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技術 成膜装置、および、成膜方法

出願人 株式会社アルバック
発明者 井堀敦仁藤長徹志谷典明岩井治憲小林洋介
出願日 2017年10月13日 (2年0ヶ月経過) 出願番号 2017-199455
公開日 2019年5月16日 (5ヶ月経過) 公開番号 2019-073756
状態 未査定
技術分野 物理蒸着 磁性薄膜 ホール/MR素子
主要キーワード 磁石領域 サマリウムコバルト磁石 ネオジム磁石 垂直磁場 磁場形成 試験用基板 開信号 水平磁場
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (14)

課題

基板の面内において磁性膜における一軸磁気異方性のばらつきを抑えることを可能とした成膜装置、および、成膜方法を提供する。

解決手段

成膜装置は、一軸磁気異方性を発現することが可能な磁性材料を含むターゲット31と、ターゲット31と対向する領域に所定のピッチで並ぶ複数の磁石21を含み、ターゲット31と複数の磁石21との間に位置する基板Sに平行な水平磁場HMを基板Sとターゲット31との間に形成する第1磁気回路20と、基板Sに対する第1磁気回路20の位置を、第1方向D1に沿って、第1位置と第1位置から所定のピッチ以下だけ離れた第2位置との間で変える第1位置変更部18と、を備える。各磁石21は、第1方向D1に沿って所定のピッチで並ぶ。

概要

背景

磁性材料を含む磁性膜を形成する成膜装置として、磁性材料を含むターゲットと、チャンバ内におけるターゲットと対向する位置にて基板を支持する支持部と、ターゲットに対して支持部とは反対側に位置するとともに磁気回路を含む電極部とを備える成膜装置が知られている。成膜装置では、チャンバ内にスパッタガスが供給されている状態で電極部に電圧印加されることによって、ターゲットがスパッタされる。これにより、基板のうち、ターゲットと対向する面に磁性膜が形成される(例えば、特許文献1参照)。

概要

基板の面内において磁性膜における一軸磁気異方性のばらつきを抑えることを可能とした成膜装置、および、成膜方法を提供する。成膜装置は、一軸磁気異方性を発現することが可能な磁性材料を含むターゲット31と、ターゲット31と対向する領域に所定のピッチで並ぶ複数の磁石21を含み、ターゲット31と複数の磁石21との間に位置する基板Sに平行な水平磁場HMを基板Sとターゲット31との間に形成する第1磁気回路20と、基板Sに対する第1磁気回路20の位置を、第1方向D1に沿って、第1位置と第1位置から所定のピッチ以下だけ離れた第2位置との間で変える第1位置変更部18と、を備える。各磁石21は、第1方向D1に沿って所定のピッチで並ぶ。

目的

本発明は、基板の面内において磁性膜における一軸磁気異方性のばらつきを抑えることを可能とした成膜装置、および、成膜方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

一軸磁気異方性発現することが可能な磁性材料を含むターゲットと、前記ターゲットと対向する領域に所定のピッチで並ぶ複数の磁石を含み、前記ターゲットと前記複数の磁石との間に位置する基板に平行な水平磁場を前記基板と前記ターゲットとの間に形成する磁気回路と、前記基板に対する前記磁気回路の位置を、変位方向に沿って、第1位置と前記第1位置から前記ピッチ以下だけ離れた第2位置との間で変える位置変更部と、を備え、前記各磁石は、前記変位方向に沿って前記ピッチで並ぶ、成膜装置

請求項2

前記変位方向において、前記第1位置と前記第2位置との間の距離は、前記磁石の幅以下である請求項1に記載の成膜装置。

請求項3

前記磁気回路は、前記磁気回路が前記第1位置に位置するときと、前記磁気回路が前記第2位置に位置するときとの間において、前記変位方向において前記基板の全体に重なる前記水平磁場が形成されるように構成されている請求項2に記載の成膜装置。

請求項4

前記変位方向において、前記複数の磁石が位置する領域の長さは、前記基板が位置する領域の長さ以上である請求項3に記載の成膜装置。

請求項5

前記位置変更部は、毎分300mm以上の速度で前記基板に対する前記磁気回路の位置を前記変位方向に沿って変える請求項1から4のいずれか一項に記載の成膜装置。

請求項6

前記磁性材料は、鉄、コバルトニッケルタンタルモリブデン、銅、および、ジルコニウムのうち少なくとも1つを含む軟磁性材料であり、前記磁気回路は、前記水平磁場の磁束密度が0.4mT以上であるように構成されている請求項1から5のいずれか一項に記載の成膜装置。

請求項7

前記ターゲットにおける被スパッタ面露出するとともに、前記基板を収容する真空槽と、前記真空槽内に前記ターゲットをスパッタするためのプラズマを生成するプラズマ生成部と、前記位置変更部および前記プラズマ生成部の駆動を制御する制御部と、をさらに備え、前記制御部は、前記位置変更部に前記基板に対する前記磁気回路の位置の変更を開始させた後に、前記プラズマ生成部に前記プラズマを生成させる請求項1から6のいずれか一項に記載の成膜装置。

請求項8

一軸磁気異方性を発現することが可能な磁性材料を含むターゲットをスパッタすることと、前記ターゲットと対向する領域に所定のピッチで並ぶ複数の磁石が基板と前記ターゲットとの間に形成する前記基板と平行な水平磁場の位置を、前記ターゲットがスパッタされている間に、変位方向に沿って、第1位置と前記第1位置から前記ピッチ以下だけ離れた第2位置との間で変えることと、を含み、前記水平磁場の位置を変えることでは、前記複数の磁石が前記変位方向に沿って前記ピッチで並んでいる成膜方法

技術分野

0001

本発明は、磁性膜を形成する成膜装置、および、成膜方法に関する。

背景技術

0002

磁性材料を含む磁性膜を形成する成膜装置として、磁性材料を含むターゲットと、チャンバ内におけるターゲットと対向する位置にて基板を支持する支持部と、ターゲットに対して支持部とは反対側に位置するとともに磁気回路を含む電極部とを備える成膜装置が知られている。成膜装置では、チャンバ内にスパッタガスが供給されている状態で電極部に電圧印加されることによって、ターゲットがスパッタされる。これにより、基板のうち、ターゲットと対向する面に磁性膜が形成される(例えば、特許文献1参照)。

先行技術

0003

特開平11−329837号公報

発明が解決しようとする課題

0004

ところで、磁性膜には、磁性膜における特性の1つである一軸磁気異方性を有する磁性膜、すなわち磁性膜が広がる方向に平行な所定の方向として、磁化されやすい方向である磁化容易軸と、磁化されにくい方向である磁化困難軸とを有する軟磁性膜が知られている。軟磁性膜は、例えばインダクタなどの素子を形成するために用いられている。軟磁性膜では、軟磁性膜に占める素子を形成することが可能な領域の割合を高める上で、軟磁性膜が形成される基板の面内において、磁性膜における一軸磁気異方性のばらつきを抑えることが求められている。
本発明は、基板の面内において磁性膜における一軸磁気異方性のばらつきを抑えることを可能とした成膜装置、および、成膜方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0005

上記課題を解決するための成膜装置は、一軸磁気異方性を発現することが可能な磁性材料を含むターゲットと、前記ターゲットと対向する領域に所定のピッチで並ぶ複数の磁石を含み、前記ターゲットと前記複数の磁石との間に位置する基板に平行な水平磁場を前記基板と前記ターゲットとの間に形成する磁気回路と、前記基板に対する前記磁気回路の位置を、変位方向に沿って、第1位置と前記第1位置から前記ピッチ以下だけ離れた第2位置との間で変える位置変更部と、を備える。前記各磁石は、前記変位方向に沿って前記ピッチで並ぶ。

0006

上記課題を解決するための成膜方法は、一軸磁気異方性を発現することが可能な磁性材料を含むターゲットをスパッタすることと、前記ターゲットと対向する領域に所定のピッチで並ぶ複数の磁石が基板と前記ターゲットとの間に形成する前記基板と平行な水平磁場の位置を、前記ターゲットがスパッタされている間に、変位方向に沿って、第1位置と前記第1位置から前記ピッチ以下だけ離れた第2位置との間で変えることと、を含む。前記水平磁場の位置を変えることでは、前記複数の磁石が前記変位方向に沿って前記ピッチで並んでいる。

0007

基板に水平磁場を印加する磁気回路が、基板のほぼ全体に水平磁場を印加することが可能であっても、基板と磁気回路とが対向する方向において、基板のなかで、磁気回路が有する磁石と重なる部位には、水平磁場はほとんど印加されず、かつ、基板の広がる平面に対してほぼ垂直な磁場が印加される。そして、基板のなかで、磁気回路が有する磁石と重なる部分では、水平磁場がほとんど印加されないために、一軸磁気異方性の低い磁性膜が形成され、これにより、基板のなかで、水平磁場が印加された部位に形成された磁性膜との間で、一軸磁気異方性にばらつきが生じる。この点で、上記構成によれば、基板と磁気回路とが対向する方向において、基板のなかで磁石と重なる部位が固定されることが抑えられる。言い換えれば、磁気回路が形成する磁場の状態が、磁気回路の変位方向において固定されることが抑えられる。それゆえに、基板のなかで、垂直磁場が印加される部位が固定されることが抑えられ、結果として、基板の面内において磁性膜の一軸磁気異方性にばらつきが生じることが抑えられる。

0008

上記成膜装置において、前記変位方向において、前記第1位置と前記第2位置との間の距離は、前記磁石の幅以下であることが好ましい。

0009

上記構成によれば、変位方向に沿って磁気回路を動かす距離が磁石の幅以下で済むため、基板に対して磁気回路を動かすために必要な機構の小型化を実現することができる。

0010

上記成膜装置において、前記磁気回路は、前記磁気回路が前記第1位置に位置するときと、前記磁気回路が前記第2位置に位置するときとの間において、前記変位方向において前記基板の全体に重なる前記水平磁場が形成されるように構成されていることが好ましい。

0011

上記構成によれば、基板に対する磁気回路の変位量が、磁石の幅以下という小さい範囲であっても、第1位置であれ、第2位置であれ、基板の全体に重なる水平磁場が形成されるため、結果として、基板の面内での磁性膜における一軸磁気異方性のばらつきが変位方向の全体において抑えられる。

0012

上記成膜装置において、前記変位方向において、前記複数の磁石が位置する領域の長さは、前記基板が位置する領域の長さ以上であることが好ましい。

0013

上記構成によれば、変位方向において、基板の全体に重なる水平磁場がより確実に形成されやすくなり、結果として、基板の面内において磁性膜における一軸磁気異方性のばらつきがより抑えられる。

0014

上記成膜装置において、前記位置変更部は、毎分300mm以上の速度で前記基板に対する前記磁気回路の位置を前記変位方向に沿って変えることが好ましい。

0015

上記構成によれば、基板の各部位に印加される磁場の状態が固定されることがより確実に抑えられるため、基板の面内において磁性膜における一軸磁気異方性のばらつきがより抑えられる。

0016

上記成膜装置において、前記磁性材料は、鉄、コバルトニッケルタンタルモリブデン、銅、および、ジルコニウムのうち少なくとも1つを含む軟磁性材料であり、前記磁気回路は、前記水平磁場の磁束密度が0.4mT以上であるように構成されてもよい。

0017

上記構成によれば、磁性材料が軟磁性材料であり、かつ、基板に印加される水平磁場における磁束密度が0.4mT以上であるため、軟磁性膜において一軸磁気異方性が高められ、結果として、基板の面内において軟磁性膜における一軸磁気異方性のばらつきが抑えられる。

0018

上記成膜装置において、前記ターゲットにおける被スパッタ面露出するとともに、前記基板を収容する真空槽と、前記真空槽内に前記ターゲットをスパッタするためのプラズマを生成するプラズマ生成部と、前記位置変更部および前記プラズマ生成部の駆動を制御する制御部と、をさらに備える。前記制御部は、前記位置変更部に前記基板に対する前記磁気回路の位置の変更を開始させた後に、前記プラズマ生成部に前記プラズマを生成させることが好ましい。

0019

上記構成によれば、位置変更部による磁気回路の位置の変更が開始された後にターゲットがスパッタされるため、磁性膜の形成が開始されたときから、基板における磁場の状態が固定されることが抑えられる。それゆえに、ターゲットのスパッタが開始された後に磁気回路の位置の変更が開始されるよりも、基板の面内において磁性膜における一軸磁気異方性のばらつきがより抑えられる。

図面の簡単な説明

0020

成膜装置の一実施形態における成膜装置を上面視した状態を基板とともに示すブロック図。
成膜チャンバを上面視した状態を基板とともに示すブロック図。
成膜チャンバを上面視した状態を基板とともに示すブロック図。
第1磁気回路が有する磁石の構造を示す平面図。
磁石から延びる磁力線を模式的に示す模式図。
第1磁気回路が位置する第1位置と第2位置とを説明するための図。
磁場を印加しない状態で成膜した軟磁性膜の磁化曲線を示すグラフ
磁束密度が0.3mTである磁場を印加した状態で成膜した軟磁性膜の磁化曲線を示すグラフ。
磁束密度が0.4mTである磁場を印加した状態で成膜した軟磁性膜の磁化曲線を示すグラフ。
磁束密度が10mTである磁場を印加した状態で成膜した軟磁性膜の磁化曲線を示すグラフ。
試験例における第1磁気回路の平面構造を示す平面図。
第1磁気回路における位置と磁束密度との関係を示すグラフ。
第1磁気回路における位置と磁束密度との関係を示すグラフ。

実施例

0021

図1から図13を参照して、成膜装置および成膜方法を具体化した一実施形態を説明する。以下では、成膜装置の構成、成膜チャンバの構成、および、試験例を順に説明する。

0022

スパッタ装置の構成]
図1を参照して、成膜装置の構成を説明する。
図1が示すように、成膜装置10は、1つの方向である第1方向D1に沿って並ぶロードロックチャンバ11と、成膜チャンバ12とを備えている。ロードロックチャンバ11と成膜チャンバ12との間には、ゲートバルブ13が位置し、ゲートバルブ13が開くことによって、ロードロックチャンバ11と成膜チャンバ12との間が連通され、ゲートバルブ13が閉じることによって、ロードロックチャンバ11と成膜チャンバ12との間での通気遮断される。

0023

成膜装置10の処理対象は基板Sであり、基板Sは、基板Sを支持するトレイTに取り付けられた状態で、成膜装置10内に搬入される。基板Sの形成材料は、例えば、ケイ素(Si)、ガラス、および、各種の合成樹脂などであり、トレイTの形成材料は、例えば金属などである。

0024

成膜装置10は、搬送部14を備え、搬送部14は、ロードロックチャンバ11から成膜チャンバ12までにわたって第1方向D1に沿って延び、ロードロックチャンバ11内、および、成膜チャンバ12内において、トレイTに取り付けられた状態の基板Sを第1方向D1に沿って搬送する。搬送部14は、成膜チャンバ12内における所定の位置において基板Sを支持することが可能であり、搬送部14は支持部の一例である。搬送部14は、基板Sのうち、処理対象となる面が水平方向に対してほぼ直交する状態で、言い換えれば、基板Sを起立させた状態で搬送する。

0025

ロードロックチャンバ11は排気部15を備え、排気部15は、ロードロックチャンバ11の内部を所定の圧力にまで減圧する。ロードロックチャンバ11は、成膜装置10の外部から成膜前の基板Sを搬入し、成膜後の基板Sを成膜装置10の内部から搬出する。

0026

成膜チャンバ12は、排気部16、冷却部17、第1位置変更部18、第1磁気回路20、および、カソード30を備えている。成膜チャンバ12は真空槽の一例であり、成膜チャンバ12では、カソード30が含むターゲットの被スパッタ面が露出し、成膜チャンバ12は基板Sを収容する。

0027

排気部16は、ロードロックチャンバ11の排気部15と同様、成膜チャンバ12の内部を所定の圧力にまで減圧する。冷却部17は、基板Sに対する磁性膜の形成が行われているときに、基板Sを冷却する。

0028

第1磁気回路20は、基板Sに対する磁性膜の形成が行われているときに、基板Sにおける処理対象となる面に、基板Sに平行な、言い換えれば第1方向D1と平行な水平磁場を形成する。第1位置変更部18は、第1方向D1において第1磁気回路20の位置を第1位置と第2位置との間で変える。搬送部14は、成膜チャンバ12の内部において、カソード30と対向する位置に、基板Sを配置する。成膜チャンバ12は、搬送部14の配置する基板Sに対して、磁性膜を形成する処理である成膜処理を施す。

0029

成膜装置10は、成膜装置10の駆動を制御する制御部10Cを備えている。制御部10Cは、カソード30を含むプラズマ生成部、および、第1位置変更部18などの各部に電気的に接続され、各部の駆動を制御している。プラズマ生成部は、ターゲットをスパッタするためのプラズマを生成する。制御部10Cは、プラズマ生成部を構成する各部の駆動を開始させるための開始信号、および、駆動を停止させるための停止信号を生成する。制御部10Cは、プラズマ生成部を構成する各部の駆動を開始させるタイミング、および、各部の駆動を停止させるタイミングに、各部に対して信号を出力する。

0030

また、制御部10Cは、第1位置変更部18に第1磁気回路20の位置の変更を開始させるための開始信号、および、位置の変更を停止させるための停止信号を生成する。制御部10Cは、第1位置変更部18に第1磁気回路20の位置の変更を開始させるタイミング、および、位置の変更を停止させるタイミングに、第1位置変更部18に対して各信号を出力する。

0031

これにより制御部10Cは、第1位置変更部18に基板Sに対する第1磁気回路20の位置の変更を開始させた後に、プラズマ生成部にプラズマを生成させる。このように、第1位置変更部18による第1磁気回路20の位置の変更が開始された後にターゲットがスパッタされるため、磁性膜の形成が開始されたときから、基板Sにおける磁場の状態が固定されることが抑えられる。それゆえに、ターゲットのスパッタが開始された後に第1磁気回路20の位置の変更が開始されるよりも、磁性膜の面内における一軸磁気異方性のばらつきがより抑えられる。

0032

なお、制御部10Cは、上述したゲートバルブ13および搬送部14の各々にも電気的に接続されている。制御部10Cは、ゲートバルブ13を開くための開信号、および、ゲートバルブ13を閉じるための閉信号を生成する。制御部10Cは、ゲートバルブ13を開くタイミング、および、ゲートバルブ13を閉じるタイミングに、各信号をゲートバルブ13に対して出力する。

0033

また、制御部10Cは、搬送部14にトレイTの搬送を開始させるための開始信号、および、搬送を停止させるための停止信号を生成する。制御部10Cは、搬送部14にトレイTの搬送を開始させるタイミング、および、搬送を停止させるタイミングに、搬送部14に各信号を出力する。

0034

こうした成膜装置10では、まず、成膜前の基板Sを支持するトレイTを、成膜装置10の外部からロードロックチャンバ11を介して成膜装置10の内部に搬入する。そして、制御部10Cが、ロードロックチャンバ11から成膜チャンバ12に向けたトレイTの搬送と、成膜チャンバ12内でのトレイTの支持を搬送部14に行わせる。

0035

次いで、制御部10Cは、第1位置変更部18に第1磁気回路20の位置の変更を開始させた後に、プラズマ生成部にプラズマを生成させることで、磁性膜の形成を開始させる。制御部10Cは、所定の時間が経過した後に、プラズマ生成部によるプラズマの生成と、第1位置変更部18による第1磁気回路20の位置の変更とを停止させる。

0036

制御部10Cは、成膜チャンバ12からロードロックチャンバ11に向けて成膜後の基板Sを支持するトレイTを搬送部14に搬送させる。その後、ロードロックチャンバ11を介して成膜後の基板Sを成膜装置10の外部に搬出する。

0037

なお、成膜前の基板Sを支持するトレイTを成膜装置10に搬入すること、および、成膜後の基板Sを支持するトレイTを成膜装置10から搬出することは、成膜装置10が備えるロボットによって行われてもよいし、成膜装置10を使用する使用者によって行われてもよい。

0038

また、成膜装置10は、少なくとも成膜チャンバ12を備えていればよく、ロードロックチャンバ11を備えていなくてもよい。また、成膜装置10は、ロードロックチャンバ11と成膜チャンバ12とに加えて、成膜チャンバ12よりも前に基板Sに対して所定の処理を行うチャンバや、成膜チャンバ12よりも後に基板Sに対して所定の処理を行うチャンバを備えていてもよい。

0039

[成膜チャンバの構成]
図2から図6を参照して、成膜チャンバ12の構成をより詳しく説明する。
図2が示すように、成膜チャンバ12は、冷却部17とカソード30とが対向する対向方向において、冷却部17および第1磁気回路20の位置を変える第2位置変更部19を備えている。第2位置変更部19は、対向方向において、冷却部17および第1磁気回路20の位置を第3位置と第4位置との間で変える。第3位置は、冷却部17がトレイTに接することが可能な位置であり、第4位置は、冷却部17がトレイTから離れた位置である。

0040

第2位置変更部19は、成膜チャンバ12内において、トレイTの位置が固定された後であって、基板Sに対する成膜処理が開始される前に、第4位置に位置する冷却部17および第1磁気回路20を第4位置から第3位置に移動させる。また、第2位置変更部19は、搬送部14が、成膜後の基板Sを支持するトレイTを成膜チャンバ12からロードロックチャンバ11に移動させる間、および、成膜前の基板Sを支持するトレイTをロードロックチャンバ11から成膜チャンバ12に移動させる間は、冷却部17および第1磁気回路20を第4位置に位置させる。

0041

このように、第2位置変更部19が第3位置に冷却部17を位置させることによって、基板Sを冷却する効率を高めることができる。また、第2位置変更部19が、冷却部17および第1磁気回路20を第4位置に配置することで、搬送部14によるトレイTの搬送に冷却部17および第1磁気回路20が干渉することが抑えられる。

0042

図3は、成膜チャンバ12が備える第1磁気回路20の構成、および、カソード30の構成をより詳しく示したブロック図である。なお、図3では、図示の便宜上、冷却部17および第2位置変更部19の図示が省略されている。

0043

図3が示すように、成膜チャンバ12は、ターゲット31、搬送部14、第1磁気回路20、および、第1位置変更部18を備えている。ターゲット31は、一軸磁気異方性を発現することが可能な磁性材料を含んでいる。搬送部14は、ターゲット31と対向する領域である配置領域Rに基板Sが位置するように基板Sを支持する。

0044

言い換えれば、搬送部14は、基板Sをターゲット31と第1磁気回路20との間に位置させ、基板Sをターゲット31と対向するように支持する。搬送部14は、基板Sにおけるターゲット31と対向する面に対する法線の方向と、ターゲット31における基板Sと対向する面に対する法線の方向とがほぼ平行である状態で、基板Sを成膜チャンバ12内における所定の位置に固定する。基板Sは、変位方向の一例である第1方向D1と、第1方向D1と直交する第2方向に沿って広がる板状を有している。

0045

第1磁気回路20は、複数の磁石21と、複数の磁石21が固定されるヨーク22とを備えている。複数の磁石21は、ターゲット31と対向する領域に所定のピッチで並んでいる。第1磁気回路20は、ターゲット31と複数の磁石21との間に位置する基板Sに平行な水平磁場HMを基板Sとターゲット31との間に形成する。

0046

また、第1磁気回路20は、配置領域Rに対してターゲット31とは反対側に位置している。複数の磁石21において、第2方向D2に沿う長さが基板Sの長さ以上である。第1磁気回路20は、こうした複数の磁石21によって、第1方向D1に平行な水平磁場HMを配置領域Rに対してターゲット31が位置する側に形成する。言い換えれば、第1磁気回路20は、基板Sのうち、第1磁気回路20とは反対側の面であって、ターゲット31と対向する面上に水平磁場HMを形成する。

0047

各磁石21は永久磁石であり、例えばフェライト磁石サマリウムコバルト磁石、および、ネオジム磁石などである。各磁石21において、ヨーク22に接する端部とは反対側の端部が先端である。複数の磁石21では、先端における磁極が異なる磁石21が交互に並んでいる。例えば、第1方向D1における一方の端に位置する磁石21から順に、先端の磁極がN極である磁石21とS極である磁石21とが交互に並んでいる。

0048

第1磁気回路20が備える磁石21の数は、3以上であることが好ましい。第1磁気回路20は、配置領域Rに対してターゲット31が位置する側における水平磁場HMの磁束密度が0.4mT以上であるように構成されている。言い換えれば、基板Sのうち、第1磁気回路20とは反対側の面であって、ターゲット31と対向する面上における水平磁場HMの磁束密度が0.4MT以上である。第1磁気回路20における水平磁場HMの磁束密度は、例えば、第1方向D1に沿う各磁石21の位置、第1方向D1および第2方向の各々に沿う各磁石21の大きさ、各磁石21の形状、および、各磁石21が有する磁力の大きさなどによって決まる。

0049

第1位置変更部18は、基板Sに対する第1磁気回路20の位置を、第1方向D1に沿って、第1位置と、第1位置からピッチ以下だけ離れた第2位置との間で変える。第1磁気回路20は、第1磁気回路20が第1位置に位置するときと、第1磁気回路20が第2位置に位置するときとの間において、第1方向D1において基板Sの全体に重なる水平磁場HMが形成されるように構成されている。

0050

第1位置変更部18は、第1磁気回路20の位置を第1位置と第2位置との間で変える機構を含む。第1位置変更部18は、第1磁気回路20を第1方向D1に沿って揺らす揺動機構を含んでいる。こうした揺動機構は、例えば、第1磁気回路20のヨーク22と、成膜チャンバ12とに固定された支持部を備えている。支持部は、第1方向D1に沿って撓むことが可能な可撓性を有している。また、揺動機構は、成膜チャンバ12における第1磁気回路20の位置を固定し、かつ、第1磁気回路20の位置の固定を解除することが可能な位置固定部を含む。位置固定部は、第1磁気回路20の位置を固定することによって、支持部の撓みを停止させ、第1磁気回路20の位置の固定を解除することによって、支持部の撓みを開始させる。

0051

カソード30は、ターゲット31とバッキングプレート32とを備えている。ターゲット31は、上述したように一軸磁気異方性を発現することが可能な磁性材料を含む。ターゲット31の形成材料は、鉄、コバルト、ニッケル、タンタル、モリブデン、銅、および、ジルコニウムを少なくとも1つ含んでいる軟磁性材料であることが好ましい。ターゲット31において、形成材料のほとんどが磁性材料であることが好ましく、例えば75質量%以上が磁性材料であることが好ましい。

0052

ターゲット31のうち、基板Sと対向する被スパッタ面がスパッタされることによって、磁性材料を含む磁性膜が基板Sに形成される。磁性膜は、磁性膜の結晶方向において、磁化しやすい結晶方向である磁化容易軸を有し、磁化容易軸以外の方向が磁化困難軸である。磁性膜は、磁化困難軸に沿う磁場が印加されたときと比べて、磁化容易軸と平行な磁場が印加されたときに磁化しやすい。磁性膜は、負の飽和磁化と正の飽和磁化とを有している。磁性膜の磁化を負の飽和磁化から正の飽和磁化に反転させたときの磁化曲線において、磁化容易軸における磁化曲線と、磁化困難軸における磁化曲線との乖離が大きいほど、磁性膜の一軸磁気異方性が高い。

0053

上述したように、第1方向D1における第1磁気回路20の位置に関わらず、基板Sの磁場形成面に形成された磁場における磁束密度が0.4mT以上である。しかも、ターゲット31が含む磁性材料が軟磁性材料であり、基板Sには軟磁性膜が形成される。そのため、軟磁性膜において一軸磁気異方性がより高められ、結果として、基板Sの面内において、軟磁性膜における一軸磁気異方性のばらつきが抑えられる。

0054

バッキングプレート32は、ターゲット31のうち、配置領域Rと対向する面とは反対側の面に固定されている。バッキングプレート32の形成材料は、金属である。

0055

成膜チャンバ12は、第2磁気回路41と揺動部42とをさらに備えている。第2磁気回路41は、ターゲット31に対して搬送部14とは反対側に位置している。第2磁気回路41は、ターゲット31に対して搬送部14の位置する側に磁場Mを形成する。言い換えれば、第2磁気回路41は、ターゲット31のうち、バッキングプレート32に固定された面とは反対側の面であって、基板Sと対向する面上に磁場Mを形成する。

0056

第2磁気回路41は、2つの永久磁石である第1磁石41aおよび第2磁石41bと、2つの永久磁石が固定されるヨーク41cとを備えている。第1磁石41aは、第2方向D2に沿って延びる柱状を有し、第2磁石41bは、第2方向D2に沿って延びる環状を有して、第1磁石41aを取り囲んでいる。第1磁石41aおよび第2磁石41bの各々において、ヨーク41cに固定された端が基端であり、基端とは反対側の端であって、バッキングプレート32と対向する端が先端である。第1磁石41aの先端における磁極と、第2磁石41bの先端における磁極とは、互いに異なっている。第2磁気回路41における磁束密度は、ターゲット31における配置領域Rと対向する面において、例えば10mT以上であることが好ましい。

0057

揺動部42は、第1方向D1におけるターゲット31の一端と他端との間で第1方向D1に沿って磁場Mを揺動させる。揺動部42は、第2磁気回路41を揺動させるための動力を発生する動力部と、動力を第2磁気回路41まで伝達する伝達部と、動力部の駆動を制御する制御部とを備えている。

0058

制御部は、動力部の駆動を制御するための制御信号を動力部に出力し、動力部は、制御信号に応じて駆動される。伝達部は、例えば、第1方向D1に沿って延びるねじ軸と、ねじ軸に噛み合い、かつ、第2磁気回路41に固定されたナットとを含み、動力部は、例えばねじ軸を回転させるモータである。モータは、第1回転方向と第1回転方向とは逆の方向である第2回転方向とにねじ軸を回転させる。

0059

揺動部42では、モータがねじ軸を第1回転方向に回転させることによって、第2磁気回路41が第1方向D1に沿って移動し、モータがねじ軸を第2回転方向に回転させることによって、第2磁気回路41が、第1方向D1に沿って、ねじ軸が第1回転方向に回転するときとは逆向きに移動する。

0060

成膜チャンバ12は、電源51とガス供給部52とをさらに備えている。電源51はバッキングプレート32に接続され、電源51がバッキングプレート32を介してターゲット31に電圧を印加することによって、ターゲット31がスパッタされる。ガス供給部52は、例えば、希ガスなどのスパッタガスを成膜チャンバ12の内部に供給する。

0061

成膜装置10において、カソード30、電源51、および、ガス供給部52がプラズマ生成部の一例を構成し、制御部10Cは、電源51およびガス供給部52の各々に電気的に接続している。制御部10Cは、電源51にバッキングプレート32への電圧の印加を開始させるための開始信号と、バッキングプレート32への電圧の印加を停止させるための停止信号とを生成する。制御部10Cは、電源51にバッキングプレート32への電圧の印加を開始させるタイミング、および、電圧の印加を停止させるタイミングに、電源51に対して各信号を出力する。

0062

制御部10Cは、ガス供給部52に所定の流量でのスパッタガスの供給を開始させるための開始信号と、スパッタガスの供給を停止させるための停止信号とを生成する。制御部10Cは、ガス供給部52にスパッタガスの供給を開始させるタイミング、および、スパッタガスの供給を停止させるタイミングに、ガス供給部52に対して各信号を出力する。

0063

成膜チャンバ12内にプラズマが生成されるときには、排気部16によって所定の圧力に減圧された成膜チャンバ12内に、制御部10Cが、ガス供給部52にスパッタガスの供給を開始させる。次いで、制御部10Cが、バッキングプレート32への電圧の印加を電源51に開始させることによって、ターゲット31の周りにスパッタガスからプラズマが生成される。これにより、ターゲット31がスパッタされる。

0064

図4は、第1磁気回路20のヨーク22が広がる平面と対向する平面視における複数の磁石21の平面構造を示している。図4では、図示の便宜上、第1磁気回路20のうち、複数の磁石21のみが示され、また、第1磁気回路20と基板Sとの大きさを比較する便宜上、基板Sが二点鎖線で示されている。

0065

図4が示すように、第1方向D1において、複数の磁石21が位置する領域の長さは、基板Sの長さ以上であることが好ましい。複数の磁石21において、第1方向D1における一方の端に位置する磁石21が第1磁石21aであり、他方の端に位置する磁石21が第2磁石21bである。複数の磁石21が位置する領域である磁石領域は、第1磁石21aと第2磁石21bとによって区画されている。

0066

磁石領域の第1方向D1における端は、第1磁石21aのうち、第2方向D2に沿って延びる縁であって、他の磁石21とは隣り合わない縁と、第2磁石21bのうち、第2方向D2に沿って延びる縁であって、他の磁石21とは隣り合わない縁とによって構成されている。第1方向D1において、磁石領域の長さである幅Wは、基板Sの長さ以上であることが好ましく、本実施形態では、磁石領域の幅Wは、基板Sの長さよりも長い。
このように、第1方向D1において、磁石領域の幅Wが基板Sの長さ以上であれば、第1方向において、基板Sの全体に重なる水平磁場HMが形成されやすくなり、結果として、磁性膜の面内における一軸磁気異方性のばらつきがより抑えられる。

0067

また、上述したように、第2方向D2において、各磁石21の長さLが、基板Sの長さ以上であり、本実施形態では、各磁石21の長さLは、基板Sの長さに等しい。複数の磁石21は、第1方向D1に沿って所定のピッチPで並んでいる。言い換えれば、複数の磁石21は、第1方向D1に沿って等間隔で並んでいる。

0068

磁石領域の幅Wは、例えば300mm以上1000mm以下である。各磁石21の長さLは、例えば300mm以上1000mm以下であり、第1方向D1に沿う各磁石21の幅Wmは、例えば5mm以上10mm以下である。また、複数の磁石21が並ぶピッチPは、50mm以上500mm以下である。

0069

図5は、各磁石21から延びる磁力線MFを模式的に示す図であり、図5では、図示の便宜上、1つの磁石21から延びる複数の磁力線MFの一部が示されている。

0070

基板Sに磁性膜を形成するときに、磁石21の直上に位置する部位では、この部位に印加される磁場の強度が0.4mT以上であっても、磁化困難軸の磁化曲線が、磁化容易軸の磁化曲線とほぼ同じである磁性膜、言い換えれば一軸磁気異方性を有しない磁性膜しか形成されない。一軸磁気異方性を有しない磁性膜が形成される一因として、以下の理由が挙げられる。

0071

図5が示すように、基板Sの位置に対する第1磁気回路20の位置を固定すると、基板Sのなかで各磁石21の直上に位置する部位には、磁石21から基板Sに向けてほぼ垂直に延びる磁力線MFのみが到達する。そのため、基板Sのなかで各磁石21の直上に位置する部位では、ターゲット31が位置する側の面にほぼ垂直な磁場が印加され、水平磁場は印加されない。結果として、一軸磁気異方性の低い磁性膜が形成される。

0072

図6は、第1位置変更部18が配置する第1磁気回路20の第1位置と第2位置との関係を説明するための図である。図6では、図示の便宜上、第1位置に位置する第1磁気回路20と第2位置に位置する第1磁気回路20とが、1つの方向において並ぶように図示されている。

0073

図6が示すように、第1位置変更部18は、まず、第1磁気回路20を第1位置に位置させる。このとき、第1磁気回路20における第1方向D1の中央と、基板Sにおける第1方向D1の中央とが、第1磁気回路20と基板Sとが対向する方向において重なるように、第1位置変更部18は、基板Sに対する第1磁気回路20の位置を決める。

0074

次いで、第1位置変更部18は、第1磁気回路20を第1方向D1に沿って揺らし始め、これにより、第1位置変更部18は、第1磁気回路20の位置を上述した第1位置から、第1方向D1において距離Dだけ離れた第2位置に変える。距離Dは、複数の磁石21が配置されるピッチP以下であり、磁石21の幅Wm以下であることが好ましい。これにより、第1磁気回路20が形成する水平磁場HMの位置も、第1方向D1に沿って第1位置から第2位置に変わる。

0075

第1位置変更部18は、第1磁気回路20の位置を第1位置から第2位置に変えると、第1方向D1に沿って、第1磁気回路20を第1位置から第2位置に変えたときとは逆向きに動かす。これにより、第1磁気回路20は再び第1位置に配置され、かつ、第1位置を経て先に説明した第2位置とは異なる第2位置に配置される。第1方向D1における第1位置と第2位置との間の距離Dは、上述した距離Dと同様、複数の磁石21が配置されるピッチP以下であり、磁石21の幅Wm以下であることが好ましい。

0076

なお、上述したように、第1磁気回路20は、第1磁気回路20が第1位置に位置するときと、第1磁気回路20が第2位置に位置するときとの間において、第1方向D1において基板Sの全体に重なる水平磁場HMが形成されるように構成されている。そのため、第1位置変更部18が、第1磁気回路20の位置を第1位置と第2位置との間で変える間にわたって、第1方向D1における基板Sの全体に重なる磁場が、基板Sには印加される。

0077

このように、第1方向D1と第2方向D2との両方において、基板Sの全体に重なる水平磁場HMを第1磁気回路20によって形成しつつ、基板Sと第1磁気回路20とが対向する方向において、基板Sのなかで磁石21と重なる部位が固定されることが抑えられる。言い換えれば、第1磁気回路20が形成する磁場の状態が、基板Sの第1方向D1において固定されることが抑えられる。それゆえに、基板Sのなかで、垂直磁場が印加される部位が固定されることが抑えられ、結果として、基板Sに形成される磁性膜の面内において、一軸磁気異方性にばらつきが生じることが抑えられる。

0078

また、第1位置と第2位置との間の距離Dが磁石21の幅Wm以下であれば、第1方向に沿って第1磁気回路20を動かす距離Dが磁石の幅以下で済む。そのため、基板Sに対して第1磁気回路20を動かすために必要な機構の小型化を実現することができる。また、第1方向D1における長さが基板Sの長さよりも短い磁気回路を基板Sの一端から他端まで走査する構成と比べて、第1磁気回路20を動かすために必要な機構が簡素で済む。

0079

さらには、基板Sに対する第1磁気回路20の変位量が、磁石21の幅Wm以下という小さい範囲であっても、第1位置であれ、第2位置であれ、基板Sの全体に重なる水平磁場HMが形成されるため、結果として、磁性膜における一軸磁気異方性のばらつきが第1方向D1における基板Sの全体において抑えられる。

0080

第1位置変更部18は、毎分300mm以上の速度で基板Sに対する第1磁気回路20の位置を第1方向D1に沿って変えることが好ましい。第1磁気回路20を揺らす速度が毎分300mm以上であることによって、基板Sの各部位に印加される磁場の状態が固定されることがより確実に抑えられる。これにより、基板Sの面内において磁性膜における一軸磁気異方性のばらつきがより抑えられる。

0081

こうした成膜装置10を用いた成膜方法は、一軸磁気異方性を発現することが可能な磁性材料を含むターゲット31をスパッタすることを含む。また、成膜方法は、ターゲット31と対向する領域に所定のピッチPで並ぶ複数の磁石21が基板Sとターゲット31との間に形成する水平磁場HMの位置を、ターゲットがスパッタされている間に、第1方向D1に沿って、第1位置と第1位置からピッチP以下だけ離れた第2位置との間で変えることと、を含む。また、水平磁場HMの位置を変えることでは、複数の磁石21が第1方向D1に沿って所定のピッチPで並んでいる。

0082

[試験例]
図7から図13を参照して、試験例を説明する。
[水平磁場の磁束密度と一軸磁気異方性との関係]
図7から図10を参照して、基板に印加される水平磁場の磁束密度と、磁性膜の一軸磁気異方性との関係を説明する。第1方向と第2方向とに沿って広がる矩形状を有するシリコン基板試験用基板として準備した。また、試験用基板に対するターゲットが位置する側の面、すなわち磁場形成面に水平磁場を印加することが可能な磁気回路を準備し、軟磁性材料ターゲットを準備した。

0083

まず、磁気回路を搭載しない成膜チャンバにて試験用基板に軟磁性膜を形成した。言い換えれば、磁場形成面に印加される水平磁場の磁束密度が0mTである状態で、軟磁性膜を形成した。これにより、試験例1の軟磁性膜を得た。

0084

磁場形成面における水平磁場の磁束密度を測定したところ、磁場形成面には、水平磁場の磁束密度が0.3mTである第1部分、0.4mTである第2部分、および、10mTである第3部分が含まれることが認められた。また、磁気回路を搭載した成膜チャンバにて試験用基板に軟磁性膜を形成し、これにより、試験例2から試験例4の軟磁性膜を得た。なお、試験用基板に形成された軟磁性膜のうち、軟磁性膜のなかで、磁場形成面の第1部分に形成された部分を試験例2の軟磁性膜とし、第2部分に形成された部分を試験例3の軟磁性膜とし、第3部分に形成された部分を試験例4の軟磁性膜とした。

0085

試験例1から試験例4の軟磁性膜の各々について、磁化容易軸の磁化曲線、および、磁化困難軸の磁化曲線を測定したところ、図7から図10に示す磁化曲線が得られた。

0086

図7が示すように、試験例1では、軟磁性膜に印加される磁場の大きさが負の値から正の値に切り替わるときに、磁化困難軸での磁化曲線が、磁化容易軸での磁化曲線の一部に沿って延びることが認められた。すなわち、試験例1の軟磁性膜では、磁化容易軸と磁化困難軸との間において磁化のされやすさにおける差が小さく、一軸磁気異方性が低いことが認められた。

0087

図8が示すように、試験例2では、試験例1と同様、軟磁性膜に印加される磁場の大きさが負の値から正の値に切り替わるときに、磁化困難軸での磁化曲線が、磁化容易軸での磁化曲線の一部に沿って延びることが認められた。ただし、試験例2の軟磁性膜によれば、試験例1の軟磁性膜に比べて、軟磁性膜の形成時に水平磁場が印加されている分だけ、磁化容易軸での磁化のされやすさと、磁化困難軸での磁化のされやすさとに差が生じていることは認められた。

0088

図9が示すように、試験例3では、試験例1および試験例2とは異なり、磁化困難軸での磁化曲線は、磁場が0Oeであり、かつ、磁化が0emuである点の近傍にて磁化容易軸の磁化曲線と交差するのみであることが認められた。また、軟磁性膜に印加される磁場の大きさが−20Oe以上20Oe以下の範囲であるときには、磁化困難軸での磁化曲線の傾きは、磁化容易軸での磁化曲線の傾きよりも小さいことが認められた。すなわち、試験例3の軟磁性膜は、一軸磁気異方性が高いことが認められた。

0089

図10が示すように、試験例4では、試験例3と同様、磁化困難軸での磁化曲線は、磁場が0Oeであり、かつ、磁化が0emuである点の近傍にて磁化容易軸の磁化曲線と交差するのみであることが認められた。また、軟磁性膜に印加される磁場の大きさが−20Oe以上20Oe以下の範囲であるときには、磁化困難軸での磁化曲線の傾きは、磁化容易軸での磁化曲線の傾きよりも小さいことが認められた。すなわち、試験例4の軟磁性膜は、一軸磁気異方性が高いことが認められた。

0090

このように、軟磁性膜が形成されるときに基板に印加される水平磁場の磁束密度が、0.4mT以上であることによって、一軸磁気異方性の高い軟磁性膜が得られることが認められた。なお、軟磁性膜が形成されるときに基板に印加される水平磁場の磁束密度が50mTであるとき、および、100mTであるときにも、試験例4と同等の一軸磁気異方性を有した軟磁性膜が得られることが認められた。

0091

[第1磁気回路]
図11から図13を参照して、第1磁気回路の試験例を説明する。図11では、第1磁気回路が備える磁石とヨークとの区別を容易にする便宜上、磁石にドットが付されている。本試験例では、以下に説明する構成を有した第1磁気回路を準備した。

0092

すなわち、図11が示すように、第1磁気回路60は、4つの磁石61と、各磁石61が固定されるヨーク62とを備えている。第1磁気回路60において、磁石領域の幅W、すなわちヨーク62の幅Wは530mmであり、磁石領域の長さL、すなわちヨーク62の長さLは700mmである。

0093

第1磁気回路60において、第1方向D1に沿って複数の磁石61が並ぶピッチPは175mmであり、第1方向D1における各磁石61の幅Wmは5mmである。各磁石61は、ネオジム磁石であり、第1方向D1の端に位置する磁石61から順に、先端の磁極がN極である磁石と、先端の磁極がS極である磁石とが交互に並ぶように磁石61が並んでいる。ヨーク62の形成材料は鉄である。

0094

こうした第1磁気回路の直上に511mm□のシリコン基板を配置し、シリコン基板に対する第1磁気回路が位置する側とは反対側の面である磁場形成面における水平磁場の磁束密度を測定した。磁束密度の測定結果は、図12および図13に示す通りであった。なお、以下に説明する図12および図13では、第1磁気回路60において、第1方向D1における中央Cを基準となる位置である0mmとした。

0095

図12が示すように、磁場形成面のなかで、第1磁気回路60とシリコン基板とが対向する方向において、各磁石61と重なる部位における水平磁場の磁束密度が最も大きく、180mTであることが認められた。また、磁場形成面において、各磁石からの距離が大きい部位ほど水平磁場の磁束密度が低いことが認められた。より詳しくは、磁場形成面のなかで、第1方向D1において、2つの磁石61の間における中央と重なる部位における水平磁場の磁束密度が最も小さいことが認められた。

0096

ただし、図13が示すように、磁場形成面において、磁束密度の最小値が0.4mTであることが認められた。すなわち、磁場形成面の全体において、磁束密度は0.4mTであることが認められた。

0097

こうした第1磁気回路60と、軟磁性材料ターゲットとが搭載された成膜チャンバを用いて、511mm□のシリコン基板に軟磁性膜を形成した。このとき、軟磁性材料ターゲットをスパッタするためのプラズマを生成する前に、第1位置変更部による第1磁気回路60の位置の変更を開始し、かつ、軟磁性膜の形成を終了するまで、毎分300mmの速さで、第1方向D1に沿って第1磁気回路60の位置を変更し続けた。

0098

こうした得られた軟磁性膜において、複数の部位における磁気曲線を測定したところ、いずれの部位においても、上述した試験例3の磁気曲線、または、試験例4の磁気曲線と同等の磁気曲線が得られることが認められた。

0099

以上説明したように、成膜装置および成膜方法の一実施形態によれば、以下に列挙する効果を得ることができる。
(1)基板Sと第1磁気回路20とが対向する方向において、基板Sのなかで磁石21と重なる部位が固定されることが抑えられる。言い換えれば、第1磁気回路20が形成する水平磁場HMの状態が、第1磁気回路20の第1方向D1において固定されることが抑えられる。それゆえに、基板Sのなかで、垂直磁場が印加される部位が固定されることが抑えられ、結果として、基板Sの面内における磁性膜の一軸磁気異方性にばらつきが生じることが抑えられる。

0100

(2)第1方向D1に沿って第1磁気回路20を動かす距離Dが磁石の幅Wm以下であれば、第1方向D1に沿って第1磁気回路20を動かす距離Dが磁石21の幅Wm以下で済むため、基板Sに対して第1磁気回路20を動かすために必要な機構の小型化を実現できる。

0101

(3)基板Sに対する第1磁気回路20の変位量が、磁石21の幅Wm以下という小さい範囲であっても、第1位置であれ、第2位置であれ、基板Sの全体に重なる水平磁場HMが形成されるため、結果として、磁性膜における一軸磁気異方性のばらつきが第1方向D1における基板Sの全体において抑えられる。

0102

(4)第1方向D1において、磁石領域の幅Wが基板Sの長さ以上であれば、第1方向において、基板Sの全体に重なる水平磁場HMが形成されやすくなり、結果として、磁性膜の面内における一軸磁気異方性のばらつきがより抑えられる。

0103

(5)第1磁気回路20を揺らす速度が毎分300mm以上であることによって、基板Sの各部位に印加される水平磁場HMの状態が固定されることがより確実に抑えられる。これにより、磁性膜の面内において一軸磁気異方性にばらつきが生じることがより抑えられる。

0104

(6)磁性材料が軟磁性材料であり、かつ、基板Sの磁場形成面に形成される磁場における磁束密度が0.4mT以上であるため、軟磁性膜の全体において一軸磁気異方性がより高められ、結果として、軟磁性膜の面内において、一軸磁気異方性のばらつきが抑えられる。

0105

(7)第1位置変更部18による第1磁気回路20の位置の変更が開始された後にターゲット31がスパッタされるため、磁性膜の形成が開始されたときから、基板Sにおける磁場の状態が固定されることが抑えられる。それゆえに、ターゲット31のスパッタが開始された後に第1磁気回路20の位置の変更が開始されるよりも、磁性膜の面内における一軸磁気異方性のばらつきがより抑えられる。

0106

なお、上述した実施形態は、以下のように適宜変更して実施することができる。
・制御部10Cは、プラズマ生成部がプラズマを生成して以降に、第1位置変更部18に第1磁気回路20の位置の変更を開始させてもよい。こうした構成であっても、第1位置変更部18が第1磁気回路20の位置の変更を開始した後において基板Sに形成された磁性膜では、磁性膜の面内における一軸磁気異方性のばらつきが抑えられる。そのため、上述した(1)と同等の効果を得ることはできる。

0107

・ターゲット31に含まれる磁性材料が軟磁性材料であるときに、配置領域Rに対してターゲット31が位置する側における水平磁場HMの磁束密度は、0mTよりも大きければ、0.4mTよりも小さくてもよい。こうした構成であっても、基板Sに水平磁場HMが印加されることで少なからず磁性膜の一軸磁気異方性を高めることができ、かつ、基板Sにおける磁場の状態が固定されないため、磁性膜の面内において一軸磁気異方性のばらつきが抑えられる。

0108

・一軸磁気異方性を有する磁性材料は、例えば鉄、Fe−Ni合金、Ni−Mo−Fe合金、Ni−Cu−Mo−Fe合金、および、パーマロイなどでもよい。こうした軟磁性材料であれば、上述した成膜チャンバ12によれば、磁性膜が形成されるときに基板Sに印加される磁場の状態が固定されないため、(1)と同等の効果を得ることはできる。

0109

・第1位置変更部18が第1磁気回路20の位置を変える速度は、毎分300mm未満であってもよい。こうした構成であっても、第1位置変更部18が第1磁気回路20の位置を変更する以上は、基板Sにおける磁場の状態が固定されることが抑えられ、それゆえに、磁性膜の面内における一軸磁気異方性のばらつきを抑えることは可能である。

0110

・第1磁気回路20が第1位置に位置するときと第2位置に位置するときとの間において、第1方向D1において基板Sの全体に重なる水平磁場を形成することが可能であれば、第1方向D1において、磁石領域の幅Wは、基板Sの長さよりも短くてもよい。

0111

・第1位置変更部は、第1方向D1での第1磁気回路20の位置を変える構成ではなく、第1方向D1での基板Sの位置を変える構成でもよい。こうした構成であっても、第1方向D1において基板Sに対する第1磁気回路20の位置を変えることは可能であり、ひいては、基板Sにおける磁場の状態が固定されることを抑えることも可能である。それゆえに、上述した(1)と同等の効果を得ることはできる。

0112

・第2方向D2における各磁石21の長さは、第2方向D2における基板Sの長さよりも短くてもよい。こうした構成であっても、ターゲット31がスパッタされている間に、第1磁気回路20の位置が第1位置と第2位置との間で変わる構成であれば、基板Sのなかで、第2方向D2において各磁石21と重なる部分では、磁性膜における一軸磁気異方性のばらつきが抑えられる。結果として、基板Sの面内において磁性膜における一軸磁気異方性のばらつきが抑えられる。

0113

10…成膜装置、10C…制御部、11…ロードロックチャンバ、12…成膜チャンバ、13…ゲートバルブ、14…搬送部、15,16…排気部、17…冷却部、18…第1位置変更部、19…第2位置変更部、20,60…第1磁気回路、21,61…磁石、21a,41a…第1磁石、21b,41b…第2磁石、22,41c,62…ヨーク、30…カソード、31…ターゲット、32…バッキングプレート、41…第2磁気回路、42…揺動部、51…電源、52…ガス供給部、HM…水平磁場、M…磁場、MF…磁力線、R…配置領域、S…基板、T…トレイ。

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