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図面 (20)

課題

組換えDNA技法を使用して、所望の脂肪酸プロフィール及び位置特異的又は立体特異的プロフィールを有するトリグリセリド油を生成する油産生組換え細胞を提供すること。

解決手段

操作される遺伝子には、ステアロイル−ACPデサチュラーゼ(desturase)、デルタ12脂肪酸デサチュラーゼアシル−ACPチオエステラーゼケトアシル−ACPシンターゼ、及びリゾホスファチジン酸アシルトランスフェラーゼをコードするものが含まれる。生成される油は、向上した酸化又は熱安定性を有することができ、又はフライ油ショートニングロールイン用ショートニング、テンパリング脂肪ココアバター代用物として、潤滑剤として、又は様々な化学プロセスの供給原料として有用であり得る。脂肪酸プロフィールは中鎖プロフィールを高濃度化することができ、又は油は飽和−不飽和−飽和型トリグリセリドを高濃度化することができる。

概要

背景

国際公開第2008/151149号パンフレット、国際公開第2010/06032号パンフレット、国際公開第2011/150410号パンフレット、国際公開第2011/150411号パンフレット、国際公開第2012/061647号パンフレット、及び国際公開第2012/106560号パンフレットは、油及びそうした油を微細藻類を含めた微生物で生成するための方法を開示している。これらの公報はまた、かかる油を使用した油脂化学品及び燃料の作製についても記載している。

テンパリングは、脂肪又は脂肪含有物質の温度を操作することにより脂肪を所望の多形形態に変換するプロセスであり、チョコレートの製造においてよく用いられる。

脂肪酸アシル−CoA伸長経路のある種の酵素は、脂肪酸アシル−CoA分子の長さを伸ばす働きをする。エロンガーゼ複合酵素は脂肪酸アシル−CoA分子を2炭素ずつ加えて伸ばし、例えばミリストイルCoAからパルミトイル−CoA、ステアロイル−CoAからアラキジル−CoA、又はオレイル−CoAからエイコサノイル−CoA、エイコサノイル−CoAからエルシル−CoAに伸ばす。加えて、エロンガーゼ酵素はまたアシル鎖長も2炭素ずつ増やして伸ばす。KCS酵素はアシル−CoA分子をマロニル−CoAの2つの炭素と縮合させてβ−ケトアシル−CoAにする。KCS及びエロンガーゼは、特定の炭素長、修飾(ヒドロキシル化など)、又は飽和度アシル基質の縮合に対して特異性を示し得る。例えば、ホホバ(Simmondsia chinensis)のβ−ケトアシル−CoA合成は、一価飽和及び飽和C18−及びC20−CoA基質に対する選択性によりトランスジェニック植物におけるエルカ酸の産生を上昇させることが実証されており(Lassner et al.,Plant Cell,1996,Vol 8(2),pp 281−292)、一方、Trypanosoma bruceiの特異的エロンガーゼ酵素は、短鎖及び中鎖飽和CoA基質の伸長に選択性を示す(Lee et al.,Cell,2006,Vol 126(4),pp 691−9)。

II型脂肪酸生合成経路は、可溶性タンパク質によって触媒される一連の反応を利用し、酵素間で中間体アシルキャリアータンパク質(ACP)のチオエステルとしてやり取りされる。対照的に、I型脂肪酸生合成経路は単一の大型多官能性ポリペプチドを用いる。

産生性非光合成藻類であるProtetheca moriformisは、栄養炭素供給が過剰な、しかし他の必須栄養素は制限されているために細胞分裂阻害される場合の条件下で、多量のトリアシルグリセリド油を蓄える。最大C18の炭素鎖長を有する脂肪酸のバル生合成プラスチドで起こる;次に脂肪酸が小胞体輸送され、そこでC18を越える伸長及びトリアシルグリセリド(TAG)への取り込みが(それが起こる場合には)起こると考えられている。脂質は脂肪体と呼ばれる大きい細胞質小器官に蓄えられ、環境条件成長に有利に変化すると直ちに動員され、同化代謝のためのエネルギー及び炭素分子を提供する。

概要

組換えDNA技法を使用して、所望の脂肪酸プロフィール及び位置特異的又は立体特異的プロフィールを有するトリグリセリド油を生成する油産生組換え細胞を提供すること。操作される遺伝子には、ステアロイル−ACPデサチュラーゼ(desturase)、デルタ12脂肪酸デサチュラーゼアシル−ACPチオエステラーゼ、ケトアシル−ACPシンターゼ、及びリゾホスファチジン酸アシルトランスフェラーゼをコードするものが含まれる。生成される油は、向上した酸化又は熱安定性を有することができ、又はフライ油ショートニングロールイン用ショートニング、テンパリング脂肪ココアバター代用物として、潤滑剤として、又は様々な化学プロセスの供給原料として有用であり得る。脂肪酸プロフィールは中鎖プロフィールを高濃度化することができ、又は油は飽和−不飽和−飽和型トリグリセリドを高濃度化することができる。なし

目的

脂質は脂肪体と呼ばれる大きい細胞質小器官に蓄えられ、環境条件が成長に有利に変化すると直ちに動員され、同化代謝のためのエネルギー及び炭素分子を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

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請求項1

図面に記載の発明。

技術分野

0001

関連出願の相互参照
本願は、米国特許法第119条(e)に基づき、2012年4月18日に出願された米国仮特許出願第61/635,285号明細書、2012年4月27日に出願された米国仮特許出願第61/639,838号明細書、2012年6月4日に出願された米国仮特許出願第61/655,469号明細書、2012年7月16日に出願された米国仮特許出願第61/672,196号明細書、2012年8月2日に出願された米国仮特許出願第61/679,026号明細書、2012年10月19日に出願された米国仮特許出願第61/715,998号明細書、2013年2月26日に出願された米国仮特許出願第61/769,678号明細書、2013年3月13日に出願された米国仮特許出願第61/778,963号明細書、及び2013年4月5日に出願された米国仮特許出願第61/809,213号明細書の利益を主張し、これらの仮特許出願は全て、関連する部分が参照によって援用され、但し、本明細書における用語の定義が完全な且つ優先される定義であるものとする。

0002

配列表の参照
本願は、詳細な説明の最後に示すとおりの配列表を含む。

0003

本発明の実施形態は、油/脂肪燃料食品、及び油脂化学品並びに遺伝子操作された細胞培養物からのそれらの生成に関する。特定の実施形態は、グリセロール骨格に特定の位置特異的パターン脂肪酸アシル基を有するトリグリセリド含有量が高い油、高度に安定した油、高濃度オレイン酸又は中鎖脂肪酸を含む油、及びかかる油から生成される製品に関する。

背景技術

0004

国際公開第2008/151149号パンフレット、国際公開第2010/06032号パンフレット、国際公開第2011/150410号パンフレット、国際公開第2011/150411号パンフレット、国際公開第2012/061647号パンフレット、及び国際公開第2012/106560号パンフレットは、油及びそうした油を微細藻類を含めた微生物で生成するための方法を開示している。これらの公報はまた、かかる油を使用した油脂化学品及び燃料の作製についても記載している。

0005

テンパリングは、脂肪又は脂肪含有物質の温度を操作することにより脂肪を所望の多形形態に変換するプロセスであり、チョコレートの製造においてよく用いられる。

0006

脂肪酸アシル−CoA伸長経路のある種の酵素は、脂肪酸アシル−CoA分子の長さを伸ばす働きをする。エロンガーゼ複合酵素は脂肪酸アシル−CoA分子を2炭素ずつ加えて伸ばし、例えばミリストイルCoAからパルミトイル−CoA、ステアロイル−CoAからアラキジル−CoA、又はオレイル−CoAからエイコサノイル−CoA、エイコサノイル−CoAからエルシル−CoAに伸ばす。加えて、エロンガーゼ酵素はまたアシル鎖長も2炭素ずつ増やして伸ばす。KCS酵素はアシル−CoA分子をマロニル−CoAの2つの炭素と縮合させてβ−ケトアシル−CoAにする。KCS及びエロンガーゼは、特定の炭素長、修飾(ヒドロキシル化など)、又は飽和度アシル基質の縮合に対して特異性を示し得る。例えば、ホホバ(Simmondsia chinensis)のβ−ケトアシル−CoA合成は、一価飽和及び飽和C18−及びC20−CoA基質に対する選択性によりトランスジェニック植物におけるエルカ酸の産生を上昇させることが実証されており(Lassner et al.,Plant Cell,1996,Vol 8(2),pp 281−292)、一方、Trypanosoma bruceiの特異的エロンガーゼ酵素は、短鎖及び中鎖飽和CoA基質の伸長に選択性を示す(Lee et al.,Cell,2006,Vol 126(4),pp 691−9)。

0007

II型脂肪酸生合成経路は、可溶性タンパク質によって触媒される一連の反応を利用し、酵素間で中間体アシルキャリアータンパク質(ACP)のチオエステルとしてやり取りされる。対照的に、I型脂肪酸生合成経路は単一の大型多官能性ポリペプチドを用いる。

0008

産生性非光合成藻類であるProtetheca moriformisは、栄養炭素供給が過剰な、しかし他の必須栄養素は制限されているために細胞分裂阻害される場合の条件下で、多量のトリアシルグリセリド油を蓄える。最大C18の炭素鎖長を有する脂肪酸のバル生合成プラスチドで起こる;次に脂肪酸が小胞体輸送され、そこでC18を越える伸長及びトリアシルグリセリド(TAG)への取り込みが(それが起こる場合には)起こると考えられている。脂質は脂肪体と呼ばれる大きい細胞質小器官に蓄えられ、環境条件成長に有利に変化すると直ちに動員され、同化代謝のためのエネルギー及び炭素分子を提供する。

0009

国際公開第2008/151149号
国際公開第2010/06032号
国際公開第2011/150410号
国際公開第2011/150411号
国際公開第2012/061647号
国際公開第2012/106560号

先行技術

0010

Lassner et al.,Plant Cell,1996,Vol 8(2),pp 281−292
Lee et al.,Cell,2006,Vol 126(4),pp 691−9

課題を解決するための手段

0011

一態様において、本発明は、場合により配列番号76と少なくとも65%のヌクレオチド配列同一性を有する23SrRNAを含み、場合により偏性従属栄養性であり、且つ場合により細胞が単一炭素源としてのショ糖上で成長することができるように外来性ショ糖インベルターゼ遺伝子を含む油産生微細藻類細胞を提供し、この細胞は、活性LPAAT酵素をコードする外来遺伝子を含み、且つ細胞はトリグリセリドを含む油を生成し、油は、LPAAT活性によって:(a)中鎖脂肪酸を含むトリグリセリドが高濃度化され;又は(b)飽和−不飽和−飽和型のトリグリセリドが高濃度化される。

0012

ある場合には、油のトリグリセリドは、40、50、60、70、又は80%又はそれを超えるC8:0、C10:0、C12:0、C14:0、又はC16:0脂肪酸を含む。ある場合には、細胞は、活性FATアシル−ACPチオエステラーゼをコードする外来遺伝子をさらに含む。ある場合には、油のトリグリセリドは、外因性LPAAT及びアシル−ACPチオエステラーゼが発現する結果として中鎖脂肪酸が70%より大きい割合だけ高濃度化される。ある場合には、細胞は、外因性KAS I又はKAS IV酵素をコードして内因性KAS I酵素の活性を低下させる働きをする組換え核酸をさらに含む。ある場合には、細胞は、FAMEGC/FIDによるときリノール酸及びリノレン酸が合計5面積パーセント以下である油を生成するため、場合により調節可能なプロモーターによって、デルタ12脂肪酸デサチュラーゼの発現を低下させる働きをする核酸をさらに含む。ある場合には、油は、飽和−不飽和−飽和型のトリグリセリドが高濃度化される。ある場合には、油は、SOSPOS、及び/又はPOPが高濃度化される。ある場合には、油は、少なくとも50%のSOS、及び場合により10%未満のSSSを含むトリグリセリドを含む。

0013

ある場合には、細胞は、ステアロイル−ACPデサチュラーゼ遺伝子、FatA遺伝子、又は両方のノックアウト又はノックダウンをさらに含む。ある場合には、細胞は、β−ケトアシルCoAシンターゼ活性を増加させる働きをする組換え核酸をさらに含む。ある場合には、β−ケトシル(ketocyl)シンターゼ活性を増加させる働きをする核酸は、β−ケトアシルCoAシンターゼをコードする外来遺伝子を含む。

0014

ある場合には、油中ステアリン酸塩オレイン酸塩との比が3:1±20%である。ある場合には、油中のPOP、SOS、及びPOSが、合計で少なくとも30%含まれる。ある場合には、油は少なくとも30%のPOSを含む。ある場合には、油は、16%±20%のPOP、38%±20%のPOS、及び23%±20%のSOSを含む。ある場合には、油の脂肪酸プロフィールは1〜4%のアラキジン酸を含む。

0015

ある場合には、細胞は、リノール酸及びリノレン酸が合計5面積パーセント以下である油を生成するため、場合により調節可能なプロモーターによって、デルタ12脂肪酸デサチュラーゼの発現を低下させる働きをする核酸をさらに含む。ある場合には、油は、65%超のSOS、45%未満の不飽和脂肪酸、5%未満の多価不飽和脂肪酸、1%未満のラウリン酸、及び2%未満のトランス脂肪酸を有する。

0016

ある場合には、LPAATが、配列番号78若しくは配列番号79のアミノ酸配列又は配列番号78若しくは配列番号79と少なくとも95%の同一性を有する配列を有する。

0017

別の態様において、本発明は、上記に考察したとおりの細胞を提供又は培養する工程と、油を抽出する工程とを含む、油の生成方法を提供し、細胞は、場合により従属栄養培養される。

0018

別の態様において、本発明は、上記で考察した方法により生成されるトリグリセリドを含む油を提供する。ある場合には、油は、以下の1つ以上:少なくとも10%のエルゴステロール;エルゴステロール及びb−シトステロール(ここでエルゴステロールとb−シトステロールとの比は25:1より大きい);エルゴステロール及びブラシカステロール;エルゴステロール、ブラシカステロール、及びポリフェラステロール、を含み、且つ油は、場合により、β−シトステロールカンペステロール、及びスチグマステロールの1つ以上を含まない。

0019

ある場合には、油はβ多形結晶を形成する。ある場合には、結晶は2Lラメラ構造を有する。ある場合には、結晶は3Lラメラ構造を有する。

0020

ある場合には、油はβ’多形結晶を形成する。ある場合には、結晶は2Lラメラ構造を有する。ある場合には、結晶は3Lラメラ構造を有する。

0021

ある場合には、油のトリグリセリドは、ステアリン酸塩とパルミチン酸塩との合計割合が、オレイン酸塩の割合に2.0を乗じたもの±40%に等しいことを特徴とする脂肪酸プロフィールを有する。ある場合には、油は、65%超のSOSトリグリセリド、45%未満の不飽和脂肪酸、5%未満の不飽和脂肪酸類、1%未満のラウリン酸、及び2%未満のトランス脂肪酸を有する。ある場合には、油の脂肪酸プロフィールにおけるステアリン酸塩とパルミチン酸塩との合計割合は、オレイン酸塩の割合の2倍±20%である。ある場合には、油のsn−2プロフィールは、少なくとも40%のオレイン酸塩を有する。ある場合には、油は、少なくとも40、50、60、70、80、又は90%のSOSである。

0022

ある場合には、油は、30℃〜40℃の融解温度を有するロールインショートニングである。ある場合には、油はβ’多形結晶を含む。ある場合には、油は、35℃で15%未満の固形脂肪含有量を有する。ある場合には、油は、15〜20%のC8〜C14脂肪酸、45〜50%のC16以上の脂肪酸、及び/又は30〜25%の不飽和脂肪酸を含む。

0023

別の態様において、本発明は、上記で考察する油を使用して生成される食品、燃料又は化学製品を提供する。

0024

別の態様において、本発明は、天然油又は天然油から生成されるRBD油を提供し、この油は3.5%以下の飽和脂肪酸を含み、場合により50%超のオレイン酸及び/又は1%超のパルミトレイン酸を含む。ある場合には、油は0.1〜3.5%の飽和脂肪酸を有する。ある場合には、油は少なくとも90%のオレイン酸を含む。ある場合には、油は少なくとも3%の多価不飽和脂肪酸を含む。

0025

別の態様において、本発明は、場合により配列番号76と少なくとも65%のヌクレオチド配列同一性を有する23SrRNAを含み、且つ場合により偏性従属栄養性である油産生細胞を提供し、この細胞は、3.5%以下の飽和脂肪酸を含む油を生成する。

0026

ある場合には、細胞は微細藻類細胞、場合によりPrototheca属の微細藻類細胞である。ある場合には、細胞はFATAノックアウト又はノックダウンをさらに含む。ある場合には、細胞は、パルミトイル−CoAからプラミトイル(plamitoyl)−CoAに不飽和化する活性を有する酵素をコードする外来遺伝子を含む。ある場合には、外来遺伝子はPAD遺伝子である。ある場合には、外来遺伝子は、パルミトイル−ACPに対するデサチュラーゼ活性を有するSAD遺伝子である。ある場合には、細胞は、過剰発現したKAS II酵素をさらに含む。

0027

ある場合には、細胞は、リノール酸及びリノレン酸が合計5面積パーセント以下である油を生成するため、場合により調節可能なプロモーターによって、デルタ12脂肪酸デサチュラーゼの発現を低下させる働きをする核酸をさらに含む。

0028

別の態様において、本発明は、上記で考察する細胞によって産生される、場合により精製、漂白、及び脱臭された油を提供し、この油は、以下の1つ以上:少なくとも10%のエルゴステロール;エルゴステロール及びb−シトステロール(ここでエルゴステロールとb−シトステロールとの比は25:1より大きい);エルゴステロール及びブラシカステロール;及びエルゴステロール、ブラシカステロール、及びポリフェラステロール、を含み、且つ油は、場合により、β−シトステロール、カンペステロール、及びスチグマステロールの1つ以上を含まない。

0029

別の態様において、本発明は、3.5%以下の飽和脂肪酸を有する油の生成方法を提供し、この方法は、上記又は本明細書に考察するとおりの細胞を提供又は培養する工程と、細胞から油を抽出する工程とを含む。

0030

別の態様において、本発明は、食品の製造方法を提供し、この方法は、上記又は本明細書に考察する方法により生成された油を食品に添合する工程を含み、ここで最終食品製品は3.5%以下の飽和脂肪を有する。

0031

別の態様において、本発明は、場合により配列番号76と少なくとも65%のヌクレオチド配列同一性を有する23SrRNAを含み、且つ場合により偏性従属栄養性である組換え油産生細胞を提供し、この細胞は、活性ケトアシル−CoAシンターゼ酵素をコードする外来遺伝子を含む。

0032

ある場合には、細胞は、20%超のエルカ酸を含む油を産生する。ある場合には、細胞は、60%超のエルカ酸を含む油を産生する。ある場合には、細胞が少なくとも40%の油を含む。ある場合には、細胞はPrototheca属の細胞であり、場合によりPrototheca moriformis種の細胞である。ある場合には、細胞により産生される油は、以下の1つ以上:少なくとも10%のエルゴステロール;エルゴステロール及びb−シトステロール(ここでエルゴステロールとb−シトステロールとの比は25:1より大きい);エルゴステロール及びブラシカステロール;及びエルゴステロール、ブラシカステロール、及びポリフェラステロール、を含み、この油は、場合により、β−シトステロール、カンペステロール、及びスチグマステロールの1つ以上を含まない。

0033

別の態様において、本発明は、上記で考察する油から製造される化学品を提供する。

0034

別の態様において、本発明は油の生成方法を提供し、この方法は、上記に考察したとおりの細胞を提供又は培養する工程と、細胞から油を抽出する工程とを含む。

0035

別の態様において、本発明は、5%未満のリノール酸を有するトリアシルグリセロールプロフィールの油を産生するように、デルタ12脂肪酸デサチュラーゼ遺伝子産物の活性を抑制する働きをする組換え核酸を含む組換え油産生細胞を提供する。ある場合には、細胞は、3%未満のリノール酸を有するトリアシルグリセロールプロフィールの油を産生する。ある場合には、細胞は、2%未満のリノール酸を有するトリアシルグリセロールプロフィールの油を産生する。

0036

ある場合には、油を産生するため、細胞がリノール酸要求株であるか、又は環境条件によってデルタ12脂肪酸デサチュラーゼの活性が抑制され得る。ある場合には、調節可能なプロモーターがデルタ12脂肪酸デサチュラーゼ遺伝子に作動可能に連結していることにより、デルタ12脂肪酸デサチュラーゼを環境条件によって調節可能である。ある場合には、調節可能なプロモーターは、培地pH又は窒素濃度の変化により調節可能である。

0037

ある場合には、細胞は、外因性KAS II、LPAAT、又はFATB酵素を発現する働きをする組換え核酸をさらに含む。ある場合には、細胞は、ステアロイルACPデサチュラーゼ酵素の発現をノックアウト又はノックダウンする働きをする組換え核酸をさらに含む。ある場合には、細胞は、内在性FatAによりコードされるアシル−ACPチオエステラーゼの発現をノックアウト又はノックダウンする働きをする組換え核酸をさらに含む。

0038

ある場合には、油は、110℃で、AOCS Cd 12b−92ランシマット試験条件下20時間までに未だ電気伝導度変曲点に達しない安定性を有する。ある場合には、油は、1050ppmのトコフェロール及び500pmのパルミチン酸アスコルビルを油に加えたとき、110℃で、AOCS Cd 12b−92ランシマット試験条件下5日間までに未だ電気伝導度の変曲点に達しない安定性を有する。

0039

別の態様において、本発明は、(a)場合により配列番号76と少なくとも65%のヌクレオチド配列同一性を有する23SrRNAを含み、場合により偏性従属栄養性である組換え油産生細胞を提供する工程であって、この細胞が、細胞によって作られる脂肪酸の量を環境条件の変化に応じて変える働きをする組換え核酸を含む、工程と;(b)細胞分裂させて細胞数を増加させるための、脂肪酸の合成に許容的な第1の環境条件下で細胞を培養する工程と;(c)組換え核酸のため、脂肪酸の合成が低下し、従って細胞により産生される油中の当該の脂肪酸の量が低下する第2の環境条件下で細胞を培養する工程と;(d)細胞から油を抽出する工程とを含む方法を提供する。

0040

ある場合には、細胞は、油中のリノール酸の量を低下させるためデルタ12脂肪酸デサチュラーゼの活性を低下させる働きをする外来核酸を含む。ある場合には、リノール酸は油中で少なくとも50、60、70、80、又は90%欠乏している。

0041

ある場合には、細胞は従属栄養培養される。ある場合には、細胞は微細藻類細胞である。ある場合には、細胞は、乾燥細胞重量基準で少なくとも40、50、60、70、80、又は90%の油を産生する。

0042

ある場合には、第1の環境条件が培養培地の第1のpHであり、第2の環境条件が第2のpHである。

0043

ある場合には、油は、細胞からの抽出時、110℃で、AOCS Cd 12b−92ランシマット試験条件下20時間までに未だ電気伝導度の変曲点に達しない安定性を有する。ある場合には、油は、細胞からの抽出時、1050ppmのトコフェロール及び500pmのパルミチン酸アスコルビルを油に加えたとき、110℃で、AOCS Cd 12b−92ランシマット試験条件下5日間までに未だ電気伝導度の変曲点に達しない安定性を有する。

0044

ある場合には、細胞は、KAS II酵素をコードする外来遺伝子と、場合によりFatA遺伝子のノックアウト又はノックダウンとを含む。ある場合には、細胞によって作られる脂肪酸の量を変える働きをする組換え核酸は、FAD遺伝子を標的化する阻害性RNAを含み、この阻害性RNAの産生は、調節可能なプロモーターの制御下にある。

0045

ある場合には、油は、60%超のオレイン酸と3%未満の多価不飽和物とを含む脂肪酸プロフィールによって特徴付けられる。ある場合には、油は、70%超のオレイン酸と2%未満の多価不飽和物とを含む脂肪酸プロフィールによって特徴付けられる。ある場合には、油は、80%超のオレイン酸と1%未満の多価不飽和物とを含む脂肪酸プロフィールによって特徴付けられる。

0046

別の態様において、本発明は、上記で考察される方法によって生成される油を提供する。ある場合には、油は、0.01〜2%のリノール酸と、(i)80〜95%のオレイン酸又は(ii)40%超のC8、C10、C12、C14又はC16脂肪酸とを含む。ある場合には、油は、以下の1つ以上:少なくとも10%のエルゴステロール;エルゴステロール及びβ−シトステロール(ここでエルゴステロールとβ−シトステロールとの比は25:1より大きい);エルゴステロール及びブラシカステロール;及びエルゴステロール、ブラシカステロール、及びポリフェラステロール、をさらに含む。

0047

別の態様において、本発明は、上記で考察する油により生成される製品を提供する。ある場合には、製品は、食品、燃料又は化学品である。ある場合には、製品は、フライ油潤滑油洗浄溶剤界面活性剤発泡剤又は潤滑剤である。ある場合には、製品はオレイン酸ダイマーである。

0048

別の態様において、本発明は、配列番号77〜79と少なくとも90%の同一性を有するタンパク質をコードする核酸を含む構築物ベクター染色体又は宿主細胞を提供する。ある場合には、核酸は、配列番号77〜79と少なくとも95%の同一性を有するタンパク質をコードする。ある場合には、核酸は、配列番号77〜79と少なくとも98%の同一性を有するタンパク質をコードする。ある場合には、核酸は、配列番号80〜85又は遺伝子コード縮重の理由で等価な配列と少なくとも80、90、95、96、97、98、又は99%の配列同一性を有する。
本発明は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
場合により配列番号76と少なくとも65%のヌクレオチド配列同一性を有する23S
rRNAを含み、場合により偏性従属栄養性であり、且つ場合により細胞が単一炭素源としてのショ糖上で成長することができるように外来性ショ糖インベルターゼ遺伝子を含む、油産生微細藻類細胞であって、前記細胞が、活性LPAAT酵素をコードする外来遺伝子を含み、前記細胞が、トリグリセリドを含む油を産生し、前記油は、LPAAT活性によって:
(a)中鎖脂肪酸を含むトリグリセリドが高濃度化され;又は
(b)飽和−不飽和−飽和型のトリグリセリドが高濃度化される、
細胞。
(項目2)
前記油のトリグリセリドは、40、50、60、70、又は80%又はそれを超えるC8:0、C10:0、C12:0、C14:0、又はC16:0脂肪酸を含む、項目1に記載の細胞。
(項目3)
前記細胞は、活性FATBアシル−ACPチオエステラーゼをコードする外来遺伝子をさらに含む、項目1又は2に記載の細胞。
(項目4)
前記油の前記トリグリセリドは、前記外因性LPAAT及びアシル−ACPチオエステラーゼが発現する結果として中鎖脂肪酸が70%より大きい割合だけ高濃度化される、項目3に記載の細胞。
(項目5)
前記細胞は、外因性KAS I又はKAS IV酵素をコードする働き又は内因性KAS I酵素の活性を低下させる働きをする組換え核酸をさらに含む、項目1〜4のいずれか一項に記載の細胞。
(項目6)
前記細胞は、FAMEGC/FIDによるときリノール酸及びリノレン酸が合計5面積パーセント以下である油を生成するため、場合により調節可能なプロモーターによって、デルタ12脂肪酸デサチュラーゼの発現を低下させる働きをする核酸をさらに含む、項目1〜5のいずれか一項に記載の細胞。
(項目7)
前記油は、飽和−不飽和−飽和型のトリグリセリドが高濃度化される、項目1に記載の細胞。
(項目8)
前記油は、SOS、POS、及び/又はPOPが高濃度化される、項目7に記載の細胞。
(項目9)
前記油は、少なくとも50%のSOS、場合により10%未満のSSSを含むトリグリセリドを含む、項目8に記載の細胞。
(項目10)
ステアロイル−ACPデサチュラーゼ遺伝子、FatA遺伝子、又は両方のノックアウト又はノックダウンをさらに含む、項目8又は9に記載の細胞。
(項目11)
β−ケトアシルCoAシンターゼ活性を増加させる働きをする組換え核酸をさらに含む、項目7〜9のいずれか一項に記載の細胞。
(項目12)
前記β−ケトシルシンターゼ活性を増加させる働きをする核酸が、β−ケトアシルCoAシンターゼをコードする外来遺伝子を含む、項目11に記載の細胞。
(項目13)
油中のステアリン酸塩とオレイン酸塩との比が3:1±20%である、項目7〜12のいずれか一項に記載の細胞。
(項目14)
前記油中のPOP、SOS、及びPOSが、合計で少なくとも30%含まれる、項目7〜13のいずれか一項に記載の細胞。
(項目15)
前記油が少なくとも30%のPOSを含む、項目7〜14のいずれか一項に記載の細胞。
(項目16)
前記油が、16%±20%のPOP、38%±20%のPOS、及び23%±20%のSOSを含む、項目7〜15のいずれか一項に記載の細胞。
(項目17)
前記油の前記脂肪酸プロフィールが1〜4%のアラキジン酸を含む、項目7〜16のいずれか一項に記載の細胞。
(項目18)
前記細胞が、リノール酸及びリノレン酸が合計5面積パーセント以下である油を生成するため、場合により調節可能なプロモーターによって、デルタ12脂肪酸デサチュラーゼの発現を低下させる働きをする核酸をさらに含む、項目7〜17のいずれか一項に記載の細胞。
(項目19)
前記油が、65%超のSOS、45%未満の不飽和脂肪酸、5%未満の多価不飽和脂肪酸、1%未満のラウリン酸、及び2%未満のトランス脂肪酸を有する、項目7〜17のいずれか一項に記載の細胞。
(項目20)
前記LPAATが、配列番号78若しくは配列番号79のアミノ酸配列又は配列番号78若しくは配列番号79と少なくとも95%の同一性を有する配列を有する、項目1〜19のいずれか一項に記載の細胞。
(項目21)
項目1〜20のいずれか一項に記載の細胞を提供又は培養する工程と、前記油を抽出する工程とを含む、油の生成方法であって、前記細胞が場合により従属栄養培養される、方法。
(項目22)
項目21により生成されるトリグリセリドを含む油。
(項目23)
少なくとも10%のエルゴステロール;
エルゴステロール及びβ−シトステロールであって、エルゴステロールとβ−シトステロールとの比は25:1より大きい、エルゴステロール及びβ−シトステロール;
エルゴステロール及びブラシカステロール;
エルゴステロール、ブラシカステロール、及びポリフェラステロール;
の1つ以上を含み、
場合により、β−シトステロール、カンペステロール、及びスチグマステロールの1つ以上を含まない、項目22に記載の油。
(項目24)
前記油がβ多形結晶を形成する、項目22に記載の油。
(項目25)
前記結晶が2Lラメラ構造を有する、項目24に記載の油。
(項目26)
前記結晶が3Lラメラ構造を有する、項目24に記載の油。
(項目27)
前記油がβ’多形結晶を形成する、項目22に記載の油。
(項目28)
前記結晶が2Lラメラ構造を有する、項目24に記載の油。
(項目29)
前記結晶が3Lラメラ構造を有する、項目24に記載の油。
(項目30)
前記トリグリセリドが、ステアリン酸塩とパルミチン酸塩との合計割合が、オレイン酸塩の割合に2.0を乗じたもの±40%に等しいことを特徴とする脂肪酸プロフィールを有する、項目22〜29のいずれか一項に記載の油。
(項目31)
前記油が、65%超のSOSトリグリセリド、45%未満の不飽和脂肪酸、5%未満の不飽和脂肪酸類、1%未満のラウリン酸、及び2%未満のトランス脂肪酸を有する、項目22〜30のいずれか一項に記載の油。
(項目32)
前記脂肪酸プロフィールにおけるステアリン酸塩とパルミチン酸塩との合計割合がオレイン酸塩の割合の2倍±20%である、項目22〜31のいずれか一項に記載の油。
(項目33)
前記sn−2プロフィールが少なくとも40%のオレイン酸塩を有する、項目32に記載の油。
(項目34)
前記油が、少なくとも40、50、60、70、80、又は90%のSOSである、項目22〜33のいずれか一項に記載の油。
(項目35)
前記油が、30℃〜40℃の融解温度を有するロールイン用ショートニングである、項目22〜33のいずれか一項に記載の油。
(項目36)
β’多形結晶を含む、項目35に記載の油。
(項目37)
35℃で15%未満の固形脂肪含有量を有する、項目35又は36に記載の油。
(項目38)
15〜20%のC8〜C14脂肪酸、45〜50%のC16以上の脂肪酸、及び/又は30〜25%の不飽和脂肪酸を含む、項目35〜37のいずれか一項に記載の油。
(項目39)
項目22〜38のいずれか一項に記載の油を使用して製造される食品、燃料又は化学製品。
(項目40)
天然油又は天然油から生成されるRBD油であって、3.5%以下の飽和脂肪酸を含み、場合により50%超のオレイン酸及び/又は1%超のパルミトレイン酸を含む油。
(項目41)
0.1〜3.5%の飽和脂肪酸を有する、項目40に記載の油。
(項目42)
少なくとも90%のオレイン酸を含む、項目40又は41に記載の油。
(項目43)
少なくとも3%の多価不飽和脂肪酸を含む、項目42に記載の油。
(項目44)
場合により配列番号76と少なくとも65%のヌクレオチド配列同一性を有する23S
rRNAを含み、且つ場合により偏性従属栄養性である油産生細胞であって、3.5%以下の飽和脂肪酸を含む油を産生する細胞。
(項目45)
前記細胞がPrototheca属の細胞である、項目44に記載の細胞。
(項目46)
FATAノックアウト又はノックダウンをさらに含む、項目44に記載の細胞。
(項目47)
パルミトイル−CoAからプラミトイル−CoAに不飽和化する活性を有する酵素をコードする外来遺伝子を含む、項目44〜46のいずれか一項に記載の細胞。
(項目48)
前記外来遺伝子がPAD遺伝子である、項目47に記載の細胞。
(項目49)
前記外来遺伝子が、パルミトイル−ACPに対するデサチュラーゼ活性を有するSAD遺伝子である、項目47に記載の細胞。
(項目50)
過剰発現したKASII酵素をさらに含む、項目44〜49のいずれか一項に記載の細胞。
(項目51)
リノール酸及びリノレン酸が合計5面積パーセント以下である油を生成するため、場合により調節可能なプロモーターによって、デルタ12脂肪酸デサチュラーゼの発現を低下させる働きをする核酸をさらに含む、項目44〜50のいずれか一項に記載の細胞。
(項目52)
場合により精製、漂白、及び脱臭された、項目44〜51のいずれか一項に記載の細胞によって産生される油であって、
少なくとも10%のエルゴステロール;
エルゴステロール及びb−シトステロールであって、エルゴステロールとb−シトステロールとの比は25:1より大きい、エルゴステロール及びb−シトステロール;
エルゴステロール及びブラシカステロール;及び
エルゴステロール、ブラシカステロール、及びポリフェラステロール;
の1つ以上を含み、
場合により、−シトステロール、カンペステロール、及びスチグマステロールの1つ以上を含まない油。
(項目53)
3.5%以下の飽和脂肪酸を有する油の生成方法であって、項目5〜12のいずれか一項に記載の細胞を提供又は培養する工程と、前記細胞から前記油を抽出する工程とを含む方法。
(項目54)
項目53に記載の方法により生成された油を食品に添合する工程を含む、食品の製造方法であって、最終食品製品が3.5%以下の飽和脂肪を有する、方法。
(項目55)
場合により配列番号76と少なくとも65%のヌクレオチド配列同一性を有する23S
rRNAを含み、且つ場合により偏性従属栄養性である組換え油産生細胞であって、活性ケトアシル−CoAシンターゼ酵素をコードする外来遺伝子を含む細胞。
(項目56)
20%超のエルカ酸を含む油を産生する、項目55に記載の細胞。
(項目57)
60%超のエルカ酸を含む油を産生する、項目56に記載の細胞。
(項目58)
少なくとも40%の油を含む、項目55〜57のいずれか一項に記載の細胞。
(項目59)
Prototheca属の細胞であり、場合によりPrototheca moriformis種の細胞である、項目55〜58のいずれか一項に記載の細胞。
(項目60)
少なくとも10%のエルゴステロール;
エルゴステロール及びβ−シトステロールであって、エルゴステロールとβ−シトステロールとの比は25:1より大きい、エルゴステロール及びβ−シトステロール;
エルゴステロール及びブラシカステロール;及び
エルゴステロール、ブラシカステロール、及びポリフェラステロール
の1つ以上を含む、項目55〜59のいずれか一項に記載の細胞によって産生される油であって、
場合により、β−シトステロール、カンペステロール、及びスチグマステロールの1つ以上を含まない油。
(項目61)
項目60に記載の油から製造される化学品。
(項目62)
項目55〜59のいずれか一項に記載の細胞を提供又は培養する工程と、前記細胞から油を抽出する工程とを含む、油の生成方法。
(項目63)
5%未満のリノール酸を有するトリアシルグリセロールプロフィールの油を産生するように、デルタ12脂肪酸デサチュラーゼ遺伝子産物の活性を抑制する働きをする組換え核酸を含む組換え油産生細胞。
(項目64)
3%未満のリノール酸を有するトリアシルグリセロールプロフィールの油を産生する、項目63に記載の細胞。
(項目65)
2%未満のリノール酸を有するトリアシルグリセロールプロフィールの油を産生する、項目64に記載の細胞。
(項目66)
前記油を産生するため、リノール酸要求株であるか、又は環境条件によってデルタ12脂肪酸デサチュラーゼの活性が抑制され得る、項目63に記載の細胞。
(項目67)
調節可能なプロモーターが前記デルタ12脂肪酸デサチュラーゼ遺伝子に作動可能に連結していることにより、前記デルタ12脂肪酸デサチュラーゼを環境条件によって調節可能である、項目66に記載の細胞。
(項目68)
前記調節可能なプロモーターが、培地pH又は窒素濃度の変化により調節可能である、項目67に記載の細胞。
(項目69)
外因性KASII、LPAAT、又はFATB酵素を発現する働きをする組換え核酸をさらに含む、項目64〜68のいずれか一項に記載の細胞。
(項目70)
ステアロイルACPデサチュラーゼ酵素の発現をノックアウト又はノックダウンする働きをする組換え核酸をさらに含む、項目64〜69のいずれか一項に記載の細胞。
(項目71)
内在性FatAによりコードされるアシル−ACPチオエステラーゼの発現をノックアウト又はノックダウンする働きをする組換え核酸をさらに含む、項目64〜70のいずれか一項に記載の細胞。
(項目72)
前記油が、110℃で、AOCS Cd 12b−92ランシマット試験条件下20時間までに未だ電気伝導度の変曲点に達しない安定性を有する、項目64〜71のいずれか一項に記載の細胞。
(項目73)
前記油が、1050ppmのトコフェロール及び500pmのパルミチン酸アスコルビルを前記油に加えたとき、110℃で、AOCS Cd 12b−92ランシマット試験条件下5日間までに未だ電気伝導度の変曲点に達しない安定性を有する、項目64〜71のいずれか一項に記載の細胞。
(項目74)
(a)場合により配列番号76と少なくとも65%のヌクレオチド配列同一性を有する23S rRNAを含み、場合により偏性従属栄養性である組換え油産生細胞を提供する工程であって、前記細胞が、前記細胞によって作られる脂肪酸の量を環境条件の変化に応じて変える働きをする組換え核酸を含む、工程と;
(b)細胞分裂させて細胞数を増加させるための、前記脂肪酸の合成に許容的な第1の環境条件下で前記細胞を培養する工程と;
(c)前記組換え核酸のため、前記脂肪酸の合成が低下し、従って前記細胞により産生される前記油中の当該の脂肪酸の量が低下する第2の環境条件下で前記細胞を培養する工程と;
(d)前記細胞から前記油を抽出する工程と
を含む方法。
(項目75)
前記細胞が、前記油中のリノール酸の量を低下させるため、デルタ12脂肪酸デサチュラーゼの活性を低下させる働きをする外来核酸を含む、項目74に記載の方法。
(項目76)
前記リノール酸が、前記油中で少なくとも50、60、70、80、又は90%欠乏している、項目74又は75に記載の方法。
(項目77)
前記細胞が従属栄養培養される、項目74〜76のいずれか一項に記載の方法。
(項目78)
前記細胞が微細藻類細胞である、項目74〜77のいずれか一項に記載の方法。
(項目79)
前記細胞が、乾燥細胞重量基準で少なくとも40、50、60、70、80、又は90%の油を産生する、項目74〜78のいずれか一項に記載の方法。
(項目80)
前記第1の環境条件が培養培地の第1のpHであり、前記第2の環境条件が第2のpHである、項目74〜79のいずれか一項に記載の方法。
(項目81)
前記細胞からの抽出時、前記油が、110℃で、AOCS Cd 12b−92ランシマット試験条件下20時間までに未だ電気伝導度の変曲点に達しない安定性を有する、項目74〜80のいずれか一項に記載の方法。
(項目82)
前記細胞からの抽出時、前記油が、1050ppmのトコフェロール及び500pmのパルミチン酸アスコルビルを前記油に加えたとき、110℃で、AOCS Cd 12b−92ランシマット試験条件下5日間までに未だ電気伝導度の変曲点に達しない安定性を有する、項目74〜81のいずれか一項に記載の方法。
(項目83)
前記細胞が、KAS II酵素をコードする外来遺伝子と、場合によりFatA遺伝子のノックアウト又はノックダウンとを含む、項目74〜82のいずれか一項に記載の方法。
(項目84)
前記細胞によって作られる脂肪酸の量を変える働きをする前記組換え核酸が、FAD遺伝子を標的化する阻害性RNAを含み、前記阻害性RNAの産生が調節可能なプロモーターの制御下にある、項目74〜83のいずれか一項に記載の方法。
(項目85)
前記油が、60%超のオレイン酸と3%未満の多価不飽和物とを含む脂肪酸プロフィールによって特徴付けられる、項目83又は84に記載の方法。
(項目86)
前記油が、70%超のオレイン酸と2%未満の多価不飽和物とを含む脂肪酸プロフィールによって特徴付けられる、項目85に記載の方法。
(項目87)
前記油が、80%超のオレイン酸と1%未満の多価不飽和物とを含む脂肪酸プロフィールによって特徴付けられる、項目86に記載の方法。
(項目88)
項目74〜87のいずれか一項に記載の方法によって生成される油。
(項目89)
0.01〜2%のリノール酸と、(i)80〜95%のオレイン酸又は(ii)40%超のC8、C10、C12、C14又はC16脂肪酸とを含む、項目88に記載の油。
(項目90)
少なくとも10%のエルゴステロール;
エルゴステロール及びb−シトステロールであって、エルゴステロールとb−シトステロールとの比は25:1より大きい、エルゴステロール及びb−シトステロール;
エルゴステロール及びブラシカステロール;及び
エルゴステロール、ブラシカステロール、及びポリフェラステロール
の1つ以上をさらに含む、項目88又は89に記載の油。
(項目91)
項目88〜90のいずれか一項に記載の油から生成される製品。
(項目92)
食品、燃料又は化学品である、項目91に記載の製品。
(項目93)
フライ油、潤滑油、洗浄溶剤、界面活性剤、発泡剤又は潤滑剤である、項目91に記載の製品。
(項目94)
オレイン酸ダイマーである、項目91に記載の製品。
(項目95)
配列番号77〜79と少なくとも90%の同一性を有するタンパク質をコードする核酸を含む構築物、ベクター、染色体又は宿主細胞。
(項目96)
配列番号77〜79と少なくとも95%の同一性を有するタンパク質をコードする、項目95に記載の構築物、ベクター、染色体又は宿主細胞。
(項目97)
配列番号77〜79と少なくとも98%の同一性を有するタンパク質をコードする、項目95に記載の構築物、ベクター、染色体又は宿主細胞。
(項目98)
配列番号80〜85又は遺伝子コードの縮重の理由で等価な配列と少なくとも80、90、95、96、97、98、又は99%の配列同一性を有する核酸を含む、項目95〜97のいずれか一項に記載の構築物、ベクター、染色体、又は宿主細胞。

0049

本発明のこれら及び他の態様及び実施形態を、添付の図面(その簡単な説明がこの直後に続く)、本発明の詳細な説明、及び例に説明及び/又は例示する。上記に及び本願全体を通じて考察される特徴はいずれも、本発明の様々な実施形態において組み合わせることができる。

図面の簡単な説明

0050

実施例4で考察するとおりの、遺伝子操作されたPrototheca moriformis株から精製、漂白、及び脱臭した油の脂肪酸プロフィール及び融解曲線を示す。
実施例4で考察するとおりの、遺伝子操作されたPrototheca moriformis株から精製、漂白、及び脱臭した油の脂肪酸プロフィール及び融解曲線を示す。
実施例4で考察するとおりの、遺伝子操作されたPrototheca moriformis株から精製、漂白、及び脱臭した油の脂肪酸プロフィール及び融解曲線を示す。
実施例4で考察するとおりの、遺伝子操作されたPrototheca moriformis株から精製、漂白、及び脱臭した油の脂肪酸プロフィール及び融解曲線を示す。
実施例4で考察するとおりの、遺伝子操作されたPrototheca moriformis株から精製、漂白、及び脱臭した油の脂肪酸プロフィール及び融解曲線を示す。
実施例4で考察するとおりの、遺伝子操作されたPrototheca moriformis株から精製、漂白、及び脱臭した油の脂肪酸プロフィール及び融解曲線を示す。
実施例4で考察するとおりの、遺伝子操作されたPrototheca moriformis株から精製、漂白、及び脱臭した油の脂肪酸プロフィール及び融解曲線を示す。
実施例4で考察するとおりの、遺伝子操作されたPrototheca moriformis株から精製、漂白、及び脱臭した油の脂肪酸プロフィール及び融解曲線を示す。
実施例4で考察するとおりの、遺伝子操作されたPrototheca moriformis株から精製、漂白、及び脱臭した油の脂肪酸プロフィール及び融解曲線を示す。
実施例4で考察するとおりの、遺伝子操作されたPrototheca moriformis株から精製、漂白、及び脱臭した油の脂肪酸プロフィール及び融解曲線を示す。
実施例4で考察するとおりの、遺伝子操作されたPrototheca moriformis株から精製、漂白、及び脱臭した油の脂肪酸プロフィール及び融解曲線を示す。
実施例4で考察するとおりの、遺伝子操作されたPrototheca moriformis株から精製、漂白、及び脱臭した油の脂肪酸プロフィール及び融解曲線を示す。
実施例4で考察するとおりの、遺伝子操作されたPrototheca moriformis株から精製、漂白、及び脱臭した油の脂肪酸プロフィール及び融解曲線を示す。
実施例4で考察するとおりの、遺伝子操作されたPrototheca moriformis株から精製、漂白、及び脱臭した油の脂肪酸プロフィール及び融解曲線を示す。
実施例5で考察するとおりの、抗酸化剤濃度に応じた種々の油の安定性を示す。
本発明の実施形態における超低濃度の多価不飽和脂肪酸を含む天然油の様々な特性を示す。
以下のとおりの様々な油に関するパーセント固形脂肪含有量のプロットを示す:(a)脂質経路を操作していないP.moriformisRBD油;(b)ブラジル産ココアバター+25%乳脂肪;(c)TAGプロフィールにおけるオレイン酸の低下及びステアリン酸の増加のためSAD対立遺伝子のレベルを低下させるヘアピン核酸を発現する株からのP.moriformis RBD油の3つのレプリケート;(d)内因性OTE(オレオイルアシル−ACPチオエステラーゼ、実施例45を参照)を過剰発現する株からのP.moriformis RBD油;(e)マレーシア産ココアバター+25%乳脂肪;及び(f)マレーシア産ココアバター。ココアバター及びココアバター乳脂肪の値は文献値である(Bailey’s Industrial Oils and Fat Products,6th ed.)。
大豆メチルエステル対照サンプルと比較した、従属栄養成長させた油産生微細藻類から調製した高オレイン酸(HO)及び高安定性高オレイン酸(HSAO)トリグリセリド油から調製したメチル化油に対して行った熱安定性試験の結果を示す。
高オレイン酸及び高安定性高オレイン酸藻類油の様々な特性を示す。
フラスコ及び発酵槽バイオマスからのS4495油、S5665油及びS5675油のTAG組成を示す。La=ラウリン酸塩(C12:0)、M=ミリスチン酸塩(C14:0)、P=パルミチン酸塩(C16:0)、Po=パルミトレイン酸塩(C16:1)、S=ステアリン酸塩(C18:0)、O=オレイン酸塩(C18:1)、L=リノール酸塩(C18:2)、Ln=α−リノレン酸塩(C18:3)、A=アラキジン酸塩(C20:0)、B=ベヘン酸塩(C22:0)、Lg=リグノセリン酸塩(C24:0)、Hx=ヘキサコサン酸塩(C26:0) S−S−Sは、3つ全ての脂肪酸が飽和しているTAGの合計を指す。バーの各ブロックにおいて、株は図の下部に示す順序で示される。
振盪フラスコバイオマスからのS5774油、S5775油及びS5776油のTAG組成を示す。La=ラウリン酸塩(C12:0)、M=ミリスチン酸塩(C14:0)、P=パルミチン酸塩(C16:0)、Po=パルミトレイン酸塩(C16:1)、S=ステアリン酸塩(C18:0)、O=オレイン酸塩(C18:1)、L=リノール酸塩(C18:2)、Ln=α−リノレン酸塩(C18:3)、A=アラキジン酸塩(C20:0)、B=ベヘン酸塩(C22:0)、Lg=リグノセリン酸塩(C24:0)、Hx=ヘキサコサン酸塩(C26:0)。S−S−Sは、3つ全ての脂肪酸が飽和しているTAGの合計を指す。バーの各ブロックにおいて、株は図の下部に示す順序で示される。
実施例52で考察するとおりの遺伝子操作されたPrototheca morformis株からの精製、漂白及び脱臭した(deoderized)ミリスチン酸リッチな油の脂肪酸プロフィール及び固形脂肪含有量を示す。
株Zで発現した異種FAEタンパク質のペアワイズアラインメントを示す。

0051

I.定義
対立遺伝子」は、一つの形質又は特徴に関連する、ある遺伝子の1つ以上の代替的形態のいずれかである。

0052

「天然油」又は「天然脂肪」は、生物から得られる主にトリグリセリドの油を意味するものとし、ここでこの油は、トリグリセリドの脂肪酸プロフィールを実質的に変えるような別の天然油若しくは合成油とのブレンド、又は分画を受けていない。特定の位置特異性のトリグリセリドを含む油に関連して、天然油又は天然脂肪は、当該の位置特異的トリグリセリドプロフィールを得るためのエステル交換又は他の合成プロセスに供されておらず、むしろ位置特異性は、細胞又は細胞集団によって自然に生じる。天然油又は天然脂肪に関連して、及び概して本開示全体を通じて使用されるとき、油及び脂肪という用語は、特に注記される場合を除き同義的に使用される。従って、「油」又は「脂肪」は、物質の組成及び他の条件に応じて、室温で液体固体、又は一部固体であってよい。ここで、用語「分画」は、その生物によって産生されるプロフィールと比べて油の脂肪酸プロフィールを変化させるものの、しかしながら完成した形で油から材料を取り除くことを意味する。用語「天然油」及び「天然脂肪」は、生物から得られるかかる油を包含し、ここで油は、精製、漂白及び/又は脱ガムを含めた、そのトリグリセリドプロフィールを実質的に変化させることのない最小限の処理を受けている。天然油はまた、「非エステル交換天然油」であってもよく、これは、脂肪酸がグリセロールに対するそのアシル結合において再配置されたプロセスをその天然油が受けておらず、生物から回収したときと本質的に同じ立体配置のままであることを意味する。

0053

「外来遺伝子」は、細胞に(例えば形質転換トランスフェクションによって)導入されたRNA及び/又はタンパク質の発現をコードする核酸を意味するものとし、「導入遺伝子」とも称される。外来遺伝子を含む細胞は、組換え細胞と称することができ、そこにさらなる外来遺伝子が導入され得る。外来遺伝子は、形質転換される細胞と異なる種由来(従って異種)であってもよく、又は同じ種由来(従って同種)であってもよい。このように、外来遺伝子には、遺伝子の内在性コピーと比べて細胞のゲノムにおいて異なる位置を占めるか、又は異なる制御下にある同種遺伝子が含まれ得る。外来遺伝子は細胞に2つ以上のコピーで存在してもよい。外来遺伝子は、ゲノム(核又はプラスチド)への挿入として、又はエピソーム分子として細胞に維持され得る。

0054

「脂肪酸」は、グリセロ脂質中の遊離脂肪酸脂肪酸塩、又は脂肪酸アシル部分を意味するものとする。グリセロ脂質の脂肪酸アシル基は、トリグリセリドが加水分解又は鹸化されるときに生成されるカルボン酸又はカルボン酸の陰イオンの観点で記載され得ることが理解されるであろう。

0055

固定炭素源」は、炭素を含有する分子、典型的には有機分子であり、そこで培養される微生物によって利用され得る培養培地中に周囲温度及び圧力で固体又は液体の形態で存在する。従って、二酸化炭素は固定炭素源ではない。

0056

「作動可能に連結している」は、制御配列(典型的にはプロモーター)及び連結された配列(典型的にはタンパク質をコードする配列、コード配列とも称される)など、2つの核酸配列間の機能的な連結である。プロモーターは、それが遺伝子の転写仲介することができる場合、外来遺伝子と作動可能に連結している。

0057

「微細藻類」は、葉緑体又は他のプラスチドを含有する、場合により光合成を行うことが可能な微生物、又は光合成を行うことが可能な原核微生物である。微細藻類には、固定炭素源をエネルギーとして代謝することができない偏性光独立栄養生物、並びに唯一固定炭素源で生存し得る従属栄養生物が含まれる。微細藻類には、Chlamydomonasなどの、細胞分裂直後に姉妹細胞から分離する単細胞生物、並びに、例えばVolvoxなどの、2つの別個細胞型の単純な多細胞光合成微生物である微生物が含まれる。微細藻類には、Chlorella、Dunaliella、及びProtothecaなどの細胞が含まれる。微細藻類にはまた、Agmenellum、Anabaena、及びPyrobotrysなどの細胞間接着を呈する他の光合成微生物も含まれる。微細藻類はにまた、特定の渦鞭毛藻類種及びPrototheca属の種など、光合成を行う能力を失った偏性従属栄養微生物も含まれる。

0058

組換え細胞に関連して、用語ノックダウンは、遺伝子によりコードされるタンパク質の産生又は活性の点で部分的に(例えば約1〜95%)抑制されている遺伝子を指す。

0059

また、組換え細胞に関連して、用語ノックアウトは、遺伝子によりコードされるタンパク質の産生又は活性の点で完全に又はほぼ完全に(例えば>95%)抑制されている遺伝子を指す。ノックアウトは、コード配列への非コード配列の相同組換え遺伝子欠失突然変異又は他の方法により調製することができる。

0060

「油産生」細胞は、天然に、又は組換えの若しくは古典的な株改良によって、乾燥細胞重量基準で少なくとも20%の脂質を産生する能力を有する細胞である。「油産生微生物(microbe)」又は「油産生微生物(microorganism)」は、微細藻を含め、油産生性の微生物である。油産生細胞はまた、その脂質又は他の含有分の一部又は全てが取り除かれた細胞、並びに生細胞及び死細胞のいずれも包含する。

0061

規則性油(ordered oil)」又は「規則性脂肪(ordered fat)」は、主として所与多形構造である結晶を形成するものである。例えば、規則性油又は規則性脂肪は、50%、60%、70%、80%、又は90%超がβ又はβ’多形形態である結晶を有し得る。

0062

天然油に関連して、「プロフィール」は、油中の特定の種又はトリグリセリド又は脂肪酸アシル基の分布である。「脂肪酸プロフィール」は、グリセロール骨格との結合に関係なく、油のトリグリセリド中の脂肪酸アシル基の分布である。脂肪酸プロフィールは、典型的には、脂肪酸メチルエステル(FAME)への変換と、続く水素炎イオン化検出(FID)によるガスクロマトグラフィー(GC)分析によって決定される。脂肪酸プロフィールは、ある脂肪酸の曲線下面積から求めた全脂肪酸シグナルに対する当該の脂肪酸の1つ以上の百分率として表すことができる。FAME−GC−FID計測値は、脂肪酸の重量百分率概算する。「sn−2プロフィール」は、油中のトリアシルグリセリドのsn−2位に見られる脂肪酸の分布である。「位置特異的プロフィール」は、立体特異性に関係なく、グリセロール骨格に対するアシル基結合の位置に関するトリグリセリドの分布である。換言すれば、位置特異的プロフィールは、sn−1/3と、対するsn−2とにおけるアシル基結合を表す。従って、位置特異的プロフィールでは、POS(パルミチン酸塩−オレイン酸塩−ステアリン酸塩)及びSOP(ステアリン酸塩−オレイン酸塩−パルミチン酸塩)は同じものとして扱われる。「立体特異的プロフィール」は、sn−1、sn−2及びsn−3におけるアシル基の結合を表す。特に指示されない限り、SOP及びPOSなどのトリグリセリドは同等と見なされる。「TAGプロフィール」は、結合の位置特異的な性質に関係なく、グリセロール骨格との結合に関してトリグリセリドに見られる脂肪酸の分布である。従って、TAGプロフィールでは、油中のSSOの百分率はSSOとSOSとの合計であり、一方、位置特異的プロフィールでは、油中のSOS種を含めない、SSOの百分率が計算される。FAME−GC−FID分析の重量百分率と対照的に、トリグリセリドの割合は、典型的にはモル百分率、すなわちTAG混合物中における所与のTAG分子の百分率として提供される。

0063

「組換え」は、外来核酸の導入又は天然核酸の変化によって改変された細胞、核酸、タンパク質又はベクターである。従って、例えば、組換え細胞は、天然(非組換え)形態の細胞中には見られない遺伝子を発現し、又は当該の遺伝子が非組換え細胞によって発現する場合とは異なる形で天然遺伝子を発現することができる。組換え細胞には、限定なしに、遺伝子産物をコードするか、又は細胞中の活性遺伝子産物レベルを低下させる抑制エレメント、例えば突然変異、ノックアウト、アンチセンス干渉性RNA(RNAi)又はdsRNAをコードする組換え核酸が含まれ得る。「組換え核酸」は、概して、例えばポリメラーゼリガーゼエキソヌクレアーゼ、及びエンドヌクレアーゼを使用した、化学合成を使用した核酸の操作により、当初インビトロで形成される核酸であるか、又はその他の天然では通常見られない形態である。組換え核酸は、例えば、2つ以上の核酸を作動可能に連結した状態に置くために作製されてもよい。従って、天然では通常つながっていないDNA分子ライゲートすることによりインビトロで形成される単離核酸又は発現ベクターは、両方とも、本発明の目的上組換えと見なされる。組換え核酸は、それを作製して宿主細胞又は生物に導入した後、宿主細胞のインビボ細胞機構を用いて複製し得る;しかしながら、かかる核酸は組換え産生後、続いて細胞内で複製されるが、それでもなお本発明の目的上組換えと見なされる。同様に、「組換えタンパク質」は、組換え技術を用いて、すなわち組換え核酸の発現によって作製されたタンパク質である。

0064

用語「トリグリセリド」、「トリアシルグリセリド」及び「TAG」は、当該技術分野において周知されているとおり同義的に使用される。

0065

II.概要
本発明の例示的な実施形態は、グリセロ脂質における変化した脂肪酸プロフィール及び/又は変化した脂肪酸位置特異的分布を生じる油産生細胞、及びその細胞から生成される製品を特徴とする。油産生細胞の例としては、プラスチド油産生細胞、例えば油産生藻類のものを含めた、II型脂肪酸生合成経路を有する微生物細胞が挙げられる。細胞の具体的な例としては、Chlorophtya門、Trebouxiophytae、Chlorellales目、又はChlorellacae科の従属栄養又は偏性従属栄養(heterotophic)微細藻類が挙げられる。油産生微細藻類の例はまた、国際公開第2008/151149号パンフレット、国際公開第2010/06032号パンフレット、国際公開第2011/150410号パンフレット、及び国際公開第2011/150411号パンフレットにも提供され、偏性従属栄養生物を含む属であるChlorella及びProtothecaの種が含まれる。油産生細胞は、例えば、細胞重量基準で25、30、40、50、60、70、80、85、又は約90%±5%の油を産生する能力を有し得る。場合により、産生される油は、高度不飽和脂肪酸、例えばDHA又はEPA脂肪酸が低くてもよい。例えば、油は、5%、2%、又は1%未満のDHA及び/又はEPAを含み得る。上述の公報はまた、かかる細胞を培養して油を、特に微細藻類細胞から抽出する方法も開示している;かかる方法は本明細書に開示される細胞に適用することができ、これらの教示について参照により援用される。微細藻類細胞が使用される場合、微細藻類細胞は独立栄養で培養するか(偏性従属栄養生物でない限り)又は暗所で糖(例えば、グルコースフルクトース及び/又はショ糖)を使用して培養することができる。本明細書に記載される任意の実施形態において、細胞は、細胞によるショ糖原料からの油の産生を可能にするための外来性インベルターゼ遺伝子を含む従属栄養細胞であってもよい。それに代えて、又は加えて、細胞はセルロース系原料からキシロースを代謝してもよい。例えば、活性キシロース輸送体キシルロース−5−リン酸輸送体キシロースイソメラーゼキシルキナーゼキシリトールデヒドロゲナーゼ及びキシロースレダクターゼをコードする遺伝子など、1つ以上のキシロース代謝遺伝子を発現するように細胞を遺伝子操作することができる。2012年11月15日に公開された国際公開第2012/154626号パンフレット、「GENETICALLY ENGINEEREDMICROORGANISMS THAT METABOLIZE XYLOSE」を参照のこと。

0066

油産生細胞は、脂肪酸生合成酵素をコードする1つ以上の外来遺伝子を発現する。結果として、一部の実施形態は、非植物油又は非種子油からは得ることができなかった、又は決して得ることのできない天然油を特徴とする。

0067

油産生細胞は貯蔵油を産生し、貯蔵油は主としてトリアシルグリセリドであり、細胞の貯蔵体に貯蔵され得る。生油は、細胞から、細胞を破壊して油を分離することにより得られ得る。国際公開第2008/151149号パンフレット、国際公開第2010/06032号パンフレット、国際公開第2011/150410号パンフレット、及び国際公開第2011/1504号パンフレットが、従属栄養培養及び油分離技術を開示している。例えば、細胞を提供又は培養し、乾燥させてプレスすることにより、油を得ることができる。生成された油は、当該技術分野において公知のとおり、又は国際公開第2010/120939号パンフレットに記載されるとおり、精製、漂白、及び脱臭(RBD)され得る。この生油又はRBD油は、様々な食品、化学及び工業製品又はプロセスに使用され得る。油の回収後には、価値のある残渣バイオマスが残る。残渣バイオマスの使用には、紙、プラスチック吸収剤吸着剤掘削液の製造、動物用飼料として、人間の栄養用、又は肥料用が含まれる。

0068

トリグリセリド(「トリアシルグリセリド」又は「TAG」とも称される)細胞油の脂肪酸プロフィールが本明細書に提供される場合、それは、細胞から抽出した貯蔵油の非分画サンプルを、リン脂質が除去された条件下で分析するか、又はリン脂質の脂肪酸に対して実質的に感度のない分析方法で(例えばクロマトグラフィー及び質量分析法を使用して)分析したものを指すことが理解されるであろう。油はRBDプロセスに供してリン脂質、遊離脂肪酸及び匂いを除去してもよく、しかし油中のトリグリセリドの脂肪酸プロフィールの変化はごく僅か又は無視し得る程度である。細胞は油を産生するため、ある場合には、貯蔵油が細胞における全TAGの大部分を占めることになる。以下の実施例1、2、及び8は、TAG脂肪酸組成及び位置特異的構造を決定するための分析法を提供する。

0069

大別すると、本発明の特定の実施形態は、(i)特定の脂肪酸の栄養要求株;(ii)不飽和脂肪酸要求性の細胞を含めた、低濃度の多価不飽和脂肪酸を有する油を産生する細胞;(iii)脂肪酸をグリセロール又はグリセロールエステル転移させる酵素をコードする1つ以上の外来遺伝子の発現に起因して、高濃度の特定の脂肪酸を有する油を産生する細胞;(iv)位置特異的な油を産生する細胞、及び(v)Cuphea PSR23由来のLPAAT酵素をコードする新しく発見された遺伝子をコードする遺伝子構築物又は細胞(実施例43を参照)を含む。これらの実施形態はまた、かかる細胞によって作られる油、油抽出後のかかる細胞からの残渣バイオマス、そうした油から作られる油脂化学品(olecochemicals)、燃料及び食品並びに細胞の培養方法も包含する。

0070

以下の任意の実施形態において、使用される細胞は、場合により、Chlorophyta、Trebouxiophyceae、Chlorellales、Chlorellaceae、又はChlorophyceaeに分類される細胞を含めた、従属栄養又は偏性従属栄養微細藻類細胞を含む微細藻類細胞などのII型脂肪酸生合成経路を有する細胞であるか、又は合成生物学のツールを使用してII型脂肪酸生合成経路を有するように操作された細胞(すなわち、かかる経路欠く生物にII型脂肪酸生合成の遺伝機構を移植する)である。特定の実施形態において、細胞は、Prototheca moriformis種、Prototheca krugani種、Prototheca stagnora種又はPrototheca zopfii種の細胞であるか、又は配列番号76と少なくとも65、70、75、80、85、90又は95%のヌクレオチド同一性を有する23SrRNA配列を有する。暗所で培養するか又は偏性従属栄養生物を使用することにより、産生される天然油はクロロフィル又は他の色素が低下し得る。例えば、天然油は、実質的な精製なしに100、50、10、5、1、0.0.5ppm未満のクロロフィルを有し得る。

0071

安定炭素同位体値δ13Cは、標準(例えばPDB、サウスカロライナ州のPeedee層からのBelemnite americanaの化石骨格カーボイト)に対する13C/12Cの比の表現である。油の安定炭素同位体値δ13C(0/00)は、使用される供給原料のδ13C値に関係し得る。一部の実施形態では、油は、トウモロコシ又はサトウキビなどのC4植物に由来する糖上で従属栄養成長させた油産生生物から得られる。一部の実施形態では、油のδ13C(0/00)は、−10〜−170/00又は−13〜−160/00である。

0072

以下に考察する特定の実施形態及び例において、1つ以上の脂肪酸合成遺伝子(例えば、アシル−ACPチオエステラーゼ、ケト−アシルACPシンターゼ、LPAAT、ステアロイルACPデサチュラーゼ、又は本明細書に記載される他のものをコードする)は、微細藻に組み込まれる。特定の微細藻について、植物脂肪酸合成遺伝子産物は、その遺伝子産物がアシル−ACPチオエステラーゼなどの、機能するのにACPの結合を要求する酵素である場合にも、対応する植物アシルキャリアータンパク質(ACP)の非存在下で機能し得ることが分かっている。従って、場合により微細藻類細胞は、植物ACP遺伝子共発現なしにかかる遺伝子を利用して所望の油を作り得る。

0073

III.脂肪酸栄養要求株/油産生期間中の成長阻害条件に対する脂肪酸レベルの低下
ある実施形態では、細胞は、脂質経路遺伝子の全ての対立遺伝子がノックアウトされるように遺伝子操作される。或いは、脂肪酸の補足を要求するように、それらの対立遺伝子の遺伝子産物の量又は活性がノックダウンされる。遺伝子の対立遺伝子の1つ以上と相同ドナー配列を有する第1の形質転換構築物を作成することができる。この第1の形質転換構築物が導入され、続く選択方法により、1つ以上の対立遺伝子破壊を特徴とする分離株が得られ得る。或いは、第1の対立遺伝子への挿入により第1の対立遺伝子を不活性化する選択可能なマーカーを発現するように操作された第1の株を作製してもよい。この株は、脂質経路遺伝子の残りの対立遺伝子をノックアウト又はノックダウンするさらに別の遺伝子操作のための宿主として使用することができる。当初活性を消失させた内在性遺伝子を有するさらなる形質転換構築物の操作された発現によって、又は好適な異種遺伝子の発現によって、内在性遺伝子の補足を実現することができる。補足遺伝子の発現は、構成的に調節されても、或いは調節可能な制御によって調節されてもよく、それにより成長を可能にし、又は任意に栄養要求条件を作り出すための所望のレベルに至る発現の調整が可能となる。ある実施形態では、脂肪酸要求細胞の集団を使用して補足遺伝子が、例えば外因性脂肪酸合成酵素に対する特定の遺伝子候補、又はかかる候補を含むと考えられる核酸ライブラリによる形質転換により、スクリーニング又は選択される。

0074

所望の遺伝子の全ての対立遺伝子のノックアウト及びノックアウトした遺伝子の補足は、順次行われる必要はない。目的の内在性遺伝子の破壊及び好適な補足遺伝子の構成的発現又は誘導性発現のいずれかによるその補足は、いくつかの方法で行うことができる。一つの方法では、これは好適な構築物の同時形質転換によって実現することができ、1つが目的の遺伝子を破壊し、2つ目が好適な代替遺伝子座に補足を提供する。別の方法では、誘導性プロモーターの制御下で標的遺伝子を好適な遺伝子に直接置き換えることにより、標的遺伝子の消失を生じさせることができる。このようにして、ここで標的遺伝子の発現が調節可能なプロモーターの制御下に置かれる。さらなる手法は、遺伝子の内在性調節エレメントを外来性の誘導性遺伝子発現系に置き換えることである。かかるレジーム下では、ここで目的の遺伝子を、特定の必要性に応じてオン又はオフ切り換えることができる。さらに別の方法は、目的の遺伝子の補足能を有する外来遺伝子を発現する第1の株を作成し、次にこの第1の株における目的の遺伝子の全ての対立遺伝子をノックアウト又はノックダウンすることである。外来遺伝子による複数の対立遺伝子のノックダウン又はノックアウト及び補足手法を使用して、操作される細胞の脂肪酸プロフィール、位置特異的プロフィール、sn−2プロフィール、又はTAGプロフィールを変えてもよい。

0075

特定の実施形態において、組換え細胞は、内因性アシル−ACPチオエステラーゼ;例えば長さC18の脂肪酸アシル−ACP鎖(例えば、ステアリン酸塩(C18:0)又はオレイン酸塩(C18:1)、又はC8:0〜C16:0脂肪酸の加水分解に対して選択性を有するFatA又はFatBアシル−ACPチオエステラーゼの活性を低下させる働きをする核酸を含む。内因性アシル−ACPチオエステラーゼの活性は、ノックアウト又はノックダウン手法により低下させ得る。ノックダウンは、1つ以上のRNAヘアピン構築物の使用によるか、プロモーターハイジャック法(低活性又は誘導性プロモーターを内在性遺伝子の天然プロモーターに代える置換)によるか、又は誘導性プロモーターの制御下にある同様の又は同一の遺伝子の導入と組み合わせた遺伝子ノックアウトにより実現され得る。実施例34は、Prototheca株の操作を記載しており、ここでは内因性脂肪酸アシル−ACPチオエステラーゼ(FATA1)の2つの対立遺伝子がノックアウトされている。Prototheca moriformis FATA1の活性が、外因性チオエステラーゼの発現によって補足された。実施例36は、ProtothecaにおけるFATA1の発現を低下させるRNAヘアピン構築物の使用について詳述する。

0076

従って、油産生細胞は、II型脂肪酸生合成経路を有する生物のものを含め、脂肪酸の補給又は遺伝的補足の非存在下における細胞の生存能力を消失させるか又は厳しく制限する程度に至るまでの、対立遺伝子をコードするアシル−ACP−チオエステラーゼのノックアウト又はノックダウンを有することができる。このような株を使用して、アシル−ACP−チオエステラーゼ導入遺伝子を発現する形質転換体を選択することができる。それに代えて、又は加えて、この株を使用して外因性アシル−ACP−チオエステラーゼを完全に移し替え、かかる細胞によって産生される天然油の劇的に異なる脂肪酸プロフィールを提供することができる。例えば、FATA発現を完全に又はほぼ完全に消失させ、中鎖脂肪酸を産生するFATB遺伝子に置き換えることができる。特定の実施形態において、このような形質転換体は、50、60、70、80、又は90%超のカプリル酸カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、又はパルミチン酸、又は18炭素未満鎖長の全脂肪酸を有する天然油を産生する。かかる細胞は、ステアリン酸又はオレイン酸などのより長鎖の脂肪酸の補給、又はFatA遺伝子を調節する誘導性プロモーターの場合には成長許容的な状態と成長制限的な状態との間での環境条件の切り替えを必要とし得る。

0077

ある実施形態では、油産生細胞は培養される。細胞は、1種以上の脂肪酸に関して完全に栄養要求性であるか又は部分的に栄養要求性(すなわち、致死性又は合成病(lethality or synthetic sickness))である。細胞数を増やすため、脂肪酸を補給して細胞を培養し、次に細胞に油を蓄積させる(例えば乾燥細胞重量基準で少なくとも40%まで)。或いは、細胞が、環境条件に基づき活性を切り替えることのできる調節可能な脂肪酸合成遺伝子を含み、第1の細胞分裂期間における環境条件が脂肪酸の産生に有利であり、且つ第2の油蓄積期間における環境条件が脂肪酸の産生に不利である。誘導性遺伝子の場合、その誘導性遺伝子の調節は、限定なしに環境pHによって(例えば、実施例に記載されるとおりのAMT3プロモーターを使用することにより)媒介され得る。

0078

これらの補給又は調節方法のいずれかを適用する結果として、最適な細胞増殖に必須の1つ以上の脂肪酸の量が少ない細胞から細胞油が得られ得る。得ることのできる油の具体的な例としては、ステアリン酸、リノール酸及び/又はリノレン酸が低いものが挙げられる。

0079

これらの細胞及び方法は、低多価不飽和油に関連してこの直後の章に及び実施例6(脂肪酸デサチュラーゼ要求株)に多価不飽和脂肪酸が低い油に関連して及び実施例34(アシル−ACPチオエステラーゼ要求株)に例示される。

0080

同様に、脂肪酸要求株は、SAD、FAD、KASIII、KASI、KASII、KCS、エロンガーゼ、GPAT、LPAAT、DGAT又はAGPAT又はPAPをコードするものを含め、他の脂肪酸合成遺伝子において作製することができる。これらの栄養要求株を使用して補足遺伝子を選択し、又はそれらの遺伝子の天然発現を消失させて所望の外来遺伝子に有利になるようにして、油産生細胞により産生される天然油の脂肪酸プロフィール、位置特異的プロフィール、又はTAGプロフィールを変えることもできる。

0081

従って、本発明のある実施形態には、油/脂肪の生成方法がある。この方法は、ある脂肪酸が存在することにより細胞数を増加させるための細胞分裂に対して許容的な第1の一連の条件下にある成長期間に組換え油産生細胞を培養する工程と、細胞分裂に対して制限的な、しかしその脂肪酸が欠乏している油の産生に対しては許容的な第2の一連の条件下にある油産生期間に細胞を培養する工程と、細胞から油を抽出する工程とを含み、ここで細胞は、脂肪酸合成酵素の活性を抑制する働きをする突然変異又は外来核酸を有し、その酵素は場合によりステアロイル−ACPデサチュラーゼ、デルタ12脂肪酸デサチュラーゼ、又はケトアシル−ACPシンターゼである。細胞により産生される油は、脂肪酸が少なくとも50、60、70、80、又は90%欠乏していてもよい。細胞は従属栄養培養することができる。細胞は、従属栄養培養又は独立栄養培養される微細藻類細胞であってよく、乾燥細胞重量基準で少なくとも40、50、60、70、80、又は90%の油を産生し得る。

0082

IV.低多価不飽和天然油
本発明の実施形態において、細胞により産生される天然油は、極めて低濃度の多価不飽和脂肪酸を有する。結果として、天然油は、酸化安定性を含めた安定性の向上を備え得る。天然油は、下述する位置特異的又は立体特異的な(stererospecific)油、高ステアリン酸油、又は高中鎖油を含め、室温で液体又は固体であっても、又は液体油固体油とのブレンドであってもよい。酸化安定性は、規定の温度でAOCS Cd 12b−92標準試験を使用したランシマット方法により計測することができる。例えば、OSI(酸化安定性指数試験を110℃〜140℃の温度で実行することができる。油は、1つ以上の脂肪酸デサチュラーゼの活性が低下するように遺伝子操作された細胞(例えば、上記又は本明細書の他の部分で言及しているプラスチド微生物細胞のいずれか)を培養することにより生成される。例えば、細胞は、オレイン酸(18:1)からリノール酸(18:2)への変換に関与する1つ以上の脂肪酸アシルΔ12デサチュラーゼ及び/又はリノール酸(18:2)からリノレン酸(18:3)への変換に関与する1つ以上の脂肪酸アシルΔ15デサチュラーゼの活性が低下するように遺伝子操作されてもよい。コード領域又は調節領域にあるデサチュラーゼをコードする遺伝子の1つ以上の対立遺伝子のノックアウト又は突然変異、RNAi、siRNA、miRNA、dsRNA、アンチセンス、及びヘアピンRNA技術を含めた、RNA転写、又は酵素の翻訳の阻害を含め、様々な方法を使用してデサチュラーゼを阻害することができる。阻害タンパク質又はデサチュラーゼに特異的な他の物質を産生する外来遺伝子の導入を含め、当該技術分野において公知の他の技法もまた用いることができる。

0083

特定の実施形態において、細胞における脂肪酸デサチュラーゼ(例えば、Δ12脂肪酸デサチュラーゼ)活性は、細胞を培養できないか又は培養することが困難になる(例えば、細胞分裂速度が10、20、30、40、50、60、70、80、90、95、97又は99%より大きく低下する)ような程度まで減少させる。かかる条件の実現は、デサチュラーゼの複数の遺伝子コピー(例えば2、3、4個又はそれを超える)又はそれらの遺伝子産物の活性のノックアウト、又は有効な抑制を伴い得る。特定の実施形態は、細胞数を増加させるため脂肪酸又は脂肪酸混合物を補給した完全な又は部分的な脂肪酸要求株の細胞培養での培養と、次に細胞に油を(例えば細胞重量基準で少なくとも40%まで)蓄積させることを含む。或いは、細胞は、活性を切り替えることのできる調節可能な脂肪酸合成遺伝子を含む。例えば、調節は環境条件に基づくことができ、第1の細胞分裂期間における環境条件が脂肪酸の産生に有利であり、且つ第2の油蓄積期間における環境条件が油の産生に不利である。例えば、培養培地pHを環境制御として使用して脂質経路遺伝子の発現を切り替え、合成酵素活性が高い又は低い状態を生じさせることができる。かかる細胞の例が実施例7に記載される。

0084

特定の実施形態では、細胞内のリノール酸濃度の調節を用いて細胞が培養される。詳細には、リノール酸が存在するために細胞数の増加に許容的な第1の条件下で細胞を培養し、次にリノール酸飢餓により特徴付けられる、従って細胞分裂に対して抑制的な、しかし油の蓄積には許容的な第2の条件下で細胞を培養することにより天然油が産生される。例えば、培養培地に添加したリノール酸の存在下で細胞のシード培養物が作られてもよい。例えば、脂肪酸アシルΔ12デサチュラーゼの2つの対立遺伝子を消失させたためにリノール酸産生を欠くPrototheca株(すなわちリノール酸要求株)のシード培養物に対し、0.25g/Lになるようなリノール酸の添加が、の細胞分裂を野生型細胞と同等のレベルに支持するのに十分であった。場合により、次にリノール酸を細胞に消費させるか、又は他の方法で除去又は希釈してもよい。次に細胞は油産生期間に切り替えられる(例えば、国際公開第2010/063032号パンフレットに記載されるとおり窒素制限条件下で糖を供給する)。意外にも、油の産生はリノール酸産生又は補給の非存在下であっても起こることが認められており、これは偏性従属栄養生物の油産生微細藻類Protothecaで実証されるとおりであるが、しかし概して他の油産生微細藻類、微生物、又はさらには多細胞生物(例えば、培養植物細胞)に適用可能である。これらの条件下で、細胞の含油量は、乾燥細胞重量基準で約10、20、30、40、50、60、70、80、90%又はそれを超えるまで増加し得る一方、産生される油は、油中の合計トリアシルグリセロール脂肪酸に対する百分率として、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.3%、0.2%、0.1%、0.05%又はそれ以下の多価不飽和脂肪酸(例えば;リノール酸+リノレン酸)プロフィールを有し得る。例えば、細胞の含油量が乾燥細胞重量基準で50%又はそれを超え、産生される油のトリグリセリド(trglyceride)が3%未満の多価不飽和脂肪酸であってもよい。

0085

これらの油はまた、リノール酸を(但し主に又は専ら細胞分裂期間に)産生する細胞機構を使用することにより、培養物にリノール酸を補給する必要性なしに(又は必要性が低下して)産生されてもよい。リノール酸を産生する細胞機構は、油産生期間に実質的に少ないリノール酸を産生するように調節可能であり得る。この調節は、デサチュラーゼ遺伝子の転写の調節により得る。例えば、脂肪酸Δ12デサチュラーゼ活性の大部分、好ましくは全てを、細胞分裂期間はデサチュラーゼを発現するが油蓄積期間中はそれが低下し又は消失するように調節された調節可能なプロモーター下に置くことができる。この調節は、本明細書の例に記載されるとおり、pH、及び/又は窒素濃度などの細胞培養条件、又は他の環境条件と関係付けることができる。実際には、条件は、物質(例えば、酸又は塩基の添加によるプロトン)を添加若しくは除去するか、又は細胞に物質(例えば、窒素供給栄養素)を消費させて、デサチュラーゼ(destaurase)活性の調節に所望の切り替えを生じさせることにより操作され得る。

0086

デサチュラーゼ活性を調節するための他の遺伝的又は非遺伝的方法もまた用いることができる。例えば、油産生期間における多価不飽和脂肪酸の産生を阻害するのに有効な方法で培養培地にデサチュラーゼの阻害薬を添加することができる。

0087

従って、本発明の特定の実施形態には、環境条件による組換え調節エレメントの制御下にある、調節可能なデルタ12脂肪酸デサチュラーゼ遺伝子を有する組換え細胞を提供する工程を含む方法がある。細胞は、細胞増殖に有利な条件下で培養される。所与の細胞密度に達したところで細胞培地が変更され、細胞が栄養制限(例えば利用可能な窒素の減少)によって脂質産生モードに切り替えられる。脂質産生期間の間は、デルタ12脂肪酸デサチュラーゼの活性が下方調節されるような環境条件である。次に細胞が回収され、場合により油が抽出される。脂質産生期間はデルタ12脂肪酸デサチュラーゼが低レベルであるため、油は多価不飽和脂肪酸が少なくなり、酸化安定性が向上する。場合により、細胞は従属栄養培養され、場合により微細藻類細胞である。

0088

これらのデサチュラーゼ調節方法の1つ以上を用いると、特にバイオリアクター(例えば1000L超)における大規模培養ではこれまで得ることができなかったと考えらる天然油を得ることが可能となる。油は、油中の合計トリアシルグリセロール脂肪酸の面積パーセントとして、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.3%、0.2%、又はそれ以下の多価不飽和脂肪酸レベルを有し得る。

0089

かかる低レベルの多価不飽和物を有することの一つの帰結は、油が酸化に対して極めて安定することである。実際、ある場合に油は、これまでに知られているどの天然細胞油と比べても高い安定性を有し得る。特定の実施形態では、油は抗酸化剤の添加なしに、110℃で、AOCS Cd 12b−92.ランシマット試験条件下10時間、15時間、20時間、30時間、40時間、50時間、60時間、又は70時間までに未だ電気伝導度の変曲点に達しない安定性を有する。極めて安定した油について、かかる試験では、かかる長い試験期間により蒸発が起こるため、水の補充が必要となり得ることが注記される(実施例5を参照のこと)。例えば油は、抗酸化剤の添加なしに110℃で40〜50時間又は41〜46時間のOSI値を有し得る。抗酸化剤(食品に好適なもの等)が添加される場合、計測されるOSI値はさらに高くなり得る。例えば、トコフェロール(100ppm)及びパルミチン酸アスコルビル(500ppm)又はPANA及びパルミチン酸アスコルビルを添加すると、かかる油は、ランシマット試験により計測したとき、110℃で100又は200時間を超える酸化安定性指数(OSI値)を有し得る。別の例において、1050ppmの混合トコフェロール及び500pmのパルミチン酸アスコルビルを、1%未満のリノール酸又は1%未満のリノール酸+リノレン酸を含む油に添加する;結果として、この油は110℃で1、2、3、4、5、6、7、8、又は9、10、11、12、13、14、15、又は16、20、30、40又は50日、5〜15日、6〜14日、7〜13日、8〜12日、9〜11日、約10日、又は約20日間安定である。油はまた、130℃で1、2、3、4、5、6、7、8、又は9、10、11、12、13、14、15、又は16、20、30、40又は50日、5〜15日、6〜14日、7〜13日、8〜12日、9〜11日、約10日、又は約20日間安定であり得る。特定の例では、かかる油は、100時間を超えて(観察時約128時間)安定であることが認められた。さらなる実施形態において、抗酸化剤を添加しない天然油の120℃でのOSI値は15時間又は20時間より長く、又は10〜15、15〜20、20〜25、又は25〜50時間、又は50〜100時間の範囲である。

0090

ある例では、これらの方法を用いると、微細藻類細胞の含油量は乾燥細胞重量基準で40〜約85%であり、油の脂肪酸プロフィールにおける多価不飽和脂肪酸は油の脂肪酸プロフィールの0.001%〜3%であり、場合により抗酸化剤の添加なしに110℃で少なくとも20時間のOSI誘導時間を有する天然油を生じる。さらに別の例には、油産生細胞由来の天然油のRBD処理により生成される天然油があり、この油は0.001%〜2%の多価不飽和脂肪酸を含み、抗酸化剤の添加なしに110℃で30時間を超えるOSI誘導時間を有する。さらに別の例には、油産生細胞由来の天然油のRBD処理により産生される天然油があり、この油は0.001%〜1%の多価不飽和脂肪酸を含み、抗酸化剤の添加なしに110℃で30時間を超えるOSI誘導時間を有する。

0091

別の特定の実施形態には、上述の方法によって生成される多価不飽和(polyusaturate)度が低下した油がある。この油は、PANA及びパルミチン酸アスコルビルなどの抗酸化剤と組み合わされる。例えば、かかる油を0.5%のPANA及び500ppmのパルミチン酸アスコルビルと組み合わせると、油が130℃で約5日又は110℃で21日のOSI値を有したことが認められた。これらの注目に値する結果は、この油が極めて安定しているのみならず、これらの2つの抗酸化剤がトリグリセリド油の極めて強力な安定化剤であり、これらの抗酸化剤の組み合わせが、安定な生分解性潤滑剤(例えば、ジェットエンジン潤滑剤)の製造における適用性を含め、普遍的な適用性を有し得ることを示唆している。特定の実施形態において、脂肪酸アシルΔ12デサチュラーゼの遺伝子操作により、操作しない株と比べて、OSIの(例えば、110℃における)2〜30倍、又は5〜25倍、又は10〜20倍の増加がもたらされる。油は、上記に記載したとおりのことを含め、細胞のデサチュラーゼ活性を抑制することにより生成することができる。

0092

本発明の油で使用するのに好適な抗酸化剤としては、アルファ、デルタ、及びガンマトコフェロールビタミンE)、トコトリエノールアスコルビン酸ビタミンC)、グルタチオンリポ酸尿酸、β−カロチンリコペンルテインレチノールビタミンA)、ユビキノール補酵素Q)、メラトニンレスベラトロールフラボノイドローズマリー抽出物没食子酸プロピルPG)、第三ブチルヒドロキノン(TBHQ)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、及びブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、N,N’−ジ−2−ブチル−1,4−フェニレンジアミン、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、及びフェニル−α−ナフチルアミン(PANA)が挙げられる。

0093

デサチュラーゼの改変に加え、関連する実施形態では、全体を通して記載するとおり、鎖長特異性が変化したアシル−ACPチオエステラーゼの導入又は置換及び/又はKAS、SAD、LPAAT、又はDGAT遺伝子をコードする内在性又は外来性遺伝子の過剰発現を含め、油の特性をさらに調整するため他の遺伝子改変が作製され得る。例えば、高いオレイン酸レベルを生じる株が、低レベルの多価不飽和物も生じ得る。かかる遺伝子改変には、外来性SAD遺伝子の導入によってステアロイル−ACPデサチュラーゼ(SAD)の活性を増加させること、外来性KASII遺伝子の導入によってエロンガーゼ活性を増加させること、及び/又はFATA遺伝子をノックダウン又はノックアウトすることが含まれ得る。

0094

特定の実施形態では、低多価不飽和物の高オレイン酸天然油が生成され得る。例えば、この油は、60、70、80、90、又は95%超のオレイン酸及び5、4、3、2、又は1%未満の多価不飽和物を含む脂肪酸プロフィールを有し得る。関連する実施形態では、3%以下の多価不飽和脂肪酸であって60%超のオレイン酸、2%未満の多価不飽和脂肪酸且つ70%超のオレイン酸、1%未満の多価不飽和脂肪酸且つ80%超のオレイン酸、又は0.5%未満の多価不飽和脂肪酸且つ90%超のオレイン酸を有する油を産生するため、脂肪酸Δ12デサチュラーゼ活性及び場合により脂肪酸Δ15デサチュラーゼを低下させる働きをする組換え核酸を有する細胞により天然油が生成される。オレイン酸を増加させる一つの方法は、FATAアシル−ACPチオエステラーゼの発現を低下させるとともに、場合によりKAS II遺伝子を過剰発現させる働きをする組換え核酸を使用することであることが分かっている;かかる細胞は、75%以上のオレイン酸を含む油を産生することができる。或いは、FATAノックアウト又はノックダウンなしにKASIIの過剰発現を用いることができる。オレイン酸レベルは、上記の方法を用いてデラト12(delat 12)脂肪酸デサチュラーゼ活性を低下させ、それにより不飽和のリノール酸及びリノレン酸に変換されるオレイン酸の量を減少させることにより、さらに増加させることができる。従って、産生される油は、少なくとも75%のオレイン酸及び多くても3%、2%、1%、又は0.5%のリノール酸を含む脂肪酸プロフィールを有し得る。関連する例では、油は、80〜95%のオレイン酸及び約0.001〜2%のリノール酸、0.01〜2%のリノール酸、又は0.1〜2%のリノール酸を有する。かかる油は低い凝固点を有して安定性に優れ、食品において、フライ用、燃料用に、又は化学的応用において有用である。さらに、これらの油は、時間が経過しても変色し難い傾向を呈し得る。例示的な化学的応用では、高オレイン酸油を使用して化学品が製造される。油中のトリグリセリドのオレイン酸基のオレイン酸二重結合エポキシ化又はヒドロキシル化してポリオールを作製することができる。エポキシ化油又はヒドロキシル化油は、様々な用途で用いられ得る。かかる用途の一つは、ヒドロキシル化大豆油又はヒマシ油で実施されているとおりの、ヒドロキシル化トリグリセリドとイソシアネート(isocyante)との縮合によるポリウレタンポリウレタンフォームを含む)の製造である。ヒドロキシル化及びポリウレタン縮合化学の例については、例えば、米国特許出願公開第2005/0239915号明細書、米国特許出願公開第2009/0176904号明細書、米国特許出願公開第2005/0176839号明細書、米国特許出願公開第2009/0270520号明細書、及び米国特許第4,264,743号明細書及びZlatanic,et al,Biomacromolecules 2002,3,1048−1056(2002)を参照のこと。好適なヒドロキシル形成反応としては、脂肪酸の1つ以上の二重結合のエポキシ化と、続く水(ジオールの形成)、アルコール(ヒドロキシルエーテルの形成)、又は酸(ヒドロキシルエステルの形成)による酸触媒エポキシド開環が挙げられる。バイオベースのポリウレタンの製造において高オレイン酸/低多価不飽和油を使用することには、複数の利点がある:(1)ポリウレタンフォームの保存寿命、色又は匂いが向上し得る;(2)多価不飽和物(polunsaturates)により生じる不要な副反応がないため、製品の再現性が向上し得る;(3)多価不飽和物がないため、より高度にヒドロキシル化反応が起こり、従ってポリウレタン製品構造特性を向上させることができる。

0095

本明細書に記載される低多価不飽和油又は高オレイン酸/低多価不飽和油は、有利には、黄変が望ましくない化学的応用において使用され得る。例えば、トリグリセリドに由来するトリグリセリド脂肪酸から作られるペンキ又はコーティングにおいて、黄変は望ましくないものであり得る。黄変は、多価不飽和脂肪酸及びトコトリエノール及び/又はトコフェロールが関わる反応によって生じ得る。従って、油産生微生物において低レベルのトコトリエノールを含む高い安定性の油を生成することは、油を使用して作られる化学組成物の高い色安定性を向上させるのに有利であり得る。一般的に使用される植物油と対照的に、油産生微生物を適切に選択することにより、これらの実施形態の天然油は1g/L以下のトコフェロール及びトコトリエノールレベルを有し得る。特定の実施形態において、天然油は、多価不飽和脂肪酸が2%未満であり、且つトコフェロール、トコトリエノール又はトコフェロールとトコトリエノールとの合計が1g/L未満である脂肪酸プロフィールを有する。別の特定の実施形態において、天然油は、多価不飽和脂肪酸が1%未満であり、且つトコフェロール、トコトリエノール又はトコフェロールとトコトリエノールとの合計が0.5g/L未満である脂肪酸プロフィールを有する。

0096

高安定性(低多価不飽和)の天然油のいずれか又はその誘導体は、食品、薬物、ビタミンニュートラシューティカルズ、パーソナルケア製品又は他の製品の配合に使用することができ、特に酸化の影響を受け易い製品に有用である。例えば、高安定性天然油(例えば、3%、2%又は1%以下の多価不飽和物)を使用して、多価不飽和脂肪酸に関連するフリーラジカル反応がないため保存寿命が増加した日焼け防止剤(例えば、アボベンゾンホモサレートオクチサレートオクトクリレン又はオキシベンゾンの1つ以上を有する組成物)又はレチノイド顔用クリームを配合することができる。例えば、54℃で4週間の加速劣化後に残る色、匂い、官能特性又は%活性化合物の点で、保存寿命が増加し得る。高安定性の油はまた、高温安定性に優れた潤滑剤としても使用することができる。安定性に加え、油は生分解性であってもよく、これはまれな組み合わせの特性である。

0097

別の関連する実施形態では、天然油の脂肪酸プロフィールのC8〜C16脂肪酸を、さらなる遺伝子改変によって、例えば短鎖乃至中鎖選択的アシル−ACPチオエステラーゼの過剰発現又は本明細書に記載される他の改変によって上昇させる。これらの実施形態における低多価不飽和油は、酸化安定性の向上が求められるものを含め、様々な工業、食品、又は消費者製品に使用することができる。食品用途では、油は高温での寿命が長い、又は保存寿命が長いことで、フライに用いられ得る。

0098

油がフライに使用される場合、油の安定性が高いことで、抗酸化剤及び/又は消泡剤(例えばシリコーン)を添加しないフライが可能となり得る。消泡剤を含まない結果として、フライ食品による油の吸収が少なくなり得る。燃料用途でトリグリセリドとして、或いはバイオディーゼル若しくは再生可能ディーゼルに処理されて(例えば、国際公開第2008/151149号パンフレット、国際公開第2010/063032号パンフレット、及び国際公開第2011/150410号パンフレットを参照のこと)使用される場合、高い安定性により長期保存が促進され、又は高温での使用が可能となり得る。例えば、高安定性の油から作製される燃料は、補助発電機における使用のため、1年超又は5年超にわたり保存することができる。フライ油は200℃より高い発煙点、及び0.1%未満の遊離脂肪酸を有し得る。

0099

低多価不飽和油は、以下に記載するとおり生成されるものを含めた、β結晶又はβプライム結晶を形成するものなどの構造化脂肪を含む食品油とブレンドされてもよい。このような油はまた、液体油とブレンドすることもできる。リノール酸を有する油、例えばトウモロコシ油と混合される場合、ブレンドのリノール酸レベルは、高オレイン酸ヒマワリ油などの高オレイン酸植物油のレベルに近付き得る(例えば、約80%オレイン酸及び8%リノール酸)。

0100

低多価不飽和天然油のブレンドは、他の油とエステル交換させることができる。例えば、油は化学的又は酵素的にエステル交換されてもよい。特定の実施形態において、本発明の実施形態に係る低多価不飽和油は、その脂肪酸プロフィール中少なくとも10%のオレイン酸及び5%未満の多価不飽和物を有し、sn−1及びsn−2トリアシルグリセロール位置に特異的な酵素を使用して高飽和油(例えば水素化大豆油又は高ステアリン酸濃度の他の油)と酵素的にエステル交換される。この結果、ステアリン酸−オレイン酸−ステアリン酸(SOS)を含む油となる。エステル交換の方法は当該技術分野において公知である;例えば、「Enzymes in Lipid Modification(脂質改変における酵素)」,Uwe T.Bornschuer,ed.,Wiley_VCH,2000,ISBN 3−527−30176−3を参照のこと。

0101

高安定性の油は、スプレー油として使用することができる。例えば、レーズンなどの乾燥果実に、多価不飽和物が5、4、3、2、又は1%未満である高安定性油を吹き付けてもよい。結果として、他の場合には多価不飽和物の存在によって生じ得るノズルにおける重合又は酸化生成物の蓄積が原因となって使用スプレーノズル詰まることが少なくなる。

0102

さらなる実施形態において、以下に記載するものなどのSOSが高い油は、デルタ12脂肪酸デサチュラーゼのノックダウン又は調節により安定性を向上させることができる。

0103

V.外来性アシルトランスフェラーゼを含む細胞
本発明の様々な実施形態において、細胞により産生される天然油の脂肪酸組成を変化させるため、アシルトランスフェラーゼ(脂肪酸とグリセロール又はグリセロール誘導体との縮合によるアシルグリセリドの形成に関与する酵素)をコードする1つ以上の遺伝子を油産生細胞(例えば、プラスチド微細藻類細胞)に導入することができる。この遺伝子は、グリセロール−3−リン酸アシルトランスフェラーゼ(GPAT)、1−アシルグリセロール−3−リン酸アシルトランスフェラーゼ(AGPAT)としても知られるリゾホスファチジン酸アシルトランスフェラーゼ(LPAAT)、ホスファチジン酸ホスファターゼ(PAP)、又はアシル基をDAGのsn−3位に転移させて、それによりTAGを産生するジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ(DGAT)の1つ以上をコードし得る。

0104

組換え核酸は細胞のプラスミド又は染色体に組み込まれてもよい。或いは、遺伝子は、上記のものとは別個の脂肪酸アシル−CoA非依存経路でTAG前駆体分子を生成する脂質経路の酵素をコードする。アシル−ACPは、プラスチドGPAT及びLPAAT酵素及び/又はミトコンドリアGPAT及びLPAAT酵素の基質であり得る。TAGを産生するため(例えば膜リン脂質から)アシル基を取り入れる能力を有するさらなる酵素の中には、リン脂質ジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ(PDAT)がある。さらに別のアシルトランスフェラーゼが、リゾホスホスファチジルコリン(lysophosphosphatidylcholine)アシルトランスフェラーゼ(LPCAT)、リゾホスホスファチジルセリン(lysophosphosphatidylserine)アシルトランスフェラーゼ(LPSAT)、リゾホスホスファチジルエタノールアミン(lysophosphosphatidylethanolamine)アシルトランスフェラーゼ(LPEAT)、及びリゾホスホスファチジルイノシトール(lysophosphosphatidylinositol)アシルトランスフェラーゼ(LPIAT)を含め、トリグリセリド組成に影響を及ぼし得るリン脂質合成及びリモデリングに関与する。

0105

外来遺伝子は、特定の炭素原子数及び/又は特定の飽和度を含むアシル基質の転移に選択的な特異性を有するアシルトランスフェラーゼ酵素をコードすることができ、これが、所与の位置特異的トリグリセリドが高濃度化された油の産生のため、油産生細胞に導入される。例えば、ココナツ(Cocos nucifera)リゾホスファチジン酸アシルトランスフェラーゼは、他のアシル−CoA基質よりC12:0−CoA基質に選択性を示すことが実証されており(Knutzon et al.,Plant Physiology,Vol.120,1999,pp 739−746)、一方、成熟ベニバナ種子の1−アシル−sn−3−グリセロール−3−リン酸アシルトランスフェラーゼは、ステアロイル−CoAを含め、他のアシル−CoA基質よりリノレオイル−CoA及びオレイル−CoA基質に選択性を示す(Ichihara et al.,European
Journal of Biochemistry,Vol.167,1989,pp
339−347)。さらに、アシルトランスフェラーゼタンパク質が、1つ以上の短鎖、中鎖、又は長鎖アシル−CoA又はアシル−ACP基質に対する選択的特異性を示し得るが、この選択性は、リゾホスファチジン酸ドナー基質のsn−1位又はsn−3位に特定のアシル基、例えば中鎖アシル基が存在する場合にのみ起こり得る。外来遺伝子がある結果として、細胞により、TAG分子の20、30、40、50、60、70、90、又は90%超で特定の脂肪酸がsn−2位に見られるTAG油が生成され得る。

0106

本発明の一部の実施形態では、細胞は、飽和−不飽和−飽和(sat−unsat−sat)TAGリッチな油を作り出す。sat−unsat−sat TAGとしては、1,3−ジヘキサデカノイル−2−(9Z−オクタデセノイル)−グリセロール(1−パルミトイル−2−オレイル−グリセロ−3−パルミトイルと称される)、1,3−ジオクタデカノイル−2−(9Z−オクタデセノイル)−グリセロール(1−ステアロイル−2−オレイル−グリセロ−3−ステアロイルと称される)、及び1−ヘキサデカノイル−2−(9Z−オクタデセノイル)−3−オクタデカノイ(octadecanoy)−グリセロール(1−パルミトイル−2−オレイル−グリセロ−3−ステアロイルと称される)が挙げられる。これらの分子はより一般的には、それぞれ、POP、SOS、及びPOSと称され、ここで「P」はパルミチン酸を表し、「S」はステアリン酸を表し、及び「O」はオレイン酸を表す。飽和−不飽和−飽和TAGのさらなる例としては、MOM、LOL、MOL、COC及びCOLが挙げられ、ここで「M」はミリスチン酸を表し、「L」はラウリン酸を表し、及び「C」はカプリン酸(C8:0)を表す。3つの飽和脂肪酸アシル基を含むトリグリセリドであるトリ飽和物(trisaturate)は、一般に、他の種類のトリグリセリドより高いその結晶化率のため、食品用途での使用が求められる。トリ飽和物の例としては、PPM、PPP、LLL、SSS、CCC、PPS、PPL、PPM、LLP、及びLLSが挙げられる。加えて、TAGにおける脂肪酸の位置特異的分布は、消化及び吸収中の食事性脂肪の代謝運命の重要な決定要因である。

0107

本発明の特定の実施形態によれば、油産生細胞は組換え核酸によって形質転換され、それにより特定の位置特異的トリグリセリド、例えば1−アシル−2−オレイル−グリセロ−3−アシル、又は1−アシル−2−ラウリン酸−グリセロ−3−アシル(ここでは組換え核酸の導入の結果として、それぞれオレイン酸又はラウリン酸がsn−2位にある)をより多量に含む天然油が生産される。或いは、カプリル酸、カプリン酸、ミリスチン酸、又はパルミチン酸がsn−2位にあってもよい。天然油中に存在する特定の位置特異的トリグリセリドの量は、組換え核酸を含まない微生物によって産生される天然油と比べて5%超、10%超、15%超、20%超、25%超、30%超、35%超、40%超、50%超、60%超、70%超、80%超、90%超、100〜500%超、又は500%超増加し得る。結果として、細胞トリグリセリドのsn−2プロフィールは、10、20、30、40、50、60、70、80、又は90%超の特定の脂肪酸を有し得る。

0108

グリセロ脂質において個別の立体特異的又は位置特異的な位置にあるアシル鎖の同一性を、当該技術分野において公知の(Luddy et al.,J.Am.Oil Chem.Soc.,41,693−696(1964)、Brockerhoff,J.Lipid Res.,6,10−15(1965)、Angers and Aryl,J.Am.Oil Chem.Soc.,Vol.76:4,(1999)、Buchgraber et al.,Eur.J.Lipid Sci.Technol.,106,621−648(2004)を参照のこと)、又は、以下に提供する実施例1、2、及び8における1つ以上の分析法により評価することができる。

0109

トリグリセリド分子における脂肪酸の位置分布は、アシルトランスフェラーゼの基質特異性、並びに利用可能なアシル部分の濃度及び種類により影響を受け得る。組換え微生物で産生されるトリグリセリドの位置特異性を変化させるのに好適な酵素の非限定的な例を表1〜表4に掲載する。当業者は、さらに好適なタンパク質を同定し得る。

0110

0111

本発明の微生物及び方法での使用に好適なリゾホスファチジン酸アシルトランスフェラーゼとしては、限定なしに、表2に掲載するものが挙げられる。

0112

0113

本発明の微生物及び方法での使用に好適なジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼとしては、限定なしに、表3に掲載するものが挙げられる。

0114

0115

本発明の微生物及び方法での使用に好適なリン脂質ジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼとしては、限定なしに、表4に掲載するものが挙げられる。

0116

0117

本発明の実施形態では、既知又は新規のLPAAT遺伝子を油産生細胞に形質転換し、それによりそうした細胞によって産生されるトリグリセリドの脂肪酸プロフィールを、最も顕著にはトリグリセリドのsn−2プロフィールを変えることにより変化させる。例えば、油産生細胞において外来性活性LPAATが発現することにより、sn−2位における不飽和脂肪酸の割合が、10、20、30、40、50、60、70、80、90%又はそれを超えて増加する。例えば、細胞は、30%がsn−2位の不飽和物(これは主として18:1及び18:2及び18:3脂肪酸であってよい)であるトリグリセリドを産生し得る。この例では、LPAAT活性を導入することにより、sn−2位における不飽和物が20%増加し、従ってトリグリセリドの36%がsn−2位における不飽和物を含む。或いは、外因性LPAATを使用して、sn−2位におけるC8:0、C10:0、C12:0、C14:0又はC16:0部分などの飽和中鎖を含む中鎖脂肪酸を増加させることができる。結果として、脂肪酸プロフィール全体の中鎖レベルが増加し得る。実施例43及び44は、油産生微生物におけるsn−2及び脂肪酸プロフィールの改変について記載している。これらの例から分かるとおり、LPAAT遺伝子の選択は、異なるLPAATがsn−2及び脂肪酸プロフィールにおいて異なるアシル基鎖長又は飽和度へのシフトを引き起こし得る点で重要である。例えば、実施例43のLPAATはC10〜C14脂肪酸を増加させ、実施例44のLPAATはC16及びC18脂肪酸の増加を生じさせる。これらの例にあるとおり、外因性LPAATの導入は、外来性アシル−ACPチオエステラーゼの導入と組み合わせることができる。中鎖選択的LPAATと中鎖選択的FatBとの組み合わせが相加効果をもたらすことが分かった;脂肪酸プロフィールは、外因性LPAAT及びFatB遺伝子の両方が存在したとき、外来性FatB遺伝子のみが存在したときよりもさらに中鎖脂肪酸の方にシフトした。特定の実施形態において、外来性中鎖特異的LPAATと(場合により)外来性FatBアシル−ACPチオエステラーゼ遺伝子とを含む細胞によって産生される油は、C8:0、C10:0、C12:0、C14:0、又はC16:0脂肪酸が(個別に又は合計で)40、50、60、70、80%又はそれを超える脂肪酸プロフィールを有し得る。

0118

本発明の特定の実施形態は、核酸構築物、核酸構築物を含む細胞、トリグリセリドを生成するための細胞の培養方法、及び生成されるトリグリセリド油であり、ここで核酸構築物は、新規LPAATコード配列に作動可能に連結されたプロモーターを有する。コード配列は、上流開始コドン(initation codon)を有し、下流に終止コドン(terminatation codon)を有して、それに3UTR配列(sequdnce)が続き得る。詳細な特定の実施形態において、LPAAT遺伝子は、配列番号80〜85のcDNAのいずれか又は遺伝子コードの縮重の理由で等価な配列を含めたその機能的断片と、少なくとも80、85、90,95、又は98%の配列同一性を有するコード配列を有する。配列にはイントロンが挿入され得る。或いは、LPAAT遺伝子は、配列番号77〜79のアミノ酸配列又はその機能的断片をコードする。新規LPAATを発現する植物は実施形態に明示的に包含され、公知の遺伝子操作技術を用いて生成することができる。

0119

VI.外因性エロンガーゼ又はエロンガーゼ複合体酵素を含む細胞
本発明の様々な実施形態において、エロンガーゼ又は脂肪酸アシル−CoA伸長複合体の成分をコードする1つ以上の遺伝子を油産生細胞(例えばプラスチド微細藻類細胞)に導入することにより、細胞又は細胞により産生される天然油の脂肪酸組成を変えることができる。遺伝子は、β−ケトアシル−CoAシンターゼ(3−ケトアシルシンターゼ、β−ケトアシルシンターゼ又はKCSとも称される)、ケトアシル−CoAレダクターゼ、ヒドロキシアシル−CoAデヒドラターゼエノイル−CoAレダクターゼ、又はエロンガーゼをコードし得る。これらの遺伝子によりコードされる酵素は、アシル−ACPチオエステラーゼによって遊離するアシル−coA分子の伸長に活性を有する。組換え核酸が細胞のプラスミド又は染色体に組み込まれてもよい。特定の実施形態において、細胞は、Prototheca属の細胞などの従属栄養細胞を含めた、Chlorophytaの細胞である。

0120

本発明の微生物及び方法での使用に好適なβ−ケトアシル−CoAシンターゼ及びエロンガーゼ酵素としては、限定なしに、表5に掲載するものが挙げられる。

0121

0122

本発明のある実施形態では、特定の炭素原子数及び/又は特定のアシル鎖飽和度を含むアシル基質の伸長に選択的特異性を有するβ−ケトアシル−CoAシンターゼ又はエロンガーゼ酵素をコードする外来遺伝子が油産生細胞に導入され、それにより特定の鎖長及び/又は飽和の脂肪酸が高濃度化された細胞又は油が生成される。実施例40はPrototheca株の操作について記載し、ここでは中鎖脂肪酸アシル−CoAの延長に選択性を有する外因性エロンガーゼを過剰発現させることによりステアリン酸濃度を増加させた。実施例42及び54はProtothecaの操作について記載し、ここでは一価不飽和及び飽和C18−及びC20−CoA基質の延長に選択性を有する外因性エロンガーゼ又はβ−ケトアシル−CoAシンターゼを過剰発現させることによりエルカ酸濃度を増加させる。

0123

特定の実施形態において、油産生細胞は、0.5、1、2、5、10、20、30、40、50、60、70、又は80%超のエルカ酸及び/又はエイコセン酸を含む油を産生する。或いは、細胞は、0.5〜5、5〜10、10〜15、15〜20、20〜30、30〜40、40〜50、50〜60、60〜70、70〜80、80〜90、又は90〜99%のエルカ酸又はエイコセン酸を含む油を産生する。細胞は、オレオイル−CoAの伸長に活性を有する外因性β−ケトアシル−CoAシンターゼをさらに導入することで、高オレイン酸油に関連して上記に記載する組換え酸を含み得る。外因性β−ケトアシル−CoAシンターゼが発現する結果として、細胞によるエルカ酸又はエイコセン酸の天然産生が2、3、4、5、10、20、30、40、50、70、100、130、170又は200倍超増加し得る。高エルカ酸及び/又はエイコセン酸油はまた、高安定性油;例えば、5、4、3、2、又は1%未満の多価不飽和物を含むものでもあり得る。特定の実施形態において、細胞は微細藻類細胞であり、場合により従属栄養培養される。他の実施形態にあるとおり、脂肪は、Chlorophyta門、Trebouxiophytae綱、Chlorellales目、又はChlorellacae科の従属栄養微細藻類を含めたプラスチド細胞の遺伝子操作によって生成することができる。好ましくは、細胞は油産生性であり、乾燥細胞重量基準で少なくとも40%の油を蓄積する能力を有する。細胞は、Prototheca moriformis又はPrototheca zopfiiを含めたProtothecaの種などの、偏性従属栄養生物であってもよい。

0124

VII.位置特異的及び立体特異的油/脂肪
ある実施形態では、組換え細胞は、所与の位置特異的組成を有する天然脂肪又は油を産生する。結果として、細胞は、所与の多形形態の結晶を(例えば、融解温度を上回るまで加熱し、次に脂肪の融解温度未満に冷却するとき)形成する傾向を有するトリグリセリド脂肪を産生することができる。例えば、脂肪は、テンパリングするかしないかに関わらず、β型又はβ’型の結晶多形(例えばX線回折解析によって決定するとき)を形成する傾向を有し得る。脂肪は規則性脂肪であってもよい。特定の実施形態において、脂肪は、冷却するとβ結晶或いはβ’結晶を直接形成し得る;或いは、脂肪はβ型を経てβ’型へと進み得る。かかる脂肪は、食品用途での構造化ラミネート用又はコーティング用脂肪として使用することができる。この天然脂肪は、キャンディーダーク又はホワイトチョコレートチョコレート風味糖菓アイスクリームマーガリン又は他のスプレッド、クリームの詰め物ペストリー、又は他の食品に添合することができる。場合により、脂肪は半固体であってもよいが、しかし人工的に作られたトランス脂肪酸は含まない。かかる脂肪はまた、スキンケア及び他の消費者製品又は工業製品においても有用であり得る。

0125

他の実施形態にあるとおり、脂肪は、Chlorophyta門、Trebouxiophytae綱、Chlorellales目、又はChlorellacae科の従属栄養微細藻類を含めたプラスチド細胞の遺伝子操作によって生成され得る。好ましくは、細胞は油産生性であり、乾燥細胞重量基準で少なくとも40%の油を蓄積する能力を有する。細胞は、Prototheca moriformis又はPrototheca zopfiiを含めたProtothecaの種などの、偏性従属栄養生物であってもよい。脂肪はまた、独立栄養性の藻類又は植物においても産生され得る。場合により、細胞は、油を産生するためにショ糖を利用する能力を有し、国際公開第2008/151149号パンフレット、国際公開第2010/06032号パンフレット、国際公開第2011/150410号パンフレット、国際公開第2011/150411号パンフレット、及びPCT/US12/23696号明細書に記載されるとおり、ショ糖を代謝させるため組換えインベルターゼ遺伝子が導入され得る。ここで言及する全ての遺伝子と同じく、インベルターゼはコドン最適化され、細胞の染色体に組み込まれてもよい。

0126

ある実施形態では、天然脂肪は、全体的な構造[飽和脂肪酸(sn−1)−不飽和脂肪酸(sn−2)−飽和脂肪酸(sn−3)]の少なくとも30、40、50、60、70、80、又は90%の脂肪を有する。これは以下にSat−Unsat−Sat脂肪として示される。特定の実施形態において、この構造中の飽和脂肪酸は、好ましくはステアリン酸又はパルミチン酸であり、不飽和脂肪酸は好ましくはオレイン酸である。結果として、脂肪は主にβ又はβ’多形結晶、又はそれらの混合物を形成し、対応する物理的特性を、食品又はパーソナルケア製品での使用に望ましいものを含めて有し得る。例えば、脂肪は、食品用には口腔体温で溶解し、又はクリーム、ローション又は他のパーソナルケア製品用には皮膚温度で(例えば、30〜40、又は32〜35℃の融解温度)溶解し得る。場合により、脂肪は、2L又は3Lラメラ構造を(例えば、X線回折解析によって決定するとき)有し得る。場合により、脂肪はテンパリングなしにこの多形形態を形成し得る。

0127

特定の関連する実施形態において、天然脂肪トリグリセリドは高濃度のSOSを有する(すなわち、グリセロール骨格の末端sn−1位及びsn−3位にステアリン酸を含み、sn−2位にオレイン酸を含むトリグリセリド)。例えば、脂肪は、少なくとも50、60、70、80又は90%のSOSを含むトリグリセリドを有し得る。ある実施形態では、脂肪は、少なくとも80%のSOSのトリグリセリドを有する。場合により、sn−2結合脂肪酸の少なくとも50、60、70、80又は90%が不飽和脂肪酸である。特定の実施形態では、sn−2結合脂肪酸の少なくとも95%が不飽和脂肪酸である。加えて、SSS(トリステアリン酸)レベルは20、10又は5%未満であってもよく、及び/又はC20:0脂肪酸(アラキジン酸)レベルは6%未満であってもよく、場合により1%超(例えば、1〜5%)であってもよい。例えば、特定の実施形態において、組換え細胞によって産生される天然脂肪は、少なくとも70%のSOSトリグリセリドを有し、少なくとも80%がsn−2不飽和脂肪酸アシル部分である。別の特定の実施形態において、組換え細胞によって産生される天然脂肪は、少なくとも80%のSOSトリグリセリドを含み、且つ少なくとも95%がsn−2不飽和脂肪酸アシル部分であるTAGを有する。さらに別の特定の実施形態において、組換え細胞によって産生される天然脂肪は、少なくとも80%のSOSを含み、少なくとも95%がsn−2不飽和脂肪酸アシル部分であり、且つ1〜6%がC20脂肪酸であるTAGを有する。

0128

さらに別の特定の実施形態において、天然脂肪の脂肪酸プロフィールにおけるステアリン酸塩とパルミチン酸塩との合計割合は、オレイン酸塩の割合の2倍±10、20、30又は40%である[例えば、(%P+%S)/%O=2.0±20%]。場合により、この脂肪のsn−2プロフィールは、少なくとも40%、及び好ましくは少なくとも50、60、70、又は80%オレイン酸である。また場合により、この脂肪は少なくとも40、50、60、70、80、又は90%SOSであってよい。場合により、脂肪は1〜6%のC20脂肪酸を含む。

0129

これらの実施形態のいずれにおいても、高SatUnsatSat脂肪は、β’多形結晶を形成する傾向を有し得る。ココアバターのようなこれまでに利用可能な植物脂肪とは異なり、この細胞によって産生されるSatUnsatSat脂肪はテンパリングなしにβ’多形結晶を形成し得る。ある実施形態では、融解温度を上回るまで加熱して、融解温度未満に3、2、1、又は0.5時間冷却すると、多形が形成される。関連する実施形態において、60℃を上回るまで加熱して、10℃に3、2、1、又は0.5時間冷却すると、多形が形成される。

0130

様々な実施形態において、脂肪は、融解温度を上回って加熱して融解温度未満に冷却したときβ型、β’型、又は両方の多形を形成し、場合により融解温度を上回るまで加熱して、次に10℃で冷却したとき、5、4、3、2、1、0.5時間以内又はそれ未満で少なくとも50%の多形平衡まで進む。脂肪はココアバターより速い速度でβ’結晶を形成し得る。

0131

場合により、任意のこれらの脂肪が、2モル%未満のジアシルグリセロール、又は2モル%未満のモノアシルグリセロールとジアシルグリセロールとの合計を有し得る。

0132

ある実施形態では、脂肪は30〜60℃、30〜40℃、32〜37℃、40〜60℃又は45〜55℃の融解温度を有し得る。別の実施形態において、脂肪は20℃で40〜50%、15〜25%、又は15%未満の固形脂肪含有量(SFC)を有し、及び/又は35℃で15%未満のSFCを有し得る。

0133

脂肪を作るために使用される細胞は、SatUnsatSat脂肪の形成に有利となるように、細胞トリグリセリドにおける脂肪酸の飽和対不飽和比を改変する働きをする組換え核酸を含み得る。例えば、ステアロイル−ACPデサチュラーゼ(SAD)遺伝子のノックアウト又はノックダウンを用いて、オレイン酸よりステアリン酸の形成に有利となるようにすることができ、又は外来性中鎖選択的アシル−ACPチオエステラーゼの発現により、中鎖飽和レベルを増加させることができる。或いは、SAD酵素をコードする遺伝子を過剰発現させて不飽和物を増加させることができる。

0134

特定の実施形態において、細胞は、細胞のステアリン酸レベルを上昇させる働きをする組換え核酸を有する。結果として、SOSの濃度が増加し得る。実施例9は、Brassica napus C18:0選択的チオエステラーゼが過剰発現する結果として、組換え微生物の位置特異的プロフィールがSatUnsatSatトリグリセリドPOP、POS、及びSOSについて高濃度化されることを実証する。細胞のステアリン酸を増加させるさらなる方法は、オレイン酸レベルを低下させることである。高オレイン酸レベルを(例えば、ステアリン酸レベルの2分の1を超えて)有する細胞については、オレイン酸レベルを低下させる働きをする組換え核酸又は古典的な遺伝子突然変異もまた用いることができる。例えば、細胞は、オレイン酸を遊離させるアシル−ACPチオエステラーゼをコードする1つ以上のFATA対立遺伝子、及び/又はステアロイルACPデサチュラーゼ(SAD)をコードする1つ以上の対立遺伝子にノックアウト、ノックダウン、又は突然変異を有し得る。実施例35は、ヘアピンRNAを使用したSAD2遺伝子産物発現の阻害によるPrototheca moriformis(UTEX 1435)における37%ステアリン酸の脂肪酸プロフィールの生成について記載し、一方で野生型株は4%未満のステアリン酸を生成したことから、9倍を超える改善であった。さらに、実施例35の株はSAD活性を低下させるように操作されるが、SOS、POP、及びPOSを作る十分なオレイン酸を生成するのに十分なSAD活性は残る。実施例47のTAGプロフィール(profie)を参照のこと。特定の例では、アンチセンス、RNAi、又はsiRNA、ヘアピンRNA又はそれらの組み合わせなどの阻害技法を用いて、複数のSADコード対立遺伝子のうちの1つがノックアウトされてもよく、及び/又は1つ以上の対立遺伝子が下方調節される。様々な実施形態において、細胞は、20〜30、30〜40、40〜50、50〜60、60〜70、70〜80、80〜90、又は90〜約100%ステアリン酸を有するTAGを産生し得る。他の実施形態では、細胞は、20〜30、30〜40、40〜50、50〜60、60〜70、70〜80、80〜90、又は90〜約100%SOSであるTAGを産生し得る。場合により、又は遺伝子改変に加えて、ステアロイルACPデサチュラーゼを化学的に阻害することができる;これは例えば油産生中に細胞培養物ステルクリン酸を添加することによる。

0135

意外にも、単一のFATA対立遺伝子のノックアウトが、微細藻類で産生されるC18脂肪酸の存在を増加させることが見出された。1つの対立遺伝子をノックアウトするか、又は他の方法でFATA遺伝子産物(produce)RNAの活性を(例えばヘアピンを使用して)抑制する一方で、ステアロイル−ACPデサチュラーゼの活性もまた(本明細書に開示される技法を用いて)抑制することにより、細胞におけるステアリン酸レベルを増加させることができる。

0136

ステアリン酸レベルを増加させる別の遺伝子改変としては、ステアリン酸産生速度を増加させるため、細胞におけるケトアシルACPシンターゼ(KAS)活性を増加させることが挙げられる。微細藻類では、KASII活性の増加がC18合成の増加に有効であり、特にSAD活性の低下に有効な組換えDNAと組み合わせた細胞トリグリセリドにおけるステアリン酸レベルの上昇に有効であることが分かっている。KASIIを増加させる働きをする組換え核酸(例えば、外来性KasII遺伝子)をまた、FatA遺伝子のノックアウト又はノックダウン、又はFatA遺伝子及びSAD遺伝子の両方のノックアウト又はノックダウンと組み合わせてもよい。

0137

場合により、細胞は、単独の改変として、或いはステアリン酸を増加させる他の1つ以上の遺伝子改変との組み合わせで、外因性ステアリン酸遊離アシル−ACPチオエステラーゼを含み得る。例えば、細胞が、C18:0−ACPの切断に選択性を有するアシル−ACPチオエステラーゼを過剰発現するように操作されてもよい。実施例9は、Prototheca moriformis(UTEX 1435)の脂肪酸プロフィールにおいてステアリン酸を約3.7%から約30.4%に増加させる外因性C18:0選択的アシル−ACPチオエステラーゼの発現について記載する。実施例41は、ProtothecaにおいてC18:0レベルを上昇させる働きをするC18:0選択的アシル−ACPチオエステラーゼのさらなる例を提供する。チオエステラーゼの導入は、1つ以上の内在性アシル−ACPチオエステラーゼ対立遺伝子のノックアウト又はノックダウンと組み合わせることができる。チオエステラーゼの導入はまた、エロンガーゼ(elonagase)又はβ−ケトアシル−CoAシンターゼの過剰発現と組み合わせることもできる。加えて、1つ以上の外来遺伝子(例えば、SAD又はKASIIをコードするもの)を、環境条件によって(例えば、調節可能なプロモーターと作動可能に連結した状態に置くことにより)調節してもよい。特定の例では、pH及び/又は窒素濃度を用いてamt03プロモーターを調節する。次に環境条件を調整することにより、細胞トリグリセリド中に現れるステアリン酸の所望の量を(例えばオレイン酸濃度の2倍となるよう)産生するように細胞が調整され得る。これらの操作の結果として、細胞は少なくとも5、10、15、又は20倍のステアリン酸の増加を呈し得る。

0138

単独での、又はステアリン酸を増加させる他の改変と組み合わせたさらなる改変として、細胞は、エロンガーゼ又はβ−ケトアシル−CoAシンターゼを発現する働きをする組換え核酸を含むことができる。例えば、C18:0選択的アシル−ACPチオエステラーゼの過剰発現を、中鎖延長エロンガーゼ又はKCSの過剰発現と組み合わせることにより、組換え細胞におけるステアリン酸産生を増加させ得る。外来遺伝子(例えば、チオエステラーゼ、エロンガーゼ、又はKCSをコードするもの)の1つ以上を、環境条件によって(例えば、調節可能なプロモーターと作動可能に連結した状態に置くことにより)調節してもよい。特定の例では、pH及び/又は窒素濃度を用いてamt03プロモーターを調節する。次に環境条件を調整することにより、細胞トリグリセリド中に現れるステアリン酸の所望の量を(例えばオレイン酸濃度の2倍となるよう)産生するように細胞が調整され得る。これらの操作の結果として、細胞は少なくとも5、10、15、又は20倍のステアリン酸の増加を呈し得る。ステアリン酸に加え、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、及びセロチン酸もまた産生され得る。

0139

特定の実施形態では、ステアリン酸レベルを増加させる細胞の遺伝子操作により、細胞により産生される油中のステアリン酸対オレイン酸の比は、3:1±30%(すなわち2.7:1〜3.3:1の範囲)、3:1±20%又は3:1±10%となる。

0140

或いは、細胞をSatUnsatSatの形成に有利となるように操作することができ、ここでSatはパルミチン酸又はパルミチン酸とステアリン酸との混合物である。この場合、外因性パルミチン酸を遊離させるアシル−ACPチオエステラーゼの導入が、パルミチン酸形成を促進し得る。この実施形態において、細胞は、少なくとも30、40、50、60、70、又は80%POPであるトリグリセリド、又はPOP、SOS、及びPOSの合計が細胞トリグリセリドの少なくとも30、40、50、60、70、80、又は90%であるトリグリセリドを産生し得る。他の関連する実施形態において、POSレベルは、細胞によって産生されるトリグリセリドの少なくとも30、40、50、60、70、80、又は90%である。

0141

特定の実施形態において、油の融解温度はココアバターの融解温度(約30〜32℃)と同程度である。POP、POS及びSOSレベルは、それぞれ約16、38、及び23%でココアバターに近くなり得る。例えば、POPは16%±20%であってもよく、POSは38%±20%であってもよく、SOSは23%±20%であってもよい。或いは、POPは16%±15%であってもよく、POSは38%±15%であってもよく、SOSは23%±15%であってもよい。或いは、POPは16%±10%であってもよく、POSは38%±10%であってもよく、SOSは23%±10%であってもよい。

0142

ステアリン酸を増加させる組換え核酸の結果として、脂肪酸プロフィールのある割合がアラキジン酸となってもよい。例えば、脂肪酸プロフィールは、0.01%〜5%、0.1〜4%、又は1〜3%のアラキジン酸となり得る。さらに、位置特異的プロフィールは、0.01%〜4%、0.05%〜3%、又は0.07%〜2%のAOSを有してもよく、又は0.01%〜4%、0.05%〜3%、又は0.07%〜2%のAOAを有してもよい。AOS及びAOAは、数ある潜在的利益の中でも特に、本発明の脂肪を含む糖菓におけるブルーミング及び脂肪マイグレーションを低減し得ると考えられる。

0143

ステアリン酸及び/又はパルミチン酸を増加させ、且つSatUnsatSatレベルを改変するよう設計される操作に加え、多価不飽和物レベルが、上記に記載したとおりデルタ12脂肪酸デサチュラーゼ活性(例えば、Fad遺伝子によりコードされるとおりの)の低下、及び場合により成長培地の補給又はFAD発現の調節によることを含め抑制され得る。微細藻類では(Prototheca株での研究から明らかなように)、多価不飽和物がsn−2位に選択的に付加されることが分かっている。従って、sn−2位にオレイン酸を含むトリグリセリドの割合を上昇させるためには、細胞によるリノール酸の産生が抑制され得る。高度に酸化安定性の油に関連した、脂肪酸デサチュラーゼ(FAD)遺伝子又は遺伝子産物を阻害又は除去するための本明細書に記載される技術は、sn−2位の多価不飽和物を減少させることによるSatUnsatSat油の産生に向けて良い効果を伴い適用することができる。さらなる利益として、かかる油は酸化安定性の向上を有し得る。本明細書に同様に記載されるとおり、脂肪は二段階で生成されてもよく、第1の段階で多価不飽和物が供給されるか又は細胞によって産生され、脂肪産生段階で多価不飽和物を欠乏させる。生成される脂肪は、15,10,7、5、4、3、2、1、又は0.5%以下の多価不飽和物を有する脂肪酸プロフィールを有し得る。特定の実施形態では、細胞によって産生される油/脂肪は、50%超のSatUnsatSat、場合により50%超のSOSを有するが、多価不飽和物は3%未満である。場合により、多価不飽和物は、脂肪酸プロフィール中のリノール酸とリノレン酸との合計面積%によって概算され得る。

0144

ある実施形態では、天然脂肪は、65%〜95%SOS、場合により0.001〜5%SSSを有するシアステアリン代用物である。関連する実施形態において、脂肪は、65%〜95%SOS、0.001〜5%SSS、場合により0.1〜8%アラキジン酸を含有するトリグリセリド(triglcyeride)を有する。別の関連する実施形態において、脂肪は65%〜95%SOSを有し、SSSとSSOとの合計は10%未満又は5%未満である。

0145

細胞の位置特異的選択性は、以下に記載する分析法(実施例1〜2、8)を用いて知ることができる。上記に記載したとおりの飽和物と不飽和物とのバランスにも関わらず、細胞酵素がsn−2位に不飽和脂肪酸を置かないことも可能である。その場合、遺伝子を操作して、(i)内因性sn−2特異的アシルトランスフェラーゼ(例えばLPAAT)の活性を低下させること、及び/又は(ii)所望の特異性を有する外因性LPAATを導入すること(すなわち、sn−2におけるオレイン酸の導入)により、所望の位置特異性を付与することができる。外因性LPAATが導入される場合、好ましくはLPAATをコードする遺伝子が宿主染色体に組み込まれ、小胞体に標的化される。ある場合には、宿主細胞は特異的及び非特異的の両方のLPAAT対立遺伝子を有してもよく、これらの対立遺伝子の一方の活性を(例えば遺伝子ノックアウトによって)抑制すると、所望の特異性が付与されることになる。例えば、配列番号78及び配列番号79のLPAAT又はこれらの配列のいずれかと少なくとも90、95、98、又は99%のアミノ酸同一性を含むLPAATをコードする遺伝子を使用してsn−2位にオレイン酸を付加することにより、SatUnsatSat TAGのレベルを増進させることができる。遺伝子は、配列番号80〜85又は遺伝子コードの縮重の理由で等価な配列のいずれかと少なくとも80、85、90、95、96、97、98、又は99%のヌクレオチド同一性を有し得る。これらの遺伝子は、これらの配列又はその機能断片(これは、公知の技術を用いて配列から核酸を体系的に欠失させることにより見出され得る)を含む組換え核酸構築物、ベクター、染色体又は宿主細胞として現れ得る。遺伝子の発現の結果として、SOS、POS、POPなどのsat−unsat−sat TAG、又はsn−2位にC8〜C16脂肪酸を含むトリグリセリドの量が宿主細胞において増加し得る。

0146

ある実施形態では、本発明に係る細胞によって産生される脂肪を使用して、糖菓、キャンディーのコーティング、又は他の食品が製造される。結果として、チョコレート又はキャンディーバーのような食品は、ココアバターを使用して製造される類似製品の「スナップ性」(例えば割ったときの)を有し得る。使用される脂肪はβ多形形態であるか、又はβ多形形態となる傾向を有し得る。ある実施形態では、方法は、糖菓にかかる脂肪を加えることを含む。場合により、脂肪は、65%超のSOS、45%未満の不飽和脂肪酸、5%未満の多価不飽和脂肪酸、1%未満のラウリン酸、及び2%未満のトランス脂肪酸を有するEEC規則に従うココアバター同等物であってもよい。この脂肪はまた、ココアバター増量剤向上剤、代替剤、又は抗ブルーミング剤として、又はシアバター代用物として、食品及びパーソナルケア製品中のものを含め使用することができる。本明細書に開示される細胞及び方法を使用して生成される高SOS脂肪は、シアバター又はシア画分が要求される任意の用途又は配合で使用することができる。しかしながら、シアバターと異なり、本発明の実施形態により生成される脂肪は不鹸化物が低量であり;例えば、7、5、3、又は2%未満の不鹸化物であり得る。加えて、シアバターは、ジアシルグリセリドの存在に起因して劣化が速い傾向があるが、本発明の実施形態により生成される脂肪はジアシルグリセリドが低量であり;例えば、5、4、3、2、1、又は0.5%未満のジアシルグリセリドであり得る。

0147

本発明のある実施形態には、ショートニング、詳細にはロールイン用ショートニングとして好適な天然脂肪がある。従って、ショートニングを使用して、ペストリー又は他の多層状食品を作製してもよい。ショートニングは、本明細書に開示される操作された生物及び特に従属栄養微細藻類の生成方法を用いて生成することができる。ある実施形態では、ショートニングは、40〜60℃、好ましくは45〜55℃の融解温度を有し、15〜20%中鎖脂肪酸(C8〜C14)、45〜50%長鎖飽和脂肪酸(C16以上)、及び30〜35%不飽和脂肪酸(好ましくはリノール酸よりオレイン酸を多く含む)のトリグリセリドプロフィールを有し得る。ショートニングは、場合によりβ多形形態を経ることなしに、β’多形結晶を形成し得る。ショートニングはチキソトロピックであってもよい。ショートニングは35℃で15%未満の固形脂肪含有量を有し得る。特定の実施形態には、組換え微細藻によって産生されるロールイン用ショートニングとして好適な天然油があり、ここで油は400〜700又は500〜600Paの降伏応力及び1×105Pa又は1×106Paより大きい貯蔵弾性率を有する(実施例46を参照のこと)。

0148

構造化された固液脂肪系は、構造化油を使用して、それらを室温で液体の油(例えば、トリステアリン又はトリオレインが高い油)とブレンドすることにより生成され得る。このブレンドされる系は、食品スプレッド、マヨネーズドレッシング、ショートニングにおける使用に(すなわち油水油型エマルションを形成することにより)好適であり得る。本明細書に記載される実施形態に係る構造化脂肪、特にSOSが高いものは、他の油/脂肪とブレンドしてココアバター同等物、代用物、又は増量剤を作製することができる。例えば、65%超のSOSを有する天然脂肪をパーム中融点画分とブレンドして、ココアバター同等物を作製することができる。

0149

一般に、かかる高いSat−Unsat−Sat脂肪又は脂肪系は、ホイップ済みクリーム、マーガリン、スプレッド、サラダドレッシングベイクド食品(例えばパンクッキークラッカーマフィン、及びペストリー)、チーズクリームチーズ、マヨネーズ等を含めた、様々な他の製品で使用することができる。

0150

特定の実施形態では、上記に記載するSat−Unsat−Sat脂肪がマーガリン、スプレッドなどの製造に使用される。例えば、米国特許第7118773号明細書、第6171636号明細書、第4447462号明細書、第5690985号明細書、第5888575号明細書、第5972412号明細書、第6171636号明細書、又は国際公開第9108677A1号パンフレットに記載されるレシピ又は方法のいずれかを使用して、この脂肪からマーガリンを作製することができる。

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