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課題

RSウイルス(RSV)による感染に対する改善されたワクチンとしての組換え改変ワクシニアウイルスアンカラ(MVA)株、並びにRSV感染症診断方法の提供。

解決手段

SV膜糖タンパク質抗原決定基をコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列と、RSVヌクレオカプシドタンパク質の抗原決定基をコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列とを含む、遺伝子改変組換えMVAベクター、並びにRSV感染症を診断し、RSV感染症再発リスクがあるか、無菌免疫を獲得したかどうかを決定する方法の提供。

概要

背景

SVは、重大な呼吸器病原体である。急性下気道(LRT感染症は、世界中で、5未満の乳幼児および小児における著しい罹患率および死亡率の原因となっている[A.M.Aliyu et al.(2010),Bayero J.Pure Appl.Sci.3(1):147−155]。RSウイルス(RSV)は、LRT感染症の最も臨床的に重要な原因である:RSVによる一次感染は、一般的に2歳までに発生する[W.P.Glezen(1987),Ped.Virol.2:1−4;Y.Murata(2009),Clin.Lab.Med.29(4):725−739]。RSVの一次感染は、RSVに対する完全な免疫を誘導しないため、生涯を通じて頻繁に再感染が起こり、最も深刻な感染は、非常に幼い子供、非常に高齢成人、およびあらゆる年齢免疫不全患者に発生する[Y.Murata(2009)]。

RSV感染者のうち40%もの多くの人々が、最終的には、入院を要する深刻なLRT疾患を発症するが、疾患の重症度および強度は、感染の規模および強度、ならびに宿主応答に依存する[Aliyu et al.(2010)]。RSVはまた、免疫系、呼吸器系、または心臓系に欠陥を有するあらゆる年齢の患者において深刻なLRT疾患を引き起こす可能性もあり、小児が後に喘息を発症する素因にもなり得る。米国だけでも、RSVは、1年間に推定126,000件の入院および300件の乳幼児の死亡の原因となっている[Y.Murata(2009)]。さらに、RSVは、高齢者患者、および心肺疾患または免疫抑制疾患を根底に有する患者の間で、毎、80,000件を超える入院および13,000件を超える死亡の原因となっている[Y.Murata(2009)]。呼吸器病原体としてのRSVの重要性にもかかわらず、現在のところ、安全かつ効果的なRSVワクチン市場に存在しない。

RSVは、パラミクソウイルス科亜科であるニューモウイルス属のエンベロープRNAウイルスである[Aliyu et al.(2010)]。各RSVビリオンは、8つの構造タンパク質(G、F、SH、M1、N、P、M2.1、およびL)と、3つの非構造タンパク質(NS1、NS2、およびM2.2)とを含む11個の別個タンパク質をコードする10個の遺伝子を含有する(M2は2つの読み取り枠を含有する)、約15,191ヌクレオチドの非分割型マイナスセンス一本鎖RNA分子を含有する[Y.Murata(2009)]。ゲノムは、以下の順序でNS1からLへ連続的に転写される:3’−NS1−NS2−N−P−M1−SH−G−F−M2.1−M2.2−L−5’。

ウイルスのエンベロープは、3つの膜貫通糖タンパク質(付着糖タンパク質(G)、融合糖タンパク質(F)、および低分子疎水性タンパク質(SH))、ならびにマトリックス(M1)タンパク質を含有する[Y.Murata(2009)]。RSVの複製中、ウイルスは、重度グリコシル化されたGタンパク質によって媒介されるプロセスにおいて標的細胞に最初に付着する。次いで、ウイルスは、Fタンパク質によって媒介されるプロセスにおいて宿主細胞と融合し、それによって細胞膜を透過して宿主細胞に進入する;Fタンパク質は、RSV感染細胞の特徴である合胞体の形成にも必要である。付着および融合プロセスは、SHタンパク質によって増強される。M1タンパク質は、エンベロープタンパク質FおよびG、ならびにヌクレオカプシドタンパク質N、P、およびM2.1と相互作用することにより、成熟RSVの構築を調節する(以下を参照)。エンベロープ内で、ウイルスRNAは、ヌクレオカプシドタンパク質(N)、リン酸化タンパク質(P)、転写伸長因子(M2.1)およびRNAポリメラーゼ(L)タンパク質からなる転写酵素複合体によってキャプシド形成される[Y.Murata(2009)]。Nは、ゲノムRNAと会合し、Pは、ウイルスRNAポリメラーゼLの補助因子である。M2.1は、ウイルス転写に必要な伸長因子であり、M2.2は、ウイルスゲノムの転写を調節する。最後に、NS1およびNS2が、I型インターフェロン活性阻害する。

臨床的なRSV分離株は、抗原群(AまたはB)に従って分離され、各抗原群のウイルスゲノム内の遺伝的変異性に基づいて複数の遺伝子型(例えば、A群の,A2またはALong、およびB群のB1、CH−18537、または8/60)にさらに細分類される[Y.Murata(2009)]。分類は、付着糖タンパク質(Gタンパク質)に対するモノクローナル抗体とのウイルスの反応性に基づいており、種々の遺伝学解析によるものである。[M.Sato et al.,J.Clin.Microbiol.43(1):36−40(2005)]。ウイルス分離株の中でも、RSVによってコードされるいくつかのタンパク質は、アミノ酸配列のレベルで高度に保存される一方で(例えば、F)、他のタンパク質は、2つの主要な抗原群の間および中で広く異なる(例えば、G)[Y.Murata(2009)]。AおよびB抗原群のFタンパク質は、著しい相同性共有する。対照的に、Gタンパク質は、2つの抗原群の間で著しく異なる。

Gタンパク質は、最も可変性が高いRSVタンパク質であり、その超可変性C末端領域は、株特異性エピトープの大部分を構成する。Gタンパク質の分子疫学および進化パターンは、RSVの臨床的および疫学的特徴に関する重要な情報を提供してきた。典型的には、いくつかの異なる遺伝子型が一度に循環し、毎年、地域で優勢な遺伝子型が変化し得る。しかしながら、RSVの臨床的および疫学的特徴にとっての株の多様性の重要性は、依然として十分に理解されていない。したがって、組換えRSVタンパク質は、遺伝子またはタンパク質がクローニングされた元のRSV株を示す株表示を伴う。例えば、RSV株ALongからクローニングされたGタンパク質は、G(ALong)、RSV ALong G、またはRSV ALong Gタンパク質と命名される。

RSVは、感染した宿主において、ケモカインおよびサイトカイン分泌中和性液性抗体および粘膜抗体の産生、ならびにCD4+(例えば、TH1およびTH2)およびCD8+(例えば、CTL)T細胞の産生を含む、様々な免疫応答刺激する。ウイルスはin vivoでの細胞病理を限定する原因となるため、そのような宿主免疫応答は、RSV感染症の臨床症状に大きく寄与する[Y.Murata(2009)]。RSVが誘導する疾患の表現型発現および重症度は、RSV感染症によって刺激される免疫応答の範囲内でのバランスおよび相互作用によって媒介されるようである[Y.Murata(2009)]。

多くの以前の研究は、細胞性免疫応答および液性免疫応答が、RSVに対する免疫の誘導およびRSV感染症の治癒、ならびに疾患の進行において異なる役割を果たすことを提唱している[Y.Murata(2009)および本明細書の参考文献]。例えば、ヒト化抗F抗体を用いた研究は、抗RSV抗体が、感染の重症度を防止または制限するのに十分である一方で、それらは、ウイルス感染を排除するためには必要とされないことを示した[Y.Murata(2009);A.F.G.Antonis et al.(2007),Vaccine 25:4818−4827]。対照的に、T細胞応答は、確立されたRSV感染症を排除するために必要である[Y.Murata(2009)]。RSVが誘導するT細胞応答は、感染中の肺病理においても重要な役割を果たす。例えば、インターフェロン−γ(IFNγ)を分泌するTH1細胞(関連するCD8+CTL応答を伴うかまたは伴わない)は、最小限の肺病理をともなってRSVを排除し、インターロイキン4(IL−4)を分泌するTH2細胞もまた、RSVを排除するが、以前のワクチン臨床試験中に観察された重篤な疾患の特徴である好酸球浸潤を含む、著しい変化を伴うことが多い(以下を参照)。

以下の項により詳しく記載するように、RSV感染症の免疫学ウイルス学、および生理学に関する豊富な情報が入手可能であるにもかかわらず、持続する免疫を誘導する一方で、同時に、ワクチン接種後にRSVに曝露された時に重篤な疾患を引き起こさないためには正確にどのような免疫応答が最も効果的である可能性が高いかは、依然として全く明らかになっていない。

従来のワクチン開発
ワクチンは、典型的には、標的感染性因子または病原体(例えば、ウイルス、細菌、もしくは寄生虫)に対する保護免疫を誘導するために、以下を含むいくつかの戦略のうちの1つを使用する:(1)不活化病原体の調製;(2)生の弱毒化病原体(遺伝的に弱毒化した病原体株を含む)の調製;(3)精製タンパク質サブユニットワクチンの調製;(4)病原体抗原および/またはアジュバントをコードするウイルスベクターに基づくワクチン、および(5)病原体抗原をコードするDNAに基づくワクチン。

1960年代に、米国でホルマリン不活化RSV(FI−RSV)ワクチンの有効性試験する臨床試験が実施され、散々な結果となるまで、初期のRSV ワクチンの開発努力は、不活化ウイルスの調製に焦点を合わせていた[M.R.Olson&S.M.Varga(2007),J.Immunol.179:5415−5424]。ワクチン接種を受けた有意な数の患者が、後にRSVに自然感染すると、好酸球および好中球の浸潤を特徴とする重篤な肺疾患およびかなりの炎症反応を発生した[Olson&Varga(2007),[Blanco JC et al.(2010)Hum Vaccin.6:482−92]。これらの患者の多くは、入院が必要であり、数人の危篤状態の患者が死亡した。その結果として、研究者たちは、より安全なRSVワクチンを開発するために、後に曝露された時の重篤な疾患の発症に寄与するウイルスおよび/または宿主因子探究を開始した。その研究により、RSVの生物学およびそれが誘導することができる広範囲の免疫応答に関する新しい情報が得られたが、安全かつ効果的なRSVワクチンは、依然として分からないままである。

FI−RSV後のワクチン開発努力は、主としてG、F、およびより低い程度のN、またはM2を使用した単一抗原ワクチンに焦点を当てており、ウイルス抗原は、ウイルスベクターもしくはウイルス遺伝子発現するプラスミドDNAベクターによって、または精製タンパク質としてのいずれかで送達される。[例えば、W.Olszewska et al.(2004),Vaccine 23:215−221;G.Taylor et al.(1997),J.Gen.Virol.78:3195−3206;and L.S.Wyatt et al.(2000),ワクチン 18:392−397を参照のこと]。F+Gの組み合わせを用いたワクチン接種はまた、仔ウシコットンラット、およびBALB/cマウスにおいても試験され、様々な結果を示した[Antonis et al.(2007)(仔ウシ);B.Moss、1986年4月8日出願の米国特許出願第06/849,299号(「’299出願」)(コットンラット);およびL.S.Wyatt et al.(2000)(BALB/cマウス)]。FおよびGのどちらも、仔ウシ、マウス、ラット、ヒト、および少なくともある程度はマカク幼獣において免疫原性である[A.F.G.Antonis et al.(2007)(仔ウシ);B.Moss、’299出願(コットンラット);L.de Waal et al.(2004),ワクチン 22:923−926(マカク乳幼獣);L.S.Wyatt et al.(2000)(BALB/cマウス)];Y.Murata(2009)(ヒト)]。

しかしながら、意義深いことに、RSVワクチン候補によって誘導される免疫応答の性質および種類は、使用されるワクチンの種類、選択される抗原、投与経路、およびさらには使用されるモデル生物に応じて、非常に大きく異なることが多い。例えば、生RSVを用いた、またはRSVFタンパク質をコードする複製ベクターを用いた免疫化は、優勢なTH1応答を伴って中和抗F抗体およびCD8+CTLの産生を誘導する:両方ともワクチン接種後にウイルスに曝露された時の最小限の肺病理と関連する[Y.Murata(2009)および本明細書に引用される参考文献]。対照的に、FI不活化RSV調製物を用いた免疫化は、CD8+CTL応答を全く示さずに優勢なTH2応答を誘導し、における病理変化の増加をもたらす[Y.Murata(2009)および本明細書に引用される参考文献]。興味深いことに、精製サブユニットワクチンとしてのまたは複製ベクター中におけるRSVGタンパク質の投与は、優勢なTH2応答を誘導し、最終的には、ワクチン接種後にウイルスに曝露されると、FI−RSVで観察された重篤な疾患に非常に類似した応答である好酸球性肺浸潤および気道過敏性を引き起こす[Y.Murata(2009)および本明細書に引用される参考文献]。さらに、RSV Fタンパク質をコードする改変ワクシニアウイルスアンカラ(MVA)のワクチン接種は、仔ウシにおいて抗F抗体およびF特異的CD8+T細胞を誘導し、一方、MVA−F+MVA−Gのワクチン接種は、抗Fおよび抗G抗体は誘導したが、FまたはG特異的CD8+T細胞は誘導しなかった[A.F.G.Antonis et al.(2007)]。

Fタンパク質(VV−F)を発現するワクシニアウイルス(VV)を用いたマウスのワクチン接種は、強いCD8+T細胞応答を誘導し、FI−RSVで免疫したマウスと同様かまたはそれよりも多い体重損失を伴って、複製RSVの肺からのクリアランスをもたらした[W.Olszewska et al.(2004)]。しかしながら、それは、IL−4およびIL−5等のTH2サイトカインの分泌増大に起因する、FI−RSVまたはGタンパク質を発現するVV(VV−G)によって誘導される重篤な疾患(複合型のTH2応答、肺好酸球および体重損失)とは関連していなかった。当該技術分野の中には、細胞成分および液性成分の両方を含む比較的バランスの取れた免疫応答を誘導することができるRSVワクチンは、ワクチン接種後の曝露時に免疫病理の増強を示す可能性は低いと提唱する者もあった[W.Olszewska et al.(2004)]。

しかしながら、F、G、またはF+Gをコードする改変ワクシニアウイルスアンカラ(MVA)を用いたBALB/cマウスのワクチン接種は、液性応答(すなわち、バランスの取れたIgG1およびIgG2aの応答)およびTH1応答(すなわち、IFNγ/インターロイキン−12(IL−12)のレベルの増加およびインターロイキン−4(IL−4)/インターロイキン−5(IL−5)のレベルの減少)の両方を含む、まさにそのようなバランスの取れた免疫応答を誘導したが、それにもかかわらず、ワクチン接種した動物は、なおもある程度の体重損失を示した[W.Olszewska et al.(2004)]。

いくつかの異なるモデル系において、種々のワクチン候補によって誘導される免疫応答の性質および程度を特徴づけようと多大な労力を費やしたにもかかわらず、ワクチンのレシピエントを重篤な疾患に罹患し易くすることなく、RSVに対する持続的かつ完全な免疫を伝達するためには、正確にどのような種類の免疫応答が必要とされるかは、依然として明らかになっていない。RSVの臨床的負担と利用可能な治療および予防の選択肢との間の著しい不均衡のために、RSVワクチンの開発は、未だに満たされない医学的な必要性である。

概要

RSウイルス(RSV)による感染に対する改善されたワクチンとしての組換え改変ワクシニアウイルスアンカラ(MVA)株、並びにRSV感染症の診断方法の提供。RSV膜糖タンパク質の抗原決定基をコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列と、RSVヌクレオカプシドタンパク質の抗原決定基をコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列とを含む、遺伝子改変組換えMVAベクター、並びにRSV感染症を診断し、RSV感染症再発リスクがあるか、無菌免疫を獲得したかどうかを決定する方法の提供。

目的

本発明は、RSウイルス(RSV)膜糖タンパク質の抗原決定基をコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列と、RSVヌクレオカプシドタンパク質の抗原決定基をコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列とを含む、組換え改変ワクシニアウイルスアンカラ(MVA)を提供する

効果

実績

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請求項1

筋肉内投与は除外される、鼻腔内投与によってRSV感染症治療または予防するための、少なくとも1つのRSウイルス(RSV膜糖タンパク質抗原決定基をコードするヌクレオチド配列を含む、組換え改変ワクシニアウイルスアンカラ(MVA)。

請求項2

鼻腔内投与のみを含む、請求項1に記載の組換えMVA。

請求項3

前記組換えMVAは、RSVヌクレオカプシドタンパク質の抗原決定基をコードするヌクレオチド配列をさらに含む、請求項1または2に記載の組換えMVA。

請求項4

RSウイルス(RSV)膜糖タンパク質の抗原決定基をコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列と、RSVヌクレオカプシドの抗原決定基をコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列と、を含む、組換え改変ワクシニアウイルスアンカラ(MVA)。

請求項5

前記RSV膜糖タンパク質の抗原決定基をコードする前記ヌクレオチド配列は、RSVFおよび/またはRSVGの抗原決定基をコードする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組換えMVA。

請求項6

RSVヌクレオカプシドタンパク質の抗原決定基をコードする前記ヌクレオチド配列は、前記RSVNヌクレオカプシドおよび/またRSVM2マトリックスタンパク質の抗原決定基をコードする、請求項3〜5のいずれか1項に記載の組換えMVA。

請求項7

RSV膜糖タンパク質、好ましくは、前記RSVFまたは前記RSVG膜糖タンパク質の抗原決定基をコードする1つのヌクレオチド配列と、RSVヌクレオカプシドタンパク質、好ましくは前記RSVNまたは前記RSVM2タンパク質の抗原決定基をコードする1つのヌクレオチド配列と、を含む、前記請求項のいずれかに記載の組換えMVA。

請求項8

RSV膜糖タンパク質、好ましくは前記RSVFおよび/または前記RSVG膜糖タンパク質の抗原決定基をコードする2つのヌクレオチド配列と、RSVヌクレオカプシドタンパク質、好ましくは前記RSVNヌクレオカプシドまたは前記RSVM2マトリックスタンパク質の抗原決定基をコードする1つのヌクレオチド配列と、を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組換えMVA。

請求項9

RSV膜糖タンパク質、好ましくはRSVFおよび/またはRSVG膜糖タンパク質の抗原決定基をコードする2つのヌクレオチド配列と、RSVヌクレオカプシドタンパク質、好ましくはRSVNおよび/または前記RSVM2タンパク質の抗原決定基をコードする2つのヌクレオチド配列と、を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組換えMVA。

請求項10

RSV膜糖タンパク質、好ましくは、2つのRSVF膜糖タンパク質および/もしくは1つのRSVG膜糖タンパク質、または2つのRSVG膜糖タンパク質および/もしくは1つのRSVF膜糖タンパク質の抗原決定基をコードする3つのヌクレオチド配列と、RSVヌクレオカプシドタンパク質、好ましくは前記RSVNヌクレオカプシドおよび/または前記RSVM2マトリックスタンパク質の抗原決定基をコードする2つのヌクレオチド配列と、を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組換えMVA。

請求項11

RSV膜糖タンパク質、好ましくは2つのRSVF膜糖タンパク質および/または2つのRSVG膜糖タンパク質の抗原決定基をコードする4つのヌクレオチド配列と、RSVヌクレオカプシドタンパク質、好ましくは、前記RSVNヌクレオカプシドまたは前記RSVM2マトリックスタンパク質の抗原決定基をコードする1つのヌクレオチド配列と、を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組換えMVA。

請求項12

RSV膜糖タンパク質、好ましくは2つのRSVF膜糖タンパク質および/または2つのRSVG膜糖タンパク質の抗原決定基をコードする4つのヌクレオチド配列と、RSVヌクレオカプシドタンパク質、好ましくは前記RSVNおよび/または前記RSVM2タンパク質の抗原決定基をコードする2つのヌクレオチド配列と、を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組換えMVA。

請求項13

対象がRSV感染症再発リスクがあるかどうかを決定する方法であって、RT−qPCRにより前記対象から採取した試料中にRSVが存在するかどうかを決定し、RSVの存在は、RSV感染症再発の存在を示唆する、方法。

請求項14

対象がRSVに対する無菌免疫を獲得したかどうかを決定する方法であって、RT−qPCRにより前記対象から採取した試料中にRSVが存在するかどうかを決定し、RSVの存在は、対象がRSVに対する無菌免疫を獲得していないことを示唆する、方法。

請求項15

請求項14に記載の方法によってRSVに対する無菌免疫を獲得していないと診断された対象を免疫し、かつ/または前記対象において無菌免疫を誘導する方法であって、前記方法は前記組換えMVAの前記対象への鼻腔内投与を含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載の組換えMVA。

技術分野

0001

本発明は、呼吸器多核体ウイルス(RSVウイルス)による感染に対する改善されたワクチンとしての組換え改変ワクシニアウイルスアンカラ(MVAウイルス)、ならびに関連する製品、方法、および使用に関する。具体的には、本発明は、RSV膜糖タンパク質抗原決定基をコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列と、RSVヌクレオカプシドタンパク質の抗原決定基をコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列とを含む、遺伝子改変組換えMVAベクターに関する。本発明はまた、例えば、対象の免疫応答に影響を与えるのに適しているか、または、RSV感染症診断し、さらには対象がRSV感染症再発リスクがあるかどうかを決定するのに適した、その製品、方法、および使用にも関する。

背景技術

0002

RSVは、重大な呼吸器病原体である。急性下気道(LRT感染症は、世界中で、5未満の乳幼児および小児における著しい罹患率および死亡率の原因となっている[A.M.Aliyu et al.(2010),Bayero J.Pure Appl.Sci.3(1):147−155]。RSウイルス(RSV)は、LRT感染症の最も臨床的に重要な原因である:RSVによる一次感染は、一般的に2歳までに発生する[W.P.Glezen(1987),Ped.Virol.2:1−4;Y.Murata(2009),Clin.Lab.Med.29(4):725−739]。RSVの一次感染は、RSVに対する完全な免疫を誘導しないため、生涯を通じて頻繁に再感染が起こり、最も深刻な感染は、非常に幼い子供、非常に高齢成人、およびあらゆる年齢免疫不全患者に発生する[Y.Murata(2009)]。

0003

RSV感染者のうち40%もの多くの人々が、最終的には、入院を要する深刻なLRT疾患を発症するが、疾患の重症度および強度は、感染の規模および強度、ならびに宿主応答に依存する[Aliyu et al.(2010)]。RSVはまた、免疫系、呼吸器系、または心臓系に欠陥を有するあらゆる年齢の患者において深刻なLRT疾患を引き起こす可能性もあり、小児が後に喘息を発症する素因にもなり得る。米国だけでも、RSVは、1年間に推定126,000件の入院および300件の乳幼児の死亡の原因となっている[Y.Murata(2009)]。さらに、RSVは、高齢者患者、および心肺疾患または免疫抑制疾患を根底に有する患者の間で、毎、80,000件を超える入院および13,000件を超える死亡の原因となっている[Y.Murata(2009)]。呼吸器病原体としてのRSVの重要性にもかかわらず、現在のところ、安全かつ効果的なRSVワクチンが市場に存在しない。

0004

RSVは、パラミクソウイルス科亜科であるニューモウイルス属のエンベロープRNAウイルスである[Aliyu et al.(2010)]。各RSVビリオンは、8つの構造タンパク質(G、F、SH、M1、N、P、M2.1、およびL)と、3つの非構造タンパク質(NS1、NS2、およびM2.2)とを含む11個の別個のタンパク質をコードする10個の遺伝子を含有する(M2は2つの読み取り枠を含有する)、約15,191ヌクレオチドの非分割型マイナスセンス一本鎖RNA分子を含有する[Y.Murata(2009)]。ゲノムは、以下の順序でNS1からLへ連続的に転写される:3’−NS1−NS2−N−P−M1−SH−G−F−M2.1−M2.2−L−5’。

0005

ウイルスのエンベロープは、3つの膜貫通糖タンパク質(付着糖タンパク質(G)、融合糖タンパク質(F)、および低分子疎水性タンパク質(SH))、ならびにマトリックス(M1)タンパク質を含有する[Y.Murata(2009)]。RSVの複製中、ウイルスは、重度グリコシル化されたGタンパク質によって媒介されるプロセスにおいて標的細胞に最初に付着する。次いで、ウイルスは、Fタンパク質によって媒介されるプロセスにおいて宿主細胞と融合し、それによって細胞膜を透過して宿主細胞に進入する;Fタンパク質は、RSV感染細胞の特徴である合胞体の形成にも必要である。付着および融合プロセスは、SHタンパク質によって増強される。M1タンパク質は、エンベロープタンパク質FおよびG、ならびにヌクレオカプシドタンパク質N、P、およびM2.1と相互作用することにより、成熟RSVの構築を調節する(以下を参照)。エンベロープ内で、ウイルスRNAは、ヌクレオカプシドタンパク質(N)、リン酸化タンパク質(P)、転写伸長因子(M2.1)およびRNAポリメラーゼ(L)タンパク質からなる転写酵素複合体によってキャプシド形成される[Y.Murata(2009)]。Nは、ゲノムRNAと会合し、Pは、ウイルスRNAポリメラーゼLの補助因子である。M2.1は、ウイルス転写に必要な伸長因子であり、M2.2は、ウイルスゲノムの転写を調節する。最後に、NS1およびNS2が、I型インターフェロン活性阻害する。

0006

臨床的なRSV分離株は、抗原群(AまたはB)に従って分離され、各抗原群のウイルスゲノム内の遺伝的変異性に基づいて複数の遺伝子型(例えば、A群の,A2またはALong、およびB群のB1、CH−18537、または8/60)にさらに細分類される[Y.Murata(2009)]。分類は、付着糖タンパク質(Gタンパク質)に対するモノクローナル抗体とのウイルスの反応性に基づいており、種々の遺伝学解析によるものである。[M.Sato et al.,J.Clin.Microbiol.43(1):36−40(2005)]。ウイルス分離株の中でも、RSVによってコードされるいくつかのタンパク質は、アミノ酸配列のレベルで高度に保存される一方で(例えば、F)、他のタンパク質は、2つの主要な抗原群の間および中で広く異なる(例えば、G)[Y.Murata(2009)]。AおよびB抗原群のFタンパク質は、著しい相同性共有する。対照的に、Gタンパク質は、2つの抗原群の間で著しく異なる。

0007

Gタンパク質は、最も可変性が高いRSVタンパク質であり、その超可変性C末端領域は、株特異性エピトープの大部分を構成する。Gタンパク質の分子疫学および進化パターンは、RSVの臨床的および疫学的特徴に関する重要な情報を提供してきた。典型的には、いくつかの異なる遺伝子型が一度に循環し、毎年、地域で優勢な遺伝子型が変化し得る。しかしながら、RSVの臨床的および疫学的特徴にとっての株の多様性の重要性は、依然として十分に理解されていない。したがって、組換えRSVタンパク質は、遺伝子またはタンパク質がクローニングされた元のRSV株を示す株表示を伴う。例えば、RSV株ALongからクローニングされたGタンパク質は、G(ALong)、RSV ALong G、またはRSV ALong Gタンパク質と命名される。

0008

RSVは、感染した宿主において、ケモカインおよびサイトカイン分泌中和性液性抗体および粘膜抗体の産生、ならびにCD4+(例えば、TH1およびTH2)およびCD8+(例えば、CTL)T細胞の産生を含む、様々な免疫応答を刺激する。ウイルスはin vivoでの細胞病理を限定する原因となるため、そのような宿主免疫応答は、RSV感染症の臨床症状に大きく寄与する[Y.Murata(2009)]。RSVが誘導する疾患の表現型発現および重症度は、RSV感染症によって刺激される免疫応答の範囲内でのバランスおよび相互作用によって媒介されるようである[Y.Murata(2009)]。

0009

多くの以前の研究は、細胞性免疫応答および液性免疫応答が、RSVに対する免疫の誘導およびRSV感染症の治癒、ならびに疾患の進行において異なる役割を果たすことを提唱している[Y.Murata(2009)および本明細書の参考文献]。例えば、ヒト化抗F抗体を用いた研究は、抗RSV抗体が、感染の重症度を防止または制限するのに十分である一方で、それらは、ウイルス感染を排除するためには必要とされないことを示した[Y.Murata(2009);A.F.G.Antonis et al.(2007),Vaccine 25:4818−4827]。対照的に、T細胞応答は、確立されたRSV感染症を排除するために必要である[Y.Murata(2009)]。RSVが誘導するT細胞応答は、感染中の肺病理においても重要な役割を果たす。例えば、インターフェロン−γ(IFNγ)を分泌するTH1細胞(関連するCD8+CTL応答を伴うかまたは伴わない)は、最小限の肺病理をともなってRSVを排除し、インターロイキン4(IL−4)を分泌するTH2細胞もまた、RSVを排除するが、以前のワクチン臨床試験中に観察された重篤な疾患の特徴である好酸球浸潤を含む、著しい変化を伴うことが多い(以下を参照)。

0010

以下の項により詳しく記載するように、RSV感染症の免疫学ウイルス学、および生理学に関する豊富な情報が入手可能であるにもかかわらず、持続する免疫を誘導する一方で、同時に、ワクチン接種後にRSVに曝露された時に重篤な疾患を引き起こさないためには正確にどのような免疫応答が最も効果的である可能性が高いかは、依然として全く明らかになっていない。

0011

従来のワクチン開発
ワクチンは、典型的には、標的感染性因子または病原体(例えば、ウイルス、細菌、もしくは寄生虫)に対する保護免疫を誘導するために、以下を含むいくつかの戦略のうちの1つを使用する:(1)不活化病原体の調製;(2)生の弱毒化病原体(遺伝的に弱毒化した病原体株を含む)の調製;(3)精製タンパク質サブユニットワクチンの調製;(4)病原体抗原および/またはアジュバントをコードするウイルスベクターに基づくワクチン、および(5)病原体抗原をコードするDNAに基づくワクチン。

0012

1960年代に、米国でホルマリン不活化RSV(FI−RSV)ワクチンの有効性試験する臨床試験が実施され、散々な結果となるまで、初期のRSV ワクチンの開発努力は、不活化ウイルスの調製に焦点を合わせていた[M.R.Olson&S.M.Varga(2007),J.Immunol.179:5415−5424]。ワクチン接種を受けた有意な数の患者が、後にRSVに自然感染すると、好酸球および好中球の浸潤を特徴とする重篤な肺疾患およびかなりの炎症反応を発生した[Olson&Varga(2007),[Blanco JC et al.(2010)Hum Vaccin.6:482−92]。これらの患者の多くは、入院が必要であり、数人の危篤状態の患者が死亡した。その結果として、研究者たちは、より安全なRSVワクチンを開発するために、後に曝露された時の重篤な疾患の発症に寄与するウイルスおよび/または宿主因子探究を開始した。その研究により、RSVの生物学およびそれが誘導することができる広範囲の免疫応答に関する新しい情報が得られたが、安全かつ効果的なRSVワクチンは、依然として分からないままである。

0013

FI−RSV後のワクチン開発努力は、主としてG、F、およびより低い程度のN、またはM2を使用した単一抗原ワクチンに焦点を当てており、ウイルス抗原は、ウイルスベクターもしくはウイルス遺伝子発現するプラスミドDNAベクターによって、または精製タンパク質としてのいずれかで送達される。[例えば、W.Olszewska et al.(2004),Vaccine 23:215−221;G.Taylor et al.(1997),J.Gen.Virol.78:3195−3206;and L.S.Wyatt et al.(2000),ワクチン 18:392−397を参照のこと]。F+Gの組み合わせを用いたワクチン接種はまた、仔ウシコットンラット、およびBALB/cマウスにおいても試験され、様々な結果を示した[Antonis et al.(2007)(仔ウシ);B.Moss、1986年4月8日出願の米国特許出願第06/849,299号(「’299出願」)(コットンラット);およびL.S.Wyatt et al.(2000)(BALB/cマウス)]。FおよびGのどちらも、仔ウシ、マウス、ラット、ヒト、および少なくともある程度はマカク幼獣において免疫原性である[A.F.G.Antonis et al.(2007)(仔ウシ);B.Moss、’299出願(コットンラット);L.de Waal et al.(2004),ワクチン 22:923−926(マカク乳幼獣);L.S.Wyatt et al.(2000)(BALB/cマウス)];Y.Murata(2009)(ヒト)]。

0014

しかしながら、意義深いことに、RSVワクチン候補によって誘導される免疫応答の性質および種類は、使用されるワクチンの種類、選択される抗原、投与経路、およびさらには使用されるモデル生物に応じて、非常に大きく異なることが多い。例えば、生RSVを用いた、またはRSVFタンパク質をコードする複製ベクターを用いた免疫化は、優勢なTH1応答を伴って中和抗F抗体およびCD8+CTLの産生を誘導する:両方ともワクチン接種後にウイルスに曝露された時の最小限の肺病理と関連する[Y.Murata(2009)および本明細書に引用される参考文献]。対照的に、FI不活化RSV調製物を用いた免疫化は、CD8+CTL応答を全く示さずに優勢なTH2応答を誘導し、における病理変化の増加をもたらす[Y.Murata(2009)および本明細書に引用される参考文献]。興味深いことに、精製サブユニットワクチンとしてのまたは複製ベクター中におけるRSVGタンパク質の投与は、優勢なTH2応答を誘導し、最終的には、ワクチン接種後にウイルスに曝露されると、FI−RSVで観察された重篤な疾患に非常に類似した応答である好酸球性肺浸潤および気道過敏性を引き起こす[Y.Murata(2009)および本明細書に引用される参考文献]。さらに、RSV Fタンパク質をコードする改変ワクシニアウイルスアンカラ(MVA)のワクチン接種は、仔ウシにおいて抗F抗体およびF特異的CD8+T細胞を誘導し、一方、MVA−F+MVA−Gのワクチン接種は、抗Fおよび抗G抗体は誘導したが、FまたはG特異的CD8+T細胞は誘導しなかった[A.F.G.Antonis et al.(2007)]。

0015

Fタンパク質(VV−F)を発現するワクシニアウイルス(VV)を用いたマウスのワクチン接種は、強いCD8+T細胞応答を誘導し、FI−RSVで免疫したマウスと同様かまたはそれよりも多い体重損失を伴って、複製RSVの肺からのクリアランスをもたらした[W.Olszewska et al.(2004)]。しかしながら、それは、IL−4およびIL−5等のTH2サイトカインの分泌増大に起因する、FI−RSVまたはGタンパク質を発現するVV(VV−G)によって誘導される重篤な疾患(複合型のTH2応答、肺好酸球および体重損失)とは関連していなかった。当該技術分野の中には、細胞成分および液性成分の両方を含む比較的バランスの取れた免疫応答を誘導することができるRSVワクチンは、ワクチン接種後の曝露時に免疫病理の増強を示す可能性は低いと提唱する者もあった[W.Olszewska et al.(2004)]。

0016

しかしながら、F、G、またはF+Gをコードする改変ワクシニアウイルスアンカラ(MVA)を用いたBALB/cマウスのワクチン接種は、液性応答(すなわち、バランスの取れたIgG1およびIgG2aの応答)およびTH1応答(すなわち、IFNγ/インターロイキン−12(IL−12)のレベルの増加およびインターロイキン−4(IL−4)/インターロイキン−5(IL−5)のレベルの減少)の両方を含む、まさにそのようなバランスの取れた免疫応答を誘導したが、それにもかかわらず、ワクチン接種した動物は、なおもある程度の体重損失を示した[W.Olszewska et al.(2004)]。

0017

いくつかの異なるモデル系において、種々のワクチン候補によって誘導される免疫応答の性質および程度を特徴づけようと多大な労力を費やしたにもかかわらず、ワクチンのレシピエントを重篤な疾患に罹患し易くすることなく、RSVに対する持続的かつ完全な免疫を伝達するためには、正確にどのような種類の免疫応答が必要とされるかは、依然として明らかになっていない。RSVの臨床的負担と利用可能な治療および予防の選択肢との間の著しい不均衡のために、RSVワクチンの開発は、未だに満たされない医学的な必要性である。

0018

RSVワクチンを開発するための以前の失敗に終わった努力は、主として、RSV−FもしくはRSV−G膜糖タンパク質またはその両方を用いたワクチン接種に焦点を当てていたが、本発明者らは、RSV膜糖タンパク質の少なくとも1つの抗原決定基と、RSVヌクレオカプシドタンパク質の少なくとも1つの抗原決定基とを発現する組換えワクシニアウイルスアンカラ(MVA)のワクチン接種が、より良好な保護を誘導することを発見した。また、そのような構築物は、鼻腔経路によって適用されると、皮下適用と比較した場合、またはWyattらによって使用された筋肉内投与経路と比較した場合でも、ほぼ完ぺきな無菌免疫を誘導する[L.S.Wyatt et al.(2000)]。候補RSV ワクチンを鼻腔内に投与することによって、筋肉内投与と比較して強化された保護を得ることができる。

0019

RSVFもしくはRSV G膜糖タンパク質のいずれか(または両方)(例えば、MVA−mBN199B)を発現する組換えMVA、あるいはRSV膜糖タンパク質の少なくとも1つの抗原決定基と、RSVヌクレオカプシドタンパク質の少なくとも1つの抗原決定基とを発現する組換えMVA(例えば、MVA−mBN201B)では、本発明者らは、曝露後4日目に肺におけるRSVの複製を観察しなかったが、RSVゲノムは、なおもRT−qPCRによって検出可能であった。RSV膜糖タンパク質の少なくとも1つの抗原決定基と、RSVヌクレオカプシドタンパク質の少なくとも1つの抗原決定基とを発現する組換えMVA(例えば、MVA−mBN201B)は、RSVヌクレオカプシドタンパク質の抗原決定基に対してより強いCD8+T細胞応答を誘導したため、それらは、より良好な保護と、RT−qPCRによって検出可能なRSVウイルス負荷のより大きな減少を誘導した。鼻腔内経路によるそのような組換えウイルスの投与はさらに、そのような構築物が皮下投与された場合には見られない応答である粘膜免疫応答およびIgA抗体分泌を誘導したため、それらは、ほぼ完全な無菌免疫(RSVウイルス負荷がRT−qPCRによってほとんど検出不能である)を誘導した。

0020

FI−RSVとは対照的に、そのような構築物は、良好な抗体応答を生成するバランスの取れたTh1−免疫応答、およびRSV抗原に特異的な強い細胞性免疫応答を誘導する。良好なIgA抗体応答の誘導に加えて、従来の皮下投与から得られるものよりもさらに高いIgG抗体レベルを生成するワクチンの鼻腔内投与により、保護が改善され、体重損失が減少した。しかしながら、細胞性免疫応答の大きさは、投与経路とは無関係である。興味深いことに、本発明者らは、RSV投与によって誘導されたT細胞応答と同様の、RSV膜糖タンパク質の抗原決定基をコードする少なくとも1つの異種ヌクレオチド配列と、RSVヌクレオカプシドタンパク質の抗原決定基をコードする少なくとも1つの異種ヌクレオチド配列とを発現する組換えMVA(例えば、RSV F、G、N、およびM2タンパク質を発現するMVA−mBN201B)によって誘導されるT細胞応答のパターンを、かなり高くはあったが、観察した。

0021

したがって、第1の態様において、本発明は、RSウイルス(RSV)膜糖タンパク質の抗原決定基をコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列と、RSVヌクレオカプシドタンパク質の抗原決定基をコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列とを含む、組換え改変ワクシニアウイルスアンカラ(MVA)を提供する。

0022

改変ワクシニアウイルスアンカラ(MVA)
MVAは、Vaccination Institute(Ankara,Turkey)で何年も維持され、ヒトのワクチン接種のための基盤として使用されていた皮膚ワクシニア株アンカラのニワトリ胚線維芽細胞で570を超える連続継代によって産生される[漿尿膜ワクシニアウイルスアンカラウイルス、CVA;検討にはMayr et al.(1975),Infection 3,6−14を参照]。しかしながら、ワクシニアウイルスに関連したワクチン接種後の合併症重症であることが多いため、より弱毒化された、より安全な天然痘ワクチンを作製しようとするいくつかの試みがあった。

0023

1960〜1974の期間中、Anton Mayr教授が、CEF細胞において570を超える連続継代によりCVAを弱毒化することに成功した[Mayr et al.(1975)].様々な動物モデルにおいて、得られたMVAが非病原性であることが示された[Mayr,A.&Danner,K.(1978),Dev.Biol.Stand.41:225−234]。天然痘前ワクチンとしてのMVAの初期開発の一環として、ワクシニアによる有害反応のリスクがある対象において、Lister Elstreeと併用してMVA−517を用いた臨床試験が行われた[Stickl(1974),Prev.Med.3:97−101;Stickl and Hochstein−Mintzel(1971),Munich Med.Wochenschr.113:1149−1153]。1976年に、MVA−571原種(571番目の継代に相当する)に由来するMVAが、2段階の非経口天然痘ワクチン接種プログラムにおける予備刺激ワクチンとしてドイツで登録された。続いて、大半が1〜3歳の小児である約120,000人の白人個体にMVA−572を使用した:対象の多くはワクシニアに関連する合併症のリスクが高い集団内であったが、重度の副作用報告されなかった(Mayr et al.(1978),Zentralbl.Bacteriol.(B)167:375−390)。MVA−572は、European Collection of Animal Cell CulturesにECACCV94012707として受託された。

0024

MVAを弱毒化するために用いられた継代の結果として、CEF細胞における継代数に応じて多くの異なる株または単離株が存在する。例えば、MVA−572は、天然痘撲滅プログラムの間にドイツで使用され、MVA−575は、動物用ワクチンとして広く使用された。MVA−575は、2000年12月7日に、European Collection of Animal Cell Cultures(ECACC)に受託番号V00120707で受託された。初代ニワトリ胚線維芽細胞上でCVAを連続繁殖することにより(570を超える継代)、弱毒化CVA−ウイルスMVA(改変ワクシニアウイルスアンカラ)を得た。

0025

1970年代に、Mayrらが、MVA はヒトおよび哺乳動物において高度に弱毒化され、非病原性であることを証明したが、一部の研究者は、哺乳類細胞株およびヒト細胞株において残存複製が起こる可能性があるため、MVAが完全には弱毒化されないと報告している[Blanchard et al.(1998),J Gen Virol 79:1159−1167;Carroll&Moss(1997),Virology 238:198−211;U.S.Pat.No.5,185,146;Ambrosini et al.(1999),J Neurosci Res 55:569]。使用されたウイルスは、その特性、特に種々の細胞株におけるそれらの成長挙動が、本質的に異なるため、これらの刊行物で報告された結果は、様々な既知のMVA株を用いて得られたものであると推察される。そのような残存複製は、ヒトにおける使用に関連した安全性の懸念を含む種々の理由から望ましくない。

0026

より安全な製品、例えばワクチンまたは医薬品を開発するために、強化された安全性プロファイルを有するMVAの株がBavarian Nordicによって開発された:MVAは、Bavarian Nordicによってさらに継代され、MVA−BNと命名されている。MVAおよびMVA−BNは、祖先CVAウイルスと比較してゲノムの約15%(6つの領域から31kb)を欠損している。この欠失は、多くの病原性および宿主範囲遺伝子、ならびにA型封入体の遺伝子に影響を与える。継代583に相当するMVA−BNの試料は、2000年8月30日に、European Collection of Cell Cultures(ECACC)で番号V00083008の下に受託された。

0027

MVA−BNは、ウイルスによってコードされる遺伝子が非常に効率的に発現されるヒト細胞に付着して、該細胞内に進入することができる。しかしながら、子孫ウイルスの構築および放出は起こらない。MVA−BNは、初代ニワトリ胚線維(CEF)細胞に強く適合されており、ヒト細胞中では複製しない。ヒト細胞中では、ウイルス遺伝子は発現されるが、感染性ウイルスは生成されない。MVA−BNは、米国のCenters for Disease Control and Preventionによってバイオセイフティレベル1の生物として分類されている。MVA−BNおよび誘導体の調製物は、多くの種類の動物、および免疫不全の個体を含む2000人を超えるヒト対象に投与されてきた。全てのワクチン接種は、一般的に安全であり、良好な忍容性を示すことが証明されている。その高度な弱毒化および病原性の低下にもかかわらず、前臨床試験において、MVA−BNは、MVAゲノム内にクローニングされた遺伝子によってコードされるワクチンおよび異種遺伝子産物に対して、液性免疫応答および細胞性免疫応答の両方を誘発することが示されている[E.Harrer et al.(2005),Antivir.Ther.10(2):285−300;A.Cosma et al.(2003),Vaccine 22(1):21−9;M.Di Nicola et al.(2003),Hum.Gene Ther.14(14):1347−1360;M.Di Nicola et al.(2004),Clin.Cancer Res.,10(16):5381−5390]。

0028

MVAの「誘導体」または「変異体」は、本明細書に記載のMVAと本質的に同じ複製特徴を示すが、それらのゲノムの1つ以上の部分で相違を示すウイルスを指す。MVA−BNおよびMVA−BNの誘導体または変異体は、ヒトおよびマウス(たとえ重度に免疫抑制されたマウスであっても)においてin vivoで繁殖的に複製することができない。より具体的には、MVA−BNまたはMVA−BNの誘導体もしくは変異体は、ニワトリ胚線維芽細胞(CEF)においても繁殖的に複製する能力を有するが、ヒトケラチノサイト細胞株HaCat[Boukamp et al(1988),J Cell Biol 106:761−771]、ヒトの骨の骨肉腫細胞株143B(ECACC番号91112502)、ヒト胚性腎臓細胞株293(ECACC番号85120602)、およびヒト頚部腺癌細胞株HeLa(ATCC番号CCL−2)において繁殖的に複製する能力を有しないことが好ましい。さらに、MVA−BNの誘導体または変異体は、Hela細胞およびHaCaT細胞株におけるMVA−575よりも少なくとも2倍少ない、より好ましくは3倍少ないウイルス複製率を有する。MVA変異体のこれらの特性に関する試験およびアッセイは、国際特許公開WO 02/42480(米国特許第2003/0206926号)および国際特許公開WO 03/048184(米国特許第2006/0159699号)に記載されている(両方とも、参照により本明細書に組み込まれる)。

0029

ウイルスの増殖または複製は、通常、「複製率」と称される、最初に細胞を感染させるためにもともと使用した量(入力値)に対する感染細胞から生成されたウイルス(出力値)の比率として表される。複製率「1」は、感染細胞から生成されたウイルスの量が、細胞を感染させるために最初に使用した量と同じである複製状態を定義し、感染細胞がウイルスの感染および繁殖を許容することを意味する。対照的に、1未満の複製率、すなわち、入力レベルと比較した出力レベルの減少は、繁殖的複製の欠如、ひいてはウイルスの弱毒化を示唆する。

0030

MVAに基づくワクチンの利点は、それらの安全性プロファイルおよび大規模ワクチン生成の利用可能性を含む。前臨床試験によって、MVA−BNが、他のMVA株と比較して優れた弱毒化および有効性を示すことが明らかになっている(国際特許公開WO02/42480)。MVA−BN株のさらなる特性は、DNA予備刺激/ワクシニアウイルス追加免疫計画と比較した時に、ワクシニアウイルス予備刺激/ワクシニアウイルス追加免疫計画において実質的に同じレベルの免疫を誘導する能力である。

0031

本明細書において最も好ましい実施形態である組換えMVA−BNウイルスは、哺乳類細胞におけるそれらの複製欠損性およびそれらの十分に確立された非病原性のために、安全であると考えられる。さらに、その有効性に加えて、産業規模での製造可能性が有益であり得る。その上、MVAに基づくワクチンは、複数の異種抗原を送達することができ、液性免疫細胞性免疫の同時誘導を可能にする。

0032

別の態様において、組換えウイルスを作製するのに好適なMVAウイルス株は、株MVA−572、MVA−575、または任意の同様に弱毒化されたMVA株であり得る。また、欠失型漿尿膜ワクシニアウイルスアンカラ(dCVA)等の変異MVAも好適であり得る。dCVAは、MVAゲノムのdel I、del II、del III、del IV、del V、およびdel VI欠失部位を含む。これらの部位は、複数の異種配列の挿入に特に有用である。dCVAは、ヒト細胞株(ヒト293、143B、およびMRC−5細胞株等)において繁殖的に複製することができ(10を超える増幅率)、ウイルスに基づくワクチン接種戦略に有用なさらなる突然変異により最適化を可能にする(国際特許公開WO 2011/092029を参照)。

0033

定義
「抗原決定基」という用語は、宿主の免疫系を刺激して、細胞応答および/または液性抗体応答のいずれかの抗原特異的免疫応答を起こす任意の分子を指す。抗原決定基は、宿主においてなおも免疫応答を誘発し、抗原の一部を形成するタンパク質、ポリペプチド抗原タンパク質断片、抗原、およびエピトープ;例えば、グリコシル化タンパク質、ポリペプチド、抗原タンパク質断片、抗原およびエピトープを含む、タンパク質、ポリペプチド、ならびに抗原タンパク質断片、抗原およびエピトープの相同体または変異体;そしてそのような分子をコードするヌクレオチド配列を含んでもよい。したがって、タンパク質、ポリペプチド、抗原タンパク質断片、抗原およびエピトープは、特定の天然ヌクレオチドまたはアミノ酸配列に限定されないが、天然の配列と同一な配列、ならびに欠失、付加、挿入、および置換等の天然の配列に対する修飾を包含する。

0034

好ましくは、そのような相同体または変異体は、ヌクレオチドまたはアミノ酸配列のレベルで、参照タンパク質、ポリペプチド、抗原タンパク質断片、抗原およびエピトープと、少なくとも約50%、少なくとも約60%または65%、少なくとも約70%または75%、少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、または89%、より典型的には、少なくとも約90%、91%、92%、93%、または94%、さらにより典型的には、少なくとも約95%、96%、97%、98%、または99%、最も典型的には、少なくとも約99%の同一性を有する。相同体または変異体という用語はまた、切断した、欠失させた、もしくは別様に修飾したヌクレオチドまたはタンパク質配列、例えば、(1)全長RSV−FもしくはRSV−Gタンパク質のシグナルペプチドならびに膜貫通および/もしくは細胞質ドメインを欠損した、対応するRSV−FもしくはRSV−Gタンパク質の可溶形態をコードするRSV−FもしくはRSV−Gヌクレオチド配列、(2)全長RSV−M2もしくはRSV−Nタンパク質の欠失させた、切断した、もしくは別様に変異させた型をコードするRSV−M2もしくはRSV−Nヌクレオチド配列、(3)全長RSV−FもしくはRSV−Gタンパク質のシグナルペプチドならびに膜貫通ドメインおよび/もしくは細胞質ドメインを欠損した、RSV−FもしくはRSV−Gタンパク質の可溶形態、または(4)全長RSV−M2もしくはRSV−Nタンパク質の欠失させた、切断した、もしくは別様に変異させた型を包含する。

0035

核酸アミノ酸との間の配列同一性を決定するための技術は、当該技術分野で既知である。2つ以上の配列の「パーセント同一性」を決定することにより、それらを比較することができる。2つの配列のパーセント同一性は、核酸またはアミノ酸配列であろうと、整列させた2つの配列間の正確な一致の数を、より短い配列の長さで除して、100を乗じたものである。

0036

本明細書に記載のタンパク質、ポリペプチド、抗原タンパク質断片、抗原およびエピトープに対する「アミノ酸配列同一性パーセント(%)」は、最大パーセント配列同一性を達成するために、配列を整列させ、必要であればギャップを導入した後に、参照配列(すなわち、それが由来するタンパク質、ポリペプチド、抗原タンパク質断片、抗原またはエピトープ)中のアミノ酸残基と同一である候補配列中のアミノ酸残基の百分率として定義され、いずれの保存的置換も配列同一性の一部であるとは見なされない。アミノ酸配列同一性パーセントを決定する目的のためのアライメントは、当該技術分野の技術の範囲内の種々の方法で、例えば、BLAST、ALIGN、またはMegalign(DNASTAR)ソフトウェア等の公的に入手可能なコンピュータソフトウェアを使用して得ることができる。当業者は、比較される配列の全長にわたって最大のアライメントを得るために必要とされる任意のアルゴリズムを含む、アライメントを測定するための適切なパラメータを決定することができる。

0037

同じことが「ヌクレオチド配列同一性パーセント(%)」にも準用される。

0038

例えば、核酸配列に適切なアライメントは、Smith and Waterman,(1981),Advances in Applied Mathematics 2:482−489の局所相同性アルゴリズムによって提供される。このアルゴリズムは、Dayhoff,Atlas of Protein Sequences and Structure,M.O.Dayhoff ed.,5 suppl.3:353−358,National Biomedical Research Foundation,Washington,D.C.,USAによって開発されたスコアリングマトリックスを使用してアミノ酸配列に適用し、Gribskov(1986),Nucl.AcidsRes.14(6):6745−6763によって正規化することができる。配列のパーセント同一性を決定するためのこのアルゴリズムの例示的な実装は、「BestFit」ユーティリティアプリケーション内のGenetics Computer Group(Madison,Wis.)によって提供される。この方法のためのデフォルトパラメータは、Wisconsin Sequence Analysis Package Program Manual,Version 8(1995)(available from Genetics Computer Group,Madison,Wis.)に記載されている。本発明の文脈においてパーセント同一性を確立する好ましい方法は、University of Edinburgh,developed by John F.Collins and Shane S.Sturrok,and distributed by IntelliGenetics,Inc.(Mountain View,Calif)に著作権があるプログラムのMPSRCHパッケージを使用することである。この一連のパッケージから、Smith−Watermanアルゴリズムを用いることができ、スコア表にデフォルトパラメータが使用される(例えば、ギャップオープンペナルティ12、ギャップ伸長ペナルティ1、およびギャップ6)。作成されたデータから、「一致」の値が「配列同一性」を反映する。配列間のパーセント同一性または類似性を計算するための他の好適なプログラムは、当該技術分野で一般的に知られており、例えば、別のアライメントプログラムは、デフォルトパラメータを用いて使用されるBLASTである。例えば、BLASTNおよびBLASTPは、以下のデフォルトパラメータを用いて使用することができる:遺伝コード標準フィルタ=なし;鎖=両方;カットオフ=60;予想=10;マトリックス=BLOSUM62;記述=50 配列;分別=HIGHSCORE;データベース=非冗長GenBankEMBLDDBJ+PDB+GenBank CDS翻訳+Swissタンパク質+Spupdate+PIR。これらのプログラムの詳細は、以下のインターネットアドレス見出すことができる:http://http://blast.ncbi.nlm.nih.gov/。

0039

本明細書で使用される場合、「異種」遺伝子、核酸、抗原、またはタンパク質は、野生型ポックスウイルスゲノムには存在しない核酸またはアミノ酸配列(例えば、MVA)であると理解される。当業者は、MVA等のポックスウイルスに存在する場合、「異種遺伝子」は、宿主細胞への組換えポックスウイルスの投与後、対応する異種遺伝子産物として、すなわち、「異種抗原」および/または「異種タンパク質」として発現されるような様式で、ポックスウイルスゲノム中に組み入れられるべきであることを理解する。発現は、通常、ポックスウイルスに感染した細胞における発現を可能にする調節要素に異種遺伝子を作動可能に連結することによって達成される。好ましくは、調節要素は、天然または合成ポックスウイルスプロモーターを含む。

0040

本明細書で使用される「無菌免疫」は、RT−qPCR等の高感度検出法が適用される場合に検出可能なRSVゲノムの非存在下における保護免疫を意味する。

0041

本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈上そうではないと明らかに指示のない限り、複数形の指示対象を含むことに留意されなければならない。したがって、例えば、「エピトープ(an epitope)」への言及は、1つ以上のエピトープを含み、「方法(the method)」への言及は、変更することができるか、または本明細書に記載の方法で置き換えることができる、当業者に既知の均等のステップおよび方法への言及を含む。

0042

別途指定のない限り、一連の要素に先行する「少なくとも」という用語は、一連のあらゆる要素を指すと理解されたい。当業者は、日常的な実験を用いるだけで、本明細書に記載の本発明の特定の実施形態の多くの均等物を認識もしくは確認することができるであろう。そのような均等物は、本発明に包含されることが企図される。

0043

本明細書およびそれに続く特許請求の範囲を通じて、文脈上、別途要求のない限り、「含む(comprise)」という語、ならびに「含む(comprises)」および「含む(comprising)」等の変化形は、記載される整数もしくは段階または整数もしくは段階の群を包含するが、任意の他の整数もしくは段階または整数もしくは段階の群を除外しないことを意味すると理解されたい。本明細書で使用される場合、「含む(comprising)」という用語は、「含む(containing)」もしくは「含む(including)」という用語に置き換えることができるか、または、本明細書で使用される場合、時には「有する」という用語に置き換えることができる。前述の用語(含む(comprising)、含む(containing)、含む(including)、有する)のいずれも、あまり好まれないが、本発明の態様または実施形態の文脈において本明細書で使用される場合はいつも、「〜からなる」という用語に置き換えることができる。

0044

本明細書で使用される場合、「〜からなる」は、特許請求の範囲の構成要件に規定されていないあらゆる要素、ステップ、または成分も除外する。本明細書で使用される場合、「〜から本質的になる」は、特許請求の範囲の基本的かつ新規の特徴に実質的に影響しない材料またはステップを除外しない。

0045

本明細書で使用される場合、列挙される複数の要素の間の「および/または」という接続語は、個々の選択肢および組み合わせた選択肢の両方を包含すると解釈されたい。例えば、2つの要素が「および/または」によって結合される場合、最初の選択肢は、第2の要素を含まない第1の要素の適用性に言及する。第2の選択肢は、第1の要素を含まない第2の要素の適用性に言及する。第3の選択肢は、第1の要素および第2の要素の一緒の適用性に言及する。これらの選択肢のいずれも、本明細書で使用される「および/または」という用語の意味の範囲内に属し、従って、その要件を満たすと理解されたい。選択肢のうちの1つより多くの同時適用性もまた、「および/または」という用語の意味の範囲内に属し、従って、その要件を満たすと理解されたい。
RSVのヌクレオチド配列およびタンパク質
本明細書で述べるRSV遺伝子は、たとえ、株または分離株間で遺伝子の正確な配列および/またはゲノムの位置が異なる可能性がある場合であっても、任意のRSV株または分離株の対応するタンパク質をコードする遺伝子、またはその遺伝子の相同体もしくは変異体を指す。

0046

同様に、本明細書で述べるRSVタンパク質は、上で定義した対応するタンパク質遺伝子によってコードされ、かつ発現されるタンパク質、またはそのタンパク質の相同体もしくは変異体を指す。

0047

例として、本明細書において交換可能に使用される場合、「Fタンパク質遺伝子」、「F糖タンパク質遺伝子」、「RSVFタンパク質遺伝子」、「RSV F糖タンパク質遺伝子」、またはF遺伝子」という用語は、たとえ、株または分離株間でFタンパク質遺伝子の正確な配列および/またはゲノムの位置が異なる可能性がある場合であっても、任意のRSV株または分離株の膜貫通融合糖タンパク質をコードする遺伝子、またはその遺伝子の相同体もしくは変異体を指す。例えば、RSVのA2株において、F(A2)タンパク質遺伝子は、GenBank受入番号M11486で番号付けされたヌクレオチド5601〜7499(エンドポイントを含む)を含む。F(A2)タンパク質遺伝子は、GenBank 受入番号 M11486で番号付けされたヌクレオチド5614〜7338(エンドポイントを含む)に及ぶ読み取り枠(ORF)をコードするタンパク質をさらに含む。RSV A2からのFタンパク質遺伝子のヌクレオチド配列は、配列番号28に記載される。

0048

また、上で定義したRSVFタンパク質遺伝子によってコードされ、かつ発現される重度にグリコシル化された膜貫通融合糖タンパク質、またはそのタンパク質の相同体もしくは変異体を指す「Fタンパク質」、「F糖タンパク質」、「RSV Fタンパク質」、「RSV F糖タンパク質」、または「F」という用語も、本明細書において交換可能に使用される。RSV A2からのFタンパク質のアミノ酸配列は、配列番号29に記載される。RSV(A2)Fタンパク質は、シグナルペプチド、細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞質ドメインを含む(例えば、UniProtKB/Swiss−Prot受入番号P03420を参照)。RSV A2 Fタンパク質のシグナルペプチドは、配列番号29のアミノ酸1〜21;配列番号29のアミノ酸1〜529または配列番号29のアミノ酸22〜529からなるRSV A2 Fタンパク質の細胞外ドメイン;配列番号29のアミノ酸530〜550からなるRSV A2 Fタンパク質の膜貫通ドメイン;および配列番号29のアミノ酸551−574からなるRSV A2 Fタンパク質の細胞質ドメインからなる。

0049

同様に、「Gタンパク質遺伝子」、「G糖タンパク質遺伝子」、「RSVGタンパク質遺伝子」、「RSV G糖タンパク質遺伝子」、または「G遺伝子」という用語も、本明細書において交換可能に使用される。例えば、RSVのA2株において、G(A2)タンパク質遺伝子は、GenBank受入番号M11486で番号付けされたヌクレオチド4626〜5543(エンドポイントを含む)を含む。G(A2)タンパク質遺伝子は、GenBank 受入番号 M11486で番号付けされたヌクレオチド4641〜5537(エンドポイントを含む)に及ぶ読み取り枠(ORF)をコードするタンパク質をさらに含む。RSV A2からのGタンパク質遺伝子のヌクレオチド配列は、配列番号30に記載される。

0050

「Gタンパク質」、「G糖タンパク質」、「RSVGタンパク質」、「RSV G糖タンパク質」、または「G」という用語は、重度にグリコシル化された膜貫通付着糖タンパク質、またはそのタンパク質の相同体もしくは変異体を指す。RSV A2からのGタンパク質のアミノ酸配列は、配列番号31に記載される。RSV A2 Gタンパク質は、細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞質ドメインを含む(例えば、UniProtKB/Swiss−Prot受入番号P03423を参照)。RSV A2 Gタンパク質の細胞外ドメインは、配列番号31のアミノ酸67〜298;配列番号31のアミノ酸38〜66からなるRSV A2 Gタンパク質の膜貫通ドメイン;および配列番号31のアミノ酸1〜37からなるRSV A2 Gタンパク質の細胞質ドメインからなる。

0051

また、「M2タンパク質遺伝子」、「M2ヌクレオカプシドタンパク質遺伝子」、「RSVM2タンパク質遺伝子」、「RSV M2マトリックスタンパク質遺伝子」、「RSV M2ヌクレオカプシドタンパク質遺伝子」、または「M2 gene」という用語も、本明細書において交換可能に使用される。例えば、RSVのA2株において、M2(A2)タンパク質遺伝子は、GenBank受入番号M11486で番号付けされたヌクレオチド7550〜8506(エンドポイント含む)を含む。M2(A2)タンパク質遺伝子は、GenBank 受入番号 M11486で番号付けされたヌクレオチド7559〜8143(エンドポイントを含む)に及ぶ読み取り枠(ORF)をコードするタンパク質をさらに含む。RSV A2からのM2タンパク質遺伝子のヌクレオチド配列は、配列番号32に記載される。

0052

「M2タンパク質」、「M2ヌクレオカプシドタンパク質」、「RSVM2タンパク質」、「RSV M2ヌクレオカプシドタンパク質」、「RSV M2マトリックスタンパク質」、または「M2」という用語は、本明細書において交換可能に使用される。RSV A2からのM2タンパク質のアミノ酸配列は、配列番号33に記載される(例えば、UniProtKB/Swiss−Prot受入番号P04545を参照)。

0053

また、「Nタンパク質遺伝子」、「Nヌクレオカプシドタンパク質遺伝子」、「RSVNタンパク質遺伝子」、「RSV Nヌクレオカプシドタンパク質遺伝子」、または「N gene」という用語も、交換可能に使用されてもよい。例えば、RSVのA2株において、N(A2)タンパク質遺伝子は、GenBank受入番号M11486で番号付けされたヌクレオチド1081〜−2277(エンドポイントを含む)を含む。N(A2)タンパク質遺伝子は、GenBank 受入番号 M11486で番号付けされたヌクレオチド 1096〜2271(エンドポイントを含む)に及ぶ読み取り枠(ORF)をコードするタンパク質をさらに含む。RSV A2からのNタンパク質遺伝子のヌクレオチド配列は、配列番号34に記載される。

0054

RSVA2からの(本明細書において交換可能に使用される用語である)「Nタンパク質」、「Nヌクレオカプシドタンパク質」、「RSV Nタンパク質」、「RSV Nヌクレオカプシドタンパク質」、または「N」のアミノ酸配列は、配列番号35に記載される(例えば、UniProtKB/Swiss−Prot受入番号P03418を参照)。

0055

本発明の特定の実施形態
特定の実施形態において、組換えMVAは、RSV膜糖タンパク質の抗原決定基をコードする少なくとも1つの異種ヌクレオチド配列を発現する。特定の実施形態において、RSV膜糖タンパク質の抗原決定基をコードする少なくとも1つの異種ヌクレオチド配列は、RSVF抗原決定基をコードする。特定の実施形態において、RSV膜糖タンパク質の抗原決定基をコードする少なくとも1つの異種ヌクレオチド配列は、RSVG抗原決定基をコードする。特定の実施形態において、RSV F抗原決定基は、RSV株A2に由来する。特定の実施形態において、RSV G抗原決定基は、RSV株A2に由来する。

0056

特定の実施形態において、組換えMVAは、各々がRSV膜糖タンパク質の抗原決定基をコードする2つの異種ヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態において、RSV膜糖タンパク質の第1の抗原決定基は、RSVF抗原決定基であり、RSV膜糖タンパク質の第2の抗原決定基は、RSVG抗原決定基である。特定の実施形態において、RSV F抗原決定基は、RSV株A2に由来する。特定の実施形態において、RSV G抗原決定基は、RSV株A2に由来する。特定の実施形態において、RSV F抗原決定基およびRSV G抗原決定基の両方が、RSV株A2に由来し得る。

0057

特定の実施形態において、組換えMVAは、RSV膜糖タンパク質の抗原決定基をコードする少なくとも1つの異種ヌクレオチド配列と、RSVヌクレオカプシドタンパク質の抗原決定基をコードする少なくとも1つの異種ヌクレオチド配列とを発現する。特定の実施形態において、RSV膜糖タンパク質の抗原決定基をコードする少なくとも1つの異種ヌクレオチド配列は、RSV F抗原決定基をコードし、RSVヌクレオカプシドタンパク質の抗原決定基をコードする少なくとも1つの異種ヌクレオチド配列は、RSV M2抗原決定基をコードする。特定の実施形態において、RSV膜糖タンパク質の抗原決定基をコードする少なくとも1つの異種ヌクレオチド配列は、RSV F抗原決定基をコードし、RSVヌクレオカプシドタンパク質の抗原決定基をコードする少なくとも1つの異種ヌクレオチド配列は、RSV N抗原決定基をコードする。特定の実施形態において、RSV膜糖タンパク質の抗原決定基をコードする少なくとも1つの異種ヌクレオチド配列は、RSVG抗原決定基をコードし、RSVヌクレオカプシドタンパク質の抗原決定基をコードする少なくとも1つの異種ヌクレオチド配列は、RSV M2抗原決定基をコードする。特定の実施形態において、RSV膜糖タンパク質の抗原決定基をコードする少なくとも1つの異種ヌクレオチド配列は、RSV G抗原決定基をコードし、RSVヌクレオカプシドタンパク質の抗原決定基をコードする少なくとも1つの異種ヌクレオチド配列は、RSV N抗原決定基をコードする。

0058

特定の実施形態において、組換えMVAは、各々がRSV膜糖タンパク質の抗原決定基をコードする2つの異種ヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態において、RSV膜糖タンパク質の第1の抗原決定基は、RSVF抗原決定基であり、RSV膜糖タンパク質の第2の抗原決定基は、RSVG抗原決定基である。特定の実施形態において、組換えMVAは、各々がRSV膜糖タンパク質の抗原決定基をコードする2つの異種ヌクレオチド配列と、RSVヌクレオカプシドタンパク質の抗原決定基をコードする少なくとも1つの異種ヌクレオチド配列とを含む。特定の実施形態において、RSV膜糖タンパク質の第1の抗原決定基は、RSV F抗原決定基であり、RSV膜糖タンパク質の第2の抗原決定基は、RSV G抗原決定基であり、RSVヌクレオカプシドタンパク質の抗原決定基は、RSV M2抗原決定基である。特定の実施形態において、RSV膜糖タンパク質の第1の抗原決定基は、RSV F抗原決定基であり、RSV膜糖タンパク質の第2の抗原決定基は、RSV G抗原決定基であり、RSVヌクレオカプシドタンパク質の抗原決定基は、RSV N抗原決定基である。特定の実施形態において、RSV F抗原決定基およびRSV G抗原決定基の両方が、RSV株A2に由来し得る。

0059

特定の実施形態において、組換えMVAは、各々がRSV膜糖タンパク質の抗原決定基をコードする2つの異種ヌクレオチド配列と、各々がRSVヌクレオカプシドタンパク質の抗原決定基をコードする2つの異種ヌクレオチド配列とを含む。特定の実施形態において、RSV膜糖タンパク質の第1の抗原決定基は、RSV F抗原決定基であり、RSV膜糖タンパク質の第2の抗原決定基は、RSVG抗原決定基であり、RSVヌクレオカプシドタンパク質の第1の抗原決定基は、RSV M2抗原決定基であり、RSVヌクレオカプシドタンパク質の第2の抗原決定基は、RSV N抗原決定基である。特定の実施形態において、RSV F抗原決定基および RSV G抗原決定基の両方が、RSV株A2に由来する。

0060

特定の実施形態において、組換えMVAは、各々がRSV膜糖タンパク質の抗原決定基をコードする3つの異種ヌクレオチド配列と、各々がRSVヌクレオカプシドタンパク質の抗原決定基をコードする2つの異種ヌクレオチド配列とを含む。特定の実施形態において、RSV膜糖タンパク質の第1の抗原決定基は、RSV F抗原決定基であり、RSV膜糖タンパク質の第2の抗原決定基は、RSVG抗原決定基であり、RSVヌクレオカプシドタンパク質の第1の抗原決定基は、RSV M2抗原決定基であり、RSVヌクレオカプシドタンパク質の第2の抗原決定基は、RSV N抗原決定基である。特定の実施形態において、RSV膜糖タンパク質の第1の抗原決定基およびRSV膜糖タンパク質の第2の抗原決定基の両方が、RSV株A2に由来する。特定の実施形態において、RSV膜糖タンパク質の第3の抗原決定基は、RSV F抗原決定基である。

0061

特定の実施形態において、組換えMVAは、各々がRSV膜糖タンパク質の抗原決定基をコードする4つの異種ヌクレオチド配列と、各々がRSVヌクレオカプシドタンパク質の抗原決定基をコードする2つの異種ヌクレオチド配列とを含む。特定の実施形態において、RSV膜糖タンパク質の第1の抗原決定基は、RSV F抗原決定基であり、RSV膜糖タンパク質の第2の抗原決定基は、RSVG抗原決定基であり、RSVヌクレオカプシドタンパク質の第1の抗原決定基は、RSV M2抗原決定基であり、RSVヌクレオカプシドタンパク質の第2の抗原決定基は、RSV N抗原決定基である。特定の実施形態において、RSV膜糖タンパク質の第1の抗原決定基およびRSV膜糖タンパク質の第2の抗原決定基の両方が、RSV株A2に由来する。特定の実施形態において、RSV膜糖タンパク質の第3の抗原決定基は、RSV F抗原決定基である。特定の実施形態において、RSV膜糖タンパク質の第4の抗原決定基は、RSV G抗原決定基である。

0062

特定の実施形態において、RSV膜糖タンパク質の抗原決定基をコードする少なくとも1つの異種ヌクレオチド配列は、RSVF抗原決定基をコードする。特定の実施形態において、RSV F抗原決定基は、全長である。特定の実施形態において、RSV F抗原決定基は、切断型である。特定の実施形態において、RSV F抗原決定基は、変異体RSV F抗原決定基である。特定の実施形態において、全長、切断型、または変異体RSV F抗原決定基は、RSV株A2に由来する。特定の実施形態において、全長RSV(A2)F抗原決定基は、配列番号29のアミノ酸配列をコードする配列番号28のヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態において、変異体RSV(A2)F抗原決定基は、配列番号4のアミノ酸配列をコードする配列番号3のヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態において、切断型RSV(A2)F抗原決定基は、全長RSV(A2)F抗原決定基の細胞質ドメインおよび膜貫通ドメインを欠損する。特定の実施形態において、切断型RSV(A2)F抗原決定基は、配列番号16のアミノ酸配列をコードする配列番号15のヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態において、全長、切断型、または変異体RSV F抗原決定基は、RSV株ALongに由来する。特定の実施形態において、変異体RSV(ALong)F抗原決定基は、配列番号6のアミノ酸配列をコードする配列番号5のヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態において、切断型RSV(ALong)F抗原決定基は、全長RSV(ALong)F抗原決定基の細胞質ドメインおよび膜貫通ドメインを欠損する。

0063

特定の実施形態において、RSV膜糖タンパク質の抗原決定基をコードする少なくとも1つの異種ヌクレオチド配列は、RSVG抗原決定基をコードする。特定の実施形態において、RSV G抗原決定基は、全長である。特定の実施形態において、RSV G抗原決定基は、切断型である。特定の実施形態において、RSV G抗原決定基は、変異体RSV G抗原決定基である。特定の実施形態において、全長、切断型、または変異体RSV G抗原決定基は、RSV株A2に由来する。特定の実施形態において、全長RSV(A2)G抗原決定基は、配列番号2のアミノ酸配列をコードする配列番号1のヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態において、切断型RSV(A2)G抗原決定基は、全長RSV(A2)G抗原決定基の細胞質ドメインおよび膜貫通ドメインを欠損する。特定の実施形態において、全長、切断型、または変異体RSV G抗原決定基は、RSV株Bに由来する。特定の実施形態において、切断型RSV(B)G抗原決定基は、全長RSV(B)G抗原決定基の細胞質ドメインおよび膜貫通ドメインを欠損する。特定の実施形態において、切断型RSV(B)G抗原決定基は、配列番号8のアミノ酸配列をコードする配列番号7のヌクレオチド配列を含む。

0064

特定の実施形態において、RSVヌクレオカプシドタンパク質の抗原決定基をコードする少なくとも1つの異種ヌクレオチド配列は、RSV M2抗原決定基をコードする。特定の実施形態において、RSV M2抗原決定基は、全長である。特定の実施形態において、RSV M2抗原決定基は、切断型である。特定の実施形態において、RSV M2抗原決定基は、変異体RSV M2抗原決定基である。特定の実施形態において、全長、切断型、または変異体RSV M2抗原決定基は、RSV株A2に由来する。特定の実施形態において、RSV(A2)M2抗原決定基は、配列番号33のアミノ酸配列をコードする配列番号32のヌクレオチド配列を含む。

0065

特定の実施形態において、RSVヌクレオカプシドタンパク質の抗原決定基をコードする少なくとも1つの異種ヌクレオチド配列は、RSV N抗原決定基をコードする。特定の実施形態において、RSV N抗原決定基は、全長である。特定の実施形態において、RSV N抗原決定基は、切断型である。特定の実施形態において、RSV N抗原決定基は、変異体RSV N抗原決定基である。特定の実施形態において、全長、切断型、または変異体RSV N抗原決定基は、RSV株A2に由来する。特定の実施形態において、RSV(A2)N抗原決定基は、配列番号35のアミノ酸配列をコードする配列番号34のヌクレオチド配列を含む。

0066

特定の実施形態において、RSVN抗原決定基およびRSV M2抗原決定基の両方が、単一の読み取り枠によってコードされ、自己切断プロテアーゼドメインによって分離される。特定の実施形態において、RSV M2抗原決定基は、全長である。特定の実施形態において、RSV M2抗原決定基は、切断型である。特定の実施形態において、RSV M2抗原決定基は、変異体RSV M2抗原決定基である。特定の実施形態において、全長、切断型、または変異体RSV M2抗原決定基は、RSV株A2に由来する。特定の実施形態において、RSV N抗原決定基は、全長である。特定の実施形態において、RSV N抗原決定基は、切断型である。特定の実施形態において、RSV N抗原決定基は、変異体RSV N抗原決定基である。特定の実施形態において、全長、切断型、または変異体RSV N抗原決定基は、RSV株A2に由来する。特定の実施形態において、自己切断プロテアーゼドメインは、口蹄疫ウイルスに由来する。特定の実施形態において、自己切断プロテアーゼドメインは、口蹄疫ウイルスからのプロテアーゼ2A断片であり、配列番号12のアミノ酸配列をコードする配列番号11のヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態において、RSV N抗原決定基およびRSV M2抗原決定基をコードする少なくとも1つの異種ヌクレオチド配列は、配列番号18のアミノ酸配列をコードする配列番号17のヌクレオチド配列を含む。

0067

MVAの組込み部位
特定の実施形態において、RSV膜糖タンパク質の1つ以上の抗原決定基と、RSVヌクレオカプシドタンパク質の1つ以上の抗原決定基とをコードする異種ヌクレオチド配列が、MVAゲノムまたはMVA−BNゲノムの様々な挿入部位に組み入れられる。RSVタンパク質の1つ以上の抗原決定基をコードする異種ヌクレオチド配列は、図1に示すように、別個の転写単位として、または融合遺伝子として、組換えMVAに挿入することができる。

0068

特定の実施形態において、異種RSVヌクレオチド配列は、MVAの1つ以上の遺伝子間領域(IGR)に挿入される。IGRは、IGR07/08、IGR44/45、IGR64/65、IGR88/89、IGR136/137、およびIGR148/149、好ましくは、IGR64/65、IGR88/89、および/またはIGR148/149から選択されてもよい。異種RSVヌクレオチド配列は、付加的にまたは代替的に、MVAの自然に存在する欠失部位I、II、II、IV、V、またはVIのうちの1つ以上に挿入されてもよい。特定の実施形態において、組込み部位のうちの5つ、4つ、3つ、または2つ未満は、異種RSVヌクレオチド配列を含む。

0069

異種RSVヌクレオチド配列を含むMVAの挿入部位の数は、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、またはそれより多くてもよい。組換えMVAは、4つ、3つ、2つ、またはそれよりも少ない挿入部位に挿入される異種RSVヌクレオチド配列を含むことができるが、好ましくは2つの挿入部位が使用される。特定の実施形態において、3つの挿入部位が使用される。好ましくは、組換えMVAは、2つまたは3つの挿入部位に挿入される少なくとも4つ、5つ、6つ、または7つのヌクレオチド配列を含む。

0070

本明細書に提供される組換えMVAウイルスは、当該技術分野で既知の常法によって作製することができる。組換えポックスウイルスを得るための、または異種ヌクレオチド配列をポックスウイルスゲノムに挿入するための方法は、当業者に周知である。例えば、標準的な分子生物学技術のための方法、例えば、DNAのクローニング、DNAおよびRNAの単離、ウェスタンブロット分析、RT−PCRおよびPCR増幅技術等は、Molecular Cloning,A laboratory Manual(2nd Ed.)[J.Sambrook et al.,Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989)]に記載され、ウイルスを取り扱うおよび操作するための技術は、Virology MethodsManual[B.W.J.Mahy et al.(eds.),Academic Press(1996)]に記載されている。同様に、MVAの取り扱い、操作、および遺伝子操作のための技術およびノウハウは、Molecular Virology:A Practical Approach[A.J.Davison&R.M.Elliott(Eds.),The Practical Approach Series,IRL Press at Oxford University Press,Oxford,UK(1993)(例えば、Chapter 9:Expression of genes by Vaccinia virus vectorsを参照)]およびCurrent Protocols in Molecular Biology[John Wiley&Son,Inc.(1998)(例えば、Chapter 16,Section IV:Expression of proteins in mammalian cells using vaccinia viral vectorを参照)]に記載されている。

0071

本明細書に開示される種々の組換えMVAの作製のために、異なる方法が適用可能であり得る。ウイルスに挿入されるヌクレオチド配列は、MVAのDNAのセクション相同的なDNAが挿入されている大腸菌プラスミド構築物内に配置されてもよい。別途、挿入されるDNA配列は、プロモーターに連結されてもよい。プロモーター−遺伝子結合が、非本質的遺伝子座を含有するMVA DNAの領域に隣接するDNA配列に相同的なDNAと両端で隣接するように、プロモーター−遺伝子結合は、プラスミド構築物中に位置付けられてもよい。結果として生じるプラスミド構築物は、大腸菌内で繁殖させることにより増幅させ、単離することができる。挿入されるDNA遺伝子配列を含有する単離したプラスミドは、例えば、ニワトリ胚線維芽細胞(CEF)の細胞培養物トランスフェクトすることができ、同時に培養物をMVAに感染させる。プラスミド中の相同的MVA DNAとウイルスゲノムとの間の組換えは、それぞれ、外来DNA配列の存在によって修飾されたMVAを作製することができる。

0072

好ましい実施形態によれば、好適な細胞培養物の細胞、例えば、CEF細胞を、ポックスウイルスに感染させることができる。続いて、好ましくは、ポックスウイルス発現制御要素転写制御下で、外来遺伝子(単数または複数)を含む第1のプラスミドベクターで感染細胞をトランスフェクトすることができる。上で説明したように、プラスミドベクターはまた、ポックスウイルスゲノムの選択された部分への外来配列の挿入を指示することができる配列を含む。任意選択的に、プラスミドベクターはまた、ポックスウイルスプロモーターに作動可能に連結されたマーカーおよび/または選択遺伝子を含むカセットを含有する。好適なマーカーまたは選択遺伝子は、例えば、緑色蛍光タンパク質β−ガラクトシダーゼネオマイシンホスホリボシルトランスフェラーゼ、または他のマーカーをコードする遺伝子である。選択またはマーカーカセットの使用は、作製された組換えポックスウイルスの同定および単離を単純化する。しかしながら、組換えポックスウイルスは、PCR技術によっても同定することができる。その後、さらなる細胞を上述のように得られた組換えポックスウイルスに感染させ、第2の外来遺伝子(単数または複数)を含む第2のベクターでトランスフェクトすることができる。この遺伝子をポックスウイルスゲノムの異なる挿入部位に投入することができる場合、第2のベクターもまた、ポックスウイルスのゲノムへの第2の外来遺伝子(単数または複数)の組込みを指示するポックスウイルス−相同的配列において異なる。相同的組換えを行った後、2つ以上の外来遺伝子を含む組換えウイルスを単離することができる。組換えウイルスにさらなる外来遺伝子を導入するために、前のステップで感染のために単離した組換えウイルスをすることによって、およびトランスフェクションのためにさらなる外来遺伝子(単数または複数)を含むさらなるベクターを使用することによって、感染およびトランスフェクションのステップを繰り返すことができる。

0073

代替として、上述の感染およびトランスフェクションのステップは入れ替え可能である、すなわち、好適な細胞を、最初に外来遺伝子を含むプラスミドベクターによりトランスフェクトし、次いでポックスウイルスに感染させることができる。さらなる代替案として、各外来遺伝子を異なるウイルスに導入し、1つの細胞を得られた全ての組換えウイルスに同時感染させ、全ての外来遺伝子を含む組換えについてスクリーニングすることも可能である。3つ目の代替案は、DNAゲノムと外来配列のin vitroでの連結、およびヘルパーウイルスを用いた組換えワクシニアウイルスDNAゲノムの再構成である。4つ目の代替案は、細菌人工染色体(BAC)としてクローニングしたワクシニアウイルスゲノムと、ワクシニアウイルスゲノム内の所望の組込み部位に隣接する配列に相同的なDNA配列と隣接する直鎖状配列との間の、大腸菌または別の細菌種における相同的組換えである。

0074

RSV遺伝子の発現
一実施形態において、異種RSVヌクレオチド配列のうちの1つ、それ以上、または全ての発現は、1つ以上のポックスウイルスプロモーターの制御下にある。特定の実施形態において、ポックスウイルスプロモーターは、Pr7.5プロモーター、ハイブリッド初期/後期プロモーター、PrSプロモーター、合成もしくは天然の初期もしくは後期プロモーター、または牛痘ウイルスATIプロモーターである。特定の実施形態において、ポックスウイルスプロモーターは、PrSプロモーター(配列番号39)、Pr7.5プロモーター(配列番号40)、PrSynIImプロモーター(配列番号41)、PrLE1プロモーター(配列番号42)、およびPrH5mプロモーター(配列番号43[L.S.Wyatt et al.(1996),ワクチン14(15):1451−1458])からなる群から選択される。特定の実施形態において、ポックスウイルスプロモーターは、PrSプロモーター(配列番号39)である。特定の実施形態において、ポックスウイルスプロモーターは、Pr7.5プロモーター(配列番号40)である。特定の実施形態において、ポックスウイルスプロモーターは、PrSynIImプロモーター(配列番号41)である。特定の実施形態において、ポックスウイルスプロモーターは、PrLE1プロモーター(配列番号42)である。特定の実施形態において、ポックスウイルスプロモーターは、PrH5mプロモーター(配列番号43)である。

0075

異種RSVヌクレオチド配列(単数または複数)は、単一転写単位として発現されてもよい。例えば、異種RSVヌクレオチド配列は、ワクシニアウイルスプロモーターに作動可能に連結されてもよく、かつ/またはワクシニアウイルス転写ターミネーターに連結されてもよい。特定の実施形態において、1つ以上の異種RSVヌクレオチド配列は、融合タンパク質として発現される。融合タンパク質はさらに、ペプチダーゼ認識部位または異種自己切断ペプチド配列を含むことができる。異種自己切断ペプチド配列は、口蹄疫ウイルスからの2Aペプチダーゼであってもよい。

0076

特定の実施形態において、「転写単位」は、MVAゲノム内の挿入部位に単独で挿入されるが、他の転写単位(複数可)とともにMVAゲノム内の挿入部位に挿入されてもよい。「転写単位」は、MVAゲノム内に自然に存在せず(すなわち、異種、外因性、または外来性である)、感染細胞における転写が可能である。

0077

好ましくは、組換えMVAは、MVAゲノムに挿入される1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれより多くの転写単位を含む。特定の実施形態において、組換えMVAは、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれより多くの転写単位によってコードされるRSVタンパク質を安定に発現する。特定の実施形態において、組換えMVAは、MVAゲノム内の1つ、2つ、3つ、またはそれより多くの挿入部位でMVAゲノムに挿入される2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれより多くの転写単位を含む。
RSVワクチンおよび薬学的組成物
本明細書に記載のMVA−BNを含む組換えMVAウイルスは、高度に複製が制限されており、ひいては高度に弱毒化されているため、それらは、ヒトおよび免疫不全のヒトさえも含む幅広い哺乳動物の治療の理想的な候補である。したがって、活性医薬物質ならびに薬学的組成物およびワクチンとして使用するための本発明による組換えMVAを本明細書に提供し、全て、ヒトを含む生きた動物の体内に免疫応答を誘導することを目的とする。

0078

このために、組換えMVA、ワクチン、または薬学的組成物は、104〜109 TCID50/ml、105〜5×108 TCID50/ml、106〜108 TCID50/ml、または107〜108 TCID50/mlの濃度範囲溶液中に製剤化される。ヒトのための好ましい用量は、106 TCID50、107 TCID50、108 TCID50、または5x108 TCID50の用量を含む106〜109TCID50を含む。

0079

本明細書に提供される薬学的組成物は、一般的に、1つ以上の薬学的に許容されるおよび/または承認される担体添加剤抗生物質保存剤、アジュバント、希釈剤、および/または安定剤を含み得る。そのような補助物質は、水、食塩水グリセロールエタノール湿潤剤または乳化剤、pH緩衝物質等であってもよい。好適な担体は、典型的には、大きな、緩徐に代謝される分子、例えば、タンパク質、多糖類ポリ乳酸ポリグリコール酸ポリマーアミノ酸、アミノ酸コポリマー、脂質凝集物等である。

0080

ワクチンの調製のために、本明細書に提供される組換えMVAウイルスを生理学的に許容される形態に変換することができる。これは、H.Stickl et al.,Dtsch.med.Wschr.99:2386−2392(1974)によって記載されるように、天然痘に対するワクチン接種に使用されたポックスウイルスワクチンの調製における経験に基づいて行うことができる。

0081

例えば、精製したウイルスは、5x108 TCID50/mlの力価で−80oCで保存することができ、約10mM Tris、140mM NaCl(pH7.7)中に製剤化することができる。ワクチン注射の調製のために、例えば、102〜108または102〜109粒子のウイルスを、アンプル、好ましくは、ガラスアンプル中で、2%ペプトンおよび1%ヒトアルブミンの存在下、100mlのリン酸緩衝食塩水PBS)中で凍結乾燥することができる。代替として、製剤中にウイルスを滴下で凍結乾燥することによって、ワクチン注射を生成することもできる。この製剤は、マンニトールデキストラン砂糖グリシンラクトース、もしくはポリビニルピロリドン等のさらなる添加剤、またはin vivo投与に好適な他の補助剤、例えば、抗酸化剤もしくは不活性ガス、安定剤もしくは組換えタンパク質(例えば、ヒト血清アルブミン)等を含有することができる。次いで、ガラスアンプルを密封し、4℃〜室温で数ヶ月間保存することができる。しかしながら、必要性がない限り、アンプルは、20℃未満の温度で保存されることが好ましい。

0082

ワクチン接種または治療のために、水溶液、好ましくは生理食塩水またはTris緩衝液中に凍結乾燥物を溶解し、全身的または局所的のいずれかで、すなわち、非経口、皮下、静脈内、筋肉内、鼻腔内、または当業者に既知の他の投与経路で、投与することができる。投与様式、用量、および投与回数は、当業者によって既知の様式で最適化され得る。しかしながら、最も一般的には、患者は、最初のワクチン接種の注射から約1ヶ月〜6週間後に2回目の注射の接種を受ける。

0083

組換えMVAウイルスを含むキット
本明細書に記載の組換えMVAのうちのいずれか1つ以上を含むキットも本明細書に提供される。キットは、RSV感染症のリスクがある対象に組換えMVAを投与するための指示と一緒に、組換えMVAの1つまたは複数の容器またはバイアルを含むことができる。特定の実施形態において、対象はヒトである。指示は、組換えMVAが単回投与または複数回投与(すなわち、2回、3回、4回等)で対象に投与されることを示し得る。特定の実施形態において、指示は、組換えMVAウイルスが、1回目(予備刺激)および2回目(追加免疫)の投与でナイーブまたは非ナイーブな対象に投与されることを示す。

0084

さらに、1回目の投与(予備刺激)のための第1のバイアルまたは容器中、および2回目の投与(追加免疫)のための第2のバイアルまたは容器中に組換えMVAウイルスを含むキットが提供される。キットはまた、3回目、4回目、またはさらなる投与(追加免疫)のための第3、第4、またはさらなるバイアルまたは容器中に組換えMVAを含んでもよい。

0085

組換えMVAウイルの方法および使用
対象動物を免疫する方法、ならびに対象動物を免疫する方法において使用するための組換えMVA、および対象動物を免疫するための薬物またはワクチンの調製における本明細書に提供される組換えMVAの使用もまた、本明細書に提供される。特定の実施形態において、動物は哺乳動物である。特定の実施形態において、哺乳動物は、ラット、ウサギブタ、マウス、またはヒトであり、方法は、本明細書に提供される組換えMVAのうちのいずれか1つ以上の用量を対象に投与することを含む。

0086

対象は、好ましくはヒトであり、成人であってもよく、成人は、免疫不全であり得る。特定の実施形態において、成人は、50、55、60、65、70、75、80、または85歳である。他の実施形態において、対象の年齢は、5歳未満、3歳未満、2歳未満、15ヶ月未満、12ヶ月未満、9ヶ月未満、6ヶ月未満、または3ヶ月未満である。また、対象の年齢は、0〜3ヶ月、3〜6ヶ月、6〜9ヶ月、9〜12ヶ月、1〜2年、または2〜5年の範囲であってもよい。

0087

特定の実施形態において、本明細書に提供される組換えMVAのうちのいずれかが、106〜109 TCID50の用量で、106〜5×108 TCID50、または107〜108 TCID50の用量で対象に投与される。本明細書に提供される組換えMVAは、106、107 TCID50、108、または5×108 TCID50の用量で対象に投与されてもよい。特定の実施形態において、本明細書に提供される組換えMVAのうちのいずれかが、107 TCID50、108、または5×108 TCID50の用量で対象に投与される。

0088

本明細書に提供される組換えMVAは、単回投与、または複数回投与(すなわち、2回、3回、4回等)で対象に投与される。特定の実施形態において、組換えMVAは、1回目(予備刺激)および2回目(追加免疫)の投与で投与される。特定の実施形態において、第1の用量は、107〜108 TCID50の組換えMVAウイルスを含み、第2の用量は、107〜108 TCID50を組換えMVAウイルスを含む。

0089

組換えMVAは、全身的もしくは局所的に、非経口的に、皮下に、静脈内に、筋肉内に、または鼻腔内に、このましくは皮下にまたは鼻腔内に投与することができる。組換えMVAはまた、当業者に既知のいずれか他の投与経路によって投与されてもよい。

0090

別の態様において、RSV感染症を診断する方法、および対象にRSV感染症再発のリスクがあるかどうかを決定する方法が、本明細書に提供される:それらは、特に、新生児、1〜6歳の小児、および/または高齢者にとって重大な脅威となり得る。

0091

本発明者らは、RSV感染症を診断する現在の方法は、不正確な結果を提供する可能性があることを発見した。例えば、RSVに対する抗体を検出するイムノアッセイ、またはウイルスプラークアッセイは、感染症再発のリスクがある個体を必ずしも正確に同定するとは限らない。実際に、本発明者らは、たとえ個体から採取された試料がウイルスプラークアッセイで陰性の結果を示したとしても[例えば、W.Olszewska et al.,2004.を参照]、より感度の高い方法では感染性RSV粒子がなおも存在することが示される場合もあるため、そのような結果が、時には偽陰性であり得ることを観察した。事実、定量的リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(qRT−PCR)等の方法では、対象が、本当にRSVに感染している可能性があるかどうか、感染再発のリスクがあるか、または実際に、ワクチン接種を受けた対象がRSVに対する無菌免疫を獲得したかどうかを確認する必要がある。ワクチン接種後の再感染は、時として死をもたらす重篤な疾患を引き起こす場合があるため、この判定は非常に重要である。

0092

したがって、特定の実施形態において、対象から採取した試料がRSVゲノムを含有するかどうかを定量的に決定することを含み、RSVゲノムの存在は、RSVへの再感染の可能性を示唆する、対象にRSV感染症の再発のリスクがあるかどうかを決定する方法が提供される。特定の実施形態において、対象から採取した試料がRSVゲノムを含有するかどうかの定量的な決定は、qRT−PCRによって行われる。

0093

本明細書で使用される場合、「試料」という用語は、個体、細胞株、組織培養、またはポリヌクレオチドおよびポリペプチドまたはその一部を含有する他の源から採取された任意の生体試料を指す。生体試料は、例えば、臨床試験または他の実験試験に参加している対象から採取された臨床試料を含む、RSVを含有することが判明したおよび/または疑われる体液(例えば、血液、血清血漿、尿、滑液脊髄液気管支肺胞洗浄(BAL)等)および体組織を含む。哺乳動物から組織生検および体液を採取するための方法は、当該技術分野で周知である。特定の実施形態において、生体試料はRSV核酸を含む。

0094

本明細書において交換可能に使用される場合、「RT−qPCR」または「qRT−PCR」という用語は、「定量的リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応」として知られる方法を指す。いくつかの場合において、この方法は、動力学ポリメラーゼ連鎖反応(KPCR)と称されてもよい。

0095

特定の実施形態において、対象から採取した試料がRSVゲノムを含有するかどうかを定量的に決定することを含み、RSVゲノムの存在は、対象がRSVに対する無菌免疫を獲得していないことを示唆する、対象がRSVに対する無菌免疫を獲得したかどうかを決定する方法が本明細書に提供される。本明細書に記載の組換えMVAのうちのいずれか1つを対象に鼻腔内投与することを含む、RSVに対する無菌免疫を獲得していない対象を免疫する方法もまた、本明細書に提供される。付加的にまたは代替的に、本明細書に記載の組換えMVAのうちのいずれか1つは、RSVに対する無菌免疫を獲得していない対象を免疫する方法において使用するために提供され、該方法は、本明細書に記載の組換えMVAのうちのいずれか1つを対象に鼻腔内投与することを含む。RSVに対する無菌免疫を獲得していない対象を免疫するための薬物および/またはワクチンの調製における本明細書に記載の組換えMVAのうちのいずれかの使用もまた本明細書に提供され、薬物またはワクチンは、鼻腔内投与される。

0096

特定の実施形態において、本明細書に記載の組換えMVAのうちのいずれかを対象に鼻腔内投与することを含む、RSVに対する無菌免疫を獲得していない対象においてRSVに対する無菌免疫を誘導する方法が、本明細書に提供される。RSVに対する無菌免疫を獲得していない対象においてRSVに対する無菌免疫を誘導する方法において使用するための本明細書に記載の組換えMVAのうちのいずれか1つもまた本明細書に提供され、該方法は、本明細書に記載の組換えMVAのうちのいずれか1つを対象に鼻腔内投与することを含む。付加的にまたは代替的に、RSVに対する無菌免疫を獲得していない対象においてRSVに対する無菌免疫を誘導するための薬物および/またはワクチンの調製における、本明細書に記載の組換えMVAのうちのいずれかの使用が本明細書に提供され、薬物またはワクチンは鼻腔内投与される。

0097

本発明の特定の実施形態は、以下の項目も含む:
1.筋肉内投与は除外される、鼻腔内投与によってRSV感染症を治療または予防するための、少なくとも1つのRSウイルス(RSV)膜糖タンパク質の抗原決定基をコードするヌクレオチド配列を含む、組換え改変ワクシニアウイルスアンカラ(MVA)。
2.薬学的組成物および/またはワクチンの調製のための、少なくとも1つのRSウイルス(RSV)膜糖タンパク質の抗原決定基をコードするヌクレオチド配列を含む組換え改変ワクシニアウイルスアンカラ(MVA)の使用であって、薬学的組成物および/またはワクチンは鼻腔内投与され、筋肉内投与は除外される、使用。
3.ヒトを含む対象をRSV感染症に対して免疫する方法であって、RSウイルス(RSV)膜糖タンパク質の少なくとも1つの抗原決定基をコードするヌクレオチド配列を含む組換え改変ワクシニアウイルスアンカラ(MVA)を、ヒトを含む対象に鼻腔内投与することを含み、筋肉内投与は除外される、方法。
4.鼻腔内投与のみを含む、項目1に記載の組換えMVA、項目2に記載の使用、および/または項目3に記載の方法。
5.皮下投与を含む、項目1に記載の組換えMVA、項目2に記載の使用、および/または項目3に記載の方法。
6.組換えMVAは、RSVヌクレオカプシドタンパク質の抗原決定基をコードするヌクレオチド配列をさらに含む、項目1もしくは4〜5のいずれか1つの記載の組換えMVA、項目2、4、もしくは5のいずれか1つに記載の使用、および/または項目3〜5のいずれか1つの方法。
7.RSウイルス(RSV)膜糖タンパク質の抗原決定基をコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列と、RSVヌクレオカプシドの抗原決定基をコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列と、を含む、組換え改変ワクシニアウイルスアンカラ(MVA)。
8.RSV膜糖タンパク質の抗原決定基をコードするヌクレオチド配列は、RSV F抗原決定基をコードする、項目1〜7のいずれか1つに記載の組換えMVA、使用および/または方法。
9.RSV F膜糖タンパク質の抗原決定基をコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列をさらに含む、項目1〜8のいずれか1つに記載の組換えMVA、使用および/または方法。
10.RSV膜糖タンパク質の抗原決定基をコードするヌクレオチド配列は、全長RSV F膜糖タンパク質をコードする、項目1〜9のいずれか1つに記載の組換えMVA、使用および/または方法。
11.RSV F膜糖タンパク質の抗原決定基をコードするヌクレオチド配列は、RSV株A、好ましくはA2および/またはAlongに由来する、項目8〜10のいずれか1つに記載の組換えMVA、使用および/または方法。
12.RSV F膜糖タンパク質の抗原決定基をコードするヌクレオチド配列は、配列番号4のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む、項目8〜11のいずれか1つに記載の組換えMVA、使用および/または方法。
13.RSV F膜糖タンパク質の抗原決定基をコードするヌクレオチド配列配列は、配列番号3のヌクレオチド配列を含む、項目8〜12のいずれか1つに記載の組換えMVA、使用および/または方法。
14.RSV膜糖タンパク質の抗原決定基をコードするヌクレオチド配列は、切断型RSV F膜糖タンパク質をコードする、項目1〜13のいずれか1つに記載の組換えMVA、使用および/または方法。
15.切断型RSV F膜糖タンパク質をコードするヌクレオチド配列は、RSV株A、好ましくはAlongに由来する、項目14に記載の組換えMVA、使用および/または方法。
16.切断型RSV F膜糖タンパク質は、膜貫通ドメインを欠損する、項目14または15に記載の組換えMVA、使用および/または方法。
17.切断型RSV F膜糖タンパク質は、細胞質ドメインを欠損する、項目14〜16のいずれか1つに記載の組換えMVA、使用および/または方法。
18.RSV F膜糖タンパク質の抗原決定基をコードするヌクレオチド配列は、配列番号6のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む、項目8〜17のいずれか1つに記載の組換えMVA、使用および/または方法。
19.RSV F膜糖タンパク質の抗原決定基をコードするヌクレオチド配列は、配列番号5のヌクレオチド配列を含む、項目8〜18のいずれか1つに記載の組換えMVA、使用および/または方法。
20.RSV膜糖タンパク質の抗原決定基をコードするヌクレオチド配列は、RSV G膜糖タンパク質の抗原決定基をコードする、前記項目のいずれかに記載の組換えMVA、使用および/または方法。
21.RSV G膜糖タンパク質の抗原決定基をコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列をさらに含む、項目1〜20のいずれか1つに記載の組換えMVA、使用および/または方法。
22.RSV膜糖タンパク質の抗原決定基をコードするヌクレオチド配列は、全長RSV G膜糖タンパク質をコードする、項目1〜21のいずれか1つに記載の組換えMVA、使用および/または方法。
23.RSV G膜糖タンパク質の抗原決定基をコードするヌクレオチド配列は、RSV株A、好ましくは株A2、および/またはBに由来する、項目20〜22のいずれか1つに記載の組換えMVA、使用および/または方法。
24.RSV G膜糖タンパク質の抗原決定基をコードするヌクレオチド配列は、配列番号2のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む、項目20〜23のいずれか1つに記載の組換えMVA、使用および/または方法。
25.RSV G膜糖タンパク質の抗原決定基をコードするヌクレオチド配列は、配列番号1のヌクレオチド配列を含む、項目20〜24のいずれか1つに記載の組換えMVA、使用および/または方法。
26.RSV膜糖タンパク質の抗原決定基をコードするヌクレオチド配列は、切断型RSV G膜糖タンパク質をコードする、項目1〜25のいずれか1つに記載の組換えMVA、使用および/または方法。
27.切断型RSV G膜糖タンパク質の抗原決定基をコードするヌクレオチド配列は、RSV株Bに由来する、項目26に記載の組換えMVA、使用および/または方法。
28.切断型RSV G膜糖タンパク質は、膜貫通ドメインを欠損する、項目26または27に記載の組換えMVA、使用および/または方法。
29.切断型RSV G膜糖タンパク質は、細胞質ドメインを欠損する、項目26〜28のいずれか1つに記載の組換えMVA、使用および/または方法。
30.RSV G膜糖タンパク質の抗原決定基をコードするヌクレオチド配列は、配列番号8のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む、項目20〜29のいずれか1つに記載の組換えMVA、使用および/または方法。
31.RSV G膜糖タンパク質の抗原決定基をコードするヌクレオチド配列は、配列番号7のヌクレオチド配列を含む、項目20〜30のいずれか1つに記載の組換えMVA、使用および/または方法。
32.RSVヌクレオカプシドタンパク質の抗原決定基をコードするヌクレオチド配列は、RSV Nヌクレオカプシドタンパク質の抗原決定基をコードする、項目6〜31のいずれか1つに記載の組換えMVA、使用および/または方法。
33.RSVヌクレオカプシドタンパク質の抗原決定基をコードするヌクレオチド配列は、RSV M2マトリックスタンパク質の抗原決定基をコードする、項目6〜32のいずれか1つに記載の組換えMVA、使用および/または方法。
34.RSVヌクレオカプシドタンパク質の抗原決定基をコードするヌクレオチド配列は、全長タンパク質をコードする、項目6〜33のいずれか1つに記載の組換えMVA、使用および/または方法。
35.RSV Nヌクレオカプシドタンパク質の抗原決定基をコードするヌクレオチド配列は、RSV株A、好ましくは株A2に由来する、項目32〜34のいずれか1つに記載の組換えMVA、使用および/または方法。
36.RSVヌクレオカプシドタンパク質の抗原決定基をコードするヌクレオチド配列は、RSV N ヌクレオカプシドおよびRSV M2マトリックスタンパク質の抗原決定基をコードする、項目32〜35のいずれか1つに記載の組換えMVA、使用および/または方法。
37.RSV N ヌクレオカプシドおよびRSV M2マトリックスタンパク質の両方の抗原決定基は、単一の読み取り枠によってコードされる、項目36に記載の組換えMVA、使用および/または方法。
38.RSV N ヌクレオカプシドおよびRSV M2マトリックスタンパク質の抗原決定基は、自己切断プロテアーゼドメインによって分離される、項目36または37に記載の組換えMVA、使用および/または方法。
39.自己切断プロテアーゼドメイン配列は、口蹄疫ウイルスに由来する、項目38に記載の組換えMVA、使用および/または方法。
40.自己切断プロテアーゼドメイン配列は、プロテアーゼ2A断片配列である、項目38または39に記載の組換えMVA、使用および/または方法。
41.自己切断プロテアーゼドメイン配列は、配列番号12のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む、項目38〜40のいずれか1つに記載の組換えMVA、使用および/または方法。
42.自己切断プロテアーゼドメインは、配列番号11のヌクレオチド配列を含む、項目38〜41のいずれか1つに記載の組換えMVA、使用および/または方法。
43.単一の読み取り枠は、配列番号18のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む、項目37〜42のいずれか1つに記載の組換えMVA、使用および/または方法。
44.単一の読み取り枠は、配列番号17のヌクレオチド配列を含む、項目37〜43のいずれか1つに記載の組換えMVA、使用および/または方法。
45.RSV膜糖タンパク質の抗原決定基をコードする1つのヌクレオチド配列と、RSVヌクレオカプシドタンパク質の抗原決定基をコードする1つのヌクレオチド配列とを含む、前記項目のいずれかに記載の組換えMVA、使用および/または方法。
46.RSV F膜糖タンパク質およびRSV Nヌクレオカプシドタンパク質の抗原決定基を含む、項目45に記載の組換えMVA、使用および/または方法。
47. RSV F膜糖タンパク質およびRSV M2マトリックスタンパク質の抗原決定基を含む、項目45に記載の組換えMVA、使用および/または方法。
48.RSV G膜糖タンパク質およびRSV Nヌクレオカプシドタンパク質の抗原決定基を含む、項目45に記載の組換えMVA、使用および/または方法。
49.RSV G膜糖タンパク質およびRSV M2マトリックスタンパク質の抗原決定基を含む、項目45に記載の組換えMVA、使用および/または方法。
50.RSV膜糖タンパク質の抗原決定基をコードする2つのヌクレオチド配列と、RSVヌクレオカプシドタンパク質の抗原決定基をコードする1つのヌクレオチド配列とを含む、項目1〜44のいずれか1つに記載の組換えMVA、使用および/または方法。
51.RSV Fおよび/またはG膜糖タンパク質ならびにRSV Nヌクレオカプシドタンパク質の抗原決定基を含む、項目50に記載の組換えMVA、使用および/または方法。
52.RSV Fおよび/またはG膜糖タンパク質ならびにRSV M2マトリックスタンパク質の抗原決定基を含む、項目50に記載の組換えMVA、使用および/または方法。
53.RSV膜糖タンパク質の抗原決定基をコードする2つのヌクレオチド配列と、RSVヌクレオカプシドタンパク質の抗原決定基をコードする2つのヌクレオチド配列とを含む、項目1〜44のいずれか1つに記載の組換えMVA、使用および/または方法。
54.RSV Fおよび/またはG膜糖タンパク質の抗原決定基と、RSV Nヌクレオカプシドおよび/またはM2マトリックスタンパク質の抗原決定基とをコードするヌクレオチド配列を含む、項目53に記載の組換えMVA、使用および/または方法。
55.RSV膜糖タンパク質の抗原決定基をコードする3つのヌクレオチド配列と、RSVヌクレオカプシドタンパク質の抗原決定基をコードする2つのヌクレオチド配列とを含む、項目1〜44のいずれか1つに記載の組換えMVA、使用および/または方法。
56.2つのRSV F膜糖タンパク質および/または1つのRSV G膜糖タンパク質の抗原決定基と、RSV Nヌクレオカプシドタンパク質および/またはRSV M2マトリックスタンパク質の抗原決定基とを含む、項目55に記載の組換えMVA、使用および/または方法。
57.2つのRSV G膜糖タンパク質および/または1つのRSV F膜糖タンパク質の抗原決定基と、RSV Nヌクレオカプシドタンパク質および/またはRSV M2マトリックスタンパク質の抗原決定基とを含む、項目55に記載の組換えMVA、使用および/または方法。
58.RSV膜糖タンパク質の抗原決定基をコードする4つのヌクレオチド配列と、RSVヌクレオカプシドタンパク質の抗原決定基をコードする1つのヌクレオチド配列とを含む、項目1〜44のいずれか1つに記載の組換えMVA、使用および/または方法。
59.2つのRSV F膜糖タンパク質および/または2つのRSV G膜糖タンパク質の抗原決定基とRSV Nヌクレオカプシドタンパク質またはRSV M2マトリックスタンパク質の抗原決定基とを含む、項目58に記載の組換えMVA、使用および/または方法。
60.RSV膜糖タンパク質の抗原決定基をコードする4つのヌクレオチド配列と、RSVヌクレオカプシドタンパク質の抗原決定基をコードする2つのヌクレオチド配列とを含む、項目1〜44のいずれか1つに記載の組換えMVA、使用および/または方法。
61.2つのRSV F膜糖タンパク質および/または2つのRSV G膜糖タンパク質の抗原決定基と、RSV Nヌクレオカプシドタンパク質および/またはRSV M2マトリックスタンパク質の抗原決定基とを含む、項目60に記載の組換えMVA、使用および/または方法。
62. 組換えMVAを作製するために使用されるMVAは、MVA−BNまたはその誘導体である、項目1〜61のいずれか1つに記載の組換えMVA、使用および/または方法。
63.活性医薬物質として使用するための、項目1または4〜62のいずれか1つに記載の組換えMVA。
64.項目1または4〜63のいずれか1つの記載の組換えMVA、任意選択的に薬学的に許容される担体および/または希釈剤を含む、薬学的組成物および/またはワクチン。65.薬学的組成物および/またはワクチンの調製のための、項目1または4〜63のいずれか1つの記載の組換えMVAの使用。
66.RSV感染症を治療または予防するための、項目6〜63のいずれか1つに記載の組換えMVA、項目64の薬学的組成物および/もしくはワクチン、ならびに/または項目2、4〜6、8〜62、もしくは65のいずれか1つに記載の使用。
67.項目1、4〜63もしくは66のいずれか1つに記載の組換えMVAならびに/または項目64〜66に記載の薬学的組成物および/もしくはワクチンを、ヒトを含む対象に投与することを含む、ヒトを含む対象をRSV感染症に対して免疫する方法。
68.組換えMVAは、107〜109 TCID50の用量で投与されるかまたは投与されるべきである、項目1、4〜63もしくは66のいずれか1つに記載の組換えMVA、項目64〜66に記載の薬学的組成物および/もしくはワクチン、項目2、4〜6、8〜62、65もしくは66のいずれか1つに記載の使用、ならびに/または項目3〜6、8〜62もしくは67のいずれか1つに記載の方法。
69.組換えMVAは、鼻腔内投与および/または皮下投与されるかまたはされるべきである、項目5〜68のいずれか1つに記載の組換えMVA、薬学的組成物および/もしくはワクチン、使用ならびに/または方法。
70.組換えMVAは、ヒトを含む免疫学的にナイーブなまたは免疫学的に成熟な対象に、単回投与または複数回投与で投与されるかまたは投与されるべきである、項目1〜69のいずれか1つに記載の組換えMVA、薬学的組成物および/もしくはワクチン、使用ならびに/または方法。
71.2歳を上回るヒトを含む対象に投与するための、項目1〜70のいずれか1つに記載の組換えMVA、薬学的組成物および/もしくはワクチン、使用ならびに/または方法。
72.2歳未満のヒトを含む対象に投与するための、項目1〜70のいずれか1つに記載の組換えMVA、薬学的組成物および/もしくはワクチン、使用ならびに/または方法。73.項目1、4〜63、66または68〜72のいずれか1つに記載の組換えMVAの1つまたは複数のバイアルと、RSV感染症のリスクがある対象にウイルスを投与するための指示とを含む、キット。
74.1回目の投与(予備刺激)のための第1のバイアルまたは容器中、および2回目の投与(追加免疫)のための第2のバイアルまたは容器中に組換えMVAを含む、項目1、4〜63、66もしくは68〜72のいずれか1つに記載の組換えMVAを含むキット、および/または項目73に記載のキット。
75.3回目、4回目、またはさらなる投与(追加免疫)のための第3、第4、またはさらなるバイアルまたは容器中に組換えMVAを含む、項目73または74に記載のキット。
76.項目1、4〜63または66のいずれか1つに記載の組換えMVAを含む、細胞。77.以下のステップを含む、項目1、4〜63、66または68〜72のいずれか1つに従って組換えMVAを作製する方法:
(a)宿主細胞をMVAウイルスに感染させるステップ、
(b)感染細胞を、RSV抗原決定基をコードするヌクレオチド配列を含む組換えベクターでトランスフェクトするステップであって、前記ヌクレオチド配列は、MVAウイルスゲノムへのヌクレオチド配列の組込みを指示することが可能なゲノムMVAウイルス配列をさらに含む、ステップ、
(c)作製された組換えMVAウイルスを同定、単離、および任意選択的に精製するステップ。
78.項目77に記載の方法に従って作製される、組換えMVA。
79.以下のステップを含む、いずれか1つの項目1、4〜63、66もしくは68〜72に従って組換えMVAを生成するため、および/または前記組換えMVAのゲノムから発現される抗原決定基を生成するための方法:
(a)宿主細胞を、項目1、4〜63、66もしくは項目68〜72のいずれか1つに記載の組換えMVAに感染させるステップ、または該細胞を組換えMVAの組換えDNAでトランスフェクトするステップ、
(b)感染またはトランスフェクトされた細胞を培養するステップ、
(c)前記細胞からMVAおよび/または抗原決定基を単離するステップ。
80.項目79の方法によって得られた、組換えMVAおよび/または抗原決定基。
81.対象がRSV感染症再発のリスクがあるかどうかを決定する方法であって、RT−qPCRにより前記対象から採取した試料中にRSVが存在するかどうかを決定し、RSVの存在は、RSV感染症再発の存在を示唆する、方法。
82.対象がRSVに対する無菌免疫を獲得したかどうかを決定する方法であって、RT−qPCRにより前記対象から採取した試料中にRSVが存在するかどうかを決定し、RSVの存在は、対象がRSVに対する無菌免疫を獲得していないことを示唆する、方法。83.項目82に記載の方法によってRSVに対する無菌免疫を獲得していないと診断された対象を免疫する方法であって、項目1、4〜63、66、68〜72、78もしくは80のいずれか1つに記載の組換えMVA、および/または項目64、66もしくは68〜72のいずれか1つに記載の薬学的組成物および/もしくはワクチンを対象に鼻腔内投与することを含む、方法。
84.項目82に記載の方法によってRSVに対する無菌免疫を獲得していないと診断された対象を免疫する方法(前記方法は、前記組換えMVAを対象に鼻腔内投与することを含む)において使用するための、項目1、4〜63、66、68〜72、78もしくは80のいずれか1つに記載の組換えMVA、および/または項目64、66もしくは68〜72のいずれか1つに記載の薬学的組成物および/もしくはワクチン。
85.項目82に記載の方法によってRSVに対する無菌免疫を獲得していないと診断された対象を免疫するための薬学的組成物および/またはワクチンの調製のための、項目1、4〜63、66、68〜72、78または80のいずれか1つに記載の組換えMVAの使用であって、薬学的組成物および/またはワクチンは、鼻腔内投与のためである、使用。
86.項目82に記載の方法によってRSVに対する無菌免疫を獲得していないと診断された対象において無菌免疫を誘導する方法であって、項目1、4〜63、66、68〜72、78もしくは80のいずれか1つに記載の組換えMVA、および/または項目64、66もしくは68〜72のいずれか1つに記載の薬学的組成物および/もしくはワクチンを対象に鼻腔内投与することを含む、方法。
87.項目82に記載の方法によってRSVに対する無菌免疫を獲得していないと診断された対象において無菌免疫を誘導する方法(前記方法は、前記組換えMVAを対象に鼻腔内投与することを含む)において使用するための、項目1、4〜63、66、68〜72、78もしくは80のいずれか1つに記載の組換えMVA、および/または項目64、66もしくは68〜72のいずれか1つに記載の薬学的組成物および/もしくはワクチン。88.項目82に記載の方法によってRSVに対する無菌免疫を獲得していないと診断された対象において無菌免疫を誘導するための薬学的組成物および/またはワクチンの調製のための、項目1、4〜63、66、68〜72、78もしくは80のいずれか1つに記載の組換えMVAの使用であって、薬学的組成物またはワクチンは、鼻腔内投与のためである、使用。

0098

上記の一般的および詳細な説明は、例示的および説明的であるに過ぎず、請求される本発明を制限または限定するものではないことを理解されたい。本明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付の図面は、本発明の種々の実施形態を例示し、説明とともに、本発明の主旨を説明する役割を果たす。

図面の簡単な説明

0099

試験した組換えMVA−構築物、MVA−mBN199B、MVA−mBN201B、MVA−mBN201BΔM2、MVA−mBN294B、MVA−mBN295B、およびMVA−mBN330Bにおいて使用した異種RSV遺伝子を示す。
IBLHamburgに基づくELISAによって測定された血清RSV特異的IgG応答を示す。TBSまたは1×108 TCID50のMVA−mBN199B、MVA−mBN201B、もしくはMVA−mBN201BDM2で、マウスを2回または3回(scまたはin)免疫した。106pfuのRSVで対照マウスを2回in免疫した。血清を1/100に希釈し、RSV FおよびGタンパク質でコーティングしたプレートを使用するIBL Hamburgキットに基づくRSV特異的IgG ELISAを用いて分析した。
連続希釈後、IBL Hamburgに基づくELISAによって測定された血清RSV特異的IgG応答を示す。TBSまたは1×108 TCID50のMVA−mBN199B、MVA−mBN201B、もしくはMVA−mBN201BDM2で、マウスを2回または3回(scまたはin)免疫した。106pfuのRSVで対照マウスを2回in免疫した。血清を希釈し(1/100、1/200、および1/400)、RSV FおよびGタンパク質でコーティングしたプレートを使用するIBL Hamburgキットに基づくRSV特異的IgG ELISAを用いて分析した。
Fタンパク質のみでコーティングしたプレートを使用するIBL Hamburgに基づくELISAによって測定された血清RSV特異的IgG応答を示す。TBSまたは1×108 TCID50のMVA−mBN199B、MVA−mBN201B、もしくはMVA−mBN201BDM2で、マウスを2回または3回sc免疫した。106pfuのRSVで対照マウスを2回in免疫した。血漿を1/100に希釈し、RSV Fタンパク質のみでコーティングしたプレートを使用するIBL Hamburgキットに基づくRSV特異的IgG ELISAを用いて分析した。
Serionに基づくELISAによって測定された血清RSV特異的IgG応答を示す。TBSまたは1×108 TCID50のMVA−mBN199B、MVA−mBN201B、もしくはMVA−mBN201BDM2のいずれかで、マウスを2回または3回(scまたはin)免疫した。106pfuのRSVで対照マウスを2回in免疫した。血清を希釈し(1/100)、RSV溶解物でコーティングしたプレートを使用するSerionキットに基づくRSV特異的IgG ELISAを用いて分析した。
気管支肺胞洗浄(BAL)液および血清中でIBL Hamburgに基づくELISAによって測定されたRSV特異的IgA対IgG応答を示す。TBSまたは1×108 TCID50のMVA−mBN199B、MVA−mBN201B、もしくはMVA−mBN201BDM2で、マウスを2回または3回(scまたはin)免疫した。106pfuのRSVで対照マウスを2回in免疫した。血清およびBAL液を希釈し(1/100)、RSV FおよびGタンパク質でコーティングしたプレートを用いたIBL Hamburgキットに基づくRSV特異的IgGまたはIgA ELISAを使用して分析した。
LISPOTによって測定されたRSV F−、RSV G−、およびRSV M2特異的T細胞応答を示す。TBSまたは1×108 TCID50のMVA−mBN199B、MVA−mBN201B、もしくはMVA−mBN201BDM2のいずれかで、マウスを2回または3回(scまたはin)免疫した。106pfuのRSVで対照マウスを2回in免疫した。48日目に脾臓を単離し、3つの異なるRSV F特異的ペプチド(RSV−1(配列番号19)、RSV−2(配列番号20)、およびRSV−3(配列番号21)、1つのRSV G特異的ペプチド(RSV−4(配列番号22))、1つのRSV M2特異的ペプチド(RSV−9(配列番号27))、またはMVA−BNで脾細胞再刺激した。IFNγ分泌細胞をELISPOTにより検出した。実施例に説明するように刺激指数を算出した。
RSV(A2)による曝露後の相対的な体重減少を示す。TBSまたは1×108 TCID50のMVA−mBN199B、MVA−mBN201B、もしくはMVA−mBN201BDM2で、マウスを2回または3回(scまたはin)免疫した。106pfuのRSVで対照マウスを2回in免疫した。次いで、49日目に、マウスを106pfuのRSV(A2)に曝露した。曝露日から毎日体重を監視した。曝露日の体重を相対的体重変化の割合を算出するための基準として用いた。
プラークアッセイによって測定された肺内のRSV負荷を示す。TBSまたは1×108 TCID50のMVA−mBN199B、MVA−mBN201B、もしくはMVA−mBN201BDM2で、マウスを2回または3回(scまたはin)免疫した。106pfuのRSVで対照マウスを2回in免疫した。次いで、49日目に、マウスを106pfuのRSV(A2)に曝露した。4日後、肺を単離し、プラークアッセイによりRSV負荷(肺当たりのpfu)を決定した。
RT−qPCRによって測定された肺内のRSV負荷を示す。TBSまたは1×108 TCID50のMVA−mBN199B、MVA−mBN201B、もしくはMVA−mBN201BDM2で、マウスを2回または3回(scまたはin)免疫した。106pfuのRSVで対照マウスを2回in免疫した。次いで、49日目に、マウスを106pfuのRSV A2に曝露した。4日後、肺を単離し、RT−qPCRによってRSV負荷(観察されたL遺伝子コピー数に基づいて推定される)を決定した。
ELISAによって測定されたRSV(A2)曝露後4日目の気管支肺胞洗浄(BAL)中のIL4レベルを示す。TBSまたは1×108 TCID50のMVA−mBN199BもしくはMVA−mBN201Bで、マウスを2回(scまたはin)免疫した。106pfuのRSVで対照マウスを2回in免疫した。次いで、マウスを106pfuのRSV A2に曝露した。4日後、1mlのPBSで肺を洗浄し、ELISAによってBAL中のIL4レベルを決定した。(n.d.=検出不能)
ELISAによって測定されたRSV(A2)曝露後4日目の気管支肺胞洗浄(BAL)中のIL5レベルを示す。TBSまたは1×108 TCID50のMVA−mBN199BもしくはMVA−mBN201Bで、マウスを2回(scまたはin)免疫した。106pfuのRSVで対照マウスを2回in免疫した。次いで、マウスを106pfuのRSV A2に曝露した。4日後、1mlのPBSで肺を洗浄し、ELISAによってBAL中のIL5レベルを決定した。(n.d.=検出不能)
Serionに基づくELISAによって測定された血清RSV特異的IgG応答を示す。TBSまたは1×108 TCID50のMVA−mBN199B、MVA−mBN201B、もしくはMVA−mBN294Aのいずれかで、3週間開けて2回マウスをsc免疫した。106pfuのRSVで対照マウスを2回in免疫した。最後の免疫化の2週間後に採取した群当たり5匹のマウスの血清を希釈し、RSV溶解物でコーティングしたプレートを使用するSerionキットに基づくRSV特異的IgG ELISAを用いて分析した。
PRNTによって測定された血清RSV特異的中和抗体応答を示す。TBSまたは1×108 TCID50のMVA−mBN199B、MVA−mBN201B、もしくはMVA−mBN294Aのいずれかで、3週間開けて2回マウスをsc免疫した。106pfuのRSVで対照マウスを2回in免疫した。PRNTによって分析した、最後の免疫化の2週間後に採取した群当たり5匹のマウスの血清。
ELISPOTによって測定されたRSV FおよびRSV M2特異的T細胞応答を示す。TBSまたは1×108 TCID50のMVA−mBN199B、MVA−mBN201B、もしくはMVA−mBN294Aのいずれかで、3週間開けて2回マウスをsc免疫した。106pfuのRSVで対照マウスを2回in免疫した。34日目に脾臓を単離し、1つのRSV F特異的ペプチド(RSV−2(配列番号20)、1つのRSV M2特異的ペプチド(RSV−9(配列番号27))、またはMVA−BNで脾細胞を再刺激した。IFNγ分泌細胞をELISPOTにより検出した。実施例に説明するように刺激指数を算出した。
プラークアッセイによって測定された肺内のRSV負荷を示す。TBSまたは1×108 TCID50のMVA−mBN199B、MVA−mBN201B、もしくはMVA−mBN294Aのいずれかで、3週間開けて2回マウスをsc免疫した。対照マウスを106 pfuのRSVで2回in免疫したか、または50μlのFI−RSVでim免疫した。次いで、49日目に、マウスを106pfuのRSV(A2)に曝露した。4日後、肺を単離し、プラークアッセイによりRSV負荷(肺当たりのpfu)を決定した。
RT−qPCRによって測定された肺内のRSV負荷を示す。TBSまたは1×108 TCID50のMVA−mBN199B、MVA−mBN201B、もしくはMVA−mBN294Aのいずれかで、3週間開けて2回マウスをsc免疫した。対照マウスを106 pfuのRSVで2回in免疫したか、または50μlのFI−RSVでim免疫した。次いで、49日目に、マウスを106pfuのRSV A2に曝露した。4日後、肺を単離し、RT−qPCRによってRSV負荷(観察されたL遺伝子コピー数に基づいて推定される)を決定した。
RSV(A2)曝露後4日目の気管支肺胞洗浄(BAL)液中の好酸球および好中球の浸潤を示す。TBSまたは1×108 TCID50のMVA−mBN199B、MVA−mBN201B、もしくはMVA−mBN294Aのいずれかで、3週間開けて2回マウスをsc免疫した。対照マウスを106 pfuのRSVで2回in免疫したか、または50μlのFI−RSVでim免疫した。次いで、マウスを106pfuのRSV A2に曝露した。4日後、1mlのPBSで肺を洗浄し、BAL液中の好酸球および好中球の割合を決定した。

0100

配列の簡単な説明

0101

配列番号1は、ヒト RSV(hRSV)株A2からの全長Gタンパク質をコードするDNA配列である(GenBank受入番号M11486)。

0102

配列番号2は、hRSV株A2からの全長Gタンパク質をコードするアミノ酸配列である(GenBank受入番号M11486)。

0103

配列番号3は、hRSV株A2からの全長Fタンパク質(BN変異体)をコードするDNA配列である。

0104

配列番号4は、hRSV株A2からの全長Fタンパク質(BN変異体)をコードするアミノ酸配列である。

0105

配列番号5は、hRSV株ALongからの全長Fタンパク質(BN変異体)をコードするDNA配列である。

0106

配列番号6は、hRSV株ALongからの全長Fタンパク質(BN変異体)をコードするアミノ酸配列である。

0107

配列番号7は、hRSV株Bからの膜貫通ドメインおよび細胞質ドメインを欠損した切断Gタンパク質をコードするDNA配列である(GenBank受入番号P20896)。

0108

配列番号8は、hRSV株Bからの膜貫通ドメインおよび細胞質ドメインを欠損した切断Gタンパク質をコードするアミノ酸配列である(GenBank受入番号P20896)。

0109

配列番号9は、hRSV株A2からの停止コドンを欠損したNタンパク質をコードするDNA配列である(Genbank受入番号M11486)。

0110

配列番号10は、hRSV株A2からの停止コドンを欠損したNタンパク質をコードするアミノ酸配列である(Genbank受入番号M11486)。

0111

配列番号11は、開始コドンおよび停止コドンの両方を欠損した口蹄疫ウイルスからのプロテアーゼ2Aの断片をコードするDNA配列である。

0112

配列番号12は、開始コドンおよび停止コドンの両方を欠損した口蹄疫ウイルスからのプロテアーゼ2Aの断片をコードするアミノ酸配列である。

0113

配列番号13は、hRSV株A2からの開始コドンを欠損した全長M2タンパク質をコードするDNA配列である(GenBank受入番号M11486)。

0114

配列番号14は、hRSV株A2からの開始コドンを欠損した全長M2タンパク質をコードするアミノ酸配列である(GenBank受入番号M11486)。

0115

配列番号15は、hRSV株A2からの膜貫通ドメインおよび細胞質ドメインを欠損した切断Fタンパク質(BN変異体)をコードするDNA配列であるGenBank受入番号M11486)。

0116

配列番号16は、hRSV株A2からの膜貫通ドメインおよび細胞質ドメインを欠損した切断Fタンパク質(BN変異体)をコードするアミノ酸配列である(GenBank受入番号M11486)。

0117

配列番号17は、停止コドンhRSV株A2を欠損したNタンパク質をコードするDNA配列(Genbank受入番号M11486)+開始コドンおよび停止コドンの両方を欠損した口蹄疫ウイルスからのプロテアーゼ2A断片をコードするDNA配列+hRSV株A2からの開始コドンを欠損した全長M2タンパク質をコードするDNA配列(GenBank受入番号M11486)である。

0118

配列番号18は、hRSV株A2からのNタンパク質のアミノ酸配列(Genbank受入番号M11486)+開始コドンを欠損した口蹄疫ウイルスからのプロテアーゼ2A断片のアミノ酸配+hRSV株A2からの開始コドンを欠損した全長M2タンパク質のアミノ酸配列(GenBank受入番号M11486)である。

0119

配列番号19は、RSVFタンパク質に由来するRSV−1ペプチドのアミノ酸配列である。

0120

配列番号20は、RSVFタンパク質に由来するRSV−2ペプチドのアミノ酸配列である。

0121

配列番号21は、RSVFタンパク質に由来するRSV−3ペプチドのアミノ酸配列である。

0122

配列番号22は、RSVGタンパク質に由来するRSV−4ペプチドのアミノ酸配列である。

0123

配列番号23は、RSVGタンパク質に由来するRSV−5ペプチドのアミノ酸配列である。

0124

配列番号24は、RSVGタンパク質に由来するRSV−6ペプチドのアミノ酸配列である。

0125

配列番号25は、RSVGタンパク質に由来するRSV−7ペプチドのアミノ酸配列である。

0126

配列番号26は、RSVGタンパク質に由来するRSV−8ペプチドのアミノ酸配列である。

0127

配列番号27は、RSVM2タンパク質に由来するRSV−9ペプチドのアミノ酸配列である。

0128

配列番号28は、hRSV株A2からの全長Fタンパク質をコードするDNA配列である。

0129

配列番号29は、hRSV株A2からの全長Fタンパク質のアミノ酸配列である。

0130

配列番号30は、hRSV株A2からの全長Gタンパク質をコードするDNA配列である。

0131

配列番号31は、hRSV株A2からの全長Gタンパク質のアミノ酸配列である。

0132

配列番号32は、hRSV株A2からの全長M2タンパク質をコードするDNA配列である。

0133

配列番号33は、hRSV株A2からの全長M2タンパク質のアミノ酸配列である。

0134

配列番号34は、hRSV株A2からの全長Nタンパク質をコードするDNA配列である。

0135

配列番号35は、hRSV株A2からの全長Nタンパク質のアミノ酸配列である。

0136

配列番号36は、RT−qPCRに使用されるプライマー1である。

0137

配列番号37は、RT−qPCRに使用されるプライマー2である。

0138

配列番号38は、RT−qPCRに使用されるプローブ6である。

0139

配列番号39は、PrSプロモーターのヌクレオチド配列である。

0140

配列番号40は、Pr7.5プロモーターのヌクレオチド配列である。

0141

配列番号41は、PrSynIImプロモーターのヌクレオチド配列である。

0142

配列番号42は、PrLE1プロモーターのヌクレオチド配列である。

0143

配列番号43は、PrH5mプロモーターのヌクレオチド配列である。

0144

実施例
実施例1:組換えMVAの構築
組換えMVAの作製は、組換えMVAを選択するための選択マーカーを使用したCEF細胞における相同的組換えを介して、示されるプロモーター(図1)と一緒にRSVコード配列をMVAゲノムに挿入することによって行われた。挿入部位としての遺伝子間領域(IGRs)の使用については、国際特許公開WO 03/097845に記載されている。選択マーカーを欠失させるために、相同的組換えの第2のステップを用いた。

0145

MVA−BN(登録商標)ウイルスを、IGR88/89にRSV−A2−GおよびRSV−F−A2_BNの遺伝子を含有する組換えMVA−mBN199Bを作製するための出発材料として用いた。MVA−mBN199のPreMaster材料を、後述のMVA−mBN201Bを作製するための出発材料として用いた。

0146

IGR88/89への挿入(MVA−mBN199B):
RSV−A2−Gのコード配列は、RSV−A2株糖タンパク質Gの天然に存在する配列に基づいている。融合タンパク質RSV−F−A2 BNのコード配列も、RSV−A2株に基づいているが、Bavarian Nordicによって修飾された。両方の挿入遺伝子は、ヒト適合化コドン使用頻度を用いてGeneartにより合成され、組換えプラスミドのクローニングに用いられた。RSV−A2−Gのタンパク質配列は、GenBank配列P03423.1に対して100%の同一性を示す。RSV−F−A2 BNのタンパク質配列は、103位における1つの単一アミノ酸交換(PからA)のために、GenBank配列P03420.1に対して99%の同一性を示すのみである。

0147

IGR148/149への挿入(MVA−mBN201B):
RSV−N−A2およびRSV−M2−A2のコード配列は、それぞれのRSV−A2株糖タンパク質の自然に存在する配列に基づいている。両方の遺伝子は、単一プロモーターの制御下で2つの別個の天然タンパク質の発現を可能にする2A自己切断ペプチド配列によって接続される[M.D.Ryan et al.(1991),J.Gen.Virol.72(Pt 11):2727−2732]。RSV−G(B)およびRSV−F A long BN のコード配列を切断して膜貫通ドメインを除去し、発現されたタンパク質を分泌することができるようにした。挿入した全ての遺伝子は、最適なコドン使用頻度を用いてGeneartにより合成され、組換えプラスミドのクローニングに用いられた。RSV−N−A2およびRSV−M2−A2のタンパク質配列は、GenBank配列P03418.1およびP04545.1に対してそれぞれ100%の同一性を示す。切断型RSV−G(B)のタンパク質配列は、GenBank配列P20896.1に対して100%の同一性を示す。切断型RSV−F A long BNのコード配列は、R.P.Du et al.(1994)Biotechnology(N Y)12(8):813−818に記載されるように、RSV−Fタンパク質の最初の526個のアミノ酸を含有するように設計した。

0148

MVA−mBN210BΔM2のM2(A2)中の欠失変異体
MVA−mBN210BΔM2は、M2(A2)遺伝子の12番目のコドンに欠失変異体を含むため、機能的M2を発現することができない。この欠失は、2つのアミノ酸スレオニンおよびアラニンの、M2(A2)の最初の11個のアミノ酸への付加、続いて転写の停止(UGA停止コドン)を引き起こす。

0149

実施例2:RSVFタンパク質、RSVGタンパク質、RSV Nタンパク質、およびRSV M2タンパク質を発現する組換えMVAワクチンの免疫原性および有効性
ワクチン候補MVA−mBN199Bは、RSVの糖タンパク質(G)および融合(F)タンパク質をコードし、MVA−mBN201BDM2およびMVA−mBN201Bは、全長FおよびGタンパク質に加えてFおよびGの切断型、ヌクレオカプシドタンパク質(N)、ならびにMVA−mBN201Bの場合はRSVのマトリックスタンパク質(M2)も発現する(図1を参照)。この実験の目的は、皮下(sc)または鼻腔内(in)投与経路を介した2回または3回の免疫化後に、MVA−mBN199Bと比較してMVA−mBN201BΔM2およびMVA−mBN201Bの免疫原性および保護効果を分析することであった。

0150

BALB/cマウスにおけるRSV(A2)曝露モデルを使用して、これらの構築物の有効性を試験した。MVA−mBN199BまたはMVA−mBN201Bを用いた2回の免疫化は、皮下に適用された時は、リアルタイム定量的ポリメラーゼ連鎖反応(RT−qPCR)によって判断されるような部分的な保護を提供し、鼻腔内経路によって適用された時は、ほぼ完全な保護を提供した。MVA−mBN201Bによって提供された保護は、MVA−mBN199Bによって提供された保護よりも良好であった。2つの構築物によって誘導された液性免疫応答に差は認められなかったが、T細胞応答には大きな差が観察された。MVA−mBN199Bが良好なRSV F特異的細胞応答を誘導したのに対し、MVA−mBN201Bでは、強いM2特異的T細胞応答、およびMVA−mBN199Bと比較してより顕著なG特異的応答が観察された。皮下および鼻腔内免疫化後に誘導されたIgGおよびT細胞応答は類似しており、鼻腔内免疫化によって得られたほぼ完全な無菌免疫は、粘膜感染部位におけるRSV特異的IgAの誘導および分泌と相関している可能性が高い。MVA−mBN201BDM2の場合、M2特異的T細胞応答の欠如は、MVA−mBN201Bと比較して低い保護と相関しており、MVA−mBN199Bと同様の保護をもたらした。

0151

試験デザイン
1×108 TCID50のMVA−mBN199B(群3、4、および5)、1×108 TCID50 MVA−mBN201B(群6、7、および8)、または1×108 TCID50 MVA−mBN201BΔM2(群9)で、マウスを皮下(sc)または鼻腔内(in)処理した。表1に従って、2回(群3、4、6、7、および9)または3回(群5および8)のいずれかでマウスを処理した。表7に従って、2つの対照群をTBSで(sc)(群1)、またはRSVで(in)(群2)2回処理した。免疫化または曝露の前日および屠殺日に、血液を採取した。酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)により、RSV特異的IgGの力価を測定した。48日目に、マウスの半数を屠殺した。それらの脾臓を摘出し、免疫吸着スポット法(ELISPOT)によるRSV特異的T細胞応答の分析のために調製した。49日目に、残りのマウスを106 pfuのRSV A2に曝露した(in)。曝露日から開始して、外観および体重を毎日監視した。曝露後4日目に、高用量のケタミンキシラジンの注射によりマウスを屠殺し、最終採血を行った。肺洗浄後、肺を摘出し、プラークアッセイおよびRT−qPCRによりRSV負荷を分析した。

0152

0153

試験スケジュール生存段階スケジュールを表2に要約する。

0154

0155

材料および方法
実験動物.Janvier(Route des Chenes Secs、F−53940 Le Genest−Saint−Isle,France)から48匹の7週齢メスBALB/cJ Rj(H−2d)マウスを入手した。全てのマウスは、特定の病原体を有していなかった。

0156

飼育.試験は、Bavarian Nordic−Martinsreidにある動物施設の117号室で行われた。このユニットに、温度20〜24℃および相対湿度40%〜70%で濾過吸気を提供した。部屋は、14時間の明期および10時間の暗期サイクル人工的に照明した。試験馴化期間は、15日であった。床面積530cm2の透明なSealSafe(商標)ケージ(H Temp[ポリスルホン]ケージType II L(欧州標準))に動物を収容した。H−Temp SealSafe(商標)蓋でケージを覆った。ケージごとに別個にHEPA濾過空気を提供するSLIMLine(商標)循環ユニット装備したTECNIPLAST−IVCSealSafe(商標)システム内にケージを設置した。週に1回、動物の寝床を交換した。

0157

食餌および水.マウスには、照射した維持食餌(SSIFFR/M−H(照射済み)V1534−727)および水(121℃で20分間加圧滅菌済み)を自由に摂取させた。

0158

処理前の手順:動物の識別.各ケージ内の動物を個別に識別するために、標準的手順に従って耳パンチを行った。

0159

組み入れ/除外試験.標準的手順に従って組み入れ/除外試験を行った。

0160

事前採血としての血液試料採取.標準的手順に従った顔面静脈穿刺により、約150μlの血液試料を採取した。標準的手順に従ってさらに処理するために、血液試料を実験室に移した。

0161

処理手順試験物1〜3および参照物の調製および投与試験物および参照物の調製および投与は、クラスII微生物学的安全キャビネット(HERAsafe(登録商標)/クラスII型H、Kendro)内で標準的手順に従って行われた。端的に述べると、sc投与の場合、組換えMVAをTBSに希釈し、2×108 TCID50/mlの濃度の作業溶液を得た。標準的手順に従って、500μl中1×108 TCID50をsc注射した。in投与の場合、組換えMVAをTBSに希釈し、2×109 TCID50/mlの濃度の作業溶液を得た。標準的手順に従って、50μlの希釈ウイルスを麻酔(キシラジン/ケタミン)下のマウスの片方鼻孔内に投与した。標準的手順に従って、500μlのTBSをsc投与した。

0162

試験物4/曝露ウイルスの調製および投与.RSV原液バイアル解凍し、ウイルスの不安定性のためにできるだけ迅速に使用した(上で最長15分)。ウイルスは、常に氷上に維持し、標準的手順に従って鼻腔内経路により麻酔下(キシラジン/ケタミン)のマウスを100μlのニートウイルス溶液に曝露するために直ちに使用した。

0163

処理後の手順:
体重.体重標準的手順に従って、曝露日から屠殺するまで、毎日体重を監視した。

0164

血液試料採取.標準的手順に従って、眼球後または顔面静脈穿刺により血液試料(約150μl)を採取した(詳細については表1および2を参照のこと)。標準的手順に従ってさらに処理するために、血液試料を実験室に移した。

0165

安楽死.48日目に、頸椎脱臼によりマウスの半数の屠殺を行った。53日目に、腹腔内注射により2倍用量のケタミン−キシラジンを残りのマウスに投与し、腹腔内の大動脈を切断することにより安楽死を行った。

0166

脾臓摘出.脾臓を無菌的に摘出した。標準的手順に従って、培地充填した試験管にそれらを入れた。これらの試験管は、標準的手順に従って動物施設に搬入され、次いで搬出された。

0167

肺洗浄および肺摘出.肺に1mlのPBSを4回流すことにより、気管支肺胞洗浄(BAL)液を採取した。次いで、肺を摘出し、後のプラークアッセイおよびRNA抽出のために、2等分して液体窒素中で瞬間凍結した。

0168

分析:血液試料の処理および血清の保存.実験室に移した後、標準的手順に従って血液試料を処理して血清にした。調製後、分析のために必要となるまで、血清を−20℃(±5℃)で保存した。

0169

血清試料からのRSV特異的抗体力価の分析.改良されたELISAキット(Serion ELISA classic、カタログ番号ESR113G)を使用して、全ての血清試料からRSV特異的IgGの総ELISA力価を決定した:キットとともに供給されるアルカリホスファターゼコンジュゲート抗ヒトIgG抗体の代わりに、アルカリホスファターゼコンジュゲートヤギ抗マウスIgG(Serotecカタログ番号103004)を二次抗体として使用した。

0170

改良されたELISAキットを使用して、全ての血清試料およびBAL液からRSV−F/G特異的IgGのELISA力価を決定した(IBL−Hamburg 参照番号RE56881)。キットとともに供給されるPODコンジュゲート抗ヒトIgG抗体の代わりに、HRPコンジュゲートヒツジ抗マウスIgG(参照番号BN−687−95/96、Serotecカタログ番号AAC10P)を二次抗体として使用した。

0171

改良されたELISAキット(IBL−Hamburg参照番号RE56881の試薬およびRSV(Fタンパク質)IgGマイクロタイターストリップ、参照番号RE56692)を使用して、群4および7以外の48日目の血清試料からRSV−F特異的IgGのELISA力価を決定した。キット内に提供されるPODコンジュゲート抗ヒトIgG抗体の代わりに、HRPコンジュゲートヒツジ抗マウスIgG(参照番号BN−687−95/96、Serotecカタログ番号AAC10P)を二次抗体として使用した。

0172

改良されたELISAキット(IBL−Hamburg Ref.RE56881)を使用して、それぞれ、48日目および53日目の試料から、血清およびBAL液中のRSV特異的IgAのELISA力価を決定した:キット内に提供されるPODコンジュゲート抗ヒトIgG抗体の代わりに、HRPコンジュゲートヒツジ抗マウスIgA(参照番号BN−687−95/96、Serotecカタログ番号STAR137P)を使用した。

0173

脾細胞からのRSV特異的細胞性免疫応答の分析.最後の投与から2週間後、他の箇所に記載するように、特異的ペプチドで脾細胞を再刺激し(例えば、S.M.Varga et al.(2000);S.Johnstone et al.(2004);S.Jiang et al.,(2002);and A.B.Kulkarni et al.,J.Virol.67(7):4086−4092(1993)を参照)、ELISPOTアッセイにより脾細胞からのIFNγ放出を検出することにより、RSV F−、RSV G−、およびRSV M2特異的細胞応答を決定した。

0174

ELISPOTアッセイ法.Mouse IFN−Gamma−Kit(BD Biosciences、カタログ番号551083)をELISPOTアッセイに使用した。アッセイは、製造者の指示に従って行われた。端的に述べると、脾細胞単離の前日に、プレートを捕捉抗体でコーティングした。単離後、細胞をELISPOTプレートに移し、異なるペプチド(表3を参照)で20時間37℃で刺激した。検出抗体を使用してIFNγの産生を検出した。製造者の指示に従ってBD(商標) ELISPOTAEC Substrate Set(BD Biosciences、カタログ番号551951)を使用して、プレートを展開した。

0175

ELISPOTによる刺激計画.すべての条件を2通り試験した。RSV−1、RSV−2、RSV−3、RSV−4、およびRSV−5ペプチド(表3を参照)を最終濃度5μg/ml(1μg/ウェル)で使用して、ウェル当たり5×105および2.5×105個の脾細胞を刺激した。MVA(免疫化対照)を感染効率MOI)10で使用してウェル当たり5×105および2.5×105個の脾細胞を刺激し、コンカナバリンA(ConA[陽性対照])を最終濃度0.5μg/mlで使用して2.5×105個の脾細胞を刺激した。陰性対照として、5×105個の脾細胞を培地のみ(Glutamax、ペニシリンストレプトマイシン、10%ウシ胎仔血清、および105 M s−メルカプトエタノールを補充したRPMI−1640)で培養した。

0176

0177

BAL液および肺の分析.染色の問題のために、BALの細胞の特徴付けは不可能であった。RSVプラークアッセイおよびRT−qPCRにより細胞試料中のRSV負荷を決定した。

0178

RSVプラークアッセイ.French Pressを使用して、瞬間凍結した肺の各反片を1mlの冷培地中でホモジナイズした(7%ウシ胎仔血清を補充したダルベッコ変法イーグル培地)。短期間の遠心分離後、試験管2本分の各上清を、48ウェル平底プレート中で増殖させたVero細胞単層上に2倍連続希釈で滴定した。6日後、単層を洗浄し、1%ホルムアルデヒドで固定した。24時間後、0.04% Neutral Redで単層を染色し、プラークを数えた。

0179

RSVのRT−qPCRホモジナイズした100μlの肺組織を直ちに取り出し、QiagenのRNeasy(登録商標)Mini Kit(カタログ番号74104)を使用してRNAを単離した。Applied BiosystemsのHigh Capacity RNA−to−cDNAKit(カタログ番号4387406)を使用して逆転写反応を行った。Applied BiosystemsのUniversal PCR Master Mix(カタログ番号4352042)と、3つのプライマー:(1)プライマー1(5’−GAA CTC AGTGTA GGT AGA ATGTTTGCA−3’;配列番号36);(2)プライマー2(5’−TTCGCTATCATTTT CTCTGCCAA T−3’;配列番号37);および(3)プローブ6(5’−TTT GAACCTGTC TGA ACA TTC CCGGTT−3’;(配列番号38)の混合物とを使用して、サーマルサイクラー内で以下のパラメータを用いて、RSVL遺伝子に特異的なPCRを行った:(1)50℃で2分間;(2)95℃で10分間;(3)(95℃で15秒、60℃で1分)を45サイクル。コピー数は、RSV L遺伝子の断片を含有するpMISC202プラスミドベクターの標準曲線から決定した。Applied Biosystems(カタログ番号4351315)のVIC/MGB標識プローブを使用したマウスβアクチンに対する同様の反応を、入力cDNAの内部対照として用いた。

0180

試験の文書化.生存段階の個々のステップの間に全ての情報を収集するために、生存段階のフロー図を用意した。さらに、マウスまたはケージに特有な情報を、対応するケージカードに記録した。ケージカードは、試験の原データとは見なされないが、Upper Bavariaの政府からの要求であった。

0181

分析段階の個々のステップの間に全ての情報を収集するために、分析段階のフロー図を用意した。アッセイは、アッセイ特有の試験記録またはLaboratory Note Booksに文書化した;相互参照は、分析段階のフロー図中に文書化した。原データを含む全てのアッセイ文書は、標準的手順に従って見直された。さらに、標準的手順に従って血清試料のための試料追跡シートを用意した。

0182

データ処理.標準的手順によるさらなる分析のために原データをExcelファイル転送した。

0183

ELISA.Excelを使用して、ODの平均値および平均の標準誤差を算出した。

0184

ELISPOT.製造者の指示にしたがって、CTLリーダーを用いてELISPOTプレートを読み取った。ウェルごとにスポット形成細胞(SFC)の数を決定し、さらなる評価のためにExcelファイルに転送した。ウェル当たり5×105および2.5×105個の細胞を用いたインキュベーションから、ウェルごとに1×106個の脾細胞当たりのスポットの数を算出した。陰性対照の平均を算出し、マウス1匹当たりの平均値を算出する前に各個々の値から差し引いて、マウス1匹当たりの刺激指数(SI)値を得た(IFNをγ放出する脾細胞のペプチド特異的な周期)。

0185

ペプチド刺激の場合、数えきれないほど多くのスポットがあった場合、またはRSVで免疫した動物の場合を除いて、5×105および2.5×105個の細胞を含むウェルからSIを得た。これらの場合、2.5×105の濃度のみを用いた。MVA−BN刺激の場合、数えきれないほど多くのスポットがあった場合を除いて、5×105個を含むウェルからSIを得た。その場合、2.5×105の濃度のみを用いた。個々の動物についてSIを決定した後、SIの平均値(1×106個の脾細胞当たりのSFC)および平均値の標準誤差(SEM)を群ごとに算出した。

0186

体重変化.RSV曝露前の個々の体重値グラム表示)を基準値として採用した。これらの基準値を用いて、曝露後の各監視時点での個々の動物の体重変化(%表示)および群の平均体重変化をMicrosoft Excelを使用して算出した。

0187

RSVプラークアッセイ.計数可能なウイルス希釈液が最も多い3つのウェル内のプラークの数を数えた。希釈因子によって調整されたプラークの平均数に、次いで10を乗じて溶液の力価をpfu/mlで得、最終的に2を乗じて肺当たりの力価を得た。

0188

RSVのRT−qPCR.Applied BiosystemsのABI7500(カタログ番号4351107)を使用してリアルタイムでPCR増幅を測定し、Applied Biosystemsから供給されたSystem Softwareを使用して分析した。全ての値は、L遺伝子の標準値と比較し、試料ごとにマウスβアクチンに正規化した。

0189

結果
液性免疫応答の分析:血清試料からのRSV特異的IgG抗体応答の分析.最初に、組換えRSV FおよびGタンパク質のみでコーティングしたプレートを使用するIBL−Hamburgキットに基づくELISAにより、血清を分析した(図2および図3)。図2に示すように、単回免疫化後、免疫化に用いた経路(scまたはin)に関係なく、3つ全ての構築物(MVA−mBN199B、MVA−mBN201BDM2、およびMVA−mBN201B)で同様のRSV特異的IgG応答(0.870〜1.347の範囲のOD)が観察された。2回目の免疫化が、抗体応答に2.0倍から3.5倍近くの増加をもたらしたのに対し(2.627〜3.407の範囲のOD)、3回目のsc注射は、B細胞応答にわずかな影響を及ぼしたに過ぎず、2回目の免疫化後のODと比較して約0.500OD単位の増加をもたらした。組換えRSVFタンパク質のみでコーティングしたプレートを使用するIBL Hamburgキットに基づくELISAでも同様の結果が得られた(図4)。

0190

血清の連続希釈(1/100、1/200、および1/400)後、RSVFおよびRSV G特異的ELISAの結果は、MVA−mBN201BΔM2およびMVA−mBN201Bによる切断RSVFタンパク質および切断RSVGタンパク質のさらなる発現にもかかわらず、MVA−mBN199B、MVA−mBN201BΔM2、およびMVA−mBN201Bは、同様のRSV Fおよび RSV G特異的IgG応答を誘導したことを示した(図3)。構築物を用いた2回のsc免疫化後、B細胞応答は、RSV単独(陽性対照)による免疫化と比較してなおもより低かった。RSVの2回のin適用によって誘導される抗体応答のレベルに達するには、MVA−mBN構築物を用いた3回目のsc免疫化が必要であった。対照的に、IBLHamburgキットに基づくELISAにより分析した場合、MVA−mBN199BおよびMVA−mBN201Bを用いた2回のin免疫化は、RSV単独の2回の免疫化、またはMVA−mBN199B、MVA−mBN201BΔM2、および MVA−mBN201Bを用いた3回のsc免疫化と同様のB細胞応答を誘導した(図3)。

0191

RSV溶解物でコーティングしたプレートを使用するSerionキットに基づくELISAにより再び血清を分析した場合、MVA−mBN199B、MVA−mBN201BΔM2、およびMVA−mBN201Bの間に差は認められなかった。2回目および3回目の免疫化の間、またはscおよびin投与経路の間にも差は観察されなかった。また、応答は全て、RSVの2回のin適用によって誘導された抗体応答よりも低かった(図5)。

0192

RSV特異的IgA抗体応答の分析.曝露後4日目(53日目)に、BAL液中のRSV FおよびRSV G特異的IgAを(IBLHamburgキットに基づいて)測定した。加えて、ELISAによるRSV FおよびRSV G特異的IgGについてもBALおよび血清を分析した。その結果を、曝露(48日目)の直前に血清中で得られた結果と比較して図6に示す。

0193

予想されたように、IgA応答は、RSV、MVA−mBN199B、およびMVA−mBN201Bのin適用後のみに検出された。IgGは、BAL中にも検出することができたが、IgAは、in適用後により高いレベルで検出された。適用経路に関係なく、IgAの血清レベルは、IgGレベルよりもはるかに低かった。

0194

RSV特異的細胞性免疫応答の分析.最後の免疫化の2週間後、ELISPOTにより脾臓のT細胞応答を分析した(図7)。inまたはsc経路により投与されたMVA−mBN199Bは、強いRSV−F特異的T細胞応答を誘導した。この免疫応答は、主に、RSV−M2の非存在下で免疫優性であるRSV−F特異的ペプチドRSV−2に対するものであった。応答は、2回目のsc免疫化後、106個の脾細胞当たり約2000スポットであり、3回目のsc注射または2回目の鼻腔内適用後は、約4000スポットであった。RSVの鼻腔内適用に対する応答と同様に、MVA−mBN199Bによる免疫化後にペプチドRSV−4に対する低いG特異的応答が検出され(106個の脾細胞当たり約500スポット)、予想されたように、MVA−mBN199Bは、M2特異的T細胞を誘導しなかった。M2ペプチドは、マウスにおけるRSVの免疫優性ペプチドである。結果的に、RSVによる鼻腔内免疫化は、106個の脾細胞当たり約1000スポットを超える良好なM2特異的T細胞応答を誘導し、F特異的T細胞応答はほぼ全く誘導しなかった。

0195

MVA−mBN199Bと同様に、MVA−mBN201Bは強いT細胞応答を誘導したが、それはM2が優勢であった(投与回数または投与経路に関係なく、106個の脾細胞当たり約4000スポット超)。MVA−mBN201Bによって誘導されたG特異的応答でさえ、MVA−mBN199BまたはRSVによって誘導されたG特異的応答より少なくとも3倍高かった。MVA−mBN199Bとは対照的に、MVA−mBN201Bによって誘導されたF特異的応答は、RSV−2ペプチドで106個の脾細胞当たり600スポット未満とはるかに低かった。

0196

RSVA2株によるRSV曝露.最後の免疫化の2週間後、マウスを106 pfuのRSV(A2)に鼻腔内曝露した。体重を毎日監視した。曝露後4日目に、マウスを屠殺した。1mlのPBSで肺を洗浄した後、肺を摘出し、上述のように実施したプラークアッセイおよびRT−qPCRにより肺内のRSV負荷を決定した。

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