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技術 目的細胞の検出方法

出願人 東ソー株式会社
発明者 後藤俊樹森本篤史
出願日 2018年8月24日 (1年2ヶ月経過) 出願番号 2018-157681
公開日 2019年4月18日 (7ヶ月経過) 公開番号 2019-060856
状態 未査定
技術分野 生物学的材料の調査,分析
主要キーワード 遠心分離操作後 電気反応 比重差分離 形状崩壊 ホルムアルデヒドドナー ホルムアルデヒド供与体 フィルター法 三塩化酢酸
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2019年4月18日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (3)

課題

試料中に含まれる目的細胞および夾雑細胞を正確に標識することで、当該目的細胞を高精度に検出する方法を提供すること。

解決手段

試料中に含まれる目的細胞および夾雑細胞を85%(v/v)から98%(v/v)のエタノール処理により膜透過し、当該目的細胞および当該夾雑細胞にそれぞれ特異的に有するタンパク質を認識する物質で標識後、前記標識の有無に基づき前記目的細胞を検出することにより、前記課題を解決する。

概要

背景

近年、血液などの体液や、臓器などの組織溶液に懸濁もしくは分散して得られる組織懸濁液や、細胞培養液といった試料から細胞を選択的に分離回収し、当該分離回収した細胞を基礎研究臨床診断治療へ応用する研究が進められている。例えば、癌患者より採取した血液から腫瘍細胞Circulating Tumor Cell、以下CTCと表記)を採取し、当該細胞について形態学分析組織型分析や遺伝子分析を行ない、前記分析により得られた知見に基づき治療方針を判断する研究が進められている。

しかしながら、CTCは存在確率が非常に少なく(試料が癌患者由来全血の場合、全血1mLあたり数個程度)、高感度な検出を必要とする。CTCは通常、DAPI(4’,6−DiAmidino−2−PhenylIndole)などの核標識試薬で標識され、サイトケラチンCK)やp63など上皮系細胞に特異的に有するタンパク質(CKとp63は細胞内に発現)に対する標識抗体で標識され、かつCD45など白血球に特異的に有するタンパク質(CD45は細胞膜表面に発現)に対する標識抗体では標識されない細胞をCTCとして判定している。しかしながらCTCの中には前記上皮系細胞に特異的に有するタンパク質に対する標識抗体では標識されないCTCもあり(特許文献1)、当該CTCを検出するには、偽陽性偽陰性を無くすために、CTC以外の夾雑細胞(例えば、白血球)も明瞭かつ正確に標識し、高精度に細胞を検出する必要がある。

概要

試料中に含まれる目的細胞および夾雑細胞を正確に標識することで、当該目的細胞を高精度に検出する方法を提供すること。 試料中に含まれる目的細胞および夾雑細胞を85%(v/v)から98%(v/v)のエタノール処理により膜透過し、当該目的細胞および当該夾雑細胞にそれぞれ特異的に有するタンパク質を認識する物質で標識後、前記標識の有無に基づき前記目的細胞を検出することにより、前記課題を解決する。 なし

目的

本発明の課題は、試料中に含まれる目的細胞および夾雑細胞を明瞭かつ正確に標識することで、当該目的細胞を高精度に検出する方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

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請求項1

試料中に含まれる目的細胞および夾雑細胞を検出する方法であって、1)試料中の目的細胞および夾雑細胞を膜透過する工程、2)当該目的細胞および当該夾雑細胞にそれぞれ特異的に有するタンパク質を認識する物質で標識する工程、および3)これら標識の有無に基づき前記目的細胞を検出する工程、を含み、目的細胞および夾雑細胞の膜透過を85%(v/v)から98%(v/v)のエタノールで処理することで行なう、検出方法

請求項2

目的細胞が腫瘍細胞であり、目的細胞に特異的に有するタンパク質が上皮系の細胞内タンパク質であり、夾雑細胞の標識を夾雑細胞膜に特異的に有するタンパク質を認識する物質で行なう、請求項1に記載の検出方法。

請求項3

試料が血液試料であり、夾雑細胞が白血球であり、夾雑細胞に特異的に有するタンパク質が白血球の膜タンパク質であり、目的細胞の標識を目的細胞内に特異的に有するタンパク質を認識する物質で行なう、請求項1または2に記載の方法。

技術分野

0001

本発明は、試料中に含まれる目的細胞を検出する方法に関する。特に本発明は、試料中に含まれる目的細胞の膜透過工程を最適化することで、目的細胞を高精度に検出する方法に関する。

背景技術

0002

近年、血液などの体液や、臓器などの組織溶液に懸濁もしくは分散して得られる組織懸濁液や、細胞培養液といった試料から細胞を選択的に分離回収し、当該分離回収した細胞を基礎研究臨床診断治療へ応用する研究が進められている。例えば、癌患者より採取した血液から腫瘍細胞Circulating Tumor Cell、以下CTCと表記)を採取し、当該細胞について形態学分析組織型分析や遺伝子分析を行ない、前記分析により得られた知見に基づき治療方針を判断する研究が進められている。

0003

しかしながら、CTCは存在確率が非常に少なく(試料が癌患者由来全血の場合、全血1mLあたり数個程度)、高感度な検出を必要とする。CTCは通常、DAPI(4’,6−DiAmidino−2−PhenylIndole)などの核標識試薬で標識され、サイトケラチンCK)やp63など上皮系細胞に特異的に有するタンパク質(CKとp63は細胞内に発現)に対する標識抗体で標識され、かつCD45など白血球に特異的に有するタンパク質(CD45は細胞膜表面に発現)に対する標識抗体では標識されない細胞をCTCとして判定している。しかしながらCTCの中には前記上皮系細胞に特異的に有するタンパク質に対する標識抗体では標識されないCTCもあり(特許文献1)、当該CTCを検出するには、偽陽性偽陰性を無くすために、CTC以外の夾雑細胞(例えば、白血球)も明瞭かつ正確に標識し、高精度に細胞を検出する必要がある。

先行技術

0004

WO2015/112955号

発明が解決しようとする課題

0005

本発明の課題は、試料中に含まれる目的細胞および夾雑細胞を明瞭かつ正確に標識することで、当該目的細胞を高精度に検出する方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0006

上記課題を解決するために、本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、本発明に到達した。

0007

すなわち本発明は以下の通り例示できる。
[1]
試料中に含まれる目的細胞および夾雑細胞を検出する方法であって、
1)試料中の目的細胞および夾雑細胞膜透過する工程、
2)当該目的細胞および当該夾雑細胞にそれぞれ特異的に有するタンパク質を認識する物質で標識する工程、および
3)これら標識の有無に基づき前記目的細胞を検出する工程、
を含み、目的細胞および夾雑細胞の膜透過を85%(v/v)から98%(v/v)のエタノールで処理することで行なう、検出方法
[2]
目的細胞が腫瘍細胞であり、目的細胞に特異的に有するタンパク質が上皮系の細胞内タンパク質であり、夾雑細胞の標識を夾雑細胞膜に特異的に有するタンパク質を認識する物質で行なう、[1]に記載の検出方法。
[3]
試料が血液試料であり、夾雑細胞が白血球であり、夾雑細胞に特異的に有するタンパク質が白血球の膜タンパク質であり、目的細胞の標識を目的細胞内に特異的に有するタンパク質を認識する物質で行なう、[1]または[2]に記載の方法。

発明の効果

0008

本発明は、試料中に含まれる目的細胞および夾雑細胞を膜透過し、当該目的細胞および当該夾雑細胞にそれぞれ特異的に有するタンパク質を認識する物質で標識後、これら標識の有無に基づき前記目的細胞を検出する方法において、目的細胞および夾雑細胞の膜透過を85%(v/v)から98%(v/v)のエタノールで処理することで行なうことを特徴としている。本発明の検出方法は、特に試料中に含まれる目的細胞数が少なく、かつ夾雑細胞数が当該目的細胞数と比較して極めて多い場合に有用であり、例えば、本発明を血液中に含まれる血中循環腫瘍細胞(CTC)の検出に適用することで、CTC検出結果に対する信頼性が向上し、精度高く癌を検出できる。

図面の簡単な説明

0009

本発明の検出方法で利用可能な、細胞保持装置の一例を示す図である。
本発明の検出方法で利用可能な、細胞保持装置の別の態様を示す図である。
図1に示す細胞保持装置を用いた、細胞の保持および検出を示した図である。

0010

以下、本発明を詳細に説明する。

0011

本発明における試料の一例として、全血、希釈血液血清血漿髄液臍帯血成分採血液、尿、唾液精液糞便羊水腹水腹腔洗浄液などの生体試料や、肝臓脾臓腎臓、皮膚、腫瘍リンパ節などの組織の一片を懸濁して得られる組織懸濁液や、前記生体試料または前記組織懸濁液より分離して得られる、前記生体試料または前記組織由来の細胞を含む画分や、あらかじめ単離した細胞の培養液、があげられる。このうち生体試料または組織由来の細胞を含む画分の一例として、生体試料や組織懸濁液を密度勾配形成用媒体の上に重層後、密度勾配遠心することで得られる画分があげられる。

0012

試料が血液試料である場合の、試料中に含まれる目的細胞の一例としては、血液循環腫瘍細胞(CTC)などの腫瘍細胞、循環血液内皮細胞CEC)、循環血管内皮細胞(CEP)、循環胎児細胞(CFC)、各種幹細胞があげられる一方、試料中に含まれる夾雑細胞は目的細胞以外の細胞を指し、試料が血液試料である場合の夾雑細胞の具体例としては、前記試料中に含まれる細胞である白血球、赤血球血小板および小胞、ならびにこれら細胞または前述した目的細胞由来のデブリがあげられる。なお本発明における血液試料は、全血、血清、血漿、臍帯血、成分採血液といった血液検体に限らず、当該血液検体を生理食塩水などで希釈した試料や、当該血液検体より分離して得られる、前記血液検体由来の細胞を含む画分も、血液試料に含まれる。

0013

本発明では、試料中に含まれる目的細胞および夾雑細胞の膜透過処理を行なう。しかしながら膜透過処理は膜タンパク質の損傷や溶出のおそれがある。そのため、細胞内タンパク質および膜タンパク質を標識する際は、膜透過試薬およびその濃度の最適化が必要である。本発明者らは前記膜透過試薬の最適化検討を行なった結果、膜透過試薬として85%(v/v)から98%(v/v)のエタノールを用いて細胞を処理することで、膜タンパク質の損傷や溶出を最小限にしつつ、効率的な細胞膜透過が行なえることを見出した。本発明の方法は、目的細胞と夾雑細胞を分離せずに、双方とも標識する際に特に有用である。例えば、目的細胞が特異的に有するタンパク質と夾雑細胞が特異的に有するタンパク質が、それぞれ細胞内と細胞膜に存在する場合、認識物質が膜透化することを可能にし、かつ、膜タンパク質の損傷を抑制する必要があるためである。

0014

本発明では、前述した膜透過処理後、試料中に含まれる目的細胞および夾雑細胞を当該目的細胞および当該夾雑細胞にそれぞれ特異的に有するタンパク質を認識する物質で標識し、当該標識の有無に基づき試料中に含まれる目的細胞を検出する。

0015

本発明において、目的細胞(夾雑細胞)が特異的に有するタンパク質とは、目的細胞(夾雑細胞)に特異的に存在するタンパク質であって、目的(夾雑)細胞の識別を可能にするタンパク質のことをいう。ここで、目的細胞(夾雑細胞)に特異的に存在する、とは、目的細胞(夾雑細胞)には存在し、かつ夾雑細胞(目的細胞)には存在しないこと、または、目的細胞(夾雑細胞)における存在量が夾雑細胞(目的細胞)よりも多いこと、を意味する。

0016

本発明において、目的細胞(夾雑細胞)に特異的に有するタンパク質を認識する物質として好ましくは、前記タンパク質と特異的に結合可能な物質(以下、特異的結合物質、とも表記する)と光学的に検出可能なシグナルを発することが可能な標識物質との複合体が挙げられる。特異的結合物質の一例として、前記タンパク質に対する抗体や、前記タンパク質と特異的に結合可能なリガンドレクチンがあげられる。標識物質は、光学的に検出可能なシグナル(蛍光化学発光燐光など)を発することが可能な物質であれば特に限定はなく、一例として、FITCフルオレセインイソシアネート)、PE(フィコエリスリン)、APCアロフィコシアニン)、ローダミンといった蛍光色素や、ペルオキシダーゼβ−ガラクトシダーゼアルカリフォスファターゼルシフェラーゼといった化学発光基質との反応を触媒する酵素があげられる。

0017

特異的結合物質と標識物質との複合体形成は、公知の方法により両物質を化学的直接結合させてもよいし、特異的結合物質にビオチンアビジンまたはストレプトアビジン)を、標識物質にアビジンまたはストレプトアビジン(ビオチン)を、それぞれ結合させた後、ビオチン−アビジン(ビオチン−ストレプトアビジン)結合を介して間接的に両者を結合させてもよいし、
特異的結合物質と特異的に結合可能な物質(抗体、リガンド、レクチン)を標識物質に結合させた後、特異的結合物質と前記物質との相互作用抗原抗体反応など)により間接的に両者を結合させてもよい。

0018

本発明で実施する、試料中に含まれる目的細胞および夾雑細胞の膜透化は、具体的には以下の(I)または(II)に示す標識において好適である。
(I)試料中に含まれる目的細胞内に特異的に有するタンパク質を認識する物質および試料中に含まれる夾雑細胞膜に特異的に有するタンパク質を認識する物質で標識
(II)試料中に含まれる目的細胞膜に特異的に有するタンパク質を認識する物質および試料中に含まれる夾雑細胞内に特異的に有するタンパク質を認識する物質で標識
本発明で実施する標識の具体例を以下に示す。

0019

試料が前述した血液試料であり、目的細胞が腫瘍細胞(CTC)であり、夾雑細胞が白血球である場合は、CTC内に特異的に有するタンパク質であるサイトケラチン(CK)やp63を認識する物質、および白血球膜に特異的に有するタンパク質であるCD45(Leucocyte Common Antigen:LCA)やCD50(InterCellular Adhesion Molecule−3:ICAM−3)を認識する物質で標識すればよい。なおCKにはCK1からCK20まで20種類のタンパク質が知られているが、そのいずれもがCTC内に特異的に有するタンパク質として使用可能である。

0020

試料が腫瘍組織の懸濁液であり、目的細胞が腫瘍関連線維芽細胞(CAF)であり、夾雑細胞が白血球である場合は、CAF内に特異的に有するタンパク質であるα−SMA(α−smooth muscle actin)を認識する物質、および白血球膜に特異的に有するタンパク質であるCD45やCD50を認識する物質で標識できる。

0021

試料がiPS細胞内胚葉分化させた後の溶液であり、目的細胞が未分化のiPS細胞であり、夾雑細胞が前記内胚葉である場合は、iPS細胞膜に特異的に有するタンパク質であるSSEA−3(Stage−specific Embryonic Antigen−3)やTRA−1−60を認識する物質、および内肺葉内に特異的に有するタンパク質であるSOX17やHNF−3(Hepatocyte Nuclear Factor−3)を認識する物質で標識できる。

0022

本発明では、前述した標識の有無に基づく検出の他に、追加の検出を行なってもよい。追加検出の一例として、DAPI(4’,6−DiAmidino−2−PhenylIndole)、ヘマトキシリン、Hoechst 33342(商品名)などの核標識試薬を用いた有核細胞の検出や、オレンジGライトグリーンエオシンなどの細胞質標識試薬を用いた細胞検出や、明視野像に基づく細胞の大きさ/形状/模様の違いによる検出があげられる。

0023

本発明を実施する際、細胞検出までの間に、劣化した細胞の形状崩壊や、劣化した細胞内のDNAやRNA等の遺伝子やタンパク質等が分解する現象が生じると、溶液からの目的細胞および夾雑細胞に含まれるタンパク質を用いた検出・解析能が低下する。そのため、前述した膜透過処理の前または前述した膜透過処理と同時に、前記細胞の劣化を抑制する固定処理を行なうと好ましい。固定処理用試薬としては、アルデヒド類酸類アルコール類などの有機溶剤重金属元素などが挙げられるが、本発明はこれに限定されない。

0024

アルデヒド類は、タンパク質の既存の結合様式(例えば、ジスルフィド結合水素結合など)を解離させ、新たな結合を形成する。その結合は、リジンアルギニン等のアミノ基末端トリプトファンチロキシン等の芳香族活性炭素との共有結合であったり、別のアミノ酸末端残基と連結して形成されるメチレン架橋であったりする。これらの新たな結合によってタンパク質の高次構造を変化させたり、このような結合や架橋関与しない遊離分子ポリペプチド鎖ホールドすることによってさらなる変性を防いだりすることができ、タンパク質構造を安定化するとともに、細胞原形質ゲル化して酵素活性を抑えることができる。固定処理用試薬として利用可能なアルデヒド類としては、ホルムアルデヒドが代表的であり、グルタルアルデヒドグリオキサールなども含まれる。また、直接作用するものではないが、それ自体が加水分解等を受けることによってホルムアルデヒド等の安定化剤を遊離する、ホルムアルデヒドドナーホルムアルデヒド供与体)なども、固定処理用試薬として利用できる。ホルムアルデヒドドナーの一例として、イミダゾリジニル尿素ベンジルヘミホルマールフェニルメトキシメタノール)、5−ブロモ−5−ニトロ−1,3−ジオキサンブロノポール(2−ブロモ−2−ニトロプロペイン−1 ,3−ジオール)、ジアゾリジニル尿素、DMDヒダントイン(1,3−ジメチロール−5,5−ジメチルヒダントイン)、メセナミン(ヘキサメチレンテトラミン)、クオタニウム−15(メセナミン 3−クロロアロクロリド)、ヒドロキシメチルグリシンナトリウムアミンアミドメチロール、ヒドロキシメチル誘導体、メチロール、メテンアミン、パラホルムアルデヒドが挙げられる。

0025

酸類は、強いタンパク質凝固作用があるため、固定処理用試薬として利用できる。一例として、ピクリン酸タンニン酸オスミウム酸酢酸氷酢酸三塩化酢酸トリクロロ酢酸:TCA)、クロム酸などやその塩が挙げられる。

0026

アルコール類は、強力な脱水と脂質溶解によりタンパク質を不溶化・変性させる作用があるため、固定処理用試薬として利用できる。中でも、エタノール、メタノール、アセトンが非常によく用いられる。またクロロホルムのような有機溶剤も、アルコール類と同様な効果を有しており、固定処理用試薬として利用できる。

0027

重金属元素としては、クロムマンガン亜鉛などが固定処理用試薬として利用できる。

0028

本発明を、例えば血液試料中に含まれるCTCの検出のような、試料中に含まれる目的細胞数が少ない、および/または夾雑細胞数が極めて多い系に適用する場合、あらかじめ試料中に含まれる目的細胞を濃縮する、および/または夾雑細胞を低減させる工程(以下、目的細胞濃縮工程という)を行なうと、目的細胞の検出を効率的に行なえる点で好ましい。目的細胞濃縮工程は、試料中に含まれる目的細胞以外の成分(夾雑細胞など)を低減することで目的細胞をより選択的に回収できれば特に制限はない。例えば、目的細胞と目的細胞以外の成分(夾雑細胞など)との大きさの違いを利用して分離濃縮するフィルター法、細胞表面の抗体発現プロファイルの違いを利用し、前記抗体を結合した磁性粒子を用いて目的細胞を分離濃縮する磁気ビーズ法、細胞間の比重差を利用した比重差分離法が例示できる。なかでも比重差分離法は、短時間で選択的に目的細胞を濃縮できることから、目的細胞濃縮工程として特に好ましい。

0029

以下、比重差分離法による目的細胞濃縮工程について詳細を示す。

0030

比重差分離法による目的細胞の濃縮(夾雑細胞の低減)は、目的細胞と目的細胞以外の成分(夾雑細胞など)が比重差によって分離できれば特に制限はない。例えば、密度勾配溶液が入った遠沈管に目的細胞を含む試料を重層後、遠心分離操作を行なうことで、目的細胞を含む画分と目的細胞以外の成分(夾雑細胞など)を含む画分とに分離させ、前記目的細胞を含む画分を回収することで、目的細胞を濃縮(夾雑細胞の低減)させればよい。ここで用いる密度勾配溶液は、それ自身でまたは遠心分離によって密度勾配を形成する液体状の物質であり、目的細胞の密度(比重)を特定し、その分離に適当なものを選択して使用すればよい。選択の指標としては、例えば栄養成分、pH、等張性があげられる。密度勾配溶液の具体例としては、ショ糖グリセロールデキストランメトリザミド、イオディキサノール、ショ糖とエピクロロヒドリン共重合体ポリビニルピロリドン被膜をもつコロイド状シリカ粒子スクロースポリマー、ジアトリゾ酸、イオヘキソールがあげられ、市販品として、Ficoll、Ficoll−Paque、Percoll(以上、GEヘルスケア製)、Lymphoprep、Polymorphprep、OptiPrep、Nycodenz(以上、Axis−Shield製)などが知られている。

0031

遠心分離操作は、一般には1000×gから2000×g程度の低速で実施すればよいが、目的細胞の密度や使用する密度勾配溶液の密度を案し、当該目的細胞が密度勾配溶液の上に維持される条件を選択すればよい。例えば目的細胞が腫瘍細胞であり、上記条件で遠心分離操作を行なう場合、濃縮対象である腫瘍細胞の種類に応じて密度勾配溶液の密度を1.060から1.105g/mLまでの範囲に設定することができる。中でも、腫瘍細胞の濃縮率を高める観点から、密度勾配溶液の密度は1.075g/mL以上が好ましく、1.080g/mL以上とするとより好ましい。一方、同じ理由から、密度勾配溶液の密度は1.100g/mL以下が好ましく、1.096g/mL以下とするとより好ましく、1.093g/mL以下とするとさらにより好ましい。腫瘍細胞の濃縮に最も好ましい密度勾配溶液の密度は、1.082から1.091g/mLまでの範囲である。

0032

密度勾配溶液の浸透圧は、200mOsm/kgから450mOsm/kgまでの範囲で適宜設定すればよいが、300mOsm/kgから400mOsm/kgまでの範囲とするとより好ましい。密度勾配溶液のpHは、目的細胞が損傷を受けない範囲で任意に選択することができ、通常の細胞の場合、pH6.8からpH7.8までの範囲に設定すればよい。

0033

比重差分離法による目的細胞濃縮工程を行なう際、目的細胞に特異的に結合する物質または目的細胞以外の成分(夾雑細胞など)に特異的に結合する物質を添加することにより、目的細胞を更に効率的に分離することができる。なお、前記特異的に結合する物質と多孔質シリカ粒子等比較的密度が小さい物質とを結合させれば、見かけ上の密度を小さくすることができる。前記特異的に結合する物質としては、目的細胞(または夾雑細胞など目的細胞以外の成分)と特異的に結合可能な抗体、抗原ペプチドポリペプチド成長因子サイトカイン、レクチンといった生体高分子を例示できる。また前述した密度を調整する目的で使用可能な物質としては、前述した多孔質シリカ粒子の他に、ポリエチレンポリプロピレンポリビニルクロリドポリアクリロニトリルポリアクリレートポリメタクリレートポリカルボネート等のポリビニル化合物に代表される有機ポリマーポリスチレンラテックスナイロンポリテレフタレート等の共重合体、ガラスシリカジルコニア等の無機材料セルロース、デキストラン、アガロース、セルロース、セファロース等の生体ポリマー、赤血球などの生体試料が例示できる。

0034

比重差分離法による目的細胞濃縮工程を行なう際、夾雑細胞を積極的に除去する操作を追加してもよい。例えば、血液試料から比重差分離法によりCTCの濃縮操作を行なう際、赤血球を積極的に除去する溶血操作を追加してもよい。前記夾雑細胞を積極的に除去する操作は、遠心分離操作前に行なってもよいし、遠心分離操作後に行なってもよい。なお夾雑細胞を積極的に除去する操作を遠心分離操作前に行なう場合は、その後遠心分離操作を追加すると好ましい。

0035

本発明により目的細胞を検出するには、例えば、目的細胞を含む試料(または当該試料をあらかじめ前述した目的細胞濃縮工程により濃縮した試料)を希釈、懸濁などの処理をした後、スライドに塗布または保持部を有した基板展開し、塗布された、または保持部に保持された細胞を顕微鏡などの光学的手段を用いて検出すればよい。前述した検出方法のうち、保持部を有した基板に試料を展開し、保持部に保持された細胞を検出する方法は、高感度かつ高精度に1細胞ごとを観察/解析できる点、および後の検出で細胞の再標識を行なう際、保持された細胞が剥離されるおそれが軽減される点で好ましい。

0036

本発明において、目的細胞を含む試料を展開し検出するのに好ましい装置の一例として、図1から図3に示す細胞保持装置があげられる。
図1および図3に示す細胞保持装置100は、
貫通孔111を有した平板状の絶縁膜110と、
貫通孔121を有した平板状の遮光膜120と、
導入口131および排出口132を有した平板状のスペーサ130と、
遮光膜120の下面およびスペーサー130の上面と密着するよう設けた電極141・142と、
電極141・142同士を接続する導線150と、
電極141・142に信号を印加する交流電源160と、
を備えている。絶縁膜110が有する貫通口111と遮光膜120が有する貫通孔121とは互いに同一の寸法および形状であり、かつそれぞれの貫通孔の位置が一致するよう絶縁膜110および遮光膜120を備えている。貫通孔111、貫通孔121および遮光膜120の下部に密着して設けた電極141により、細胞保持装置100内に細胞を保持可能な保持部170が構成され、導入口131から細胞を含む液体を導入すると保持部170へ細胞が導入される。遮光膜120は、絶縁膜110自体の自家蛍光に起因するバックグラウンドノイズや隣接する保持部170からの漏れ光に起因するクロストークノイズなどの光ノイズを低減することができ、各保持部170に保持された細胞由来の光のみを高感度かつ高精度に検出することができる。電極142はスペーサ130上面に密着して備えており、導入口131から導入した、目的細胞を含む試料の飛散蒸発を防止している。なお保持部170に保持した細胞の回収を容易にするため、電極142はスペーサ130から取り外し可能な構造となっている。また電極141・142をITO(酸化インジウムスズ)などの透明電極にすると、保持部170に保持された細胞を、顕微鏡や光学検出器を用いて検出可能となるため、好ましい。

0037

前述した細胞保持装置100のうち、電極基板については、図1に示す装置のように絶縁膜110、遮光膜120およびスペーサ130を上下方向に挟むよう備えてもよいし、図2に示す装置のように遮光膜120の下面のみに+極141aおよび−極141bを設けた櫛形電極の態様で電極141を備えてもよい。

0038

保持部170の大きさは、1個の目的細胞のみを保持可能な大きさとすると、検出工程にて標的細胞の検出が容易になる点で好ましい。なお細胞保持装置100へ展開させる試料中に含まれる細胞数(目的細胞と夾雑細胞との和)が、細胞保持装置100に設けた保持部170の数よりも多いことが予想される場合は、適切な細胞数が展開されるように希釈したり、展開に供する試料をあらかじめ計量するとよい。

0039

目的細胞を含む試料(または当該試料をあらかじめ前述した目的細胞濃縮工程により濃縮した試料)の細胞保持装置100への展開は、細胞検出に適した間隔で基板上に分布させることができれば任意の手法を用いることができ、単に前記試料を細胞保持装置100へ展開させるのみでもよいが、その後、振動誘電泳動力を与えるなどして細胞を細胞保持装置100に設けた保持部170へ積極的に保持させる操作を追加してもよい。特に、前記保持させる操作を、誘電泳動力を与えることで行なうと、生きた細胞を数秒程度の極めて短い時間で保持部170に保持できる点で好ましい。誘電泳動力400を細胞300に作用させるには、保持部170を含めた細胞保持装置100内の空間を液体で満たした状態で、保持部170の部分に電気力線が集中するよう、交流電源160を用いて電極141・142へ所定の波形を有する交流電圧を印加すればよい(図3)。なお保持部170をアレイ状に均等に設けると、電極間に印加した電圧によって生じる電界が各保持部170にほぼ均等に生じ、各保持部170に対して同じように細胞300を誘導捕捉できるため好ましい。

0040

交流電源160を用いて電極141・142へ印加する交流電圧の大きさは、保持部170に細胞300を移動/保持可能な誘電泳動力400を発生させるのに十分な電圧であればよい。具体的には、ピーク電圧が1Vから20V程度で、周波数10kHzから10MHz程度の正弦波矩形波三角波台形波等の波形の交流電圧が例示できる。特に1つの保持部に対し1個の細胞のみを保持させたい場合は、周波数100kHzから3MHzの矩形波を用いると好ましい。矩形波は、正弦波、三角波、台形波などの他の波形と比較し、瞬時に設定したピーク電圧に到達するため、細胞を保持部へ速やかに移動させることでき、2個以上の細胞が重なる態様で保持部に保持される確率を低くできる(1つの保持部に1個の細胞のみを保持する確率が高くなる)。細胞は電気的にコンデンサーと見なすことができるが、矩形波のピーク電圧が変化しない間は、保持部に保持された細胞には電流が流れ難くなって電気力線が生じ難くなり、この結果、細胞を保持した保持部には誘電泳動力が発生し難くなる。従って、一度保持部に細胞が保持されると、別の細胞が同一の保持部に保持される確率は低くなり、代わりに電気力線が生じ誘電泳動力が発生している他の保持部(細胞を保持していない、空の保持部)に、順次、細胞が保持される。

0041

なお図1から図3に示す細胞保持装置100に備える交流電源160は、直流成分を有しない交流電圧を発生する電源が好ましい。直流成分を有する交流電圧を電極へ印加すると、直流成分により発生した静電気力電気泳動力)により細胞が特定の方向に偏った力を受けて移動し、誘電泳動力による細胞保持が困難になるからである。また直流成分を有する交流電圧を印加すると、細胞を含有する懸濁液に含まれるイオンが電極表面で電気反応を生じて発熱し、細胞が熱運動を起こすため誘電泳動力による動きを制御できなくなり、保持部への移動/保持が困難になる。本明細書において、直流成分を有する交流電圧とは、周波数デューティ比が50%でない電圧、オフセットを有する電圧、周期極端に長い(例えば1秒以上)電圧などをいう。

0042

細胞保持装置100に備える保持部170に保持された目的細胞および夾雑細胞は、目的細胞および夾雑細胞にそれぞれ特異的に有するタンパク質を認識する物質を用いて、前記目的細胞および夾雑細胞を標識化した後、前記標識を別途設けた検出部200を用いて光学的に検出する。検出部200の一例としては蛍光顕微鏡が例示できる。細胞の固定・膜透過処理は、標識前に行なえばよいが、保持部に細胞を保持した後に行なう方が、前記細胞が保持部から剥離されるおそれが軽減される点で好ましい。

0043

蛍光顕微鏡を用いて目的細胞を検出する場合は、前記標識としてFITC(フルオレセインイソシアネート)、PE(フィコエリスリン)、APC(アロフィコシアニン)、ローダミンといった蛍光色素を用い、当該蛍光色素に対応した励起光を標識化した細胞に照射し、当該照射により得られる前記標識化した細胞由来の蛍光の強度に基づき検出すればよい。標識化した細胞への照射に用いる光源としては、ハロゲンランプ水銀ランプメタルハライドランプレーザーLED等を用いることができ、前記光源からの光は、必要に応じて光学フィルターミラーレンズ等によって構成される光学手段により観察領域(標識化された細胞が保持された保持部)に照射されればよい。前記照射により観察領域から得られる蛍光シグナル情報として、蛍光物質が発する蛍光から検出した蛍光強度、蛍光強度のピーク値、蛍光強度の最小値、蛍光強度の平均値、蛍光強度の積分値などの蛍光強度から算出された数値が例示できる。また前記照射により観察領域から得られるシグナル情報は、前記蛍光に関する情報の他に、広い波長域での透過光反射光による光強度分布から構成される像(明視野)なども得られる。このうち明視野情報からは、細胞の直径、細胞の面積、細胞の体積、細胞の周囲長真円度など細胞形態に関する情報が取得できる。そのため、前述した蛍光強度による検出の他に、明視野像に基づく目的細胞の大きさ/形状/模様などの外観の情報をあわせることで、より精度高く目的細胞の検出を行なうこともできる。

0044

以下、実施例および比較例を用いて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は当該例に限定されるものではない。また本発明では目的細胞および夾雑細胞を両方標識するが、本実施例では輝度分布を確認するために目的細胞の標識と夾雑細胞の標識とを分けて行なっている。

0045

実施例1
(1)一方の末端がメトキシ基であり、もう一方の末端がN−ヒドロオキシスクシンイミドエステル基である、分子量5000のポリエチレングリコール(mPEG−NHS)と、ウシ血清アルブミンBSA)(300mg、0.3mmol)とを、炭酸水素ナトリウム緩衝液(0.1M、15mL)に溶解後、当該溶液を室温で3時間撹拌することでポリエチレングリコールを結合したBSA(PEG−BSA)を調製した。なお調製する際、mPEG−NHSとBSAとのモル比(mPEG−NHS/BSA)を2となるようにした。調製後、分画分子量10000の透析膜を用いて、純水への溶液置換を3日間行なった。

0046

(2)イミダゾリジニル尿素2g、分子量6000のポリエチレングリコール(PEG)2g、エチレンジアミン四酢酸EDTA)100mg、および塩化ナトリウム600mgを、超純水100mLに溶解し、得られた溶液を安定化剤として用いた。

0047

(3)目的細胞としてヒト前立腺がん細胞株(LNCaP)を、5%CO2環境下、10%(v/v)FBS(Fetal bovine serum)、2mMグルタミン、1.0mMピルビン酸ナトリウムを含むRPMI−1640培地を用いて37℃で24から96時間培養後、0.25%トリプシン/1mMEDTAを用いて培地から剥離し、チューブに回収した。回収後、1000rpmで5分間遠心した。なお本実施例で目的細胞として用いた腫瘍細胞(LNCaP)はサイトケラチン(CK)を発現する細胞株である。

0048

(4)(3)のLNCaP細胞の懸濁液に、(2)の安定化剤を等量添加し、得られた溶液を保存処理した目的細胞懸濁液とした。

0049

(5)保存処理した目的細胞懸濁液を室温で10分放置し、1000rpmで5分間、室温で遠心分離後、上清を除去した細胞懸濁液に、0.9%(w/v)塩化アンモニウムと0.1%(w/v)炭酸水素カリウムとを含む溶血液を5倍量添加し、300×gで10分間、室温で遠心分離した。

0050

(6)遠心後の上清を除去した後、細胞ペレットを、(1)のPEG−BSA(BSAとして0.1%(w/v))および300mMマンニトールを含む溶液1mLで再懸濁した。

0051

(7)再懸濁液を300×gで5分間、室温で遠心分離後、上清を除去し、再度、細胞ペレットを、PEG−BSA(BSAとして0.1%(w/v))および300mMマンニトールを含む溶液1mLで再懸濁した。

0052

(8)(7)で上清を除去した細胞懸濁液を、以下に示す方法で図1および図3に示す細胞保持装置100に保持した後、腫瘍細胞を検出した。なお細胞保持装置100には、直径φ30μm、深さ40μmの保持部170を設けている。
(8−1)導入部131から、(3)で回収した細胞の懸濁液を導入した後、交流電源260から各電極141・142に交流電圧(電圧20Vpp、周波数1MHz、矩形波)を印加し、誘電泳動力により前記細胞を保持部270に保持させた。
(8−2)導入部131から、0.01%(w/v)ポリ−L−リジンを含む300mMマンニトール水溶液を、前記交流電圧を印加しながら導入し、3分間静置後、前記交流電圧の印加を停止し、排出部132から前記水溶液吸引除去した。
(8−3)導入部131から、1%HCHO溶液を導入し、10分間静置することで細胞を固定した後、排出部132から前記試薬を吸引除去した。その後、導入部131から、PBS(Phosphate Buffered Saline)を導入することで、残留した前記試薬を洗浄した。
(8−4)導入部131から、以下に示すいずれかの試薬を導入し、10分間静置することで細胞膜を透過した後、排出部132から前記試薬を吸引除去した。その後、導入部131から、PBS(Phosphate Buffered Saline)を導入することで、残留した前記試薬を洗浄した。
(導入した膜透過試薬)
98%(v/v)エタノール
95%(v/v)エタノール
90%(v/v)エタノール
85%(v/v)エタノール
75%(v/v)エタノール
50%(v/v)エタノール
25%(v/v)エタノール
(8−5)導入部131から、ブロッキング溶液を導入し、10分間静置することで細胞膜を透過した後、排出部132から前記試薬を吸引除去した。その後、導入部131から、PBS(Phosphate Buffered Saline)を導入することで、残留した前記試薬を洗浄した。
(8−6)導入部131から、目的細胞である腫瘍細胞を標識するためのFITC(フルオレセインイソチオシアネート標識抗サイトケラチン抗体(Miltenyi Biotec製)(以下、CK−FITCと表記)および核染色試薬であるDAPI(4’,6−DiAmidino−2−PhenylIndole)(同仁化学研究所製)を混合した細胞染色液を導入し、細胞標識を行なった(25℃、30分)後、導入部131から、PBS(Phosphate Buffered Saline)を導入することで、残留した前記試薬を洗浄した。
(8−7)保持部170に保持された全ての細胞を観察するために、コンピューター制御電動ステージおよびCMOSカメラ浜松ホトクス製ORCA−Flash4.0)を備えた蛍光顕微鏡(Olympus製IX71)を用いて全ての保持部の明視野像および蛍光画像撮影した。
(8−8)(8−7)で撮影した画像を解析ソフトウェアLabVIEW(National Instruments製)を用いて解析を行ない、DAPIで染色されない(細胞核を有さない)細胞をLabVIEW上で排除し、CK−FITCで標識される細胞を目的細胞である腫瘍細胞(LNCaP)として検出した。
(8−9)(8−8)で検出した目的細胞におけるCKの輝度分布を0から255の256階調で解析し、検出した細胞に占める高輝度(200以上)の細胞の割合を算出した。

0053

結果を表1に示す。85〜98%(v/v)エタノールで膜透過処理した場合、CK高輝度の目的細胞(腫瘍細胞)の割合が比較的高かった。一方、75%(v/v)、50%(v/v)、および25%(v/v)エタノールを膜透過試薬として用いたときは、CK高輝度の目的細胞(腫瘍細胞)は殆ど検出されなかった。以上の結果から、膜透過試薬として85%(v/v)から98%(v/v)のエタノールを用いて細胞を処理することで、目的細胞内タンパク質の損傷や溶出による輝度低下が防げることがわかる。

0054

0055

実施例2
(1)インフォームドコンセントを得た健常人から血液をEDTA−2K採血管(VP−DK050K、テルモ社製)に3mL採血後、前記採血管に実施例1(2)で調製した安定化剤3mLを添加し、得られた溶液を保存処理した希釈血液試料とした。
(2)保存処理した希釈血液試料を室温で10分放置し、75μLの白血球・赤血球結合剤(RosetteSep、StemCell Technologies社製)を添加した後、チューブ内で密度1.086g/mLの密度勾配溶液上に重層し、室温で2000×gで10分間遠心した。
(3)遠心後、上清を50mL容量の容器に回収した。
(4)回収後数分以内に0.9%(w/v)塩化アンモニウムと0.1%(w/v)炭酸水素カリウムとを含む溶血液で30mLまでメスアップ後、300×gで10分間、室温で遠心分離した。当該操作により上清に混入した赤血球が破壊される。
(5)遠心後の上清を除去した後、細胞ペレットを、実施例(1)に記載の方法で調製したPEG−BSA(BSAとして0.1%(w/v))および300mMマンニトールを含む溶液30mLで再懸濁した。
(6)再懸濁液を300×gで5分間、室温で遠心分離後、上清を除去し、再度、細胞ペレットを、PEG−BSA(BSAとして0.1%(w/v))および300mMマンニトールを含む溶液30mLで再懸濁した。当該操作は、血液成分を除去し、目的細胞(本実施例ではCTCなどの腫瘍細胞)を濃縮するための操作である。
(7)実施例1(8−6)で導入する染色試薬として、白血球を標識するためのPE(フィコエリスリン)標識抗CD45抗体(Beckman−Coulter製)(以下、CD45−PEと表記)および核染色試薬であるDAPI(4’,6−DiAmidino−2−PhenylIndole)(同仁化学研究所製)を混合した試薬を用いた他は、実施例1(8)と同様な方法で(6)で上清を除去した細胞懸濁液中に残存する白血球を検出し、検出した白血球におけるCD45の輝度分布を0から255の256階調で解析した後、検出した細胞に占める高輝度(200以上)の細胞の割合を算出した。

0056

結果を表2に示す。85〜98%(v/v)エタノールで膜透過処理した場合、CD45高輝度の白血球の割合が比較的高かった。一方、75%(v/v)、50%(v/v)、および25%(v/v)エタノールを膜透過試薬として用いたときは、CD45高輝度の白血球の割合が5%以下と低かった。以上の結果から、膜透過試薬として85%(v/v)から98%(v/v)のエタノールを用いて細胞を処理することで、白血球膜タンパク質の損傷や溶出による輝度低下が防げることがわかる。

0057

実施例1の結果と実施例2の結果とを組み合わせて検討したところ、85〜98%(v/v)エタノールで膜透過処理した場合、CK高輝度の目的細胞(腫瘍細胞)の割合およびCD45高輝度の白血球の割合がいずれも高かった。このことから膜透過試薬として85%(v/v)から98%(v/v)のエタノールを用いて細胞を処理することで、目的細胞内タンパク質および夾雑細胞膜タンパク質の損傷や溶出による輝度低下をともに防げることがわかる。

実施例

0058

0059

100:細胞保持装置
110:絶縁膜
111:貫通孔
120:遮光膜
121:貫通孔
130:スペーサ
131:導入口
132:排出口
141・142:電極
141a:+極
142b:−極
150:導線
160:交流電源
170:保持部
200:検出部
300:細胞
400:誘電泳動力
500:光

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