図面 (/)

技術 渦電流探傷装置

出願人 日立造船株式会社日本電測機株式会社
発明者 荒井浩成秦彰宏山田隆明東弘
出願日 2017年9月27日 (3年3ヶ月経過) 出願番号 2017-185535
公開日 2019年4月18日 (1年8ヶ月経過) 公開番号 2019-060725
状態 特許登録済
技術分野 磁気的手段による材料の調査、分析
主要キーワード 中間磁石 側面溶接 先細り部分 フェライト系合金 各磁石片 ブロック形 磁界形成用 磁気飽和状態
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2019年4月18日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (11)

課題

さほど大型の磁石を使用せずとも検査対象物に十分な強さの磁界をかけることが可能な渦電流傷装置を提供する。

解決手段

磁界形成用磁石60を基礎磁石片60aと先端磁石片60bとで構成し、検査対象物30に向けられる磁極が現れる先端磁石片60bの先端磁極面62の面積を、磁界形成用磁石60において先端磁極面62と反対側の面となる基礎磁石片60aの基礎面64の面積よりも小さくする。

概要

背景

従来、導電性材料からなる構造物表面(被検体検査対象物)に傷(欠陥)が生じているかどうかを検査するための探傷装置として、特許文献1に記載されているような渦電流探傷装置が用いられることがある。この装置によれば、検査対象物に渦電流を発生させ、その渦電流の強度および流れの形の変化を検出することで、検査対象物に傷が生じているかどうかを調べることができる。また傷がある場合にはその傷の位置、形状、深さを調べることもできる。

検査対象物の表面に透磁率が別々になっている複数の領域がある場合(透磁率が不均一の場合)、例えば検査対象物が非磁性体の材料をベースとし、一部に溶接が施されたものである場合、その表面は基本的には非磁性体であるが、溶接個所付近不規則磁界を有する磁性体となっている。このように表面に磁性体の領域と非磁性体の領域が混在して現われているような場合には、これらの領域をまたいで探傷装置による検査を行うと、領域間透磁率変化が原因となって検査結果ノイズが現れる。このノイズの問題への対策として、磁気飽和を利用する手法がある。この手法では、検査対象物に強力な磁界をかけることで、検査領域に生じている不規則な磁界を打ち消し、検査対象物を磁気飽和状態、すなわち磁性体と非磁性体との間で透磁率にほとんど差がなくなる状態とする。この磁気飽和状態であれば、検査対象物の表面の透磁率が不均一であることに起因するノイズが大幅に低減される。このため検査対象物表面に不均一な磁界を有する磁性体を含む領域があっても傷の検知が可能となる。

概要

さほど大型の磁石を使用せずとも検査対象物に十分な強さの磁界をかけることが可能な渦電流探傷装置を提供する。磁界形成用磁石60を基礎磁石片60aと先端磁石片60bとで構成し、検査対象物30に向けられる磁極が現れる先端磁石片60bの先端磁極面62の面積を、磁界形成用磁石60において先端磁極面62と反対側の面となる基礎磁石片60aの基礎面64の面積よりも小さくする。

目的

本発明においては、磁界形成用磁石がさほど大きくなくとも検査対象物に十分な強さの磁界をかけることが可能な渦電流探傷装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

検査対象物渦電流を発生させ、前記渦電流の変化を検出することにより前記検査対象物の表面の状態を検査する渦電流探傷装置において、前記渦電流の変化を検出するための検出部と、前記検出部の外側に配置され、前記検査対象物に磁界をかける磁界形成用磁石とを備え、前記磁界形成用磁石は、第1の磁石片と、前記第1の磁石片よりも前記検査対象物から遠い位置に配置される第2の磁石片とを含んでおり、前記第1の磁石片の前記検査対象物側の端面の面積は、前記第2の磁石片の前記検査対象物側の端面とその反対側の端面との少なくとも一方の面積よりも小さいことを特徴とする渦電流探傷装置。

請求項2

前記第1の磁石片の前記検査対象物側の端面内で直交する2つの方向をそれぞれ幅方向および奥方向とするとき、前記第2の磁石片の前記検査対象物側の端面の幅方向寸法および奥方向寸法が、それぞれ前記第1の磁石片の前記検査対象物側の端面の幅方向寸法および奥方向寸法よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の渦電流探傷装置。

請求項3

前記検査対象物が、オーステナイト系ステンレス鋼で製造されており、前記検査対象物の外表面に、オーステナイト系ステンレス鋼同士の溶接が行われた溶接部があり、前記溶接部に渦電流を発生させて、前記溶接部における傷の有無を検査することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の渦電流探傷装置。

技術分野

0001

本発明は、渦電流傷装置、特に磁気飽和法を用いた渦電流探傷装置に関するものである。

背景技術

0002

従来、導電性材料からなる構造物表面(被検体検査対象物)に傷(欠陥)が生じているかどうかを検査するための探傷装置として、特許文献1に記載されているような渦電流探傷装置が用いられることがある。この装置によれば、検査対象物に渦電流を発生させ、その渦電流の強度および流れの形の変化を検出することで、検査対象物に傷が生じているかどうかを調べることができる。また傷がある場合にはその傷の位置、形状、深さを調べることもできる。

0003

検査対象物の表面に透磁率が別々になっている複数の領域がある場合(透磁率が不均一の場合)、例えば検査対象物が非磁性体の材料をベースとし、一部に溶接が施されたものである場合、その表面は基本的には非磁性体であるが、溶接個所付近不規則磁界を有する磁性体となっている。このように表面に磁性体の領域と非磁性体の領域が混在して現われているような場合には、これらの領域をまたいで探傷装置による検査を行うと、領域間透磁率変化が原因となって検査結果ノイズが現れる。このノイズの問題への対策として、磁気飽和を利用する手法がある。この手法では、検査対象物に強力な磁界をかけることで、検査領域に生じている不規則な磁界を打ち消し、検査対象物を磁気飽和状態、すなわち磁性体と非磁性体との間で透磁率にほとんど差がなくなる状態とする。この磁気飽和状態であれば、検査対象物の表面の透磁率が不均一であることに起因するノイズが大幅に低減される。このため検査対象物表面に不均一な磁界を有する磁性体を含む領域があっても傷の検知が可能となる。

先行技術

0004

特許第4885068号公報

発明が解決しようとする課題

0005

検査対象物を磁気飽和状態とするには強力な磁界が必要である。しかしながら、強力な磁界を形成できる磁石は寸法が大型になる傾向がある。例えば電磁石ならば強い電流を使用することによって強力な磁界を形成することができるが、そのような強い電流に耐えられる巻線および電気配線は寸法が大きくなってしまう。したがって強い電流を使用する電磁石を渦電流探傷装置に付属させると、渦電流探傷装置も大型となってしまう。渦電流探傷装置による発見が期待される傷というのは比較的小型(典型的には深さ・幅ともに3mm以下)であり、大型の渦電流探傷装置では発見が難しくなってしまう。また磁石が大きければ渦電流探傷装置全体としての重量も重くなってしまい、検査対象物の表面上で渦電流探傷装置を移動させるのが難しくなってしまう。一方、永久磁石は小型に作ることが可能であるが、一般的に小型の磁石では十分に強い磁界を得ることができない。

0006

そこで本発明においては、磁界形成用磁石がさほど大きくなくとも検査対象物に十分な強さの磁界をかけることが可能な渦電流探傷装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0007

本発明の一形態に係る渦電流探傷装置は、検査対象物に渦電流を発生させ、前記渦電流の変化を検出することにより前記検査対象物の表面の状態を検査する渦電流探傷装置において、前記渦電流の変化を検出するための検出部と、前記検出部の外側に配置され、前記検査対象物に磁界をかける磁界形成用磁石とを備え、前記磁界形成用磁石は、第1の磁石片と、前記第1の磁石片よりも前記検査対象物から遠い位置に配置される第2の磁石片とを含んでおり、前記第1の磁石片の前記検査対象物側の端面の面積は、前記第2の磁石片の前記検査対象物側の端面とその反対側の端面との少なくとも一方の面積よりも小さいことを特徴とする。

0008

また好ましくは、前記第1の磁石片の前記検査対象物側の端面内で直交する2つの方向をそれぞれ幅方向および奥方向とするとき、前記第2の磁石片の前記検査対象物側の端面の幅方向寸法および奥方向寸法が、それぞれ前記第1の磁石片の前記検査対象物側の端面の幅方向寸法および奥方向寸法よりも大きいとよい。

0009

また好ましくは、前記検査対象物が、オーステナイト系ステンレス鋼で製造されており、前記検査対象物の外表面に、オーステナイト系ステンレス鋼同士の溶接が行われた溶接部があり、前記渦電流探傷装置は、前記溶接部に渦電流を発生させて、前記溶接部における傷の有無を検査するとよい。

発明の効果

0010

本発明に係る渦電流探傷装置によれば、磁界形成用磁石がさほど大きくなくとも検査対象物に十分な強さの磁界をかけることが可能な渦電流探傷装置を提供することができる。

図面の簡単な説明

0011

本発明の実施形態の一例において渦電流探傷装置による検査の対象となるキャニスタを示す図。
検査プローブの構造の一例を模式的に示す図。
ノイズが含まれる検出信号とノイズが除去された検出信号を示す図。
磁界形成用磁石の構造を示す図。
基礎磁石片の先端側に傾斜部が設けられている場合を示す図。
先端磁石片と基礎磁石片との間に中間磁石片が配置されている場合を示す図。
中間磁石片および基礎磁石片の奥方向寸法が基礎磁石片と同じ場合を示す図。
中間磁石片および基礎磁石片の奥方向寸法が基礎磁石片より小さい場合を示す図。
検出信号にノイズが含まれている場合を示すグラフ
検出信号からノイズが除去された場合を示すグラフ。

実施例

0012

図1に、本発明の実施形態の一例において渦電流探傷装置によって傷の検査(探傷)が行われる対象(検査対象物)となるキャニスタ20を示す。このキャニスタ20は金属製の筒型容器であり、その内部には使用済み核燃料封入される。キャニスタ20は図1に示すようにコンクリート製の大型容器コンクリートキャスク10)内に入れられた状態で、都市部から離れた地域、典型的には沿岸部に保管される。

0013

コンクリートキャスク10の下方には径方向に貫通する空気導入路14が設けられており、上方には径方向に貫通する空気排出路15が設けられている。外部空気が空気導入路14から取り入れられ、空気排出路15から排出される過程で、外部空気がキャニスタ20の側面に触れることにより、封入された使用済み核燃料の崩壊熱によって加熱されるキャニスタ20の冷却が行われる。

0014

ここで、コンクリートキャスク10が沿岸部で保管されている場合、沿岸部の空気には海塩が含まれているため、外部空気に触れるキャニスタ20の表面には塩化物によって錆や腐食が生じるおそれがある。そして、錆や腐食の生じた箇所に引張応力がかかっていると、その箇所に応力腐食割れ(SCC:Stress Corrosion Cracking)が生じることがある。そこで、キャニスタ20は定期的にコンクリートキャスク10から抜き出され、その表面にSCCが生じていないかどうかの検査(探傷)が行われる。

0015

キャニスタ20は図1に示すように、底付き円筒形状の本体と、その上部開口を閉ざす蓋22とで構成されている。キャニスタ20の本体と蓋22とは、溶接によって固着されており、図1に示すように、その溶接の跡が蓋溶接部26として残る。またキャニスタ20の本体側面は、長方形状金属板円筒状に湾曲させ、その金属板の両端同士を溶接することで形成される。この溶接の跡も、図1に示すように側面溶接部24として残る。こうした側面溶接部24や蓋溶接部26には引張応力がかかり易いため、これらの箇所にSCCが発生する可能性が高い。そのため、特にこれら側面溶接部24や蓋溶接部26において探傷を行うことが重要である。

0016

図2に、渦電流探傷装置40を用いた探傷の様子を概略的に示す。渦電流探傷装置40は検出プローブ50を備えている。この検出プローブ50からは交番磁界が発生するようになっており、交番磁界が検査対象物30(ここではキャニスタ20の側壁、蓋、底面など)の表面に接近すると、検査対象物30の外表面を構成する金属(キャニスタ20の場合は一般的にオーステナイト系ステンレス鋼)に渦電流が発生する。この渦電流から発生する磁束は検出プローブ50によって検知され、検知された磁束密度の大きさや波形を基にして検査対象物30表面の状態が判定される。

0017

図2に、渦電流探傷装置40の構造の一例を模式的に示す。渦電流探傷装置40は、検査プローブ50と制御器42を備えている。検査プローブ50は検査対象物30表面に発生する渦電流の変化を検出するための検出部54を有する。また制御器42は、検査プローブ50から受信した検出信号を処理する機能を備えている。

0018

ここでは、検出部54の下端面は検査対象物30の表面と向かい合うように配置されており、この下端面が、検査対象物30に発生する渦電流から生じる磁束を受ける検査プローブ50の検出面55となる。

0019

ここで、検査対象物30の表面がどのように交番磁界に対して反応するかは、検査対象物30の材料自体が持つ性質によって異なる。検査範囲内において材料の性質が均一であれば他の部分に比べて交番磁界に対する反応が異なる部分を探すことで探傷を行うことができるが、材料の性質、特に透磁率が位置によって異なっていると、傷32がなくとも位置によって交番磁界に対する反応が異なることとなり、検査に影響を及ぼすノイズが発生するため、探傷が困難となる。したがってこのようなノイズは可能な限り除去されることが望ましい。

0020

図2では、検査対象物30の表面の一部に、周りと異なる透磁率を持つ異種材料からなる異種材料部35が現れているものとしている。例えば検査対象物30が図1に示すキャニスタ20である場合、側面溶接部24や蓋溶接部26(溶接部)に異種材料が現れることがある。具体的には、キャニスタ20がオーステナイト系ステンレス鋼で構成されている場合、溶接部にはフェライト系の合金が現れる可能性がある。すなわち、溶接の過程でオーステナイト系ステンレス鋼が融解した際、その成分である鉄(Fe),クロム(Cr),ニッケル(Ni),モリブデン(Mo),そして炭素(C)などの原子配列が乱されるため、溶接の完了後、表面にはオーステナイト系ステンレス鋼と異なる原子配列を持つ合金が現れることになり、場合によってはフェライト系合金が現れることもある。このように検査対象物30表面の透磁率が不均一な場合において、検出信号にノイズが現れる様子と、磁界形成用磁石60を用いることによりノイズが除去される様子を、図3に示している。

0021

フェライト系合金が存在する位置では磁界の向きに乱れが生じるため、表面に傷32がなくともフェライト系合金が存在する位置では検査プローブ50が検出する検出信号に変化が現れてしまう。このため、フェライト系合金が表面に現われる溶接部においては、検出信号の変化が傷32に起因するものなのか、フェライト系合金に起因するものなのかを判別することが困難である。具体的には図2に示すように、検査対象物30の表面にフェライト系合金が現れて異種材料部35が形成されている場合、検査プローブ50から発せられる交番磁界の磁束が異種材料部35の位置で乱されることとなり、この位置の上方を検査プローブ50が通過した際、検出信号にノイズが生じる(図3のグラフZ1)。そのため、異種材料部35内に傷32があっても、傷32に起因する検出信号の変化を発見することが困難である。

0022

ここで、図2仮想線で示すように、磁界形成用磁石60を検査プローブ50の外側に配置しておくと、この磁界形成用磁石60から発せられる磁界を受けた検査対象物30と異種材料部35の透磁率が変化する。磁界形成用磁石60の磁界の強さが適切に設定されていれば、検査対象物30と異種材料部35の透磁率がほぼ等しくなる。そのため、検査プローブ50から発せられる交番磁界に対する反応が異種材料部35とそれ以外とでほぼ等しくなるため、検出信号が強くなるのは傷32の位置のみとなる(図3のグラフZ2)。

0023

図2図4に示すように、本実施形態において磁界形成用磁石60は基礎磁石片60a(第2の磁石片)と先端磁石片60b(第1の磁石片)とで構成される。先端磁石片60bは基礎磁石片60aのうち、検査対象物30へ向けられる面(取付面63)に取り付けられている。このため、図4に示す通り先端磁石片60bは検査対象物30に近い位置に配置され、基礎磁石片60aは先端磁石片60bよりも検査対象物30から遠い位置に配置されることになる。先端磁石片60bには検査対象物30へ向けられる先端磁極面62(第1の磁石片の、検査対象物側の端面)があり、この先端磁極面62に、磁界形成用磁石60全体としての磁極のうち1つが現われる。

0024

一方、基礎磁石片60aには、磁界形成用磁石60全体としてみたときに先端磁極面62の反対側の面となる基礎面64(第2の磁石片の、検査対象物側の端面とは反対側の端面)がある。基礎磁石片60aが図4に示すような棒状の磁石片である場合には、基礎磁石片60aの一端が取付面63(第2の磁石片の、検査対象物側の端面)、他端が基礎面64となる。そして図4に示す通り、先端磁石片60bの先端磁極面62の面積は、基礎磁石片60aの取付面63および基礎面64(検査対象物側の端面とその反対側の端面)の面積よりも小さくなっている。

0025

基礎磁石片60aと先端磁石片60bとが以上のように組み合わされていると、磁界形成用磁石60は全体として、検査対象物30に向けて先細り形状になる。この先細り部分、つまり面積の小さい先端磁極面62に磁束が集中することになるため、先端磁極面62近くにおける磁束密度が高くなる。例えば図4に示す形状の場合、磁界形成用磁石60全体としての磁極の一方が先端磁極面62に現われ、他方の磁極が基礎面64に現われる。すると、一方の磁極を通った磁極は他方の磁極も通らなければならないため、面積の大きい基礎面64を通る多量の磁束のうち多くが、面積の小さい先端磁極面62を通ることになり、多量の磁束が先端磁極面62に集中することになる。このため、先端磁極面62の表面磁束密度は基礎面64の表面磁束密度よりも高くなる。

0026

磁界形成用磁石60全体の磁極としての先端磁極面62における表面磁束密度は、基礎磁石片60aと先端磁石片60bがそれぞれ単体の場合(互いに組み合わされていない場合)での表面磁束密度よりも高くなる。例えば基礎磁石片60aと先端磁石片60bが、それぞれ単体では表面磁束密度が500mTであるとする。これらを図4のように組み合わせた場合、基礎面64では表面磁束密度が500mTのままであったとしても、先端磁極面62においては表面磁束密度が550mTという高い表面磁束密度が得られる。

0027

図4のような、基礎磁石片60aと先端磁石片60bとが組み合わされた磁界形成用磁石60が用いられることにより十分にノイズが除去されることを図9図10を用いて説明する。図9図10のグラフは、図1に示すキャニスタ20の溶接部(側面溶接部24や蓋溶接部26)で探傷を行う場合の検出信号を示している。ここではキャニスタ20そのものではなく、キャニスタ20の材質として用いられるオーステナイト系ステンレス鋼に溶接を施した試験片の表面を検査してどのような検出信号が得られるかを調べた。具体的にはSUS316の試験片同士をTIG溶接して、その溶接部に対して検査を行った。なお、ここでは表面に傷がない場合に得られる検出信号を示している。

0028

図9図10のどちらも、検査対象物の条件は同じである。図9のグラフZ3は磁界形成用磁石60が基礎磁石片60aのみで構成されている場合に得られる検出信号を示している。グラフZ3では、試験片表面に傷がないにも関わらず、グラフZ3には起伏が多くみられ、溶接部に現われる異種金属(フェライト系合金など)の影響によって検出信号にノイズが混入していることがわかる。そして、そのノイズを基礎磁石片60a単体では十分に除去できていない。

0029

図8のグラフZ4は、図4に示すような、基礎磁石片60aと先端磁石片60bとが組み合わされた磁界形成用磁石60が用いられた場合に得られる検出信号を示している。図7のグラフZ4は図6のグラフZ3と比べて明らかに起伏がなくなっており、基礎磁石片60aと先端磁石片60bとの組み合わせによってノイズが十分に除去されていることがわかる。

0030

このように、本実施形態においては、単体ではさほど大きな磁力を持たない複数の磁石片(基礎磁石片60a、先端磁石片60b)を組み合わせた磁界形成用磁石60を用いることにより、磁界形成用磁石60全体としては十分な大きさの磁束密度を得ることができ、検出信号からノイズを十分に除去することができる。そして、単体ではさほど大きな磁力を持たない磁石片は、寸法もさほど大きくないため、磁界形成用磁石60全体としても寸法がさほど大きくならない。そのため、この磁界形成用磁石60を用いた渦電流探傷装置40は、小さな傷を発見することに適したものとなり、また重量も重くならないため検査対象物30の表面上を移動させやすい。

0031

また本実施形態によれば、図4に示す通り寸法の異なる直方体型ブロック形状)の磁石片を複数組み合わせることで、磁界形成用磁石60全体として先細り形状を得ることができる。そのため、基礎磁石片60aおよび先端磁石片60bの材料が例えばサマリウムコバルト磁石などの加工が難しい物質であったとしても、磁石片を複雑な形状に加工する必要はなく、比較的製造しやすいブロック形状の磁石片を用意すればよい。したがって磁界形成用磁石60の製造が行いやすい。

0032

なお本実施形態においては、図4に示すように基礎磁石片60aとして直方体型の外形を持つ棒状の磁石片を用いている。図4では基礎磁石片60aの取付面63は先端側磁石片60bの図中上側面よりも大きくなっているが、基礎磁石片60aと先端磁石片60bの形状はこれに限るものではない。基礎磁石片60aの材料が加工を施し易い物質であるならば、例えば図5に示すように、基礎磁石片60aの長手方向一端側に、先端へ向けて窄まっていく傾斜部65を設けてもよい。基礎磁石片60aがこのような形状であると、図5に示す通り、傾斜部65と取付面63とによる外形が台形状になる。この場合、取付面63と先端側磁石片60bの図中上側面とを同じ大きさにすることができる。またこの場合、先端磁石片60bが直方体型であると、取付面63と先端磁極面62とが同じ大きさになる。

0033

また本実施形態においては、図4に示すように磁界形成用磁石60が基礎磁石片60aと先端磁石片60bの2つの磁石片で構成されているが、3つ以上の磁石片で磁界形成用磁石60が構成されてもよい。例えば図6に示すように、基礎磁石片60aと先端磁石片60bとの間に中間磁石片60cが配置されていてもよい。この場合、磁界形成用磁石60が全体として先細り形状となるように、基礎磁石片60a、中間磁石片60c、先端磁石片60bの順で寸法が小さくなっていくことが望ましい。図6では、中間磁石片60cの基礎磁石片60a側の面68(図中上側面)は基礎磁石片60aの基礎面64および取付面63より小さい。そして中間磁石片60cの先端磁石片60b側の面69(図中下側面)は、先端磁極面62の面積より大きい。このように3つの磁石片で磁界形成用磁石60を構成すると、2つの磁石片で磁界形成用磁石60を構成した場合よりもさらに先端磁極面62での表面磁束密度を高くすることができる。例えば図6の基礎磁石片60a、中間磁石片60c、先端磁石片60bが、それぞれ単体では表面磁束密度が500mTである場合に、図6のように各磁石片を組み合わせれば、先端磁極面62において600mTもの表面磁束密度を得ることも可能である。

0034

また本実施形態においては、磁界形成用磁石60が先細り形状となるものとしているが、全体として先端磁極面62における表面磁束密度が大きくなるのであれば、磁界形成用磁石60の立体的な形状はどのようなものでもよい。例えば磁界形成用磁石60は図7に示すような形状でも図8に示すような形状であってもよい。図7に示すように、先端磁極面62内で直交する2つの方向をそれぞれX方向(幅方向)およびY方向(奥方向)とするとき、図7では基礎磁石片60a、中間磁石片60c、先端磁石片60bの順にX方向寸法が小さくなっていく一方で、Y方向寸法はどの磁極片も等しくなっている。一方、図8では基礎磁石片60a、中間磁石片60c、先端磁石片60bの順に、X方向寸法もY方向寸法も小さくなっている。つまり、X方向においてもY方向においても、中間磁石片60cの基礎磁石片60a側の面68(図中上側面)は基礎磁石片60aの取付面63より小さく、中間磁石片60cの先端磁石片60b側の面69(図中下側面)は、先端磁極面62よりも大きい。基礎磁石片60aのうち先端磁石片60bの側に向けられる面(取付面63)を基準に考えると、取付面63のX方向寸法(幅方向寸法)およびY方向寸法(奥方向寸法)が、それぞれ先端磁極面62のX方向寸法およびY方向寸法よりも大きくなっている。図8の形状であれば、先端磁石片60bの寸法が基礎磁石片60aに対して非常に小さくなるため、図7の形状に比べて先端磁極面62での表面磁束密度がより大きくなる。また、図面には各磁石片の断面が四角形状となる形態を示しているが、各磁石片の形状はこれに限るものではなく、各磁石片は断面が円形となる形状であってもよい。

0035

また本実施形態においては、特に図1に示すキャニスタ20、特にオーステナイト系ステンレス鋼を材料として製造されたものを検査対象物30としているが、検査対象物30はこれに限るものではなく、渦電流探傷装置40は表面に渦電流が発生する物質全般の探傷のために用いることができる。

0036

また渦電流探傷装置40の検出部54は検査対象物30表面に発生する渦電流の変化を検出できるものであればよく、具体的な形態は様々なものが利用可能である。例えば大きな励磁コイルで一様な渦電流を発生させ、その下方に配置され励磁コイルと中心軸が直交する小さな検出コイルで渦電流の変化を検出するものとしてもよい。また一つの励磁コイルを挟むように二つの検出コイルを配置して、二つの検出コイルに流れる電流の差を検出信号として得る形態であったり、インピーダンスの変化に着目することにより励磁コイルと検出コイルの役割を一つのコイルで兼用できる形態であったりしてもよい。

0037

また本実施形態においては、基礎磁石片60aと先端磁石片60b(および中間磁石片60c)は互いに磁力によって固定されるので、固定のために他の部材を用いる必要はない。しかし、外部からの力を受けた場合にも基礎磁石片60aと先端磁石片60bとがズレないようにしたい場合、各磁石片同士の間に金属の接着に適した接着剤(2液型エポキシ系接着剤など)が塗布されていてもよい。また各磁石片がズレないようにするために、磁界形成用磁石60の外面形状に沿うように作られたカバーが磁界形成用磁石60に被せられてもよい。

0038

10コンクリートキャスク
20キャニスタ
30検査対象物
40渦電流探傷装置
50検査プローブ
60磁界形成用磁石
60a基礎磁石片
60b先端磁石片
62先端磁極面
64 基礎面

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

関連する公募課題一覧

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ