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技術 水系二次電池及び発電システム

出願人 日立化成株式会社
発明者 伊藤渉太山内修子酒井政則織田明博利光祐一
出願日 2017年10月6日 (2年1ヶ月経過) 出願番号 2017-196047
公開日 2019年5月9日 (6ヶ月経過) 公開番号 2019-071193
状態 未査定
技術分野 燃料電池(本体)
主要キーワード 充放電波形 プラスチック電極 ハロゲンオキソ酸 火力発電装置 電解液貯蔵タンク ピロリジニウムブロミド グラファイトフェルト 三ヨウ化物イオン
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図面 (12)

課題

高エネルギー密度化及び長寿命化された水系二次電池を提供する。

解決手段

正極と、負極と、電解液と、前記電解液を貯留する活物質反応槽と、前記活物質反応槽内の前記電解液を循環させる電解液循環経路と、を備え、前記活物質反応槽内において、前記正極が鉛直方向下部、かつ、前記負極が鉛直方向上部に配置され、前記電解液は、正極活物質であるハロゲン化物イオンと前記ハロゲン化物イオンの酸化反応生成物分離可能有機化合物とを含み、前記負極側にて前記活物質反応槽と前記電解液循環経路とが接続している水系二次電池。

概要

背景

近年、地球環境問題は深刻さを増しており、化石燃料に依存しない持続可能な社会の実現が強く求められている。特に大気中の二酸化炭素増加による地球温暖化は、地球規模での大きな課題となっている。そのため、発電時に二酸化炭素を排出しない風力太陽光等の再生可能エネルギーの普及が、今後も世界的に促進されることが予想される。しかし、再生可能エネルギーは天候によって大きく出力が変動するので、そのままでは安定的な利用が困難である。そこでこの変動を平準化するため、安全かつ安価で大型化に適する電力貯蔵蓄電デバイス需要が高まっている。

大容量の電力貯蔵用蓄電デバイスとしては、ナトリウム硫黄(NAS)電池鉛蓄電池レドックスフロー電池等の二次電池が挙げられる。NAS電池は大容量で長寿命であるため、ピークシフト用途、再生可能エネルギー電力系統連携用途等への利用が提案されている。鉛蓄電池は、100年以上の歴史裏打ちされた高い信頼性があり、単位蓄電容量当たりのコストが低く大型化に有利であるため、家庭用事業所用等の夜間電力利用、再生可能エネルギー発電所の平準化などの幅広い用途に提案されている。レドックスフロー電池は、タンクの容量を増やすことで大容量化も容易に行えるため、電力貯蔵用途に適している。

一方で、各種蓄電デバイスには短所も存在する。NAS電池は動作温度が300℃と高温であるため、発火の危険があるうえに、発火すると亜硫酸ガス等の有毒ガスを発生する危険がある。鉛蓄電池は、体積エネルギー密度が低いため、広大設置面積を必要とする上に、RoHS指令に代表されるように鉛が世界的に規制の対象となっていることから、将来的に規制対象となることも考えられる。レドックスフロー電池は、水溶液系電解質であれば発火の危険は低く安全性が高いものの、従来のバナジウムなどの金属イオン正負極活物質とした場合は体積エネルギー密度が低いことが課題である。

そこで、安全性が高いことと、体積エネルギー密度が高いこととを両立した大容量蓄電デバイスの開発が待たれている。

例えば、特許文献1には、負極活物質クロムイオン正極活物質ハロゲンイオンを用いるレドックスフロー電池が開示されている。ハロゲンイオンとしてヨウ化物イオン(I−)を用いることも開示されている。
特許文献2には、ハロゲンオキソ酸化合物水溶液負極電解液として用いたレドックスフロー電池が開示されている。ハロゲンオキソ酸化合物にはヨウ素酸塩も含まれており、ヨウ素酸イオンとヨウ化物イオンとの酸化還元反応を用いることについても言及されている。
特許文献3には、セパレーターとしてニトロセルロース多孔膜を用いた亜鉛ヨウ素二次電池が開示されている。この亜鉛/ヨウ素二次電池では、長期間の充放電サイクルに伴いデンドライト状あるいはモス状に成長する亜鉛の結晶を、セパレーター材料に関する機械的強度をもって阻止することが期待されている。
特許文献4及び非特許文献1には、金属イオンとヨウ化物イオンポリマー電解液の成分とするレドックスフロー電池が開示されている。特に非特許文献1には、ヨウ化亜鉛を活物質とする水溶液系電解液エタノール又はエチレングリコールを添加し、これによりヨウ素の析出を抑制することが開示されている。

概要

高エネルギー密度化及び長寿命化された水系二次電池を提供する。正極と、負極と、電解液と、前記電解液を貯留する活物質反応槽と、前記活物質反応槽内の前記電解液を循環させる電解液循環経路と、を備え、前記活物質反応槽内において、前記正極が鉛直方向下部、かつ、前記負極が鉛直方向上部に配置され、前記電解液は、正極活物質であるハロゲン化物イオンと前記ハロゲン化物イオンの酸化反応生成物分離可能有機化合物とを含み、前記負極側にて前記活物質反応槽と前記電解液循環経路とが接続している水系二次電池。

目的

レドックスフロー電池は、水溶液系電解質であれば発火の危険は低く安全性が高いものの、従来のバナジウムなどの金属イオンを正負極活物質とした場合は体積エネルギー密度が低いことが課題である

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

正極と、負極と、電解液と、前記電解液を貯留する活物質反応槽と、前記活物質反応槽内の前記電解液を循環させる電解液循環経路と、を備え、前記活物質反応槽内において、前記正極が鉛直方向下部、かつ、前記負極が鉛直方向上部に配置され、前記電解液は、正極活物質であるハロゲン化物イオンと、前記ハロゲン化物イオンの酸化反応生成物分離可能有機化合物と、を含み、前記負極側にて前記活物質反応槽と前記電解液循環経路とが接続している水系二次電池

請求項2

前記有機化合物が、ケトンカルボン酸エステル及び炭酸エステルから選択される少なくとも1種を含む請求項1に記載の水系二次電池。

請求項3

前記有機化合物が、メチルエチルケトン酢酸メチル酢酸エチル炭酸ジメチル炭酸エチルメチル及び炭酸プロピレンから選択される少なくとも1種を含む請求項1又は請求項2に記載の水系二次電池。

請求項4

前記活物質反応槽と前記電解液循環経路との間に前記電解液を貯蔵する電解液貯蔵部を更に備える請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の水系二次電池。

請求項5

前記有機化合物により分離した前記ハロゲン化物イオンの酸化反応生成物を循環させる生成物循環経路と、前記活物質反応槽と前記生成物循環経路との間に前記酸化反応生成物を貯蔵する生成物貯蔵部を更に備え、前記正極側にて前記活物質反応槽と前記生成物循環経路とが接続している請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の水系二次電池。

請求項6

前記活物質反応槽内の底面が、水平面に対してθ(θは角度を表し、0°<θ≦90°を満たす)傾いている領域を有し、前記領域の鉛直下向き方向における端部にて前記生成物循環経路と接続している請求項5に記載の水系二次電池。

請求項7

前記活物質反応槽が、水平面に対してθ(θは角度を表し、0°<θ≦90°を満たす)傾いている請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の水系二次電池。

請求項8

前記正極と前記負極との間に配置され、前記電解液を正極電解液負極電解液とに分ける隔膜を備える請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の水系二次電池。

請求項9

前記隔膜が、前記活物質反応槽内の底面に対して±α(αは角度を表し、0°<α≦30°を満たす)傾いている請求項8に記載の水系二次電池。

請求項10

前記電解液は、負極活物質として金属イオンを更に含む請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の水系二次電池。

請求項11

前記金属イオンは、亜鉛イオンクロムイオンマンガンイオン鉄イオンコバルトイオンニッケルイオン銅イオン鉛イオン及びリチウムイオンから選択される少なくとも1種を含む請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の水系二次電池。

請求項12

前記電解液は、負極活物質として硫黄化合物を更に含む請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載の水系二次電池。

請求項13

前記ハロゲン化物イオンは、ヨウ化物イオン(I−)及び臭化物イオン(Br−)の少なくとも一方を含む請求項1〜請求項12のいずれか1項に記載の水系二次電池。

請求項14

請求項1〜請求項13のいずれか1項に記載の水系二次電池と、前記水系二次電池の充放電を制御する制御部と、発電装置と、を備える発電ステム

技術分野

0001

本発明は、水系二次電池及び発電ステムに関するものである。

背景技術

0002

近年、地球環境問題は深刻さを増しており、化石燃料に依存しない持続可能な社会の実現が強く求められている。特に大気中の二酸化炭素増加による地球温暖化は、地球規模での大きな課題となっている。そのため、発電時に二酸化炭素を排出しない風力太陽光等の再生可能エネルギーの普及が、今後も世界的に促進されることが予想される。しかし、再生可能エネルギーは天候によって大きく出力が変動するので、そのままでは安定的な利用が困難である。そこでこの変動を平準化するため、安全かつ安価で大型化に適する電力貯蔵蓄電デバイス需要が高まっている。

0003

大容量の電力貯蔵用蓄電デバイスとしては、ナトリウム硫黄(NAS)電池鉛蓄電池レドックスフロー電池等の二次電池が挙げられる。NAS電池は大容量で長寿命であるため、ピークシフト用途、再生可能エネルギー電力系統連携用途等への利用が提案されている。鉛蓄電池は、100年以上の歴史裏打ちされた高い信頼性があり、単位蓄電容量当たりのコストが低く大型化に有利であるため、家庭用事業所用等の夜間電力利用、再生可能エネルギー発電所の平準化などの幅広い用途に提案されている。レドックスフロー電池は、タンクの容量を増やすことで大容量化も容易に行えるため、電力貯蔵用途に適している。

0004

一方で、各種蓄電デバイスには短所も存在する。NAS電池は動作温度が300℃と高温であるため、発火の危険があるうえに、発火すると亜硫酸ガス等の有毒ガスを発生する危険がある。鉛蓄電池は、体積エネルギー密度が低いため、広大設置面積を必要とする上に、RoHS指令に代表されるように鉛が世界的に規制の対象となっていることから、将来的に規制対象となることも考えられる。レドックスフロー電池は、水溶液系電解質であれば発火の危険は低く安全性が高いものの、従来のバナジウムなどの金属イオン正負極活物質とした場合は体積エネルギー密度が低いことが課題である。

0005

そこで、安全性が高いことと、体積エネルギー密度が高いこととを両立した大容量蓄電デバイスの開発が待たれている。

0006

例えば、特許文献1には、負極活物質クロムイオン正極活物質ハロゲンイオンを用いるレドックスフロー電池が開示されている。ハロゲンイオンとしてヨウ化物イオン(I−)を用いることも開示されている。
特許文献2には、ハロゲンオキソ酸化合物水溶液負極電解液として用いたレドックスフロー電池が開示されている。ハロゲンオキソ酸化合物にはヨウ素酸塩も含まれており、ヨウ素酸イオンとヨウ化物イオンとの酸化還元反応を用いることについても言及されている。
特許文献3には、セパレーターとしてニトロセルロース多孔膜を用いた亜鉛ヨウ素二次電池が開示されている。この亜鉛/ヨウ素二次電池では、長期間の充放電サイクルに伴いデンドライト状あるいはモス状に成長する亜鉛の結晶を、セパレーター材料に関する機械的強度をもって阻止することが期待されている。
特許文献4及び非特許文献1には、金属イオンとヨウ化物イオンポリマー電解液の成分とするレドックスフロー電池が開示されている。特に非特許文献1には、ヨウ化亜鉛を活物質とする水溶液系電解液エタノール又はエチレングリコールを添加し、これによりヨウ素の析出を抑制することが開示されている。

0007

特開昭61−24172号公報
特表2016−520982号公報
特開昭63−205067号公報
米国特許出願公開第2015/0147673号明細書

先行技術

0008

B.Li et al.,Nature commun.,6,6303(2015)

発明が解決しようとする課題

0009

電力貯蔵用の大容量蓄電デバイスとしては、安全性に優れる点から水溶液系電解液を用いる水系二次電池が好ましい。また、水への溶解度が高く、高エネルギー密度化が期待できる点から、容易に酸化還元反応を起こす臭化物イオン、ヨウ化物イオン等のハロゲン化物イオンを活物質とする水系二次電池が考えられる。

0010

しかしながら、特許文献1〜4に記載のヨウ化物イオンを用いる二次電池では、電解液中のヨウ化物イオンは酸化反応によって電極表面へヨウ素(I2)として析出して皮膜を形成し、様々な問題を生じる場合がある。例えば、電極表面に形成されたヨウ素皮膜が高抵抗化することで、電池としての充電電流値に対応する酸化電流値が低下するおそれがある。また、ヨウ素皮膜から水溶液中に拡散したヨウ素の分子が系外に昇華することで電解液中の活物質量が減少し、電池容量が低下するおそれがある。さらに、電解液を流動させて充放電を行うフロー電池の場合、ヨウ素皮膜により電解液の流路が塞がれてしまうおそれがある。そのため、フロー電池において、ヨウ素皮膜等の生成を抑制し、水系二次電池の短寿命化を抑制することが好ましい。

0011

また、非特許文献1では、エタノール又はエチレングリコールが2価の亜鉛イオン配位することによりヨウ素の析出自体が抑制されることが記載されており、ヨウ化物イオン及び亜鉛イオンの両方を含む電解液に限定される。そこで、電解液が2価の亜鉛イオンを含まない場合であっても、ヨウ素皮膜の厚膜化が抑制できることが好ましい。

0012

本開示は、高エネルギー密度化及び長寿命化された水系二次電池並びにこれを備えた発電システムを提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0013

上記課題を解決するための具体的な手段には、以下の実施態様が含まれる。
<1> 正極と、負極と、電解液と、前記電解液を貯留する活物質反応槽と、前記活物質反応槽内の前記電解液を循環させる電解液循環経路と、を備え、前記活物質反応槽内において、前記正極が鉛直方向下部、かつ、前記負極が鉛直方向上部に配置され、前記電解液は、正極活物質であるハロゲン化物イオンと、前記ハロゲン化物イオンの酸化反応生成物分離可能有機化合物と、を含み、前記負極側にて前記活物質反応槽と前記電解液循環経路とが接続している水系二次電池。
<2> 前記有機化合物が、ケトンカルボン酸エステル及び炭酸エステルから選択される少なくとも1種を含む<1>に記載の水系二次電池。
<3> 前記有機化合物が、メチルエチルケトン酢酸メチル酢酸エチル炭酸ジメチル炭酸エチルメチル及び炭酸プロピレンから選択される少なくとも1種を含む<1>又は<2>に記載の水系二次電池。
<4> 前記活物質反応槽と前記電解液循環経路との間に前記電解液を貯蔵する電解液貯蔵部を更に備える<1>〜<3>のいずれか1つに記載の水系二次電池。
<5> 前記有機化合物により分離した前記ハロゲン化物イオンの酸化反応生成物を循環させる生成物循環経路と、前記活物質反応槽と前記生成物循環経路との間に前記酸化反応生成物を貯蔵する生成物貯蔵部を更に備え、前記正極側にて前記活物質反応槽と前記生成物循環経路とが接続している<1>〜<4>のいずれか1つに記載の水系二次電池。
<6> 前記活物質反応槽内の底面が、水平面に対してθ(θは角度を表し、0°<θ≦90°を満たす)傾いている領域を有し、前記領域の鉛直下向き方向における端部にて前記生成物循環経路と接続している<5>に記載の水系二次電池。
<7> 前記活物質反応槽が、水平面に対してθ(θは角度を表し、0°<θ≦90°を満たす)傾いている<1>〜<5>のいずれか1つに記載の水系二次電池。
<8> 前記正極と前記負極との間に配置され、前記電解液を正極電解液と負極電解液とに分ける隔膜を備える<1>〜<7>のいずれか1つに記載の水系二次電池。
<9> 前記隔膜が、前記活物質反応槽内の底面に対して±α(αは角度を表し、0°<α≦30°を満たす)傾いている<8>に記載の水系二次電池。
<10> 前記電解液は、負極活物質として金属イオンを更に含む<1>〜<9>のいずれか1つに記載の水系二次電池。
<11> 前記金属イオンは、亜鉛イオン、クロムイオン、マンガンイオン鉄イオンコバルトイオンニッケルイオン銅イオン鉛イオン及びリチウムイオンから選択される少なくとも1種を含む<1>〜<10>のいずれか1つに記載の水系二次電池。
<12> 前記電解液は、負極活物質として硫黄化合物を更に含む<1>〜<11>のいずれか1つに記載の水系二次電池。
<13> 前記ハロゲン化物イオンは、ヨウ化物イオン(I−)及び臭化物イオン(Br−)の少なくとも一方を含む<1>〜<12>のいずれか1つに記載の水系二次電池。

0014

<14> <1>〜<13>のいずれか1つに記載の水系二次電池と、前記水系二次電池の充放電を制御する制御部と、発電装置と、を備える発電システム。

発明の効果

0015

本発明の一形態によれば、高エネルギー密度化及び長寿命化された水系二次電池並びにこれを備えた発電システムを提供することができる。

図面の簡単な説明

0016

第1実施形態の水系二次電池の一例を示す概略断面図である。
第2実施形態の水系二次電池の一例を示す概略断面図である。
第3実施形態の水系二次電池の一例を示す概略断面図である。
第4実施形態の水系二次電池の一例を示す概略断面図である。
第5実施形態の水系二次電池の一例を示す概略断面図である。
第6実施形態の水系二次電池の一例を示す概略断面図である。
第7実施形態の水系二次電池の一例を示す概略断面図である。
第8実施形態の水系二次電池の一例を示す概略断面図である。
第9実施形態の水系二次電池の一例を示す概略断面図である。
実施例1及び比較例1の水系二次電池の放電曲線である。
実施例1の水系二次電池における、サイクル数クーロン効率との関係を示すグラフである。

0017

以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本発明を制限するものではない。

0018

本開示において「〜」を用いて示された数値範囲には、「〜」の前後に記載される数値がそれぞれ最小値及び最大値として含まれる。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において電解液中の各成分の含有率は、電解液中に各成分に該当する物質複数種存在する場合、特に断らない限り、電解液中に存在する当該複数種の物質の合計の含有率を意味する。
また、本開示に記載された具体的かつ詳細な内容の一部又は全てを利用せずとも本発明を実施可能であることは、当業者には明らかである。また、本発明の側面をあいまいにすることを避けるべく、公知の点については詳細な説明又は図示を省略する場合もある。
また、図1図9における部材の大きさは概念的なものであり、部材間の大きさの相対的な関係はこれに限定されない。

0019

[水系二次電池]
本開示の水系二次電池は、正極と、負極と、電解液と、前記電解液を貯留する活物質反応槽と、前記活物質反応槽内の前記電解液を循環させる電解液循環経路と、を備え、前記活物質反応槽内において、前記正極が鉛直方向下部、かつ、前記負極が鉛直方向上部に配置され、前記電解液は、正極活物質であるハロゲン化物イオンと、前記ハロゲン化物イオンの酸化反応生成物を分離可能な有機化合物と、を含み、前記負極側にて前記活物質反応槽と前記電解液循環経路とが接続している。
なお、負極側とは、正極よりも負極に近い位置であり、電解液から分離した酸化反応生成物が電解液循環経路内流通することが抑制されるような位置であればよい。例えば、本開示の水系二次電池が正極と負極との間に隔膜を備える場合、電解液循環経路は負極側にて活物質反応槽と接続していればよい。

0020

本開示の水系二次電池では、水への溶解度が高く、高エネルギー密度化が期待できる点から、正極活物質としてハロゲン化物イオンを用いている。
更に、本発明者らが検討を行った結果、上記構成を有する水系二次電池は電極表面へのヨウ素皮膜等の形成が抑制され、長寿命化が可能であることがわかった。より具体的には、電解液がハロゲン化物イオンの酸化反応生成物を分離可能な有機化合物を含むことにより、電極表面に形成されるヨウ素皮膜等の溶解が促進されるとともに、電解液から分離した酸化反応生成物を正極の還元反応放電反応)に好適に利用できる。その結果、例えば、水系二次電池にて放電の長時間化が可能になる傾向にある。

0021

また、負極側にて活物質反応槽と接続した電解液循環経路内を流通する電解液に含まれるハロゲン化物イオン等の正極活物質も充放電に利用できるため、水系二次電池を高容量化できる傾向にある。更に、電解液循環経路が負極側にて活物質反応槽と接続しているため、正極側に留まるハロゲン化物イオンの酸化反応生成物が電解液循環経路内を循環することが抑制される。このため、本開示の水系二次電池では、電解液から分離した酸化反応生成物を正極の還元反応に好適に利用でき、放電反応を長時間化できる、と推測される。

0022

上述した先行技術文献のいずれにも、電解液がハロゲン化物イオンの酸化反応生成物を分離可能な有機化合物を含むことにより、電極表面に形成されるヨウ素皮膜等の溶解を促進し、かつ分離した酸化反応生成物を正極の還元反応に利用するという技術思想は記載されていない。

0023

本開示において「水系二次電池」とは、水に必要な成分を溶解又は分散したものを電解液として用いる二次電池を意味する。具体的には、レドックスフロー電池(フロー電池)等の蓄電デバイスなどが挙げられる。

0024

本開示において「ハロゲン化物イオンの酸化反応生成物」とは、ハロゲン化物イオンの酸化反応によって生成する物質を意味する。
臭化物イオンの酸化反応生成物としては、例えば、臭素(Br2)、三臭化物イオン(Br3−)及びこれらの組み合わせが挙げられる。
ヨウ化物イオンの酸化反応生成物としては、例えば、ヨウ素(I2)、三ヨウ化物イオン(I3−)、五ヨウ化物イオン(I5−)及びこれらの組み合わせが挙げられる。

0025

(正極活物質)
本開示の水系二次電池では、電解液は正極活物質としてハロゲン化物イオンを含んでいる。ハロゲン化物イオンとしては、塩化物イオン(Cl−)、臭化物イオン(Br−)及びヨウ化物イオン(I−)が挙げられる。ハロゲン化物イオンとしては、臭化物イオン(Br−)及びヨウ化物イオン(I−)の少なくとも一方であることが好ましい。また、ハロゲン化物イオンとしては、標準酸化還元電位が高く、より高い出力電圧が得られる点から、臭化物イオンであることが好ましく、毒性が低い点から、ヨウ化物イオンであることが好ましい。
また、電解液は、ハロゲン化物イオン以外の正極活物質を含んでいてもよい。

0026

ハロゲン化物イオンを含む電解液は、水に必要な成分を溶解又は分散したものにハロゲン化合物を溶解又は分散させて調製してもよい。ハロゲン化合物としては、例えば、臭素化合物及びヨウ素化合物が挙げられる。

0027

臭素化合物としては、具体的には、CuBr、ZnBr2、NaBr、KBr、HBr、LiBr、NH4Br、BaBr2、CaBr2、MgBr2、SrBr2、CBr4、AgBr、NBr3、テトラアルキルアンモニウムブロミドピリジニウムブロミド、ピロリジニウムブロミドスルフォニウムブロミド等が挙げられる。

0028

ヨウ素化合物としては、具体的には、CuI、ZnI2、NaI、KI、HI、LiI、NH4I、BaI2、CaI2、MgI2、SrI2、CI4、AgI、NI3、テトラアルキルアンモニウムヨージド、ピリジニウムヨージド、ピロリジニウムヨージド、スルフォニウムヨージド等が挙げられる。

0029

電解液中の臭化物イオンの濃度は特に制限されず、0.01M(mol/L)〜10Mであることが好ましく、0.1M〜5Mであることがより好ましい。臭化物イオンの濃度が0.01M以上であると充分なエネルギー密度が得られる傾向にあり、10M以下であると電解液中に後述する有機化合物を充分に溶解できる傾向にある。

0030

電解液中のヨウ化物イオンの濃度は特に制限されず、0.01M〜20Mであることが好ましく、0.1M〜10Mであることがより好ましい。ヨウ化物イオンの濃度が0.01M以上であると充分なエネルギー密度が得られる傾向にあり、20M以下であると電解液中に後述する有機化合物を充分に溶解できる傾向にある。

0031

(有機化合物)
本開示の水系二次電池では、電解液は、ハロゲン化物イオンの酸化反応生成物を分離可能な有機化合物を含む。本開示の水系二次電池では、有機化合物を用いて電解液に含まれるハロゲン化物イオンの酸化反応生成物を選択的に分離する。有機化合物を用いてハロゲン化物イオンの酸化反応生成物を分離する態様は特に制限されず、電解液をハロゲン化物イオンの酸化反応生成物が含まれる疎水性の物質と、バルク液体とに分離することが好ましい。
疎水性の物質は、例えば、有機化合物がハロゲン化物イオン及びその酸化反応生成物と、カチオンと、少量の水とともにネットワーク構造を形成して得られるものであってもよい。疎水性の物質は、例えば、疎水性の液体の状態であってもよい。

0032

疎水性の物質に対するハロゲン分子の溶解度は水に対する溶解度よりも高く、疎水性の物質中ではより安定に存在する。特に、ヨウ素分子昇華性を有することに加え、水に対する溶解度が1mM程度と小さい。このため、水中に存在するヨウ素分子は気液界面から容易に昇華するが、疎水性の物質中に存在するヨウ素分子は昇華が抑制される。従って、ヨウ化物イオンの酸化反応生成物を疎水性の物質として分離することで、ヨウ素分子の昇華が抑制され、電解液中のヨウ化物イオンの減少を抑制することができる。

0033

ハロゲン化物イオンの酸化反応生成物を疎水性の物質として分離する場合、分離された疎水性の物質には、ハロゲン化物イオンの酸化反応生成物がバルク液体中よりも高い濃度で存在し、ハロゲン化物イオンの酸化反応生成物が濃縮されている。そのため、疎水性の物質を正極に接触させてそこに含まれる酸化反応生成物を正極の還元反応に用いることにより、正極側にて電解液を循環させなくても高出力化及び放電の長時間化が可能になる傾向にある。

0034

有機化合物は、ハロゲン化物イオンの酸化反応生成物を分離可能なものであれば特に制限されないが、上述した理由からハロゲン化物イオンの酸化反応生成物を疎水性の物質として分離可能なものであることが好ましく、ハロゲン分子に対する親和力が水よりも高い有機化合物であることがより好ましい。ハロゲン分子に対する親和力が水よりも高い有機化合物は、ヨウ素皮膜等に有機化合物が配位してヨウ素皮膜の溶解を促進する。このため、ヨウ素皮膜等の形成をより効率よく抑制することができる。有機化合物は、疎水性の物質を形成していないときは電解液に溶解した状態であることが好ましい。

0035

有機化合物としては、ケトン、カルボン酸エステル及び炭酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種が挙げられる。

0036

有機化合物の中でも、電解液の粘度を低下させ、電池抵抗を低減させる観点から、好ましい。カルボン酸エステルはケトンよりもハロゲンに対して化学的に安定であり、クーロン効率を高める観点から好ましい。炭酸エステルは比重が大きく、疎水性の物質としてハロゲン化物イオンの酸化反応生成物を分離する能力が高い点で好ましい。

0037

ケトンとして具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジエチルケトンジプロピルケトンジイソブチルケトントリメチルノナノン、シクロヘキサノンシクロペンタノンメチルシクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオンアセトニルアセトン等が挙げられる。中でも、メチルエチルケトンが好ましい。

0038

カルボン酸エステルとして具体的には、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル酢酸イソプロピル酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル酢酸2−エチルヘキシル、酢酸2−(2−ブトキシエトキシエチル酢酸ベンジル酢酸シクロヘキシル酢酸メチルシクロヘキシル酢酸ノニルアセト酢酸メチルアセト酢酸エチルプロピオン酸エチルプロピオン酸n−ブチル等が挙げられる。中でも、酢酸メチル、酢酸エチル等が好ましい。

0039

炭酸エステルとして具体的には、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン等が挙げられる。中でも、炭酸ジメチル、炭酸エチルメチル、炭酸プロピレン等が好ましい。

0040

電解液に含まれる有機化合物は1種のみでもよく、2種以上であってもよい。また、電解液中の有機化合物の含有率は、常温(25℃)常圧で1体積%〜50体積%であることが好ましく、5体積%〜40体積%であることがより好ましい。電解液中の有機化合物の含有率が1体積%以上であると、高充電率の状態でもハロゲン化物イオンの酸化反応生成物が良好に分離される傾向にあり、50体積%以下であると、電解液の導電率の低下が抑制される傾向にある。

0041

電解液中の有機化合物の含有量は、例えば、ガスクロマトグラフィーにより、有機化合物の濃度に対応する保持時間と、モニターイオンの分子量を測定することで同定可能である。

0042

(負極活物質)
電解液は、更に負極活物質を含んでいてもよい。負極活物質は、反応系の標準酸化還元電位が、正極の標準酸化還元電位(正極活物質がヨウ化物イオンである場合は0.536V)よりも低い物質であれば特に制限されない。

0043

負極活物質としては、例えば、亜鉛、クロムチタン、鉄、スズ、バナジウム、鉛、マンガンコバルトニッケル、銅、リチウムキノン系材料ビオロゲン等のイオンが挙げられる。これらの負極活物質の中でも金属イオンが好ましく、より具体的には、亜鉛イオン、クロムイオン、マンガンイオン、鉄イオン、コバルトイオン、ニッケルイオン、銅イオン、鉛イオン及びリチウムイオンから選択される少なくとも1種が好ましく、亜鉛イオンがより好ましい。亜鉛イオンは他の金属イオンに比べて水への溶解度が高く(例えば、塩化亜鉛の溶解度は30M以上)、溶解析出反応の標準酸化還元電位が低く(−0.76V)、安価であり、かつ、還元反応生成物が金属亜鉛であり負極表面に析出して留まるため好ましい。金属イオンを含む負極電解液は、当該金属の化合物を電解液に溶解することで調製することができる。例えば、亜鉛イオンを含む負極電解液は、塩化亜鉛、ヨウ化亜鉛、臭化亜鉛、フッ化亜鉛、硝酸亜鉛硫酸亜鉛酢酸亜鉛等の亜鉛化合物を電解液に溶解することで調製することができる。
これらの負極活物質は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。

0044

電解液は、更に負極活物質として硫黄化合物を含んでいてもよい。硫黄化合物は、例えば硫化リチウムにて約1600mAh/gという高い放電容量を有し、水系二次電池のエネルギー密度を高めることができ、安価であり、かつ、酸化還元反応が金属の析出反応とは異なり、負極表面に金属が析出しないため、デンドライト成長による短絡を抑制できるため好ましい。なお、負極活物質として硫黄化合物を用いる場合、本開示の水系二次電池は、自己放電を抑制する点から、正極と負極との間に後述する隔膜を備えることが好ましい。

0045

硫黄化合物としては、例えば、硫化リチウム(LixSy)、硫化ナトリウム(NaxSy)、硫化カリウム(KxSy)、硫化銀(AgxSy)、硫化亜鉛(ZnxSy)、硫化鉄(FexSy)及び硫化アンチモン(SbxSy)が挙げられる(x及びyは、任意の正の数を表す)。

0046

支持電解質
電解液は、更に支持電解質を含んでいてもよい。支持電解質は、電解液のイオン伝導率を高めるための助剤である。電解液が支持電解質を含むことで、電解液のイオン伝導率が高まり、水系二次電池の内部抵抗が低減する傾向にある。

0047

支持電解質としては、電解液中で解離してイオンを形成する化合物であれば特に制限されない。支持電解質としては、HCl、HNO3、H2SO4、HClO4、NaCl、Na2SO4、NaClO4、KCl、K2SO4、KClO4、NaOH、LiOH、KOH、アルキルアンモニウム塩アルキルイミダゾリウム塩アルキルペリジニウム塩、アルキルピロリジニウム塩等が挙げられる。また、ハロゲン化合物等は、正極活物質と支持電解質とを兼ねていてもよい。これらの支持電解質は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。

0048

(pH緩衝剤
電解液は、更にpH緩衝剤を含んでいてもよい。pH緩衝剤としては、酢酸緩衝液リン酸緩衝液クエン酸緩衝液ホウ酸緩衝液酒石酸緩衝液トリス緩衝液等が挙げられる。

0049

導電材
電解液は、更に導電材を含んでいてもよい。導電材としては、炭素材料金属材料有機導電性材料等が挙げられる。炭素材料及び金属材料は、例えば、粒子状であっても繊維状であってもよい。
炭素材料としては、活性炭水蒸気賦活又はアルカリ賦活);アセチレンブラックケッチェンブラックチャンネルブラックファーネスブラックランプブラックサーマルブラック等のカーボンブラック天然黒鉛人造黒鉛膨張黒鉛等の黒鉛カーボンナノチューブカーボンナノホーンカーボンファイバーハードカーボンソフトカーボンなどが挙げられる。
金属材料としては、銅、銀、ニッケル、アルミニウム等の粒子、繊維などが挙げられる。
有機導電性材料としては、ポリフェニレン誘導体等が挙げられる。
これらの導電材は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。

0050

(正極及び負極)
本開示の水系二次電池は、正極及び負極を備える。正極は、正極活物質と酸化還元反応を行う電極であり、負極は、負極活物質と酸化還元反応を行う電極である。
正極及び負極としては、従来公知の電池(二次電池、フロー電池等)に用いられる正極及び負極を用いてもよい。

0051

正極及び負極としては、使用する電位範囲において電気化学的に安定な材質を用いることが好ましい。正極及び負極の形状としては、特に制限されず、メッシュ多孔体パンチングメタル平板等が挙げられる。正極及び負極としては、カーボンフェルトグラファイトフェルトカーボンペーパー等の炭素電極;カーボンブラックとバインダを用いて平板としたカーボンプラスチック電極ステンレス鋼、アルミニウム、銅、亜鉛、チタン、ニッケル等の金属又は合金からなる金属板金属メッシュ等の金属電極;などが挙げられる。
正極としては、I−、I2、I3−等に対する耐食性に優れる点から、チタン等の耐食性の高い金属の電極及び炭素電極が好ましく、コストの点から、炭素電極がより好ましい。
負極としては、亜鉛等の金属が表面に好適に析出する点から、金属電極及び炭素電極が好ましく、亜鉛電極又は亜鉛メッキした金属電極がより好ましい。

0052

正極及び負極の少なくとも一方は、比表面積が大きく、電池の出力に優れる点から、多孔体、フェルトペーパー等の形状の電極であることが好ましい。

0053

後述する活物質反応槽内において、正極が鉛直方向下部に配置され、かつ負極が鉛直方向上部に配置される。
本開示の電解液は、ハロゲン化物イオンの酸化反応生成物を分離可能な有機化合物を含むため、電解液をハロゲン化物イオンの酸化反応生成物が含まれる疎水性の物質と、バルク液体とに分離できると考えられる。また、疎水性の物質は、バルク液体よりも比重が大きく沈殿するため、負極は正極よりも上側に配置することにより、隔膜を設けていない場合であっても、正極にて生成される酸化反応生成物が負極に触れることが抑制される傾向にある。
また、電解液の負極活物質が金属イオンである場合、酸化状態放電状態)の金属イオンが還元充電)されて生成される金属が負極上に堆積するため、隔膜を設けていない場合であっても、負極における還元反応生成物である金属が正極に触れることが抑制される傾向にある。
以上のように、隔膜を設けていない場合であっても、水系二次電池の充放電反応が好適に生じるため、隔膜のコストを減らしたり、隔膜起因の抵抗下げたりすることができると考えられる。

0054

(活物質反応槽)
本開示の水系二次電池は、電解液を貯留する活物質反応槽を備える。活物質反応槽内には、正極が鉛直方向下部に配置され、負極が鉛直方向上部に配置されている。更に、活物質反応槽内には、正極と負極との間に電解液を正極電解液と負極電解液とに分ける隔膜が配置されていてもよい。

0055

(電解液循環経路)
本開示の水系二次電池は、活物質反応槽内の電解液を循環させる電解液循環経路を備える。この場合、電解液は、活物質反応槽内及び電解液循環経路内に貯蔵されることになり、水系二次電池の高容量化が可能となる。また、電解液循環経路は、負極側にて、活物質反応槽と接続している。
なお、本開示の水系二次電池は、後述するように活物質反応槽と電解液循環経路との間に電解液を貯蔵する電解液貯蔵部を更に備えていてもよい。また、本開示の水系二次電池は、電解液循環経路内の電解液を送液する送液ポンプを更に備えていてもよい。

0056

(隔膜)
本開示の水系二次電池は、正極と負極との間に配置され、電解液を正極電解液と負極電解液とに分ける隔膜を備えていてもよい。なお、本開示の水系二次電池では、隔膜は必須の構成ではない。

0057

隔膜の材質は、水分子、イオン等が透過するものであれば特に制限されない。例えば、耐酸性に優れ、高いイオン伝導率を有するイオン交換膜が好ましい例として挙げられ、数十ナノメートルから数百マイクロメートル孔径を有する多孔膜、ガラスフィルター等、不織布なども好適に用いることができる。

0058

(電解液貯蔵部)
本開示の水系二次電池は、電解液を貯蔵する電解液貯蔵部を備えていてもよい。電解液貯蔵部としては、例えば、電解液貯蔵タンクが挙げられる。

0059

活物質反応槽と電解液貯蔵部との間で循環させる電解液の量は、例えば送液ポンプを用いて適宜調整すればよく、電池スケールに応じて適宜設定することができる。

0060

(生成物貯蔵部及び生成物循環経路)
本開示の水系二次電池は、正極にて生成される酸化反応生成物を貯蔵する生成物貯蔵部、及び、活物質反応槽と生成物貯蔵部との間で酸化反応生成物を循環させる生成物循環経路を備えていてもよい。酸化反応生成物は高濃度に濃縮されるため、従来のフロー電池における正極電解液貯蔵タンクと比較して、生成物貯蔵部を小型化することができる傾向にある。生成物貯蔵部としては、例えば、生成物貯蔵タンクが挙げられる。
生成物貯蔵部及び生成物循環経路の好ましい構成については、以下の実施形態の説明にて詳述する。

0061

(第1実施形態の水系二次電池)
まず、図1を用いて第1実施形態の水系二次電池について説明する。図1は、第1実施形態の水系二次電池の一例を示す概略断面図である。図1に示す水系二次電池は、正極1と、負極2と、活物質反応槽3と、電解液貯蔵タンク4と、隔膜5と、電解液送液ポンプ6と、電解液循環経路11と、を備える。
図1に示す実線の矢印は充電時における電子の流れを、点線の矢印は充電時におけるイオンの反応を示している。
図1に示すように外部電源により電解液送液ポンプ6を駆動してもよく、水系二次電池による電力そのものを電解液送液ポンプ6の電源に用い、外部からの電力供給がない自立系の構成としてもよい。
図1に示す水系二次電池では、電解液が正極活物質としてのヨウ化物イオンと、ヨウ化物イオンの酸化反応生成物を分離可能な有機化合物と、負極活物質(X+)を含んでいる。
正極活物質であるヨウ化物イオンの酸化反応により、酸化反応生成物(I2、I3−、I5−等)が生成される。また、負極活物質(X+)の還元反応により、還元反応生成物(X)が生成される。

0062

図1において、上方向が鉛直上方向を表し、下方向が鉛直下方向を表す。正極1と負極2は向かい合うように水平に配置され、正極1が負極2よりも鉛直方向下部、負極2が正極1よりも鉛直方向上部に配置されている。太い矢印は電解液循環経路11内を流通する電解液の流れを表しており、電解液循環経路11は、負極2側にて活物質反応槽3と接続しており、電解液は活物質反応槽3内において、隔膜5から見て負極2の側から流入するように構成されている。

0063

活物質反応槽3と電解液貯蔵タンク4と電解液送液ポンプ6との位置関係は特に限定されない。例えば、電解液を好適に循環させる点から、電解液送液ポンプ6は電解液貯蔵タンク4よりも鉛直方向下部又は同等の高さに配置されていることが好ましい。

0064

図1において、酸化反応生成物は正極1側、例えば、正極1の近傍に留まるため、充電時及び放電時にて電解液の流量等を変える必要がなく、水系二次電池の構造及び制御を簡素化することが可能となる。

0065

(第2実施形態の水系二次電池)
次に、図2を用いて第2実施形態の水系二次電池について説明する。なお、第1実施形態と共通する構成については同一の符号を付し、その説明を省略する(以下の実施形態でも同様である)。
図2は、第2実施形態の水系二次電池の一例を示す概略断面図である。図2に示す水系二次電池では、電解液貯蔵タンク4を設けずに電解液を電解液送液ポンプ6で循環させる構成である点で前述の第1実施形態と主に相違する。
第2実施形態の水系二次電池では、電解液は、活物質反応槽3内及び電解液循環経路11内に貯蔵される。これにより、電解液貯蔵タンクそのもの、及びタンク上部にできる空間をなくし、水系二次電池エネルギー密度を向上させることができる傾向にある。

0066

(第3実施形態の水系二次電池)
次に、図3を用いて第3実施形態の水系二次電池について説明する。
図3は、第3実施形態の水系二次電池の一例を示す概略断面図である。図3に示す水系二次電池は、電解液貯蔵タンク4とともに酸化反応生成物(I2、I3−、I5−等)を貯蔵する生成物貯蔵タンク7、酸化反応生成物を循環させるための生成物送液ポンプ8及び生成物循環経路12を備える点で前述の第1実施形態と主に相違する。
図3に示すように外部電源により生成物送液ポンプ8を駆動してもよく、水系二次電池による電力そのものを生成物送液ポンプ8の電源に用い、外部からの電力供給がない自立系の構成としてもよい。

0067

活物質反応槽3と生成物貯蔵タンク7と生成物送液ポンプ8との位置関係は特に限定されない。また、電解液から分離した酸化反応生成物を生成物貯蔵タンク7にて好適に回収し、かつ電解液が生成物貯蔵タンク7に回収されることを抑制する点から、活物質反応槽3と生成物循環経路12の生成物流出側との接続箇所は、正極1側であることが好ましい。
例えば、酸化反応生成物は比重が大きいため、生成物貯蔵タンク7にて酸化反応生成物を効率的に回収する点から、活物質反応槽3の底面(鉛直方向下部の面)と生成物循環経路12の生成物流出側とが接続していることが好ましく、生成物貯蔵タンク7は活物質反応槽3よりも鉛直方向下部に配置されていることが好ましい。
なお、正極側とは、負極よりも正極に近い位置であり、高濃度に濃縮された酸化反応生成物が留まる位置と隣接していることが好ましい。

0068

また、正極1にて生成される酸化反応生成物の還元反応を効率よく行い、かつ、負極2側に酸化反応生成物が供給されることを抑制する点から、活物質反応槽3と生成物循環経路12の生成物流入側との接続箇所は、正極1側であることが好ましい。

0069

生成物貯蔵タンク7が活物質反応槽3よりも鉛直方向下部に配置されている構成では、酸化反応生成物は重力により生成物貯蔵タンク7に回収されるため、充電反応時に生成物送液ポンプ8を必ずしも稼動させなくてもよく、生成物貯蔵タンク7に回収された酸化反応生成物を活物質反応槽3に供給する必要がある場合、すなわち放電反応時にのみ生成物送液ポンプ8を稼動させてもよい。生成物送液ポンプ8を停止した状態にて酸化反応生成物の回収が可能となり、生成物送液ポンプ8による消費電力を削減することができる。

0070

また、酸化反応生成物は高濃度に濃縮されるため、生成物貯蔵タンク7は電解液貯蔵タンク4よりも小型のものであってもよい。

0071

第3実施形態の水系二次電池では、生成物貯蔵タンク7の容量を変えることにより、水系二次電池の容量を容易に変えることができ、大容量化も容易である。更に、酸化反応生成物は高濃度に濃縮されるため、従来のフロー電池における正極電解液貯蔵タンクと比較して、生成物貯蔵タンクを小型化することができる。これにより、水系二次電池エネルギー密度を向上させることができる傾向にある。

0072

図3に示す第3実施形態の水系二次電池では、電解液の流通方向と、酸化反応生成物の流通方向とは逆方向になっているが、同じ方向であってもよい。

0073

(第4実施形態の水系二次電池)
図4は、第4実施形態の水系二次電池の一例を示す概略断面図である。図4に示す水系二次電池では、活物質反応槽3(活物質反応槽3の内部全体)が水平面に対してθ(θは角度を表し、0°<θ≦90°を満たす)傾いている点で前述の第1実施形態と主に相違する。

0074

電解液に気泡混入した場合、又は負極2から気泡が発生した場合、負極2と電解液との接触を阻害し、負極2における酸化還元反応を妨げるおそれがある。そのため、気泡を負極2の表面から効率的に除去する点から、電解液の流入側における活物質反応槽3と電解液循環経路11との接続箇所が、電解液の流出側における活物質反応槽3と電解液循環経路11との接続箇所よりも鉛直方向下部に位置することが好ましい。
また、負極2がメッシュ、多孔体等であり、負極2内での電解液の流通が容易な構造である場合、電解液の流入側における活物質反応槽3と電解液循環経路11との接続箇所が、負極2の鉛直方向下部側であり、かつ、電解液の流出側における活物質反応槽3と電解液循環経路11との接続箇所が、負極2の鉛直方向上部側であることが好ましい。
また、負極2が平板、目の細かいメッシュ等であり、負極2内での電解液の流通が困難な構造である場合、図4に示すように、電解液の流出側における活物質反応槽3と電解液循環経路11との接続箇所が、負極2の鉛直方向下部に位置することが好ましい。

0075

さらに、気泡を負極2の表面から効率的に除去する点から、図4に示すように、活物質反応槽3における電解液の流入側の側面(図4中、右側)が活物質反応槽3における電解液の流出側の側面(図4中、左側)よりも鉛直方向下部に位置するように、活物質反応槽3が水平面に対してθ(θは角度を表し、0°<θ≦90°を満たす)傾いていることが好ましい。「活物質反応槽3が水平面に対してθ傾いている」とは、活物質反応槽3内の鉛直方向上部の面及び鉛直方向下部の面(底面)の少なくとも一方が、水平面に対してθ傾いていることを意味する。
なお、活物質反応槽3内の鉛直方向上部の面が水平面に対して傾いている角度と、活物質反応槽3内の鉛直方向下部の面(底面)が水平面に対して傾いている角度は、同じであってもよく、異なっていてもよい。例えば、活物質反応槽3内の鉛直方向上部の面と、活物質反応槽3内の鉛直方向下部の面とが平行でなくてもよく、この場合、2つの面の水平面に対して傾いている角度が相違することになる。

0076

また、負極2の表面から効率よく気泡を除去する点から、活物質反応槽3内の鉛直方向上部の面が水平面に対して、好ましくは20°≦θ≦70°傾いていればよく、より好ましくは30°≦θ≦60°傾いていればよい。
また、正極1にて生成される酸化反応生成物の濃度に偏りが発生することを抑制する点から、活物質反応槽3内の鉛直方向下部の面(底面)が水平面に対して、好ましくは20°≦θ≦70°傾いていればよく、より好ましくは30°≦θ≦60°傾いていればよい。

0077

また、負極2の表面から効率よく気泡を除去する点から、電解液循環経路11において、電解液の流入側にて活物質反応槽3と接続する側の経路が、水平面に対して0°<σ≦90°傾いていてもよく、好ましくは20°≦σ≦70°傾いていてもよく、より好ましくは30°≦σ≦60°傾いていてもよい。角度を表すσは、前述のθと同じであってもよく、異なっていてもよい。

0078

(第5実施形態の水系二次電池)
図5は、第5実施形態の水系二次電池の一例を示す概略断面図である。図5に示す水系二次電池では、活物質反応槽3が水平面に対してθ(θは角度を表し、0°<θ≦90°を満たす)傾いている点で前述の第2実施形態と主に相違する。
更に、第5実施形態の水系二次電池では、電解液貯蔵タンク4を設けずに電解液を電解液送液ポンプ6で循環させる構成である点で前述の第4実施形態と主に相違する。
θの好ましい範囲は、前述の第4実施形態と同様であり、好ましい形態についても前述の第4実施形態と同様である。

0079

(第6実施形態の水系二次電池)
図6は、第6実施形態の水系二次電池の一例を示す概略断面図である。図6に示す水系二次電池では、活物質反応槽3が水平面に対してθ(θは角度を表し、0°<θ≦90°を満たす)傾いている点で前述の第3実施形態と主に相違する。
第6実施形態の水系二次電池では、生成物貯蔵タンク7にて酸化反応生成物を効率的に回収する点から、図6に示すように、活物質反応槽3の底面における鉛直方向下部(図6中、活物質反応槽3の右下側)が生成物循環経路12の生成物流出側と接続していることが好ましい。
θの好ましい範囲は、前述の第4実施形態と同様であり、好ましい形態については前述の第3実施形態〜第5実施形態と同様である。

0080

(第7実施形態の水系二次電池)
図7は、第7実施形態の水系二次電池の一例を示す概略断面図である。図7に示す水系二次電池では、水平面に対してθ傾いている隔膜5が水平面に対して更に−α傾いている点、すなわち、活物質反応槽3内の底面に対して−α傾いている点で前述の第4実施形態と異なる。
第7実施形態の水系二次電池では、水平面に対してθ傾いている隔膜5が水平面に対して更に±α(αは角度を表し、0°<α≦30°を満たす)傾いていてもよく、すなわち、活物質反応槽3内の底面に対して±α(αは角度を表し、0°<α≦30°を満たす)傾いていてもよい。これにより、電解液の流れによる隔膜5への水圧を調整でき、隔膜5にかかる機械的負荷と隔膜5を透過するイオンの量を調整できる。
また、水平面に対して隔膜5がθ−α傾いている場合、電解液流入側の隔膜5の端部が、電解液流出側の隔膜5の端部よりも鉛直方向上部に位置するため、正極1側、特に、活物質反応槽3内の底面の鉛直方向下部にて沈降し溜まる酸化反応生成物と隔膜5との接触が抑制され、負極2側への酸化反応生成物の拡散を抑制することができる傾向にある。
αは、0°<α≦30°であり、好ましくは、0°<α≦15°である。αが30°以下であることにより、正極と負極との間の距離が大きくなりすぎることが抑制され、水系二次電池のエネルギー密度が低下することが抑制される傾向にある。

0081

(第8実施形態の水系二次電池)
図8は、第8実施形態の水系二次電池の一例を示す概略断面図である。図8に示す水系二次電池は、隔膜5を備えていない点で前述の第4実施形態と異なる。
正極1にて生成される酸化反応生成物は、正極1側、例えば、正極1の近傍に留まるため、例えば、負極活物質としてその還元反応生成物が負極に留まる物質、例えば、前述の亜鉛イオン等の金属イオンを用いた場合、隔膜5を備えていない場合であっても、自己放電を抑制でき、充放電の長時間化が可能となる傾向にある。
正極1と負極2との間に隔膜5を設けない構成とすることにより、水系二次電池の構成部材を減らすことができる。

0082

(第9実施形態の水系二次電池)
図9は、第9実施形態の水系二次電池の一例を示す概略断面図である。図9に示す水系二次電池では、活物質反応槽3自体を傾ける代わりに、活物質反応槽3内の底面をθ(θは角度を表し、0°<θ≦90°を満たす)傾け、かつ傾いている領域の鉛直下向き方向における端部にて生成物循環経路12と接続している点で前述の第6実施形態と異なる。
θの好ましい範囲は、前述の第6実施形態と同様である。
本実施形態では、活物質反応槽3内の底面の少なくとも一部がθ(θは角度を表し、0°<θ≦90°を満たす)傾いていればよく、底面の全体が傾いていてもよい。また、活物質反応槽3内の底面の傾斜方向は特に限定されず、図9に示すように電解液の流入及び流出方向に対して平行な方向に活物質反応槽3内の底面が傾いていてもよく、電解液の流入及び流出方向並びに鉛直方向に直交する方向に活物質反応槽3内の底面が傾いていてもよい。
また、図9では、活物質反応槽3における電解液の流入側の側面及び電解液の流出側の側面の両側面から左右対称となるように、活物質反応槽3内の底面が鉛直下向き方向にθ傾いた構成であるが、本発明はこれに限定されない。例えば、活物質反応槽3内の底面が、電解液の流入側から流出側に向かって鉛直下向き方向にθ傾いた構成であってもよく、電解液の流出側から流入側に向かって鉛直下向き方向にθ傾いた構成であってもよい。

0083

前述の一実施形態の構成は、前述の他の実施形態の構成と適宜組み合わせることが可能である。
また、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において上記以外にも種々変形して実施することが可能である。

0084

[発電システム]
本開示の発電システムは、前述の本開示の水系二次電池と、前記水系二次電池の充放電を制御する制御部と、発電装置と、を備える。本開示の発電システムは、水系二次電池と発電装置とを組み合わせることで、電力変動を平準化及び安定化したり、電力の需給を安定化したりすることができる。

0085

本開示の発電システムは、前述の水系二次電池の充放電を制御する制御部を備える。例えば、制御部は、発電装置で発電された発電電力に応じて水系二次電池の充放電を制御してもよい。

0086

本開示の発電システムは、発電装置を備える。発電装置の種類は特に限定されず、再生可能エネルギーを用いて発電する発電装置、水力発電装置火力発電装置原子力発電装置等が挙げられる。中でも再生可能エネルギーを用いて発電する発電装置が好ましい。

0087

再生可能エネルギーを用いた発電装置は、気象条件等によって発電量が大きく変動するが、水系二次電池と組み合わせることで変動する発電電力を平準化して電力系統に平準化した電力を供給することができる。

0088

再生可能エネルギーとしては、風力、太陽光、波力潮力流水潮汐地熱等が挙げられ、中でも風力又は太陽光が好ましい。

0089

風力、太陽光等の再生可能エネルギーを用いて発電した発電電力は、高電圧の電力系統に供給する場合がある。通常、風力発電及び太陽光発電は、風向、風力、天気等の気象によって影響を受けるため、発電電力は一定とならず、大きく変動する傾向にある。一定ではない発電電力を高電圧の電力系統にそのまま供給すると、電力系統の不安定化を助長するため好ましくない。本開示の発電システムは、例えば、水系二次電池の充放電波形を発電電力波形重畳させることで、目標とする電力変動レベルまで発電電力波形を平準化させることができる。

0090

発電システムは、発電装置で発電された発電電力の需給に応じて、制御部が水系二次電池の充放電を制御するシステムであってもよい。例えば、発電装置にて発電された発電電力の供給量が電力系統における需要量を上回る場合、水系二次電池が充電を行い、かつ発電装置にて発電された発電電力の供給量が電力系統における需要量を下回る場合、水系二次電池が放電を行うように制御部が充放電を制御してもよい。

0091

以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。

0092

[実施例1及び比較例1]
電解液に有機化合物が含まれる場合の効果を検証するため、下記の実験を行った。
具体的には、正極活物質として6M(mol/L)のヨウ化物イオン(I−)と、負極活物質として2Mの亜鉛イオン(Zn2+)とを含む水溶液に、有機化合物として20体積%の炭酸プロピレンを添加した電解液と、前述の水溶液に炭酸プロピレンを添加しなかった電解液をそれぞれ調製した。また、鉛直方向下部に配置される正極及び鉛直方向上部に配置される負極としてグラッシーカーボン電極を使用し、有機化合物を含む電解液を備える水系二次電池(実施例1)と、有機化合物を含まない電解液を備える水系二次電池(比較例1)を作製した。なお、実施例1では、隔膜を有していない水系二次電池と、正極と負極との間に隔膜を有している水系二次電池とをそれぞれ作製し、比較例1では、隔膜を有していない水系二次電池を作製した。隔膜としては、メルク株式会社製のDurapore(登録商標) membrane(親水性、孔径0.22μm、厚さ125μm)を使用した。

0093

実施例1及び比較例1の水系二次電池について、同一条件で充電した直後に一定電流で放電した際の放電曲線を図10に示す。図10中、横軸が放電時間(s)を表し、縦軸電池電圧(V)を表す。なお、この実験では、実施例1及び比較例1にて隔膜を有していない水系二次電池を使用した。
図10に示すように、電解液に有機化合物を添加することにより、水系二次電池の放電時間が2倍以上に向上した。

0094

電解液が有機化合物を含まない比較例1では、正極側に留まっていたヨウ素皮膜は、バルク液体中のI−と化学反応し、I3−として溶解し、拡散する。そのため、充電電圧印加していない状態ではヨウ素皮膜は電解液に溶解し、正極表面に残らないため、充電反応直後にしか放電反応に好適に利用できない、と推測される。また、ヨウ素皮膜の量も電解液中の活物質量に比べれば微量であるため、短時間で放電反応が終了すると推測される。
一方で電解液が有機化合物を含む実施例1では、充電電圧を印加し続けなくても酸化反応生成物が正極側に残存し、生成量も多いため、充電直後でなくとも放電反応に酸化反応生成物を好適に利用でき、かつ放電の長時間化が可能であると考えられる。

実施例

0095

また、実施例1の水系二次電池における、サイクル数とクーロン効率との関係を図11に示す。図11では、実施例1の水系二次電池において、一定電流で充放電した際のクーロン効率を示している。図11中、横軸がサイクル数を表し、縦軸がクーロン効率を表す。なお、この実験では、正極と負極との間に隔膜を有している水系二次電池を使用した。
クーロン効率とは、充電した電荷量に対する放電した電荷量の比を表し、水系二次電池に入れた電気量をどれだけ取り出せるかを意味する。
図11に示すように、実施例1の水系二次電池では、90%前後の高いクーロン効率を維持していた。
この結果から、電解液への有機化合物の添加により酸化反応生成物が正極側に留まり、放電の長時間化が可能となったことが推測された。

0096

1 正極
2 負極
3活物質反応槽
4電解液貯蔵タンク(電解液貯蔵部)
5隔膜
6 電解液送液ポンプ
7生成物貯蔵タンク(生成物貯蔵部)
8 生成物送液ポンプ
11 電解液循環経路
12 生成物循環経路

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