図面 (/)

技術 pH範囲で結合性が異なる薬物動態改善のための抗TFPI抗体変異体

出願人 バイエル・ヘルスケア・エルエルシー
発明者 ワン,ジユオジーマーフイー,ジヨン・イーヴインター,ルート
出願日 2018年12月17日 (1年6ヶ月経過) 出願番号 2018-235059
公開日 2019年5月9日 (1年1ヶ月経過) 公開番号 2019-069973
状態 特許登録済
技術分野 抗原、抗体含有医薬:生体内診断剤 化合物または医薬の治療活性 ペプチド又は蛋白質
主要キーワード 厳格な管理 相互作用面 制限段階 選択部位 破綻出血 秩序構造 ヒスチジン置換 非線形的
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2019年5月9日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (6)

課題

ヒト組織因子経路阻害剤(TFPI)に特異的に結合し、延長した血漿半減期を有する単離ヒトモノクローナルIgG抗体を含む治療用組成物の提供。

解決手段

該抗体が、ヒト重鎖またはヒト軽鎖の何れかのCDR領域で少なくとも1個のヒスチジン置換を含み、且つ、pH7.4でpH6.0の場合よりも少なくとも2倍高い親和性でTFPIに結合する、治療用組成物。

概要

背景

現在、血友病Aおよび血友病B患者の予防的管理は、FVIIIまたはFIXの何れか
組み換えまたは血漿由来生成物)の補充である。これらの処置は、週に2または3回施
され、それらの予防レジメ順守するには患者に重い負担を与える。厳格な管理および厳
守にもかかわらず、患者は通常、時として破綻出血を経験し、必要性に応じた処置が求め
られる。的確に管理されない場合、頻繁で重篤出血は、重大な病的状態、特にヘムアル
スロパシー(hemarthropathy)につながる。血友病Aおよび血友病B患者
を処置するために使用される既存の薬物の効果は証明されているにもかかわらず、殆どの
成人、10代および高齢者は、定期的に行われる注射の回数を減少させることにより予防
の負担を軽減することを選択する。このアプローチは、的確に出血を管理するために必要
とされる防御をさらに危うくする。

結果として、顕著に防御性をもたらし、且つ、必要な投与頻度が比較的少ない薬物が最
も望まれる。最適な治療は、週1回以下の頻度の投与によって防御を提供すべきものであ
る。現在の競争的環境を考えると、治療薬が週1回、静脈内(i.v.)または皮下(s
.c.)投与されるというものが、今後3から4年にわたっては現実的であり得る。した
がって、i.v.またはs.c.投与される薬物は、同等の防御力がある優れた投与プロ
ファイルを提供すべきである。皮下投与が達成され得た場合には、週1回投与は、このア
ローチ低侵襲性ゆえに、将来的な治療状況に対しても多大な価値を与える。

最新血友病治療に対する別の大きな課題は、第VIII因子または第IX因子に対す
阻害性抗体発現である。FVIII処置患者のおよそ25%が、FVIIIに対する
阻害性または中和抗体を産生する。阻害物質は、頻度は低いものの、FIX処置患者でも
見られる。阻害物質の発現によって、補充療法の有効性が顕著に低下し、血友病患者にお
ける出血管理は困難になる。FVIIIまたはFIXに対する阻害物質を有する患者での
出血に対する現在の処置は、組み換え第VIIa因子または血漿由来FEIBAによる迂
回療法である。rFVIIaの半減期は極めて短く(−2時間)、したがってこれらの患
者における予防的処置は一般的ではない[Blanchette,Haemophili
a 16(supplement 3):46−51,2010]。

未だ対処されていないこれらの医療ニーズに取り組むために、長時間作用薬物としての
組織因子経路阻害剤(TFPI)に対する抗体が開発された。WO2010/01719
6;WO2011/109452;WO2012/135671を参照。TFPIは、組
因子開始凝固経路の主要な阻害剤であり、これは血友病患者(PWH)において損傷を
受けておらず、故にTFPIの阻害は、FVIIIまたはFIXに対する阻害性抗体を示
すPWHにおいて止血回復させ得る。モノクローナル抗体(mAb)治療薬は、この標
的への接近を可能にすることに加えて、組み換え補充因子よりも顕著に長い循環半減期
最長3週間)を有することが示されている。TFPIを阻害する抗体はまた、皮下注射
に顕著なバイオアベイラビリティを有する。したがって、抗TFPIモノクローナル抗体
療法は、PWHおよび阻害物質を有するPWHのための、皮下の、長時間作用型の止血的
防御に対する重要な未だ対処されていない医療ニーズに対応する。

しかし、TFPIの阻害は、血友病性血漿および血友病性動物において凝固を促進する
ことが示されている一方で、TFPIに対する抗体は、急速に除去される標的とのその相
互作用ゆえに、または抗体:抗原複合体の、その標的とのその共局在ゆえに血漿から隔絶
されることによって抗体が循環から除去される過程である、標的介在性薬物消失(TMD
D)として知られる現象ゆえに、比較的短い非線形的半減期を有する。したがって、TF
PI介在性TMDDを回避し、且つ、延長した半減期を有する抗体は、投与頻度を減少さ
せ、投与あたりに必要とされる物質量を減少させる。さらに、より低用量への必要性によ
って、投与体積制限段階となる皮下投与も実現可能になる。例えば、最適化抗TFPI
抗体2A8−g200(WO2011/109452)の半減期は、5mg/kgで投与
した場合、28時間であり、非ヒト霊長類で20mg/kgで投与した場合、67時間で
ある。

この比較的短い半減期およびTMDDを克服するためのより多量の用量の必要性により
、患者における注射の負担が増加し、皮下投与に対する処方が制限され、物品コストが上
昇する。非ヒト霊長類におけるこれらの抗体の薬物動態学的分析から、循環半減期が用量
に対して、および特により低用量で線形ではなく、抗体薬に典型的なものよりも短いこと
が示される。同様の薬物動態学的プロファイルが、別の抗TFPI抗体に対してUS20
11/0318356A1に記載された。より低用量でのT1/2が著しく短縮している
というこの違いは、TMDDの特徴であり、高用量ほどクリアランスが遅いのは標的の飽
和ゆえである。

したがって、中度から重度の血友病AおよびBに対する、特にFVIIIまたはFIX
に対する阻害物質を有する患者のためのより優れた予防的処置に対する医療ニーズは満た
されていない。このニーズは、静脈内または皮下に、低頻度、好ましくは週に1回以下で
投与され得る、特性が改良された抗TFPI抗体によって満たされよう。

概要

ヒト組織因子経路阻害剤(TFPI)に特異的に結合し、延長した血漿半減期を有する単離ヒトモノクローナルIgG抗体を含む治療用組成物の提供。該抗体が、ヒト重鎖またはヒト軽鎖の何れかのCDR領域で少なくとも1個のヒスチジン置換を含み、且つ、pH7.4でpH6.0の場合よりも少なくとも2倍高い親和性でTFPIに結合する、治療用組成物。

目的

より低いpHでの抗原抗体複合体崩壊させる1つの方法は、抗体:抗原相互作用面
付近ヒスチジン残基置換することである

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

ヒト組織因子経路阻害剤(TFPI)に特異的に結合し、延長した血漿半減期を有する単離ヒトモノクローナルIgG抗体を含む治療用組成物であって、前記抗体が、ヒト重鎖またはヒト軽鎖の何れかのCDR領域で少なくとも1個のヒスチジン置換を含み、且つ、pH7.4でpH6.0の場合よりも少なくとも2倍高い親和性でTFPIに結合する、治療用組成物。

請求項2

前記重鎖が配列番号5を含む、請求項1に記載の単離ヒト抗体

請求項3

前記重鎖が配列番号6を含む、請求項1に記載の単離ヒト抗体。

請求項4

前記重鎖が配列番号7を含む、請求項1に記載の単離ヒト抗体。

請求項5

前記重鎖が配列番号8を含む、請求項1に記載の単離ヒト抗体。

請求項6

前記重鎖が配列番号9を含む、請求項1に記載の単離ヒト抗体。

請求項7

前記重鎖が配列番号10を含む、請求項1に記載の単離ヒト抗体。

請求項8

前記軽鎖が配列番号11を含む、請求項1に記載の単離ヒト抗体。

請求項9

前記軽鎖が配列番号12を含む、請求項1に記載の単離ヒト抗体。

請求項10

前記軽鎖が配列番号13を含む、請求項1に記載の単離ヒト抗体。

請求項11

前記軽鎖が配列番号14を含む、請求項1に記載の単離ヒト抗体。

請求項12

前記軽鎖が配列番号15を含む、請求項1に記載の単離ヒト抗体。

請求項13

前記軽鎖が配列番号16を含む、請求項1に記載の単離ヒト抗体。

請求項14

前記軽鎖が配列番号17を含む、請求項1に記載の単離ヒト抗体。

請求項15

前記軽鎖が配列番号18を含む、請求項1に記載の単離ヒト抗体。

請求項16

前記重鎖が配列番号10を含み、前記ヒスチジン置換が、Y102H、Y32HおよびY100Hならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の単離ヒト抗体。

請求項17

前記軽鎖が配列番号17を含み、前記ヒスチジン置換が、Y31H、F48H、S50H、Y49H、L27H、V45H、W90Hおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の単離ヒト抗体。

請求項18

VL−Y31H、VH−Y102H、VH−Y100H、VH−Y32H、VL−F48H、VL−S50H、VL−Y49H、VL−L27H、VL−V45H、VL−W90Hおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも2個のヒスチジン置換を有する、請求項1に記載の単離モノクローナル抗体

技術分野

0001

関連出願の相互参照
本願は、参照により本明細書中に組み込まれる、2013年3月15日提出の米国仮出
願第61/798,261号の優先権を主張する。

背景技術

0002

現在、血友病Aおよび血友病B患者の予防的管理は、FVIIIまたはFIXの何れか
組み換えまたは血漿由来生成物)の補充である。これらの処置は、週に2または3回施
され、それらの予防レジメ順守するには患者に重い負担を与える。厳格な管理および厳
守にもかかわらず、患者は通常、時として破綻出血を経験し、必要性に応じた処置が求め
られる。的確に管理されない場合、頻繁で重篤出血は、重大な病的状態、特にヘムアル
スロパシー(hemarthropathy)につながる。血友病Aおよび血友病B患者
を処置するために使用される既存の薬物の効果は証明されているにもかかわらず、殆どの
成人、10代および高齢者は、定期的に行われる注射の回数を減少させることにより予防
の負担を軽減することを選択する。このアプローチは、的確に出血を管理するために必要
とされる防御をさらに危うくする。

0003

結果として、顕著に防御性をもたらし、且つ、必要な投与頻度が比較的少ない薬物が最
も望まれる。最適な治療は、週1回以下の頻度の投与によって防御を提供すべきものであ
る。現在の競争的環境を考えると、治療薬が週1回、静脈内(i.v.)または皮下(s
.c.)投与されるというものが、今後3から4年にわたっては現実的であり得る。した
がって、i.v.またはs.c.投与される薬物は、同等の防御力がある優れた投与プロ
ファイルを提供すべきである。皮下投与が達成され得た場合には、週1回投与は、このア
ローチ低侵襲性ゆえに、将来的な治療状況に対しても多大な価値を与える。

0004

最新血友病治療に対する別の大きな課題は、第VIII因子または第IX因子に対す
阻害性抗体発現である。FVIII処置患者のおよそ25%が、FVIIIに対する
阻害性または中和抗体を産生する。阻害物質は、頻度は低いものの、FIX処置患者でも
見られる。阻害物質の発現によって、補充療法の有効性が顕著に低下し、血友病患者にお
ける出血管理は困難になる。FVIIIまたはFIXに対する阻害物質を有する患者での
出血に対する現在の処置は、組み換え第VIIa因子または血漿由来FEIBAによる迂
回療法である。rFVIIaの半減期は極めて短く(−2時間)、したがってこれらの患
者における予防的処置は一般的ではない[Blanchette,Haemophili
a 16(supplement 3):46−51,2010]。

0005

未だ対処されていないこれらの医療ニーズに取り組むために、長時間作用薬物としての
組織因子経路阻害剤(TFPI)に対する抗体が開発された。WO2010/01719
6;WO2011/109452;WO2012/135671を参照。TFPIは、組
因子開始凝固経路の主要な阻害剤であり、これは血友病患者(PWH)において損傷を
受けておらず、故にTFPIの阻害は、FVIIIまたはFIXに対する阻害性抗体を示
すPWHにおいて止血回復させ得る。モノクローナル抗体(mAb)治療薬は、この標
的への接近を可能にすることに加えて、組み換え補充因子よりも顕著に長い循環半減期
最長3週間)を有することが示されている。TFPIを阻害する抗体はまた、皮下注射
に顕著なバイオアベイラビリティを有する。したがって、抗TFPIモノクローナル抗体
療法は、PWHおよび阻害物質を有するPWHのための、皮下の、長時間作用型の止血的
防御に対する重要な未だ対処されていない医療ニーズに対応する。

0006

しかし、TFPIの阻害は、血友病性血漿および血友病性動物において凝固を促進する
ことが示されている一方で、TFPIに対する抗体は、急速に除去される標的とのその相
互作用ゆえに、または抗体:抗原複合体の、その標的とのその共局在ゆえに血漿から隔絶
されることによって抗体が循環から除去される過程である、標的介在性薬物消失(TMD
D)として知られる現象ゆえに、比較的短い非線形的半減期を有する。したがって、TF
PI介在性TMDDを回避し、且つ、延長した半減期を有する抗体は、投与頻度を減少さ
せ、投与あたりに必要とされる物質量を減少させる。さらに、より低用量への必要性によ
って、投与体積制限段階となる皮下投与も実現可能になる。例えば、最適化抗TFPI
抗体2A8−g200(WO2011/109452)の半減期は、5mg/kgで投与
した場合、28時間であり、非ヒト霊長類で20mg/kgで投与した場合、67時間で
ある。

0007

この比較的短い半減期およびTMDDを克服するためのより多量の用量の必要性により
、患者における注射の負担が増加し、皮下投与に対する処方が制限され、物品コストが上
昇する。非ヒト霊長類におけるこれらの抗体の薬物動態学的分析から、循環半減期が用量
に対して、および特により低用量で線形ではなく、抗体薬に典型的なものよりも短いこと
が示される。同様の薬物動態学的プロファイルが、別の抗TFPI抗体に対してUS20
11/0318356A1に記載された。より低用量でのT1/2が著しく短縮している
というこの違いは、TMDDの特徴であり、高用量ほどクリアランスが遅いのは標的の飽
和ゆえである。

0008

したがって、中度から重度の血友病AおよびBに対する、特にFVIIIまたはFIX
に対する阻害物質を有する患者のためのより優れた予防的処置に対する医療ニーズは満た
されていない。このニーズは、静脈内または皮下に、低頻度、好ましくは週に1回以下で
投与され得る、特性が改良された抗TFPI抗体によって満たされよう。

0009

国際公開第2010/017196号パンフレット
国際公開第2011/109452号パンフレット
国際公開第2012/135671号パンフレット
国際公開第2011/109452号パンフレット
米国特許出願公開第2011/0318356号明細書

先行技術

0010

Blanchette,Haemophilia 16(supplement 3):46−51,2010

0011

抗TFPI抗体の半減期を延長させるために、および注射の負担を軽減するために、効
果を失うことなくより長時間作用する抗TFPI抗体を作製し、試験し、TFPI結合の
特徴が明らかになっており、凝固不全を処置することにおける効果が証明されている他の
抗TFPI抗体と比較した場合に特性が改善したことを確認した。(WO2011/10
9452参照)。具体的に、pH7.4と比較してpH6.0で親和性が低下している変
異体抗TFPI抗体を作製することにより、TMDDを減少させる。抗TFPI抗体は、
TFPIクリアランスに関与する受容体を通じて、その標的であるTFPIとの複合体に
おいて細胞に取り込まれ得る。Naritaら(JBC 270(42):24800−
4,1995)により同定されたある受容体は、LRP(LDL受容体関連タンパク質
であり、これは、エンドソームにおける分解のためにTFPIを標的とする。しかし、こ
抗原抗体複合体が、エンドソームの特徴である低pHで崩壊し得る場合、抗体はFc
Rn結合を介してリサイクルされ得、それによって循環中での曝露が増加する。この原理
は、Chapparo−Riggersら、JBC 287(14):110−7(20
12)によってPSCK9に対する抗体について示されている。

0012

より低いpHでの抗原:抗体複合体を崩壊させる1つの方法は、抗体:抗原相互作用面
付近ヒスチジン残基置換することである。アミノ酸ヒスチジン(His)は、低pH
、pH6.0付近でプロトン化され、pH7.4で中性の残基はこのようにして、pH6
.0で正電荷を獲得する。これは、他のアミノ酸との電荷反発力、および抗体:抗原接触
面での望ましい程度の崩壊または不安定化つながり得る。

0013

pH感受性残基を同定するために、CDRアミノ酸およびTFPI抗原に対する抗TF
PI抗体(例えば2A8−g200)の抗原:抗体結合に含まれる他のアミノ酸を個々に
Hisに変化させた。個々のHis変異体は、pH7.4対pH6.0で結合に差異があ
ることを明らかに示し、最適化のために結合に差異がある変異体の組み合わせを試験した

0014

エンドソーム放出時に、これらのpH感受性抗TFPI mAb変異体は新生児FcR
N受容体に結合し、血漿に再循環される。したがって、低pHでFcRNに対して親和性
が上昇している、pH感受性TFPI−結合部位Fcドメインとの間の組み合わせは、
半減期を延長させ、患者に対する注射の負担を軽減し、物品コストを低減させる相乗効果
を有する。

図面の簡単な説明

0015

2A8−g200およびヒスチジン置換に適切な突然変異抗TFPImAb(これらの配列に対する配列番号は表1で見ることができる。)に対する可変重鎖に対応するアミノ酸配列アライメントを示す。CDR領域1から3を示す。
2A8−g200およびヒスチジン置換に適切な突然変異抗TFPImAb(これらの配列に対する配列番号は表1で見ることができる。)に対する可変軽鎖に対応するアミノ酸配列のアライメントを示す。CDR領域1から3を示す。
2A8−g200Fabヒスチジンスキャニングライブラリの合成およびサブクローニングを示す。CDR1から3領域は破線で示す。下線付きアミノ酸残基は、TFPIに対する接触残基の位置を示す。星印(*)は、提案されるHis突然変異部位を示す。A).2A8−g200重鎖;B)2A8−g200軽鎖;C).4B7−gB9.7重鎖;およびD)4B7−gB9.7軽鎖。
代表的なヒスチジン突然変異がある改良抗体に対する2つのpHでの解離定数を示す。A.L−L27HおよびB.L−Y31H。抗体の解離速度を測定するために、表面プラズモン共鳴(Biacore T200)を使用した。
2mg/kgの濃度のいくつかのモノクローナル抗体に対して経時的にHem Aマウス血漿で観察されるpKプロファイルを示す。

0016

2A8−g200

0017

ヒスチジン置換モノクローナル抗体TPP2256(L−Y31H/Y49H)

0018

およびTPP2259(L−Y31H)

0019

2mg/kgでのHemAマウスに対する静脈内(i.v.)ボーラス投与後に、抗体の
薬物動態学的パラメーターを決定した。

実施例

0020

「組織因子経路阻害剤」または「TFPI」という用語は、本明細書中で使用される場
合、細胞により天然に発現されるヒトTFPIの、何らかの変異体、アイソフォームおよ
び種ホモローグを指す。本発明の好ましい実施形態において、TFPIに対する本発明の
抗体の結合は、血液凝固時間を短縮させる。

0021

本明細書中で使用される場合、「抗体」は、全抗体および何らかの抗原結合断片(すな
わち「抗原−結合部分」)またはその1本鎖を指す。この用語は、天然であるかまたは正
常な免疫グロブリン遺伝子断片組み換え過程により形成される全長免疫グロブリン分子
例えばIgG抗体)または、特異的な結合活性を保持する免疫グロブリン分子の免疫学的
活性である部分、例えば抗体断片など、を含む。構造にかかわらず、抗体断片は、全長
抗体により認識されるものと同じ抗原と結合する。例えば、抗TFPIモノクローナル
体断片は、TFPIのエピトープに結合する。抗体の抗原−結合機能は、全長抗体の断片
により果たされ得る。抗体の「抗原−結合部分」という用語内に包含される結合断片の例
としては、(i)Fab断片、VL、VH、CLおよびCH1ドメインからなる一価断片
;(ii)F(ab’)2断片、ヒンジ領域においてジスルフィド架橋により連結される
2個のFab断片を含む二価断片;(iii)VHおよびCH1ドメインからなるFd断
片;(iv)抗体のシングルアームのVLおよびVHドメインからなるFV断片、(v)
VHドメインからなるdAb断片(Wardら、(1989)Nature 341:5
44−546);(vi)単離相補性決定領域(CDR);(vii)ミニボディー、ダ
イアボディートリアボディーテトラボディーおよびカッパ・ボディー(例えばIll
ら、Protein Eng 1997;10:949−57);(viii)ラクダ
gG;および(ix)IgNARが挙げられる。さらに、FV断片の2つのドメイン、V
LおよびVHが個別の遺伝子によりコードされるにもかかわらず、これらは、組み換え法
を用いて、それらを、VLおよびVH領域が対形成して一価分子を形成する1本のタンパ
ク質鎖(1本鎖Fv(scFvとして知られる。)として形成されるようにすることがで
きる合成リンカーにより、連結され得る;例えば、Birdら(1988)Scienc
e 242:423−426;およびHustonら(1988)Proc.Natl.
Acad.Sci.USA 85:5879−5883)を参照。このような1本鎖抗体
もまた、抗体の「抗原−結合部分」という用語内に包含されるものとする。これらの抗体
断片は当業者にとって公知の従来技術を用いて得られ、インタクトな抗体と同じように有
用性について断片が分析される。

0022

さらに、抗体模倣物において抗原結合断片が包含され得ることが企図される。「抗体模
倣物」または「模倣物」という用語は、本明細書中で使用される場合、抗体と同様の結合
を示すが、より小さな代替的抗体または非抗体タンパク質であるタンパク質を意味する。
このような抗体模倣物は、骨格に含まれ得る。「骨格」という用語は、目的に合った機能
および特徴がある新しい生成物の操作のためのポリペプチドプラットフォームを指す。

0023

本明細書中で使用される場合、「結合を阻害する」および「結合を阻止する」(例えば
TFPIに対するTFPIリガンドの結合の阻害/阻止を指す。)という用語は、交換
能に使用され、部分的および完全の両方の阻害および阻止を包含する。阻害および阻止は
また、抗TFPI抗体と接触させられていないTFPIと比較した場合の、抗TFPI抗
体との接触時の生理基質に対するTFPIの結合親和性の何らかの測定可能な減少、例
えば、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%
、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の、第Xa因子との
TFPIの相互作用の阻止または、組織因子、第VIIa因子または組織因子/第VII
a因子の複合体とのTFPI−第Xa因子複合体の相互作用の阻止を含むものとする。

0024

「Continuous Cultures of Fused Cell Secr
eting Antibody of Predefined Specificity
」,Nature 256,495−497(1975)においてKoehlerおよび
Milsteinにより記載されているハイブリドーマ技術を通じて治療用抗体を作製し
た。完全ヒト抗体はまた、原核細胞および真核細胞での組み換えによっても作製され得る
。ハイブリドーマ産生ではなく宿主細胞における抗体の組み換え産生は、治療用抗体にと
って好ましい。組み換え産生には、生成物の一貫性に優れていること、産生レベルがより
高くなり得ることおよび動物由来タンパク質の存在を最小化するかまたは排除する制御製
造という長所がある。これらの理由のために、組み換え産生モノクローナル抗TFPI抗
体を有することが望ましい。「モノクローナル抗体」または「モノクローナル抗体組成物
」という用語は、本明細書中で使用される場合、単分子組成物抗体分子調製物を指す
。モノクローナル抗体組成物は、特定のエピトープに対する単一の結合特異性および親和
性を示す。一般に、ヒト疾患に対する治療用抗体は、マウス、キメラヒト化または完全
ヒト抗体を作製するために、遺伝子操作を用いて作製してきた。マウスモノクローナル抗
体は、血清半減期が短く、ヒトエフェクター機能惹起できないことおよびヒト抗マウス
−抗体の産生のために、治療剤としての使用が限定的であることが示された(Brekk
eおよびSandlie,「Therapeutic Antibodies for
Human Diseases at the Dawn of the Twenty
−first Century」,Nature 2,53,52−62,Jan.20
03)。キメラ抗体は、ヒト抗キメラ抗体反応を生じさせることが示されている。ヒト化
抗体は、抗体のマウス構成要素をさらに最小化する。しかし、完全ヒト抗体は、マウス要
素に付随する免疫原性を完全に回避する。したがって、ヒトである抗体かまたは遺伝子操
作モノクローナル抗体の他の形態に付随する免疫原性を回避するのに必要な程度までヒト
化されている抗体を開発する必要性がある。特に、抗TFPIモノクローナル抗体による
血友病処置に必要とされるであろうものなどの長期的な予防処置は、頻回投与が必要であ
り、治療が長期に及ぶため、マウス構成要素またはマウス起源のものを伴う抗体が使用さ
れる場合、治療薬に対する免疫反応の発現のリスクが高くなる。例えば、血友病Aに対す
抗体療法は、患者の一生涯にわたり毎週投与することを必要とし得る。これは、免疫系
に対する継続的な負荷である。したがって、血友病および凝固における関連する遺伝的お
よび後天性不全または欠損に対する抗体療法のための完全ヒト抗体が必要とされている。
したがって、「ヒトモノクローナル抗体」という用語は、ヒト生殖系列免疫グロブリン
由来可変および定常領域の少なくとも一部を有する単一の結合特異性を示す抗体を指
す。本発明のヒト抗体は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列によりコードされていないア
ミノ酸残基を含み得る(例えば、インビトロでのランダムまたは部位特異的な突然変異誘
発によるかまたはインビボでの体細胞突然変異により導入される突然変異)。これらのヒ
ト抗体は、キメラ抗体、例えばマウス/ヒトおよび非ヒト配列を保持するヒト化抗体を含
む。

0025

単離抗体」は、本明細書中で使用される場合、異なる抗原特異性を有する他の抗体を
実質的に含まない抗体を指すものとする(例えば、TFPIに結合する単離抗体は、TF
PI以外の抗原に結合する抗体を実質的に含まない。)。しかし、ヒトTFPIのエピ
ープ、アイソフォームまたは変異体に結合する単離抗体は、他の関連抗原、例えば他の種
由来のもの(例えばTFPI種ホモローグ)に対する交差反応性を有し得る。さらに、単
離抗体は、他の細胞性物質および/または化学物質を実質的に含み得ない。

0026

本明細書中で使用される場合、「特異的な結合」は、所定の抗原に対する抗体結合を指
す。一般的には、抗体は、少なくとも約105の親和性で結合し、所定抗原または近縁
原以外の無関係の抗原(例えば、BSA、カゼイン)への結合に対するその親和性よりも
高い、例えば少なくとも2倍高い、親和性で所定の抗原に結合する。「抗原を認識する抗
体」および「抗原に特異的な抗体」というは、「抗原に特異的に結合する抗体」という
用語と、本明細書中で交換可能に使用される。

0027

本明細書中で使用される場合、IgG抗体に対する「高親和性」という用語は、少なく
とも約107の結合親和性を指し、いくつかの実施形態において、少なくとも約108、
いくつかの実施形態において少なくとも約109、1010、1011またはそれを超え
る、例えば最大1013またはそれを超えるものである。しかし、「高親和性」結合は他
の抗体アイソタイプに対して変動し得る。例えば、IgMアイソタイプに対する「高親和
性」結合は、少なくとも約1.0×107の結合親和性を指す。本明細書中で使用される
場合、「アイソタイプ」は、重鎖定常領域遺伝子によりコードされる抗体クラス(例えば
IgMまたはIgG1)を指す。

0028

「相補性決定領域」または「CDR」は、結合抗原三次元構造に対して相補的である
N末端抗原−結合面を形成する抗体分子の重鎖の可変領域または軽鎖の可変領域内の3つ
超可変領域のうち1つを指す。重または軽鎖のN−末端から進めて、これらの相補性決
定領域はそれぞれ、「CDR1」、「CDR2」および「CDR3」として示される。C
DRは抗原−抗体結合に関与し、CDR3は、抗原−抗体結合に特異的な特有の領域を含
む。したがって、抗原−結合部位は、重および軽鎖V領域のそれぞれからのCDR領域を
含む、6個のCDRを含み得る。

0029

本明細書中で使用される場合、下記の個々のまたは複数のヒスチジン置換に関する場合
を除き、「保存的置換」は、結果としてポリペプチドの生物学的または生化学的機能を
失しない、同様の生化学的特性を有するアミノ酸に対する1以上のアミノ酸の置換を含む
ポリペプチドの修飾を指す。「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が同様の側鎖を有
するアミノ酸残基で置き換えられるものである。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファ
ミリーは、当技術分野で定められている。これらのファミリーは、塩基性側鎖(例えばリ
ジンアルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えばアスパラギン酸グルタミン酸)、
荷電極性側鎖(例えばグリシンアスパラギングルタミンセリンスレオニン、チ
シンシステイン)、非極性側鎖(例えばアラニンバリンロイシンイソロイシン
プロリンフェニルアラニンメチオニントリプトファン)、β−分岐状側鎖(例え
ばスレオニン、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖(例えばチロシンフェニル
ラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を伴うアミノ酸を含む。本発明の抗体は、保存的
アミノ酸置換を有し得、依然として活性を保持することが想定される。

0030

「実質的な相同性」という用語は、2つのポリペプチドまたはそれらの指定配列が、最
適にアライメントされ、比較される場合に、適切なアミノ酸挿入または欠失を伴い、少な
くともアミノ酸の約80%、通常は少なくともアミノ酸の約85%、好ましくは約90%
、91%、92%、93%、94%または95%、より好ましくは少なくとも約96%、
97%、98%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%または99
.5%同一であることを示す。本発明は、本明細書中で引用される特異的なアミノ酸配列
に対して実質的な相同性を有するポリペプチド配列を含む。

0031

2つの配列間のパーセント同一性は、配列により共有される同一である位置の数の関数
(すなわち、%相同性=同一である位置の数/位置の総数×100)であり、2つの配列
の最適アライメントのために導入する必要があるギャップ数および各ギャップの長さが考
慮される。2つの配列間の配列の比較およびパーセント同一性の決定は、数学アルゴリズ
ム、例えばVectorNTITMのAlignXTMモジュール(Invitroge
n Corp.,Carlsbad,CA)を用いて遂行され得る。AlignXTMの
場合、複数アライメントの初期設定パラメーターは:ギャップ・オープニング・ペナル
ィー:10;ギャップ伸長ペナルティー:0.05;ギャップ分離ペナルティー範囲:8
;アライメント遅延(alignment delay)に対する%同一性:40。(さ
らなる詳細は、http://www.invitrogen.com/site/us
/en/home/LINNEA−Online−Guides/LINNEA−Com
munities/Vector−NTI−Community/Sequence−a
nalysis−and−data−management−software−for
−PCs/AlignX−Module−for−Vector−NTI−Advanc
e.reg.us.htmlで見出される。)。

0032

クエリー配列(本発明の配列)と対象配列との間の最良の全体的適合(best ov
erall match)を決定するための別の方法は、グローバル配列アライメントと
も呼ばれ、CLUSTALWコンピュータプログラム(Thompsonら、Nucle
ic AcidsResearch,1994,2(22):4673−4680)を
用いて決定することができ、これはHigginsら(Computer Applic
ations in the Biosciences(CABIOS),1992,8
(2):189−191)のアルゴリズムに基づく。配列アライメントにおいて、クエリ
ーおよび対象配列は、両DNA配列である。前記のグローバル配列アライメントの結果は
、パーセント同一性によるものである。ペアワイズアライメントを介してパーセント同一
性を計算するためにDNA配列のCLUSTALWで使用される好ましいパラメーター
マトリクス=IUB、k−組=1、トップディアゴナル(Top Diagonal
s)数=5、ギャップペナルティー=3、ギャップ・オープン・ペナルティー=10、ギ
ャップ伸長ペナルティー=0.1である。複数アライメントの場合、次のCLUSTAL
Wパラメーターが好ましい:ギャップ・オープニング・ペナルティー=10、ギャップ伸
長パラメーター=0.05;ギャップ分離ペナルティー範囲=8;アライメント遅延(A
lignment Delay)に対する%同一性=40。

0033

治療的有効量の抗TFPIモノクローナル抗体および医薬的に許容可能な担体を含む医
薬組成物も提供される。本明細書中で使用される場合、「治療的有効量」は、インビボで
凝固時間を効果的に向上させるかまたは必要とする患者に対してインビボで測定可能な
利益を生じさせるために必要とされる、抗TFPIモノクローナル抗体変異体またはこの
ような抗体および第VIII因子または第IX因子の組み合わせの量を意味する。正確な
量は、治療用組成物の構成要素および物理的特性、意図される患者集団、個々の患者の検
事項などを含むが限定されない多くの要因に依存し、当業者により容易に決定され得る
。「医薬的に許容可能な担体」は、処方を促進するか、調製物を安定化し、患者に対して
顕著な有害毒性効果を生じさせないために活性成分に添加され得る物質である。このよう
な担体の例は当業者にとって周知であり、水、糖、例えばマルトースまたはスクロース
ど、アルブミン、塩、例えば塩化ナトリウムなどが挙げられる。他の担体は、例えばE.
W.MartinによるRemington’s Pharmaceutical Sc
iencesに記載されている。このような組成物は、治療的有効量の少なくとも1つの
抗TFPIモノクローナル抗体を含有する。

0034

医薬的に許容可能な担体としては、滅菌水溶液または分散液および滅菌注射用溶液また
は分散液の即時調製のための滅菌粉末が挙げられる。医薬的に活性のある物質に対するこ
のような媒体および薬剤の使用は当技術分野で公知である。本組成物は、好ましくは非経
口注射用に処方される。本組成物は、高薬物濃度に適切な、溶液、マイクロエマルジョン
リポソームまたは他の秩序構造として処方され得る。担体は、例えば水、エタノール
ポリオール(例えば、グリセロールプロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリ
コールなど)およびそれらの適切な混合物を含有する、溶媒または分散媒であり得る。一
部の場合において、これは、組成物中の、等張剤、例えば糖、多価アルコール、例えばマ
ニトール,ソルビトールなど、または塩化ナトリウムを含む。

0035

滅菌注射用溶液は、上記の成分の1つまたは組み合わせとともに適切な溶媒中で必要量
活性化合物を組み込み、必要に応じて、続いて滅菌精密ろ過を行うことによって調製さ
れ得る。一般に、分散液は、基本的な分散媒および上述のものからの必要な他の成分を含
有する滅菌ビヒクルに活性化合物を組み込むことによって調製される。滅菌注射用溶液の
調製用の滅菌粉末の場合、あるいくつかの調製方法は、前もって滅菌ろ過されたその溶液
から活性成分+何らかのさらなる所望の成分の粉末を生じさせる、真空乾燥および凍結
乾燥(凍結乾燥)である。

0036

ヒトモノクローナル抗体は、凝固における遺伝的および後天性不全または欠損を処置す
るための治療目的のために使用され得る。例えば、ヒトモノクローナル抗体は、FXaと
のTFPIの相互作用を阻止するかまたはTF/FVIIa活性のTFPI−依存性阻害
を防止するために使用され得る。さらにヒトモノクローナル抗体はまた、FVIII−ま
たはFIX−依存性のFXa増幅不足迂回するため、TF/FVIIaにより起動
れるFXa産生を回復させるためにも使用され得る。

0037

ヒトモノクローナル抗体は、血小板減少症血小板障害および出血性障害(例えば、血
友病A、血友病Bおよびヘモフリア(hemophlia)C)などの止血の障害の処置
において、治療用途を有する。このような障害は、それを必要とする患者に治療的有効量
の抗TFPIモノクローナル抗体変異体を投与することによって処置され得る。ヒトモノ
クローナル抗体はまた、外傷および出血性脳卒中などの兆候における制御不良の出血の処
置においても治療用途を有する。したがって、出血時間を短縮することを必要とする患者
に、治療的有効量の本発明の抗TFPIヒトモノクローナル抗体変異体を投与することを
含む、出血時間を短縮するための方法もまた提供される。

0038

本抗体は、止血性障害に対処するために、単剤療法として、または他の治療剤と組み合
わせて使用され得る。例えば、凝固因子、例えば第VIIa因子、第VIII因子または
第IX因子などと1以上の本発明の変異体抗体同時投与は、血友病を処置するのに有用
であると考えられる。個々の実施形態において、第VIII因子または第IX因子は、第
VII因子の実質的な非存在下で投与される。「第VII因子」は、第VII因子および
第VIIa因子を含む。

0039

凝固における遺伝的および後天性不全または欠損を処置するための方法は、(a)ヒト
組織因子経路阻害剤に結合する、第一の量の変異体モノクローナル抗体および(b)第二
の量の第VIII因子または第IX因子を投与することを含み、この第一および第二の量
は、一緒に、この不全または欠損を処置するために有効である。同様に、凝固における遺
伝的および後天性不全または欠損を処置するための方法は、(a)ヒト組織因子経路阻害
剤に結合する、第一の量のモノクローナル抗体変異体および(b)第二の量の第VIII
因子または第IX因子を投与することを含み、この第一および第二の量は、一緒に、この
不全または欠損を処置するために有効であり、さらに第VII因子は同時投与されない。
本発明はまた、治療的有効量の本発明のモノクローナル抗体変異体および第VIII因子
または第IX因子の組み合わせを含む医薬組成物も含み、本組成物は、第VII因子を含
有しない。

0040

これらの併用療法は、凝固因子の必要な点滴頻度を減少させると思われる。同時投与ま
たは併用療法とは、それぞれが個別に処方されるかまたは1つの組成物中で一緒に処方さ
れる2種類の治療薬物の投与を意味し、個別に処方される場合、ほぼ同時に、または異な
る時間であるが同じ治療期間にわたるかの何れかで投与される。

0041

いくつかの実施形態において、本明細書中に記載の1以上の抗体変異体は、止血性障害
に対処するために組み合わせて使用され得る。例えば、2以上の本明細書中に記載の抗体
変異体の同時投与は、血友病または他の止血性障害を処置するために有用であると考えら
れる。

0042

本医薬組成物は、出血エピソード重症度により変動し得るか、または予防的治療の場
合、患者の凝固欠損の重症度により変動し得る投与量および頻度で、血友病AまたはBに
罹患している対象に非経口投与され得る。

0043

本組成物は、ボーラスとして、または連続点滴によって、必要とする患者に投与され得
る。例えば、Fab断片として存在する抗体変異体のボーラス投与は、0.0025から
100mg/kg体重、0.025から0.25mg/kg、0.010から0.10m
g/kgまたは0.10から0.50mg/kgの量であり得る。連続点滴の場合、Fa
b断片として存在する抗体変異体は、1から24時間、1から12時間、2から12時間
、6から12時間、2から8時間または1から2時間にわたり、0.001から100m
g/kg体重/分、0.0125から1.25mg/kg/分、0.010から0.75
mg/kg/分、0.010から1.0mg/kg/分または0.10から0.50mg
/kg/分で投与され得る。(完全な定常領域がある)全長抗体として存在する抗体変異
体の投与の場合、投与量は、約1から10mg/kg体重、2から8mg/kgまたは5
から6mg/kgであり得る。このような全長抗体は、一般的には、30分から3時間に
わたる点滴によって投与される。投与頻度は、状態の重症度に依存する。頻度は、週に3
回から、2週間から6カ月ごとに1回の範囲であり得る。

0044

さらに、本組成物は、皮下注射を介して患者に投与され得る。例えば10から100m
g抗TFPI抗体の1回用量が、週に1回、2週間に1回または1カ月に1回、皮下注射
を介して患者に投与され得る。

0045

ヒト組織因子経路阻害剤(TFPI)に対する変異体モノクローナル抗体が提供される
。同上をコードする単離核酸分子もさらに提供される。変異体抗TFPIモノクローナル
抗体を含む医薬組成物および血友病AおよびBなどの凝固における遺伝的および後天性不
全または欠損の処置の方法も提供される。出血時間の短縮を必要とする患者に抗TFPI
モノクローナル抗体を投与することによって、出血時間を短縮するための方法も提供され
る。本開示によるヒトTFPIに結合する変異体モノクローナル抗体を作製する方法も提
供される。

0046

治療用組成物は、親配列で定められるとおりの少なくとも1個のネイティブアミノ酸に
対するアミノ酸ヒスチジン(H、HIS)の1以上の置換の企図的な[判読不能]選択ま
たは操作により、非経口TFPI結合抗体の配列とは異なる結合領域を有する抗体を含む
アミノ酸変化は、親分子と比較してより長い循環半減期T1/2を付与する。

0047

pH7.0よりもpH6.0で有効性が少なくとも20%低い、TFPIに結合するT
FPIに特異的な抗体が開示され、これはおよそ400%の循環T1/2の改善を示す。
親配列と比較して、定められるとおりの少なくとも1個のネイティブアミノ酸に対するア
ミノ酸ヒスチジン(H、HIS)の置換により2A8−g200または4B7−gB9.
7などの標的抗体の配列とは異なる抗体または抗体結合領域に対して、TMDDを軽減す
る有益な効果が明らかにされる。具体的に、2A8−g200の変異体は、次の置換の何
れか1つ:VL−Y31H、VH−Y102H、VH−Y100H、VH−Y32H、V
L−F48H、VL−S50H、VL−Y49H、VL−L27H、VL−V45H、V
L−W90Hおよびそれらの組み合わせを有し得る。

0048

抗TFPI抗体2A8−g200および4B7−gB9.7変異体は、インビボで高親
和性および高特異性でTFPIに結合し得る(WO2011/109452参照)。図1
は、2A8−g200および4B7−gB9.7ならびにWO2011/109452に
記載の他の2A8および4B7変異体に対するアミノ酸配列情報を示す。表1は、図1で
示される2A8および4B7変異体に対する可変重鎖および可変軽鎖に対する対応する配
列番号を示す。

0049

表1:図1で示されるヒト抗TFPI抗体の可変重鎖および可変軽鎖の対応する配列番

0050

選択部位での突然変異誘発時にCDRドメインおよびTFPIと接触する残基の両方を
結合の特徴に関する分析に供することによって、2A8−g200および4B7−gB9
.7のpH感受性変異体を作製した。図2は、A.2A8−g200(図2AにおいてA
200と表す。)可変重鎖;B.2A8−g200(図2BにおいてA200と表す。)
可変軽鎖;C.4B7−gB9.7可変重鎖;およびD.4B7−gB9.7可変軽鎖に
対する、可能性のあるHis突然変異の位置を示す。1)図2の下線付きアミノ酸により
示されるようなTFPIに対する接触残基または2)抗TFPI抗体2A8−g200お
よび4B7−gB9.7に対して図2で星印により示されるような、CDR1から3残基
の何れかで、アミノ酸のそれぞれに対して1個のヒスチジン残基を置換した。図2Aおよ
び2Bで示されるように、重鎖からの四十(40)残基および軽鎖からの二十九(29)
残基が、2A8−g200における突然変異誘発に対する位置として同定された。図2
および2Dで示されるように、四十(40)個の重鎖および三十二(32)個の軽鎖変異
体が4B7−gB9.7において同定された。

0051

2A8−g200Fabヒスチジンスキャニングライブラリを合成した。ライブラリは
、69種類のメンバーを含有した。2A8−g200Fabヒスチジンライブラリを細菌
発現ベクタークローニングし、アミノ酸配列を確認した。

0052

Hisスキャンライブラリからの六十九(69)個のクローンをE.コリ(E.col
i)ATCC株9637に形質転換し、カルベネシリン(carbenecillin)
(100μg/mL)を含有する選択培地上で増殖させた。単コロニーを使用して、LB
−カルベネシリン(Carbenecillin)−100培地接種した。培養物を3
7℃でOD600=0.5になるまで増殖させ、0.25mMIPTGを用いて誘導
、30℃で一晩増殖させた。4℃で、5,000×gで15分間の遠心によって細菌発現
培養物を回収した。容器を傾けて発現培地をペレットから除去した。ペレットおよび透明
化発現培地の両方を−20℃で凍結させた。プロテインAを用いて発現培地からHis突
変異タンパク質を精製した。精製した突然変異タンパク質をSDS−PAGEによって
分析し、A280によって濃度を調べた。

0053

ヒトTFPI、1μg/mLを使用して、MaxisorbTMマイクロタイタープレ
ートをコーティングした。Hisスキャンライブラリの各メンバーからの発現培地、10
0μLをプレート上の2個のウェルに対になるように添加した。振盪機上で室温で1時間
、プレートを温置した。PBSTによりプレートを3x洗浄した。PBS(pH7.0)
を対のうち一方のウェルに添加し、100mM pH6.0クエン酸緩衝液を同じ対の第
二のウェルに添加した。プレートを振盪しながら37℃で1時間温置した。プレートをP
BSTで3x洗浄し、アンプレックスレッドを用いて発色させた。pH7.0/pH6
.0比を確立して、感受性突然変異タンパク質をランク付けした。野生型2A8−g20
0Fabの場合の比は1.0であった。pH7.0とpH6.0との間の比が1.78よ
り大きかった10個のクローンを下の表2で示す。

0054

表2:pH6.0 TFPI解離ELISA

0055

表面プラズモン共鳴(Biacore)を用いて、Fab型の精製2A8−g200変
異体(表1でwt gA200Fabと呼ぶ。)を試験した。表面プラズモン共鳴(Bi
acore T200)を使用して、抗体の解離速度を測定した。Biacoreにより
示唆される方法を用いて、ヒトTFPI(American Diagnostica)
をCM4またはCM5チップ上でアミンカップリングさせ、その結果、100から300
RUの固定化TFPIが得られた。精製した2A8−g200変異体を注入し、続いてp
H7.4またはpH6.0緩衝液の何れかにおいて40分間解離を行った。異なる濃度で
HBS−P緩衝液中で抗体を希釈し、流速を50μL/分に設定した。各回の抗体注射後
、90μLのpH1.5グリシンを注入することによってチップを再生した。BIAe
aluationソフトウェアを用いてデータセットを評価した。

0056

次の式により、モデルを用いることによって、各2A8−g200変異体抗体に対する
解離定数(kd)を決定した。

0057

(式中、Rは、時間tでの反応であり、R0は時間t0−解離の開始時の反応である。
)、オフセットによって、完全解離の終了時の残留反応が考慮に入れられる。各2A8−
g200変異体に対して、pH6.0でのkdとpH7.4でのkdとの比を計算した。
実測比が2である突然変異は、pH感受性突然変異とみなし、2A8−g200のIgG
変異体の構築に使用することができた。

0058

例えば、図3を参照して、2つの異なるpH(pH6.0およびpH7.4)における
biocoreアッセイにおける解離定数反応の実測変動を2つの代表的な2A8−g1
00軽鎖ヒスチジン置換突然変異:A.L−L27HおよびB.L−Y31Hに対して示
す。

0059

2mg/kgでのHemAマウスへの静脈内(i.v.)ボーラス投与後に抗体の薬物
動態学的パラメーターを決定した。薬物動態学的パラメーターは全て、WinNonLi
ソフトウェアバージョン5.3.1(Pharsight Corporation
,Mountain View,CA)非コンパートメントモデルを用いて計算した。マ
ウス血漿中での抗TFPIモノクローナル抗体の実測半減期におけるヒスチジン突然変異
の効果は図4で示す。ヒスチジン突然変異TPP2256(L−Y31H/Y49H)お
よびTPP2259(L−Y31H)がある2A8−g200は、ヒスチジン置換が全く
ない2A8−g200の対応するpKプロファイルと比較した場合、500時間の期間に
わたり実測pKプロファイルを向上させた。表3は、図4のデータにおいて観察される半
減期延長を数値化する。

0060

表3:pKパラメーター

0061

したがって、上記で示す、TFPI介在性TMDDが減少し、T1/2が延長している
抗体によって、投与頻度の減少および1回の投与あたり必要とされる物質の量の減少が可
能となる。さらに、より低用量とする必要性により、用量体積が、急速に除去される標的
とのその相互作用のために、またはその標的とのその共局在ゆえに血漿から隔絶されるこ
とによって抗体が循環から除去される過程である、制限段階となる皮下投与が実現可能な
り得る。

0062

開示される発明の様々な改変、改良および適用があることは、当業者にとって当然であ
り、本願は、法律により許容される程度までかかる実施形態を包含する。ある一定の好ま
しい実施形態の文脈において本発明を記載してきたが、本発明の完全な範囲はそのように
限定されず、次の特許請求の範囲に従う。全ての参考文献、特許または他の刊行物は、本
明細書中で参照により具体的に組み込まれる。

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

この 技術と関連性が強い技術

関連性が強い 技術一覧

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ