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図面 (5)

課題

PBCの治療に有用な、新たな治療剤を提供すること。

解決手段

本発明は、治療に有効な量の(R)−2−[3−[[N−(ベンズオキサゾール−2−イル)−N−3−(4−メトキシフェノキシプロピルアミノメチルフェノキシ酪酸、その塩、またはそれらの溶媒和物を含む、原発性胆汁性肝硬変(PBC)を治療するための医薬組成物に関する。

概要

背景

原発性胆汁性肝硬変(Primary biliary cirrhosis:PBC)は、慢性進行性胆汁うっ滞性肝疾患であり、慢性的胆汁うっ滞に伴い肝実質細胞破壊線維化を生じる。症状が進行すると、最終的に、肝硬変肝不全などの重篤転帰に至ることがある(非特許文献1〜3)。PBCは女性に好発する希少疾患であるが(有病率は10万人あたり、およそ1〜40人)、その罹患率は年々増加傾向にある(非特許文献4および5)。また、現在、疾患名を「原発性胆汁胆管炎」(Primary biliary cholangitis:PBC)に変更するべく議論が進められている(非特許文献26)。

PBCの病態形成は、自己免疫学的機序によると考えられており、PBC患者のおよそ95%において自己抗体である抗ミトコンドリア抗体(Anti-mitochondrial antibody: AMA)が検出される(非特許文献6)。また、PBC患者の主な生化学検査所見の特徴として、アルカリフォスファターゼ(Alkaline Phosphatase:ALP)の高値があげられる(非特許文献6)。PBC患者の多くは、臨床症状を認めず、AMA陽性やALP高値等の検査値異常に基づいて診断される。PBC患者の代表的な臨床症状は、疲労および掻痒感であり、これら症状はPBC患者のQOLを著しく損ねる(非特許文献1、2、7、および8)。臨床上、掻痒感等の肝障害に基づく自他覚症状を有する場合は症候性PBC(symptomatic PBC: sPBC)と呼ばれ、そのような症状を欠く場合は無症候性PBC(asymptomatic PBC: aPBC)と呼ばれる。

PBCの治療は、根本的な治療法確立しておらず、対症療法が中心となる。疾患が進行すると、最終的に肝移植が行われる。PBC治療の第一選択薬として、ウルソデオキシコール酸(ursodeoxycholic acid: UDCA)が広く用いられているが、約40%の患者はウルソデオキシコール酸による効果が十分に認められない(非特許文献9)。最近(2016年)、FXRアゴニストであるオベチコール酸(obeticholic acid)が米国においてPBC治療剤として承認されたが、オベチコール酸による治療は、掻痒感の発現を増加させる等、安全性に懸念がある(非特許文献10)。また、高脂血症治療剤として使用されているPPARαアゴニストであるフィブラート系薬物(フェノフィブラートおよびベザフィブラート)がPBCの治療に有用であることが複数の臨床試験の結果から示唆されているが、いずれの国においてもPBCの治療剤として承認されていない(非特許文献11〜23)。このように、現在まで、PBCの治療剤は十分に存在するとは言えず、有効かつ安全な新たな治療剤が望まれている。

近年、約5000例のPBC患者を対象として臨床転帰死亡や肝移植)とバイオマーカーの関係を調査した研究結果から、ALPおよび総ビリルビンの低下は、PBC患者が肝移植をせずに生存可能な期間(transplant-free survival times)と強く関連することが報告され、PBC治療の予後を予測するバイオマーカーとして、ALPおよび総ビリルビンが有用であることが明らかとなった(非特許文献24)。したがって、ALPおよび総ビリルビンを低下させる化合物は、PBCの治療剤として有用と考えられる。

一方、特許文献1には、次式(1):

(式中、R1及びR2は同一又は異なって水素原子メチル基又はエチル基を示し;R3a、R3b、R4a及びR4bは同一又は異なって水素原子、ハロゲン原子ニトロ基水酸基、C1-4アルキル基トリフルオロメチル基、C1-4アルコキシ基、C1-4アルキルカルボニルオキシ基、ジ−C1-4アルキルアミノ基、C1-4アルキルスルフォニルオキシ基、C1-4アルキルスルフォニル基、C1-4アルキルスルフィニル基、又はC1-4アルキルチオ基を示すか、R3aとR3bあるいはR4aとR4bが結合してアルキレンジオキシ基を示し;Xは酸素原子硫黄原子又はN−R5(R5は水素原子、C1-4アルキル基、C1-4アルキルスルフォニル基、C1-4アルキルオキシカルボニル基を示す。)を示し;Yは酸素原子、S(O)l基(lは0〜2の数を示す。)、カルボニル基カルボニルアミノ基アミノカルボニル基スルフォニルアミノ基、アミノスルフォニル基、又はNH基を示し;ZはCH又はNを示し;nは1〜6の数を示し;mは2〜6の数を示す。)
で表される化合物、これらの塩又はこれらの溶媒和物が、選択的なPPARα活性化作用を有しており、ヒトを含む哺乳類における体重増加肥満を伴わない、高脂血症動脈硬化症糖尿病糖尿病合併症糖尿病性腎症等)、炎症、心疾患等の予防及び/又は治療薬として有用であることが開示されている。
しかしながら、これらの化合物がPBCに対してどのような作用をするかについては記載も示唆もない。

概要

PBCの治療に有用な、新たな治療剤を提供すること。 本発明は、治療に有効な量の(R)−2−[3−[[N−(ベンズオキサゾール−2−イル)−N−3−(4−メトキシフェノキシプロピルアミノメチルフェノキシ酪酸、その塩、またはそれらの溶媒和物を含む、原発性胆汁性肝硬変(PBC)を治療するための医薬組成物に関する。なし

目的

このように、現在まで、PBCの治療剤は十分に存在するとは言えず、有効かつ安全な新たな治療剤が望まれている

効果

実績

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請求項1

治療に有効な量の(R)−2−[3−[[N−(ベンズオキサゾール−2−イル)−N−3−(4−メトキシフェノキシプロピルアミノメチルフェノキシ酪酸、その塩、またはそれらの溶媒和物を含む、原発性胆汁性肝硬変を治療するための医薬組成物

請求項2

治療に有効な量のウルソデオキシコール酸をさらに含む、請求項1に記載の医薬組成物。

請求項3

(R)−2−[3−[[N−(ベンズオキサゾール−2−イル)−N−3−(4−メトキシフェノキシ)プロピル]アミノメチル]フェノキシ]酪酸、その塩、またはそれらの溶媒和物を有効成分とする、アルカリフォスファターゼ低下剤

請求項4

(R)−2−[3−[[N−(ベンズオキサゾール−2−イル)−N−3−(4−メトキシフェノキシ)プロピル]アミノメチル]フェノキシ]酪酸、その塩、またはそれらの溶媒和物を有効成分とする、総ビリルビン低下剤。

技術分野

0001

本発明は、原発性胆汁性肝硬変(Primary biliary cirrhosis:PBC)の治療に関する。

背景技術

0002

原発性胆汁性肝硬変(Primary biliary cirrhosis:PBC)は、慢性進行性胆汁うっ滞性肝疾患であり、慢性的胆汁うっ滞に伴い肝実質細胞破壊線維化を生じる。症状が進行すると、最終的に、肝硬変肝不全などの重篤転帰に至ることがある(非特許文献1〜3)。PBCは女性に好発する希少疾患であるが(有病率は10万人あたり、およそ1〜40人)、その罹患率は年々増加傾向にある(非特許文献4および5)。また、現在、疾患名を「原発性胆汁胆管炎」(Primary biliary cholangitis:PBC)に変更するべく議論が進められている(非特許文献26)。

0003

PBCの病態形成は、自己免疫学的機序によると考えられており、PBC患者のおよそ95%において自己抗体である抗ミトコンドリア抗体(Anti-mitochondrial antibody: AMA)が検出される(非特許文献6)。また、PBC患者の主な生化学検査所見の特徴として、アルカリフォスファターゼ(Alkaline Phosphatase:ALP)の高値があげられる(非特許文献6)。PBC患者の多くは、臨床症状を認めず、AMA陽性やALP高値等の検査値異常に基づいて診断される。PBC患者の代表的な臨床症状は、疲労および掻痒感であり、これら症状はPBC患者のQOLを著しく損ねる(非特許文献1、2、7、および8)。臨床上、掻痒感等の肝障害に基づく自他覚症状を有する場合は症候性PBC(symptomatic PBC: sPBC)と呼ばれ、そのような症状を欠く場合は無症候性PBC(asymptomatic PBC: aPBC)と呼ばれる。

0004

PBCの治療は、根本的な治療法確立しておらず、対症療法が中心となる。疾患が進行すると、最終的に肝移植が行われる。PBC治療の第一選択薬として、ウルソデオキシコール酸(ursodeoxycholic acid: UDCA)が広く用いられているが、約40%の患者はウルソデオキシコール酸による効果が十分に認められない(非特許文献9)。最近(2016年)、FXRアゴニストであるオベチコール酸(obeticholic acid)が米国においてPBC治療剤として承認されたが、オベチコール酸による治療は、掻痒感の発現を増加させる等、安全性に懸念がある(非特許文献10)。また、高脂血症治療剤として使用されているPPARαアゴニストであるフィブラート系薬物(フェノフィブラートおよびベザフィブラート)がPBCの治療に有用であることが複数の臨床試験の結果から示唆されているが、いずれの国においてもPBCの治療剤として承認されていない(非特許文献11〜23)。このように、現在まで、PBCの治療剤は十分に存在するとは言えず、有効かつ安全な新たな治療剤が望まれている。

0005

近年、約5000例のPBC患者を対象として臨床転帰死亡や肝移植)とバイオマーカーの関係を調査した研究結果から、ALPおよび総ビリルビンの低下は、PBC患者が肝移植をせずに生存可能な期間(transplant-free survival times)と強く関連することが報告され、PBC治療の予後を予測するバイオマーカーとして、ALPおよび総ビリルビンが有用であることが明らかとなった(非特許文献24)。したがって、ALPおよび総ビリルビンを低下させる化合物は、PBCの治療剤として有用と考えられる。

0006

一方、特許文献1には、次式(1):

0007

0008

(式中、R1及びR2は同一又は異なって水素原子メチル基又はエチル基を示し;R3a、R3b、R4a及びR4bは同一又は異なって水素原子、ハロゲン原子ニトロ基水酸基、C1-4アルキル基トリフルオロメチル基、C1-4アルコキシ基、C1-4アルキルカルボニルオキシ基、ジ−C1-4アルキルアミノ基、C1-4アルキルスルフォニルオキシ基、C1-4アルキルスルフォニル基、C1-4アルキルスルフィニル基、又はC1-4アルキルチオ基を示すか、R3aとR3bあるいはR4aとR4bが結合してアルキレンジオキシ基を示し;Xは酸素原子硫黄原子又はN−R5(R5は水素原子、C1-4アルキル基、C1-4アルキルスルフォニル基、C1-4アルキルオキシカルボニル基を示す。)を示し;Yは酸素原子、S(O)l基(lは0〜2の数を示す。)、カルボニル基カルボニルアミノ基アミノカルボニル基スルフォニルアミノ基、アミノスルフォニル基、又はNH基を示し;ZはCH又はNを示し;nは1〜6の数を示し;mは2〜6の数を示す。)
で表される化合物、これらの塩又はこれらの溶媒和物が、選択的なPPARα活性化作用を有しており、ヒトを含む哺乳類における体重増加肥満を伴わない、高脂血症動脈硬化症糖尿病糖尿病合併症糖尿病性腎症等)、炎症、心疾患等の予防及び/又は治療薬として有用であることが開示されている。
しかしながら、これらの化合物がPBCに対してどのような作用をするかについては記載も示唆もない。

0009

国際公開第2005/023777号

先行技術

0010

Selmi C, et al; Lancet. 2011;377(9777):1600-1609.
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原発性胆汁性肝硬変(PBC)の診療ガイド厚生労働省難治性の肝・胆道疾患に関する調査研究」班編集第1版
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Keith D. Lindor, et al;HEPATOLOGY, Vol. 50, No. 1, 2009; 291-308
「リピディル(登録商標)錠」添付文書.2017年2月改訂(第6版)
「ベザトール(登録商標)SR 錠」添付文書.2017年1月改訂(第14版)
パルディア(登録商標)錠」添付文書.2017年7月作成(第1版)
Nisanne S. Ghonem, et al; Hepatology 2015; 62: 635-43

発明が解決しようとする課題

0011

本発明の目的は、PBCの治療に有用な、新たな治療剤を提供することにある。

課題を解決するための手段

0012

上記目的を達成するため、本発明者らが鋭意検討を行ったところ、全く意外にも前記特許文献1で実施例85として開示されている化合物、すなわち(R)−2−[3−[[N−(ベンズオキサゾール−2−イル)−N−3−(4−メトキシフェノキシプロピルアミノメチルフェノキシ酪酸(以下、「化合物A」または「ペマフブラート」と称する場合がある。)が、ALPおよび総ビリルビンを低下させ、PBCの治療に有用であることを見出し、本発明を完成した。

0013

すなわち、本発明は、以下の[1]〜[12]を提供する。
[1]治療に有効な量の(R)−2−[3−[[N−(ベンズオキサゾール−2−イル)−N−3−(4−メトキシフェノキシ)プロピル]アミノメチル]フェノキシ]酪酸、その塩、またはそれらの溶媒和物を含む、原発性胆汁性肝硬変を治療するための医薬組成物
[2]治療に有効な量のウルソデオキシコール酸をさらに含む、[1]に記載の医薬組成物。
[3](R)−2−[3−[[N−(ベンズオキサゾール−2−イル)−N−3−(4−メトキシフェノキシ)プロピル]アミノメチル]フェノキシ]酪酸、その塩、またはそれらの溶媒和物を有効成分とする、原発性胆汁性肝硬変の治療剤。
[4]有効成分として、ウルソデオキシコール酸をさらに含む、[3]に記載の治療剤。
[5](R)−2−[3−[[N−(ベンズオキサゾール−2−イル)−N−3−(4−メトキシフェノキシ)プロピル]アミノメチル]フェノキシ]酪酸、その塩、またはそれらの溶媒和物を、それを必要とする患者に投与する、原発性胆汁性肝硬変の治療方法
[6]ウルソデオキシコール酸を投与することをさらに含む、[5]に記載の治療方法。
[7]原発性胆汁性肝硬変を治療するための、(R)−2−[3−[[N−(ベンズオキサゾール−2−イル)−N−3−(4−メトキシフェノキシ)プロピル]アミノメチル]フェノキシ]酪酸、その塩、またはそれらの溶媒和物の使用。
[8]ウルソデオキシコール酸と組み合わせた、[7]に記載の使用。
[9]原発性胆汁性肝硬変を治療するための医薬組成物を製造するための、(R)−2−[3−[[N−(ベンズオキサゾール−2−イル)−N−3−(4−メトキシフェノキシ)プロピル]アミノメチル]フェノキシ]酪酸、その塩、またはそれらの溶媒和物の使用。
[10]ウルソデオキシコール酸と組み合わせて原発性胆汁性肝硬変を治療するための医薬組成物を製造するための、(R)−2−[3−[[N−(ベンズオキサゾール−2−イル)−N−3−(4−メトキシフェノキシ)プロピル]アミノメチル]フェノキシ]酪酸、その塩、またはそれらの溶媒和物の使用。
[11](R)−2−[3−[[N−(ベンズオキサゾール−2−イル)−N−3−(4−メトキシフェノキシ)プロピル]アミノメチル]フェノキシ]酪酸、その塩、またはそれらの溶媒和物を有効成分とする、アルカリフォスファターゼ低下剤
[12](R)−2−[3−[[N−(ベンズオキサゾール−2−イル)−N−3−(4−メトキシフェノキシ)プロピル]アミノメチル]フェノキシ]酪酸、その塩、またはそれらの溶媒和物を有効成分とする、総ビリルビン低下剤。

発明の効果

0014

本発明は、PBCの治療に有用な、新たな治療剤を提供する。本発明に従うと、現在の治療剤では効果が十分に認められないPBC患者および現在の治療剤を使用することが困難なPBC患者に対して、新たな治療の選択肢を提供することが可能となる。

図面の簡単な説明

0015

図1は、TG高値を示す脂質異常症患者に対して、化合物A(1日あたり0.05〜0.4 mg)、フェノフィブラート(1日あたり100〜200 mg)、またはプラセボを投与した時のALPの変化率を示す。
図2は、TG高値を示す脂質異常症患者に対して、化合物A(1日あたり0.05〜0.4 mg)、フェノフィブラート(1日あたり100〜200 mg)、またはプラセボを投与した時の総ビリルビンの変化率を示す。
図3は、TG高値を示す脂質異常症患者であってUDCAで治療中の患者に対して、化合物A(1日あたり0.05〜0.4 mg)またはプラセボを投与した時のALPの変化率を示す。
図4は、TG高値を示す脂質異常症患者であってUDCAで治療中の患者に対して、化合物A(1日あたり0.05〜0.4 mg)またはプラセボを投与した時の総ビリルビンの変化率を示す。
図5は、SDラットに対して、1日1回、溶媒(0.5% MC)、化合物A(1mg/kg)、またはフェノフィブラート(100mg/kg)を1週間投与した後の、肝臓における遺伝子(Cpt1aおよびCyp7a1)の発現量を測定した結果を示す。

0016

本発明に用いる(R)−2−[3−[[N−(ベンズオキサゾール−2−イル)−N−3−(4−メトキシフェノキシ)プロピル]アミノメチル]フェノキシ]酪酸(化合物A)は、以下の化学式(A):

0017

0018

によって示される。当該化合物は、例えば、国際公開第2005/023777号パンフレット等に記載の方法に従って製造することができる。また、文献に記載の方法に準じて製剤化することもできる。

0019

また、本発明の一実施態様において、化合物Aの塩または溶媒和物を用いることもできる。塩及び溶媒物は常法により、製造することができる。化合物Aの塩としては、薬学的に許容できるものであれば特に制限はないが、例えば、ナトリウム塩カリウム塩等のアルカリ金属塩カルシウム塩マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩アンモニウム塩トリアルキルアミン塩等の有機塩基塩;塩酸塩硫酸塩等の鉱酸塩酢酸塩等の有機酸塩等が挙げられる。化合物A、若しくはその塩の溶媒和物としては、水和物、アルコール和物(例えば、エタノール和物)等が挙げられる。

0020

PPARα活性化作用を有するフィブラート系薬物のうち、フェノフィブラートおよびベザフィブラートはPBCの治療に有用であることが複数の臨床試験の結果から示唆されているところ、これらの排泄経路腎臓であることが知られている(非特許文献29および30)。一方、ペマフィブラート(化合物A)は、ほとんどから排泄されず、主に肝臓で代謝される(非特許文献31)。

0021

本発明の一態様において、PBC患者に、治療に有効な量の化合物A、その塩、またはそれらの溶媒和物を含む医薬組成物を投与することによって、PBCを治療することができる。

0022

PBCの診断は、黄疸の有無に関わらず、以下の3つの項目
(1)胆汁うっ滞所見、すなわち胆道酵素であるALP・γ−GTPが上昇していること
(2)抗ミトコンドリア抗体(AMA)陽性所見間接蛍光抗体法またはELISA法による)
(3)組織学的に慢性非化膿性破壊性胆管炎(CNSDC)を含む特徴的所見(肝生検による)
を基本とする。実地診療では肝生検は必須ではなく、以下の項目;
(1)胆道系酵素(ALP・γ−GTP)の異常が持続的に認められること
(2)ウイルス、薬物、アルコール等、他の原因による胆汁うっ滞を除外できていること
(3)超音波、CT、またはMRIによる画像検査によって、胆外胆道閉塞を除外できていること
(4)AMAが陽性であること
が満たされればPBCと診断できるが、AMAが陰性である場合には
(5)肝生検にてPBCに典型的あるいは矛盾しない所見を呈していること
が重要である。日本、欧州、および米国の診療ガイドラインを参照すると、基本的には、ALPの上昇とAMA陽性の所見によって、PBCと診断され得る(非特許文献25、27、および28参照)。

0023

本明細書において、特に明示している場合を除き、「PBC」とは、肝障害に基づく自他覚症状を有する症候性PBC(symptomatic PBC: sPBC)およびそのような症状を欠く無症候性PBC(asymptomatic PBC: aPBC)のいずれも意味する。

0024

本明細書において、「PBCの治療」とは、ALPおよび/若しくは総ビリルビンを低下させて正常値に近付けること、PBCの代表的な臨床症状である皮膚掻痒感および/若しくは疲労を緩和すること、無症候性PBC(aPBC)から症候性PBC(sPBC)への移行遅延させる若しくは防ぐこと、または、肝硬変や肝不全への進行を遅延させる若しくは防ぐことからなる群から選択される一つまたは複数を言う。

0025

ALPおよび総ビリルビンは、当業者であれば、適宜、測定することができる。

0026

ALPの正常値は、JSCC標準化対応法で測定した場合に100〜325 IU/Lとされているところ、PBC診断時、PBC患者の約80%で異常高値を示していることが知られており、正常値の3倍以上の数値を示すこともある。本発明の一実施態様において、PBC患者に化合物A、その塩、またはそれらの溶媒和物を投与することによって、当該患者におけるALPの血中濃度を低下させて、PBCを治療することができる。本発明に従うと、PBC患者において、ALPを、例えば、正常値の2.5倍、2倍、1.8倍、1.5倍、1.2倍、1.1倍、または1.0倍の値以下に低下させることができ、また、限定するものではないが、例えば、ALPの基準値上限の1.67倍未満とすることができる。または、PBC患者において、ALPを、例えば、診断時の値から10%、15%、20%、25%、30%、50%、または75%低下させることができる。

0027

また、一般に、総ビリルビンの正常値は0.2〜1.2 mg/dLとされているところ、PBC患者においては、胆管消失に伴う胆汁うっ滞の進行および肝細胞機能低下により上昇することが知られている。本発明の一実施態様において、PBC患者に化合物A、その塩、またはそれらの溶媒和物を投与することによって、当該患者における総ビリルビンの血中濃度が上昇するのを防いで、PBCを治療することができる。本発明に従うと、PBC患者において、総ビリルビンの上昇を、例えば、1.5 mg/dL、1.75 mg/dL、2.0 mg/dL、2.5 mg/dL、3.0 mg/dL、または4.0 mg/dL以下に抑えることができる。または、PBC患者において、総ビリルビンを、例えば、投与前の値から10%、15%、20%、25%、30%、50%、または75%低下させることができる。

0028

本発明の一態様において、PBC患者に化合物A、その塩、またはそれらの溶媒和物を投与することによって、皮膚掻痒感および/または疲労を緩和することができる。皮膚掻痒感は、多くのPBC患者において最初に現れる症状であり、原因の一つとして胆汁うっ滞による胆汁酸の増加の関与が考えられているが、詳細な原因は不明である。一方、疲労症状は日本ではあまり注目されていないが、欧米ではPBCの最も一般的な症状と考えられている。本発明に従うと、皮膚掻痒感および/または疲労を緩和することができるので、PBC患者のQOLを向上させ得る。PBC患者における皮膚掻痒感および疲労は、疾患特異的QOL評価尺度であるPBC-27またはPBC-40を用いて評価することが可能である。

0029

無症候性PBC(aPBC)患者の一部は、症候性PBC(sPBC)へ移行することが知られている。ここで、aPBCとsPBCとは、肝障害に基づく自他覚症状の有無によって区分され、当該自他覚症状としては、例えば、皮膚掻痒感、黄疸、食道動脈瘤腹水肝性脳症等が挙げられる。本発明の一態様において、PBC患者に化合物A、その塩、またはそれらの溶媒和物を投与することによって、aPBCからsPBCへの移行を遅延させるまたは防ぐことができる。すなわち、本発明に従うと、aPBC患者において、皮膚掻痒感、黄疸、食道動脈瘤、腹水、肝性脳症等の自他覚症状の発現を、遅延させるまたは抑制することができる。

0030

PBCは進行すると、肝硬変や肝不全を呈し、最終的な治療として肝移植が行われる。本発明の一態様において、PBC患者に化合物A、その塩、またはそれらの溶媒和物を投与することによって、肝機能を改善させて、肝硬変や肝不全への進行を遅延させるまたは防ぐことができる。したがって、本発明の一態様において、PBC患者に化合物A、その塩、またはそれらの溶媒和物を投与することによって、当該患者の肝移植をせずに生存可能な期間(transplant-free survival times)を延長し、肝移植を回避させ得る。

0031

本発明の一態様において、化合物A、その塩、またはそれらの溶媒和物を、PBCの第一選択薬であるウルソデオキシコール酸と併用してもよい。具体的には、ウルソデオキシコール酸(UDCA)を投与しても改善が見られないUDCA抵抗性のPBC患者に対し、UDCAに替えてまたはUDCAに併用して、化合物A、その塩、またはそれらの溶媒和物を投与することができる。化合物A、その塩、またはそれらの溶媒和物とUDCAとを併用する場合には、PBC患者に対し、それぞれを単独に投与してもよいし、両成分を含有する医薬組成物等を用いて同時に投与してもよい。それぞれを単独に投与する場合は、どちらを先に投与しても構わない。

0032

本発明の一態様において、化合物A、その塩、またはそれらの溶媒和物を含む医薬組成物は、他の薬学的に許容される担体を用いて、錠剤カプセル剤顆粒剤粉末剤ローション剤軟膏剤注射剤坐剤等の剤型とすることができる。これらの製剤は、公知の方法で製造することができる。

0033

本発明の一態様において、化合物A、その塩、またはそれらの溶媒和物は、経口投与または非経口投与により投与され得るが、経口投与が好ましい。また、化合物A、その塩、またはそれらの溶媒和物の治療に有効な量および投与回数は、患者の体重、年齢性別、症状等によって異なるが、当業者であれば適宜設定できる。例えば、通常成人の場合、化合物Aとして一日あたり0.05〜0.8 mgを1〜3回に分けて投与することができ、好ましくは一日あたり0.2〜0.4 mgを1〜2回に分けて、より好ましくは一日あたり0.1〜0.8 mgを1回または2回に分けて投与する。

0034

本明細書において明示的に引用される全ての特許および参考文献の内容は全て参照として本明細書に組み込まれる。また、本出願が有する優先権主張の基礎となる出願である日本特許出願2016-164559号(2016年8月25日出願)および国際出願PCT/JP2017/006982(2017年2月24日出願)の明細書および図面に記載の内容は全て参照として本明細書に組み込まれる。

0035

以下、実施例をもって本発明をさらに詳しく説明するが、これらの実施例は本発明を制限するものではない。

0036

実施例1:化合物AのALPおよび総ビリルビンに対する作用の検討
トリグリセリド(TG)高値を示す脂質異常症患者を対象として実施した化合物Aの臨床試験(投与期間が12週以上の、8つの試験)で得られたデータ(合計1965例)を用いて、化合物AのALPおよび総ビリルビンに対する作用を検討した。化合物A群には、化合物Aを1日あたり0.05〜0.4 mgを投与した。また、対照群にはプラセボまたはフェノフィブラート(1日あたり100〜200 mg)を投与した。化合物A群および対照群に、それぞれの化合物を12週間投与し、投与前後のALPの変化を表1及び図1に、総ビリルビン値の変化を表2及び図2に示した。なお、群間の比較は、ベースライン値を共変量とした共分散分析を用いて検討した。

0037

0038

0039

表1および2ならびに図1および2に示すように、化合物Aは、プラセボと比較して用量依存的にALPおよび総ビリルビンを低下させることが確認された。さらに、化合物A群と、PBCの治療への有用性が示唆されているフェノフィブラートを投与した対照群とを比較すると、化合物Aは0.1 mg/日以上の用量において、フェノフィブラートの臨床最大用量(1日あたり200 mg)よりも強力にALPを低下させることが明らかとなった。したがって、化合物Aは、PBCの治療剤として有用であることがわかった。

0040

実施例2:ウルソデオキシコール酸で治療中の患者における化合物AのALPおよび総ビリルビンに対する作用の検討
TG高値を示す脂質異常症患者を対象として実施した化合物Aの臨床試験(投与期間が12週以上の、8つの試験)で得られたデータからウルソデオキシコール酸で治療中の患者(合計15例)のデータを抽出し、化合物AのALPおよび総ビリルビンに対する作用を検討した。化合物A群には、化合物Aを1日あたり0.05〜0.4 mgを投与した。また、対照群にはプラセボを投与した。化合物A群および対照群に、それぞれの化合物を12週間投与し、投与前後のALPの変化を表3及び図3に、総ビリルビン値の変化を表4及び図4に示した。なお、群間の比較は、ベースライン値を共変量とした共分散分析を用いて検討した。

0041

0042

0043

表3および4ならびに図3および4に示すように、ウルソデオキシコール酸で治療中の患者において、化合物Aにより、ALP及び総ビリルビンが低下することが明らかとなった。したがって、化合物Aは、ウルソデオキシコール酸で治療中の患者に対してもPBCの治療剤として有用であることがわかった。

0044

以上、実施例1及び実施例2より、本発明の化合物Aは、PBC治療の予後を予測するバイオマーカーであるALPと総ビリルビンのいずれも低下させることから、本発明の化合物AがPBCの治療薬として極めて有用であることが明らかとなった。

0045

実施例3:フェノフィブラートと化合物Aがラットの肝臓におけるCpt1aとCyp7a1の遺伝子発現に及ぼす影響の検討
Cpt1aは代表的なPPARαの標的遺伝子であり、Cyp7a1は胆汁酸合成の律速酵素である。Ghonemらの報告(非特許文献32)には、PBC患者において胆汁酸が胆管内皮細胞傷害すること、および、フェノフィブラートの作用機序として、Cyp7a1の発現抑制を介した胆汁酸合成抑制作用が示されている。そこで、本実施例において、フェノフィブラートと化合物Aの効果を比較するために、ラットの肝臓におけるCpt1aとCyp7a1の遺伝子発現に及ぼすフェノフィブラートと化合物Aの影響について検討を行った。

0046

SDラット(チャールス・リバー、7週齢、雌)を実験に使用した。溶媒(0.5%メチルセルロース(MC)水溶液)、化合物A(1mg/kg)、またはフェノフィブラート(100mg/kg)を1日1回、午前中に経口投与した。ペントバルビタール麻酔下で開腹後、肝臓を摘出した。肝臓から、ISOGEN(登録商標)((株)ニッポンジーン)を用いてRNAを抽出し、発現している遺伝子(Cpt1aおよびCyp7a1)をqRT-PCR法により測定した。

0047

薬物を1週間投与した後の遺伝子発現量を測定した結果を、図5に示す。フェノフィブラートおよび化合物Aは、PPARαの標的遺伝子であるCpt1aの発現を、対照群と比較してそれぞれ13倍および4倍に増加させた。また、胆汁酸合成の律速酵素であるCyp7a1の発現は、対照群と比較してフェノフィブラート投与群で40%低下した。驚くべきことに、化合物A投与群では、対照群と比較してCyp7a1の発現が83%も低下し、フェノフィブラート投与群と比べても著明なCyp7a1発現低下が認められた。

実施例

0048

実施例3において得られた結果は、化合物Aが、PBCの治療に有用であることが示唆されている既存薬物に比べて著明な作用を発揮することを示す。

0049

本発明は、化合物AがALPおよび総ビリルビン低下作用を有していることを初めて見出したことに基づいて完成されたものであり、PBCを治療するための医薬として有用である。

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