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技術 有機微粒子及びその製造方法

出願人 株式会社日本触媒
発明者 花井衣里奈中谷泰隆井川洋一
出願日 2017年10月12日 (2年2ヶ月経過) 出願番号 2017-198871
公開日 2019年5月16日 (6ヶ月経過) 公開番号 2019-073582
状態 未査定
技術分野 付加系(共)重合体、後処理、化学変成 高分子組成物 重合方法(一般) 重合触媒
主要キーワード アクリル系モノマー由来 ヨード滴定法 ラジカル発生速度 食品用包装フィルム 撹拌分散機 活性酸素濃度 コールター原理 OH構造
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2019年5月16日)のものです。
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図面 (2)

課題

配合するフィルム臭気を高度に防止可能な有機微粒子の製造方法を提供する。

解決手段

メタアクリル系モノマーと二官能架橋性モノマーとを、水系溶媒の存在下、熱重合開始剤共存させて重合する有機微粒子の製造方法であり、 前記熱重合開始剤が、重合開始剤(B)と、該重合開始剤(B)よりも10時間半減期温度が3℃以上高い重合開始剤(A)とを、重合開始剤(A)と重合開始剤(B)の質量比が0.25〜0.75となる範囲で含み、 前記重合開始剤(A)と重合開始剤(B)の合計が、モノマー合計100質量部に対して、2.4〜3.75質量部である。

概要

背景

メタアクリル系モノマーと二官能架橋性モノマーを共重合させた有機微粒子は、光拡散剤アンチブロッキング剤などの各種添加剤として、樹脂フィルム中に配合されている(例えば、特許文献1など)。

概要

配合するフィルム臭気を高度に防止可能な有機微粒子の製造方法を提供する。(メタ)アクリル系モノマーと二官能架橋性モノマーとを、水系溶媒の存在下、熱重合開始剤共存させて重合する有機微粒子の製造方法であり、 前記熱重合開始剤が、重合開始剤(B)と、該重合開始剤(B)よりも10時間半減期温度が3℃以上高い重合開始剤(A)とを、重合開始剤(A)と重合開始剤(B)の質量比が0.25〜0.75となる範囲で含み、 前記重合開始剤(A)と重合開始剤(B)の合計が、モノマー合計100質量部に対して、2.4〜3.75質量部である。

目的

本発明は上記の様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、配合するフィルムの臭気を高度に防止可能な有機微粒子を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

メタアクリル系モノマーと二官能架橋性モノマーとを、水系溶媒の存在下、熱重合開始剤共存させて重合する有機微粒子の製造方法であり、前記熱重合開始剤が、10時間半減期温度が40℃以上である重合開始剤(B)と、該重合開始剤(B)よりも10時間半減期温度が3℃以上高い重合開始剤(A)とを、重合開始剤(A)と重合開始剤(B)の質量比(重合開始剤(A)/重合開始剤(B))が0.25〜0.75となる範囲で含み、前記重合開始剤(A)と重合開始剤(B)の合計が、前記(メタ)アクリル系モノマーと二官能架橋性モノマーの合計100質量部に対して、2.4〜3.75質量部であることを特徴とする方法。

請求項2

前記重合開始剤(A)及び重合開始剤(B)が、いずれも過酸化物系重合開始剤である請求項1に記載の有機微粒子の製造方法。

請求項3

前記重合開始剤(A)が55〜100℃の範囲に10時間半減期温度を有するアルキルパーオキシエステル型開始剤であり、前記重合開始剤(B)が50〜75℃の範囲に10時間半減期温度を有するジアシルパーオキサイド型開始剤である請求項1又は2に記載の有機微粒子の製造方法。

請求項4

前記(メタ)アクリル系モノマーが(メタ)アクリル酸C1-4アルキルエステルであり、前記二官能架橋性モノマーがアルカンジオールジ(メタ)アクリレートである請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機微粒子の製造方法。

請求項5

(メタ)アクリル系モノマー由来構成単位と、アルカンジオールジ(メタ)アクリレート由来の構成単位を有し、該アルカンジオールジ(メタ)アクリレート由来の構成単位の量が、該アルカンジオールジ(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリル系モノマーに由来する構成単位100質量部に対して10質量部以上である共重合架橋体であり、モノマーとしてのアルカンジオールジ(メタ)アクリレートの濃度が29ppm(質量基準)以下である有機微粒子。

請求項6

前記(メタ)アクリル系モノマーが(メタ)アクリル酸C1-4アルキルエステルである請求項5に記載の有機微粒子。

請求項7

質量平均粒子径が0.5μm以上40μm以下である請求項5又は6に記載の有機微粒子。

請求項8

請求項5〜7のいずれか1項に記載の有機微粒子を含む熱可塑性樹脂フィルム

技術分野

0001

本発明は(メタアクリル系モノマーと二官能架橋性モノマーを共重合させた有機微粒子に関するものである。

背景技術

0002

(メタ)アクリル系モノマーと二官能架橋性モノマーを共重合させた有機微粒子は、光拡散剤アンチブロッキング剤などの各種添加剤として、樹脂フィルム中に配合されている(例えば、特許文献1など)。

先行技術

0003

国際公開第2016/195006号パンフレット

発明が解決しようとする課題

0004

前記微粒子を配合する樹脂フィルムの用途によっては、該フィルム臭気を有さないことが強く求められる場合がある。特に食品用包装フィルムなどの健康が意識される用途では、微粒子中に含有する残存モノマー量はフィルムへの使用条件により閾値が厳密に定められており、残存モノマー量の少ないことと臭気がないことが高品質とされる。(メタ)アクリル系モノマーを共重合させた粒子では、重合時に該(メタ)アクリル系モノマーが多少残存していても、粒子乾燥時に減少するために実質的に異臭の原因とはなっていなかった。
ところが二官能架橋性モノマー、特にアルカンジオールジ(メタ)アクリレートが残存した場合には、粒子を乾燥しても残存量が減少せず、異臭の原因となることが判明した。特に前記有機微粒子は、通常、水系溶媒の存在下で重合(例えば懸濁重合)されるため、重合物(粒子)中に二官能架橋性モノマーの未反応部が生じると、重合部(架橋部)が該未反応モノマーラジカルとの接触障壁となるため、二官能架橋性モノマーを高いレベルで低減することは極めて難しい。
本発明は上記の様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、配合するフィルムの臭気を高度に防止可能な有機微粒子を提供することにある。

課題を解決するための手段

0005

本発明は、以下の通りである。
[1] (メタ)アクリル系モノマーと二官能架橋性モノマーとを、水系溶媒の存在下、熱重合開始剤共存させて重合する有機微粒子の製造方法であり、
前記熱重合開始剤が、10時間半減期温度が40℃以上である重合開始剤(B)と、該重合開始剤(B)よりも10時間半減期温度が3℃以上高い重合開始剤(A)とを、重合開始剤(A)と重合開始剤(B)の質量比(重合開始剤(A)/重合開始剤(B))が0.25〜0.75となる範囲で含み、
前記重合開始剤(A)と重合開始剤(B)の合計が、前記(メタ)アクリル系モノマーと二官能架橋性モノマーの合計100質量部に対して、2.4〜3.75質量部であることを特徴とする方法。
[2] 前記重合開始剤(A)及び重合開始剤(B)が、いずれも過酸化物系重合開始剤である[1]に記載の有機微粒子の製造方法。
[3] 前記重合開始剤(A)が55〜100℃の範囲に10時間半減期温度を有するアルキルパーオキシエステル型開始剤であり、前記重合開始剤(B)が50〜75℃の範囲に10時間半減期温度を有するジアシルパーオキサイド型開始剤である[1]又は[2]に記載の有機微粒子の製造方法。
[4] 前記(メタ)アクリル系モノマーが(メタ)アクリル酸C1-4アルキルエステルであり、前記二官能架橋性モノマーがアルカンジオールジ(メタ)アクリレートである[1]〜[3]のいずれか1つに記載の有機微粒子の製造方法。
[5] (メタ)アクリル系モノマー由来構成単位と、アルカンジオールジ(メタ)アクリレート由来の構成単位を有し、該アルカンジオールジ(メタ)アクリレート由来の構成単位の量が、該アルカンジオールジ(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリル系モノマーに由来する構成単位100質量部に対して10質量部以上である共重合架橋体であり、
モノマーとしてのアルカンジオールジ(メタ)アクリレートの濃度が29ppm(質量基準)以下である有機微粒子。
[6] 前記(メタ)アクリル系モノマーが(メタ)アクリル酸C1-4アルキルエステルである[5]に記載の有機微粒子。
[7]質量平均粒子径が0.5μm以上40μm以下である[5]又は[6]に記載の有機微粒子。
[8] [5]〜[7]のいずれか1つに記載の有機微粒子を含む熱可塑性樹脂フィルム

発明の効果

0006

本発明によれば、有機微粒子の残存モノマー量(二官能架橋性モノマー量)を高度に低減できる。そのため有機微粒子を配合するフィルムの臭気を高度に防止できる。

図面の簡単な説明

0007

図1は重合開始剤(A)、重合開始剤(B)の比率(A/B)及び合計量(A+B)と残存二官能架橋性モノマー量との関係を示すグラフである。

0008

本発明は、(メタ)アクリル系モノマーと二官能架橋性モノマーとの共重合体微粒子(有機微粒子)に関するものであり、残存する二官能架橋性モノマー量が少ない点に特徴を有する。二官能架橋性モノマーとしては、後述する各種モノマーが使用可能であるが、二官能架橋性モノマーがアルカンジオールジ(メタ)アクリレートであり、アルカンジオールジ(メタ)アクリレートがモノマー100質量部に対して10質量部以上含まれるものを重合して有機微粒子にした場合、該有機微粒子中に含まれる残存アルカンジオールジ(メタ)アクリレートの濃度は、29ppm(質量基準)以下、好ましくは25ppm(質量基準)以下、より好ましくは20ppm(質量基準)以下である。なおアルカンジオールジ(メタ)アクリレートの含有量は少ないほど好ましいが、臭気防止の観点からは必ずしも0ppm(質量基準)にする必要はなく、例えば、1ppm(質量基準)以上、または5ppm(質量基準)以上であってもよく、特に10ppm(質量基準)以上であってもよい。

0009

有機微粒子を過度洗浄しなくても、前記残存二官能架橋性モノマー量を低減できていることが好ましい。すなわち有機微粒子合成時に使用した界面活性剤が残っていてもよい。有機微粒子が含有する界面活性剤の量は、例えば、0.1ppm(質量基準)以上、好ましくは1ppm(質量基準)以上、より好ましくは10ppm(質量基準)以上である。なお該界面活性剤の量は、1000ppm(質量基準)以下であることが好ましく、500ppm(質量基準)以下であることがより好ましく、200ppm(質量基準)以下であることがよりさらに好ましい。

0010

前記有機微粒子は、質量平均粒子径(Dw)が0.5μm以上であることが好ましく、より好ましくは1.0μm以上、さらに好ましくは2.0μm以上である。また、該Dwは、40μm以下であることが好ましく、より好ましくは30μm以下、さらに好ましくは15μm以下、特に好ましくは10μm以下であり、最も好ましくは8μm以下である。

0011

有機微粒子の数平均粒子径(Dn)と質量平均粒子径(Dw)との比(Dn/Dw)は、例えば、0.3以上、好ましくは0.4以上であり、0.6以上の高い値であってもよい。Dn/Dwは粒子径単分散性指標となるものであり、値が高いほど、微小粒子割合が少ないことを表し、1に近づくほど単分散粒子であることを表す。Dn/Dwを1に近づけることで、有機微粒子を配合したフィルムの物性をより均一にすることができる。

0012

また、有機微粒子の粒子径の変動係数CV値)は、質量基準の粒子径分布より求められる値であり、50%以下が好ましく、より好ましくは45%以下、さらに好ましくは40%以下であり、20%以上が好ましく、より好ましくは25%以上、さらに好ましくは30%以上である。

0013

上記粒子径は、コールター原理を使用した精密粒度分布測定装置(例えば、ベックマンコールター社製の「コールターマルチサイザIII型」)により測定できる。粒子径は質量平均粒子径(Dw)と数平均粒子径(Dn)として測定され、質量平均粒子径の変動係数(CV値)は、下記式に従って算出できる。
平均粒子径(Dw)の変動係数(%)=(平均粒子径(Dw)の標準偏差σ/平均粒子径(Dw))×100

0014

前記有機微粒子は、(メタ)アクリル系モノマーと二官能架橋性モノマーとを、水系溶媒の存在下、熱重合開始剤を共存させて重合(例えば、懸濁重合、乳化重合など)することによって製造できる。前記(メタ)アクリル系モノマーとしては、1種又は2種以上を使用でき、例えば、(メタ)アクリル酸;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等のモノアルキル(メタ)アクリレート類テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等のモノ環状エーテル含有アクリレート類;等が挙げられる。

0015

(メタ)アクリル系モノマーとしては、モノアルキル(メタ)アクリレート類が好ましく、メタアクリル酸炭素数が1〜4程度のアルキルアルコールとのエステル(すなわち(メタ)アクリル酸C1-4アルキルエステル)がより好ましく、メチル(メタ)アクリレートが特に好ましい。また(メタ)アクリル系モノマーは、アクリル系モノマー及びメタクリル系モノマーのいずれであってもよいが、メタクリル系モノマーであるのが好ましい。

0016

二官能架橋性モノマーとしては、(メタ)アクリル系モノマーと共重合可能重合性官能基を2個有するモノマーであればよく、このような重合性官能基としては、ビニル基、(メタ)アクリロイル基等が挙げられ、(メタ)アクリロイル基が好ましく、メタクリロイル基が特に好ましい。

0017

二官能架橋性モノマーとしては、1種又は2種以上を使用でき、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート等のアルカンジオールジ(メタ)アクリレート;1,3−ブチレンジ(メタ)アクリレート等のアルケンジ(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;等が挙げられる。
前記ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートのアルキレングリコール単位の繰り返し数は、例えば2〜150であることが好ましく、より好ましくは2〜23、さらに好ましくは2〜5、最も好ましくは2または3である。アルキレングリコール単位の繰り返し数が少ないほど融点が低くなり、常温でも液体になって、取り扱い性が向上する。
中でも、二官能架橋性モノマーとしては、アルカンジオールジ(メタ)アクリレートが好ましく、2つの(メタ)アクリル酸と炭素数が2〜4程度の1つのアルカンジオールとから構成されるアルカンジオールジ(メタ)アクリレートがより好ましく、エチレングリコールジ(メタ)アクリレートが特に好ましい。

0018

二官能架橋性モノマー(特にアルカンジオールジ(メタ)アクリレート)は、前記(メタ)アクリル系モノマーと二官能架橋性モノマーの合計100質量部に対して(又は全モノマーに対して)、例えば、5質量部以上であり、好ましくは10質量部以上であり、より好ましくは15質量部以上であり、また例えば、35質量部以下であり、好ましくは30質量部以下であり、より好ましくは25質量部以下である。二官能架橋性モノマーの割合を所定量以上使用すると、有機微粒子の硬さを確保でき、アンチブロッキング剤としての有用性を高めることができる。なお、これらモノマー間の量関係は共重合後の共重合体における各モノマー由来の構成単位間の量関係でも維持される(以下、同じ)。

0019

前記(メタ)アクリル系モノマーと二官能架橋性モノマーの合計量は、有機微粒子(共重合体)を構成する全モノマー成分100質量部に対して、例えば、60質量部以上、好ましくは80質量部以上、より好ましくは90質量部以上であり、100質量部であってもよい。

0020

また本発明では、上述の(メタ)アクリル系モノマーを他の単官能モノマーと共重合させてもよい。該他の単官能モノマーとしては、1種又は2種以上を使用でき、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−フェニルスチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、エチルビニルベンゼン等のスチレン系モノマー;m−ジビニルベンゼン、p−ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、および、これらの誘導体等の芳香族ジビニル化合物、N,N−ジビニルアニリンジビニルエーテル、ジビニルサルファイドジビニルスルホン酸等の架橋剤、ポリブタジエンおよび特公昭57−56507号公報、特開昭59−221304号公報、特開昭59−221305号公報、特開昭59−221306号公報、特開昭59−221307号公報等に記載される反応性重合体等の1種又は2種以上を含んでいてもよい。

0021

さらに本発明では、架橋性モノマーとして、上記二官能架橋性モノマー以外のモノマーを使用してもよい。このような架橋性モノマーとしては、1種又は2種以上を使用でき、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の4官能(メタ)アクリル系モノマー;ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の6官能(メタ)アクリル系モノマー等が挙げられる。

0022

そして二官能架橋性モノマーの残存量の少ない有機微粒子を製造するため、本発明では、前記モノマーを水系溶媒の存在下で重合(例えば、懸濁重合、乳化重合など)する際に使用する熱重合開始剤として、10時間半減期温度が40℃以上である重合開始剤(B)と、該重合開始剤(B)よりも10時間半減期温度が3℃以上高い重合開始剤(A)とを組み合わせて使用する。懸濁重合や乳化重合で初期ラジカル発生速度が速いと重合が速く進む一方で、モノマーが一部取り残され、取り残されたモノマーは重合物によってラジカル発生剤との接触が阻害されるために、モノマーが残りやすくなっていた。また初期のラジカル発生速度が遅い場合にも、モノマーが残存しやすくなっていた。本発明は10時間半減期温度が異なる2種類の重合開始剤(A)、(B)を組み合わせており、反応の初期から終期まで一定速度以上の反応速度を保てるため、モノマー残存量を下げることができる。

0023

ところでモノマー残存量を下げるためには、重合開始剤(A)、(B)の合計量を増やすことが確実であると思われるところ、重合開始剤(A)、(B)の量が一定量以上になるとかえってモノマー残存量が増加することが判明した。また重合開始剤(A)、(B)の比(A/B)が一定以上の場合には、重合開始剤の合計量を増やしてもモノマー残存量(特に二官能架橋性モノマー残存量)が低減するという傾向自体が見られないことも判明した。液滴中の重合相とモノマー相との関係が複雑に反応完結に影響を与えているためと思われる。こうした中、本発明では、前記重合開始剤(A)と重合開始剤(B)の質量比(重合開始剤(A)/重合開始剤(B))を0.25〜0.75とし、かつ重合開始剤(A)と重合開始剤(B)の合計が、前記(メタ)アクリル系モノマーと二官能架橋性モノマーの合計100質量部に対して、2.4〜3.75質量部となる様にする。この条件を満足する様に重合開始剤(A)と重合開始剤(B)とを用いると、乾燥後の有機微粒子中の二官能架橋性モノマー(特にアルカンジオールジ(メタ)アクリレート)を低減することができる。また反応液中の(メタ)アクリル系モノマーも残存できており、これらの事から、反応を極めて効率よく実施できると言える。

0024

重合開始剤(A)と重合開始剤(B)の質量比(重合開始剤(A)/重合開始剤(B))は、好ましくは0.65以下であり、より好ましくは0.55以下であり、好ましくは0.35以上であり、より好ましくは0.45以上である。また重合開始剤(A)と重合開始剤(B)の合計は、(メタ)アクリル系モノマーと二官能架橋性モノマーの合計100質量部に対して、好ましくは2.6質量部以上であり、より好ましくは2.8質量部以上である。また好ましくは3.4質量部以下であり、より好ましくは3.2質量部以下である。さらには2.9質量部以下であってもよい。

0025

重合開始剤(A)及び重合開始剤(B)は、両者の10時間半減期温度が3℃以上(好ましくは15℃以下、より好ましくは10℃以下)異なっており、かつ該10時間半減期温度が低い方の開始剤(すなわち開始剤(B))の10時間半減期温度が40℃以上となる条件を満足する限り、各種の重合開始剤から適宜組み合わせて使用できる。

0026

なお10時間半減期温度とは、重合開始剤が分解してその量が1/2になるまでの時間が10時間となる時の温度を意味し、重合開始剤を不活性溶媒(例えば、ベンゼン)に濃度0.10mol/L溶解した溶液中の所定温度での分解速度を調べることで決定できる。なお濃度0.10mol/Lでベンゼンに溶解しない場合には、濃度を0.05mol/Lとしてもよい。また濃度0.05mol/Lでベンゼンに溶解しない場合には、溶剤トルエンにしてもよい。さらにこれら濃度及び溶媒で測定できない場合には、適宜、適切な溶媒を選択してもよい。
具体的には、窒素置換を行ったガラス管中に前記分解速度測定サンプルを封入したものを多数準備し、該ガラス管を所定の半減期測定温度に保ち、所定時間ごとに抜き取って内容物中の重合開始剤濃度を測定し、該測定温度での半減期を求める。重合開始剤濃度は、高速液体クロマトグラフィーHPLC)を用いて決定でき、分解物ピーク測定物ピークの分離が不十分であるなどHPLCが濃度測定系として不適切な場合にはガスクロマトグラフィーGC)を用いてもよく、HPLC及びGCが不適切な場合の過酸化物系重合開始剤には活性酸素濃度時間変化を記録することで半減期を求めてもよい。なお活性酸素濃度の決定にはヨード滴定法を採用することができる。
10時間半減期温度は、複数(例えば、3点以上)の半減期測定温度(ただし、各半減期測定温度は、約5℃刻みであり、その上限以下と下限以上の中に10時間半減期温度が含まれる)で半減期を測定した結果を片対数グラフにプロットすることで求めることができる。

0027

重合開始剤(A)及び重合開始剤(B)は、過酸化物系重合開始剤、アゾ化合物系重合開始剤などから適宜選択でき、過酸化物系重合開始剤であるのが好ましい。過酸化物系重合開始剤としては、
ベンゾイルパーオキサイド(10時間半減期温度74℃)、ジラウロイルパーオキサイド(10時間半減期温度62℃)、ジオクタノイパーオキサイドビスオルトクロロベンゾイル)パーオキサイド、ビス(オルトメトキシベンゾイル)パーオキサイドなどのジアシルパーオキサイド型開始剤、及びジイソプロピルパーオキシジカーボネートなどのパーオキシジカーボネート型開始剤などの−C(O)OOC(O)−構造を有する過酸化物、
メチルエチルケトンパーオキサイドなどの二量化ケトン型開始剤、シクロヘキサノンパーオキサイドなどのパーオキシアセタール型開始剤、1,1−ジ(t−ヘキシルペルオキシシクロヘキサン商品名:パーヘキサHC(登録商標))などのパーオキシケタール型開始剤、t−ヘキシルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート(商品名:パーヘキシルO(登録商標))(10時間半減期温度70℃)、1,1,3,3−テトラメチルブトキシパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(商品名:パーオクタO(登録商標))(10時間半減期温度65℃)などのアルキルパーオキシエステル型開始剤などの−OO−C−OO−構造又は−OOC(=O)−構造を有する過酸化物、
クメンヒドロパーオキサイド(10時間半減期温度158℃)、t−ブチルヒドロパーオキサイドジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイドなどの−COOH構造を有する過酸化物(ハイドロパーオキサイド型開始剤)等が挙げられる。

0028

また、アゾ化合物系重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,3−ジメチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス−(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,3,3−トリメチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−イソプロピルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリン酸)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート等が挙げられる。

0029

前記重合開始剤(A)の10時間半減期温度は、好ましくは55℃以上であり、より好ましくは60℃以上であり、特に好ましくは63℃以上であり、また好ましくは100℃以下であり、より好ましくは85℃以下であり、特に好ましくは75℃以下である。また重合開始剤(A)は、−OO−C−OO−構造又は−OOC(=O)−構造を有する過酸化物、特にアルキルパーオキシエステル型開始剤であるのが好ましい。

0030

前記重合開始剤(B)の10時間半減期温度は、好ましくは50℃以上であり、より好ましくは55℃以上であり、また好ましくは75℃以下であり、より好ましくは70℃以下であり、特に好ましくは65℃以下である。重合開始剤(B)は、−C(O)OOC(O)−構造を有する過酸化物、特にジアシルパーオキサイド型開始剤であるのが好ましい。

0031

前記モノマーの重合は、水系溶媒中で実施され、好ましくは分散安定剤の存在下、例えば、懸濁重合、エマルション重合など(好ましくは懸濁重合)によって調製される。これらの重合法によれば、有機微粒子を球形にでき、また粒径のそろった有機微粒子を得ることができる。例えば懸濁重合法では、有機微粒子形成用モノマー、重合開始剤、界面活性剤、及び水系溶媒を分散、懸濁させることによりモノマー懸濁液を得ることができる。得られたモノマー懸濁液中のモノマーを重合させることで、有機微粒子の懸濁液を得ることができる。

0032

前記分散安定剤としては、有機系分散安定剤、無機系分散安定剤のいずれでもよい。有機系分散安定剤としては、水溶性高分子アニオン性界面活性剤カチオン性界面活性剤非イオン性界面活性剤両性イオン性界面活性剤アルギン酸塩ゼインカゼイン等が挙げられる。無機系分散安定剤としては、硫酸バリウム硫酸カルシウム炭酸バリウム炭酸マグネシウムリン酸カルシウムタルク粘土ケイソウ土ベントナイト水酸化チタン水酸化ナトリウム金属酸化物粉末等が挙げられる。

0035

前記カチオン性界面活性剤としては、ラウリルアミンアセテートステアリルアミンアセテート等のアルキルアミン塩;ラウリルトリメチルアルキルアンモニウムクロリド等の4級アンモニウム塩等が挙げられる。

0036

前記非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテルポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルソルビタン脂肪酸エステルポリオキシソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミングリセリン脂肪酸エステルオキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー等が挙げられる。
前記両性イオン性界面活性剤としては、例えば、ラウリルジメチルアミンオキシド等が挙げられる。
中でも、重合安定性懸濁安定性が良好である観点から、アニオン性界面活性剤が好ましく、ポリオキシアルキレンアリールエーテル硫酸塩がより好ましい。

0037

前記分散安定剤は、モノマーの全量100質量部に対し、0.1質量部以上であることが好ましく、より好ましくは0.5質量部以上であり、5質量部以下であることが好ましく、より好ましくは3質量部以下、さらに好ましくは2質量部以下である。

0038

前記水系溶媒は、少なくとも水を含んでいればよく、例えば、水単独であってもよく、水と水溶性溶媒との組み合わせであってもよい。水溶性有機溶媒を使用することにより、得られる粒子の粒子径を制御することができる。
水は、水系溶媒100質量部中、例えば、80質量部以上、好ましくは90質量部以上、さらに好ましくは95質量部以上、特に好ましくは99質量部以上である。十分量の水を含むことが懸濁安定性の観点から好ましい。

0040

水系溶媒は、非水系溶媒成分(モノマー反応液から水系溶媒を除いた成分)100質量部に対して、100質量部以上であることが好ましく、より好ましくは200質量部以上、さらに好ましくは300質量部以上であり、1000質量部以下であることが好ましく、より好ましくは700質量部以下、さらに好ましくは500質量部以下である。

0041

前記モノマーを水系溶媒中で反応させるに際して、酸化防止剤を共存させるのが好ましい。酸化防止剤を共存させることで、得られる有機微粒子の耐熱性を向上できる。酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤リン系酸化防止剤ラクトン系酸化防止剤ヒドロキシアミン系酸化防止剤ビタミンE系酸化防止剤等が挙げられ、ヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましい。

0042

前記ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、具体的には、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート](商品名:Irganox(登録商標)1010)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−1−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’−へキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド]、ベンゼンプロパン酸,3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ,C7−C9側鎖アルキルエステル、3,3’,3”,5,5’,5”−ヘキサ−tert−ブチル−a,a’,a”−(メシチレン−2,4,6−トリルトリ−p−クレゾールカルシウムジエチルビス[[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ホスホネート]、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート]、ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス[(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−キシリル)メチル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、N−フェニルベンゼンアミンと2,4,4−トリメチルベンゼンとの反応生成物、ジエチル[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ホスホネート、2,4−ジメチル−6−(1−メチルペンタデシル)フェノール、オクタデシル−3−(3,5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2’,3−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルプロピオノヒドラジド等;が挙げられる。

0043

前記リン系酸化防止剤としては、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニルフォスファイト、トリス[2−[[2,4,8,10−テトラ−tert−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサフォスフェフィン−6−イルオキシ]エチル]アミン、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、ビス[2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)−6−メチルフェニルエチルエステル亜リン酸、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジイルビスホスフォイト等が挙げられる。
前記ラクトン系酸化防止剤としては、3−ヒドロキシ−5,7−ジ−tert−ブチル−フラン−2−オンo−キシレンの反応生成物(CAS No.181314−48−7)等が挙げられ、前記ヒドロキシアミン系酸化防止剤としては還元型牛脂原料としたアルキルアミン酸化生成物等が挙げられ、前記ビタミンE系酸化防止剤としては3,4−ジヒドロ−2,5,7,8−テトラメチル−2−(4,8,12−トリメチルトリデシル)−2H−ベンゾピラン−6−オール等が挙げられる。

0044

酸化防止剤は、モノマーの合計100質量部に対して、例えば、0.2質量部以上、好ましくは0.3質量部以上、より好ましくは0.4質量部以上であり、例えば、5質量部以下、好ましくは3質量部以下、より好ましくは2質量部以下である。

0045

前記モノマー、重合開始剤(A)(B)、酸化防止剤、分散安定剤、及び水系溶媒を懸濁又は乳化する際には、乳化分散装置を用いることができる。乳化分散装置としては、例えば、マイルダー(株式会社荏原製作所製)、T.K.ホモミクサープライミクス株式会社製)等の高速せん断タービン型分散機ピストン高圧均質化機(ゴーリン製)、マイクロフルイダイザーマイクロフルイディックス株式会社製)等の高圧ジェットホモジナイザー超音波ホモジナイザー(株式会社日本精機製作所製)等の超音波式乳化分散機アトライター(三井鉱山株式会社製)等の媒体撹拌分散機コロイドミル(株式会社日本精機製作所製)等の強制間隙通過型分散機等を用いることができる。なお、上記乳化分散装置で処理する前に、通常のパドル翼等で予備撹拌しておいてもよい。

0046

重合温度は、40〜100℃が好ましく、50〜90℃がより好ましい。また重合温度の上限TRmax(℃)は、重合開始剤(A)の10時間半減期温度をTA(℃)とした時、TRmax<TA+40℃であるのが好ましく、TRmax<TA+30℃であるのがより好ましく、TRmax<TA+25℃であるのが特に好ましい。さらに重合温度の下限(重合開始温度など)TRmin(℃)は、重合開始剤(B)の10時間半減期温度をTB(℃)とした時、TB−10℃<TRminであるのが好ましく、TB−5℃<TRminであるのがより好ましく、TB<TRminであるのが特に好ましい。

0047

重合時間は、5〜600分であることが好ましく、60〜400分であることがより好ましい。重合時間が前記範囲にあると、重合度を適度に高め、粒子の機械的特性を向上できる。重合雰囲気は、窒素雰囲気希ガス雰囲気等の不活性雰囲気であることが好ましい。

0048

なお本発明では、重合開始剤(A)、(B)の量を適切に制御しているため、上述した様に、重合反応液中の未反応の(すなわち残存する)(メタ)アクリル系モノマー量も低減されている。重合反応液中の残存(メタ)アクリル系モノマー量は、重合反応液中の固形分(すなわち有機微粒子)に対して、例えば、3500ppm(質量基準)以下、好ましくは1500ppm(質量基準)以下、より好ましくは1000ppm(質量基準)以下である。なお該残存(メタ)アクリル系モノマー量は、例えば、10ppm(質量基準)以上又は100ppm(質量基準)以上であってもよく、特に200ppm(質量基準)以上であってもよい。

0049

得られた重合反応液を50℃以下に冷却し、実質的に凝集剤を加えることなく固液分離することにより、有機微粒子を回収できる。また必要に応じて、凝集剤を加えて固液分離して、有機微粒子を回収してもよい。実質的に凝集剤を加えない場合、凝集剤は、用いたモノマー100質量部に対して、0.005質量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.001質量部以下であり、最も好ましくは0質量部である。また凝集剤を加える場合、凝集剤の添加量は、用いたモノマー100質量部に対して、0.005質量部超であることが好ましく、より好ましくは0.05質量部以上であり、また10質量部以下であることが好ましく、より好ましくは5質量部以下である。

0050

凝集剤としては、1種又は2種以上が使用でき、例えば、塩化ナトリウム塩化マグネシウム塩化カルシウム硫酸ナトリウム硫酸アルミニウム硫酸亜鉛硫酸マグネシウム炭酸水素ナトリウム炭酸ナトリウム塩化アンモニウムカリミョウバン等の金属塩類;硫酸、塩酸リン酸硝酸炭酸酢酸等の酸類;メタノール、エタノール等のアルコール類;等が挙げられる。

0051

固液分離の方法としては、濾過遠心分離、それらの組み合わせから最適な方法を選択出来る。
回収した有機微粒子は、必要に応じて適宜乾燥してもよい。乾燥温度は、例えば、60℃以上であり、好ましくは70℃以上であり、また例えば90℃以下である。乾燥は、有機微粒子の水分量が、例えば、5質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1質量%以下になるまで実施するのが好ましい。乾燥時間は、例えば、10時間以上、好ましくは12時間以上であり、例えば、20時間以下、好ましくは18時間以下である。

0052

なお、有機微粒子の粒径(Dw、Dn)、その比(Dn/Dw)、変動係数(CV)などを所定の範囲にするため、必要に応じて分級をしてもよい。分級としては、湿式分級乾式分級のどちらでも使用できる。湿式分級については例えば、重合後の重合液を金属製のメッシュを通すことなどにより可能であり、乾式分級は、重合後、さらに乾燥、粉砕した後の粒子を、適切な分級装置を使用して行うことができる。

0053

以上のようにして製造された本発明の有機微粒子は、残存モノマー(特に二官能架橋性モノマー)が少なく、臭気が抑えられているため、アンチブロッキング剤や光拡散剤などとして有用であり、特に食品用包装フィルムに配合するためのアンチブロッキング剤として重要である。有機微粒子をアンチブロッキング剤や光拡散剤などとして使用する場合、該有機微粒子を、例えば熱可塑性樹脂フィルムに含有させて使用する。該有機微粒子含有樹脂フィルムは、例えば、有機微粒子を含むマスターバッチを調製し、該マスターバッチを熱可塑性樹脂混練した後、フィルム化することによって製造できる。有機微粒子をマスターバッチに加工しておくことで、熱可塑性樹脂フィルム中における有機微粒子の配合量の調整が容易となり、有機微粒子の分散状態をより均一にして、有機微粒子の偏析を抑制できる。

0054

前記熱可塑性樹脂フィルムやマスターバッチに使用される熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂ポリオレフィン樹脂ポリアミド樹脂ポリウレタン樹脂;(メタ)アクリル樹脂ポリカーボネート樹脂ポリスチレン樹脂等が挙げられる。これらの中でも、ポリオレフィン樹脂が好ましい。前記ポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレンポリプロピレンポリ(4−メチルペンテン)等が挙げられ、ポリプロピレンが好ましい。ポリプロピレン樹脂には主に、ポリプロピレンのみからなるホモポリマー、ポリプロピレン(好ましくは95質量%以上)と少量(好ましくは5質量%以下)のエチレンを共重合させたランダムポリマーがある。本明細書のポリプロピレン樹脂は、前記ホモポリマー及びランダムポリマーの2種類を含み、さらにその他のモノマー共重合して物性を改良したポリプロピレン樹脂も含むものとする。中でも、プロピレンに由来する単位の割合が好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上であるポリプロピレン樹脂が好ましい。

0055

熱可塑性樹脂は、マスターバッチ中、50質量%以上であることが好ましく、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、特に好ましくは85質量%以上であり、99質量%以下であることが好ましく、より好ましくは95質量%以下である。

0056

マスターバッチにおける有機微粒子の含有量は、マスターバッチ中の樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上が好ましく、より好ましくは1質量部以上、さらに好ましくは5質量部以上であり、100質量部以下が好ましく、より好ましくは50質量部以下、さらに好ましくは20質量部以下、一層好ましくは15質量部以下である。

0057

前記マスターバッチは、さらに酸化防止剤を含んでいることが好ましい。酸化防止剤としては、上記例示した範囲から選択することができ、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤が好ましい。酸化防止剤は、マスターバッチ中の樹脂100質量部に対して0.1質量部以上であることが好ましく、より好ましくは0.5質量部以上、さらに好ましくは0.8質量部以上であり、7質量部以下であることが好ましく、より好ましくは4質量部以下、さらに好ましくは2質量部以下、特に好ましくは1.5質量部以下である。

0058

マスターバッチは、熱可塑性樹脂と混合し、例えば、押し出し機から押し出すことで有機微粒子含有樹脂フィルムにされる。有機微粒子含有樹脂フィルム中の有機微粒子は、例えば、0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上であり、例えば、10質量%以下、好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは2質量%以下、特に好ましくは1質量%以下である。

0059

有機微粒子含有樹脂フィルムの厚みは、0.1μm以上であることが好ましく、より好ましくは0.5μm以上、さらに好ましくは0.7μm以上、より一層好ましくは1μm以上であり、1mm以下であることが好ましく、より好ましくは500μm以下、さらに好ましくは400μm以下である。

0060

また有機微粒子の質量平均粒子径と、有機微粒子が含有する樹脂フィルム層の厚みとの比率(有機微粒子径/有機微粒子含有樹脂フィルム厚み)は、1.5以上であることが好ましく、より好ましくは2以上、さらに好ましくは2.5以上であり、10以下であることが好ましく、より好ましくは7以下、さらに好ましくは5.5以下である。

0061

前記有機微粒子含有樹脂フィルムをさらに基材フィルムと積層してもよい。例えば有機微粒子含有樹脂フィルムを基材フィルムの両面又は片面に積層されていてもよく、基材フィルムの両面に積層することが好ましい。

0062

以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。

0063

各実施例、比較例で得られた有機微粒子の特性は、以下の様にして評価した。
1.残存二官能架橋性モノマー(エチレングリコールジメタクリレート)量
有機微粒子重合液1.0g(有機微粒子0.2g相当)、ブチルベンゼン内部標準)0.015gをアセトン10gと混合し、2時間以上撹拌することで残存エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)を抽出する。その後、抽出液を0.45μm以下の孔径フィルターでろ過し、ろ液中のEGDMAの量をガスクロマトグラフィーを用いて検量線法によって決定し、そこから有機微粒子中のEGDMA量を決定する。なおEGDMAは水不溶性であって重合液には溶解していない。そのため、重合液から単離乾燥した有機微粒子が含有するEGDMA量も、本項で求めた値と同様の数値になる。
有機微粒子中の残存EGDMA量とは、下記式に従って算出される、重合液固形分に対する残存EGDMA量である。すなわち、この値が有機微粒子中の残存EGDMA濃度となる。
二官能架橋性モノマー残存量(ppm)=重合液中のEGDMA濃度/重合液固形分×1,000,000
またガスクロマトグラフィー条件は以下の通りとする。
装置:株式会社島津製作所製「GC−2014」
カラム:DB−5MS(J&W Scientific製) 長さ30m、カラム径0.53mm、液相の膜厚1.50μm
気化室温度:280℃
検出器温度:320℃
注入量:0.5μL
キャリアガスヘリウム):全流量10mL/min、パージ流量3.0mL/min
カラム温度プログラム:50℃保持(開始から5分間)
2℃/minで昇温(60℃まで)
10℃/minで昇温(150℃まで)
150℃保持(3分間)
2℃/minで昇温(164℃まで)
20℃/minで昇温(300℃まで)
300℃保持(25分間)
EGDMA保持時間:約20分

0064

2.水分量
乾燥有機微粒子約0.5gをメタノール液中で分散し、該有機微粒子によって持ち込まれたメタノール液中の水分量をカールフィッシャー容量滴定装置(平産業株式会社製の自動水分測定装置「AQV−300」)を用いて測定する。滴定剤にはアクアミクロンSS−Z 3mg(三菱化学株式会社製)を使用し、滴定剤の力価検定脱イオン水を用いて行う。

0065

3.粒子径、変動係数
有機微粒子約0.1gを、界面活性剤(「ネオレックス(登録商標)G15」、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、花王株式会社製)0.5gによくなじませた後、5分間、超音波照射する。得られる分散粘性液に脱イオン水15gを加え、さらに超音波を照射して、粒子が分散している状態の有機微粒子分散液を調製する。精密粒度分布測定装置(ベックマン・コールター株式会社製の「コールターマルチサイザーIII型」、アパーチャ50μm)を使用して、30,000個、100,000個の粒子の粒子径を測定し、質量基準の平均粒径および粒子径の変動係数を求める。
粒子径の変動係数(%)=(σ/d50)×100
ここで、σは質量基準の粒子径の標準偏差、d50は質量基準の平均粒子径を示す。

0066

4.重合時残存メタクリル酸メチル(MMA)
重合によって有機微粒子を調製した反応液中に残存するメタクリル酸メチル(MMA)の量を、前記1.残存二官能架橋性モノマー量の測定系を利用して評価する。また試料調製も、前記1.残存二官能架橋性モノマー量と同様に実施した。MMAの保持時間は約3.5分であり、その残存量は下記式に従って算出した。
MMA残存量(ppm)=重合液中のMMA濃度/重合液固形分×1,000,000

0067

5.残存界面活性剤(商品名「ハイテノール(登録商標)NF−08」)量
有機微粒子0.5gをメタノール25gに分散させ、室温にて3時間撹拌する。3時間後、超純水を75g加え、1時間撹拌を行う。撹拌終了後、分散液を0.45μm以下の孔径のフィルターでろ過する。ろ液がサンプル液となる。サンプル液中の界面活性剤(ハイテノール(登録商標)NF−08)量を高速液体クロマトグラフィー(High performance liquid chromatograpphy、HPLC)を用い、検量線法にて決定する。HPLC条件は以下の通りである。
カラム:CAPCLLPAK C18(株式会社資生堂製)
TYPE MG
粒子径5μm
Size 4.6mmI.D.×250mm
カラム温度:40℃
溶離液アセトニトリル/50mMりん酸(ナトリウム)緩衝溶液(pH=2.8)
Gradient条件
0分:アセトニトリル濃度30体積
0〜30分:アセトニトリル濃度が直線的に増加(90体積%まで)
30〜45分:アセトニトリル濃度 90体積%(一定)
流量:1mL/min
検出器:UV 230nm
ピーク位置:約16.7、23.4、27.8min(3つのピークの合計面積に基づいて検量線を作成し、濃度を決定する)
検量線用サンプル:「ハイテノール(登録商標)NF−08」(第一工業製薬株式会社製)のメタノール/超純水(体積比:25/75)溶液を、濃度を変えて数点作成する。

0068

6.重合開始剤の10時間半減期温度
また実施例、比較例で用いた重合開始剤の10時間半減期温度は、以下のようにして決定した。
(6.1)ラウリルパーオキシドLPO)
所定のガラス製容器に重合開始剤(LPO)を計量し、容器内を窒素置換し0.1mol/Lになるようにベンゼンを加え溶解させ封入することで重合開始剤溶液を調製した。その溶液を所定の温度(55℃、60℃、65℃、70℃)にした恒温槽に浸し、重合開始剤を熱分解させた。時間の経過とともに減少する重合開始剤の濃度を測定した。
55℃、60℃、65℃、70℃における時間と重合開始剤(LPO)の濃度をプロットすることで各々の温度での半減期(t1/2)(単位:時間)を求めた。横軸絶対温度逆数(1/T)をとり、縦軸にlnt1/2の関係をプロットし、このプロットより求められた直線から半減期が10時間となる温度を算出し、これを10時間半減期温度とした。
上述した所定の温度における重合開始剤(LPO)の濃度測定は以下に示す条件で高速液体クロマトグラフィー(High performance liquid chromatograpphy、HPLC)を用いて行った。
カラム:CAPCELLPAK C18(株式会社資生堂製)
TYPE MG
粒子径5μm
Size 4.6mmI.D.×250mm
カラム温度:45℃
溶離液:アセトニトリル
流量:0.5mL/min
検出器:UV 230nm
この測定法によって求まるLPOの10時間半減期温度は62℃であった。
(6.2)t−ヘキシルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート(PHO)、1,1,3,3−テトラメチルブトキシパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(POO)
重合開始剤(PHO又はPOO)の濃度決定を以下に示す条件でガスクロマトグラフィーを用いて行う以外は、(6.1)と同様にした。
装置:株式会社島津製作所製「GC−2014」
カラム:TC−WAX(GL Science製) 長さ30m、
カラム径0.53mm、液相の膜厚1.00μm
気化室温度:120℃
検出器温度:200℃
カラム温度:70℃
注入量:0.5μL
キャリアガス(ヘリウム):全流量10mL/min、パージ流量3.0mL/min
この測定法によって求まるPHOの10時間半減期温度は70℃であり、POOの10時間半減期温度は65℃であった。

0069

実験例1(比較例)
攪拌機不活性ガス導入管還流冷却器および温度計を備えたフラスコに、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩(商品名「ハイテノール(登録商標)NF−08」、第一工業製薬株式会社製)6質量部を溶解した脱イオン水519.1質量部を仕込んだ。そこへ予め調製しておいた、モノマーとしてのメタクリル酸メチル(MMA)288質量部、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)72質量部、重合開始剤(B)としてのラウリルパーオキシド(日油株式会社製、商品名「パーロイルL」)(別名ジラウロイルパーオキサイド)(略記号LPO)4.32質量部(モノマー質量に対し1.2質量%)と重合開始剤(A)としてのt−ヘキシルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート(日油株式会社製、商品名「パーヘキシルO」)(略記号PHO)2.16質量部(モノマー質量に対し0.6質量%)及び酸化防止剤としてのヒンダードフェノール系酸化防止剤(BASFジャパン製、商品名「Irganox(登録商標)1010」、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート])1.8質量部(モノマーに対して0.5質量%)を仕込み、T.K.ホモミクサーMARK II model 2.5(プライミクス株式会社製)を用い、5500rpmで8分間攪拌して均一な懸濁液とした。
懸濁液に脱イオン水を900質量部追加し、窒素ガス充満した重合釜に移液し、窒素ガスを吹き込みながら反応溶液が65℃になるまで加熱した。65℃で反応容器保温し、自己発熱により液温ピーク温度(約80℃)に到達した時点を反応開始とし、反応溶液を75℃に保ちながら1.5時間攪拌を続けた(重合開始剤量が多い場合はピーク温度が85℃を越えないようにジャケット温度を適宜調節した)。その後、重合液をさらに85℃まで昇温させて4時間撹拌して重合反応を完了させた。その後、反応液(懸濁液)を50℃以下に冷却し、瀘過して、重合生成物を濾取した。これを熱風乾燥機(ヤマト科学株式会社製)を用いて85℃で14時間乾燥して有機微粒子を得た。有機微粒子の含水率は1%以下であった。該有機微粒子の二官能架橋性モノマー残存量、質量平均粒子径、及び変動係数を表1に示す。

0070

実験例2〜23
PHO及びLPOの量を適宜変更する以外は、実施例1と同様にした。変更したPHO及びLPOの量と共に、結果を表1に示す。またPHO(重合開始剤(A))とLPO(重合開始剤(B))の比(A/B)及び合計量(A+B)と残存二官能架橋性モノマーとの関係を表2と図1に示す。

0071

0072

0073

表2及び図1より明らかなように、重合開始剤の比(A/B)が0.80以上の場合には開始剤の合計量を増やしても残存モノマー量は低減せずにその効果は飽和しているが、重合開始剤の比(A/B)が0.75以下になると、開始剤の合計量が2.4〜3.75質量%(モノマー質量の合計を100質量%とした時)の範囲で、残存モノマー量が低下する部分が生じ、この効果は重合開始剤の比(A/B)が約0.45〜0.55(特に0.53)の時に最も顕著に表れた。

0074

実験例24〜28
重合開始剤(A)及び重合開始剤(B)の組み合わせを、重合開始剤(A)としての1,1,3,3−テトラメチルブトキシパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日油株式会社製、商品名「パーオクタO」)(略称POO)と重合開始剤(B)としてのLPOにし、これらの量を適宜変更する以外は、実験例1と同様にした。使用したPOO及びLPOの量と共に、結果を表3に示す。

0075

実施例

0076

表3より明らかなように、重合開始剤の比(A/B)と重合開始剤の合計量が適切であると、残存モノマー量が低下する。

0077

本発明で製造される有機微粒子は、アンチブロッキング剤、光拡散剤などとして有用である。

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