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技術 磁気ディスク用アルミニウム合金基板及びその製造方法、ならびに、当該磁気ディスク用アルミニウム合金基板を用いた磁気ディスク

出願人 株式会社UACJ古河電気工業株式会社
発明者 北脇高太郎畠山英之中山賢藤井康生熊谷航
出願日 2017年9月28日 (1年9ヶ月経過) 出願番号 2017-189169
公開日 2019年4月25日 (2ヶ月経過) 公開番号 2019-065320
状態 特許登録済
技術分野 非鉄金属または合金の熱処理 磁気記録担体 特殊記録再生装置の構造 磁気記録媒体の製造
主要キーワード 平坦処理 窪みの発生 ディスクブランク フラッタリング 測定限界値 モーター特性 グラインディング加工 ボトムブロック
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重要な関連分野

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課題

良好なめっき性とフラッタリング特性を有する磁気ディスク用アルミニウム合金基板及びその製造方法、ならびに、この磁気ディスク用アルミニウム合金基板を用いた磁気ディスクを提供する。

解決手段

Fe:0.4〜3.0mass%(以下、「%」)、Si:0.10%未満、Mg:0.10%未満を含有し、残部Al及び不可避不純物からなるアルミニウム合金からなり、2μm以上3μm未満の最長径を有するAl−Fe系金属間化合物が1000個/mm2以上の分布密度で分散し、1μm以上の最長径を有するMg−Si系金属間化合物が1個/mm2以下の分布密度で分散する磁気ディスク用アルミニウム合金基板及びその製造方法、ならびに、当該磁気ディスク用アルミニウム合金基板の表面に、無電解Ni−Pめっき処理層とその上の磁性体層が設けられている磁気ディスク。

概要

背景

コンピュータ記憶装置に用いられる磁気ディスクは、良好なめっき性を有するとともに機械的特性加工性が優れる基板を用いて製造される。例えば、JIS5086(Mg:3.5〜4.5mass%、Fe:0.50mass%以下、Si:0.40mass%以下、Mn:0.20〜0.70mass%、Cr:0.05〜0.25mass%、Cu:0.10mass%以下、Ti:0.15mass%以下及びZn:0.25mass%以下を含有し、残部Al及び不可避的不純物からなる)によるアルミニウム合金を基本とした基板などから製造されている。

一般的な磁気ディスクの製造は、まず円環状アルミニウム合金基板を作製し、該アルミニウム合金基板にめっきを施し、次いで該アルミニウム合金基板の表面に磁性体を付着させることにより行われている。

例えば、前記JIS5086合金によるアルミニウム合金製磁気ディスクは以下の製造工程により製造される。まず、所定の化学成分としたアルミニウム合金素材鋳造し、その鋳塊熱間圧延し、次いで冷間圧延を施し、磁気ディスクとして必要な厚さを有する圧延材を作製する。この圧延材には、必要に応じて冷間圧延の途中等に焼鈍を施すことが好ましい。次に、この圧延材を円環状に打抜き、前記製造工程により生じた歪み等を除去するため、円環状としたアルミニウム合金板を積層し、両端部の両面から加圧しつつ焼鈍を施して平坦化する加圧焼鈍を行って、円環状アルミニウム合金基板が作製される。

このようにして作製された円環状アルミニウム合金基板に、前処理として切削加工研削加工脱脂エッチング及びジンケート処理(Zn置換処理)を施し、次いで下地処理として硬質非磁性金属であるNi−Pを無電解めっきし、該めっき表面にポリッシングを施した後に、Ni−P無電解めっき表面に磁性体をスパッタリングしてアルミニウム合金製磁気ディスクが製造される。

ところで、近年、磁気ディスクには、マルチメディア等のニーズから大容量化及び高密度化、更に高速化が求められている。大容量化のため、記憶装置に搭載される磁気ディスクの枚数が増加しており、それに伴い磁気ディスクの薄肉化も求められている。

しかしながら、薄肉化、高速化に伴い剛性の低下や高速回転による流体力の増加に伴う励振力が増加し、ディスクフラッタが発生し易くなる。これは、磁気ディスクを高速で回転させると不安定な気流ディスク間に発生し、その気流により磁気ディスクの振動フラッタリング)が発生することに起因する。このような現象は、基板の剛性が低いと磁気ディスクの振動が大きくなり、ヘッドがその変化に追従できないために発生するものと考えられる。フラッタリングが起きると、読み取り部であるヘッドの位置決め誤差が増加する。そのためディスク・フラッタの減少が強く求められている。

また、磁気ディスクの高密度化により、1ビット当たりの磁気領域が益々微細化されることになる。この微細化に伴い、ヘッドの位置決め誤差のズレによる読み取りエラーが発生し易くなっており、ヘッドの位置決め誤差の主要因であるディスク・フラッタの減少が強く求められている。

また、磁気ディスクの高密度化により、1ビット当たりの磁気領域が益々微小化されるため、磁気ディスクのめっき表面に微細なピット(孔)があっても、データ読み取り時にエラーを起こす原因となる。このため磁気ディスクのめっき表面にはピットが少ない高い平滑性が求められる。

このような実情から、近年ではめっき性に優れ、ディスク・フラッタが小さい特性を有する磁気ディスク用アルミニウム合金基板が強く望まれ、検討がなされている。例えば、ハードディスクドライブ内に、ディスクと対向するプレートを有する気流抑制部品実装することが提案されている。特許文献1には、アクチュエータ上流側にエア・スポイラを設置した磁気ディスク装置が提案されている。このエア・スポイラは、磁気ディスク上のアクチュエータに向かう空気流を弱めて、磁気ヘッドの風乱振動を低減するものである。また、エア・スポイラは、磁気ディスク上の気流を弱めることで、ディスク・フラッタを抑制する。更に、特許文献2では、アルミニウム合金板の剛性向上に寄与するSiを多く含有させて、剛性を向上させる方法が提案されている。

概要

良好なめっき性とフラッタリング特性を有する磁気ディスク用アルミニウム合金基板及びその製造方法、ならびに、この磁気ディスク用アルミニウム合金基板を用いた磁気ディスクを提供する。Fe:0.4〜3.0mass%(以下、「%」)、Si:0.10%未満、Mg:0.10%未満を含有し、残部Al及び不可避不純物からなるアルミニウム合金からなり、2μm以上3μm未満の最長径を有するAl−Fe系金属間化合物が1000個/mm2以上の分布密度で分散し、1μm以上の最長径を有するMg−Si系金属間化合物が1個/mm2以下の分布密度で分散する磁気ディスク用アルミニウム合金基板及びその製造方法、ならびに、当該磁気ディスク用アルミニウム合金基板の表面に、無電解Ni−Pめっき処理層とその上の磁性体層が設けられている磁気ディスク。

目的

本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、めっき性とディスクのフラッタリング特性に優れた磁気ディスク用アルミニウム合金基板、ならびに、これを用いた磁気ディスクを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
2件
牽制数
0件

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請求項1

Fe:0.4〜3.0mass%、Si:0.10mass%未満、Mg:0.10mass%未満を含有し、残部Al及び不可避不純物からなるアルミニウム合金からなり、2μm以上3μm未満の最長径を有するAl−Fe系金属間化合物が1000個/mm2以上の分布密度で分散し、1μm以上の最長径を有するMg−Si系金属間化合物が1個/mm2以下の分布密度で分散することを特徴とする磁気ディスク用アルミニウム合金基板

請求項2

前記アルミニウム合金が、Mn:0.1〜3.0mass%、Ni:0.1〜3.0mass%、Cu:0.005〜1.000mass%、Cr:0.01〜1.00mass%及びZr:0.01〜1.00mass%からなる群から選択される1種又は2種以上を更に含有する、請求項1に記載の磁気ディスク用アルミニウム合金基板。

請求項3

前記アルミニウム合金が、Zn:0.005〜1.000massを更に含有する、請求項1又は2に記載の磁気ディスク用アルミニウム合金基板。

請求項4

前記アルミニウム合金が、含有量の合計が0.005〜0.500mass%以下のTi、B及びVからなる群から選択される1種又は2種以上を更に含有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の磁気ディスク用アルミニウム合金基板。

請求項5

平坦度が30μm以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の磁気ディスク用アルミニウム合金基板。

請求項6

引張強度が90MPa以上である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の磁気ディスク用アルミニウム合金基板。

請求項7

請求項1〜6のいずれか一項に記載の磁気ディスク用アルミニウム合金基板の表面に、無電解Ni−Pめっき処理層とその上の磁性体層が設けられていることを特徴とする磁気ディスク

請求項8

請求項1〜6のいずれか一項に記載される磁気ディスク用アルミニウム合金基板の製造方法であって、前記アルミニウム合金を用いて鋳塊鋳造する鋳造工程と、鋳塊を熱間圧延する熱間圧延工程と、熱間圧延板冷間圧延する冷間圧延工程と、冷間圧延板を円環状に打ち抜くディスクブランク打抜き工程と、打ち抜いたディスクブランクを加圧焼鈍する加圧焼鈍工程と、加圧焼鈍したディスクブランクに切削加工研削加工を施す切削研削工程とを含み、前記熱間圧延工程において、250〜450℃の温度範囲で40%以上の圧下率で鋳塊を熱間圧延することを特徴とする磁気ディスク用アルミニウム合金基板の製造方法。

請求項9

前記鋳造工程と熱間圧延工程の間に、鋳塊を280〜620℃で0.5〜60時間加熱処理する均質化熱処理工程を更に含む、請求項8に記載の磁気ディスク用アルミニウム合金基板の製造方法。

請求項10

前記冷間圧延の前又は途中において、圧延板焼鈍する焼鈍処理工程であって、300〜390℃で0.1〜10時間のバッチ焼鈍処理工程、又は400〜500℃で0〜60秒の連続焼鈍処理工程を更に含む、請求項8又は9に記載の磁気ディスク用アルミニウム合金基板の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、良好なめっき性とフラッタリング特性を有する磁気ディスク用アルミニウム合金基板及びその製造方法、ならびに、この磁気ディスク用アルミニウム合金基板を用いた磁気ディスクに関する。

背景技術

0002

コンピュータ記憶装置に用いられる磁気ディスクは、良好なめっき性を有するとともに機械的特性加工性が優れる基板を用いて製造される。例えば、JIS5086(Mg:3.5〜4.5mass%、Fe:0.50mass%以下、Si:0.40mass%以下、Mn:0.20〜0.70mass%、Cr:0.05〜0.25mass%、Cu:0.10mass%以下、Ti:0.15mass%以下及びZn:0.25mass%以下を含有し、残部Al及び不可避的不純物からなる)によるアルミニウム合金を基本とした基板などから製造されている。

0003

一般的な磁気ディスクの製造は、まず円環状アルミニウム合金基板を作製し、該アルミニウム合金基板にめっきを施し、次いで該アルミニウム合金基板の表面に磁性体を付着させることにより行われている。

0004

例えば、前記JIS5086合金によるアルミニウム合金製磁気ディスクは以下の製造工程により製造される。まず、所定の化学成分としたアルミニウム合金素材鋳造し、その鋳塊熱間圧延し、次いで冷間圧延を施し、磁気ディスクとして必要な厚さを有する圧延材を作製する。この圧延材には、必要に応じて冷間圧延の途中等に焼鈍を施すことが好ましい。次に、この圧延材を円環状に打抜き、前記製造工程により生じた歪み等を除去するため、円環状としたアルミニウム合金板を積層し、両端部の両面から加圧しつつ焼鈍を施して平坦化する加圧焼鈍を行って、円環状アルミニウム合金基板が作製される。

0005

このようにして作製された円環状アルミニウム合金基板に、前処理として切削加工研削加工脱脂エッチング及びジンケート処理(Zn置換処理)を施し、次いで下地処理として硬質非磁性金属であるNi−Pを無電解めっきし、該めっき表面にポリッシングを施した後に、Ni−P無電解めっき表面に磁性体をスパッタリングしてアルミニウム合金製磁気ディスクが製造される。

0006

ところで、近年、磁気ディスクには、マルチメディア等のニーズから大容量化及び高密度化、更に高速化が求められている。大容量化のため、記憶装置に搭載される磁気ディスクの枚数が増加しており、それに伴い磁気ディスクの薄肉化も求められている。

0007

しかしながら、薄肉化、高速化に伴い剛性の低下や高速回転による流体力の増加に伴う励振力が増加し、ディスクフラッタが発生し易くなる。これは、磁気ディスクを高速で回転させると不安定な気流ディスク間に発生し、その気流により磁気ディスクの振動フラッタリング)が発生することに起因する。このような現象は、基板の剛性が低いと磁気ディスクの振動が大きくなり、ヘッドがその変化に追従できないために発生するものと考えられる。フラッタリングが起きると、読み取り部であるヘッドの位置決め誤差が増加する。そのためディスク・フラッタの減少が強く求められている。

0008

また、磁気ディスクの高密度化により、1ビット当たりの磁気領域が益々微細化されることになる。この微細化に伴い、ヘッドの位置決め誤差のズレによる読み取りエラーが発生し易くなっており、ヘッドの位置決め誤差の主要因であるディスク・フラッタの減少が強く求められている。

0009

また、磁気ディスクの高密度化により、1ビット当たりの磁気領域が益々微小化されるため、磁気ディスクのめっき表面に微細なピット(孔)があっても、データ読み取り時にエラーを起こす原因となる。このため磁気ディスクのめっき表面にはピットが少ない高い平滑性が求められる。

0010

このような実情から、近年ではめっき性に優れ、ディスク・フラッタが小さい特性を有する磁気ディスク用アルミニウム合金基板が強く望まれ、検討がなされている。例えば、ハードディスクドライブ内に、ディスクと対向するプレートを有する気流抑制部品実装することが提案されている。特許文献1には、アクチュエータ上流側にエア・スポイラを設置した磁気ディスク装置が提案されている。このエア・スポイラは、磁気ディスク上のアクチュエータに向かう空気流を弱めて、磁気ヘッドの風乱振動を低減するものである。また、エア・スポイラは、磁気ディスク上の気流を弱めることで、ディスク・フラッタを抑制する。更に、特許文献2では、アルミニウム合金板の剛性向上に寄与するSiを多く含有させて、剛性を向上させる方法が提案されている。

0011

特開2002−313061号公報
WO2016/068293号公報

0012

しかしながら、特許文献1に開示されている方法では、設置したエア・スポイラと磁気ディスク用基板との間隔の違いによりフラッタリング抑制効果が異なり、部品の高精度を必要とするため部品コストの増大を招いている。

先行技術

0013

また、特許文献2に示すSiを多く含有させる方法は、剛性向上には効果的であるが、目標とする優れためっき性が得られていないのが現状であった。

発明が解決しようとする課題

0014

本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、めっき性とディスクのフラッタリング特性に優れた磁気ディスク用アルミニウム合金基板、ならびに、これを用いた磁気ディスクを提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0015

すなわち、本発明は請求項1において、Fe:0.4〜3.0mass%、Si:0.10mass%未満、Mg:0.10mass%未満を含有し、残部Al及び不可避不純物からなるアルミニウム合金からなり、2μm以上3μm未満の最長径を有するAl−Fe系金属間化合物が1000個/mm2以上の分布密度で分散し、1μm以上の最長径を有するMg−Si系金属間化合物が1個/mm2以下の分布密度で分散することを特徴とする磁気ディスク用アルミニウム合金基板とした。

0016

本発明は請求項2では請求項1において、前記アルミニウム合金が、Mn:0.1〜3.0mass%、Ni:0.1〜3.0mass%、Cu:0.005〜1.000mass%、Cr:0.01〜1.00mass%及びZr:0.01〜1.00mass%からなる群から選択される1種又は2種以上を更に含有するものとした。

0017

本発明は請求項3では請求項1又は2において、前記アルミニウム合金が、Zn:0.005〜1.000massを更に含有するものとした。

0018

本発明は請求項4では請求項1〜3のいずれか一項において、前記アルミニウム合金が、含有量の合計が0.005〜0.500mass%以下のTi、B及びVからなる群から選択される1種又は2種以上を更に含有するものとした。

0019

本発明は請求項5では請求項1〜4のいずれか一項において、平坦度が30μm以下であるものとした。

0020

本発明は請求項6では請求項1〜5のいずれか一項において、引張強度が90MPa以上であるものとした。

0021

本発明は請求項7において、請求項1〜6のいずれか一項に記載の磁気ディスク用アルミニウム合金基板の表面に、無電解Ni−Pめっき処理層とその上の磁性体層が設けられていることを特徴とする磁気ディスクとした。

0022

本発明は請求項8において、請求項1〜6のいずれか一項に記載される磁気ディスク用アルミニウム合金基板の製造方法であって、前記アルミニウム合金を用いて鋳塊を鋳造する鋳造工程と、鋳塊を熱間圧延する熱間圧延工程と、熱間圧延板を冷間圧延する冷間圧延工程と、冷間圧延板を円環状に打ち抜くディスクブランク打抜き工程と、打ち抜いたディスクブランクを加圧焼鈍する加圧焼鈍工程と、加圧焼鈍したディスクブランクに切削加工と研削加工を施す切削研削工程とを含み、前記熱間圧延工程において、250〜450℃の温度範囲で40%以上の圧下率で鋳塊を熱間圧延することを特徴とする磁気ディスク用アルミニウム合金基板の製造方法とした。

0023

本発明は請求項9では請求項8において、前記鋳造工程と熱間圧延工程の間に、鋳塊を280〜620℃で0.5〜60時間加熱処理する均質化熱処理工程を更に含むものとした。

0024

本発明は請求項10では請求項8又は9において、前記冷間圧延の前又は途中において、圧延板を焼鈍する焼鈍処理工程であって、300〜390℃で0.1〜10時間のバッチ焼鈍処理工程、又は400〜500℃で0〜60秒の連続焼鈍処理工程を更に含むものとした。

発明の効果

0025

本発明により、めっき性とディスクのフラッタリング特性に優れた磁気ディスク用アルミニウム合金基板及びその製造方法、ならびに、当該磁気ディスク用アルミニウム合金基板を用いた磁気ディスクを提供することができる。

図面の簡単な説明

0026

本発明に係る磁気ディスク用アルミニウム合金基板及び磁気ディスクの製造方法を示すフロー図である。

0027

本発明者らは、基板のめっき性及びフラッタリング特性と基板の素材との関係に着目し、これら特性と基板(磁気ディスク材料)の特性との関係について鋭意調査研究した。この結果、Fe、Si及びMg含有量とAl−Fe系金属間化合物とMg−Si系金属間化合物のサイズ分布がめっき性とフラッタリング特性に大きな影響を与えることを見出した。この結果、本発明者らは、Fe含有量が0.40〜3.00mass%(以下、「%」と略記する)、Si含有量が0.10%未満、Mg含有量が0.10%未満の範囲で、2μm以上3μm未満の最長径を有するAl−Fe系金属間化合物が、1000個/mm2以上の分布密度で分散し、1μm以上の最長径を有するMg−Si系金属間化合物が1個/mm2以下の分布密度で分散する磁気ディスク用アルミニウム合金基板において、めっき性とフラッタリング特性が向上することを見出した。これらの知見に基づいて、本発明者らは本発明を完成するに至ったものである。

0028

A.磁気ディスク用アルミニウム合金基板
以下、本発明に係る磁気ディスク用アルミニウム合金基板(以下、「本発明に係るアルミニウム合金基板」又は、単に「アルミニウム合金基板」と略記する)について詳細に説明する。

0029

1.合金組成
以下、本発明に係るAl−Fe系合金を用いた磁気ディスク用アルミニウム合金基板のアルミニウム合金成分及びその含有量について説明する。

0030

Fe:
Feは必須元素であり、主として第二相粒子(Al−Fe系金属間化合物等)として、一部はマトリックスに固溶して存在し、アルミニウム合金基板の強度とフラッタリング特性を向上させる効果を発揮する。このような材料に振動を加えると、第二相粒子とマトリックスとの界面における粘性流動により振動エネルギーが速やかに吸収され、極めて良好なフラッタリング特性が得られる。アルミニウム合金中のFe含有量が0.4%未満では、十分な強度とフラッタリング特性が得られない。一方、Fe含有量が3.0%を超えると、粗大なAl−Fe系金属間化合物粒子が多数生成する。このような粗大なAl−Fe系金属間化合物粒子が、エッチング時、ジンケート処理時、切削加工時や研削加工時において脱落して大きな窪みが発生し、めっきピット発生によるめっき表面の平滑性の低下及びめっき剥離を発生させる。また、圧延工程における加工性低下も生じる。そのため、アルミニウム合金中のFe含有量は、0.4〜3.0%の範囲とする。Fe含有量は、好ましくは0.6〜2.0%、より好ましくは0.8〜1.8%の範囲である。

0031

Si:
Siは、主に第二相粒子(Si粒子やMg−Si系金属間化合物等)として存在し、アルミニウム合金基板の強度とフラッタリング特性を向上させる効果を発揮するが、Mg−Si系金属間化合物が多数存在すると、めっき表面に微細なピットが発生し、めっき表面の平滑性が低下する。これは、Mg−Si系金属間化合物がめっき処理までのところで一部がSi−Oに変質することが関係していると考えられる。すなわち、Si−Oはその高耐食性によって、エッチングなどのめっき前処理によっては除去され難いためと考えられる。アルミニウム合金基板の表面に存在するMg−Si系金属間化合物は、エッチング処理などのめっき前処理で一部は溶解するが、一部は高耐食性のSi−Oに変質し残存する。その結果、Si−Oの周囲でAlマトリックスの溶解反応が集中的に起こると考えられる。更に、このSi−Oが一部残存した部分ではめっき処理中にAlマトリックスの溶解が続き、Si−Oを中心とした微細な凹部が形成される。この凹部においては、Alマトリックスの溶解が続くことによりめっきが付着し難く、その結果、めっき表面に微細ピットが発生すると考えられる。アルミニウム合金中のSi含有量が0.10%以上であると、Mg−Si系金属間化合物が多数生成し、めっき表面に微細なピットが発生し、めっき表面の平滑性が低下する。そのため、アルミニウム合金中のSi含有量は、0.10%未満の範囲とする。Si含有量は、0.08%以下に規制するのが好ましく、0.02%以下に規制するのがより好ましい。なお、Siの下限値は特に限定されるものではないが、本発明では0.01%とする。

0032

Mg:
Mgは、主として第二相粒子(Mg−Si系金属間化合物等)として存在し、アルミニウム合金基板の強度とフラッタリング特性を向上させる効果を発揮するが、Mg−Si系金属間化合物が多数存在すると、めっき表面に微細なピットが発生し、めっき表面の平滑性が低下する。アルミニウム合金中のMg含有量が0.10%以上であると、Mg−Si系金属間化合物が多数生成し、めっき表面に微細なピットが発生し、めっき表面の平滑性が低下する。そのため、アルミニウム合金中のMg含有量は、0.10%未満の範囲とする。Mg含有量は、0.08%以下に規制するのが好ましく、0.02%以下に規制するのがより好ましい。なお、Mgの下限値は特に限定されるものではないが、本発明では0.00%とする。

0033

磁気ディスク用アルミニウム合金基板のめっき性やフラッタリング特性を更に向上させるために、第1の選択的元素として、Mn:0.1〜3.0%、Ni:0.1〜3.0%、Cu:0.005〜1.000%、Cr:0.01〜1.00%及びZr:0.01〜1.00%からなる群から選択される1種又は2種以上を更に含有させてもよい。また、第2の選択的元素として、Zn:0.005〜1.000%を更に含有させてもよい。更に、第3の選択的元素として、含有量の合計が0.005〜0.500%のTi、B及びVからなる群から選択される1種又は2種以上を更に含有させてもよい。以下に、これらの選択元素について説明する。

0034

Mn:
Mnは、主として第二相粒子(Al−Mn系金属間化合物等)として存在し、アルミニウム合金基板の強度とフラッタリング特性を向上させる効果を発揮する。このような材料に振動を加えると、第二相粒子とマトリックスとの界面における粘性流動により振動エネルギーが速やかに吸収され、極めて良好なフラッタリング特性が得られる。アルミニウム合金中のMn含有量が0.1%以上であることによって、アルミニウム合金基板の強度とフラッタリング特性を向上させる効果を一層高めることができる。また、アルミニウム合金中のMn含有量が3.0%以下であることによって、粗大なAl−Mn系金属間化合物粒子が多数生成することを抑制する。このような粗大なAl−Mn系金属間化合物粒子が、エッチング時、ジンケート処理時、切削加工時や研削加工時に脱落して大きな窪みが発生することを抑制し、めっき表面の平滑性の低下及びめっき剥離が生じることを一層抑制することができる。また、圧延工程における加工性低下を一層抑制することができる。そのため、アルミニウム合金中のMn含有量は、0.1〜3.0%の範囲とするのが好ましく、0.1〜1.0%の範囲とするのがより好ましい。

0035

Ni:
Niは、主として第二相粒子(Al−Ni系金属間化合物等)として存在し、アルミニウム合金基板の強度とフラッタリング特性を向上させる効果を発揮する。このような材料に振動を加えると、第二相粒子とマトリックスとの界面における粘性流動により振動エネルギーが速やかに吸収され、極めて良好なフラッタリング特性が得られる。アルミニウム合金中のNi含有量が0.1%以上であることによって、アルミニウム合金基板の強度とフラッタリング特性を向上させる効果を一層高めることができる。また、アルミニウム合金中のNi含有量が3.0%以下であることによって、粗大なAl−Ni系金属間化合物粒子が多数生成することを抑制する。このような粗大なAl−Ni系金属間化合物粒子が、エッチング時、ジンケート処理時、切削加工時や研削加工時に脱落して大きな窪みが発生することを抑制し、めっき表面の平滑性の低下及びめっき剥離が生じることを一層抑制することができる。また、圧延工程における加工性低下を一層抑制することができる。そのため、アルミニウム合金中のNi含有量は、0.1〜3.0%の範囲とするのが好ましく、0.1〜1.0%の範囲とするのがより好ましい。

0036

Cu:
Cuは、主として第二相粒子(Al−Cu系金属間化合物等)として存在し、アルミニウム合金基板の強度とフラッタリング特性を向上させる効果を発揮する。また、ジンケート処理時のAl溶解量を減少させる。更に、ジンケート皮膜を均一に、薄く、緻密に付着させ、次工程のめっき工程での平滑性を向上させる効果を発揮する。アルミニウム合金中のCu含有量が0.005%以上であることによって、アルミニウム合金基板の強度とフラッタリング特性を向上させる効果及び平滑生を向上させる効果とを一層高めることができる。また、アルミニウム合金中のCu含有量が1.000%以下であることによって、粗大なAl−Cu系金属間化合物粒子が多数生成することを抑制する。このような粗大なAl−Cu系金属間化合物粒子が、エッチング時、ジンケート処理時、切削加工時や研削加工時に脱落して大きな窪みが発生することを抑制し、めっき表面の平滑性を向上させる効果を一層高めることができ、また、めっき剥離が生じることを一層抑制することができる。また、圧延工程における加工性低下を一層抑制することができる。そのため、アルミニウム合金中のCu含有量は、0.005〜1.000%の範囲とするのが好ましく、0.005〜0.400%の範囲とするのがより好ましい。

0037

Cr:
Crは、主として第二相粒子(Al−Cr系金属間化合物等)として存在し、アルミニウム合金基板の強度とフラッタリング特性を向上させる効果を発揮する。アルミニウム合金中のCr含有量が0.01%以上であることによって、アルミニウム合金基板の強度とフラッタリング特性を向上させる効果を一層高めることができる。また、アルミニウム合金中のCr含有量が1.00%以下であることによって、粗大なAl−Cr系金属間化合物粒子が多数生成することを抑制する。このような粗大なAl−Cr系金属間化合物粒子がエッチング時、ジンケート処理時、切削加工時や研削加工時に脱落して大きな窪みが発生することを抑制し、めっき表面の平滑性の低下及びめっき剥離が生じることを一層抑制することができる。また、圧延工程における加工性低下を一層抑制することができる。そのため、アルミニウム合金中のCr含有量は、0.01〜1.00%の範囲とするのが好ましく、0.10〜0.50%の範囲とするのがより好ましい。

0038

Zr:
Zrは、主として第二相粒子(Al−Zr系金属間化合物等)として存在し、アルミニウム合金基板の強度とフラッタリング特性を向上させる効果を発揮する。アルミニウム合金中のZr含有量が0.01%以上であることによって、アルミニウム合金基板の強度とフラッタリング特性を向上させる効果を一層高めることができる。また、アルミニウム合金中のZr含有量が1.00%以下であることによって、粗大なAl−Zr系金属間化合物粒子が多数生成することを抑制する。このような粗大なAl−Zr系金属間化合物粒子がエッチング時、ジンケート処理時、切削加工時や研削加工時に脱落して大きな窪みが発生することを抑制し、めっき表面の平滑性の低下及びめっき剥離が生じることを一層抑制することができる。また、圧延工程における加工性低下を一層抑制することができる。そのため、アルミニウム合金中のZr含有量は、0.01〜1.00%の範囲とするのが好ましく、0.10〜0.50%の範囲とするのがより好ましい。

0039

Zn:
Znは、ジンケート処理時のAl溶解量を減少させ、またジンケート皮膜を均一に、薄く、緻密に付着させ、次工程のめっき工程での平滑性及び密着性を向上させる効果を発揮する。また、他の添加元素と第二相粒子を形成し、フラッタリング特性を向上させる効果を発揮する。アルミニウム合金中のZn含有量が0.005%以上であることによって、ジンケート処理時のAl溶解量を減少させ、またジンケート皮膜を均一に、薄く、緻密に付着させ、めっきの平滑性を向上させる効果を一層高めることができる。また、アルミニウム合金中のZn含有量が1.000%以下であることによって、ジンケート皮膜が均一となりめっき表面の平滑性が低下することを一層抑制することができ、また、めっき剥離が生じることを一層抑制することができる。そのため、アルミニウム合金中のZn含有量は、0.005〜1.000%の範囲とするのが好ましく、0.100〜0.700の範囲とするのがより好ましい。

0040

Ti、B、V
Ti、B及びVは、鋳造時の凝固過程において、第二相粒子(TiB2などのホウ化物、或いは、Al3TiやTi−V−B粒子等)を形成し、これらが結晶粒核となるため、結晶粒を微細化することが可能となる。その結果、めっき性が改善する。また、結晶粒が微細化することで、第二相粒子のサイズの不均一性を小さくし、アルミニウム合金基板中の強度とフラッタリング特性のバラツキを低減させる効果を発揮する。但し、Ti、B及びVの含有量の合計が0.005%未満では、上記の効果が得られない。一方、Ti、B及びVの含有量の合計が0.500%を超えてもその効果は飽和し、それ以上の顕著な改善効果が得られない。そのため、Ti、B及びVを添加する場合のTi、B及びVの含有量の合計は、0.005〜0.500%の範囲とするのが好ましく、0.005〜0.100%の範囲とするのがより好ましい。なお、合計量とは、Ti、B及びVのいずれか1種のみを含有する場合にはこの1種の量であり、いずれか2種を含有する場合にはこれら2種の合計量であり、3種全てを含有する場合にはこれら3種の合計量である。

0041

その他の元素:
また、本発明に用いるアルミニウム合金の残部は、Al及び不可避的不純物からなる。ここで、不可避的不純物としてはGa、Snなどが挙げられ、各々が0.10%未満で、かつ合計で0.20%未満であれば、本発明で得られるアルミニウム合金基板としての特性を損なうことはない。

0042

2.金属間化合物の分布状態
次に、本発明に係る磁気ディスク用アルミニウム合金基板における金属間化合物の分布状態について説明する。

0043

本発明に係る磁気ディスク用アルミニウム合金基板では、金属組織において、2μm以上3μm未満の最長径を有するAl−Fe系金属間化合物が、1000個/mm2以上の分布密度で分散し、1μm以上の最長径を有するMg−Si系金属間化合物が1個/mm2以下の分布密度で分散する。

0044

ここで、上記金属間化合物とは析出物晶出物の第二相粒子を意味し、具体的には、Al−Fe系金属間化合物としては、Al3Fe、Al6Fe、Al6(Fe、Mn)、Al−Fe−Si、Al−Fe−Mn−Si、Al−Fe−Ni、Al−Cu−Fe等が挙げられ、Mg−Si系金属間化合物はMg2Siなどの粒子等をいう。本発明に係るアルミニウム合金基板は、上記Al−Fe系金属間化合物とMg−Si系金属間化合物の他に、Al−Mn系金属間化合物(Al6Mn、Al−Mn−Si)、Al−Ni系金属間化合物(Al3Ni等)、Al−Cu系金属間化合物(Al2Cu等)、Al−Cr系金属間化合物(Al7Cr等)、Al−Zr系金属間化合物(Al3Zr等)などの金属間化合物も含有する。なお、第二相粒子は、上記金属間化合物以外にSi粒子等も含む。

0045

本発明に係る磁気ディスク用アルミニウム合金基板では、金属組織において、2μm以上3μm未満の最長径を有するAl−Fe系金属間化合物が、1000個/mm2以上の分布密度で分散し、1μm以上の最長径を有するMg−Si系金属間化合物が1個/mm2以下の分布密度で分散する。所定の金属間化合物の大きさと分布状態(面密度)を規定することで、めっき表面の微細ピットが低減し、めっき表面の平滑性が向上する。

0046

Al−Fe系金属間化合物については、めっき前処理のエッチング時等においてこの金属間化合物上でカソード反応が起こり、この金属間化合物の周囲ではアノード反応(Alマトリックスの溶解)が起こると考えられる。2μm以上3μm未満の最長径を有するAl−Fe系金属間化合物が少ない場合、カソード・アノード反応が起こるサイトが少ないため、カソード・アノード反応が集中的に起こり、大きな窪みが発生し、めっき表面に微細ピットが生成すると考えられる。一方、2μm以上3μm未満の最長径を有するAl−Fe系金属間化合物が多い場合、カソード・アノード反応が起こるサイトが多いため、カソード・アノード反応が分散し、大きな窪みが発生し難くなり、めっき表面の微細ピットが低減すると考えられる。

0047

2μm以上3μm未満の最長径を有するAl−Fe系金属間化合物が、1000個/mm2未満の少ない分布密度で分散する場合は、めっき表面に微細ピットが発生し、めっき表面の平滑性が低下する。そのため、2μm以上3μm未満の最長径を有するAl−Fe系金属間化合物の分布密度は、1000個/mm2以上とする。また、2μm以上3μm未満の最長径を有するAl−Fe系金属間化合物の分布密度は、3000個/mm2以上の範囲が好ましく、5000個/mm2以上の範囲がより好ましい。この分布密度の上限は特に限定されるものでないが、分布密度が大きくなると粗大なめっきピットが生じ易くなり、分布密度が50000個/mm2を超えるとめっき表面の平滑性が低下する虞がある。そのため、2μm以上3μm未満の最長径を有するAl−Fe系金属間化合物の分布密度の上限は50000個/mm2が好ましい。

0048

アルミニウム合金基板の金属組織中に存在するAl−Fe系金属間化合物の最長径が2μm未満の場合は、カソード・アノード反応が起こるサイトとしては小さいため、大きな窪みの発生を抑制する効果が得られない。一方、最長径が3μm以上の場合は、カソード・アノード反応が活発になり過ぎるため、これまた大きな窪みの発生を抑制する効果が得られない。従って、本発明においては、2μm以上3μm未満の最長径を有するAl−Fe系金属間化合物の分布密度を規定するものである。なお、Al−Fe系金属間化合物には、3μm以上の最長径を有するものが存在するが、最長径が大きくなると粗大なめっきピットが生じ易くなり、最長径が50μmを超えるとめっき表面の平滑性が低下する虞がある。そのため、50μm以上の最長径を有するAl−Fe系金属間化合物が存在しないのが好ましい。

0049

Mg−Si系金属間化合物は、上述の通り、主に微細ピットの発生原因となりめっき表面の平滑性を低下させる。そのため、1μm以上の最長径を有するMg−Si系金属間化合物の分布密度は、1個/mm2以下とする。また、1μm以上の最長径を有するMg−Si系金属間化合物の分布密度は、0個/mm2が好ましい。

0050

アルミニウム合金基板の金属組織中に存在するMg−Si系金属間化合物の最長径が1μm未満の場合は、サイズが小さいため、めっきピットの発生に大きな影響は及ぼさない。なお、Mg−Si系金属間化合物の最長径の上限は特に限定されるものではないが、最長径が大きくなると粗大なめっきピットが生じ易くなり、最長径が20μmを超えると粗大なめっきピットによるめっき表面の平滑性が低下する虞がある。そのため、粗大なめっきピットの発生を抑制する点からすると、最長径が20μmを超えるMg−Si系金属間化合物を存在させない必要がある。従って、微細ピットの発生を抑制する本発明において、最長径の上限は20μmとするのが好ましい。

0051

なお、本発明において最長径とは、光学顕微鏡観測される金属間化合物の平面画像において、まず、輪郭線上における一点と輪郭線上の他の点との距離の最大値計測し、次に、この最大値を輪郭線上における全ての点について計測し、最後に、これら全最大値のうちから選択される最も大きなものをいう。

0052

3.フラッタリング特性
次にフラッタリング特性であるが、フラッタリング特性は、ハードディスクドライブモーター特性によっても影響を受ける。本発明においては、フラッタリング特性は、空気中では、50nm以下であることが好ましく、30nm以下であることがより好ましい。50nm以下であれば一般的なHDD向けの使用に耐え得ると判断される。50nmを超える場合は、読み取り部であるヘッドの位置決め誤差が増加する。

0053

また、フラッタリング特性は、ヘリウム中では、30nm以下であることが好ましく、20nm以下であることがより好ましい。30nm以下であれば一般的なHDD向けの使用に耐え得ると判断される。30nmを超える場合は、読み取り部であるヘッドの位置決め誤差が増加する。

0054

ここで、使用するハードディスクドライブによって必要なフラッタリング特性が異なるため、このフラッタリング特性に対して、適宜、金属間化合物の分布状態を決定すれば良い。これらは、添加元素の含有量、ならびに、以下に述べる鋳造時の冷却速度を含めた鋳造方法、その後の熱処理と加工による熱履歴及び加工履歴、をそれぞれ適正に調整することによって得られる。

0055

本発明の実施態様においては、アルミニウム合金基板の厚さは、0.45mm以上であることが好ましい。アルミニウム合金基板の厚さが0.45mm未満であると、ハードディスクドライブの取り付け時などに発生する落下などによる加速力により基板が変形する虞がある。但し、耐力を更に増加することによって変形が抑制できればこの限りではない。なお、アルミニウム合金基板の厚さが1.30mmを超えると、フラッタリング特性は改善するがハードディスク内に搭載できるディスク枚数が減ってしまうため好適ではない。従って、アルミニウム合金基板の厚さは、0.45〜1.30mmとするのがより好ましく、0.50〜1.00mmとするのが更に好ましい。

0056

なお、ハードディスク内にヘリウムを充填することで流体力を下げることができる。これは、ヘリウムのガス粘度が空気と比べるとその約1/8と小さいためである。ハードディスクの回転に伴うガスの流れによって発生するフラッタリングを、ガスの流体力を小さくすることによって低減するものである。

0057

4.平坦度
次に、本発明に係る磁気ディスク用アルミニウム合金基板における平坦度について説明する。

0058

本発明に係る磁気ディスク用アルミニウム合金基板では、平坦度が30μm以下であることが好ましい。この場合には、アルミニウム合金基板のめっき表面の平滑性をより一層向上させる効果が発揮される。アルミニウム合金基板の平坦度が30μmを超えると、めっき処理後において平滑性向上のために行われる表面研磨の際に、削り残しが発生する。その結果、めっき表面に微細ピットが発生し、めっき表面の平滑性が低下する虞がある。そのため、アルミニウム合金基板の平坦度は、30μm以下とするのが好ましく、20μm以下とするのがより好ましい。なお、平坦度は小さいほど好ましいが、0μmとすることは困難である。平坦度の下限は特に限定されるものではないが、本発明では1μm程度が好ましい。

0059

5.引張強度
次に、本発明に係る磁気ディスク用アルミニウム合金基板の引張強度について説明する。

0060

本発明に係る磁気ディスク用アルミニウム合金基板では、引張強度が90MPa以上であることが好ましい。この場合には、磁気ディスク製造工程において基板の表面に形成する傷を一層抑制する効果が発揮される。アルミニウム合金基板の引張強度が90MPa未満では、搬送時や研削時等において外力が加わった際に表面に傷が付く。その結果、めっき表面に微細ピットが発生し、めっき表面の平滑性が低下する虞がある。そのため、アルミニウム合金基板の引張強度は90MPa以上であるのが好ましく、110MPa以上であるのがより好ましい。なお、引張強度の上限は特に限定されるものではないが、合金組成や製造条件によって自ずと決まるものであり、本発明においては、300MPa程度である。

0061

B.磁気ディスク用アルミニウム合金基板の製造方法
以下に、本発明に係る磁気ディスク用アルミニウム合金基板の製造工程の各工程及びプロセス条件を詳細に説明する。

0062

アルミニウム合金基板を用いた磁気ディスクの製造方法を、図1のフローに従って説明する。ここで、アルミニウム合金成分の調製(ステップS101)〜冷間圧延(ステップS105)は、アルミニウム合金板を製造する工程であり、ディスクブランクの作製(ステップS106)〜磁性体の付着(ステップS111)は、製造されたアルミニウム合金板を磁気ディスクとする工程である。

0063

最初に、アルミニウム合金板を製造する工程について説明する。まず、上述の成分組成を有するアルミニウム合金素材の溶湯を、常法に従って加熱・溶融することによって調製する(ステップS101)。次に、調製されたアルミニウム合金素材の溶湯から半連続鋳造(DC鋳造)法や連続鋳造(CC鋳造)法等によりアルミニウム合金を鋳造する(ステップS102)。ここで、DC鋳造法とCC鋳造法は、以下の通りである。

0064

DC鋳造法においては、スパウトを通して注がれた溶湯が、ボトムブロックと、水冷されたモールドの壁、ならびに、インゴット(鋳塊)の外周部に直接吐出される冷却水で熱を奪われ、凝固し、鋳塊として下方に引き出される。

0065

CC鋳造法では、一対のロール(又は、ベルトキャスタブロックキャスタ)の間に鋳造ノズルを通して溶湯を供給し、ロールからの抜熱で薄板を直接鋳造する。

0066

DC鋳造法とCC鋳造法の大きな相違点は、鋳造時の冷却速度にある。冷却速度が大きいCC鋳造法では、第二相粒子のサイズがDC鋳造に比べ小さいのが特徴である。

0067

次に、鋳造されたアルミニウム合金鋳塊について必要に応じて均質化熱処理を実施する(ステップS103)。均質化熱処理を行う場合は、280〜620℃で0.5〜60時間、好ましくは280〜620℃で1.0〜50時間の加熱処理を行う。均質化熱処理時の加熱温度が280℃未満又は加熱時間が0.5時間未満では、均質化熱処理が不十分で、アルミニウム合金基板毎のめっき性とフラッタリング特性のバラツキが大きくなる虞がある。均質化熱処理時の加熱温度が620℃を超えると、溶融が発生する虞がある。均質化熱処理時の加熱時間が60時間を超えてもその効果は飽和し、それ以上の顕著な改善効果が得られない。

0068

次に、必要に応じて均質化熱処理をしたアルミニウム合金を熱間圧延工程により板材とする(ステップS104)。熱間圧延工程では、250〜450℃の温度範囲で圧下率40%以上とする熱間圧延を実施する。250〜450℃の温度範囲で圧下率40%以上とする熱間圧延を実施することで、元々存在していた粗大なAl−Fe系金属間化合物が粉砕されて微細化され、最終的に2μm以上3μm未満の最長径を有するAl−Fe系金属間化合物の分布密度を1000個/mm2以上とすることができ、めっき表面の平滑性が向上する。

0069

250〜450℃以下の温度範囲での圧下率が40%未満の場合には、粗大なAl−Fe系金属間化合物の粉砕による微細化が不十分となり、めっき表面の平滑性が低下する。また、熱間圧延の温度が250℃未満の場合には、材料の変形抵抗が大きくなるため、圧下率を40%以上とするのが困難となる。一方、熱間圧延の温度が450℃を超える場合には、粗大なAl−Fe系金属間化合物の粉砕による微細化が不十分となり、めっき表面の平滑性が低下する。このように、熱間圧延は、250〜450℃の温度範囲で、圧下率40%以上で実施する。250〜450℃の温度範囲での熱間圧延の圧下率は、50%以上が好ましく、60%以上がより好ましい。また、圧下率40%以上の熱間圧延温度は、
250〜430℃の温度範囲が好ましく、250〜400℃の温度範囲がより好ましい。なお、250〜450℃の温度範囲で圧下率40%以上の熱間圧延を実施するには、熱間圧延開始温度を280〜600℃とし、熱間圧延終了温度は150〜400℃とすることが好ましい。なお、熱間圧延温度は、150〜600℃の範囲をとることができ、この温度範囲のうち250〜450℃にあるときの圧下率を40%以上とすることで、2μm以上3μm未満の最長径を有するAl−Fe系金属間化合物の分布密度を1000個/mm2以上とすることができ、めっき表面の平滑性が向上する。

0070

次に、熱間圧延した板材を冷間圧延して1.3mmから0.45mm程度のアルミニウム合金板とする(ステップS105)。熱間圧延終了後は、冷間圧延によって所要製品板厚仕上げる。冷間圧延の条件は特に限定されるものではなく、必要な製品板強度や板厚に応じて定めれば良く、圧延率を10〜95%とするのが好ましい。冷間圧延の前、或いは、冷間圧延の途中において、冷間圧延加工性を確保するために焼鈍処理を施してもよい。焼鈍処理を実施する場合には、例えばバッチ式の加熱ならば、300〜390℃で0.1〜10時間の条件で行うことが好ましく、連続式の加熱ならば、400〜500℃で0〜60秒間保持の条件で行うことが好ましい。ここで、保持時間0秒とは、加熱温度に到達した直後に加熱保持を停止して冷却することを意味する。

0071

次に、上述のようにして製造されたアルミニウム合金板を磁気ディスクに製造する工程について説明する。アルミニウム合金板を磁気ディスク用として加工するには、アルミニウム合金板を円環状に打ち抜き、ディスクブランクを作成する(ステップS106)。次に、ディスクブランクを大気中にて、例えば100〜390℃で30分以上の加圧焼鈍を行い平坦化したブランクを作製する(ステップS107)。次に、ブランクに切削加工、研削加工、ならびに、好ましくは、250〜400℃の温度で5〜15分の歪取り加熱処理をこの順序で施して、アルミニウム合金基板を作製する(ステップS108)。次に、アルミニウム合金基板表面に脱脂、酸エッチング処理、デスマット処理、ジンケート処理(Zn置換処理)を施す(ステップS109)。

0072

脱脂処理段階は市販のAD−68F(上工業製)脱脂液等を用い、温度40〜70℃、処理時間3〜10分、濃度200〜800mL/Lの条件で脱脂を行うことが好ましい。酸エッチング処理段階は、市販のAD−107F(上村工業製)エッチング液等を用い、温度50〜75℃、処理時間0.5〜5分、濃度20〜100mL/Lの条件で酸エッチングを行うことが好ましい。酸エッチング処理の後、化合物除去工程が既に適用された場合では、通常のデスマット処理として、HNO3を用い、温度15〜40℃、処理時間10〜120秒、濃度:10〜60%の条件でデスマット処理を行うことが好ましい。化合物除去工程が適用されていない場合には、デスマット処理に代えて、又は、これに加えて上述の化合物除去処理を実施しても良い。

0073

1stジンケート処理段階は市販のAD−301F−3X(上村工業製)のジンケート処理液等を用い、温度10〜35℃、処理時間0.1〜5分、濃度100〜500mL/Lの条件で行うことが好ましい。1stジンケート処理段階の後、HNO3を用い、温度15〜40℃、処理時間10〜120秒、濃度:10〜60%の条件でZn剥離処理を行うことが好ましい。その後、1stジンケート処理と同じ条件で2ndジンケート処理段階を実施する。

0074

2ndジンケート処理したアルミニウム合金基材表面に、下地めっき処理として無電解でのNi−Pめっき処理工程が施される(S110)。無電解でのNi−Pめっき処理は、市販のニムデンHDX(上村工業製)めっき液等を用い、温度80〜95℃、処理時間30〜180分、Ni濃度3〜10g/Lの条件でめっき処理を行うことが好ましい。このような無電解でのNi−Pめっき処理工程によって、下地めっき処理した磁気ディスク用のアルミニウム合金基盤が得られる。

0075

C.磁気ディスク
最後に、下地めっき処理した磁気ディスク用のアルミニウム合金基盤の表面を研磨により平滑し、表面に下地層磁性層、保護膜及び潤滑層等からなる磁性媒体をスパッタリングにより付着させ磁気ディスクとする(ステップS111)。

0076

なお、アルミニウム合金板(S105)とした後は、400℃を超える温度に晒されることはないため、化合物の分布や成分が変化することはない。従って、アルミニウム合金基板(S108)の代わりに、アルミニウム合金板(S105)やディスクブランク(ステップS106)、アルミニウム合金基盤(ステップS110)、磁気ディスク(ステップS111)を用いて化合物の分布や成分等の評価を行ってもよい。

0077

以下に、本発明を実施例に基づき、さらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。

0078

磁気ディスク用アルミニウム合金基板の実施例について説明する。表1〜3に示す成分組成の各合金素材を常法に従って溶解し、アルミニウム合金溶湯を溶製した(ステップS101)。表1〜3中「−」は、測定限界値以下を示す。

0079

0080

0081

0082

次に、アルミニウム合金溶湯をDC鋳造法により鋳造し、厚さ400mmの鋳塊を作製してその両面を15mm面削した(ステップS102)。次に、面削した鋳塊に550℃で10時間の均質化熱処理を施した(ステップS103)。次に、熱間圧延開始温度540℃、熱間圧延終了温度200℃の条件で熱間圧延を行ない、板厚2.0mmの熱間圧延板とした(ステップS104)。熱間圧延時において250〜450℃の温度範囲での圧下率を表4〜6に示す。

0083

0084

0085

0086

熱間圧延後に、No.A1、A3、A5及びAC1の合金の熱間圧延板に360℃で2時間の条件で焼鈍(バッチ式)処理を施した。以上のようにして作製した全ての熱間圧延板は、冷間圧延(圧延率60.0%)により最終板厚の0.8mmまで圧延し、アルミニウム合金板とした(ステップS105)。このアルミニウム合金板から外径96mm、内径24mmの円環状のものを打抜き、ディスクブランクを作製した(ステップS106)。

0087

このようにして作製したディスクブランクに、0.5MPaの圧力下において250℃で3時間の加圧平坦化処理を施した(ステップS107)。次いで、加圧平坦化処理したディスクブランクに端面加工を行い外径95mm、内径25mmとし、グラインディング加工(表面10μm研削)を行ってアルミニウム合金基板を作製した(ステップS108)。その後、AD−68F(商品名、上村工業製)により60℃で5分の脱脂を行った後、AD−107F(商品名、上村工業製)により65℃で1分の酸エッチングを行い、さらに30%HNO3水溶液(室温)で20秒間デスマットした(ステップS109)。

0088

このようにして表面状態を整えた後に、ディスクブランクをAD−301F−3X(商品名、上村工業製)の20℃のジンケート処理液に0.5分間浸漬して表面にジンケート処理を施した(ステップS109)。なお、ジンケート処理は合計2回行い、ジンケート処理の間に室温の30%HNO3水溶液に20秒間浸漬して表面を剥離処理した。ジンケート処理した表面に無電解Ni−Pめっき処理液(ニムデンHDX(商品名、上村工業製))を用いてNi−Pを15μm厚さに無電解めっきした後、羽布により仕上げ研磨(研磨量4.5μm))を行って磁気ディスク基板ディスク用のアルミニウム合金基盤とした(ステップS110)。

0089

冷間圧延(ステップS105)後のアルミニウム合金板、加圧平坦化処理(ステップS107)後のディスクブランク、研削加工(ステップS108)工程後のアルミニウム合金基板、ならびに、めっき処理研磨(ステップS110)工程後のアルミニウム合金基盤について以下の評価を行った。なお、各試料については、5枚のディスクをめっき処理まで実施しているが、比較例4〜15のディスクでは、5枚全てでめっき剥離が生じていたため、ディスク・フラッタの測定を行うことが出来なかった。また、実施例1では5枚のうち1枚で、実施例40及び41では5枚のうち2枚で、実施例42では5枚のうち3枚でめっき剥離が生じたが、めっき剥離が生じなかったものを用い評価を実施した。

0090

〔引張強度〕
引張強度は、JISZ2241に準拠し、冷間圧延(ステップS105)後のアルミニウム合金板を250℃で3時間の焼鈍(加圧平坦化処理模擬加熱)を行った後、圧延方向に沿ってJIS5号試験片採取してn=2にて測定した。強度の評価は、引張強度が130MPa以上の場合をA(優)、110MPa以上130MPa未満をB(良)、90MPa以上110MPa未満をC(可)、90MPa未満はD(劣)とした。

0091

〔Al−Fe系金属間化合物及びMg−Si系金属間化合物の分布密度〕
研削加工(ステップS108)後のアルミニウム合金基板断面を研磨後、光学顕微鏡により400倍の倍率観察視野1mm2の範囲を観察し、粒子解析ソフトA像くん(商品名、旭化成エンジニアリング(株)社製)を用いて金属間化合物の最長径及び分布密度(個/mm2)の測定を行った。測定は、表面から厚さ方向に板厚の1/4部における断面を用いた。

0092

〔ディスク・フラッタの測定〕
めっき処理研磨(ステップS110)工程後のアルミニウム合金基盤を用いディスク・フラッタの測定を行った。ディスク・フラッタの測定は、市販のハードディスクドライブに空気の存在下、アルミニウム合金基盤を設置して測定を行った。ドライブはSeagate製ST2000(商品名)を用いて、モーター駆動テクノアライブSLD102(商品名)をモーター直結することにより駆動させた。回転数は7200rpmとし、ディスクは常に複数枚設置してその上部の磁気ディスクの表面にレーザードップラー計である小野測器製LDV1800(商品名)によって表面の振動を観察した。観察した振動は、小野測器製FFT解析装置DS3200(商品名)によってスペクトル分析した。観察はハードディスクドライブの蓋に孔を開けることにより、その穴からディスク表面を観察して行った。また、市販のハードディスクに設置されていたスクイーズプレートは外して評価を行った。

0093

フラッタリング特性の評価は、フラッタリングが現れる300〜1500Hzの付近ブロードピーク最大変位ディスクフラッタリング(nm))によって行った。このブロードなピークはNRRO(Non−Repeatable Run Out)と呼ばれ、ヘッドの位置決め誤差に対して大きな影響があることがわかっている。フラッタリング特性の評価は、空気中にて、30nm以下の場合をA(優)、30nmを超えて40nm以下をB(良)、40nmを超えて50nm以下をC(可)、50nmより大きい場合はD(劣)とした。

0094

〔平坦度〕
加圧平坦処理後のブランク50枚の平坦度を、平坦度測定器により測定した。平坦度の最大値が20μm以下のものをA(優)とし、平坦度の最大値が20μmを超えて30μm未満のものをB(良)とし、平坦度の最大値が30μm以上のものをD(劣)とした。なお、この平坦度はZyGO非接触フラットネス測定機で測定した値である。

0095

〔下地処理した磁気ディスク用アルミニウム合金基板の平滑性〕
めっき処理研磨(ステップS110)工程後のアルミニウム合金基盤表面における微細ピットの個数を求めた。SEMにより2000倍の倍率で観察視野を1mm2とし、最長径0.4μm以上0.9μm未満の大きさの微細ピットの個数を計測し、単位面積当たりの個数(個数密度:個/mm2)を求めた。

0096

ここで、微細ピットの最長径とは、SEMで観測されるピットの平面画像において、まず、輪郭線上における一点と輪郭線上の他の点との距離の最大値を計測し、次に、この最大値を輪郭線上における全ての点について計測し、最後に、これら全最大値のうちから選択される最も大きなものをいう。また、微細ピットの最長径の下限は限定されるものではないが、最長径が0.4μm未満のものは観察されなかったので対象外とした。なお、1mm2の観察視野中にピットの全体が存在している場合は勿論、ピットの一部のみが観察されたものも一個として数えた。評価基準としては、微細ピットの個数密度が0個/mm2の場合をA(優)とし、1〜7個/mm2の場合をB(良)とし、8個/mm2以上の場合をD(劣)とした。

0097

以上の評価結果を、表7〜9に示す。

0098

0099

0100

0101

表7、8に示すように、実施例1〜48では良好な強度とフラッタリング特性を得ることが出来た。

0102

これに対して、比較例1〜3では、アルミニウム合金のFe含有量が少な過ぎたために、強度及びフラッタリング特性が劣った。また、Al−Fe系金属間化合物が少なかったため、めっき表面に微細ピットが多数発生し、めっき表面の平滑性が劣った。

0103

比較例4、5では、アルミニウム合金のFe含有量が多過ぎたために先述の通りめっき剥離が生じ、フラッタリング特性が評価できず磁気ディスクとして不適であった。

0104

比較例6では、アルミニウム合金のMn含有量が多過ぎたために先述の通りめっき剥離が生じ、フラッタリング特性が評価できず磁気ディスクとして不適であった。

0105

比較例7では、アルミニウム合金のSi含有量が多過ぎたために先述の通りめっき剥離が生じ、フラッタリング特性が評価できず磁気ディスクとして不適であった。また、Mg−Si系金属間化合物が多数存在したため、めっき表面に微細ピットが多数発生し、めっき表面の平滑性が劣った。

0106

比較例8では、アルミニウム合金のNi含有量が多過ぎたために先述の通りめっき剥離が生じ、フラッタリング特性が評価できず磁気ディスクとして不適であった。

0107

比較例9では、アルミニウム合金のCu含有量が多過ぎたために先述の通りめっき剥離が生じ、フラッタリング特性が評価できず磁気ディスクとして不適であった。

0108

比較例10では、アルミニウム合金のMg含有量が多過ぎたために先述の通りめっき剥離が生じ、フラッタリング特性が評価できず磁気ディスクとして不適であった。また、Mg−Si系金属間化合物が多数存在したため、めっき表面に微細ピットが多数発生し、めっき表面の平滑性が劣った。

0109

比較例11では、アルミニウム合金のCr含有量が多過ぎたために先述の通りめっき剥離が生じ、フラッタリング特性が評価できず磁気ディスクとして不適であった。

0110

比較例12では、アルミニウム合金のZr含有量が多過ぎたために先述の通りめっき剥離が生じ、フラッタリング特性が評価できず磁気ディスクとして不適であった。

0111

比較例13では、アルミニウム合金のZn含有量が多過ぎたために先述の通りめっき剥離が生じ、フラッタリング特性が評価できず磁気ディスクとして不適であった。

実施例

0112

比較例14、15では、熱間圧延時の250〜450℃の温度範囲での圧下率が低過ぎたため、Al−Fe系金属間化合物が少なかったため、めっき表面に微細ピットが多数発生し、めっき表面の平滑性が劣った。

0113

本発明により、良好なめっき性とディスクのフラッタリング特性に優れた磁気ディスク用アルミニウム合金基板及びその製造方法、ならびに、これを用いた磁気ディスクが得られる。

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