図面 (/)

技術 金型、金型の製造方法、樹脂成形装置及び成形品の成形方法

出願人 トーノファインプレーティング株式会社
発明者 平井雄介
出願日 2017年10月19日 (2年8ヶ月経過) 出願番号 2017-202262
公開日 2019年5月16日 (1年1ヶ月経過) 公開番号 2019-072975
状態 特許登録済
技術分野 プラスチック等の成形用の型
主要キーワード 凹状段差 無機ガラス繊維 金属製母材 凸状段差 表面祖度 温度測定箇所 計量部分 温度単位
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2019年5月16日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (10)

課題

樹脂成型品の表面に凹凸形状等の微細な形状を高精度で形成しつつ、従来の断熱金型に比べて成形サイクルの短縮化を図ることができる金型と該金型の製造方法、さらに、前記金型を備える樹脂成形装置及び前記樹脂成形装置を用いて行う成形品成形方法を提供する。

解決手段

本発明の金型は、100℃の熱伝導度が10W/m・K未満である断熱層、100℃の熱伝導度が10〜70W/m・Kである金属製金型母材、及び前記断熱層と前記金属製金型母材の間に100℃の熱伝導度が70W/m・Kを超える熱伝導層を有する金型であって、前記熱伝導層は前記断熱層の下部境界面と当接する位置に、又は前記断熱層との下部境界面から0.1mm以下の位置に、厚さが0.01〜5.00mmで設けられることを特徴とする。

概要

背景

CDやDVD等の光ディクス光学レンズ光学素子ミラー及び導光板等の光学素子、又は精密部品等の製品は、合成樹脂による成形品が広く知られているが、これら光学素子や精密部品等の小型化、高機能化等に伴い、従来から微細で高精度の表面形状を有する成形品を成形できる成形技術が望まれている。また、近年では、転写面が大面積となる透明表示版や精密部品等においても、表面の形状及び精度について従来以上の微細化と高精度が求められるようになってきている。

樹脂射出成形技術は、従来から鋼等の金属材料製作された金型を使用している。そのような金属金型を用いてサブミクロン〜1mmの微細形状を有する光学素子又は精密部品を射出成形する場合、溶融樹脂が有する熱は金型内射出された瞬間に急速に金型に伝達され、キャビティ型又はコア型に接触している樹脂表面が急速に冷却され、固化する。そのため、樹脂を射出した後の形状転写工程である保圧工程において十分な金型転写性が得られず、微細で高精度の表面形状が得られないという問題があった。

金型転写性を改善するため、射出成形時の射出圧力を高めたり、射出速度を上げる等の方法がとられているが、転写性を改善するには限界があり、十分な対策となっていないのが現状である。また、キャビティ型又はコア型に接触している樹脂表面の急速冷却及び固化を遅らせるため、金型の温度を高めに設定するとともに冷却時間を長くすることにより転写性を改善することも可能であるが、その場合は成形サイクルが長くなり、量産性が大きく低下するという問題がある。さらに、射出成形に圧縮成形を加えた射出圧縮方法を採用することも検討されているが、成形サイクルが長くなること、成形装置がやや複雑になること、成形条件の調整に熟練を要すること、及び圧縮工程によって成形品に応力が発生しやすいこと等から、汎用性に乏しかった。

このような技術課題を解決する方法として、金型表面に断熱層を設け、射出過程において金型内に充填された樹脂の温度が、その後の形状転写工程である保圧工程まで高温を保持することで金型転写性を向上させる方法が従来から数多く提案されている。この方法で使用する金型は、一般に断熱金型と呼ばれており、前記断熱層としては、例えば、ポリイミド樹脂又はセラミックス等が使用されている。

しかしながら、断熱金型を用いる射出成形方法において、金型表面に断熱層を設けるだけではいくつかの技術課題があるため、それらの技術課題を解決するための方法が提案されている。例えば、断熱層近傍で加熱溶融された樹脂の熱がこもって局所的な偏りが発生して温度の不均一を招き、成形後の光学部品複屈折が生じるという課題を解決するため、特許文献1には、断熱層の裏側に高熱伝導母材を設けることにより、速やかに熱を分散させ、温度の不均一を解消するようにした成形装置が開示されている。また、同じような構成と構造を有する金型は、特許文献2にも断熱キャビティ型として開示されている。

特許文献3には、高圧高衝撃性下での使用に耐えることができるような耐久性に優れる断熱金型を得るため、金属製金型母材と成形面を構成する金属皮膜との間に断熱層を有する金型において、前記断熱層と前記金属皮膜との間に熱伝導率が100W/m・K以上の熱伝導層を有する断熱金型が開示されている。ここで使用される熱伝導層は、高圧で注入された溶融樹脂の熱エネルギーの局所的授受によって生まれる熱膨張差が応力を発生させるため、前記熱膨張差によって起こる金属皮膜・断熱層の密着性劣化を防止する目的のために使用される。また、特許文献4にも、前記特許文献3と同じような構成を有する金型、すなわち、表面層の転写部から順に、表面層と、熱伝導率が60W/m・k以上の下面層と、熱伝導率が30W/m・k以下の断熱層と、金型本体とからなる成形用金型が開示されている。前記特許文献4に記載の成形用金型は、成形時の成形品内の温度分布不均一性を低減できるという効果を奏することが記載されている。

さらに、耐久性を向上し得る断熱金型としては、特許文献5にも、保護層、断熱層及び金型基体の順で積層され、キャビティ領域の厚みを前記キャビティ領域以外の領域の厚みよりも小さくした断熱金型が開示されている。

概要

樹脂成型品の表面に凹凸形状等の微細な形状を高精度で形成しつつ、従来の断熱金型に比べて成形サイクルの短縮化をることができる金型と該金型の製造方法、さらに、前記金型を備える樹脂成形装置及び前記樹脂成形装置を用いて行う成形品の成形方法を提供する。本発明の金型は、100℃の熱伝導度が10W/m・K未満である断熱層、100℃の熱伝導度が10〜70W/m・Kである金属製金型母材、及び前記断熱層と前記金属製金型母材の間に100℃の熱伝導度が70W/m・Kを超える熱伝導層を有する金型であって、前記熱伝導層は前記断熱層の下部境界面と当接する位置に、又は前記断熱層との下部境界面から0.1mm以下の位置に、厚さが0.01〜5.00mmで設けられることを特徴とする。

目的

CDやDVD等の光ディクス、光学レンズ、光学素子、ミラー及び導光板等の光学素子、又は精密部品等の製品は、合成樹脂による成形品が広く知られているが、これら光学素子や精密部品等の小型化、高機能化等に伴い、従来から微細で高精度の表面形状を有する成形品を成形できる成形技術が望まれている

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

100℃の熱伝導率が10W/m・K未満である断熱層、100℃の熱伝導率が10〜70W/m・Kである金属製金型母材、及び前記断熱層と前記金属製金型母材の間に100℃の熱伝導率が70W/m・Kを超える熱伝導層を有する金型であって、前記熱伝導層は前記断熱層の下部境界面と当接する位置に、又は前記断熱層との下部境界面から0.1mm以下の位置に、厚さが0.01〜5.00mmで設けられることを特徴とする金型。

請求項2

前記断熱層は100℃の熱伝導率が5W/m・K以下で、0.01mm〜2.00mmの厚さを有し、前記熱伝導層は100℃の熱伝導率が150W/m・K以上で、0.01〜5.00mmの厚さを有し、前記金属製母材は100℃の熱伝導率が10〜70W/m・Kで、10mmを超える厚さを有することを特徴とする請求項1に記載の金型。

請求項3

前記熱伝導層は、前記断熱層と金属性金型母材との間であって、前記断熱層の境界面と当接する位置に、又は前記断熱層と前記熱伝導層との間に形成される接合層を介して、前記断熱層の下部境界面から0.1mm以下の位置に設けられることを特徴とする請求項1又は2に記載の金型。

請求項4

前記熱伝導層は、成形空間キャビティ)の領域内の厚さが前記キャビティの領域外の厚さよりも薄いことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の金型。

請求項5

前記断熱層は、成形空間(キャビティ)の領域内の厚さが前記キャビティの領域外の厚さよりも厚いことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の金型。

請求項6

成形品表層転写面側に表面保護層を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の金型。

請求項7

前記表面保護層は、前記成形品表層の転写面側にメッキ膜又はダイヤモンドライクカーボン膜からなる最表面層を有することを特徴とする請求項6に記載の金型。

請求項8

請求項1〜7に記載のいずれか一項に記載の金型は、前記熱伝導層が、物理的気相成長化学的気相成長メッキろう付けボルト固定及び溶射の少なくともいずれかの方法を用いて前記金属製金属母材の表面上に形成されることを特徴とする金型の製造方法。

請求項9

金型を具備する型締ユニット射出ユニットとを備える樹脂成形装置であって、前記金型が請求項1〜7のいずれか一項に記載の金型、又は請求項8に記載の金型の製造方法によって得られる金型であることを特徴とする樹脂成形装置。

請求項10

請求項9に記載の樹脂成形装置を用いて樹脂射出成形又は樹脂射出圧縮成形を行うことを特徴とする樹脂成形品成形方法

技術分野

0001

本発明は、例えば、光学素子又は精密部品等の樹脂成形に用いられ、樹脂成型品微細表面凹凸パターンの形成が可能で、かつ、成形サイクルの短縮化を図ることができる金型と該金型の製造方法、前記金型を備える樹脂成形装置及び前記樹脂成形装置を用いて行う成形品成形方法に関する。

背景技術

0002

CDやDVD等の光ディクス光学レンズ、光学素子、ミラー及び導光板等の光学素子、又は精密部品等の製品は、合成樹脂による成形品が広く知られているが、これら光学素子や精密部品等の小型化、高機能化等に伴い、従来から微細で高精度の表面形状を有する成形品を成形できる成形技術が望まれている。また、近年では、転写面が大面積となる透明表示版や精密部品等においても、表面の形状及び精度について従来以上の微細化と高精度が求められるようになってきている。

0003

樹脂射出成形技術は、従来から鋼等の金属材料製作された金型を使用している。そのような金属金型を用いてサブミクロン〜1mmの微細形状を有する光学素子又は精密部品を射出成形する場合、溶融樹脂が有する熱は金型内射出された瞬間に急速に金型に伝達され、キャビティ型又はコア型に接触している樹脂表面が急速に冷却され、固化する。そのため、樹脂を射出した後の形状転写工程である保圧工程において十分な金型転写性が得られず、微細で高精度の表面形状が得られないという問題があった。

0004

金型転写性を改善するため、射出成形時の射出圧力を高めたり、射出速度を上げる等の方法がとられているが、転写性を改善するには限界があり、十分な対策となっていないのが現状である。また、キャビティ型又はコア型に接触している樹脂表面の急速冷却及び固化を遅らせるため、金型の温度を高めに設定するとともに冷却時間を長くすることにより転写性を改善することも可能であるが、その場合は成形サイクルが長くなり、量産性が大きく低下するという問題がある。さらに、射出成形に圧縮成形を加えた射出圧縮方法を採用することも検討されているが、成形サイクルが長くなること、成形装置がやや複雑になること、成形条件の調整に熟練を要すること、及び圧縮工程によって成形品に応力が発生しやすいこと等から、汎用性に乏しかった。

0005

このような技術課題を解決する方法として、金型表面に断熱層を設け、射出過程において金型内に充填された樹脂の温度が、その後の形状転写工程である保圧工程まで高温を保持することで金型転写性を向上させる方法が従来から数多く提案されている。この方法で使用する金型は、一般に断熱金型と呼ばれており、前記断熱層としては、例えば、ポリイミド樹脂又はセラミックス等が使用されている。

0006

しかしながら、断熱金型を用いる射出成形方法において、金型表面に断熱層を設けるだけではいくつかの技術課題があるため、それらの技術課題を解決するための方法が提案されている。例えば、断熱層近傍で加熱溶融された樹脂の熱がこもって局所的な偏りが発生して温度の不均一を招き、成形後の光学部品複屈折が生じるという課題を解決するため、特許文献1には、断熱層の裏側に高熱伝導母材を設けることにより、速やかに熱を分散させ、温度の不均一を解消するようにした成形装置が開示されている。また、同じような構成と構造を有する金型は、特許文献2にも断熱キャビティ型として開示されている。

0007

特許文献3には、高圧高衝撃性下での使用に耐えることができるような耐久性に優れる断熱金型を得るため、金属製金型母材と成形面を構成する金属皮膜との間に断熱層を有する金型において、前記断熱層と前記金属皮膜との間に熱伝導率が100W/m・K以上の熱伝導層を有する断熱金型が開示されている。ここで使用される熱伝導層は、高圧で注入された溶融樹脂の熱エネルギーの局所的授受によって生まれる熱膨張差が応力を発生させるため、前記熱膨張差によって起こる金属皮膜・断熱層の密着性劣化を防止する目的のために使用される。また、特許文献4にも、前記特許文献3と同じような構成を有する金型、すなわち、表面層の転写部から順に、表面層と、熱伝導率が60W/m・k以上の下面層と、熱伝導率が30W/m・k以下の断熱層と、金型本体とからなる成形用金型が開示されている。前記特許文献4に記載の成形用金型は、成形時の成形品内の温度分布不均一性を低減できるという効果を奏することが記載されている。

0008

さらに、耐久性を向上し得る断熱金型としては、特許文献5にも、保護層、断熱層及び金型基体の順で積層され、キャビティ領域の厚みを前記キャビティ領域以外の領域の厚みよりも小さくした断熱金型が開示されている。

先行技術

0009

特開2013−75457号公報
国際公開第2007/129673号
特開2015−74221号公報
国際公開第2013/146985号
特開2013−244644号公報

発明が解決しようとする課題

0010

光学素子又は精密部品等の樹脂成形において、断熱金型を用いて微細な表面凹凸パターンを形成する場合、優れた金型転写性及び高精度の表面形状を実現するだけでなく、量産性向上のために成形サイクルの短縮化が強く求められている。断熱金型は、それを用いない従来の成形金型に比べて金型温度又は成形圧力をやや下げることができることから、前記特許文献1にも記載されているように、成形サイクルの短縮化に対してある程度の効果を有する。

0011

しかしながら、前記特許文献1及び2に開示された断熱金型の構成では、熱を瞬間的に保持し、その後冷却を行うことにより熱の伝導又は伝達を遅延させるという断熱金型の特徴を十分に活かすことが難しかった。これは、断熱層の裏側に直接設けられた高熱伝導母材が大きな熱容量を有するため、高熱伝導母材による熱の伝導又は伝達の効果の方が大きくなり、溶融樹脂の熱が断熱層で瞬間的に保持されず、断熱層としての機能を十分に果たさないことに起因する。その結果、成形サイクルの短縮化が図られるものの、金型転写性の低下や熱応力の発生等によって微細な表面形状を高精度で形成することができなくなる場合があった。この問題は、例えば、前記特許文献1に記載されているようにレンズ等の微小光学素子においては顕著に現れてこないが、大きな(大容量の)高熱伝導母材を用いて成形を行う光ディスク、導光板及び表示板等の大面積の光学素子では大きな技術課題となっている。

0012

また、前記特許文献3に開示された断熱金型は、高圧で注入された溶融樹脂の熱エネルギーの局所的授受という断熱層に起因する問題を低減するため、断熱層と前記金属皮膜との間に熱伝導層を設けることにより、断熱金型の水平方向において熱エネルギーの瞬間的な再配分を目的としたものである。前記特許文献4に開示された金型も、同様な目的を以てなされたものであるといえる。しかしながら、両者の金型は、垂直方向(鉛直方向)の熱伝導又は熱伝達については従来の断熱金型と同じ効果しか得られず、成形サイクルを従来以上に短縮化するという効果を期待できるものではなかった。

0013

同様に、前記特許文献5に開示された断熱金型も、成形サイクルの短縮化を図るために提案されたものではなく、成形サイクルを従来の断熱金型より短縮化するという技術課題については全く認識されていなかった。

0014

本発明は、係る問題を解決するためになされたものであり、熱伝導層を備える断熱金型において、前記特許文献1〜5に開示されたものとは異なる構成と構造を採用することにより、樹脂成型品の表面に凹凸形状等の微細な形状を高精度で形成しつつ、従来の断熱金型に比べて成形サイクルの短縮化を図ることができる金型と該金型の製造方法、さらに、該金型を備える樹脂成形装置及び前記樹脂成形装置を用いて行う成形品の成形方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0015

本発明者は、断熱層、金属製金型母材、及び前記断熱層と前記金属製金型母材の間に熱伝導層を有する構成を採用するとともに、それぞれの熱伝導率と厚さを所定の範囲内で規定することにより、上記の課題を解決できることを見出して本発明に到った。

0016

すなわち、本発明の構成は以下の通りである。
[1]本発明は、100℃の熱伝導度が10W/m・K未満である断熱層、100℃の熱伝導度が10〜70W/m・Kである金属製金型母材、及び前記断熱層と前記金属製金型母材の間に100℃の熱伝導度が70W/m・Kを超える熱伝導層を有する金型であって、前記熱伝導層は前記断熱層の下部境界面と当接する位置に、又は前記断熱層との下部境界面から0.1mm以下の位置に、厚さが0.01〜5.00mmで設けられることを特徴とする金型を提供する。
[2]本発明は、前記断熱層において100℃の熱伝導率が5W/m・K以下で、厚さが0.01mm〜2.00mmであり、前記熱伝導層において100℃の熱伝導率が150W/m・K以上で、厚さが0.01〜5.00mmであり、前記金属製母材において100℃の熱伝導率が10〜70W/m・Kで、厚さが10mmを超えることを特徴とする前記[1]に記載の金型を提供する。
[3]本発明は、前記熱伝導層が、前記断熱層と金属性金型母材との間であって、前記断熱層の境界面と当接する位置に、又は前記断熱層と前記熱伝導層との間に形成される接合層を介して、前記断熱層の下部境界面から0.1mm以下の位置に設けられることを特徴とする前記[1]又は[2]に記載の金型を提供する。
[4]本発明は、前記熱伝導層において、成形空間キャビティ)の領域内の厚さが前記キャビティの領域外の厚さよりも薄いことを特徴とする前記[1]〜[3]のいずれか一項に記載の金型を提供する。
[5]本発明は、前記断熱層において、成形空間(キャビティ)の領域内の厚さが前記キャビティの領域外の厚さよりも厚いことを特徴とする前記[1]〜[3]のいずれか一項に記載の金型を提供する。
[6]本発明は、成形品表層の転写面側に表面保護層を有することを特徴とする前記[1]〜[5]のいずれか一項に記載の金型を提供する。
[7]本発明は、前記表面保護層が、前記成形品表層の転写面側にメッキ膜又はダイヤモンドライクカーボン膜からなる最表面層を有することを特徴とする前記[6]に記載の金型を提供する。
[8]本発明は、前記[1]〜[7]に記載のいずれか一項に記載の金型において、前記熱伝導層が、物理的気相成長化学的気相成長メッキろう付けボルト固定及び溶射の少なくともいずれかの方法を用いて前記金属製金属母材の表面上に形成されることを特徴とする金型の製造方法を提供する。
[9]本発明は、金型を具備する型締ユニット射出ユニットとを備える樹脂成形装置であって、前記金型が前記[1]〜[7]のいずれか一項に記載の金型、又は前記[8]に記載の金型の製造方法によって得られる金型であることを特徴とする樹脂成形装置。
[10]本発明は、前記[9]に記載の樹脂成形装置を用いて樹脂射出成形又は樹脂射出圧縮成形を行うことを特徴とする樹脂成形品の成形方法を提供する。

発明の効果

0017

本発明の金型は、断熱層、金属製金型母材、及び前記断熱層と前記金属製金型母材との間に熱伝導層を有する構成を採用するとともに、それぞれの熱伝導率と厚さを所定の範囲内で規定することにより、熱を瞬間的に保持できる断熱層としての機能が十分に発現するように、溶融樹脂から金属製金型母材への熱の伝導又は伝達を最適化することができる。そのため、小型だけでなく、大面積の樹脂成型品においても微細な表面形状を高精度で形成しつつ、成形サイクルを従来の断熱金型に比べて短縮化することができる。また、成形空間(キャビティ)の領域内と前記キャビティの領域外で断熱層及び熱伝導層の少なくともいずれかの厚さが異なる構成を採用することにより、それらの層の厚さの違いを利用して断熱金型の機能を微妙に調整することができる。そのため、成形サイクルの短縮化を行うときに金型設計の自由度を増すことができる。さらに、本発明の金型は、その表面側、すなわち、断熱層の上に表面保護層を設けることにより、金型の耐久性を向上させることができる。

0018

本発明の金型の製造方法によれば、物理的気相成長、化学的気相成長、メッキ、ろう付け、ボルト固定及び溶射の少なくともいずれかの方法を用いて、熱伝導層を金属製金属母材の表面上にやや厚めに形成することにより、断熱層の機能を保持しつつ、熱伝導層による熱の伝導又は伝達の効果を高めることができるため、成形サイクルの一層の短縮化が可能になる。

0019

また、本発明の金型を樹脂成形装置に適用することにより、高精度の表面形状が求められる光学素子や精密部品等の樹脂成形に最適で、かつ、量産性に優れた樹脂成形装置を提供することができる。そして、本発明の樹脂成形装置を用いて、微細な表面形状を高精度で形成した高外観を有する樹脂成形品の成形方法を提供することが可能になる。

図面の簡単な説明

0020

本発明の金型を模式的に示す断面概略図である。
本発明の金型の変形例を模式的に示す断面概略図である。
キャビティ領域が凸形状となる本発明の金型の別の変形例を模式的に示す概略断面図である。
本発明の樹脂成形装置の例を示す図である。
実施例1のシミュレーションで使用する金型断面構造を示す図である。
実施例1のシミュレーションにおける成形品表面の温度測定箇所を示す図である。
実施例1のシミュレーションによって得られる成形品の冷却曲線を示す図である。
実施例2において成形品の反り量の測定方法を示す図である。
実施例2において冷却時間と成形品の反り量との関係を示す図である。

0021

図1に、本発明の金型を模式的に示す。本発明の金型は、熱伝導性又は熱伝達性の観点から、樹脂成形品表層の転写面側から順に、基本的に断熱層、熱伝導層、及び金属製金型母材が積層される構成を有するが、図1の(a)及び(b)に示すように、実用的には表面保護層を有する構造が採用される。

0022

図1の(a)に示す金型1は、樹脂成形品表層の転写面側から、表面保護層2、断熱層3、熱伝導層4、及び金属製金型母材5の順で積層される構造を有し、断熱層3の下部に配置される熱伝導層4が断熱層3と接触した状態で当接して設けられる。また、図1の(b)に示す金型6は、図1の(b)に示す金型1の構造をベースにして、さらに断熱層3と熱伝導層4との間に接合層7を備える構造を有する。該接合層7は、主に断熱層3と熱伝導層4との接合を向上させるために設けられる。仮に、断熱層3と熱伝導層4との接合が弱い組み合わせであっても接合層7によって両者の接合性を改善できるため、金型6の構造は、熱伝導層3及び熱伝導層4として適用できる材料の選択の幅が広がるという利点を有する。

0023

本発明の金型は、断熱層3、熱伝導層4、及び金属製金型母材5の組み合わせを採用するだけでなく、成形時の溶融樹脂からの熱を断熱層3が瞬間的に保持できるように、金型を構成する各層の熱伝導度を所定の範囲に規定することが必要である。したがって、100℃の熱伝導度が10W/m・K未満である断熱層3、100℃の熱伝導度が10〜70W/m・Kである金属製金型母材5、及び断熱層3と金属製金型母材5の間に100℃の熱伝導度が70W/m・Kを超える熱伝導層4を有する。さらに、成形サイクルの短縮化を図るには、断熱層3に瞬間的に保持された熱を金属製金型母材5に迅速に伝導又は伝達させることが必要であるため、熱伝導性の観点から熱伝導層4の厚さを0.01〜5.00mmで設ける必要がある。各層の熱伝導率及び熱伝導層4の厚さを前記の範囲に規定することにより溶融樹脂から金属製金型母材5への熱の伝導又は伝達を容易に調整できるため、微細な表面形状を高精度で形成しつつ、成形サイクルを従来の断熱金型に比べて短縮化することができる。

0024

本発明において、断熱層3の熱伝導率(100℃の値)が10W/m・K以上であると、断熱層としての機能が十分に得られない。また、金属製金型母材5は熱伝導率(100℃の値)が10W/m・K未満であると、十分な冷却効果が得られない。逆に、金属製金型母材5の熱伝導率(100℃の値)が70W/m・Kを超えて大きくなりすぎると、大きな熱容量によって熱の伝導又は伝達が加速されるため、溶融樹脂の熱が断熱層で瞬間的に保持されない。それにより、金型内に設ける断熱層の機能が大幅に低減し、断熱層4を設けても微細な表面形状を高精度で形成することが難しくなる。この傾向は樹脂成型品が大面積になるほど顕著になる。一方、断熱層3と金属製金型母材5の間に介在する熱伝導層4は、金属製金型母材5の熱伝導度が前記の範囲であるため、100℃において70W/m・Kを超える熱伝導率を有する必要がある。

0025

また、熱伝導層4は、厚さが0.01mm未満であると、熱伝導又は接伝達の効果がほとんど得られない。逆に、厚さが5.00mmを超えて厚くなりすぎると、熱伝導層4の熱容量が大きくなり、100℃において70W/m・K以上の熱伝導率を有する高熱伝導性の金属製金型母材を断熱層へ直に当接した場合と同じ機能と作用が付与されるだけである。その結果、前記特許文献1及び2に記載の断熱金型と同じように、金型内に設ける断熱層の機能が大幅に低下し、溶融樹脂の熱が断熱層で瞬間的に保持されなくなる。

0026

図1の(a)に示す金型1は、熱伝導層4が断熱層3の下部境界面と当接する位置に設けられるため、断熱層3に保持される溶融樹脂の熱は熱伝導層4に迅速に伝導又は伝達する。一方、図1の(b)に示す金型6のように、断熱層3と熱伝導層4との間に接合層7を備える構造を採用する場合は、接合層7の熱伝導率が熱伝導層4よりも一般的に低いため、断熱層3と接合層4との間の距離を小さくすることが熱伝導性の点で不可欠である。本発明においては、断熱層3との下部境界面から0.1mm以下の位置に設けることが必要である。熱伝導層4が断熱層3との下部境界面から0.1mmを超えて配置される場合は、熱伝導又は熱伝達が迅速に行われず、成形サイクルの短縮化の効果がほとんど得られない。

0027

本発明においては、さらに、断熱層3は100℃の熱伝導率が5W/m・K以下で、0.01mm〜2.00mmの厚さを有し、熱伝導層4は100℃の熱伝導率が150W/m・K以上で、0.01〜5.00mmの厚さを有し、金属製金型母材5は100℃の熱伝導率が10〜70W/m・Kで、10mmを超える厚さを有することが好ましい。断熱層3、熱伝導層4及び金属製金型母材5は、熱伝導率だけでなく厚さについても具体的な範囲で規定することにより、溶融樹脂から金属製金型母材5への熱の伝導又は伝達の調整を行うことが容易になり、熱の伝導又は伝達の最適化に大きな効果が得られる。

0028

断熱層3の100℃における熱伝導率を5W/m・K以下にし、その厚さを0.01mm〜2.00mmに設定することにより、溶融樹脂の熱が断熱層で瞬間的に保持される効果が確実に得られるため断熱層としての機能が大幅に向上する。さらに、熱伝導層4の100℃における熱伝導率を150W/m・K以上とし、厚さを0.01〜5.00mmに設定するとともに、100℃において10〜70W/m・Kの熱伝導度を有する金属製金型母材5を、10mmを超える厚さで熱伝導層4に当接して設けることにより、断熱層に瞬間的に保持された熱の伝導及び伝達がより促進され、金型の冷却効果を高めることができる。このようにして断熱と熱伝導の両効果が確実に得られるため、樹脂成形品の微細な表面形状を高精度で形成しつつ、成形サイクルを従来の断熱金型に比べて大幅な短縮化を図ることができる。

0029

本発明の金型において、断熱層3、熱伝導層4、及び金属製金型母材5の熱伝導率は、特に断りがない限り、100℃の値である。実際の射出成形時で設定される金型は60〜120℃の範囲の温度に設定されるのが一般的である。そのため、本発明の目的を鑑みると、各層の熱伝導率を規定する場合は、射出成形時の金型温度、具体的には100℃で測定した値が適当である。しかしながら、高熱伝導金属として広く知られている銅の熱伝導率は、20℃及び100℃の値がそれぞれ386W/m・K及び377W/m・Kであり、両者の差は非常に小さい。同様に、アルミニウムにおいても、20℃及び100℃の値がそれぞれ204W/m・K及び206W/m・Kであり、温度による違いは非常に小さい。したがって、各層の熱伝導率を室温(具体的には10〜30℃)の値で規定しても熱伝導率の大小に何ら影響を与えないものではないので、100℃の熱伝導率が明確でない材質の組み合わせについては室温の熱伝導率を用いてもよい。

0030

本発明においては、図2に示すように、断熱層3及び熱伝導層4の少なくともいずれかにおいて、それぞれ厚さが成形空間(キャビティ)の領域内と前記キャビティの領域外では異なる構成を有していてもよい。図2に示す構成により、断熱層3による断熱効果及び熱伝導層4による熱の伝導又は伝達の効果を、それぞれの層が有する熱伝導率及び厚さだけでなく、キャビティ領域内とキャビティ領域外との間でそれぞれの層の厚さを変えることにより微妙に調整できることから、成形サイクルの一層の短縮化を行うときに金型設計の自由度を増すことができる。

0031

図2の(a)は、キャビティの領域外に比べて、キャビティ領域内で薄く形成された熱伝導層4を有する金型8の断面を模式的に示す概略図である。図2の(b)は、キャビティの領域外に比べて、キャビティ領域内で厚く形成された断熱層3を有する金型9の段面を模式的に示す概略図である。また、図2の(c)は、(a)と(b)との組み合わせであり、キャビティの領域内において、キャビティの領域外より厚い断熱層3及び薄い熱伝導層4を有する金型10の断面を模式的に示す概略図である。図2の(a)、(b)及び(b)は、金型の構造上の違いだけであり、目的とする機能と作用は同じである。

0032

図2に示す金型8、9、10は、断熱層3において瞬間的に保持される溶融樹脂の熱が、樹脂成形品表層の転写面を含むキャビティ領域内から急速に熱の拡散又は伝達されるのを抑制する一方で、キャビティ領域外ではその熱の伝導又は伝達を加速させるために、キャビティ領域外に位置する熱伝導層4の厚さを断熱層3に比べて相対的に厚くした構造を有する。それにより、キャビティ領域内と領域外との間で、熱伝導又は熱伝達の速度と程度に差が生まれる。

0033

図2に示す金型において断熱層3及び熱伝導層4の厚さは、例えば、次のようにして変えることができる。図2の(a)に示す金型8の場合は、金型のキャビティ領域内に相当する部分として凸状段差を有する平坦面を有する金属製金型母材5を用いて、その上に熱伝導層4を形成する。次いで、熱伝導層4の上面を精密機械研削及び精密機械研磨の少なくともいずれかの方法により所定の厚さになるように平坦状に加工した後、断熱層3を形成する。必要であれば、さらに、断熱層3の上に表面保護層2を形成する。

0034

また、図2の(b)に示す金型9の場合は、平坦な金属製金型母材5を用いて、その上に熱伝導層4を形成した後、熱伝導層4においてキャビティ領域に相当する部分が凹状段差を有する平坦面となるように、精密機械研削及び精密機械研磨の少なくともいずれかの方法により所定の厚さに加工する。次いで、熱伝導層4の上部に断熱層3を形成し、該断熱層3の上面を精密機械研削及び精密機械研磨の少なくともいずれかの方法により所定の厚さで平坦状に加工する。必要であれば、さらに、断熱層3の上に表面保護層2を形成する。また、図2の(c)に示す金型10の場合は、上記金型8及び金型9を作製する方法を組み合わせて各層を形成することができる。

0035

図2に示す金型8、9及び10が有する断熱層3、熱伝導層4及び金属製金型母材5は、厚さがそれぞれ0.01mm〜2.00mm、0.01〜5.00mm及び10mmを超えるように形成することが好ましい。また、必要に応じて表面保護層2を形成する場合、表面保護層2の厚さは、金型の耐久性を向上させつつ、断熱層3の機能を大きく損なわない程度に調整する。

0036

図3は、キャビティ領域が凸形状となる本発明の金型を模式的に例示する概略断面図である。図3に示す金型11は、キャビティの領域外に位置する熱伝導層4の厚さがキャビティの領域内に比べて厚くなっており、図2の(a)に示す金型8と基本的に同じ機能と作用を有する。したがって、キャビティの領域内に位置する断熱層3に瞬間的に保持される溶融樹脂の熱は、キャビティの領域外に位置する厚膜の熱伝導層4を通して金属製金型母材5へ迅速に伝導又は伝達される。それにより、キャビティの領域内で成形される樹脂成形品の表面形状を高精度に保ちつつ、成形サイクルの一層の短縮化を図ることができる。ここで、キャビティ領域に形成される形状としては、図2及び図3に示すように平面形状及び凸形状には限定されず、凹形状又は光ディスク、導光板及び表示板等のように金型転写面側に穴、孔又は溝の多数個が形成される形状であってもよい。また、図3に示す金型の構造としては、図2の(c)に示す金型10と同じように、熱伝導層4だけでなく、断熱層3の厚さをキャビティの領域内と領域外の間で変えてもよい。

0037

次に、本発明の金型を構成する各層の材質とその熱伝導率及び各層の形成方法について説明する。

0038

<断熱層>
本発明の金型が有する断熱層3の材質としては、例えば、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂フェノール樹脂尿素樹脂不飽和ポリエステル等の熱硬化性樹脂ポリカーボネート等の熱可塑性耐熱性樹脂(熱伝導率:0.1〜0.4W/m・K);ジルコニア(熱伝導率:3W/m・K)やアルミナ純度99.7%品における熱伝導率:29W/m・K)、酸化チタンアナターゼにおける熱伝導率:8.4W/m・K)、チタン酸アルミニウム(熱伝導率:1.5W/m・K)等のセラミック;及び無機酸化物ガラス(熱伝導率:0.5〜2W/m・K)等が挙げられる。これらの材質は、室温〜100℃の間ではほぼ同じ熱伝導率を有する。前記耐熱性樹脂には、無機ガラス繊維有機繊維などの低熱伝導性の繊維が含まれていてもよい。また、断熱層3は、多孔質構造を有し、該多孔質中の空隙が別の固体で充填される構造を有してもいてもよい。本発明においては、これらのなかで、熱伝導率が5W/m・K以下と小さな材質を使用するのが好ましい。

0039

<熱伝導層>
本発明の金型が有する熱伝導層4としては、例えば、純銅(100℃のの熱伝導率:377W/m・K)、アルミニウム(100℃の熱伝導率:240W/m・K)、マグネシウム(100℃の熱伝導率:154W/m・K)、亜鉛(100℃の熱伝導率:112W/m・K)、黄銅(100℃のの熱伝導率:128W/m・K)、ニッケル(100℃の熱伝導率:83W/m・K)又はそれらの合金が挙げられる。また、金(100℃の熱伝導率:313W/m・K)や銀(100℃の熱伝導率:422W/m・K)等の高熱伝導性の貴金属、又はタングステン(100℃の熱伝導率:163W/m・K)、モリブデン(100℃の熱伝導率:135W/m・K)等の金属又はそれらの合金を使用してもよいが、これらの金属はコストや加工性等の点で使用の際には検討が必要である。本発明においては、これらの中で、熱伝導率が150W/m・K以上と大きく、低コストで、加工性等を含めて取り扱いが容易である銅及びアルミニウム、又はそれらの合金を使用するのが好ましい。

0040

熱伝導層の形成は、特定の方法に限定されず、公知の方法を採用することができる。例えば、スパッタリング法イオンプレーティング法MBE法真空蒸着法等の物理的気相成長;熱CND、MOCVD、PFプラズマCVD等の化学的気相成長法電解メッキ無電解メッキ等のメッキ;銀、銅、黄銅、りん銅アルミ等のろう付け;機械的なボルト固定;溶射等の少なくともいずれかの公知の方法を用いて行う。本発明においては、これらの方法の1種だけでなく、2種以上を組みあわせてもよい。

0041

本発明は、金属製金属母材の表面上に設ける伝導層をやや厚膜に形成することにより、断熱層の機能を保持しつつ、熱伝導層による熱の伝導又は伝達を加速することができるため、成形サイクルの一層の短縮化が可能になる。そのため、厚膜の熱伝導層を短時間で形成しやすい方法として、上記の方法の中から、メッキ、ろう付け、ボルト固定及び溶射の各方法を採用することが好ましい。さらに、均一な厚膜を形成できることから、電解メッキ又は無電解メッキと電解メッキとを組み合わせるメッキ方法によって熱伝導層を形成することが特に好ましい。メッキ方法であれば、熱伝導層の形成において、数mmの厚膜だけでなく、数十ミクロン薄膜を均一に、かつ、他の方法に比べて容易に形成することができる。

0042

<金属製金型母材>
本発明の金型が有する金属製金型母材5は、金属から構成されていればよく、公知又は市販の材質を使用することができるが、上記で述べたように、100℃の熱伝導率が10〜70W/m・Kであるものを使用することが必要である。本発明においては、銅、アルミニウム等の金属単体、又は銅合金チタン合金等の材質は熱伝導率が大きいため、金属製金型母材5として不適である。そこで、鉄系金属を用いることが好ましく、例えば、炭素鋼(100℃の熱伝導率:36〜53W/m・K)、ステンレス鋼(100℃の熱伝導率:13〜27W/m・K)、ニッケル鋼(100℃の熱伝導率:10〜26W/m・K)、ニッケルクロム鋼(100℃の熱伝導率:36W/m・K)、ケイ素鋼(100℃の熱伝導率:19〜42W/m・K)及びクロム鋼(100℃の熱伝導率:31〜45W/m・K)等のプラスチック射出成形金型として使用されているものが好適である。それらの中で、高強度及び高硬度で耐久性に優れるステンレス鋼がより好ましい。

0043

上記の鉄系金属は、硬度や加工性の点でも優れ、さらに、高熱伝導性金属である銅、銅合金、アルミ合金及び銅−ベリリウム合金等に比べ汎用性に富むため、本発明の金型に使用する金属製金型母材5として好適である。この金属製金型母材5は、鉄系金属の溶製材又は焼結材のいずれであってもよい。

0044

金属製金型母材5の成形面側は、面又は曲面のいずれかの形状で形成されており、また、最終成形体に付与すべき微細形状の反転型となっていてもよく、目的とする成形品の形状に応じて適宜選択することができる。例えば、凹凸部(突起部又は溝部)を成形する場合、金属製金型母材5の成形面側に、あらかじめ成形面に転写すべき形状の反転型又はそれに類似する形状を形成されていてもよい。

0045

<接合層>
図1の(b)に示す金型6に設けられる接合層7は、主に断熱層3と熱伝導層4との接合を向上させるために設けられるものであり、特に、酸化されて強固な酸化物皮膜を表面に形成しやすい金属が好ましい。例えば、チタニウム(Ti)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)等又はこれらの合金が好ましい。接合層の厚みは、熱伝導性の点から0.1mm以下であり、好ましくは0.01mm以下、より好ましくは0.001mm(1μm)以下である。また、断熱層3と熱伝導層4との接合を確実にするため、接合層の厚みは0.02μm以上が好ましい。したがって、接合層の厚みは、熱伝導性及び接合性の両者を考慮すると0.02〜1.0μmに設定するのが実用的である。

0046

接合層4の形成は、熱伝導層の表面上に物理的気相成長法PVD法)によって行う。物理的気相成長法(PVD法)は、薄膜の接合層を形成するのに適しており、例えば、スパッタリング法、イオンプレーティング法、MBE法、真空蒸着法等が挙げられる。接合層としては、単層から構成されてもよいし、多層から構成されてもよい。

0047

図1の(b)に示す接合層7は、断熱層3と熱伝導層4との間に設けられているが、本発明においては、必要に応じて、熱伝導層4と金属製金型母材5との間、又は表面保護層2と断熱層3との間にも接合層7とは別の接合層を設けてもよい。前記接合層7とは別の接合層についても、接合層7において例示した材質及び厚さの中から、それぞれの層の接合性を高めることができる最適な組み合わせを選択して形成することができる。

0048

<表面保護層>
本発明の金型は、図1及び図2に示すように、成形品の転写面側に表面保護層を設けることにより次のような効果を得ることができるため、表面保護層2を有することが実用的である。
(1)ミクロンオーダー以下の高い精度で金型の形状を成形体に転写するため、十分な転写性が得られる。
(2)射出圧力を高めたり、射出速度を上げる等をしなくても十分な転写性が得られるため、金型の耐久性が向上する。
(3)耐熱性樹脂又はセラミックから構成される断熱層を成形品の転写面とする場合には、表面形状が粗く、構成成分から微粒子磨耗粉の発生しやすいため、光学表面や高精度の表面形成を有する成形品を製造することが困難になることがある。また、耐熱性樹脂の断熱層は、金属に比べて熱膨張係数が大きいため、使用中に断熱層が熱伝導層から剥離しやすく、金型耐久性が低くなる場合もある。この技術課題は、金型最表面に設ける表面保護層よって解決することができる。

0049

表面保護層2は、例えば、金属皮膜及びアモルファスダイヤモンドカーボン皮膜の少なくともいずれかによって、単層又は2層以上の多層の構成で形成することができる。金属皮膜の成形方としては、例えば、電気メッキ、無電解メッキ等のメッキ法熱CVD、MOCVD、RFプラズマCVD等の化学的気相成長法;イオンプレーティング法、MBE法、真空蒸着法等の物理的気相成長法等の公知の薄膜形成方法が挙げられる。また、アモルファスのダイヤモンドカーボン皮膜は、例えば、マグネトロンスパッタリング法等でカーボンターゲットを用いて形成することができる。

0050

表面保護層2の厚さは、金型の耐久性を向上させつつ、断熱層3の機能を大きく損なわない程度に設定する必要があるため、0.1μm〜1mmが好ましく、さらに1μm〜0.5mmがより好ましい。

0051

本発明の金型に表面保護層2を形成する場合は、耐摩耗性及び耐久性の点から数μm以上の比較的厚膜を短時間に形成できること、及び、微細な表面形状を高精度で付与できるような優れた平面平滑性を有する表面を形成できること等から、前記断熱層と接触する面の反対側、すなわち樹脂成形品表層の転写面側に、メッキ膜又はダイヤモンドライクカーボン膜からなる最表面層を有することが好ましい。このとき、表面保護層2の耐摩耗性をさらに向上させるため、ダイヤモンドライクカーボン膜の例としてフッ素含有のダイヤモンドライクカーボン膜を使用してもよい。

0052

本発明の金型において表面保護層2が単層の構成を有する場合は、メッキ膜又はダイヤモンドライクカーボン膜が単独の層として形成される。また、表面保護層2が2層以上の多層の構成を有する場合は、最表面層にメッキ膜及びダイヤモンドライクカーボン膜のいずれかの膜が形成される。例えば、最表面層としてダイヤモンドライクカーボン膜を形成するときは、断熱層3との被着性を向上させるため、最表面層のダイヤモンドライクカーボン膜と断熱層3との間に、Cr、W、Ti、Si等からスパッタリング下地層を形成してもよい。その場合、表面保護層2は、スパッタリング下地層と最表面層にダイヤモンドライクカーボン膜とを有する2層の構成を有するものと考えることができる。

0053

<樹脂成形装置及び樹脂成形品の成形方法>
本発明の金型は、光学素子又は精密部品等の樹脂成形に行うときに使用する射出成形装置又は射出圧縮成形装置等の樹脂成形装置に具備される金型として適用する。本発明の樹脂成形装置として射出成形装置の例を図4に示す。図4に示す樹脂成形装置12は、大別して型締ユニットと射出ユニットに分かれる。型締ユニットは、金型の開閉、突き出し(エジェクター)を行い、基本的に、固定盤13と、可動盤14と、開閉駆動装置15とを有する。型締ユニットの方式としては、トグル方式と、油圧シリンダーで直接金型を開閉する直圧式とがあり、型締方式に応じてユニット内に型締盤を備える場合もある。型締ユニットによって、固定盤13と可動盤14との間に可動金型16aと固定金型16bからなる金型16を配置し、両者の金型を挟持して型締めすることにより成形を可能にする。

0054

固定盤13は、可動盤14に対向して支持台17の中央に固定されており、その上部には取り出し装置18が備えられている。取り出し装置18には、装置制御部(不図示)と電気的に接続されている。

0055

図4に示す射出ユニットは、樹脂を加熱溶融し、金型16へ射出させるために、基本的に、ノズル19と、ヒータ20と、シリンダー21と、樹脂投入用のホッパー22と、射出駆動装置23とを有する。シリンダー21の内部にあるスクリュー(不図示)を回転さえ、ホッパー22から投入した樹脂を、スクリュー前部へ留め(計量部分)、必要樹脂量に相当するストロークで留めた後、射出が行われる。樹脂が金型内を流動しているときは、スクリューの移動速度(射出速度)を制御し、樹脂が充填された後は圧力(保圧力)で制御する。速度制御から圧力制御への切換は、一定のスクリュー位置や一定の射出圧力に達したときに切換るよう設定する。

0056

金型16は、温水や油、ヒータ等で温度が管理される。溶融した樹脂は金型16のスプルーから金型16の内部に入りランナーゲートを経てキャビティ内に充填される。その後、冷却工程を経て、金型16が開き、樹脂成形装置12のエジェクタロッド(不図示)に金型のエジェクタプレートが押されて樹脂成形品が突き出される。突き出された樹脂成形品は、取り出し装置18によって取り出される。

0057

本発明の樹脂成形装置は、金型16の可動金型16aと固定金型16bにおいて、光学素子又は精密部品等の樹脂成形品の表面に形成する微細な凹凸パターンを転写する側に位置する型に、少なくとも本発明の金型を適用する。樹脂成形品の両側表面に微細な凹凸パターンを形成する場合には、本発明の金型を可動金型16aと固定金型16bの両者に適用する。それにより、樹脂成型品に微細な表面凹凸パターンを、従来の断熱金型と比べてより短い成形サイクルによって高精度で形成できるため、高外観成形品の成形を効率的に行うことが可能になる。

0058

以上のようにして、本発明の樹脂成形装置を用いて樹脂射出成形が行うが、樹脂射出圧縮成形の場合でも、基本的には樹脂射出成形の場合と同じ工程に従って樹脂成形を行うことができる。樹脂射出圧縮成形は、樹脂射出成形の場合と同じように、溶融樹脂が金型16の内部に入った後に保圧を行うが、該保圧の工程の間に可動金型16aを固定金型16bの方へ移動させて圧縮工程を加える点が異なるだけである。樹脂射出圧縮成形は、複雑な表面パターン形状、例えば、非球面形状の成形において好適な成形方法である。

0059

以下において、本発明に基づく実施例を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。

0060

<実施例1>
本発明の効果を検証するため、有限要素法を用いた熱シミュレーションを行った。シミュレーションソフトはMoldex3D Vie.R13(コアテックステム製)を用いた。

0061

図5にシミュレーションに用いる金型の断面構造を示す。金型は、金属製金型母材5からなる上型と、断熱層3、熱伝導層4及び上型と同じ材質の金属金型母材5からなる下型から構成されており、成形品24の形状は平板とした。なお、本実施例においてはシミュレーションを簡単するため、図5に示すように表面保護層を除外した金型について計算を行った。また、図6に、シミュレーションを行って計算される成形品の温度測定ポイントを示す。図6に示すように、ゲートの中心位置から30mm及び59mm離れた位置(R30、R59)のそれぞれに温度測定ポイントを設定し、その地点における基板表面温度を計算した。下記表1に、シミュレーションに用いたパラメータを示す。

0062

0063

図6に示す成形品のR30、R59の地点における温度の成形時間による変化についてシミュレーションを行った結果を図7に示す。図7は成形品24の冷却曲線を示しており、取出し温度到達部分の拡大図から分かるように、本発明の金型(本発明品)を、熱伝導層を有しない従来の金型(従来品)と対比すると、相対的に同じ成形時間において本発明品の方が成形品の温度が低くなっている。本発明品(断熱層+高熱伝導層)と従来品(断熱層のみ)において、R30及びR59の地点におけるピーク温度及び取出し可能温度に達する時間の比率まとめると、下記表2に示すようになる。ここで、「取り出し可能温度」としては、図7に示すように任意の温度単位が2.9程度となる点を基準とした。この温度単位点は樹脂成形において実際に取り出しが可能な温度と一致するように決めたものである。

0064

0065

表2に示すように、それぞれの地点において、本発明品を現行品と比較すると、ピーク温度には違いは無いが、取出し可能温度に達するまでの時間はR30の地点で12.0%、R59の地点にて7.5%短縮された事が分かった。断熱層3を有する断熱金型に特徴的にみられる現象は、瞬間的な保温効果による熱の移動の遅延が起こるため、温度の鋭いピークの大きな立ちあがり観測されることである。したがって、本発明品と現行品との間でピーク温度に差がほとんど見られないことは、本発明の断熱金型としての効果が、現行品に比べて低下しないことを意味する。このように、本発明は、熱伝導層を有しない従来の金型と比べて、断熱金型としての特性を維持しながら、高い冷却効果が有することが確認された。

0066

<比較例1及び2>
図5に示す金型の断面構造において、断熱層3及び伝導層4を有しない金型について実施例1と同じようにしてシミュレーションを行った。この金型は金属製金型母材5だけで構成されるものであり、金属製金型母材5の100℃における熱伝導率としては、銅金属に模擬した200W/m・kを用いた。このシミュレーション例を比較例1とする。

0067

また、表1に示すシミュレーションのパラメータにおいて、熱伝導層4及び金属製金型母材5の100℃における熱伝導率を、両者とも200W/m・kにした金型についても比較例2としてシミュレーションを行った。比較例2の金型は、断熱層3を有するものの、熱伝導層4と金属製金型母材5とが200W/m・Kの高熱伝導率を有する金属製金型母材で一体化された構造を有する。そのため、実質的に熱伝導層4を有しない構造、すなわち高熱伝導性の銅合金製金型母材5が断熱層に当接した構造を模擬したものである。

0068

シミュレーションの結果、比較例1及び2は、取出し可能温度に達するまでの時間がR30とR59の両地点において図7に示す本発明品及び従来品より短くなった。取り出し可能温度に対する時間比率を、図7に示す従来品と比べると、R30の地点で25%以上、R59の地点において15%以上の短縮がみられた。一方で、ピーク温度について対比を行うと、比較例1及び比較例2は共に、本発明品及び従来品に対して60%の値にしかならなかった。また、比較例1と比較例2との間でピーク温度と取り出し可能温度に対する時間を対比すると、両者にはほとんど差異がみられず、比較例2の金型構造は、断熱層3を有するにもかかわらず、比較例1と同じような成形品の冷却曲線を有することが分かった。したがって、金型母材が熱伝導率の高い材質で構成され、大きな熱容量により急冷される比較例2の金型は、溶融樹脂の熱を瞬間的に保持するという断熱層3としての機能が十分に発現していないことが確認された。つまり、比較例2の金型は、冷却時間の短縮は可能となるが、転写性、高流動性と言った本来断熱金型が持つ利点が十分に発揮できないことが明確となった。

0069

<実施例2>
実施例1のシミュレーション結果を基に、実機を用いた成形テストを行った。図5に示す下型に相当する金型は、次のようにして作製した。

0070

熱伝導層の形成方法を次に示す。熱処理によりHRC52に調整した金属製金型母材5(材質SUS420J2:100℃の熱伝導率=27W/m・K)に熱伝導層4を硫酸銅めっきにより形成する。10%水酸化ナトリウムにて脱脂後、10%塩酸酸洗の後、硫酸銅250g/L、硫酸65g/Lに調整しためっき液でめっきを行った。浴温度は30℃とし、試料カソード側に設置し、アノードに純銅を設置、電流密度10A/dm2にてカソードに銅を還元させた。25時間めっきを行い、試料上に530μmの純銅被膜を得た。さらに膜厚分布の均一化の為、平面研削盤及び研摩機を用いて500μmに被膜厚を調整した。

0071

硫酸銅めっきにより得られた純銅表面に、断熱層3を形成する方法を以下に示す。試料を真空チャンバー内カソード電極に設置し、チャンバーガス圧が3×10−3Paまで排気を行った。その後、マスフローを用い、アルゴンガスを流量50sccmにて導入し、アノード電極カソード電極間に1KVの直流バイアス電圧掛けた。プラズマ化したアルゴンが、カソード(試料)表面に衝突を繰り返し、表面の酸化膜及び吸着した汚れを除去した。次にスパッタターゲットに99.99%ジルコニアを設置、RF電源及びマグネトロンスパッタ装置を用いグロー放電を起こした。この際ガス媒体としてはアルゴンガスを選定し、マスフローを用いて100sccmで導入した。スパッタ出力は1500Wとし、42時間成膜することで厚み55μmのジルコニアによる断熱層3を得た。

0072

マグネトロンスパッタによって形成された断熱層3の表面の均一を得るため、粒径1μmのダイヤモンド砥粒コロイダルシリカとを用いて研磨し、表面祖度をRa=20nm、断熱層膜厚50μmに調整した。

0073

実施例1のシミュレーション結果から分かる様に、本発明品(断熱層+高熱伝導層)は従来品(断熱層のみ)の場合と比較し、ピーク温度から取出し可能温度に達する時間が短い。本実験では、実際の成形における冷却時間短縮の検証を行った。樹脂温度が十分に下がっていない状態で取り出した場合、成形品として問題となる特性は、反りが挙げられる。これは、成形品が十分な冷却が終了していない状態で型からフリーに成るため、後収縮と呼ばれる変形が発生する為である。

0074

そこで、本実験では、各冷却時間に対する反り量を計測し、反り量が100μm以下に入る境界値を必要な冷却時間として算出した。この100μm以下の反り量は、光学素子及び精密部品の最大反り量として一般的に許容される値である。実験に用いた成形品および成形プロセスの基本条件は表1に示す内容に従った。成形後の成形品の反り量は、図8に示すように、反りが凹となる様定盤上に成形品を設置し、長手方向の片側を押さえ、定盤に完全に設置してから、押さえた逆側の高さhを測定顕微鏡STMオリンパス製)で測定を行った。実験結果として冷却時間と反りの関係を図9に示す。

0075

冷却時間と反り量との関係を、図9に示すように2次関数の形態で近似プロットをとり、必要な冷却時間、つまり反り量の許容値である100μmを下回る冷却時間を求めた。その結果、従来品(断熱層のみ)では2.8secであるのに対して、本発明品(断熱層+高熱伝導層)は1.8secであり、従来品と比べて1秒の短縮が可能となった。下記表3に、成形トータル時間の短縮率を含めた評価結果をまとめて示す。表3に示す成形トータル時間は、成形トータル時間=射出時間(1.5秒)+冷却時間で表される。

0076

0077

成形後のサンプルは、従来品(断熱層のみ)、本発明品(断熱層+高熱伝導層)どちらのタイプも、その他の必要とされる品質特性ひけ、応力、転写性、うねり黄変)に関して問題は確認出来なかった。このように、本発明品は、断熱層のみで構成される従来品に比べて、断熱層と金属製金型母材との間に熱伝導層を有することにより、樹脂成形品の表面を高外観に保ちつつ、成形サイクルの短縮化を図ることができることが確認された。

0078

本実施例においては、表面保護層を形成しない金型を用いて本発明の効果を検証したが、例えば、メッキ膜又はダイヤモンドライクカーボン膜からなる最表面層を有する表面保護層を成形品表層の転写面側に形成した金型においても本実施例と同じ効果が得られることを確認している。したがって、成形品表層の転写性向上や金型耐久性の向上等を図る場合には、表面保護層の形成によって高機能化した本発明の金型を使用するのが好適である。

実施例

0079

以上のように、本発明の金型は、熱を瞬間的に保持できる断熱層としての機能が十分に発現するように、溶融樹脂から金属製金型母材への熱の伝導又は伝達を最適化することができるため、小型だけでなく、大面積の樹脂成型品においても微細な表面形状を高精度で形成しつつ、成形サイクルを従来の断熱金型に比べて短縮化することができる。したがって、本発明の金型を樹脂成形装置に適用することにより、高精度の表面形状が求められる光学素子や精密部品等の樹脂成形に最適で、かつ、量産性に優れた樹脂成形装置を提供することができ、さらに、微細な表面形状を高精度で形成した高外観を有する樹脂成形品の成形方法を確立することができる。

0080

1,6,7,8,9,10,11,16・・・金型
2・・・表面保護層
3・・・断熱層
4・・・熱伝導層
5・・・金属製金型母材
12・・・樹脂成形装置
13・・・固定盤
14・・・可動盤
15・・・開閉駆動装置
17・・・支持台
18・・・取り出し装置
19・・・ノズル
20・・・ヒータ
21・・・シリンダー
22・・・ホッパー
23・・・射出成形装置
24・・・成形品

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

  • TOYOTIRE株式会社の「 ベントピース、タイヤ加硫金型及びタイヤの製造方法」が 公開されました。( 2020/04/30)

    【課題】スピュー切れの発生を抑えることができるベントピース、タイヤ加硫金型及びタイヤの製造方法を提供する。【解決手段】ベントピース2は、筒状のホルダ3と、ホルダ3の内側に入れ子状に挿入された筒状のチャ... 詳細

  • 株式会社庄内工業の「 樹脂パネルの製造方法」が 公開されました。( 2020/04/30)

    【課題】断熱性を高めるだけでなく積極的に熱源となり得る樹脂パネルの製造方法を提供する。【解決手段】樹脂パネル1は、型6により区画されるキャビティ7内に、厚さ方向に貫通する複数の孔2の形成されるプレート... 詳細

  • 住友ゴム工業株式会社の「 タイヤ用モールド」が 公開されました。( 2020/04/30)

    【課題】スピューの形成を抑えつつベアの発生が抑えられたタイヤ用モールドの提供。【解決手段】上このモールド2は、キャビティ面22からこのモールド2の外面24まで貫通する孔18を備える本体20と、この孔1... 詳細

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ