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技術 凍結融解安定性向上剤および密着性向上剤

出願人 日本乳化剤株式会社
発明者 斉藤雄太
出願日 2017年10月12日 (3年2ヶ月経過) 出願番号 2017-198573
公開日 2019年5月16日 (1年7ヶ月経過) 公開番号 2019-073575
状態 未査定
技術分野 高分子組成物 重合方法(一般) 乳化剤、分散剤、気泡剤、湿潤剤
主要キーワード 合着状態 長鎖アルキル硫酸塩 分離間隔 脱アンモニア ピロリジニウムイオン ml容器 中和法 イオン結合性
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2019年5月16日)のものです。
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課題

重合体エマルジョン凍結融解定性を向上できる凍結融解安定性向上剤、及び、重合体基材との密着性を向上できる密着性向上剤の提供。

解決手段

式(1)で表される凍結融解安定性向上剤又は密着性向上剤で、好ましくは前記式(1)のQ+が式(3)で表されるカチオンである、凍結融解安定性向上剤又は密着性向上剤。前記化合物使用方法は、特に制限されないが、例えば、乳化重合の際に反応系に添加しておくができる凍結融解安定性向上剤又は密着性向上剤。

概要

背景

従来より、各種界面活性剤を用いる乳化重合法によって、アクリル酸エステル系重合体エチレン酢酸ビニル共重合体スチレンブタジエン共重合体あるいはスチレン−アクリロニトリル共重合体等の重合体を製造する方法が提案されている。例えば、長鎖アルキル硫酸塩長鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩等のアニオン性界面活性剤、あるいはポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルプルロニック登録商標)型界面活性剤等の非イオン性界面活性剤を用いて乳化重合する方法が知られている。

本来、重合体エマルジョンの製造において使用される界面活性剤は、重合開始反応、重合体の生成反応関与するのみではなく、重合中の重合体エマルジョンの安定化及びモノマー転化率、生成した重合体エマルジョンの機械的安定性化学的安定性、凍結融解安定性、顔料混和性及び貯蔵安定性などに深く関与している。また、エマルジョン重合体粒子粒子径粘性起泡性等の物性にも大きく影響するものであり、界面活性剤の選択においてはその用途に適した界面活性剤を選定することが肝要である。

例えば、特許文献1では、反応性基を有するイオン結合性塩を有する乳化重合用乳化剤が開示されており、この界面活性剤を用いることで乳化重合時に十分な重合安定性が得られ、熱可塑性樹脂耐水性耐候性を向上できたことが開示されている。

概要

重合体エマルジョンの凍結融解安定性を向上できる凍結融解安定性向上剤、及び、重合体と基材との密着性を向上できる密着性向上剤の提供。式(1)で表される凍結融解安定性向上剤又は密着性向上剤で、好ましくは前記式(1)のQ+が式(3)で表されるカチオンである、凍結融解安定性向上剤又は密着性向上剤。前記化合物使用方法は、特に制限されないが、例えば、乳化重合の際に反応系に添加しておくができる凍結融解安定性向上剤又は密着性向上剤。なし

目的

本発明は、かかる問題を解決しようとするものであって、重合体エマルジョンの凍結融解安定性を向上できる凍結融解安定性向上剤を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

下記一般式(1)で表される化合物を含有する、重合体エマルジョン凍結融解定性向上剤:一般式(1)の中、Q+は含窒素化合物カチオンであり、Aは炭素数2〜4の直鎖状または分枝状のアルキレン基であり、mはAOの平均付加モル数を表し1〜150の数であり、Yは単結合、または炭素数1〜5の直鎖状もしくは分枝状のアルキレン基であり、R1は水素原子またはメチル基であり、R2は水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1〜25の直鎖状、分枝状もしくは環状のアルキル基、または下記一般式(2)で表される基であり、lは1〜3の整数であり、一般式(2)の中、R3およびR4はそれぞれ独立して水素原子またはメチル基であり、*は連結点を表す。

請求項2

Q+が下記一般式(3)で表される含窒素化合物カチオンである、請求項1に記載の凍結融解安定性向上剤。一般式(3)の中、R5およびR6はそれぞれ独立して炭素数1〜4の直鎖状または分枝状のアルキル基であり、R7は炭素数2〜4の直鎖状または分枝状のアルキレン基であり、Xは酸素原子またはNHであり、R8は水素原子またはメチル基である。

請求項3

下記一般式(1)で表される化合物を含有する、重合体基材との密着性向上剤:一般式(1)の中、Q+は含窒素化合物カチオンであり、Aは炭素数2〜4の直鎖状または分枝状のアルキレン基であり、mはAOの平均付加モル数を表し1〜150の数であり、Yは単結合、または炭素数1〜5の直鎖状もしくは分枝状のアルキレン基であり、R1は水素原子またはメチル基であり、R2は水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1〜25の直鎖状、分枝状もしくは環状のアルキル基、または下記一般式(2)で表される基であり、lは1〜3の整数であり、一般式(2)の中、R3およびR4はそれぞれ独立して水素原子またはメチル基であり、*は連結点を表す。

請求項4

Q+が下記一般式(3)で表される含窒素化合物カチオンである、請求項3に記載の密着性向上剤。一般式(3)の中、R5およびR6はそれぞれ独立して炭素数1〜4の直鎖状または分枝状のアルキル基であり、R7は炭素数2〜4の直鎖状または分枝状のアルキレン基であり、Xは酸素原子またはNHであり、R8は水素原子またはメチル基である。

技術分野

0001

本発明は、凍結融解定性向上剤に関し、さらに具体的には、単量体乳化重合して得られる重合体エマルジョンの凍結融解安定性を向上する剤に関する。

背景技術

0003

本来、重合体エマルジョンの製造において使用される界面活性剤は、重合開始反応、重合体の生成反応関与するのみではなく、重合中の重合体エマルジョンの安定化及びモノマー転化率、生成した重合体エマルジョンの機械的安定性、化学的安定性、凍結融解安定性、顔料混和性及び貯蔵安定性などに深く関与している。また、エマルジョン重合体粒子粒子径粘性起泡性等の物性にも大きく影響するものであり、界面活性剤の選択においてはその用途に適した界面活性剤を選定することが肝要である。

0004

例えば、特許文献1では、反応性基を有するイオン結合性塩を有する乳化重合用乳化剤が開示されており、この界面活性剤を用いることで乳化重合時に十分な重合安定性が得られ、熱可塑性樹脂耐水性耐候性を向上できたことが開示されている。

先行技術

0005

国際公開第2013/129492号

発明が解決しようとする課題

0006

しかしながら、本発明者らの検討によれば、特許文献1に開示された界面活性剤を用いたとき、重合体はエマルジョンの状態で十分な凍結融解安定性が達成できず、また、重合体と基材との十分な密着性が達成できない場合があることが判明した。

0007

したがって、本発明は、かかる問題を解決しようとするものであって、重合体エマルジョンの凍結融解安定性を向上できる凍結融解安定性向上剤を提供することを目的とする。さらに、本発明は、上記重合体エマルジョン由来の重合体と基材との密着性を向上できる密着性向上剤を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0008

本発明者らは鋭意研究を行った結果、下記の手段により、上記課題が解決されうることを見出し、本発明を完成させるに至った。

0009

すなわち、本発明の一形態は、下記一般式(1)で表される化合物を含有する、重合体エマルジョンの凍結融解安定性向上剤(以下、単に「凍結融解安定性向上剤」とも称する)に関する:

0010

0011

一般式(1)の中、Q+は含窒素化合物カチオンであり、
Aは炭素数2〜4の直鎖状または分枝状のアルキレン基であり、
mはAOの平均付加モル数を表し1〜150の数であり、
Yは単結合、または炭素数1〜5の直鎖状もしくは分枝状のアルキレン基であり、
R1は水素原子またはメチル基であり、
R2は水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1〜25の直鎖状、分枝状もしくは環状のアルキル基、または下記一般式(2)で表される基であり、
lは1〜3の整数であり、

0012

0013

一般式(2)の中、R3およびR4はそれぞれ独立して水素原子またはメチル基であり、*は連結点を表す。

0014

さらに、本発明の他の形態は、上記一般式(1)で表される化合物を含有する、重合体と基材との密着性向上剤(以下、単に「密着性向上剤」とも称する)に関する。

発明の効果

0015

本発明によれば、乳化重合により得られた重合体エマルジョンの凍結融解安定性および上記重合体エマルジョン由来の重合体と基材との密着性をより向上させることが可能となる。

0016

以下、本発明の実施形態を説明する。

0017

本発明に係る凍結融解安定性向上剤および密着性向上剤は、下記一般式(1)で表される化合物を有効成分として含有するものである。

0018

0019

一般式(1)の中、Q+は含窒素化合物カチオンであり、
Aは炭素数2〜4の直鎖状または分枝状のアルキレン基であり、
mはAOの平均付加モル数を表し1〜150の数であり、
Yは単結合、または炭素数1〜5の直鎖状もしくは分枝状のアルキレン基であり、
R1は水素原子またはメチル基であり、
R2は水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1〜25の直鎖状、分枝状もしくは環状のアルキル基、または下記一般式(2)で表される基であり、
lは1〜3の整数であり、

0020

0021

一般式(2)の中、R3およびR4はそれぞれ独立して水素原子またはメチル基であり、好ましくはR3およびR4の内、少なくとも一つがメチル基であり、*は連結点を表す。

0022

前記一般式(1)中のAとして用いられる、炭素数2〜4の直鎖状または分枝状のアルキレン基の例としては、例えば、エチレン基プロピレン基ブチレン基などが挙げられる。入手容易性の観点から、エチレン基、プロピレン基が特に好ましい。

0023

前記一般式(1)中のmは1〜150の数である。粘度の低下などによる取扱い易さ、あるいは界面特性の観点から、mは1〜50が好ましく、5〜50がより好ましい。

0024

前記一般式(1)中のYとして用いられる、炭素数1〜5の直鎖状または分枝状のアルキレン基の例としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基などが挙げられる。入手容易性の観点から、メチレン基、エチレン基、プロピレン基が特に好ましい。

0025

前記一般式(1)中のR2として用いられる、置換もしくは非置換の炭素数1〜25の直鎖状、分枝状もしくは環状のアルキル基の例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基イソプロピル基n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基イソアミル基、tert−ペンチル基、ネオペンチル基、n−へキシル基3−メチルペンタン−2−イル基、3−メチルペンタン−3−イル基、4−メチルペンチル基、4−メチルペンタン−2−イル基、1,3−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブタン−2−イル基、n−ヘプチル基、1−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、4−メチルヘキシル基、5−メチルヘキシル基、1−エチルペンチル基、1−(n−プロピル)ブチル基、1,1−ジメチルペンチル基、1,4−ジメチルペンチル基、1,1−ジエチルプロピル基、1,3,3−トリメチルブチル基、1−エチル−2,2−ジメチルプロピル基n−オクチル基、2−メチルヘキサン−2−イル基、2,4−ジメチルペンタン−3−イル基、1,1−ジメチルペンタン−1−イル基、2,2−ジメチルヘキサン−3−イル基、2,3−ジメチルヘキサン−2−イル基、2,5−ジメチルヘキサン−2−イル基、2,5−ジメチルヘキサン−3−イル基、3,4−ジメチルヘキサン−3−イル基、3,5−ジメチルヘキサン−3−イル基、1−メチルヘプチル基、2−メチルヘプチル基、5−メチルヘプチル基、2−メチルヘプタン−2−イル基、3−メチルヘプタン−3−イル基、4−メチルヘプタン−3−イル基、4−メチルヘプタン−4−イル基、1−エチルヘキシル基、2−エチルヘキシル基、1−プロピルペンチル基、2−プロピルペンチル基、1,1−ジメチルヘキシル基、1,4−ジメチルヘキシル基、1,5−ジメチルヘキシル基、1−エチル−1−メチルペンチル基、1−エチル−4−メチルペンチル基、1,1,4−トリメチルペンチル基、2,4,4−トリメチルペンチル基、1−イソプロピル−1,2−ジメチルプロピル基、1,1,3,3−テトラメチルブチル基、n−ノニル基、1−メチルオクチル基、6−メチルオクチル基、1−エチルヘプチル基、1−(n−ブチル)ペンチル基、4−メチル−1−(n−プロピル)ペンチル基、1,5,5−トリメチルヘキシル基、1,1,5−トリメチルヘキシル基、2−メチルオクタン−3−イル基、n−デシル基、1−メチルノニル基、1−エチルオクチル基、1−(n−ブチル)ヘキシル基、1,1−ジメチルオクチル基、3,7−ジメチルオクチル基、n−ウンデシル基、1−メチルデシル基、1−エチルノニル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、1−メチルトリデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−エイコシル基シクロプロピル基シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基シクロオクチル基などが挙げられる。なお、ここで、置換の炭素数1〜25の直鎖状、分枝状もしくは環状のアルキル基における置換基としては、フッ素塩素臭素、よう素等が挙げられる。中でも、入手容易性の観点から、置換もしくは非置換のメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ヘキシル基、分枝状オクチル基(2−エチルヘキシル基、1,1,3,3−テトラメチルブチル基など)、分枝状ノニル基(1−メチルオクチル基、6−メチルオクチル基、1−エチルヘプチル基など)、分枝状ドデシル基、分枝状トリデシル基が好ましく、tert−ブチル基、分枝状オクチル基、分枝状ノニル基、分枝状ドデシル基がより好ましい。また、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基等の長鎖アルキル基については、分枝状、または直鎖状と分枝状との混合物構造異性体の混合物)で存在するのが一般的であるが、これらの形態も本発明の範囲内のものである。

0026

前記一般式(1)中のQ+として用いられる、含窒素化合物カチオンの例としては、アンモニウムイオン第一級アンモニウムイオン、第二級アンモニウムイオン、第三級アンモニウムイオン、第四級アンモニウムイオン、イミダゾリウムイオンピリジニウムイオンピロリジニウムイオン、ピペリジニウムイオンキノリニウムイオン、モルホリニウムイオン、およびイミダゾリジノニウムイオン(エチレン尿素)等が挙げられる。

0027

その中でも、第三級アンモニウムイオンの例として、下記一般式(3)で表される含窒素化合物カチオンなどが挙げられる:

0028

0029

一般式(3)の中、R5およびR6はそれぞれ独立して炭素数1〜4の直鎖状または分枝状のアルキル基であり、R7は炭素数2〜4の直鎖状または分枝状のアルキレン基であり、Xは酸素原子またはNHであり、R8は水素原子またはメチル基である。

0030

前記一般式(3)中のR5およびR6として用いられる、炭素数1〜4の直鎖状または分枝状のアルキル基の例としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などが挙げられる。入手容易性の観点から、メチル基、エチル基、ブチル基が特に好ましい。

0031

前記一般式(3)中のR7として用いられる、炭素数2〜4の直鎖状または分枝状のアルキレン基の例としては、例えば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基などが挙げられる。入手容易性の観点から、エチレン基、プロピレン基が特に好ましい。

0032

前記一般式(1)で表される凍結融解安定性向上剤または密着性向上剤のより好ましい化合物としては、下記化学式(4)〜(7)で表される化合物が挙げられる。

0033

0034

0035

0036

0037

なお、化学式(4)〜(7)の中、R1、R2、R5〜R8、X、Y、A、m、lの定義は、上述した通りである。

0038

前記凍結融解安定性向上剤または密着性向上剤の有効成分である化合物の製造方法は、特に制限されず、例えば、アニオン交換法、中和法、酸エステル法などが挙げられる。また、硫酸エステルアンモニウム塩またはスルホン酸アンモニウム塩と、窒素含有化合物とを反応させアンモニアを留去して反応性基を有するイオン結合性塩を得る脱アンモニア法なども好適に用いられる。

0039

以下、上記化合物の用途である凍結融解安定性向上剤および密着性向上剤について詳述する。

0040

(乳化重合)
前記凍結融解安定性向上剤または密着性向上剤の使用方法は、特に制限されないが、例えば、乳化重合の際に反応系に添加しておくことで、得られる重合体エマルジョンの凍結融解安定性の向上や、当該重合体エマルジョンの乾燥物である重合体と基材との密着性の向上の目的に寄与することができる。これらの剤(化合物)を乳化重合の際に反応系に添加する具体的な形態についても特に制限はなく、乳化重合用の単量体混合物滴下する形態や、分割もしくは一括で単量体混合物に混合するなどの方法が挙げられる。

0041

本発明に係る凍結融解安定性向上剤または密着性向上剤を使用し、乳化重合等により得られる重合体を用いて成形品を製造する場合、乳化重合により得られた重合体エマルジョンは優れた凍結融解安定性を有しうる。また、当該重合体エマルジョンを用いて製造された成形品は基材との優れた密着性を有しうる。当該重合体エマルジョンの凍結融解安定性の向上効果は、推測に過ぎないが、かさ高い疎水性基(例えば、多環構造)を有する特定の種類の化合物を有効成分として含有していることによるものと考えられる。具体的には、重合体エマルジョンにおける凍結融解プロセスの融解段階において、高Tgを有する重合体粒子は正常な状態に戻り易いものの、比較的低いTgを有する粒子ゲル化している凝集状態または合着状態から戻ることが困難である。本発明に係る凍結融解安定性向上剤は、比較的大きな疎水性基の立体効果に基づき、柔軟な重合体粒子の表面上に保護層を形成し、重合体粒子をある程度安定化することができる。重合体粒子上へ吸着もしくはグラフトされるか、または共重合されて重合体粒子になる大きな疎水性基は、これらの重合体粒子が他の柔軟な重合体粒子の表面に接近することを防ぎ、柔軟な重合体粒子間の分離間隔を増加させうると考えられる。

0042

本発明に係る凍結融解安定性向上剤または密着性向上剤を用いて乳化重合されうる単量体(重合性モノマー)について特に制限はなく、従来公知の重合性モノマーが用いられうるが、例えば、(メタアクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピルなどのアクリル酸またはメタクリル酸エステル類;臭化ビニル塩化ビニル塩化ビニリデンなどのハロゲン化ビニル類;酢酸プロピオン酸、第三級合成飽和カルボン酸等の脂肪酸類ビニルエステル類:スチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル類:エチレン、ブタジエンなどのモノオレフィンまたは共役ジオレフィン類:アクリロニトリルなどのシアン化ビニル類:アクリルアミドなどのα,β−不飽和アミド類:アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸マレイン酸フマル酸などのα,β−不飽和カルボン酸類が挙げられる。

0043

重合開始剤としては、通常乳化重合用に使用される開始剤を特に限定することなく使用でき、例えばカリウムナトリウムアンモニウム過硫酸塩または過ホウ酸塩過酸化水素などの無機過酸化物過酸化ベンゾイルジ−t−ブチルパーオキシド過酢酸などの有機過酸化物;2,2−アゾビスイソブチロニトリル、4−アゾビス−(4−シアノペンタノイック)酸またはそのアルカリ金属塩などのラジカル生成重合開始剤を使用することができ、その使用量は好ましくは重合性モノマーに対し、0.01〜3.0質量%、より好ましくは0.1〜2.0%、さらに好ましくは0.1〜1.0重量%である。

0044

また、重合開始剤として過酸化物を使用する場合に必要があれば、当該過酸化物とアスコルビン酸可溶性亜硫酸塩ハイドロサルファイトチオ硫酸塩などの還元剤とを併用することができ、また水中で重金属イオンを発生する金属単量体または硫酸第一鉄などの水中で金属イオンを発生する金属化合物とを組み合わせてレドックス系重合開始剤として使用することもできる。

0045

また、連鎖移動剤も併用することができ、そのようなものとして例えばt−ドデシルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、四塩化炭素クロロホルムトリフェニルメタンなどを使用することができる。

0046

さらにまた、乳化重合技術において慣用添加剤、例えばキレート化剤緩衝剤有機酸の塩、溶媒などを使用することができる。溶媒としては、水のほか、アルコールグリコールグリコールエーテルなどの有機溶媒が用いられうるが、好ましくは水が溶媒として用いられる。

0047

また、一般式(1)で表される化合物は、凍結融解安定性向上または密着性向上の効果のみならず、さらに、乳化重合用乳化剤、または消泡剤などの用途にも用いられる。したがって、本発明に係る凍結融解安定性向上剤または密着性向上剤を用いて、乳化重合を行うことができる。その際、本発明に係る凍結融解安定性向上剤または密着性向上剤のみを用いてもよく、他の乳化重合用乳化剤もしくは添加剤を併用してもよい。

0048

本発明に係る凍結融解安定性向上剤または密着性向上剤を用いた乳化重合において、一般式(1)で表される凍結融解安定性向上剤または密着性向上剤は単独でも充分にその機能を発揮するが、必要に応じて従来公知の界面活性剤、反応性乳化剤高分子乳化剤保護コロイドなどを併用することもできる。併用できる界面活性剤としては、例えばアニオン性界面活性剤としては長鎖アルキル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、長鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩などであり、また非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、プルロニック(登録商標)型界面活性剤などを挙げることができる。

0049

併用できる高分子乳化剤の例としては、ポリビニルアルコールポリ(メタ)アクリル酸塩ポリヒドロキシアルキレン(メタ)アクリレートなどが挙げられ、また併用できる保護コロイドとしてはアルギン酸ナトリウムなどのようなアニオン性保護コロイド、ヒドロキシエチルセルロースのような非イオン性保護コロイドなどが例として挙げられる。

0050

本発明に係る一般式(1)で表される化合物を含有する凍結融解安定性向上剤または密着性向上剤の使用量は、重合性モノマー100質量部に対して、好ましくは0.1〜10質量部であり、より好ましくは0.3〜5.0質量部であり、さらに好ましくは0.5〜3.0質量部である。なお、本発明に係る凍結融解安定性向上剤や密着性向上剤は、一般式(1)で表される化合物を1種のみ単独で含有してもよいし、2種以上を含有していてもよい。2種以上の化合物が併用される場合において、上述した好ましい使用量は、上記化合物の合計使用量である。本発明に係る一般式(1)で表される凍結融解安定性向上剤または密着性向上剤のもう一つの効果としては、少量の添加量でも十分に乳化重合ができ、さらに、重合体エマルジョンの凍結融解安定性、または低起泡性などが優れており、重合体と基材との密着性が向上できることである。

0051

以上のような乳化重合によって得られる重合体組成物も本発明では提供される。すなわち、本発明の他の形態によれば、本発明に係る凍結融解安定性向上剤または密着性向上剤と、重合性モノマーと、溶媒(特に好ましくは、水)と、を含む重合体組成物もまた、提供される。当該重合体組成物は、エマルジョンの形態であることが好ましい。

0052

本発明を、以下の実施例および比較例を用いてさらに詳細に説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。なお、特記しない限り、「%」および「部」は、それぞれ、「質量%」および「質量部」を意味する。また、下記実施例において、特記しない限り、操作は室温(25℃)/相対湿度40〜50%RHの条件下で行われた。

0053

(合成例:乳化重合用乳化剤S1の合成)
N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート略称:2Mabs−MA)157.2質量部に、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩の30%水溶液(日本乳化剤株式会社製、商品名:ニューコール(登録商標)707−SF、略称:N−707−SF)から水を減圧留去して得られたポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩(略称:707−SF)を920.1質量部添加した後、1時間反応させた。反応後、目的とする乳化重合用乳化剤S1(略称:乳化剤S1、前記化学式(6)で表される化合物)を1088.4質量部得た。

0054

(比較合成例1:乳化重合用乳化剤S2の合成)
707−SFの代わりに、従来公知の方法により合成したポリオキシエチレントリデシルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩(略称:1305−SF)を517.4質量部用いたこと以外は、合成例1と同様にして、目的とする乳化重合用乳化剤S2(略称:乳化剤S2)を657.6質量部得た。

0055

(比較合成例2:乳化重合用乳化剤S3の合成)
707−SFの代わりに、従来公知の方法により合成したポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩(略称:2320−SF)を1170.0質量部用いたこと以外は、合成例と同様にして、目的とする乳化重合用乳化剤S3(略称:乳化剤S3)を1310.2質量部得た。

0056

(実施例1)
組成A(メタクリル酸メチル(48)/メタクリル酸−n−ブチル(20)/アクリル酸−2−エチルヘキシル(30)/アクリル酸(2)/α−メチルスチレンダイマー(0.2))+乳化剤S1
攪拌機還流冷却器温度制御装置、滴下ポンプおよび窒素導入管を備えたフラスコに、イオン交換水130質量部、乳化剤S1を0.2質量部投入し、窒素気流下で反応容器を加熱した。

0057

反応容器内の温度が85℃に達したところで2質量%過硫酸アンモニウム水溶液を3質量部投入、5分混合後、表1に示すように配合された単量体混合物1を90分かけて滴下した。滴下中は反応容器内の温度を85℃に保った。滴下終了後、85℃、90分熟成した。

0058

次に表1に示すように配合された単量体混合物2を90分かけて滴下した。滴下中は反応容器内の温度を85℃に保った。滴下終了後、85℃、90分熟成した。その後室温まで冷却し、25%アンモニア水を添加してpHを8.5に調整して重合体エマルジョンE1を得た。

0059

0060

(実施例2)
組成B(メタクリル酸メチル(35)/メタクリル酸シクロヘキシル(31)/メタクリル酸−n−ブチル(12)/アクリル酸−2−エチルヘキシル(20)/アクリル酸(1)/アクリル酸メチル(1)/α−メチルスチレンダイマー(0.2))+乳化剤S1
攪拌機、還流冷却器、温度制御装置、滴下ポンプおよび窒素導入管を備えたフラスコに、イオン交換水130質量部、乳化剤S1を0.2質量部投入し、窒素気流下で反応容器を加熱した。

0061

反応容器内の温度が85℃に達したところで2質量%過硫酸アンモニウム水溶液を3質量部投入、5分混合後、表2に示すように配合された単量体混合物3を90分かけて滴下した。滴下中は反応容器内の温度を85℃に保った。滴下終了後、85℃、90分熟成した。

0062

次に表2に示すように配合された単量体混合物4を90分かけて滴下した。滴下中は反応容器内の温度を85℃に保った。滴下終了後、85℃、90分熟成した。その後室温まで冷却し、25%アンモニア水を添加してpHを8.5に調整して重合体エマルジョンE2を得た。

0063

0064

(比較例1)
組成A+乳化重合用乳化剤S4
乳化剤S1の代わりに、乳化重合用乳化剤S4(株式会社ADEKA製、商品名:アデカリアソープ(登録商標) SR−10、略称:乳化剤S4)を使用したこと以外、実施例1と同じ方法で重合体エマルジョンE3を得た。

0065

(比較例2)
組成B+乳化重合用乳化剤S4
乳化剤S1の代わりに、乳化剤S4(株式会社ADEKA製、商品名:アデカリアソープ(登録商標) SR−10)を使用したこと以外、実施例2と同じ方法で重合体エマルジョンE4を得た。

0066

(比較例3)
組成A+乳化重合用乳化剤S5
乳化剤S1の代わりに、乳化重合用乳化剤S5(第一工業製薬株式会社製、商品名:アクアロン(登録商標) KH−10、略称:乳化剤S5)を使用したこと以外、実施例1と同じ方法で重合体エマルジョンE5を得た。

0067

(比較例4)
組成B+乳化重合用乳化剤S5
乳化剤S1の代わりに、乳化剤S5(第一工業製薬株式会社製、商品名:アクアロン(登録商標) KH−10)を使用したこと以外、実施例2と同じ方法で重合体エマルジョンE6を得た。

0068

(比較例5)
組成A+乳化重合用乳化剤S2
乳化剤S1の代わりに、乳化剤S2(比較合成例1で得られた化合物)を使用したこと以外、実施例1と同じ方法で重合体エマルジョンE7を得た。

0069

(比較例6)
組成B+乳化重合用乳化剤S2
乳化剤S1の代わりに、乳化剤S2(比較合成例1で得られた化合物)を使用したこと以外、実施例2と同じ方法で重合体エマルジョンE8を得た。

0070

(比較例7)
組成A+乳化重合用乳化剤S3
乳化剤S1の代わりに、乳化剤S3(比較合成例2で得られた化合物)を使用したこと以外、実施例1と同じ方法で重合体エマルジョンE9を得た。

0071

(比較例8)
組成B+乳化重合用乳化剤S3
乳化剤S1の代わりに、乳化剤S3(比較合成例2で得られた化合物)を使用したこと以外、実施例2と同じ方法で重合体エマルジョンE10を得た。

0072

(凍結融解安定性評価
実施例1、2および比較例1〜8で得られた重合体エマルジョンについて、凍結融解安定性の評価を行った。具体的には、各重合体エマルジョンを半透明のふた付き樹脂製100ml容器に100g入れて密封し、−10℃の恒温槽に16時間、その後室温で8時間静置した後の重合体エマルジョンの外観を観察した。これを5サイクル実施した。

0073

また、評価基準として、5サイクル実施後も凍結しなかった場合、または凍結しても室温で8時間静置後に液状になった場合を○とし、5サイクルまでに凍結して室温で8時間静置しても液状に戻らない場合を×とする。その結果を表3にまとめた。

0074

0075

密着性評価
実施例1、および比較例1、3、5、7で得られた重合体エマルジョンについて、密着性の評価を行った。具体的な評価方法は以下の通りである。

0076

実施例1および比較例1、3、5、7で得られた重合体エマルジョン100質量部に対して、成膜助剤エチレングリコールモノブチルエーテルテキサノール質量比1対1混合物)を5質量部混合したものをそれぞれ、ガラス基板膜厚75μmで塗布した。次いで、110℃の乾燥機にて3分間乾燥し、膜厚約15μmの塗膜がガラス基板上に形成された試験片を得た。この試験片を用い、以下の手順で評価を行い、その結果を表4にまとめた。

0077

(1)ガラス基板まで到達する切り込みを1mm間隔で平行に11本入れた後、90°向きを変えて同様に切り込みを11本入れる;
(2)切込みを入れた塗膜面に約50mm付着するようにセロハン粘着テープを貼り付け、消しゴムでこすって塗膜にテープを付着させる;
(3)テープに付着させてから1〜2分後にテープの端を持って塗膜面に直角に保ち、引きはがす。

0078

評価基準:
切り込み格子100個の中、剥がされた格子の数が:
0〜4個:○
5個以上:×

0079

実施例

0080

表3および表4に示す結果から、本発明の凍結融解安定性向上剤または密着性向上剤を用いることで、きわめて優れたエマルジョンの凍結融解安定性および重合体と基材との密着性が達成されることがわかる。

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