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技術 海洋生物の付着を抑制可能な塗膜を形成できる樹脂組成物

出願人 日鉄防食株式会社
発明者 稲村洋平浜辺雄輔
出願日 2017年10月12日 (1年10ヶ月経過) 出願番号 2017-198147
公開日 2019年5月16日 (3ヶ月経過) 公開番号 2019-073567
状態 未査定
技術分野 高分子組成物 塗料、除去剤
主要キーワード 荷重ストレス グレー顔料 強化弾性 クラック成長 機械的荷重 海棲生物 鋼板試験片 分散状況
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (4)

課題

海洋生物の付着をより抑制することが可能であり、かつ、人体や環境に対して安全な塗膜を形成できる樹脂組成物の提供。

解決手段

直鎖状低密度ポリエチレン:100質量部に対して、エチレン樹脂:10〜40質量部と、熱可塑性エラストマー:1〜15質量部と、シリコーン系防汚材および/またはフッ素系防汚材:2〜25質量部と、ラノリン忌避剤:5〜15質量部と、を含む、海洋生物の付着を抑制可能な塗膜を形成できる樹脂組成物。

概要

背景

橋脚等の海洋構造物や、船舶漁具魚網などは、水中に長期間さらされることにより、その表面にフジツボカキイガイ等の動物類、ノリ海草)等の植物類、あるいはバクテリア類などの各種海洋生物が付着・繁殖すると、外観が損ねられ、その機能が害されることがある。

この海洋生物の付着を防止する目的で有機スズ化合物を主成分とする防汚塗料が広く使用されてきた。しかしながら、その毒性の強さから環境に与える影響も大きく、有機スズ化合物含有の防汚塗料は、海洋汚染防止のため、近年使用が大幅に制限或いは禁止されている。

そこで、有機スズ化合物を含まず、海洋生物の付着を抑制することができる塗膜を形成可能な組成物の提案が望まれている。

これに関する従来法として、例えば特許文献1には、シリコーンゲルまたは抗菌性シリコーンと、グラミン及び/又はニコチン酸アミドからなる忌避物質とからなる防汚材が記載され、このような防汚材は人体や環境に対して安全で、優れた防汚効果を奏する防汚材であると記載されている。

特許文献2には、防汚塗料組成物中の構成成分として、ラノリンもしくはラノリン誘導体を含むことを特徴とする防汚塗料組成物が記載され、このような組成物は、海棲生物全般、特にヒドロ虫類に対して、格段に優れた効果を発揮するため、防汚塗料組成物中に占める海棲生物忌避剤費用も安価で、安全性が高く、結果として、経済性が優れるうえ、人体および地球環境に与える影響も低減できると記載されている。

特許文献3には、防汚塗料組成物の構成成分として、ラノリン、ラノリン脂肪酸ラノリンアルコール及びこれらの誘導体から選ばれる1種又は2種以上を含み、海洋生物付着忌避剤を実質的に含有しないことを特徴とする防汚塗料組成物が記載され、このような組成物は、海洋への汚染等の環境負荷が少なく優れた防汚性を有し、しかも長期間優れた防汚性能維持できる防汚塗料組成物であると記載されている。

概要

海洋生物の付着をより抑制することが可能であり、かつ、人体や環境に対して安全な塗膜を形成できる樹脂組成物の提供。直鎖状低密度ポリエチレン:100質量部に対して、エチレン樹脂:10〜40質量部と、熱可塑性エラストマー:1〜15質量部と、シリコーン系防汚材および/またはフッ素系防汚材:2〜25質量部と、ラノリン系忌避剤:5〜15質量部と、を含む、海洋生物の付着を抑制可能な塗膜を形成できる樹脂組成物。

目的

そこで、有機スズ化合物を含まず、海洋生物の付着を抑制することができる塗膜を形成可能な組成物の提案が望まれている

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

直鎖状低密度ポリエチレン:100質量部に対して、エチレン樹脂:10〜40質量部と、熱可塑性エラストマー:1〜15質量部と、シリコーン系防汚材および/またはフッ素系防汚材:2〜25質量部と、ラノリン忌避剤:5〜15質量部と、を含む、海洋生物の付着を抑制可能な塗膜を形成できる樹脂組成物

請求項2

前記エチレン樹脂が無水マレイン酸変性エチレン樹脂であり、前記熱可塑性エラストマーがスチレン系熱可塑性エラストマーである、請求項1に記載の樹脂組成物。

請求項3

前記シリコーン系防汚材がジメチルポリシロキサンである、請求項1または2に記載の樹脂組成物。

請求項4

前記フッ素系防汚材がポリテトラフルオロエチレンである、請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物。

請求項5

ラノリン系忌避剤が還元ラノリンである、請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂組成物。

技術分野

0001

本発明は海洋生物の付着を抑制可能な塗膜を形成できる樹脂組成物に関する。

背景技術

0002

橋脚等の海洋構造物や、船舶漁具魚網などは、水中に長期間さらされることにより、その表面にフジツボカキイガイ等の動物類、ノリ海草)等の植物類、あるいはバクテリア類などの各種海洋生物が付着・繁殖すると、外観が損ねられ、その機能が害されることがある。

0003

この海洋生物の付着を防止する目的で有機スズ化合物を主成分とする防汚塗料が広く使用されてきた。しかしながら、その毒性の強さから環境に与える影響も大きく、有機スズ化合物含有の防汚塗料は、海洋汚染防止のため、近年使用が大幅に制限或いは禁止されている。

0004

そこで、有機スズ化合物を含まず、海洋生物の付着を抑制することができる塗膜を形成可能な組成物の提案が望まれている。

0005

これに関する従来法として、例えば特許文献1には、シリコーンゲルまたは抗菌性シリコーンと、グラミン及び/又はニコチン酸アミドからなる忌避物質とからなる防汚材が記載され、このような防汚材は人体や環境に対して安全で、優れた防汚効果を奏する防汚材であると記載されている。

0006

特許文献2には、防汚塗料組成物中の構成成分として、ラノリンもしくはラノリン誘導体を含むことを特徴とする防汚塗料組成物が記載され、このような組成物は、海棲生物全般、特にヒドロ虫類に対して、格段に優れた効果を発揮するため、防汚塗料組成物中に占める海棲生物忌避剤費用も安価で、安全性が高く、結果として、経済性が優れるうえ、人体および地球環境に与える影響も低減できると記載されている。

0007

特許文献3には、防汚塗料組成物の構成成分として、ラノリン、ラノリン脂肪酸ラノリンアルコール及びこれらの誘導体から選ばれる1種又は2種以上を含み、海洋生物付着忌避剤を実質的に含有しないことを特徴とする防汚塗料組成物が記載され、このような組成物は、海洋への汚染等の環境負荷が少なく優れた防汚性を有し、しかも長期間優れた防汚性能維持できる防汚塗料組成物であると記載されている。

先行技術

0008

特開平10−175803号公報
特開2005−263975号公報
特開2010−90246号公報

発明が解決しようとする課題

0009

しかしながら、特許文献1〜3に代表される従来の組成物は、海洋生物の付着を抑制する効果が低かった。

0010

本発明は上記のような課題を解決することを目的とする。
すなわち、本発明は、海洋生物の付着をより抑制することが可能であり、かつ、人体や環境に対して安全な塗膜を形成できる樹脂組成物を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0011

本発明者は鋭意検討し、上記課題を解決する方法を見出し、本発明を完成させた。
本発明は次の(1)〜(5)である。
(1)直鎖状低密度ポリエチレン:100質量部に対して、
エチレン樹脂:10〜40質量部と、
熱可塑性エラストマー:1〜15質量部と、
シリコーン系防汚材および/またはフッ素系防汚材:2〜25質量部と、
ラノリン系忌避剤:5〜15質量部と、
を含む、海洋生物の付着を抑制可能な塗膜を形成できる樹脂組成物。
(2)前記エチレン樹脂が無水マレイン酸変性エチレン樹脂であり、前記熱可塑性エラストマーがスチレン系熱可塑性エラストマーである、上記(1)に記載の樹脂組成物。
(3)前記シリコーン系防汚材がジメチルポリシロキサンである、上記(1)または(2)に記載の樹脂組成物。
(4)前記フッ素系防汚材がポリテトラフルオロエチレンである、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の樹脂組成物。
(5)ラノリン系忌避剤が還元ラノリンである、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の樹脂組成物。

発明の効果

0012

本発明によれば、海洋生物の付着をより抑制することが可能であり、かつ、人体や環境に対して安全な塗膜を形成できる樹脂組成物を提供することができる。

図面の簡単な説明

0013

実施例および比較例における試験片外観画像写真)である。
海洋暴露試験(80日間)の結果を示す試験片の外観画像(写真)である。
海洋暴露試験(164日間)の結果を示す試験片の外観画像(写真)である。

0014

本発明について説明する。
本発明は、直鎖状低密度ポリエチレン:100質量部に対して、エチレン樹脂:10〜40質量部と、熱可塑性エラストマー:1〜15質量部と、シリコーン系防汚材および/またはフッ素系防汚材:2〜25質量部と、ラノリン系忌避剤:5〜15質量部と、を含む、海洋生物の付着を抑制可能な塗膜を形成できる樹脂組成物である。
このような樹脂組成物を、以下では「本発明の組成物」ともいう。

0015

本発明の組成物は、橋脚等の海洋鋼構造物や、船舶、漁具・魚網、鋼管杭などに塗布することで、それに海洋生物が付着し、繁殖することを抑制することを主な目的としている。

0016

本発明の組成物は直鎖状低密度ポリエチレンと、エチレン樹脂と、熱可塑性エラストマーと、シリコーン系防汚材および/またはフッ素系防汚材と、ラノリン系忌避剤とを含む。
そして、これらの合計含有率が60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましい。上記成分以外に含んでも良い成分として、従来公知の耐候性安定剤、ポリオレフィン酸化防止剤熱老化防止剤、オゾン老化防止剤などの老化防止剤、サルチル酸誘導体、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ヒンダードアミン系などの紫外線吸収剤光安定剤カーボンブラック酸化チタン酸化鉄などの無機系顔料、アゾ系、ニトロ、ニトロソ系など有機顔料などの着色剤タルク雲母などの充填剤滑剤耐磨耗性機械特性などを改良する短繊維強化組成物大丸産業製SHP)、短繊維強化弾性体(大丸産業製NTE)などの添加剤などが挙げられる。
また、本発明の組成物の粘度等を調整するための従来公知の溶媒を含ませてもよい。また、液状のラノリン系忌避剤を用いて粘度を調整することもできる。

0017

<直鎖状低密度ポリエチレン>
本発明の組成物は直鎖状低密度ポリエチレンを含む。
直鎖状低密度ポリエチレンとしては、チーグラー・ナッタ系またはメタロセン系などの触媒の存在下に中低圧の圧力下でエチレンα−オレフィンとを気相内、溶液相内あるいはスラリー相内などの公知の方法で共重合したエチレン−α−オレフィン共重合体が挙げられる。
ここで用いるα−オレフィンはプロピレンブテン−1ペンテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1など炭素数3以上のα−オレフィンが挙げられる。
L−LDPEの物性は190℃、荷重21.2NのMFR2〜30g/10分、より好ましくは4〜20g/10分である。密度は0.91〜0.94g/cm3のものが好ましい。

0018

<エチレン樹脂>
本発明の組成物は、前記直鎖状低密度ポリエチレン:100質量部に対して、エチレン樹脂を10〜40質量部、好ましくは15〜35質量部、より好ましくは20〜30質量部含有する。

0019

エチレン樹脂は変性ポリエチレンであることが好ましく、無水マレイン酸変性エチレン樹脂であることがより好ましい。

0020

変性ポリエチレンとして、低密度ポリエチレン高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンなどにグラフト共重合した不飽和カルボン酸およびその無水物やその誘導体の不飽和カルボン酸エステル金属塩などが挙げられる。不飽和カルボン酸はアクリル酸メタクリル酸マレイン酸イタコン酸フマル酸グリシジル酸シトラコン酸が挙げられる。

0021

無水マレイン酸変性エチレン樹脂としては、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンなどにグラフト共重合したマレイン酸の無水物が挙げられる。

0022

また、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン−グリシジルメタクリレート酢酸ビニル共重合体、エチレン−グリシジルメタクリレート−アクリルメチル酸共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体など挙げられる。その誘導体の金属塩、エチレン−アクリル酸エチル共重合体その誘導体の金属塩のアイオノマー樹脂が挙げられる。使用する金属はZn、Na、Mg、Mn、Al、Co、Li、Fe、K、Caなどの金属イオンが挙げられる。
なかでも、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体エチルアクリル酸メチル共重合体のZn、Na、Mgの金属塩が好ましい。

0023

<熱可塑性エラストマー>
本発明の組成物は、前記直鎖状低密度ポリエチレン:100質量部に対して、熱可塑性エラストマーを1〜15質量部、好ましくは2〜10質量部、より好ましくは3〜8質量部含有する。

0024

熱可塑性エラストマーとして、スチレン系エラストマーオレフィン系エラストマーシンジオタクチック1,2−ポリブタジエンラストマー等が挙げられる。
熱可塑性エラストマーはスチレン系熱可塑性エラストマーであることが好ましい。

0025

スチレン系熱可塑性エラストマーとしては、ポリスチレン−ポリブタジエン、ポリスチレン−ポリイソプレン、ポリスチレン−ポリ(エチレン/プロピレン)、ポリスチレン−ポリ(エチレン/ブチレン)、ポリスチレンーポリブタジエンーポリスチレン、ポリスチレン−ポリ(エチレン−エチレン/プロピレン)、ポリスチレンーポリイソプレンーポリスチレン、ポリスチレン−ポリ(エチレン/ブチレン)−ポリスチレン、ポリスチレン−ポリ(エチレン/プロピレン)−ポリスチレン、ポリスチレン−ポリ(エチレン−エチレン/プロピレン)−ポリスチレンなどの共重合体および不飽和カルボン酸誘導体が挙げられる。
不飽和カルボン酸誘導体としてアクリル酸、メタアクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、グリシジル酸など及びその無水物、金属塩等を付加したものが挙げられる。

0026

<シリコーン系防汚材および/またはフッ素系防汚材>
本発明の組成物は、前記直鎖状低密度ポリエチレン:100質量部に対して、シリコーン系防汚材とフッ素系防汚材とを合計で2〜25質量部含有する。

0027

本発明の組成物はシリコーン系防汚材および/またはフッ素系防汚材を含む。すなわち、シリコーン系防汚材とフッ素系防汚材との少なくとも1つを含む。

0028

<シリコーン系防汚材>
本発明の組成物は、前記直鎖状低密度ポリエチレン:100質量部に対して、シリコーン系防汚材を好ましくは3〜15質量部、より好ましくは5〜10質量部含有する。

0029

シリコーン系防汚材はジメチルポリシロキサンであることが好ましい。
また、ジメチルポリシロキサンの数平均分子量は160〜166000であることが好ましい。
シリコーン系防汚材として、その他にメチルフェニルポリシロキサンメチルハイドロゲンポリシロキサンが挙げられる。さらに、ジメチルポリシロキサンのメチル基の一部に官能基を導入した変性ジメチルポリシロキサンも挙げられる。官能基としては、アミノ基、エポキシ基カルボキシ基カルビノール基メタクリル基メルカプト基フェノール基ポリエーテル基、メチルスチリル基アルキル基エステル基フッ素が挙げられる。

0030

<フッ素系防汚材>
本発明の組成物は、前記直鎖状低密度ポリエチレン:100質量部に対して、フッ素系防汚材を好ましくは7〜22質量部、より好ましくは12〜18質量部含有する。

0031

フッ素系防汚材はポリテトラフルオロエチレンであることが好ましい。
また、ポリテトラフルオロエチレンの数平均分子量は100万〜1000万であることが好ましい。
フッ素系防汚材として、その他にパーフルオロアルコキシアルカンパーフルオロエチレンプロペンコポリマー、エチレン・テトラフルオロエチレンコポリマーテトラフルオロエチレンパーフルオロジオキソールコポリマーが挙げられる。

0032

<ラノリン系忌避剤>
本発明の組成物は、前記直鎖状低密度ポリエチレン:100質量部に対して、ラノリン系忌避剤を5〜15質量部、好ましくは6〜13質量部、より好ましくは8〜12質量部含有する。

0033

ラノリン系忌避剤としてラノリンまたはその誘導体を用いることができる。
ラノリン誘導体としては、液状ラノリン、硬質ラノリン、非極性ラノリン、極性ラノリン、酢酸ラノリン、ポリオキシエチレンラノリンポリオキシエチレンポリオキシプロピレンラノリン、還元ラノリン、ポリオキシエチレン還元ラノリン、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン還元ラノリン、ラノリンアルコール、酢酸ラノリンアルコール、イソステアリン酸ラノリンアルコール、スルホコハク酸ラノリンアルコール、ポリオキシエチレンラノリンアルコールポリオキシプロピレンラノリンアルコール、ラノステロール、ラノリン脂肪酸、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリン脂肪酸オクチルドデシル、ラノリン脂肪酸グリセリル、ラノリン脂肪酸ジエタノールアミン、ラノリン脂肪酸カルシウム等が挙げられる。
ラノリン系忌避剤は還元ラノリンであることが好ましい。
還元ラノリンとは、ラノリンを水素添加して得られるロウ固体であり、化粧品等原料としても使用されており、安全性が高い。例えばリカラノール(新日本理化株式会社製)が挙げられる。

0034

本発明の組成物は、上記のように直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン樹脂、熱可塑性エラストマー、シリコーン系防汚材および/またはフッ素系防汚材およびラノリン系忌避剤を特定量含む。

0035

本発明の組成物は、各成分を混錬した後、前述のように、橋脚等の海洋構造物の表面に塗布して用いる。具体的には、例えば、各成分を混練機の供給口より供給し、ポリエチレン融点よりも高い温度、より好ましくは20℃以上の高い温度で混練する。混練機としては、バンバリーミキサーニーダーなどの密閉型混練機一軸押出機二軸押出機などの連続式混練機が用いられるが、連続的に混練が行なえ、短時間で混練能の優れた二軸押出機が最も好ましい。得られた樹脂組成物をさらに粉状(パウダー化)することが好ましい。なお、樹脂組成物はその態様が粉状であってもよいものとする。すなわち、粉状であっても樹脂組成物に該当するものとする。
そして、例えば海洋構造物の一部を加熱して樹脂組成物を熱融着することで、本発明の組成物からなる塗膜を形成することができる。

0036

本発明の組成物からなる塗膜は硬度DD60、MFR12(g/10min.)、環境応力亀裂ESCR)>300hr、密着力>35N/cm、伸び>700%、テーバ磨耗<15mg(9.8N、1000回)を目標としている。

0037

一般的には、ポリエチレン種におけるMFR4以上においては環境応力亀裂時間は10時間以下が大半を占める。しかし、本発明の組成物からなる塗膜においては、MFR8以上においても300時間以上となり得る。ESCRはLLDPE>HDPE>LDPEの傾向があるが基本的には一桁の時間である。
本発明の組成物からなる塗膜(LLDPEbased)でESCRが改善されるのはLLDPEなどに高相溶性のスチレン系熱可塑性エラストマー(SEBS構造)をブレンドし、マトリックス中にSEBSがミクロ分散応力緩和を促進させており、接着性樹脂無水マレイン酸変性樹脂などを添加しているが、これらが反応性タイプの相溶化剤として寄与し、SEBSがよりミクロ分散(ナノメートルレベル)しており、ポリオレフィン(LLDPE等)とスチレン系熱可塑性エラストマー(SEBS、SEPS、SEEPS、SEPなど)とは、相溶性は良好である。本発明の組成物からなる塗膜では、LLDPEの海構造にSEBSを島構造とするモルフォロジ化を行っている。さらにはその界面を前述の無水マレイン酸樹脂などの接着性樹脂の一部をLLDPEとSEBS界面に介在させ、化学結合による強固な相互作用を高めて、ストレスクラッキング(ESCR)が改良されている。TEM観察するLLDPE海構造/SEBS島構造であることを確認できる。その島構造のSEBSは1000nm以下(100〜300nmが主体)であり、アスペクト比は10以下(基本的には球体アスペクト比1〜3程度)である。前述の構造を確固たるものとするには、LLDPEとSEBSの溶融粘度バランスが重要であり、基本的には、ミクロ相分離原理に基づき、海相を形成するLLDPEの溶融粘度に比べ島相となるSEBSの溶融粘度が高いことが好ましい。前述の溶融粘度バランスからSEBSが微細な島構造を形成する。ナノレベルの島相を形成させるためには、LLDPEとSEBSの両者間の反応を促進し高めることが重要である。このときの反応剤には、無水マレイン酸変性エチレン樹脂が有効であり、他の反応剤として、グリシジル変性樹脂シランカップリング剤などが有効である。この際に有機酸化物微量添加し、助剤とすることは有効である。また混練機によるメカノケミカル反応も有効な手段である。
前述のLLDPE/SEBS海島構造では、複合材物に機械的荷重をかけた際には、海相のLLDPEの荷重ストレスによるダメージを島相のSEBSが緩和する役割を果たしている。理由としては[1]SEBSは非結晶性ゴム弾性体でストレスクラッキング性は良好でありこの性質を巧く利用していること、[2]ストレス内部応力)が緩和されることが挙げられる。例えばLLDPEの弾性率はおおよそ2GPa、一方のSEBSは0.2GPaである。機械的なストレスを掛けたときには、優先にSEBSがストレスを受け止め、L−LDPEは、ストレスエネルギーが緩和された状態となる。このときに島相SEBSはゴム弾性体であり、荷重ストレスを解除したときには元の形状に復元しようとする特性があり、この特性を有効利用することにより、ストレスクラッキングを改良した。但し、SEBS(熱可塑性エラストマー)を多量に用いると、SEBSのミクロ分散構造が損なわれ、SEBSの島構造の巨大化によりLLDPEの海構造の界面で凝集応力が高まり、クレーズクラック成長が促進されストレスクラッキングの改良に繋がらない。また、表面硬度も低くなり、磨耗性も劣る傾向となる。

0038

また、本発明の組成物からなる塗膜においては、耐磨耗性平均磨耗量8mgとクリアーしている(一般的には20mg以上のケースが多い)。本発明の組成物からなる塗膜において磨耗性が優れているのは無水マレイン酸をLLDPEに付加させる際に架橋が進行したためと考えている。磨耗性の傾向はHDPE>LLDPE>LDPEであり、分岐度により結晶性に差が出るため結晶性の高いPEほど耐磨耗性に優れる。

0039

本発明の組成物では、HDPE;エチレン1000ユニットに対し1〜10程度のメチル分岐を備える。また、LLDPEは10〜40程度の短い分岐を備える。また共重合体にα—オレフィンを用いており、低分子量順で1−ブテン1−ヘキセン、4−メチルペンテン、1−オクテンなどを使用するため同じLLDPEでも物性(透明性、強度、加工性、ESCRなど)にさまざまな影響を与える。

0040

直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン樹脂、熱可塑性エラストマー、シリコーン系防汚材、フッ素系防汚材、ラノリン系忌避剤、顔料、耐候性安定剤を第1表に示す組成比(質量部)でブレンド添加し、(株)第一サービスESW57mm製の二軸押出機を用いて樹脂組成物を作製した。
具体的条件には、各成分の質量を第1表に示す組成比となるように計量した後、連続式混練機、二軸押出機を用いた。製法リアクティブプロセッシング法による溶融混練で行った。
押出機設定温度は、第1表に示す直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン樹脂、熱可塑性エラストマーの各成分が溶融する温度180℃に設定した。二軸押出機のスクリュー回転数は、150rpmで溶融混錬反応を行った。
二軸押出機の口金より押出される溶融混練糸状物ペレタイザーにより、ペレット化した。ペレットサイズは直径×長さ=2mm×3mmを目安に行った。

0041

次に、得られた樹脂組成物のペレットを(株)セイシン企業製のスパイラルミキサー粉砕機を用いてパウダー化した。この時の樹脂組成物のパウダー平均粒子径を180μmとした。

0042

なお、各成分の詳細は以下の通りである。
・直鎖状低密度ポリエチレン:L−LDPE、MFR=20g/10min、密度=0.93g/cm3
・エチレン樹脂:MAH−PE
・熱可塑性エラストマー:スチレンTPE、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレン(SEBS)、MFR=22(230℃、5kg、g/10min)、密度=0.90g/cm3
・フッ素系防汚材:ポリテトラフルオロエチレン
・ラノリン系忌避剤:還元ラノリン
・顔料:グレー顔料

0043

各実施例および各比較例における平均粒子径を180μmのパウダー状の樹脂組成物を、3.2mm×70mm×150mmの熱圧鋼板試験片SS400に塗布した。
具体的には、パウダー状樹脂組成物を流動浸漬塗装用タンクの中に投入し、タンクの下部のエアー吹き込み口よりエアーを吹き込み、浮上率3割目安にパウダーを浮上させ、その中に280℃で予熱した熱圧延鋼板試験片SS400を浸漬した。浸漬時間は5秒で行った。
その後、空冷乾燥し、熱圧延鋼板試験片SS400の表面に樹脂組成物を塗布した試験片を得た。空冷乾燥に要する養生時間を、3時間以上を目安とした。

0044

加工状況
試験片の目視し、樹脂組成物の形成具合を評価した。第1表中には、問題なく塗布されている場合は「○」、問題がある場合は「×」と記した。

0045

分散状況
平均粒子径を180μmのパウダー状の樹脂組成物を熱圧延鋼板試験片SS400に塗布する際の、流動浸漬塗装用タンク内でのパウダー状樹脂組成物の流動状態を確認し、これを評価した。第1表中には、分散状態が確保されている場合は「○」、分散状態が確保されていない場合は「×」と記した。

0046

<MFR>
流動特性であるMFR(g/10分)は、JIS K7210に準拠し、測定温度190℃−21.2Nで押出評価した。
MFRは12g/10min以上とすることを目標とした。

0047

<密着力>
試験片に5%食塩水による噴霧試験500時間を終了後、塗装表面を幅1cmにカッターカットピール剥離試験用とした。そして、インストロンジャパンカンパニィ リミテッド製の型式3366を用いて、90度ピール剥離、引っ張り速度100mm/分の引っ張り速度で密着力(N/cm)を測定した。
密着力は35N/cmとすることを目標とした。

0048

比重
比重は、JIS K7112に準拠して測定した。
比重は0.91〜1.0g/cm3とすることを目標とした。

0049

引張試験引張ひずみおよび引張破壊応力)>
引張ひずみおよび引張破壊応力は、JIS K7161に準拠し評価した(MPa)。
破断伸びは500%以上とすることを目標とした。
引張強度は16MPa以上とすることを目標とした。

0050

0051

図1に示すように、実施例1の試験片の表面には油膜析出した。また、実施例2の試験片の表面の全体にはPTFEが析出した。
これより実施例1および実施例2の場合、防汚および忌避の効果が期待できる。

実施例

0052

図2図3に、実施例1、実施例2および比較例1の試験片について海洋暴露試験を行った際の画像を示す。図2は80日間海洋内で暴露したときの画像であり、図3は164日間海洋内で暴露したときの画像である。
図2図3のいずれの場合も、比較例1の試験片に対して、実施例1および実施例2の試験片には海洋生物の付着が少なくなることが確認された。

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