図面 (/)

この項目の情報は公開日時点(2019年4月18日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (20)

課題

宿主細胞中で以前の抗GDF−8抗体と比較して実質的により高い発現レベルが可能な、改善された中和抗GDF−8抗体、および、筋肉量または筋力を増加させるため、および筋障害神経筋障害代謝障害脂肪組織障害または骨障害処置または予防するために、そのような抗体を含む組成物を使用する方法の提供。

解決手段

特定の配列を有するモノクローナル抗体またはその抗原結合断片、および、前記モノクローナル抗体を含む医薬組成物

概要

背景

ミオスタチンとしても知られる成長および分化因子−8(GDF−8)は分泌タンパク質であり、構造的に関連する成長因子トランスフォーミング成長因子ベータ(TGF−β)スーパーファミリーメンバーである。このスーパーファミリーのメンバーは成長調節および形態形成の特性を有する(Kingsleyら(1994)Genes Dev.、8:133〜46、Hoodlessら(1998)Curr.Topics Microbiol.Immunol.、228:235〜72)。ヒトGDF−8は、ホモ二量体複合体を形成する375個のアミノ酸の前駆タンパク質として合成される。プロセッシング中に、「潜伏期関連ペプチド」(LAP)として知られるアミノ末端プロペプチドが切断され、ホモ二量体との非共有結合が保たれて「小潜伏性複合体」と命名された不活性の複合体を形成し得る(Miyazonoら(1988)J.Biol.Chem.、263:6407〜15、Wakefieldら(1988)J.Biol.Chem.、263:7646〜54、Brownら(1999)Growth Factors、3:35〜43、Thiesら(2001)Growth Factors、18:251〜59、Gentryら(1990)Biochemistry、29:6851〜57、Derynckら(1995)Nature、316:701〜05、Massague(1990)Ann.Rev.Cell Biol.、12:597〜641)。また、フォリスタチンなどのタンパク質およびその類縁体も、成熟GDF−8ホモ二量体と結合し、GDF−8生物活性阻害する(Gamerら(1999)Dev.Biol.、208:222〜32)。

様々な種の推定GDF−8アミノ酸配列アラインメントが、GDF−8が高度に保存的であることを実証している(McPherronら(1997)Proc.Natl.Acad.Sci. U.S.A.、94:12457〜61)。ヒト、マウスラットブタ、およびニワトリのGDF−8の配列はC末端領域内で100%同一である一方で、ヒヒウシ、およびヒツジのGDF−8はC末端でわずか3個のアミノ酸が異なる。種にわたるGDF−8の高度の保存は、GDF−8が必要不可欠な生理的機能を有することを示唆している。

GDF−8は、筋芽細胞および衛星細胞の増殖および分化をどちらも阻害することによって、筋肉の発生および恒常性の調節において主要な役割を果たすことが示されている(LeeおよびMcPherron(1999)Curr.Opin.Genet.Dev.、9:604〜07、McCroskeryら(2003)J.Cell.Biol.、162:1135〜47)。これは、発生中の骨格筋内で初期発現され、成体の骨格筋、優先的には速筋型のもの中で発現され続ける。さらに、成体マウスにおいて過剰発現されるGDF−8は顕著な筋肉喪失をもたらす(Zimmersら(2002)Science、296:1486〜88)。また、GDF−8遺伝子を不活性化させる天然突然変異は、動物およびヒトのどちらにおいても肥厚および過形成をどちらも引き起こすことが示されている(LeeおよびMcPherron(1997)上記)。たとえば、GDF−8ノックアウトトランスジェニックマウスは、骨格筋の著しい肥厚および過形成ならびに皮質骨構造の変質によって特徴づけられている(McPherronら(1997)Nature、387:83〜90、Hamrickら(2000)Bone、27:343〜49)。骨格筋量の同様の増加が、畜牛における天然のGDF−8突然変異において明白である(Ashmoreら(1974)Growth、38:501〜07、Swatlandら(1994)J.Anim.Sci.、38:752〜57、McPherronら、上記、Kambadurら(1997)Genome Res.、7:910〜15)。さらに、様々な研究が、増加したGDF−8発現がHIV誘導性の筋消耗と関連していることを示している(Gonzalez−Cadavidら(1998)Proc.Natl.Acad Sci. U.S.A.、95:14938〜43)。また、GDF−8は筋特異的酵素(たとえばクレアチンキナーゼ)の産生および筋芽細胞増殖にも関連づけられている(WO00/43781号)。

その成長調節および形態形成の特性に加えて、GDF−8は、2型糖尿病発生中のグルコース恒常性、耐糖能異常、代謝症候群(すなわち、たとえば、人を2型糖尿病および/または心疾患の高い危険にさらすインスリン抵抗性腹部肥満、異常脂質血症高血圧慢性炎症血栓形成促進性状態などが含まれ得る健康状態群の同時発生を含むX症候群などの症候群)、インスリン抵抗性(たとえば、火傷などの外傷または窒素不均衡によって誘導される抵抗性)、ならびに脂肪組織障害(たとえば、肥満、異常脂質血症、非アルコール性脂肪肝疾患など)を含めた、数々の他の生理的プロセスに関与していると考えられている(Kimら(2000)Biochem.Biophys.Res.Comm.、281:902〜06)。

いくつかのヒトおよび動物の障害が、機能的に障害のある筋組織、たとえば、筋萎縮性側索硬化症(「ALS」)、筋ジストロフィー(「MD」、デュシェンヌ型筋ジストロフィーが含まれる)、筋萎縮臓器萎縮虚弱鬱血閉塞性肺疾患COPD)、筋肉減少症悪液質、ならびに他の疾患および状態によって引き起こされる筋消耗症候群に関連づけられている。現在、これらの障害を処置するための信頼性のあるまたは有効な治療はわずかしか存在しない。これらの疾患の病理は、これらの疾患を処置するための標的としての、GDF−8シグナル伝達の潜在的な役割を示している。

ALSは、中枢神経系の変性および筋萎縮に特徴づけられている晩期発症型かつ致命的な神経変性疾患である。ALSは、典型的には歩行異常および器用さの喪失から始まり、その後、肢および横隔膜麻痺へと進行する。ALSのほとんどの事例は散発性であり、未知病因のものであるが、事例のうちの5〜10%は、優性家族性FALS)遺伝の結果生じることが示されている。FALSの約10〜20%の事例がCu/Znスーパーオキシドジスムターゼ(SOD1)遺伝子中の突然変異に起因している(Bruijnら(2004)Ann.Rev.Neurosci.、27:723〜49中に総説)。SOD1は、スーパーオキシドから過酸化水素および二原子酸素への反応を触媒するヘテロ二量体金属タンパク質であり、SOD1の損失運動ニューロン疾患をもたらさないため(Reaumeら(1996)Nat.Genet.、13:43〜47)、疾患は毒性がある機能獲得型によって誘導されると考えられている(Bruijnら、上記中に総説)。SOD1誘導性の神経細胞死の具体的な機構は不明確であり、軸索輸送の変更、誤って折り畳まれたタンパク質に対する細胞性応答ミトコンドリア機能不全、および興奮毒性を含み得る(Bruijnら、上記)。

ALSにおいて観察される運動ニューロンの変性は、運動ニューロンによる栄養因子の取り込みまたは輸送破壊を含めた複数の機構を介して起こり得る(Holzbaur(2004)TrendsCell Biol.、14:233〜40中に総説)。したがって、ALSは、最適な生存環境を提供することによって変性中のニューロン回復させる治療によって処置し得る。神経の環境には、運動ニューロンによって神経支配されるグリアおよび筋肉細胞などの非神経細胞が含まれる。この環境が、ニューロンによって飲食され、逆行性軸索輸送を介して細胞体へと輸送される栄養因子および成長因子を提供する(Chao(2003)Neuron、39:1〜2、Holzbaur、上記)。

FALSは、突然変異SOD1の過剰発現によって、マウスおよびラットのどちらにおいてもモデリングされている(Howlandら(2002)Proc.Natl.Acad.Sci. U.S.A.、99:1604〜09)。突然変異SOD1のG93A型を過剰発現するトランスジェニックマウスは90〜100日齢までに筋力の低下および萎縮を示し、典型的にはほぼ130日齢で死亡する(Gurneyら(1994)Science、264:1772〜75)。しかし、握力低下および神経筋接合部の喪失を含めた、根底にあるSODG93A誘導性の病理は、早くも50日齢で顕著である(Freyら(2000)J.Neurosci.、20:2534〜42、Fisherら(2004)Exp.Neuro.、185:232〜40、Ligonら(2005)NeuroReport、16:533〜36、Wooleyら(2005)Muscle Nerve、32:43〜50)。SODG93A突然変異を発現するトランスジェニックラットは同様の変性の時間経過に従う(Howlandら、上記)。最近の研究は、病理の発生が細胞自律的ではないことを示唆しており、これは、ALSにおいて観察される運動ニューロンの変性は、運動ニューロンによる栄養因子の取り込みおよび輸送の破壊を含めた複数の機構を介して起こるという仮説一貫している(上記参照)。Clementおよび共同研究者らは、キメラマウスを使用して、野生型非神経細胞が突然変異SOD1を発現する運動ニューロンの生存を延長できることを示している(Clementら(2003)Science、302:113〜17)。これらの観察は、生存のための最適微小環境を提供することによって神経の変性を遅延させ得る治療の調査へとつながっている。たとえば、ウイルス発現させた成長因子(IGF−1、GDNFおよびVEGFが含まれる)の直接筋肉内注射を介したSODG93Aマウスの処置は、動物の生存を延ばす(Kasparら(2003)Science、301:839〜42、Azzouzら(2004)Nature、429:413〜17、Wangら(2002)J.Neurosci.、22:6920〜28)。さらに、局所的なIGF−1特異的アイソフォーム(mIGF−1)の筋特異的発現は、SODG93Aトランスジェニックマウスモデルにおいて神経筋接合部を安定化させ、運動ニューロンの生存を増強させ、疾患の発症および進行を遅延させ、これは、筋肉に対する直接効果トランスジェニックSOD1動物における疾患の発症および進行に影響を与える場合があることを示している(Dobrowolnyら(2005)J.Cell Biol.、168:193〜99)。また、筋肉の代謝亢進と運動ニューロンの脆弱性との間の関連づけもALSマウスにおいて報告されており、これは、筋肉内の欠陥が疾患の病因に寄与し得るという仮説を支持している(Dupoisら(2004)Proc.Natl.Acad Sci. U.S.A.、101:11159〜64)。したがって、筋肉成長の増強が、運動ニューロンの局所的支持の改善を提供し、したがって治療上の利点をもたらすであろう。

ミオスタチン発現の阻害は筋肉の肥厚および過形成をどちらももたらす(LeeおよびMcPherron、上記、McPherronら、上記)。ミオスタチンは傷害後の筋肉再生を負に調節し、GDF−8ヌルマウスにおけるミオスタチンの欠乏は筋肉再生の加速をもたらす(McCroskeryら、(2005)J.Cell.Sci.、118:3531〜41)。ミオスタチン中和抗体は、野生型マウス(Whittemoreら(2003)Biochem.Biophys.Res.Commun.、300:965〜71)および筋ジストロフィーモデルであるmdxマウス(Bogdanovichら(2002)Nature、420:418〜21、Wagnerら(2002)Ann.Neurol.、52:832〜36)において、体重、骨格筋量、ならびに骨格筋の筋肉の大きさおよび筋力を増加させる。さらに、これらのマウスにおけるミオスタチン抗体は、ALSの病因中にやはり標的となる筋肉である横隔膜への損傷を減少させた。筋肉に対するHGFなどの成長因子の作用はミオスタチン発現の阻害が原因である場合があり(McCroskeryら(2005)、上記)、したがって、再生と変性との間の「押し引き」、すなわちバランスを正の方向にシフトさせることを助けると仮定されている。したがって、GDF−8阻害は、ALS、筋ジストロフィー(MD)、および他のGDF−8関連障害、たとえば、筋肉の量、筋力、大きさなどを増加させることが望ましい神経筋障害を処置するための潜在的な薬理学的標的として提示される。ALSの動物モデル(マウスおよびラット)が利用可能であるため、2つの異なる種において治療剤試験することが可能であり、したがって、ヒトにおけるin vivoでの治療効果信頼度が増加する。

ヒトにおける神経筋障害に加えて、主に高齢者および/または閉経後女性に影響を与える、骨粗鬆症および骨関節炎などの骨減少に関連する成長因子関連の状態も存在する。さらに、代謝性の骨の疾患および障害には、慢性糖質コルチコイド治療未熟性腺機能不全アンドロゲン抑制、ビタミンD欠乏、続発性副甲状腺機能亢進栄養障害、および神経性無食欲症が原因の低骨量が含まれる。これらの状態のための多くの現在の治療は骨吸収を阻害することによって機能するが、骨形成を促進する治療は有用な代替処置となるであろう。GDF−8は骨発生および筋発生において役割を果たすため、GDF−8の調節も、骨変性疾患を処置するための優れた薬理学的標的である。

GDF−8を特異的に拮抗するマウスモノクローナル抗体は、他の生物学的効果のなかでとりわけ、ALSのげっ歯類モデルにおいて筋肉量および筋力を増加すると以前に記載されている。Holzbaur,ELら、Myostatin inhibition slows muscle atrophy in rodent models of amyotrophic lateral sclerosis、Neurobiology of Disease(2006)23(3):697〜707。したがって、このマウス抗体およびそのヒト化対応物は、ALS患者、ならびに、上述のものなどの過剰量のGDF−8によって特徴づけられるまたは媒介される他の疾患および障害によって影響を受ける患者において、筋肉量および筋力を増加させるために有効であると予想される。

概要

宿主細胞中で以前の抗GDF−8抗体と比較して実質的により高い発現レベルが可能な、改善された中和抗GDF−8抗体、および、筋肉量または筋力を増加させるため、および筋障害、神経筋障害、代謝障害、脂肪組織障害または骨障害を処置または予防するために、そのような抗体を含む組成物を使用する方法の提供。特定の配列を有するモノクローナル抗体またはその抗原結合断片、および、前記モノクローナル抗体を含む医薬組成物

目的

この環境が、ニューロンによって飲食され、逆行性軸索輸送を介して細胞体へと輸送される栄養因子および成長因子を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

GDF-8と特異的に結合するモノクローナル抗体またはその抗原結合断片であって、該抗体は配列番号1のアミノ酸配列におけるアミノ酸残基25(Glu)、29(Trp)、30(Asp)、31(Trp)、33(Ile)、34(Ala)、35(Pro)、36(Lys)83(Asn)、84(Met)、85(Leu)、87(Phe)、90(Lys)、91(Glu)、92(Gln)、93(Ile)、94(Ile)、および95(Tyr)を含むエピトープと特異的に結合し、かつ、配列番号7のアミノ酸配列により定義されるVH領域およびヒトIgG1のCH領域を含む重鎖と、配列番号9のアミノ酸配列により定義されるVL領域およびヒトカッパCL領域を含む軽鎖とを含む第二の抗体と比して、該抗体は、同じ条件下で少なくとも2倍高い量のレベル発現される、モノクローナル抗体またはその抗原結合断片。

請求項2

結合能が少なくとも10−6MのKd値、10−7MのKd値、10−8MのKd値、10−9MのKd値、10−10MのKd値、または10−11MのKd値でGDF−8と結合する、請求項1に記載の抗体またはその抗原結合断片。

請求項3

前記抗体が、前記第二の抗体に比して、同じ条件下で少なくとも3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、11倍、または12倍高い量のレベルで発現される、請求項1に記載の抗体またはその抗原結合断片。

請求項4

COS細胞による生産において、前記第二の抗体の生産レベルに比して、同じ条件下で少なくとも12倍高いレベルで生産される、請求項3に記載の抗体またはその抗原結合断片。

請求項5

COS細胞による生産において、前記第二の抗体の生産レベルに比して、同じ条件下で少なくとも6倍高いレベルで生産される、請求項3に記載の抗体またはその抗原結合断片。

請求項6

前記抗体のVH領域が、Kabat位置108のアミノ酸位置でロイシンを含む、請求項1に記載のモノクローナル抗体。

請求項7

前記抗体のVH領域のフレームワーク領域4(FR4)が配列番号44のアミノ酸106〜116を含む、請求項6に記載のモノクローナル抗体。

請求項8

前記抗体のVH領域が、配列番号44のアミノ酸配列によって定義されるVH領域の第1、第2、および第3の相補性決定領域(CDR)を含むものである、請求項1に記載のモノクローナル抗体。

請求項9

請求項8に記載のモノクローナル抗体であって、VHCDR1が配列番号10のアミノ酸配列を含み、VH CDR2が配列番号11のアミノ酸配列を含み、VH CDR3が配列番号12のアミノ酸配列を含む、モノクローナル抗体。

請求項10

請求項8に記載のモノクローナル抗体であって、VH領域が配列番号44のアミノ酸配列を含む、モノクローナル抗体。

請求項11

請求項1に記載のモノクロナル抗体であって、該抗体のVL領域が、Kabat位置100のアミノ酸位置でグリシン又はグルタミンを含む、モノクローナル抗体。

請求項12

請求項1に記載のモノクローナル抗体であって、該抗体のVL領域のフレームワーク領域が、配列番号46のアミノ酸98〜107、または配列番号9のアミノ酸98〜107を含む、モノクローナル抗体。

請求項13

請求項1に記載のモノクロ—ナル抗体であって、該抗体のVL領域が、配列番号46のアミノ酸配列によって定義されるVL領域の第1、第2、および第3のCDRを含むものである、請求項1に記載のモノクローナル抗体。

請求項14

請求項13に記載のモノクローナル抗体であって、VLCDR1が配列番号13のアミノ酸配列を含み、VL CDR2が配列番号14のアミノ酸配列を含み、VL CDR3が配列番号15のアミノ酸配列を含む、モノクローナル抗体。

請求項15

請求項13に記載のモノクローナル抗体であって、VL領域が配列番号46または配列番号9のアミノ酸配列を含む、モノクローナル抗体。

請求項16

請求項1に記載のモノクローナル抗体であって、IgA、IgG、IgDIgE,またはIgMからなる群から選択される抗体サブタイプ由来する抗体定常重鎖(CH)領域をさらに含む、モノクローナル抗体。

請求項17

請求項16に記載のモノクローナル抗体であって、該抗体のIgGサブタイプが、IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4からなる群からさらに選択される、モノクローナル抗体。

請求項18

請求項17に記載のモノクローナル抗体であって、該IgGサブタイプが、Fcドメイン機能を変更させる少なくとも1つの突然変異を含む、モノクローナル抗体。

請求項19

請求項17に記載のモノクローナル抗体であって、IgGサブタイプがIgG1である、モノクローナル抗体。

請求項20

ヒト化抗体である、請求項1に記載のモノクローナル抗体。

請求項21

ヒト抗体である、請求項1に記載のモノクローナル抗体。

請求項22

請求項1に記載のモノクローナル抗体であって、重鎖が配列番号57のアミノ酸配列を含む、モノクローナル抗体。

請求項23

抗体定常軽鎖(CL)を更に含む、請求項1に記載のモノクローナル抗体。

請求項24

前記CL領域がカッパまたはラムダCLである、請求項23に記載のモノクローナル抗体。

請求項25

請求項1に記載のモノクローナル抗体であって、軽鎖が配列番号17のアミノ酸配列を含む、モノクローナル抗体。

請求項26

請求項1に記載のモノクローナル抗体と薬学的に許容できる担体とを含む医薬組成物

請求項27

請求項1に記載のモノクローナル抗体の重鎖のアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む単離ポリペプチド

請求項28

哺乳動物筋肉量または筋力を増加させるための、請求項26に記載の医薬組成物。

請求項29

筋肉骨格筋である、請求項28に記載の医薬組成物。

請求項30

骨格筋が呼吸中に活動するものである、請求項29に記載の医薬組成物。

請求項31

筋肉量または筋力の低下により特徴づけられる筋障害治療するための、請求項26に記載の医薬組成物。

請求項32

筋障害が、筋ジストロフィー筋萎縮筋肉減少症悪液質、筋消耗症候群、加齢関連の筋肉量または筋力の低下、および虚弱からなく群から選択される、請求項31に記載の医薬組成物。

請求項33

筋障害が筋ジストロフィーである、請求項32に記載の医薬組成物。

請求項34

筋ジストロフィーが、デュシェンヌ型筋ジストロフィーである、請求項33に記載の医薬組成物。

請求項35

筋障害を有する対象の6分間歩行試験成績を増加させるための、請求項31に記載の医薬組成物。

請求項36

糖質コルチコイドを用いた処置も行われている対象に投与するための、請求項31に記載の医薬組成物。

技術分野

0001

関連出願の相互参照
本出願は、その内容が全体として参照により本明細書に組み込まれる、2012年6月15日出願の米国仮出願第61/660,232号の優先権を主張する。

0002

配列表の参照
米国特許法施行規則§1.821の下で本明細書と同時に、EFS−Web経由でファイル名PC071914_SEQLIST_ST25.txtとして提出したコンピュータ読取可能形式CRF)の配列表は、参照により本明細書に組み込まれる。配列表の電子コピーは2013年5月14日に作成され、71キロバイトのファイルサイズである。

0003

生物学的寄託物
本開示の代表的な材料は、2012年6月14日にAmerican Type Culture Collection(「ATCC」)、10801 University Boulevard、Manassas,VA、20110−2209、米国に寄託されている。ATCC受託番号PTA−12980を有するベクターGD1.0.0−HCはOGD1.0.0重鎖可変領域をコードしているポリヌクレオチドであり、ATCC受託番号PTA−12981を有するベクターOGD1.0.0−LCはOGD1.0.0軽鎖可変領域をコードしているポリヌクレオチドである。

0004

寄託は、特許手続きのための微生物寄託の国際認識に関するブダペスト条約の規定およびそれに従う規制(「ブダペスト条約」)の下で行われている。これは、寄託物の生きた培養物の維持を寄託日から30年間保証する。寄託物はブダペスト条約の条項に従ってATCCの下で利用可能となり、また、関連する米国特許が発行された際または任意の米国もしくは外国特許出願が一般に公開された際のいずれか早い方にて、寄託培養物の子孫の一般への永久的かつ無制限な利用可能性を保証し、米国特許法§122およびそれに準ずる長官の規則(米国特許法施行規則§1.14が含まれ、特に886OG638を参照)に従ってその権利を有すると米国特許商標長官によって決定された者への子孫の利用可能性を保証する、Pfizer Inc.とATCCの間の合意に従属する。

0005

本出願の譲受人は、適切な条件下で培養した場合に、寄託されている材料の培養物が死滅または損失または破壊した場合は、通知を行い材料を即座に同じもので交換することに合意している。寄託された材料の利用可能性は、政府のその特許法に従った権限下で付与される権限に違反して本発明を実施する許諾として解釈されるべきではない。

背景技術

0006

ミオスタチンとしても知られる成長および分化因子−8(GDF−8)は分泌タンパク質であり、構造的に関連する成長因子トランスフォーミング成長因子ベータ(TGF−β)スーパーファミリーメンバーである。このスーパーファミリーのメンバーは成長調節および形態形成の特性を有する(Kingsleyら(1994)Genes Dev.、8:133〜46、Hoodlessら(1998)Curr.Topics Microbiol.Immunol.、228:235〜72)。ヒトGDF−8は、ホモ二量体複合体を形成する375個のアミノ酸の前駆タンパク質として合成される。プロセッシング中に、「潜伏期関連ペプチド」(LAP)として知られるアミノ末端プロペプチドが切断され、ホモ二量体との非共有結合が保たれて「小潜伏性複合体」と命名された不活性の複合体を形成し得る(Miyazonoら(1988)J.Biol.Chem.、263:6407〜15、Wakefieldら(1988)J.Biol.Chem.、263:7646〜54、Brownら(1999)Growth Factors、3:35〜43、Thiesら(2001)Growth Factors、18:251〜59、Gentryら(1990)Biochemistry、29:6851〜57、Derynckら(1995)Nature、316:701〜05、Massague(1990)Ann.Rev.Cell Biol.、12:597〜641)。また、フォリスタチンなどのタンパク質およびその類縁体も、成熟GDF−8ホモ二量体と結合し、GDF−8生物活性阻害する(Gamerら(1999)Dev.Biol.、208:222〜32)。

0007

様々な種の推定GDF−8アミノ酸配列アラインメントが、GDF−8が高度に保存的であることを実証している(McPherronら(1997)Proc.Natl.Acad.Sci. U.S.A.、94:12457〜61)。ヒト、マウスラットブタ、およびニワトリのGDF−8の配列はC末端領域内で100%同一である一方で、ヒヒウシ、およびヒツジのGDF−8はC末端でわずか3個のアミノ酸が異なる。種にわたるGDF−8の高度の保存は、GDF−8が必要不可欠な生理的機能を有することを示唆している。

0008

GDF−8は、筋芽細胞および衛星細胞の増殖および分化をどちらも阻害することによって、筋肉の発生および恒常性の調節において主要な役割を果たすことが示されている(LeeおよびMcPherron(1999)Curr.Opin.Genet.Dev.、9:604〜07、McCroskeryら(2003)J.Cell.Biol.、162:1135〜47)。これは、発生中の骨格筋内で初期発現され、成体の骨格筋、優先的には速筋型のもの中で発現され続ける。さらに、成体マウスにおいて過剰発現されるGDF−8は顕著な筋肉喪失をもたらす(Zimmersら(2002)Science、296:1486〜88)。また、GDF−8遺伝子を不活性化させる天然突然変異は、動物およびヒトのどちらにおいても肥厚および過形成をどちらも引き起こすことが示されている(LeeおよびMcPherron(1997)上記)。たとえば、GDF−8ノックアウトトランスジェニックマウスは、骨格筋の著しい肥厚および過形成ならびに皮質骨構造の変質によって特徴づけられている(McPherronら(1997)Nature、387:83〜90、Hamrickら(2000)Bone、27:343〜49)。骨格筋量の同様の増加が、畜牛における天然のGDF−8突然変異において明白である(Ashmoreら(1974)Growth、38:501〜07、Swatlandら(1994)J.Anim.Sci.、38:752〜57、McPherronら、上記、Kambadurら(1997)Genome Res.、7:910〜15)。さらに、様々な研究が、増加したGDF−8発現がHIV誘導性の筋消耗と関連していることを示している(Gonzalez−Cadavidら(1998)Proc.Natl.Acad Sci. U.S.A.、95:14938〜43)。また、GDF−8は筋特異的酵素(たとえばクレアチンキナーゼ)の産生および筋芽細胞増殖にも関連づけられている(WO00/43781号)。

0009

その成長調節および形態形成の特性に加えて、GDF−8は、2型糖尿病発生中のグルコース恒常性、耐糖能異常、代謝症候群(すなわち、たとえば、人を2型糖尿病および/または心疾患の高い危険にさらすインスリン抵抗性腹部肥満、異常脂質血症高血圧慢性炎症血栓形成促進性状態などが含まれ得る健康状態群の同時発生を含むX症候群などの症候群)、インスリン抵抗性(たとえば、火傷などの外傷または窒素不均衡によって誘導される抵抗性)、ならびに脂肪組織障害(たとえば、肥満、異常脂質血症、非アルコール性脂肪肝疾患など)を含めた、数々の他の生理的プロセスに関与していると考えられている(Kimら(2000)Biochem.Biophys.Res.Comm.、281:902〜06)。

0010

いくつかのヒトおよび動物の障害が、機能的に障害のある筋組織、たとえば、筋萎縮性側索硬化症(「ALS」)、筋ジストロフィー(「MD」、デュシェンヌ型筋ジストロフィーが含まれる)、筋萎縮臓器萎縮虚弱鬱血閉塞性肺疾患COPD)、筋肉減少症悪液質、ならびに他の疾患および状態によって引き起こされる筋消耗症候群に関連づけられている。現在、これらの障害を処置するための信頼性のあるまたは有効な治療はわずかしか存在しない。これらの疾患の病理は、これらの疾患を処置するための標的としての、GDF−8シグナル伝達の潜在的な役割を示している。

0011

ALSは、中枢神経系の変性および筋萎縮に特徴づけられている晩期発症型かつ致命的な神経変性疾患である。ALSは、典型的には歩行異常および器用さの喪失から始まり、その後、肢および横隔膜麻痺へと進行する。ALSのほとんどの事例は散発性であり、未知病因のものであるが、事例のうちの5〜10%は、優性家族性FALS)遺伝の結果生じることが示されている。FALSの約10〜20%の事例がCu/Znスーパーオキシドジスムターゼ(SOD1)遺伝子中の突然変異に起因している(Bruijnら(2004)Ann.Rev.Neurosci.、27:723〜49中に総説)。SOD1は、スーパーオキシドから過酸化水素および二原子酸素への反応を触媒するヘテロ二量体金属タンパク質であり、SOD1の損失は運動ニューロン疾患をもたらさないため(Reaumeら(1996)Nat.Genet.、13:43〜47)、疾患は毒性がある機能獲得型によって誘導されると考えられている(Bruijnら、上記中に総説)。SOD1誘導性の神経細胞死の具体的な機構は不明確であり、軸索輸送の変更、誤って折り畳まれたタンパク質に対する細胞性応答ミトコンドリア機能不全、および興奮毒性を含み得る(Bruijnら、上記)。

0012

ALSにおいて観察される運動ニューロンの変性は、運動ニューロンによる栄養因子の取り込みまたは輸送の破壊を含めた複数の機構を介して起こり得る(Holzbaur(2004)TrendsCell Biol.、14:233〜40中に総説)。したがって、ALSは、最適な生存環境を提供することによって変性中のニューロン回復させる治療によって処置し得る。神経の環境には、運動ニューロンによって神経支配されるグリアおよび筋肉細胞などの非神経細胞が含まれる。この環境が、ニューロンによって飲食され、逆行性軸索輸送を介して細胞体へと輸送される栄養因子および成長因子を提供する(Chao(2003)Neuron、39:1〜2、Holzbaur、上記)。

0013

FALSは、突然変異SOD1の過剰発現によって、マウスおよびラットのどちらにおいてもモデリングされている(Howlandら(2002)Proc.Natl.Acad.Sci. U.S.A.、99:1604〜09)。突然変異SOD1のG93A型を過剰発現するトランスジェニックマウスは90〜100日齢までに筋力の低下および萎縮を示し、典型的にはほぼ130日齢で死亡する(Gurneyら(1994)Science、264:1772〜75)。しかし、握力低下および神経筋接合部の喪失を含めた、根底にあるSODG93A誘導性の病理は、早くも50日齢で顕著である(Freyら(2000)J.Neurosci.、20:2534〜42、Fisherら(2004)Exp.Neuro.、185:232〜40、Ligonら(2005)NeuroReport、16:533〜36、Wooleyら(2005)Muscle Nerve、32:43〜50)。SODG93A突然変異を発現するトランスジェニックラットは同様の変性の時間経過に従う(Howlandら、上記)。最近の研究は、病理の発生が細胞自律的ではないことを示唆しており、これは、ALSにおいて観察される運動ニューロンの変性は、運動ニューロンによる栄養因子の取り込みおよび輸送の破壊を含めた複数の機構を介して起こるという仮説一貫している(上記参照)。Clementおよび共同研究者らは、キメラマウスを使用して、野生型非神経細胞が突然変異SOD1を発現する運動ニューロンの生存を延長できることを示している(Clementら(2003)Science、302:113〜17)。これらの観察は、生存のための最適微小環境を提供することによって神経の変性を遅延させ得る治療の調査へとつながっている。たとえば、ウイルス発現させた成長因子(IGF−1、GDNFおよびVEGFが含まれる)の直接筋肉内注射を介したSODG93Aマウスの処置は、動物の生存を延ばす(Kasparら(2003)Science、301:839〜42、Azzouzら(2004)Nature、429:413〜17、Wangら(2002)J.Neurosci.、22:6920〜28)。さらに、局所的なIGF−1特異的アイソフォーム(mIGF−1)の筋特異的発現は、SODG93Aトランスジェニックマウスモデルにおいて神経筋接合部を安定化させ、運動ニューロンの生存を増強させ、疾患の発症および進行を遅延させ、これは、筋肉に対する直接効果トランスジェニックSOD1動物における疾患の発症および進行に影響を与える場合があることを示している(Dobrowolnyら(2005)J.Cell Biol.、168:193〜99)。また、筋肉の代謝亢進と運動ニューロンの脆弱性との間の関連づけもALSマウスにおいて報告されており、これは、筋肉内の欠陥が疾患の病因に寄与し得るという仮説を支持している(Dupoisら(2004)Proc.Natl.Acad Sci. U.S.A.、101:11159〜64)。したがって、筋肉成長の増強が、運動ニューロンの局所的支持の改善を提供し、したがって治療上の利点をもたらすであろう。

0014

ミオスタチン発現の阻害は筋肉の肥厚および過形成をどちらももたらす(LeeおよびMcPherron、上記、McPherronら、上記)。ミオスタチンは傷害後の筋肉再生を負に調節し、GDF−8ヌルマウスにおけるミオスタチンの欠乏は筋肉再生の加速をもたらす(McCroskeryら、(2005)J.Cell.Sci.、118:3531〜41)。ミオスタチン中和抗体は、野生型マウス(Whittemoreら(2003)Biochem.Biophys.Res.Commun.、300:965〜71)および筋ジストロフィーモデルであるmdxマウス(Bogdanovichら(2002)Nature、420:418〜21、Wagnerら(2002)Ann.Neurol.、52:832〜36)において、体重、骨格筋量、ならびに骨格筋の筋肉の大きさおよび筋力を増加させる。さらに、これらのマウスにおけるミオスタチン抗体は、ALSの病因中にやはり標的となる筋肉である横隔膜への損傷を減少させた。筋肉に対するHGFなどの成長因子の作用はミオスタチン発現の阻害が原因である場合があり(McCroskeryら(2005)、上記)、したがって、再生と変性との間の「押し引き」、すなわちバランスを正の方向にシフトさせることを助けると仮定されている。したがって、GDF−8阻害は、ALS、筋ジストロフィー(MD)、および他のGDF−8関連障害、たとえば、筋肉の量、筋力、大きさなどを増加させることが望ましい神経筋障害を処置するための潜在的な薬理学的標的として提示される。ALSの動物モデル(マウスおよびラット)が利用可能であるため、2つの異なる種において治療剤試験することが可能であり、したがって、ヒトにおけるin vivoでの治療効果信頼度が増加する。

0015

ヒトにおける神経筋障害に加えて、主に高齢者および/または閉経後女性に影響を与える、骨粗鬆症および骨関節炎などの骨減少に関連する成長因子関連の状態も存在する。さらに、代謝性の骨の疾患および障害には、慢性糖質コルチコイド治療未熟性腺機能不全アンドロゲン抑制、ビタミンD欠乏、続発性副甲状腺機能亢進栄養障害、および神経性無食欲症が原因の低骨量が含まれる。これらの状態のための多くの現在の治療は骨吸収を阻害することによって機能するが、骨形成を促進する治療は有用な代替処置となるであろう。GDF−8は骨発生および筋発生において役割を果たすため、GDF−8の調節も、骨変性疾患を処置するための優れた薬理学的標的である。

0016

GDF−8を特異的に拮抗するマウスモノクローナル抗体は、他の生物学的効果のなかでとりわけ、ALSのげっ歯類モデルにおいて筋肉量および筋力を増加すると以前に記載されている。Holzbaur,ELら、Myostatin inhibition slows muscle atrophy in rodent models of amyotrophic lateral sclerosis、Neurobiology of Disease(2006)23(3):697〜707。したがって、このマウス抗体およびそのヒト化対応物は、ALS患者、ならびに、上述のものなどの過剰量のGDF−8によって特徴づけられるまたは媒介される他の疾患および障害によって影響を受ける患者において、筋肉量および筋力を増加させるために有効であると予想される。

発明が解決しようとする課題

0017

上述のマウス抗GDF−8抗体のヒト化型は、多くのモノクローナル抗体および他のタンパク質に基づく治療剤と同様、典型的にはその製造に生きた哺乳動物細胞中での産生を必要とするため、製造が困難かつ高価である。したがって、この抗体、または同様の特異性を有する他の抗体の収率の改善は、より少ない投入で同じ量の活性薬物の生成を可能にするであろう。このことは、製造コストを低下させると同時に、限られた製造施設を、他の生物薬を生成するために解放するという二重の利点を有するであろう。どちらの利点も、患者の治療的抗GDF−8抗体および他の生物製剤の利用可能性を増加させる目的を増進するであろう。従って、当分野では、哺乳動物細胞においてより高い生成収率を有する、抗GDF−8抗体の改善された型の必要性が存在する。

課題を解決するための手段

0018

本開示は、ヒト化抗GDF−8抗体またはその抗原結合断片であって、同じ相補性決定領域(CDR)を共有するそのような抗体の以前の型と比較してより高いレベル宿主細胞中にて発現されることができる、ヒト化抗GDF−8抗体またはその抗原結合断片を提供する。また、本開示の方法において使用するための、そのような抗体を含む組成物も提供する。

0019

特定の実施形態では、これらの抗体は、CDR1が配列番号10または配列番号20のアミノ酸配列によって定義され、CDR2が配列番号11または配列番号21のアミノ酸配列によって定義され、CDR3が配列番号12のアミノ酸配列によって定義され、Kabat位置108のアミノ酸がメチオニンの代わりにロイシンであるであるように改変されている、可変重鎖(VH)領域を有する。他の実施形態では、これらの抗体は、同じCDRを含むVH領域を有しており、VH領域の第4のフレームワーク領域は配列番号44のアミノ酸106〜116を含む。これらの抗体のさらに他の実施形態では、CDRをヒト生殖系列VH遺伝子セグメントDP−47上に移植し、その後、JH4ヒト重鎖Jセグメント遺伝子と接合させる。さらに他の実施形態では、これらの抗体のVH領域は配列番号44のアミノ酸配列を含む。

0020

上記例示したものなどの、Kabat位置108にロイシンを有する本開示の抗体は、メチオニンが同じ位置に存在する型と比較して増加した発現レベルによって特徴づけられている。特定の実施形態では、前者の型は、同様の条件下で、後者と比較して約50%、100%、150%、200%、250%、300%、400%、500%、600%、700%、800%、900%、1000%、1200%、1400%、1600%、1800%、またはさらには2000%を超える量のより高いレベルで発現される。

0021

本開示の抗体の他の実施形態によれば、以前の段落中に記載されているVH領域は、CDR1が配列番号13のアミノ酸配列によって定義され、CDR2が配列番号14のアミノ酸配列によって定義され、CDR3が配列番号15のアミノ酸配列によって定義され、VL領域のKabat位置100のアミノ酸がグリシンまたはグルタミンのどちらかである可変軽鎖(VL)領域と対にし得る。他の実施形態では、VH領域は、軽鎖CDRをヒト生殖系列VL遺伝子セグメントDPK−9上に移植し、その後、JK4ヒト軽鎖Jセグメント遺伝子と接合させたVL領域と対にする。これらの抗体の一部の他の実施形態によれば、既に記載したVH領域は、既に記載したVL領域のCDRを保有しており、VL領域の第4のフレームワーク領域が配列番号9または配列番号46のどちらかのアミノ酸98〜107を含む、VL領域と対にする。さらに他の実施形態では、既に記載したVH領域は、配列番号9または配列番号46のどちらかのアミノ酸配列を含むVL領域と対にする。

0022

一部の他の実施形態では、上述のVH領域は、IgAIgGIgDIgE、またはIgMを含めたヒト抗体サブタイプ重鎖定常領域と接合させる。重鎖定常領域がIgGのものである場合、さらに他の実施形態では、抗体重鎖定常領域は、IgGサブタイプであるIgG1、IgG2、IgG3またはIgG4のものである。重鎖定常領域は、配列番号57に例示するように、たとえば、1つまたは複数のFcドメインエフェクター機能を抑止するために改変することができる。他の実施形態では、上述のVL領域は、ラムダまたはカッパサブタイプのものであり得る軽鎖定常領域と接合させる。

0023

他の実施形態によれば、配列番号44のVH領域を、配列番号57のアミノ酸配列の改変した重鎖領域と接合させて、配列番号58のアミノ酸配列の完全長抗体重鎖を作製する。逆に、他の実施形態では、配列番号46のVL領域を、配列番号17のアミノ酸配列のカッパ定常軽鎖と接合させて、配列番号59のアミノ酸配列の完全長抗体軽鎖を作製することができる。他の実施形態では、その後、それぞれ2本の完全長抗体重鎖および軽鎖を組み合わせて、2つの抗原結合部位を有する抗GDF−8抗体を作製することができる。さらに他の実施形態では、抗体は、たとえば、Fab、F(ab’)2、scFv、scFv−Fc、scFv−CH、scFab、scFv−ジッパーダイアボディトリアディテトラボディ、ミニボディ、Fv、および二重特異性抗体を含めた、そのような完全長のインタクトな抗体の断片または誘導体を含むことができる。

0024

本開示の抗体は、たとえば約5000nM、またはさらに高い、たとえば、少なくとも約4000nM、3000nM、2000nM、1000nM、900nM、800nM、700nM、600nM、500nM、400nM、300nM、200nM、100nM、90nM、80nM、70nM、60nM、50nM、40nM、30nM、25nM、20nM、15nM、10nM、7nM、6nM、5nM、4nM、3nM、2nM、1nM、0.1nM、0.01nM、もしくは0.001nMの、GDF−8に対する結合親和性の範囲を有することができる。

0025

また、本開示は、抗GDF−8抗体をコードしている核酸、そのような核酸配列を含む発現ベクター、および抗体を発現させるための宿主細胞も提供する。

0026

また、本開示は、患者において、筋肉量または筋力の減弱によって特徴づけられる筋障害の処置または予防に有用な方法も提供する。そのような方法は、そのような障害の処置または予防を必要としている患者に、治療または予防有効量の、GDF−8と特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を含む組成物を投与することによって実施する。これらの方法に有用な抗体には、上述のものおよび本開示全体にわたって記載されているものが含まれる。

0027

特定の実施形態によれば、本開示の抗体組成物は、治療または予防有効量で、筋ジストロフィー、筋萎縮、筋肉減少症、悪液質、筋消耗症候群、加齢関連の筋肉量または筋力の低下、および虚弱からなる群から選択されるものを含めた筋障害の処置または予防を必要としている患者に投与することができる。他の実施形態では、筋障害は癌によって引き起こされた悪液質である。さらに他の実施形態では、筋障害はデュシェンヌ型筋ジストロフィーである。後者の実施形態のうちの特定のものでは、抗GDF−8抗体の投与は、6分間歩行試験における患者の成績を改善させるために有効である。

0028

また、一部の実施形態では、本開示の抗体を含む組成物を、筋ジストロフィーを処置するために有効な別の薬剤の前、それと同時に、またはその後に投与することによって、筋ジストロフィー、たとえばデュシェンヌ型筋ジストロフィーを患っている患者を処置することも有用である。特定の実施形態では、そのような薬剤はプレドニゾンなどの糖質コルチコイドである。

0029

また、哺乳動物に、本開示の抗GDF−8抗体を含む組成物を、哺乳動物の筋肉量または筋力を増加させるために有効な量で投与することによる、哺乳動物の筋肉量または筋力を増加させる方法も提供する。いくつかの実施形態では、筋肉は、呼吸中に活動する1つもしくは複数のものを含めた骨格筋、または心筋である。

0030

また、神経筋障害の処置または予防を必要としている対象に、治療または予防有効量の本開示の抗GDF−8抗体を投与することによる、神経筋障害を処置または予防するための方法も提供する。特定の実施形態では、処置または予防する神経筋障害はALSである。

0031

また、代謝障害の処置または予防を必要としている対象に、治療または予防有効量の本開示の抗GDF−8抗体を投与することによる、代謝障害を処置または予防するための方法も提供する。いくつかの実施形態では、処置または予防する代謝障害には、2型真性糖尿病、代謝症候群、X症候群、インスリン抵抗性、および耐糖能異常が含まれる。

0032

また、脂肪組織障害の処置または予防を必要としている対象に、治療または予防有効量の本開示の抗GDF−8抗体を投与することによる、脂肪組織障害を処置または予防するための方法も提供する。いくつかの実施形態では、処置または予防する脂肪組織障害には肥満および異常に高い体重指数が含まれる。

0033

また、骨減少障害の処置または予防を必要としている対象に、治療または予防有効量の本開示の抗GDF−8抗体を投与することによる、骨減少障害を処置または予防するための方法も提供する。いくつかの実施形態では、処置または予防する骨減少障害には、骨粗鬆症、骨減少症、骨関節炎、および骨粗鬆症関連骨折が含まれる。

0034

一部の他の実施形態では、本開示の方法に有用な抗GDF−8抗体には、その機能または特徴を有用に改変する、たとえば、それだけには限定されないが血清半減期を増加させる部分とコンジュゲートさせた抗体が含まれる。さらに他の実施形態では、同様の目的、または他の目的のためにアミノ酸の変更を行うことができる。

0035

本開示の方法において使用するための抗体組成物は、それだけには限定されないが皮下投与静脈内投与筋肉内投与腹腔内投与注入投与、またはボーラス投与が含まれる、それだけには限定されないが様々な経路による投与のための水性懸濁液を含めた、様々な製剤として調製することができる。

0036

一部の実施形態では、本開示の抗GDF−8抗体の有効用量の範囲は0.001mg/kg〜約250mg/kgであり、これは、1回の投与で、または複数の間隔を空けた投与にわたって与え得る。

0037

また、本開示は、患者への抗GDF−8抗体組成物の投与を容易にするための、臨床家および他の者が使用するための医薬キットも提供する。一部の実施形態では、キットには、凍結乾燥形態または水溶液のどちらかとしての本開示の抗GDF−8抗体と、薬学グレードの水または緩衝液などの希釈剤と、シリンジおよび針などの抗プロガストリン抗体を投与するための装置とが含まれる。他の実施形態では、キットには、第2の治療剤がさらに含まれ得る。

図面の簡単な説明

0038

図1Aマウス抗体VH領域ならびにマウス重鎖CDRをヒト生殖系列VH領域DP−47内に移植することによって作製した2つのヒト化抗体VH領域(すなわちVH0およびVH1)を含めた、本開示の特定の抗GDF−8抗体のVH領域のアミノ酸配列のアラインメントを提供する図である。また、さらなるヒト化VH領域VH2〜VH5のアミノ酸配列のアラインメントも提供する。重鎖CDRのアミノ酸配列は、太字下線フォントを使用して強調する。Kabat位置108のアミノ酸は、アスタリスクの下に太字を使用して強調する。
図1B マウス抗体VL領域ならびにマウス軽鎖CDRをヒト生殖系列VL領域DPK−9内に移植することによって作製した2つのヒト化抗体VL領域(すなわちVL0およびVL1)を含めた、本開示の特定の抗GDF−8抗体のVL領域のアミノ酸配列のアラインメントを提供する図である。また、さらなるヒト化VL領域VL2〜VL5のアミノ酸配列のアラインメントも提供する。軽鎖CDRのアミノ酸配列は、太字の下線フォントを使用して強調する。Kabat位置100のアミノ酸は、アスタリスクの下に太字を使用して強調する。
図2Aビヒクル対照と比較した、10mg/kgのOGD1.0.0抗体で2週間処置したC57Bl/6マウスの腓腹筋量(GAS)および四頭筋量(QUAD)の増加を示すグラフを提供する図である。
図2B 図2Aと同じデータを、対照と比較した、OGD1.0.0抗体で処置したマウスにおける筋肉量のパーセンテージ増加として報告する図である。同じ抗体処置および対照マウスの群の長伸筋(extensor digitalis longus)(EDL)の筋肉量のパーセンテージ増加をさらに示す。
ビヒクル対照と比較した、10mg/kgのOGD1.0.0抗体で2週間処置したC57Bl/6マウスの、EDL筋肉によって生じた総強縮力の増加を示すグラフを提供する図である。
図4A 週に1回で4週間、PBSビヒクル、ならびに0.3、1、3、10、および30mg/kgのOGD1.0.0抗体を用いて処置したC57Bl/6マウスの腓腹筋量(Gastroc)および四頭筋量(Quad)の用量応答性の増加を示すグラフを提供する図である。データは、4週間の終わりに測定した筋肉量を表す。
図4B 図4Aと同じデータを、対照と比較した、OGD1.0.0抗体で処置したマウスにおける腓腹筋量および四頭筋量のパーセンテージ増加として報告する図である。
図5A 週に1回で4週間、PBSビヒクル、ならびに0.3、1、3、10、および30mg/kgのOGD1.0.0抗体を用いて処置したC57Bl/6マウスにおける全除脂肪体重の用量応答性の増加を示すグラフを提供する図である。データは、4週間にわたって各週の終わりに測定した除脂肪質量を表す。
図5B 週に1回で4週間、PBSビヒクル、ならびに0.3、1、3、10、および30mg/kgのOGD1.0.0抗体を用いて処置したC57Bl/6マウスの、4週間の研究の終わりでの全除脂肪体重の増加を示すグラフを提供する図である。
図6A PBSビヒクルを投与した対照mdxマウスと比較した、週に1回で8週間、10mg/kgのOGD1.0.0抗体で処置したmdxマウスにおける全除脂肪体重の増加を示すグラフを提供する図である。
図6B PBSビヒクルを投与した対照mdxマウスと比較した、週に1回で8週間、10mg/kgのOGD1.0.0抗体で処置したmdxマウスの最大ピーク把持力の増加を示すグラフを提供する図である。
図7A PBSビヒクルを投与した対照マウスと比較した、週に1回で8週間、10mg/kgのOGD1.0.0抗体で処置したmdxマウスおよびC57Bl/6マウスの、腓腹筋量および四頭筋量の増加を示すグラフを提供する図である。データは、8週間の終わりに測定した筋肉量を表す。
図7B 図7Aと同じデータを、対照と比較した、OGD1.0.0抗体で処置したmdxマウスにおける腓腹筋量および四頭筋量のパーセンテージ増加として報告する図である。
0、3、10、および30mg/kgのOGD1.0.0抗体で処置したカニクイザルにおける全除脂肪体重および脚除脂肪質量の用量応答性の増加を示すグラフを提供する図である。
10mg/kgおよび30mg/kgのOGD1.0.0抗体のどちらで処置したカニクイザルの全除脂肪体重の増加も、抗体を用いた処置を中断した後も数週間持続したことを示すグラフを提供する図である。
図10A 10mg/kgおよび30mg/kgのOGD1.0.0抗体で8週間処置したカニクイザルのL3〜L5椎骨の表面を覆う軸上筋肉の体積が、PBSビヒクルを投与した対照動物と比較して増加したことを示すグラフを提供する図である。
図10B 図10Aと同じデータを、対照と比較した、OGD1.0.0抗体で処置したカニクイザルにおける筋肉の体積のパーセンテージ増加として報告する図である。
OGD1.0.0抗体を用いた4週間の処置の前および後の例示的な動物対象の軸上筋肉の3Dレンダリングを提供する図である。
図12A 本明細書中でVH0と呼ぶ可変重鎖領域を含有する例示的な抗GDF−8抗体重鎖のアミノ酸配列を提供する図である。
図12B 本明細書中でVL0と呼ぶ可変軽鎖領域を含有する例示的な抗GDF−8抗体軽鎖のアミノ酸配列を提供する図である。

0039

本開示は、抗体の以前の型と比較してはるかに高いレベルで細胞中にて発現されることができる、ヒト化抗GDF−8抗体の改善された型を提供する。従って、本明細書中に記載の抗GDF−8抗体の改善された型は、より初期の型と比較して、同じ投入を与えた場合により大量でかつより安価な原価で生成されることが可能であると予想される。また、本開示は、改善された抗体を使用した処置または予防の様々な方法も記載している。したがって、特定の例示的な非限定的な実施形態では、改善された抗GDF−8抗体を使用して、筋ジストロフィー、悪液質、および対象の筋肉量または筋力を増加させることが治療上の利点を与えると予想される他の障害を処置することができる。

0040

抗体の構造および多様性
本明細書中で使用する用語、抗体とは、インタクトな免疫グロブリンIg)またはその任意の抗原結合断片、部分もしくは一部分をいい、とりわけ、少なくとも一部の抗原結合特異性を保持する完全または部分的な抗原結合部位を含む任意のポリペプチド包含される。また、抗体とは、インタクトな抗体に由来する抗原結合断片、部分または一部分と、異なる抗体、Igスーパーファミリーからのタンパク質、または免疫系に由来しないタンパク質もしくは他の分子種を含めた別の分子との組合せをいう場合もある。そのような抗体誘導体には、タンパク質性でない一部分または部分が含まれ得る。

0041

抗原とは、抗体が特異的に結合することができる、タンパク質またはその他の物質をいう。抗原は、抗体によって結合される抗原の一部分である抗原決定基またはエピトープを複数有し得る。

0042

免疫グロブリン(Ig)とは、それぞれ約50kDaの2本の重鎖およびそれぞれ約25kDaの2本の軽鎖を含むヘテロ四量体タンパク質である。それぞれの鎖は複数のIgドメインを含む。アミノ末端から開始して、重鎖は単一の可変領域(VH)を含有し、続いて、Igサブタイプに応じて、CH1、CH2、CH3および存在する場合はCH4と呼ばれる3個または4個の定常領域が続く。同様に、軽鎖中では、単一の可変領域(VL)がポリペプチドのアミノ末端に配置されており、単一の定常領域(CL)が続く。CH1領域とCH2領域との間には、アイソタイプに応じて可変長ヒンジ領域が存在し、これは分子に柔軟性を与える。ヒンジを含めたCH1の重鎖カルボキシ末端、CH2、CH3および存在する場合はCH4が、Fc領域を構成する。それぞれの可変または定常領域は単一のIgドメインを含む。

0043

Ig軽鎖はIg重鎖と結合し、Ig重鎖の対は、ジスルフィド結合によって互いに結合する。非共有的相互作用も、重鎖と軽鎖間および対にした重鎖間の鎖間の四次構造の安定化に寄与し得る。インタクトなIg分子では、対にした重鎖および軽鎖のVHおよびVL領域は互いに隣接して配置され、相互作用および協同して抗原結合部位を形成する。インタクトなIg分子は2対の対にした重鎖および軽鎖、すなわち合計2本の重鎖および2本の軽鎖を含有するため、Ig分子が2つの抗原結合部位を含有する。ヒンジ領域の存在は、抗原結合部位と分子の残りの部分との間に柔軟性を与える。

0044

重鎖および軽鎖定常領域は、抗原認識には直接関与しない。しかし、重鎖、特にFc領域は、エフェクター分子および免疫系の細胞と相互作用することができる配列を含有しており、それにより、重鎖定常領域がIg分子の重要な生物学的機能を媒介することを可能としている。

0045

重鎖および軽鎖の可変領域はどちらも、超可変領域または相補性決定領域(CDR)と呼ばれる、アミノ酸の可変性が増大した3つの間隔を空けた領域を含有し、これは、CDR周辺のより高度に保存的なフレームワーク領域(FR)と比較して、様々なIg分子を横断して大規模に変動する。可変領域のアミノ末端から、FRおよびCDRの順番および付番は、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、およびFR4である。フレームワーク領域が、可変領域Igドメインの三次構造の決定を主に司っている。対照的に、CDRは、それぞれの可変領域から外側に延びるループを形成する。隣接するVHおよびVL領域のCDRは、協同して、特定のIg分子の抗原結合特異性の定義を主に司っている抗原結合表面を形成する。

0046

抗体の構造および機能を研究している研究者らは、任意の特定のVHまたはVL領域のアミノ酸配列内に存在する重鎖および軽鎖CDRを同定するための様々なスキーマを開発している。これらのスキーマの多くは、可変重鎖および軽鎖領域の周辺フレームワークに関連する不変またはほぼ不変のパターンに従ってCDRを同定する。その後、CDRを、VHおよびVL領域のコンテキスト内におけるその構成残基の位置に対応する数値範囲を使用して定義する。CDR、特に第3のCDRは、長さが変動する場合があるため、スキームは、構成残基を定義するために文字も使用する場合がある。最初のそのようなスキームの1つはKabat付番システムとして知られており、これは、その時に知られているVHおよびVL配列をアラインメントして、より高度に保存的なフレームワーク領域のコンテキスト内における可変CDR部分配列の位置を決定することに基づく。CDRを定義するための他のスキーマには、AbM付番システムおよびChothia付番システムが含まれる。他のスキーマも可能である。たとえば、CDRは、そのような残基が、KabatまたはChothia付番スキームなどの、CDRのより形式化された定義にはきれいに当てはまらない場合でさえも、抗原と接触する可変領域残基として定義し得る。たとえば、参照により組み込まれるY.Ofranら、Automated identification of complementarity determining regions(CDRs) reveals peculiar characteristics of CDRs and B cell epitopes、J Immunol.、2008 11月1日、181(9):6230〜5を参照されたい。Kabat付番スキームおよび特定の他の抗体付番スキームは、たとえば、参照により組み込まれるthe Handbook of Therapeutic Antibodies(2007)、Stefan Dubel編、Wiley−VCH Verlag GmbH&Co.KgaA、Weinheim中により詳細に記載されている。

0047

可変重鎖および軽鎖領域のCDR内のアミノ酸は抗原中の残基と接触し、抗原に対する抗体の結合特異性の定義を主に司っている。研究下にある抗体−抗原の対に応じて、すべてまたはすべてよりも少ないCDR残基が抗原と直接接触し得る。さらに、特定の接触は、他のものよりも特異性および/または親和性の定義に寄与し得る。

0048

抗体および抗原のどちら中の接触残基も、それが何であるかは、X線結晶構造解析または当業者に知られている他の方法を使用して決定することができる。必ずしもではないが、多くの場合、そのような接触残基の突然変異は、抗原結合の特異性および/または親和性に負の影響を与える。逆に、抗原結合の特異性または親和性に実質的な影響を与えずに、非接触CDR残基およびFR残基を突然変異させることが可能であり得る。保存的アミノ酸の変更は抗原結合の特異性および親和性を保存する可能性が高いと予想されるが、任意の特定のCDRまたはフレームワークの突然変異の実際の効果は、当分野の技術者精通した技法を使用して経験的に決定することができる。

0049

VHおよびVL領域のCDRが、そのそれぞれのフレームワーク領域によって支援されて、抗原結合の特異性および親和性の確立を典型的には司っているが、例外も存在し得る。たとえば、特定のIg分子では、FR残基も抗原結合に寄与する場合があり、他方で、特定の他のIg分子では、CDRのうちの1つまたは複数が抗原と直接接触しない場合がある。さらに、さらに他のIg分子では、単離したVH領域およびVL領域のCDRは、それが通常対となるであろう対応する可変領域が存在しない場合でも、実質的な抗原結合特異性を保有する場合がある。抗原と特異的に結合する、特定の単離Ig分子可変領域の能力は、対にした重鎖を含むが軽鎖を含まないサメまたはラクダ抗体の抗原結合特異性に類似している。

0050

特定の種のIg分子は、様々なアイソタイプに従って分類することができる。たとえば、ヒトでは、IgアイソタイプにはIgA、IgG、IgD、IgE、およびIgMが含まれる。さらに、IgAおよびIgGアイソタイプは、それぞれIgA1およびIgA2、ならびにIgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4と呼ばれるサブタイプへと分類することができる。アイソタイプおよびサブタイプは、重鎖定常領域のアミノ酸配列の相違によって定義される。その結果、様々なアイソタイプおよびサブタイプは様々な免疫細胞上の様々なエフェクター分子と相互作用することができ、それによって様々なエフェクター機能が与えられる。たとえば、IgA分子は粘膜(muscosal)免疫に寄与する一方で、IgE分子は特定の寄生生物に対する免疫に寄与する。IgMおよびIgEの重鎖は、アミノ末端のCH領域から開始してCH1、CH2、CH3、およびCH4と付番される4個の直列に配置されたCHIgドメインを含有する。しかし、IgA、IgDおよびIgGは3個の直列に配置されたCH領域しか含有しない。軽鎖定常領域は、知られている生物学的エフェクター機能を有さない、カッパおよびラムダと呼ばれる2つのアイソタイプを含む。天然に存在するIg分子は単一の軽鎖定常領域アイソタイプのみを保有する。

0051

抗体重鎖および軽鎖を発現する遺伝子は、V(D)J組換えとして知られる複数の遺伝子再編成によってin vivoで構築される。このプロセスは、ゲノム中に存在する遺伝子配列の比較的限定的なレパートリーから、抗原結合タンパク質の大きなレパートリーを作成することを担っている。このプロセスに関するさらなる情報は、全体として参照により組み込まれるAbbas,A.K.、Lichtman,A.H.およびPillai,S.、2010、Cellular and Molecular Immunology、第6版、第8章、Saunders、ペンシルベニア州Philadelphiaに記載されている。

0052

ヒト生殖系列DNAでは、3つの別個遺伝子座位が、免疫グロブリン重鎖、カッパ軽鎖およびラムダ軽鎖を構築するために必要なエクソンをコードしている。重鎖座位は第14染色体上に存在し、カッパ鎖座位は第2染色体上に存在し、ラムダ鎖座位は第22染色体上に存在する。それぞれの座位の5’末端には、それぞれ約300塩基対の長さの複数の可変(V)遺伝子セグメントが位置しており、これは、第1および第2の相補性決定領域(CDR1およびCDR2)をどちらも含めた、抗体重鎖および軽鎖の可変領域を構成するアミノ酸の大多数をコードしている。ヒトでは、重鎖座位中に約100個のV遺伝子が存在し、カッパ鎖座位中に約35個のV遺伝子が存在し、ラムダ鎖座位中に約30個のV遺伝子が存在する。V遺伝子セグメントはイントロンによって互いに隔てられている。

0053

ヒト重鎖座位およびカッパ軽鎖座位中のVセグメントの下流かつ定常(C)遺伝子セグメントの上流には、典型的には約30〜50塩基対の長さであり、互いにならびに隣接のVおよびC遺伝子から非コード配列によって隔てられている、接合(J)セグメントのクラスターが位置する。重鎖座位は、様々なIgアイソタイプに関連づけられている9個の機能的なC遺伝子から上流に6個の機能的なJセグメントのクラスターを含有し、カッパ軽鎖座位は、単一のCκ遺伝子の上流に5個のJセグメントのクラスターを含有する。また、ヒトラムダ軽鎖座位は4個の機能的なJセグメントも含有するが、そのそれぞれは、4個の対応する機能的なCλ遺伝子のうちの1つの5’側に位置する。また、ヒト重鎖座位は、V遺伝子の下流かつJセグメントクラスターの上流に位置する、20個を超える多様性(D)遺伝子セグメントのクラスターも含有する。軽鎖座位はどちらもD遺伝子セグメントを含有しない。

0054

成熟Ig軽鎖遺伝子では、V領域はVおよびJ遺伝子セグメントによってコードされている一方で、Ig重鎖では、V領域はV、JおよびD遺伝子セグメントによってコードされている。重鎖および軽鎖のどちら中のCDR1およびCDR2も、V遺伝子セグメントによってコードされている。しかし、CDR3の構築はより複雑である。重鎖では、CDR3は、DおよびJセグメントならびに接合部残基を含めたVDJ接合部によってコードされている。同様に、軽鎖のCDR3は、Jセグメントおよび接合部残基を含めたVJ接合部によってコードされている。

0055

未成熟B細胞では、V、D、およびJ遺伝子セグメントはすべて生殖系列中で別々に位置しており、機能的なIgタンパク質を発現させるために使用することができない。その代わりに、B細胞が成熟するにつれて、遺伝子セグメントは、ランダムに選択された重鎖V、DおよびJ遺伝子セグメントまたは軽鎖VおよびJ遺伝子セグメントを隣接させる、V(D)J組換えとして知られる複雑なDNA再編成プロセスを受ける。V、DおよびJ遺伝子セグメントの接合中、V(D)J組換えの実施を担っている分子が、セグメント間のヌクレオチドのランダムな付加または除去を行う。このようにして、完全可変領域エクソンが成熟B細胞のゲノム中で作製され、その後、これが、機能的なIg重鎖および軽鎖タンパク質をコードしているmRNA中で、C領域をコードしているものを含めた他のエクソンと組み合わせられる。

0056

V領域エクソンを構築するための様々なV、DおよびJ遺伝子セグメントのランダムな組合せ、ならびに接合する遺伝子セグメント間のヌクレオチドのランダムな付加または除去はどちらも、免疫系が抗原結合部位の多大な多様性を生じる重要な機構である。これらの現象はそれぞれコンビナトリアル多様性および接合部多様性と呼ばれる。CDR3は、重鎖の場合はV、DおよびJセグメント、または軽鎖の場合はVおよびJセグメントによって寄与された配列から形成されているため、接合部多様性は、CDR3が3つのCDRのうちで最も可変性であり、典型的には抗原と最も広範囲の接触を行う理由を説明している。

0057

Ig分子の構造は、本質的に、異なる領域が異なる機能を行うモジュール式であるため、GDF−8結合能力を保持する抗GDF−8抗体の断片または誘導体を調製することが可能である。そのような断片または誘導体は、本明細書中で使用する用語抗体によって包含される。Ig分子から調製される抗原結合断片または誘導体の非限定的な例には、VH、CH1、VLおよびCL領域を含む一価断片であるFab断片、ヒンジ領域を介して互いに接合させた2つのFabを含む二価断片であるF(ab’)2、VHおよびCH1領域を含むFd断片、VLおよびVH領域を含むFv断片、VHまたはVL領域を含むdAb断片が含まれる。別の例は、単一ポリペプチド鎖中で直列に配置され、ポリペプチドリンカーによって隔てられて、可変領域が会合して一価の抗原結合部位を形成することを可能にしているVHおよびVL領域を含む、単鎖Fv領域(scFv)である。単鎖Fv領域は、VH領域がVL領域の前に位置する、あるいはVL領域がVH領域の前に位置するように設計し得る。リンカーの非限定的な例は15残基の(Gly4Ser)3ペプチド(配列番号34)である。他のリンカーも可能である。他の断片または誘導体には、Fab’、サロボディ、ジスルフィド安定化Fv抗体(dsFv)、ダイアボディ、トリアボディ、およびサメ抗体もしくはラクダ化抗体またはナノボディなどの単一ドメイン抗体が含まれる。他の断片または誘導体も可能である。本明細書中に記載したものなどの抗原結合断片、部分または一部分は、組換えによって、またはインタクトな抗体の酵素的もしくは化学的切断によって生成し得る。

0058

例示的な抗GDF−8抗体
GDF−8とは、TGF−βスーパーファミリーのメンバーである成長および分化因子−8をいう。成熟ヒトGDF−8のアミノ酸配列を配列番号1に記載する。

0059

以前の調査により、GDF−8と特異的に結合し、その生物活性を中和させる能力を有するマウスモノクローナル抗体が同定されている。この抗体は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)のマウスモデルを含めたマウスにおいて筋肉量および筋力を増加させることが実証されている。全体として参照により組み込まれるWO2007/024535号を参照されたい。マウス抗体のVH領域は配列番号3のアミノ酸配列を有し、そのVL領域は配列番号4のアミノ酸配列を有する。これらのVHおよびVL領域をそれぞれ図1Aおよび図1B中に示し、VHおよびVL領域のそれぞれのCDRのアミノ酸配列を太字で示す。KabatおよびAbM付番システムの両方におけるそれぞれのVHおよびVL CDRに関連する配列番号を、以下に記載の表1中に列挙する。Kabat付番システムの下で定義したCDR H1、H2、およびH3にはそれぞれ配列番号10、11および12を割り当てた一方で、CDR L1、L2、およびL3にはそれぞれ配列番号13、14、および15を割り当てた。AbM付番システムの下では、CDR H1、H2、およびH3にはそれぞれ配列番号20、21、および22を割り当てた一方で、CDR L1、L2、およびL3にはそれぞれ配列番号23、24、および25を割り当てた。

0060

0061

0062

0063

WO2007/024535号中にさらに記載されているように、CDR移植によってマウス抗体をヒト化した。具体的には、ヒト生殖系列可変重鎖(VH)遺伝子DP47(VH3−23、Genbank受託番号AB019439)をヒトアクセプターフレームワークとして使用し、それ上にマウスVH CDRを移植することによって、マウスVH領域をヒト化した。DP47のアミノ酸配列(配列番号33)を図1Aに示す。ヒト生殖系列カッパ可変軽鎖(VL)遺伝子DPK9(O12m Vk1、Genbank受託番号X59315)をヒトアクセプターフレームワークとして使用し、それ上にマウスVL CDRを移植することによって、マウスVL領域をヒト化した。DPK9のアミノ酸配列(配列番号32)を図1Bに示す。

0064

DP47およびDPK9 V領域の配列は、組み換えたV領域遺伝子ではなく生殖系列に由来するため、ヒト化プロセスには、CDR3のカルボキシ末端側にそれぞれの部分的に、ヒト化されたVHおよびVL領域のアミノ酸配列をコードしているヒトJ遺伝子セグメントを選択する必要もあった。WO2007/024535号に記載されているように、ヒト化は、VH領域ではJH3重鎖Jセグメント(配列番号35)を使用して、(すなわちDP47/JH3)、VL領域ではJK1軽鎖Jセグメント(配列番号39)を使用して(すなわちDPK9/JK1)完成させた。これらのJセグメント遺伝子によってコードされているアミノ酸配列は、それぞれ図1Aおよび図1B中に示す配列アラインメント中でVH CDR3およびVL CDR3の直後に出現する。

0065

本明細書中で使用する、WO2007/024535号に記載のようにDP47およびJH3を使用して構築したヒト化抗GDF−8抗体VH領域は、VH1(配列番号7)と呼ぶ一方で、DPK9およびJK1を使用して構築したヒト化抗GDF−8抗体VL領域はVL1(配列番号9)と呼ぶ。また、本明細書中で使用する、VH1およびVL1を含むヒト化抗GDF−8抗体は、OGD1.1.1と呼ぶ。この命名法では、VH領域番号が抗体名「OGD1」の直後に続き、VL領域番号がVH領域番号の直後に続く。したがって、たとえば、抗体名OGD1.0.1はVH0領域およびVL1領域を有する抗体をいう一方で、抗体名OGD1.1.0はVH1領域およびVL0領域を有する抗体をいう。マウスVHとVL領域、ヒト化VH1とVL1領域、およびDPK9とDP47遺伝子配列によってコードされているアミノ酸との間のアラインメントを、図1Aおよび図1Bに例示する。

0066

OGD1.1.1よりも実質的に高いレベルで細胞によって発現される一方で、高い親和性でGDF−8と特異的に結合し、GDF−8活性を中和する能力を保持するという驚くべき特性を有する、ヒト化抗GDF−8抗体の新規型が本明細書中に記載されている。

0067

これらの新規抗体の特定の実施形態では、異なる重鎖Jセグメント、すなわちJH4(Genbank受託番号J00256)(配列番号37)をVH領域中のCDR3の後に使用した。この変化の結果、Kabat付番スキームを使用して、VH1と比較して、VH領域位置108のMet(M)をLeu(L)で置き換えられる。本明細書中で使用する、LがKabat位置108に出現するこの新規ヒト化VH領域は、VH0と呼ばれる。VH0のアミノ酸配列(配列番号44)を図1Aの配列アラインメントに例示する。

0068

Kabat付番スキームでは、可変長のCDRを示すために一部の同じ数字に付記された文字を使用するため、残基のKabat番号とポリペプチド中の残基配列のその物理的位置とは必ずしも一対一に対応していない。このため、VH領域のKabat位置108は、配列番号44(すなわちVH0)および本明細書中に開示した他のヒト化VH領域のアミノ酸配列中のアミノ酸番号111に等しい。

0069

本開示の抗体の他の実施形態では、異なる軽鎖Jセグメント、すなわちJK4(Genbank受託番号J00242)(配列番号41)をVL領域中のCDR3の後に使用した。この変化の結果、Kabat付番スキームを使用して、VL1と比較して、VL領域の位置100のGln(Q)がGly(G)で置き換えられる。本明細書中で使用する、GがKabat位置100に出現するこの新規ヒト化VL領域は、VL0と呼ばれる。VL0のアミノ酸配列(配列番号46)を図1Bの配列アラインメントに例示する。

0070

本明細書中で使用する、VH0を含む重鎖およびVL0を含む軽鎖を含むヒト化抗GDF−8抗体は、OGD1.0.0と呼ばれる。

0071

上述のVHおよびVLの実施形態に関連する遺伝子セグメント、配列および用語を以下の表2中に要約する。

0072

0073

実施例中にさらに記載するように、驚くべきことに、VH0を含む抗GDF−8抗体は、VH1を含む抗GDF−8抗体と比較してはるかに高いレベルで細胞によって発現されることが見出された。たとえば、実施例1に記載の非限定的な一実施形態では、驚くべきことに、VH0およびVL0を含むインタクトな免疫グロブリン(すなわちOGD1.0.0)は、VH1およびVL1を含む同様の抗体(すなわちOGD1.1.1)よりも12倍を超える高いレベルで一過的に発現されたことが実証された。また、実施例2に記載のように、安定発現レベルもはるかにより高かった。興味深いことに、実施例3中で調査したように、増強された発現は、VH0をVL0またはVL1のどちらと対にしたかにかかわらず起こり、また、VL0をVH0と対にした際は起こったが、VH1では起こらなかったため、増強された発現はVH0の存在に起因することが見出された。

0074

特定の実施形態では、本開示の抗体は、可変重鎖領域がVH0であり、可変軽鎖領域がVL0(OGD1.0.0)またはVL1(OGD1.0.1)である完全長重鎖および軽鎖を含む、インタクトなヘテロ四量体Ig分子である一方で、他の実施形態では、抗体は、そのような完全長抗体のGDF−8特異的結合断片または誘導体である。

0075

一部の実施形態によれば、本開示の抗体のVH領域は、配列番号44のアミノ酸配列またはそのマウス対応物である配列番号3中に存在する3つの重鎖CDR、すなわち、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含み、Kabat位置108のアミノ酸はロイシンである。他の実施形態では、VH領域は配列番号44のアミノ酸配列(すなわちVH0)を含む。他の実施形態では、本開示の抗体のVL領域は、配列番号46のアミノ酸配列またはそのマウス対応物である配列番号5中に存在する3つの軽鎖CDR、すなわち、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含み、Kabat位置100のアミノ酸はグリシンまたはグルタミンである。他の実施形態では、VL領域は配列番号46(すなわちVL0)または配列番号48(すなわちVL1)のアミノ酸配列を含む。

0076

本開示の抗体では、抗体重鎖アイソタイプは、ヒトIgアイソタイプまたはサブタイプ、すなわち、IgA1、IgA2、IgD、IgE、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、またはIgMのうちのいずれかであることができる。抗体軽鎖アイソタイプはカッパまたはラムダであることができる。特定の非限定的な実施形態では、抗体定常重鎖は配列番号19または配列番号57のアミノ酸配列であり、これらはどちらもIgG1サブタイプのものである。配列番号19は、ヒンジ領域中に、免疫細胞上のFc受容体との結合を妨げる2個の置換突然変異を含有する一方で、配列番号57は追加のヒンジ領域突然変異を含有し、同様の表現型を有するものが合計で3個となる。別の特定の非限定的な実施形態では、軽鎖CH領域は、カッパアイソタイプである配列番号17のアミノ酸配列である。

0077

本開示の特定の非限定的な実施形態では、抗GDF−8抗体は、配列番号58のアミノ酸配列による完全長抗体重鎖および配列番号59のアミノ酸配列による完全長抗体軽鎖を含む。前者の配列はVH0および配列番号57のアミノ酸配列の重鎖定常領域を含む一方で、後者の配列はVL0および配列番号17のアミノ酸配列の軽鎖カッパ定常領域を含む。別の例示的な非限定的な実施形態によれば、本開示の抗GDF−8抗体は、配列番号58および配列番号59のアミノ酸配列による2本の抗体重鎖および2本の抗体軽鎖からなるインタクトなヘテロ四量体抗体を含む(すなわちOGD1.0.0)。

0078

上述のように、さらに他の実施形態では、本開示の抗体には、VH0を含む抗GDF−8免疫グロブリンの抗原結合断片または誘導体が含まれる。断片または誘導体の特定の実施形態では、VH0をVL0またはVL1と対にし得る。本開示による断片または誘導体の非限定的な例には、VH0を含む、Fab’、F(ab’)2、Fab、Fv、scFv、dsFv、ダイアボディ、トリアボディ、およびサメ抗体もしくはラクダ化抗体またはナノボディなどの単一ドメイン抗体が含まれる。他の断片または誘導体も可能である。本開示によるIg誘導体の特定の非限定的な例には、VL0がVH0のアミノ末端側に直列に配置されているscFvである配列番号63が含まれる。別の非限定的な例は、V領域が逆転しており、VH0がVL0のアミノ末端側に直列に配置されているscFvである配列番号65である。

0079

本開示の抗体は、マウス抗GDF−8抗体の重鎖CDRをヒト生殖系列VH領域DP47上に移植した免疫グロブリンによって例示したが、本開示のヒト化抗GDF−8抗体はその可変領域の使用だけに限定されない。したがって、たとえば、抗体には、インタクトな免疫グロブリン、および、マウス重鎖CDR(すなわち配列番号10〜12または20〜22)をDP47とは異なるヒトVH領域上に移植し、生じるVH領域ポリペプチドにはKabat位置108にLeu(L)が含まれるように改変した、その断片もしくは誘導体も含まれる。他のヒト生殖系列VH領域の配列は、Genbank、またはVBASE(http://vbase.mrc−cpe.cam.ac.uk/)もしくはVBASE2(http://www.vbase2.org/)を含めた様々な公的に利用可能なインターネットデータベース検索することによって見つけることができる。

0080

実施例10にさらに記載するように、OGD1.0.0と、GDF−8と結合したそれぞれ配列番号3および配列番号5のマウスVHおよびVL領域を含むキメラ抗GDF−8抗体との共結晶構造を解析し、抗原結合を担っている抗体中の接触残基を同定するために使用した。この情報を使用して、かつ実施例11にさらに記載するように、CDR中の非接触残基を、ヒト生殖系列可変配列中の同じ位置に存在する残基に一致するように突然変異させることによって、VHおよびVL領域をさらにヒト化した。図1A中に示すように、さらなるヒト化可変重鎖領域はVH2、VH3、VH4およびVH5と呼ばれる。図1B中に示すように、さらなるヒト化可変軽鎖領域はVL2、VL3、VL4およびVL5と呼ばれる。

0081

本開示の抗体の特定の実施形態では、ヒト化VH領域のうちのいずれかをヒト化VL領域のうちのいずれかと対にして、インタクトな抗GDF−8抗体、またはその抗原結合断片もしくは誘導体を生じ得る。たとえば、特定の実施形態では、VH0を、VL領域であるVL0、VL1、VL2、VL3、VL4、またはVL5のうちのいずれかと対にし得る。他の実施形態では、VH1を、VL領域であるVL0、VL1、VL2、VL3、VL4、またはVL5のうちのいずれかと対にし得る。他の実施形態では、VH2を、VL領域であるVL0、VL1、VL2、VL3、VL4、またはVL5のうちのいずれかと対にし得る。他の実施形態では、VH3を、VL領域であるVL0、VL1、VL2、VL3、VL4、またはVL5のうちのいずれかと対にし得る。他の実施形態では、VH4を、VL領域であるVL0、VL1、VL2、VL3、VL4、またはVL5のうちのいずれかと対にし得る。特定の他の実施形態では、VH5を、VL領域であるVL0、VL1、VL2、VL3、VL4、またはVL5のうちのいずれかと対にし得る。

0082

上述のように、CDRおよびフレームワーク領域内の非接触残基の突然変異はGDF−8の結合特異性および/または親和性に最小限の影響しか与えないと予想される一方で、接触残基の突然変異はより大きな影響を与えると予想される。突然変異、特に接触残基のものは結合特異性および/または親和性を低下させ得るが、一部の事例では、突然変異がGDF−8に対する特異性および/または親和性を増加させることが観察されるであろう。特異性または親和性に対する任意の特定の突然変異の実際の効果は、当業者が精通した技法、たとえば表面プラズモン共鳴または他の技法を使用して決定することができる。

0083

前述の原理に鑑みて、特定の実施形態では、本開示の抗体の1つまたは複数のVHおよび/またはVLCDRまたはフレームワーク領域内の1つ、2つ、3つ、またはそれより多くの非接触残基を異なるアミノ酸残基で保存的または非保存的に置換しても、GDF−8に対する実質的な特異性および結合親和性を保持することができる。他の実施形態では、1つまたは複数のVHおよび/またはVL CDR内の1つ、2つ、3つまたはそれより多くの接触残基を保存的に置換しても、実質的なGDF−8の特異性および結合親和性を保持することができる。さらに他の実施形態では、非接触残基または接触残基の突然変異は、GDF−8に対する改善された特異性および/または親和性をもたらす。

0084

本開示の抗体の他の実施形態では、VHおよび/またはVL領域のアミノ酸配列は、本明細書中に具体的に列挙した配列から様々なパーセンテージで異なっていても、実質的なまたは改善さえされた、GDF−8に対する特異性および/または親和性を保持し得る。したがって、特定の実施形態では、本開示の抗GDF−8抗体のVH領域は、VH0、VH1、VH2、VH3、VH4、またはVH5のアミノ酸配列から80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%異なることができる。他の実施形態では、本開示の抗GDF−8抗体のVL領域は、VL0、VH1、VH2、VH3、VH4、またはVH5のアミノ酸配列から80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%異なることができる。さらに他の実施形態では、抗GDF−8抗体のVHおよびVL領域は、同様のパーセンテージで本明細書中に具体的に列挙したものと異なっている一方で、実質的なまたは改善さえされた、GDF−8の特異性および/または結合親和性を保持することができる。

0085

また、本開示の抗体は、その特性を変更する、またはその機能を改善させるために、誘導体化共有的修飾、または他の分子とコンジュゲートさせることもできる。たとえば、いかなる様式でも限定するものではないが、誘導体化抗体には、たとえば、グリコシル化フコシル化アセチル化、peg化、リン酸化アミド化ホルミル化既知の保護/遮断基による誘導体化、細胞リガンドまたは他のタンパク質との連結などによって修飾された抗体が含まれる。

0086

一部の実施形態では、本発明の抗GDF−8抗体の重鎖のC末端リシンを切断および除去し得る。したがって、たとえば、本開示の特定の実施形態では、抗GDF−8抗体は、C末端リシンを欠く配列番号19もしくは配列番号57の重鎖定常領域を含むか、または、C末端リシンを欠く配列番号58の抗体重鎖を含むことができる。

0087

抗GDF−8抗体の構造への特定の修飾は、それらが産生される細胞の種類の結果として天然に起こり得る。非限定的な例では、CHO細胞などの哺乳動物細胞中での抗体の合成は、抗体鎖中の1つまたは複数のアミノ酸でのグリコシル化をもたらし得る。抗GDF−8抗体の例示的な非限定的な実施形態では、重鎖中のアミノ酸N296がグリコシル化されている。他の部位でのグリコシル化も可能であり得る。当業者には理解されるように、一部の他の種類の細胞、たとえば細菌細胞中での抗体の産生は、グリコシル化されていない抗体鎖をもたらす場合がある。他の種類の抗体修飾は、天然に、または抗体精製中もしくはその後に行われる化学的もしくは酵素的修飾によって非天然に起こり得る。

0088

あるいは、可変または定常領域中の特定のアミノ酸を変更して、機能を変化または改善させることができる。非限定的な一例では、抗体のFc領域中のアミノ酸残基を変更して、FcRnとのその結合を増加させることによって抗体の血清半減期を増加させ得る。たとえば、参照により本明細書に組み込まれるWO2000/009560号を参照されたい。他の非限定的な例では、抗体のアミノ酸を変化させて、1つまたは複数のFc受容体、補体、またはIgの生物学的エフェクター機能を媒介する他の免疫受容体との結合を低下させることができる。別の非限定的な例では、CDR、フレームワーク領域または定常領域中のアミノ酸を変化させて、GDF−8の結合親和性を増加させ得るまたは免疫原性を低下させ得る。特定の非限定的な例では、本開示の抗体のVHまたはVL領域の特定のヒトフレームワーク残基を、それぞれ配列番号26および配列番号27のアミノ酸配列のように、そのマウス対応物へと変化させて戻し得る。

0089

他の実施形態では、抗体を検出可能な部分で標識し、検出することができ、これらはどちらも当業者が精通した方法に従って行う。そのような標識は、本開示の抗体と直接または間接的にコンジュゲートさせることができる。標識は、それ自体が直接検出可能であるか(たとえば、放射性核種もしくは蛍光標識)、または検出可能な分子(たとえば、基質が直接検出可能な生成物を生じることを触媒する酵素標識)を生成するその能力によって間接的に検出可能であることができる。検出可能な標識の例には、酵素(たとえば、西ワサビペルオキシダーゼβ−ガラクトシダーゼルシフェラーゼアルカリホスファターゼなど)、補欠分子族(たとえばビオチンなど)、蛍光色素もしくは部分(たとえば、FITCローダミンランタニドリン光体)、ルミネセント部分、生物発光性部分、放射性核種(たとえば、3H、14C、15N、35S、90Y、99Tc、111In、125I、131Iなど)、陽電子放射原子もしくはイオン磁気原子もしくはイオン、常磁性金属原子もしくはイオン、または他の抗体によって特異的に結合されることができるペプチドエピトープが含まれる。一部の実施形態では、抗原結合部位との潜在的な立体障害を低下または防止するために、様々な長さのスペーサーを使用して標識を付着させ得る。

0090

本開示の抗体は、哺乳動物タンパク質の発現を維持することができる任意の細胞種から、培養物中または動物内で発現させることができる。非限定的な例には、ヒト細胞、マウス、ラットもしくは他のげっ歯類細胞、他の哺乳動物細胞、CHO細胞、酵母細胞、または他の真菌の細胞、植物細胞、もしくは細菌細胞が含まれる。Ig分子またはその断片もしくは誘導体をコードしているDNAを発現ベクター内にクローニングし、その後、細胞をそのようなベクターで一過的または安定に形質移入するために有用な技法は、当分野で周知である。抗体発現レベルを最大にするために培養条件を変更することができる。また、抗体を当業者が精通した技法を使用して動物内で発現させ、その後、乳または他の体液から精製することもできる。また、抗体は完全にまたは部分的に合成であってもよい。

0091

本開示の抗体は、高い親和性、たとえば、少なくとも約1×10−6M、1×10−7M、1×10−8、1×10−9、1×10−10、1×10−11Mまたはそれより高い平衡解離定数(KD)でGDF−8と結合する。GDF−8に対する抗GDF−8抗体のKDは、当業者が精通した様々な方法に従って決定することができる。そのような技法の非限定的な例には、表面プラズモン共鳴(SPR)およびELISAが含まれる。当業者が精通しているように、結合活性効果により、2つ以上の抗原結合部位を有する抗GDF−8抗体の見かけの結合親和性は一価の抗原結合部位を有する抗体断片よりも高い場合がある。

0092

本開示の抗体はGDF−8に特異的であるが、そのような抗体は、認識されるエピトープまたは複数のエピトープに応じて、GDF−11として知られる密に関連する成長および分化因子とも高い親和性で結合できる場合がある。したがって、GDF−8に特異的な抗体は、GDF−11分子と結合することができる抗体を必ずしも排除しない。

0093

本明細書中で使用する中和抗GDF−8抗体とは、非特異的な対照抗体または他の適切な対照と比較してGDF−8の生物活性を低下させるものである。任意の特定の動作理論に束縛されることを望まずに、抗GDF−8抗体がGDF−8によって媒介される生物学的機能を中和し得る方法の少なくとも1つは、成熟GDF−8とその高親和性受容体、たとえばActRIIB、またはその低親和性受容体のうちの1つもしくは複数との結合を防止することである。しかし、抗GDF−8中和抗体がGDF−8生物活性を妨害し得る他の機構も可能である。

0094

本開示の中和抗体によって低下させ得る、GDF−8によって媒介される数々の生物活性が当分野で知られている。非限定的な例には、たとえばELISAに基づくアッセイを使用して測定することができる、GDF−8のActRIIBとの結合が含まれる。別の例には、たとえば、いわゆるCAGA要素を含めた形質移入したレポーター遺伝子を使用して検出することができる、GDF−8によるその細胞性シグナル伝達経路の活性化が含まれる。たとえば、参照により組み込まれるLeeら、Regulation of muscle growth by multiple ligandssignaling through activin type II receptors、PNAS(2005)102:18117〜18122およびThiesら、GDF−8 Propeptide Binds to GDF−8 and Antagonizes Biological Activity by Inhibiting GDF−8 Receptor Binding、Growth Factors(2001)18:251〜59を参照されたい。さらに別の例には、GDF−8に媒介されるシグナル伝達を細胞表面のGDF−8受容体から核内へと運搬することを担っているSMADタンパク質のリン酸化が含まれる。たとえば参照により組み込まれるPhilipら、Regulation of GDF−8 signaling by the p38MAPK、Cellular Signalling(2005)17:365〜375を参照されたい。SMADタンパク質のリン酸化は、たとえば、抗ホスホSMAD抗体を使用した定量的ウエスタンブロッティングで検出することができる。また、通常はGDF−8によって活性化または抑圧されている遺伝子の、下流遺伝子発現のモジュレーションも検出することができる。本発明の中和抗体を使用して低下させることができる、GDF−8に媒介される活性のさらに別の例は、筋肉量または筋力の負の調節。他の活性も可能である。

0095

本開示の中和抗体は、抗体や抗原の濃度および結合親和性、ならびに他のものなどの当業者が精通した変数に応じて、GDF−8によって媒介される生物活性を様々な度合まで低下させることができる。GDF−8と結合する抗体によって引き起こされるGDF−8に媒介される生物活性における、例示的な非限定的なパーセンテージ低下には、適切な対照と比較して、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、またはそれより高い低下が含まれる。

0096

抗GDF−8抗体によるGDF−8に媒介される生物活性の阻害は、選択されたどのようなアッセイ条件下でも、生物活性の50%を阻害することができるそのような抗体の濃度として好都合に表すことができる。この濃度はIC50とも呼ばれる。特定の実施形態では、本開示の抗GDF−8抗体は、約500nM以下、250nM、100nM、75nM、50nM、40nM、30nM、20nM、10nM、5nM、1nM、0.5nM、0.1nM以下、またはそれ未満のIC50値を有する。

0097

分泌リーダー配列
特定の実施形態によれば、抗体重鎖および軽鎖をコードしている遺伝子に、新しく合成されたタンパク質を分泌区画へと向かわせるアミノ末端分泌リーダーペプチドをコードしている配列を提供することができる。その後、翻訳後プロセッシングによりリーダーペプチドが除去された後に、成熟抗体が細胞から分泌される。本開示の抗体の特定の非限定的な実施形態では、VH0、VH1、VL0およびVL1領域に、19個のアミノ酸の長さの分泌リーダーペプチドを提供する。リーダー配列を含めたこれらのV領域に以下の配列識別番号を割り当てる:VH0(配列番号50)、VL0(配列番号52)、VH1(配列番号54)、およびVL1(配列番号56)。他の分泌リーダー配列も使用し得る。非限定的な例には、マウスVH領域の最初の19個のアミノ酸およびそのリーダー配列(配列番号29)、ならびにマウスVL領域の最初の20個のアミノ酸およびリーダー配列(配列番号31)が含まれる。

0098

抗GDF−8抗体の発現
実施例中にさらに詳細に記載するように、OGD1.0.0は、哺乳動物細胞においてOGD1.1.1よりも実質的に高いレベルで発現された。たとえば、OGD1.0.0およびOGD1.1.1を、一過的に形質移入したCOS細胞中で発現させた場合、OGD1.0.0はOGD1.1.1よりも約12倍高いレベルで発現された。同様に、これらの抗体を安定に形質移入したCHO細胞中で発現させた場合、OGD1.0.0はOGD1.1.1よりも約6倍高いレベルで発現された。また、実施例中に記載するように、発現レベルの相違は、抗体中にVH1の代わりにVH0が存在することに主に起因していると考えられる。

0099

したがって、VH0を含む本開示の抗体は、同様の条件下で発現させた場合に、VH1を含む同様の抗体よりも高い発現を示す。たとえば、特定の実施形態では、VH0を含む抗体の発現レベルは、同様の条件下で発現させたVH1を含有する同様の抗体のそれよりも、少なくとも約1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、11倍、12倍、13倍、14倍、15倍、20倍、30倍またはそれより多い量で高い。抗体間の発現レベルの相違の程度は、たとえば、抗体を発現させるために使用した宿主細胞の種類、たとえばCOS細胞もしくはCHO細胞、または、宿主細胞を一過的にもしくは安定に形質移入したかに依存し得る。VH0またはVH1可変重鎖領域を含有する抗体の比較発現レベルは、他の成長条件を変化させることに伴って変動する場合があり、当業者が精通した方法を使用して決定することができる。

0100

他の実施形態では、VH0抗体発現のレベルは、同様の条件下で発現させたVH1を含有する同様の抗体のそれよりも、少なくとも約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、75%、100%、150%、200%、250%、300%、400%、500%、600%、700%、800%、900%、1000%、1100%、1200%、1300%、1400%、1500%、1600%、1700%、1800%、1900%、2000%、3000%、4000%、5000%またはそれより多い量で高い。本明細書中に列挙したパーセンテージ間などの、発現レベルの他の相違も可能である。

0101

抗体発現レベルは、当業者が精通した技法を使用して測定することができる。非限定的な一例では、抗体発現レベルは、定量的ELISAアッセイを使用して測定することができる。当業者の知識に従って他の定量的アッセイも使用し得る。

0102

抗GDF−8抗体をコードしている核酸分子
また、本開示は、抗GDF−8抗体をコードしている核酸分子またはポリヌクレオチドも提供する。核酸は、DNA、またはDNA核酸塩基配列中でUがTを置き換えるRNAを含み得る。また、核酸は、非標準核酸塩基(たとえば5メチルシトシン)または修飾された主鎖(たとえばホスホロチオエート)などの修飾も含有し得る。他の修飾が可能である。核酸は一本鎖または二本鎖であり得る。核酸は、細胞または全生物などのように天然源から入手し得る。天然源の核酸の非限定的な例には、ゲノムDNA、増幅したプラスミドDNAまたはmRNAが含まれる。あるいは、核酸を合成し得る。合成核酸の非限定的な例には、cDNAPCR生成物、または核酸合成機で合成した核酸が含まれる。

0103

特定の実施形態では、本開示の核酸は、VH0を含む抗体重鎖またはその断片もしくは誘導体のアミノ酸配列をコードしている。他の実施形態では、核酸は、VL0を含む抗体軽鎖またはその誘導体もしくは断片のアミノ酸配列をコードしている。さらに他の実施形態では、VH0およびVL0またはVL1などのVL領域をコードしている核酸配列は、異なるまたは同じ単離ポリヌクレオチド中に存在する。

0104

本開示は、抗GDF−8抗体またはその断片もしくは誘導体をコードしている具体的な核酸配列を提供するが、当業者には、遺伝暗号縮重が原因でそのような配列は単に例示的なものであり、限定的であると解釈されるべきでないことが理解されよう。したがって、マウス抗GDF−8抗体のVHおよびVL領域をコードしている例示的な核酸配列は、それぞれ配列番号2および配列番号4である。VH1をコードしている例示的な核酸配列は配列番号6および配列番号47である。VL1をコードしている例示的な核酸配列は配列番号8および配列番号48である。VH0をコードしている例示的な核酸配列は配列番号43である。VL0をコードしている例示的な核酸配列は配列番号45である。2個のヒンジ領域突然変異を含有するIgG1のCH領域を含む、配列番号19のアミノ酸配列をコードしている例示的な核酸配列は、配列番号18である。ヒトカッパCL領域を含む配列番号17のアミノ酸配列をコードしている例示的な核酸配列は、配列番号16である。リーダー配列によって先行される、マウス抗GDF−8抗体のVHおよびVL領域をコードしている例示的な核酸配列は、それぞれ配列番号28および配列番号30である。リーダー配列によって先行される、VH0、VL0、VH1およびVL1領域のアミノ酸配列をコードしている例示的な核酸配列は、それぞれ配列番号49、配列番号51、配列番号53、および配列番号55である。

0105

特定の実施形態によれば、核酸分子は、以下の配列番号のうちのいずれかのアミノ酸をコードしている核酸配列を含む:7、9、10、11、12、13、14、15、17、19、20、21、22、23、24、25、26、27、36、38、40、42、44、46、50、52、54、56、57、58、59、63または65。他の実施形態では、核酸分子は、配列番号7、9、10、11、12、13、14、15、17、19、20、21、22、23、24、25、26、27、36、38、40、42、44、46、50、52、54、56、57、58、59、63または65と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるアミノ酸配列をコードしている核酸配列を含む。さらに他の実施形態では、核酸分子は、VH0(配列番号44)と少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一であり、Kabat位置108がロイシンであるアミノ酸配列をコードしている核酸配列を含む。

0106

特定の実施形態によれば、核酸分子は、以下の配列番号のうちのいずれかの核酸配列を含む:6、8、16、18、35、37、39、41、43、45、47、48、49、51、53、55、62または64。他の実施形態では、核酸分子は、配列番号6、8、16、18、35、37、39、41、43、45、47、48、49、51、53、55、62または64の核酸配列と少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一である核酸配列を含む。さらに他の実施形態では、核酸分子は、高ストリンジェンシー条件下で配列番号6、8、16、18、35、37、39、41、43、45、47、48、49、51、53、55、62または64の核酸配列とハイブリダイズする核酸配列を含む。

0107

高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件の非限定的な例は、ハイブリダイズさせる核酸を、1×SSC中で65℃、または1×SSCおよび50%のホルムアミド中で42℃にてインキュベーションし、次いで0.3×SSC中で65℃にて洗浄することである。ストリンジェンシー条件のさらなる例は、参照により本明細書に組み込まれるSambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第9章および第11章、Cold Spring Harbor Laboratory Press、ニューヨーク州Cold Spring Harbor(1989)中に提供されている。

0108

当業者には理解されるように、本開示の核酸のうちの特定のものをインフレーム一緒ライゲーションさせて、複合核酸配列を作製し得る。たとえば、VH0をコードしている核酸を、CH領域をコードしている核酸とインフレームでライゲーションさせて、完全重鎖をコードしている複合核酸を作製することができる。非限定的な例では、VH0をコードしている配列番号43の核酸配列を、エフェクター機能に影響を与える3個の突然変異を含有するヒトIgG1重鎖の定常部分である、配列番号57のアミノ酸配列をコードしている核酸配列とインフレームでライゲーションさせることができる。軽鎖を作製するための同様のライゲーションが可能であり、本明細書中に記載の核酸の他の複合体を作製するための他のライゲーションも可能である。

0109

ベクター
当分野の技術者に周知の技法を使用して、本開示の核酸をベクター内に取り込ませ得る。特定の実施形態では、ベクターには、プラスミド、一般的には細菌プラスミド、真核エピソーム酵母人工染色体およびウイルスゲノムが含まれる。例示的な非限定的なウイルスには、レトロウイルスアデノウイルスアデノ関連ウイルス(AAV)、ならびにカリフラワーモザイクウイルスおよびタバコモザイクウイルスなどの植物ウイルスが含まれる。他の種類のベクターが可能である。一部の実施形態では、ベクターは、適切な宿主中で自律複製が可能である。他の実施形態では、ベクターは、宿主中において染色体外で維持されるか、または宿主のゲノム内に組み込まれることができ、ベクターが宿主のゲノムと共に複製されることが可能となる。遺伝子ならびに遺伝子の転写および翻訳を維持するために十分な制御配列を含むベクターは発現ベクターと呼ばれる。本開示によるベクターは、当分野の技術者の知識に従って、細菌細胞、他の原核細胞、酵母細胞、他の真菌細胞、植物細胞、動物細胞昆虫細胞、哺乳動物細胞、CHO細胞、およびヒト細胞などを含めた、Ig遺伝子の発現を支援することができる任意の細胞腫中で機能するように選択または設計し得る。

0110

ベクターは、1つまたは複数の制御配列を任意選択で含有し得る。複製起点などの特定の制御配列が複製を許可する。プロモーターエンハンサー、および転写終結部位などの他の制御配列が転写を制御またはモジュレートする。プロモーターまたはエンハンサーの非限定的な例は、レトロウイルスLTRサイトメガロウイルス(CMV)、シミアンウイルス40SV40)、アデノウイルス(たとえばアデノウイルス主要後期プロモーター(AdMLP))、またはポリオーマウイルスに由来するものである。さらなる例には、組織特異的なプロモーターおよびエンハンサー、構成的活性型のプロモーターおよびエンハンサー、誘導性のプロモーターおよびエンハンサー、Ig遺伝子プロモーターおよびエンハンサーならびにアクチンプロモーターおよびエンハンサーが含まれる。他のプロモーターおよびエンハンサーも可能である。

0111

スプライシングおよびポリアデニル化シグナルまたはmRNAの安定性を増加もしくは減少させるシグナルなどの特定の制御配列は、転写後RNAプロセッシングを制御またはモジュレートする。さらに他の制御配列は、タンパク質翻訳(翻訳開始配列(たとえばコザックコンセンサス配列)など)、翻訳後プロセッシング(宿主細胞から出ていく遺伝子産物の分泌を指示するシグナルペプチド配列など)、またはタンパク質の安定性を制御またはモジュレートする。シグナルペプチド配列は、免疫グロブリン、またはIgスーパーファミリーの一部ではない分泌タンパク質に由来することができる。他の制御配列も可能である。

0112

また、ベクターには、ベクターを取り込んだ宿主細胞の選択を可能にする選択マーカー遺伝子も含めることができる。非限定的な例には、ジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子(DHFR)(メトトレキサートを使用した選択を可能にする、dhfr−宿主細胞で使用するため)、neo遺伝子(G418または同様の薬物を用いた選択を可能にする)、hph遺伝子(ハイグロマイシンBを用いた選択を可能にする)、およびグルタミン酸合成酵素遺伝子(メチオニンスルホキシミンを用いた選択を可能にする)などの薬物耐性表現型を与える選択マーカー遺伝子が含まれる。

0113

一部の実施形態では、ベクターは、単一のIg重鎖もしくは軽鎖またはその抗原結合断片をコードしているが、同じベクター中で両方の鎖はコードしていない核酸配列を含むことができる。典型的には、そのようなベクターからのインタクトな抗体の発現は、重鎖および軽鎖を含む別々のベクターを同じ細胞内に導入することを含む。他の実施形態では、ベクターは、重鎖および軽鎖Ig鎖またはその抗原結合断片の両方を同じベクター中でコードしている核酸配列を含むことができる。

0114

本開示の核酸分子、またはそのような核酸を含むベクターを、抗体発現を支援することができる1つまたは複数の種類の宿主細胞内に導入し得る。核酸またはベクターを適切な宿主細胞内に導入する方法は当業者に周知である。非限定的な例には、標的宿主細胞の一過性および安定形移入形質転換形質導入およびウイルス感染症が含まれる。他の例には、デキストラン媒介性形質移入、リン酸カルシウム沈殿ポリブレン媒介性形質移入、プロトプラスト融合電気穿孔、ポリヌクレオチド(複数可)のリポソーム中へのカプセル封入、およびDNAの核内への直接微量注入が含まれる。例示的な非限定的な方法は、たとえば、参照により組み込まれる米国特許第4,399,216号、第4,912,040号、第4,740,461号、および第4,959,455号に記載されている。また、植物細胞を形質転換させる方法も当分野で周知であり、たとえば、アグロバクテリウム(agrobacterium)媒介性形質転換、微粒子銃形質転換、直接注入、電気穿孔およびウイルス形質転換が含まれる。細菌および酵母細胞を形質転換させる方法も当分野で周知である。

0115

宿主細胞
特定の実施形態では、本開示の抗体またはその断片もしくは誘導体をコードしている核酸を、発現を目的として適切な宿主細胞内に導入する。抗体を発現することができる細胞には、細菌、真菌、植物、動物、および哺乳動物細胞が含まれる。当業者の知識に従って他の種類の細胞も使用し得る。

0116

抗体発現のための宿主として適切な哺乳動物細胞系は当分野で知られている。例示的な非限定的な例には、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、NS0細胞、SP2細胞、HEK−293T細胞、NIH−3T3細胞、HeLa細胞ベビーハムスター腎臓(BHK)細胞、アフリカミドリザル腎細胞(たとえば、COS、CV−1またはVero細胞)、ヒト肝細胞癌細胞(たとえばHepG2)、A549細胞、A431細胞、HeLa細胞、L細胞、BHK21細胞、HL−60細胞、U937細胞、HaK細胞ジャーカット細胞などを含めた、American Type Culture Collection(ATCC)または他の供給源から入手可能な特定の不死化細胞系が含まれる。抗体発現のための宿主として適切な他の動物、昆虫、または哺乳動物細胞が可能である。

0117

他の実施形態では、昆虫、植物、細菌または真菌からの細胞系を使用し得る。例示的な非限定的な昆虫細胞には、しばしばバキュロウイルスベクター発現系と併せて使用されるSf9またはSf21細胞が含まれる。例示的な非限定的な植物細胞には、タバコ(nicotiana)、シロイヌナズナ(arabidopsis)、ウキクサ(duckweed)、トウモロコシコムギ、およびジャガイモ種のものが含まれる。例示的な非限定的な細菌には、大腸菌(Escherichia coli)、枯草菌(Bacillus subtilis)、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)、およびストレプトマイセス(Streptomyces)株が含まれる。例示的な非限定的な真菌には、分裂酵母(Schizosaccharomyces pombe)、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)、ピキアパストリス(Pichia pastoris)、クルイベロマイセス(Kluyveromyces)酵母株、およびカンジダ(Candida)酵母株が含まれる。他の昆虫、植物、細菌および真菌細胞が可能である。

0118

様々な種類の宿主細胞を抗体発現に寄与する条件下で成長および維持する方法は当分野で周知である。抗体発現が起こった後、そのような発現させた抗体を、その後に当業者の知識に従って宿主細胞から精製することができる。たとえば、分泌された抗体を、宿主細胞を成長させた培地から精製することができる。あるいは、一部の実施形態では、特に宿主細胞が細胞壁を有する場合は、宿主細胞を機械的、化学的または酵素的に破壊して開放して、細胞内に隔離された発現抗体を放出させることができる。抗体精製の例示的な非限定的な方法には、イオン交換クロマトグラフィー塩析、およびゲル濾過が含まれる。他の実施形態では、親和性クロマトグラフィーを使用し得る。たとえば、ヒト定常領域の配列を認識するマウス抗体を精製カラムに固定することができる。あるいは、親和性タグと密に結合する特定の抗体または他の分子を用いた精製のために、抗体を、エピトープタグ、またはマルトース結合タンパク質グルタチオンS−トランスフェラーゼ、およびチオレドキシンなどのより大きな親和性タグと融合させて発現させることができる。それ以降、エピトープまたは親和性タグを、当業者が精通した技法を使用して切断し、抗体を、本明細書中に開示したものなどの他の技法を使用して精製することができる。抗体を培地および宿主細胞から精製する他の技法も可能である。また、場合によっては、抗体を適正製造基準または他の規制上の要件に従ってさらに精製するために、抗体を追加の処理ステップに供することもできる。適切な精製およびそれらを実施するためのステップは当業者の知識範囲内にある。

0119

トランスジェニック動物および植物
また、本開示の抗体は、遺伝子改変した非ヒト動物または植物中でも産生させ得る。そのような生物における抗体の発現は構成的または誘導性であり得る。その後、そのような生物中で発現された抗体を、当業者に知られている技法を使用して単離することができる。抗体およびその抗原結合断片をトランスジェニック非ヒト生物中で発現させる方法は当分野で周知である。非限定的な例では、本開示の抗体は、ヤギ、ウシ、または他の非ヒト哺乳動物乳中で産生させ、それから回収することができる。たとえば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,827,690号、第5,756,687号、第5,750,172号、および第5,741,957号を参照されたい。抗体が生産され得るトランスジェニック哺乳動物の他の非限定的な例は、マウス、ラット、ヒツジ、ブタ、またはウマである。抗体を単離し得る体液のさらなる非限定的な例は血液である。他の体液も可能である。また、本開示の抗体は、植物中で産生させ、それから回収してもよい。たとえば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,417,429号、第6,046,037号、および第5,959,177号を参照されたい。

0120

医薬組成物
本開示の治療的および予防的方法で使用するためには、本明細書中に開示した抗体を組成物として製剤化することができる。任意選択で、組成物は、GDF−8媒介性障害に対して治療上または予防上有効である、本明細書中に開示したものとは異なるGDF−8エピトープと結合する抗体を含めた、1つまたは複数の追加の薬剤を含むことができる。組成物は、通常は、一般に薬学的に許容できる担体が含まれる無菌的な医薬組成物の一部として供給される。この組成物は、それを患者に投与するための所望の方法に応じて、任意の適切な形態であることができる。

0121

本開示の抗体は、様々な経路によって、典型的には非経口的に、たとえば、皮下、静脈内、腹腔内または筋肉内注射を介して、対象に投与することができる。投与は、1回もしくは複数回のボーラス注射として、または1回もしくは複数回の注入として達成することができる。当分野の技術者の知識に従って他の投与経路も可能である。任意の所定の事例における投与に最も適切な経路は、投与する具体的な組成物、および処置する障害、年齢または性別などの対象の特徴に依存し得る。

0122

医薬組成物は、1用量あたり事前に決定した量の抗体を含有する単位剤形で好都合に提示することができる。そのような単位は、たとえば、それだけには限定されないが、5mg〜5g、10mg〜1g、または20〜50mgを含有することができる。本開示において使用するための薬学的に許容できる担体は、たとえば投与経路に応じて、様々な形態をとることができる。

0123

本開示の医薬組成物は、所望の度合の純度を有する抗体を、任意選択の、当分野において典型的に用いられる薬学的に許容できる担体、賦形剤または安定化剤(すべて本明細書中で「担体」と呼ぶ)、すなわち、緩衝剤、安定化剤、保存剤等張化剤非イオン性洗剤抗酸化剤、および他の種々雑多な添加剤と混合することによって、貯蔵のために凍結乾燥製剤または水溶液として調製することができる。Remington’s Pharmaceutical Sciences、第16版(Osol編、1980)を参照されたい。そのような添加剤は、用いる用量および濃度においてレシピエントに対して無毒性でなければならない。

0124

緩衝剤は、pHを生理的条件近似の範囲に維持することを助ける。これらは、約2mM〜約50mMの範囲の濃度で存在することができる。本開示において使用するための適切な緩衝剤には、クエン酸塩緩衝液(たとえば、クエン酸一ナトリウム−クエン酸二ナトリウム合物、クエン酸−クエン酸三ナトリウム混合物、クエン酸−クエン酸一ナトリウム混合物など)、コハク酸塩緩衝液(たとえば、コハク酸−コハク酸一ナトリウム混合物、コハク酸−水酸化ナトリウム混合物、コハク酸−コハク酸二ナトリウム混合物など)、酒石酸塩緩衝液(たとえば、酒石酸酒石酸ナトリウム混合物、酒石酸−酒石酸カリウム混合物、酒石酸−水酸化ナトリウム混合物など)、フマル酸塩緩衝液(たとえば、フマル酸フマル酸一ナトリウム混合物、フマル酸−フマル酸二ナトリウム混合物、フマル酸一ナトリウム−フマル酸二ナトリウム混合物など)、グルコン酸塩緩衝液(たとえば、グルコン酸グルコン酸ナトリウム混合物、グルコン酸−水酸化ナトリウム混合物、グルコン酸−グルコン酸カリウム混合物など)、シュウ酸塩緩衝液(たとえば、シュウ酸シュウ酸ナトリウム混合物、シュウ酸−水酸化ナトリウム混合物、シュウ酸−シュウ酸カリウム混合物など)、乳酸塩緩衝液(たとえば、乳酸乳酸ナトリウム混合物、乳酸−水酸化ナトリウム混合物、乳酸−乳酸カリウム混合物など)、および酢酸塩緩衝液(たとえば、酢酸酢酸ナトリウム混合物、酢酸−水酸化ナトリウム混合物など)等の、有機および無機酸のどちらも、ならびにその塩が含まれる。さらに、リン酸塩緩衝液ヒスチジン緩衝液、およびトリスなどのトリメチルアミン塩を使用することができる。

0125

保存剤は、微生物の成長を遅らせるために加えることができ、0.2%〜4%(w/v)の範囲の量で加えることができる。本開示において使用するための適切な保存剤には、フェノールベンジルアルコールメタクレゾールメチルパラベンプロピルパラベンオクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリドベンズアルコニウムハロゲン化物(たとえば、塩化物臭化物、およびヨウ化物)、塩化ヘキサメトニウムメチルまたはプロピルパラベンなどのアルキルパラベンカテコールレソルシノールシクロヘキサノール、ならびに3−ペンタノールが含まれる。時折「安定化剤」としても知られる等張化剤は、本開示の液体組成物等張性を確実にするために加えることができ、多価(polhydric)糖アルコール、たとえば、グリセリンエリスリトールアラビトールキシリトールソルビトールおよびマンニトールなどの三価以上の糖アルコールが含まれる。安定化剤とは、充填剤から、治療剤を可溶化させるまたは変性もしくは容器壁への付着の防止を助ける添加剤までにわたって機能することができる、広義の分類の賦形剤をいう。典型的な安定化剤は、多価糖アルコール(上記に列挙)、アルギニン、リシン、グリシン、グルタミン、アスパラギンヒスチジンアラニンオルニチン、L−ロイシン、2−フェニルアラニングルタミン酸スレオニンなどのアミノ酸、イノシトールなどのシクリトールを含めた、ラクトーストレハローススタキオース、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、リビトールミオイノシトールガラクチトールグリセロールなどの有機糖または糖アルコール、ポリエチレングリコールアミノ酸ポリマー尿素、グルタチオン、チオクト酸チオグリコール酸ナトリウムチオグリセロール、a−モノチオグリセロールおよびチオ硫酸ナトリウムなどの硫黄含有還元剤低分子量ポリペプチド(たとえば10個以下の残基のペプチド)、ヒト血清アルブミンウシ血清アルブミンゼラチンまたは免疫グロブリンなどのタンパク質、ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマーキシロースマンノースフルクトース、グルコースなどの単糖、ラクトース、マルトーススクロースなどの二糖ラフィノースなどの三糖、ならびにデキストランなどの多糖であることができる。安定化剤は、活性タンパク質の1重量部あたり0.1〜10,000重量部の範囲で存在することができる。

0126

非イオン性界面活性剤または洗剤(「湿潤剤」としても知られる)は、抗体および含め得る任意の他の治療剤を、撹拌誘導性の凝集対抗して可溶化することを助けるために加えることができ、これは、タンパク質の変性を引き起こさずに組成物が剪断表面応力に曝されることも可能にする。適切な非イオン性界面活性剤には、ポリソルベート(20、80など)、ポリオサマー(184、188など)、プルロニックポリオールポリオキシエチレンソルビタンモノエーテル(TWEEN(商標)−20、TWEEN(商標)−80など)が含まれる。非イオン性界面活性剤は、約0.05mg/ml〜約1.0mg/ml、たとえば約0.07mg/ml〜約0.2mg/mlの範囲で存在することができる。

0127

さらなる種々雑多な賦形剤には、キレート化剤(たとえばEDTA)、抗酸化剤(たとえば、アスコルビン酸、メチオニン、ビタミンE)、および共溶媒が含まれることができる。

0128

例示的な非限定的な実施形態では、本開示の抗体は、20mMのL−ヒスチジン、85mg/mlのスクロース、0.2mg/mlのPS−80、0.05mg/mlのEDTA、pH5.8を含む溶液中で製剤化する。他の実施形態では、この製剤中の抗体の濃度は100mg/mlである。さらに他の実施形態では、この製剤中の抗体を凍結乾燥する。

0129

医薬キット
特定の実施形態では、本発明は、臨床家または他の者が使用するための医薬キットを提供する。医薬キットとは、本開示の抗GDF−8抗体(たとえば凍結乾燥形態または水溶液のどちらかとして)と、以下のうちの1つまたは複数とを含むパッケージである:本開示中の他の箇所に記載されている少なくとも第2の治療剤、抗体を投与するための装置、たとえば針および/またはシリンジ、ならびに抗体が凍結乾燥または濃縮形態である場合は、抗体を再懸濁または希釈するための薬学的グレードの水または緩衝液。また、キットには、抗体組成物を調製するため、および/または組成物を患者に投与するための指示も含まれ得る。

0130

抗GDF−8抗体組成物のそれぞれの単位用量は別々に包装することができ、キットは1つまたは複数の単位用量(たとえば、2単位用量、3単位用量、4単位用量、5単位用量、7単位用量、8単位用量、10単位用量、またはそれより多く)を含有することができる。一実施形態では、1つまたは複数の単位用量はシリンジ中にそれぞれ格納されており、別の実施形態では、1つまたは複数の単位用量は、I.V.ラインに接続するために適したバッグまたは同様の容器中にそれぞれ含有されている。

0131

処置および予防の方法
本開示は、GDF−8活性を低下させることが治療上の利点を直接または間接的にもたらす、状態および障害を処置および予防する方法を提供する。そのような方法は、対象に、有効量の抗GDF−8抗体を含む組成物を投与することを含む。これらの実施形態のうちの特定のものでは、抗体は、OGD1.0.0、またはそのGDF−8結合断片、部分、一部分もしくは誘導体である。

0132

抗GDF−8抗体組成物を投与することができる対象は、非霊長類(たとえば、ウシ、ブタ、ウマ、ネコイヌ、ラットなど)または霊長類(たとえば、サルチンパンジー類人猿もしくはヒト)などの哺乳動物であり得る。対象は成人患者または小児患者などのヒトであることができる。

0133

本開示の抗体組成物で処置することができる状態および障害は、少なくとも部分的にGDF−8によって媒介されるもの、または対象においてGDF−8活性を低下させることが治療上の利点を与えるであろうことを示唆する科学的な理論的根拠が存在する場合である。

0134

治療上の利点は、具体的な状態または障害に部分的に依存するが、対象においてGDF−8活性を低下させることが、状態もしくは障害の症状、兆候もしくは重症度のいかなる寛解をももたらす場合、または、そのような症状、兆候もしくは重症度の進行性の悪化を停止もしくは遅延させる場合に、治療上の利点が存在する。GDF−8活性を低下させることが対象の平均余命、快適さまたは生活の質を増加させる場合に、治療上の利点がさらに存在する。また、GDF−8活性を低下させることが、対象の1つもしくは複数の身体的もしくは生理的機能の増悪を改善、すなわち停止もしくは遅延させる場合、またはそのような機能を反映する試験における対象の成績を改善させる場合にも、治療上の利点が存在する。

0135

治療上の利点は、対象が特定の課題を行うのを観察すること、対象に気分に関する質問ねること、または、ベッドサイドで対象に対して、もしくは実験室において対象から得た試料に対して1つもしくは複数の試験を行うことによって推論することができる。また、治療上の利点は、GDF−8阻害のマーカーによっても証明し得る。限定ではなく、例として、処置下の対象からの筋肉の生検を行い、GDF−8によって刺激されるシグナル伝達経路の下方制御に関連するマーカーの存在または非存在、たとえば、リン酸化されたSMAD2またはSMAD3タンパク質のレベルの低下について試験し得る。本開示の抗体を含む組成物を用いた処置下の対象において治療上の利点を検出するために適切な他の試験は、当分野の技術者の知識範囲内にある。処置または予防している状態または障害の完全な治癒または逆転が望ましい一方で、治療上の利点が存在するために必須ではない。

0136

特定の実施形態では、本開示の抗体を含む組成物を使用して、骨格筋の量および/もしくは筋力の喪失によって特徴づけられた、またはそのような筋肉量および/もしくは筋力の増加が治療上の利点を与える、状態または障害を処置または予防することができる。これらの実施形態のうちの特定のものでは、抗体は、OGD1.0.0、またはそのGDF−8結合断片もしくは誘導体である。

0137

本明細書中に開示した抗体を投与することによって処置または予防可能である、筋肉量および/または筋力の減弱に関連する状態または障害には、それだけには限定されないが、加齢関連の筋肉量または筋力の低下、虚弱、筋肉減少症、ならびに、傷害、除神経、または無重力環境への持続的曝露の後などの、筋萎縮、不動または廃用によって引き起こされる筋肉量または筋力の低下が含まれる。他の実施形態では、処置または予防することができる状態または障害には、特に高齢者または股関節骨折もしくは他の骨の骨折などの骨折を起こしやすい他の者における骨折、あるいは、関節置換を安定化させることが含まれる。一部の他の実施形態では、処置または予防することができる状態または障害は、原疾患プロセスに起因し得るものを含めた筋消耗症候群である。筋消耗症候群の非限定的な例には、癌、無食欲症または他の種類の栄養失調によって引き起こされるものなどの悪液質、ならびに、AIDS、敗血症、火傷、慢性腎不全鬱血性心不全(CHF)、および慢性閉塞性肺疾患(COPD)によって引き起こされる筋消耗が含まれる。

0138

限定ではなく、例として、本開示の抗体を含む組成物を投与した対象における治療上の利点は、全般的または特定の筋肉の筋肉量または筋力の増加によって実証することができる。抗GDF−8抗体を用いた処置によってその筋肉量および/または筋力を増加させることができる筋肉の非限定的な例には骨格筋および心筋が含まれる。他の例には、横隔膜および肋間筋を含めた呼吸を制御する筋肉、ならびに胸鎖乳突筋斜角筋を含めた吸気副筋などが含まれる。骨格筋のさらに他の例には、腓腹筋、後脛骨筋ヒラメ筋前脛骨筋、長筋、短筋、大殿筋大腿二頭筋半腱様筋半膜様筋腸腰筋大腿四頭筋股関節内転筋肩甲挙筋僧帽筋腹直筋腹横筋外腹斜筋内腹斜筋脊柱起立筋大胸筋上腕二頭筋上腕三頭筋上腕筋円回内筋腕橈骨筋菱形筋三角筋、および広背筋が含まれる。本開示の抗GDF−8抗体を用いた処置によってその筋肉量および/または筋力を増加させることができる他の骨格筋も可能である。

0139

筋肉量または筋力の増加は、力に抵抗するもしくは重りを持ち上げる対象の能力を観察することなどによって直接、または、MRI、CTもしくは二重エネルギX線吸収測定(DEXA)を使用して対象の身体を走査することによって間接的に評価することができる。他の技法も可能である。

0140

あるいは、治療上の利点は、そうでなければ進行的に悪化する症状の重症度の低下から推論することができる。また、利点は、筋電図検査などの筋肉機能の生理的試験、生検を行った筋肉構造組織病理学的試験、および損傷した筋肉によって放出される酵素である血清クレアチンキナーゼの存在などの生化学的試験を使用して実証することもできる。治療上の利点を検出するために有用な他の筋肉構造および機能の試験も可能である。

0141

筋肉量および/または筋力に関連する他の実施形態では、本開示は、そのような処置または予防を必要としている患者に、抗GDF−8抗体を含む組成物を投与することによって、筋ジストロフィー(「MD」)を処置および予防する方法を提供する。この方法の一部の実施形態では、抗体はOGD1.0.0またはその抗GDF−8結合断片もしくは誘導体である。特定の実施形態によれば、対象は筋ジストロフィーを患っているヒト小児患者であり、他の実施形態では、対象は筋ジストロフィーに罹患しているヒト成人患者である。

0142

当分野で知られているように、遺伝子病変の性質または疾患の原因となる病変、および根底にある遺伝的欠陥から生じる表現型が異なる、様々な種類の筋ジストロフィーが存在しており。本開示の抗体を含む組成物の投与によって処置または予防し得る筋ジストロフィーの種類の非限定的な例には、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)(仮性肥大型MDとしても知られる)、ベッカー型筋ジストロフィー(BMD)、エメリ−ドレフュス型筋ジストロフィー(EDMD)、肢帯筋ジストロフィー(LGMD)、顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(FSHまたはFSHD)(ランドジー−デジェリーヌ型MDとしても知られる)、筋緊張性ジストロフィー(MMD)(DMまたはシュタイネルト病としても知られる)、眼咽頭型筋ジストロフィー(OPMD)、遠位型筋ジストロフィー(DD)(三好型MDとしても知られる)、および先天性筋ジストロフィー(CMD)が含まれる。

0143

上述した筋肉量および/または筋力の改善を評価するための技法に加えて、MDに罹患している対象に本開示の抗体を含む組成物を投与すること治療上の利点は、6分間歩行試験(「6MWT」)を使用して定量することができる。たとえば、参照により本明細書に組み込まれるMcDonaldら、The 6−minute walk test as a new outcome measure in Duchenne muscular dystrophy、Muscle Nerve(2010)41:500〜510を参照されたい。

0144

6MWTでは、対象を、事前に設定されたコースに沿って6分間以内にどれだけ遠くまで歩行できるかを決定するために試験する。典型的には、対象を、ベースラインを確立するために処置を開始する前に試験し、それ以降は処置が進行するにつれて一定間隔で試験する。治療上の利点は、6MWTにおけるMD対象の成績が一定である、もしくは処置に伴って実際に改善される場合、または、対象の成績が平均の非処置の対象のように急速に下降しない場合に見られる。6MWTの成績の例示的な非限定的な改善には、非処置またはプラセボで処置した対照と比較して約4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、またはそれより高いパーセンテージ改善が含まれる。また、6MWTは、MD以外の歩行運動に影響を与える状態または障害について処置中の対象において治療上の利点を検出するためにも使用し得る。

0145

他の実施形態では、本開示は、そのような処置または予防を必要としている患者に、抗GDF−8抗体を含む組成物を投与することによって、運動ニューロン疾患を処置および予防する方法を提供する。この方法の一部の実施形態では、抗体はOGD1.0.0またはその抗GDF−8結合断片もしくは誘導体である。本開示の抗体を含む組成物の投与によって処置または予防し得る運動ニューロン疾患の種類の非限定的な例には、筋萎縮性側索硬化症(ALS)(ルーゲーリック病としても知られる)、1型脊髄性筋萎縮症(SMA1)(ウェルドニッヒ−ホフマン病としても知られる)、2型脊髄性筋萎縮症(SMA2)、3型脊髄性筋萎縮症(SMA3)(クーゲルベルク−ヴェランダー病としても知られる)、および脊髄延髄性筋萎縮(SBMA)(ケネディ病としても知られる)が含まれる。

0146

以前の研究では、マウス抗GDF−8抗体が、ヒトALSの小動物モデルであるSOD1マウスおよびラットにおいて筋肉量および筋力を増加させるために有効であったことが実証されている。参照により本明細書に組み込まれるWO2007/024535号およびHolzbauerら、Myostatin inhibition slows muscle atrophy in rodent models of amyotrophic lateral sclerosis、Neurobiology of Disease(2006)23:697〜707を参照されたい。報告されているように、マウス抗体を用いた処置は、PBSで処置した対照と比較して、SOD1マウスおよびラットの横隔膜および骨格筋において筋肉量を増加させた。同様に、抗体処置は、PBSを受けた対照と比較して、SOD1マウスにおいて腓腹筋および横隔膜の筋萎縮を軽減させた。抗体処置の栄養性効果は、疾患プロセスの末期とは対照的に主に初期中に主に明白であったが、横隔膜萎縮の阻害はどちらの時期中にも明白であった。また、抗体処置は、四肢筋力、ならびにSOD1マウスおよびラットにおける全体的な体重も増加させることが観察されたが、抗体はビヒクル単独で処置した対照動物と比較して生存を延長させなかった。OGD1.0.0などの本開示のヒト化抗GDF−8抗体は上述のマウス抗体と同じ抗原結合決定因子を共有するため、これらがヒトにおいてALSを処置または予防するためにも有効であろうことが予想される。

0147

また、筋肉の量、機能および/または筋力に影響を与える、筋肉、中枢神経系および末梢神経系の他の先天性または後天性の疾患および障害も、それを必要としている対象に、本開示の抗体を含む組成物を投与することによって処置または予防し得る。

0148

また、本開示は、代謝障害の処置を必要としている患者に、抗GDF−8抗体を含む組成物を投与することによる、代謝障害を処置および予防する方法も提供する。これらの実施形態のうちの特定のものでは、抗体は、OGD1.0.0、またはそのGDF−8結合断片もしくは誘導体である。

0149

本開示の抗体を投与することによって処置または予防することができる代謝障害の非限定的な例には、2型真性糖尿病、X症候群などの代謝症候群、インスリン抵抗性、および耐糖能異常が含まれる。

0150

他の実施形態では、本開示は、そのような障害の処置を必要としている患者に、抗GDF−8抗体を含む組成物を投与することによる、脂肪組織障害を処置および予防する方法を提供する。これらの実施形態のうちの特定のものでは、抗体は、OGD1.0.0、またはそのGDF−8結合断片もしくは誘導体である。

0151

本開示の抗体を投与することによって処置または予防することができる脂肪組織障害の非限定的な例には、肥満ならびに特定の対象の性別、年齢および身長には正常よりも高い体重指数(BMI)が含まれる。

0152

他の実施形態では、本開示は、そのような障害の処置を必要としている患者に、抗GDF−8抗体を含む組成物を投与することによる、骨減少障害を処置および予防する方法を提供する。これらの実施形態のうちの特定のものでは、抗体は、OGD1.0.0、またはそのGDF−8結合断片もしくは誘導体である。

0153

本開示の抗体を投与することによって処置または予防することができる骨減少障害の非限定的な例には、骨粗鬆症、ホルモン関連骨粗鬆症、骨減少症、骨関節炎、および骨粗鬆症関連の骨折が含まれる。

0154

組合せ療法
本開示のこの方法の特定の実施形態によれば、抗GDF−8抗体は、単独療法として組成物中で、または少なくとも第2の治療剤との組合せ療法として投与することができる。すべての事例ではないが、典型的には、第2の治療剤は、抗GDF−8抗体によって標的とされるものと同じ状態または障害を処置または予防するために選択する。他の実施形態では、しかし、第2の薬剤は、異なる状態または障害を処置または予防するために選択することができる。組合せ療法において使用するための抗体および第2の治療剤の用量は、有効性最大限にし、副作用を最小限にするために、当分野の技術者の知識に従って選択される。

0155

本開示の抗GDF−8抗体組成物は、第2の治療剤と同じまたは異なる投与様式で対象に投与することができる。抗GDF−8抗体および第2の治療剤の化学的および物理的特徴に応じて、これらを同じ組成物中で一緒に組み合わせてもよい。代替実施形態では、これらを別々の組成物として投与する。抗体および第2の治療剤の組成物は、本開示によるキット中に好都合に含めることができる。

0156

組合せ療法として投与する場合、抗体および第2の治療剤は、同時に、逐次に、または別個に投与し得る。

0157

同時投与は、2つ以上の薬剤を同時に投与した場合に起こり、それぞれの投与は重複するが、異なる時点で開始または終了する場合でもそうである。逐次投与は、2つ以上の薬剤を同じ日に、たとえば同じ外来日中であるが同時ではないように対象に投与した場合に起こる。

0158

逐次投与は、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間またはそれより長い間隔で起こり得る。抗GDF−8抗体組成物を最初に投与し、続いて第2の薬剤を投与し得るか、またはその逆も可能である。

0159

別個投与は、薬剤を異なる日に対象に投与した場合に起こる。薬剤の別個投与間の例示的な間隔は、1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、1週間、2週間、3週間もしくは1カ月間またはそれより長くてもよい。逐次投与と同様、抗GDF−8抗体組成物の投与は、第2の薬剤の別個の投与の前または後であることができる。

0160

本開示の特定の他の実施形態では、抗GDF−8抗体組成物および第2の治療剤は、逐次または別個に投与するかにかかわらず、交互のパターンで繰り返して投与することができる。

0161

代謝障害を処置または予防する方法では、本開示の抗GDF−8抗体を、そのような障害を処置または予防するために有効な第2の薬剤と組み合わせることができる。この目的のために有効な第2の薬剤の非限定的な例には、メトホルミンスルホニル尿素インスリンプラムリンチドロシグリタゾンおよびピオグリタゾンなどのチアゾリジンジオンエクセナチドなどのGLP−1類似体、ならびにビルダグリプチンなどのDPP−IV阻害剤が含まれる。

0162

骨減少障害を処置または予防する方法では、本開示の抗GDF−8抗体を、そのような障害を処置または予防するために有効な第2の薬剤と組み合わせることができる。この目的のために有効な第2の薬剤の非限定的な例には、アレンドロン酸塩およびリセドロン酸塩などのビスホスホネートカルシトニンラロキシフェン、ならびにエストロゲンまたは副甲状腺ホルモンPTH)などのホルモン剤が含まれる。

0163

筋ジストロフィーを処置または予防する方法では、本開示の抗GDF−8抗体を、コルチコステロイドなどの、筋ジストロフィーを処置または予防するために有効な第2の薬剤と組み合わせることができる。筋ジストロフィーを処置または予防するために有効な他の薬剤は当分野で知られている。筋ジストロフィーを処置するために有効なコルチコステロイドの非限定的な例には、メチルプレドニゾロンデフラザコート、ベータメタゾンプレドニゾロンヒドロコルチゾンコルチゾンベクロメタゾンブデソニドコルチゾールデキサメタゾンフルチカゾン、プレドニゾン、モメタゾントリアムシノロン、およびその誘導体が含まれる。他の実施形態では、抗GDF−8抗体は、DMD患者、特に高齢のDMD患者においてしばしば起こる心筋症を処置するための薬剤と共に投与することができる。そのような薬剤には、必ずしもそれだけには限定されないが、ベータアドレナリン作動性遮断剤およびアンジオテンシン変換酵素阻害剤が含まれる。

0164

ALSを処置または予防する方法では、本開示の抗GDF−8抗体を、必ずしもそれだけには限定されないが、リルゾールタラパネルグリコピロレートベンズトロピンスコポラミンアトロピン塩酸トリヘキシフェニジルアミトリプチリンフルボキサミンバクロフェンチザニジンダントロレンジアゼパムキニーネフェニトインベンゾジアゼピンガバペンチン、抗攣縮剤、抗鬱剤、またはモルヒネもしくは他の鎮痛剤を含めた、ALSを処置または予防するために有効な第2の薬剤と組み合わせることができる。

0165

さらに他の実施形態によれば、本開示の抗GDF−8抗体を含む組成物は、限定ではなく、例として、運動理学療法呼吸療法、呼吸支援、心臓病治療法、および栄養サプリメントを含めた非薬物ベースの療法と共に投与することができる。

0166

有効用量
上述のように、本開示の抗GDF−8抗体を含む組成物は、特定の状態または障害の処置または予防を必要としている対象に、所望の治療上の利点を少なくとも部分的に達成するために有効な用量で投与し得る。

0167

すべてのGDF−8と結合することは、治療上の有効性を達成するために必ずしも必要ではない。むしろ、血液または血清などの体液内、あるいは筋肉または他の体組織もしくは器官などの体組織内の成熟した活性GDF−8の濃度を低下させることも有効であり得る。

0168

当分野の技術者の知識に従って、投与の事前に決定された時間後での目的の組織または体液中の活性GDF−8濃度を、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%、または約5%〜10%、約10%〜45%、約15%〜20%、約20%〜25%、約25%〜30%、約30%〜35%、約35%〜40%、約40%〜45%、約45%〜50%、約50%〜55%、約55%〜60%、約60%〜65%、約65%〜70%、約70%〜75%、約75%〜80%、約80%〜85%、約85%〜90%、約90%〜95%、約95%〜99%、または前述の値のうちのいずれかの間の範囲の、活性GDF−8濃度のパーセンテージ低下だけ低下させるために、抗GDF−8抗体組成物の用量を患者において滴定することができる。

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

  • 株式会社堀場製作所の「 エクソソーム表面分子を特定する方法」が 公開されました。( 2020/10/29)

    【課題・解決手段】本発明はエクソソーム表面分子に対する結合性分子が固相化された担体をカゼイン溶液またはカゼイン分解物溶液でブロックおよび洗浄すること、ならびに該担体とエクソソームを含む被験試料の接触前... 詳細

  • 株式会社資生堂の「 レチノイドの副作用に対する感受性の決定方法」が 公開されました。( 2020/10/29)

    【課題・解決手段】SNP解析により遺伝要素に基づいて対象のレチノイドの副作用に対する感受性を決定する方法、レチノイドの副作用に対する感受性を決定するコンピュータ、及び当該コンピュータを制御するプログラ... 詳細

  • 公立大学法人福島県立医科大学の「 大腸がんの予後バイオマーカー」が 公開されました。( 2020/10/29)

    【課題・解決手段】大腸がん患者の予後を予測するための、及び/又は大腸がん患者に対する抗がん剤の有効性を判定するためのバイオマーカーを提供する。GALNT6タンパク質若しくはそのペプチド断片、又はGAL... 詳細

この 技術と関連性が強い技術

関連性が強い 技術一覧

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ