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課題

定着性吐出性と保存安定性とに優れる水性インクを提供する。

解決手段

水性インクは、水性媒体と、水性媒体中に存在する複数の顔料粒子と、水性媒体中に存在する樹脂とを含む。被覆樹脂の総質量が、顔料粒子の総質量の1.4倍以上3.1倍以下である。遊離樹脂の総質量が、水性媒体中に存在する樹脂の総質量に対し、3.0質量%未満である。

概要

背景

顔料分散体樹脂粒子分散体とを混合してインクジェット記録用水性インクを製造することが提案されている(例えば、後述の特許文献1)。

概要

定着性吐出性と保存安定性とに優れる水性インクを提供する。水性インクは、水性媒体と、水性媒体中に存在する複数の顔料粒子と、水性媒体中に存在する樹脂とを含む。被覆樹脂の総質量が、顔料粒子の総質量の1.4倍以上3.1倍以下である。遊離樹脂の総質量が、水性媒体中に存在する樹脂の総質量に対し、3.0質量%未満である。なし

目的

本発明の目的は、定着性と吐出性と保存安定性とに優れるインクジェット記録用水性インクを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

水性媒体と、前記水性媒体中に存在する複数の顔料粒子と、前記水性媒体中に存在する樹脂と、を含み、前記水性媒体中に存在する樹脂のうち前記顔料粒子の表面に付着している樹脂の総質量が、前記顔料粒子の総質量の1.4倍以上3.1倍以下であり、前記水性媒体中に存在する樹脂のうち前記顔料粒子の表面に付着せずに前記顔料粒子の表面から離れて存在する樹脂の総質量が、前記水性媒体中に存在する樹脂の総質量に対し、3.0質量%未満である、インクジェット記録用水性インク

請求項2

前記顔料粒子は、各々、顔料を含有し、前記顔料粒子の表面に前記樹脂が付着してなる粒子は、前記顔料と前記樹脂との混練物粉砕物である、請求項1に記載のインクジェット記録用水性インク。

請求項3

顔料と樹脂とを混練して混練物を得ることと、分散液を得ることと、を含み、前記分散液を得ることは、前記混練物を水性媒体中で粉砕することを含み、前記分散液は、前記混練物の粉砕物を含む、インクジェット記録用水性インクの製造方法。

請求項4

前記分散液を得ることは、前記混練物を前記水性媒体中で粉砕して得た第1液に対して遠心分離処理を行って第2液を得ることと、前記第2液の上澄みを水性媒体で置換することと、をさらに含む、請求項3に記載のインクジェット記録用水性インクの製造方法。

技術分野

0001

本発明は、インクジェット記録用水性インク及びその製造方法に関する。

背景技術

0002

顔料分散体樹脂粒子分散体とを混合してインクジェット記録用水性インクを製造することが提案されている(例えば、後述の特許文献1)。

先行技術

0003

特開2015−30224号公報

発明が解決しようとする課題

0004

特許文献1に記載の水性インクでは、水性インクの定着性を高めることができる。しかし、特許文献1に記載の水性インクでは、水性インクの粘度が高くなることがある。水性インクの粘度が高くなり過ぎると、水性インクの吐出不良が発生することがある。また、特許文献1に記載の水性インクでは、水性インクの保存安定性が低下することがある。

0005

本発明は、かかる点に鑑みてなされたものである。本発明の目的は、定着性と吐出性と保存安定性とに優れるインクジェット記録用水性インクを提供することである。本発明の別の目的は、そのようなインクジェット記録用水性インクの製造方法を提供することである。

課題を解決するための手段

0006

本発明に係るインクジェット記録用水性インクは、水性媒体と、前記水性媒体中に存在する複数の顔料粒子と、前記水性媒体中に存在する樹脂とを含む。前記水性媒体中に存在する樹脂のうち前記顔料粒子の表面に付着している樹脂の総質量が、前記顔料粒子の総質量の1.4倍以上3.1倍以下である。前記水性媒体中に存在する樹脂のうち前記顔料粒子の表面に付着せずに前記顔料粒子の表面から離れて存在する樹脂の総質量が、前記水性媒体中に存在する樹脂の総質量に対し、3.0質量%未満である。

0007

本発明に係るインクジェット記録用水性インクの製造方法は、顔料と樹脂とを混練して混練物を得ることと、分散液を得ることとを含む。前記分散液を得ることは、前記混練物を水性媒体中で粉砕することを含む。前記分散液は、前記混練物の粉砕物を含む。

発明の効果

0008

本発明のインクジェット記録用水性インクによれば、定着性と吐出性と保存安定性とに優れる。

0009

本発明の実施形態について説明する。なお、粉体に関する評価結果(形状又は物性などを示す値)は、何ら規定していなければ、相当数の粒子について測定した値の個数平均である。また、粉体の体積中位径(D50)の測定値は、何ら規定していなければ、レーザー回折式粒度分布測定装置マルバーン社製の「Zetasizer nano−ZS(ゼータサイザーナノZS)」)を用いて測定した値である。

0010

また、水性インクの粘度は、何ら規定していなければ、25℃における水性インクの粘度を意味する。水性インクの粘度の測定値は、何ら規定していなければ、「JIS Z 8803:2011(液体粘度測定方法)」に記載の方法に準拠して測定した値である。

0011

また、化合物名の後に「系」を付けて、化合物及びその誘導体包括的に総称する場合がある。化合物名の後に「系」を付けて重合体名を表す場合には、重合体の繰返し単位が化合物又はその誘導体に由来することを意味する。また、アクリル及びメタクリルを包括的に「(メタ)アクリル」と総称する場合がある。

0012

本実施形態に係るインクジェット記録用水性インク(以下、単に「水性インク」と記載する)は、インクジェット記録方式によって記録媒体に記録される。より具体的には、本実施形態に係る水性インクは、インクジェット記録装置記録ヘッドから記録媒体の印字面へ吐出される。

0013

記録媒体には、浸透性の記録媒体と、非浸透性の記録媒体とが含まれる。浸透性の記録媒体は、水性インクの浸透性に優れる。浸透性の記録媒体には、例えば、印刷用紙と、繊維を用いて加工されたもの(例えば布地)とが含まれる。印刷用紙には、例えば、普通紙と、コピー紙と、再生紙と、薄紙と、厚紙と、光沢紙とが含まれる。

0014

非浸透性の記録媒体は、浸透性の記録媒体に比べ、水性インクの浸透性に優れない。より具体的には、非浸透性の記録媒体は、水性媒体の吸収量が1.0g/m2以下である記録媒体を意味する。非浸透性の記録媒体には、例えば、樹脂製の記録媒体と、金属製の記録媒体と、ガラス製の記録媒体とが含まれる。樹脂製の記録媒体は、例えば、樹脂製のシート、又は樹脂製のフィルムであることが好ましい。樹脂製の記録媒体が含有する樹脂は、熱可塑性樹脂であることが好ましく、より具体的には、ポリエチレンポリ塩化ビニル、又はポリエチレンテレフタレート(PET)であることが好ましい。樹脂製の記録媒体の一例としては、OHP(オーバーヘッドプロジェクタ)シートが挙げられる。より好ましくは、樹脂製の記録媒体として、印字面にコロナ処理が施された記録媒体を用いる。

0015

[水性インクの基本構成
本実施形態に係る水性インクは、次に示す構成(以下、「基本構成」と記載することがある)を備える。詳しくは、本実施形態に係る水性インクは、水性媒体と、水性媒体中に存在する複数の顔料粒子と、水性媒体中に存在する樹脂とを含む。水性媒体中に存在する樹脂のうち顔料粒子の表面に付着している樹脂の総質量が、顔料粒子の総質量の1.4倍以上3.1倍以下である。水性媒体中に存在する樹脂のうち顔料粒子の表面に付着せずに顔料粒子の表面から離れて存在する樹脂の総質量が、水性媒体中に存在する樹脂の総質量に対し、3.0質量%未満である。

0016

以下では、「水性媒体中に存在する樹脂のうち、顔料粒子の表面に付着している樹脂」を「被覆樹脂」と記載する。また、「水性媒体中に存在する樹脂のうち、顔料粒子の表面に付着せずに顔料粒子の表面から離れて存在する樹脂」を「遊離樹脂」と記載する。顔料粒子の総質量に対する被覆樹脂の総質量の比率は、後述の実施例に記載の方法又はそれに準拠する方法で、求めることができる。水性媒体中に存在する樹脂の総質量に対する遊離樹脂の総質量の比率は、後述の実施例に記載の方法又はそれに準拠する方法で、求めることができる。

0017

本実施形態に係る水性インクでは、遊離樹脂の総質量が、水性媒体中に存在する樹脂の総質量に対し、3.0質量%未満である。そのため、遊離樹脂の量は多すぎない。これにより、水性インクの粘度が高くなり過ぎることを防止できる。例えば、水性インクの粘度を5.0mPa・s以上7.0mPa・s以下とすることができる。水性インクの粘度が高くなり過ぎることを防止できれば、水性インクの吐出不良の発生を防止できる。このように、本実施形態に係る水性インクは吐出性に優れる。よって、本実施形態に係る水性インクを用いて記録媒体に記録を行えば、高画質な画像が得られる。例えば、形成された画像において画像欠陥が発生することを防止できる。また、記録媒体の非印字領域に水性インクが付着することを防止できる。好ましくは、遊離樹脂の総質量が、水性媒体中に存在する樹脂の総質量に対し、1.5質量%以上3.0質量%未満である。

0018

遊離樹脂は水性媒体中において粒子形状を有し易い、と考えられる。以下では、「遊離樹脂で構成された粒子」を「遊離粒子」と記載する。遊離樹脂の量が多すぎなければ、遊離粒子の個数が過剰となることを防止できるため、水性媒体中において遊離粒子が互いに凝集することを防止できる。これにより、水性インクの保存安定性が低下することを防止できる。例えば、本実施形態に係る水性インクを長期にわたって高温環境下で保存した場合であっても、水性インクの物性が保存前と保存後とで変化することを防止できる。よって、長期にわたって高温環境下で保存された水性インクを用いて記録媒体へ記録を行った場合であっても、画質の低下を防止できる。

0019

本実施形態に係る水性インクでは、遊離樹脂の量が多すぎない。しかし、本実施形態に係る水性インクでは、被覆樹脂の総質量が顔料粒子の総質量の1.4倍以上3.1倍以下である。ここで、従来の水性インクでは、被覆樹脂の総質量が顔料粒子の総質量の1.0倍未満である。そのため、本実施形態に係る水性インクでは、被覆樹脂の量が比較的多い。このように、本実施形態に係る水性インクでは、遊離樹脂の量が多すぎないが、被覆樹脂の量が比較的多い。よって、水性媒体中に存在する樹脂の量を確保できる。これにより、本実施形態に係る水性インクは、定着性に優れる。したがって、水性インクが浸透し難い記録媒体(非浸透性の記録媒体)に対しても水性インクを効果的に定着させることができる。被覆樹脂の量が少なすぎると、水性媒体中に存在する樹脂の量を確保することが難しくなるため、水性インクの定着性が低下することがある(後述の比較例1参照)。被覆樹脂の量が多すぎると、水性インクの吐出性又は保存安定性が低下することがある(後述の比較例2参照)。

0020

一般的に、水性インクには、吐出性及び保存安定性だけでなく定着性も要求されている。特に、非浸透性の記録媒体に記録を行う場合には、定着性に優れるインクを用いることが好ましい。その理由は、次に示すとおりである。詳しくは、非浸透性の記録媒体は、浸透性の記録媒体に比べ、水性インクの浸透性に優れない。そのため、水性インクを用いて非浸透性の記録媒体に記録を行うと、水性インクを用いて浸透性の記録媒体に記録を行った場合に比べ、水性インクが記録媒体に定着され難い。

0021

この不具合を解消する方法として、水性媒体中に存在する樹脂の量を増加させることが考えられる。従来の水性インクの製造方法では、所定の分散機(例えば、メディア型分散機)を用いて、顔料粒子と樹脂と水性媒体とを混合する。そのため、分散機へ投入する樹脂の量が多くなるほど、水性媒体中に存在する樹脂の量が増加する傾向がある。

0022

分散機へ投入した樹脂のうち、一部が顔料粒子の表面に付着して被覆樹脂となり、残りが顔料粒子の表面に付着せずに遊離樹脂となる。そのため、従来の水性インクの製造方法では、顔料粒子の表面に付着可能な樹脂の量には、限りがある。よって、分散機へ投入する樹脂の量を多くしても、被覆樹脂の量を増加させることは難しい。したがって、分散機へ投入する樹脂の量を多くすると、遊離樹脂の量が増加し易い。

0023

遊離樹脂の量が増加するほど、水性インクの粘度が高くなる傾向があるため(後述の比較例2及び3)、水性インクの吐出性が低下する傾向がある。また、遊離樹脂の量が増加するほど、遊離粒子が凝集し易い傾向があるため、水性インクの保存安定性が低下する傾向がある(後述の比較例2及び3)。そのため、分散機へ投入する樹脂の量を多くすると、得られた水性インクでは、定着性は向上するが、吐出性と保存安定性とは向上し難い。

0024

顔料分散体と樹脂粒子分散体とを混合して水性インクを製造することが提案されている。しかし、この提案に従い水性インクを製造しても、遊離樹脂の量が増加し易いため、定着性だけでなく吐出性と保存安定性とにも優れる水性インクを得ることは難しい(後述の比較例4)。

0025

本発明者は、水性インク(特に、水性インクの製造方法)について鋭意検討した。そして、以下に示す方法で水性インクを製造すれば、遊離樹脂の量の増加を引き起こすことなく被覆樹脂の量が増加することが分かった。

0026

[水性インクの好ましい製造方法]
本実施形態に係る水性インクの好ましい製造方法では、顔料と樹脂とを混練した後に、得られた混練物を水性媒体中で粉砕する。顔料と樹脂とを予め混練することで、被覆樹脂の量の増加を実現できる。また、この手法であれば、樹脂の材料に限定されることなく被覆樹脂の量の増加を実現できる。以下、工程順に説明する。

0027

<混練工程>
混練工程では、混合機(例えば、日本コークス工業株式会社製のFMミキサー)を用いて、顔料と樹脂とを混練する。このようにして、顔料と樹脂との混練物(以下、単に「混練物」と記載する)を得る。好ましくは、樹脂の配合量を顔料の配合量の1.5倍以上3.8倍以下に設定する。樹脂の配合量が顔料の配合量の1.5倍以上3.8倍以下であれば、得られた水性インクにおいて被覆樹脂の総質量が顔料粒子の総質量の1.4倍以上3.1倍以下となり易い。

0028

<分散液の調製工程>
分散液の調製工程では、分散機(例えば、メディア型分散機)を用いて、混練物を水性媒体中で粉砕する。このようにして、分散液を得る。そのため、得られた分散液では、混練物の粉砕物が水性媒体中で分散して存在する。

0029

混練物の配合量は、好ましくは水性媒体の配合量の1.0倍未満であり、より好ましくは水性媒体の配合量の0.3倍以上0.9倍以下である。水性媒体は、好ましくは水を含み、より好ましくはイオン交換水又は純水を含む。界面活性剤の存在下で混練物を粉砕してもよい。界面活性剤は、ノニオン界面活性剤であることが好ましく、より具体的にはアセチレングリコール系界面活性剤であることが好ましい。

0030

メディア型分散機を用いて混練物を水性媒体中で粉砕する場合には、メディア型分散機で用いるメディア粒子径(例えば、ビーズの径)を変えることで、混練物の粉砕物の分散度合、又は混練物の粉砕物の大きさを調整できる。例えば、メディアの粒子径を小さくするほど、混練物の粉砕物の粒子径が小さくなる傾向がある。

0031

混練物は、顔料と樹脂とを含む。そのため、混練物を粉砕すると、顔料と樹脂との界面で割れが生じ易い。よって、得られた粉砕物(混練物の粉砕物)では、樹脂は、内部よりも表面に存在し易い。したがって、混練物の粉砕物は、顔料粒子の表面に樹脂が付着してなる粒子(以下、「被覆粒子」と記載する)に相当する。このことは、本発明者によって、確認されている。詳しくは、本発明者は、顕微鏡(より具体的には、透過型電子顕微鏡)を用いて、混練物の粉砕物の断面画像を観察した。その結果、混練物の粉砕物の断面画像では、樹脂の被覆状態は確認されたが、顔料と樹脂との混練状態は確認されなかった。

0032

顔料と樹脂との界面で割れが生じ易ければ、割れが生じたときに樹脂の一部が混練物の内部から水性媒体へ移動することがある。水性媒体へ移動した樹脂のうち、一部は、割れによって生じた面(混練物の粉砕物の表面)に付着するが、残りは、混練物の粉砕物の表面に付着せずに水性媒体中に存在する(遊離樹脂)。

0033

好ましくは、分散液の調製工程では、次に示す方法で分散液を調製する。詳しくは、前述の方法に従い、混練物を水性媒体中で粉砕する。このようにして、第1液を得る。次に、第1液に対して、遠心分離機(例えば、株式会社ナノシーズ製の遠心法付着力測定装置)を用いて、遠心分離処理を行う。このようにして、第2液を得る。第2液では、混練物の粉砕物が沈降し易く、遊離粒子が沈降し難い。続いて、第2液の上澄みを水性媒体で置換する(置換処理)。より具体的には、第2液から上澄みを取り出した後、取り出した上澄み液同体積の水性媒体を第2液へ加える。遠心分離処理と置換処理とを行って分散液を調製することで、遊離樹脂を効果的に取り除くことができる。そのため、得られた水性インクでは、遊離樹脂の総質量が水性媒体中に存在する樹脂の総質量に対して3.0質量%未満となり易い。

0034

<混合工程>
混合工程では、攪拌機(例えば、新東科学株式会社製「スリーワンモーターBL−600」)を用いて、分散液と所定の材料とを混合する。このようにして、本実施形態に係る水性インクを得る。

0035

所定の材料が界面活性剤を含めば、水性インクの粘度を変更することなく水性インクの表面張力を調整できるため、水性インクの吐出性がさらに向上する。そのため、所定の材料は、界面活性剤を含むことが好ましい。例えば、所定の材料は、ノニオン界面活性剤を含むことが好ましい。

0036

なお、混練物は、湿式で粉砕される前に、乾式で粗粉砕されてもよい。また、分散液と所定の材料とを混合する前に、塩基性水溶液を分散液へ加えてもよい。塩基性水溶液を分散液へ加えることで、樹脂を中和することができる。

0037

[水性インクを構成する材料の例示]
水性インクは、水性媒体と、複数の顔料粒子と、樹脂とを含む。水性媒体中に存在する樹脂のうち、一部は、顔料粒子の表面に付着して被覆樹脂となり、残りは、顔料粒子の表面に付着せずに遊離樹脂となる。水性媒体中に存在する樹脂の一部が被覆樹脂となるため、水性インクでは、複数の被覆粒子が水性媒体中において分散して存在する。被覆粒子は、各々、混練物の粉砕物であることが好ましい。被覆粒子が混練物の粉砕物であれば、被覆樹脂の総質量が顔料粒子の総質量の1.4倍以上3.1倍以下となり易い。

0038

<水性媒体>
水性媒体は、好ましくは水を含み、より好ましくはイオン交換水又は純水を含む。

0039

<顔料粒子>
顔料粒子は、顔料を含有する。顔料としては、例えば、黄色顔料橙色顔料赤色顔料青色顔料紫色顔料、又は黒色顔料を使用できる。黄色顔料としては、例えばC.I.ピグメントイエロー74、93、95、109、110、120、128、138、139、151、154、155、173、180、185、又は193が挙げられる。橙色顔料としては、例えばC.I.ピグメントオレンジ34、36、43、61、63、又は71が挙げられる。赤色顔料としては、例えばC.I.ピグメントレッド122又は202が挙げられる。青色顔料としては、例えばC.I.ピグメントブルー15又は15:3が挙げられる。紫色顔料としては、例えばC.I.ピグメントバイオレット19、23、又は33が挙げられる。黒色顔料としては、例えばC.I.ピグメントブラック7が挙げられる。

0040

水性インクにおける顔料粒子の含有量は、4質量%以上8質量%以下であることが好ましい。これにより、所望の画像濃度を有する画像が得られ易い。また、記録媒体に対する水性インクの浸透性を確保し易い。顔料粒子の含有量が少なすぎると、所望の画像濃度を有する画像が得られないことがある。一方、顔料粒子の含有量が多すぎると、記録媒体に対する水性インクの浸透性を確保できないことがある。また、水性インクにおいて顔料粒子の流動性を確保できないことがあるため、所望の画像濃度を有する画像が得られないことがある。

0041

顔料粒子の体積中位径(D50)は、30nm以上200nm以下であることが好ましい。これにより、水性インクの色濃度色相、及び安定性が向上し易い。より好ましくは、顔料粒子の体積中位径(D50)が70nm以上130nm以下である。

0042

<樹脂>
樹脂(詳しくは、水性媒体中に存在する樹脂)は、アニオン性を有することが好ましい。樹脂は、例えば、スチレンアクリル酸系樹脂、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸ハーフエステル共重合体ビニルナフタレンアクリル酸共重合体、及びビニルナフタレン−マレイン酸共重合体からなる群より選択される少なくとも1つであることが好ましい。より好ましくは、樹脂は、スチレン−アクリル酸系樹脂である。樹脂がスチレン−アクリル酸系樹脂であれば、被覆粒子を容易に作製できる。また、被覆粒子の分散性を高めることができる。

0043

スチレン−アクリル酸系樹脂は、スチレンに由来する単位と、アクリル酸メタクリル酸アクリル酸エステル、又はメタクリル酸エステルに由来する単位とを含む樹脂である。好ましくは、スチレン−アクリル酸系樹脂は、スチレンとアクリル酸とアクリル酸アルキルエステルとの共重合体、スチレンとメタクリル酸とメタクリル酸アルキルエステルとアクリル酸アルキルエステルとの共重合体、スチレンとアクリル酸との共重合体、スチレンとマレイン酸とアクリル酸アルキルエステルとの共重合体、スチレンとメタクリル酸との共重合体、及びスチレンとメタクリル酸アルキルエステルとの共重合体からなる群より選択される少なくとも1つである。より好ましくは、スチレン−アクリル酸系樹脂は、スチレンとメタクリル酸とメタクリル酸アルキルエステルとアクリル酸アルキルエステルとの共重合体である。スチレン−アクリル酸系樹脂は、例えば、スチレンとメタクリル酸とメタクリル酸メチルアクリル酸n−ブチルとの共重合体であることが好ましい。

0044

次に示す方法で樹脂を合成することが好ましい。詳しくは、所定の溶媒に、重合により樹脂を合成可能なモノマー又はプレポリマーと、重合開始剤とを加え、所定の温度で加熱還流を行う。このようにして、樹脂が合成される。より具体的には、イソプロピルアルコールメチルエチルケトンとの混合液に、スチレンと、(メタ)アクリル酸と、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、重合開始剤とを加え、70℃で加熱還流を行う。これにより、スチレン−アクリル酸系樹脂が合成される。

0045

<他の成分>
水性インクは、界面活性剤と保湿剤とからなる群より選択される少なくとも1つをさらに含んでもよい。

0046

(界面活性剤)
水性インクが界面活性剤を含めば、記録媒体に対する水性インクの濡れ性が向上する。界面活性剤は、ノニオン界面活性剤であることが好ましい。水性インクにおけるノニオン界面活性剤の含有量は、0.05質量%以上2.00質量%以下であることが好ましい。これにより、画像のオフセットを抑制しつつ、画像濃度が向上する。

0047

ノニオン界面活性剤は、アセチレングリコール系界面活性剤であることが好ましい。市販のアセチレングリコール系界面活性剤としては、例えば、日信化学工業株式会社製「オルフィン登録商標)E1004」が挙げられる。「オルフィンE1004」は、アセチレンジオールエチレンオキシド付加物を含む。

0048

(保湿剤)
水性インクが保湿剤を含めば、水性インクからの液体成分の揮発を抑制できるため、水性インクの粘性を安定化できる。保湿剤としては、例えば、ポリアルキレングリコール類、又はアルキレングリコール類が挙げられる。ポリアルキレングリコール類は、ポリエチレングリコール、又はポリプロピレングリコールであることが好ましい。アルキレングリコール類は、エチレングリコールプロピレングリコールブチレングリコールジエチレングリコールジエチルジグリコールジプロピレングリコールトリメチレングリコールトリエチレングリコールトリプロピレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオールチオジグリコール、1,3−ブタンジオール、又は1,5−ペンタンジオールであることが好ましい。水性インクは、保湿剤を2種類以上含んでもよい。水性インクにおける保湿剤の含有量は、好ましくは2質量%以上40質量%以下であり、より好ましくは10質量%以上40質量%以下である。水性インクが保湿剤を2種類以上含む場合には、水性インクにおける保湿剤の含有量の合計が、好ましくは2質量%以上40質量%以下であり、より好ましくは10質量%以上40質量%以下である。

0049

[水性インクの用途の例示]
本実施形態に係る水性インクは、浸透性の記録媒体だけでなく非浸透性の記録媒体に対しても、所定値以上の強度で定着される。そのため、本実施形態に係る水性インクを用いて記録媒体に記録を行う方法では、本実施形態に係る水性インクをインクジェット記録装置の記録ヘッドから非浸透性の記録媒体の印字面へ吐出することが好ましい。

0050

本発明の実施例を説明する。表1には、実施例又は比較例に係る水性インクA−1〜A−5及びB−1〜B−4の製造条件を示す。表1において、「混練工程の有無」には、混練工程を実施したか否かを記す。混練工程を実施した場合には「実施」と記し、混練工程を実施しなかった場合には「実施せず」と記す。「置換処理の有無」には、置換処理を実施したか否かを記す。置換処理を実施した場合には「実施」と記し、置換処理を実施しなかった場合には「実施せず」と記す。

0051

0052

以下では、まず、実施例又は比較例に係る水性インク(より具体的には、水性インクA−1〜A−5及びB−1〜B−4の各々)の製造方法を説明する。次に、樹脂の含有比率測定方法を説明する。続いて、得られた水性インクについて、評価方法と評価結果とを説明する。なお、複数の粒子を含む粉体に関する評価結果(形状又は物性などを示す値)は、何ら規定していなければ、相当数の粒子について測定した値の個数平均である。誤差が生じる評価においては、誤差が十分小さくなる相当数の測定値を得て、得られた測定値の算術平均評価値とした。

0053

[水性インクの製造方法]
<水性インクA−1の製造>
(スチレン−アクリル酸系樹脂の合成)
スターラー窒素導入管コンデンサー、及び滴下ロートを備える四つ口フラスコ(容量:1000mL)に、100.0gのイソプロピルアルコールと250.0gのメチルエチルケトンとを入れた。滴下ロートへ混合溶液を供給した。混合溶液は、40.0gのメタクリル酸メチルと、40.0gのスチレンと、10.0gのアクリル酸n−ブチルと、10.0gのメタクリル酸と、0.3gのアゾビスイソブチロニトリルAIBN、重合開始剤)とを含んでいた。

0054

フラスコ内に窒素を導入し、70℃で加熱還流を行った。70℃で加熱還流した状態で、約2時間かけて、前述の混合溶液を滴下ロートからフラスコ内へ供給した。混合溶液を供給した後、さらに6時間にわたって、70℃での加熱還流を行った。その後、15分かけて、メチルエチルケトン溶液を滴下ロートからフラスコへ供給した。メチルエチルケトン溶液は、150.0gのメチルエチルケトンと、0.1gのAIBNとを含んでいた。メチルエチルケトン溶液を供給した後、さらに5時間にわたって、70℃での加熱還流を行った。このようにして、スチレン−アクリル酸系樹脂を得た。

0055

(スチレン−アクリル酸系樹脂の質量平均分子量の測定)
スチレン−アクリル酸系樹脂の質量平均分子量(Mw)は、ゲルろ過クロマトグラフィー(東ソー株式会社製「HLC−8020GPC」)を用いて、下記条件で、測定された。得られたスチレン−アクリル酸系樹脂の質量平均分子量は、20000であった。
カラム:東ソー株式会社製「TSKgel SuperMultiporeHZ−H」(4.6mmI.D.×15cmのセミミクロカラム
カラム本数:3本
溶離液テトラヒドロフラン
流速:0.35mL/分
サンプル注入量:10μL
測定温度:40℃
検出器IR検出器
なお、検量線は、東ソー株式会社製のTSKgel標準ポリスチレンから、F−40、F−20、F−4、F−1、A−5000、A−2500、及びA−1000の7種とn−プロピルベンゼンとを選択して作成された。

0056

(スチレン−アクリル酸系樹脂の酸価の測定)
スチレン−アクリル酸系樹脂の酸価は、「JIS(日本工業規格)K0070−1992(化学製品の酸価、けん化価エステル価よう素価水酸基価及び不けん化物試験方法)」に記載の方法に準拠して、測定された。得られたスチレン−アクリル酸系樹脂の酸価は、100mgKOH/gであった。

0057

(混練物の作製)
FMミキサー(日本コークス工業株式会社製「FM−10B」)を用いて、200質量部のスチレン−アクリル酸系樹脂と、100質量部の顔料(成分:銅フタロシアニン顔料カラーインデックス:ピグメントブルー15:3)とを混練した。このようにして、混練物を得た。2軸押出機(株式会社池製「PCM−30」)を用いて、混練物を設定粒子径6μmの条件で粗粉砕した。

0058

(分散液の調製)
メディア型分散機(ウィリー・エ・バッコーフェン社(WAB社)製「ダイノミル」)のベッセルに、69.5質量%のイオン交換水と、30.0質量%の粗粉砕物(前述の方法で得られた粗粉砕物)と、0.5質量%のノニオン界面活性剤(日信化学工業株式会社製「オルフィンE1004」)とを入れた。また、充填量がベッセルの容量に対して70体積%となるように、メディア(径が1.0mmのジルコニアビーズ)をベッセルに充填した。

0059

中和当量の1.05倍の質量のNaOH水溶液をベッセルに加えて、粗粉砕物に含まれる樹脂(より具体的には、スチレン−アクリル酸系樹脂)を中和した。なお、分散液を構成する材料の配合量を決定するさいには、ベッセルに加えるべきNaの質量をスチレン−アクリル酸系樹脂の質量に加えた。また、NaOH水溶液に含まれる水の質量と中和反応で生じた水の質量とをイオン交換水の質量に加えた。その後、前述のメディア型分散機を用いて、吐出量300g/分で1パスの分散をさせるという条件で、粗粉砕物を湿式で微粉砕した。

0060

得られた液(第1液)を所定の容器に移した。容器を遠心法付着力測定装置(株式会社ナノシーズ製「NS−C100」)に入れた。容器内の液体(第1液)に対して、回転速度50000rpmの条件で、24時間にわたって、遠心分離処理を行った。容器から上澄み液を取り出した後、取り出した上澄み液と同体積のイオン交換水を容器へ加えた(置換処理)。このようにして、分散液を得た。

0061

(他の成分の添加)
攪拌機(新東科学株式会社製「スリーワンモーターBL−600」)を用いて、回転速度400rpmの条件で、60.0質量%の分散液と、20.0質量%のエチレングリコールと、15.0質量%のジエチルジグリコールと、0.3質量%のノニオン界面活性剤(日信化学工業株式会社製「オルフィンE1004」)と、イオン交換水(残量)とを攪拌した。得られた液体を、フィルター孔径:5μm)を用いて、濾過した。このようにして、水性インクA−1を得た。

0062

<水性インクA−2の製造>
FMミキサーへ供給するスチレン−アクリル酸系樹脂の量(以下、「スチレン−アクリル酸系樹脂の供給量」と記載する)を150質量部に変更した。また、メディア型分散機のベッセルへ供給するイオン交換水の量(以下、「イオン交換水の供給量」と記載する)を74.5質量%に変更した。また、メディア型分散機のベッセルへ供給する粗粉砕物の量(以下、「粗粉砕物の供給量」と記載する)を25.0質量%に変更した。これらを除いては水性インクA−1の製造方法に従い、水性インクA−2を得た。

0063

<水性インクA−3の製造>
スチレン−アクリル酸系樹脂の供給量を250質量部に変更した。イオン交換水の供給量を64.5質量%に変更した。粗粉砕物の供給量を35.0質量%に変更した。これらを除いては水性インクA−1の製造方法に従い、水性インクA−3を得た。

0064

<水性インクA−4の製造>
スチレン−アクリル酸系樹脂の供給量を300質量部に変更した。イオン交換水の供給量を59.5質量%に変更した。粗粉砕物の供給量を40.0質量%に変更した。これらを除いては水性インクA−1の製造方法に従い、水性インクA−4を得た。

0065

<水性インクA−5の製造>
スチレン−アクリル酸系樹脂の供給量を350質量部に変更した。イオン交換水の供給量を54.5質量%に変更した。粗粉砕物の供給量を45.0質量%に変更した。これらを除いては水性インクA−1の製造方法に従い、水性インクA−5を得た。

0066

<水性インクB−1の製造>
スチレン−アクリル酸系樹脂の供給量を100質量部に変更した。イオン交換水の供給量を79.5質量%に変更した。粗粉砕物の供給量を20.0質量%に変更した。これらを除いては水性インクA−1の製造方法に従い、水性インクB−1を得た。

0067

<水性インクB−2の製造>
スチレン−アクリル酸系樹脂の供給量を400質量部に変更した。イオン交換水の供給量を49.5質量%に変更した。粗粉砕物の供給量を50.0質量%に変更した。これらを除いては水性インクA−1の製造方法に従い、水性インクB−2を得た。

0068

<水性インクB−3の製造>
遠心分離処理と置換処理とを実施しなかった。これを除いては水性インクA−1の製造方法に従い、水性インクB−3を得た。

0069

<水性インクB−4の製造>
(顔料分散体の調製)
前述の<水性インクA−1の製造>に記載の方法に従い、スチレン−アクリル酸系樹脂を合成した。

0070

メディア型分散機(ウィリー・エ・バッコーフェン社(WAB社)製「ダイノミル」)のベッセルに、78.5質量%のイオン交換水と、6.0質量%のスチレン−アクリル酸系樹脂と、15.0質量%の顔料(成分:銅フタロシアニン顔料、カラーインデックス:ピグメントブルー15:3)と、0.5質量%のノニオン界面活性剤(日信化学工業株式会社製「オルフィンE1004」)とを入れた。また、充填量がベッセルの容量に対して70体積%となるように、メディア(径が1.0mmのジルコニアビーズ)をベッセルに充填した。

0071

中和当量の1.05倍の質量のNaOH水溶液をベッセルに加えて、スチレン−アクリル酸系樹脂を中和した。なお、顔料分散体を構成する材料の配合量を決定するさいには、ベッセルに加えるべきNaの質量をスチレン−アクリル酸系樹脂の質量に加えた。また、NaOH水溶液に含まれる水の質量と中和反応で生じた水の質量とをイオン交換水の質量に加えた。その後、前述のメディア型分散機を用いて、吐出量300g/分で1パスの分散をさせるという条件で、メディア型分散機の内容物を混合した。このようにして、顔料分散体を得た。

0072

(スチレン−アクリル酸系樹脂のエマルションの調製)
前述の<水性インクA−1の製造>に記載の方法に従い、スチレン−アクリル酸系樹脂を合成した。得られたスチレン−アクリル酸系樹脂をメチルエチルケトンに溶解させた。得られた溶液を攪拌しながら、その溶液へイオン交換水を滴下した(転相乳化)。このようにして、スチレン−アクリル酸系樹脂のエマルション(固形分濃度:20質量%)を得た。得られたエマルションは、個数平均粒子径が130nmであるスチレン−アクリル酸系樹脂粒子を含んでいた。

0073

(他の成分の添加)
攪拌機(新東科学株式会社製「スリーワンモーターBL−600」)を用いて、回転速度400rpmの条件で、40.0質量%の顔料分散体と、20.0質量%のエチレングリコールと、15.0質量%のジエチルジグリコールと、0.3質量%のノニオン界面活性剤(日信化学工業株式会社製「オルフィンE1004」)と、10.0質量%のスチレン−アクリル酸系樹脂のエマルションと、イオン交換水(残量)とを攪拌した。得られた液体を、フィルター(孔径:5μm)を用いて、濾過した。このようにして、水性インクB−4を得た。

0074

[樹脂の含有比率の測定方法]
質量W(g)の水性インク(より具体的には、水性インクA−1〜A−5及びB−1〜B−4の各々)を減圧オーブンに入れた。減圧オーブンにおいて、温度を150℃に設定し、且つ圧力を0.67Paに設定して、水性インクから液体成分を蒸発させた。このようにして、第1固形物を得た。前述の(スチレン−アクリル酸系樹脂の質量平均分子量の測定)に記載の条件で、第1固形物に含まれる樹脂(より具体的には、スチレン−アクリル酸系樹脂)を定量した。

0075

質量W(g)の水性インク(より具体的には、水性インクA−1〜A−5及びB−1〜B−4の各々)を所定の容器に入れた。容器を遠心法付着力測定装置(株式会社ナノシーズ製「NS−C100」)に入れた。容器内の液体に対して、回転速度50000rpmの条件で、24時間にわたって、遠心分離処理を行った。容器から上澄み液を全て採取した。採取した上澄み液を減圧オーブンに入れた。減圧オーブンにおいて、温度を150℃に設定し、且つ圧力を0.67Paに設定して、採取した上澄み液から液体成分を蒸発させた。このようにして、第2固形物を得た。前述の(スチレン−アクリル酸系樹脂の質量平均分子量の測定)に記載の条件で、第2固形物に含まれる樹脂(より具体的には、スチレン−アクリル酸系樹脂)を定量した。

0076

下記式Aを用いて、顔料粒子の総質量に対する被覆樹脂の総質量の比率(以下、「比率(被覆樹脂/顔料粒子)」と記載する)を求めた。下記式Bを用いて、水性媒体中に存在する樹脂の総質量に対する遊離樹脂の総質量の比率(以下、「遊離樹脂の含有比率」と記載する)を求めた。結果を表2に示す。表2において、インクは、何れも、水性インクを意味する。なお、本発明者は、比率(被覆樹脂/顔料粒子)について、水性インクA−1と水性インクB−3とで大差がないことを確認している。また、本発明者は、水性インクB−4における比率(被覆樹脂/顔料粒子)が水性インクB−1における比率(被覆樹脂/顔料粒子)に比べてさらに低いことを確認している。
[比率(被覆樹脂/顔料粒子)]=[(第1固形物に含まれる樹脂の量)−(第2固形物に含まれる樹脂の量)]/(顔料の配合量)・・・式A
(遊離樹脂の含有比率)=100×(第2固形物に含まれる樹脂の量)/(第1固形物に含まれる樹脂の量)・・・式B

0077

0078

[水性インクの評価方法]
<水性インクの粘度の測定>
「JIS Z 8803:2011(液体の粘度測定方法)」に記載の方法に準拠して、25℃における水性インク(より具体的には、水性インクA−1〜A−5及びB−1〜B−4の各々)の粘度を測定した。評価基準を以下に示す。評価結果を表3に示す。
良好:25℃における水性インクの粘度が5.0mPa・s以上7.0mPa・s以下であった。
不良:25℃における水性インクの粘度が5.0mPa・s未満又は7.0mPa・s超であった。

0079

<水性インクの定着性>
水性インク(より具体的には、水性インクA−1〜A−5及びB−1〜B−4の各々)をインクジェット記録装置(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製)のインクタンクに入れた後、インストール動作を行った。これにより、水性インクをインクジェット記録装置の記録ヘッドに充填した。また、水性インクの吐出量がインク一滴あたり11pLになるように、水性インクの吐出条件を設定した。このようにして、評価機を準備した。

0080

温度25℃且つ湿度60%RHの環境下で、評価機を用いて、A4サイズのOHPシートの印字面に、2cmの角のソリッド画像を記録した。なお、記録に用いたOHPシートは、PET製シートであった。OHPシートの厚さは、0.10mmであった。OHPシートの印字面には、予め、コロナ処理が施されていた。また、水性インクの種類が異なっても、記録条件を変更しなかった。

0081

乾燥機設定温度:60℃)を用いて、ソリッド画像が記録されたOHPシートを2時間にわたって乾燥させた。乾燥後のOHPシートを複合機(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製の「TASKalfa 2551ci」)の定着装置に通過させた。

0082

定着装置を通過したOHPシートを用いて、こすり試験を行った。詳しくは、金属製のを、ソリッド画像の上で10往復させた。錘は、直径50mmの円柱形状を有していた。錘の質量は、1kgであった。錘の底面は、布帛で覆われていた。

0083

こすり試験の後、ソリッド画像の少なくとも一部分がOHPシートから剥離しているか否かを目視で確認した。評価基準を以下に示す。評価結果を表3に示す。
良好:ソリッド画像の剥離が確認されなかった。
不良:ソリッド画像の剥離が確認された。

0084

<水性インクの保存安定性>
水性インク(より具体的には、水性インクA−1〜A−5及びB−1〜B−4の各々)を測定用セル(厚さ:1mm)に収容した。測定用セルを分光光度計(株式会社日立ハイテクサイエンス製「U−3000」)にセットした後、分光光度計(株式会社日立ハイテクサイエンス製「U−3000」)を用いて水性インクの透過スペクトルを測定した。得られた透過スペクトルにおいて、波長が610nm付近における透過率を求めた。このようにして、初期の透過率を得た。

0085

水性インクをポリエチレン製容器に入れて密閉した。密閉された容器を恒温槽(設定温度:60℃)に1週間静置した。その後、初期の透過率の測定方法に従い、静置後の透過率を得た。

0086

評価基準を以下に示す。評価結果を表3に示す。
良好:透過率の変化率が5%未満であった。
不良:透過率の変化率が5%以上であった。
透過率の変化率は、下記式を用いて、算出された。
(透過率の変化率)=100×(初期の透過率と静置後の透過率との差の絶対値)/(初期の透過率)

0087

[水性インクの評価結果]
表3に、水性インクの評価結果を示す。表3において、インクは、何れも、水性インクを意味する。

0088

0089

水性インクA−1〜A−5(より具体的には、実施例1〜5に係る水性インク)は、各々、前述の基本構成を備えていた。詳しくは、水性インクA−1〜A−5は、各々、水性媒体と、水性媒体中に存在する複数の顔料粒子と、水性媒体中に存在する樹脂とを含んでいた。被覆樹脂の総質量が、顔料粒子の総質量の1.4倍以上3.1倍以下であった。遊離樹脂の総質量が、水性媒体中に存在する樹脂の総質量に対し、3.0質量%未満であった。

0090

表3に示されるように、水性インクA−1〜A−5の粘度は、各々、5.0mPa・s以上7.0mPa・s以下であった。水性インクA−1〜A−5は、各々、定着性に優れ、保存安定性に優れた。

0091

一方、水性インクB−1〜B−4(より具体的には、比較例1〜4に係る水性インク)は、各々、前述の基本構成を備えていなかった。詳しくは、水性インクB−1では、被覆樹脂の総質量が顔料粒子の総質量の1.4倍未満であった。水性インクB−1は、水性インクA−1〜A−5の各々に比べ、定着性に劣った。本発明者は、次に示すことを確認している。FMミキサーへ供給する顔料の量に比べてスチレン−アクリル酸系樹脂の供給量が少ない場合には、ソリッド画像の剥離は比較例1よりも顕著であった。

0092

水性インクB−2では、被覆樹脂の総質量が顔料粒子の総質量の3.1倍超であった。また、遊離樹脂の総質量が水性媒体中に存在する樹脂の総質量に対して3.0質量%以上であった。水性インクB−2の粘度は、7.0mPa・s超であった。水性インクB−2は、水性インクA−1〜A−5の各々に比べ、保存安定性に劣った。

0093

水性インクB−3では、遊離樹脂の総質量が水性媒体中に存在する樹脂の総質量に対して3.0質量%以上であった。水性インクB−3は、遠心分離処理と置換処理とを実施することなく製造された。水性インクB−3の粘度は、7.0mPa・s超であった。水性インクB−3は、水性インクA−1〜A−5の各々に比べ、保存安定性に劣った。

実施例

0094

水性インクB−4では、遊離樹脂の含有比率が3.0質量%をはるかに超えた。水性インクB−4は、混練工程を経ることなく製造された。水性インクB−4の粘度は、7.0mPa・s超であった。水性インクB−4は、水性インクA−1〜A−5の各々に比べ、保存安定性に劣った。

0095

本発明に係るインクジェット記録用水性インクは、例えば複合機において画像の記録に用いることに適している。

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