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技術 植物性タンパク含有組成物用の香味改善剤及び香味改善方法

出願人 三栄源エフ・エフ・アイ株式会社
発明者 金森郁奈阪本武
出願日 2017年10月18日 (2年2ヶ月経過) 出願番号 2017-201806
公開日 2019年5月16日 (7ヶ月経過) 公開番号 2019-071851
状態 未査定
技術分野 調味料
主要キーワード 調理用材料 クエン酸含有量 マスキング評価 常温条件 表示制度 野菜素材 文部科学省 クエン酸量
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2019年5月16日)のものです。
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図面 (13)

課題

植物性タンパク質を含有する組成物(特に飲食物)についてその香味を改善するために使用される可食性組成物香味改善剤)、及びその方法(香味改善方法)を提供する。また、香味が改善された植物性タンパク質含有組成物の製造方法を提供する。

解決手段

植物性タンパク含有組成物用香味改善剤としてトマト加工物を用いる。好ましくは、植物性タンパク含有組成物に対して、トマト加工物を(1)または(2)の割合になるように使用する:(1)トマト由来無塩可溶性固形分:0.05質量%以上(2)クエン酸:0.02質量%以上。

概要

背景

従来より、肉団子ハンバーグなどの食肉加工食品、並びに魚肉ソーセージなどの魚介類加工食品について、食感改良等を目的として大豆タンパクなどの植物性タンパク原料の一つとして配合される場合がある。しかし、植物性タンパクは、一般にタンパク臭といわれるタンパク特有不快臭を有しており、特に加熱工程を経ることでその臭いが増すことが知られている、このため、上記畜肉加工食品についても、調理の加熱工程で植物性タンパクに由来する不快臭(タンパク臭)が発生し、香味が損なわれるという問題がある。

また、クッキーやケーキなどの菓子についても、昨今、健康志向や増量を目的として、大豆粉やおから等の植物性タンパクが配合される場合が増えている。しかし、この場合も、焼成などの加熱工程によりタンパク臭が発生し、本来の菓子の香味が少なからず損なわれている状況がある。

こうした植物性タンパクに起因する不快臭については、従来より香料香辛料抽出物スパイス)等によってマスキングする方法が知られている他、大豆タンパクそのものの製造方法を工夫することで低臭化する方法が知られている(特許文献1)。

一方、トマトには、グルタミン酸アスパラギン酸といった旨味を呈するアミノ酸が、可食部100gあたり570mgもの多量含まれている(非特許文献1)。このため、畜肉や魚介類を使った料理の旨味を相乗的に増加させることができるとして、西欧料理では、トマトやその加工食品が、日本料理における出汁醤油、または味噌などのように味付けの基本として、一般的に使用されている。特に、トマトには獣臭や生臭さを軽減する効果があるため(非特許文献2)、畜肉や魚介類を使用した料理と相性がよいとされている。

概要

植物性タンパク質を含有する組成物(特に飲食物)についてその香味を改善するために使用される可食性組成物香味改善剤)、及びその方法(香味改善方法)を提供する。また、香味が改善された植物性タンパク質含有組成物の製造方法を提供する。植物性タンパク含有組成物用香味改善剤としてトマト加工物を用いる。好ましくは、植物性タンパク含有組成物に対して、トマト加工物を(1)または(2)の割合になるように使用する:(1)トマト由来無塩可溶性固形分:0.05質量%以上(2)クエン酸:0.02質量%以上。なし

目的

本発明は植物性タンパク質を含有する組成物、特に飲食物についてその香味を改善するために使用される可食性組成物(香味改善剤)を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

請求項2

前記植物性タンパク含有組成物が加熱処理組成物である、請求項1記載の香味改善剤。

請求項3

前記植物性タンパク含有組成物がn−ヘキサナール及びリノール酸の少なくとも1種を含有するものである、請求項1または2に記載する香味改善剤。

請求項4

前記植物性タンパク含有組成物が大豆タンパクを含有する食品組成物である、請求項1乃至3のいずれかに記載する香味改善剤。

請求項5

前記食品組成物が食肉含有食品魚介類含有食品、菓子パン、麺、及び栄養強化食品からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項4に記載する香味改善剤。

請求項6

前記トマト加工物が、脱パルプ処理濃縮トマトである請求項1乃至5のいずれかに記載する香味改善剤。

請求項7

前記脱パルプ処理濃縮トマトが、無塩可溶性固形分が40質量%以上の濃縮トマトである請求項6に記載する香味改善剤。

請求項8

前記トマト加工物が、品温85℃以上の加熱処理に少なくとも3回供してなるものである請求項1乃至7のいずれかに記載する香味改善剤。

請求項9

植物性タンパク含有組成物を香味改善するための香味改善剤であって、植物性タンパク含有組成物に対して、(1)トマト由来無塩可溶性固形分、及び/又は、(2)クエン酸の量が、下記の割合になるように使用される、請求項1乃至8のいずれかに記載する植物性タンパク含有組成物用香味改善剤:(1)トマト由来無塩可溶性固形分:0.05質量%以上(2)クエン酸:0.02質量%以上。

請求項10

香味改善が植物性タンパクに起因する不快臭マスキングである、請求項1乃至9のいずれかに記載する香味改善剤。

請求項11

請求項1乃至10のいずれかに記載する香味改善剤を植物性タンパク含有組成物の原料に配合し、植物性タンパク含有組成物を調製する工程を有する、香味が改善された植物性タンパク含有組成物の製造方法。

請求項12

請求項1乃至10のいずれかに記載する香味改善剤を植物性タンパク含有組成物の原料に配合した後、加熱工程を有する請求項11に記載する製造方法。

請求項13

前記植物性タンパク含有組成物が大豆タンパクを含有する食品組成物である、請求項11または12に記載する製造方法。

請求項14

前記食品組成物が畜肉含有食品、魚介類含有食品、菓子、パン、麺、及び栄養強化食品からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項13に記載する製造方法。

請求項15

植物性タンパク含有組成物の香味改善方法であって、植物性タンパク含有組成物の製造原料の一つとしてトマトまたはトマト加工物を用いることを特徴とする、上記方法。

請求項16

前記植物性タンパク含有組成物が加熱処理組成物である、請求項15記載の香味改善方法。

請求項17

前記植物性タンパク含有組成物がn−ヘキサナール及びリノール酸の少なくとも1種を含有するものである、請求項15または16に記載する香味改善方法。

請求項18

前記植物性タンパク含有組成物が大豆タンパクを含有する食品組成物である、請求項15乃至17のいずれかに記載する香味改善方法。

請求項19

前記食品組成物が畜肉含有食品、魚介類含有食品、菓子、パン、麺、及び栄養強化食品からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項18に記載する香味改善方法。

請求項20

前記トマト加工物が、脱パルプ処理濃縮トマトである請求項15至19のいずれかに記載する香味改善方法。

請求項21

前記脱パルプ処理濃縮トマトが、無塩可溶性固形分が40質量%以上の濃縮トマトである請求項20に記載する香味改善方法。

請求項22

前記トマト加工物が、品温85℃以上の加熱処理に少なくとも3回供してなるものである請求項15乃至21のいずれかに記載する香味改善方法。

請求項23

植物性タンパク含有組成物中の、(1)トマト由来無塩可溶性固形分、及び/又は、(2)クエン酸含量が、下記の割合になるようにトマトまたはトマト加工物を用いる、請求項15乃至22のいずれかに記載する香味改善方法:(1)トマト由来無塩可溶性固形分:0.05質量%以上(2)クエン酸:0.02質量%以上。

請求項24

香味改善方法が、植物性タンパク含有組成物について、植物性タンパクに起因する不快臭をマスキングする方法である、請求項15乃至23のいずれかに記載する香味改善方法。

技術分野

0001

本発明は植物性タンパク質を含有する組成物、特に飲食物についてその香味を改善するために使用される可食性組成物香味改善剤)、及びその方法(香味改善方法)に関する。また、本発明は香味が改善された植物性タンパク質含有組成物の製造方法に関する。

背景技術

0002

従来より、肉団子ハンバーグなどの食肉加工食品、並びに魚肉ソーセージなどの魚介類加工食品について、食感改良等を目的として大豆タンパクなどの植物性タンパク原料の一つとして配合される場合がある。しかし、植物性タンパクは、一般にタンパク臭といわれるタンパク特有不快臭を有しており、特に加熱工程を経ることでその臭いが増すことが知られている、このため、上記畜肉加工食品についても、調理の加熱工程で植物性タンパクに由来する不快臭(タンパク臭)が発生し、香味が損なわれるという問題がある。

0003

また、クッキーやケーキなどの菓子についても、昨今、健康志向や増量を目的として、大豆粉やおから等の植物性タンパクが配合される場合が増えている。しかし、この場合も、焼成などの加熱工程によりタンパク臭が発生し、本来の菓子の香味が少なからず損なわれている状況がある。

0004

こうした植物性タンパクに起因する不快臭については、従来より香料香辛料抽出物スパイス)等によってマスキングする方法が知られている他、大豆タンパクそのものの製造方法を工夫することで低臭化する方法が知られている(特許文献1)。

0005

一方、トマトには、グルタミン酸アスパラギン酸といった旨味を呈するアミノ酸が、可食部100gあたり570mgもの多量含まれている(非特許文献1)。このため、畜肉や魚介類を使った料理の旨味を相乗的に増加させることができるとして、西欧料理では、トマトやその加工食品が、日本料理における出汁醤油、または味噌などのように味付けの基本として、一般的に使用されている。特に、トマトには獣臭や生臭さを軽減する効果があるため(非特許文献2)、畜肉や魚介類を使用した料理と相性がよいとされている。

0006

WO2002/028197

先行技術

0007

「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」文部科学省
河野友美編、「野菜藻類新・食品辞典5」真珠書院、1992年、pp.258−262

発明が解決しようとする課題

0008

本発明は植物性タンパク質を含有する組成物、特に飲食物についてその香味を改善するために使用される可食性組成物(香味改善剤)を提供することを目的とする。より詳細には、植物性タンパク質が有する、いわゆるタンパク臭とも称される不快臭、特に青臭さの原因とされるn−ヘキサナール、及び/又は、脂肪酸臭の原因とされるリノール酸に起因する不快臭を抑制して、植物性タンパク質含有組成物の香味を改善するために使用される可食性組成物(香味改善剤)を提供することを目的とする。

0009

また本発明は、植物性タンパク質を含有する組成物について上記不快臭を抑制して香味を改善する方法を提供することを目的とする。

0010

さらに本発明は、上記不快臭を抑制することで香味が改善されてなる植物性タンパク質含有組成物を製造する方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0011

本発明者らは、上記課題を解決することを目的にして検討を重ねていたところ、トマト加工物に、大豆などの植物タンパクに起因する不快臭(タンパク臭)をマスキング(低減、抑制)する作用があることを見出した。このことから、本発明者らは、さらに検討を進めることで、トマト加工物を植物タンパク含有食品組成物のタンパク臭マスキング用組成物として、また香味改善用組成物として有効に利用できることを確認した。

0012

すなわち、本発明は下記の実施形態を有するものである。
(I)植物性タンパク含有組成物用香味改善剤
(I−1)トマト加工物を含有する、植物性タンパク含有組成物用香味改善剤。
(I−2)前記植物性タンパク含有組成物が加熱処理組成物である、(I−1)記載の香味改善剤。
(I−3)前記植物性タンパク含有組成物がn−ヘキサナール及びリノール酸の少なくとも1種を含有するものである、(I−1)または(I−2)に記載する香味改善剤。
(I−4)前記植物性タンパク含有組成物が大豆タンパク及び小麦タンパクからなる群より選択される少なくとも1つのタンパクを含有する食品組成物である、(I−1)乃至(I−3)のいずれかに記載する香味改善剤。
(I−5)前記食品組成物が食肉含有食品、魚介類含有食品、菓子、パン、麺、及び栄養強化食品からなる群から選択される少なくとも1種である、(I−4)に記載する香味改善剤。
(I−6)前記トマト加工物が、脱パルプ処理濃縮トマトである(I−1)乃至(I−5)のいずれかに記載する香味改善剤。
(I−7)前記脱パルプ処理濃縮トマトが、無塩可溶性固形分が40質量%以上の濃縮トマトである(I−6)に記載する香味改善剤。
(I−8)前記トマト加工物が、品温85℃以上の加熱処理に、少なくとも3回供してなるものである(I−1)乃至(I−7)のいずれかに記載する香味改善剤。
(I−9)植物性タンパク含有組成物を香味改善するための香味改善剤であって、植物性タンパク含有組成物に対して、(1)トマト由来無塩可溶性固形分、及び/又は、(2)クエン酸の量が、下記の割合になるように使用される、(I−1)乃至(I−8)のいずれかに記載する香味改善剤:
(1)トマト由来無塩可溶性固形分:0.05質量%以上、好ましくは0.05〜4質量%
(2)クエン酸:0.02質量%以上、好ましくは0.02〜2質量%。
(I−10)香味改善が植物性タンパクに起因する不快臭のマスキングである、(I−1)乃至(I−9)のいずれかに記載する香味改善剤。
(I−11)植物性タンパクが大豆タンパク及び小麦タンパクからなる群より選択される少なくとも1つのタンパク、好ましくは大豆タンパクである(I−10)に記載する香味改善剤。

0013

(II)植物性タンパク含有組成物の製造方法
(II−1)(I−1)乃至(I−11)のいずれかに記載する香味改善剤を植物性タンパク含有組成物の原料に配合し、植物性タンパク含有組成物を調製する工程を有する、香味が改善された植物性タンパク含有組成物の製造方法。
(II−2)(I−1)乃至(I−11)のいずれかに記載する香味改善剤を植物性タンパク含有組成物の原料に配合した後、加熱工程を有する(II−1)に記載する製造方法。
(II−3)前記植物性タンパク含有組成物が大豆タンパク及び小麦タンパクからなる群より選択される少なくとも1つのタンパク、好ましくは大豆タンパクを含有する食品組成物である、(II−1)または(II−2)に記載する製造方法。
(II−4)前記食品組成物が食肉含有食品、魚介類含有食品、菓子、パン、麺、栄養強化食品からなる群から選択される少なくとも1種である、(II−3)に記載する製造方法。

0014

(III)植物性タンパク含有組成物の香味改善方法
(III−1)植物性タンパク含有組成物の香味改善方法であって、
植物性タンパク含有組成物の製造原料の一つとしてトマトまたはトマト加工物を用いることを特徴とする、上記方法。
(III−2)前記植物性タンパク含有組成物が加熱処理組成物である、(III−1)記載の香味改善方法。
(III−3)前記植物性タンパク含有組成物がn−ヘキサナール及びリノール酸の少なくとも1種を含有するものである、(III−1)または(III−2)に記載する香味改善方法。
(III−4)前記植物性タンパク含有組成物が大豆タンパク及び小麦タンパクからなる群より選択される少なくとも1つのタンパク、好ましくは大豆タンパクを含有する食品組成物である、(III−1)乃至(III−3)のいずれかに記載する香味改善方法。
(III−4)前記食品組成物が食肉含有食品、魚介類含有食品、菓子、パン、麺、及び栄養強化食品からなる群から選択される少なくとも1種である、(III−3)に記載する香味改善方法。
(III−5)前記トマト加工物が、脱パルプ処理濃縮トマトである(III−1)乃至(III−4)のいずれかに記載する香味改善方法。
(III−6)前記脱パルプ処理濃縮トマトが、無塩可溶性固形分が40質量%以上の濃縮トマトである(III−5)に記載する香味改善方法。
(III−7)前記トマト加工物が、品温85℃以上の加熱処理に、少なくとも3回供してなるものである(III−1)乃至(III−6)のいずれかに記載する香味改善方法。
(III−8)植物性タンパク含有組成物中の、(1)トマト由来無塩可溶性固形分、及び/又は、(2)クエン酸含量が、下記の割合になるようにトマトまたはトマト加工物を用いる、(III−1)乃至(III−7)のいずれかに記載する香味改善方法:
(1)トマト由来無塩可溶性固形分:0.05質量%以上、好ましくは0.05〜4質量%
(2)クエン酸:0.02質量%以上、好ましくは0.02〜2質量%。
(III−9)香味改善方法が、植物性タンパク含有組成物について、植物性タンパクに起因する不快臭をマスキングする方法である、(III−1)乃至(III−8)のいずれかに記載する香味改善方法。
(III−10)植物性タンパクが大豆タンパク及び小麦タンパクからなる群より選択される少なくとも1つのタンパク、好ましくは大豆タンパクである(III−9)に記載する香味改善方法。

発明の効果

0015

本発明の香味改善剤及び香味改善方法によれば、大豆や小麦などの植物性タンパクに由来する不快臭(タンパク臭)をマスキング(抑制、低減)することができる。本発明の香味改善剤は、食経験が豊富野菜素材であるトマト加工物を用いるものであるので、人体への安全性は極めて高い。本発明の香味改善剤は、有効成分として酵素処理及び/または加熱処理して調製されたトマト加工物を用いることで、トマト特有の素材臭を抑えながら、植物性タンパクに由来する不快臭(タンパク臭)をマスキング(抑制、低減)することができる。逆に、使用するトマト加工物の加工処理の程度やその配合量を調整することで、トマト素材の風味を生かしながら、植物性タンパクに由来する不快臭(タンパク臭)をマスキング(抑制、低減)することもできる。

図面の簡単な説明

0016

トマト加工物を含有しない大豆タンパク含有肉団子(比較例1)とトマト加工物A〜Dを含有する大豆タンパク含有肉団子(実施例1〜4)について、大豆タンパク由来の不快臭(タンパク臭)の強度を比較した実験例1の結果を示す図である。
トマト加工物を含有しない大豆タンパク含有肉団子(比較例1)とトマト加工物A〜Dを含有する大豆タンパク含有肉団子(実施例1〜4)について、トマト加工物由来のトマト素材香の強度を比較した実験例1の結果を示す図である。
トマト加工物を含有しない大豆タンパク含有肉団子(比較例1)と種々濃度でトマト加工物Bを含有する大豆タンパク含有肉団子(実施例5〜9)について、大豆タンパク由来の不快臭(タンパク臭)の強度を比較した実験例2の結果を示す図である。
トマト加工物を含有しない大豆タンパク含有肉団子(比較例1)と種々濃度でトマト加工物Bを含有する大豆タンパク含有肉団子(実施例5〜9)について、トマト加工物由来のトマト素材香の強度を比較した実験例2の結果を示す図である。
トマト加工物を含有しない大豆タンパク含有ハンバーグ(比較例2)とトマト加工物Bを含有する大豆タンパク含有ハンバーグ(実施例10)について、大豆タンパク由来の不快臭(タンパク臭)の強度を比較した実験例3の結果を示す図である。
トマト加工物を含有しない大豆タンパク含有ハンバーグ(比較例3)とトマト加工物Bを含有する大豆タンパク含有ハンバーグ(実施例11)について、大豆タンパク由来の不快臭(タンパク臭)の強度を比較した実験例4の結果を示す図である。
n−ヘキサナール(青臭さ)に対して、トマト加工物添加によるオフフレーバー低減効果を評価した実験例5の結果を示す。
リノール酸(脂肪酸臭)に対して、トマト添加によるオフフレーバー低減効果を評価した実験例5の結果を示す。
トマト加工物を配合しない肉団子(比較例8)、トマト加工物を配合した肉団子(実施例14)、及びトマト加工物に代えてクエン酸を配合した肉団子(比較例A〜C)のそれぞれについて、大豆タンパク由来の不快臭(タンパク臭)の強度を比較した実験例6の結果を示す図である。
トマト加工物を配合しないおからクッキー(比較例9)、トマト加工物を配合したおからクッキー(実施例18〜20)のそれぞれについて、大豆タンパク由来の不快臭(タンパク臭)の強度を比較した実験例7の結果を示す図である。
トマト加工物を配合しないおからクッキー(比較例9)、トマト加工物を配合したおからクッキー(実施例18〜20)のそれぞれについて、トマト加工物由来のトマト素材香の強度を比較した実験例7の結果を示す図である。
トマト加工物を配合しないパウンドケーキ(比較例10)、トマト加工物を配合しない大豆粉入りパウンドケーキ(比較例11)、及びトマト加工物を配合したパウンドケーキ(実施例21〜23)のそれぞれについて、大豆タンパク由来の不快臭(タンパク臭)の強度を比較した実験例8の結果を示す図である。
トマト加工物を配合しないパウンドケーキ(比較例10)、トマト加工物を配合しない大豆粉入りパウンドケーキ(比較例11)、及びトマト加工物を配合したパウンドケーキ(実施例21〜23)のそれぞれについて、トマト加工物由来のトマト素材香の強度を比較した実験例7の結果を示す図である。

0017

(I)植物性タンパク含有組成物用香味改善剤
本発明は、植物性タンパク含有組成物の香味を改善するために好適に使用される香味改善剤(植物性タンパク含有組成物用香味改善剤)である。以下、本明細書において、単に「香味改善剤」と称する。当該香味改善剤は、有効成分としてトマト加工物を含有することを特徴とする。

0018

本発明が対象とするトマト加工物は、ナス科ナス属トマトの果実果皮を含む)に加工処理を施したものを意味する。ここでトマトは、品種の別や果実色(赤系色系、黄色系、緑系)の別を問わず、トマトと総称される果実がいずれも含まれる。制限されないが、一例を挙げると赤系または桃色系のトマトの果実、特に完熟した赤色の、又は赤みを帯びたトマト(Lycopersicum esculentum P. Mill)の果実(果皮を含む)を例示することができる。

0019

加工処理としては、切断(細断を含む)、破砕圧搾裏ごし、種子の除去、皮剥ぎ濃縮希釈還元)、加熱、殺菌処理膜処理濾過処理限外濾過処理を含む)、固液分離遠心分離を含む)、乾燥(凍結乾燥スプレードライを含む)、及び酵素処理などを制限なく例示することができる。これらの加工処理は、食品分野、特にトマト加工分野において、通常使用される処理方法慣用方法)で行うことができ、制限されるものではない。本発明で使用するトマト加工物は、前記加工処理のうち1種を用いて調製されたものであってもよいし、また目的に応じて2種以上の加工処理を任意に組み合わせて調製されたものであってもよい。

0020

本発明が対象とするトマト加工物には、制限されないものの、例えば日本農林規格等に関する法律(JAS法)に基づくJAS規格で規定されるトマト加工物のうち、濃縮トマト、トマトピューレートマトペーストトマトジュース、及び固形トマト(但し、食塩以外の調味料を含む調味品は含まれず);並びにこれらに準じるものが含まれる。下記表に、JAS規格で規定されているこれらのトマト加工品の定義と可溶性固形分を記載する。これらのうち、濃縮トマト、トマトピューレー、及びトマトペーストはいずれも可溶性固形分が8%以上であり、JAS規格上、いわゆる「濃縮トマト」の範疇分類することができる。以下、本明細書において、「濃縮トマト」と括弧つきで記載する場合、当該用語はトマトピューレー及びトマトペーストを包含する総称を意味するものとする。本発明において、目的に応じて、上記トマト加工物として、食塩を含まないトマト加工物を用いることができる。

0021

0022

本発明で使用するトマト加工物は、これらJAS規格のトマト加工物またはそれに準じるトマト加工物に、更に前述する加工処理を1種または2種以上施したものであってもよい。

0023

例えば、トマトに含まれる繊維質等の不溶性固形物を除去するためには「脱パルプ処理」と称される処理を行うことができる。当該脱パルプ処理は、遠心分離法濾過法、または膜分離法などを1または2以上組み合わせて行うことができる。これらの遠心分離法、濾過法、または膜分離法は、前述する「濃縮トマト」やトマトジュース(搾)に対して、そのまま適用してもよいが、粘度を下げ分離効率を上げるため、水などの溶媒で希釈して用いてもよい。なお、「濃縮トマト」やトマトジュースを脱パルプ処理しただけのトマト加工物には、その水溶性成分にトマト独特香味成分が含まれているため、それが目的用途にとって好ましくない場合には、さらに限外濾過法吸着剤を用いた濾過処理等によって、水溶性成分を低減することによって、トマト独特の香味を除去ないし低減することもできる。また後述する酵素処理及び/又は加熱処理によっても、トマト独特の香味成分を除去ないし低減することができる。

0024

脱パルプ処理は、トマト加工物に含まれる不溶性固形物による懸濁や沈殿の影響を防止する観点から、最終のトマト加工物のパルプ分が24%以下になるように設定調整することが好ましい。より好ましいパルプ分は12%以下であり、さらに好ましくは6%以下である。なお、ここで「パルプ分」とは、日本農林規格検査法で定義される不溶性固形物を意味し、パルプ分は、当該検査法に記載の方法で算出することができる。具体的には、遠心分離管試料を入れ、回転半径14.5cmの遠心分離機で、20℃において3,000回転、10分間遠心した後の沈殿物の容量%を、不溶性固形物測定用遠心沈殿管(目盛り付き)で読み取り、その体積を全試料の体積の百分率として表すことで「パルプ分(%)」とすることができる(「最新果汁果実飲料事典」、(社)日本果汁協会、1997年10月1日初版第1刷、574頁)。

0025

またトマト加工物に含まれる不溶性固形物を除去し、さらに清澄化するためには、「酵素処理」を行うこともできる。当該酵素処理は、前述する脱パルプ処理と組み合わせて実施することもできる。その場合の酵素処理の順番は、脱パルプ処理の前後のいずれでも、また両方でもよく特に制限されない。効率性の点から、脱パルプ処理してセミクリアな状態にした後に、酵素処理してクリア(清澄)な状態にすることが好ましい。

0026

酵素処理は、食品に適用される酵素剤を用いて実施することができる。本発明で使用される酵素剤は、主成分の酵素として植物組織崩壊酵素を含むものであることが好ましい。ここで植物組織崩壊酵素は、植物性農産物に含まれるセルロースキシランをはじめとするヘミセルロースペクチンなどの、分子構造の大きい不溶性食物繊維を低分子に分解する酵素である。セルラーゼヘミセルラーゼキシラナーゼ)、ペクチナーゼ、及びプロテアーゼからなる群より選択される少なくとも1種を含むものであることが好ましい。これらは1種単独で含んでいてもよいし、2以上の酵素を含むものであってもよい。好ましくは少なくともペクチナーゼを含むものであり、反応効率を向上させるためには、2種以上を使用することが好ましい。なお酵素剤は、主成分の酵素以外に賦形剤等の添加物を含んでもよい。

0027

ペクチナーゼは、ペクチンを分解する酵素である。ペクチン(pectins)は、ペクチン質(pectic substance)又はペクチン性多糖(pectic polysaccharides)と称されることもある。ペクチンの主成分は、α-1,4結合したD-ガラクツロン酸にα-1,2結合したα-ラムノースが一部混在する主鎖をもち、アラビノースガラクトースなどの中性糖に富んだ側鎖をもった酸性多糖である。側鎖の多くはラムノースの4位に結合しているが,ガラクツロン酸の一部にも側鎖が結合している。ガラクツロン酸のカルボキシル基の一部は、メチルエステル化している。ペクチナーゼは、主鎖を分解するか、またはメチルエステル結合を分解するかで大別でき、主鎖を分解するものはさらに基質特異性(メチルエステル化されたペクチン作用するか、カルボキシル基がフリーペクチン酸に作用するか)及び分解型(endo型か、exo型か)によりポリガラクツロナーゼペクチンリアーゼペクチンエステラーゼ(ペクチンのメチルエステル結合を加水分解する)、ペクチンメチルエステラーゼ等が含まれる。本発明に好適なペクチナーゼとしては、粘度低下に効果的なエンドポリガラクツロナーゼ(以下「Endo-PGase」とも表記する)が挙げられる。

0028

酵素処理において用いられる酵素剤の量は、使用する酵素剤の酵素の種類やその活性に応じて適宜設定することができる。酵素処理の温度は、酵素反応の効率的進行等を考慮しながら、30〜60℃、好ましくは40〜50℃、より好ましくは42〜48℃の範囲で適宜設定できる。酵素処理の時間も、酵素反応の効率的進行等を考慮しながら、10〜30分間、好ましくは15〜30分間の範囲で適宜設定できる。酵素処理の際のpHは3〜6程度であることが好ましいが、トマトそのものは多くの場合、pH3〜5であるためpHを調整せずに酵素処理することができる。

0029

上記の酵素処理後、調製されたトマト加工物の酵素処理物は、加熱することで酵素剤に由来する酵素活性失活させることができる。具体的には、失活は、酵素処理物を90℃以上、例えば100℃に、15秒〜数分、例えば30秒間保つことで実施することができる。

0030

本発明で使用されるトマト加工物は、トマト由来の無塩可溶性固形分が4.5質量%以上になるよう調製されることが好ましい。トマト由来無塩可溶性固形分として好ましくは8質量%以上であり、より好ましくは10質量%以上、特に好ましくは24質量%以上である。なお、無塩可溶性固形分の上限としては、100質量%、好ましくは90質量%を挙げることができる。

0031

なお、無塩可溶性固形分は、「トマト加工品の日本農林規格」(平成21年5月19日農林水産告示第669号)第10条で定められている方法で測定することができる。具体的には、20℃において、糖度屈折計許容差が±0.05%以内のもの)の示度で表示されたパーセンテージを可溶性固形分とし、当該可溶性固形分から食塩分を差し引いて得た値を無塩可溶性固形分とすることができる。食塩分は、上記で定められている電位差滴定法にて測定し求めることができる。なお、特に言及がない場合、測定は大気圧及び常温条件で実施することができる。

0032

無塩可溶性固形分が上記の割合になるようにトマト加工物を調整する方法としては、トマト加工物に含まれる水分を低減消失させる方法であればよく、食品製造分野で使用される濃縮手段をいずれも使用することができる。具体的には、蒸発濃縮煮沸蒸発法、真空蒸発法減圧濃縮法など)、膜濃縮(UF膜またはRO膜等を利用して限外濾過法または逆浸透圧法により濃縮する方法)、凍結濃縮凍結乾燥法フリーズドライ法など)、及び超音波霧化分離法(超音波を照射することで霧を発生して、霧状になりやすい水分を除去して濃縮する方法)を制限なく例示することができる。濃縮の程度は、無塩可溶性固形分が前記の範囲になるように調製することができ、斯くしてトマト加工物は、半固形状半流動状)、ペースト状、ペレット状、または乾燥状態粉末状、細粉状、粉体状)に調製することができる。

0033

なお、前述する脱パルプ処理を経て無塩可溶性固形分が8質量%以上になるように濃縮されたトマト加工物を、本発明では「脱パルプ濃縮トマト」と称する場合がある。また前述する脱パルプ処理及び酵素処理を経て濃縮されたトマト加工物を、本発明では「脱パルプ及び酵素処理濃縮トマト」と称する場合がある。

0034

さらにトマト加工物は品温(中心温度)が85℃以上になるように加熱する加熱処理に3回以上供されてなるものであることが好ましい。こうすることで、トマトの素材臭が一層除去低減されたトマト加工物を得ることができる。当該加熱処理は、好ましくは少なくとも品温が90℃以上に達するように加熱処理(90℃達温)することで実施することができる。より好ましくは品温が10秒間以上90℃以上の温度条件に曝される加熱処理を挙げることができる。その処理回数は、少なくとも3回以上、好ましくは4回以上、より好ましくは5回以上である。作業効率と手間を考えると回数の上限は5回程度で十分であるが、制限はなく、必要に応じて6〜8回程度実施することも可能である。

0035

かかる加熱処理は、同時に殺菌処理であることもでき、かかる方法としてはホットパック殺菌、ホットプレート殺菌、ボイル殺菌レトルト殺菌湿熱殺菌、乾熱殺菌高周波加熱赤外線加熱、及び電気抵抗加熱等、食品業界で通常使用される慣用の加熱殺菌処理を用いることができる。

0036

本発明の香味改善剤は、前述するトマト加工物を有効成分とするものである。当該香味改善剤は、前述するトマト加工物からなるものであってもよいし、また本発明の効果を妨げないことを限度として、他の原材料及び成分を含むことができる。後者の場合、本発明の香味改善剤は、トマトに由来する無塩可溶性固形分が4.5質量%以上になるように、トマト加工物を配合して調製することが好ましい。トマト由来無塩可溶性固形分として好ましくは8質量%以上であり、より好ましくは10質量%以上、特に好ましくは24質量%以上である。なお、トマト由来無塩可溶性固形分の上限としては、100質量%、好ましくは90質量%を挙げることができる。

0037

ここで配合できる他の成分としては、グルタミン酸やアスパラギン酸等のアミノ酸類又はその塩;クエン酸、リンゴ酸乳酸酢酸グルコン酸酒石酸フマル酸コハク酸アスコルビン酸などの有機酸またはその塩;水、エタノールグリセリンプロピレングリコールなどの溶媒;香料、水素イオン濃度調整剤、増粘安定剤、酸化防止剤保存料などの食品添加物デキストリン砂糖、及び塩などの賦形剤(増量剤)等を制限なく例示することができる。なお、グルタミン酸及びアスパラギン酸は、トマトそのものに比較的多く含まれている旨味を呈するアミノ酸であることから、本発明の効果を妨げない範囲でさらに外添することも可能である。

0038

またクエン酸、リンゴ酸、乳酸、及び酢酸もトマトそのものに含まれている有機酸である(東農業研究、40、279-280、1987)。これらは、後述する実験例に示すように、十分ではないものの、単独で植物性タンパク質に起因する臭いを低減する効果に有しており、本発明のトマト加工物の有効成分の一つと考えられる。このため、本発明の香味改善剤は、トマト由来または外添等といった由来の別を問わず、クエン酸などの有機酸またはその塩を含んでいることが好ましい。ここで有機酸としては、上記するクエン酸、リンゴ酸、乳酸、及び酢酸のほか、シュウ酸デヒドロキシ酒石酸、酒石酸、ピルビン酸、t−アコニット酸、フマル酸、及びピロリドンカルボン酸を挙げることができる。好ましくはクエン酸である。

0039

本発明の香味改善剤に含まれる有機酸の量としては、香味改善剤に含まれるトマト由来無塩可溶性固形分1質量%あたりの酸度クエン酸換算)として通常0.058〜0.092質量%を挙げることができる。従って、香味改善剤に含まれる有機酸の量としては、クエン酸量換算して、0.26質量%(トマト由来無塩可溶性固形分4.5%以上の時の最低値)〜9.2質量%(トマト由来無塩可溶性固形分100%時の最高値)、好ましくは0.46質量%(無塩可溶性固形分8%時の最低値)〜8.3質量%(無塩可溶性固形分90%時の最高値)、より好ましくは0.58質量%(無塩可溶性固形分10%時の最低値)〜8.3質量%、特に好ましくは1.4質量%(無塩可溶性固形分24%時の最低値)〜8.3質量%を挙げることができる。なお、香味改善剤に含まれる有機酸の量(クエン酸換算値)は、スルファミン酸アミド硫酸)を標準物質として標定した0.1M−水酸化ナトリウム溶液を用い、中和滴定により求めることができる。

0040

有機酸のなかでも本発明の香味改善剤に含まれるクエン酸の含有量としては、0.18〜6.8質量%、好ましくは0.33〜6.1質量%、より好ましくは0.42〜6.1質量%、特に好ましくは1.0〜6.1質量%を挙げることができる。当該クエン酸含有量は、高速液体クロマトグラフィを用いた有機酸分析にて算出することができる。

0041

本発明の香味改善剤は、その形状を問わず、半固形状(半流動状)、ペースト状、ペレット状、または乾燥した固体状(粉末状、粒体状顆粒状)に調製することができる。

0042

本発明のトマト加工物が香味改善の対象とする「植物性タンパク含有組成物」は、植物性タンパク質に起因する臭い(タンパク臭、オフフレーバー)により、香味が損なわれているか、損なわれる可能性のある食品組成物である。なお、本発明でいう「食品組成物」とは、生鮮食品を除く加工食品を意味し、飲料も含まれる。またヒトが摂取する調理後の食品及び調理前の食品(冷凍食品レトルト食品インスタント食品を含む)に加えて、調理に使用する調理用材料(調味料を含む)や食材も含まれる。さらに保健機能食品(機能性表示食品、栄養機能食品特定保健用食品)を含む健康食品も含まれる。

0043

ここで植物性タンパクに起因する臭いには、植物性タンパクが本来有するそのもの自体の臭いのほか、植物性タンパクが加熱などの物理的処理を受けることにより、また光、温度、酸素または酵素による経時的影響をうけることで、事後的に発生する臭いが含まれる。

0044

かかる植物性タンパクとしては、タンパク臭と称される不快臭の、特に青臭さの原因とされるn−ヘキサナール、及び脂肪酸臭の原因とされるリノール酸のいずれか少なくとも一方の香気成分を含有するもの、若しくは事後的にこれらの少なくとも一方の香気成分を発生するものを挙げることができ、この限りにおいて特に制限されるものではない。後述する実験例に示すように、本発明のトマト加工物によれば、これらいずれの香気成分をマスキング(消臭化、低臭化)することができる。n−ヘキサナール、及びリノール酸のいずれか少なくとも1方の香気成分を有する植物性タンパクとしては、一例を挙げると、豆に由来するタンパク(豆由来タンパク)、及び小麦に由来する由来するタンパク(小麦由来タンパク)等である。好ましくは豆由来タンパク、より好ましくは大豆タンパクである。

0045

ここで豆としては、制限されないものの、例えば大豆、エンドウ豆、ヒラ豆(レンズ豆)、ヒヨコ豆インゲン豆、及びソラ豆などを制限なく例示することができる。好ましくは前述するように大豆である。

0046

本発明が対象とする植物性タンパクには、日本農林規格(JAS規格)で規定される植物性たん白、粉末状植物性たん白、ペースト状植物性たん白、粉末状植物性たん白、繊維状植物性たん白、並びにこれらに準じるものが含まれる。これらはいずれもケルダール法により測定した植物タンパク質含有率が50質量%を超えるものである。

0047

また本発明が対象とする大豆タンパクには、上記JAS規格で規定される大豆たん白に加えて、例えば丸大豆等をヘキサン、エタノールなどの有機溶剤脱脂した脱脂大豆;当該脱脂大豆からタンパク質水抽出した豆乳;さらに豆乳より酸沈殿あるいはアルコール沈殿等の方法により得られる分離大豆タンパク、及び濃縮大豆タンパクなどが含まれる。またこれらの大豆タンパクを含有する食品組成物には、大豆を用いた大豆加工食品が含まれる。これらの大豆加工食品には、例えば、豆乳から調製される豆腐、ゆば、ふ;豆腐から調製される凍り豆腐生揚げがんもどき、油揚げ、焼き豆腐など;おから;煎り豆を粉砕して調製されるきなこ;煮豆や蒸豆;蒸豆から調製される味噌や納豆などが含まれる。また本発明が対象とする大豆タンパク含有食品組成物には、これらの大豆加工食品を食材として利用し、必要に応じて他の食材を一緒に配合して調理される食品も含まれる。例えば、制限されないものの、豆乳プリン、おからケーキ、きな粉入りケーキ、おからクッキー、きな粉入りケーキ、きな粉入りニュートリションバー、きな粉ねじり、きな粉飴などの菓子類;きな粉入り低糖質パンなどのパン類;大豆タンパク入りハンバーグ、ミートボール餃子シュウマイメンチカツ、大豆タンパクから揚げ、大豆タンパク入りハムソーセージ類等の食肉含有食品;栄養強化目的のプロテインパウダー育児粉乳等の栄養強化食品;大豆タンパク入り麺;大豆タンパク入りの揚げもの用衣;ならびに大豆タンパク入り魚肉ソーセージ、かまぼこ、ちくわ等の魚介類含有食品などを一例として挙げることができる。

0048

前記では、植物性タンパクとして大豆タンパクを例示として挙げたが、本発明が対象とする植物性タンパク含有食品組成物には、大豆タンパクに限らず、前記臭い成分を含有する植物性タンパクを配合して調製される、食肉含有食品、魚介類含有食品、菓子類、パン類、麺類、及び栄養強化食品などの加工食品が含まれる。ここで食肉とは食用に供される獣の肉を意味する。また、魚介類には、魚類貝類タコイカなどの頭足類海老や蟹などの甲殻類が含まれる。またここでいう栄養強化食品とは、栄養強化または補給を目的として「植物性タンパク」が添加配合されている食品であり、厚生労働省の栄養成表示制度に従って、その旨の表示(例えばタンパク質が補給できる、タンパク質が強化されている、タンパク質が添加されている、タンパク質を含有している、高タンパク質等)がされている食品が含まれる。これら植物性タンパク質含有組成物中に含まれる植物性タンパク質の量は、植物性タンパク質含有組成物の種類によって異なり、一概に規定することはできないものの、1〜95質量%の範囲から適宜選択することができる。

0049

本発明の香味改善剤は、これを植物性タンパク含有組成物に配合することで、それが有する植物性タンパクに起因する臭い(タンパク臭と称される不快臭、オフフレーバーとも称する)を低減または抑制する作用を有する。不快臭を低減または抑制することで植物性タンパク含有組成物の香りを改善することができる。ここで「香り」とは、植物性タンパク含有組成物を口腔内咀嚼して感じる臭い(口腔内からに抜ける臭い)を意味する。その意味で、「香り」は、植物性タンパク含有組成物を口腔内で咀嚼して感じる味(風味)にも少なからず影響する。このため、本発明の香味改善剤によれば、植物性タンパク含有組成物の香りを改善することで総合的にその風味を改善することができ、その意味で「香味」改善効果を奏するということができる。従って、本発明の香味改善剤は、植物性タンパク含有組成物のタンパク臭の低減または抑制(マスキング)を目的に使用することができるとともに、また植物性タンパク含有組成物の香味改善を目的に使用することができる。

0050

本発明の香味改善剤の植物性タンパク含有組成物に対する配合量は、上記の目的を達成し、その効果を奏するような範囲であればよく、対象とする植物性タンパク含有組成物の種類やその中に含まれる植物性タンパクの含量によって適宜設定調整することができる。例えば、上記効果を奏するように、植物性タンパク含有組成物100質量%中に含まれるトマト由来無塩可溶性固形分の割合が0.05質量%以上、好ましくは0.05〜4質量%、より好ましくは0.05〜3.5質量%となるように、本発明の香味改善剤を添加配合することができる。

0051

本発明の香味改善剤の植物性タンパク含有組成物に対する配合量として、より具体的には、植物性タンパク含有組成物に含まれる植物性タンパク含量に対するトマト由来無塩可溶性固形分含量の割合として設定することができる。例えば、植物性タンパク含有組成物に含まれる植物性タンパク含量100重量部に対して、香味改善剤に含まれるトマト由来無塩可溶性固形分含量の割合が0.05質量部以上、好ましくは0.2質量部以上、より好ましくは2〜150質量部の範囲を挙げることができる。

0052

本発明の香味改善剤の植物性タンパク含有組成物に対する配合量は、トマト由来の無塩可溶性固形分含量を上記になるように調整するほか、植物性タンパク含有組成物に対するクエン酸の量を指標として設定することもできる。この場合、最終の植物性タンパク含有組成物100質量%中に含まれるクエン酸の量として、それがトマトに由来するか否かに関わらず、0.02質量%以上を挙げることができる。好ましくは0.04質量%以上であり、より好ましくは0.05質量%以上である。上限値としては、植物性タンパク含有組成物の全体の香味に与える影響から、2質量%以下であり、より好ましくは1質量%以下である。

0053

なお、後述する実施例に示すように、香味改善剤の配合量が多くなるにつれてトマトに由来する風味(トマト素材香)の影響がでてくる傾向があるが、これには本発明の香味改善剤に使用するトマト加工物の加熱処理回数も関係する。このため、本発明の香味改善剤配合によるトマト素材臭の影響を少なくするためには、トマト加工物として、品温(中心温度)が85℃以上の加熱処理に3回以上、好ましくは4回以上、より好ましくは5回以上供されてなるものを使用することが好ましい。

0054

(II)植物性タンパク含有組成物の製造方法
本発明は、香味が改善された植物性タンパク含有組成物の製造方法を提供する。当該製造方法は、前述する本発明の香味改善剤を所望の植物性タンパク含有組成物の原料に配合し、植物性タンパク含有組成物を調製する工程を経ることで実施することができる。ここで本発明の香味改善剤に代えて、当該香味改善剤の有効成分として使用するトマト加工物を用いることもできる。

0055

製造する植物性タンパク含有組成物としては、(I)で説明した植物性タンパクを含有する食品組成物を挙げることができ、当該記載をここに援用することができる。またその製造に使用する香味改善剤は、(I)で説明した通りであり、当該記載をここに援用することができる。植物性タンパク含有組成物の製造に使用する原料は、香味改善剤以外、対象とする植物性タンパク含有組成物の製造に使用される通常(慣例)の原材料を挙げることができる。

0056

植物性タンパク含有組成物の原料に配合する香味改善剤の割合としては、調製される植物性タンパク含有組成物の最終物に含まれるトマト由来無塩可溶性固形分の量が、0.05質量%以上になるような割合を挙げることができる。好ましくは0.05〜4質量%、より好ましくは0.05〜3.5質量%である。より具体的には、植物性タンパク含有組成物の原料に含まれる植物性タンパク含量100質量部に対してトマト由来無塩可溶性固形分の割合が0.05質量部以上、好ましくは0.2質量部以上、より好ましくは2〜150質量部となるような割合で香味改善剤を配合することが望ましい。

0057

また植物性タンパク含有組成物の原料に配合する香味改善剤の量は、トマト由来の無塩可溶性固形分含量を上記になるように調整するほか、植物性タンパク質含有組成物に含まれるクエン酸の量を指標として設定することもできる。この場合、調製される植物性タンパク質含有組成物の最終物100質量%中に含まれるクエン酸の量が0.02質量%以上になるように調整することができる。好ましくは0.04質量%以上であり、より好ましくは0.05質量%以上である。上限値としては、植物性タンパク質含有組成物の全体の香味に与える影響から、2質量%以下であり、より好ましくは1質量%以下である。

0058

植物性タンパク含有組成物の原料に配合する香味改善剤のタイミングは、植物性タンパク含有組成物の製造工程であればよく、特段制限はされない。但し、植物性タンパク含有組成物は、その加熱処理により臭い成分(タンパク臭成分)が発生する場合があることから、その場合は、製造工程のうち、例えば殺菌処理などの加熱処理工程の前に、予め香味改善剤を配合しておくことが好ましい。

0059

(III)植物性タンパク含有組成物の香味改善方法
本発明は、植物性タンパク含有組成物の香味改善方法を提供する。当該方法は、前述する香味改善剤の有効成分であるトマト加工物を、所望の植物性タンパク含有組成物の製造原料の一つとして使用することで実施することができる。

0060

植物性タンパク含有組成物としては、好ましくは(I)で説明した植物性タンパクを含有する食品組成物を挙げることができ、当該記載をここに援用することができる。またその製造に使用するトマト加工物も、(I)で説明した通りであり、当該記載をここに援用することができる。植物性タンパク含有組成物の製造に使用する原料は、香味改善剤以外、対象とする植物性タンパク含有組成物の製造に使用される通常(慣例)の原材料を挙げることができる。

0061

植物性タンパク含有組成物の原料として用いるトマト加工物の使用量としては、調製される植物性タンパク含有組成物(最終物)に含まれるトマト由来無塩可溶性固形分の量が、0.05質量%以上になるような割合を挙げることができる。好ましくは0.05〜4質量%、より好ましくは0.05〜3.5質量%である。より具体的には、植物性タンパク含有組成物の原料に含まれる植物性タンパク含量100質量部に対してトマト由来無塩可溶性固形分の割合が0.05質量部以上、好ましくは0.2質量部以上、より好ましくは2〜150質量部となるような割合で香味改善剤を配合することが望ましい。

0062

また植物性タンパク含有組成物の原料に配合するトマト加工物の量は、トマト由来の無塩可溶性固形分含量を上記になるように調整するほか、植物性タンパク質含有組成物に含まれるクエン酸の量を指標として設定することもできる。この場合、調製される植物性タンパク質含有組成物の最終物100質量%中に含まれるクエン酸の量が0.02質量%以上になるように調整することができる。好ましくは0.04質量%以上であり、より好ましくは0.05質量%以上である。上限値としては、植物性タンパク質含有組成物の全体の香味に与える影響から、2質量%以下であり、より好ましくは1質量%以下である。

0063

植物性タンパク含有組成物の原料としてトマト加工物を使用するタイミングは、植物性タンパク含有組成物の製造工程内であればよく、特段制限はされない。但し、植物性タンパク含有組成物は、その加熱処理により臭い成分(タンパク臭成分)が発生する場合があることから、その場合は、製造工程のうち、例えば殺菌処理などの加熱処理工程の前に、予めトマト加工物を配合しておくことが好ましい。

0064

以下、本発明を製造例、実施例、及び実験例に基づいて説明する。但し、これらの実施例等は、本発明の構成及び効果の理解を助けるための例示であり、本発明はこれらの記載に制限されるものではない。なお、下記の記載において、特に言及しない限り、製造及び実験は常温(25±5℃)及び大気圧の条件で実施した。また、各実験例における官能評価は、食品開発に1年以上従事し、香味の官能評価について良く訓練された複数名のパネルを使用して、各パネル間統一した一定の基準に従って行った。

0065

製造例1トマト加工物Aの製造方法
生鮮トマトを圧搾することでトマト搾汁液を得た。このトマト搾汁液を遠心分離にて沈殿物(不溶性固形物)を除去することによりBrix約5°(無塩可溶性固形分5%)のトマトジュースを得た。このトマトジュースを加熱殺菌液温98℃、50秒)した後、減圧濃縮機にて濃縮することで、Brix60°(無塩可溶性固形分60%)の濃縮トマトを得た。この濃縮トマトをプレート式殺菌機にて加熱殺菌(液温110℃、30秒間)した後、ステンレス製メッシュ(目開き400μm)にてろ過し、無菌容器アセプティック充填を行い、これをトマト加工物Aとした。

0066

製造例2トマト加工物B
前記で得られたトマト加工物Aを水道水に適宜希釈し、ペクチナーゼ(新日本化学工業社製、Aspergillus niger由来)にて45℃で4時間処理することで酵素分解した後、95℃で10秒間以上加熱することで酵素活性を失活化させた。得られたトマト酵素分解液珪藻土を用いてろ過した後、減圧濃縮機にて濃縮することで、Brix60°(無塩可溶性固形分60%)のトマト濃縮清澄汁を得た。このトマト濃縮清澄汁をプレート式殺菌機にて加熱殺菌(液温95〜98℃、30秒間)した後、ステンレス製メッシュ(目開き99μm)にてろ過し、金属缶包材に液温80℃以上でホットパック充填を行い、これをトマト加工物Bとした。

0067

製造例3トマト加工物C
トマト加工物Aを水道水に適宜希釈し、これにトマト加工物Aの固形分と等量のデキストリンを混合した。これを加熱殺菌(液温90℃、達温)し、次いで常法にて加熱条件下でスプレードライ(熱風入り口温度160℃、排風温度90℃、品温90℃以上瞬時)を行い、これをトマト加工物Cとした。

0068

製造例4トマト加工物D
生鮮トマトを圧搾した後、90℃達温殺菌し、ろ過・遠心分離工程を行い沈殿物(不溶性固形分)を除去した。これで得られたトマトジュースを濃縮機で約3倍に濃縮した後、90℃達温殺菌を行った。トマトピューレーの規格に合う威容に無塩可溶性固形分が24%未満に該当する11%(Brix11°)になるよう調整した後、90℃30秒間、加熱殺菌を行い、これをトマト加工品Dとした。

0069

上記で製造したトマト加工物A〜Dについて、そのトマトの素材香及び素材味(トマトの香味)を評価した。評価は、良く訓練されたパネル5名に、各トマト加工物A〜Dを試食してもらい、生鮮トマトの素材香及び素材味を比較対照として(判断基準3)、下記の基準に従って評価をしてもらった。なお、素材香とはトマト加工物A〜Dを試食した際に口腔内で咀嚼して感じる臭い(口腔内から鼻に抜ける臭い)を意味し、素材味とはトマト加工物A〜Dを試食してで感じる味を意味する。

0070

[判断基準(トマトの素材香または素材味)]
5:生鮮トマトの素材香または素材味よりも、とても強い
4:生鮮トマトの素材香または素材味よりも、強い
3:生鮮トマトの素材香または素材味と同じ
2:生鮮トマトの素材香または素材味よりも、弱い
1:生鮮トマトの素材香または素材味よりも、とても弱い(殆どなし)

0071

表1に、上記で製造したトマト加工物A〜Dについて、トマトの素材香及び素材味を含めて纏めた結果を示す。下表からわかるように、90℃以上の加熱殺菌処理を3回以上施こすことで、その回数に依存して、トマトの素材香を有意に低減することができた。

0072

0073

実験例1植物性タンパク含有肉団子の不快臭に対するマスキング効果の評価(その1)
表2に記載する処方に従って製造した植物性タンパク含有肉団子について、植物性タンパク由来の不快臭(以下、「タンパク臭」と称する)に対するトマト加工物A〜Dのマスキング効果を評価した。

0074

(1)植物性タンパク含有肉団子の製造
植物性タンパクとして大豆タンパク(加水粒状大豆たん白)(タンパク質含有率50質量%)を使用して、表2に記載する処方に従って植物性タンパク含有肉団子を製造した。具体的には、表2に記載する割合で原料1〜10を全てよく混合し、ピンポン球状成型した後、200℃に熱したオーブンに入れて同温度にて15分間焼成して、焼成肉団子を製造した(焼成歩留85%、焼成後の肉団子に含まれるトマト加工物A〜Dの割合:1.18質量%)。なお、加水粒状大豆たん白は、粒状大豆たん白(フジニックエース400:不二製油(株)製)5kgを15kgの水に1晩浸漬したものを使用した。

0075

0076

(2)植物性タンパク含有肉団子のタンパク臭の評価
上記で製造した各肉団子(比較例1、実施例1〜4)を、良く訓練されたパネル5名にて試食してもらい、口腔内で咀嚼して感じる臭い(口腔内から鼻に抜ける臭い)から、肉団子の大豆タンパクに由来する不快臭(タンパク臭)の程度を評価してもらった。評価は、比較例1の肉団子のタンパク臭の強さを「5」、タンパク臭を全く感じないを「1」とし、下記基準に従って、間隔が均等になるように5段階で評価してもらった。なお、試験に先立ち、各パネルには、大豆タンパク(加水粒状大豆たん白)を焼成した際に生じる不快臭(タンパク臭)を嗅いでもらい、タンパク臭に対する認識を統一しておいた。

0077

[判断基準(タンパク臭)]
5:とても強い(比較例1のタンパク臭)
4:強い
3:感じるが弱い
2:殆ど感じない
1:全く感じない

0078

結果を表3及び図1に示す。

0079

0080

表3および図1に示すように、肉団子の原料として大豆タンパクに加えてトマト加工物A〜Dを用いることで、大豆タンパクに起因する不快臭(タンパク臭)が有意に抑制(マスキング)されることが確認された。またその抑制効果は、配合するトマト加工物の加工の別及びその程度に依らず、トマトに由来する無塩可溶性固形分含量に依存して大きくなる傾向が認められた。

0081

(3)植物性タンパク含有肉団子のトマト素材香の評価
上記評価に加えて、前記パネルに、試食した各肉団子(比較例1、実施例1〜4)のトマト素材香を評価してもらった。評価は、トマト加工物を含有していない比較例1の肉団子のトマト素材香を「1」、生鮮トマトを試食して口腔内で咀嚼した際に感じるトマト素材香を「5」として、下記の判断基準に従って、間隔が均等になるように5段階で評価してもらった。なお、試験に先立ち、各パネルには、予め生鮮トマトを試食して口腔内で咀嚼した際に感じるトマト素材香を確認してもらい、トマト素材香に対する認識を統一しておいた。

0082

[判断基準(トマト素材香)]
5:とても強く感じる(生鮮トマトのトマト素材香と同程度)
4:強く感じる(生鮮トマトのトマト素材香よりもやや弱い)
3:感じる(生鮮トマトのトマト素材香よりも弱い)
2:殆ど感じない(生鮮トマトのトマト素材香が僅かにする)
1:全く感じない(比較例1の肉団子(トマト素材香0)と同じ)

0083

結果を表4及び図2に示す。

0084

0085

表4および図2に示すように、トマト加工物Aを配合した肉団子はトマト素材香が若干したのに対して、トマト加工物B〜Dを配合した肉団子はトマト素材香が全くしなかった。このトマト素材臭は、表1に示すようにトマト加工物の加工処理の程度に起因するものであると考えられる。特に、トマト素材臭は、トマト加工物の品温85℃を超える条件での加熱処理回数に依存し、トマト加工物B〜Dのように当該加熱処理を3回以上行ったトマト加工物を使用することで、トマト素材香を抑えた状態で、トマト素材香の影響なく、植物性タンパクのタンパク臭を抑制することができる。

0086

実験例2植物性タンパク含有肉団子の不快臭に対するマスキング効果の評価(その2)
トマト加工物として製造例2で製造したトマト加工物B(無塩可溶性固形分60%、Brix60°)を用いて、表5に記載する処方に従って、その配合量の異なる植物性タンパク含有肉団子を製造し、植物性タンパク由来の不快臭(タンパク臭)に対するマスキング効果を評価した。

0087

(1)植物性タンパク含有肉団子の製造
実験例1と同様に植物性タンパクとして大豆タンパク(実験例1と同じ加水粒状大豆たん白)を使用して、表5に記載する処方に従って植物性タンパク含有肉団子(比較例1、実施例5〜9)を製造した。具体的には、表5に記載する割合で原料1〜7を全てよく混合し、ピンポン球状に成型した後、200℃に熱したオーブンに入れて同温度にて15分間焼成して、肉団子を製造した(焼成歩留85%)。

0088

0089

(2)植物性タンパク含有肉団子のタンパク臭の評価
上記で製造した各肉団子(比較例1、実施例5〜9)を、実験例1(2)と同様にして良く訓練されたパネル5名にて試食してもらい、口腔内で咀嚼して感じる臭い(口腔内から鼻に抜ける臭い)から、肉団子の大豆タンパクに由来する不快臭(タンパク臭)の程度を評価してもらった。評価は、比較例1の肉団子のタンパク臭の強さを「5」、タンパク臭を全く感じないを「0」とし、下記基準に従って、間隔が均等になるように6段階で評価してもらった。なお、試験に先立ち、各パネルには、大豆たん白(加水粒状大豆たん白)を焼成した際に生じる不快臭(タンパク臭)を嗅いでもらい、タンパク臭に対する認識を統一しておいた。

0090

[判断基準(タンパク臭)]
5:とても強い(比較例1のタンパク臭)
4:強い
3:感じるが弱い
2:感じるが気にならない程度
1:殆ど感じない
0:全く感じない

0091

結果を表6及び図3に示す。

0092

0093

表6および図3に示すように、肉団子の原料として大豆タンパクに加えてトマト加工物Bを、焼成前の量として0.25質量%以上(トマト由来無塩可溶性固形分含量に換算して0.15質量%以上)、焼成後の量としてトマト由来無塩可溶性固形分含量に換算して0.17質量%以上の割合で使用することで、大豆タンパクに起因する不快臭(タンパク臭)が有意に抑制(マスキング)されることが確認された。

0094

(3)植物性タンパク含有肉団子のトマト素材香の評価
上記評価に加えて、前記パネルに、試食した各肉団子(比較例1、実施例5〜9)のトマト素材香を評価してもらった。評価は、トマト加工物を含有していない比較例1の肉団子のトマト素材香を「0」、生鮮トマトを試食して口腔内で咀嚼した際に感じるトマト素材香を「5」として、下記の判断基準に従って、間隔が均等になるように6段階で評価してもらった。なお、試験に先立ち、各パネルには、予め生鮮トマトを試食して口腔内で咀嚼した際に感じるトマト素材香を確認してもらい、トマト素材香に対する認識を統一しておいた。

0095

[判断基準(トマト素材香)]
5:とても強く感じる(生鮮トマトのトマト素材香と同程度)
4:強く感じる(生鮮トマトのトマト素材香よりもやや弱い)
3:感じる(生鮮トマトのトマト素材香よりも弱い)
2:感じるが弱い(生鮮トマトのトマト素材香よりもかなり弱い)
1:殆ど感じない(生鮮トマトのトマト素材香が微かにする)
0:全く感じない(比較例1の肉団子(トマト素材香0)と同じ)

0096

結果を表7及び図4に示す。

0097

0098

表7および図4に示すように、加工度の高いトマト加工物Bについても、そのトマト由来無塩可溶性固形分含量に依存してトマト素材香の影響が大きくなることが確認された。具体的には、肉団子の原料として大豆タンパクに加えてトマト加工物Bを、焼成前の量として1質量%以下(トマト由来無塩可溶性固形分含量に換算して0.6質量%以下)、焼成後の量としてトマト由来無塩可溶性固形分含量に換算して0.71質量%以下の割合で使用することで、トマト素材香の影響がないことが確認された。

0099

以上のことから、大豆タンパク含有肉団子の製造に際して、トマト加工物Bを、焼成前の量として0.25〜1質量%(トマト由来無塩可溶性固形分含量に換算して0.15〜0.6質量%)、焼成後の量としてトマト由来無塩可溶性固形分含量に換算して0.17〜0.71質量%の割合で使用することで、トマト素材香の影響なく、大豆タンパクに起因する不快臭(タンパク臭)を有意に抑制(マスキング)することができる。逆に、トマト加工物B(脱パルプ及び酵素処理トマト加工物)をトマト由来可溶性固形分含量に換算して0.7質量%程度以上、好ましくは1質量%以上の割合で配合することで、トマト素材香を活かしながらも大豆タンパク由来のタンパク臭が抑制された大豆タンパク含有肉団子を調製することができる。

0100

実験例3植物性タンパク含有ハンバーグの不快臭に対するマスキング効果の評価
トマト加工物として製造例2で製造したトマト加工物B(Brix60°)を用いて、表8に記載する処方に従って植物性タンパク含有肉ハンバーグを製造し、植物性タンパク由来の不快臭(タンパク臭)に対するマスキング効果を評価した。

0101

(1)植物性タンパク含有ハンバーグの製造
実験例1と同様に植物性タンパクとして大豆タンパク(加水粒状大豆たん白)を使用して、表8に記載する処方に従って植物性タンパク含有ハンバーグ(比較例2、実施例10)を製造した。具体的には、表8に記載する割合で原料1〜8を全てよく混合し、ハンバーグ状に成型した後、200℃に熱したオーブンに入れて同温度にて15分間焼成して、ハンバーグを製造した(焼成歩留80%)。なお、加水粒状大豆たん白は、粒状大豆たん白(フジニックエース400:不二製油(株)製)2.5kgを7.5kgの水に1晩浸漬したものを使用した。

0102

0103

(2)植物性タンパク含有ハンバーグのタンパク臭の評価
上記で製造した各ハンバーグ(比較例2、実施例10)を、実験例1(2)と同様にして良く訓練されたパネル10名にて試食してもらい、口腔内で咀嚼して感じる臭い(口腔内から鼻に抜ける臭い)から、ハンバーグの大豆タンパクに由来する不快臭(タンパク臭)の程度を評価してもらった。評価は、比較例2のハンバーグのタンパク臭の強さを「5」、タンパク臭を全く感じないを「0」とし、実験例2と同じ基準に従って、間隔が均等になるように6段階で評価してもらった。

0104

結果を表9及び図5に示す。

0105

0106

表9および図5に示すように、実験例1及び2で示した肉団子と同様に、ハンバーグについても、その原料として大豆タンパクに加えてトマト加工物Bを使用することで、大豆タンパクに起因する不快臭(タンパク臭)が有意に抑制(マスキング)されることが確認された。トマト加工物Bの配合量に関して、焼成前の量として1質量%以上(トマト由来無塩可溶性固形分含量に換算して0.6質量%以上)、焼成後の量としてトマト由来無塩可溶性固形分含量に換算して0.75質量%以上の割合で使用することで、大豆タンパクに起因する不快臭(タンパク臭)が格段に抑制(マスキング)されることが確認された。

0107

実験例4植物性タンパク含有餃子の不快臭に対するマスキング効果の評価
トマト加工物として製造例2で製造したトマト加工物B(Brix60°)を用いて、表10に記載する処方に従って植物性タンパク含有肉餃子を製造し、植物性タンパク由来の不快臭(タンパク臭)に対するマスキング効果を評価した。

0108

(1)植物性タンパク含有餃子の製造
実験例1と同様に植物性タンパクとして大豆タンパク(加水粒状大豆たん白)を使用して、表10に記載する処方に従って植物性タンパク含有ハンバーグ(比較例3、実施例11)を製造した。具体的には、表10に記載する割合で原料1〜8を全てよく混合し、これを餡として市販の餃子の皮に包み込み、成型した後、230℃に熱したホットプレート上で皮表面に焦げ目が付くまで焼成して、焼餃子を製造した(餡部の焼成歩留90%)。なお、加水粒状大豆たん白は、粒状大豆たん白(フジニックエース400:不二製油(株)製)を4容量倍の水に1晩浸漬したものを使用した。

0109

0110

(2)植物性タンパク含有焼餃子のタンパク臭の評価
上記で製造した各焼餃子(比較例3、実施例11)を、実験例1(2)と同様にして良く訓練されたパネル10名にて試食してもらい、口腔内で咀嚼して感じる臭い(口腔内から鼻に抜ける臭い)から、焼餃子の大豆タンパクに由来する不快臭(タンパク臭)の程度を評価してもらった。評価は、比較例3の焼餃子のタンパク臭の強さを「5」、タンパク臭を全く感じないを「0」とし、実験例2と同じ基準に従って、間隔が均等になるように6段階で評価してもらった。

0111

結果を表11及び図6に示す。

0112

0113

表11および図6に示すように、実験例1及び2で示した肉団子、実験例3で示したハンバーグと同様に、焼餃子についても、その原料として大豆タンパクに加えてトマト加工物Bを使用することで、大豆タンパクに起因する不快臭(タンパク臭)が有意に抑制(マスキング)されることが確認された。トマト加工物Bの配合量に関して、焼成前の量として1質量%以上(トマト由来無塩可溶性固形分含量に換算して0.6質量%以上)、焼成後の量としてトマト由来無塩可溶性固形分含量に換算して0.75質量%以上の割合で使用することで、大豆タンパクに起因する不快臭(タンパク臭)が格段に抑制(マスキング)されることが確認された。

0114

実験例5大豆オフフレーバー低減効果の評価
上記実験例1〜4の結果から、トマトに含まれる無塩可溶性固形分(トマト由来無塩可溶性固形分)が、植物性タンパクである大豆タンパクに由来する不快臭(タンパク臭)の抑制に寄与していると考えられた。そこで、ここでは大豆タンパクの異臭(オフフレーバー)成分として知られているn−ヘキサナール(青臭さ)及びリノール酸(脂肪酸臭)の各々に対して、トマト添加によるオフフレーバー低減効果を評価した。

0115

(1)被験液の調製
(a)n−ヘキサナール臭に対するマスキング評価用の被験液
n−ヘキサナールをエタノールに溶解して0.1質量%濃度のエタノール溶液(1,000ppm)を調製した。これを水に1容量%、およびトマト加工物Bを最終濃度が100ppmとなるように添加して、「n−ヘキサナール10ppm+トマト加工物B100ppm」の水溶液を調製した(実施例12)。比較被験液として、上記n−ヘキサナールのエタノール溶液を水に1容量%、及び0.1容量%の割合でそれぞれ添加して、10ppm濃度のn−ヘキサナール水溶液(比較例4)及び1ppm濃度のn−ヘキサナール水溶液(比較例5)を調製した。
(b)リノール酸臭に対するマスキング評価用の被験液
リノール酸をエタノールに溶解して0.1質量%濃度のエタノール溶液(1,000ppm)を調製した。これを水に1容量%、およびトマト加工物Bを最終濃度が100ppmとなるように添加して、「リノール酸10ppm+トマト加工物B100ppm」の水溶液を調製した(実施例13)。比較被験液として、上記リノール酸のエタノール溶液を水に1容量%、及び0.1容量%の割合でそれぞれ添加して、10ppm濃度のリノール酸(比較例6)及び1ppm濃度のリノール酸水溶液(比較例7)を調製した。

0116

(2)実験方法
n−ヘキサナール臭に対するマスキング評価用被験液(実施例12、比較例4及び5)及びリノール酸臭に対するマスキング評価用被験液(実施例13、比較例6及び7)を、それぞれ良く訓練されたパネル10名に口腔内に含んでもらい、口腔内で咀嚼して感じる臭い(口腔内から鼻に抜ける臭い)から、各臭い(オフフレーバー)の程度を評価してもらった。n−ヘキサナール臭に対するマスキング評価については、比較例4の被験液のn−ヘキサナール臭の強さを「5」、臭いを全く感じないを「0」とし、実験例2と同じ基準に従って、間隔が均等になるように6段階で評価してもらった。同様に、リノール酸臭に対するマスキング評価についても、比較例6の被験液のリノール酸臭の強さを「5」、臭いを全く感じないを「0」とし、実験例2と同じ基準に従って、間隔が均等になるように6段階で評価してもらった。

0117

(3)実験結果
n−ヘキサナール臭に対するマスキング評価結果を表12及び図7に、リノール酸臭に対するマスキング評価結果を表13及び図8に示す。

0118

0119

0120

この結果からわかるように、n−ヘキサナール含有被験液及びリノール酸含有被験液にトマト加工物を添加することで、n−ヘキサナール臭(青臭さ)及びリノール酸(脂肪酸臭)がいずれも低減することが確認された。このため、大豆タンパク由来の不快臭(タンパク臭)に対するトマトによる抑制効果(マスキング効果)は、トマト由来無塩可溶性成分の添加により、少なくとも大豆タンパクに含まれるオフフレーバー成分の一種であるn−ヘキサナール及びリノール酸の臭いが抑制されることに依るものと考えられる。

0121

実験例6トマト由来無塩可溶性固形分中のマスキング成分の検討
トマトによる植物性タンパク臭抑制効果の有効成分(臭いマスキング成分)を検討するために、実験例1と同様に、トマト加工物を配合した肉団子(実施例14)、及びトマト加工物に代えてクエン酸を配合した肉団子(比較例A〜C)をそれぞれ製造し、各肉団子の臭いを比較して、トマト加工物及びクエン酸の臭いマスキング効果を評価した。

0122

(1)実験方法
実験例1と同様にして、植物性タンパクとして大豆タンパク(加水粒状大豆たん白、実験例1と同じ)を使用して、表14に記載する処方に従って植物性タンパク含有肉団子(比較例8、実施例14、比較例A〜C)を製造した。なお、実施例14の肉団子には、トマト加工物を配合することで、クエン酸相当量に換算して、比較例Bの肉団子と同量のクエン酸が含まれている(焼成前含有量:0.05質量%)。

0123

0124

上記で製造した肉団子(比較例8、実施例14、比較例A〜C)を、それぞれ良く訓練されたパネル5名に試食してもらい、口腔内で咀嚼して感じる臭い(口腔内から鼻に抜ける臭い)に基づいて、実験例2で定めた基準にそって、タンパク臭(オフフレーバー)の程度を評価してもらった。

0125

(3)実験結果
マスキング評価結果を表15及び図9に示す。

0126

0127

比較例A〜Cの肉団子のタンパク臭(オフフレーバー)の強度から、クエン酸が植物性タンパクのオフフレーバーの抑制に用量依存的に寄与することが確認された。一方、トマト加工物を配合して調製した実施例14の肉団子は、比較例Bの肉団子と、クエン酸含量は同量でありながらも、比較例Bの肉団子よりも有意にタンパク臭が抑制されることが確認された。このことから、トマト加工物による植物性タンパク臭のマスキング効果には、それに含まれるクエン酸が寄与しているものの、それだけでなく、他の可溶性固形分も寄与しているものと考えられる。

0128

実験例7植物性タンパク含有クッキーの不快臭に対するマスキング効果の評価
トマト加工物として製造例2で製造したトマト加工物B(Brix60°)を用いて、表16に記載する処方に従って植物性タンパク含有クッキーを製造し、植物性タンパク由来の不快臭(タンパク臭)に対するマスキング効果を評価した。

0129

(1)植物性タンパク含有クッキーの製造
植物性タンパクとしておから(乾燥おからイオンプライベート商品)、タンパク質含量21.5質量%[ケルダール法による])を使用して、表16に記載する処方に従っておから含有クッキー(比較例9、実施例15〜17)を製造した。具体的には、表16に記載する割合で原料1〜6を全てよく混合してドウを調製し、これを延伸したシートから型抜きしてクッキー状に成型した後、170℃に熱したコンベクションオーブンにて同温度で焼成して、クッキーを製造した(焼成歩留88%)。

0130

0131

(2)植物性タンパク含有クッキーのタンパク臭の評価
上記で製造した各おから含有クッキー(比較例9、実施例15〜17)を、良く訓練されたパネル5名にて試食してもらい、口腔内で咀嚼して感じる臭い(口腔内から鼻に抜ける臭い)に基づいて、クッキーのおからに由来する不快臭(タンパク臭)の程度を評価してもらった。評価は、比較例9のおから含有クッキーのタンパク臭の強さを「5」、タンパク臭を全く感じないを「0」とし、実験例2と同じ基準に従って、間隔が均等になるように6段階で評価してもらった。

0132

結果を表17及び図10に示す。

0133

0134

表17および図10に示すように、原料としておからに加えてトマト加工物Bを使用することで、用量依存的に、おからに起因する不快臭(タンパク臭)が有意に抑制(マスキング)されることが確認された。トマト加工物Bの配合量に関して、焼成前の量としてトマト由来無塩可溶性固形分含量に換算して1質量%以上、焼成後の量としてトマト由来無塩可溶性固形分含量に換算して1.02質量%以上の割合で使用することで、おからに起因する不快臭(タンパク臭)が格段に抑制(マスキング)されることが確認された。

0135

(3)植物性タンパク含有クッキーのトマト素材香の評価
上記評価に加えて、前記パネルに、試食した各おから含有クッキー(比較例9、実施例18〜20)のトマト素材香を評価してもらった。評価は、トマト加工物を含有していない比較例9のおから含有クッキーのトマト素材香を「0」、生鮮トマトを試食した際に感じるトマト素材香を「3」として、実験例2で規定した判断基準に従って、間隔が均等になるように6段階で評価してもらった。なお、試験に先立ち、各パネルには、予め生鮮トマトを試食した際に感じるトマト素材香を嗅いでもらい、トマト素材香に対する認識を統一しておいた。

0136

結果を表18及び図11に示す。

0137

0138

表18および図11に示すように、トマト加工物B配合により、トマト由来無塩可溶性固形分含量に依存してトマト素材香の影響が大きくなることが確認された。具体的には、クッキーの原料としておからに加えてトマト加工物Bを、焼成前の量として1質量%以上(トマト由来無塩可溶性固形分含量に換算して0.6質量%以上)、焼成後の量としてトマト由来無塩可溶性固形分含量に換算して0.68質量%以上の割合で使用することで、トマト素材香の影響が出てくるものの、それ未満、特に焼成後のトマト由来可溶性固形分含量が0.4質量%以下の割合で使用することで、トマト素材香の影響は殆どないことが確認された。

0139

以上のことから、おから含有クッキーの製造に際して、トマト加工物Bを、焼成前の量として0.25〜1質量%未満(トマト由来無塩可溶性固形分含量に換算して0.15〜0.6質量%)、焼成後の量としてトマト由来無塩可溶性固形分含量に換算して0.17〜0.68質量%未満の割合で使用することで、トマト素材香の影響があまりなく、おからに起因する不快臭(タンパク臭)を有意に抑制(マスキング)することができる。逆に、トマト加工物B(脱パルプ及び酵素処理トマト加工物)をトマト由来無塩可溶性固形分含量に換算して0.7質量%程度以上、好ましくは1質量%以上の割合で配合することで、トマト素材香を活かしながらもおから由来のタンパク臭が抑制されたおから含有クッキーを調製することができる。

0140

実験例8植物性タンパク含有パウンドケーキの不快臭に対するマスキング効果の評価
トマト加工物として製造例2で製造したトマト加工物C(Brix50°)を用いて、表19に記載する処方に従って植物性タンパク含有パウンドケーキを製造し、植物性タンパク由来の不快臭(タンパク臭)に対するマスキング効果を評価した。

0141

(1)植物性タンパク含有パウンドケーキの製造
植物性タンパクとして大豆粉(アルファラスHS−600:日進オイリグループ(株)製)(タンパク質含有率42.7質量%、ケルダール法測定による)を使用して、表19に記載する処方に従って大豆粉含有パウンドケーキ(比較例11、実施例21〜23)を製造した。また比較例10として大豆粉を含有しないパウンドケーキも製造した。具体的には、表19に記載する割合で、下記の手順に従ってパウンドケーキを製造した(焼成歩留88%)。
(i)原料1、2、4、6及び7を粉体混合してっておく。
(ii)原料4及び5に、原料3を少しずつ加えて十分混合する。
(iii)上記(ii)に、前記(i)を加え、さっくりと混合する。
(iv)斯くして調製した生地パウンドケーキ型にいれる。
(v)オーブンにて焼成(170℃、30分間)し、室温で放冷する。

0142

0143

(2)植物性タンパク含有パウンドケーキのタンパク臭の評価
上記で製造した各大豆粉入りパウンドケーキ(比較例11、実施例18〜20)および大豆粉なしパウンドケーキ(比較例10)を、良く訓練されたパネル5名にて試食してもらい、口腔内で咀嚼して感じる臭い(口腔内から鼻に抜ける臭い)に基づいて、パウンドケーキの大豆粉に由来する不快臭(タンパク臭)の程度を評価してもらった。評価は、比較例11の大豆粉入りパウンドケーキのタンパク臭の強さを「5」、比較例10の大豆粉なしパウンドケーキのタンパク臭の強さを「0」とし、実験例2と同じ基準に従って、間隔が均等になるように6段階で評価してもらった。

0144

結果を表20及び図12に示す。

0145

0146

表20および図12に示すように、原料として大豆粉に加えてトマト加工物を使用することで、用量依存的に、大豆粉に起因する不快臭(タンパク臭)が有意に抑制(マスキング)されることが確認された。トマト加工物の配合量に関して、焼成前の量としてトマト由来無塩可溶性固形分含量に換算して0.09質量%以上、焼成後の量としてトマト由来無塩可溶性固形分含量に換算して0.05質量%以上の割合で使用することで、大豆粉に起因する不快臭(タンパク臭)が格段に抑制(マスキング)されることが確認された。

0147

(3)植物性タンパク含有パウンドケーキのトマト素材香の評価
上記評価に加えて、前記パネルに、試食した各大豆粉入りパウンドケーキ(比較例11、実施例18〜20)、および大豆粉なしパウンドケーキ(比較例11)のトマト素材香を評価してもらった。評価は、トマト加工物を含有していない比較例11の大豆粉入りパウンドケーキのトマト素材香を「0」、生鮮トマトを試食した際に感じるトマト素材香を「3」として、実験例2で規定した判断基準に従って、間隔が均等になるように6段階で評価してもらった。なお、試験に先立ち、各パネルには、予め生鮮トマトを試食した際に感じるトマト素材香を嗅いでもらい、トマト素材香に対する認識を統一しておいた。

0148

結果を表21及び図13に示す。

0149

0150

表21および図13に示すように、トマト加工物配合により、トマト由来無塩可溶性固形分含量に依存してトマト素材香の影響が大きくなることが確認された。具体的には、パウンドケーキの原料として大豆粉に加えてトマト加工物を、焼成前の量としてトマト由来無塩可溶性固形分含量に換算して0.23質量%以上、焼成後の量としてトマト由来無塩可溶性固形分含量に換算して0.13質量%以上の割合で使用することで、トマト素材香の影響が出てくるものの、それ未満、特に焼成後のトマト由来無塩可溶性固形分含量が0.13質量%未満の割合で使用することで、トマト素材香の影響は殆どないことが確認された。

実施例

0151

以上のことから、大豆粉含有パウンドケーキの製造に際して、トマト加工物Cを、焼成前の量として0.09〜0.23質量%未満(トマト由来無塩可溶性固形分含量に換算して0.05〜0.14質量%)、焼成後の量としてトマト由来無塩可溶性固形分含量に換算して0.06〜0.16質量%未満の割合で使用することで、トマト素材香の影響があまりなく、大豆粉に起因する不快臭(タンパク臭)を有意に抑制(マスキング)することができる。逆に、トマト加工物C(脱パルプ及び酵素処理トマト加工物の乾燥品)をトマト由来無塩可溶性固形分含量に換算して0.16質量%程度以上、好ましくは0.3質量%以上の割合で配合することで、トマト素材香を活かしながらも大豆粉由来のタンパク臭が抑制された大豆粉含有パウンドケーキを調製することができる。

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