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技術 量子ドットに基づいて色変換する発光装置、および、その製造方法

出願人 マブンオプトロニックスカンパニーリミテッド
発明者 チェン、チェー
出願日 2018年8月24日 (1年4ヶ月経過) 出願番号 2018-156872
公開日 2019年4月18日 (8ヶ月経過) 公開番号 2019-061230
状態 未査定
技術分野 発光性組成物 LED素子のパッケージ
主要キーワード 熱減衰 矩形リング 初期光強度 光強度閾値 光透過経路 青色光強度 スペーサ構造体 UV硬化性ポリマー
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (20)

課題

量子ドット材料動作温度を低くすることにより、量子ドット材料の熱減衰を効果的に改善することができる量子ドットに基づいて色変換する発光装置およびその製造方法を提供する。

解決手段

次光を供給するように構成される、フリップチップLED半導体素子10と、第1フォトルミネッセント層21、透光性分離層22、第2フォトルミネッセント層23、および、透光性防湿層24、を含むフォトルミネッセント構造体20であって、第1フォトルミネッセント層は、第1ポリマーマトリクス材料および第1ポリマーマトリクス材料中に分散された、低励起エネルギーベル蛍光体材料を含み、第2フォトルミネッセント層は、第2ポリマーマトリクス材料および第2ポリマーマトリクス材料中に分散された、高励起エネルギーレベル量ドット材料を含む発光装置。

概要

背景

量子ドット(QD)材料は、通常1nm〜50nm程度の粒子サイズをもつ半導体ナノ結晶材料を含む。高エネルギーレベルの光に照射されると、量子閉じ込め効果により、量子ドット材料は、入射光の一部を低エネルギーレベル可視光に変換することができる。したがって、量子ドット材料は、フォトルミネッセント材料として用いられうる。量子ドット材料の粒子サイズ、形状、または材料組成を変化することにより、量子ドット材料は、異なる波長の可視光を放出することができる。つまり、その発光スペクトルは、量子ドット材料の粒子サイズを変化することにより変えることができる。

イットリウムアルミニウムガーネット(YAG)蛍光体、窒化物または酸化物の蛍光体のような、他の蛍光体材料と比べると、量子ドット材料は、極めて狭い、発光スペクトルの半値全幅FWHM)を有する。したがって、発光ダイオードLED)半導体チップとともに量子ドット材料を用いて、液晶ディスプレイ(LCD)のバックライト光源として発光装置を形成すると、色純度がより改善されうる。超高精細テレビ(UHDTV)向けのBT.2020規格における色域範囲の70%を達成しうる有機発光ダイオード(OLED)ディプレイと比較して、色変換光源として量子ドット材料を用いるLCDディスプレイは、BT.2020規格における色域の最大90%を達成しうる。加えて、量子ドット材料は、OLEDディスプレイに使用される発光有機材料と比較して寿命が長い無機材料である。さらに、量子ドット材料を用いた発光装置は、表示モジュールの設計を大きく変更することなく、LCDのバックライト光源に直接置き換えることができる。つまり、フォトルミネッセント材料を変更することにより、LCDの色域範囲を著しく増大させることができる。

量子ドット材料を使用する発光装置が多くの利点を有する一方で、実際には、解決・克服すべきいくつかの問題が未だに存在する。たとえば、量子ドット材料の熱的安定性は乏しく、高温環境(たとえば70℃以上の環境)下で、それらの性能は著しく低下する。したがって、LED半導体チップの動作中に生じる熱は、量子ドット材料の性能を大きく低下させる可能性がある。

加えて、量子ドット材料が大気中の水分や酸素と接触すると、量子ドットナノ粒子の表面が容易に酸化され、酸化物を形成する。これは、量子ドット材料の発光強度が低下する原因となる。したがって、量子ドット材料を用いた発光装置は、量子ドット材料に接触し入り込む外部の水蒸気や酸素の侵入対抗する、良好な水分バリア保護を有するべきである。これにより、発光装置により長い寿命を持たせる。

さらに、周囲に酸素や水分が存在すると、紫外線(UV)や青色光のような高エネルギー準位の入射光により量子ドット材料が励起されると、光酸化反応がより起こりやすくなり、発光強度の著しい減少、および、量子ドット材料から発せられるフォトルミネッセントスペクトルブルーシフト短波長シフト)、を引き起こす。特に、量子ドットナノ粒子材料のような、表面積が大きい半導体材料が高エネルギー準位の光に照射されると、光起電力効果により、半導体材料は大量の電子及び正孔を発生する。励起された自由電子は、半導体材料の表面を取り巻く酸素分子電離しやすくし、酸素プラズマおよび酸素イオンを形成する。このことは、半導体材料の酸化反応を促進して酸化物を形成する。電子活性半導体材料の光酸化反応現象に関する説明および実験的検証は、YoungEMin 1988 Appl. Phys. A 47:259−69、および、Sato S. et. al. in 1997 J. Appl. Phys. 81:1518により発表されている。つまり、量子ドット材料は、高エネルギーレベルの光照射下でその酸化反応を著しく促進する。

同時に、量子ドットナノ粒子の表面における酸化反応プロセスは、量子ドット材料の有効粒子サイズを低減する。より小さい粒子サイズの量子ドットフォトルミネッセント材料により波長変換された光は、より高いエネルギーレベル(より短い波長)の光を発生させることができる。したがって、量子ドット材料の表面酸化は、そのフォトルミネッセントスペクトルをより短い波長にシフトさせ、いわゆる「ブルーシフト」現象をもたらす。さらに、酸化物の生成は量子ドットの構造的欠陥をより多く発生する。そして、その構造的欠陥は、電子及び正孔が、フォトルミネッセント工程において非発光再結合を起こす原因となる。電子及び正孔の非発光再結合は、所望のスペクトルの光子に変換する代わりに、熱の形でエネルギーを放出する。したがって、量子ドット材料の光酸化現象は、発光強度が減少する原因にもなり、最終的には、量子ドットが有効とならないであろう。これが、量子ドットのフォトブリーチング現象である。したがって、量子ドット材料がLED発光装置で使われるように構成されるときには、量子ドット材料に過度に高エネルギーレベルの光が照射されることを防ぐことが望ましく、これにより、光酸化現象による光強度の減衰、および、フォトルミネッセントスペクトルのブルーシフトを回避する。

加えて、量子ドットに基づいて色変換する発光装置は、一般に、良好な発光効率および良好な均一性を達成するために、ポリマーマトリクス材料中に均一に分散された量子ドット材料を有するべきである。しかし、全ての量子ドット材料が、一般に用いられるポリマーマトリクス材料内に均一に分散されるわけではなく、また、一般に用いられるポリマーマトリクス材料と相性がよいわけでもない。通常、特定のポリマーマトリクス中に量子ドットを均一に分散するために、量子ドット材料を表面修飾する、たとえばリガンドを形成することが望ましい。したがって、表面修飾、適切なポリマーマトリクス材料の選択、および量子ドットに基づいて色変換する発光装置を作製する際における異なるポリマーマトリックス材料間の製造プロセス適合性も、重要な技術的課題となっている。

したがって、色変換する発光装置に量子ドット材料を使用するために、上記の技術的課題を改善または克服することは、LED産業における差し迫った技術的課題である。

概要

量子ドット材料の動作温度を低くすることにより、量子ドット材料の熱減衰を効果的に改善することができる量子ドットに基づいて色変換する発光装置およびその製造方法を提供する。一次光を供給するように構成される、フリップチップLED半導体素子10と、第1フォトルミネッセント層21、透光性分離層22、第2フォトルミネッセント層23、および、透光性防湿層24、を含むフォトルミネッセント構造体20であって、第1フォトルミネッセント層は、第1ポリマーマトリクス材料および第1ポリマーマトリクス材料中に分散された、低励起エネルギーベル蛍光体材料を含み、第2フォトルミネッセント層は、第2ポリマーマトリクス材料および第2ポリマーマトリクス材料中に分散された、高励起エネルギーレベル量ドット材料を含む発光装置。A

目的

したがって、色変換する発光装置に量子ドット材料を使用するために、上記の技術的課題を改善または克服することは、LED産業における差し迫った技術的課題である

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
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請求項1

次光を供給するように構成される、フリップチップLED半導体素子と、第1フォトルミネッセント層透光性分離層、第2フォトルミネッセント層、および、透光性防湿層、を含むフォトルミネッセント構造体であって、前記第1フォトルミネッセント層は、第1ポリマーマトリクス材料および該第1ポリマーマトリクス材料中に分散された、低励起エネルギーベル蛍光体材料を含み、前記フリップチップLED半導体素子の素子上面上に配置され、前記透光性分離層は、前記第1フォトルミネッセント層上に配置され、前記第2フォトルミネッセント層は、第2ポリマーマトリクス材料および該第2ポリマーマトリクス材料中に分散された、高励起エネルギーレベル量ドット材料を含み、前記透光性分離層上に配置され、前記透光性防湿層は、前記第2フォトルミネッセント層上に配置される、フォトルミネッセント構造体と、前記フォトルミネッセント構造体のフォトルミネッセントサイド面および前記フリップチップLED半導体素子の素子端面を覆い、前記フリップチップLED半導体素子の下部電極面を覆わない防湿反射構造体と、を含み、前記第1フォトルミネッセント層の前記低励起エネルギーレベル蛍光体材料は、前記一次光の一部を、より低いエネルギーレベル可視光に変換するように構成される、発光装置

請求項2

前記一次光の未変換部分の強度は、前記高励起エネルギーレベル量子ドット材料が持ちこたえうる光強度以下であり、前記一次光は青色光藍色光、紫色光、または、紫外光であり、前記低励起エネルギーレベル蛍光体材料は、赤色蛍光体材料を含み、前記高励起エネルギーレベル量子ドット材料は、緑色量子ドット材料を含む、請求項1に記載の発光装置。

請求項3

前記緑色量子ドット材料は、10W/cm2以下の前記一次光の光強度に持ちこたえることができる、請求項2に記載の発光装置。

請求項4

前記フォトルミネッセント構造体は、さらに、前記第2フォトルミネッセント層に隣接して配置される透光性熱拡散層を含み、該透光性熱拡散層の熱伝導率は、前記透光性防湿層または前記透光性分離層の熱伝導率よりも大きい、請求項2に記載の発光装置。

請求項5

前記透光性熱拡散層は、金属薄膜金属メッシュグリッド透明導電酸化物またはグラフェンを含む、請求項4に記載の発光装置。

請求項6

前記フォトルミネッセント構造体は、さらに、透光性スペーサ層を含み、前記第1フォトルミネッセント層は、前記透光性スペーサ層上に配置される、請求項2〜5いずれか1項に記載の発光装置。

請求項7

前記フリップチップLED半導体素子の素子端面を覆う素子端面スペーサ構造体をさらに含み、前記素子端面スペーサ構造体は、前記フリップチップLED半導体素子の素子端面に対して傾く傾斜サイドスペーサ面を含み、前記防湿反射構造体に覆われる、請求項2〜5いずれか1項に記載の発光装置。

請求項8

前記第1ポリマーマトリクス材料は、熱硬化性であり、前記第2ポリマーマトリクス材料は、紫外線硬化性である、請求項2〜5いずれか1項に記載の発光装置。

請求項9

前記透光性分離層または前記透光性防湿層の少なくとも一つは、透光性無機材料を含む、請求項2〜5いずれか1項に記載の発光装置。

請求項10

前記透光性分離層または前記透光性防湿層の少なくとも一つは、1mmの厚さで、20g/(m2・日)以下の水蒸気透過率を有するポリマーマトリクス材料を含む、請求項2〜5いずれか1項に記載の発光装置。

請求項11

前記防湿反射構造体は、第3ポリマーマトリクス材料、および、該第3ポリマーマトリクス材料内に分散される光散乱粒子、を含む、請求項2〜5いずれか1項に記載の発光装置。

請求項12

前記第3ポリマーマトリクス材料は、1mmの厚さで、20g/(m2・日)以下の水蒸気透過率を有する、請求項11に記載の発光装置。

請求項13

前記防湿反射構造体は、前記透光性分離層または前記透光性防湿層の熱伝導率以上の熱伝導率を有する、請求項2〜5いずれか1項に記載の発光装置。

請求項14

前記第2フォトルミネッセント層は、さらに、光散乱粒子を含み、該光散乱粒子は、前記第2ポリマーマトリクス材料中に分散されている、請求項2〜5いずれか1項に記載の発光装置。

請求項15

前記赤色蛍光体材料は、フッ化物蛍光体材料または窒化物蛍光体材料を含む、請求項2〜5いずれか1項に記載の発光装置。

請求項16

前記フッ化物蛍光体材料は、(A)A2[MF6]:Mn4+,(B)E2[MF6]:Mn4+,(C)Ba0.65Zr0.35F2.70:Mn4+,(D)A3[ZrF7]:Mn4+,の少なくとも一つを含み、Aは、Li,Na,K,Rb,Cs,NH4,およびこれらの組み合わせからなる群から選択され、Mは、Ge,Si,Sn,Ti,Zr,およびこれらの組み合わせからなる群から選択され、Eは、Mg,Ca,Sr,Ba,Zn,およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項15に記載の発光装置。

請求項17

前記フッ化物蛍光体材料は、(x−a)MgO・(a/2)Sc2O3・yMgF2・cCaF2・(1−b)GeO2・(b/2)Mt2O3:zMn4+を含み、2.0≦x≦4.0,0<y<1.5,0<z<0.05,0≦a<0.5,0<b<0.5,0≦c<1.5,y+c<1.5であり、Mtは、Al,Ga,Inからなる群から選択される、請求項15に記載の発光装置。

請求項18

前記第2フォトルミネッセント層は、さらに、青色量子ドット材料を含む、請求項2〜5いずれか1項に記載の発光装置。

請求項19

フリップチップLED半導体素子をフォトルミネッセント構造体に積層する工程と、防湿反射構造体を、前記フォトルミネッセント構造体のフォトルミネッセントサイド面および前記フリップチップLED半導体素子の素子端面を覆うように、形成する工程と、を含み、前記フォトルミネッセント構造体は、第1フォトルミネッセント層、透光性分離層、第2フォトルミネッセント層、および、透光性防湿層、を含み、前記第1フォトルミネッセント層は、第1ポリマーマトリクス材料、および、該第1ポリマーマトリクス材料内に分散される低励起エネルギーレベル蛍光体材料、を含み、前記フリップチップLED半導体素子の素子端面を覆うように配置され、前記透光性分離層は、前記第1フォトルミネッセント層上に配置され、前記第2フォトルミネッセント層は、第2ポリマーマトリクス材料、および、該第2ポリマーマトリクス材料内に分散される高励起エネルギーレベル量子ドット材料を含み、前記透光性分離層上に配置され、前記透光性防湿層は、前記第2フォトルミネッセント層上に配置され、前記防湿反射構造体は、前記フォトルミネッセント構造体のフォトルミネッセントサイド面、および、前記フリップチップLED半導体素子の素子端面を覆い、前記フリップチップLED半導体素子の下部電極面を覆わず、前記フリップチップLED半導体素子は、一次光を供給するように構成され、該一次光は青色光、藍色光、紫色光、または紫外光であり、前記第1フォトルミネッセント層の前記低励起エネルギーレベル蛍光体材料は、該一次光の一部を低エネルギーレベルの可視光に変換するように構成され、該一次光の未変換部の強度が、前記高励起エネルギーレベル量子ドット材料が持ちこたえることができる光強度以下である、発光装置の製造方法。

請求項20

前記フォトルミネッセント構造体を形成する工程をさらに含み、該フォトルミネッセント構造体を形成する工程は、前記透光性防湿層を準備する工程、前記透光性防湿層上に前記第2フォトルミネッセント層を形成する工程、前記第2フォトルミネッセント層上に前記透光性分離層を形成する工程、および、前記透光性分離層上に前記第1フォトルミネッセント層を形成する工程、を含む、請求項19に記載の発光装置の製造方法。

請求項21

前記フォトルミネッセント構造体を形成する工程をさらに含み、該フォトルミネッセント構造体を形成する工程は、前記透光性防湿層を準備し、該透光性防湿層上に前記第2フォトルミネッセント層を形成する工程、前記透光性分離層を準備し、該透光性分離層上に前記第1フォトルミネッセント層を形成する工程、および、前記第2フォトルミネッセント層を前記透光性分離層に積層する工程、を含む、請求項19に記載の発光装置の製造方法。

請求項22

前記フォトルミネッセント構造体は、さらに、前記第2フォトルミネッセント層に隣接する透光性熱拡散層を含み、前記透光性熱拡散層は、前記透光性分離層または前記透光性防湿層の熱伝導率よりも大きい熱伝導率を有する、請求項19に記載の発光装置の製造方法。

請求項23

前記フォトルミネッセント構造体は、さらに、前記第1フォトルミネッセント層上に形成された透光性スペーサ層を含み、前記透光性スペーサ層は、前記フリップチップLED半導体素子の素子上面に対向し、覆う、請求項19〜22いずれか1項に記載の発光装置の製造方法。

請求項24

前記第1フォトルミネッセント層上に素子端面スペーサ構造体を形成し、前記フリップチップLED半導体素子の素子端面を覆う工程をさらに含み、前記素子端面スペーサ構造体は、前記フリップチップLED半導体素子の素子端面に対して傾く傾斜サイドスペーサ面を含み、前記防湿反射構造体を形成する際に、該防湿反射構造体は、前記素子端面スペーサ構造体の前記傾斜サイドスペーサ面を覆う、請求項19〜22いずれか1項に記載の発光装置の製造方法。

技術分野

0001

(関連出願の相互参照
本願は、2017年9月8日出願の台湾特許出願第106130827号、および、2017年9月11日出願の中国特許出願第201710812987.0号の優先権およびその利益を主張するものであり、それら出願の全体を参照することにより、それらの開示事項を本開示に取り込む。

0002

(技術分野)
本開示は、チップスケールパッケージ型の発光装置及びその製造方法に関し、特に、緑色量子ドット材料及び赤色蛍光体材料を用いた、チップスケールパッケージ型の発光装置及びその製造方法に関する。

背景技術

0003

量子ドット(QD)材料は、通常1nm〜50nm程度の粒子サイズをもつ半導体ナノ結晶材料を含む。高エネルギーレベルの光に照射されると、量子閉じ込め効果により、量子ドット材料は、入射光の一部を低エネルギーレベル可視光に変換することができる。したがって、量子ドット材料は、フォトルミネッセント材料として用いられうる。量子ドット材料の粒子サイズ、形状、または材料組成を変化することにより、量子ドット材料は、異なる波長の可視光を放出することができる。つまり、その発光スペクトルは、量子ドット材料の粒子サイズを変化することにより変えることができる。

0004

イットリウムアルミニウムガーネット(YAG)蛍光体、窒化物または酸化物の蛍光体のような、他の蛍光体材料と比べると、量子ドット材料は、極めて狭い、発光スペクトルの半値全幅FWHM)を有する。したがって、発光ダイオードLED)半導体チップとともに量子ドット材料を用いて、液晶ディスプレイ(LCD)のバックライト光源として発光装置を形成すると、色純度がより改善されうる。超高精細テレビ(UHDTV)向けのBT.2020規格における色域範囲の70%を達成しうる有機発光ダイオード(OLED)ディプレイと比較して、色変換光源として量子ドット材料を用いるLCDディスプレイは、BT.2020規格における色域の最大90%を達成しうる。加えて、量子ドット材料は、OLEDディスプレイに使用される発光有機材料と比較して寿命が長い無機材料である。さらに、量子ドット材料を用いた発光装置は、表示モジュールの設計を大きく変更することなく、LCDのバックライト光源に直接置き換えることができる。つまり、フォトルミネッセント材料を変更することにより、LCDの色域範囲を著しく増大させることができる。

0005

量子ドット材料を使用する発光装置が多くの利点を有する一方で、実際には、解決・克服すべきいくつかの問題が未だに存在する。たとえば、量子ドット材料の熱的安定性は乏しく、高温環境(たとえば70℃以上の環境)下で、それらの性能は著しく低下する。したがって、LED半導体チップの動作中に生じる熱は、量子ドット材料の性能を大きく低下させる可能性がある。

0006

加えて、量子ドット材料が大気中の水分や酸素と接触すると、量子ドットナノ粒子の表面が容易に酸化され、酸化物を形成する。これは、量子ドット材料の発光強度が低下する原因となる。したがって、量子ドット材料を用いた発光装置は、量子ドット材料に接触し入り込む外部の水蒸気や酸素の侵入対抗する、良好な水分バリア保護を有するべきである。これにより、発光装置により長い寿命を持たせる。

0007

さらに、周囲に酸素や水分が存在すると、紫外線(UV)や青色光のような高エネルギー準位の入射光により量子ドット材料が励起されると、光酸化反応がより起こりやすくなり、発光強度の著しい減少、および、量子ドット材料から発せられるフォトルミネッセントスペクトルブルーシフト短波長シフト)、を引き起こす。特に、量子ドットナノ粒子材料のような、表面積が大きい半導体材料が高エネルギー準位の光に照射されると、光起電力効果により、半導体材料は大量の電子及び正孔を発生する。励起された自由電子は、半導体材料の表面を取り巻く酸素分子電離しやすくし、酸素プラズマおよび酸素イオンを形成する。このことは、半導体材料の酸化反応を促進して酸化物を形成する。電子活性半導体材料の光酸化反応現象に関する説明および実験的検証は、YoungEMin 1988 Appl. Phys. A 47:259−69、および、Sato S. et. al. in 1997 J. Appl. Phys. 81:1518により発表されている。つまり、量子ドット材料は、高エネルギーレベルの光照射下でその酸化反応を著しく促進する。

0008

同時に、量子ドットナノ粒子の表面における酸化反応プロセスは、量子ドット材料の有効粒子サイズを低減する。より小さい粒子サイズの量子ドットフォトルミネッセント材料により波長変換された光は、より高いエネルギーレベル(より短い波長)の光を発生させることができる。したがって、量子ドット材料の表面酸化は、そのフォトルミネッセントスペクトルをより短い波長にシフトさせ、いわゆる「ブルーシフト」現象をもたらす。さらに、酸化物の生成は量子ドットの構造的欠陥をより多く発生する。そして、その構造的欠陥は、電子及び正孔が、フォトルミネッセント工程において非発光再結合を起こす原因となる。電子及び正孔の非発光再結合は、所望のスペクトルの光子に変換する代わりに、熱の形でエネルギーを放出する。したがって、量子ドット材料の光酸化現象は、発光強度が減少する原因にもなり、最終的には、量子ドットが有効とならないであろう。これが、量子ドットのフォトブリーチング現象である。したがって、量子ドット材料がLED発光装置で使われるように構成されるときには、量子ドット材料に過度に高エネルギーレベルの光が照射されることを防ぐことが望ましく、これにより、光酸化現象による光強度の減衰、および、フォトルミネッセントスペクトルのブルーシフトを回避する。

0009

加えて、量子ドットに基づいて色変換する発光装置は、一般に、良好な発光効率および良好な均一性を達成するために、ポリマーマトリクス材料中に均一に分散された量子ドット材料を有するべきである。しかし、全ての量子ドット材料が、一般に用いられるポリマーマトリクス材料内に均一に分散されるわけではなく、また、一般に用いられるポリマーマトリクス材料と相性がよいわけでもない。通常、特定のポリマーマトリクス中に量子ドットを均一に分散するために、量子ドット材料を表面修飾する、たとえばリガンドを形成することが望ましい。したがって、表面修飾、適切なポリマーマトリクス材料の選択、および量子ドットに基づいて色変換する発光装置を作製する際における異なるポリマーマトリックス材料間の製造プロセス適合性も、重要な技術的課題となっている。

0010

したがって、色変換する発光装置に量子ドット材料を使用するために、上記の技術的課題を改善または克服することは、LED産業における差し迫った技術的課題である。

発明が解決しようとする課題

0011

本開示の実施形態の1つの目的は、量子ドットに基づいて色変換する発光装置およびその製造方法を提供することである。当該発光装置は、フリップチップ型のLED半導体素子を用いた、チップスケールパッケージ型の発光装置であり、LED半導体素子の接合温度を低減するための、優れた放熱経路を有しており、熱抵抗が低い。そのため、開示された発光装置は、量子ドット材料の動作温度を低くすることにより、量子ドット材料の熱減衰を効果的に改善することができる。

0012

本開示の実施形態の他の目的は、量子ドットにより色変換する発光装置およびその製造方法を提供することである。当該発光装置は、水分バリアとしての良好な密閉を提供し、外部雰囲気からの水蒸気および/または酸素が量子ドット材料に到達することを低減・回避する。これにより、量子ドット材料の酸化反応プロセスを効果的に低減する。

0013

本開示の実施形態の他の目的は、量子ドットに基づいて色変換する発光装置およびその製造方法を提供することである。光酸化されにくい蛍光体材料が、LED半導体素子の近くに内層として配置され、光酸化されやすい量子ドット材料が、LED半導体素子から離れて外層として配置される。このため、LED半導体素子から出射された高エネルギーレベルの入射光は、光酸化されやすい量子ドット材料に照射する前に、光酸化されにくい蛍光体材料によって部分的に遮られる。具体的には、入射光強度が、量子ドット材料が持ちこたえられる閾値強度を超えないように、まずは光酸化されにくい蛍光体材料によって低減され、このため、量子ドット材料の光酸化反応プロセスを軽減する。

0014

本開示の実施形態の他の目的は、量子ドットに基づいて色変換する発光装置の製造方法を提供することである。蛍光体材料を拘束するために構成されたポリマーマトリクス材料は、量子ドット材料を拘束するために構成されたポリマーマトリクス材料と比較して、異なる材料特性を有する。適切な材料硬化プロセスは、たとえば熱硬化プロセスおよび紫外線硬化プロセスといったように、これらの2つのポリマーマトリクス材料の間で異なっていてもよい。本開示のいくつかの実施形態による発光装置は、量子ドット材料を拘束するために使用されるポリマーマトリクス材料と、蛍光体材料を拘束するために使用されるポリマーマトリクス材料と、を効果的に分けるように要求される。このため、2つのポリマーマトリクス材料の硬化プロセスの不適合性または材料の不適合性を回避する。

課題を解決するための手段

0015

上記目的を達成するために、本開示のいくつかの実施形態による発光装置は、一次光を供給するように構成されるフリップチップLED半導体素子であって、一次光が青色光、藍色光、紫色光、または、紫外光であるフリップチップLED半導体素子と、フリップチップLED半導体素子の素子上面上に配置されるフォトルミネッセント構造体であって、第1フォトルミネッセント層透光性分離層、第2フォトルミネッセント層、および、透光性防湿層、を含むフォトルミネッセント構造体と、を含みうる。具体的に、フォトルミネッセント構造体の積層順序は以下の通りである。透光性分離層は第1フォトルミネッセント層上に配置され、第2フォトルミネッセント層は透光性分離層上に配置され、透光性防湿層は第2フォトルミネッセント層上に配置される。第1フォトルミネッセント層は、第1ポリマーマトリクス材料およびその中に分散される低励起エネルギーベル蛍光体材料(たとえば赤色光出射材料または赤色蛍光体材料)を含む。第2フォトルミネッセント層は、第2ポリマーマトリクス材料およびその中に分散される高励起エネルギーレベル量ドット材料(たとえば緑色光出射材料または緑色蛍光体材料)を含む。防湿反射構造体は、フォトルミネッセント構造体のフォトルミネッセントサイド面およびフリップチップLED半導体素子の素子端面を覆い、フリップチップLED半導体素子の下部電極面を覆わない。フォトルミネッセント構造体のこの特定の並びにより、第1フォトルミネッセント層の低励起エネルギーレベル蛍光体材料は、第一に、高エネルギーレベルの入射一次光(たとえば青色光)の一部を、低エネルギーレベルの二次光(たとえば波長変換赤色光)に変換するために用いられる。これによって、高エネルギーレベルの一次光(たとえば青色光)の未変換部分の強度が、光酸化反応プロセスを増幅させない、量子ドット材料(たとえば緑色量子ドット材料)が持ちこたえることができる高エネルギーレベルの光の強度以下に低減される。本開示のいくつかの実施形態による発光装置の製造方法は、フォトルミネッセント構造体をフリップチップLED半導体素子に積層する工程と、防湿反射構造を、フォトルミネッセント構造体のフォトルミネッセントサイド面およびフリップチップLED半導体素子の素子端面を覆うように形成する工程と、を含みうる。

0016

これにより、本開示のいくつかの実施形態による発光装置は、少なくとも次のような技術的利益を提供し得る。(1)第2フォトルミネッセント層は、外側層として、フリップチップLED半導体素子に対して、第1フォトルミネッセント層の上方に配置される。そのため、フリップチップLED半導体素子により発せられた一次光の一部が、まず第1フォトルミネッセント層により変換され、第2フォトルミネッセント層中の量子ドット材料(たとえば緑色量子ドット)に照射する高エネルギーレベルの一次光の強度を低減する。このため、量子ドット材料に照射する高エネルギーレベルの一次光の光強度は、量子ドット材料の光酸化反応プロセスを増幅させることなく、量子ドット材料が持ちこたえることができる光強度以下である。(2)チップスケールパッケージ(CSP)型の発光装置は、パッケージリードフレームなしで使用されうる。このため、同じパッケージボリュームでは、CSP型の発光装置は、より大きい発光面積を有し得る。このため、量子ドット材料に照射する単位面積当たりの一次光の強度は、量子ドット材料の光酸化反応プロセスを抑えるために、効果的に低減されうる。(3)透光性防湿層および防湿反射構造体の両方は、低い水蒸気透過率(WVTR)を有するため、外部の水蒸気および酸素は、第2フォトルミネッセント層内の量子ドット材料に接触するために、発光装置内に侵入するのは容易ではないだろう。このことは、量子ドット材料の酸化反応を効果的に回避・低減しうる。(4)透光性分離層は、第1フォトルミネッセント層から第2フォトルミネッセント層を分ち、それらは直接相互に接触しない。すなわち、高励起エネルギーレベル量子ドット材料(たとえば緑色量子ドット材料)を拘束するために使われる第2ポリマーマトリクス材料は、低励起エネルギーレベル蛍光体材料(たとえば赤色蛍光体材料)を拘束するために使われる第1ポリマーマトリクス材料とは直接接触しない。このため、それら二つのポリマーマトリクス材料の材料特性やプロセスの特徴(硬化メカニズムのような)は、互いに干渉しない。(5)リードフレームパッケージまたはサブマウントパッケージを使った発光装置と比べると、本開示のいくつかの実施形態による、フリップチップLED半導体素子を使ったチップスケールパッケージ型の発光装置は、より低い熱抵抗を有する。そのため、LED半導体素子のジャンクション温度は、効果的に低減されうる。加えて、量子ドット材料を含む第2フォトルミネッセント層は、フリップチップLED半導体素子から離れている。このため、量子ドット材料の動作温度を、約50℃、約40℃、または約30℃以下にまで下げることより、フリップチップLED半導体素子により生じた熱は、量子ドット材料により少ない影響を有する。より低い動作温度は、量子ドット材料の熱劣化を効果的に防ぎうる。(6)本開示のいくつかの実施形態によれば、第1フォトルミネッセント層に用いられる低励起エネルギーレベル蛍光体材料は、フッ化物蛍光体材料(たとえばKSFまたはMGF)である。KSFおよびMGFは、緑色光により容易に励起されないので、高励起エネルギーレベル量子ドット材料(波長変換緑色光のような)により波長変換され、KSFまたはMGFに向かって後方散乱する高エネルギーレベルの光は、効果的に外部に散乱し、これによって、発光装置の全体の光取り出し効率を増加させる。

0017

本開示のその他の態様および実施形態を考慮することもできる。前述の概要および以下の詳細な説明は、本開示を特定の実施形態に限定することを意味するものではなく、単に本開示のいくつかの実施形態を説明することを意味するものである。

図面の簡単な説明

0018

図1Aは、本開示の実施形態による発光装置1を示す模式的な断面図である。
図1Bは、本開示の実施形態による発光装置1を示す模式的な断面図である。
図1Cは、本開示の実施形態による発光装置1の他の構成を示す断面図である。
図2Aは、本開示の実施形態による発光装置1の他の構成を示す模式的な断面図であり、光変換経路および光透過経路を示す。
図2Bは、本開示の実施形態による発光装置1の発光スペクトルの測定結果である。
図2Cは、本開示の実施形態による発光装置1の他の構成を示す模式的な断面図であり、光変換経路および光透過経路を示す。
図3は、本開示の他の実施形態による発光装置2を示す断面図である。
図4Aは、本開示の他の実施形態による発光装置3を示す断面図である。
図4Bは、本開示の実施形態による発光装置3の他の構成を示す断面図である。
図5Aは、本開示の実施形態による発光装置の製造方法の作製段階を示す模式図である。
図5Bは、本開示の実施形態による発光装置の製造方法の作製段階を示す模式図である。
図5Cは、本開示の実施形態による発光装置の製造方法の作製段階を示す模式図である。
図5Dは、本開示の実施形態による発光装置の製造方法の作製段階を示す模式図である。
図5Eは、本開示の実施形態による発光装置の製造方法の作製段階を示す模式図である。
図5Fは、本開示の実施形態による発光装置の製造方法の作製段階を示す模式図である。
図5Gは、本開示の実施形態による発光装置の製造方法の作製段階を示す模式図である。
図5Hは、本開示の実施形態による発光装置の製造方法の作製段階を示す模式図である。
図5Iは、本開示の実施形態による発光装置の製造方法の作製段階を示す模式図である。
図6Aは、本開示の実施例による発光装置の製造方法の作製段階を示す模式図である。
図6Bは、本開示の実施例による発光装置の製造方法の作製段階を示す模式図である。
図6Cは、本開示の実施例による発光装置の製造方法の作製段階を示す模式図である。
図6Dは、本開示の実施例による発光装置の製造方法の作製段階を示す模式図である。

実施例

0019

以下の定義は、本開示のいくつかの実施形態に関して記載された技術的側面のいくつかに適用される。これらの定義は、本明細書の中でも、詳説されるかもしれない。

0020

本明細書で使用されるように、単数の用語は、文脈上他に明確に指示されない限り、複数の指示対象を含んでいてもよい。したがって、例えば、単一の層への言及は、文脈が明らかに他のことを指示しない限り、複数の層を含みうる。

0021

本明細書で使用されるように、用語「一組」は、1つ以上の構成要素の集合を指す。したがって、例えば、一組の層は、単一の層または複数の層を含みうる。一組の構成要素は、その組のメンバーと呼ぶこともできる。一組の構成要素は、同じものでも異なっていてもよい。場合によっては、一組の構成要素は、1つ以上の共通の特性を有していてもよい。

0022

本明細書で使用されるように、用語「隣接」は、近接していることまたは隣接していることを指す。隣接する構成要素は、互いに、間隔をあけて配置されていてもよいし、実質的に、または、直接的に、接触していてもよい。場合によって、隣接する構成要素は、互いに、接続していてもよいし、一体的に形成されていてもよい。いくつかの実施形態の説明において、一方の構成要素の上に供される他方の構成要素とは、当該一方の構成要素が、当該他方の構成要素の上に直接存在する(物理的に直接接する)場合も、それらの構成要素の間に、1つ以上の介在構成要素が配置される場合も、含まれる。いくつかの実施形態の説明において、一方の構成要素の下に供される他方の構成要素とは、当該一方の構成要素が、当該他方の構成要素の下に直接存在する(物理的に直接接する)場合も、それらの構成要素の間に、1つ以上の介在構成要素とが配置される場合も、含まれる。

0023

本明細書で使用されるように、用語「接続する」、「接続された」および「接続」は、操作可能な結合ないし連結を指す。接続された構成要素は、互いに、直接的に結合していてもよいし、他の構成要素を介在させるなどして、間接的に結合していてもよい。

0024

本明細書で使用されるように、用語「約」、「実質的に(ほぼ)」および「実質的な」は、考慮すべき程度または限度を指す。ある状況、たとえば、本明細書に記載される製造方法について典型的な許容誤差レベルを説明するような状況、に関連して用いられる際に、それらの用語は、その状況が誤差なしに実現した場合、または、だいたい近い範囲で実現した場合、を意味しうる。たとえば、数値に関連して用いられる際には、それらの用語は、その数値の±10%以下の変動範囲を含みうる。たとえば、±5%以下、±4%以下、±3%以下、±2%以下、±1%以下、±0.5%以下、±0.1%以下、または±0.05%以下を含んでいる。また、“実質的に(ほぼ)”透明とは、少なくとも70%以上の光透過率を意味しうる。たとえば、可視光領域の少なくとも一部または全体にわたって、少なくとも75%以上、80%以上、85%以上、または90%以上の光透過率を意味している。また、“実質的に(ほぼ)”平坦とは、同一平面上に並べられた、20μm以内の2つの表面を意味しうる。たとえば、同一平面上に並べられた、10μm以内または5μm以内の表面段差を意味している。また、“実質的に(ほぼ)”平行とは、0°に対して角度誤差±10°以内の範囲を意味し得る。たとえば、±5°、±4°、±3°、±2°、±1°、±0.5°、±0.1°、または±0.05°以内の範囲を意味している。また、“実質的に(ほぼ)”直交とは、90°に対して角度誤差±10°以内の範囲を意味しうる。たとえば、±5°、±4°、±3°、±2°、±1°、±0.5°、±0.1°、または±0.05°以内の範囲を意味している。

0025

本明細書でフォトルミネッセンスに関して使用されるように、用語「効率」または「量子効率」という用語は、入力光子数に対する出力光子数の比率を指す。

0026

本明細書で使用されるように、用語「サイズ(大きさ)」は、象徴的な寸法を指す。球状の物体(たとえば粒子)の場合、その物体のサイズは、その物体の直径を意味しうる。非球状物体の場合、その物体のサイズは、対応する球体の直径を意味しうる。ここで、対応する球体は、数組の導出可能で、計測可能な特徴であって、当該非球状物体とほぼ同じ特徴を有し示す。ある大きさを持つ一組の対象物を指すとき、それらの対象物は、その大きさを中心にある分布を持っていることが考慮される。したがって、本明細書で使用される、一組の対象物の大きさは、大きさ分布の典型的な値、たとえば平均値中央値最頻値を意味し得る。

0027

図1Aおよび図1Bは、本開示の一実施形態による発光装置1の模式図である。発光装置1は、フリップチップLED半導体素子10、フォトルミネッセント構造体20、および防湿反射構造体30、を含む。各構成要素の技術的内容は次の通りである。

0028

フリップチップLED半導体素子10(以下、LED半導体素子10と呼ぶ)は、一次光を提供するために用いられる。ここで、一次光とは、青色光や藍色光、紫色光、紫外光のような、より高いエネルギーレベルの光であり得る。たとえば、青色LED半導体素子では、LED半導体素子10により発生する一次光は、青色光である。半導体素子10は、素子上面101、素子下面102、素子端面103、および一組の電極104を含む。素子上面101および素子下面102は、互いにほぼ平行に、対向配置される。素子端面103は、素子上面101および素子下面102の間に、それらと接続して、設けられる。換言すれば、素子端面103は、素子上面101および素子下面102の縁に沿って設けられる。そのため、素子端面103は、素子上面101および素子下面102に対して環状(たとえば矩形リング)である。

0029

一組の電極104は、素子下面102に接してまたは近接して配置され、2以上の電極を有し得る。一組の電極104がそこに配置されているため、素子下面102は、電極面102とも呼ばれる。換言すれば、電極面102は、一組の電極104の下面を指すのではない。LED半導体素子10は、一組の電極104を通して供給される電気エネルギー(不図示)を変換して、一次光に対応する波長範囲の光(例えば、青色光)を発することができる。その光の多くは、素子上面101および素子端面103から出射される。

0030

一方、本開示のいくつかの実施形態において開示される発光装置1は、チップスケールパッケージ型の発光装置である。その技術的特徴の一つは、LED半導体素子10がフリップチップ半導体素子であり、プリント配線基板のようなアプリケーション基板直接実装される、ことにある。発光装置1は、リードフレームを含まないため、より低い熱抵抗を有する。したがって、駆動中に発生する熱は、一組の電極104を通して直接に放散され、そのため、発光装置1の他の構造体における熱の影響を減らすことができる。

0031

フォトルミネッセント(PL)構造体20は、LED半導体素子10が発した一次光に励起された後に、一次光の一部を吸収し、吸収された光をより低いエネルギーレベルの変換光(例えば、変換された赤色光および緑色光)として再放出する。そして、未変換の一次光の一部(青色光など)が、変換された赤色光および緑色光と混合されて、所望の色(例えば、白色光)の光を形成する。

0032

外見上、フォトルミネッセント構造体20(PL構造体20とも呼ぶ)は、PLトップ面201、PLボトム面202、およびPLサイド面203を含みうる。PLトップ面201およびPLボトム面202は、互いに向き合って対向配置され、PLサイド面203は、それらの間に、それらと接続して形成されている。換言すれば、PLサイド面203は、PLトップ面201およびPLボトム面202に対して、環状(たとえば矩形リング)である。

0033

幾何的に、PL構造体20は、LED半導体素子10上に配置される。PL構造体20のPLボトム面202は、LED半導体素子10の素子上面101に隣接している。PLボトム面202は、素子上面101に直接接し、覆ってもよいが、LED半導体素子10の素子端面103を覆わない。しかし、本開示によるいくつかの実施形態による発光装置1は、PLボトム面202がLED半導体素子の素子上面101から離間した構成も含む。つまり、他の構造体や材料(不図示)が、PL構造体20およびLED半導体素子10の間に配置されていてもよい。加えて、PLボトム面202が、素子上面101よりもわずかに大きくてもよいが、これに限定されることはない。

0034

構造的に、PL構造体20は、LED半導体素子10の素子上面101の法線方向に沿って順に積層する、第1フォトルミネッセント層21(以降、第1PL層21と呼ぶ)、光学的に透明な分離層22(以降、分離層22と呼ぶ)、第2フォトルミネッセント層23(以降、第2PL層23と呼ぶ)、および、光学的に透明な防湿層24(以降、防湿層24と呼ぶ)、を含む。つまり、第1PL層21がLED半導体素子10の素子上面101上に配置され、分離層22が第1PL層21上に配置され、第2PL層23が分離層22上に配置され、防湿層24が第2PL層23上に配置される。

0035

第1PL層21は、一次光により励起されると、低エネルギーレベルの光(たとえば波長変換赤色光)を発生する。また、第1ポリマーマトリクス材料211と、低励起エネルギーレベルの蛍光体材料(たとえば赤色蛍光体材料)212と、を含みうる。説明を簡単にするために、赤色蛍光体材料212および波長変換赤色光を例に挙げて、以降の技術的詳細を説明する。赤色蛍光体材料212は、第1ポリマーマトリクス材料211中に均一に分散・固定されうる。赤色蛍光体材料212は、高エネルギーレベルの一次光によって励起された後、一次光を部分的に赤色光に変換することができる。換言すれば、一次光が第1PL層21を透過した後、光の一部が赤色光に変換される。したがって、一部の未変換光の強度は減少する。この態様の技術内容は、図2Aを参照してさらに説明される。加えて、蛍光体材料(例えば、赤色蛍光体材料)212は、後述される量子ドット材料(例えば、緑色量子ドット材料232)よりも高い動作温度に耐えることができ、したがって、LED半導体素子10の近くにまたはLED半導体素子10と接触して配置されうる。

0036

赤色蛍光体材料212は、これに限られないが、波長変換赤色光を発生するフッ化物蛍光体材料または窒化物蛍光体材料を含みうる。フッ化物蛍光体材料は、たとえばKSF蛍光体材料を含み、(A)A2[MF6]:Mn4+,(B)E2[MF6]:Mn4+,(C)Ba0.65Zr0.35F2.70: Mn4+,(D)A3[ZrF7]:Mn4+,の少なくとも一つを含みうる。ここで、Aは、Li,Na,K,Rb,Cs,NH4,およびこれらの組み合わせからなる群から選択され、Mは、Ge,Si,Sn,Ti,Zr,およびこれらの組み合わせからなる群から選択され、Eは、Mg,Ca,Sr,Ba,Zn,およびこれらの組み合わせからなる群から選択される。他のフッ化物蛍光体材料は、たとえば、MGF蛍光体材料であり、(x−a)MgO・(a/2)Sc2O3・yMgF2・cCaF2・(1−b)GeO2・(b/2)Mt2O3:zMn4+の少なくとも一つを含みうる。ここで、2.0≦x≦4.0,0<y<1.5,0<z<0.05,0≦a<0.5,0<b<0.5,0≦c<1.5,y+c<1.5であり、Mtは、Al,Ga,Inからなる群から選択される少なくとも一つである。

0037

上述したフッ化物蛍光体材料により発生した波長変換光は、狭い半値全幅を有する。また、フッ化物蛍光体材料を励起する一次光の波長は、約500nmよりも短い。したがって、第1PL層21におけるフッ化物蛍光体材料は、第2PL層23により発生した波長変換緑色光により容易に励起されないであろう。第2PL層23から発生し、後方に散乱される波長変換緑色光は、第1PL層21におけるフッ化物蛍光体により外部に散乱されるであろうから、発光装置1全体の光取り出し効率は高められうる。この波長変換緑色光の散乱メカニズムの技術的内容は、図2Cを参照してさらに説明される。

0038

第1ポリマートリク材料211は、これに限られないが、シリコーン材料または他の樹脂材料を含みうる。第1PL層21は、熱源(LED半導体素子10)の近くに配置されるため、第1ポリマーマトリクス材料211は、より良好な耐熱性を有する。熱硬化性シリコーン材料は一般により良好な耐熱性を有する。熱硬化性シリコーン材料は、耐熱性に優れた白金触媒白金シリコーン)やスズ触媒スズ系シリコーン)を含んでいてよい。このため、発光装置1は、第1ポリマーマトリックス材料211として、白金ベースシリコーンゴムを含むことが望ましい。白金系シリコーンはシリコーン中に、加熱後にポリマー材料が速やかに硬化するのを助ける白金触媒を含む。しかしながら、白金触媒は、シリコーンの硬化反応阻害するいくつかの化学成分によって失活または被毒されやすい。反応阻害は、シリコーン材料が硬化しない、または部分的に硬化しない原因となる。白金触媒を失活または被毒させうる化学成分には、硫黄スルフィド類チオ化合物、錫、脂肪酸スズ塩リンホスフィンホスファイトヒ素アルシンアンチモンスチルベンセレンセレン化物テルルテルル化物アミンアミドエタノールアミンN−メチルエタノールアミントリエタノールアミンキレートEDTAエチレンジアミン四酢酸)、NTA(ニトリロ酢酸)、エタノールメタノール等が含まれる。このため、白金系シリコーンが第1ポリマーマトリクス材料211として使われるときは、白金触媒の失活または被毒が考慮されるべきである。

0039

第2PL層23は、一次光により励起された状況下において、第1PL層21によって生成された変換光よりも短い波長または高い周波数を有する高エネルギーレベルの変換光(例えば、波長変換緑色光)を生成することができる。また、第2ポリマーマトリクス材料231と、高励起エネルギーレベルの量子ドット材料232(たとえば緑色の量子ドット材料,以降、緑色QD材料232と略記する)と、を含みうる。説明を簡単にするために、緑色QD材料232および対応する波長変換緑色光を例に挙げて、以降の技術的詳細が説明される。緑色QD材料232は、第2ポリマーマトリックス材料231中に均一に分散・固定されうる。緑色QD材料232は、高エネルギーレベルの一次光によって励起された後、波長変換緑色光を生成することができる。緑色QD材料232は、これに限られないが、II−VI族およびIII−V族半導体材料の中で、緑色光を発生させることができる、セレン化カドミウムCdSe)、リン化インジウムInP)、硫化亜鉛(ZnS)、セレン化亜鉛(ZnSe)またはテルル化亜鉛(ZnTe)を含みうる。加えて、緑色QD材料232の量子ドット結晶構造は、典型的には、コアシェル構造を含む。QD材料232は、約1nm〜約100nmまたは約1nm〜約50nmの粒子サイズを有する粒子(例えば、ナノ結晶)を含みうる。

0040

一次光によって励起されたフッ化物蛍光体材料によって生成された波長変換赤色光は、FWHMが狭く、赤色量子ドット材料によって生成された、高純度の波長変換赤色光に相当する。したがって、広色域ディスプレイバックライトの応用において、発光装置1の一実施形態は、1.LED半導体素子10が青いLED半導体素子であり、2.第1PL層21が高純度の波長変換赤色光を発生することができる赤色フッ化物蛍光体材料を含み、3.第2PL層23が高純度の波長変換緑色光を発生することができる緑色量子ドット材料を含む、という構成を含む。

0041

第2ポリマーマトリクス材料231は、これに限られないが、シリコーン材料、または、良好な光透過性を有する、他の樹脂材料を含んでよい。量子ドット材料はより高温で酸化されやすいので、熱硬化性ポリマーバインダーマトリックス材料を使用することは望ましくない。したがって、第2ポリマーマトリクス材料231は、UV硬化性ポリマーバインダーマトリックス材料であり、硬化プロセスの間、常温UV光を照射されることが望ましい。UV硬化性ポリマーバインダーマトリクス材料は、熱硬化性ポリマーバインダーマトリックス材料のように高温で硬化させることなく、硬化させることができる。このように、第2ポリマーマトリクス材料231が硬化される際に、高温に曝されることを避けることにより、緑色QD材料232の性能は低減されないであろう。

0042

しかし、第2PL層23のバインダ材料として使用されるUV硬化性ポリマーマトリクス材料は、通常、白金触媒を失活させるか毒化する化学成分を含有しているため、熱硬化されるべきシリコーンは硬化させることができない。したがって、UV硬化性ポリマーマトリクス材料を含む第2ポリマーマトリクス材料231は、製造プロセス中、特に第1ポリマーマトリクス材料211が完全に硬化する前には、熱硬化性ポリマーバインダーマトリクス材料を含む第1ポリマーマトリクス材料211から隔てられるべきである。

0043

本実施形態では、分離層22は、第1および第2PL層21,23を分け隔てる。そして、白金触媒を失活させるかまたは被毒させうる第2ポリマーマトリクス材料231中の化学成分は、第1ポリマーマトリクス材料211への拡散・移動を妨げられる。このため、第1ポリマーマトリクス材料211は完全に熱硬化されうる。材料特性または硬化プロセスのために、第1および第2ポリマーマトリクス材料211,231が相互に妨害するという、両立困難性の問題を、分離層22が解決できることが理解されうる。具体的には、第1および第2PL層21,23を分離して、それらの接触を避けるために、分離層22が用いられる。そして、LED半導体素子10から発生する熱の、第2PL層23への影響を低減するために、第2PL層23はLED半導体素子10から遠ざけられうる。分離層22は、これに限られないが、透明な無機材料(石英またはガラスなど)または良好な光透過特性を有するポリマーマトリクス材料を含みうる。加えて、分離層22は、第1ポリマーマトリクス材料211に含まれる白金触媒を失活させるか被毒し得る化学成分を含まないことが望ましい。

0044

加えて、発光装置1の防湿層24は、第2PL層23の量子ドット材料を酸化から保護するために、水分または酸素の通過を阻止する働きをする。防湿層24は、これに限られないが、透明な無機材料(例えば、石英またはガラス)または良好な光透過特性を有するポリマーマトリクス材料を含みうる。ポリマーマトリクス材料が防湿層24の実施形態として使用される場合、それには低い水蒸気透過率(WVTR)特性が要求されるべきである。例えば、厚さが約1mmである場合、WVTRは約20g/(m2・日)または10g/(m2・日)以下である。分離層22も、厚さが約1mmである場合、例えば、約20g/(m2・日)または10g/(m2・日)以下の低WVTRの材料特性を有するように選択されてもよい。したがって、防湿層24および分離層22が、水分および酸素に敏感な緑色QD材料232を含む第2PL層23を間にはさむことで、外部環境の水分または酸素が第2PL層23内の緑色QD材料232に達することが妨げられ、第2PL層23の上方または下方に浸透することが妨げられる。

0045

防湿反射構造体30(以降、単に反射構造体30と呼ぶ)は、横方向に透過した光をPLトップ面201に向けて反射することができる。具体的には、反射構造体30は、PL構造体20のPLトップ面201を覆わないが、PL構造体20のPLサイド面203及びLED半導体素子10の素子端面103を覆う。このため、素子端面103およびPLサイド面203から放出される光が反射されうる。そのため、その反射光は、PL構造体20のPLトップ面201に向かって放射される。反射構造体30は、LED半導体素子10の素子下面102よりも低くなく、素子下面102及び一組の電極104を覆わない。反射構造体30の上部反射面301は、PL構造体20のPLトップ面201と実質的に同一平面であり得る。発光装置1は、チップスケールパッケージ型の発光装置であるため、プリント回路基板などのアプリケーション基板に直接積層されうる。このため、動作温度が低くなる。一組の電極104とアプリケーション基板のラミネートパッドとの間に適切な電気的接続がなされるように、反射構造体30の下部反射面302は、電極面102よりも低くない。好ましくは、反射構造体30の下部反射面302は、LED半導体素子10の電極面102と実質的に平坦であってよい。加えて、反射構造体30がLED半導体素子10の素子上面101を超えて延在するように、反射構造体30は、PL構造体20のPLボトム面202の一部を覆ってもよい。外部の湿気及び/又は酸素が第2PL層23に含まれる緑色QD材料232と接触しないように、湿気に敏感な量子ドット材料を含む第2PL層23は防湿層24と分離層22との間に挿入されているが、しかしそれでもなお、第2PL層23のPLサイド面を通して第2PL層23の内部に水分及び/又は酸素が浸透することができる。本発光装置1の反射構造体30の他の機能は、水分及び/又は酸素がPLサイド面から緑色QD材料232と接触しに入ってくる可能性を低減または回避するために、環境からの水分の侵入を妨げることにある。したがって、防湿層24、分離層22及び反射構造体30からの水分保護により、緑色QD材料232の酸化反応プロセスはさらに低減されうる。

0046

反射構造体30が上記の望ましい防湿特性を有するためには、第3ポリマーマトリクス材料31と、第3ポリマーマトリクス材料内に分散された光散乱粒子32と、を含みうることが望ましい。第3ポリマーマトリクス材料31は、低WVTR(たとえば、厚みが約1mmであるときに、約20g/(m2・日)以下または約10g/(m2・日)以下)を有するものから選択されうる。たとえば、水蒸気を透過しにくくするために、樹脂材料やシリコーン材料が含まれていてもよい。光散乱粒子32は、二酸化チタン(TiO2)、窒化ホウ素(BN)、二酸化ケイ素(SiO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、または他のセラミック材料を含みうる。反射構造体30における光散乱粒子の重量比は、良好な反射率を達成するため、約20%ないし30%以上である。さらに、光散乱粒子32の重量比をより高くすることにより、反射構造体30のWVTRは低減され、より良好な防湿特性が提供される。

0047

図2Aに示されるように、どのように第1PL層21が緑色QD材料232に放射される一次光の光強度を減少させることができるかというメカニズムがさらに示されている。具体的には、LED半導体素子10により出射された一次光が、初期光強度L0を有する青色光Bによって示されている。青色光Bが第1PL層21を透過すると、青色光の一部(例えば、第1の部分)が赤色光Rに変換される。波長変換されない青色光Bの他の部分(例えば、第2の部分)は、初期光強度L0未満の光強度L1を有する。青色光Bの残りの第2の部分は、緑色QD材料232を一部励起し、波長変換緑色光Gに変換される(例えば、第2の部分の一部が、波長変換緑色光Gに変換される)。したがって、PL構造体20のPLトップ面201(つまり、発光装置1の発光面)から出射される光は、最終的には、青色光B、波長変換赤色光Rおよび波長変換緑色光Gを含み、合成されて白色光を構成する。

0048

したがって、本開示のいくつかの実施形態に開示された発光装置1の緑色QD材料232は、青色光Bおよび波長変換赤色光Rにより照射される。波長変換赤色光Rのエネルギーレベルは緑色QD材料232を励起して波長変換緑色光Gを生成するには不十分であるため、波長変換赤色光Rに照射されても、緑色QD材料232は自由電子および正孔を生成しない。自由電子がQD材料232を電子活性化して光酸化を引き起こすので、波長変換赤色光Rに照射されても、緑色QD材料232は、光酸化反応プロセスの影響をあまり受けない。

0049

緑色QD材料232は、青色光Bの照射で、多量の自由電子を生成して、QD材料232の光酸化反応を引き起こすので、本開示のいくつかの実施形態に開示された発光装置1によれば、緑色QD材料232に照射する青色光Bの強度は大幅に低減されうる。具体的には、LED半導体素子10により発生した青色光Bの初期光強度をL0とする。説明を簡単にするため、青色光Bは、第1の部分と第2の部分とに分割される。第1PL層21を透過した後、青色光Bの第1の部分は、波長変換赤色光Rに変換され、第2の部分は、変換されないままである。青色光の初期強度L0は、青色光Bの第2の部分に対応する強度L1に減る。ここで、青色光の光強度L1は、緑色QD材料232が持ちこたえることができる光強度以下である。換言すれば、青色光Bを照射すると、光強度がL0からL1に減少する。こうして、緑色QD材料232は光酸化反応プロセスの活性化の影響を受けなくなるので、これによって緑色QD材料232により安定的な発光スペクトルおよび発光効率を持たせ、また、より長い寿命を持たせる。

0050

第1PL層21透過後に波長変換されず、緑色QD材料232が持ちこたえることができる青色光B(第2の部分)の光強度L1の閾値測定は、以下のようにして行うことができる。第2PL層23を配置する前に(または、第2PL層23を除去して)、LED半導体素子10が駆動されて、光強度L0の青色光Bを放出し、第1PL層21の上方から青色光Bの光強度が測定される。加えて、光強度L1の青色光Bを要求される寿命期間照射した際に、緑色QD材料232により波長変換された緑色光について、強度が大きく減衰しない場合(たとえば、20%以下または10%以下の強度減衰)、または、大きな波長シフトがない場合(たとえば、10nm以下または5nm以下のピーク波長シフト)には、青色光Bの光強度L1が、緑色QD材料232が持ちこたえることができる閾値強度以下であると結論付けられるであろう。

0051

緑色QD材料232は、その構造および材料組成に依拠して、光強度の異なる閾値を有していてもよい。例えば、ある緑色QD材料232は、約10W/cm2以下、約5W/cm2以下、または約2W/cm2以下の青色光の光強度に耐えることができる。技術の進歩によって、量子ドット材料の構造、組成および安定性は改善し続けるため、量子ドット材料が持ちこたえることができる光強度閾値の上限は、例えば約10W/cm2以上に増えるであろう。

0052

量子ドット材料を励起するために使用される入射光の閾値強度は、一般に、その製造業者または供給業者によって提供され、また、実験的にも測定可能である。例えば、異なる光強度の青色光B(または他の高エネルギーレベルの一次光)が緑色QD材料232に照射され、緑色QD材料232により生成された緑色光の強度の変化量、および、ピーク波長のシフト量が、一定時間にわたり測定される。波長変換された緑色光の強度が顕著に減衰するかどうか(たとえば、20%以下または10%以下の強度減衰)、または、ピーク波長が顕著にシフトするかどうか(たとえば約10nm以下または約5nm以下)を観察することによって、緑色QD材料232が特定の寿命動作の下で持ちこたえられる青色光Bの光強度が測定・決定されうる。

0053

図2Bは、発光装置1の一実施形態における発光スペクトルの測定結果を示す。この例示的な実施形態のLED半導体素子10は、約443nmのピーク波長を有する青色光Bを発することができる。約630nmのピーク波長を有する光を発するKSF蛍光体材料は、第1PL層21においてより低い励起準位の赤色蛍光体材料212として用いられる。また、約540nmのピーク波長を有する光を発するInP緑色量子ドット材料は、第2PL層23においてより高い励起準位の緑色QD材料232として用いられる。一次青色光の励起により、LED半導体素子10の近くに配置されるKSF蛍光体材料は、まずLED半導体素子10により発せられる青色光Bの一部を吸収し、狭いFWHMを有する波長変換赤色光Rを再放出する。青色光Bの波長変換されなかった一部および波長変換赤色光Rは、次に、第2PL層23に向かって伝搬する。そこで、未変換青色光Bが、一部、第2PL層23の緑色量子ドット材料232に吸収され、約39nmのFWHMを有する波長変換緑色光Gを再放出する。そのことは、図2Bの緑色スペクトルGとして示されている。図2Bに示される青色スペクトルBは、第2PL層23を通過した後の、未変換部分の青色光Bである。波長変換された赤色光Rのエネルギーレベルは、第2PL層23の緑色QD材料232を励起するのに十分ではない。赤色光Rの大部分は、発光装置1から外部に放出され、図2Bに示す赤色スペクトルRとして現れる。第1PL層21は青色光Bの一部、例えば約1/3以上を赤色光Rに変換するため、緑色量子ドット材料232に照射する青色光Bの光強度を、例えば約1/3以上、効果的に低減することができ、したがって、量子ドット材料に光酸化の影響を受けにくくさせ、より長い寿命を有させる。発光装置1は、高い色純度(狭いFWHM)をもつ赤色、緑色及び青色のスペクトルを有するため、広色域の液晶ディスプレイのバックライト光源としての用途に非常に適している。

0054

図2Cに示すように、波長変換緑色光Gの光取り出し効率を第1PL層21によって高めるメカニズムがさらに説明される。緑色QD材料232によって生成される、一部の波長変換緑色光G1は、PL構造体20の外側に向かって放射されるが、他の一部の波長変換緑色光G2は、LED半導体素子10に向かって後方散乱される。第1PL層21内の赤色蛍光体材料212が、約500nmよりも長い波長の光によって励起されない(すなわち、QD材料232による変換光が、蛍光体材料212の励起エネルギーレベルよりも低い)特定のタイプのフッ化物蛍光体材料から選択される場合、半導体素子10に向かって後方散乱された波長変換緑色光G2は赤色蛍光体212に吸収されない。すなわち、LED半導体素子10に向かって進行する波長変換緑色光G2は、赤色蛍光体材料212によって効果的に前方散乱されうる。そして、発光装置1から放出される。このため、波長変換緑色光G(G1,G2)の光取り出し効率が、効果的に高められうる。

0055

図1Cは、発光装置1の他の実施形態であり、第2PL層23は、第2ポリマーマトリクス材料231内に分散された光散乱粒子233をさらに含んでいてもよい。量子ドット材料232はナノスケールの粒子であるため、一次光は量子ドット材料232に遭遇することなく(または励起させずに)容易に透過することができる。この目的のために、光散乱粒子233は、第2PL層23において一次光を散乱させるために使用され、一次光が緑色QD材料232を励起する確率を高める。換言すれば、光散乱粒子233は、一次光が第2PL層23を通過するときの全光路光路長)を増加されうる。したがって、一次光が緑色光に変換される確率が高められる。加えて、第2PL層23に対する光散乱粒子233の重量比は、一次光の過剰な遮断を避けて適切な光透過率を得るため、20%以下、15%以下、10%以下であることが好ましい。

0056

他の実施形態において、LED半導体素子10は、藍色、紫色、または紫外のLED半導体素子であり、LED半導体素子10により出射される一次光は、藍色光、紫色光、または紫外光である。この実施形態において、第2PL層23は、より高い励起エネルギーレベルの、他の量子ドット材料234を含んでいてもよく、たとえば青色光出射材料または青色QD材料234をさらに含んでいてもよい。量子ドット材料234は、第2ポリマーマトリクス材料231、または、それとは異なる他のポリマーマトリクス材料(不図示)に分散されていてもよい。藍色光または紫外光は、青色QD材料234により青色光に波長変換されうる。このため、発光装置1により生じる光は、青色光ならびに波長変換された赤色光および緑色光などのスペクトルを含みうる。

0057

以上が、発光装置1の技術内容の説明である。次に、本開示の他の実施形態による技術内容が説明される。各実施形態の技術内容は相互に参照されるため、同様の技術的詳細は省略または簡略化される。加えて、各実施形態の技術内容は、互いに適用可能であり、それらについて組み合わせることができる。

0058

図3は、本開示の他の実施形態による発光装置2の模式図である。発光装置2のPL構造体20は、光学的に透明な熱拡散層25(以降、熱拡散層25と呼ぶ)をさらに含む。熱拡散層25は、第2PL層23に隣接し、第2PL層23と防湿層24との間、および/または、第2PL層23と分離層22との間に配置されうる。すなわち、第2PL層23のPLトップ面および/またはPLボトム面が、熱拡散層25により覆われうる。

0059

熱拡散層25は、防湿層24または分離層22の熱伝導率よりも大きい、良好な熱伝導性(低い熱抵抗)を有する。加えて、良好な光透過率をも有する。そのため、熱拡散層25は、これらに限定されないが、とりわけ、金属薄膜金属メッシュグリッド透明導電酸化物またはグラフェン等を含んでいてよい。透明導電酸化物は、たとえばインジウム錫酸化物(ITO)であってよい。ITOの光透過率は約90%よりも大きくでき、熱伝導率(約25℃で)は約10〜約12W/mKである。グラフェンについては、その熱伝導率は約5300W/mKまでであり得る。熱拡散層25は、光変換中に第2PL層23によって生成された熱エネルギーを、急速に外部に移動または分散されることを可能にし、さらに緑色QD材料232の動作温度を低下させる。これにより、緑色QD材料232の熱劣化を低減する。

0060

また、反射構造体30の熱伝導率が、防湿層24または分離層22の熱伝導率より小さくならないように、反射構造体30は、第3ポリマーマトリクス材料31に分散された熱伝導材料(不図示)を任意に含んでいてよい。これにより、第2PL層23の熱は、反射構造体30を通っても外部に伝熱放熱され、緑色QD材料232の高い動作温度の影響を低減する。熱伝導材料は、グラフェン、セラミック材料などを含みうる。セラミック材料は、窒化アルミニウム(約285W/mKの熱伝導率)またはアルミナであってもよい。また、熱伝導材料は、金属材料を含んでいてもよく、LED半導体素子10と接触しないようにすることが好ましい。例示的な実施形態として、金属熱伝導材料を含む反射構造体30は、図4Bに示され、後に詳しく説明される素子端面スペーサ構造体40を覆う。すわなち、反射構造体30は、LED半導体素子10の素子端面103を間接的に覆う。

0061

図4Aは、本開示の他の実施形態による発光装置3の模式図である。発光装置3のPL構造体20は、LED半導体素子10の素子上面101上に配置される、光学的に透明なスペーサ層26(以降、スペーサ層26と呼ぶ)をさらに含む。第1PL層21は、スペーサ層26上に順に配置され、LED半導体素子10に直接接していない。これにより、第2PL層23はより高温なLED半導体素子10から遠ざけられ、緑色QD材料232に対する、LED半導体素子10により生じる熱の影響を低減する。スペーサ層26は、これに限られないが、透明な無機材料(例えば、石英またはガラス)またはポリマーマトリクス材料(例えば、シリコーン)を含んでいてよい。スペーサ層26にポリマーマトリクス材料が指定されている場合、水分および酸素が発光装置3の内部に浸透する可能性を低減するために、当該材料は、低いWVTRを有することが望ましい。

0062

図4Bには、本開示の他の実施形態による発光装置3が示されている。発光装置3は、素子端面スペーサ構造体40をさらに含む。素子端面スペーサ構造体40は、ポリマーマトリクス材料(たとえば、シリコーン、エポキシゴム、または他の樹脂)を含んでいてよい。また、LED半導体素子10の素子端面103を覆い、そして反射構造体30に覆われていてもよい。より具体的には、素子端面スペーサ構造体40は、トップスペーサ面401および傾斜サイドスペーサ面402を含みうる。トップスペーサ面401は、LED半導体素子10の素子上面101と面をほぼ同一にする。また、傾斜サイドスペーサ面402は、LED半導体素子10の素子端面103に対して傾いている。さらに、傾斜サイドスペーサ面402は、窪んだ曲面であってもよいし(図4B)、平坦または膨らんだ曲面であってもよい(不図示)。さらに、傾斜サイドスペーサ面402は、反射構造体30に直接覆われているため、反射構造体30は、傾斜サイドスペーサ面402に接する内側傾斜面を有する。傾斜サイドスペーサ面402が反射構造体30に直接覆われる一方、LED半導体素子10の素子端面103は、反射構造体30に間接的に覆われる。

0063

加えて、チップスケールパッケージ型の発光装置は、リードフレームを省いてもよいため、本開示のいくつかの実施形態に開示される発光装置は、同じパッケージサイズでもより大きい発光面積を有することができる。つまり、PL構造体20の面積がより大きくなるよう要求されうる。このため、LED半導体素子10により発せられる青色光Bが、より広い面積のPL構造体20に照射されると、PL構造体20内の量子ドット材料に照射される単位面積当たりの青色光の強度が効果的に低減されうる。このため、量子ドット材料の光酸化反応プロセスがさらに低減されうる。素子端面スペーサ構造体40は、反射構造体30とともに作用して、LED半導体素子10の素子端面103から発せられた一次光をPL構造体20に効果的に反射するよう要求される。この結果、一次光がPL構造体20をより均一に励起し、よって、単位面積当たりの青色光強度は低減する。このため、量子ドット材料の光酸化現象が減少し、寿命が長くなる。反射構造体30と接続する素子端面スペーサ構造体40の技術的詳細は、さらに米国特許出願第15 / 877,329号(米国特許出願公開第2018/0212118号として公開)が参照されうる。当該文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。

0064

図5A図5Iを参照して、本発明の実施形態による発光装置の製造方法が説明される(その製造方法は、発光装置1〜3と同類の発光装置を作製するために用いられうる)。そのため、発光装置1〜3の技術的内容およびその製造方法の技術内容は、相互に参照・適用されうる。

0065

図5Aに示すように、まず、防湿層24´が、用意される、または、作製される。そして、第2PL層23´が、防湿層24´上に、スプレー法スピンコーティング法、またはプリント法により形成される。つまり、緑色QD材料232は、未硬化の第2ポリマーマトリクス材料231中に分散され、上記の方法により防湿層24´上に形成される。次に、第2ポリマーマトリクス材料231が硬化され、第2PL層23´を形成する。第2ポリマーマトリクス材料231が熱硬化性シリコーンである場合、硬化工程は、不活性ガス中か、または、真空環境で実施されるべきである。さらに、第2PL層23´は別途に作製され、そして、防湿層24´上に積層配置されてもよい。

0066

図5Bに示すように、分離層22´が、たとえばスプレー法、スピンコーティング法、またはプリント法により、第2PL層23´上に直接形成される。または、予め作製した分離層22´を第2PL層23´に積層する。図5Cに示すように、第1PL層21´が、たとえばスプレー法、スピンコーティング法、またはプリント法により、または、米国特許第9797041号に開示される装置および方法により、分離層22´上に直接形成される。あるいは、第1PL層21´が別途に形成された後に、分離層22´に積層配置される。

0067

このような作製手順を使って、発光装置1を製造するためのPL層構造体20´が作製されうる。さらに、図5Aに示される作製工程において、発光装置2の、まだつながっている複数のPL構造体20を作製するために、第2PL層23´の形成前後に、熱拡散層25´が任意に形成されうる。図5Dに示すように、発光装置3の、まだつながっている複数のPL構造体20を作製するために、スペーサ層26´が第1PL層21´上に任意に形成されうる。

0068

図5Eに示すように、PL層構造体20´が形成された後、複数のLED半導体素子10は、その素子上面101がPL層構造体20´のPLボトム面202を向くように(素子下面102が上方を向くように)、反転して配置される。そして、LED半導体素子10は、PL層構造体20´の最内層(スペーサ層26´または第1PL層21´)へ積層する。LED半導体素子10が積層された後、素子端面スペーサ構造体40が、第1PL層21´またはスペーサ層26´上に任意に形成される。素子端面スペーサ構造体40の具体的な作製方法は、米国特許出願第15/877,329号に見出すことができる。

0069

図5Fに示すように、複数のLED半導体素子10が積層された後、PL層構造体20´は切断され、それぞれLED半導体素子10が積層されたPL構造体20を形成する。以降、これを発光構造体と呼ぶ。図5Gに示すように、発光構造体がリリース膜900上に配列され、発光構造体アレイを形成する。この配列工程における発光構造体の向きについては、PL構造体20のPLトップ面201が下方を向いてリリース膜900上に配置されうるか(図5Gに示すように)、または、LED半導体素子10の素子下面102が下方を向いてリリース膜900上に配置され、一組の電極104がリリース膜900中に埋め込まれるか(図示せず)、のどちらかである。

0070

図5Hに示すように、反射材料が、リリース膜900上に配置され、発光構造体の間の空間に充填され、複数の反射構造体30を形成する。つまり、PL構造体20のPLサイド面203と、素子端面スペーサ構造体40の傾斜サイドスペーサ面402とは、反射材料で覆われ、反射構造体30を形成する。LED半導体素子10の素子端面103は、反射構造体30に間接的に覆われるが、LED半導体素子10の素子下面102は、反射構造体30に覆われていない。反射構造体30は、モールディング法またはディスペンサー法により形成されうる。反射構造体30が形成された後、いまだつながった複数の発光装置3(または類似の発光装置)が得られる。最終的には、図5Iに示されるように、切断工程が実施され、つながった発光装置3を個別化し、相互に分離された発光装置3を得る。なお、リリース膜900は、切断工程の前後に、発光装置3から除去されうる。

0071

図5Cまたは図5Dを参照すると、PL層構造体20´が作製された後、切断工程が直ちに実施され、PL層構造体20´を複数のPL構造体20に直接分離する。そして、PL構造体20とLED半導体素子10とが積層される。PL構造体20およびLED半導体素子10を覆う反射構造体30の形成後、発光装置3(または他の発光装置)の作製プロセスが完了する。

0072

図6A図6Dを参照すると、PL層構造体20´は、次の方法でも作製されうる。図6Aに示されるように、まず、防湿層24´が準備されるか作製されるかして、第2PL層23´が防湿層24´上に形成される。図6Bに示すように、分離層22´が追加的に準備されるか形成されるかして、第1PL層21´が分離層22´上に形成される。分離層22´および第1PL層21´の作製手順は、分離層22´および第1PL層21´が順に第2PL層23´上に形成される、図5Bに示される作製手順と同じではない。

0073

すなわち、防湿層24´と第2PL層23´との積層膜は、分離層22´と第1PL層21´との積層膜とは別に作製される。そのため、2つの積層膜の作製手順が、相互に干渉しない。たとえば、第1PL層21´の第1ポリマーマトリクス材料211が熱硬化性シリコーンである場合、第1PL層21´の作製における高温硬化工程は、第2PL層23´中の緑色QD材料232に影響を与えない。つまり、第1PL層21´の熱硬化工程は、緑色QD材料232の性能を低減しないだろう。

0074

図6Cに示すように、複数のLED半導体素子10が第1PL層21´上に積層される。そして、任意に、スペーサ層26´および/または素子端面スペーサ構造体40が第1PL層21´上に形成される。さらに、図6Dに示すように、分離層22´が第2PL層23´に積層され、図5Eに示すようなPL層構造体20´を作製する。その後に、図5F図5Iの作製工程は、相互に分離する複数の発光装置3または類似の発光装置を得るために、実施されうる。

0075

まとめると、本開示のいくつかの実施形態による発光装置の1つの技術的利点は、量子ドット材料の光酸化反応プロセスを効果的に低減することであり、また、外部の空気から水分および酸素が量子ドット材料に接触することを低減・回避することである。他の技術的利点は、量子ドット材料を拘束するために使用されるポリマーマトリクス材料と、蛍光体材料を拘束するために使用されるポリマーマトリクス材料との間の不適合性を効果的に解決することである。さらに、他の技術的利点は、量子ドット材料の動作温度を下げ、光取り出し効率を高めることによって、量子ドット材料の熱劣化現象を効果的に改善することである。本開示のいくつかの実施形態による発光装置の製造方法は、上述の有益な効果を有する発光装置の様々な実施形態を製造するために使用されうる。その際、作製工程中に量子ドット材料が高温になるのを防ぐことができる。

0076

上記開示について特定の実施形態を参照して説明してきたが、当業者であれば、添付の特許請求の範囲に規定する開示の真の趣旨および範囲から逸脱することなく、様々に変更が可能であり、均等物に置換可能であることは理解されよう。加えて、様々な改良を行って、本開示の目的、趣旨および範囲に対する特定の状況、材料、物の組成、方法、または工程に適合させてもよい。このような改良はいずれも、添付の特許請求の範囲内で行うことを意図する。詳細には、本明細書中に開示した方法について、特定の順序で行われる特定の動作を参照して述べてきたが、これらの動作を組み合わせたり、細分化したり、あるいは順序を入れ替えることにより、本開示の教示内容から逸脱することなく均等な方法を構成してもよいことを理解されたい。したがって、本明細書中に特に明記しない限り、動作の順序およびグループ分けは、本開示を限定するものではない。

0077

[付記]
[付記1]
一次光を供給するように構成される、フリップチップLED半導体素子と、
第1フォトルミネッセント層、透光性分離層、第2フォトルミネッセント層、および、透光性防湿層、を含むフォトルミネッセント構造体であって、
前記第1フォトルミネッセント層は、第1ポリマーマトリクス材料および該第1ポリマーマトリクス材料中に分散された、低励起エネルギーレベル蛍光体材料を含み、前記フリップチップLED半導体素子の素子上面上に配置され、
前記透光性分離層は、前記第1フォトルミネッセント層上に配置され、
前記第2フォトルミネッセント層は、第2ポリマーマトリクス材料および該第2ポリマーマトリクス材料中に分散された、高励起エネルギーレベル量子ドット材料を含み、前記透光性分離層上に配置され、
前記透光性防湿層は、前記第2フォトルミネッセント層上に配置される、
フォトルミネッセント構造体と、
前記フォトルミネッセント構造体のフォトルミネッセントサイド面および前記フリップチップLED半導体素子の素子端面を覆い、前記フリップチップLED半導体素子の下部電極面を覆わない防湿反射構造体と、を含み、
前記第1フォトルミネッセント層の前記低励起エネルギーレベル蛍光体材料は、前記一次光の一部を、より低いエネルギーレベルの可視光に変換するように構成される、
発光装置。

0078

[付記2]
前記一次光の未変換部分の強度は、前記高励起エネルギーレベル量子ドット材料が持ちこたえうる光強度以下であり、
前記一次光は青色光、藍色光、紫色光、または、紫外光であり、
前記低励起エネルギーレベル蛍光体材料は、赤色蛍光体材料を含み、
前記高励起エネルギーレベル量子ドット材料は、緑色量子ドット材料を含む、
付記1に記載の発光装置。

0079

[付記3]
前記緑色量子ドット材料は、10W/cm2以下の前記一次光の光強度に持ちこたえることができる、
付記2に記載の発光装置。

0080

[付記4]
前記フォトルミネッセント構造体は、さらに、前記第2フォトルミネッセント層に隣接して配置される透光性熱拡散層を含み、該透光性熱拡散層の熱伝導率は、前記透光性防湿層または前記透光性分離層の熱伝導率よりも大きい、
付記2に記載の発光装置。

0081

[付記5]
前記透光性熱拡散層は、金属薄膜、金属メッシュグリッド、透明導電酸化物またはグラフェンを含む、
付記4に記載の発光装置。

0082

[付記6]
前記フォトルミネッセント構造体は、さらに、透光性スペーサ層を含み、前記第1フォトルミネッセント層は、前記透光性スペーサ層上に配置される、
付記2〜5いずれか1項に記載の発光装置。

0083

[付記7]
前記フリップチップLED半導体素子の素子端面を覆う素子端面スペーサ構造体をさらに含み、
前記素子端面スペーサ構造体は、前記フリップチップLED半導体素子の素子端面に対して傾く傾斜サイドスペーサ面を含み、前記防湿反射構造体に覆われる、
付記2〜5いずれか1項に記載の発光装置。

0084

[付記8]
前記第1ポリマーマトリクス材料は、熱硬化性であり、
前記第2ポリマーマトリクス材料は、紫外線硬化性である、
付記2〜5いずれか1項に記載の発光装置。

0085

[付記9]
前記透光性分離層または前記透光性防湿層の少なくとも一つは、透光性無機材料を含む、
付記2〜5いずれか1項に記載の発光装置。

0086

[付記10]
前記透光性分離層または前記透光性防湿層の少なくとも一つは、1mmの厚さで、20g/(m2・日)以下の水蒸気透過率を有するポリマーマトリクス材料を含む、
付記2〜5いずれか1項に記載の発光装置。

0087

[付記11]
前記防湿反射構造体は、第3ポリマーマトリクス材料、および、該第3ポリマーマトリクス材料内に分散される光散乱粒子、を含む、
付記2〜5いずれか1項に記載の発光装置。

0088

[付記12]
前記第3ポリマーマトリクス材料は、1mmの厚さで、20g/(m2・日)以下の水蒸気透過率を有する、
付記11に記載の発光装置。

0089

[付記13]
前記防湿反射構造体は、前記透光性分離層または前記透光性防湿層の熱伝導率以上の熱伝導率を有する、
付記2〜5いずれか1項に記載の発光装置。

0090

[付記14]
前記第2フォトルミネッセント層は、さらに、光散乱粒子を含み、該光散乱粒子は、前記第2ポリマーマトリクス材料中に分散されている、
付記2〜5いずれか1項に記載の発光装置。

0091

[付記15]
前記赤色蛍光体材料は、フッ化物蛍光体材料または窒化物蛍光体材料を含む、
付記2〜5いずれか1項に記載の発光装置。

0092

[付記16]
前記フッ化物蛍光体材料は、(A)A2[MF6]:Mn4+,(B)E2[MF6]:Mn4+,(C)Ba0.65Zr0.35F2.70: Mn4+,(D)A3[ZrF7]:Mn4+,の少なくとも一つを含み、Aは、Li,Na,K,Rb,Cs,NH4,およびこれらの組み合わせからなる群から選択され、Mは、Ge,Si,Sn,Ti,Zr,およびこれらの組み合わせからなる群から選択され、Eは、Mg,Ca,Sr,Ba,Zn,およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、
付記15に記載の発光装置。

0093

[付記17]
前記フッ化物蛍光体材料は、(x−a)MgO・(a/2)Sc2O3・yMgF2・cCaF2・(1−b)GeO2・(b/2)Mt2O3:zMn4+を含み、2.0≦x≦4.0,0<y<1.5,0<z<0.05,0≦a<0.5,0<b<0.5,0≦c<1.5,y+c<1.5であり、Mtは、Al,Ga,Inからなる群から選択される、
付記15に記載の発光装置。

0094

[付記18]
前記第2フォトルミネッセント層は、さらに、青色量子ドット材料を含む、
付記2〜5いずれか1項に記載の発光装置。

0095

[付記19]
フリップチップLED半導体素子をフォトルミネッセント構造体に積層する工程と、
防湿反射構造体を、前記フォトルミネッセント構造体のフォトルミネッセントサイド面および前記フリップチップLED半導体素子の素子端面を覆うように、形成する工程と、
を含み、
前記フォトルミネッセント構造体は、第1フォトルミネッセント層、透光性分離層、第2フォトルミネッセント層、および、透光性防湿層、を含み、
前記第1フォトルミネッセント層は、第1ポリマーマトリクス材料、および、該第1ポリマーマトリクス材料内に分散される低励起エネルギーレベル蛍光体材料、を含み、前記フリップチップLED半導体素子の素子端面を覆うように配置され、
前記透光性分離層は、前記第1フォトルミネッセント層上に配置され、
前記第2フォトルミネッセント層は、第2ポリマーマトリクス材料、および、該第2ポリマーマトリクス材料内に分散される高励起エネルギーレベル量子ドット材料を含み、前記透光性分離層上に配置され、
前記透光性防湿層は、前記第2フォトルミネッセント層上に配置され、
前記防湿反射構造体は、前記フォトルミネッセント構造体のフォトルミネッセントサイド面、および、前記フリップチップLED半導体素子の素子端面を覆い、前記フリップチップLED半導体素子の下部電極面を覆わず、
前記フリップチップLED半導体素子は、一次光を供給するように構成され、該一次光は青色光、藍色光、紫色光、または紫外光であり、前記第1フォトルミネッセント層の前記低励起エネルギーレベル蛍光体材料は、該一次光の一部を低エネルギーレベルの可視光に変換するように構成され、該一次光の未変換部の強度が、前記高励起エネルギーレベル量子ドット材料が持ちこたえることができる光強度以下である、
発光装置の製造方法。

0096

[付記20]
前記フォトルミネッセント構造体を形成する工程をさらに含み、
該フォトルミネッセント構造体を形成する工程は、
前記透光性防湿層を準備する工程、
前記透光性防湿層上に前記第2フォトルミネッセント層を形成する工程、
前記第2フォトルミネッセント層上に前記透光性分離層を形成する工程、および、
前記透光性分離層上に前記第1フォトルミネッセント層を形成する工程、
を含む、
付記19に記載の発光装置の製造方法。

0097

[付記21]
前記フォトルミネッセント構造体を形成する工程をさらに含み、
該フォトルミネッセント構造体を形成する工程は、
前記透光性防湿層を準備し、該透光性防湿層上に前記第2フォトルミネッセント層を形成する工程、
前記透光性分離層を準備し、該透光性分離層上に前記第1フォトルミネッセント層を形成する工程、および、
前記第2フォトルミネッセント層を前記透光性分離層に積層する工程、
を含む、
付記19に記載の発光装置の製造方法。

0098

[付記22]
前記フォトルミネッセント構造体は、さらに、前記第2フォトルミネッセント層に隣接する透光性熱拡散層を含み、
前記透光性熱拡散層は、前記透光性分離層または前記透光性防湿層の熱伝導率よりも大きい熱伝導率を有する、
付記19に記載の発光装置の製造方法。

0099

[付記23]
前記フォトルミネッセント構造体は、さらに、前記第1フォトルミネッセント層上に形成された透光性スペーサ層を含み、
前記透光性スペーサ層は、前記フリップチップLED半導体素子の素子上面に対向し、覆う、
付記19〜22いずれか1項に記載の発光装置の製造方法。

0100

[付記24]
前記第1フォトルミネッセント層上に素子端面スペーサ構造体を形成し、前記フリップチップLED半導体素子の素子端面を覆う工程をさらに含み、
前記素子端面スペーサ構造体は、前記フリップチップLED半導体素子の素子端面に対して傾く傾斜サイドスペーサ面を含み、
前記防湿反射構造体を形成する際に、該防湿反射構造体は、前記素子端面スペーサ構造体の前記傾斜サイドスペーサ面を覆う、
付記19〜22いずれか1項に記載の発光装置の製造方法。

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