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技術 焼却炉用熱電対の保護管用構造体及びその製造方法

出願人 株式会社フルヤ金属
発明者 丸子智弘宮澤智明岩本祐一
出願日 2017年9月27日 (2年9ヶ月経過) 出願番号 2017-187012
公開日 2019年4月18日 (1年2ヶ月経過) 公開番号 2019-060002
状態 未査定
技術分野 その他の表面処理 積層体(2) 金属質材料の表面への固相拡散
主要キーワード アルミナイズ処理 アルミニウム拡散層 処理実施後 耐熱構造体 耐酸化皮膜 粉末材 耐熱性皮膜 アルミニウム酸化物皮膜
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重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2019年4月18日)のものです。
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図面 (8)

課題

本開示の目的は、基材との密着性がよく、かつクラックなどの発生や剥離を抑制し、設計に準じた機能を発揮できる表面層を持ち、耐酸化性耐摩耗性が向上した焼却炉熱電対保護管用構造体を供給することである。

解決手段

本発明に係る保護管用構造体は、保護管の形状を有する基材と、基材の少なくとも表面側の面に結合している少なくとも2層以上の中間層と、中間層の表面に結合している表面層と、を有し、基材は、クロム又はクロム合金不可避不純物とからなり、表面層は、基材に含まれる元素A群のうち少なくとも1種と、元素B群のうち少なくとも2種とを含む合計3種以上の元素を含む合金からなり、合計3種以上の元素のひとつはクロムであり、かつ、表面層は、合金からなる相に前記B群元素のうち1種の元素の酸化物であるセラミックスが分散している組織を有している。

概要

背景

一般的な耐熱構造体が用いられる高温環境の中には酸化性雰囲気を伴っている場合がある。また、さらに過酷な環境としては、炉内に対流が生じており、かつその対流に乗ってスケールが舞っているような環境も見られる。これらの環境は、構造体に対して、高温による熱劣化酸化性雰囲気による劣化を引き起こし、また、対流に乗ったスケールがぶつかることによる摩耗などによって激しい損耗を発生させるので、短寿命化要因となる。そのため頻繁に該当部材を購入交換する必要性が生じ、大きなコストを発生させている。従来、基材耐熱性及び耐食性などを向上させる手段として、基材の表面に耐熱性及び耐食性のあるセラミックスなどの材料をコーティングすることが知られている。セラミックスを含む表面層を形成する方法として、溶射技術やアルミナイズなどのコーティング技術が挙げられる。

例えば、基材の表面に、基材の材料とは異なる組成粉末セラミックスノズルまたはプラスチックノズルから吹き付ける際に、基材の表面に基材の材料または皮膜の材料と結合力に優れた中間層を形成する異種材料複合部材の製造方法の開示がある(例えば特許文献1を参照。)。

また、耐熱合金の基材表面に、少なくともAl又はSiを含む合金層中に酸化物の繊維および粒子が分散された耐酸化皮膜が形成されている耐熱合金の耐酸化被覆構造の開示がある(例えば特許文献2を参照。)。

また、Cr:10〜30wt%、Ti、Nb、V、Zrのうち少なくとも1種類:0.6wt%以下、C:0.1wt%以下、N:0.05wt%以下、Si:2.0wt%以下、Mn:2.0wt%以下、残部が鉄および不可避的不純物からなるステンレス鋼の基材と、鉄−クロムアルミニウムからなるアルミニウム拡散層と0.3〜5.0μm厚アルミニウム酸化物皮膜とからなる表面絶縁性に優れたヒーター材料の開示がある(例えば特許文献3を参照。)。

また、母材金属粉末耐熱性皮膜形成粉末材等の混合粉末内に埋没させて高温加熱して形成する高温用耐摩耗部材において、母材の皮膜層の硬さをHv700以上、皮膜厚さを0.03mm以上、表面のアルミニウム濃度を10%以上とする高温用耐摩耗部材の開示がある(例えば特許文献4を参照。)。特許文献4では、皮膜層にはアルミナが形成されているとの開示がある。

さらにカロライジング処理を施すことにより、表面に、最表面のAl濃度が10〜50重量%のAl拡散浸透層を設けてなる金属製のガス浸炭炉部品及び冶具の開示がある(例えば特許文献5を参照。)。

概要

本開示の目的は、基材との密着性がよく、かつクラックなどの発生や剥離を抑制し、設計に準じた機能を発揮できる表面層を持ち、耐酸化性耐摩耗性が向上した焼却炉熱電対保護管用構造体を供給することである。本発明に係る保護管用構造体は、保護管の形状を有する基材と、基材の少なくとも表面側の面に結合している少なくとも2層以上の中間層と、中間層の表面に結合している表面層と、を有し、基材は、クロム又はクロム合金不可避不純物とからなり、表面層は、基材に含まれる元素A群のうち少なくとも1種と、元素B群のうち少なくとも2種とを含む合計3種以上の元素を含む合金からなり、合計3種以上の元素のひとつはクロムであり、かつ、表面層は、合金からなる相に前記B群元素のうち1種の元素の酸化物であるセラミックスが分散している組織を有している。

目的

そこで本開示の目的は、基材との密着性がよく、かつクラックなどの発生や剥離を抑制し、設計に準じた機能を発揮できる表面層を持ち、耐酸化性・耐摩耗性が向上した焼却炉用熱電対の保護管用構造体を供給することである

効果

実績

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請求項1

焼却炉熱電対保護管の形状を有する基材と、該基材の少なくとも表面側の面に結合している少なくとも2層以上の中間層と、該中間層の表面に結合している表面層と、を有する焼却炉用熱電対の保護管用構造体であって、前記基材は、クロム又はクロム合金不可避不純物とからなり、前記表面層は、前記基材に含まれる元素A群のうち少なくとも1種と、元素B群のうち少なくとも2種とを含む合計3種以上の元素を含む合金からなり、合計3種以上の元素のひとつはクロムであり、かつ、前記表面層は、前記合金からなる相に前記B群元素のうち1種の元素の酸化物であるセラミックスが分散している組織を有していることを特徴とする焼却炉用熱電対の保護管用構造体。

請求項2

前記中間層のうち表面層側中間層は少なくとも1層であり、前記表面層側中間層は膜厚方向において組成が均一な層であり、かつ、前記表面層側中間層の各厚みが1〜200μmであることを特徴とする請求項1に記載の焼却炉用熱電対の保護管用構造体。

請求項3

前記中間層のうち基材側中間層は少なくとも1層であり、前記基材側中間層は前記基材の組成と前記表面層側中間層の組成の間の組成であり、かつ、前記基材側中間層の各厚みが10〜200μmであることを特徴とする請求項2に記載の焼却炉用熱電対の保護管用構造体。

請求項4

前記中間層のうち基材側中間層は少なくとも1層であり、前記基材側中間層は前記基材の組成と前記表面層側中間層の組成とを連続的につなぐ傾斜機能層であり、かつ、前記基材側中間層の各厚みが10〜200μmであることを特徴とする請求項2に記載の焼却炉用熱電対の保護管用構造体。

請求項5

前記中間層の総厚みが11〜400μmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の焼却炉用熱電対の保護管用構造体。

請求項6

前記表面層に分散しているセラミックスは、表面に垂直な断面において、粒径1〜50μmの範囲にあるセラミックス粒子面積比で40%以上を占めていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の焼却炉用熱電対の保護管用構造体。

請求項7

前記表面層の厚みが10〜200μmであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の焼却炉用熱電対の保護管用構造体。

請求項8

前記表面層側から測定した前記構造体の硬さがビッカース硬度で400Hv以上であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の焼却炉用熱電対の保護管用構造体。

請求項9

前記中間層は、Fe、Ni、Pdの少なくとも1種を含み、Fe、Ni、Pdの少なくとも1種は元素B群に属することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の焼却炉用熱電対の保護管用構造体。

請求項10

前記表面層に分散している前記セラミックスはBe、Mg、Al、Si、Ca、Ti、Cr、Zr、Hf、La、Ce、Y、Scのうち少なくとも1つの元素の酸化物と不可避不純物とからなることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一つに記載の焼却炉用熱電対の保護管用構造体。

請求項11

請求項1〜10のいずれか一つに記載の焼却炉用熱電対の保護管用構造体の製造方法であって、クロム又はクロム合金と不可避不純物とからなる基材の表面に、堆積拡散又は含浸によって元素B群のうちの少なくとも1種を含む前処理層を形成する第1工程と、前記前処理層の表面を、元素B群のうちの他の少なくとも1種である元素で被覆することによって被覆層を形成する第2工程と、前記基材と前記前処理層と前記被覆層とを合金化させることによって、前記中間層及び前記表面層を形成する第3工程と、を有し、前記表面層の合金は、前記基材由来の元素A群のうち少なくとも1種と、前記前処理層に由来する元素B群のうちの少なくとも1種と、前記被覆層に由来する元素B群のうちの他の少なくとも1種とを含む合計3種以上の元素を含む合金であり、かつ、合計3種以上の元素のひとつはクロムであり、前記表面層にはセラミックスが分散しており、前記セラミックスは、前記被覆層に由来する元素の酸化物であることを特徴とする焼却炉用熱電対の保護管用構造体の製造方法。

請求項12

前記堆積、拡散又は含浸は、メッキ溶射拡散接合又は熱拡散の少なくともいずれか一つによって行われることを特徴とする請求項11に記載の焼却炉用熱電対の保護管用構造体の製造方法。

請求項13

前記前処理層を形成する第1工程において、前記基材に1〜100μmの少なくとも1層の層を堆積、拡散または含浸させることを特徴とする請求項11又は12の焼却炉用熱電対の保護管用構造体の製造方法。

請求項14

前記前処理層を形成する第1工程において、堆積、拡散または含浸される材質がFe、Ni、Pd、Fe合金Ni合金又はPd合金、及び不可避不純物を含むことを特徴とする請求項11〜13のいずれか一つに記載の焼却炉用熱電対の保護管用構造体の製造方法。

技術分野

0001

本開示は、耐熱性及び耐食性に優れた焼却炉熱電対保護管用構造体及びその製造方法に関する。

背景技術

0002

一般的な耐熱構造体が用いられる高温環境の中には酸化性雰囲気を伴っている場合がある。また、さらに過酷な環境としては、炉内に対流が生じており、かつその対流に乗ってスケールが舞っているような環境も見られる。これらの環境は、構造体に対して、高温による熱劣化酸化性雰囲気による劣化を引き起こし、また、対流に乗ったスケールがぶつかることによる摩耗などによって激しい損耗を発生させるので、短寿命化要因となる。そのため頻繁に該当部材を購入交換する必要性が生じ、大きなコストを発生させている。従来、基材の耐熱性及び耐食性などを向上させる手段として、基材の表面に耐熱性及び耐食性のあるセラミックスなどの材料をコーティングすることが知られている。セラミックスを含む表面層を形成する方法として、溶射技術やアルミナイズなどのコーティング技術が挙げられる。

0003

例えば、基材の表面に、基材の材料とは異なる組成粉末セラミックスノズルまたはプラスチックノズルから吹き付ける際に、基材の表面に基材の材料または皮膜の材料と結合力に優れた中間層を形成する異種材料複合部材の製造方法の開示がある(例えば特許文献1を参照。)。

0004

また、耐熱合金の基材表面に、少なくともAl又はSiを含む合金層中に酸化物の繊維および粒子が分散された耐酸化皮膜が形成されている耐熱合金の耐酸化被覆構造の開示がある(例えば特許文献2を参照。)。

0005

また、Cr:10〜30wt%、Ti、Nb、V、Zrのうち少なくとも1種類:0.6wt%以下、C:0.1wt%以下、N:0.05wt%以下、Si:2.0wt%以下、Mn:2.0wt%以下、残部が鉄および不可避的不純物からなるステンレス鋼の基材と、鉄−クロムアルミニウムからなるアルミニウム拡散層と0.3〜5.0μm厚アルミニウム酸化物皮膜とからなる表面絶縁性に優れたヒーター材料の開示がある(例えば特許文献3を参照。)。

0006

また、母材金属粉末耐熱性皮膜形成粉末材等の混合粉末内に埋没させて高温加熱して形成する高温用耐摩耗部材において、母材の皮膜層の硬さをHv700以上、皮膜厚さを0.03mm以上、表面のアルミニウム濃度を10%以上とする高温用耐摩耗部材の開示がある(例えば特許文献4を参照。)。特許文献4では、皮膜層にはアルミナが形成されているとの開示がある。

0007

さらにカロライジング処理を施すことにより、表面に、最表面のAl濃度が10〜50重量%のAl拡散浸透層を設けてなる金属製のガス浸炭炉部品及び冶具の開示がある(例えば特許文献5を参照。)。

先行技術

0008

特開2009‐191345号公報
特開2008‐069403号公報
特開平5‐283149号公報
特開2003‐129217号公報
特開平10‐168555号公報

発明が解決しようとする課題

0009

特許文献1〜5では基材の表面をコーティング膜被覆する技術が開示されている。しかしながら、いずれのコーティング技術においても基材と表面層との密着性が課題となっている。基材とコーティング層との密着性が充分でなければ、容易にクラックが発生し、基材からコーティング層が剥離し、剥離箇所からの熱劣化、腐蝕、摩耗が発生してしまう。また、基材と表面層との相性が悪いと、表面層の膜厚組成分布が狙い通りに形成されない場合もあり、表面層は充分な機能を発揮できず、長寿命化を充分に達成できないこととなる。

0010

例えば、溶射によって形成された膜と基材との間には拡散層などの中間層が存在せず、密着性は基材表面の凹凸によるアンカー効果のみの結合力に依存する。このような結合状態の場合、基材と膜との熱膨張率の差によって容易にクラックなどが発生し、剥離に至る。

0011

また、鉄やニッケルなどの金属基材に対してアルミナイズ処理を行う手法の場合、膜と基材との間に拡散層が形成され、強固な結合が達成されている。しかし、クロムおよびクロム合金に対して同様の処理を行った場合、生成した膜にはクラックや剥離が多数発生しており、品質の悪いものとなってしまう。

0012

そのため、保護膜を有する構造体であって、膜の剥離を生じないように密着性を改善しつつ、耐熱性・耐酸化性耐摩耗性などの特性を、基材が本来持ち合わせている特性よりも向上させることができる構造体は容易には得られていないのが現状である。

0013

そこで本開示の目的は、基材との密着性がよく、かつクラックなどの発生や剥離を抑制し、設計に準じた機能を発揮できる表面層を持ち、耐酸化性・耐摩耗性が向上した焼却炉用熱電対の保護管用構造体を供給することである。

課題を解決するための手段

0014

本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討したところ、焼却炉用熱電対の保護管用構造体において、基材の表面に2層以上の中間層と表面層としてセラミックスが分散している合金層とを設けることで、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成させた。すなわち本発明に係る焼却炉用熱電対の保護管用構造体は、焼却炉用熱電対の保護管の形状を有する基材と、該基材の少なくとも表面側の面に結合している少なくとも2層以上の中間層と、該中間層の表面に結合している表面層と、を有する焼却炉用熱電対の保護管用構造体であって、前記基材は、クロム又はクロム合金と不可避不純物とからなり、前記表面層は、前記基材に含まれる元素A群のうち少なくとも1種と、元素B群のうち少なくとも2種とを含む合計3種以上の元素を含む合金からなり、合計3種以上の元素のひとつはクロムであり、かつ、前記表面層は、前記合金からなる相に前記B群元素のうち1種の元素の酸化物であるセラミックスが分散している組織を有していることを特徴とする。

0015

本発明に係る焼却炉用熱電対の保護管用構造体では、前記中間層のうち表面層側中間層は少なくとも1層であり、前記表面層側中間層は膜厚方向において組成が均一な層であり、かつ、前記表面層側中間層の各厚みが1〜200μmであることが好ましい。基材側中間層と表面層との密着性を向上させることができる。

0016

本発明に係る焼却炉用熱電対の保護管用構造体では、前記中間層のうち基材側中間層は少なくとも1層であり、前記基材側中間層は前記基材の組成と前記表面層側中間層の組成の間の組成であり、かつ、前記基材側中間層の各厚みが10〜200μmであることが好ましい。前記表面層側中間層と基材との密着性をさらに向上させることができる。

0017

本発明に係る焼却炉用熱電対の保護管用構造体では、前記中間層のうち基材側中間層は少なくとも1層であり、前記基材側中間層は前記基材の組成と前記表面層側中間層の組成とを連続的につなぐ傾斜機能層であり、かつ、前記基材側中間層の各厚みは10〜200μmであることが好ましい。前記表面層側中間層と基材との密着性をさらに向上させることができる。

0018

本発明に係る焼却炉用熱電対の保護管用構造体では、前記中間層の総厚みが11〜400μmであることが好ましい。表面層と基材との密着性が高まり、剥離、クラックの発生が少ない。

0019

本発明に係る焼却炉用熱電対の保護管用構造体では、前記表面層に分散しているセラミックスは、表面に垂直な断面において、粒径1〜50μmの範囲にあるセラミックス粒子面積比で40%以上を占めていることが好ましい。構造体の耐酸化性・耐摩耗性が向上し、長寿命化を充分に達成できる。

0020

本発明に係る焼却炉用熱電対の保護管用構造体では、前記表面層の厚みが10〜200μmであることが好ましい。構造体の耐酸化性・耐摩耗性が向上し、表面層での剥離、クラックの発生が少ない。

0021

本発明に係る焼却炉用熱電対の保護管用構造体では、前記表面層側から測定した前記構造体の硬さがビッカース硬度で400Hv以上であることが好ましい。構造体の摩耗を抑制することができる。

0022

本発明に係る焼却炉用熱電対の保護管用構造体では、前記中間層は、Fe、Ni、Pdの少なくとも1種を含み、Fe、Ni、Pdの少なくとも1種は元素B群に属することが好ましい。表面層と基材とを強固に結合し、剥離、クラックの発生が抑えられている。

0023

本発明に係る焼却炉用熱電対の保護管用構造体では、前記表面層に分散している前記セラミックスはBe、Mg、Al、Si、Ca、Ti、Cr、Zr、Hf、La、Ce、Y、Scのうち少なくとも1つの元素の酸化物と不可避不純物とからなることが好ましい。構造体の耐酸化性・耐摩耗性がさらに向上する。

0024

本発明に係る焼却炉用熱電対の保護管用構造体の製造方法は、本発明に係る焼却炉用熱電対の保護管用構造体の製造方法であって、クロム又はクロム合金と不可避不純物とからなる基材の表面に、堆積拡散又は含浸によって元素B群のうちの少なくとも1種を含む前処理層を形成する第1工程と、前記前処理層の表面を、元素B群のうちの他の少なくとも1種である元素で被覆することによって被覆層を形成する第2工程と、前記基材と前記前処理層と前記被覆層とを合金化させることによって、前記中間層及び前記表面層を形成する第3工程と、を有し、前記表面層の合金は、前記基材由来の元素A群のうち少なくとも1種と、前記前処理層に由来する元素B群のうちの少なくとも1種と、前記被覆層に由来する元素B群のうちの他の少なくとも1種とを含む合計3種以上の元素を含む合金であり、かつ、合計3種以上の元素のひとつはクロムであり、前記表面層にはセラミックスが分散しており、前記セラミックスは、前記被覆層に由来する元素の酸化物であることを特徴とする。

0025

本発明に係る焼却炉用熱電対の保護管用構造体の製造方法は、前記堆積、拡散又は含浸は、メッキ、溶射、拡散接合又は熱拡散の少なくともいずれか一つによって行われることが好ましい。基材に対して密着性のよい前処理層を形成することができる。

0026

本発明に係る焼却炉用熱電対の保護管用構造体の製造方法では、前記前処理層を形成する第1工程において、前記基材に1〜100μmの少なくとも1層の層を堆積、拡散または含浸させることが好ましい。好適な膜厚の中間層と表面層を形成することができる。

0027

本発明に係る焼却炉用熱電対の保護管用構造体の製造方法では、前記前処理層を形成する第1工程において、堆積、拡散または含浸される材質がFe、Ni、Pd、Fe合金Ni合金又はPd合金、及び不可避不純物を含むことが好ましい。表面層と基材とを強固に結合する中間層を形成することができる。

発明の効果

0028

本開示によれば、基材との密着性がよく、かつクラックなどの発生や剥離を抑制し、設計に準じた機能を発揮できる表面層を持ち、耐酸化性・耐摩耗性が向上した焼却炉用熱電対の保護管用構造体を供給することができる。

図面の簡単な説明

0029

本実施形態に係る焼却炉用熱電対の保護管用構造体の概略図である。
実施例1の前処理実施後の断面SEM画像である。
実施例1の表面層形成後の断面SEM画像である。
実施例1の表面層形成後の断面における組成分布グラフである。
実施例2の前処理実施後の断面SEM画像である。
実施例2の表面層形成後の断面SEM画像である。
実施例2の表面層形成後の断面における組成分布グラフである。

0030

以降、本発明について実施形態を示して詳細に説明するが本発明はこれらの記載に限定して解釈されない。本発明の効果を奏する限り、実施形態は種々の変形をしてもよい。

0031

(焼却炉用熱電対の保護管用構造体)
まず、本実施形態に係る焼却炉用熱電対の保護管用構造体の製造方法について説明する。図1に示すように、本実施形態に係る焼却炉用熱電対の保護管用構造体1は、焼却炉用熱電対の保護管の形状を有する基材2と、基材2の少なくとも表面側の面に結合している少なくとも2層以上の中間層3と、中間層3の表面に結合している表面層4と、を有する。

0032

図1では、保護管用構造体1の中間層3が基材側中間層3aと表面層側中間層3bの2つの中間層を有している形態を示したが、中間層3が3つ以上の中間層を有している形態であってもよい。また、図1では、保護管形状の基材2の表面側に中間層3及び表面層4有する形態を示したが、保護管の表面側及び管の内面側の両方に中間層3及び表面層4を有する形態であってもよい。さらに保護管の開口部の端面に中間層3及び表面層4を設けてもよい。

0033

本実施形態に係る焼却炉用熱電対の保護管用構造体1では、基材2は、クロム又はクロム合金と不可避不純物とからなり、表面層4は、基材2に含まれる元素A群のうち少なくとも1種と、元素B群のうち少なくとも2種とを含む合計3種以上の元素を含む合金からなり、合計3種以上の元素のひとつはクロムであり、かつ、表面層4は、前記合金からなる相にB群元素のうち1種の元素の酸化物であるセラミックスが分散している組織を有している。

0034

基材2は、クロム又はクロム合金と不可避不純物とからなる。クロム合金に含まれる金属としては、Crを必須とし、Fe、W、Nb、Tiなどの金属である。クロム合金は、含有される元素の中ではCrが原子百分率(at%)で最も多く含まれていることを特徴とする。クロム合金は耐熱性合金として、例えば焼却炉内部の温度を測る熱電対の保護管に用いられるが、充分な耐酸化性・耐摩耗性がなく、寿命が短い。この問題を解決するために本発明が有効である。例えば焼却炉などの高温かつ酸化性雰囲気、さらにスケールを含む対流が発生しているような環境下で使用される熱電対の保護管として適性がある。

0035

元素A群は基材2に含まれる元素であり、Cr、Fe、W、Nb及びTiから選ばれる少なくとも1種の元素である。元素B群は、例えば、基材2又は製造過程における前処理層及び/または被覆層に由来する元素であり、Fe、Ni、Pd、Be、Mg、Al、Si、Ca、Ti、Cr、Zr、Hf、La、Ce、Y及びScから選ばれる少なくとも2種である。Cr、Fe及びTiは、元素A群と元素B群の両方に属しているが、これらの元素が選択される場合には、基材2に由来してもよく、或いは前処理層に由来してもよく、被覆層に由来してもよく、基材2及び前処理層に由来してもよく、基材2及び被覆層に由来してもよく、前処理層及び被覆層に由来してもよく、基材及び前処理層及び被覆層に由来してもよい。表面層4は、元素A群のうち少なくとも1種と、元素B群のうち少なくとも2種とを含む合計3種以上の元素を含む合金(以降、合金Xともいう。)からなるが、合計3種以上の元素のひとつは必ずCrである。

0036

表面層4は、合金Xからなる相にB群元素のうち1種の元素の酸化物であるセラミックスが分散している組織を有している。構造体の耐酸化性・耐摩耗性がさらに向上する。元素B群のうちセラミックス化する元素は、例えば、Be、Mg、Al、Si、Ca、Ti、Cr、Zr、Hf、La、Ce、Y、Scである。ある元素がセラミックス化しても、合金Xからなる相には、合計3種以上の元素が含まれている。すなわち、セラミックス化した元素は、セラミックスとマトリックスである合金相の両方に存在している。なお、セラミックスには、不可避不純物の酸化物も含まれる場合がある。

0037

合金相Xとセラミックスの好ましい組み合わせとしては、例えば、合金相(Cr、Al、Fe)及びセラミックス(Al2O3)の組み合わせである。

0038

表面層4に分散しているセラミックスは、表面に垂直な断面において、粒径1〜50μmの範囲にあるセラミックス粒子が面積比で40%以上を占めていることが好ましい。電子顕微鏡における観察において、視野に含まれる粒子の80%以上(ただし、個数比率)が粒径1〜50μmの範囲にあることが好ましい。粒径の範囲は、より好ましくは1〜40μmの範囲、さらに好ましくは1〜20μmの範囲である。粒径が1μm未満のセラミックス粒子が多くなると耐酸化性・耐摩耗性の向上に充分に寄与できない場合がある。一方、粒径が50μmを超えるセラミックス粒子が多くなると径の大きすぎるセラミックスは脱離やクラックの要因となる。セラミックス粒子の面積比は40%以上が好ましく、より好ましくは50%以上、さらに好ましくは60%以上である。構造体の耐酸化性・耐摩耗性が向上し、長寿命化を充分に達成できる。セラミックスが占める面積が40%未満の場合は耐酸化性・耐摩耗性の向上に充分に寄与できない。

0039

表面層4の厚みが10〜200μmであることが好ましく、より好ましくは10〜150μm、さらに好ましくは10〜100μmである。構造体の耐酸化性・耐摩耗性が向上し、表面層での剥離、クラックの発生が少ない。表面層4の厚みが10μm未満であると耐酸化性・耐摩耗性の向上に充分に寄与できず、200μmを超えると表面層4の脱離やクラックの要因となる。

0040

本実施形態に係る焼却炉用熱電対の保護管用構造体1では、中間層3のうち表面層側中間層3bは少なくとも1層であり、表面層側中間層3bは膜厚方向において組成が均一な層であり、かつ、表面層側中間層3bの各厚みが1〜100μmであることが好ましい。表面層と基材側中間層3aとの密着性を向上させることができる。図1では、表面層側中間層3bが1層である形態を図示したが、2層以上であってもよい。表面層側中間層3bが1層である場合、膜厚方向において組成が均一な層であり、その厚みは1〜200μmであることが好ましく、より好ましくは1〜150μm、さらに好ましくは1〜100μmである。表面層側中間層3bが2層以上である場合、各層においてそれぞれ膜厚方向において組成が均一な層であり、その厚みは1〜200μmであることが好ましく、より好ましくは1〜150μm、さらに好ましくは1〜100μmである。表面層側中間層3bが2層以上である場合、各層は互いに異なる組成を有するが、それぞれ膜厚方向において組成が均一な層となっている。組成が均一な層の「均一」とは、SEM−EDXでの観察において、層内でブレが±10%を超える組成の偏在が存在しないことをいう。

0041

中間層3は、Fe、Ni、Pdの少なくとも1種を含み、Fe、Ni、Pdの少なくとも1種は元素B群に属することが好ましい。表面層と基材とを強固に結合し、剥離、クラックの発生が抑えられている。

0042

本実施形態に係る焼却炉用熱電対の保護管用構造体1では、中間層3のうち基材側中間層3aは少なくとも1層であり、基材側中間層3aは基材2の組成と表面層側中間層3bの組成の間の組成を有している。また、より好ましくは基材側中間層3aは基材2の組成と表面層側中間層3bの組成とを連続的につなぐ傾斜機能層である。基材側中間層3aの各厚みは10〜200μmであることが好ましい。表面層と基材との密着性をさらに向上させることができる。図1では、基材側中間層3aが1層である形態を図示したが、2層以上であってもよい。基材側中間層3aが1層である場合、その基材側中間層3aが基材2の組成と表面層側中間層3bの組成の間の組成を有するか、基材2の組成と表面層側中間層3bの組成とを連続的につなぐ傾斜機能層となる。基材側中間層3aが2層以上である場合、その2層以上が全体として、基材2の組成と表面層側中間層3bの組成の間の組成を有するか、基材2の組成と表面層側中間層3bの組成とを連続的につなぐ傾斜機能層となっており、かつ、2層以上の各層との間に、何らかの境界が見出される。基材側中間層3aの各厚みは、より好ましくは10〜150μm、さらに好ましくは10〜100μmである。

0043

中間層3の総厚みが11〜400μmであることが好ましい。より好ましくは11〜300μm、さらに好ましくは11〜200μmである。表面層と基材との密着性が高まり、中間層での剥離、クラックの発生が少ない。中間層3の総厚みが11μm未満であると、中間層としての充分な機能を発揮できず、クラックなどの発生を充分に抑制できない。中間層3の総厚みが400μmを超えると保護管用構造体の製品径(以降、径ともいう。)の増加が大きくなりすぎるため、構造体としての取り扱いに支障をきたす。

0044

本実施形態に係る焼却炉用熱電対の保護管用構造体1では、表面層4側から測定した構造体1の硬さがビッカース硬度で400Hv以上であることが好ましい。より好ましくは500Hv以上である。構造体の摩耗を抑制することができる。測定条件は、表面層4を形成した構造体1の表面から2.5kgの荷重でビッカース硬度をJIS Z 2244に従って測定する。ビッカース硬度が400Hv未満の場合、耐摩耗性の向上に充分に寄与することができない場合がある。

0045

本発明に係る焼却炉用熱電対の保護管用構造体では、前記中間層は、Fe、Ni、Pdの少なくとも1種を含み、Fe、Ni、Pdの少なくとも1種は元素B群に属することが好ましい。表面層と基材とを強固に結合し、剥離、クラックの発生が抑えられている。

0046

基材2、中間層3及び表面層4の具体的な組成の組み合わせについて例示する。基材2の材質はクロム又はクロム合金である。基材側中間層3aは基材2と中間層3bの間の組成もしくは傾斜組成を有し、基材側中間層3a内において基材2から表面層側中間層3bへ向かって、Cr「多」からCr「少」に組成が変化する。また、基材側中間層3a内において基材2から表面層側中間層3bへ向かって、Al「少」からAl「多」に組成が変化する。また、基材側中間層3a内において基材2から表面層側中間層3bへ向かって、Fe「少」からFe「多」に組成が変化する。表面層側中間層3bは均一組成層であり、FeとCrとAlを含有する。なお、Feの存在比率(at%)は表面層側中間層3bの方が基材側中間層3aよりも高い。Crの存在比率(at%)は表面層側中間層3bの方が基材側中間層3aよりも低い。Alの存在比率(at%)は表面層側中間層3bの方が基材側中間層3aよりも高い。ただし、Alの存在比率(at%)は表面層4の方が表面層側中間層3bよりも高い。表面層4の合金Xは、Al‐Fe‐Cr合金であり、セラミックスはアルミナ粒子である。アルミナ粒子は、表面層4のみに存在する。

0047

(焼却炉用熱電対の保護管用構造体の製造方法)
次に、本実施形態に係る焼却炉用熱電対の保護管用構造体の製造方法について説明する。本実施形態に係る焼却炉用熱電対の保護管用構造体の製造方法は、クロム又はクロム合金と不可避不純物とからなる基材の表面に、堆積、拡散又は含浸によって元素B群のうちの少なくとも1種を含む前処理層を形成する第1工程と、前記前処理層の表面を、元素B群のうちの他の少なくとも1種である元素で被覆することによって被覆層を形成する第2工程と、前記基材と前記前処理層と前記被覆層とを合金化させることによって、前記中間層及び前記表面層を形成する第3工程と、を有する。第3工程において、前記表面層の合金は、前記基材由来の元素A群のうち少なくとも1種と、前記前処理層に由来する元素B群のうちの少なくとも1種と、前記被覆層に由来する元素B群のうちの他の少なくとも1種とを含む合計3種以上の元素を含む合金であり、かつ、合計3種以上の元素のひとつはクロムであり、前記表面層にはセラミックスが分散しており、前記セラミックスは、前記被覆層に由来する元素の酸化物である。

0048

(第1工程)
第1工程では、クロム又はクロム合金と不可避不純物とからなる基材の表面に前処理層を形成する。前処理層は、基材の表面に、堆積、拡散又は含浸によって形成する。ここで、堆積、拡散又は含浸は、メッキ、溶射、拡散接合又は熱拡散の少なくともいずれか一つによって行われることが好ましい。基材に対して密着性のよい前処理層を形成することができる。具体的には、堆積によって形成した前処理層には、例えばメッキ法又は溶射法によって基材2の表面に形成した被膜が含まれる。拡散によって形成した前処理層には、例えば拡散接合又は熱拡散によって基材2の表面に形成された接合層が含まれる。前処理層は元素B群のうちの少なくとも1種を含む。元素B群は、例えばFe、Ni、Pd、Be、Mg、Al、Si、Ca、Ti、Cr、Zr、Hf、La、Ce、Y、Scのうちの少なくとも1種である。前処理層は元素B群のうちの少なくとも1種をメッキ液、溶射粉末、箔、粉末又は融液に含ませて形成する。

0049

前処理層を形成するために、堆積、拡散または含浸される材質がFe、Ni、Pd、Fe合金、Ni合金又はPd合金、及び不可避不純物を含むことが好ましい。表面層と基材とを強固に結合する中間層を形成することができる。

0050

基材2に1〜100μmの少なくとも1層の層を前処理層として堆積、拡散または含浸させることが好ましい。好適な膜厚の中間層と表面層を形成することができる。堆積、拡散及び含浸を組み合わせて順次行うことで、2層以上の前処理層を形成してもよい。前処理層は2層以上としても全体で1〜100μmが好ましく、より好ましくは1〜75μm、さらに好ましくは1〜50μmである。前処理層が1μm未満であると、密着性向上に十分な効果がなく、100μmを超えると径の増加が大きくなりすぎるため、構造体としての取り扱いに支障をきたす。

0051

(第2工程)
前処理層の表面を、元素B群のうちの他の少なくとも1種である元素で被覆することによって被覆層を形成する。元素B群は、例えばFe、Ni、Pd、Be、Mg、Al、Si、Ca、Ti、Cr、Zr、Hf、La、Ce、Y、Scのうちの少なくとも1種であるが、前処理層に含ませた元素とは重複しないように選択される。例えば、元素B群のうち、Be、Mg、Al、Si、Ca、Ti、Cr、Zr、Hf、La、Ce、Y、Scが好ましく、より好ましくはAl、Cr、Tiである。これらの元素は合金化されたときに合金中析出するセラミックスになりやすく、耐久性の向上に寄与しやすい。

0052

被覆層は、アルミナイズ法、クロマイズ法、又はチタナイズ法によって形成する。被覆層の厚さは1〜100μmが好ましく、より好ましくは1〜75μm、さらに好ましくは1〜50μmである。被覆層が1μm未満であると、表面層の形成に十分な効果がなく、100μmを超えると径の増加が大きくなりすぎるため、構造体としての取り扱いに支障をきたす。全体の厚さが1〜100μmとなる範囲で2層以上の被覆層を形成してもよい。

0053

(第3工程)
次に基材1と前処理層と被覆層とを合金化させることによって、中間層3及び表面層4を形成する。具体的には、酸化性雰囲気で、加熱し、冷却する。表面層4の合金は、基材由来の元素A群のうち少なくとも1種と、前処理層に由来する元素B群のうちの少なくとも1種と、被覆層に由来する元素B群のうちの他の少なくとも1種とを含む合計3種以上の元素を含む合金であり、かつ、合計3種以上の元素のひとつはクロムである。表面層2にはセラミックスが分散しており、セラミックスは、被覆層に由来する元素の酸化物である。表面層4の合金にはCrが必ず含まれ、前処理層に由来する元素B群は、例えば、前処理層が金属からなる場合には前処理層に由来する元素B群は1種であり、前処理層が合金からなる場合には前処理層に由来する元素B群は2種以上となる。被覆層に由来する元素B群のうちの他の少なくとも1種は、例えば、被覆層が金属からなる場合には被覆層に由来する元素B群は1種であり、被覆層が合金からなる場合には被覆層に由来する元素B群は2種以上となる。ただし、前処理層に含まれる元素と、被覆層に含まれる元素とは重複がないようにすることが好ましい。

0054

中間層3及び表面層4とは、別々に形成するのではなく、基材1と前処理層と被覆層とを合金化させることによって、セラミックスが分散した表面層4が形成され、同時に、中間層が析出する。そして、基材1に含まれていた元素、前処理層に含まれていた元素及び被覆層に含まれていた元素が拡散することによって、中間層3及び表面層4に所定の割合で分布する。

0055

以下、実施例を示しながら本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明は実施例に限定して解釈されない。

0056

(実施例1)
外径35mm、内径8mm、長さ200mmの中空管形状を有し、66Cr‐34Fe合金製の保護管(基材ともいう。)を準備した。保護管の表面のビッカース硬度は380Hvであった。保護管の外周面鏡面研磨し、アセトン中で超音波洗浄を行った。次に、Feの箔で保護管を包み放電プラズマ焼結機を用いて加圧状態で800℃で1時間加熱し、保護管の外周面にFe含浸処理を行うことで、前処理層を形成した。図2に前処理実施後の断面SEM画像を示す。前処理層は被膜とFe拡散層からなり、その厚さの合計は30μmであった。SEM−EDXでの観察によって、前処理層には基材由来のCrと、含侵したFeが含まれることが確認された。組成は、原子百分率でCrが2at%、Feが98at%であった。また、基材へのFeの拡散も確認された(Fe拡散層)。次に、前処理層の表面に被覆層として厚さ50μmのAl層を形成した。被覆層はカロライズ法によって形成した。次に、基材であるCr合金の保護管と鉄を含む前処理層とアルミニウムの被覆層とを合金化させた。酸化性雰囲気で、加熱し、冷却した。合金化させることによって、基材側中間層3a、表面層側中間層3b及び表面層4が形成された。図3に表面層形成後の断面SEM画像を、図4に表面層形成後の断面における組成分布グラフを、表1に各層の組成を示す。また、表面層4ではセラミックス粒子と合金相が観察された。セラミックス粒子と合金相の組成を表2に示す。

0057

0058

0059

表面層4のビッカース硬度は693Hvであり、基材の表面硬度よりも高かった。表面層4のセラミックス粒子の粒径は、ほぼ揃っており、1μm未満の粒子や20μmを超える粒子も存在していたものの、それらの数は少なく、ほとんどの粒子が1〜20μmの大きさで分布していた。すなわち、走査型電子顕微鏡倍率1000倍で観察した画像観察において認識できる粒子のうち、粒径が1〜20μmの範囲にあるセラミックス粒子が、表面に垂直な断面において、面積比で40%以上を占めていた。表面層4の合金Xは、Al‐Fe‐Cr合金であり、セラミックスはアルミナ粒子であった。アルミナ粒子は、表面層4のみに存在した。表面層4において、セラミックスが占める割合は48.71%であった。なお測定は粒径測定ソフト(株式会社イノテック社製、Quick Grain)を使用し、測定したい粒とそうでない部分とを2値化によって明暗に分け、明の部分を計測した。なお、セラミックスの面積比の算出は、粒径1〜20μmのセラミックス粒子のみを用いて算出した。粒径1μm未満の微細粒子は面積への影響が小さいこと及び測定が難しいことから除外した。基材側中間層3aは基材2と表面層側中間層3bとの間の組成を有していた。基材側中間層3aには、Cr、Al、Feが含まれていた。表面層側中間層3bは均一組成層であった。層内でブレが±10%以内に収まっていた。

0060

(実施例2)
実施例1と同じ保護管を準備した。次に、Feメッキ液を用いて、電解メッキ法によって、前処理層として厚さ15μmのFe被膜を形成した。図5に前処理実施後の断面SEM画像を示す。SEM−EDXでの観察によって、前処理層にはメッキ膜のFeのみ含まれることが確認された。次に、前処理層の表面に被覆層として厚さ50μmのAl層を形成した。被覆層はカロライズ法によって形成した。次に、基材であるCr合金の保護管と鉄を含む前処理層とアルミニウムの被覆層とを合金化させた。酸化性雰囲気で、加熱し、冷却した。合金化させることによって、基材側中間層3a、表面層側中間層3b及び表面層4が形成された。図6に表面層形成後の断面SEM画像を、図7に表面層形成後の断面における組成分布グラフを、表3に各層の組成を示す。また、表面層4ではセラミックス粒子と合金相が観察された。セラミックス粒子と合金相の組成を表4に示す。

0061

0062

実施例

0063

表面層4のビッカース硬度は645Hvであり、基材の表面硬度よりも高かった。表面層4のセラミックス粒子の粒径は、ほぼ揃っており、1μm未満の粒子や20μmを超える粒子も存在していたものの、それらの数は少なく、ほとんどの粒子が1〜20μmの大きさで分布していた。すなわち、走査型電子顕微鏡で倍率1000倍で観察した画像観察において認識できる粒子のうち、粒径が1〜20μmの範囲にあるセラミックス粒子が、表面に垂直な断面において、面積比で40%以上を占めていた。表面層4の合金Xは、Al‐Fe‐Cr合金であり、セラミックスはアルミナ粒子であった。アルミナ粒子は、表面層4のみに存在した。表面層4において、セラミックスが占める割合は50.58%であった。なお測定は粒径測定ソフトを使用し、測定したい粒とそうでない部分とを2値化によって明暗に分け、明の部分を計測した。なお、セラミックスの面積比の算出は、粒径1〜20μmのセラミックス粒子のみを用いて算出した。粒径1μm未満の微細粒子は面積への影響が小さいこと及び測定が難しいことから除外した。基材側中間層3aは傾斜組成を有し、基材側中間層3a内において基材2から表面層側中間層3bへ向かって、Cr「多」からCr「少」に組成が変化した。また、基材側中間層3a内において基材2から表面層側中間層3bへ向かって、Al「少」からAl「多」に組成が変化した。また、基材側中間層3a内において基材2から表面層側中間層3bへ向かって、Fe「少」からFe「多」に組成が変化した。基材側中間層3aには、Cr、Al、Feが含まれていた。表面層側中間層3bは均一組成層であった。層内でブレが±10%以内に収まっていた。

0064

1焼却炉用熱電対の保護管用構造体
2基材
3 中間層
3a 基材側中間層
3b表面層側中間層
4 表面層

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