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技術 摩擦材組成物、摩擦材組成物を用いた摩擦材及び摩擦部材

出願人 日本ブレーキ工業株式会社
発明者 光本真理海野光朗
出願日 2018年11月21日 (7ヶ月経過) 出願番号 2018-218555
公開日 2019年4月18日 (2ヶ月経過) 公開番号 2019-059941
状態 未査定
技術分野 抗スリップ物質 ブレーキ装置
主要キーワード 粒状チタン 適用除外 バサルトファイバー チタン酸リチウムカリウム 鉄系素材 人造無機繊維 摩擦界面 摩擦面積
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2019年4月18日)のものです。
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図面 (2)

課題

銅含有率が0.5質量%を超えない環境有害性が低い組成で、良好な効き特性、耐摩耗性BTV特性を有し、さらに軽量であることで自動車燃費向上に効果的である摩擦材を与える摩擦材組成物を提供する。また、該摩擦材組成物を用いた摩擦材及び摩擦部材を提供する。

解決手段

結合材有機充填材無機充填材、及び繊維基材を含有する摩擦材組成物であり、元素としての銅含有率が0.5質量%を超えず、鉄系繊維又は鉄系粉末を1〜3質量%含有し、かつ、繊維基材としてウォラストナイトを10〜30質量%含有する摩擦材組成物。

概要

背景

自動車等には、その制動のためにディスクブレーキパッドブレーキライニング等の摩擦材が使用されている。ディスクブレーキパッドやブレーキライニング等の摩擦材は、相手材となるディスクロータブレーキドラム等と摩擦することによって制動の役割を果たす。そのため摩擦材には、使用条件に応じた適切な摩擦係数(効き特性)が求められるだけでなく、鳴きが発生しにくいこと(鳴き特性)、摩擦材の寿命が長いこと(耐摩耗性)等が要求される。また、安全性だけでなく運転時の快適性からも、ブレーキ時のトルク振動が小さいこと(BTV=Brake Torque Variation特性)が求められる。

さらに近年、燃費向上の観点で自動車の軽量化が求められており、特に効果の大きいバネ下荷重の軽量化が着目されている。従って、摩擦材の軽量化は自動車の燃費向上に有効であるが、従来の摩擦材には、銅や酸化ジルコニウムといった高比重素材が一般的に使用されている。

銅は摩擦材への熱伝導率付与、繊維形状で使用した際の補強効果付与等を目的として添加され、例えば銅繊維の減量によって高温時のマトリクス補強効果が低下し、耐摩耗性が低下してしまう。また、銅の減量によって摩擦界面熱拡散効率が低下し、相手材のディスクロータに局所的な温度勾配ヒートスポット)が形成され、トルク振動が大きくなってしまう。一方で、銅は摩耗粉として河川汚染するという観点から、摩擦材に添加しないことが望まれている。

また、酸化ジルコニウムは高融点無機充填材で、モース硬度が相手材の鋳鉄よりも高いため研削材として機能しており、減量によって摩擦係数が低下してしまう。

上記弊害の改善策として、銅繊維を他の高熱伝導素材無機繊維に、酸化ジルコニウムを他の軽量な研削材に代替する手法が検討されてきた。

例えば、銅を使用せず、低比重で熱伝導率も酸化ジルコニウムより高い研削材である酸化マグネシウムと熱伝導率が高い黒鉛を摩擦材中に45〜80体積%含有し、酸化マグネシウムと黒鉛の比率を1/1〜4/1とする方法が提案されている(特許文献1)。

また、摩擦材の補強を目的として金属繊維鉱物繊維と共に、ウォラストナイトを10〜15質量%と比較的多く添加する方法が提案されている(特許文献2)。

また、摩擦材の補強を目的として2〜30質量%の針状炭酸カルシウムを添加する方法が提案されている(特許文献3)。

概要

銅含有率が0.5質量%を超えない環境有害性が低い組成で、良好な効き特性、耐摩耗性、BTV特性を有し、さらに軽量であることで自動車の燃費向上に効果的である摩擦材を与える摩擦材組成物を提供する。また、該摩擦材組成物を用いた摩擦材及び摩擦部材を提供する。結合材有機充填材、無機充填材、及び繊維基材を含有する摩擦材組成物であり、元素としての銅含有率が0.5質量%を超えず、鉄系繊維又は鉄系粉末を1〜3質量%含有し、かつ、繊維基材としてウォラストナイトを10〜30質量%含有する摩擦材組成物。

目的

一方で、銅は摩耗粉として河川や湖を汚染するという観点から、摩擦材に添加しないことが望まれている

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

結合材有機充填材無機充填材、及び繊維基材を含有する摩擦材組成物であり、元素としての銅含有率が0.5質量%を超えず、鉄系繊維又は鉄系粉末を1〜3質量%含有し、かつ、繊維基材としてウォラストナイトを10〜30質量%含有する摩擦材組成物。

請求項2

無機充填材として酸化マグネシウムを1〜10質量%含有する、請求項1に記載の摩擦材組成物。

請求項3

無機充填材として黒鉛を1〜10質量%含有し、該黒鉛のメジアン径が1〜30μmである請求項1又は2に記載の摩擦材組成物。

請求項4

有機充填材としてカシューダストを2〜8質量%含有する請求項1〜3に記載の摩擦材組成物。

請求項5

請求項1〜4のいずれか一項に記載の摩擦材組成物を成形してなる摩擦材

請求項6

請求項5に記載の摩擦材と裏金とを一体化してなる摩擦部材

技術分野

0001

本発明は、自動車等の制動に用いられるディスクブレーキパッドブレーキライニング等の摩擦材に適した摩擦材組成物、該摩擦材組成物を用いた摩擦材及び摩擦部材に関する。

背景技術

0002

自動車等には、その制動のためにディスクブレーキパッドやブレーキライニング等の摩擦材が使用されている。ディスクブレーキパッドやブレーキライニング等の摩擦材は、相手材となるディスクロータブレーキドラム等と摩擦することによって制動の役割を果たす。そのため摩擦材には、使用条件に応じた適切な摩擦係数(効き特性)が求められるだけでなく、鳴きが発生しにくいこと(鳴き特性)、摩擦材の寿命が長いこと(耐摩耗性)等が要求される。また、安全性だけでなく運転時の快適性からも、ブレーキ時のトルク振動が小さいこと(BTV=Brake Torque Variation特性)が求められる。

0003

さらに近年、燃費向上の観点で自動車の軽量化が求められており、特に効果の大きいバネ下荷重の軽量化が着目されている。従って、摩擦材の軽量化は自動車の燃費向上に有効であるが、従来の摩擦材には、銅や酸化ジルコニウムといった高比重素材が一般的に使用されている。

0004

銅は摩擦材への熱伝導率付与、繊維形状で使用した際の補強効果付与等を目的として添加され、例えば銅繊維の減量によって高温時のマトリクス補強効果が低下し、耐摩耗性が低下してしまう。また、銅の減量によって摩擦界面熱拡散効率が低下し、相手材のディスクロータに局所的な温度勾配ヒートスポット)が形成され、トルク振動が大きくなってしまう。一方で、銅は摩耗粉として河川汚染するという観点から、摩擦材に添加しないことが望まれている。

0005

また、酸化ジルコニウムは高融点無機充填材で、モース硬度が相手材の鋳鉄よりも高いため研削材として機能しており、減量によって摩擦係数が低下してしまう。

0006

上記弊害の改善策として、銅繊維を他の高熱伝導素材無機繊維に、酸化ジルコニウムを他の軽量な研削材に代替する手法が検討されてきた。

0007

例えば、銅を使用せず、低比重で熱伝導率も酸化ジルコニウムより高い研削材である酸化マグネシウムと熱伝導率が高い黒鉛を摩擦材中に45〜80体積%含有し、酸化マグネシウムと黒鉛の比率を1/1〜4/1とする方法が提案されている(特許文献1)。

0008

また、摩擦材の補強を目的として金属繊維鉱物繊維と共に、ウォラストナイトを10〜15質量%と比較的多く添加する方法が提案されている(特許文献2)。

0009

また、摩擦材の補強を目的として2〜30質量%の針状炭酸カルシウムを添加する方法が提案されている(特許文献3)。

先行技術

0010

特開2002−138273号公報
特開2008−57693号公報
特開平5−105867号公報

発明が解決しようとする課題

0011

特許文献1のブレーキ用摩擦材では、研削材である酸化マグネシウムと、潤滑材である黒鉛の添加量極端に多くなり、各種摩擦特性バランス良く改善することは困難であるとの課題がある。

0012

また、特許文献2のブレーキ用摩擦材では、繊維基材の添加量の合計が極端に多くなってしまい、摩擦材の気孔率増加による強度低下、圧縮歪量増加によるブレーキのペダルフィール悪化を招いてしまう。

0013

また、特許文献3の方法のように、摩擦材の補強を目的として針状炭酸カルシウムを用いる場合、炭酸カルシウムは低比重ではあるが融点が低く、特に銅繊維を含有しない組成では高温時の耐摩耗性等が悪化してしまう。

0014

一方で、摩擦材の小型化によっても軽量化は図ることが可能であるが、摩擦面積縮小した場合は摩擦面の単位面積当たり熱負荷が高まり、特に銅を含有しない組成では耐摩耗性の悪化が懸念される。また、摩擦材の薄型化によって軽量化を図ると、製品寿命が短くなってしまう。

0015

そこで本発明は、銅含有率が0.5質量%を超えない環境有害性が低い組成で、良好な効き特性、耐摩耗性、BTV特性を有し、さらに軽量であることで自動車の燃費向上に効果的である摩擦材を与える摩擦材組成物を提供することを目的とする。また、該摩擦材組成物を用いた摩擦材及び摩擦部材を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0016

本発明者等は、上記目標を達成するため、元素としての銅含有率が0.5質量%を超えず、鉄系繊維又は鉄系粉末を1〜3質量%含有し、かつ、繊維基材としてウォラストナイトを10〜30質量%含有することで、銅添加量が極めて少ない、あるいは銅を含有しなくても、効き特性、耐摩耗性、BTV特性をバランス良く向上しつつ、軽量化が可能であることを見出した。

0017

本発明は次の事項に関する。
(1)結合材有機充填材、無機充填材、及び繊維基材を含有する摩擦材組成物であり、元素としての銅含有率が0.5質量%を超えず、鉄系繊維又は鉄系粉末を1〜3質量%含有し、かつ、繊維基材としてウォラストナイトを10〜30質量%含有する摩擦材組成物。
(2)研削材として酸化マグネシウムを1〜10質量%含有する(1)に記載の摩擦材組成物。
(3)無機充填材として黒鉛を1〜10質量%含有し、該黒鉛のメジアン径が1〜30μmである(1)又は(2)に記載の摩擦材組成物。
(4)有機充填材としてカシューダストを2〜8質量%含有する請求項(1)〜(3)に記載の摩擦材組成物。
(5)(1)〜(4)のいずれか一項に記載の摩擦材組成物を成形してなる摩擦材。
(6)(5)記載の摩擦材と裏金とを一体化した摩擦部材。

発明の効果

0018

本発明によれば、自動車用ディスクブレーキパッドやブレーキライニング等の摩擦材に用いた際に、銅含有量を抑制して、環境有害性が低い組成としつつ、良好な効き特性、耐摩耗性、BTV特性を有し、さらに軽量であることで自動車の燃費向上に寄与する摩擦材を与える摩擦材組成物を提供することができる。また、本発明によれば、上記特性を有する摩擦材及び摩擦部材を提供することができる。

図面の簡単な説明

0019

本発明の実施例及び比較例のBTV評価時のディスロータのサーモグラフィ画像である。

0020

以下、本発明のノンアスベスト摩擦材組成物、これを用いた摩擦材及び摩擦部材について詳述する。

0021

[ノンアスベスト摩擦材組成物]
本実施形態のノンアスベスト摩擦材組成物は、結合材、有機充填材、無機充填材、及び繊維基材を含有する摩擦材組成物であって、元素としての銅含有率が0.5質量%を超えず、鉄系繊維又は鉄系粉末を1〜3質量%含有し、かつ、繊維基材としてウォラストナイトを10〜30質量%含有することを特徴とする。なお、上記の「元素としての銅含有率」とは、繊維状や粉末状等の銅、銅合金及び銅化合物に含まれる銅元素の、全摩擦材組成物中における含有率を示す。

0022

上記構成により、本実施形態のノンアスベスト摩擦材組成物を用いた摩擦材及び摩擦部材は、銅添加量が極めて少ない、あるいは銅を含有しないため、従来品と比較して制動時に生成に生成する摩耗粉中の銅が少なく、さらに軽量であることから自動車の燃費向上に寄与するため環境に優しく、良好な効き特性、耐摩耗性、BTV特性をバランス良く発現する。

0023

[無機充填材]
本実施形態の摩擦材組成物は無機充填材を含有する。無機充填材は、摩擦材の耐熱性の悪化を避けるために摩擦調整材として含まれるものである。本実施形態において、無機充填材としては、対面材への攻撃性低下の観点から、酸化マグネシウム、黒鉛、硫酸バリウムを含有することが好ましい。

0024

上記酸化マグネシウムの含有率は1〜10質量%であることが好ましく、2〜10質量%であることがより好ましく、3〜10質量%であることがさらに好ましい。また、上記酸化マグネシウムのメジアン径は、1〜20μmであることが好ましく、1〜15μmであることがより好ましく、1〜10μmであることがさらに好ましい。酸化マグネシウムのメジアン径を1μm以上とすることで良好な摩擦係数、耐摩耗性が発現し、20μm以下とすることで摩擦材中の分散性を高め、摩擦係数を安定化できる。

0025

また、上記黒鉛の含有率は1〜10質量%であることが好ましく、1〜9質量%であることがより好ましく、2〜8質量%であることがさらに好ましい。また、上記黒鉛のメジアン径は、1〜100μmであることが好ましく、1〜50μmであることがより好ましく、1〜30μmであることがさらに好ましい。黒鉛のメジアン径を1μm以上とすることで良好な摩擦係数、耐摩耗性が発現し、100μm以下とすることで、摩擦材の熱伝導率低下を避けることができる。

0026

なお、上記酸化マグネシウムと黒鉛のメジアン径は、レーザー回折粒度分布測定等の方法を用いて測定することができる。例えば、レーザー回折/散乱粒子径分布測定装置商品名:LA・920(株式会社堀場製作所製)で測定することができる。また、本発明の効果を損なわない程度であれば、本実施形態の摩擦材組成物に、上記酸化マグネシウム以外の、通常、摩擦材に用いられる無機充填材を組み合わせて用いることができる。

0027

上記酸化マグネシウム以外の無機充填材としては、例えば、酸化ジルコニウム、三硫化アンチモン硫化スズ二硫化モリブデン硫化鉄硫化ビスマス硫化亜鉛水酸化カルシウム酸化カルシウム炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、ドロマイトコークス、黒鉛、マイカ酸化鉄バーミキュライト粒状チタンカリウムチタン酸リチウムカリウム硫酸カルシウム板状チタン酸カリウムタルククレーゼオライト珪酸ジルコニウムムライトクロマイト酸化チタンシリカ、γ−アルミナ等の活性アルミナを用いることができ、これらを単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。

0028

前記無機充填材の総含有量は、酸化マグネシウム、黒鉛を含め、摩擦材用組成物において20〜80質量%であることが好ましく、30〜80質量%であることがより好ましく40〜80質量%であることがさらに好ましい。無機充填材の含有量を20〜80質量%とすると、耐熱性の悪化を避けることができる。

0029

[繊維基材]
本実施形態の摩擦材組成物は繊維基材を含有する。繊維基材は摩擦材において補強作用を示すものである。繊維基材としては、有機繊維、金属繊維、無機繊維等が挙げられる。

0030

本実施形態の摩擦材組成物は有機繊維としてアラミド繊維アクリル繊維セルロース繊維フェノール樹脂繊維等を用いることができ、これらを単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。この中でも、耐熱性、補強効果の観点から、アラミド繊維を用いることが好ましい。

0031

金属繊維としては銅繊維、鉄系繊維、チタン繊維亜鉛繊維アルミ繊維等を用いることができ、1種又は2種類以上を組み合わせて用いることができるが、銅繊維を用いる場合は、摩擦材中の元素としての銅含有率が0.5質量%を超えないようにする。

0032

また、本実施形態の摩擦材組成物は金属繊維として鉄系繊維1〜3質量%を含有する。

0033

なお、ここでいう鉄系繊維とは、純鉄繊維、鋼繊維鋳鉄繊維ステンレス繊維シリコンアルミとの鉄系合金繊維等が挙げられる。本明細書では、上記の鋼繊維を鉄繊維と記載する。

0034

摩擦材組成物における上記鉄系繊維の含有量を1質量%以上とすることで、良好な耐摩耗性、BTV特性が発現し、3質量%以下とすることで相手材であるディスクロータへの攻撃性、摩擦面における錆の発生を抑制できる。上記鉄系繊維の含有量は、1.2〜3質量%であることがより好ましく、1.4〜3質量%であることがさらに好ましい。

0035

また、上記鉄系素材の形状は繊維形状に限定されるものではなく、粉末状で用いても同様の効果を発現することができる。

0036

無機繊維としては、ウォラストナイト、セラミック繊維生分解性セラミック繊維、鉱物繊維、炭素繊維ガラス繊維チタン酸カリウム繊維アルミノシリケート繊維等を用いることができ、1種又は2種類以上を組み合わせて用いることができるが、環境への優しさの観点から、吸引性のチタン酸カリウム繊維等を含有しないことが好ましい。また、本実施形態の摩擦材組成物は、無機繊維として繊維長30μm以下のウォラストナイト10〜30質量%を含有する。

0037

摩擦材組成物における上記ウォラストナイトの含有量を10質量%以上とすることで、良好な摩擦係数、耐摩耗性が発現し、30質量%以下とすることで、摩擦材の気孔率、圧縮歪量の増大を避けることができる。上記ウォラストナイトの含有量は、10〜25質量%であることがより好ましく、10〜20質量%であることがさらに好ましい。

0038

なお、ここでいう鉱物繊維とは、スラグウール等の高炉スラグバサルトファイバー等の玄武岩、その他の天然岩石等を主成分として溶融紡糸した人造無機繊維であり、Al元素を含む天然鉱物であることがより好ましい。具体的には、SiO2、Al2O3、CaO、MgO、FeO、Na2O等が含まれるもの、又はこれら化合物が1種又は2種以上含有されるものを鉱物繊維として用いることができ、これらのうちAl元素を含むものがより好ましい。摩擦材組成物中に含まれる鉱物繊維全体の平均繊維長が大きくなるほど摩擦組成物中の各成分との接着強度が低下する傾向があるため、鉱物繊維全体の平均繊維長は500μm以下が好ましく、より好ましくは100〜400μmである。ここで、平均繊維長とは、該当する全ての繊維の長さの平均値を示した数平均繊維長のことをいう。例えば200μmの平均繊維長とは、摩擦材組成物原料として用いる鉱物繊維を無作為に50個選択し、光学顕微鏡で繊維長を測定し、その平均値が200μmであることを示す。

0039

本実施形態で用いられる鉱物繊維は、人体有害性の観点で生体溶解性であることが好ましい。ここでいう生体溶解性の鉱物繊維とは、人体内に取り込まれた場合でも短時間で一部分解され体外に排出される特徴を有する鉱物繊維である。具体的には、化学組成アルカリ酸化物アルカリ土類酸化物総量(ナトリウム、カリウム、カルシウムマグネシウムバリウム酸化物の総量)が18質量%以上で、かつ呼吸による短期バイオ永続試験で、20μm以上の繊維の質量半減期が40日以内又は腹膜内試験で過度発癌性証拠がないか又は長期呼吸試験で関連の病原性腫瘍発生がないことを満たす繊維を示す(EU指令97/69/ECのNota Q(発癌性適用除外))。このような生体分解性鉱物繊維としては、SiO2−Al2O3−CaO−MgO−FeO−Na2O系繊維等が挙げられ、SiO2、Al2O3、CaO、MgO、FeO、Na2O等を任意の組み合わせで含有した繊維が挙げられる。市販品としてはLAPINUS FIBERS B.V.製のRoxulシリーズ(「Roxul」は、登録商標。)等が挙げられる。「Roxul」には、SiO2、Al2O3、CaO、MgO、FeO、Na2O等が含まれる。

0040

繊維基材は、摩擦材組成物中に5〜40質量%含有することが好ましく、5〜35質量%含有することがより好ましく、10〜30質量%含有することがさらに好ましい。繊維基材の含有量を5〜40質量%とすると、効き特性の著しい低下等の弊害を与えることなく、適度な補強効果を摩擦材に付与する効果がある。

0041

[結合材]
本実施形態の摩擦材組成物は、結合材を含有する。結合材は、摩擦材組成物に含まれる有機充填材及び繊維基材等を一体化して、強度を与えるものである。本実施形態の摩擦材組成物に含まれる結合材としては、通常、摩擦材に用いられる熱硬化性樹脂を用いることができる。熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂アクリル変性フェノール樹脂、シリコーン変性フェノール樹脂カシュー変性フェノール樹脂エポキシ変性フェノール樹脂アルキルベンゼン変性フェノール樹脂等の各種変性フェノール樹脂が挙げられ、特に、フェノール樹脂、アクリル変性フェノール樹脂、シリコーン変性フェノール樹脂が好ましく、これらを単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。良好な耐熱性、成形性及び摩擦係数を与えることから、フェノール樹脂、アクリル変性フェノール樹脂、シリコーン変性フェノール樹脂、アルキルベンゼン変性フェノール樹脂を用いることが好ましい。

0042

本実施形態の摩擦材組成物における、結合材の含有量は、5〜20質量%であることが好ましく、5〜15質量%であることがより好ましく、5〜10質量%であることがさらに好ましい。結合材の含有量を5〜20質量%の範囲とすることで、摩擦材の強度低下をより抑制でき、また、摩擦材の気孔率が減少し、弾性率が高くなることによる鳴き等の音振性能悪化を抑制できる。

0043

[有機充填材]
本実施形態の摩擦材組成物は、有機充填材を含有する。有機充填材は、摩擦材の音振性能や耐摩耗性等を向上させるための摩擦調整剤として含まれるものである。本発明の摩擦材用組成物に含まれる有機充填材としては、カシューダストやゴム成分等を用いることができる。

0044

上記カシューダストは、カシューナッツシェルオイル重合硬化させたものを粉砕して得られる、通常、摩擦材に用いられるものであればよい。

0045

上記ゴム成分としては、例えば、タイヤゴムアクリルゴムイソプレンゴム、NBR(ニトリルブタジエンゴム)、SBRスチレンブタジエンゴム)が挙げられ、これらを単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。

0046

また、カシューダストとゴム成分とを併用してもよく、カシューダストをゴム成分で被覆したものを用いてもよいが、音振性能の観点から、カシューダストとゴム成分とを併用することが好ましい。上記カシューダストの含有量は、2〜8質量%であることが好ましく、2.5〜8質量%であることがより好ましく、2.5〜7.5質量%であることがさらに好ましい。カシューダストの含有量を2〜8質量%とすることで、摩擦材の弾性率が高くなることによる鳴き等の音振性能の悪化を避けることができ、また耐熱性の悪化、熱履歴による強度低下を避けることができる。

0047

本実施形態のノンアスベスト摩擦材組成物中における、有機充填材の含有量は、1〜20質量%であることが好ましく、1〜15質量%であることがより好ましく、2〜10質量%であることがさらに好ましい。有機充填材の含有量を1〜20質量%の範囲とすることで、摩擦材の弾性率が高くなることによる鳴き等の音振性能の悪化を避けることができ、また耐熱性の悪化、熱履歴による強度低下を避けることができる。

0048

[その他の成分]
また、本実施形態の摩擦材組成物は、前記の材料以外に、必要に応じてその他の材料を配合することができ、例えば、亜鉛粉等の金属粉末等を配合することができる。

0049

<摩擦材及び摩擦部材>
本実施形態の摩擦材組成物は、自動車等のディスクブレーキパッド、ブレーキライニング等の摩擦材として又は本実施形態の摩擦材組成物を目的形状に成形、加工、貼り付け等の工程を施すことによりクラッチフェーシング電磁ブレーキ保持ブレーキ等の摩擦材としても使用することができる。

0050

本実施形態の摩擦材組成物は、摩擦面となる摩擦部材そのものとして用いて摩擦材を得ることができる。それを用いた摩擦材としては、例えば、下記の構成が挙げられる。(1)摩擦部材のみの構成(2)裏金と、該裏金の上に形成させ、摩擦面となる本発明の摩擦材組成物からなる摩擦部材とを有する構成(3)上記(2)の構成において、裏金と摩擦部材との間に、裏金の接着効果を高めるための表面改質を目的としたプライマー層、裏金と摩擦部材の接着を目的とした接着層をさらに介在させた構成、等が挙げられる。
上記裏金は、摩擦部材の機械的強度の向上のために、通常、摩擦部材として用いるものであり、材質としては、金属又は繊維強化プラスチック等を用いることができ、例えば、鉄、ステンレス無機繊維強化プラスチック炭素繊維強化プラスチックが挙げられる。プライマー層及び接着層としては、通常、ブレーキシュー等の摩擦部材に用いられるものであればよい。

0051

本実施形態の摩擦材組成物は、一般に使用されている方法を用いて摩擦材を製造することができ、本発明の摩擦材組成物を加熱加圧成形して製造することができる。詳細には、例えば、本実施形態の摩擦材組成物をレーディゲミキサー(「レーディゲ」は、登録商標。)、加圧ニーダーアイリッヒミキサー(「アイリッヒ」は、登録商標。)等の混合機を用いて均一に混合し、この混合物成形金型にて予備成形し、得られた予備成形物成形温度130〜160℃、成形圧力20〜50MPa、成形時間2〜10分間の条件で成形し、得られた成形物を150〜250℃で2〜10時間熱処理することにより本実施形態の摩擦材を得ることができる。なお、必要に応じて塗装スコーチ処理研磨処理等を行ってもよい。

0052

本実施形態の摩擦材組成物は、高温での耐摩耗性やメタルキャッチ抑制等に優れるため、ディスクブレーキパッドやブレーキライニング等の摩擦部材の「上張り材」として有用であり、さらに摩擦部材の「下張り材」として成形して用いることもできる。
なお、「上張り材」とは、摩擦部材の摩擦面となる摩擦材であり、「下張り材」とは、摩擦部材の摩擦面となる摩擦材と裏金との間に介在する、摩擦材と裏金との接着部付近剪断強度耐クラック性向上を目的とした層のことである。

0053

以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。本発明は何らこれらに限定されるものではない。

0054

<実施例1〜7及び比較例1〜7>[ディスクブレーキパッドの作製]
表1及び2に示す配合比率に従って材料を配合し、実施例1〜7及び比較例1〜7の摩擦材組成物を得た。なお、表1及び2の各成分の配合量の単位は、摩擦材組成物中の質量%である

0055

この摩擦材組成物をレーディゲミキサー(株式会社マツボー製、商品名:レーディゲミキサーM20)で混合し、この混合物を成形プレス(王子機械工業株式会社製)で予備成形し、得られた予備成形物を成形温度45℃、成形圧力35MPa、成形時間5分間の条件で成形プレス(三起精工株式会社製)を用いて、日立オートティブシステムズ株式会社製の裏金(鉄製)と共に加熱加圧成形し、得られた成形品を200℃で4.5時間熱処理し、ロータリー研磨機を用いて研磨し、500℃のスコーチ処理を行って、ディスクブレーキパッド(摩擦材の厚さ9.5mm、摩擦材投影面積52cm2)を得た。

0056

なお、実施例及び比較例において使用した各種材料は次のとおりである。(結合材)・フェノール樹脂:日立化成株式会社製(商品名:HP491UP)(有機充填材)・カシューダスト・SBR粉(無機充填材)・チタン酸カリウム・硫酸バリウム・黒鉛A:メジアン径=8.5μm・黒鉛B:メジアン径=380.4μm・三硫化アンチモン・水酸化カルシウム・酸化ジルコニウム:メジアン径=2.5μm・酸化マグネシウム:メジアン径=3.5μm(繊維基材)・アラミド繊維(有機繊維)・ウォラストナイト(無機繊維)・銅繊維(金属繊維)・鉄繊維(金属繊維)(その他)・鉄粉

0057

前記の方法で作製した実施例1〜7及び比較例1〜7のディスクブレーキパッドを、ブレーキダイナモ試験機(新日本特機株式会社製)を用いて各種性能の評価を行った。実験には、一般的なピンスライド式コレットキャリパー及び株式会社キリウ製ベンチレーテッドディスクローター(FC250(ねずみ鋳鉄))を用い、日産自動車株式会社製、商品名:スカイラインV35の慣性モーメントで評価を行った。

0058

(効き特性の評価)
試験は自動車技術規格ASOC406に準拠し、第2効力試験における摩擦係数の平均値を算出し、効き特性として評価した。

0059

(耐摩耗性の評価)
試験はJASOC427に準拠し、制動前ブレーキ温度が100、200、300、400℃におけるディスクパッド摩耗量をそれぞれ計測し、耐摩耗性として評価した。

0060

(BTV特性の評価)
まず、初速度60km/h、終速度0km/h、減速度0.3G、制動開始時のディスクロータ温度130℃で200回のすり合わせを行った。続いて本測定として、初速度160km/h、終速度60km/h、減速度0.3G、制動開始時のディスクロータ温度400℃の条件で制動を3回実施し、発生したトルク振動の最大値をBTV特性として評価した。

0061

比重の評価)
試験は日本工業規格JIS D4417に準拠した。作製したディスクブレーキパッドを破断して裏金を取り除き、接着層等の摩擦部材以外の要素を有する場合は研磨等によって取り除くことで得られた摩擦部材を価に使用した。比重が2.25未満であればA評価、2.25以上2.30未満であればB評価、2.30以上であればC評価とした。

0062

0063

※ 表1、2の配合量は、摩擦材組成物全体に対する質量%である。

実施例

0064

実施例1〜6は、鉄繊維を含有しない比較例1、鉄繊維の含有率が3質量%を超える比較例2、ウォラストナイトの含有率が10質量%未満である比較例3、酸化マグネシウムの含有率が10質量%以上であると共に黒鉛のメジアン径が30μm以上である比較例4、カシューダストの含有率が2質量%未満である比較例5、黒鉛と酸化マグネシウムの含有率が共に10質量%を超える比較例6と比較して、効き特性、耐摩耗性、BTV特性がバランス良く改善されていることは明らかである。また、BTV評価時におけるディスクロータのサーモグラフィ画像を図1に示す。実施例1は比較例1に対して温度勾配が均一で、安定した摩擦特性を発現した。さらに、摩擦特性は比較的良好であるが銅の含有率が0.5質量%以上であると共に、比重の大きな酸化ジルコニウムを研削材として含有する比較例7に対して比重が小さく、自動車の燃費改善に寄与できる。

0065

本発明のノンアスベスト摩擦材組成物、これを用いた摩擦材及び摩擦部材は、従来品と比較して制動時に生成する摩耗粉中の銅が少ないことから環境に優しく、かつ良好な効き特性、耐摩耗性、BTV特性を有し、さらに軽量であることから自動車等の燃費向上にも貢献するため、乗用車用ブレーキパッド等の摩擦材及び摩擦部材に好適である。

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