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課題

ドネペジルまたはリバスチグミンなどのアセチルコリンエステラーゼ阻害剤の効果を改善または増強することによるアルツハイマー病治療方法の提供。

解決手段

アセチルコリンエステラーゼ阻害剤の効果を改善または増強するために、N−(2−(6−フルオロ−1H−インドール−3−イルエチル)−3−(2,2,3,3−テトラフルオロプロポキシベンジルアミンを有効1日量投与することを含む認知症の治療方法。

概要

背景

認知症は、通常の老化現象では説明できない複数の認知領域障害、機能の著しい低下
、およびせん妄がないことを特徴とする臨床症候群である。さらに、神経精神症状および
限局性神経学所見が通常認められる。認知症は病因に基づいて細分される。アルツハ
イマー病(AD)は、認知症の最も一般的な原因であり、ADと血管性認知症の混合、血
管性認知症、レヴィー小体型認知症(DLB)、および前頭側頭葉型認知症がそれに続く

アルツハイマー病発生率は、2050年まで引き続き増加すると考えられ、推定有病
率は1100万〜1600万症例となる。現在、ADの症状の管理には、アセチルコリン
エステラーゼ阻害剤(AChEI)とN−メチル−D−アスパルターゼNMDA受容
拮抗薬の2種類の医薬FDAにより認可されている。診断されると、一般的にACh
EIが初期治療として使用される。AChEI−ドネペジルリバスチグミンガランタ
ミン、およびタクリン−の適応症は軽度から中度のADであり;重度の段階に認可されて
いるのはドネペジルだけである。

使用可能な療法があるにもかかわらず、ADを治癒する、または疾患の進行を予防もし
くは阻止する治療はない。アセチルコリンエステラーゼ阻害剤は、アルツハイマー病を有
する全ての人に役立つわけではなく、実際、多くの患者で有効性がない。AChEIおよ
メマンチンは低い対症効果しかなく、ADにおける機能低下や疾患の緩徐な進行を予防
できないことを考慮し、より有効な対症療法や、疾患修飾療法/疾患の進行を遅くする療
法に対する必要性は満たされておらず、その必要性が高い。

認知機能障害を治療するための選択的5−HT受容体拮抗薬の使用が提案されてきた
が、それは幾つかの論法に基づいている。例えば、選択的5−HT6受容体拮抗薬は、コ
リン作動性およびグルタミン酸作動性神経細胞機能を調節することが分かった。選択的
5−HT6受容体拮抗薬の作用が認知機能動物モデルで実証された。最初の選択的5−
HT6受容体拮抗薬の開示以来、in−vivo認知機能モデルにおけるこれらの選択的
化合物の作用に関する幾つかの報告があった。N−(2−(6−フルオロ−1H−インド
ール−3−イルエチル)−3−(2,2,3,3−テトラフルオロプロポキシベン
ルアミン(本明細書では「化合物I」と称する)は強力で選択的な5−HT6受容体拮抗
薬であり、それは統合失調症に関連する認知障害を治療するために、およびADの治療と
して臨床開発中である。

統合失調症患者におけるリスペリドン補助療法としての化合物Iの有効性および安全
性を調べるために、2008年11月に、多施設共同無作為化二重盲検固定用量試験(1
20mg/日、BID)が開始された。陽性陰性症状評価尺度(PANSS総スコア
を用いることにより、統合失調症の症状の全体的な改善を評価した。PANSS総スコア
で評価した場合、化合物Iはプラセボと比較して治療上の利点がなかった。2010年に
、BACS総合スコアおよびPANSS認知サブスケールスコアを用いて評価した場合
、患者の全体的な神経認知能力の改善において、プラセボと比較して治療上の利点がある
ように思われないことが発表された。

2012年に、欧州、カナダ、およびオーストラリアで行われた無作為化二重盲検プラ
セボ対照試験は、ADの治療におけるその主要評価項目を満たすことが報告された。デー
タから、アルツハイマー病評価尺度−認知サブスケール(ADAS−cog)で評価した
場合、化合物I+10mg/日のドネペジルではプラセボ+ドネペジルと比較して、27
8人のアルツハイマー病患者で認知機能が有意に改善されることが分かった。ドネペジル
で治療した患者と比較して、化合物Iは、全般的印象および日常生活動作の評価を含む副
次的評価項目で好ましい結果を示した。

以前の臨床試験の対象で観測された比較的短い半減期を克服するために、AD試験にお
ける化合物Iの1日量90mgを1日3回に分けて(3×30mg)投与した。用量選択
の問題は、確実に、最大暴露ベルが非臨床毒性試験から確立された最大暴露限界値未満
になるようにすることであった。従って、試験に3回の固定用量が導入された。

5−HT6受容体は主に脳に局在化している新規な標的であるため、開発における重要
な問題は、受容体占有量および血漿暴露との相関を判断することである。CNS標的に関
して、薬物が血液−脳関門を通過するかどうか、およびそれが好適な濃度で標的に到達し
、十分な時間受容体を占有するかどうかを中心に展開するさらなる課題が存在する。

5−HT6受容体占有率の直接脳測定は、適切な概念実証試験を確実に行うための、お
よび投与計画を最適化するための、5−HT6を標的とした中枢作用薬の開発中の多くの
意思決定プロセスに有用となり得る。ヒトでは、特定の放射標識されたリガンドを用いた
陽電子放射断層撮影法(PET)などの手段を使用して、ドーパミンセロトニンおよび
ベンゾジアゼピン類に関するものを含む幾つかの神経伝達物質受容体のin−vivo占
有率が定量的に評価されてきた(Talbot,et al.,European Ne
uropsychopharmacology,2002,12,503−511)。

有効なPETリガンドである[11C]−LuPETが開発され、以来、ヒトでの使用
に関する評価が行われ、成功してきた。その後、リガンドを使用して、複数の用量範囲の
化合物Iを投与した後の5−HT6受容体占有率を測定した。受容体占有率の評価では、
ヒト対象に化合物を少なくとも3日間、幾つかの投与計画で投与した。

本発明者らは、化合物Iを複数回投与した後、高い受容体占有率が観測され、投与24
時間後に、その受容体占有率が維持されていることを発見した。中高年における別の第I
PK試験から得られたデータ、および上記AD試験から得られたデータから、中高年母
集団における化合物Iの消失半減期は、若年の健常対象(約12時間)と比較して長い(
約19時間)ことが分かった。

これらの集中的な発見により、本発明者らは、新規な投与量範囲で1日1回投与するこ
とを含む新規で改善された投与計画を導入することによる改善されたAD治療方法を見出
した。本明細書に記載の知見に基づいて、検討された用量範囲は有効であると共に、NO
AEL未満の暴露レベルを提供し、従って、安全率が改善されると期待される。以下で本
発明についてより詳細に説明する。

概要

ドネペジルまたはリバスチグミンなどのアセチルコリンエステラーゼ阻害剤の効果を改善または増強することによるアルツハイマー病の治療方法の提供。アセチルコリンエステラーゼ阻害剤の効果を改善または増強するために、N−(2−(6−フルオロ−1H−インドール−3−イル)エチル)−3−(2,2,3,3−テトラフルオロプロポキシ)ベンジルアミンを有効1日量投与することを含む認知症の治療方法。なし

目的

5−HT6受容体は主に脳に局在化している新規な標的であるため、開発における重要
な問題は、受容体占有量および血漿暴露との相関を判断することである

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

アセチルコリンエステラーゼ阻害剤の効果を改善または増強することによるアルツハイマー病治療に使用されるN−(2−(6−フルオロ−1H−インドール−3−イルエチル)−3−(2,2,3,3−テトラフルオロプロポキシベンジルアミンまたは薬学的に許容される塩であって、前記治療が前記化合物を有効1日量、このような治療を必要とする患者投与することを含み、前記患者に投与される有効1日量が約30〜約60mgである、N−(2−(6−フルオロ−1H−インドール−3−イル)エチル)−3−(2,2,3,3−テトラフルオロプロポキシ)ベンジルアミンまたは薬学的に許容される塩。

請求項2

アセチルコリンエステラーゼ治療の補助療法としてアルツハイマー病の治療に使用されるN−(2−(6−フルオロ−1H−インドール−3−イル)エチル)−3−(2,2,3,3−テトラフルオロプロポキシ)ベンジルアミンまたは薬学的に許容される塩であって、前記治療がN−(2−(6−フルオロ−1H−インドール−3−イル)エチル)−3−(2,2,3,3−テトラフルオロプロポキシ)ベンジルアミンまたは薬学的に許容される塩を有効1日量、このような治療を必要とする患者に投与することを含み、前記患者に投与される有効1日量が約30〜約60mgである、N−(2−(6−フルオロ−1H−インドール−3−イル)エチル)−3−(2,2,3,3−テトラフルオロプロポキシ)ベンジルアミンまたは薬学的に許容される塩。

請求項3

前記薬学的に許容される塩が塩酸塩である、請求項1または2に記載のN−(2−(6−フルオロ−1H−インドール−3−イル)エチル)−3−(2,2,3,3−テトラフルオロプロポキシ)ベンジルアミン。

請求項4

前記用量が速放性製剤として投与される、請求項1〜3のいずれか一項に記載のN−(2−(6−フルオロ−1H−インドール−3−イル)エチル)−3−(2,2,3,3−テトラフルオロプロポキシ)ベンジルアミン。

請求項5

軽度〜中度のアルツハイマー病を治療するための、請求項1〜4のいずれか一項に記載のN−(2−(6−フルオロ−1H−インドール−3−イル)エチル)−3−(2,2,3,3−テトラフルオロプロポキシ)ベンジルアミン。

請求項6

前記アセチルコリンエステラーゼ阻害剤がドネペジルである、請求項1〜5のいずれか一項に記載のN−(2−(6−フルオロ−1H−インドール−3−イル)エチル)−3−(2,2,3,3−テトラフルオロプロポキシ)ベンジルアミン。

請求項7

前記アセチルコリンエステラーゼ阻害剤がリバスチグミンである、請求項1〜5のいずれか一項に記載のN−(2−(6−フルオロ−1H−インドール−3−イル)エチル)−3−(2,2,3,3−テトラフルオロプロポキシ)ベンジルアミン。

請求項8

アセチルコリンエステラーゼ阻害剤がガラタミンである、請求項1〜5のいずれか一項に記載のN−(2−(6−フルオロ−1H−インドール−3−イル)エチル)−3−(2,2,3,3−テトラフルオロプロポキシ)ベンジルアミン。

請求項9

前記有効1日量が30mgである、請求項1〜8のいずれか一項に記載のN−(2−(6−フルオロ−1H−インドール−3−イル)エチル)−3−(2,2,3,3−テトラフルオロプロポキシ)ベンジルアミン。

請求項10

有効1日量が40mg以下である、請求項1〜8のいずれか一項に記載のN−(2−(6−フルオロ−1H−インドール−3−イル)エチル)−3−(2,2,3,3−テトラフルオロプロポキシ)ベンジルアミン。

請求項11

前記有効1日量が50mg以下である、請求項1〜8のいずれか一項に記載のN−(2−(6−フルオロ−1H−インドール−3−イル)エチル)−3−(2,2,3,3−テトラフルオロプロポキシ)ベンジルアミン。

請求項12

前記有効1日量が60mg以下である、請求項1〜8のいずれか一項に記載のN−(2−(6−フルオロ−1H−インドール−3−イル)エチル)−3−(2,2,3,3−テトラフルオロプロポキシ)ベンジルアミン。

請求項13

前記有効1日量が60mgである、請求項1〜8のいずれか一項に記載のN−(2−(6−フルオロ−1H−インドール−3−イル)エチル)−3−(2,2,3,3−テトラフルオロプロポキシ)ベンジルアミン。

請求項14

化合物Iを含む医薬組成物であって、前記組成物をヒトに投与する場合、化合物Iの有効1日量約60mg以下が提供されるように前記組成物を投与すると、定常状態血漿中レベルで化合物Iの血漿中濃度が約56ng/mL〜約310ng/mLの範囲となり;化合物IがN−(2−(6−フルオロ−1H−インドール−3−イル)エチル)−3−(2,2,3,3−テトラフルオロプロポキシ)ベンジルアミンである医薬組成物。

請求項15

化合物Iを含む医薬組成物であって、前組成物をヒトに投与する場合、化合物Iの有効1日量約60mg以下が提供されるように前記組成物を投与すると、定常状態の血漿中レベルで5HT−6受容体における化合物Iの受容体占有率が約90%以上となり;化合物IがN−(2−(6−フルオロ−1H−インドール−3−イル)エチル)−3−(2,2,3,3−テトラフルオロプロポキシ)ベンジルアミンである医薬組成物。

技術分野

0001

本発明は、ドネペジルまたはリバスチグミンなどのアセチルコリンエステラーゼ阻害剤
の効果を改善または増強するために、化合物Iを有効量投与することを含むアルハイ
ー病の治療方法を記載する。本発明はさらに、化合物Iを含む医薬組成物を提供する。

背景技術

0002

認知症は、通常の老化現象では説明できない複数の認知領域障害、機能の著しい低下
、およびせん妄がないことを特徴とする臨床症候群である。さらに、神経精神症状および
限局性神経学所見が通常認められる。認知症は病因に基づいて細分される。アルツハ
イマー病(AD)は、認知症の最も一般的な原因であり、ADと血管性認知症の混合、血
管性認知症、レヴィー小体型認知症(DLB)、および前頭側頭葉型認知症がそれに続く

0003

アルツハイマー病発生率は、2050年まで引き続き増加すると考えられ、推定有病
率は1100万〜1600万症例となる。現在、ADの症状の管理には、アセチルコリン
エステラーゼ阻害剤(AChEI)とN−メチル−D−アスパルターゼNMDA受容
拮抗薬の2種類の医薬FDAにより認可されている。診断されると、一般的にACh
EIが初期治療として使用される。AChEI−ドネペジル、リバスチグミン、ガランタ
ミン、およびタクリン−の適応症は軽度から中度のADであり;重度の段階に認可されて
いるのはドネペジルだけである。

0004

使用可能な療法があるにもかかわらず、ADを治癒する、または疾患の進行を予防もし
くは阻止する治療はない。アセチルコリンエステラーゼ阻害剤は、アルツハイマー病を有
する全ての人に役立つわけではなく、実際、多くの患者で有効性がない。AChEIおよ
メマンチンは低い対症効果しかなく、ADにおける機能低下や疾患の緩徐な進行を予防
できないことを考慮し、より有効な対症療法や、疾患修飾療法/疾患の進行を遅くする療
法に対する必要性は満たされておらず、その必要性が高い。

0005

認知機能障害を治療するための選択的5−HT受容体拮抗薬の使用が提案されてきた
が、それは幾つかの論法に基づいている。例えば、選択的5−HT6受容体拮抗薬は、コ
リン作動性およびグルタミン酸作動性神経細胞機能を調節することが分かった。選択的
5−HT6受容体拮抗薬の作用が認知機能動物モデルで実証された。最初の選択的5−
HT6受容体拮抗薬の開示以来、in−vivo認知機能モデルにおけるこれらの選択的
化合物の作用に関する幾つかの報告があった。N−(2−(6−フルオロ−1H−インド
ール−3−イルエチル)−3−(2,2,3,3−テトラフルオロプロポキシベン
ルアミン(本明細書では「化合物I」と称する)は強力で選択的な5−HT6受容体拮抗
薬であり、それは統合失調症に関連する認知障害を治療するために、およびADの治療と
して臨床開発中である。

0006

統合失調症患者におけるリスペリドン補助療法としての化合物Iの有効性および安全
性を調べるために、2008年11月に、多施設共同無作為化二重盲検固定用量試験(1
20mg/日、BID)が開始された。陽性陰性症状評価尺度(PANSS総スコア
を用いることにより、統合失調症の症状の全体的な改善を評価した。PANSS総スコア
で評価した場合、化合物Iはプラセボと比較して治療上の利点がなかった。2010年に
、BACS総合スコアおよびPANSS認知サブスケールスコアを用いて評価した場合
、患者の全体的な神経認知能力の改善において、プラセボと比較して治療上の利点がある
ように思われないことが発表された。

0007

2012年に、欧州、カナダ、およびオーストラリアで行われた無作為化二重盲検プラ
セボ対照試験は、ADの治療におけるその主要評価項目を満たすことが報告された。デー
タから、アルツハイマー病評価尺度−認知サブスケール(ADAS−cog)で評価した
場合、化合物I+10mg/日のドネペジルではプラセボ+ドネペジルと比較して、27
8人のアルツハイマー病患者で認知機能が有意に改善されることが分かった。ドネペジル
で治療した患者と比較して、化合物Iは、全般的印象および日常生活動作の評価を含む副
次的評価項目で好ましい結果を示した。

0008

以前の臨床試験の対象で観測された比較的短い半減期を克服するために、AD試験にお
ける化合物Iの1日量90mgを1日3回に分けて(3×30mg)投与した。用量選択
の問題は、確実に、最大暴露ベルが非臨床毒性試験から確立された最大暴露限界値未満
になるようにすることであった。従って、試験に3回の固定用量が導入された。

0009

5−HT6受容体は主に脳に局在化している新規な標的であるため、開発における重要
な問題は、受容体占有量および血漿暴露との相関を判断することである。CNS標的に関
して、薬物が血液−脳関門を通過するかどうか、およびそれが好適な濃度で標的に到達し
、十分な時間受容体を占有するかどうかを中心に展開するさらなる課題が存在する。

0010

5−HT6受容体占有率の直接脳測定は、適切な概念実証試験を確実に行うための、お
よび投与計画を最適化するための、5−HT6を標的とした中枢作用薬の開発中の多くの
意思決定プロセスに有用となり得る。ヒトでは、特定の放射標識されたリガンドを用いた
陽電子放射断層撮影法(PET)などの手段を使用して、ドーパミンセロトニンおよび
ベンゾジアゼピン類に関するものを含む幾つかの神経伝達物質受容体のin−vivo占
有率が定量的に評価されてきた(Talbot,et al.,European Ne
uropsychopharmacology,2002,12,503−511)。

0011

有効なPETリガンドである[11C]−LuPETが開発され、以来、ヒトでの使用
に関する評価が行われ、成功してきた。その後、リガンドを使用して、複数の用量範囲の
化合物Iを投与した後の5−HT6受容体占有率を測定した。受容体占有率の評価では、
ヒト対象に化合物を少なくとも3日間、幾つかの投与計画で投与した。

0012

本発明者らは、化合物Iを複数回投与した後、高い受容体占有率が観測され、投与24
時間後に、その受容体占有率が維持されていることを発見した。中高年における別の第I
PK試験から得られたデータ、および上記AD試験から得られたデータから、中高年母
集団における化合物Iの消失半減期は、若年の健常対象(約12時間)と比較して長い(
約19時間)ことが分かった。

0013

これらの集中的な発見により、本発明者らは、新規な投与量範囲で1日1回投与するこ
とを含む新規で改善された投与計画を導入することによる改善されたAD治療方法を見出
した。本明細書に記載の知見に基づいて、検討された用量範囲は有効であると共に、NO
AEL未満の暴露レベルを提供し、従って、安全率が改善されると期待される。以下で本
発明についてより詳細に説明する。

発明が解決しようとする課題

0014

アルツハイマー病およびアルツハイマー病関連障害、例えば認知症などの新規な治療お
よび療法が依然として必要とされている。

課題を解決するための手段

0015

従って、本明細書では、アセチルコリンエステラーゼ治療の補助療法としてのアルツハ
イマー病の治療方法であって、N−(2−(6−フルオロ−1H−インドール−3−イル
)エチル)−3−(2,2,3,3−テトラフルオロプロポキシ)ベンジルアミンまたは
薬学的に許容される塩を有効1日量(effective daily dose)、こ
のような治療を必要とする患者に投与することを含み、患者に投与される有効1日量が約
30〜約60mgである方法を提供する。
本発明は、アセチルコリンエステラーゼ治療の補助療法としてのアルツハイマー病の治
療方法であって、N−(2−(6−フルオロ−1H−インドール−3−イル)エチル)−
3−(2,2,3,3−テトラフルオロプロポキシ)ベンジルアミンまたは薬学的に許容
される塩を有効1日量(effective daily dose)、このような治療
を必要とする患者に投与することを含み、患者に投与される有効1日量が約30〜約60
mgである方法をさらに提供する。

0016

アセチルコリンエステラーゼ阻害剤の効果を改善または増強することによるアルツハイ
マー病の治療に使用されるN−(2−(6−フルオロ−1H−インドール−3−イル)エ
チル)−3−(2,2,3,3−テトラフルオロプロポキシ)ベンジルアミンまたは薬学
的に許容される塩がさらに提供され、治療は前記化合物を有効1日量、このような治療を
必要とする患者に投与することを含み、患者に投与される有効1日量は約30〜約60m
gである。

0017

本発明はまた、アセチルコリンエステラーゼ治療の補助療法としてのアルツハイマー病
の治療に使用されるN−(2−(6−フルオロ−1H−インドール−3−イル)エチル)
−3−(2,2,3,3−テトラフルオロプロポキシ)ベンジルアミンまたは薬学的に許
容される塩も提供し、治療はN−(2−(6−フルオロ−1H−インドール−3−イル)
エチル)−3−(2,2,3,3−テトラフルオロプロポキシ)ベンジルアミンまたは薬
学的に許容される塩を有効1日量、このような治療を必要とする患者に投与することを含
み、患者に投与される有効1日量は約30〜約60mgである。

0018

本発明の一実施形態は、軽度〜中度のアルツハイマー病の治療方法に関する。一実施形
態では、薬学的に許容される塩は塩酸塩である。
別の実施形態では、用量は速放性(immediate release)製剤として
投与される。
さらに別の実施形態では、方法は、軽度から中度のアルツハイマー病の治療に関する。
別の実施形態では、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤はドネペジルである。
別の実施形態では、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤はリバスチグミンである。
別の実施形態では、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤はガランタミンである。
別の実施形態では、用量は1日1回投与される。

0019

化合物Iを1日1回投与することに関する本発明の前述の実施形態は、患者にとって明
らかな利点がある。このような利点としては、投与が容易であること、好都合であること
、および一貫性のある投与に対する患者コンプライアンスが挙げられるが、これらに限定
されるものではない。しかし、本発明の特定の実施形態はまた、本明細書に記載の本出願
人のデータに基づいて、化合物Iを本明細書に開示する量と同等量、1日2回以上に分け
て24時間以内に投与することも含む。従って、本発明の実施形態には以下も含まれる:
一実施形態では、有効1日量は30mgである。
さらに別の実施形態では、有効1日量は40mg以下である。
一実施形態では、有効1日量は50mg以下である。
別の実施形態では、有効1日量は60mg以下である。

0020

本明細書で使用する場合、化合物IはN−(2−(6−フルオロ−1H−インドール−
3−イル)エチル)−3−(2,2,3,3−テトラフルオロプロポキシ)ベンジルアミ
ンであり、従って、本発明は、化合物Iを含む医薬組成物をさらに提供し、本組成物をヒ
トに投与する場合、化合物Iの有効1日量約60mg以下が提供されるように組成物を投
与すると、定常状態血漿中レベルで化合物Iの血漿中濃度は約56ng/mL〜約31
0ng/mLの範囲となる。

0021

化合物Iを含む医薬組成物がさらに提供され、本組成物をヒトに投与する場合、化合物
Iの有効1日量約60mg以下が提供されるように組成物を投与すると、定常状態の血漿
中レベルで5HT−6受容体における化合物Iの受容体占有率は約90%以上となる。

0022

化合物Iを含む医薬組成物がさらに提供され、本組成物をヒトに投与する場合、化合物
Iの有効1日量またはより少量の約60mgが提供されるように組成物を投与すると、定
常状態の血漿中レベルで5HT−6受容体における化合物Iの受容体占有率は約80%以
上となる。

0023

本発明は、化合物Iを60mg以下含む医薬組成物をさらに提供し、本組成物をヒトに
投与する場合、定常状態の血漿中レベルで化合物Iの血漿中濃度は約56ng/mL〜約
310ng/mLの範囲となる。

0024

一実施形態では、組成物は速放性製剤である。
一実施形態では、有効1日量は30mgである。
さらに別の実施形態では、有効1日量は40mg以下である。
一実施形態では、有効1日量は50mg以下である。

0025

本発明は、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤の効果を改善または増強するためにN−
(2−(6−フルオロ−1H−インドール−3−イル)エチル)−3−(2,2,3,3
−テトラフルオロプロポキシ)ベンジルアミンを治療有効量投与することを含む、血管疾
患によって起こる認知症;パーキンソン病に関連する認知症;レヴィー小体型認知症;A
IDS認知症;軽度認知障害加齢に伴う記憶障害てんかん脳腫瘍、脳病変多発性
硬化症ダウン症候群レット症候群進行性核上麻痺前頭葉症候群、および統合失調
症および関連する精神障害を含む神経および/または精神疾患に関連する認知障害および
/または認知症;外傷性脳損傷冠動脈バイパス移植後、電気ショック療法、および化学
療法によって起こる認知障害を治療および予防する新規な方法を記載する。

0026

本発明はまた、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤の効果を改善または増強するために
治療有効量のN−(2−(6−フルオロ−1H−インドール−3−イル)エチル)−3−
(2,2,3,3−テトラフルオロプロポキシ)ベンジルアミンを投与することを含む、
せん妄、トゥレット症候群重症無重力症、注意欠陥多動障害自閉症失読症躁病
鬱病無関心、および糖尿病に関連するまたは糖尿病によって起こるミオパチーを治療
および予防する新規な方法も記載する。本発明はさらに、コリンエステラーゼ阻害剤の効
果を改善または増強するためにN−(2−(6−フルオロ−1H−インドール−3−イル
)エチル)−3−(2,2,3,3−テトラフルオロプロポキシ)ベンジルアミンを治療
有効量投与することを含む、アルツハイマー病の発症遅延する、認知機能を向上させる
睡眠時無呼吸を治療および予防する、タバコ離脱症候群を軽減する、およびハンチント
ン病の機能障害を治療する新規な方法を記載する。

0027

N−(2−(6−フルオロ−1H−インドール−3−イル)エチル)−3−(2,2,
3,3−テトラフルオロプロポキシ)ベンジルアミンを1用量、少なくとも1日1回投与
することを含む、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤の効果を改善または増強することに
よるアルツハイマー病の治療方法を提供する。一実施形態では、用量は2日毎に投与され
る。

0028

以下で本発明をより詳細に説明する。

図面の簡単な説明

0029

B部のベースライン走査パネルA)および投与3時間後(B)の走査の手段としての選択された脳領域時間放射能曲線(TAC)を示す図である。被殻および尾状核は著しく高い放射能集積を示したが、小脳は脳領域の中で最も低い集積を示した。
B部のベースライン走査全体を平均した、血漿中の[11C]LuPETの全放射性代謝物時間特性(パネルA)を示す図である。ベースライン走査の平均としてSUVで表され、後の部分のTACを明確に示すためにy軸を1000nCi/mLに制限している、血漿中の全時間放射能曲線(TAC)および代謝物補整時間放射能曲線(TAC)(B)。注入ピークを明確に示すように行った。
ベースライン(B)走査および投与3時間後(3H)の走査および投与後2回目(P2)の走査に関するPRGAにより得られる小脳、Cb内の分布容積VT)のヒストグラム(SEMバー付き)(パネルA)、ならびにベースライン走査と3H走査(3H)、およびベースライン走査とP2走査(P2)の局所VTのLassenプロットにより得られた置換不可能な(non−displaceable)コンパートメントの分布容積、VNDのヒストグラム(SEMバー付き)(パネルB)を示す図である。
選択された脳領域における血漿入力法(パネルA)および参照組織法(B)に関する結合能、BPNDの試験−再試験間ばらつき(TRV推定値のヒストグラム(SEMバー付き)を示す図である。水平な点線は、望ましいTRVレベルと見なされることが多い10%レベルを示す。
PRGAにより得られる選択された脳領域内の分布容積VTのヒストグラム(SEMバー付き)(パネルA)、ならびにPRGAおよびRTGAにより得られる結合能、BPNDのヒストグラム(SEMバー付き)(B)を示す図である。
選択された脳領域(パネルA)内の1回量10mgのオランザピンによる[11C]LuPETの置換(%)のヒストグラムを示す図である。ベースライン(B)走査およびオランザピン投与後(C)の走査に関する被殻(Pu)および尾状核(CN)を示すレベルでの結合能BPNDの体軸横断像。個々のBPND画像は、空間的標準化を行い、対象全体で平均した(n=5)。
投与3時間後(パネルA)および投与後2回目(B)の時点に関する投与スキームでの化合物Iによる5−HT6受容体の占有率のヒストグラム(SEバー付き平均)を示す図である。投与スキームは、5mg1日1回またはQD(5Q;B4部)、30mg QD(30Q;B3部)、30mg b.i.d.(30B;B2部)、および60mg b.i.d.(60B;B1部)を含む。
投与3時間後の時点における被殻(Pu)、尾状核(CN)、および腹側線条体(vS)に関する占有率−PK(化合物Iの血漿中濃度)のプロットを示す図である。モデル予測曲線(即ち、式3による最良適合)を点線で示す。
投与後2回目の時点における被殻(Pu)、尾状核(CN)、および腹側線条体(vS)に関する占有率−PK(化合物Iの血漿中濃度)のプロットを示す図である。モデル予測曲線(即ち、式3による最良適合)を点線で示す。
投与後の2つの時点における、被殻(Pu)、尾状核(CN)、および腹側線条体(vS)プーリングに関する占有率−PK(化合物Iの血漿中濃度)のプロットを示す図である。モデル予測曲線(即ち、式3による最良適合)を点線で示す。
ベースライン走査および投与51時間後(n=4;1回量30mgのみ;C)の走査に関する被殻(Pu)および尾状核(CN)を示すレベルでの結合能、BPNDの体軸横断像を示す図である。健常若年対象(n=8)の[11C]MDL100,809のBPND画像を参考としてパネルDに示す。個々のBPND画像を空間的に標準化し、メンバー全体で平均した。
化合物Iの血漿中濃度対5−HT6受容体占有率を示す図である。
AD母集団に関する定常状態での尾状核内の5−HT6占有率のシミュレーションを示す図である。

0030

本発明について詳細に記載する前に、本明細書で使用する特定の用語の定義を提供する
ことが有用となり得る。他の定義がない限り、本明細書で使用する科学技術用語は全て、
本発明が属する技術分野の当業者が一般的に理解しているのと同じ意味を有する。

0031

N−(2−(6−フルオロ−1H−インドール−3−イル)エチル)−3−(2,2,
3,3−テトラフルオロプロポキシ)ベンジルアミンは、ADを治療するための臨床開発
中の強力且つ選択的な5−HT6受容体拮抗薬であり、化合物Iと称される。化合物Iの
合成、認知機能障害を治療するためのその使用、およびこの物質を含む医薬組成物は、米
国特許第7,157,488号明細書および米国特許第8,044,090号明細書に開
示されている。特記しない限り、またはテキストで明示されない限り、本発明の療法に有
用な化合物Iに言及する場合、それは化合物の遊離塩基と薬学的に許容される全ての塩の
両方を含む。化合物Iの好ましい塩は塩酸塩である。

0032

背景の項で記載したAD試験は、本願では試験12936Aと称する。背景の項で記載
した統合失調症試験は本願では試験12450Aと称する。

0033

本発明の一実施形態では、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤の効果を改善または増強
することによるアルツハイマー病の治療方法であって、N−(2−(6−フルオロ−1H
−インドール−3−イル)エチル)−3−(2,2,3,3−テトラフルオロプロポキシ
)ベンジルアミンまたは薬学的に許容される塩を1日1回有効量、その治療を必要とする
患者に投与することを含む方法を本明細書で提供し、前記用量範囲は約30〜約60mg
である。本発明は、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤の補助療法として化合物IでAD
アルツハイマー病を治療する方法をさらに提供する。

0034

本発明の一実施形態は軽度のアルツハイマー病の治療方法に関するが、別の実施形態は
中度のアルツハイマー病の治療方法に関する。
さらに別の実施形態は、重度のアルツハイマー病の治療方法に関する。
一実施形態は、軽度〜中度のアルツハイマー病の治療方法に関する。
一実施形態では、化合物Iは速放性製剤として投与される。
別の実施形態では、化合物Iは薬学的に許容される塩として投与される。
一実施形態では、化合物Iは塩酸塩として投与される。
一実施形態では、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤はドネペジルである。
別の実施形態では、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤はリバスチグミンである。
さらに別の実施形態では、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤はガランタミンである。
一実施形態では、用量は10〜80mgの量である。
別の実施形態では、用量は10〜70mgの量である。
一実施形態では、用量は10〜60mgの量である。
一実施形態では、用量は10〜50mgの量である。
一実施形態では、用量は20〜50mgの量である。
一実施形態では、用量は20〜40mgの量である。
別の実施形態では、化合物は10mgの用量で投与される。
一実施形態では、化合物Iは20mgの用量で投与される。
一実施形態では、化合物Iは30mgの用量で投与される。
一実施形態では、化合物Iは40mgの用量で投与される。
別の実施形態では、化合物Iは50mgの用量で投与される。
一実施形態では、化合物Iは60mgの用量で投与される。
さらに別の実施形態では、化合物Iは70mgの用量で投与される。
一実施形態では、化合物Iは80mgの用量で投与される。
一実施形態では、化合物Iは90mgの用量で投与される。

0035

本明細書で使用する場合、次の用語は後述の意味を有するものとする。

0036

化合物Iの「治療有効量」は、ADAS−cogで評価した場合、臨床的に認められる
アルツハイマー病の徴候および症状、ならびに併用療法に関して治療されるアルツハイマ
ー病に関連する認知症、ベースラインと比較して、目に見える治療上の利点が得られるの
に十分な量である。

0037

「速放性」は、投与直後に薬物の放出が開始する通常の放出を含むものとする。本明細
書で使用する場合、「速放性」という用語は、薬物が胃腸内容物に溶解することを可能に
する剤形を含み、薬物の溶解または吸収の遅延または延長を意図するものではない。その
目的は、投与後、薬物を迅速に放出すること、例えば、溶解試験において溶解の開始後約
30分以内に抗認知症薬の80%以上の放出が可能であることである。

0038

「アセチルコリンエステラーゼ阻害剤」という用語は、当業者に既知であり、ドネペジ
ル、リバスチグミン、ガランタミンおよびタクリンからなる群から選択される化合物を含
む。FDAにより認可されたアセチルコリンエステラーゼ阻害剤投与量は、本発明に包含
される。例えば、本方法は、軽度〜中度のアルツハイマー病治療の対照臨床試験で有効で
あることが示されたドネペジルの投与量を包含し、それは1日1回5mgまたは10mg
経口投与である。ドネペジル23mg1日1回経口投与も中度〜重度のADの治療に認可
されている。

0039

「定常状態の血漿中レベル」という用語は、化合物Iの血漿中レベルが達成され、これ
がその後の化合物Iの用量で維持される(好ましくはCssが維持される)ことを意味す
る。

0040

「1日」という用語は、所定の連続した24時間を意味する。

0041

「用量」という用語は、本明細書では、治療される患者に1つの剤形で化合物Iを投与
することを意味するのに使用される。幾つかの実施形態では、用量は単一の経口製剤であ
る。幾つかの実施形態では、用量は患者に投与される錠剤カプセル剤丸剤、またはパ
ッチ剤として製剤化される。

0042

「有効1日量」という用語は、療法を必要とする患者に、連続した24時間以内に投与
される化合物Iの総量を意味する。単にこの用語の意味を説明するために本明細書で使用
される非限定例として、有効1日量90mgは、24時間以内に1回量90mgを投与す
ること、24時間以内に各45mgの用量を2回投与すること、および24時間以内に各
30mgの用量を3回投与することなどを意味し、含むものとする。化合物Iをこのよう
な方法で、即ち、24時間以内に2回以上投与する場合、このような投与は24時間を通
して均一に分散させてもよく、またはさらには同時にもしくはほぼ同時に投与してもよい

0043

「用量範囲」という用語は、本明細書で使用する場合、指定された薬剤の量の許容され
る変化量(variation)の上限と下限を指す。典型的には、指定された範囲内の
任意の量の薬剤の用量を、治療を受ける患者に投与することができる。

0044

「治療する」という用語は、本明細書では、対象の疾患の少なくとも1つの症状を緩和
する、低減するまたは軽減することを意味するのに使用される。例えば、認知症に関して
、「治療する」という用語は、認知障害(記憶および/または見当識の障害など)または
全般的な機能(日常生活の動作を含む全体的な機能)の障害を緩和または軽減すること、
および/または全般的障害または認知障害の悪化の進行を遅くするまたは好転させること
を意味し得る。

0045

「対象」という用語は、アルツハイマー病、ダウン症候群および脳血管性認知症などの
神経変性疾患を含むが、これらに限定されるものではないCNS障害、またはアルツハイ
マー病が直接または間接的に関与する任意の障害に関連する認知症に罹患するまたはそれ
を患う可能性がある動物を含むものとする。特定の実施形態では、対象は、ヒト、例えば
、アルツハイマー病もしくはアルツハイマー病に関連する認知症、またはレヴィー小体型
認知症に罹患している、罹患するリスクがある、または罹患する可能性があるヒトである

0046

本発明の説明に関する(とりわけ以下の特許請求項に関する)「1つの(a)」および
「1つの(an)」および「その(the)」という用語の使用は、特記しない限りまた
文脈と明確に矛盾しない限り、単数形と複数形の両方を包含するものと解釈すべきであ
る。「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(inc
luding)」、および「含有する(containing)」という用語は、特記し
ない限り、オープンエンドの用語である(即ち、「含むが、これに限定されるものではな
い」を意味する)ものと解釈すべきである。本明細書における値の範囲の記載は、特記し
ない限り、単に、その範囲に入る各別々の値を個々に指す簡単な方法に過ぎないものとし
、各別々の値は、それが個々に本明細書に記載されるかのごとく、本明細書に援用される

0047

実験の項に記載の陽電子放射断層撮影法試験に使用されるPETリガンドは、[11C
]LuPETを指し、次の構造を有する。

0048

薬学的に許容される塩
本発明はまた、化合物Iの塩、典型的には薬学的に許容される塩も含む。このような塩
としては、薬学的に許容される酸付加塩が挙げられる。酸付加塩としては、無機酸および
有機酸の塩が挙げられる。好適な無機酸の代表例としては、塩酸臭化水素酸ヨウ化
素酸、リン酸硫酸スルファミン酸、および硝酸等が挙げられる。好適な有機酸の代表
例としては、ギ酸酢酸トリクロロ酢酸トリフルオロ酢酸プロピオン酸安息香酸
ケイ皮酸クエン酸フマル酸グリコール酸イタコン酸乳酸メタンスルホン酸
マレイン酸リンゴ酸マロン酸マンデル酸シュウ酸ピクリン酸ピルビン酸
サリチル酸コハク酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸酒石酸アスコルビン酸
、パモ酸、ビスメチレンサリチル酸、エタンジスルホン酸グルコン酸シトラコン酸
アスパラギン酸ステアリン酸パルミチン酸EDTA、グリコール酸、p−アミノ
息香酸、グルタミン酸ベンゼンスルホン酸p−トルエンスルホン酸テオフィリン
酸、ならびに8−ハロテオフィリン類、例えば、8−ブロモテオフィリン等が挙げられる
。薬学的に許容される無機酸付加塩または有機酸付加塩のさらなる例としては、Berg
e,et al.,J.Pharm.Sci.1977,66,2に記載されている薬学
的に許容される塩が挙げられ、その内容は参照により本明細書に援用される。

0049

さらに、化合物Iおよびその塩は、溶媒和していない形態、ならびに水およびエタノ
ル等の薬学的に許容される溶媒と溶媒和した形態で存在してもよい。

0050

医薬組成物
本発明はさらに、治療有効量の化合物Iと、任意選択により薬学的に許容される担体
たは賦形剤とを含む医薬組成物を提供する。化合物Iは、単独でまたは薬学的に許容され
る担体、賦形剤もしくは医薬品添加物と組み合わせて、単回投与または複数回投与するこ
とができる。本発明の医薬組成物は、薬学的に許容される担体または賦形剤ならびに他の
任意の既知の補助剤および医薬品添加物と共に、Remington:The Scie
nce and Practice of Pharmacy,19th Editio
n,Gennaro,Ed.,Mack Publishing Co.,Easton
,PA,1995に開示されているものなどの従来の技術に従って製剤化することができ
る。

0051

好適な医薬用担体としては、不活性固体賦形剤または充填剤滅菌水溶液および様々な
有機溶媒が挙げられる。固体担体の例としては、乳糖白土ショ糖シクロキストリ
ン、タルク寒天ペクチンアラビアゴム、ステアリン酸、およびセルロースの低級ア
キルエーテルトウモロコシデンプンバレイショデンプン、タルク、ステアリン酸マ
グネシウム、ゼラチン、乳糖、およびゴム等がある。着色剤香味剤保存剤等のこのよ
うな目的に通常使用される他の補助剤または添加剤を使用してもよいが、但し、それらは
有効成分と適合性があるものとする。

0052

化合物Iと薬学的に許容される担体とを組み合わせることにより形成される医薬組成物
は、開示される投与経路に好適な様々な剤形で容易に投与される。製剤は、薬学の分野で
既知の方法による剤形で提供されてもよい。

0053

経口投与に好適な本発明の製剤は、それぞれが所定量の有効成分を含有し、1種以上の
好適な医薬品添加物を含んでもよいカプセル剤または錠剤などの別個の単位として提供さ
れてもよい。経口使用可能な製剤は、散剤もしくは顆粒剤水性もしくは非水性の液体
溶解もしくは懸濁した溶液剤もしくは懸濁剤、または水中油型もしくは油中水型液体乳
剤の形態であってもよい。経口投与に固体担体を使用する場合、製剤は、錠剤化されても
粉末もしくはペレットの形態で硬ゼラチンカプセルに入れられても、またはそれはトロ
ーチ剤もしくはロゼンジ剤の形態であってもよい。

0054

本発明の範囲を限定するものではないが、化合物Iの薬学的に許容される塩の1日1回
30mgの用量の速放性製剤の一例は次の通りである。
化合物I一塩酸塩32.75mg
第二リン酸カルシウム222.0mg
コロイド状二酸化ケイ素NF(Aerosil 200) 3.900mg
ステアリン酸マグネシウムNF(植物性) 1.300mg

0055

本製剤は、ゼラチンカプセルサイズ♯3に充填することができる。
同様に、医薬組成物は、投与される用量範囲が約30mg〜約60mgとなる化合物I
の投与を含むように製造されてもよい。

0056

治療方法
本明細書では、軽度、中度および重度のアルツハイマー病、ならびに軽度〜中度のアル
ツハイマー病に関連する症状の治療に有用な併用療法を提供する。後述のように、本明細
書で提供される本方法には幾つかの利点がある。

0057

「アルツハイマー病」という用語は、ヒト中枢神経系の進行性疾患を指す。それは、典
型的には中高年の認知症、失見当識記憶喪失言語能力計算能力または視空間能力
関する困難、および精神症状発現として現れる。それは、脳の幾つかの領域における神経
細胞変性に関連する。「認知症」という用語は、本明細書で使用する場合、精神症状を
有するまたは有していないアルツハイマー型認知症を含むが、これに限定されるものでは
ない。

0058

特定の実施形態では、本明細書で提供される治療方法は、対象の軽度、中度、および重
度のアルツハイマー病の治療に有効である。アルツハイマー病の段階には、さらに、「中
度または中期のアルツハイマー病」とも称される「中重度の認知低下」;「中重度または
中期のアルツハイマー病」とも称される「重度の認知低下」;および「重度または後期
アルツハイマー病」とも称される「非常に重度の認知低下」が含まれる。中重度の認知低
下は記憶の大きなギャップを特徴とし、認知機能の障害が現れる。この段階では、日常
動作に幾らかの支援が不可欠となる。重度の認知低下では、記憶困難は悪化し続け、顕著
人格変化が現れることがあり、罹患者は日常の動作に広範な援助を必要とする。後期の
アルツハイマー病または非常に重度の認知低下は疾患の末期であり、このとき、罹患者は
環境に応答する能力、発語能力、および最終的に、運動制御能力を失う。

0059

別の実施形態では、本発明の併用療法で治療される患者のMMSEスコアは12〜22
である。「MMSE」は、認知評価コミュニティで使用されるミニメンタルステート検査
を指す。

0060

0061

0062

0063

実施例1.[11C]LuPETの製造
前駆体は、3−フェニルスルホニル−8−(ピペラジン−1−イル)キノリン(C19
H19N3O2S;MW:353.4)であり、既知の公開された化合物である。この前
駆体をアセトニトリルに溶解し、BioScan Autoloop Systemに移
し、次のように製造した[11C]−ヨードメタンと反応させた。0.5〜1.0%の酸
素を含有する高純度窒素ガス加速プロトン照射することにより製造した11CO2を
水素モレキュラーシーブニッケル触媒カラム上で380℃で反応させて11CH4
を生成し、それを740℃に加熱したヨウ素蒸気と反応させて11CH3Iを生成した。
[11C]−ヨードメタンを、銀トリフラートを収容する炉を通過させて、放射標識した
ヨードメタンを[11C]−メチルトリフラートに変換した。周囲温度で約20mL/分
の流量のヘリウムガスを用いて、[11C]−メチルトリフラートをループメチル化装置
送入した。放射能プラトーに達するまで、局所放射監視装置でループ内の[11C
]−放射能の集積を監視した。ループ内の反応混合物を室温で4.5分間残留させた。W
aters XBridge Prep OBD C18 10μm 10×150mm
カラムを使用し、30%アセトニトリル:70%水性緩衝液(o−リン酸でpH7.2に
調節した57mM TEA)を用い、10mL/分の流量を使用する分取高圧液体クロマ
グラフィー(HPLC)により、粗[11C]LuPETを精製した。インライン放射
測定検出器で決定した[11C]LuPET画分を水のリザーバ内回収した。リザーバ
加圧して[11C]LuPETをC18 Sep−Pakにロードした。次いで、C1
8 Sep−Pakを注射用の0.9%塩化ナトリウム10mLで洗浄した。エタノール
1mL、続いて0.9%塩化ナトリウム注射液10mLで[11C]LuPETをC18
Sep−Pakから溶出し、塩化ナトリウム注射液4mLを予めロードしたパイロジェ
ンを含まない滅菌バイアル内の滅菌0.22μフィルタ—を通過させる。

0064

実施例2.陽電子放射断層撮影法実験(A部およびB部)
放射性リガンドはこれまでにヒトに投与されてこなかったため、定量に最適な方法を特
定し、PETトレーサーとしての放射性リガンドのバリデーションを行うために、それを
最初にヒトの脳内で評価した(A部)。この試験の主要な目的は、健常対象に化合物Iを
複数回経口投与した後の5−HT6受容体の占有率を、PETを使用し、[11C]−L
uPETを放射性リガンドとして用いて評価することであった(B部)。

0065

対象
8人の健常男性対象年齢:30.6±7.7;範囲:22〜44才)がこの試験の
A部に参加し、16人の健常男性対象(年齢:32.3±7.6才;範囲:21〜44才
)がB部に参加した。

0066

PET実験
PET試験は、GE Advance Tomograph(GE Medical
Systems,Waukesha,WI,USA)で行った。対象は、放射性リガンド
注入用の静脈カテーテルを1つと、血漿中の放射能を測定するための動脈血試料を得るた
めの動脈カテーテルを1つ有した。次いで、対象は、PETデータ取得中の頭部の動き
低減するために、注文製の熱可塑性マスクで頭部を固定して走査装置内に位置決めされた
。次いで、減衰補正用の回転68Ge源を使用して10分間の減衰走査を行った。次いで
、[11C]LuPETの静脈内ボーラス注入を行った後、90分間三次元モードでダイ
ミックPET取得を行った。合計30のPETフレームを得た(4×15、4×30、
3×60、2×120、5×240、および12×300秒)。最初は動脈血試料を非常
に短い間隔(<5秒)で採取し、血漿中放射能を測定するためにPET試験全体を通して
間隔を徐々に長くした(30分後には15分毎)。0分、5分、10分、30分、45分
、60分および90分の時点で採取した選択された試料について、放射性リガンドおよび
他の箇所(Hilton et al.,2000)に記載するその放射性代謝物の有無
をHPLCで分析した。

0067

A部では、同日(n=1)または1日〜18日空けた別の日(n=7)にベースライン
走査を繰り返して、PET結果変数再現性を試験した。3回目の走査は、高い5−HT
6受容体親和性を有する標準化合物として使用されるオランザピン(n=5)を1回量(
10mg)投与して5時間後に行った。

0068

B部では、1回のベースライン走査に続いて、化合物Iを最低3日間経口投与した後、
3時間の時点(3H走査)と、10時間、11時間、27時間または51時間の時点(投
与後2回目の走査、P2)で投与後の走査を1回行った。

0069

PETデータの再構成:放射PET走査は、製造業者により提供された減衰、散乱およ
デッドタイムに関する補正を行うソフトウェア(Kinahan and Roger
s,1989)を使用し、ランプフィルタを用いる逆投影アルゴリズムを使用して再構成
した。放射能には、注入時間までの物理崩壊に関する補正を行った。各PETフレーム
は、128(左から右まで)×128(ナシオンからイニオンまで)×35(から頭蓋
ボクセルからなった。この再構成設定における期待空間分解能は、視野の中心から半径
10cmのところで半径方向と接線方向でそれぞれ半値全幅FWHM)が5.5mmお
よび6.1mmであった(Lewellen et al.,1996)。

0070

MRI取得
別の機会に、次のパラメータ繰り返し時間、35ms;エコー時間、6ms;フリ
プ角、458°;スライス厚、1.5mm、ギャップなし;視野、24×18cm2;画
像取得マトリクス、256×192、256×256に再フォーマットを使用して、関心
構造の解剖学的同定を行うために各対象についてスポイルド・グラジエント(SPGR)
シーケンスMRIを得た。

0071

PETデータ解析
関心容積(VOI):Freesurferソフトウェアを使用して皮質VOIを自動
的に画定し、前頭(Fr)皮質、側頭(Tp)皮質、頭頂(Pa)皮質、および後頭(O
c)皮質、紡錘状回(Fs)、帯状(Cg)、および島(In)を含む標準領域に組み合
わせした。皮質下領域をFIRSTソフトウェア(Patenaude et al.,
2011)で画定し、個々のMRIについて手動で調節を行った。皮質下領域には、被殻
(Pu)、尾状核(CN)、腹側線条体(vS)、淡蒼球(GP)、視床(Th)、海馬
(Hp)、および扁桃(Am)が含まれた。SPM5(Ashburner J,Fri
ston 2003;Maes et al.,1997)により得られる、MRIから
PETへの位置合わせ(coregistration)パラメータに従ってVOIをM
RI空間からPET空間に移行させ、領域の時間放射能曲線(TAC)を得た。方法論的
評価を行うために1走査当たり合計25の領域を採用した(A部)が、占有率の算出はP
u、CN、およびvSに限定された(B部)。

0072

PET結果変数の導出(derivation):主要なPET結果変数は、全分布
積、VTおよび結合能、BPND(=fND・Bavail/KD、式中、fNDは置換
不可能なコンパートメントの比率を指し、Bavailは結合に使用可能な(非占有)5
−HT6受容体の密度を表し、KDは解離定数を表す;Innis et al.,20
07)である。

0073

[11C]LuPETに関する局所分布容積(VT)の導出に最適な方法を特定するた
めに、1組の標準的な血漿入力法を採用したが、それには、3つのパラメータ(K1およ
びk2’;定義についてはKoeppe et al.,1991を参照されたい、なら
びにv0、組織血管容積)を有する1組織コンパートメントモデル(OTCM)、5つの
パラメータ(K1、k2、k3、k4、およびv0;定義についてはInnis et
al.,2007を参照されたい)を有し、小脳推定値に対してK1−k2比(置換不可
能な分布容積、VND(Abi−Dargham et al.,1994)に制約を設
けたおよび制約を設けない(それぞれTTCM−UCおよびTTCM−C)2組織コン
ートメントモデル、および血漿参照グラフ解析(PRGA;Logan et al.,
1990)が含まれる。TTCM−UCおよびTTCM−Cでは、BPNDはk3−k4
比として得られた。PRGAでは、CbのVTが化合物Iの投与の影響を受けないことが
確認された場合、BPNDは、領域対Cb VT比から1を引いて得ることができる。代
謝物補正血漿TACは、Matlab(Mathworks,Cambridge,MA
,USA)で実行される区分的3次エルミート補間を使用して血漿サンプル時間で補間し
た後、HPLC分析により得られる親リガンドパーセント時間特性を全血漿TACに適用
することにより得られ、それを血漿入力法に使用した。

0074

さらに、組織参照法、即ち、2つのパラメータを有する多重線形参照組織法(MRTM
2;Ichise et al.,2002)および参照組織グラフ解析(RTGA;L
ogan et al.,1996)を適用した。RTGAでは、k2R(Cbの脳血液
クリアランス速度定数)をTTCM−UCにより得られる平均k2値(ベースライン走査
全体にわたる)、0.076分−1に設定した。

0075

この項では、A部の試験および再試験走査ならびにB部のベースライン走査を使用した

0076

置換不可能なコンパートメントの分布容積、VNDの独立推定:プロットが直線状に配
列する場合、Lassenプロットと称されることが多い、ΔVT(ベースラインマイ
ス投与後)対ベースラインVTの散布図により、「理論的に正しい」VNDを回帰直線
切片として得ることができることが分かった(Lassen et al.,1995
;Cunningham et al.,2010)。この方法では、ベースライン走査
および投与後の走査の全領域に共通する1つのVND値が得られることに留意されたい。
プロットが直線状に配列する場合しか、占有率の算出にLassenプロットの使用を認
めることができない。プロットにより得られるVND値は、BPNDおよび受容体占有率
を得るためにPRGAにおいてCbのVTをVNDの推定値として使用できる(即ち、C
b中の5−HT6受容体は無視できる程度である)かどうかを評価するのに使用される。

0077

試験−再試験間ばらつき:次式(例えば、Sudo et al.,2001)により
得られる試験−再試験間ばらつき(TRV)を使用して、[11C]LuPETのVTお
よびBPNDの再現性を評価した:




式中、v試験およびv再試験はそれぞれ、領域中の試験走査および再試験走査のVTまた
はBPNDの推定値を指す。幾つかの論文では、放射性リガンドの許容可能な再現性の判
定規準としてTRV10%が採用された(Hirvonen et al.,2009)
。従って、本報告ではこのレベルを参照として使用した。この項では、A部の試験走査お
よび再試験走査を単独で使用した。

0078

占有率および占有率−PK関係:化合物I(B部)およびオランザピン(A部)による
5−HT6受容体の占有率(RO:単位%)は、次式を使用して算出した:




式中、上付きはそれぞれベースライン(B)および投与後(D)のBPNDを示す。

0079

健常男性対象では、オランザピン1回量10mgを経口投与するとドーパミンD2受容
体占有率が約60%となることが分かった(Nyberg et al.,1997)。
5−HT6受容体およびドーパミンD2受容体に対するオランザピンのヒトin vit
ro受容体親和性は、それぞれ、Ki値約10nMおよび30nMに匹敵すると報告され
ており(Kroeze et al,2003)、従って、10mgの用量で少なくとも
匹敵する5−HT6占有率(=60%)を期待することができる。オランザピンは5−H
T2A受容体に対する親和性がさらに高いため、オランザピン投与後に測定された全置換
に対する5−HT2Aからの寄与を幾らか見込まなければならない。線条体では、5−H
T6の密度は高い(Woolley et al.,2004)が、5−HT2Aの密度
は低く(Pompeiano et al.,1994)、そのため、この領域では主な
寄与は5−HT6受容体からの置換からもたらされることになる。

0080

占有率−PK(血漿中の化合物Iの濃度)関係に次の修正されたHillの一次方程式
フィッティングさせた。




式中、Omaxは到達可能な最高占有率を表し、EC50はOmaxの50%を達成する
PKを指す。赤池情報量規準AIC;Akaike 1974;Burnham an
d Anderson 2004)を使用して、コンパートメントモデルに関する、およ
び占有率−PK関係の検定に関する適合度を、式3を使用して検定した。

0081

結果
A部およびB部からの次の結果については、本発明の図面の図を参照されたい。組織T
AC:ベースライン走査で、PuおよびCNのTACは10分より前にピークを形成し、
その後、90分間、連続した増加を示した(図1)が、他の脳領域のTACは20分より
前に各ピークに達し、その後、単調に減少した。Cbは脳領域の中で最も低い放射能集積
を示した。投与後の走査では、PuおよびCNのTACの形状は、用量依存的に他の脳領
域のTACに近付いた(パネルB)。CbのTACはベースライン走査と投与後の走査と
の間で比較的類似したままであった。

0082

図1:選択された脳領域の時間放射能曲線(TAC):血漿TAC:血漿中の全放射性
代謝物は、トレーサー注入後の時間に応じて増加し(図2、パネルA)、90分の時点で
69±9%に達した。3H走査および投与後2回目の走査は、ベースライン走査と区別不
可能なHPLC時間特性を示した。全血漿TACおよび代謝物補正血漿TACをパネルB
に示す。これらは共に1分(注入)以内にピークを形成し、その後、単一指関数的に低
下した。技術的な問題により、残りの12の走査ではHPLCが成功しなかったため、H
PLCが成功した8つの走査の平均HPLC時間特性をA部のデータ解析に使用したこと
に留意されたい。B部では個々の走査のHPLC時間特性を使用した。

0083

図2:血漿中の[11C]−LuPETの全放射性代謝物の時間特性:PET結果変数
に関する方法の評価:AICは、OTCMよりTTCMの方を支持した(即ち、OTCM
の方がTTCM−UCまたはTTCM−Cよりも、それぞれ合計434の領域の99.8
%または99.1%で高いAIC値を示した)が、これは、[11C]LuPETに関し
て血液脳移行を結合−解離プロセスから動態学的に分離できることを示唆している。従っ
て、OTCMはこの放射性リガンドに関して却下された。しかし、TTCM−UCおよび
TTCM−Cでは、VTに関しては全領域の8.1%および6.2%でならびにBPND
に関しては7.2%および4.4%で異常値(VT>20mL/mL(PRGAによる最
も高い値)およびBPND>15(PRGAによる最も高い値より3倍大きい):と定義
される任意の値)が得られた。従って、TTCM−UCおよびTTCM−Cは、[11C
]LuPETを用いたVTおよびBPNDの推定に十分なロバスト性がないことが結論
けられた。PRGAプロットは少なくとも40分の時点で漸近線に近付き、優れた直線性
を示した(全領域で、R2、決定係数>0.93)。PRGAの他の評価を次の2つの項
に記載する。

0084

2つの参照組織法間で、RTGA(=x)は、MRTM2(y=0.73・x+0.2
2;R2=0.878)よりもPRGA(y=0.72・x+0.073;R2=0.9
26)と強い相関を示したが、これらの方法には共に、高BPND領域でBPNDの過小
評価があった。

0085

Lassenプロットおよび小脳VTの評価:図3、パネルAに示すように、ベース
イン走査と比較して、3H走査(t=−3.09;p<0.01;対応のあるt−tes
t)および投与後2回目の走査(t=−2.56;p<0.05)では、CbのVTが減
少した。3H走査と投与後2回目の走査との間で統計学的な差は認められなかった(t=
1.06;p>0.3)。VND推定値が−0.39mL/mLであった一例(最も低い
占有率を示した対象502のベースライン走査対投与51時間後の走査;R2=0.50
1)を除く全ての場合に、Lassenプロットは直線状であった(R2>0.9)。V
ND推定値は、3H走査とP2走査では不変であった(パネルB)。しかし、異常値が存
在するため、占有率の算出に関するLassenプロットの使用はこの試験から除外され
た。異常値を排除した場合、CbのVT(=y)は、Lassenプロットにより得られ
るVNDと相関した(y=0.90・x+0.08;R2=0.945)が、VND(t
=−4.36;p<0.001)より低かった。この知見(3HにおけるCb内のVT<
Lassenプロットにより得られるVND)から、プロットによるVNDの僅かな過大
評価が示唆された。統計学的には有意であるが、線条体領域で観測される高いVT値(標
的領域中のVT約10mL/mL)と比較して無視できる程度の差(ベースライン走査と
3H走査との平均差が0.39mL/mL)であることを考え合わせると、この項での評
価により、[11C]LuPETを用い、Cbを参照領域として使用する占有率の算出に
関するPRGAの使用が正当化される。

0086

図3:小脳における分布容積(VT)のヒストグラム(SEMバー付き):試験−再試
験間ばらつき:PRGAが示すVTのTRV値は低く(範囲:12.7%〜15.6%)
、様々な領域で所望の10%レベルを達成したが、TTCM−C(範囲:13.3%〜4
5.8%)は比較的高いTRV値を示した。BPNDについて、標的領域(即ち、Puお
よびCN)のTRV値は、PRGAでは20%に近く、TTCM−Cではそれより僅かに
高かった(図4、パネルA)。組織参照法は、様々な皮質領域および皮質下領域で、許容
できないTRV値を示した(パネルB)。しかし、RTGAは、標的領域で10%レベル
に非常に近いTRV値を示した。

0087

図4:試験−再試験間ばらつき(TRV)のヒストグラム(SEMバー付き):試験−
再試験間ばらつき推定を含む方法評価の項の結果から、広く認識されているPETデータ
解析法の中で、[11C]LuPETを用いたVT、BPND、および占有率の導出には
PRGAが最も適切な方法であることが分かった。従って、以下では主にPRGAにより
得られる結果を示す。方法の項で、動脈カテーテルの挿入および動脈血採取が交絡因子
なり得る場合、RTGAが使用可能となり得ることも分かったため、RTGAの結果も必
要に応じて示すが、この方法では高BPND領域でBPNDが過小評価されるおそれがあ
る。PRGAにより得られるVTならびにPRGAおよびRTGAにより得られるBPN
Dの局所値図5に示し、試験した年齢範囲内の健常男性対象におけるVTおよびBPN
Dの局所分布を示す。

0088

図5:選択された脳領域内の分布容積VTのヒストグラム(SEMバー付き):オラン
ピンによる[11C]LuPET結合の置換:オランザピン1用量10mgを投与する
領域全体で[11C]LuPETの結合が約80%置換された(図6)が、幾らかの局
所差が認められた。この知見は、方法の項の占有率および占有率−PK関係の項で検討し
た置換の期待値と一致した。置換を算出するためのベースライン走査として試験走査を使
用するかまたは再試験走査を使用するかにかかわらず、比較的類似の結果が得られたこと
に留意されたい。

0089

図6:選択された脳領域内でのオランザピン1回量10mgによる[11C]LuPE
Tの置換(%)のヒストグラム:化合物Iによる5−HT6受容体の占有率および占有率
−PK関係:投与スキームに関して観測された占有率値を図7に示す。3H走査の占有率
−PKプロットを、プロットの式3による最良適合(即ち、モデル予測)と共に図8に示
す。AICは、3つの領域で1パラメータフィッティング(Omaxを100%に固定す
る)を好ましく2パラメータフィッティング(即ち、OmaxとEC50の両方を推定)
の方を支持した。80%の占有率(80%RO)をもたらすと予測されるOmax、EC
50およびPKの推定値を表2に記載する。

0090

図7:3時間の時点および投与後2回目の時点に関する投与スキームによる化合物Iに
よる5−HT6受容体の占有率のヒストグラム(SEバー付き平均):3H走査の占有率
(=y)対血漿中の化合物Iの濃度(トレーサー注入30分後〜90分後の平均)の散布
図(図8)に、Omaxを100%と仮定して(モデル1;1パラメータ、EC50を推
定)、およびOmaxとEC50の両方を推定して(モデル2)式3をフィッティングさ
せた。赤池情報量規準(AIC;AIC値が小さいほど適合度が良くなる)(Akaik
e 1974)および2つのモデルの残差平方和RSS)を比較するF検定により、P
u、CN、およびvSではモデル1よりもモデル2の方が支持された(表1)。

0091

図8:投与3時間後の時点における被殻、尾状核および腹側線条体に関する占有率−P
K、化合物Iの血漿中濃度プロット。

0092

図9:投与後2回目の時点における被殻、尾状核および腹側線条体に関する占有率−P
K、化合物Iの血漿中濃度プロット:プールされた全てのデータ点を有するプロットは、
PuおよびCNでは、モデル1よりもモデル2の方が適合度が良く、これらの構造中では
Omaxを一意的に特定できることが示唆される。単独の3Hデータ点(赤点色線)とプ
ールされたデータ点(黒点色線)との間で、モデル予測曲線はPuとCNでは本質的に同
一であった。P2データ単独のモデル予測曲線(緑点色線)の外挿もプールされたデータ
予測曲線と一致した。

0093

プールされた全てのデータ点を有するプロットは、PuおよびCNでは、モデル1より
もモデル2の方が適合度が良く、これらの構造中ではOmaxを一意的に特定できること
が示唆される。単独の3Hデータ点(赤点色線)とプールされたデータ点(黒点色線)と
の間で、モデル予測曲線はPuとCNでは本質的に同一であった。P2データ単独のモデ
ル予測曲線(緑点色線)の外挿もプールされたデータの予測曲線と一致した。従って、O
maxおよびEC50の推定値は、3Hデータセット、P2データセットおよびプールさ
れたデータセット全体で一貫性があった。これらの知見はvSに関して決定的ではなく、
おそらくこの領域における占有率の推定値が不安定であることを反映した。

0094

血漿TACを必要としないRTGAでは、Pu、CN、およびvSで匹敵するEC50
推定値が得られたが、Omaxの推定値はPRGAより僅かに低く、また80%の占有率
が生じると予測されたPK値も記載され、この占有率レベルで最適な臨床効果が生じ得る
と仮定される。PRGAでは、CNおよびvSのPK値は約120ng/mLであり、P
uのPK値は約50ng/mLであった。RTGAでは、CNのPK値は約100ng/
mLであったが、PuおよびvSではOmaxの推定値が80%より低かったことから、
これらの構造のPK値は得られなかった。

0095

図10:投与後の2つの時点における、被殻(Pu)、尾状核(CN)、および腹側線
条体(vS)プーリングに関する占有率−PK(化合物Iの血漿中濃度)のプロット。モ
デル予測曲線(即ち、式3による最良適合)を表示の通り示す。

0096

図11:ベースライン走査および投与51時間後の走査に関する被殻および尾状核を示
すレベルでの結合能の体軸横断像:ベースライン走査および投与51時間後(n=4;1
回量30mgのみ;C)の走査に関する被殻(Pu)および尾状核(CN)を示すレベル
での結合能、BPNDの体軸横断像。健常若年対象(n=8)の[11C]MDL100
,809のBPND画像を参照としてパネルDに示す。個々のBPND画像を空間的に標
準化し、メンバー全体で平均した。

0097

0098

P2走査に関する同じプロットを図9に示す。AICとF検定は両方とも、モデル1よ
りモデル2の方を支持しなかったが、その理由はおそらく、これらの後の時点ではOma
xを正確に推定するのに十分な数の「飽和に近い」データ点が観測されなかったからであ
る。

0099

0100

化合物Iを投与した後のBPNDの変化を視覚的に表示するために、PRGAのボクセ
ル×ボクセルの適用により得られるBPNDの画像を図11に示す。

0101

考察
この試験の方法論的評価の項では、広く認識されている標準的なPETデータ解析方法
の中で、放射性リガンドPETデータからVT、BPNDおよび占有率を導出するのに最
適な方法として、PRGAが特定された。プロットが成功した場合、CbのVT推定値は
Lassenプロットにより得られるVND推定値より僅かに低かった(が、それと相関
した)ため、[11C]LuPETに関して、参照領域としてのCbの使用が正当化され
た。

0102

A部の走査に関して平均HPLC時間特性を使用したが、走査の60%でHPLCが成
功しなかったため、血漿入力法(TTCMおよびPRGA)のTRV推定値は、あるべき
値ほど正確になり得なかったことに留意されたい。それにもかかわらず、個々の走査のH
PLCデータをB部に使用した場合、この試験で観測された理論期待値(即ち、式3)に
対する占有率−PKプロットの適合度(AIC値による)は、本発明者らの経験では、他
の受容体占有率試験で観測されたAIC値と同程度に良好であったが、それはまたB部で
得られた観測されたOmaxおよびEC50値が正確であったことを保証している。

0103

ヒトの脳内での[11C]LuPETのBPNDの分布は、5−HT2A受容体に対す
高親和性拮抗薬リガンドである[11C]MDL100,907のBPND分布とは著
しく異なった(図11参照:):PuおよびCNは、[11C]LuPETで最も高いB
PNDを示したが、[11C]MDL100,907では比較的結合の余地があり、一方
、皮質領域は[11C]MDL100,907の高いBPNDを示したが、[11C]L
uPETでは比較的低いBPNDを示した。

0104

占有率−PKプロットは、3H走査およびP2走査に関して別々に、または一緒にプー
ルされた3H走査およびP2走査に関して、Hillの一次方程式(式3)と一致した。
さらに、これらの3つのデータセットの予測曲線は本質的に同一であった。これらの知見
から、占有率−PK関係がP2走査(投与後継続時間範囲:10〜51時間;PK範囲:
0.54〜204ng/mL)と3H走査との間で一致したことが分かり、3H走査で1
5人の対象のうち12人でPK値がP2走査のPK範囲内に入った。従って、化合物Iは
、受容体からの解離と脳からのクリアランスが比較的速い(即ち、長時間結合の証拠はな
い)と思われた。

0105

統計学的に説得力があるPuおよびCNの結果に基づき、この試験から、化合物Iを経
口投与すると、Omaxが約90%となり、EC50が6ng/mLより僅かに高くなる
ことが予測された。最後に、動脈血採取を必要としないRTGAで、比較的侵襲性が高い
PRGAに匹敵するEC50値が得られた。僅かではあるが影響を及ぼす参照領域(Cb
)における遮断(blocking)により、RTGAではPRGAと比較してOmax
が過小評価されることを説明できることが推測された。従って、動脈血採取が好ましくな
い患者母集団の試験において、RTGAは薬物占有率試験に適用可能となり得る。最後に
、vSに不確実性があった(即ち、AICスコアから、式3の適合度が比較的不良である
ことが分かった)のは、おそらくPuおよびCN(>3mL)より容積が小さかった(片
側当たり約0.8mL)ためであることに言及すべきである。

0106

化合物Iを60mg BID、30mg BIDおよび30mg QDで投与した後の
5−HT6受容体占有率は高かった;即ち、Cmaxでそれぞれ>90%、>85%およ
び約80%であり、投与24時間後に僅かしか減少しなかった。

0107

結論として、この試験から、一定量の化合物Iを経口投与すると、Omaxが約90%
、EC50が約6.5ng/mLとなることが推定された。最適な治療量および関連する
化合物Iの血漿中濃度がその臨床応用に使用可能となるとき、これらの推定値は、最適な
臨床有効性を発揮する5−HT6受容体の占有率の推定に貢献する。

0108

実施例3.母集団薬物動態モデル構築&PK/PDモデル5−HT6占有率シミュレーシ
ョン
実施例2のPET試験から得られたデータを使用し、アルツハイマー病母集団で、化合
物Iを5.0〜60mgの範囲の1日1回投与量で複数回投与した後の5−HT6受容体
占有率を年齢に応じて推定することがモデル構築およびシミュレーション演習の目的であ
った。

0109

母集団薬物動態(popPK)モデル
自己抑制モデルを使用したが、これはPlockらによる論文(Plock N.et
al.Drug Metab Disp 2007,35:1816−1823)に基
づいている。使用するpopPKモデルの構造を下記に記載する。

0110

中高年での第I相試験からのデータとAD試験(試験12936A)からのデータから
、化合物Iのクリアランスは中高年では低く、従って、同じ用量で、中高年対象は比較的
若年の対象と比較して高い血漿中濃度を有することが分かった。この年齢効果をPopP
Kモデルに組み込んだ。合計で、popPKモデルに使用したデータセットは265人の
患者からなった。単回投与または複数回投与された用量は9.0〜300mgの範囲であ
った。

0111

PK/PDモデル5−HT6占有率
化合物Iを複数回投与した後の5−HT6占有率の評価に、16人の健常対象が含まれ
た。対象に化合物Iを少なくとも3日間、120(60BID)、60(30BID)、
30mg/日(QD)または5mg(QD)の用量で投与し、各用量コホートに4人の対
象が含まれた。合計で、対象1人当たり3回PET走査を行い、最初はベースライン時に
、2回目は投与最終日のtmax付近で、最後は投与最終日の投与後10〜51時間の間
隔を空けて行った。

0112

化合物Iの血漿中濃度対尾状核領域の5−HT6受容体占有率を図11に示す。PK/
PD関係を、Emaxモデルを用いてOcc=Emax*Cp/(EC50+Cp)の形
態でモデル化したが、式中、Emaxは最大占有率、EC50は半Emaxを生じさせる
化合物Iの血漿中濃度であり、Cpは化合物Iの血漿中濃度である。臨床PET試験では
ベースライン後2回目の走査(最後に化合物Iを投与して10〜51時間後に行った)
の占有率の方が、ベースライン後最初の走査(Cmax付近で行った)の占有率よりも、
フィッティングした血漿中濃度対5−HT6受容体占有率曲線からの外れが明らかではな
かった。これから、PKとPDとの間に顕著なヒステリシスまたはラグタイムは存在しな
いことが分かり、それは、例えば、受容体に関する解離速度が血漿中消失速度より長い場
合にあり得る。

0113

占有率における対象間のばらつきの推定が可能となるように、非線形混合効果モデル化
を行ったが、対象間のばらつきはEC50に関して指数関数項(exponential
term)としてモデル化された。尾状核領域に関するEmaxおよびEC50はそれ
ぞれ91%および6.5ng/mLと推定された。推定値の不確実性は低く、相対的標準
誤差に関してそれらは1.1%(Emax)および15%(EC50)であった。

0114

PK/PDモデル
試験12936Aのものに対して年齢に関するアルツハイマー病の母集団のシミュレー
ションを行った(範囲54〜90才、中央値75才)。5mg/日、10mg/日、15
mg/日、20mg/日、25mg/日、30mg/日および60mg/日の用量に関し
て、且つ用量当たり1000人の患者で、化合物Iの定常状態での血漿中特性および対応
する5−HT6受容体占有率のシミュレーションを行った。定常状態における1日間の尾
核領域内の平均5−HT6受容体占有率を各患者に関して推定した。中央値、5%およ
び95%パーセンタイルを各用量群に関して個々の値から推定した。従って、患者の90
%は、5%パーセンタイル〜95%パーセンタイルの区間に入ることになる。

0115

0116

簡単な考察
PK/PDモデルからのデータを使用して、図12は5−HT6受容体占有率と化合物
Iの血漿中濃度との投影(projected)相関を示す。AD試験での化合物Iの固
定用量により得られる暴露(X軸上の強調表示された範囲を参照)から、試験の対象は5
−HT6受容体の受容体占有率レベルが高かったことが分かる。

0117

図13は、5.0〜60mg/日の用量に関して定常状態でシミュレートした5−HT
6受容体占有率を示す。占有率中央値は5.0mgでの56%から30mgでの92%ま
でにわたる。PET試験からの結果に基づいて、化合物Iの血漿中濃度対5−HT6占有
率曲線がよく説明されるように思われる。

0118

従って、これらのデータから、約30mg〜約60mgの有効量を毎日投与すると、そ
れにより患者コンプライアンスが向上し、以前の臨床試験で見られた合併症が回避される
という知見が裏付けられる。

実施例

0119

参考文献
・Abi−Dargham A,et al.(1994)SPECTmeasure
ment of benzodiazepine receptors in huma
n brain with iodine−123−iomazenil:kineti
c and equilibrium paradigms.J Nucl Med.3
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・Akaike H.(1974)A new look at statistica
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