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技術 ソフトコンタクトレンズ保存用溶液

出願人 日油株式会社
発明者 櫻井俊輔川崎寛子宮本幸治
出願日 2017年9月25日 (3年3ヶ月経過) 出願番号 2017-183277
公開日 2019年4月18日 (1年8ヶ月経過) 公開番号 2019-060917
状態 未査定
技術分野 メガネ 付加系(共)重合体、後処理、化学変成
主要キーワード シリコーン素材 物理架橋ゲル pH測定 カチオン性基含有単量体 ホスホリルコリン構造 PC単量体 カラーコンタクトレンズ マイクロサンプル
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重要な関連分野

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課題

外部からの衝撃等によりソフトコンタクトレンズ保存容器張り付いてしまう問題、及びソフトコンタクトレンズが折れ曲がり、端部同士が接着してしまうという問題を抑制することができるソフトコンタクトレンズ保存用溶液を提供する。

解決手段

所定の一般式で表される構成単位を有し、重量平均分子量10,000〜5,000,000である共重合体(P)、緩衝剤、及び水を含み、前記共重合体(P)の濃度が0.001〜5.0w/v%であるソフトコンタクトレンズ保存用溶液であり、前記ソフトコンタクトレンズが、2−ヒドロキシエチルメタクリレートを構成単位として有する重合体で構成され、酸素透過率(Dk)5〜25、含水率10〜50質量%であるソフトコンタクトレンズ保存用溶液。

概要

背景

市販のソフトコンタクトレンズは、(1)酸素透過性が高く、含水率が低い疎水タイプのソフトコンタクトレンズと、(2)酸素透過性が前記(1)と比べてやや低いものの、含水率が高い親水タイプのソフトコンタクトレンズとの2種類に大別される。これらのうち、前記(2)はソフトコンタクトレンズ自体が柔らかく装用感に優れることから、特に視力矯正コンタクトレンズカラーコンタクトレンズ等に好適に用いられている。

ソフトコンタクトレンズは、通常、保存用溶液と共にプラスティック製等の保存容器封入されて市場流通しているが、ソフトコンタクトレンズが保存容器に張り付きやすいという問題がある。そして、この問題はソフトコンタクトレンズと保存容器とが疎水性の材料であることが原因であるとされており(特許文献1)、この問題を解決するために、前記(1)のソフトコンタクトレンズの原料となるシリコーン素材親水性に改良する等の技術が提案されている(特許文献2)。

一方、前記(2)のソフトコンタクトレンズは、原料として2−ヒドロキシエチルメタクリレート(2−HEMA)を用いることにより親水性が付与されているため、前記(1)のソフトコンタクトレンズよりも前述の「張り付き」に関する問題が生じにくいものの、改善が必要とされている。更に、ソフトコンタクトレンズ自体が柔らかいため、輸送中や開封時等に加わる強い衝撃や無理な力によってソフトコンタクトレンズが折れ曲がり、端部同士が接着してしまうという問題や、変形や破れを引き起こすという問題もあった。
これらの問題を解決する方法としては、保存容器を改良する技術が提案されているが(特許文献3及び4)、保存容器が複雑な構造になり製造技術面やコスト面から製造が難しいという問題があった。一方で、ソフトコンタクトレンズやソフトコンタクトレンズ保存用溶液を改良することにより、これらの問題を解決する技術が提案されている(特許文献1)。

概要

外部からの衝撃等によりソフトコンタクトレンズが保存容器に張り付いてしまう問題、及びソフトコンタクトレンズが折れ曲がり、端部同士が接着してしまうという問題を抑制することができるソフトコンタクトレンズ保存用溶液を提供する。所定の一般式で表される構成単位を有し、重量平均分子量10,000〜5,000,000である共重合体(P)、緩衝剤、及び水を含み、前記共重合体(P)の濃度が0.001〜5.0w/v%であるソフトコンタクトレンズ保存用溶液であり、前記ソフトコンタクトレンズが、2−ヒドロキシエチルメタクリレートを構成単位として有する重合体で構成され、酸素透過率(Dk)5〜25、含水率10〜50質量%であるソフトコンタクトレンズ保存用溶液。なし

目的

特表2007−512554号公報
特開2011−152410号公報
特表2009−510524号公報
特表2009−510523号公報






特許文献1に提案されている技術によれば、ソフトコンタクトレンズの製造、保存及び流通時に生じる外部からの衝撃等によりソフトコンタクトレンズが保存容器に張り付いてしまうという問題や、ソフトコンタクトレンズが折れ曲がり、端部同士が接着してしまうという問題等をある程度抑制することができるものの、その効果は十分ではなく、改善が望まれていた

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

下記一般式(1a)及び(1b)で表される構成単位を有し、重量平均分子量10,000〜5,000,000である共重合体(P)、緩衝剤、及び水を含み、前記共重合体(P)の濃度が0.001〜5.0w/v%であるソフトコンタクトレンズ保存用溶液であり、前記ソフトコンタクトレンズが、2−ヒドロキシエチルメタクリレートを構成単位として有する重合体で構成され、酸素透過率(Dk)5〜25、含水率10〜50質量%であるソフトコンタクトレンズ保存用溶液。(前記一般式(1a)及び(1b)中、R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、R3は炭素数3〜18の炭化水素基を表す。共重合体(P)における前記構成単位(1a)は10〜90モル%であり、構成単位(1b)は90〜10モル%である。)

請求項2

前記ソフトコンタクトレンズが、カラーソフトコンタクトレンズである、請求項1に記載のソフトコンタクトレンズ保存用溶液。

技術分野

0001

本発明は特定の構造を有する共重合体を含むソフトコンタクトレンズ保存用溶液に関する。

背景技術

0002

市販のソフトコンタクトレンズは、(1)酸素透過性が高く、含水率が低い疎水タイプのソフトコンタクトレンズと、(2)酸素透過性が前記(1)と比べてやや低いものの、含水率が高い親水タイプのソフトコンタクトレンズとの2種類に大別される。これらのうち、前記(2)はソフトコンタクトレンズ自体が柔らかく装用感に優れることから、特に視力矯正コンタクトレンズカラーコンタクトレンズ等に好適に用いられている。

0003

ソフトコンタクトレンズは、通常、保存用溶液と共にプラスティック製等の保存容器封入されて市場流通しているが、ソフトコンタクトレンズが保存容器に張り付きやすいという問題がある。そして、この問題はソフトコンタクトレンズと保存容器とが疎水性の材料であることが原因であるとされており(特許文献1)、この問題を解決するために、前記(1)のソフトコンタクトレンズの原料となるシリコーン素材親水性に改良する等の技術が提案されている(特許文献2)。

0004

一方、前記(2)のソフトコンタクトレンズは、原料として2−ヒドロキシエチルメタクリレート(2−HEMA)を用いることにより親水性が付与されているため、前記(1)のソフトコンタクトレンズよりも前述の「張り付き」に関する問題が生じにくいものの、改善が必要とされている。更に、ソフトコンタクトレンズ自体が柔らかいため、輸送中や開封時等に加わる強い衝撃や無理な力によってソフトコンタクトレンズが折れ曲がり、端部同士が接着してしまうという問題や、変形や破れを引き起こすという問題もあった。
これらの問題を解決する方法としては、保存容器を改良する技術が提案されているが(特許文献3及び4)、保存容器が複雑な構造になり製造技術面やコスト面から製造が難しいという問題があった。一方で、ソフトコンタクトレンズやソフトコンタクトレンズ保存用溶液を改良することにより、これらの問題を解決する技術が提案されている(特許文献1)。

先行技術

0005

特表2007−512554号公報
特開2011−152410号公報
特表2009−510524号公報
特表2009−510523号公報

発明が解決しようとする課題

0006

特許文献1に提案されている技術によれば、ソフトコンタクトレンズの製造、保存及び流通時に生じる外部からの衝撃等によりソフトコンタクトレンズが保存容器に張り付いてしまうという問題や、ソフトコンタクトレンズが折れ曲がり、端部同士が接着してしまうという問題等をある程度抑制することができるものの、その効果は十分ではなく、改善が望まれていた。

0007

本発明は、前記従来の問題を鑑みてなされたものであって、外部からの衝撃等によりソフトコンタクトレンズが保存容器に張り付いてしまう問題、及びソフトコンタクトレンズが折れ曲がり、端部同士が接着してしまうという問題を抑制することができるソフトコンタクトレンズ保存用溶液を提供する。

課題を解決するための手段

0008

本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、2種の異なる構成単位特定割合で有し、且つ特定の重量平均分子量である共重合体、緩衝剤、及び水を含むソフトコンタクトレンズ保存用溶液であれば、特定のソフトコンタクトレンズにおいて、前記保存容器への「張り付き」の問題等を抑制できることを見出し、本発明を完成させた。

0009

すなわち、本発明のソフトコンタクトレンズ保存用溶液は次の通りである。
[1]下記一般式(1a)及び(1b)で表される構成単位を有し、重量平均分子量10,000〜5,000,000である共重合体(P)、緩衝剤、及び水を含み、前記共重合体(P)の濃度が0.001〜5.0w/v%であるソフトコンタクトレンズ保存用溶液であり、前記ソフトコンタクトレンズが、2−ヒドロキシエチルメタクリレートを構成単位として有する重合体で構成され、酸素透過率(Dk)5〜25、含水率10〜50質量%であるソフトコンタクトレンズ保存用溶液。

0010

(前記一般式(1a)及び(1b)中、R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、R3は炭素数3〜18の炭化水素基を表す。共重合体(P)における前記構成単位(1a)は10〜90モル%であり、構成単位(1b)は90〜10モル%である。)

0011

[2]前記ソフトコンタクトレンズが、カラーソフトコンタクトレンズである、前記[1]に記載のソフトコンタクトレンズ保存用溶液。

発明の効果

0012

本発明によれば、外部からの衝撃等によりソフトコンタクトレンズが保存容器に張り付いてしまう問題、及びソフトコンタクトレンズが折れ曲がり、端部同士が接着してしまうという問題を抑制することができるソフトコンタクトレンズ保存用溶液を提供することができる。

0013

本発明のソフトコンタクトレンズ保存用溶液は、下記一般式(1a)及び(1b)で表される構成単位を有し、重量平均分子量10,000〜5,000,000である共重合体(P)、緩衝剤、及び水を含み、前記共重合体(P)の濃度が0.001〜5.0w/v%であるソフトコンタクトレンズ保存用溶液であり、前記ソフトコンタクトレンズが、2−ヒドロキシエチルメタクリレートを構成単位として有する重合体で構成され、酸素透過率(Dk)5〜25、含水率10〜50質量%であるソフトコンタクトレンズ保存用溶液である。

0014

(前記一般式(1a)及び(1b)中、R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、R3は炭素数3〜18の炭化水素基を表す。共重合体(P)における前記構成単位(1a)は10〜90モル%であり、構成単位(1b)は90〜10モル%である。)

0015

以下、本発明の構成について説明する。
なお、本明細書において、「(メタアクリレート」とは、「アクリレート又はメタクリレート」を意味し、他の類似用語についても同様である。
また、本明細書において、好ましい数値範囲(例えば、濃度や重量平均分子量の範囲)を段階的に記載した場合、各下限値及び上限値は、それぞれ独立して組み合わせることができる。例えば、「好ましくは10以上、より好ましくは20以上、そして、好ましくは100以下、より好ましくは90以下」という記載において、「好ましい下限値:10」と「より好ましい上限値:90」とを組み合わせて、「10以上90以下」とすることができる。また、例えば、「好ましくは10〜100、より好ましくは20〜90」という記載においても、同様に「10〜90」とすることができる。

0016

<共重合体(P)>
本発明のソフトコンタクトレンズ保存用溶液に用いられる共重合体(P)は、下記一般式(1a)及び(1b)で表される構成単位を有し、重量平均分子量10,000〜5,000,000である共重合体である。

0017

(前記一般式(1a)及び(1b)中、R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、R3は炭素数3〜18の炭化水素基を表す。共重合体(P)における前記構成単位(1a)は10〜90モル%であり、構成単位(1b)は90〜10モル%である。)

0018

〔一般式(1a)で表される構成単位〕
本発明で用いられる共重合体(P)は、下記一般式(1a)で表される構成単位、すなわち、ホスホリルコリン構造を有する構成単位(以下、「PC構成単位」ともいう。)を有する。共重合体(P)がPC構成単位を有することにより、共重合体(P)に親水性が付与され、ソフトコンタクトレンズの保存容器への張り付きや、ソフトコンタクトレンズの端部同士の接着等を抑制することができる。

0019

(一般式(1a)中、R1は水素原子又はメチル基を示す。)

0020

前記PC構成単位を有する共重合体(P)は、例えば、下記一般式(1a’)で表されるホスホリルコリン基含有単量体(以下、「PC単量体」ともいう)を共重合することにより得ることができる。

0021

(一般式(1a’)中、R1は一般式(1a)中のR1と同義である。)

0022

PC単量体は、入手容易性の観点から、好ましくは2−((メタ)アクリロイルオキシエチル2−(トリメチルアンモニオ)エチルホスファートであり、更に好ましくは下記一般式(1a’’)で表される2−(メタクリロイルオキシ)エチル2−(トリメチルアンモニオ)エチルホスファート(以下、「2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン」ともいう)である。

0023

0024

PC単量体は公知の方法で製造することができる。例えば、特開昭54−63025号公報に示される方法、すなわち、水酸基含有重合性単量体と2−ブロムエチルホスホリルジクロリドとを3級塩基存在下で反応させ、これにより得られた化合物と3級アミンとを反応させる方法が挙げられる。また、特開昭58−154591号公報等に示される方法、すなわち、水酸基含有重合性単量体と環状リン化合物との反応で環状化合物を得た後、3級アミンで開環反応させる方法等が挙げられる。

0025

共重合体(P)中のPC構成単位の含有量は、10〜90モル%である。含有量が10モル%未満であると、ソフトコンタクトレンズの保存容器への張り付きや、ソフトコンタクトレンズの端部同士の接着等の抑制効果が期待できず、含有量が90モル%より多いと、PC構成単位が有する親水性により共重合体(P)のコンタクトレンズ表面への吸着が望めなくなる。
前述の観点から、共重合体(P)中のPC構成単位の含有量は、好ましくは20モル%以上、より好ましくは25モル%以上、更に好ましくは35モル%以上、より更に好ましくは45モル%以上、より更に好ましくは55モル%以上、より更に好ましくは65モル%以上であり、そして、好ましくは85モル%以下、より好ましくは80モル%以下である。

0026

〔一般式(1b)で表される構成単位〕
本発明で用いられる共重合体(P)は、下記一般式(1b)で表される構成単位(以下、「疎水性構成単位」ともいう。)を有する。共重合体(P)が疎水性構成単位を有することにより共重合体へ親油性を付与することができ、共重合体(P)のソフトコンタクトレンズへの吸着性を向上させることができると共に、疎水性相互作用による物理架橋ゲル形成能を高め、ソフトコンタクトレンズと保存容器等との張り付きを抑制する効果を向上させることができる。

0027

(一般式(1b)中、R2は水素原子又はメチル基であり、R3は炭素数3〜18の炭化水素基である。)

0028

一般式(1b)中のR2は水素原子又はメチル基のいずれでもよいが、好ましくはメチル基である。R3は炭素数3〜18の炭化水素基であり、直鎖状であっても分岐鎖状のいずれでもよいが直鎖状であることが好ましい。

0029

炭素数3〜18の直鎖状の炭化水素基としては、各種ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種ヘプチル基、各種オクチル基、各種ノニル基、各種デシル基、各種ウンデシル基、各種ドデシル基、各種トリデシル基、各種テトラデシル基、各種ペンタデシル基、各種ヘキサデシル基、各種ヘプタデシル基、及び各種オクタデシル基が挙げられる。
なお、「各種」とは、n−、sec−、tert−、iso−を含む各種異性体を意味する。

0030

R3はこれらの中でも、ソフトコンタクトレンズの保存容器への張り付きや、ソフトコンタクトレンズの端部同士の接着等を抑制する効果を向上させる観点から、好ましくは炭素数4〜12の炭化水素基であり、より好ましくは炭素数4〜8の炭化水素基であり、具体的には、好ましくはn−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、t−ブチル基、イソブチル基イソペンチル基、t−ペンチル基、ネオペンチル基、イソヘキシル基、イソヘプチル基、及びイソオクチル基である。
また、共重合体(P)の親水性及び親油性のバランスを考慮すると、好ましくはn−ブチル基、n−ドデシル基、及びn−オクタデシルであり、より好ましくはn−ブチル基である。

0031

疎水性構成単位は、下記式(1b’)で表される疎水性単量体を共重合することにより得ることができる。

0032

(一般式(1b’)中のR2及びR3は、それぞれ一般式(1b)中のそれらと同義である。)

0033

一般式(1b’)で表される疎水性単量体の具体例としては、n−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−ヘプチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート〔すなわち、ラウリル(メタ)アクリレート〕、及びn−オクタデシル(メタ)アクリレート〔すなわち、ステアリル(メタ)アクリレート〕等の直鎖アルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
一般式(1b’)で表される疎水性単量体は、これらの中でも、ソフトコンタクトレンズの保存容器への張り付きや、ソフトコンタクトレンズの端部同士の接着を抑制する効果を向上させる観点から、好ましくはn−ブチル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、及びn−オクタデシル(メタ)アクリレートであり、より好ましくはn−ブチル(メタ)アクリレートである。

0034

共重合体(P)中の疎水性構成単位の含有量は、10〜90モル%である。含有量が10モル%未満であると共重合体(P)の親油性が乏しくなり、親水性及び親油性のバランスが損なわれ、共重合体(P)のソフトコンタクトレンズへの密着性が低下し、コンタクトレンズ保存用容器に対するソフトコンタクトレンズの接着抑制効果が望めなくなるおそれがある。一方、含有量が90モル%より多いと水への溶解性が低下し、本発明のコンタクトレンズ保存用溶液を調製することが困難になるおそれがある。
前述の観点から、共重合体(P)中の疎水性構成単位の含有量は、好ましくは15モル%以上、より好ましくは20モル%以上であり、そして、好ましくは80モル%以下、より好ましくは75モル%以下、更に好ましくは65モル%以下、より更に好ましくは55モル%以下、より更に好ましくは45モル%以下、より更に好ましくは35モル%以下である。

0035

前述の通り、本発明に用いる共重合体(P)は構成単位(1b)を有するため、共重合体(P)の親油性を向上させることができ、これにより、親水性及び親油性をバランスよく備えることから、コンタクトレンズ保存用容器に対するソフトコンタクトレンズの接着抑制効果が向上する。

0036

本発明に用いる共重合体(P)における各構成単位の好ましい組み合わせは、例えば、構成単位(1a)として、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン由来する構成単位、構成単位(1b)として、ブチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位であり、また、構成単位(1a)として、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、構成単位(1b)として、ステアリル(メタ)アクリレートに由来する構成単位である。
共重合体(P)における各構成単位を前記組み合わせとすると、ソフトコンタクトレンズの保存容器への張り付きや、ソフトコンタクトレンズの端部同士の接着を抑制する効果を向上させることができる。また、更に涙液油層安定化効果も得ることができる。

0037

本発明において用いる共重合体(P)は、PC構成単位、及び疎水性構成単位を少なくとも有していればよく、例えば、複数種のPC構成単位を含んでいてもよい。また、同様に、複数種の疎水性構成単位を含んでいてもよい。

0038

〔その他の構成単位〕
共重合体(P)は、本発明の効果を損なわない範囲において、前記PC構成単位、及び疎水性構成単位以外のその他の構成単位を含んでいてもよいが、前記PC構成単位及び疎水性構成単位のみからなることが好ましい。
前記その他の構成単位は、例えば、前記以外の直鎖又は分岐鎖のアルキル(メタ)アクリレート、環状アルキル(メタ)アクリレート、芳香族基含有(メタ)アクリレート、スチレン系単量体ビニルエーテル単量体ビニルエステル単量体、親水性の水酸基含有(メタ)アクリレート、酸基含有単量体窒素含有基含有単量体、アミノ基含有単量体、及びカチオン性基含有単量体から選ばれる重合性単量体が挙げられる。

0039

直鎖又は分岐鎖のアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、及びエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
環状アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
芳香族基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、及びフェノキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
スチレン系単量体としては、例えば、スチレンメチルスチレン、及びクロロメチルスチレン等が挙げられる。
ビニルエーテル単量体としては、例えば、メチルビニルエーテル、及びブチルビニルエーテル等が挙げられる。
ビニルエステル単量体としては、例えば、酢酸ビニル、及びプロピオン酸ビニル等が挙げられる。

0040

親水性の水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、及び4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
酸基含有単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、及びスチレンスルホン酸(メタ)アクリロイルオキシホスホン酸等が挙げられる。
窒素含有基含有単量体としては、例えば、N−ビニルピロリドン等が挙げられる。

0041

アミノ基含有単量体としては、例えば、アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノ(メタ)アクリレート、及びN,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
カチオン性基含有単量体としては、例えば、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド等が挙げられる。

0042

共重合体(P)がその他の構成単位を含有する場合、PC構成単位(1a)の数とその他の構成単位(1x)の数との比率[(1a)/(1x)]は、PC構成単位を100として、好ましくは100/50以下である。

0043

〔共重合体(P)の重量平均分子量〕
共重合体(P)の重量平均分子量は10,000〜5,000,000であり、好ましくは20,000以上、より好ましくは30,000以上、更に好ましくは50,000以上、より更に好ましくは400,000以上であり、そして、好ましくは4,000,000以下、より好ましくは3,000,000以下、更に好ましくは2,500,000以下、より更に好ましくは2,000,000以下、より更に好ましくは1,500,000以下、より更に好ましくは1,000,000以下である。
重量平均分子量が10,000未満であると親油性が低下し、共重合体(P)のソフトコンタクトレンズ表面への吸着力が十分でなく、ソフトコンタクトレンズと保存容器等との張り付き抑制効果を見込めないおそれがある。重量平均分子量が5,000,000を超える場合は、粘度が増大して取扱いが困難となるおそれがある。

0044

共重合体(P)の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定による値をいう。具体的には、溶離液としてクロロホルムジメチルホルムアミドテトラヒドロフランメタノール及びこれらの溶媒を組み合わせた液のいずれかを用いて測定したポリエチレングリコール換算分子量をいう。

0045

〔共重合体(P)の製造方法〕
共重合体(P)は、例えば、国際公開第2013/128633号、特開平11−035605号公報、及び特開2004−196868号公報に記載されている方法に従って前記単量体の共重合を行うことにより調製することができ、通常はランダム共重合体であるが、各構成単位が規則的に配列された交互共重合体ブロック共重合体であってもよく、一部にグラフト構造を有してもよい。
具体的には、例えば、前記各単量体の混合物を、ラジカル重合開始剤の存在下、窒素二酸化炭素アルゴン、及びヘリウム等の不活性ガス雰囲気下においてラジカル重合することにより共重合体(P)を得ることができる。

0046

ラジカル重合方法は、塊状重合懸濁重合乳化重合溶液重合等の公知の方法により行うことができる。ラジカル重合方法は、精製等の観点から溶液重合が好ましい。共重合体(P)の精製は、再沈殿法透析法限外濾過法等の公知の精製方法により行うことができる。

0047

ラジカル重合開始剤としては、アゾ系ラジカル重合開始剤有機過酸化物、及び過硫酸化物等を挙げることができる。
アゾ系ラジカル重合開始剤としては、例えば、2,2−アゾビス(2−ジアミノプロピル)二塩酸塩、2,2−アゾビス(2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イルプロパン)二塩酸塩、4,4−アゾビス(4−シア吉草酸)、2,2−アゾビスイソブチルアミド二水和物、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、及び2,2−アゾビスイソブチロニトリルAIBN)が挙げられる。

0048

有機過酸化物としては、例えば、t−ブチルペルオキシネオデカネート、過酸化ベンゾイルジイソプロピルペルオキシジカーボネート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシピバレート、t-ブチルペルオキシジイソブチレート過酸化ラウロイル、t−ブチルペルオキシデカネート、及びコハク酸ペルオキシド(=サクシニルペルオキシド)等が挙げられる。
過硫酸化物としては、例えば、過硫酸アンモニウム過硫酸カリウム、及び過硫酸ナトリウム等が挙げられる。
これらのラジカル重合開始剤は、単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。

0049

重合開始剤の使用量は、各単量体の合計100質量部に対して通常0.001〜10質量部、好ましくは0.02〜1.0質量部、より更に好ましくは0.03〜1.0質量部である。

0050

共重合体(P)の合成は、溶媒の存在下で行うことができる。溶媒としては、各単量体組成物を溶解し、反応に悪影響を及ぼさないものであれば特に制限はなく、例えば、水、アルコール系溶媒ケトン系溶媒エステル系溶媒、直鎖又は環状のエーテル系溶媒、及び含窒素系溶媒を挙げることができる。

0051

アルコール系溶媒としては、例えば、メタノール、エタノールn−プロパノール、及びイソプロパノール等が挙げられる。
ケトン系溶媒としては、例えば、アセトンメチルエチルケトン、及びジエチルケトン等が挙げられる。
エステル系溶媒としては、例えば、酢酸エチル等が挙げられる。
直鎖又は環状のエーテル系溶媒としては、例えば、エチルセルソルブ、及びテトラヒドロフラン等が挙げられる。
含窒素系溶媒としては、例えば、アセトニトリルニトロメタン、及びN−メチルピロリドン等が挙げられる。
これらの溶媒の中でも、水及びアルコール混合溶媒が好ましい。

0052

〔共重合体(P)の濃度〕
本発明のソフトコンタクトレンズ保存用溶液は、共重合体(P)の濃度が0.001w/v%以上であり、好ましくは0.002w/v%以上、より好ましくは0.003w/v%以上、更に好ましくは0.005w/v%以上であり、そして、5.0w/v%以下であり、好ましくは3.0w/v%以下、より好ましくは1.0w/v%以下、更に好ましくは0.5w/v%以下である。共重合体(P)の濃度が0.001w/v%未満であると、十分な表面親水性及び表面潤滑性改善効果が得られず、ソフトコンタクトレンズの保存容器への張り付きや、ソフトコンタクトレンズの端部同士の接着を抑制できない。5.0w/v%を超えると、配合量に見合った効果が得られないために経済的に不利である。

0053

なお、本発明において、「w/v%」は、100mlの溶液中のある成分の質量をグラム(g)で表したものである。例えば、「本発明の溶液が1.0w/v%の共重合体(P)を含有する」とは、100mlの溶液が1.0gの共重合体(P)を含有していることを意味する。

0054

〔溶媒〕
本発明のソフトコンタクトレンズ保存用溶液は溶媒として水を用いるものであるが、水の他、エタノール、n−プロパノール、及びイソプロパノール等のアルコールを用いることができる。

0055

本発明のソフトコンタクトレンズ保存用溶液に用いる水は、通常、医薬品や医療機器の製造に用いられる水を用いることができる。具体的には、イオン交換水精製水滅菌精製水蒸留水、及び注射用水等を用いることができる。

0056

〔緩衝剤〕
本発明のソフトコンタクトレンズ保存用溶液は、緩衝剤を含むものである。本発明のソフトコンタクトレンズ保存用溶液が緩衝剤を含むことにより、ソフトコンタクトレンズの保存容器への張り付きや、ソフトコンタクトレンズの端部同士の接着等の抑制効果が向上し、また、pH及び浸透圧を調整することができるため、ソフトコンタクトレンズ装着時の刺激感を低減させ、装用感を向上させることもできる。
本発明においては前記効果を得る観点から、リン酸緩衝液、及びホウ酸緩衝液から選ばれる1種以上を緩衝剤として用いることが好ましい。

0057

本明細書においてリン酸緩衝液とは、リン酸水素二ナトリウムリン酸二水素ナトリウム無水リン酸二水素ナトリウムリン酸二水素カリウムリン酸水素二カリウム塩酸水酸化ナトリウム水酸化カリウムからなる緩衝液であり、ホウ酸緩衝液とは、ホウ酸ホウ砂、塩酸、水酸化ナトリウム、及び水酸化カリウムからなる緩衝液である。

0058

本発明のソフトコンタクトレンズ保存用溶液中の緩衝剤の濃度は、好ましくは0.0001〜15.0w/v%、より好ましくは0.001〜10.0w/v%、更に好ましくは0.01〜5.0w/v%である。

0059

特に緩衝剤としてリン酸緩衝液及びホウ酸緩衝液から選ばれる1種以上を用いる場合、その濃度は、リン酸緩衝液及びホウ酸緩衝液の成分の合計として、好ましくは0.001〜10.0w/v%、より好ましくは0.01〜5.0w/v%、更に好ましくは0.1〜4.0w/v%である。

0060

〔その他の成分〕
本発明のソフトコンタクトレンズ保存用溶液は、共重合体(P)、緩衝剤、及び水以外に更に必要に応じて添加剤を含有してもよい。
添加剤としては、従来のソフトコンタクトレンズ用途等に使用されているものを挙げることができ、例えば、ビタミン類アミノ酸類、糖類、清涼化剤無機塩類有機酸塩、酸、塩基酸化防止剤安定化剤、及び防腐剤等が挙げられる。

0061

ビタミン類としては、例えば、フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウムシアノコバラミン酢酸レチノールパルミチン酸レチノール塩酸ピリドキシンパンテノールパントテン酸ナトリウム、及びパントテン酸カルシウム等が挙げられる。
アミノ酸類としては、例えば、アスパラギン酸及びその塩、アミノエチルスルホン酸等が挙げられる。
糖類としては、例えば、ブドウ糖マンニトールソルビトールキシリトール、及びトレハロース等が挙げられる。
清涼化剤としては、例えば、メントール、及びカンフル等が挙げられる。
無機塩類としては、例えば、塩化ナトリウム、及び塩化カリウム等が挙げられる。
有機酸塩としては、例えば、クエン酸ナトリウム等が挙げられる。
酸としては、例えば、リン酸クエン酸硫酸、及び酢酸等が挙げられる。
塩基としては、例えば、トリスヒドロキシメチルアミノメタン、及びモノエタノールアミン等が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、酢酸トコフェロール、及びジブチルヒドロキシトルエン等が挙げられる。
安定化剤としては、例えば、エデト酸ナトリウム、及びグリシン等が挙げられる。
防腐剤としては、例えば、塩化ベンザルコニウムクロルヘキシジングルコン酸塩ソルビン酸カリウム、及び塩酸ポリヘキサニド等が挙げられる。
更に、ソフトコンタクトレンズに対して潤いを与え装用感を向上させる観点から、ポリエチレングリコール、アルギン酸ナトリウムヒドロキシプロピルメチルセルロース等を用いてもよい。

0062

これらのその他の成分の中でも、ソフトコンタクトレンズ保存用溶液の浸透圧を好適な範囲に調整する観点から、無機塩類である塩化ナトリウム又は塩化カリウムを添加することが好ましい。なお、無機塩類は緩衝剤と共に生理食塩液として用いることが好ましい。

0063

本発明のソフトコンタクトレンズ保存用溶液がその他の成分を含有する場合、その濃度は好ましくは0.001〜3.0w/v%、より好ましくは0.01〜2.0w/v%である。
特に本発明のソフトコンタクトレンズ保存用溶液が塩化ナトリウムを含有する場合、その濃度は好ましくは0.01〜1.5w/v%、より好ましくは0.05〜1.3w/v%、更に好ましくは0.1〜1.0w/v%である。
一方、本発明のソフトコンタクトレンズ保存用溶液が塩化カリウムを含有する場合、その濃度は好ましくは0.01〜1.5w/v%、より好ましくは0.02〜1.4w/v%、更に好ましくは0.03〜1.3w/v%である。

0064

〔ソフトコンタクトレンズ保存用溶液の製造方法〕
本発明のソフトコンタクトレンズ保存用溶液は、共重合体(P)、緩衝剤、水、及び必要に応じてその他の成分を混合して攪拌する、一般的なコンタクトレンズ保存用溶液の製造方法により製造することができる。なお、得られたソフトコンタクトレンズ保存用溶液は必要に応じて無菌ろ過等の操作を行ってもよい。

0065

〔ソフトコンタクトレンズ保存用溶液のpH〕
本発明のソフトコンタクトレンズ保存用溶液のpHは、ソフトコンタクトレンズ装着時の刺激感を低減させ、装用感を向上させる観点から、好ましくは3〜9、より好ましくは3〜8、更に好ましくは4〜8、より更に好ましくは4〜7.4である。
なお、本明細書におけるソフトコンタクトレンズ保存用溶液のpHは、第16改正日本薬局方一般試験法 2.54pH測定法に従って測定した値をいう。

0066

〔ソフトコンタクトレンズ保存用溶液の浸透圧、及び浸透圧比
本発明のソフトコンタクトレンズ保存用溶液の浸透圧は、ソフトコンタクトレンズ装着時の刺激感を低減させ、装用感を向上させる観点から、好ましくは200〜400mOsm、より好ましくは210〜350mOsm、更に好ましくは220〜340mOsmであり、浸透圧比は好ましくは0.7〜1.4、より好ましくは0.8〜1.3、更に好ましくは0.8〜1.2である。
なお、本明細書におけるソフトコンタクトレンズ保存用溶液の浸透圧は、第16改正日本薬局方一般試験法 2.47浸透圧測定法オスモル濃度測定法)に従って測定した値をいい、浸透圧比は得られた浸透圧の値を0.9質量%生理食塩水の浸透圧の値(285mOsm)で除した値を指す。

0067

<ソフトコンタクトレンズ>
本発明においてはソフトコンタクトレンズとして、2−ヒドロキシエチルメタクリレートを構成単位として有する重合体で構成され、酸素透過率(Dk)が5〜25、含水率が10〜50質量%である、ソフトコンタクトレンズを用いる。このようなソフトコンタクトレンズであれば、本発明のソフトコンタクトレンズ保存用溶液により、保存容器との張り付きやソフトコンタクトレンズの端部同士の接着を効果的に抑制することができる。

0068

〔ソフトコンタクトレンズの構成成分〕
本発明においては、2−ヒドロキシエチルメタクリレートを構成単位として有する重合体で構成されるソフトコンタクトレンズを用いる。ソフトコンタクトレンズの構成成分として少なくとも2−ヒドロキシエチルメタクリレートを構成単位として含むものであれば、保存容器との張り付きやソフトコンタクトレンズの端部同士の接着を効果的に抑制することができる。
本発明に用いるソフトコンタクトレンズは、2−ヒドロキシエチルメタクリレートの単独重合体からなるものであってもよいが、2−ヒドロキシエチルメタクリレートとそれ以外の単量体との共重合体からなるものであってもよい。

0069

ソフトコンタクトレンズ中の2−ヒドロキシエチルメタクリレートの含有量に特に制限はないが、好ましくは0.1〜99.9質量%、より好ましくは1〜99質量%である。

0070

〔ソフトコンタクトレンズの酸素透過率(Dk)〕
本発明に用いるソフトコンタクトレンズの酸素透過率(Dk)は、5〜25であり、好ましくは6〜10、より好ましくは7〜10である。
なお、本発明のソフトコンタクトレンズ保存用溶液に用いるソフトコンタクトレンズの酸素透過率は、ISO18369−4に記載の測定方法によって計測、算出することができる。

0071

〔ソフトコンタクトレンズの含水率〕
本発明に用いるソフトコンタクトレンズの含水率は、10〜50質量%であり、好ましくは15〜45質量%、より好ましくは20〜45質量%である。
なお、本発明に用いるソフトコンタクトレンズの含水率は、ISO18369−4に記載の測定方法によって計測、算出することができる。

0072

本発明のソフトコンタクトレンズ保存用溶液に用いるソフトコンタクトレンズは、2−ヒドロキシエチルメタクリレートを構成単位として有する重合体で構成され、酸素透過率(Dk)が5〜25、含水率が10〜50質量%であるものであれば特に制限はないが、例えば、polymacon A(Dk:9、含水率:38質量%、2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、polyhema(Dk:9、含水率:38質量%、2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、teflicon A(Dk:9、含水率:38質量%、2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、bufilcon A(Dk:16、含水率:45質量%、2−ヒドロキシエチルメタクリレート・ジアセトンアクリルアミドメタクリル酸)等が挙げられる。
これらの中でも、ソフトコンタクトレンズのソフトコンタクトレンズ保存容器への吸着を抑制する観点から、polymacon Aを好適に用いることができる。

0073

更に本発明のソフトコンタクトレンズ保存用溶液は、ソフトコンタクトレンズ中の色素の有無によって効果が変化しないため、色素を含有するソフトコンタクトレンズに対しても好適に用いることができる。
具体的には、ハイドロゲルソフトコンタクトレンズ、シリコーンハイドロゲルソフトコンタクトレンズ、及びカラーソフトコンタクトレンズを挙げることができ、中でもハイドロゲルソフトコンタクトレンズ、及びカラーソフトコンタクトレンズに用いることが好ましい。

0074

本発明のソフトコンタクトレンズ保存用溶液は、いずれの種類のソフトコンタクトレンズ保存容器に対しても用いることができる。特に、ポリエチレンテレフタレート製容器ポリプロピレン製容器ポリエチレン製容器ポリスチレン製容器ガラス製容器へ用いることが好ましく、中でもポリプロピレン製容器、ガラス製容器へ用いることが特に好ましい。

0075

以下、実施例及び比較例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
<共重合体(P)>
共重合体(P)として以下に示す共重合体(1)〜(2)を用いた。

0076

共重合体(1)
PC単量体として2−(メタクリロイルオキシ)エチル2−(トリメチルアンモニオ)エチルホスファート(別名:2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン)、疎水性単量体として、ブチルメタクリレートを用い、特開平11−035605号公報の実施例に記載の方法にしたがって、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・ブチルメタクリレート共重合体を得た。
構成単位の比率(モル比)[(1a)/(1b)]=80/20
重量平均分子量:600,000

0077

共重合体(2)
PC単量体として2−(メタクリロイルオキシ)エチル2−(トリメチルアンモニオ)エチルホスファート(別名:2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン)、疎水性単量体として、ブチルメタクリレートを用い、特開2004−196868号公報の実施例に記載の方法にしたがって、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・ブチルメタクリレート共重合体を得た。
構成単位の比率(モル比)[(1a)/(1b)]=30/70
重量平均分子量:142,000

0078

なお、本実施例において共重合体(P)の重量平均分子量は、得られた各共重合体5mgをメタノール/クロロホルム混液(80/20)に溶かして試料溶液とし、以下の分析条件で測定した。
カラムPLgel−mixed−C
標準物質:ポリエチレングリコール
検出器示差屈折計RI−8020(東ソー(株)製)
重量平均分子量の算出法:分子量計プログラム(SC−8020用GCPプログラム)
流量:毎分1mL
注入量:100μL
カラムオーブン:40℃付近の一定温度

0079

<比較用重合体>
共重合体(P)の比較用重合体として以下に示す重合体(A)及び(B)を用いた。
〔重合体(A)〕
特開平8−333421号公報の実施例に記載されている方法によって得られた2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン単独重合体(重量平均分子量200,000)

0080

〔重合体(B)〕
市販のブチルメタクリレート単独重合体(シグマアルドリッチジャパンポリ(ブチルメタクリラート)(製品名)、重量平均分子量800,000)

0081

<比較用成分>
〔ポリエチレングリコール〕
日油株式会社、日本薬局方マクロゴール4000
アルギン酸
和光純薬工業株式会社、アルギン酸ナトリウム
〔ヒドロキシプロピルメチルセルロース〕
信越化学工業株式会社、日本薬局方ヒプロメロース60SH−50

0082

<緩衝剤、及び水>
〔緩衝剤及び水を含有するISO生理食塩液〕
本発明のソフトコンタクトレンズ保存用溶液を構成する緩衝剤及び水として、以下のISO生理食塩液を調製した。
(ISO生理食塩液の調製)
ISO18369−3:2006,Ophthalmic Optics−Contact Lenses Part3:Measurement Methods.に従い、ISO生理食塩液を調製した。
具体的には、8.3gの塩化ナトリウム、5.993gのリン酸水素ナトリウム十二水和物、0.528gのリン酸二水素ナトリウム二水和物を水に溶かして全量を1000mLとし、ろ過することによりISO生理食塩液を得た。

0083

〔塩化ナトリウム〕
大塚製薬株式会社製
〔塩化カリウム〕
日医工株式会社製
〔ホウ酸〕
和光純薬工業株式会社製
〔ホウ砂〕
和光純薬工業株式会社製
〔水酸化ナトリウム〕
和光純薬工業株式会社製
〔リン酸二水素ナトリウム二水和物〕
和光純薬工業株式会社製
〔リン酸水素二ナトリウム十二水和物〕
和光純薬工業株式会社製
〔水〕
イオン交換水

0084

<ソフトコンタクトレンズ保存容器>
PP:TPP社コニカルチューブ材質ポリプロピレン
ガラスマルエムクリーンバイアル、材質:ガラス

0085

<ソフトコンタクトレンズの前処理>
以下の手順に従い、ソフトコンタクトレンズの前処理を行った。なお、ソフトコンタクトレンズとしては、製品名:LILMOON(polymacon A、カラーコンタクトレンズ、Dk:9、含水率:38質量%、構成モノマー:2−ヒドロキシエチルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート)を用いた。
(1)15mL遠沈管にISO生理食塩液10mL以上入れ、更にソフトコンタクトレンズを容器から1枚取り出し該遠沈管に入れた後、2時間振とうした。
(2)遠沈管内のISO生理食塩液を取り除き、再度、ISO生理食塩液10mLを入れ、終夜振とうした。

0086

<実施例1>
約80gのISO生理食塩液に0.1gの共重合体(1)を加えて攪拌し、溶解させた。これに全量が100mLとなるようにISO生理食塩液を加えることにより、ソフトコンタクトレンズ保存用溶液を調製した。
次いで、ポリプロピレン製のソフトコンタクトレンズ保存容器へこのソフトコンタクトレンズ保存用溶液を1mL入れ、前記前処理を行ったソフトコンタクトレンズを1枚入れ、2時間浸漬した。この後、ソフトコンタクトレンズ保存用溶液のみを取り除き、新たにソフトコンタクトレンズ保存用溶液を1mL入れ、オートクレーブによる滅菌(121℃、20分間)を行った。
オートクレーブによる滅菌を行った後のソフトコンタクトレンズについて、以下の条件に従って保存容器への張り付き性、折れ曲がり時の接着性について評価を行った。結果を表1に示す。
なお、用いたソフトコンタクトレンズ保存用溶液の外観性状、及び保存容器の材質をあわせて表1に示す。

0087

<実施例2〜6及び比較例1〜10>
表1〜3に示す配合にしたがったこと以外は実施例1と同様に、実施例2〜6及び比較例1〜10のソフトコンタクトレンズ保存用溶液をそれぞれ調製した。
これらのソフトコンタクトレンズ保存用溶液を表1〜3に記載の材質のソフトコンタクトレンズ保存用容器へ1mL入れ、実施例1と同様の処理を行った後、各評価を行った。結果を表1〜3に示す。

0088

<評価>
〔ソフトコンタクトレンズ保存容器への張り付き性評価
ソフトコンタクトレンズの製造時や輸送時において、外部から強い衝撃が加わることを想定して、ソフトコンタクトレンズ保存容器への張り付き性を以下の条件で評価した。

0089

まず、ソフトコンタクトレンズ保存容器へ、ソフトコンタクトレンズ、各実施例又は各比較例のソフトコンタクトレンズ保存用溶液を入れ、フタをした後、10回激しく攪拌した。その後、フタを開け、ソフトコンタクトレンズの状態を観察し、下記基準にしたがって評価した。
本評価では、B評価以上を合格とした。
A:ソフトコンタクトレンズがソフトコンタクトレンズ保存容器へ張り付いていなかった。
B:ソフトコンタクトレンズがソフトコンタクトレンズ保存容器へ張り付いていたものの、振り混ぜることで容易に剥すことができた。
C:ソフトコンタクトレンズがソフトコンタクトレンズ保存容器へ張り付いており、ピンセット等を用いないと剥がすことができなかった。
D:ソフトコンタクトレンズがソフトコンタクトレンズ保存容器へ張り付いており、ピンセット等を用いても剥すことができず、無理に剥がそうとするとソフトコンタクトレンズが破損した。

0090

〔ソフトコンタクトレンズ折れ曲がり時の接着性評価
本評価においても前記張り付き性評価と同様に、ソフトコンタクトレンズの製造時や輸送時において、外部から強い衝撃が加わることを想定して、以下の条件で評価した。

0091

まず、ソフトコンタクトレンズ保存容器へ、ソフトコンタクトレンズ、各実施例又は各比較例のソフトコンタクトレンズ保存用溶液を入れた。次いで、ソフトコンタクトレンズを取り出した後、ソフトコンタクトレンズを半分に折り曲げ強制的に接着させた後、ソフトコンタクトレンズの接着部分の剥がれやすさを以下の基準にしたがって評価した。
本評価においては、B評価以上を合格とした。

0092

A:ソフトコンタクトレンズの接着部分をピンセットを用いて剥そうとしたとき、ソフトコンタクトレンズを傷つけることなく、容易に剥すことができた。
B:ソフトコンタクトレンズの接着部分をピンセットを用いて剥そうとしたとき、ソフトコンタクトレンズを傷つけることなく、剥すことができた。
C:ソフトコンタクトレンズの接着部分をピンセットを用いて剥そうとしたとき、ソフトコンタクトレンズが一部破損した。
D:ソフトコンタクトレンズの接着部分をピンセットを用いて剥そうとしたとき、ソフトコンタクトレンズが破損し、剥すことができなかった。

0093

0094

0095

0096

<実施例7〜13>
表4に示す種類及び量を使用したこと以外は実施例1と同様に、実施例7〜13のソフトコンタクトレンズ保存用溶液をそれぞれ調製した。これらのソフトコンタクトレンズ保存用溶液を表4に記載の材質のソフトコンタクトレンズ保存用容器へ1mL入れ、実施例1と同様の操作を行った後、各評価を行った。結果を表4に示す。
なお、pH、浸透圧、及び浸透圧比については下記の通り測定した。

0097

<pHの測定方法>
各実施例及び比較例のソフトコンタクトレンズ保存用溶液のpHは、第16改正日本薬局方一般試験法 2.54pH測定法に従い、pH測定計(D−51型、(株)堀場製作所製)を用いて測定した。

0098

<浸透圧の測定方法>
各実施例及び比較例のソフトコンタクトレンズ保存用溶液の浸透圧は、第16改正日本薬局方一般試験法 2.47浸透圧測定法(オスモル濃度測定法)に従い行った。具体的には、氷点測定法によるオズモメーター(Fiske Model 210マイクロサンプル・オズモメーター、Advanced Instruments、inc製)を用いて測定した。

0099

<浸透圧比>
浸透圧比は、前述の方法により得られた浸透圧の値を0.9質量%生理食塩水の浸透圧の値(285mOsm)で除すことにより算出した。

0100

実施例

0101

表1〜4の結果から明らかなように、本発明のソフトコンタクトレンズ保存用溶液によれば、ポリプロピレンやガラスで構成されたコンタクトレンズ保存容器においてコンタクトレンズの張り付きを抑制することができ、また、ソフトコンタクトレンズが折れ曲がってもソフトコンタクトレンズ同士の接着を抑制することができる。

0102

本発明のソフトコンタクトレンズ保存用溶液は、ソフトコンタクトレンズの保存用容器への張り付きを抑制できる。更に、ソフトコンタクトレンズの折れ曲がりと接着を抑制できることから、ソフトコンタクトレンズとしての品質を良好に保つことができる。

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