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技術 クロマトグラム用データ処理装置、クロマトグラム用データ処理プログラム及びクロマトグラム用データ処理方法

出願人 国立大学法人東京大学
発明者 北芳博
出願日 2017年10月16日 (2年2ヶ月経過) 出願番号 2017-200353
公開日 2019年5月16日 (7ヶ月経過) 公開番号 2019-074403
状態 未査定
技術分野 その他の電気的手段による材料の調査、分析 クロマトグラフィによる材料の調査、分析
主要キーワード 補正要件 一所定値 積分値データ 所定値範囲 情報処理媒体 グリッドシステム 成分同定 比較計算
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (16)

課題

多数のSRMを含むLC−SRM−MS解析データセットに対して、クロマトグラムから同位体由来の妨害シグナル成分同定に依存せず減少させるクロマトグラム用データ処理装置、クロマトグラム用データ処理プログラム、又はクロマトグラム用データ処理方法の提供であり、これにより、現在の手法における、低解析スループット等の課題を解決しようとするものである。

解決手段

クロマトグラムに対して化合物情報関係付ける情報結合部と、第1SRMトランジションと、前記第1SRMトランジションと所定の関係を有する第2SRMトランジションと、を関係付けたSRMトランジション関係セットを導出する関係導出部と、前記情報結合部によって関係付けられた化合物情報、及び、前記SRMトランジション関係セットに基づいて、クロマトグラムを補正する補正部と、を備えるクロマトグラム用データ処理装置。

概要

背景

生体内には膨大な種類のタンパク質核酸(DNA、RNAなど)、水溶性および脂溶性化合物が存在している。そのような化合物群集合的、包括的に解析するための技術がオミクス技術であり、ゲノミクス(DNA)やトランスクリプトミクス(RNA)、プロテオミクス(タンパク質・ペプチド)、メタボロミクス代謝物)、リピドミクス(脂質)などのオミクス技術分野が存在する。例えば、医学ライフサイエンス分野においては、対象となる試料に含まれる成分を網羅的に検出することにより、疾患等に関係する遺伝子やタンパク質、代謝物等の探索や、診断予測などを行うことを目的とした解析が実施される。現在、オミクス解析において、各種成分の検出を行う手法として、質量分析は最も一般的に行われる手法の一つである。

質量分析計を用いて試料に含まれる多数の成分を一斉検出する手法には、観測される全ての成分を対象として、分析装置の動作速度の許す限り多くの成分の情報の取得を試みる「ノンターゲット分析法」と、予め設定した多数の標的成分に対し特異的かつ高感度一斉分析を行う「ターゲット分析法」の手法が存在する。前者には四重極(Q)−飛行時間(TOF)型質量分析計(Q−TOF MS)に代表される高質量分解能型のタンデム質量分析計が用いられ、後者には三連四重極(トリプル四重極、TQ)型質量分析計(TQMS)が代表的な装置として用いられる。これらの質量分析法は典型的には、液体クロマトグラフィー(LC)と組み合わせて用いられ、液体クロマトグラフィーの成分溶出時間(保持時間)と質量分析による質量情報(MSおよびMS/MS)が、成分の検出と同定に利用される。ターゲット分析では、選択反応モニタリング(selected−reaction monitoring、SRM、多重反応モニタリング(multiple reaction monitoring、MRM)ともいう)モードによる測定が実施される。SRMは、質量分析装置内で前駆体イオン開裂を行うことで構造情報を得るMS/MS測定法の一種であるが、前駆体イオンから生じる生成イオンのうち1つないし少数事前に選択して観測することにより、MS/MSの構造選択性を活かした良好なシグナルノイズ比(S/N)に基づく高感度検出を多数の標的化合物に対して同時実行可能である点が特徴である。観測の対象とする化合物を液体クロマトグラフィーの溶出時間に連動して切り替えることにより、一度のLC−SRM−MS分析で数百ないし数千の標的化合物が測定可能である。

SRM分析では、目的化合物の各々に対して、(1)イオン化極性正イオン負イオン)、(2)前駆体イオンの質量(ないしはm/z。以下、同様。)、(3)質量分析計内の衝突乖離室でフラグメンテーションを起こすためのコリジョンエネルギー電圧)および(4)観測する生成イオンの質量(ないしはm/z。以下、同様。)、の4つの条件の組み合わせである「SRMトランジション」を何らかの方法で事前に設定して測定を行う。標準化合物入手可能である場合は、標準化合物を用いた予備測定によりSRM条件を最適化し、これを用いて実際の試料を用いた測定を実施することが多い。標準品が入手可能でない場合は、実試料に含まれる目的成分の解析結果からSRM条件を決定する、もしくは、類縁化合物異性体の解析により得られる情報をもとにSRM条件を導出する場合もある。

このようにして設定された多数のSRMトランジションを含む分析条件で、実試料の測定を行うと、少なくない割合で、目的とするクロマトグラムピークの近傍、もしくは、目的ピークに被さるような形で目的外のピーク出現し、目的ピークの同定、定量の障害となることが経験的に知られている。その原因の一つとして例えば、互いに質量の異なる関係化合物群について、それらが共通に有するフラグメンテーション様式を根拠一連のSRM条件を設定した場合に、一つの化合物の安定同位体由来するシグナルが他のクロマトグラムに妨害シグナルとして観測されるというケースがある。この場合、解析者は、関係するクロマトグラムを見比べることにより妨害シグナルを推定することができるが、膨大な数のクロマトグラムの全てについて、同位体由来の妨害シグナルを手作業で除去することは困難であり、顕著な妨害に関してのみ、個別にデータから除外するなどの消極的対応が可能であるに留まる。

以下に具体例を示す。図1は、ホスファチジルコリン(PC)類とスフィンゴミエリンSM)の構造を示す。リン脂質の一種であるホスファチジルコリン(PC)は、図1に示すように、ホスホコリンを共通の構造として有し、sn−1位とsn−2位に様々な脂肪族炭化水素脂肪酸エステル脂肪族エーテル脂肪族ビニルエーテル)を有する化合物群である。また、スフィンゴミエリン(SM)もホスホコリンを有する脂質化合物である。PCおよびSMの一斉分析には、共通部分であるホスホコリン(m/z 184)を共通の検出用フラグメントイオンとする一連のSRMトランジションを設定することが広く実施されている。

しかしながら、現実の測定では、目的PC分子種(PC(38:3))に比べて脂肪鎖中の二重結合の数が一つ多い(質量が2Da少ない)別のPC分子種(PC(38:4))の安定同位体に由来するシグナルが妨害シグナルとして、目的PC分子種検出用のクロマトグラム上に出現する場合がある。また、スフィンゴミエリン(SM)には、PC分子種と分子量が1Da違いのものが存在するため、これに由来する妨害シグナルが、目的PC分子種検出用のクロマトグラム上に出現する場合がある。すなわち、PC分子種(PC(38:4))及びSM分子種(SM(42:3))が、目的成分(PC(38:3))を検出すべく測定したクロマトグラムに妨害シグナルを与えることとなる。

さらに、同位体由来シグナルの問題は、2つのクロマトグラム間に見出すことができるだけではなく、妨害している側の成分に係るクロマトグラムもまた、さらに別の成分の同位体により妨害されている可能性を考慮しなくてはならない。

従来、このような同位体由来の妨害シグナルを補正するための手法では、同位体補正の前に成分同定を必要とするため、成分同定のためのピーク検出同定処理において、同位体由来ピークが多数検出された後、同位体由来ピークであることを判定の後、当該データを除外するという煩雑な手順を行う必要があった。また非特許文献1乃至3では、検出されたピークの積分値データに対する補正処理として同位体補正を実施するため、妨害シグナルを除去した場合のクロマトグラムは得られず、SRM測定等の検体・多成分のターゲット解析においてクロマトグラムを精査することは難しかった。さらに、非特許文献の4及び5は、あくまでマススペクトルの補正を行うものであり、そもそもSRM測定等のターゲット解析におけるクロマトグラムを対象とした補正ではない。

概要

多数のSRMを含むLC−SRM−MS解析データセットに対して、クロマトグラムから同位体由来の妨害シグナルを成分同定に依存せず減少させるクロマトグラム用データ処理装置、クロマトグラム用データ処理プログラム、又はクロマトグラム用データ処理方法の提供であり、これにより、現在の手法における、低解析スループット等の課題を解決しようとするものである。 クロマトグラムに対して化合物情報関係付ける情報結合部と、第1SRMトランジションと、前記第1SRMトランジションと所定の関係を有する第2SRMトランジションと、を関係付けたSRMトランジション関係セットを導出する関係導出部と、前記情報結合部によって関係付けられた化合物情報、及び、前記SRMトランジション関係セットに基づいて、クロマトグラムを補正する補正部と、を備えるクロマトグラム用データ処理装置。

目的

例えば、医学・ライフサイエンス分野においては、対象となる試料に含まれる成分を網羅的に検出することにより、疾患等に関係する遺伝子やタンパク質、代謝物等の探索や、診断や予測などを行うことを目的とした

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

クロマトグラムに対して化合物情報関係付ける情報結合部と、第1SRMトランジションと、前記第1SRMトランジションと所定の関係を有する第2SRMトランジションと、を関係付けたSRMトランジション関係セットを導出する関係導出部と、前記情報結合部によって関係付けられた化合物情報、及び、前記SRMトランジション関係セットに基づいて、クロマトグラムを補正する補正部と、を備えるクロマトグラム用データ処理装置

請求項2

前記化合物情報は、前記クロマトグラムに係るSRMトランジションと第1所定の関係を有するSRMトランジションに係る化合物情報であることを特徴とする、請求項1に記載のクロマトグラム用データ処理装置。

請求項3

前記化合物情報は、前駆体イオン組成式、及び、生成イオンの組成式を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載のクロマトグラム用データ処理装置。

請求項4

前記関係導出部は、前記第1SRMトランジション及び前記第2SRMトランジションに係る前駆体イオンの質量及び生成イオンの質量に基づいて、関係付けることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のクロマトグラム用データ処理装置。

請求項5

前記補正部は、前記関係導出部で関係付けられた前記第1SRMトランジションに係る第1クロマトグラムに基づき、前記第1SRMトランジションと関係付けられた第2SRMトランジションに係る第2クロマトグラムを補正することを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のクロマトグラム用データ処理装置。

請求項6

前記第1SRMトランジションに係る前駆体イオンの質量は、前記第2SRMトランジションに係る前駆体イオンの質量より、小さいことを特徴とする、請求項5に記載のクロマトグラム用データ処理装置。

請求項7

前記第1SRMトランジションに係る生成イオンの質量は、前記第2SRMトランジションに係る生成イオンの質量に対して、等しい又は小さいことを特徴とする、請求項6に記載のクロマトグラム用データ処理装置。

請求項8

前記補正部は、前記第2クロマトグラムから、所定の係数が乗じられた前記第1クロマトグラムを減ずる補正を行うことを特徴とする、請求項7に記載のクロマトグラム用データ処理装置。

請求項9

コンピュータを、クロマトグラムに対して化合物情報を関係付ける情報結合手段、第1SRMトランジションと、前記第1SRMトランジションと所定の関係を有する第2SRMトランジションと、を関係付けたSRMトランジション関係セットを導出する関係導出手段、前記情報結合部によって関係付けられた化合物情報、及び、前記SRMトランジション関係セットに基づいて、クロマトグラムを補正する補正手段、として機能させるためのクロマトグラム用データ処理プログラム

請求項10

前記化合物情報は、前駆体イオンの組成式、及び、生成イオンの組成式を含むことを特徴とする、請求項9に記載のクロマトグラム用データ処理プログラム。

請求項11

クロマトグラムに対して化合物情報を関係付ける情報結合ステップと、第1SRMトランジションと、前記第1SRMトランジションと所定の関係を有する第2SRMトランジションと、を関係付けたSRMトランジション関係セットを導出する関係導出ステップと、前記情報結合部によって関係付けられた化合物情報、及び、前記SRMトランジション関係セットに基づいて、クロマトグラムを補正する補正ステップと、を含むクロマトグラム用データ処理方法

請求項12

前記化合物情報は、前駆体イオンの組成式、及び、生成イオンの組成式を含むことを特徴とする、請求項11に記載のクロマトグラム用データ処理方法。

請求項13

第1SRMトランジションと、前記第1SRMトランジションと所定の関係を有する第2SRMトランジションと、を関係付けたSRMトランジション関係セットを導出する関係導出ステップと、測定されたクロマトグラムに対して関係付けられた化合物情報、及び、前記SRMトランジション関係セットに基づいて、クロマトグラムを補正する補正ステップと、を含むクロマトグラム用データ処理方法。

請求項14

前記化合物情報は、前駆体イオンの組成式、及び、生成イオンの組成式を含むことを特徴とする、請求項13に記載のクロマトグラム用データ処理方法。

技術分野

0001

本出願において開示された技術は、質量分析装置を操作して得られたデータを処理するクロマトグラムデータ処理装置、クロマトグラム用データ処理プログラム又はクロマトグラム用データ処理方法に関する。

背景技術

0002

生体内には膨大な種類のタンパク質核酸(DNA、RNAなど)、水溶性および脂溶性化合物が存在している。そのような化合物群集合的、包括的に解析するための技術がオミクス技術であり、ゲノミクス(DNA)やトランスクリプトミクス(RNA)、プロテオミクス(タンパク質・ペプチド)、メタボロミクス代謝物)、リピドミクス(脂質)などのオミクス技術分野が存在する。例えば、医学ライフサイエンス分野においては、対象となる試料に含まれる成分を網羅的に検出することにより、疾患等に関係する遺伝子やタンパク質、代謝物等の探索や、診断予測などを行うことを目的とした解析が実施される。現在、オミクス解析において、各種成分の検出を行う手法として、質量分析は最も一般的に行われる手法の一つである。

0003

質量分析計を用いて試料に含まれる多数の成分を一斉検出する手法には、観測される全ての成分を対象として、分析装置の動作速度の許す限り多くの成分の情報の取得を試みる「ノンターゲット分析法」と、予め設定した多数の標的成分に対し特異的かつ高感度一斉分析を行う「ターゲット分析法」の手法が存在する。前者には四重極(Q)−飛行時間(TOF)型質量分析計(Q−TOF MS)に代表される高質量分解能型のタンデム質量分析計が用いられ、後者には三連四重極(トリプル四重極、TQ)型質量分析計(TQMS)が代表的な装置として用いられる。これらの質量分析法は典型的には、液体クロマトグラフィー(LC)と組み合わせて用いられ、液体クロマトグラフィーの成分溶出時間(保持時間)と質量分析による質量情報(MSおよびMS/MS)が、成分の検出と同定に利用される。ターゲット分析では、選択反応モニタリング(selected−reaction monitoring、SRM、多重反応モニタリング(multiple reaction monitoring、MRM)ともいう)モードによる測定が実施される。SRMは、質量分析装置内で前駆体イオン開裂を行うことで構造情報を得るMS/MS測定法の一種であるが、前駆体イオンから生じる生成イオンのうち1つないし少数事前に選択して観測することにより、MS/MSの構造選択性を活かした良好なシグナルノイズ比(S/N)に基づく高感度検出を多数の標的化合物に対して同時実行可能である点が特徴である。観測の対象とする化合物を液体クロマトグラフィーの溶出時間に連動して切り替えることにより、一度のLC−SRM−MS分析で数百ないし数千の標的化合物が測定可能である。

0004

SRM分析では、目的化合物の各々に対して、(1)イオン化極性正イオン負イオン)、(2)前駆体イオンの質量(ないしはm/z。以下、同様。)、(3)質量分析計内の衝突乖離室でフラグメンテーションを起こすためのコリジョンエネルギー電圧)および(4)観測する生成イオンの質量(ないしはm/z。以下、同様。)、の4つの条件の組み合わせである「SRMトランジション」を何らかの方法で事前に設定して測定を行う。標準化合物入手可能である場合は、標準化合物を用いた予備測定によりSRM条件を最適化し、これを用いて実際の試料を用いた測定を実施することが多い。標準品が入手可能でない場合は、実試料に含まれる目的成分の解析結果からSRM条件を決定する、もしくは、類縁化合物異性体の解析により得られる情報をもとにSRM条件を導出する場合もある。

0005

このようにして設定された多数のSRMトランジションを含む分析条件で、実試料の測定を行うと、少なくない割合で、目的とするクロマトグラムピークの近傍、もしくは、目的ピークに被さるような形で目的外のピーク出現し、目的ピークの同定、定量の障害となることが経験的に知られている。その原因の一つとして例えば、互いに質量の異なる関係化合物群について、それらが共通に有するフラグメンテーション様式を根拠一連のSRM条件を設定した場合に、一つの化合物の安定同位体由来するシグナルが他のクロマトグラムに妨害シグナルとして観測されるというケースがある。この場合、解析者は、関係するクロマトグラムを見比べることにより妨害シグナルを推定することができるが、膨大な数のクロマトグラムの全てについて、同位体由来の妨害シグナルを手作業で除去することは困難であり、顕著な妨害に関してのみ、個別にデータから除外するなどの消極的対応が可能であるに留まる。

0006

以下に具体例を示す。図1は、ホスファチジルコリン(PC)類とスフィンゴミエリンSM)の構造を示す。リン脂質の一種であるホスファチジルコリン(PC)は、図1に示すように、ホスホコリンを共通の構造として有し、sn−1位とsn−2位に様々な脂肪族炭化水素脂肪酸エステル脂肪族エーテル脂肪族ビニルエーテル)を有する化合物群である。また、スフィンゴミエリン(SM)もホスホコリンを有する脂質化合物である。PCおよびSMの一斉分析には、共通部分であるホスホコリン(m/z 184)を共通の検出用フラグメントイオンとする一連のSRMトランジションを設定することが広く実施されている。

0007

しかしながら、現実の測定では、目的PC分子種(PC(38:3))に比べて脂肪鎖中の二重結合の数が一つ多い(質量が2Da少ない)別のPC分子種(PC(38:4))の安定同位体に由来するシグナルが妨害シグナルとして、目的PC分子種検出用のクロマトグラム上に出現する場合がある。また、スフィンゴミエリン(SM)には、PC分子種と分子量が1Da違いのものが存在するため、これに由来する妨害シグナルが、目的PC分子種検出用のクロマトグラム上に出現する場合がある。すなわち、PC分子種(PC(38:4))及びSM分子種(SM(42:3))が、目的成分(PC(38:3))を検出すべく測定したクロマトグラムに妨害シグナルを与えることとなる。

0008

さらに、同位体由来シグナルの問題は、2つのクロマトグラム間に見出すことができるだけではなく、妨害している側の成分に係るクロマトグラムもまた、さらに別の成分の同位体により妨害されている可能性を考慮しなくてはならない。

0009

従来、このような同位体由来の妨害シグナルを補正するための手法では、同位体補正の前に成分同定を必要とするため、成分同定のためのピーク検出同定処理において、同位体由来ピークが多数検出された後、同位体由来ピークであることを判定の後、当該データを除外するという煩雑な手順を行う必要があった。また非特許文献1乃至3では、検出されたピークの積分値データに対する補正処理として同位体補正を実施するため、妨害シグナルを除去した場合のクロマトグラムは得られず、SRM測定等の検体・多成分のターゲット解析においてクロマトグラムを精査することは難しかった。さらに、非特許文献の4及び5は、あくまでマススペクトルの補正を行うものであり、そもそもSRM測定等のターゲット解析におけるクロマトグラムを対象とした補正ではない。

先行技術

0010

Scherer M et al., Anal. Chem., 2010, 82, 8794-8799. Simultaneous Quantification of Cardiolipin, Bis(monoacylglycero)phosphate and their Precursors by Hydrophilic Interaction LC-MS/MS Including Correction of Isotopic Overlap
Tsugawa H et al., Front. Genet., 2014, 5, 471.MRM-DIFF: data processing strategy for differential analysis in large scale MRM-based lipidomics studies
Li et al., Sci. Rep., 2014, 4, 6581. Comprehensive Quantification of Triacylglycerols in Soybean Seedsby Electrospray Ionization Mass Spectrometry with Multiple Neutral Loss Scans
Kurvinen JP et al., Rapid Commun. Mass Spectrom., 2002, 16, 1812-1820. Software algorithm for automatic interpretation of mass spectra of glycerolipids
Han et al., Anal. Biochem., 2001, 295, 88-100. Quantitative Analysis and Molecular Species Fingerprinting of Triacylglyceride Molecular Species Directly from Lipid Extracts of Biological Samples by Electrospray Ionization Tandem Mass Spectrometry

発明が解決しようとする課題

0011

本発明は、こうした問題を解決するための方法に関するものであり、その目的は、多数のSRMを含むLC−SRM−MS解析データセットに対して、クロマトグラムから同位体由来の妨害シグナルを成分同定に依存せず減少させるクロマトグラム用データ処理装置、クロマトグラム用データ処理プログラム、又はクロマトグラム用データ処理方法の提供であり、これにより、現在の手法における、低解析スループット等の課題を解決しようとするものである。

課題を解決するための手段

0012

本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討を行った結果、クロマトグラム中の各ピークの成分同定処理を行うことなく、クロマトグラム自体に推定される化合物情報関係付け、これに基づき生データであるクロマトグラムそのものに対して妨害シグナルの補正処理を実行すること、また、複数の重畳した同位体妨害についても適切な順序繰り返し処理を実行すること、従来より簡易かつ高速ハイスループット)で同位体由来の妨害シグナルの補正を行うことができることを見出し、本発明を完成するに至った。

0013

すなわち、本願発明は以下の態様のクロマトグラム用データ処理装置、クロマトグラム用データ処理プログラム及びクロマトグラム用データ処理方法を提供するものである;
(1)本願発明に係る一実施例は、クロマトグラムに対して化合物情報を関係付ける情報結合部と、第1SRMトランジションと、前記第1SRMトランジションと第2所定の関係を有する第2SRMトランジションと、を関係付けたSRMトランジション関係セットを導出する関係導出部と、前記情報結合部によって関係付けられた化合物情報、及び、前記SRMトランジション関係セットに基づいて、クロマトグラムを補正する補正部と、を備えるクロマトグラム用データ処理装置;
(2)本願発明に係る一実施例において、前記化合物情報は、前記クロマトグラムに係るSRMトランジションと第1所定の関係を有するSRMトランジションに係る化合物情報であることを特徴とする、クロマトグラム用データ処理装置;
(3)本願発明に係る一実施例において、前記化合物情報は、前駆体イオンの組成式、及び、生成イオンの組成式を含むことを特徴とする、クロマトグラム用データ処理装置;
(4)本願発明に係る一実施例において、前記関係導出部は、前記第1SRMトランジション及び前記第2SRMトランジションに係る前駆体イオンの質量(m/z)及び生成イオンの質量(m/z)に基づいて、関係付けることを特徴とする、クロマトグラム用データ処理装置;
(5)本願発明に係る一実施例において、前記補正部は、前記関係導出部で関係付けられた前記第1SRMトランジションに係る第1クロマトグラムに基づき、前記第1SRMトランジションと関係付けられた第2SRMトランジションに係る第2クロマトグラムを補正することを特徴とする、クロマトグラム用データ処理装置;
(6)本願発明に係る一実施例において、前記第1SRMトランジションに係る前駆体イオンの質量(m/z)は、前記第2SRMトランジションに係る前駆体イオンの質量(m/z)に対して、等しい又は小さいことを特徴とする、クロマトグラム用データ処理装置;
(7)本願発明に係る一実施例において、前記第1SRMトランジションに係る生成イオンの質量(m/z)は、前記第2SRMトランジションに係る生成イオンの質量(m/z)に対して、等しい又は小さいことを特徴とする、クロマトグラム用データ処理装置;
(8)本願発明に係る一実施例において、前記補正部は、前記第2クロマトグラムから、所定の係数が乗じられた前記第1クロマトグラムを減ずる補正を行うことを特徴とする、クロマトグラム用データ処理装置;
(9)本願発明に係る一実施例は、コンピュータを、クロマトグラムに対して化合物情報を関係付ける情報結合手段、第1SRMトランジションと、前記第1SRMトランジションと第2所定の関係を有する第2SRMトランジションと、を関係付けたSRMトランジション関係セットを導出する関係導出手段、前記情報結合部によって関係付けられた化合物情報、及び、前記SRMトランジション関係セットに基づいて、クロマトグラムを補正する補正手段、として機能させるためのクロマトグラム用データ処理プログラム;
(10)本願発明に係る一実施例において、前記化合物情報は、前駆体イオンの組成式、及び、生成イオンの組成式を含むことを特徴とする、クロマトグラム用データ処理プログラム;
(11)本願発明に係る一実施例は、クロマトグラムに対して化合物情報を関係付ける情報結合ステップと、第1SRMトランジションと、前記第1SRMトランジションと第2所定の関係を有する第2SRMトランジションと、を関係付けたSRMトランジション関係セットを導出する関係導出ステップと、前記情報結合部によって関係付けられた化合物情報、及び、前記SRMトランジション関係セットに基づいて、クロマトグラムを補正する補正ステップと、を含むクロマトグラム用データ処理方法;
(12)本願発明に係る一実施例において、前記化合物情報は、前駆体イオンの組成式、及び、生成イオンの組成式を含むことを特徴とする、クロマトグラム用データ処理方法;
(13)本願発明に係る一実施例は、第1SRMトランジションと、前記第1SRMトランジションと後述の第2所定の関係を有する第2SRMトランジションと、を関係付けたSRMトランジション関係セットを導出する関係導出ステップと、測定されたクロマトグラムに対して関係付けられた化合物情報、及び、前記SRMトランジション関係セットに基づいて、クロマトグラムを補正する補正ステップと、を含むクロマトグラム用データ処理方法;及び、
(14)本願発明に係る一実施例において、前記化合物情報は、前駆体イオンの組成式、及び、生成イオンの組成式を含むことを特徴とする、クロマトグラム用データ処理方法。

0014

さらなる実施態様として、本発明は、
(15)第3のクロマトグラムと第2のクロマトグラムと第1のクロマトグラムとにおいて、前記第3のクロマトグラムに係る第3のSRMトランジションと前記第1のクロマトグラムに係る第1のSRMトランジションとは後述の第2所定の関係を有し、かつ、前記第1のSRMトランジションの前駆体イオンの質量(m/z)は前記第3のSRMトランジションの前駆体イオンの質量(m/z)より小さく、かつ、前記第3のSRMトランジションと前記第2のクロマトグラムに係る第2のSRMトランジションとは後述の第2所定の関係を有し、かつ、前記第2のSRMトランジションの前駆体イオンの質量(m/z)は前記第3のSRMトランジションの前駆体イオンの質量(m/z)より小さく、かつ、前記第2のSRMトランジションと前記第1のSRMトランジションとは後述の第2所定の関係を有し、かつ、前記第1のSRMトランジションの前駆体イオンの質量(m/z)は前記第2のSRMトランジションの前駆体イオンの質量(m/z)より小さい場合、前記第2クロマトグラムから、同位体補正係数1−2を乗じた前記第1クロマトグラムを減ずる補正を行って、補正済み第2クロマトグラムを取得し;さらに、前記第3のクロマトグラムから、同位体補正係数1−3を乗じた前記第1クロマトグラム及び同位体補正係数2−3を乗じた前記補正済み第2クロマトグラムの両方を減じる補正を行って、補正済み第3クロマトグラムを得る構成を備えてもよい。

発明の効果

0015

本願発明の一実施形態により、クロマトグラムから同位体由来の妨害シグナルを、成分同定に依存せずに、減少できる。

図面の簡単な説明

0016

図1は、ホスファチジルコリン(PC)類とスフィンゴミエリン(SM)の化学構造である。
図2は、ホスファチジルコリン(PC(38:3))のSRM測定によるクロマトグラムに関する同位体由来の妨害シグナルを例示した図である。
図3は、本発明の実施態様に係る構成を示すブロック図である。
図4は、本発明の実施態様に係る機能的な構成を示すブロック図である。
図5は、本発明の実施態様に係るデータ構造の一例である。
図6は、本発明の実施態様に係るデータ構造の一例である。
図7は、本発明の実施態様に係るデータ構造の一例である。
図8は、本発明の実施態様に係るデータ構造の一例である。
図9は、本発明の実施態様に係るデータ構造の一例である。
図10は、本発明の実施態様に係るデータ構造の一例である。
図11は、本発明の実施態様に係るクロマトグラムの一例である。
図12は、本発明の実施態様に係る同位体補正係数の計算に関するデータの一例である。
図13は、本発明の実施態様に係るクロマトグラムの一例である。
図14は、本発明の実施例に係るフローの一例である。
図15は、本発明の実施例に係るフローの一例である。

実施例

0017

1.情報処理装置の各構成
図3は、本願発明の一実施形態として、分析装置1と、情報処理装置10が接続された態様を示す。分析装置1は、タンデム型の質量分析装置であって、例えば、三連四重極型質量分析計が挙げられる。

0018

情報処理装置10は、以下でその各構成を述べるが、一般的な情報処理装置でもよいし、専用の情報処理装置であってもよい。また、分析装置1の内部に、情報処理装置10の一部又は全部が備えられていてもよい。

0019

図3は、分析装置1と情報処理装置10とは、情報が伝達できるよう接続されている態様を示している。分析装置1と情報処理装置10は、情報が伝達できる態様であれば、直接接続されていても、他の情報処理媒体を介して間接的に接続されていてもよい。例えば、ネットワーク17を介して接続されていてもよい。ネットワーク17は、有線であっても無線であってもよく、光ファイバ同軸ケーブルイーサネットケーブルなどを用いてもよい。

0020

また、別の態様では、情報処理装置10は、分析装置1と接続されていなくてもよい。例えば、情報処理装置10は、分析装置1から出力されるような情報又は本発明に係る実施例において入力に必要な情報を有したサーバクラウド又は記録媒体などに記録された情報を入力情報として、本願発明の一実施形態の情報処理を実施してもよい。

0021

情報処理装置10は、図3のように、バス11、演算部12、記憶部13、入力部14、表示部15、通信IF16を有することができる。

0022

バス11は、演算部12、記憶部13、入力部14及び表示部15の間の情報を伝達する機能を有する。

0023

演算部12は、例えばプロセッサが挙げられる。これは、CPUであってもよいし、MPUであってもよい。また、グラフィックスプロセッシングユニットデジタルシグナルプロセッサなどを有してもよい。要するに、演算部12は、プログラム命令を実行できる機能を有すればよい。

0024

記憶部13は、情報を記録する機能を有する。これは、外部メモリ内部メモリのいずれでもよく、主記憶装置補助記憶装置のいずれでもよい。また、磁気ディスクハードディスク)、光ディスク磁気テープ半導体メモリなどでもよい。また、ネットワークを介した記憶装置、クラウド上の記憶装置などでもよい。また、記憶部13には、データベースが含まれてもよい。

0025

入力部14は、情報を入力する機能を有する。マウスキーボードタッチパネルペン型指示装置などの指示装置が挙げられる。

0026

表示部15は、例えば、ディスプレイがある。また、液晶ディスプレイプラズマディスプレイ有機ELディスプレイなどでもよい。要するに、情報を表示できる装置であればよい。また、タッチパネルのように入力部14を一部に備えてもよい。

0027

通信IF16は、通信機能を有する。通信IF16は、分析装置1又は分析装置1から出力されるような情報に係る情報を備える記録媒体などと通信して接続できればよい。分析装置1から出力されるような情報に係る情報を備える記録媒体とは、例えば、分析装置から出力された測定結果が、他の情報処理装置で測定情報が整理などされて記録された記録媒体などのケースがありうる。通信IF16は、シリアル接続及びパラレル接続のいずれでもよく、USB,IEEE1394、イーサネットPCISCSI、WIFI、又はIEEE802などでもよい。

0028

図3では、情報処理装置10は、物理的に一つの装置で構成されてもよいし、物理的に複数の装置で構成されてもよい。複数の情報処理装置の場合には、複数の情報処理装置を接続する機能が加えられた上で、上記のバス11、演算部12、記憶部13、入力部14、表示部15、通信IF16の一部又は全部が、それらの複数の情報処理装置にどのように分配又は配置されてもよい。

0029

さらに、情報処理装置10は、物理的に複数のシステムで構成されている場合、クライアントサーバシステム、P2Pシステム、グリッドシステムクラウドシステムなどのシステムであってもよい。

0030

本件出願に係る発明の一形態は、以下で述べるいずれかのソフトウェア的機能を実現できるハードウェアシステムであれば、上述したハードウェアシステムに限られず、種々のハードウェアシステムにおいても適用することができる。

0031

2.情報処理装置内の機能
上述の情報処理装置10のハードウェアを用いて、本願発明の一実施形態のシステムは、図4のように、記憶部41、入力部42、情報結合部43、関係導出部44、補正部45、及び表示部46を有することができる。ただし、本願発明の一実施例に係るシステムは、これらすべての機能を有する必要はなく、例えば、情報結合部43を有しない形態もありうる。

0032

2−1.記憶部41
記憶部41は、情報を記憶する機能を有する。例えば、記憶部41は、入力部42、情報結合部43、関係導出部44、補正部45、及び/又は表示部46で使用される情報又はこれらで得られた情報を記録する機能を有する。
例えば、記憶部41は、SRMトランジションに関係する情報を、図5のようなデータベースで保持してもよい。ここで、図5のデータ構造では、SRMトランジション情報52、クロマトグラムへの参照53、化合物情報への参照54、被補正SRMチャネルへの参照55を有する一のデータ構造を、SRMチャネル51と呼んでおり、n個のSRMチャネル51の例を示している。

0033

SRMトランジション情報52は、SRMトランジションに係る情報が含まれている。ここで、SRMトランジションとは、イオン化の極性、前駆体イオンの質量(m/z)、質量分析計内の衝突乖離室でフラグメンテーションを起こすためのコリジョンエネルギー(電圧)、観測する生成イオン(フラグメントイオン)の質量(m/z)の4つの条件で定められるものである。ここで、イオン化の極性は、正又は負である。装置、データ又はプログラムの利用において、イオン化の極性が一方であることが明らかな場合は、省略されてもよい。また、電圧は、測定装置によって異なることもあることから、省略されてもよい。
クロマトグラムへの参照53は、SRMトランジション情報を用いて測定されたクロマトグラムへの参照を示す情報が記録されている。クロマトグラムへの参照は複数あり、リスト形式で記録されていてもよい。また、クロマトグラムの情報への参照の情報に代えて、クロマトグラムの情報そのものが記録されていてもよいことはいうまでもない。
化合物情報への参照54は、以下の情報結合部43で作成されるデータである。
被補正SRMチャネルへの参照55は、以下の関係導出部44で作成されるデータである。

0034

また、記憶部41は、図5データ形式以外であっても、情報結合部43、関係導出部44、補正部45、及び/又は表示部46などで作成及び/又は利用される情報を記憶することができるが、これらに限られず、本発明に係る実施例で使用されうる情報を記録することができる。また、記憶部41は、本願発明には関係しない情報も記憶してもよい。

0035

2−2.入力部42
入力部42は、情報を取得する機能を有する。入力部42は、上述したように、分析装置から取得してもよいし、他の情報記録装置であるサーバ、クラウド、記録媒体などから取得してもよい。

0036

入力部42から入力される情報としては、測定予定のSRMトランジション、それらの測定時間、測定で得られたクロマトグラムの情報、化合物名に関するデータベースの情報などが挙げられるが、これらに限られない。上述の記憶部41に記録されうる情報が入力部42で使用されてもよい。

0037

2−3.情報結合部43
情報結合部43は、SRMトランジションに、化合物情報を、関係付ける機能を有する。当該SRMトランジションは、測定予定のSRMトランジションであってもよいし、測定に使用されたSRMトランジションであってもよい(以下、「測定用SRMT」という。)。測定に使用された測定用SRMTの場合は、当該測定用SRMTによって測定されたクロマトグラムが、当該測定用SRMTを介して、化合物情報と、関係付けられてもよい。測定用SRMTと化合物情報とが関係付けられることで、後述する同位体補正係数を計算することが可能となる。

0038

クロマトグラムは、時間と信号強度の組み合わせ列の情報であってもよいし、当該情報に基づいたグラフでもよい。時間と信号強度の組み合わせ列の情報としては、例えば、[時間1・信号強度1]、[時間2・信号強度2]、[時間3・信号強度3]・・・[時間n・信号強度n]などが挙げられる。

0039

化合物情報は、特定のクロマトグラムに関連付けるために(該クロマトグラムとは別に)用意された、各種の化合物に関する情報またはそれらの集合体(データベース)である。化合物情報には、化合物名、化合物の組成式、前駆体イオンの組成式、生成イオンの組成式、中性脱離基の組成式、及び/又は、当該化合物の検出を目的として設定された(或いはそのように推測され得る)SRMトランジション、などが含まれる。

0040

情報結合部43は、上記の化合物情報を備えるデータベース(以下、「化合物情報データベース」という。)を備えることができる。化合物情報データベースの一例は図6である。図6の例では、化合物名61、前駆体イオンの組成式65、生成イオンの組成式66、並びにSRMトランジションにおけるイオン化極性64、前記前駆体イオンの組成式に対応する質量(m/z)62、及び前記生成イオンの組成式に対応する質量(m/z)63を有している。なお、前記前駆体イオンの組成式に対応する質量(m/z)62は前記前駆体イオンの組成式65に基づき計算できる値であり、前記生成イオンの組成式に対応する質量(m/z)63は前記生成イオンの組成式66に基づき計算できる値である。そのため、化合物情報データベースは、前記前駆体イオンの組成式に対応する質量(m/z)62、及び/又は、前記生成イオンの組成式に対応する質量(m/z)63を備えなくてもよいが、これらが存在すると、測定用SRMTとの比較計算が容易となる利点がある。化合物情報データベースは、公知の技術文献に基づいて作成されてもよいし、過去の実験データなどに基づいて作成されてもよい。なお、化合物情報データベースは、特定の物質に限定されたデータベースでもよいし、より広い分野の物質を含めたデータベースでもよい。

0041

情報結合部43は、測定用SRMTを、上記化合物情報データベース内のSRMトランジション(以下、「DB内SRMT」という。)と対比して、測定用SRMTと、当該測定用SRMTと第1所定の関係を有するDB内SRMTに係る化合物情報とを、関係付ける。
測定用SRMTとDB内SRMTとが第1所定の関係を有するとは、測定用SRMTの前駆体イオンの質量(m/z)とDB内SRMTの前駆体イオンの質量(m/z)の差異が第1所定値範囲内であり、かつ、測定用SRMTの生成イオンの質量(m/z)とDB内SRMTの生成イオンの質量(m/z)の差異が第2所定値範囲内にあることである。第1所定値及び第2所定値は、測定用SRMTが、DB内SRMTとの違いを誤差と考えられる程度の閾値として設定すればよく、例えば、第1所定値及び第2所定値を0.2とすることができるが、これは一実施例であり、他の値でもよく、また、第1所定値及び第2所定値が異なる値であってもよい。

0042

次に情報結合部43における例を説明する。例えば、測定用SRMTの前駆体イオンの質量(m/z)が、342.130であり、当該測定用SRMTの生成イオンの質量(m/z)が、184.1であるとする。また、第1所定値及び第2所定値は、ここでは、いずれも0.2とする。情報結合部43は、測定用SRMTの前駆体イオンの質量(m/z)である342.130と、図6の化合物情報データベースにおいて前駆体イオンの質量(m/z)の差異が第一所定値(0.2)以内のものは、PC(4:0)のみである。また、PC(4:0)の生成イオンの質量(184.073321)と、当該測定用SRMTの生成イオンの質量(184.1)の差異が第2所定値(0.2)以内である。よって、情報結合部43は、測定用SRMTの前駆体イオン及び生成イオンに関する質量差が、それぞれ、第1所定値及び第2所定値以内である化合物情報データベース内の前駆体イオン及び生成イオンである物質はPC(4:0)であると判定する。そして、情報結合部43は、当該測定用SRMTと、DB内SRMTの化合物情報(C12H25N1O8P1、C5H15N1O4P1)を関係づける。情報結合部43は、当該測定用SRMTと、DB内SRMTの化合物情報(C12H25N1O8P1、C5H15N1O4P1)とを関係づけて、記憶テーブルに記録してもよい。この例では、測定用SRMTに対して、直接DB内SRMTの化合物情報を関係づけた例であるが、参照を用いてもよいことはいうまでもない。

0043

すなわち、情報結合部43は、測定用SRMTとDB内SRMTとが、上記の第1所定の関係を有すると判定した場合、例えば、測定用SRMTに対応する化合物情報データベース内の特定のDB内SRMTを示す参照を、測定用SRMTと関係付けて記憶してもよい。例えば、図7のように、測定用SRMTとDB内SRMTとが、上記の第1所定の関係を有すると判定した場合、前記測定用SRMTに係るSRMチャネル1内の化合物上への参照リストに、前記DB内SRMTに係る化合物2を記憶してもよい。

0044

なお、情報結合部43は、測定用SRMTと、化合物情報データベース内の全てのDB内SRMTとが、上記の第1所定の関係を有しないと判定した場合、当該測定用SRMTと、前記化合物情報データベース内のいずれのDB内SRMTとも関係付けない処理をする。
また、情報結合部43は、測定用SRMTと第1のDB内SRMTとが上記の第1所定の関係を有すると判定し、かつ、前記測定用SRMTと第2のDB内SRMTとが上記の第1所定の関係を有すると判定した場合、前記測定用SRMTと前記第1のDB内SRMTとを関係付け、かつ、前記測定用SRMTと前記第2のDB内SRMTとを関係付ける処理をしてもよい。

0045

2−4.関係導出部44
関係導出部44は、第2所定の関係を有した複数のSRMトランジションを関係付けて、SRMトランジション関係セットを導出する。例えば、関係導出部44は、第1のSRMトランジションと、当該第1のSRMトランジションと第2所定の関係を有する第2のSRMトランジションとを、関係付けて、SRMトランジション関係セットを導出する。SRMトランジションは、測定用SRMTであってもよいし、関係付けを行う時点において測定用SRMTであるか不明であってもよい。

0046

第2所定の関係とは、以下のi)〜iv)の事項を全て満たす関係をいう。
i)前記第1のSRMトランジションのイオン化極性と前記第2のSRMトランジションのイオン化極性とが一致する;
ii)前記第2のSRMトランジションの前駆体イオンの質量(m/z)から前記第1のSRMトランジションの前駆体イオンの質量(m/z)を減じた値は、所定の正の整数(以下、「前駆体イオン整数質量差」という。)と所定の許容差加算した値であって、第3所定の値以下の値である;
iii)前記第2のSRMトランジションの生成イオンの質量(m/z)から前記第1のSRMトランジションの生成イオンの質量(m/z)を減じた値は、0または所定の正の整数(以下、「生成イオン整数質量差」という。)と所定の許容差を加算した値であって、生成イオン整数質量差が前駆体イオン整数質量差以下である;及び、
iv)前記第1のSRMトランジションのコリジョンエネルギーと前記第2のSRMトランジションのコリジョンエネルギーとの差(の絶対値)が第4所定の値以下である。
ここで、前駆体イオン整数質量差及び生成イオン整数質量差における「所定の正の整数」は、分子中の原子が1ないしそれ以上の安定同位体により置換された際に生じる質量増加が、自然数近似されることに対応する数(例えば、1ダルトン、2ダルトン、3ダルトンなど)である。これにより、質量が1ダルトン異なるものから後述の補正の対象とし、精緻に補正が可能である。また、このような一般化した条件定義により、様々な質量差を有するSRMトランジションを系統的かつ包括的に補正対象として評価することが可能となる。
この近似による誤差は、同位体の置換数が1ないし10程度の場合は、上記「所定の許容差」に比べて僅少であるため、該「所定の許容差」に含まれるものと考えて問題なく、置換数がさらに多数の場合には、第1のSRMトランジションに係る前駆体イオンおよび生成イオンに係る組成式から導出される精密質量を用いて、「所定の許容差」を適宜修正することができる。例えば、所定の許容差は、0を含み、−0.1乃至0.1の値、−0.2乃至0.2の値などが挙げられるが、これらに限られない。また、ii)の所定の許容差とiii)の所定の許容差は、同じでも異なってもよい。所定の自然数と所定の許容差を加算した値は、2.1、2.14、などの値であることもあれば、所定の許容差が負の値の場合もあるため、2.99、2.95等の値もありうる。なお、上記ではiv)においてコリジョンエネルギーの差を要件の一つとしたが、上述した通りコリジョンエネルギーに係るiv)は要件としなくてもよい。

0047

第3所定の値は、前記第1のSRMトランジションで測定されて得られる第1のクロマトグラムと前記第2のSRMトランジションで測定されて得られる第2のクロマトグラムにおいて、前記第1のクロマトグラムに係る(化合物情報の)化合物が前記第2のクロマトグラムに係る(化合物情報の)化合物を妨害する、またはその逆の関係にありうる対象範囲を決めるものである。そのため、当該所定の値を大きな値とすると妨害する可能性が少しでもあるクロマトグラム(及び当該クロマトグラムを得るためのSRMトランジション)を関係付けの対象として補正の対象を広げる利点がある。他方、当該所定の値を小さな値とすると計算機の負担が少ない利点がある。このような視点に基づく具体的な値としては、第3所定の値に係る前駆体イオン整数質量差の最大値は、例えば、5ダルトン、7ダルトン、又は10ダルトンなどの値が挙げられるが、これらに限られない。

0048

第4所定の値は、測定装置の特性などを踏まえて適宜特定されるものであり、例えば、0.5ボルト、1ボルト、2ボルトなどの値が挙げられるが、これらに限られない。

0049

ここで、第1のSRMトランジションと第2のSRMトランジションとが、第2所定の関係であることを示す一例を、図8を用いて説明する。なお、第3所定の値に係る前駆体イオン整数質量差の最大値を10ダルトン、所定の許容差として±0.2ダルトンをそれぞれ設定し、第4所定の値として1ボルトを設定する。なお、表には記載されていないが、前記第1のSRMトランジションのコリジョンエネルギーと前記第2のSRMトランジションのコリジョンエネルギーとが同一の値であるとする。図8は、PS(34:2)に関する表である。第1のSRMトランジションで測定される第1のクロマトグラムをPS(34:2)81とし、第2のSRMトランジションで測定される第2のクロマトグラムをPS(34:1)82として、これらが第2所定の関係を有することを説明する。第2のSRMトランジションで測定され得る第2のクロマトグラムPS(34:1)82の前駆体イオン質量(760.5)から、第1のSRMトランジションで測定され得る第1のクロマトグラムPS(34:2)81の前駆体イオン質量(758.5)を減じて得られる質量差は、2.0であり、これは、第3所定の値に係る前駆体イオン整数質量差が2ダルトンである場合に該当する。また、第2のSRMトランジションで測定され得る第2のクロマトグラムPS(34:1)82の生成イオン質量(675.5)から、第1のSRMトランジションで測定され得る第1のクロマトグラムPS(34:2)81の生成イオン質量(673.5)を減じて得られる質量差は、2.0、これに対応する生成イオン整数質量差は2であり、前駆体イオン整数質量差(2)以下である。また、前提から、前記第1のSRMトランジションのコリジョンエネルギーと前記第2のSRMトランジションのコリジョンエネルギーとが同一の値であることから、その差は第4所定の値(1)以下である。

0050

以上の検討により、第1のSRMトランジションで測定される第1のクロマトグラムPS(34:2)81と、第2のSRMトランジションで測定される第2のクロマトグラムPS(34:1)82と、は第2所定の関係を有することが分かる。

0051

関係導出部44は、以上の第2所定の関係の判定を行い、第1のクロマトグラムPS(34:2)81に係る第1のSRMトランジション(SRMチャネル)を、第2のクロマトグラムPS(34:1)82に係る第2のSRMトランジション(SRMチャネル)の被補正SRMトランジション(SRMチャネル)として関係づける。

0052

同様に、第1のSRMトランジションで測定される第1のクロマトグラムをPS(34:2)81とし、第2のSRMトランジションで測定される第2のクロマトグラムをPS(34:0)83として、これらが第2所定の関係を有することを説明する。第2のSRMトランジションで測定され得る第2のクロマトグラムPS(34:0)83の前駆体イオン質量(762.5)から、第1のSRMトランジションで測定され得る第1のクロマトグラムPS(34:2)81の前駆体イオン質量(758.5)81を減じて得られる質量差は、4.0であり、これは、第3所定の値に係る前駆体イオン整数質量差が2ダルトンである場合に該当する。また、第2のSRMトランジションで測定され得る第2のクロマトグラムPS(34:0)83の生成イオン質量(677.5)から、第1のSRMトランジションで測定され得る第1のクロマトグラムPS(34:2)81の生成イオン質量(673.5)を減じて得られる質量差は、4.0であり、これに対応する生成イオン整数質量差は2であり、前駆体イオン質量差(4)以下である。また、前提から、前記第1のSRMトランジションのコリジョンエネルギーと前記第2のSRMトランジションのコリジョンエネルギーとが同一の値であることから、その差は第4所定の値(1)以下である。

0053

以上の検討により、第1のSRMトランジションで測定される第1のクロマトグラムPS(34:2)81と、第2のSRMトランジションで測定される第2のクロマトグラムPS(34:0)83と、は第2所定の関係を有することが分かる。

0054

これにより、関係導出部44は、以上の第2所定の関係の判定を行い、第1のクロマトグラムPS(34:2)81に係る第1のSRMトランジション(SRMチャネル)を、第2のクロマトグラムPS(34:0)83に係る第2のSRMトランジション(SRMチャネル)の被補正SRMトランジション(SRMチャネル)として関係づける。

0055

また、対象とするSRMトランジションに対応するクロマトグラムのうち、信号が測定されないクロマトグラム又は信号が低いクロマトグラムもある。関係導出部44は、これらのクロマトグラムを含めて関係付けてもよい。

0056

他方、関係導出部44は、信号が測定されないクロマトグラム又は信号が低いクロマトグラムを関係付けの対象とするクロマトグラムから除いてもよい。信号が測定されないクロマトグラムは後述の補正するものがないものである。また、信号が低いクロマトグラムは補正した場合の利点が低いものである。そのため、これらのクロマトグラムの計算時間及び計算資源を効率化できる利点がある。信号が低いクロマトグラムを除外する場合は、関係導出部44は、所定の値に基づいて、クロマトグラムを除外してもよい。例えば、関係導出部44は、クロマトグラムの信号の最大値が、所定の値よりも低い場合、当該所定のクロマトグラムを除外してよい。関係導出部44は、上記の除外をした後で、除外されていないクロマトグラムに対して、上述の関係付けを行ってもよい。

0057

また、図8においては、82及び83以外のSRMトランジションである84についても、同様に、該当するクロマトグラムデータがあれば、補正される対象となる。

0058

また、関係導出部44は、対象試料をSRMトランジションを用いて測定する前に、関係付けをしてもよい。この場合、関係導出部44は、測定予定であるかどうか不明なSRMトランジションまたは測定予定ではないSRMトランジションを含むSRMトランジションを用いて、関係付けをしてもよい。

0059

関係導出部44は、複数の、関係付けられたSRMトランジションを、図9のように、被補正SRMチャネルへの参照(リスト)として、リスト形式で、記憶してもよい。図9においては、SRMチャネル1が、SRMチャネル2及びSRMチャネル3を、被補正SRMチャネルへの参照(リスト)として、記憶している。当該SRMチャネル1が、SRMチャネル2を参照として記憶していること、及び/又は、当該SRMチャネル1が、SRMチャネル3を参照として記憶していること、がSRMトランジション関係セットの一例である。なお、ここでは参照として説明したが、関係導出部44は、対応するSRMチャネルの情報同士、特に、SRMトランジション及び/又は化合物情報を、直接関係づけるテーブルを作成してもよい。当該テーブルは、SRMトランジション関係セットの他の一例である。また、図9において、被補正SRMチャネルへの参照(リスト)内の順序は、関係付けられたSRMトランジションの前駆体イオンの質量(m/z)及び/又は生成イオンの質量(m/z)に基づいて、記憶してもよい。例えば、当該リストが、関係付けられたSRMトランジションの前駆体イオンの質量(m/z)及び生成イオンの質量(m/z)が小さい順に、記憶してもよい。

0060

また、関係導出部44は、時間情報に基づいて、第2所定の関係を有した複数のSRMトランジションに係る情報を関係付けてもよい。クロマトグラムの測定においては、SRMトランジションに対して測定する場合、測定時間の短縮化のため、明らかに測定しても有意な情報を得ることができない時間を除いて測定することがある。測定の時間帯が異なる二つのクロマトグラム間において、補正をすることはできないため、測定時間を考慮することで、補正計算の短縮化を図ることが可能となる。

0061

例えば、第1のSRMトランジションによる測定では、t1乃至t2の時間が設定され、これに基づいて第1のクロマトグラムが測定され、第2のSRMトランジションによる測定では、t3乃至t4の時間が設定され、これに基づいて第2のクロマトグラムが測定されたとする。また、t3は、t2より後の時間であるとする。この場合、第1のクロマトグラムと第2のクロマトグラムの測定時間に重複時間がない。そのため、これらの測定条件で測定された結果である第1のクロマトグラムと第2のクロマトグラムの間には、補正を行うために必要な情報が存在しない。そのため、関係付けに係るデータを作成する際も、重複時間がないことが分かっているクロマトグラムに対するSRMトランジション同士については、関係付けなくてもよい。
すなわち、本願発明の一実施例に係るシステムは、時間情報に基づいて、第2所定の関係を有した複数のSRMトランジションに係る情報を関係付ける関係導出部44を備えてもよい。

0062

また、関係導出部44は、第1のSRMトランジションと、当該SRMトランジションと第2所定の関係を有する第2のSRMトランジションとを、前記第1のSRMトランジションの測定時間と前記第2のSRMトランジションの測定時間との間に重複がある場合、関係付けるよう構成されてもよい。

0063

例えば、図10は、クロマトグラムのSRMトランジションに係る測定時間も記録されたテーブルを示す。図10のテーブルでは、SRMチャネル1に係る測定時間は開始時刻がT11で終了時刻がT12であり、SRMチャネル2に係る測定時間は開始時刻がT21で終了時刻がT22などであることを示す。そして、図10は、T11−T12とT21−T22との間には、重複時間が存在する場合に、関係付けがされていることを示している。同様に、図10は、T11−T12とT31−T32との間にも重複時間が存在することを示す。なお、ここでは、関係導出部44が、SRMトランジションに係る測定時間が重複していることを第2所定の関係の追加の条件として説明した。しかし、関係導出部44は、第2所定の関係に基づいて、SRMトランジション同士を関係づけるものとし、後述する補正部45を、補正をするかどうかの補正要件の追加の条件の一つとして、SRMトランジション同士に重複時間が存在するかどうかを判定する構成を備えてもよい。

0064

2−5.補正部45
補正部45は、測定されたクロマトグラムを補正する機能を有する。補正部45による補正は、クロマトグラムに係る同位体の影響を減らす機能を有する。例えば、補正部45は、前記関係導出部44で得た情報に基づいて、クロマトグラムを補正する。

0065

補正部45は、第1のSRMトランジションと、前記第1のSRMトランジションと第2所定の関係を有する第2のSRMトランジションにおいて、前記第2のSRMトランジションに係る第2のクロマトグラムを、前記第1のSRMトランジションに係る第1のクロマトグラムを用いて、補正する。
なお、関係導出部により第1のSRMトランジションが第2のSRMトランジションの被補正トランジションとして関係づけられている時、前記第1のSRMトランジションに係る第1のクロマトグラムと前記第2のSRMトランジションに係る第2のクロマトグラムは、補正要件1−2を満たす関係にある、という。

0066

補正を、図11を例として説明すると、補正部45は、クロマトグラム111を、クロマトグラム112を用いて、補正する。

0067

例えば、クロマトグラム111の値から、クロマトグラム112の値を減算する。さらに具体的には、クロマトグラム111における各時間の信号強度の数値から、同位体の存在比を考慮したうえでクロマトグラム112における対応する各時間の信号強度の数値を減算してもよい。これによって、クロマトグラムに係る値を、当該クロマトグラムを妨害する他のクロマトグラムの情報に基づいて、補正し、より適正なクロマトグラムの値を算出することができる。

0068

より具体的には、補正に使用するクロマトグラムの各時間の信号強度の数値に同位体の存在比を考慮した所定の値を乗算したうえで、補正対象のクロマトグラムの各時間の信号強度の数値から減算して補正することで、同位体由来の妨害ピークを減少させることができる。同位体の存在比を考慮した所定の値とは、後述する同位体補正係数が挙げられる。

0069

すなわち、補正部45は、第1のSRMトランジションと、前記第1のSRMトランジションと第2所定の関係を有する第2のSRMトランジションと、において、前記第2のSRMトランジションに係る第2のクロマトグラムの各時間の信号強度の数値から、前記第1のSRMトランジションに係る第1のクロマトグラムの各時間の信号強度の数値に同位体の存在比を考慮した所定の値を乗算した値を減算することにより、前記第2のクロマトグラムを、前記第1のクロマトグラムを用いて、補正する構成を備えてもよい。

0070

図11の例においては、クロマトグラム111に係るSRMトランジションに対するクロマトグラム112のSRMトランジションの同位体補正係数を、クロマトグラム112に対して乗算したうえで、クロマトグラム111から減算して補正している。これによって、クロマトグラム113を導出できた。すなわち、PC32:0から、PC32:1の影響を取り除いてクロマトグラムを導出できた。なお、これらの補正の経過は、記憶部41などに記憶されることで、後述する表示部46などで表示させることもできる。具体的には、補正される前のクロマトグラム、補正に使用したクロマトグラム、これらに係るSRMトランジション、前駆体イオンの組成式、又は生成イオンの組成式等の情報を記憶しておき、これらの一部又は全部を表示してもよい。

0071

次に、同位体補正係数を説明する。同位体補正係数1—2は、第2クロマトグラムを、第1クロマトグラムを用いて補正するときに、前記第1クロマトグラムにおける各時間の信号強度に乗算される係数として、利用され、当該同位体補正係数1—2は、(Rk[A]/R0[A])×(RK−k[B]/R0[B])と計算される。ここで、Aは、第1クロマトグラムに係るSRMチャネルの化合物情報における生成イオンの組成式であり、Bは、第1クロマトグラムに係るSRMチャネルの化合物情報における前駆体イオンから生成イオンが分離された残部(中性脱離基)の組成式である。また、Kは、前駆体イオン差であり、kは、生成イオン差である。Rn[X]は、化合物Xのモノアイソトピック質量よりnダルトン重い同位体群Xnの天然存在比(整数質量の同じ同位体の存在比を合算したもの)である。

0072

B(中性脱離基)の導出例として、図6の第2行のPC(4:0)を例として説明すると、前駆体イオンの組成式がC12H25N1O8P1であり、生成イオンの組成式がC5H15N1O4P1であるから、Bの組成式は、C7H10O4である。

0073

ここで、上述の式の背景を説明する。一価の正イオンとしてイオン化可能な化合物MがMS/MSにおいて
(1)M+ −>A+ + B(A+はイオン、Bは中性分子
のようなフラグメンテーションを起こすとき、
(2)M0−>A0
なるSRMトランジションを利用したSRM測定を行うことができる。ここで、M0およびA0はそれぞれMおよびAのモノアイソトピック質量(分子を構成する各元素主同位体のみにより該分子を構成した場合の質量)である。

0074

Mには一般に複数の安定同位体が存在するため、(1)のフラグメンテーションは、(2)だけではなく
(3)M0+K−>A0+k
で表される様々なSRMトランジションを用いた測定でシグナルを生じる。ここでKは0以上の整数、kは0以上K以下の整数であり、また、Kおよびkの取りうる値はそのようなKおよびkに対応する化合物およびフラグメントイオンの組成式がそれぞれ実際に構成可能であるものに限定される。

0075

以下、化合物Mが与えられた際に、トランジション(3)の各シグナルがトランジション(2)のシグナルに対してどのような割合で生じるかを計算する。
フラグメンテーション(1)は、同位体を区別した形
(4)MK+−>Ak++BK−k
のように書き直すことができる(ここでMK+、Ak+およびBK−kはそれぞれ質量M0+K、A0+kおよびB0+K−kを与えるM+、A+およびBの同位体とする)。この(4)はMKがAkとBK−kの2つの部分構造に分かれることを意味している。(3)のSRMトランジションにより検出される同位体の存在比は、(4)を満たすMK+の存在比と等価であり、即ち、上記の(Rk[A]/R0[A])×(RK−k[B]/R0[B])により求めることができる。

0076

次に、Rn[X]の値の算出方法を説明する。化合物Xは、その構成元素を(C、H、O、N)とした場合の一例であるが、化合物Xが他の構成要素を有する場合も、同様に計算が可能である。各元素について、天然安定同位体の種類とその存在比は、図12のとおりである。

0077

化合物Xの組成式をCwHxOyNzとする。分子内に含まれる安定同位体を区別し、その組成式を
(5)[12C]w1[13C]w2[1H]x1[2H]x2[16O]y1[17O]y2[18O]y3[14N]z1[15N]z2
と一般化する。ただし、w1, w2, x1, x2, y1, y2, y3, z1, z2はw=w1+w2, x=x1+x2, y=y1+y2+y3, z=z1+z3 を満たす0以上の整数である。化合物Xの個々の安定同位体の天然存在比Rは、w1, w2, x1, x2, y1, y2, y3, z1, z2を用いて
(6)R =wCw1 [12C]w1[13C]w2×xCx1 [1H]x1 [2H]x2×yCy1×y−y1Cy2 [16O]y1[17O]y2[18O]y3×zCz1 [14N]z1[15N]z2
のように表せる。ここでは、同位体名をもってその天然存在比を表すものとする。即ち [12C] =0.9893, [13C]=0.0107, … , [15N]=0.00364とする。また、nCrはn個の中からr個を取り出す組み合わせの数を表す

0078

Xの安定同位体について、モノアイソトピック質量に対する質量差を整数値に丸めた値は
(7)n = w2 + x2 + y2 + 2y3 + z2
と表されるが、Xのモノアイソトピック質量よりnダルトン重い同位体群の天然存在比(整数質量の同じ同位体の存在比を合算したもの)は(6)と(7)を踏まえて
(8) Rn[X] = ΣR [w2, x2, y2, y3, z2はn = w2 + x2 + y2 + 2y3 + z2を満たす全ての組合せ]
のように表される。ここで、組合せは単純な数え上げ法を含む公知の手法により算出可能である。

0079

以上説明された同位体補正係数を用いて、補正部45は、補正要件1—2を満たす第2のクロマトグラムと第1のクロマトグラムにおいて、前記第1のクロマトグラム及び同位体補正係数1—2を用いて、前記第2のクロマトグラムを補正する構成を備えてもよい。なお、第2のクロマトグラムに対し、第1のクロマトグラムを用いて補正して得られた補正後の第2のクロマトグラムを、「第2のクロマトグラムAm1」という(AmendedBy1の略)。

0080

また、補正部45は、補正要件1—2を満たす第2のクロマトグラムと第1のクロマトグラムにおいて、前記第2のクロマトグラムにおける一部又は全部の各時間の信号強度から、前記第1のクロマトグラムの各対応する時間における信号強度に対して同位体補正係数1—2を乗算した値を、減算する構成を備える。これは、クロマトグラムのピークのみに限定された補正ではなく、減算する(補正する)側のクロマトグラムの各値(全体)に対して同位体補正係数を乗算して、減算される(補正される)側のクロマトグラムの各値(全体)から引く処理をすることで、ピーク値の特定などの処理を不要にしている。なお、上記における一部の各時間とは、例えば、信号強度が所定の値よりも高い部分を対象として、減算を処理する場合などが考えられる。

0081

但し、特定の補正要件を満たす第1SRMトランジション(第1クロマトグラム)が複数存在する場合(例えば、第1Aと第1B)には、ユーザーは、いずれか一方を選択することができ、場合によっては、第1Aと第1Bを平均したクロマトグラムを選択することもできる。当該選択を行う場合には、例えば、表示部46に、第1Aと第1Bのそれぞれを用いて仮処理した補正後のクロマトグラムを表示したうえで、いずれがより適切かを判断したうえで、補正に用いるクロマトグラムを選択することができる。また、上記のユーザの選択に代えて、これらの複数の中から、一定の基準(例えば、より強度が大きいピークを有するクロマトグラムを自動的に選択する等)により自動的に補正処理を行うよう予め設定しておくこともできる。

0082

すなわち、補正部45は、補正要件1A—2を満たす第2のクロマトグラムと第1Aのクロマトグラム、及び、補正要件1B—2を満たす第2のクロマトグラムと前記第1Bのクロマトグラムにおいて、前記第1Aのクロマトグラムに係る第1AのSRMトランジションと前記第2のクロマトグラムに係る第2のSRMトランジションの前駆体イオン整数質量差と、前記第1Bのクロマトグラムに係る第1BのSRMトランジションと前記第2のクロマトグラムに係る第2のSRMトランジションの前駆体イオン整数質量差と、が等しく、かつ、前記第1AのSRMトランジションのと前記第2のSRMトランジションの生成イオン整数質量差と、前記第1BのSRMトランジションと前記第2のSRMトランジションの生成イオン整数質量差と、が等しい場合、第2のクロマトグラムAm1Aと第2のクロマトグラムAm1Bとを表示部46に表示し、入力部から得られた情報に基づいて、選択されたクロマトグラムを、前記第2のクロマトグラムの補正後のクロマトグラムとする構成としてもよい。

0083

図11において、クロマトグラム112自体は補正されていない例である。しかし、例えば、第3クロマトグラムを、第2クロマトグラムを用いて補正する場合、第2クロマトグラム自体が既に補正されていることが好ましい。そこで、補正部45は、第1クロマトグラムによって補正された第2クロマトグラムを用いて、第3クロマトグラムを補正するよう構成されてもよい。

0084

すなわち、補正部45は、補正要件1—3と補正要件2—3とを満たす第3クロマトグラムと第2のクロマトグラムと第1のクロマトグラムにおいて、第3のクロマトグラムを、第2のクロマトグラムAm1と第1のクロマトグラムに基づき、補正する構成を備えてもよい。

0085

また、補正部45は、補正要件1—3と補正要件2—3とを満たす第3クロマトグラムと第2のクロマトグラムと第1のクロマトグラムにおいて、第3のクロマトグラムから、同位体補正係数1−3を乗じた前記第1クロマトグラム及び同位体補正係数2−3を乗じた第2クロマトグラムAm1の両方を減じる補正を行って、補正済みの第3クロマトグラムを得る構成を備えてもよい。

0086

また、上記では3つのクロマトグラムに対する処理を述べたが、補正部45は、4つ以上のクロマトグラムに対しても、同様に、前駆体イオンの質量(m/z)が少ない順(前駆体イオンの質量(m/z)が等しい場合には、生成イオンの質量(m/z)が小さい順)に、連続的に補正処理を行うことができることはいうまでもない。

0087

2−6.表示部46
表示部46は、補正後のクロマトグラムに係る情報を表示する。補正後のクロマトグラムに係る情報とは、補正後のクロマトグラムの情報、補正の経過が分かる情報、又はこれらの組み合わせである。補正の経過が分かる情報としては、次に述べる情報が挙げられる。例えば、表示部46は、補正後のクロマトグラムと、補正前のクロマトグラムの両方を表示してもよい。表示部46は、補正後のクロマトグラムと補正前のクロマトグラムを重ねて、区別する態様で、表示してもよい。表示部46は、区別する態様として、補正後のクロマトグラムと補正前のクロマトグラムの表示方法を変更して、表示してもよい。例えば、表示部46は、補正後のクロマトグラムと補正前のクロマトグラムとを、異なる表示の色、又は異なる表示の線、などを用いて表示してもよい。また、表示部46が表示する補正に利用するクロマトグラムは、一つでもよいし、複数でもよい。例えば、クロマトグラムが、3つのクロマトグラムを利用して補正された場合、表示部46は、これら3つのクロマトグラム(同位体補正係数を乗じて引く側のクロマトグラム)を表示してもよい。また、表示部46は、補正前のクロマトグラムに係るSRMトランジションを表示してもよい。

0088

例えば、図13の補正後のクロマトグラム1303において、1303fは補正後のクロマトグラムの一部であるが、1303bは、補正後のクロマトグラムの一部ではない(補正によって削除された部分)とする。すなわち、クロマトグラム1303のピーク1303bは、クロマトグラム1301のピーク1301bによって、補正によって、減算された(補正後のクロマトグラムから取り除かれた)ものである。しかしながら、クロマトグラム1303では、補正後もピークとして残るピーク1303fと異なる色によって、ピーク1303bを表示している。また、表示部46は、クロマトグラム1301及びクロマトグラム1302というように、補正時に使用したクロマトグラムを表示してもよい。これらによって、利用者は、補正されたクロマトグラムが、どのようなクロマトグラムに基づいて補正されたのかを理解できる利点がある。

0089

また、表示部46は、補正されたクロマトグラムのピーク検出、積分、統計情報出力などの各種処理がされた結果を表示してもよい。

0090

3.フローチャート
次に本願発明に係るフローチャートを説明する。

0091

3−1.実施例1.
実施例1は、図14を参照しつつ説明する。
まず、測定するSRMトランジションが特定される(1401)。通常、測定するSRMトランジションは複数あり、これらは、入力部から入力される。当該入力は、マニュアルで入力されてもよいし、事前にファイルなどで記録されていてもよい。
また、測定する時間も入力されてよい。測定時間は、各SRMトランジションで異なる設定となっていてもよいし、いくつかのSRMトランジションで同じ測定時間であってもよい。測定時間は、測定を開始してからの開始時間と終了時間の組で特定することができる。

0092

次に、測定予定のSRMトランジションに基づいて、対象試料が測定され、各SRMトランジションに対応するクロマトグラムが取得される(1402)。

0093

次に、測定された各クロマトグラムに対して、化合物情報が関係付けられる(1403)。測定された各クロマトグラムに対して、化合物情報が不明のものは、化合物情報が関係付けられなくてもよい。また、測定された一つのクロマトグラムに対して、複数の化合物情報が関係付けられてもよい。当該化合物情報は、各クロマトグラムに係るSRMトランジションと化合物情報とを関係付けられたテーブル関係に基づいて、測定されたクロマトグラムに対して化合物情報が関係付けられてもよい。なお、この情報結合ステップ(1403)は、この順序に代えて、関係導出ステップ(1404)と補正ステップ(1405)との間に行ってもよい。

0094

また、関係導出部44は、クロマトグラムと化合物情報を関係付けるステップ(1403)の前又は後において、クロマトグラムが信号を備えるかどうかを判定し、信号が測定されないクロマトグラム又は信号が所定の値よりも低いクロマトグラムを、関係付ける対象とするクロマトグラムから除くステップを有してもよい。

0095

次に、関係導出部44は、第1SRMトランジションと第2SRMトランジションとを関係付けて、SRMトランジション関係セットを導出する(1404)。ここで、また、SRMトランジションに係る測定時間も用いて、関係付けてもよい。

0096

次に、クロマトグラムの補正を行う(1405)。補正部45は、補正要件1—2を満たした第2クロマトグラムと第1クロマトグラムにおいて、前記第2のクロマトグラムにおける各信号の信号強度から、前記第1のクロマトグラムの各対応する時間における信号強度に対して同位体補正係数1—2を乗算した値を、減算する構成を備えてもよい。

0097

また、補正部45は、補正要件1—2及び補正要件2—3を満たす第3のクロマトグラムと、第2のクロマトグラムと、第1のクロマトグラムにおいて、前記第1のクロマトグラムに基づき前記第2のクロマトグラムを補正した後、補正された前記第2のクロマトグラムに基づき前記第3のクロマトグラムを補正するステップを備えてもよい。また、補正部45が、前記第1のクロマトグラムに基づき前記第3のクロマトグラムを補正するステップを備えてもよい。なお、補正部45が、前記第1のクロマトグラムに基づき前記第3のクロマトグラムを補正するステップは、上記の補正された前記第2のクロマトグラムに基づき前記第3のクロマトグラムを補正するステップの、前に行ってもよいし、後に行ってもよい。

0098

また、補正部45は、補正要件1—2及び補正要件2—3を満たす第3のクロマトグラムと、第2のクロマトグラムと、第1のクロマトグラムにおいて、前記第1のクロマトグラムに同位体補正係数1—2を乗じたものを用いて前記第2のクロマトグラムを補正した後、補正された前記第2のクロマトグラムに同位体補正係数2—3を乗じたものを用いて前記第3のクロマトグラムを補正するステップを備えてもよい。また、補正部45が、前記第1のクロマトグラムに同位体補正係数1−3を乗じたものを用いて前記第3のクロマトグラムを補正するステップを備えてもよい。なお、補正部45が、前記第1のクロマトグラムに同位体補正係数1−3を乗じたものを用いて前記第3のクロマトグラムを補正するステップは、上記の補正された前記第2のクロマトグラムに同位体補正係数2—3を乗じたものを用いて前記第3のクロマトグラムを補正するステップの、前に行ってもよいし、後に行ってもよい。

0099

さらに、補正部45は、補正要件1—2及び補正要件2—3を満たす第3のクロマトグラムと、第2のクロマトグラムと、第1のクロマトグラムにおいて、前記第1のクロマトグラムの各時間における信号強度に同位体補正係数1—2を乗算した各値を前記第2クロマトグラムにおける前記各時間に対応する信号強度から減算して補正した後、補正された前記第2のクロマトグラムの各時間における信号強度に同位体補正係数2—3を乗算した各値を前記第3クロマトグラムにおける前記各時間に対応する信号強度から減算して補正するステップを備えてもよい。また、補正部45が、前記第1のクロマトグラムの各時間における信号強度に同位体補正係数1—3を乗算した各値を前記第3クロマトグラムにおける前記各時間に対応する信号強度から減算して補正するステップを備えてもよい。なお、補正部45が、前記第1のクロマトグラムの各時間における信号強度に同位体補正係数1—3を乗算した各値を前記第3クロマトグラムにおける前記各時間に対応する信号強度から減算して補正するステップは、上記の補正された前記第2のクロマトグラムの各時間における信号強度に同位体補正係数2—3を乗算した各値を前記第3クロマトグラムにおける前記各時間に対応する信号強度から減算して補正するステップの、前に行ってもよいし、後に行ってもよい。

0100

次に、補正後のクロマトグラムを表示する(1406)。このとき表示部46は、補正に使用されたクロマトグラムに係る情報を表示してもよい。例えば、減算される(減算前の)クロマトグラム、そのSRMトランジション、その化合物情報、その前駆体イオンの組成式、又はその生成イオンの組成式などの情報を表示してもよい。また、減算する側のクロマトグラム、そのSRMトランジション、その化合物情報、その前駆体イオンの組成式、又はその生成イオンの組成式などの情報を表示してもよい。
3−2.実施例2.
実施例2を、図15を用いて説明する。実施例1と重複するところは説明を省くが、当該重複するところが実施例2に適用可能であることはいうまでもない。
実施例2は、重複した計算をまとめて行う例である。

0101

まず、測定されるSRMトランジションが特定され(ステップ1501)、入力部が、SRMトランジションに基づいて測定されたクロマトグラムを、複数のファイルの形式で、取得する(ステップ1502)。

0102

次に、関係導出部44は、第1のファイルに含まれるクロマトグラム及びこれに係るSRMトランジションに対して、SRMトランジションに係る前駆体イオンの質量(m/z)、生成イオンの質量(m/z)、コリジョンエネルギーに基づいて、第1SRMトランジションと、前記第1SRMトランジションと第2所定の関係を有する第2SRMトランジションとを関係付けて、SRMトランジション関係セットを導出する(ステップ1503)。

0103

次に、関係導出部44は、第2のファイルに対して、SRMトランジションに係る前駆体イオンの質量(m/z)、生成イオンの質量(m/z)、コリジョンエネルギーに基づいて、第1SRMトランジションと、前記第1SRMトランジションと第2所定の関係を有する第2SRMトランジションとを関係付けて、SRMトランジション関係セットを導出する(ステップ1504)。ここで、関係導出部44は、既に第1のファイルにおいて関係付けに使用されたSRMトランジションに対しては新たに関係付けを行わなくてもよい。関係導出部44は、第2ファイル内の既に第1のファイルにおいて関係付けに使用されたSRMトランジションに係るクロマトグラムを、前記既に第1のファイルにおいて関係付けに使用されたSRMトランジションに係るクロマトグラム内のリスト(例えば、図9におけるクロマトグラムへの参照(リスト))に追加する。他方、関係導出部44は、第2のファイルの新たなSRMトランジションに対しては新たに関係付けを行う。なお、上記の処理において、第1ファイル内の第1SRMトランジションと第2ファイル内の第2SRMトランジションにおいて、前記第1SRMトランジションの前駆体イオンの質量(m/z)と前記第2SRMトランジションの前駆体イオンの質量(m/z)との差が所定の許容差であり、かつ、前記第1SRMトランジションの生成イオンの質量(m/z)と前記第2SRMトランジションの生成イオンの質量(m/z)との差が所定の許容差である場合、当該第2SRMトランジションは、前記第1SRMトランジションとほぼ同じと考えられ、既に第1ファイル内で関係づけられた前記第1SRMトランジションとして処理されてもよい。

0104

これによって、本実施例では、第1ファイル内で関係導出したSRMトランジションに対して、再度の計算の負担が減少する利点を有する。

0105

次に、情報結合部43が、化合物情報を関係づける(ステップ1505)。当該化合物情報の関係付けも、複数のファイル内の重複した情報に対してのみ適用されることで、計算の負担が減少する利点を有する。
なお、その後の補正部45による補正及び表示部46による表示は、実施例1と同様である(ステップ1506及び1507)。

0106

本明細書で説明される処理及び手順は、実施形態において明示的に説明されたものに限定されず、その技術的思想の範囲内で、種々の実施形態によって実現可能であることは、いうまでもない。

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