図面 (/)

技術 転がり軸受

出願人 NTN株式会社
発明者 徳田篤史林工
出願日 2017年10月12日 (2年0ヶ月経過) 出願番号 2017-198288
公開日 2019年5月16日 (5ヶ月経過) 公開番号 2019-074098
状態 未査定
技術分野 ころがり軸受 軸受の取付、その他
主要キーワード 次回転数 径方向中心線 Eガラス セラミックス球 バイオマス由来原料 昇温抑制 主軸構造 焼付く
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2019年5月16日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (4)

課題

dm・n値100×104以上となるような、高速回転条件下においても焼付きや破損が生じない転がり軸受を提供する。

解決手段

アンギュラ玉軸受1は、内輪2および外輪3と、この内・外輪間に介在する複数の玉4と、この玉4を保持する保持器5とを備えてなり、アンギュラ玉軸受1は、dm・n値100×104以上の高速回転で使用され、保持器5は、樹脂組成物射出成形してなり、樹脂組成物は、ジカルボン酸成分とジアミン成分とからなるポリアミド樹脂ベース樹脂とし、これに繊維状補強材を配合してなる組成物であり、ジカルボン酸成分がテレフタル酸を主成分とし、ジアミン成分が1,10−デカンジアミンを主成分とし、 繊維状補強材として、樹脂組成物全体に対して、ガラス繊維を15〜50質量%、または、炭素繊維を10〜35質量%含み、玉4の材質セラミックスである。

概要

背景

転がり軸受は、内輪および外輪と、この内・外輪間に介在する複数の転動体と、転動体を転動自在に保持する保持器とを備えてなり、該保持器として、一般的にプレス成形された鉄製のものが使用されている。しかし、転がり軸受の回転速度が速くなった場合、鉄製の保持器では転動体と該保持器の滑り接触による摩擦が大きくなり、該軸受昇温が大きくなり、その結果、焼き付きに至るおそれがあった。そこで、保持器の材料として、自己潤滑性低摩擦特性、軽量などの点で鉄製よりも優れる合成樹脂を用いることが有効と考えられる。合成樹脂として、一般的には、ポリアミド樹脂、ポリアミド66樹脂、ポリアミド46樹脂などが用いられ、必要に応じてこれらにガラス繊維を含有させ強化したものが用いられる(特許文献1参照)。また、寸法安定性耐熱性耐薬品性をより向上させる目的で耐熱ポリアミド樹脂を使用した保持器も提案されている(特許文献2、3、4参照)。

概要

dm・n値100×104以上となるような、高速回転条件下においても焼付きや破損が生じない転がり軸受を提供する。アンギュラ玉軸受1は、内輪2および外輪3と、この内・外輪間に介在する複数の玉4と、この玉4を保持する保持器5とを備えてなり、アンギュラ玉軸受1は、dm・n値100×104以上の高速回転で使用され、保持器5は、樹脂組成物射出成形してなり、樹脂組成物は、ジカルボン酸成分とジアミン成分とからなるポリアミド樹脂をベース樹脂とし、これに繊維状補強材を配合してなる組成物であり、ジカルボン酸成分がテレフタル酸を主成分とし、ジアミン成分が1,10−デカンジアミンを主成分とし、 繊維状補強材として、樹脂組成物全体に対して、ガラス繊維を15〜50質量%、または、炭素繊維を10〜35質量%含み、玉4の材質セラミックスである。

目的

本発明はこのような問題に対処するためになされたものであり、dm・n値100×104以上となるような高速回転条件下においても焼付きや破損が生じない転がり軸受を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

内輪および外輪と、この内・外輪間に介在する複数の転動体と、この転動体を保持する保持器とを備えてなる転がり軸受であって、前記転がり軸受は、dm・n値100×104以上の高速回転で使用される転がり軸受であり、前記保持器は、樹脂組成物射出成形してなり、前記樹脂組成物は、ジカルボン酸成分とジアミン成分とからなるポリアミド樹脂ベース樹脂とし、これに繊維状補強材を配合してなる組成物であり、前記ジカルボン酸成分がテレフタル酸を主成分とし、前記ジアミン成分が1,10−デカンジアミンを主成分とし、 前記繊維状補強材として、前記樹脂組成物全体に対して、ガラス繊維を15〜50質量%、または、炭素繊維を10〜35質量%含み、前記転動体の材質セラミックスであることを特徴とする転がり軸受。

請求項2

前記ポリアミド樹脂は、融点が310℃以上であることを特徴とする請求項1記載の転がり軸受。

請求項3

前記保持器が、内輪案内方式または外輪案内方式の保持器であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の転がり軸受。

請求項4

前記転がり軸受が、グリース潤滑潤滑される転がり軸受であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項記載の転がり軸受。

請求項5

前記転がり軸受が、スピンドル装置に使用されることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項記載の転がり軸受。

請求項6

前記転がり軸受が、dm・n値200×104まで回転可能な軸受であることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項記載の転がり軸受。

技術分野

0001

本発明は、自動車モータ工作機械などに用いられる転がり軸受に関する。

背景技術

0002

転がり軸受は、内輪および外輪と、この内・外輪間に介在する複数の転動体と、転動体を転動自在に保持する保持器とを備えてなり、該保持器として、一般的にプレス成形された鉄製のものが使用されている。しかし、転がり軸受の回転速度が速くなった場合、鉄製の保持器では転動体と該保持器の滑り接触による摩擦が大きくなり、該軸受昇温が大きくなり、その結果、焼き付きに至るおそれがあった。そこで、保持器の材料として、自己潤滑性低摩擦特性、軽量などの点で鉄製よりも優れる合成樹脂を用いることが有効と考えられる。合成樹脂として、一般的には、ポリアミド樹脂、ポリアミド66樹脂、ポリアミド46樹脂などが用いられ、必要に応じてこれらにガラス繊維を含有させ強化したものが用いられる(特許文献1参照)。また、寸法安定性耐熱性耐薬品性をより向上させる目的で耐熱ポリアミド樹脂を使用した保持器も提案されている(特許文献2、3、4参照)。

先行技術

0003

特開2000−227120号公報
特開2001−317554号公報
特開2006−207684号公報
特開2016−121735号公報

発明が解決しようとする課題

0004

近年、工作機械の分野では加工効率の向上や重切削への対応が求められている。これに対応するため、軸受には、高速化、予圧を高く負荷することが要求される。しかし、軸受を高速回転した場合や、予圧を高く負荷すると発熱が大きくなり、保持器の損傷やグリース劣化による寿命低下が生じる。このため、軸受としては昇温抑制が必要になってくる中で、軸受構成部品の1つである樹脂保持器には耐熱性と、高速回転によって発生する遠心力により変形しないことが要求される。

0005

しかしながら、合成樹脂はガラス転移温度を境にして、機械的特性が大きく変化し、高温では、強度や弾性率が低下する。特許文献1に記載される一般的な保持器材質であるポリアミド66樹脂やポリアミド46樹脂は、そのガラス転移温度がそれぞれ約50℃、約80℃であり、それをこえる温度では、上述のように、遠心力による変形の発生、保持器と転動体との滑り摩擦による発熱の増大、軸受温度の更なる上昇を経て、保持器と外輪が接触し、焼き付きや保持器破損に至る可能性がある。このため、例えば、dm・n値(転動体のピッチ円径dmと軌道輪回転数nとの積)が60×104以上(更には80×104以上)となる高速回転で使用した場合、焼き付きによる損傷や保持器破損を防ぐことが困難であった。また、ポリアミド66樹脂やポリアミド46樹脂は、吸水率が高く、それに伴って保持器寸法が変化するため、吸湿された状態で寸法管理して使用する必要がある。また、吸湿後の強度および弾性率は吸湿前に比較して大きく低下する。

0006

一方、特許文献2、3に記載されるポリアミド9T樹脂は、そのガラス転移温度が125℃であり、上述のポリアミド66樹脂やポリアミド46樹脂のガラス転移温度と比較して高い。しかし、ポリアミド9T樹脂においても、高速回転条件下での温度上昇に対して、何らかの要因潤滑状態が悪くなった場合、保持器温度がそのガラス転移温度以上となり、変形などの問題が発生するおそれがある。

0007

また、ポリアミド9T樹脂は、芳香族ポリアミドであることから、ポリアミド66樹脂やポリアミド46樹脂のような脂肪族ポリアミドと比較して吸水性は低くなる。しかし、射出成形で製造される樹脂製の保持器には、成形時に樹脂組成物合流する領域に形成されるウエルド部が必ず存在する。ポリアミド9T樹脂は、弾性率が高く、靱性が低いことから、使用時に該ウエルド部への応力集中が発生し、ウエルド部での割れが発生しやすくなり、保持器としての強度が低下するおそれがある。

0008

これらの点に関して、特許文献2には、ポリアミド9T樹脂を使用した保持器の提案こそなされているが、その耐焼付き性能については示唆されていない。また、特許文献3では、温度上昇についてdm・n値が60×104以上の条件として90×104程度までの記載はあるが、それ以上の回転速度の性能は示唆されていない。

0009

また、特許文献4に記載されるテレフタル酸と1,10−デカンジアミンを主成分としたポリアミド樹脂を用いた場合では、アンギュラ玉軸受をdm・n値80×104まで回転させる軸受温度試験が実施されているが、それ以上の回転速度の性能は示唆されていない。

0010

本発明はこのような問題に対処するためになされたものであり、dm・n値100×104以上となるような高速回転条件下においても焼付きや破損が生じない転がり軸受を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0011

本発明の転がり軸受は、内輪および外輪と、この内・外輪間に介在する複数の転動体と、この転動体を保持する保持器とを備えてなる転がり軸受であって、上記転がり軸受は、dm・n値100×104以上の高速回転で使用される転がり軸受であり、上記保持器は、樹脂組成物を射出成形してなり、上記樹脂組成物は、ジカルボン酸成分とジアミン成分とからなるポリアミド樹脂をベース樹脂とし、これに繊維状補強材を配合してなる組成物であり、上記ジカルボン酸成分がテレフタル酸を主成分とし、上記ジアミン成分が1,10−デカンジアミンを主成分とし、上記繊維状補強材として、上記樹脂組成物全体に対して、ガラス繊維を15〜50質量%、または、炭素繊維を10〜35質量%含み、上記転動体の材質がセラミックスであることを特徴とする。

0012

上記ポリアミド樹脂は、融点が310℃以上であることを特徴とする。上記保持器が、内輪案内方式または外輪案内方式の保持器であることを特徴とする。

0013

上記転がり軸受が、グリース潤滑潤滑される転がり軸受であることを特徴とする。また、上記転がり軸受が、スピンドル装置に使用されることを特徴とする。また、上記転がり軸受が、dm・n値200×104まで回転可能な軸受であることを特徴とする。

発明の効果

0014

本発明の転がり軸受の保持器は、ジカルボン酸成分がテレフタル酸を、ジアミン成分が1,10−デカンジアミンを、それぞれ主成分とする所定のポリアミド樹脂に、ガラス繊維を15〜50質量%または炭素繊維を10〜35質量%配合してなる樹脂組成物を射出成形してなるので、剛性(弾性率)が高く、高温高速回転となる条件下でも変形を小さくできる。また、転動体の材質がセラミックスであるので、鋼製の転動体に比べて、転動体と保持器との滑り摩擦や転動体と軌道輪との摩擦を低減でき、軸受温度の上昇を抑制できる。さらに、セラミックス製の転動体は、鋼製の転動体に比べて軽量であるので、転動体が保持器に衝突する際の衝撃を抑えることができ、保持器の損傷防止に効果的である。以上より、dm・n値が100×104以上となる高速回転で使用しても、発熱量を小さくでき、焼付きや破損を防止できる。

0015

また、ジカルボン酸成分がテレフタル酸をジアミン成分が1,10−デカンジアミンをそれぞれ主成分とするポリアミド樹脂をベース樹脂とするので、非常に結晶化速度が速く、成形時のサイクルタイムを短くすることができ、生産性を向上できる。

0016

ベース樹脂とする上記ポリアミド樹脂は、融点が310℃以上であるので、保持器材料として最も多く用いられているポリアミド66樹脂(融点267℃)、ポリアミド46樹脂(融点295℃)と比較して、非常に高い耐熱性を備える。また、ポリアミド9T樹脂(融点300℃)と比較しても、同等以上の耐熱性を備える。このため、高温高速回転となる条件下でも変形を小さくできる。

0017

また、耐油性、耐薬品性において、上記他のポリアミド樹脂よりも優れており、従来よりも厳しい使用条件、例えば高温、油中などでも使用可能となる。さらに、吸水率も、ポリアミド9T樹脂と同等程度であり、ポリアミド66樹脂やポリアミド46樹脂と比較して非常に少なく、吸水による寸法変化、物性低下を極力抑制できる。

0018

保持器が、内輪案内方式または外輪案内方式の保持器であるので、転動体案内方式の場合に比べ、高速回転時における転動体と保持器との滑り摩擦を小さくでき、それに伴う発熱を抑えることができる。

0019

スピンドル装置は、例えばdm・n値が100×104以上となるような高速回転条件下で使用される。本発明の転がり軸受は、dm・n値が100×104以上でも焼付きや破損することなく使用できるので、スピンドル装置への使用に適している。

図面の簡単な説明

0020

本発明の転がり軸受の一例の軸方向一部断面図である。
本発明の転がり軸受の保持器を示す斜視図である。
本発明の転がり軸受を用いたスピンドル装置を示す図である。

0021

本発明者らは、高速回転条件下でも安定して使用可能な転がり軸受を得るべく鋭意検討したところ、所定の樹脂組成物からなる保持器とセラミックス製の転動体とを組み合わせることで、100×104以上の高速回転条件下でも、焼付くことなく転がり軸受を使用できることを見出した。本発明は、このような知見に基づくものである。

0022

本発明の転がり軸受に用いられる保持器は、樹脂組成物を射出成形してなる樹脂製の保持器である。樹脂材料とする樹脂組成物は、所定のポリアミド樹脂をベース樹脂とし、これに所定量の繊維状補強材(ガラス繊維または炭素繊維)を配合してなる。

0023

本発明で用いるポリアミド樹脂は、ジカルボン酸成分とジアミン成分とからなり、各成分を構成するジカルボン酸とジアミンとを重縮合して得られる。上記ポリアミド樹脂を構成するジカルボン酸成分は、テレフタル酸を主成分とする。テレフタル酸を主成分とすることで、ポリアミド樹脂の高温剛性などに優れる。また、上記ポリアミド樹脂を構成するジアミン成分は、1,10−デカンジアミンを主成分とする。1,10−デカンジアミンは 直鎖状脂肪族ジアミンである。テレフタル酸および1,10−デカンジアミンは、いずれも化学構造対称性が高いため、これらを主成分とすることで、高い結晶性のポリアミド樹脂が得られる。

0024

本発明では、上記ポリアミド樹脂を構成するジアミン成分について、上述のとおり、炭素数が10である直鎖状の1,10−デカンジアミンを主成分として用いている。主成分とするジアミン成分のモノマー単位の炭素数が10であり、偶数であるので、奇数である場合と比較して、より安定な結晶構造をとり、結晶性が向上する(偶奇効果)。また、主成分とするジアミン成分の炭素数が8以下の場合には、上記ポリアミド樹脂の融点が分解温度を上回るおそれがある。ジアミン成分の炭素数が12以上の場合には、上記ポリアミド樹脂の融点が低くなり、高温、高速条件下で使用する場合に保持器が変形する等のおそれがある。なお、炭素数9、11のジアミンでは、ポリアミド樹脂の上記偶奇効果により、結晶性が不足するおそれがある。

0025

上記ポリアミド樹脂は、ジカルボン酸成分であるテレフタル酸およびジアミン成分である1,10−デカンジアミンの一部を、他の共重合成分で置き換えたものとしてもよい。ただし、他の共重合成分が多くなると、融点および結晶性が低下することから、主成分となるテレフタル酸および1,10−デカンジアミンの総量は、原料モノマー総モル数(100モル%)に対して、95モル%以上とすることが好ましい。また、実質的にテレフタル酸および1,10−デカンジアミンのみから構成し、他の共重合成分を実質的に含まないことが特に好ましい。

0026

他の共重合成分として用いる、テレフタル酸以外のジカルボン酸成分としては、シュウ酸マロン酸コハク酸グルタル酸アジピン酸ピメリン酸スベリン酸アゼライン酸セバシン酸ウンデカン二酸ドデカン二酸などの脂肪族ジカルボン酸シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸フタル酸イソフタル酸ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸が挙げられる。また、他の共重合成分として用いる、1,10−デカンジアミン以外のジアミン成分としては、1,2−エタンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,7−ヘプタンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,11−ウンデカンジアミン、1,12−ドデカンジアミンなどの脂肪族ジアミン、シクロヘキサンジアミンなどの脂環族ジアミンキシリレンジアミンなどの芳香族ジアミンが挙げられる。また、上記ポリアミド樹脂には、カプロラクタムなどのラクタム類を共重合させてもよい。

0027

上記ポリアミド樹脂の重量平均分子量は、好ましくは15000〜50000であり、より好ましくは26000〜50000である。上記ポリアミド樹脂の重量平均分子量が15000未満であると、該樹脂の剛性が低下し、高速回転時に保持器が変形するおそれがある。一方、上記ポリアミド樹脂の重量平均分子量が50000をこえると、結晶化が遅くなり射出成形時の流動性が低下する。また、上記ポリアミド樹脂の相対粘度は、特に限定されないが、保持器の成形を容易にするためには、96質量%硫酸溶媒とし、濃度1g/dL、25℃で測定される相対粘度を2.0以上とすることが好ましい。

0028

上記ポリアミド樹脂は、その融点が310℃以上であることが好ましい。また、上限は特に限定されないが、成形加工性などを考慮して320〜340℃程度とすることが好ましい。保持器材料として一般に使用される他のポリアミド樹脂(ポリアミド66樹脂(同267℃)、ポリアミド46樹脂(同295℃)、ポリアミド9T樹脂(同300℃))よりも融点が高く、耐熱性に優れるので、高温、高速回転で使用されても、保持器の変形、焼付き、破損などを防止できる。なお、融点は、示差走査熱量計DSC)を用いて、不活性ガス雰囲気下で、上記ポリアミド樹脂を溶融状態から20℃/分の降温速度で25℃まで降温した後、20℃/分の昇温速度で昇温した場合に現れる吸熱ピークの温度(Tm)として測定できる。

0029

上記ポリアミド樹脂は、そのガラス転移温度が130℃以上であることが好ましい。より好ましくは150℃以上である。保持器材料として一般に使用される他のポリアミド樹脂(ポリアミド66樹脂(同49℃)、ポリアミド46樹脂(同78℃)、ポリアミド9T樹脂(同125℃)よりもガラス転移温度が高いので、高温、高速回転で使用されても、保持器の変形を抑制でき、転動体と保持器の滑り摩擦による発熱を小さくできる。なお、ガラス転移温度は、示差走査熱量計(DSC)を用いて、不活性ガス雰囲気下で、上記ポリアミド樹脂を急冷した後、20℃/分の昇温速度で昇温した場合に現れる階段状の吸熱ピークの中点の温度(Tg)として測定できる(JIS K7121)。

0030

ベース樹脂とする上記ポリアミド樹脂に配合する繊維状補強材としては、ガラス繊維または炭素繊維を用いる。ガラス繊維は、SiO2、B2O3、Al2O3、CaO、MgO、Na2O、K2O、Fe2O3などを主成分とする無機ガラスから紡糸して得られる。一般に、無アルカリガラスEガラス)、含アルカリガラスCガラス、Aガラス)などを使用できる。上記ポリアミド樹脂への影響を考慮すれば無アルカリガラスが好ましい。無アルカリガラスは、組成物中にアルカリ成分をほとんど含んでいないホウケイ酸ガラスである。アルカリ成分がほとんど入っていないので、ポリアミド樹脂への影響がほとんどなく樹脂組成物の特性が変化しない。ガラス繊維としては、例えば、旭ファイバーグラス社製:03JAFT692、MF03MB120、MF06MB120などが挙げられる。

0031

炭素繊維は、ポリアクリロニトリル系(PAN系)、ピッチ系レーヨン系リグニンポバール系混合物など原料の種類によらないで使用できる。ピッチ系炭素繊維としては、例えば、クレハ社製:クレカ M−101S、同M−107S、同M−101F、同M−201S、同M−207S、同M−2007S、同C−103S、同C−106S、同C−203Sなどが挙げられる。また、PAN系炭素繊維としては、例えば、東邦テナックス社製:ベスフイトHTA−CMF0160−0H、同HTA−CMF0040−0H、同HTA−C6、同HTA−C6−S、または、東レ社製:トレMLD−30、同MLD−300、同T008、同T010などが挙げられる。

0032

繊維状補強材としてガラス繊維を用いる場合、その配合量は、樹脂組成物全体に対して15〜50質量%とする。繊維状補強材として炭素繊維を用いる場合、その配合量は、樹脂組成物全体に対して10〜35質量%とする。ガラス繊維または炭素繊維を上記範囲とすることで、保持器の剛性を高め、高温、高速回転となる条件下でも保持器の変形を小さくし、発熱量を小さくできる。さらに、転がり軸受保持器の形状を射出成形時に無理抜きする形状とする場合や、転がり軸受に組み付ける際のウエルド部の十分な強度(引張強度)を確保することを考慮すれば、ガラス繊維を用いる場合は樹脂組成物全体に対して30〜50質量%が好ましく、炭素繊維を用いる場合は樹脂組成物全体に対して10〜30質量%が好ましく、20〜30質量%がより好ましい。

0033

本発明に用いる樹脂組成物には、保持器機能や射出成形性を損なわない範囲であれば、必要に応じて、上記繊維状補強材以外の添加剤を配合してもよい。他の添加剤として、例えば、固体潤滑剤無機充填材酸化防止剤帯電防止剤離型材などを配合できる。

0034

上記樹脂組成物を構成する各材料を、必要に応じて、ヘンシェルミキサーボールミキサー、リボンブレンダーなどにて混合した後、二軸混練押出し機などの溶融押出し機にて溶融混練し、成形用ペレットを得ることができる。なお、充填材投入は、二軸押出し機などで溶融混練する際にサイドフィードを採用してもよい。この成形用ペレットを用いて射出成形により保持器を成形する。射出成形時は、樹脂温度を上述のポリアミド樹脂の融点以上とし、金型温度を該ポリアミド樹脂のガラス転移温度未満に保持して行なう。

0035

本発明の転がり軸受の保持器は、上述のとおり、所定のポリアミド樹脂に所定量の繊維状補強材(ガラス繊維または炭素繊維)を配合した樹脂組成物からなるので、融点およびガラス転移温度が高く、優れた耐熱性、耐油性、耐薬品性、寸法安定性、靱性を示すとともに高い機械的性質を有する。このため、上記保持器は、高速回転域などの過酷な環境条件高温雰囲気、油や薬品と接触する条件、高速回転条件高負荷条件多湿環境など)で長時間の使用に耐え得る保持器となる。

0036

また、上記樹脂組成物は、吸水性が小さいため、吸水・吸湿による膨潤膨張に伴う寸法変化や物性低下を抑制できる。上記保持器は、寸法安定性に優れ、精度の要求される用途の保持器として安価に提供できる。

0037

本発明で用いるポリアミド樹脂において、ジカルボン酸成分またはジアミン成分として、植物由来の原料を用いてもよい。例えば、ひまし油出発原料とした1,10−デカンジアミンを使用できる。植物のようなバイオマス由来原料を採用することで、樹脂製保持器焼却処分に伴う二酸化炭素の実質的な排出量を、バイオマス由来原料を用いない場合よりも低減できる。ここで、バイオマス由来原料を用いた植物性プラスチックであるかどうかは、樹脂を構成している炭素について、放射性同位元素である14Cの濃度を測定することで判別できる。14Cの半減期は5730年であることから、1千万年以上の月を経て生成されるとされる化石資源由来の炭素には14Cが全く含まれない。このことから樹脂中に14Cが含まれていれば、少なくともバイオマス由来の原料を用いていると判断できる。

0038

本発明の転がり軸受および該軸受に用いる保持器を図1および図2に基づいて説明する。図1は、本発明の転がり軸受の一例であるアンギュラ玉軸受の軸方向一部断面図であり、図2は、図1の転がり軸受における保持器(もみ抜き型)の斜視図である。

0039

図1に示すように、アンギュラ玉軸受1は、外周面軌道面2aを有する内輪2と、内周面に軌道面3aを有する外輪3と、内輪2の軌道面2aと外輪3の軌道面3aとの間を転動する玉4と、玉4を転動自在に保持する保持器5とを備えている。内輪2および外輪3と、玉4とは径方向中心線に対して所定の角度θ(接触角)を有して接触しており、ラジアル荷重と一方向のアキシアル荷重を負荷できる。保持器5は、外輪案内方式であり、該保持器の外周面の一部に外輪3に案内される外輪案内部5aを有している。図1の構成では、外輪案内部5aが外輪3の内周面と接触することで、保持器5が外輪3に案内される。なお、保持器の案内形式は、外輪案内形式に限らず、内輪案内形式でもよい。

0040

アンギュラ玉軸受1において、内輪2および外輪3はいずれも鋼材からなっている。上記鋼材には、軸受材料として一般的に用いられる任意の材料を用いることができる。例えば、高炭素クロム軸受鋼(SUJ1、SUJ2、SUJ3、SUJ4、SUJ5など;JIS G 4805)、浸炭鋼(SCr420、SCM420など;JIS G 4053)、ステンレス鋼(SUS440Cなど;JIS G 4303)などを用いることができる。

0041

また、アンギュラ玉軸受1において、玉4はセラミックスからなっている。セラミックスの材質としては、窒化ケイ素炭化ケイ素酸化アルミニウムアルミナ)、酸化ジルコニウムジルコニア)、サイアロン、ガラスなどが挙げられる。これらの中でも、耐熱性に優れる窒化ケイ素がより好ましい。例えば、セラミックス球HIP(熱間等方圧縮処理)やガス圧焼結などの成形方法で得られた素球研磨することにより製造できる。

0042

図2には、保持器の斜視図を示す。図2に示すように、保持器5には、円環状の保持器本体5bに転動体である玉を収納するポケット部6が周方向一定間隔で複数設けられている。なお、ポケット部6は、上述の樹脂組成物を射出成形して得られた成形体に対して、切削加工する等して形成される。

0043

本発明の転がり軸受は、保持器が上記樹脂組成物からなるので耐熱性に優れ、高速回転条件下においても該保持器の変形を抑制できる。また、上記樹脂組成物は、自己潤滑性および低摩擦特性にも優れ、セラミックス製の転動体と併用することで、転動体と保持器との摩擦による発熱を一層小さくでき、温度上昇を抑えることができる。セラミックス製の転動体では、内輪および外輪の各軌道面との接触が異種材質同士の接触となるため、鋼製の転動体よりも該接触部での摩擦抵抗が低減され、摩擦熱を小さくできる。また、セラミックス製の転動体は、鋼製の転動体よりも比重が小さいため、保持器に衝突する際の衝撃を抑えることができる。以上より、本発明の転がり軸受は、高速回転条件下でも焼き付きや破損がなく長時間運転することができる。さらに、セラミックスは鋼材に比べて熱膨張率が小さく、弾性変形量が少ないため、転動体に用いることで安定した高速回転に寄与する。

0044

図1および図2では、本発明の転がり軸受としてアンギュラ玉軸受を例に説明したが、本発明を適用できる軸受形式はこれに限定されず、他の玉軸受円すいころ軸受自動調心ころ軸受針状ころ軸受などにも適用できる。

0045

上述したように、本発明の転がり軸受は、高速回転に際しても軸受の発熱を抑えることができるため、高速回転用途に特に適している。具体的には、本発明の転がり軸受は、dm・n値100×104以上で使用され、好ましくはdm・n値120×104以上で使用され、より好ましくはdm・n値150×104以上で使用される。高速回転用途として、例えば、工作機械主軸用スピンドル装置に適用される。

0046

図3は、アンギュラ玉軸受1を用いた工作機械主軸用スピンドル装置の例である。図3に示すように、スピンドル装置11は、2個のアンギュラ玉軸受1を有している。2個のアンギュラ玉軸受1は、内輪側外輪側とにそれぞれ介在する内輪間座13と外輪間座14とによって位置決めされ、ハウジング内筒15内で主軸12を回転自在に支持している。ハウジング外筒16とハウジング内筒15の間には、冷却液通路17が設けられており、運転時の装置の過度の温度上昇を防止している。

0047

主軸12のフロント側(図中左側)に工具などが取り付けられ、主軸12のリア側(図中右側)にモータなどの駆動源回転伝達機構を介して連結される。スピンドル装置11は、例えば、マシニングセンタ旋盤フライス盤研削盤などの各種工作機械に適用できる。

0048

工作機械主軸における上記軸受の潤滑方法としては、例えば、グリース潤滑、オイルミスト潤滑、エアオイル潤滑ジェット潤滑などの方法があり、いずれも採用できる。これら潤滑方法のうち、例えばスピンドル装置の主軸構造の簡素化という観点では、付属部品付帯設備の不要なグリース潤滑が好ましい。本発明の転がり軸受は、潤滑方法にかかわらず高速回転可能な構成となっているため、グリース潤滑でもdm・n値100×104以上で十分使用可能である。

0049

なお、スピンドル装置11の構成はこれに限らず、装置内においてステータおよびロータからなるモータを主軸に直接組み込んだ構成、いわゆるビルトインモータを内蔵した構成としてもよい。この構成とすることで、より高速回転が可能となる。

0050

以下に実施例を挙げて本発明をさらに説明するが、本発明はこれにより何ら制限されるものではない。

0051

実施例および比較例に用いる原材料一括して以下に示す。
(1)樹脂材料
ポリアミド樹脂A:テレフタル酸と1,10−デカンジアミンを主原料に使用した樹脂(ユニチカ社製XecoT XN500)
ポリアミド66樹脂:東レ社製アミランCM3001
ポリアミド46樹脂:DSM社製スタニールTW300
ポリアミド9T樹脂:クラレ社製ジェネスタN1000
(2)繊維状補強材
ガラス繊維:旭ファイバーグラス社製03JAFT692(平均繊維径10μm、平均繊維長3mm)
炭素繊維:東邦テナックス社製HTA−C6(平均繊維径7μm、平均繊維長6mm)

0052

実施例1〜6、比較例1〜3これらの原材料を表1に示す割合で配合した樹脂組成物を用いて、実施例と比較例の保持器を作製し、各種の試験を実施した。樹脂組成物の製造には二軸押出機を用いた。ガラス繊維、炭素繊維は折損を防止するために定量サイドフィーダーを用いて供給し、押し出して造粒した。得られた成形用ペレットを用い、インラインスクリュー式射出成形機にて成形し、所望の保持器形状外径93mm、内径88mm、幅13mm)とした。なお、保持器の形状は、図2に示すもみ抜き型保持器とした。成形後、80℃、95%相対湿度雰囲気にて調湿処理を実施し、吸水させたものについて各試験を実施した。得られた保持器の調湿前後の質量から以下に示す算出式により吸水率を測定した。結果を表1に示す。

0053

[吸水率の算出式]吸水率(質量%)=(調湿後の質量−調湿前の質量)× 100/調湿前の質量

0054

[軸受温度試験]
作製した保持器と、セラミックス球(材質:窒化ケイ素)をそれぞれアンギュラ玉軸受に組み込んだ。保持器の案内方式は、外輪案内方式とした。アンギュラ玉軸受を定圧予圧で組み立て、ビルトインモータを内蔵したスピンドル装置とした。軸受の潤滑方法はグリース潤滑とした。装置内のビルトインモータを駆動させることで主軸を回転させ、dm・n値200×104まで順次回転数を上げていく軸受温度試験を実施した。回転数上昇過程において、保持器が溶融した場合を「あり」とし、保持器が溶融しなかった場合を「なし」として、表1に併記した。

0055

0056

表1に示すように、比較例1(ポリアミド66)、比較例2(ポリアミド46)、比較例3(ポリアミド9T)はdm・n値200×104まで回転数を上昇させる過程で保持器が溶融したのに対し、実施例1〜6では、dm・n値200×104まで回転数を上げても保持器は溶融することなく回転することが確認できた。

実施例

0057

上記の結果より、本発明の転がり軸受は、所定の樹脂組成物からなる保持器を用いるとともに、セラミックス製の転動体を用いることで、高速回転条件下においても焼付くことなく、安定して回転可能であることが判明した。

0058

本発明の転がり軸受は、dm・n値100×104以上となるような、高速条件下においても焼付きや破損が生じないので、種々の転がり軸受として広く利用できる。特に、工作機械主軸用スピンドル装置の転がり軸受として好適である。

0059

1アンギュラ玉軸受
2内輪
3外輪
4 玉
5保持器
6ポケット部
11スピンドル装置
12主軸
13内輪間座
14外輪間座
15ハウジング内筒
16ハウジング外筒
17 冷却液通路

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

  • NTN株式会社の「 車輪用軸受装置」が 公開されました。( 2019/08/15)

    【課題】外方部材に円すいころと接触する鍔部が設けられた車輪用軸受装置において、当該鍔部の剛性を向上させることを目的とする。【解決手段】複列の外側軌道面2c、2dを有する外方部材である外輪2と、少なくと... 詳細

  • 本田技研工業株式会社の「 治具及び組立方法」が 公開されました。( 2019/08/08)

    【課題】円錐ころ軸受を用いた軸受装置の組立工数の削減等を図る。【解決手段】円錐ころ軸受を用いた軸受装置の組み立てに用いる治具であって、ケースの第一の分割体の第一の端部側に配置される本体ユニットと、前記... 詳細

  • 日本電産株式会社の「 モータ、及び、シーリングファン」が 公開されました。( 2019/08/08)

    【課題】簡易な構成によって、軸受を軸方向に位置決めする。【解決手段】モータは、静止部と、回転部と、軸受部40と、を有し、回転部は、ロータマグネットと、筒状のマグネットホルダ部と、マグネットホルダ部に接... 詳細

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ