。なお、このとき、Zr/Ti比は、1.04以上1.17以下の範囲となる。さらに好適には、Tiが46.5モル%以上48.5モル%以下の範囲、Zrが51.5モル%以上53.5モル%以下の範囲にあるとよく、このとき、Zr/Ti比は、1.06以上1.15以下の範囲となる。

0026

このような第1成分に対して、第2成分として、KNbO3を所定の割合で添加する。KNbO3は、非鉛材料のぺロブスカイト型酸化物であり、低温域から室温、高温域において、多様な結晶相に相転移するので、第1成分であるPZT系材料に添加されることで、各結晶構造の安定性を高めることができる。KNbO3は、第1成分のPb(Zr,Ti)O3構造中に、一部又は全部が固溶していてもよい。

0027

この場合、第1成分及び第2成分を含むぺロブスカイト型酸化物は、(Pb,Ba,Sr,K)(Zr,Ti,Y,Nb)O3とも記述できる。高変位材料を得ることを目的とする上述の特許文献1に記載される圧電材料の中で、(Pb,Ba,Sr)(Zr,Ti,Y,Nb)O3系材料が良好な特性を有することが判明しており、Zr/Ti比を変位の温度特性のフラット化に寄与する範囲とし、さらに、KNbO3を固溶させることで、変位の温度特性を効果的に改善することが可能になる。

0028

これにより、圧電材料の温度特性がさらに改善され、変位量が温度に依存して変動するのを抑制して、フラットな温度特性が得られる。この効果を得るために、第2成分の添加量は、1モル%を超え、15モル%未満となるように調整されるのがよい(すなわち、1<α<15;単位:モル%)。このとき、第2成分は、第1成分を基準として、外添加されるものとし、例えば、第1成分100モル%に対して10モル%以下の範囲で添加され、合計で110モル%以下となる。

0029

なお、第2成分は、KNbO3を主体とすることが望ましいが、例えば、Aサイト又はBサイトにごく少量の置換元素を含むことを妨げるものではない。
例えば、Aサイトの置換元素としては、Na、Liが、Bサイトの置換元素としては、Taが挙げられる。

0030

図1に模式的に示すように、このような第1成分及び第2成分を含む圧電材料1は、多数の粒子が集合した多結晶体10にて構成される。多数の粒子は、均一な組成を有している必要はなく、使用温度域において、異なる結晶相を有する粒子11〜13が混在する構成とすることができる。例えば、多数の粒子には、第1成分であるPZT系材料を主体とし、常温において正方晶の粒子11や、第1成分であるPZT系材料を主体とし、常温において菱面体晶の粒子12や、第2成分であるKNbO3を主体とし、常温において斜方晶の粒子13が含まれる。粒子13の主体となるKNbO3は、図1中に示すように、例えば、−10℃以下では菱面体晶、−10℃から225℃では斜方晶、225℃から435℃で正方晶、435℃以上で立方晶となる。立方晶となる435℃を、キュリー点と呼ぶ。

0031

このとき、粒子11、12は、他の成分として、第2成分であるKNbO3を含むことができる。同様に、粒子13は、他の成分として、第1成分であるPZT系材料を含むことができる。このように、圧電材料は、多結晶体10の全体として、第1成分と第2成分とを所定の組成及び割合で含んでいればよい。圧電材料の特性は、多量の粒子によって平均化され、上記式1、式2で表される同等組成の材料は、全体として同等の性能を示す。そして、高変位を示すPZT系材料に、低温域から室温、高温域において、多様な結晶相に相転移するKNbO3が添加されることで、変位の温度特性を向上させることができる。
次に、第1成分と第2成分を含む圧電材料の変位量特性、特に、温度特性のフラット化について説明する。

0032

図2にPbZrO−PbTiO系の相平衡図を示すように、PZT系の圧電材料は、ZrとTiの組成比に応じて、結晶構造が、正方晶(すなわち、図中のTetra)又は菱面体晶(すなわち、図中のRhombo)に変化する。また、250℃〜300℃以上の温度では、立方晶(すなわち、Cubic)となり、圧電性を失う。ここで、相平衡図上のTi45〜50モル%付近には、正方晶と菱面体晶の相境界が存在し、2つの結晶相が混在する組成域となっている。この領域を、MPB(すなわち、Morphotropic Phase Boundary:モルフォトロピック相境界)領域と称し、2つの結晶相の間で相転移が生じやすくなる。

0033

図3に示すように、MPB領域では、正方晶の自由エネルギーと菱面体晶の自由エネルギーの差が小さく、正方晶から菱面体晶へ結晶構造を変えて分極を揃えるためのエネルギー(すなわち、エネルギー障壁)も比較的小さい。
したがって、圧電アクチュエータの製造工程において、分極工程で印加される電圧によって、正方晶から菱面体晶へ相転移し、あるいは、正方晶のまま結晶の方位を変化させて、分極の方向を揃えることが可能になる。逆に、菱面体晶から正方晶から相転移し、あるいは、菱面体晶のまま結晶の方位を変化させることもできる。その結果、分極の選択肢が、正方晶の6方位と菱面体晶の8方位を合せた、計14方位となり、すべての粒子が電場方向に沿って分極を形成することが容易になる。

0034

このとき、分極の電場方向に平行な成分が、変位に寄与し、変位が大きくなるとともに、耐久性も良好となる。変位xは、下記式Aにて与えられる。
式A:1/2εE2−(誘電損失)=1/2kx2
ただし、ε:誘電率、E:電場、k:ばね定数である。
また、自由エネルギーFは、下記式Bにて与えられる。
式B:(F−F0)/V=1/2η{(C−C0)/C0}2
ただし、F:ヘルムホルツの自由エネルギー、V:体積、η:ヤング率、C:変位方向の格子定数であり、添え字無は、変位状態、添え字:0は、安定状態を表す。

0035

ここで、式Aにおける誘電損失を一定と考えて省き、ばね定数kをヤング率ηに置き換え、変位xを格子定数の変化率(C−C0)に置き換えれば、分子動力学もしくは分子力場法により計算したモデルのエネルギーと、モデルに与えた格子定数の関係からばね定数kを求めることができる。このようにして求めた予測値とヤング率ηの文献値と比較すると定性的によく一致することが判明した。すなわち、ヤング率ηを求めるためには格子内の原子と原子の間にばねが存在すると考え、ばね定数kを求めてヤング率ηに置き換えればよい。上記計算で与えたモデルは安定状態のモデルと格子定数を一定割合で伸ばしたモデルを2つ(2つの違いは格子定数の伸び率の違い)である。また、格子定数から求める体積の、単位体積当たりの自由エネルギーの変化率(F-F0)が、式Aにおける1/2εE2に相当する。
以上、ばねの原理から、変位xには、変位方向のエネルギーが寄与する。

0036

また、式Aにおける誘電率εは、下記式Cにて与えられる。
式C:ε=ε0+P
ただし、P:分極、ε0:真空の誘電率である。
式Cより、分極Pが誘電率εに寄与することがわかる。よって、MPB領域において結晶構造を変えて分極方位が揃いやすくなると、式Aの左辺に示される、電場方向(すなわち、変位方向)へのエネルギー:1/2εE2が大きくなり、式Aの変位xが大きくなる。
上述において、誘電率ε、分極Pをベクトルとして考える。分極Pの方位が異なれば、変位と同一方向の成分が小さくなるため、エネルギーに寄与する分極成分は小さくなる。

0037

これに対し、図3において、MPB領域から外れた組成域、例えば、正方晶だけが存在する組成域では、正方晶の自由エネルギーと菱面体晶の自由エネルギーの差が大きく、結晶構造を変えて分極を揃えるためのエネルギー障壁は、この自由エネルギーの差よりもさらに大きい。ここで、エネルギー障壁とは、結晶構造を変えるために、安定状態の格子定数、格子の角度から、やや不安定な状態の格子定数、格子の角度を経て、準安定状態の格子定数、格子の角度に至るときの、やや不安定な状態と安定状態との自由エネルギーの差である。

0038

その結果、製造工程の分極工程で、駆動時の印加電圧よりも高い電圧(すなわち、電場)をかけても、エネルギー障壁を越えることはできず、正方晶の異方性を変えることで変化できる6つの方位へしか分極は反転できない。同じ原理で、菱面体晶では8つの方位へしか分極反転できない。あるいは、正方晶の格子定数(すなわち、4.04Å、4.04Å、4.15Å程度;格子定数は温度によって変化)と格子の角度(すなわち、全て90°)、菱面体晶の格子定数(すなわち、全て4.07Å程度)と格子の角度(すなわち、90.45°程度)が、どちらも立方体と大きな違いがないことから考えると、正方晶と菱面体晶の間でエネルギー障壁の影響で結晶構造を変えられない組成では、同じ結晶構造内での分極方位も、結晶構造間のエネルギー障壁と同レベルのエネルギー障壁があるとも推定される。その場合には、正方晶の6方位、菱面体晶の8方位全て自由に変えられるわけではなく、一般に知られている一部の原子のシフトの方向を変えることで、分極を180°反転できるだけ、すなわち2方位の選択肢に限られる。

0039

電場方向以外の分極、すなわち分極の変位方向に対し垂直な成分は、間接的にではあるが発熱の成分となる。分極の変位方向に対し垂直な成分が多いと、逆に分極の変位方向の成分が小さく、他の粒子の変位に比べて変位が相対的に小さくなる。その結果、粒子により変位の大小が異なるため、粒子と粒子の間の摩擦が大きくなり、発熱量が増加する。よって、耐久性の良好な材料とするには、分極がなるべく揃いやすいこと、例えば、MPB領域であることが望ましい。PZT系材料では、そのために、Zr/Ti比が適切に設定されることが重要となる。

0040

さらに、上記図2において、MPB領域となるZr/Ti比は、温度によって変化する。温度が上昇すると、相境界はZr側に移動し、Ti:45モル%(すなわち、Zr:55モル%)では、相境界は220℃付近となり、Ti:46モル%(すなわち、Zr:54モル%)近傍では150℃付近となる。
上述したように、MPB領域では、結晶構造の変化により分極の選択肢が多くなるので、分極が揃いやすく変位が向上すること、また、通常、温度の上昇と共に変位が増加することの2点から、図4に示すように、変位の温度依存性を、Ti:45モル%とTi:46モル%で比較する。すると、Ti:45モル%では、温度の上昇に伴って変位が上がり、なおかつ220℃付近にMPB領域があることから、上昇率が急峻となる。

0041

これに対し、Ti:46モル%では、MPB領域となる温度が150℃付近まで下がるので、150℃近傍で変位が高くなる。一方、より高温ではMPB領域から外れることと、温度の上昇に伴い変位が上がることが拮抗し、変位の上昇率が低下する。よって、変位の温度特性のフラット化のためには、Tiの組成比が45モル%より大きく、より低温域にMPB領域を持つZr/Ti比を選択することが望ましい。
なお、上述におけるZr/Ti比率とMPB領域の温度との関係は、あくまでも純粋なPZTでの関係であり、Aサイト、Bサイトの置換物が加わったり、第2成分のKNbO3が固溶したりすると、MPB領域は大きくずれる可能性がある。

0042

なお、上記図2に示した2成分系の相平衡図において、温度を1つに決めると、MPB領域を示す線は1点に変わる。これに(Y,Nb)を加えて3成分系にすると、Bサイトが異なるペロブスカイト構造の材料の組合せで、前記1点が線となってMPB領域に余裕ができるので調整しやすくなる。その一方で、Pb(Y,Nb)O3が多くなるとキュリー点が低下することや、(Y,Nb)O3自体は圧電材料ではなく置換量が多いと圧電性が失われることが知られている。そのために、Y及びNbの総置換量は、必要最小限に抑えるのがよく、上述したように、0モル%を超え5モル%以下、好適には、4モル%以下であることが好ましい。

0043

次に、図5図6により、正方晶から菱面体晶、もしくは菱面体晶から正方晶に変化する事に伴う分極の反転について、補足説明する。ここでは、圧電材料が、第1成分に2つの結晶構造が存在するだけでは不十分である理由と、第2成分としてKNbO3を選択した理由を述べる。
正方晶と菱面体晶とが混在するMPB領域において常に成り立つことは、上記図3の上図のように、正方晶の自由エネルギーと菱面体晶の自由エネルギーが交差し、正方晶の安定状態(又は準安定状態)の自由エネルギーと、菱面体晶の準安定状態(又は安定状態)との自由エネルギーの差が小さいことである。ただし、ここでは、エネルギー障壁の大小には言及しない。

0044

このとき、MPB領域において高変位を得るためには、分極が十分に揃っている必要があり、そのためには、エネルギー障壁が小さいことが必要である。例えばPZTの場合、図5の左図及び中図に示す、正方晶と菱面体晶とが共存し、自由エネルギーの差が小さいだけでなく、右図に示す単斜晶の存在が重要と考えられるようになっている。
ここで、格子定数をa、b、c、格子の角度をα、β、γとする場合、正方晶は、a=b≠cであり、α=β=γ=90°である。菱面体晶は、a=b=cであり、α=β=γ≠90°である。これに対し単斜晶は、格子定数も等しくなく、格子の角度も一つは90°ではない。つまり、正方晶、菱面体晶に比べて、単斜晶は対称性が低い。

0045

なお、この対称性の高低群論に基づいて、比較できる。例えば、正方晶は正方形の2つの面の中心を結ぶ線の周りに360°回転すると、1回転の中で4回、元の位置と一致する。他の2方向については、360°回転する間に2回しか元の位置と一致しない。また、正方形の2つの面を結んだ線の真ん中に、その線に垂直に鏡を置くと元の原子配置と同じ状態になる。このように、360°回転して一致する回数を数える対称性を、n回回転対称性といい、nが大きいほど対称性が高い。さらに、鏡に映した場合に元の位置と重なる鏡面がいろんな方向に多数ある場合も、対称性が高くなる。

0046

上記群論に基づく対称性の比較方法から、立方晶が最も対称性が高く、菱面体晶もしくは正方晶、単斜晶の順に低下する。これら対称性が高い結晶相では、一般に分極の自由度が低く、逆に、対称性の低い単斜晶は、分極の自由度が高い。
図5中には、3つの結晶相の分極方位がそれぞれ示してある。正方晶は、6方位から1方位を選択すると、分極は自由度が低く、外部要因がない限り動くことができない。菱面体晶も、8方位から1方位を選択し、外部要因がない限り動くことができない。これに対し、単斜晶は対称性が低いため、図中の[110]面内で自由に動くことができる。
したがって、図6の上図に示すように、例えば、菱面体晶や正方晶の出現する温度域よりも低温域に単斜晶が存在すると、図中に実線で示す単斜晶の自由エネルギーは、これら菱面体晶や正方晶の自由エネルギーより高いものの、自由エネルギーの乖離幅は小さい。これに対して、単斜晶が出現しない物質では、図中に破線で示すように、単斜晶の自由エネルギーは、正方晶や菱面体晶の自由エネルギーから大きく乖離する。

0047

その結果、単斜晶が存在すると、自由エネルギーの乖離幅、すなわち、図6下図に示すエネルギー障壁が低下する(すなわち、図中に白抜き矢印で示す)。そして、電場が印加されたときに、上記式Aにより、1/2εE2のエネルギーが与えられることで、エネルギー障壁を越えて、結晶構造を変え、分極を揃えることができるようになる。

0048

このように、対称性の低い結晶相の存在は、分極の反転の自由度を高める。そのための方法として、対称性の低い結晶構造を安定的に持つ材料を、圧電材料に添加、固溶させることで実現でき、同様の効果が得られる。すなわち、第2成分として、対称性の低い結晶相を有するKNbO3を含む圧電材料とすることで、対称性の低い結晶相の安定性を高め、自由エネルギーの乖離を小さくして、分極を揃えることが可能になる。

0049

上記図1に示したように、KNbO3は、多様な結晶相を有する。このうち、−10℃から225℃の広い温度域で出現する斜方晶は、格子の角度は90°であるが、格子定数はすべて異なり、単斜晶よりは対称性が高いものの、正方晶や菱面体晶よりは対称性が低い。したがって、KNbO3を混合することで、分極反転もしくは回転の自由度を向上する効果が得られ、エネルギー障壁を低下させて分極を揃いやすくし、高変位で耐久性の良い圧電材料を実現する。

0050

さらに、第1成分であるPZT系材料は、キュリー点が250℃〜320℃程度であるのに対し、第2成分であるKNbO3は、キュリー点が435℃であり、第1成分よりも100℃以上高い。図7には、PZT系材料の一例における静電容量の温度依存性を示し、低温よりも高温、さらにキュリー点に近づくと急峻な上昇をする。このような第1成分に、第2成分として、よりキュリー点の高い材料を添加し固溶させることで、高温域における静電容量の上昇を極力抑えることができる。これにより、高温域において変位量に影響する誘電率を小さくし、変位の温度特性のフラット化に寄与することが可能になる。

0051

このような圧電材料は、上記式1又は式2を満足するように、出発原料となる各成分元素の化合物を、各成分元素の原子量に基づいた分子量の比率で準備し、調合、撹拌、乾燥、仮焼、粉砕、撹拌、乾燥、ペレット化、焼成等の工程を経て、製造することができる。
好適には、第1成分の出発原料と、第2成分の出発原料とを、それぞれ別工程にて調合し、攪拌、乾燥後に仮焼し、粉砕したものを準備する。その後、第1成分の仮焼粉砕物に、第2成分の仮焼粉砕物を所定の比率となるように添加、混合し、撹拌、乾燥したものを、ペレット状に成形して、焼成することができる。このように、第1成分と第2成分の仮焼粉砕物を別工程で調製することで、第1成分に対する、第2成分の添加比率の調整が容易にできる。また、第1成分の仮焼粉砕物中に、第2成分の仮焼粉砕物を均一に混合、分散させて、所望の組成を有する安定した構造の圧電材料が容易に得られる。

0052

なお、第1成分の調合の際には、第1成分であるPZT系材料に含まれるPbOは、高温になると昇華するため、PZT系材料の作製において、PbOを理論上の量よりも増加させて、出発原料を調合することが好ましい。例えば、ペロブスカイト型酸化物の一般式ABO3において、理論上のPb量は、O原子3個に対し、AサイトのPb原子1個であるが、これに対して1%増加させる。ただし、焼成工程において、炉内にて匣鉢で囲んで容積を小さくし、さらに、目的とする材料に混入しない範囲で、周辺にPbOの粉を多量に撒いておくようにすれば、出発原料におけるPbOの増加は必要ない。このように、焼成時の環境によってPbOの増加の要否が異なるので、上記式1、式2の組成式におけるAサイト全体の量は、理論値:1〜1.01としている。

0053

このようにして得られた圧電材料は、ミクロなレベルでは、例えば、焼成後のペレット内の個々の粒子では、全ての粒子が均一な組成を有しているわけではない。上記図1に示したように、一部の粒子は、第1成分を主体とし少量の第2成分を含む粒子11、12であり、一部の粒子は、第2成分を主体とし少量の第1成分を含む粒子13であってもよく、その他種々の組成の粒子の集合体となっている。また、これら粒子の全てが、上記式1又は式2に示す組成となっていなくてもよく、第1成分であるPZT組成のAサイト又はBサイトの一部に、他の成分元素が入る場合もある。なお、その場合には、一般式ABO3で表されるペロブスカイト構造上でAサイトが2価であればBサイトは4価、Aサイトが1価であればBサイトは5価という組合せは、化学結合が強いため概ね守られる。この概ねという表記は、製造時の仮焼成工程等において、たまたま周囲に1価と5価又は2価と4価の原子の組合せが存在しない場合に、例えば、2価のPbと5価のNbの組合せとなり電荷補償として空孔を形成したりする可能性があることを意味する。

0054

そして、これら多様な成分組成の粒子が、全体として平均化されることで、所望の式1又は式2の圧電材料を形成している。例えば、焼成後のペレット材料では、マクロなレベルにおいて、数千、数万個もしくはそれ以上の個数の粒子から構成される。このような各粒子における成分のばらつきは、本形態の圧電材料に限らず、同様の製造工程により、出発原料を混合し、仮焼成する圧電材料に共通に生じる。
これら多種多様なばらつきの要因により、ミクロ的な粒子の相転移点は、様々な温度にシフトする。例えば、KNbO3に微量のPZTが添加されると、各結晶構造の安定性が変化して相転移点がシフトする。また、PZTのZr/Ti比率が増減することで、菱面体晶、正方晶の安定性が変化して相転移点がシフトし、あるいは、さらにKNbO3が添加されることによって相転移点が変化する。これを間接的に裏付け現象として、複雑な構成の材料ほど、上記図7のようなキュリー点における急峻な静電容量のピークは観られなくなり、ブロードな変化に変わっていく。

0055

ここで、結晶構造の安定性の変化と相転移点のシフトの関係を簡単に説明する。結晶構造の安定性が変化することは、結晶構造の自由エネルギーの変化と等価である。結晶構造が安定化すると自由エネルギーは低下し、結晶構造が不安定化すると自由エネルギーは高くなる。例えば、図8において、高温側の結晶相Bの安定性は変化せず、低温側の結晶相Aが安定化すると、自由エネルギーは低くなる。その結果、各結晶相の自由エネルギーの線の交点は高温側にシフトする(すなわち、Tc→Tc´)。同様に、高温側の結晶相の安定化、高温側及び低温側の結晶相の不安定化、いずれの場合も、自由エネルギーの変化と、それに伴う2つの結晶相の自由エネルギーの交点が、高温側と低温側のどちらにシフトするかで、結晶相の安定性の変化により相転移点が上がるか又は下がるかを判断することができる。

0056

したがって、式1又は式2に示される圧電材料にて構成される、ペレット状の媒体もしくは圧電セラミックス積層体は、ミクロなレベルでの多種多様なばらつきを含むことになる。その構成粒子は、それぞれ安定な結晶構造も異なれば、キュリー点だけでなく、使用温度域で圧電性を示す複数の結晶相間で相転移を示す粒子も存在し得る。このとき、図9に示すように、上述した正方晶と菱面体晶が混在するMPB領域(例えば、図3参照)と同様に、複数の結晶相間の相転移を示す温度の前後において、2相の自由エネルギーの大小が入れ替わるので、2相はほぼ近い値の自由エネルギーをもつ。電場印加時のMPB領域と異なる点は、相転移をするときは、結晶相を変えようとするので、エネルギー障壁は温度の変化と共に越えようとする。つまり、相転移点T1近傍では、2相どちらの結晶相でも形成できるので、MPB領域と同様に、分極の選択肢が増加し分極方位を電場方向に揃えることが可能になる。

0057

その結果、分極を揃えることで誘電率εが大きくなり、1/2εE2で表されるエネルギーが増加して、変位を向上する。この変位の向上は、粒子ごとに材料組成が異なることから、各温度域で発生する。これにより、図10に圧電材料の各構成粒子の特性を並べて示すように、全体をマクロ的に見れば、構成粒子の特性が平均化されて緩やかな変化になると共に、PZTのMPB領域近傍だけでなく、各温度領域での変位が、従来のPZT材料に比べて向上する。
このように、対称性の低い結晶相を持つKNbO3が添加されたことにより、従来のPZT材料よりも変位の温度特性をフラット化する効果が得られる。

0058

次に、圧電材料に添加可能な副成分について説明する。
圧電材料には、主成分となるペロブスカイト型酸化物の特性を向上させる目的で、副成分を添加することもできる。副成分としては、ニオブ又はアンチモンを含む酸化物の少なくとも1つ、例えば、Nb2O5やSb2O3を少量添加することができ、変位の向上に寄与する。

0059

上記図4に示した変位の温度特性の説明では、主に、比較的高温域(例えば、150℃と220℃)での比較をしたが、Ti比率を上げることで、さらに低温域でMPB領域の効果を発生させてもよいことにも言及した。その場合、室温以下、例えば、0℃ないしそれ以下の低温域にてMPB領域の効果を発生する組成とすると、温度の上昇に伴って、与えた材料組成はMPB領域から離れる(例えば、上記図2参照)。そのため、高温、例えば150℃において、MPB領域から大きくずれるようになり、変位の向上効果が小さくなるか、場合によっては、温度上昇に対し変位が低下を示すこともあり得る。

0060

そのような場合には、PZTの変位向上効果が高温で起こりやすい材料として、上記式1で示される圧電材料が、さらに副成分を含むことができる。
この場合には、圧電材料は、下記式2で表される。
式2:(Pb1-x-yBaxSry)a{(Zr1-bTib)1-c(Y0.5Nb0.5)c}O3+αKNbO3+βNb2O5+γSb2O3
ただし、式2中、x、y、a〜c、α、β、γは、以下を満足する。
0<x+y≦0.1、x,y>0
1≦a≦1.01
0.45<b<0.495、0.505<1−b<0.55
0<c≦0.05
1<α<15(単位:モル%)
0<β+γ≦0.5(単位:質量%)

0061

副成分は、Sb又はNbの酸化物として含有されていてもよく、上記式2の第1成分のBサイトに、Sb又はNbの少なくとも1つが置換元素として導入されていてもよい。上記式2において、x、y、a〜c、αは、上記式1と同様であり、βは、Nb2O5の添加量、γは、Sb2O3の添加量である。
副成分が添加される場合には、第1成分に対して、Nb2O5とSb2O3の合計の添加量が、0質量%を超え0.5質量%以下の範囲とすることが好ましい(すなわち、0<β+γ≦0.5;単位:質量%)。Nb2O5、Sb2O3は、Pb(Zr,Ti)O3構造中のBサイトに入る可能性もあるが、入りきらない場合に圧電性を持たない材料として残る可能性があり、添加量が5質量%を超えないようにすることが望ましい。
なお、副成分は、第2成分や他の成分の有無にかかわらず、基準となる第1成分の量に対して、所定の量が外添加されるものとする。例えば、第1成分100gに対して0.5g以下の範囲で添加されるとき、第1成分と副成分の合計量は、100.5g以下となる。

0062

また、副成分を添加する効果として、共晶物質の形成が挙げられる。
圧電材料の製造工程において、副成分の出発原料となるSb又はNbの酸化物、炭酸化合物は、調合、混合後の仮焼成の工程で、炭酸化合物は酸化物となり、PbOとSb酸化物もしくはPbOとNb酸化物とで共晶物質を形成する可能性がある。ここで、可能性としているのは、通常は仮焼成の温度が焼成温度よりも低いことから、仮焼成では共晶物質が形成されず、後の焼成工程において初めて共晶物質を形成する場合もあるからである。仮焼成において共晶物質を形成していても、一旦温度を下げてから各工程を経て本焼成にて共晶点に至れば、共晶物質は溶融し、本焼成で初めて共晶物質を形成しても、その形成と共に溶融する。

0063

つまり、どちらの場合も、共晶物質の形成により、PbO単独の融点:886℃よりも低温で溶融し、液相を形成する。
例えば、図11に一例として、PbOとSb酸化物(すなわち、Sb2O3)の相平衡状態図を示すように、PbOとSb酸化物の場合、604℃で共晶物質を形成する。また、PbOとNb酸化物の場合は、835℃で共晶物質を形成することが知られている。また、これら3つの物質が全て存在するときには、PbOとSb酸化物が604℃で形成する共晶物質に、Nb酸化物が加わることで、604℃のままか604℃未満になる。例えば、PbOとSb酸化物の共晶物質の結晶構造と、Nb酸化物の結晶構造が同じであれば、固溶体をつくることで融点は604℃のままであり、結晶構造が異なれば604℃未満で溶融する新たな共晶物質を形成すると考えられる。

0064

すなわち、いずれの場合も、Sb酸化物やNb酸化物がない場合の、PbO単独の融点:886℃よりも低くなる。この溶融温度の違いは、以下の効果をもたらす。
共晶物質の溶融、PbOの溶融、いずれの場合も、融点において液相を形成し、その液相が粉末内の粒子と粒子の間に流れ込み熱の伝達を速める。共晶物質の形成により、より低温で液相を形成すると、熱の伝達も低温から始まり、その結果、焼結が早くなる。したがって、低温でも十分に焼結した圧電材料が形成でき、密度低下を抑制して、焼結性を向上させる。また、製造が早まり焼成にかかる費用の低減が可能になる。

0065

上記式1、式2のいずれの組成を有する場合も、好適には、第1成分であるPZT系材料と、第2成分であるKNbO3とは、少なくとも一部が固溶しているか、又は、完全に固溶していることが望ましい。
上記図1に示したように、圧電材料をミクロに見た場合、第1成分と第2成分とが固溶する比率は、各粒子で少しずつ異なり、固溶比率が異なることにより、各粒子の結晶構造の安定性が異なる。すると、自由エネルギーの大小が微妙に変わる結果、上記図8に示したように、2種の結晶構造の自由エネルギーが交差する温度がシフトする。
この自由エネルギーの交点では、交差する2つの結晶構造のエネルギーが等価であり、エネルギー障壁が小さくなることから、分極方向の選択肢も2つの結晶構造双方から選べるようになることが期待できる。上述したように、第2成分のKNbO3は、比較的対称性の低い斜方晶を一部の温度域で安定的にもつ材料なので、上記図6の通り、エネルギー障壁は小さくなり、分極方向の選択肢が多くなる。

0066

また、各粒子で固溶比率が異なることで、上記図10に示したように、異なる温度で、自由エネルギーの交差する温度での誘電率もしくは静電容量の増加が起こる。マクロ的に材料全体の特性をみると、粒子が多量に存在することから、ミクロ的な分極の増加は平均化されるので、一部の温度だけで増加するのではなく、各温度全体的に誘電率もしくは静電容量が増加する。
以上により、分極が揃いやすくなることに起因して、変位方向の分極の成分が大きくなり、上記式Cにより誘電率を上げるので、圧電特性、例えば、電気機械結合係数Kpや圧電歪定数d33が向上し、変位量を増加させる。そして、各温度で全体的に分極が増加することから、増加した変位は温度変化に対しフラットな特性が得られる。

0067

なお、次に示す実験例で作製したサンプルの測定結果によれば、各粒子は、概ね同じ構成元素からなっており、PZT系材料とKNbO3は相性のよい材料と言える。ただし、組成が粒子ごとにずれている可能性はある。一般に、固溶している材料は、固溶する前の材料の2つの特性を概ね線形的に計算した値になることが知られており、第2成分であるKNbO3は、第1成分であるPZT系材料の高変位を下げることが予期される。そのため、第2成分を必要以上に多量に含有させず、変位の温度特性をフラットにする範囲で最小限にとどめることが望ましい。例えば、10モル%のKNbO3を含む圧電材料は、元のPZT系材料の9割程度の圧電特性になると考えられる。

0068

(実験例1)
次に、上記組成の圧電材料のサンプルを実際に作製すると共に、比較用のサンプルを作製し、それらの成分組成が圧電特性に与える影響を確認した。
まず、図12中に実施例1、比較例1〜2として示す組成を有する圧電材料のサンプルを、以下のようにして作製した。各サンプルは、第1成分となるPZT系材料の出発原料として、基本組成Pb(Zr,Ti)O3と、Aサイトの置換元素となるBa、Srと、Bサイトの置換元素となるY、Nbとが、所定の比率となるように、各成分元素の酸化物又は炭酸化合物を準備した。

0069

また、実施例1のサンプルについては、副成分として、第1成分に対して0.5質量%のNb2O5(すなわち、第1成分100gに対して0.5g)を準備した。第1成分は、Aサイトの組成比が、Pb:Ba:Sr=0.92:0.04:0.04であり、BaとSrの置換量を、それぞれ4モル%(すなわち、総置換量がAサイトの8モル%)とした。Bサイトは、Zr:Ti:Y+Nb=0.53:0.46:0.01とした。ZrとTiの組成比は、Zr+Ti=100モル%としたとき、Zr:53.5モル%、Ti:46.5モル%、Zr/Ti比:1.15である。また、BサイトにおけるYとNbの総置換量は、1モル%である。

0070

準備した第1成分の出発原料粉末に、副成分の粉末を添加して混合撹拌した後、800℃で2時間仮焼し、粉砕して、第1成分を含む仮焼物粉末を得た。比較例1〜2のサンプルについては、第1成分の出発原料粉末に、副成分の粉末を添加せずに、同様にして、混合撹拌した後、仮焼、粉砕した。また、比較例2のサンプルは、第1成分の出発原料粉末において、Aサイトの置換元素をSr:7モル%のみとした(すなわち、Pb:Sr=0.93:0.07)。

0071

第1成分とは別工程で、第2成分となるKNbO3についても、同様にして出発原料の混合撹拌、仮焼、粉砕を行って、第2成分を含む仮焼物粉末を得た。これら第1成分と副成分の仮焼物粉末と、第2成分の仮焼物粉末とを混合、造粒し、フルイにかけて粒径を調整し、250μmを超える粒子を除去した。次いで、成形、焼成を行い、厚さ約0.5mmの平板ペレット状のサンプルを作製した。焼成温度は、1230℃とし、焼成炉内には、成形品の周囲にPbOの粉末を配置し、PbOの雰囲気が形成されるようにした。

0072

比較例1〜2のサンプルについては、第2成分の仮焼物粉末を添加せず、それ以外は同様にして、造粒、成形、焼成を行い、厚さ約0.5mmの平板ペレット状のサンプルを作製した。
作製したペレット状の各サンプルは、両表面をラップ盤研磨して、各表面にAg電極層を印刷した。また、外周を研磨して所定形状に整えた後、両電極間に電圧を印加して分極処理した。以下、駆動時の印加電圧は、2000V/mm、4000V/mmとした。

0073

これら各サンプルについて、20℃〜100℃の範囲の各温度における変位を測定し、横軸:温度(単位:℃)、縦軸:変位(単位:μm)として、変位の温度特性を図12中に示した。各サンプルの組成は、以下の通りである。
実施例1:
(Pb0.92Ba0.04Sr0.04){(Zr0.53Ti0.46)(Y0.5Nb0.5)0.01}O3+10モル%KNbO3+0.5質量%Nb2O5
比較例1:
(Pb0.92Ba0.04Sr0.04){(Zr0.53Ti0.46)(Y0.5Nb0.5)0.01}O3
比較例2:
(Pb0.93Sr0.07){(Zr0.53Ti0.46)(Y0.5Nb0.5)0.01}O3

0074

実施例1のサンプルは、第1成分及び第2成分を含み、さらに副成分としてNb2O5を添加したものであり、印加電圧2000V/mm、4000V/mmの場合共に、測定温度域において、高い変位量が安定して得られている。例えば、4000V/mmのとき、変位量は、最小が1μm以上で、最大が1.2μm程度と高い。また、最大最小差は、0.2μmm以下であり、高温側へ向けて徐々に低下する安定した温度特性を示す。2000V/mmにおいても、変位量は、0.5μm前後〜0.8μm前後であり、良好な温度特性を示している。

0075

これに対して、第2成分及び副成分を含まず、第1成分がBaを含まない比較例2のサンプルでは、変位量が全体に低下し、4000V/mmにおいても、最大が1.0μmに満たない。また、2000V/mmでは、100℃における変位が検出不可レベルとなり、フラットな温度特性は得られない。さらに、第2成分及び副成分を含まない比較例1のサンプルでは、2000V/mmにおける変位量は、実施例1のサンプルと同等であるものの、4000V/mmの変位量は、最小が20℃:0.9μm程度と低く、最大も50℃:1.2μmに満たない。また、変位量が、温度差30℃で0.3μm上昇しており、100℃では0.95μm程度まで低下しており変動が大きい。

0076

図13中に実施例2のサンプルとして示すように、下記組成を有する圧電材料を、上記実施例1と同様にして作製した。
実施例2:
(Pb0.92Ba0.04Sr0.04){(Zr0.53Ti0.46)(Y0.5Nb0.5)0.01}O3+10モル%KNbO3+0.3質量%Sb2O3
このサンプルは、第1成分となるPZT系材料は実施例1と同様とし、これに対して、第2成分としてKNbO3を10モル%添加すると共に、副成分として0.3質量%のSb2O3(すなわち、第1成分100gに対して0.3g)を添加したものである。
上記実施例1のサンプル1と同様にして、第1成分と副成分を含む仮焼物粉末と、第2成分の仮焼物粉末を作製し、これら仮焼物粉末を混合、造粒し、粒径を調整した後、成形、焼成して、ペレット状のサンプルを作製した。

0077

実施例2のサンプルについて、実施例1と同様にして、ラップ盤で研磨してAg電極層を印刷した後、分極処理した。同様に、駆動時の印加電圧は、4000V/mmとし、20℃〜100℃の範囲の各温度における変位を測定し、横軸:温度(単位:℃)、縦軸:変位(単位:μm)として、変位の温度特性を図13に示した。

0078

副成分としてSb2O3を添加した実施例2のサンプルについても、印加電圧4000V/mmにおいて、実施例1のサンプルと同様の良好な温度特性をしている。すなわち、変位量は、最小が1μm以上で、最大が1.2μm程度と高く、最大最小差は、0.2μmm以下で、測定温度域の全体で、高い変位量が安定して得られている。

0079

これらの結果から、第1成分のAサイトの置換元素をBa及びSrとすることで、変位量が全体に大きくなる。さらに、第2成分を添加し、好適には、副成分を組み合わせることで、変位量の変化が緩やかになり、フラットな温度特性が得られる。

0080

(実験例2)
図14の上図及び下図に、実施例1〜2のサンプルの圧電材料の誘電率の温度特性を示す。また、中図には、比較例3のサンプルとして、第1成分となるPZT系材料において、Aサイトの置換元素をSrのみとした以外は、実施例2のサンプルと同様の下記組成を有する圧電材料について、誘電率の温度特性を示す。
比較例3:
(Pb0.93Sr0.07){(Zr0.53Ti0.46)(Y0.5Nb0.5)0.01}O3+10モル%KNbO3+0.3質量%Sb2O3
比較例3のサンプルは、第1成分におけるSrの置換量を7モル%とし(すなわち、Pb:Sr=0.93:0.07)、第2成分であるKNbO3を、第1成分に対して10モル%添加し、副成分としてSb2O3を、第1成分に対して0.3質量%添加したものである。

0081

図14に示されるように、これらサンプルは、いずれも誘電率のピーク位置となるキュリー点が、250℃を大きく超えており、キュリー点が高いKNbO3を第2成分として含むことによる効果と考えられる。特に、実施例1〜2のサンプルでは、キュリー点が300℃付近まで上昇しており、AサイトにBaを含まない比較例3のサンプルよりも高い。また、比較例3のサンプルでは、キュリー点の近傍で誘電率が急上昇しているのに対して、実施例1〜2のサンプルでは、誘電率のピーク値の上昇はより緩やかとなっている。これは、AサイトがPbよりもイオン半径の大きいBaとPbよりもイオン半径の小さいSrの両方を含むことで、置換による格子の歪みが抑制され、全体として構造が安定となることで、キュリー点の低下が抑制されているものと推測される。また、誘電率のピークがよりブロードな実施例1、2では、比較例3のようにSrだけ置換するよりも、BaとSr双方を置換することで、ミクロな粒子ごとに観れば、キュリー点の異なる、すなわち多様な組成(構成比率)の粒子ができていることが示唆されている。

0082

したがって、KNbO3を第2成分として添加し、さらに、第1成分のAサイトの置換元素として、BaとSrの両方を含むことで、高温域において変位が急上昇するのを抑制し、変位の温度特性をフラットにする効果が高まる。

0083

図15には、図14に示したこれら実施例1〜2、比較例3のサンプルと、図12に示した比較例1〜2のサンプルと、さらに、比較例4として、第1成分であるPZT系材料のAサイトに、Laを導入したサンプルについて、圧電特性と平均密度の関係を調べた結果を示した。比較例4のサンプルの組成式を、以下に示す。Laの置換量は、Ba又はSrと同等の4モル%とした。
比較例4:
(Pb0.94La0.04B0.02){(Zr0.53Ti0.46)(Y0.5Nb0.5)0.01}O3+10モル%KNbO3+0.3質量%Sb2O3
ただし、式中、Bは空孔であり、2価のPbと3価のLaとの価数の違いを考慮したものである。
図15の上図には、誘電率もしくは静電容量を、周波数を個々に変えて測定し、極大値、極小値を示すときの周波数(すなわち、それぞれ共振周波数Fr、反共振周波数Fa)として、これらの差δf(単位:kHz)と、圧電特性の一つである電気機械結合係数Kpとの関係を示した。また、図15の下図には、差δfと、焼結性を表す指標となる平均密度(単位:g/cm3)との関係を示した。図示されるように、差δfと電気機械結合係数Kpとの間には、正の相関があり、差δfと平均密度との間にも、正の相関が見られる。

0084

電気機械結合係数Kpは、電磁エネルギー力学的エネルギーに変換される効率、もしくは電気量と機械量の間の結合の程度を示す係数として知られている。図15の上図において、第1成分のAサイトの置換元素がLaである比較例4のサンプルは、電気機械結合係数Kpが、置換元素がSr又はBa及びSrである他のサンプルよりも小さい。また、図15の下図において、比較例4のサンプルは、平均密度が7.6g/cm3程度であり、望ましい平均密度である7.8g/cm3より低い。他のサンプルは、いずれも平均密度は7.8g/cm3以上となっている。

0085

他のサンプルの中では、置換元素がSrで第2成分、副成分を含まない比較例2のサンプルの電気機械結合係数Kpが最も小さくなっており、次に、置換元素がBa及びSrで第2成分、副成分を含まない比較例1のサンプルと、置換元素がSrで第2成分、副成分を含む比較例3のサンプルの電気機械結合係数Kpが小さい。これら比較例1と比較例3のサンプルの電気機械結合係数Kpはほぼ同等で、比較例3のサンプルの方がわずかに大きい。

0086

これらサンプルに対して、置換元素がBa及びSrで第2成分、副成分を含む実施例1〜2のサンプルは、電気機械結合係数Kpがより大きくなっている。これら2つの中では、副成分がSb2O3である実施例2のサンプルの電気機械結合係数Kpがより大きい。また、実施例1〜2のサンプルは、平均密度が7.96g/cm3、7.97g/cm3であり、比較例1〜2のサンプルに対して平均密度、電気機械結合係数Kp共に大きい。第2成分を含む比較例3のサンプルは、平均密度は7.99g/cm3であるものの、電気機械結合係数Kpは、実施例1〜2のサンプルよりも小さい。
なお、これら密度の高いサンプル(例えば、基準密度7.8g/cm3)のサイズは、φ8.3×t0.52とし、後述する比較例サンプル等、より密度の低いものについては、その密度の上記基準密度に対する比率の三乗根で割った直径と厚みになるようにサンプルを作製した。

0087

このように、平均密度は電気機械結合係数Kpとほぼ正の相関があり、焼結性を上げることは、圧電特性を良好にする傾向にあると言える。置換元素がSrのみである比較例2、3を比較すると、第2成分、副成分を含む比較例3の平均密度、電気機械結合係数Kが、大きく向上している。第2成分、副成分を含まない比較例1、2は、平均密度は同等であるものの、置換元素がBaを含む比較例1の電気機械結合係数Kが、大きく向上している。したがって、実施例1〜2のように、BaとSrの両方を含み、さらに、第2成分、副成分を含むことで、より高い電気機械結合係数Kが得られる。

0088

また、図16に示すように、高変位を示す材料の指標である圧電歪定数d33も、電気機械結合係数Kpとほぼ同等の傾向となっている。すなわち、圧電歪定数d33が400pm/Vに満たない比較例2、4のサンプルに比べて、置換元素がBa及びSrを含む比較例1のサンプル、第2成分、副成分を含む比較例3のサンプルは、圧電歪定数d33がそれぞれ491pm/V、480pm/Vに向上し、実施例1〜2のサンプルは、圧電歪定数d33がそれぞれ511pm/V、551pm/Vと、さらに向上している。圧電歪定数d33は、電場をかけたときに、電場と同じ方向の変位を、電場に対する変位の増加量として示した数値であり、圧電歪定数d33が大きいと、同じ電場でも変位の大きな材料となる。すなわち、逆圧電特性の優劣を表す数値であり、実施例1〜2のサンプルは、この効果が高いことが分かる。

0089

(実験例3)
次に、第1成分のAサイトの置換元素がBa及びSrであり、かつ第2成分、副成分を含む場合について、第1成分のBサイトの置換元素であるZr及びTiの比率と、第2成分の添加量について検討した。
図17中に示すように、比較例5、6として、下記組成のサンプルを作製し、その焼成温度と密度の関係を調べた。
比較例5:
(Pb0.92Ba0.04Sr0.04){(Zr0.50Ti0.49)(Y0.5Nb0.5)0.01}O3+5モル%KNbO3+0.3質量%Sb2O3
比較例6:
(Pb0.92Ba0.04Sr0.04){(Zr0.53Ti0.46)(Y0.5Nb0.5)0.01}O3+15モル%KNbO3+0.5質量%Nb2O5
比較例5のサンプルは、第1成分のBサイトにおけるZrとTiの組成比を、Zr:Ti=0.50:0.49(すなわち、Zr+Ti=100モル%としたとき、Zr:50.5モル%、Ti:49.5モル%、Zr/Ti比=1.02)とし、第2成分の添加量を5質量%としたものである。また、副成分として、0.3質量%のSb2O3を添加している。
比較例6のサンプルは、Zr:Ti=0.53:0.46(すなわち、Zr:53.5モル%、Ti:46.5モル%、Zr/Ti比=1.15)であり、第2成分の添加量を15質量%とし、副成分として0.5質量%のNb2O5を添加したものである。

0090

図17に示されるように、Zr/Ti比が1に近い比較例5のサンプルは、1230℃、1260℃、1290℃と焼成温度が上昇すると共に、密度も上昇しているが、1290℃においても密度7.0g/cm3であり、十分な焼結性が得られていない。また、第2成分の添加量が多い比較例6のサンプルは、上記実施例1〜2とZr/Ti比は同等であるが、これらのような高い密度(例えば、7.8g/cm3以上)が得られず、1290℃における密度は6.86g/cm3であった。

0091

これらの結果より、焼結性を高めるには、比較例5のZr:Ti=50.5モル%:49.5モル%よりもTiのモル比率が小さい方がよく、また、第2成分の添加量が多くなると、密度の上昇率が鈍化するので、15モル%よりも小さくする方がよい。

0092

また、図18中に示すように、参考例1、2として、置換元素がBa及びSrであり、副成分を含む下記組成のサンプルを作製し、その焼成温度と焼結体の密度の関係を調べた。
参考例1:
(Pb0.92Ba0.04Sr0.04){(Zr0.52Ti0.47)(Y0.5Nb0.5)0.01}O3+0.3質量%Sb2O3
参考例2:
(Pb0.92Ba0.04Sr0.04){(Zr0.51Ti0.48)(Y0.5Nb0.5)0.01}O3+0.3質量%Sb2O3
参考例1のサンプルは、第1成分のBサイトにおけるZrとTiの組成比を、Zr:Ti=0.52:0.47(すなわち、Zr:52.5モル%、Ti:47.5モル%、Zr/Ti比=1.11)とし、副成分として、0.3質量%のSb2O3を添加したものである。
参考例2のサンプルは、Zr:Ti=0.51:0.48(すなわち、Zr:51.5モル%、Ti:48.5モル%、Zr/Ti比=1.06)であり、副成分として、0.3質量%のSb2O3を添加したものである。

0093

図17に示されるように、参考例1、2のサンプルは、1290℃、1260℃、1230℃と、焼成温度が低い側ほど、密度が高くなっている。Zr:52.5モル%、Ti:47.5モル%の参考例1のサンプルは、1230℃の焼成品の密度が7.48g/cm3であり、Zr:51.5モル%、Ti:48.5モル%の参考例2のサンプルは、1230℃の焼成品の密度が7.53g/cm3と、良好な焼結性が得られている。これは、上記図11に示した相平衡状態図の通り、Pb酸化物とSb酸化物の共晶点が604℃にあり、低温で液相を形成して焼結性を高めるためである。また、極度に高い焼成温度では、Pb酸化物の昇華が起こり密度が低下すると考えられる。したがって、さらに低温域で焼成することで、7.8g/cm3を超える密度となると予測される。

0094

すなわち、Zr:51.5〜52.5モル%程度、Ti: 47.5〜48.5モル%程度の比率であれば、低温で十分に焼結性の高い材料を作製することが可能である。上述した実施例1〜2、比較例3のように、Zr:53.5モル%で第2成分を10モル%添加した場合において、平均密度は、いずれも7.9g/cm3以上であることから、例えば、参考例1、2のTiのモル比率においても、第2成分を添加し、その添加量を調整することで、同等の平均密度を得ることが可能になる。

0095

(実験例4)
次に、図19中に比較例7のサンプルとして示すように、下記組成を有する圧電材料を、実験例1と同様にして作製した。
比較例7:
(Pb0.92Ba0.04Sr0.04){(Zr0.545Ti0.445)(Y0.5Nb0.5)0.01}O3+0.3質量%Sb2O3
比較例7のサンプルは、第1成分となるPZT系材料において、BサイトのZrとTiのモル比を、Zr:Ti=0.545:0.445とし(すなわち、Zr:55モル%、Ti:45モル%、Zr/Ti比:1.22)、第2成分を含まない以外は、実施例2のサンプルと同様の組成を有する。すなわち、副成分として、第1成分に対して0.3質量%のSb2O3(すなわち、第1成分100gに対して0.3g)を添加したものである。

0096

比較例7のサンプルについて、実験例1と同様にして、ラップ盤で表面及び外周を研磨し、Ag電極層を形成したペレットを所定枚数作製し、積層、分極処理して、ピエゾスタック(すなわち、圧電積層体)とした。ピエゾスタックは、厚さ約0.5mmのペレットを、極性が異なるAg電極層が互い違いとなるように重ねて、厚さ20mmにした。このピエゾスタックに、所定の荷重をかけながら、厚さ1mm当たり1.5kVの電圧を印加したときの変位量を、ギャップセンサにより測定した。測定は、25℃、120℃、150℃にて行い、各温度について複数のデータの平均値を、図19中に示した。
なお、データの測定に際しては、得られたピエゾスタックを予め150℃の恒温槽に20分放置する処理を行った。

0097

Zr:55モル%、Ti:45モル%の比較例7のサンプルは、高温での変位が高く、特に、120℃〜150℃で変位が急上昇している。これは、Ba及びSrでの置換や、副成分の添加による効果に加え、Zr/Ti比が高いことが大きく寄与していると推測される。したがって、高温での変位の急上昇を抑制するには、Tiのモル比率を45モル%より大きくすることが望ましい。

0098

上記図4に示したように、MPB領域となる温度は、Ti:45モル%からTi:46モル%となることで、低温側へ大きくシフトする。言い換えると、Ti:45モル%の場合には、MPB領域が高温側にシフトすることで、比較例7のように、高温での変位が大きくなり、温度特性のフラット化を妨げることになる。なお、上述したように、上記図4はZr/Ti比とMPB領域との関係を、純粋なPZTについて示したものであり、MPB領域を示す温度は、比較例7とは必ずしも一致しない。

0099

一方、上記図4に示したようにTi量を増加させることで、MPB領域の低温化が図られる。この関係を利用して、MPB領域を、室温近傍もしくはさらに低温域にシフトさせて、この領域の変位向上を図ると共に、高温域の変位の急上昇を抑えることができる。また、副成分の添加により、焼結性の向上と共に高温域の変位を維持し、さらに、第2成分を追加することで、上記図10に示したように、全温度域で高い変位を示すと共に、フラットな温度特性を示すことが可能になる。

0100

ここで、図20に、参考例3として、下記組成式で表される圧電材料における副成分の効果を示す。
参考例3:
(Pb0.91Sr0.09){(Zr0.545Ti0.445)(Y0.5Nb0.5)0.01}O3+(副成分)
図中には、副成分として、特許文献1に記載されるMnO2を0.5質量%添加した圧電積層体と、これに代えて、実施例1〜2のサンプルの圧電材料に用いた0.5質量%Nb2O5、0.3質量%Sb2O3を用いた圧電積層体の変位量の温度特性を比較して示した。測定条件は、以下の通りとした。
圧電積層体体格:φ13mm×20mm
変位部:20mm
電界強度:1.5kV/mm
プリセット荷重:300kgf(すなわち、2942N)

0101

副成分として添加されるこれら酸化物は、いずれもキュリー点は280℃と同等であるが、図20に示されるように、Nb2O5、Sb2O3を用いた場合には、室温以上の温度域、さらには150℃以上の高温域において、MnO2と比べて、変位量の向上効果が高くなっている。上記参考例3のうち、Nb2O5、Sb2O3を用いたサンプルが、150℃において、高い変位量を示すのは、Zr:Tiが54.5モル%:44.5モル%であり、Zr/Ti比が1.22と高いことに加えて、Nb2O5、Sb2O3を用いたことによる効果も含まれていると推測される。

0102

(実験例5)
次に、上記実施例1の結晶構造について、上記比較例2と比較検討する。
上記した各サンプルは、所望の組成式を満足するように、出発原料となる化合物を各成分元素の原子量に基づいた分子量の比率で調合し、混合、焼成することで、Aサイト及びBサイトに所望の置換元素が導入されたぺロブスカイト型の圧電材料が得られる。その際、PZT系材料の結晶構造は、図21に基づいて判断することができる。図21は、Aサイトのイオン半径(単位:オングストローム、以下、Å)を縦軸に、Bサイトのイオン半径を横軸にして、ぺロブスカイト型酸化物が取り得る結晶構造を示したものであり、1.05ないし1.1Åを上回るイオン半径の原子は、Aサイトに置換され、0.95ないし0.9Åを下回るイオン半径の原子は、Bサイトに置換される。このとき、第1成分として示したBa2+、Sr2+はAサイトに、Zr4+、Ti4+はBサイトに入る。

0103

また、図21では、2価と4価の組み合わせを示しているが、第2成分として示したK+のイオン半径は、1.3Åであり、Nb5+のイオン半径は、0.7Åであるので、1価のKはAサイトに、5価のNbはBサイトに入り得る。この場合、これら第1成分及び第2成分は、結晶学的にはほぼ固溶していると考えられる。
ここで固溶すると考えるのは、PZTの正方晶の格子定数が、4.04Å、4.04Å、4.15Åであり、KNbO3の正方晶の格子定数が、4.06Å、4.06Å、4.00Åであり、これら2つの物質の格子定数の違いが4%以下に過ぎず、極度に小さいためである。正方晶は、第2成分のKNbO3の高温域の圧電材料の安定な結晶構造であり、第1成分のPZT系材料においても、低温域では菱面体晶と正方晶の共存状態(すなわち、MPB領域)であることが望ましい。その結果、高温域では正方晶が多くなる、もしくは全体が正方晶になる(例えば、上記図2参照)。

0104

この場合、仮にキュリー点に到達する前に反応が始まるのであれば、同等の格子定数で、同一の結晶構造であることから固溶が進行する。キュリー点を越える温度域でも、立方晶と立方晶であり、正方晶から大きく格子定数がずれるわけではなく、1000℃を超える温度域で焼成する場合が多いので、第1成分及び第2成分は固溶すると考えられる。

0105

そこで、上記実施例1、比較例2の各サンプルを粉末化したものについて、X線回折装置による回折パターン測定を行った。このときの測定条件は、以下の通りとした。
X線回折装置:XRD−6100 株式会社島津製作所製
管電圧:40kV
標準測定法連続スキャン:2度/分
試料:粉末化(めのう)、

0106

図22の最上段は、第2成分のKNbO3を含まない比較例2のサンプルの回折パターンであり、ASTMカードと照合して、正方晶のピークであることが分かった。また、正方晶であるため、例えば、ミラー指数が[110]、[101]、[011]の面のうち、[101]と[011]の面は等価であり、a=b=4.04Å、c=4.15Åと格子定数の違いが小さい。そのため、横軸:2θの間隔が近いところへ、[101]の面、[011]の面が重なったピークと、[110]の面のピーク、2つのピークが出る。

0107

図22下段は、第2成分のKNbO3を含む実施例1のサンプルの回折パターンであり、同一サンプル内で場所を変えて測定を行って、(1)、(2)、(3)の3つの回折パターンを得た。これら3つの回折パターンのうち、2θが30°を超える位置にあるピークは、例えば(2)ではピークが1つのように見えるが、(1)、(3)では2つのピークの重なりのように見え、その他の角度では、2つのピークが存在する。また、全てのピークが、比較例1のピークと同等位置にある。これらにより、(1)、(2)、(3)は、いずれも正方晶であると判断でき、PZT{例えば、Pb(Zr0.52Ti0.48)O3}の正方晶のASTMカードとも合致していることを確認した。

0108

次に、図23中に示すように、例えば、[200]、[002]、[020]のピーク位置を読み取り、2dsinθ=λのθに読み取り値代入して格子面間隔dを求め、格子定数a、cを算出した。特性X線としては、Cu−kα線を使用した(すなわち、λ=1.54Å)。なお、正方晶系単位格子において、正方形部分の辺の長さを格子定数a、これと長さの異なる辺の長さを格子定数cとする。正方晶であるため、aの方向の組み合わせは2つあり、[200]、[020]は等価で強度は約2倍の大きなピークとなる。[002]の方がASTMカードにおいて低角側にあり、測定データ上で、寄り添った2つのピークのうち強度の小さいピークが、低角側の[002]のピークである。低角側の[002]はcの方向なので、組み合わせは1つである。ミラー指数を[hkl]とすると、格子定数は、d*(h2+k2+l2)0.5で求めることができる。
例えば[002]のピークで算出したdを2倍した値をcとする。同様にして[200]と[020]のピークから算出した同値はaとする。これらの値を用いて、c/aの比率を算出すると、下記表1のようになり、比較例2のサンプルでは、1.02193、実施例1のサンプルでは、(1)1.01713、(2)1.01711、(3)1.01779である。

0109

0110

KNbO3の正方晶のASTMカードでは、例えば、a=4.063、c=3.997であり、c/a=0.984である。
KNbO3を含むPZTである実施例1のサンプルのc/aは、(1)、(2)、(3)のように異なる値を取ると共に、KNbO3のc/aとKNbO3を含まない比較例2のサンプルのc/aとの間の値を取っている。
KNbO3を含まない比較例2のサンプルのc/a=1.02193と、KNbO3のc/aの差に対し、(1)、(2)、(3)のc/a(すなわち、それぞれ、1.01713、1.01711、1.01779)と、比較例2のサンプルのc/aとの差の比率を求めると、(1)、(2)は、それぞれ12.7%、(3)は10.9%である。第1成分のPZT系材料と第2成分のKNbO3は、比較例2のPZT系材料のサンプルのピークとKNbO3の正方晶のASTMカードのピークと、角度が若干異なるが、ほぼ同位置に同じ数だけピークが存在する。つまり、完全固溶を起こしていることが確認でき、さらには、上記角度の違いから算出した差の比率から、固溶比率にばらつきがあることが分かる。

0111

すなわち、図22のX線回折のデータから、第2成分としてKNbO3を添加しても正方晶は壊されていないことが分かる。また、(1)、(2)、(3)のc/aが、PZTのc/aとKNbO3のc/aとの中間値を取っていることから、PZT系材料とKNbO3は固溶していると言える。ただし、(1)、(2)、(3)のc/aにばらつきがあることから、固溶が全体的に進んでいるか、一部固溶しているという違いが発生している可能性がある。もしくはPZT系材料とKNbO3とが異なる比率でばらついて存在し、その結果、固溶比率が異なっているか、これら2つの状態が混在していると推測される。

0112

(実施形態2)
次に、実施形態2として、上記実施形態1の圧電材料を用いた駆動部を備える、加圧開弁式のインジェクタIについて、図24を参照して説明する。インジェクタIは、圧電材料からなる圧電積層体としてのピエゾスタック101を駆動源として駆動され、ピエゾスタック101の伸縮動作に伴い、ノズルニードル102の制御圧力を増減させて、噴孔103を開閉する。ここでは、主にガソリンエンジンの燃料噴射システムに用いられるインジェクタIとして説明するが、特に限定されるものではない。
ピエゾスタック101は、上述したように、所定枚数の圧電セラミックス層と電極層が交互に積層され、電圧の印加により伸長して積層方向に所定の変位を発生するように構成される。電極層の材料としては、例えば、主成分としてAg又はCuを含む材料の他、Ag+Pd、Ag+Ptの固溶体もしくは一部固溶した混晶を含む材料等が挙げられる。
なお、実施形態2以降において用いた符号のうち、既出の実施形態において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、既出の実施形態におけるものと同様の構成要素等を表す。

0113

図24において、インジェクタIは、図の上下方向に延びるハウジング100内の先端側(すなわち、図の下端側)に、ノズルニードル102を摺動自在に収容している。ノズルニードル102は、基端側(すなわち、図の上端側)に配置されるスプリング104により、噴孔103を閉鎖する方向に付勢されている。ノズルニードル102の背面側には、圧力室105を介してピストン106が配置されており、ピストン106の背面にピエゾスタック101が当接している。

0114

圧力室105は、ノズルニードル102の基端大径部とハウジング100内の段差部との間に形成される室107と連通する一方、スプリング104の収容空間を介してハウジング100内空間に連通している。ハウジング100内空間には、外部のコモンレールから燃料が供給されており、スプリング104の収容空間からノズルニードル102内の燃料通路108を経て、噴孔103に燃料を供給可能となっている。

0115

上記構成のインジェクタIにおいて、ピエゾスタック101に電圧を印加して変位を発生させると、ピストン106が押圧されて圧力室105の燃料を加圧する。これに伴い、圧力室105から室107に押出された燃料の圧力で、ノズルニードル102がスプリング104のばね力に抗して押し上げられ、噴孔103から燃料が噴射される。次いで、ピエゾスタック101への電圧を解除すると、ピエゾスタック101が収縮して、ピストン106がスプリング109の復帰力によりピエゾスタック101と共に初期位置に戻り、圧力室105及び室107の圧力が低下する。その結果、ノズルニードル102が押し下げられて噴孔103を再び閉鎖し、燃料の噴射が終了する。

0116

上記構成では、ピエゾスタック101の変位を、圧力室105及び室107の圧力に変換することで高変位とすることができ、インジェクタIを駆動するためのエネルギーを抑制できる。また、噴射中は、圧力室105及び室107の圧力は、その他の空間(例えば、噴射燃料が通る空間)よりも高くなっている。そのため、ピストン106又はノズルニードル102とそれらが摺動するシリンダ部材とのクリアランスから燃料が漏れる。これにより、時間の経過に伴って、圧力室105及び室107の圧力が徐々に下がることでノズルニードル102が閉弁するようになっており、長期間の燃料噴射が可能になる。

0117

その際に、使用温度域において、ピエゾスタック101の変位が安定しないと、所望の変位を得られないおそれがある。多少の誤差であれば、燃料の粘性で変位の減少をカバーすることもできるが、例えば、低温始動時のように、比較的多い燃料噴射量が要求される場合には、燃料の噴射量が不足する懸念が生じる。そのような場合にも、ピエゾスタック101が、上記実施形態1に示されるフラットな温度特性を有する圧電材料にて構成されることで、必要な変位を確保し、安定した燃料噴射量特性が実現できる。

0118

例えば、上記図12に示した比較例1の圧電材料を用いたピエゾスタック101において、50℃の変位に合わせて燃料供給すると、20℃や100℃で変位の不足により、20℃及び100℃での作動が不十分となる。その場合には、ノズルニードル102が十分にリフトせず、噴孔103に連通するノズルシートを燃料が十分に通らずに、燃料噴射量が不足し、エンジンのトルク不足となるおそれがある。また、変位がフラットな領域があったとしても、変位自体が低いと電荷もしくはエネルギー供給量が多くなり、望ましくない。
これに対して、ピエゾスタック101に実施例1もしくは実施例2の圧電材料を用いることで、変位が高く維持され、変位の温度依存性がフラットとなって、インジェクタIの要求特性を満足させることができる。

0119

(実施形態3)
図25を参照して、実施形態3として、上記実施形態1の圧電材料を用いた駆動部を備える、加圧開弁式のインジェクタIの他の例について説明する。本形態のインジェクタIは、主にディーゼルエンジンの燃料噴射システムに用いられるインジェクタIとして説明するが、特に限定されるものではない。また、駆動源となるピエゾスタック201の基本構成は、上記実施形態2のピエゾスタック101と同様であり、説明を省略する。

0120

図25において、インジェクタIは、図の上下方向に延びるハウジング200内の先端側(すなわち、図の下端側)に、ノズルニードル202を摺動自在に収容している。ノズルニードル202は、基端側半部(すなわち、図の上半部)周りに配置されるスプリング204により、噴孔203を閉鎖する方向に付勢されている。ノズルニードル202の背面側には、制御室205が設けられ、制御弁207を介して小径ピストン206が配置されている。小径ピストン206が摺動するシリンダの基端部は大径ピストン208を構成し、その背面に、ピエゾスタック201が当接している。大径ピストン208を構成するシリンダと小径ピストン206との間には、圧力室209が形成される。

0121

制御弁207、小径ピストン206、大径ピストン208は、ピエゾスタック201の変位を拡大伝達しノズルニードル202を駆動する駆動力伝達機構を構成している。制御弁207は、制御室205に連通する燃料室210に収容され、外部のコモンレールに連通する高圧燃料通路211に接続する下部シート212と、低圧燃料通路213に接続する上部シート214との間を開閉する3方弁構造を有している。ノズルニードル202の外周の空間は、高圧燃料通路211に連通する燃料溜まりを形成し、噴孔203に燃料を供給可能となっている。

0122

上記構成のインジェクタIにおいて、図24の左図に示す無噴射状態から、右図のように、ピエゾスタック201に電圧を印加するとピエゾスタック201が伸長し、その変位で大径ピストン208が押圧される。これにより、圧力室209の圧力が上昇し、変位を拡大して小径ピストン206に伝達する。これに伴い、小径ピストン206が制御弁207を押し下げて、上部シート214を開放し、次いで、下部シート212を閉鎖する。すると、制御室205が低圧燃料通路213に連通することで、制御圧解放されて、ノズルニードル202を上方へ付勢する燃料圧力が、下方へ付勢する制御圧とスプリング204のばね力を上回ると、ノズルニードル202が開弁して、噴孔203から燃料が噴射される。

0123

次いで、ピエゾスタック201への電圧を解除すると、ピエゾスタック201が収縮して、大径ピストン208がスプリング215の復帰力によりピエゾスタック101と共に初期位置に戻り、圧力室209の圧力が低下して、小径ピストン206が上方に移動する。これにより、制御弁207がスプリング216の復帰力により、下部シート212を閉鎖する位置から、上部シート214を閉鎖する位置へ戻り、制御室205と低圧燃料通路213との連通が遮断される。同時に、制御室205が高圧燃料通路211と連通して、制御圧が上昇することで、ノズルニードル202が押し下げられて噴孔203を再び閉鎖し、燃料の噴射が終了する。

0124

上記構成のインジェクタIにおいても、上記実施形態2と同様に、ピエゾスタック201が、フラットな温度特性を有する圧電材料にて構成されることで、必要な変位を確保し、安定した燃料噴射量特性が実現できる。

0125

本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の実施形態に適用することが可能である。また、圧電材料は、インジェクタの駆動部として燃料噴射装置に用いられるものに限らず、例えば、流量制御用バルブその他の駆動部に用いることもできる。また、圧電体超音波振動を駆動源とする超音波モータ、さらには、超音波センサ加速度センサ等、車載用機器に限らず、各種電装品用のアクチュエータ、センサ等に広く利用することができる。

0126

1圧電材料
10多結晶体
11〜13粒子
100、200ハウジング
101、201ピエゾスタック(圧電積層体)
102、202ノズルニードル
103、203噴孔
I インジェクタ

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