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技術 ミシン

出願人 JUKI株式会社
発明者 安田俊介安西哲也
出願日 2017年9月25日 (2年7ヶ月経過) 出願番号 2017-183354
公開日 2019年4月18日 (1年0ヶ月経過) 公開番号 2019-058232
状態 未査定
技術分野 ミシン・縫製
主要キーワード 取り付け土台 主動歯車 設定速 動作伝達機構 摘み部材 ローラーアーム ローラー機構 押さえ棒
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2019年4月18日)のものです。
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図面 (18)

課題

被縫製物の取り扱いについて作業性の向上を図る。

解決手段

被縫製物Cを上から押さえ布押さえ71と、布押さえよりも送り方向下流側で被縫製物を送り方向下流側に送る先引きローラー21と、先引きローラーの回転駆動源である先引きモーター25と、縫製の動作を指示入力するペダル95と、ペダルの踏み込みに応じた動作を実行させる制御装置90とを備え、布押さえを昇降させる布押さえ昇降用アクチュエーター73と、先引きローラーを昇降させるローラー昇降用アクチュエーター24とを備え、制御装置は、ペダルの後側への一段階目の踏み込みにより布押さえを退避位置に上昇させ、二段階目の踏み込みにより先引きローラーを退避位置に上昇させる制御を行う。

概要

背景

針落ち位置において送り歯よりも送り方向下流側に配置された先引きローラーを備えるミシンがある。このミシンは、送り歯とは別に、独立した駆動源によって回転駆動する先引きローラーによって、搬送力を高めた状態で被縫製物の縫製を行っている(例えば、特許文献1参照)。

概要

被縫製物の取り扱いについて作業性の向上をる。被縫製物Cを上から押さえ布押さえ71と、布押さえよりも送り方向下流側で被縫製物を送り方向下流側に送る先引きローラー21と、先引きローラーの回転駆動源である先引きモーター25と、縫製の動作を指示入力するペダル95と、ペダルの踏み込みに応じた動作を実行させる制御装置90とを備え、布押さえを昇降させる布押さえ昇降用アクチュエーター73と、先引きローラーを昇降させるローラー昇降用アクチュエーター24とを備え、制御装置は、ペダルの後側への一段階目の踏み込みにより布押さえを退避位置に上昇させ、二段階目の踏み込みにより先引きローラーを退避位置に上昇させる制御を行う。

目的

本発明は、容易に被縫製物を取り除くことが可能なミシンを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

縫製の駆動源となるミシンモーターと、被縫製物を上から押さえ布押さえと、送り歯により被縫製物を所定の送り方向に送る布送り機構と、前記布押さえよりも送り方向下流側で前記被縫製物を送り方向下流側に送る先引きローラーと、前記先引きローラーの回転駆動源である先引きモーターと、縫製の動作を指示入力するペダルと、前記ペダルの踏み込みに応じた動作を実行させる制御装置とを備えるミシンにおいて、前記布押さえを昇降させる布押さえ昇降用アクチュエーターと、前記先引きローラーを昇降させるローラー昇降用アクチュエーターとを備え、前記ペダルは中立位置の前側と後側とに踏み込み可能であり、後側への踏み込み角度に応じて少なくとも二段階角度範囲が設定されており、前記制御装置は、前記ペダルの後側への一段階目の踏み込みにより前記布押さえを退避位置に上昇させ、二段階目の踏み込みにより前記先引きローラーを退避位置に上昇させる制御を行うことを特徴とするミシン。

請求項2

前記先引きローラーの送り方向下流側において空環を切断する空環カッターを備え、前記制御装置は、前記ペダルの後側への二段階目の踏み込みによる前記先引きローラーの上昇とともに、前記空環カッターによる切断動作を実行させる制御を行うことを特徴とする請求項1記載のミシン。

請求項3

前記制御装置は、前記ペダルの後側への二段階目の踏み込みによる前記先引きローラーの上昇の実行後、前記ペダルが中立位置に戻された場合、前記ミシンモーターを駆動しない状態で前記先引きローラーを下降させると同時に、前記先引きローラーを回転させて空環の送り動作を実行させる制御を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のミシン。

請求項4

前記布押さえの周囲で前記被縫製物の有無を検出する布検知部を備え、前記制御装置は、前記先引きローラーを下降させると同時に、前記先引きローラーを回転させて前記空環の送り動作を実行させる制御を、前記布検知部により前記被縫製物が検出されない場合に実行することを特徴とする請求項3に記載のミシン。

請求項5

前記先引きローラーの送り方向下流側において空環を切断する空環カッターを備え、前記制御装置は、前記ペダルの後側への二段階目の踏み込みによる前記先引きローラーの上昇後、前記先引きローラーを下降させてから前記空環カッターによる切断動作を実行させる制御を行うことを特徴とする請求項1記載のミシン。

請求項6

前記布押さえの周囲で前記被縫製物の有無を検出する布検知部を備え、前記制御装置は、主電源投入時に前記布検知部が前記被縫製物を検出した場合には、前記布押さえと前記先引きローラーを縫製時の基準押さえ圧となるように前記布押さえ昇降用アクチュエーター及び前記ローラー昇降用アクチュエーターを制御し、前記布検知部が前記被縫製物を検出しない場合には、前記布押さえと前記先引きローラーを前記縫製時の基準押さえ圧よりも小さい低減押さえ圧となるように前記布押さえ昇降用アクチュエーター及び前記ローラー昇降用アクチュエーターを制御することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のミシン。

請求項7

前記布押さえの周囲で前記被縫製物の有無を検出する布検知部を備え、前記制御装置は、縫製時に前記布検知部が前記被縫製物を検出した場合には、前記先引きローラーを縫製時の基準押さえ圧となるように前記ローラー昇降用アクチュエーターを制御し、前記布検知部が前記被縫製物を検出しない場合には、前記先引きローラーを前記縫製時の基準押さえ圧よりも小さい低減押さえ圧となるように前記ローラー昇降用アクチュエーターを制御することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のミシン。

請求項8

前記布押さえの周囲で前記被縫製物の有無を検出する布検知部を備え、前記制御装置は、縫製時に前記布検知部が前記被縫製物を検出した場合には、前記先引きローラーを縫製時の基準押さえ圧となるように前記ローラー昇降用アクチュエーターを制御し、前記布検知部が前記被縫製物を検出しない場合には、前記先引きローラーを前記縫製時の基準押さえ圧よりも強い押さえ圧となるように前記ローラー昇降用アクチュエーターを制御することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のミシン。

技術分野

0001

本発明は、布押さえに対して被縫製物送り方向下流側先引きローラーを備えるミシンに関する。

背景技術

0002

針落ち位置において送り歯よりも送り方向下流側に配置された先引きローラーを備えるミシンがある。このミシンは、送り歯とは別に、独立した駆動源によって回転駆動する先引きローラーによって、搬送力を高めた状態で被縫製物の縫製を行っている(例えば、特許文献1参照)。

先行技術

0003

特開2001−120870号公報

発明が解決しようとする課題

0004

上記ミシンは、縫い直し等の必要性から縫製途中で被縫製物を取り除く場合に、布押さえと先引きローラーの両方を上昇させる必要がある。
布押さえは、ミシンモーターを駆動させる操作ペダルの後踏み操作により上昇させることができるが、先引きローラーは操作ペダルとは別の操作手段を手動又はによって操作する必要があり、操作ペダルと操作手段とをそれぞれ個別に操作しながら被縫製物を取り除く作業を行わねばならず、この作業が非常に煩雑なものとなっていた。

0005

本発明は、容易に被縫製物を取り除くことが可能なミシンを提供することをその目的とする。

課題を解決するための手段

0006

請求項1記載の発明は、ミシンにおいて、
縫製の駆動源となるミシンモーターと、
被縫製物を上から押さえる布押さえと、
送り歯により被縫製物を所定の送り方向に送る布送り機構と、
前記布押さえよりも送り方向下流側で前記被縫製物を送り方向下流側に送る先引きローラーと、
前記先引きローラーの回転駆動源である先引きモーターと、
縫製の動作を指示入力するペダルと、
前記ペダルの踏み込みに応じた動作を実行させる制御装置とを備えるミシンにおいて、
前記布押さえを昇降させる布押さえ昇降用アクチュエーターと、
前記先引きローラーを昇降させるローラー昇降用アクチュエーターとを備え、
前記ペダルは中立位置の前側と後側とに踏み込み可能であり、後側への踏み込み角度に応じて少なくとも二段階角度範囲が設定されており、
前記制御装置は、前記ペダルの後側への一段階目の踏み込みにより前記布押さえを退避位置に上昇させ、二段階目の踏み込みにより前記先引きローラーを退避位置に上昇させる制御を行うことを特徴とする。

0007

請求項2記載の発明は、請求項1記載のミシンにおいて、
前記先引きローラーの送り方向下流側において空環を切断する空環カッターを備え、
前記制御装置は、前記ペダルの後側への二段階目の踏み込みによる前記先引きローラーの上昇とともに、前記空環カッターによる切断動作を実行させる制御を行うことを特徴とする。

0008

請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載のミシンにおいて、
前記制御装置は、前記ペダルの後側への二段階目の踏み込みによる前記先引きローラーの上昇の実行後、前記ペダルが中立位置に戻された場合、前記ミシンモーターを駆動しない状態で前記先引きローラーを下降させると同時に、前記先引きローラーを回転させて空環の送り動作を実行させる制御を行うことを特徴とする。

0009

請求項4記載の発明は、請求項3記載のミシンにおいて、
前記布押さえの周囲で前記被縫製物の有無を検出する布検知部を備え、
前記制御装置は、前記先引きローラーを下降させると同時に、前記先引きローラーを回転させて前記空環の送り動作を実行させる制御を、前記布検知部により前記被縫製物が検出されない場合に実行することを特徴とする。

0010

請求項5記載の発明は、請求項1に記載のミシンにおいて、
前記先引きローラーの送り方向下流側において空環を切断する空環カッターを備え、
前記制御装置は、前記ペダルの後側への二段階目の踏み込みによる前記先引きローラーの上昇後、前記先引きローラーを下降させてから前記空環カッターによる切断動作を実行させる制御を行うことを特徴とする。

0011

請求項6記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載のミシンにおいて、
前記布押さえの周囲で前記被縫製物の有無を検出する布検知部を備え、
前記制御装置は、主電源投入時に前記布検知部が前記被縫製物を検出した場合には、前記布押さえと前記先引きローラーを縫製時の基準押さえ圧となるように前記布押さえ昇降用アクチュエーター及び前記ローラー昇降用アクチュエーターを制御し、前記布検知部が前記被縫製物を検出しない場合には、前記布押さえと前記先引きローラーを前記縫製時の基準押さえ圧よりも小さい低減押さえ圧となるように前記布押さえ昇降用アクチュエーター及び前記ローラー昇降用アクチュエーターを制御することを特徴とする。

0012

請求項7記載の発明は、請求項1から6のいずれか一項に記載のミシンにおいて、
前記布押さえの周囲で前記被縫製物の有無を検出する布検知部を備え、
前記制御装置は、縫製時に前記布検知部が前記被縫製物を検出した場合には、前記先引きローラーを縫製時の基準押さえ圧となるように前記ローラー昇降用アクチュエーターを制御し、前記布検知部が前記被縫製物を検出しない場合には、前記先引きローラーを前記縫製時の基準押さえ圧よりも小さい低減押さえ圧となるように前記ローラー昇降用アクチュエーターを制御することを特徴とする。

0013

請求項8記載の発明は、請求項1から6のいずれか一項に記載のミシンにおいて、
前記布押さえの周囲で前記被縫製物の有無を検出する布検知部を備え、
前記制御装置は、縫製時に前記布検知部が前記被縫製物を検出した場合には、前記先引きローラーを縫製時の基準押さえ圧となるように前記ローラー昇降用アクチュエーターを制御し、前記布検知部が前記被縫製物を検出しない場合には、前記先引きローラーを前記縫製時の基準押さえ圧よりも強い押さえ圧となるように前記ローラー昇降用アクチュエーターを制御することを特徴とする。

発明の効果

0014

本発明は、ペダルの後側への踏み込み操作のみで、布押さえ及び先引きローラーの退避位置への上昇を行うことができるので、縫い直し等の必要性から被縫製物を取り除く作業を容易に行うことができ、作業性の向上を図ることが可能となる。

図面の簡単な説明

0015

発明の実施形態である送り出し腕型二重環縫いミシンの斜視図である。
発明の実施形態であるミシンの概略を示す正面図である。
針落ち位置周辺の構成を面部側から見た左側面図である。
先引きローラー機構の斜視図である。
ミシンの制御系を示すブロック図である。
布端センサの斜視図である。
縫製中のペダルの操作に基づくミシンの各部の動作制御を示すフローチャートである。
縫製中のペダルの操作に基づくミシンの各部の動作説明図である。
図8に続く縫製中のペダルの操作に基づくミシンの各部の動作説明図である。
図9に続く縫製中のペダルの操作に基づくミシンの各部の動作説明図である。
図10に続く縫製中のペダルの操作に基づくミシンの各部の動作説明図である。
図11に続く縫製中のペダルの操作に基づくミシンの各部の動作説明図である。
図12に続く縫製中のペダルの操作に基づくミシンの各部の動作説明図である。
図13に続く縫製中のペダルの操作に基づくミシンの各部の動作説明図である。
図15(A)〜図15(C)は縫製中のペダルの操作に基づくミシンの各部の動作の他の例を示す動作説明図である。
布押さえと先引きローラーの押さえ圧制御(1)を示すフローチャートである。
布押さえと先引きローラーの押さえ圧制御(2)を示すフローチャートである。

実施例

0016

[実施形態の概略構成
以下、本発明の実施形態であるミシンについて詳細に説明する。
図1はミシン100の斜視図、図2はミシン100の概略を示し、ミシンフレーム110の一部を二点鎖線で示した正面図、図3は針落ち位置周辺の構成を面部側から見た左側面図である。
本発明の実施形態であるミシン100はいわゆる送り出し腕型二重環縫いミシンであり、ミシンフレーム110と、縫製の駆動源となるミシンモーター16(図5参照)と、後述するミシンベッド部101に設けられた針板11の上面の被縫製物Cを布押さえ71により上から押さえる布押さえ機構70と、針板11上の被縫製物Cに対して二本の縫い針による針落ちを行う針上下動機構と、布押さえ71の下方で針板11上の被縫製物Cを図示しない送り歯によって所定の布送り方向に送る布送り機構と、縫い針側の上糸に対してルーパ糸を絡めるルーパ機構と、布押さえ71の布送り方向下流側で布送り機構とは別に被縫製物Cの送りを行う先引きローラー機構20と、空環を切断する空環カッター17と、上記各構成を制御する制御装置90とを備えている。
なお、上記ミシン100は、一般的な送り出し腕型二重環縫いミシンが備える、天秤機構糸調子等の各構成を備えているが、これらは周知のものなので説明は省略する。

0017

[ミシンフレーム]
上記ミシンフレーム110は、ミシンの全体において下部に位置するミシンベッド部101と、ミシンベッド部101の一端部において上方に立設された立胴部102と、立胴部102の上端部から所定方向延出されたミシンアーム部103とを備えている(図1参照)。
以下、ミシンアーム部103の長手方向に平行な水平方向をY軸方向とし、ミシンアーム部103の面部側を「左」、立胴部102側を「右」とする。また、水平方向であってY軸方向に直交する方向をX軸方向とする。このX軸方向はミシン100による被縫製物Cの送り方向に平行であり、被縫製物Cの送り方向下流側を「前」、上流側を「後」とする。また、X軸方向及びY軸方向に直交する方向をZ軸方向とし、その一方を「上」、他方を「下」とする。

0018

また、上記ミシンベッド部101は、立胴部102の下から布送り方向上流側(後方)に延出された第一延出部101aと、第一延出部101aの先端部からミシンアーム部103と同じ方向(左方)に延出された第二延出部101bと、第二延出部101bの先端部から布送り方向下流側(前方)に延出された第三延出部101cとを有している。
ミシンベッド部101は、被縫製物の作業台として使用されるので、上記第一から第三延出部101a〜101cは、それぞれの上面が全体的にX−Y平面に沿った同一平面で連なって、全体的に平坦に形成されている。

0019

[針上下動機構]
針上下動機構は、ミシンアーム部103の内側に配設され、ミシンモーター16に回転駆動されると共にY軸方向に沿って配設された上軸と、二本の縫い針を下端部で保持する針棒と、上軸の回転力上下動往復駆動力に変換して針棒に伝達する図示しないクランク機構とを備えている。
また、ミシンベッド部101における二本の縫い針の針落ち位置にはX−Y平面に平行な針板11が設けられている。

0020

[ルーパ機構]
ルーパ機構は、針板11の下側に設けられた二つのルーパと、これらのルーパの先端をY軸方向に沿って往動させる動作伝達機構とを備えている。
各ルーパは、尖鋭な先端部の糸通し孔にルーパ糸が挿通されている。そして、各ルーパは、針板11の下で上昇する縫い針に対して、左方に向かって進出することにより、上糸のループにルーパ糸を挿通し、右方に向かって後退することにより、ルーパ糸にループが形成され、次の針落ちによりルーパ糸のループに縫い針が突入する。これらの動作を繰り返すことで、ルーパ糸のループと上糸のループとが交互に挿通されて結節が形成される。
動作伝達機構は、ミシンモーター16を駆動源とし、当該ミシンモーター16の全回転を往復回動に変換して各ルーパに伝達することで当該各ルーパをY軸方向に沿って往動させる。

0021

[布送り機構]
布送り機構は、針板11の図示しない開口部から出没する送り歯と、送り歯に対してZ軸方向の往復動作とX軸方向の往復動作とを合成して伝達する送り伝達機構とを備えている。
送り歯は、針板11に形成されたX軸方向に沿ったスリット状の開口部から出没する鋸歯状の歯を備えており、Z軸方向の往復動作とX軸方向の往復動作とを合成してなる長円運動を行い、長円における上部を移動する際に開口部から歯先が上方に突出しながら前方に移動して、被縫製物Cを前方に送ることを可能とする。
送り伝達機構は、ミシンモーター16を駆動源とし、当該ミシンモーター16の全回転をX軸方向に沿った往復動作とZ軸方向に沿った往復動作に変換して送り歯に伝達することで、当該送り歯に長円運動を付与している。

0022

[布押さえ機構]
図2及び図3に示すように、布押さえ機構70は、被縫製物Cを上から押さえる布押さえ71と、布押さえ71を下端部で保持する押さえ棒72と、布押さえ71の昇降駆動源となる押さえモーター73と、押さえモーター73から押さえ棒72及び布押さえ71に昇降動作を伝える伝達機構74と、押さえ棒72を介して布押さえ71を下方に押圧する押さえバネ75と、布押さえ71の高さを検出する押さえ高さ検出部76とを備えている。

0023

布押さえ71は、底面が平滑であって布送り方向上流側(後側)が上方に反り上がったいわゆる舟形の押さえである。布押さえ71は、針板11の開口部の上に配置され、送り歯により送られる被縫製物Cを上から押さえて、送り歯の搬送力を被縫製物Cに適切に伝達させる。
押さえ棒72は、針棒の近傍においてZ軸方向に沿った状態でミシンアーム部103の内部において上下二箇所に配置されメタル軸受け721,721により上下動可能に支持されている。
押さえ棒72の上端部には手で摘んで布押さえ71を引き上げるための摘み部材724が装備されている。
押さえ棒72の上側のメタル軸受け721と下側のメタル軸受け721との間には、上下に上側棒抱き722と下側棒抱き723とがいずれも抱き締めにより押さえ棒72に固定装備されている。

0024

そして、上側棒抱き722の下側には押さえ棒72に対して上下に摺動可能なスリーブ725が装備され、当該スリーブ725と下側棒抱き723との間にはコイル状の押さえバネ75が装備されている。
なお、自然長の押さえバネ75とスリーブ725との合計長さよりも、上側棒抱き722と下側棒抱き723の上下間隔の方が狭く設定されており、上側棒抱き722と下側棒抱き723の間において、常に押さえバネ75が圧縮され、押さえ棒72が常に下方に押圧されるようになっている。

0025

押さえモーター73は、ステッピングモーターであり、立胴部102の内側上部において板状のブラケット731により、その出力軸をX軸方向に向けた状態で支持されている。
また、押さえモーター73の出力軸にはエンコーダ732が接続されており(図5参照)、出力軸の軸角度が検出され、制御装置90に入力されている。

0026

伝達機構74は、押さえモーター73の出力軸に固定装備された主動歯車741と、略扇形従動歯車742と、二又回動腕746,747を備えたベルクランク状のリンク部材745と、従動歯車742とリンク部材745とを連結する連結棒749と、を備えている。
主動歯車741と従動歯車742は平歯車であり、相互に噛合している。
従動歯車742は、X軸回り回動可能であり、その半径方向外側に延出された腕部743が連結棒749の一端部にX軸回りに回動可能に連結されている。
リンク部材745は、ミシンアーム部103内でX軸回りに回動可能に支持されており、一方の回動腕746が連結棒749の他端部にX軸回りに回動可能に連結され、他方の回動腕747が角駒748を介してスリーブ725に連結されている。
角駒748はX軸回りに回動可能に回動腕747に連結され、スリーブ725に設けられたY軸方向に沿った溝に対して滑動可能に嵌め込まれている。

0027

これらにより、押さえモーター73が図2における時計方向に駆動すると、主動歯車741、従動歯車742、連結棒749、リンク部材745、角駒748を介して、スリーブ725が上昇し、押さえモーター73が図2における反時計方向に駆動すると、スリーブ725が下降する。
スリーブ725が下降して押さえバネ75が圧縮されると布押さえ71の押さえ圧が増加し、スリーブ725が上昇して押さえバネ75が伸長すると布押さえ71の押さえ圧が減少する。また、さらにスリーブ725が上昇して上側棒抱き722に当接すると、布押さえ71を上方に引き上げて被縫製物Cの解放位置に退避させることができる。

0028

押さえモーター73は、スリーブ725をZ軸方向に沿って任意の高さに調節することができ、これにより、布押さえ71の被縫製物Cに対する押さえ圧を調節する「布押さえ加圧用アクチュエーター」として機能する。
また、押さえモーター73は、スリーブ725を介して布押さえ71を昇降させる「布押さえ昇降用アクチュエーター」として機能する。

0029

高さ検出部76は、下側棒抱き723に支持された被検出体761と、被検出体761の高さを光学的に検出するラインセンサからなる布厚センサ762とから構成されている。
被検出体761は、下側棒抱き723に支持されているので、布押さえ71及び押さえ棒72と共に上下に移動を行う。
布厚センサ762はミシンアーム部103内に固定され、Z軸方向に沿って受光素子が並んで形成されており、被検出体761に遮蔽されることにより、当該被検出体761の上端部のZ軸方向の位置(高さ)を検出して布押さえ71の高さを検出することができる。布押さえ71の高さは、針板11上の被縫製物Cの厚さに応じて変動することから、布厚センサ762は、針板11上の被縫製物Cの厚さを検出する「厚さ検出部」として機能する。

0030

[先引きローラー機構]
図4は先引きローラー機構20の斜視図である。
先引きローラー機構20は、図3及び図4に示すように、先引きローラー21と、先引きローラー21を支持するローラーアーム22と、先引きローラー機構20の全体構成を支持するモーター取り付け土台23と、ローラーアーム22を回動させるローラー昇降モーター24と、先引きローラー21の回転駆動源である先引きモーター25とを備えている。

0031

上記モーター取り付け土台23は、ミシンアーム部103の先端部の前側に配置され、ミシンフレーム110に対してその上端部がY軸回りに回動可能に支持されている。
このモーター取り付け土台23は、X−Z平面に沿った板状であり、その右平面側でローラー昇降モーター24と先引きモーター25とを支持している。

0032

ローラーアーム22は、中央部がモーター取り付け土台23の下端部においてY軸回りに回動可能に支持されており、一端部が前斜め上側に向かって延在すると共に第一及び第二リンク243,242を介してローラー昇降モーター24に連結され、他端部が後斜め下側に向かって延出されると共に先引きローラー21を回転可能に支持している。また、ローラーアーム22は、その他端部が後方に向けられており、これにより、先引きローラー21を布押さえ71の前側に配置している。

0033

先引きローラー21は、タイミングベルト211により回転駆動が行われており、当該タイミングベルト211を介して被縫製物Cの送りを行っている。
タイミングベルト211は、一端部が先引きモーター25の出力軸に固定装備されたスプロケット252に掛け渡されており、モーター取り付け土台23にY軸回りに回動可能に支持された伝達ローラー212とテンションローラー213を介して、他端部が先引きローラー21に掛け渡されている。
これにより、先引きローラー21は、タイミングベルト211を介して被縫製物Cに接して前方への送りを行っている。また、先引きモーター25の制御により、先引きローラー21の回転速度を任意に調節することができる。

0034

また、ローラーアーム22は、第一リンク243と第二リンク242を介してローラー昇降モーター24から回動動作が入力される。
即ち、ローラー昇降モーター24の出力軸には第一リンク243の一端部が固定装備されており、第一リンク243の他端部は、第二リンク242の一端部が連結されている。
ローラーアーム22は、いわゆるベルクランク構造を採っており、その一端部が第二リンク242の他端部に連結され、他端部が先引きローラー21に連結されている。
そして、ローラーアーム22は、その中央部がモーター取り付け土台23の下端部においてY軸回りに回動可能に支持されている。
従って、ローラー昇降モーター24の駆動により、第一及び第二リンク243,242を介してローラーアーム22の一端部が上方に回動動作を付与されると、他端部は下方に回動し、ローラーアーム22の一端部が下方に回動動作を付与されると、他端部は上方に回動する。これにより、ローラーアーム22の一端部と連動して、ローラーアーム22の先引きローラー側の端部を昇降させることができ、先引きローラー21の高さを任意に調節することができる。従って、ローラー昇降モーター24の制御により、針板11上の被縫製物Cに対する先引きローラー21の接触圧力を任意に調節することができる。

0035

ローラー昇降モーター24及び先引きモーター25は、いずれも、それぞれの出力軸にはエンコーダ241,251が接続され、出力軸の軸角度が検出されて制御装置90に入力されている。

0036

[空環カッター]
空環カッター17は、図3に示すように、先引きローラー21の前側において針板11に形成された開口部111内に配置されている。
この空環カッター17は、二重環縫いにより被縫製物の終端部から連なる上糸及びルーパ糸とからなる空環を切断するためのものである。
空環カッター17は、カッター用モーター171(図5参照)により回転を行い、空環の切断を行う。
また、開口部111内に空環を引き込む吸引力を得るために、開口部111内は図示しないエジェクターと接続されている。開口部111とエジェクターと接続する流路には電磁弁172(図5参照)が設けられ、開口部111内への吸引と停止を切り替えることができる。

0037

[ミシンの制御系]
上記ミシン100の制御系を図5のブロック図に示す。この図5に示すように、ミシン100は、各構成の動作制御を行う制御装置90を備えている。そして、この制御装置90には、ミシンモーター16、ローラー昇降モーター24、先引きモーター25、押さえモーター73、カッター用モーター171が各々のモーター駆動回路16a,24a,25a,73a,171aを介して接続されている。
また、ミシンモーター16、ローラー昇降モーター24、先引きモーター25及び押さえモーター73には、その回転数を検出するエンコーダ161,241,251,732が併設されており、このエンコーダ161,241,251,732もモーター駆動回路16a,24a,25a,73aを介して制御装置90に接続されている。

0038

制御装置90は、CPU91、ROM92、RAM93、EEPROM94(EEPROMは登録商標)を備え、後述する各種の動作制御を実行する。
ROM92には、後述する各種の制御を行うためのプログラムが格納されている。
また、EEPROM94には、各種の設定データ、例えば、ミシンモーター16の基準速度、先引きモーター25の先引き量の基準速度、布押さえ71の基準押さえ圧、先引きローラー21の基準押さえ圧、先引きローラー21の押さえ圧とローラー昇降モーター24の軸角度との対応関係を示すテーブルデータ、布押さえ71の布押さえ圧と押さえモーター73の軸角度との対応関係を示すテーブルデータ、布押さえ71から先引きローラー21までの距離等が記憶されている。

0039

なお、ミシンモーター16の基準速度とは、被縫製物Cに対する縫製を行う場合の設定速度であり、先引きモーター25の先引き量の基準速度とは、縫製時に被縫製物Cを送る設定速度であり、布押さえ71の基準押さえ圧とは、縫製時に被縫製物Cを布押さえ71が押さえる際の標準的な設定押さえ圧であり、先引きローラー21の基準押さえ圧とは、縫製時に被縫製物Cに先引きローラー21が接して送る場合の標準的な設定押さえ強さである。

0040

上記EEPROM94に記憶されている上記各種のデータは、制御装置90に接続されている操作入力部96によりその設定値を任意に変更することができる。
なお、上記各種の設定データの記憶手段は、EEPROMに限らず、フラッシュメモリー、EPROM又はHDD等の不揮発性記憶装置を利用しても良い。

0041

上記操作入力部96がインターフェイス96aを介して制御装置90に接続されている。操作入力部96は、入力画面961を備えており、各種設定を入力する際に必要な情報を表示する。

0042

また、制御装置90には、踏み込み操作により縫製の開始及び停止を入力するペダル95がインターフェイス95aを介して接続されており、ペダル95の傾斜角度が制御装置90に入力される。
ペダル95は、前斜め上に所定角度で傾斜した状態を中立位置とし、当該中立位置からペダル95の前端部が下がる前側への踏み込みとペダル95の前端部が上がる後側とに踏み込みが可能となっている。
制御装置90は、前側に踏み込まれると、ミシンモーター16の駆動を開始し、その踏み込み角度変化に応じて回転数が比例的に増減するようにミシンモーター16を制御する。
また、ペダル95を後側に踏み込む場合には、その踏み込み角度に応じて二段階で布押さえ71、先引きローラー21及び空環カッター17の動作制御が行われる。即ち、ペダル95の後側への踏み込み角度は、第一の角度範囲とこれより大きな第二の角度範囲が設定されており、第一の角度範囲内(一段階目)まで踏み込まれると布押さえ71の上昇動作が行われ、第二の角度範囲内(二段階目)まで踏み込まれると先引きローラー21の上昇動作及び空環カッター17による切断動作が行われる。

0043

また、制御装置90には、布押さえ71の高さを検出する布厚センサ762がインターフェイス762aを介して接続されている。
また、ミシン100は、布押さえ71の後側上方から針板11上の布押さえ71による押さえ位置近傍における被縫製物Cの有無により被縫製物Cの前側の先端部及び後側の終端部を検出する布端センサ77を備えている。この布端センサ77はインターフェイス77aを介して制御装置90に接続されている。
これら布厚センサ762と布端センサ77は、いずれも、布押さえ21の周囲の被縫製物Cの有無を検出するための「布検知部」として機能する。

0044

布端センサ77は、図6に示すように、光源と受光素子からなる光電センサユニットであり、右斜め下に向かって光源から特定波長センサ光を針板11の針落ち位置近傍に設けられた反射板771に照射し、その反射光を受光素子で受光する。そして、制御装置90は、受光素子による反射光の受光強度から被縫製物Cの有無を判定することができる。
また、制御装置90は、送りが行われている被縫製物Cの先端部を、布端センサ77による「被縫製物Cなし」から「被縫製物Cあり」への検出状態切り替わりから認識することができる。
同様に、制御装置90は、送りが行われている被縫製物Cの終端部を、布端センサ77による「被縫製物Cあり」から「被縫製物Cなし」への検出状態の切り替わりから認識することができる。

0045

ペダル操作に基づくミシンの動作制御]
制御装置90のCPU91によって行われる、縫製中のペダル95の操作に基づくミシン100の各部の動作制御について図7のフローチャート及び図8図14の動作説明図によって説明する。
まず、縫製中は、図8に示すように、布押さえ71及び先引きローラー21は下降して針板11上の被縫製物Cに上から接した状態にある。

0046

そして、CPU91は、ミシン100のペダル95について前側への踏み込み操作の有無を判定し(ステップS1)、前側への踏み込み操作が行われた場合には(ステップS1:YES)、ミシンモーター16の駆動を開始すると共に、ペダル95の傾斜角度に応じた回転数となるようにミシンモーター16を制御する(ステップS3)。また、先引きローラー21の回転駆動を行う先引きモーター25は、ミシンモーター16と同期しており、ミシンモーター16と共に回転駆動を開始し、ミシンモーター16と共に速度の増減が行われる。
そして、ステップS17に処理を進める。

0047

一方、ペダル95の前側への踏み込み操作が行われていない場合には(ステップS1:NO)、CPU91は、ミシン100のペダル95について後側への踏み込み操作の有無を判定する(ステップS5)。
そして、後側への踏み込み操作が行われていない場合には(ステップS5:NO)、ステップS1に処理が戻される。
一方、後側への踏み込み操作が行われた場合には(ステップS5:YES)、その踏み込み量が第一の角度範囲内(一段階目)か否かを判定し(ステップS7)、第一の角度範囲内(一段階目)である場合には(ステップS7:YES)、押さえモーター73を制御して布押さえ71を上昇させる(ステップS9)。そして、ステップS17に処理を進める。

0048

例えば、図9に示すように、一つの被縫製物Cについて縫製が終わり図10に示すように、新たな被縫製物Cを布押さえ71の下側に送り込む場合に、ペダル95を一段階目まで後踏みして布押さえ71を上昇させる。図9及び図10における符号Kは空環である。

0049

一方、ペダル95の後側への踏み込み量が第一の角度範囲内(一段階目)ではない場合には(ステップS7:NO)、CPU91は、ペダル95の踏み込み量が第二の角度範囲内(二段階目)か否かを判定し(ステップS11)、第二の角度範囲内(二段階目)でもない場合には(ステップS11:NO)、ステップS1に処理が戻される。
また、ペダル95の踏み込み量が第二の角度範囲内(二段階目)である場合には(ステップS11:YES)、図11に示すように、ローラー昇降モーター24を制御して先引きローラー21を上昇させる(ステップS13)。

0050

なお、二重環縫いを行うミシンでは、一般的な縫製の場合には、先引きローラー21を上昇させず、また、空環Kを切断することなく、目標枚数の被縫製物Cを連続的に縫製する。
これに対して、先引きローラー21を上昇させるのは、目標枚数分の被縫製物Cの縫製が完了した場合や、現在縫製中の被縫製物Cについて縫い直し等の必要が生じ、当該被縫製物Cを針板11の上から取り除く必要が生じた場合である。

0051

そして、先引きローラー21が上昇すると、CPU91は、図12に示すように、空環吸引用の電磁弁172を制御して針板11の開口部111を吸引状態とし、カッター用のモーター171を駆動して空環カッター17による空環Kの切断を実行する(ステップS15)。そしてステップS17に処理を進める。

0052

ステップS17では、CPU91は、ペダル95が中立位置であるか否かを判定する。
ペダル95が中立位置ではない場合には(ステップS17:NO)、ステップS1に処理が戻される。
また、ペダル95が中立位置である場合には(ステップS17:YES)、ミシンモーター16が駆動中の場合には停止され、布押さえ71が上昇していた場合には下降し、先引きローラー21が上昇していた場合には下降し、カッター用モーター171の駆動中であった場合には空環Kの切断を実行後に停止される(ステップS19)。
そして、ステップS1に処理が戻される。

0053

また、先引きローラー21の上昇を経て、ペダル95が中立位置に戻された場合には、空環Kが先引きローラー21に押さえられていない状態となるので、図13に示すように、自らの張力により、針落ち位置側に引き戻されて弛んだままの空環Kの上に先引きローラー21が下降した状態となる。
この状態で、次の縫製が開始されると、弛んだ空環Kの糸が巻き込みを生じたり絡みついたりするおそれがある。
従って、ペダル95が後側に二段階目まで踏み込まれた後に中立位置に戻された場合には、CPU91は、図14に示すように、ミシンモーター16を停止させたままの状態で一時的に先引きモーター25を駆動させて、先引きローラー21によって弛んだ空環Kの送りを行い、布押さえ71から先引きローラー21までの間で空環Kの弛みを解消し、張った状態にする制御が実行される。
なお、この先引きローラー21による空環Kの弛みを解消するための送り動作は、布端センサ77により被縫製物Cが検出されない場合に実行するよう制御することが望ましい。
そして、先引きモーター25が停止してからステップS1に処理が戻される。

0054

[ペダル操作に基づくミシンの動作制御の他の例]
上記図7図14に示すミシンの動作制御では、ペダル95の後側二段階目までの踏み込み操作により先引きローラー21が上昇すると、先引きローラー21が上昇したままの状態で空環カッター17による空環Kの切断が行われる場合を例示したが、これに限定されない。
例えば、ペダル95の後側二段階目までの踏み込み操作により先引きローラー21が上昇した状態では空環カッター17は作動せず(図15(A))、ペダル95が中立位置に戻されて布押さえ71と先引きローラー21とが下降した後に(図15(B))、空環カッター17が作動して空環Kを構成する糸を切断するように、空環カッター17の作動タイミングを遅らせてもよい(図15(C))。

0055

このように制御した場合、ミシンの作業者は、ペダル95の後側二段階目への踏み込み操作を行って先引きローラー21を上昇させた時に、被縫製物Cを前方に引っ張って空環Kを構成する糸が弛まないように保持し、その状態でペダル95を中立位置に戻して、先引きローラー21を下降させると、空環Kを構成する糸が弛まずに張った状態を維持することができる。従って、その状態で空環Kを構成する糸の切断を行われた場合、次の縫製時には、糸の巻き込みや絡みつきを抑制することができる。つまり、図7図14に示すミシンの動作制御と同じ効果を得ることが可能である。

0056

[布押さえと先引きローラーの押さえ圧制御(1)]
制御装置90のCPU91によって行われる、布押さえと先引きローラーの押さえ圧制御(1)について図16のフローチャートによって説明する。

0057

まず、ミシン100の主電源が投入されると、制御装置90のRAM93等の記憶媒体初期化が行われ(ステップS31)、各種のモーターの原点検索が行われる(ステップS33)。

0058

次いで、CPU91は、布端センサ77の検出により、布押さえ71の布押さえ位置周辺における被縫製物Cの有無を判定する(ステップS35)。
その結果、被縫製物Cが布押さえ位置に存在する場合には(ステップS35:YES)、ステップS41に処理を進めて、布押さえ71による押さえ圧と、先引きローラー21による押さえ圧とがそれぞれ標準的な押さえ圧である基準押さえ圧となるように、押さえモーター73とローラー昇降モーター24の軸角度を制御する。

0059

また、被縫製物Cが布押さえ位置に存在しない場合には(ステップS35:NO)、CPU91は、布押さえ71による押さえ圧と、先引きローラー21による押さえ圧とがそれぞれ規定の低減押さえ圧となるように、押さえモーター73とローラー昇降モーター24の軸角度を制御する(ステップS37)。

0060

なお、布押さえ71と先引きローラー21の低減押さえ圧は、縫製時の標準的な押さえ圧である基準押さえ圧よりも小さい圧力となっている。布押さえ71と先引きローラー21のそれぞれの低減押さえ圧は、操作入力部96により任意に変更することができる。

0061

また、布押さえ71や先引きローラー21は、被縫製物Cの厚さに応じて高さが変動するが、被縫製物Cの厚さは布厚センサ762で検出することができ、被縫製物の厚さの変化が生じた場合でも、縫製時の標準的な押さえ圧となるように、押さえモーター73及びローラー昇降モーター24は制御される。
また、被縫製物Cが存在しない場合には、布押さえ71や先引きローラー21が針板11の上面の高さに位置する状態で低減押さえ圧となるように、押さえモーター73及びローラー昇降モーター24は制御される。

0062

次いで、CPU91は、ペダル95の前側踏み込み操作によりミシンモーター16の駆動が開始されたか否かの判定を行い(ステップS39)、ミシンモーター16の駆動が開始されていない場合には(ステップS39:NO)、ステップS35に処理を戻して、再び、布押さえ位置における被縫製物Cの有無を判定する。
また、ミシンモーター16の駆動が開始された場合には(ステップS39:YES)、CPU91は、布押さえ71による押さえ圧と、先引きローラー21による押さえ圧とがそれぞれ標準的な押さえ圧である基準押さえ圧となるように、押さえモーター73とローラー昇降モーター24の軸角度を制御する(ステップS41)。
その後は、布押さえ71と先引きローラー21が基準押さえ圧を維持して縫製が実施される。

0063

[布押さえと先引きローラーの押さえ圧制御(2)]
制御装置90のCPU91によって行われる、布押さえと先引きローラーの押さえ圧制御(2)について図17のフローチャートによって説明する。

0064

まず、ミシン100の主電源が投入されると、制御装置90のRAM93等の記憶媒体の初期化が行われ(ステップS51)、各種のモーターの原点検索が行われる(ステップS53)。

0065

次いで、CPU91は、布端センサ77の検出により、布押さえ71の布押さえ位置周辺における被縫製物Cの有無を判定する(ステップS55)。
その結果、被縫製物Cが布押さえ位置に存在しない場合には(ステップS55:YES)、CPU91は、布押さえ71による押さえ圧が低減押さえ圧となるように、押さえモーター73の軸角度を制御する(ステップS57)。
また、被縫製物Cが布押さえ位置に存在する場合には(ステップS55:NO)、CPU91は、布押さえ71による押さえ圧が標準押さえ圧となるように、押さえモーター73の軸角度を制御する(ステップS59)。

0066

次いで、CPU91は、布厚センサ762の検出により、布押さえ71の布押さえ位置周辺における被縫製物Cの有無を判定する(ステップS61)。
その結果、被縫製物Cが布押さえ位置に存在しない場合には(ステップS61:YES)、CPU91は、先引きローラー21による押さえ圧が低減押さえ圧となるように、ローラー昇降モーター24の軸角度を制御する(ステップS63)。
また、被縫製物Cが布押さえ位置に存在する場合には(ステップS61:NO)、CPU91は、先引きローラー21による押さえ圧が標準押さえ圧となるように、ローラー昇降モーター24の軸角度を制御する(ステップS65)。

0067

次いで、CPU91は、布厚センサ762の検出厚さが縫製の実行により増加したか否かを判定する(ステップS67)。
布厚センサ762の検出厚さが増加した場合には(ステップS67:YES)、布押さえ71の布押さえ位置に被縫製物Cの先端部が供給されたものとして、布押さえ71から先引きローラー21に到達するまでの針数カウント値にセットする(ステップS69)。
布押さえ71から先引きローラー21に到達するまでの針数は、布押さえ71から先引きローラー21までの距離が既知であることから、当該距離を縫いピッチ除算することで算出する。

0068

次いで、ミシンモーター16のエンコーダ161により、上軸の一回転の経過を監視し(ステップS71)、上軸が一回転すると、針数のカウント値を一つ減じる(ステップS73)。
そして、減じられた針数のカウント値が0になったか否かを判定し(ステップS75)、0ではない場合には(ステップS75:NO)、処理をステップS71に戻して新たに針数をカウントする。
また、減じられた針数のカウント値が0になった場合には(ステップS75:YES)、被縫製物Cの先端部が先引きローラー21に到達したものとして、CPU91は、先引きローラー21による押さえ圧が標準押さえ圧となるように、ローラー昇降モーター24の軸角度を制御する(ステップS77)。これにより、被縫製物Cの先端部が先引きローラー21に到達したときに標準押さえ圧で押さえられた状態で送られる。
そして、処理をステップS67に戻す。

0069

一方、ステップS67において、布厚センサ762の検出厚さが増加していなかった場合には(ステップS67:NO)、CPU91は、布厚センサ762の検出厚さが縫製の実行により減少したか否かを判定する(ステップS79)。
そして、布厚センサ762の検出厚さが減少していなかった場合には(ステップS79:NO)、処理をステップS67に戻す。
また、布厚センサ762の検出厚さが減少した場合には(ステップS79:YES)、布押さえ71の布押さえ位置を被縫製物Cの終端部が通過したものとして、布押さえ71から先引きローラー21に到達するまでの針数をカウント値にセットする(ステップS81)。

0070

次いで、ミシンモーター16のエンコーダ161により、上軸の一回転の経過を監視し(ステップS83)、上軸が一回転すると、針数のカウント値を一つ減じる(ステップS85)。
そして、減じられた針数のカウント値が0になったか否かを判定し(ステップS87)、0ではない場合には(ステップS87:NO)、処理をステップS83に戻して新たに針数をカウントする。
また、減じられた針数のカウント値が0になった場合には(ステップS87:YES)、被縫製物Cの終端部が先引きローラー21に到達したものとして、CPU91は、先引きローラー21による押さえ圧が低減押さえ圧となるように、ローラー昇降モーター24の軸角度を制御する(ステップS89)。これにより、被縫製物Cの終端部が先引きローラー21を通過したときに低減押さえ圧で空環Kが押さえられた状態で送られる。
そして、処理をステップS67に戻す。

0071

[実施形態による効果]
上記ミシン100は、ペダル95が中立位置の前側と後側とに踏み込み可能且つ後側には二段階の踏み込み操作が可能であり、制御装置90は、図7のフローチャートに示すように、ペダル95の後側への一段階目の踏み込みにより布押さえ71を退避位置に上昇させ、二段階目の踏み込みにより先引きローラー21を退避位置に上昇させて空環カッター17による切断動作を実行させる制御を行っている。
これにより、ペダル95の後側への踏み込み操作のみで布押さえ71及び先引きローラー21の退避位置への上昇と空環Kの切断動作を行うことができるので、縫い直し等の必要性から被縫製物を取り除く作業を極めて容易に行うことができ、作業性の向上を図ることが可能となる。

0072

また、ミシン100は、制御装置90が、図12図14に示すように、ペダル95の後側への二段階目の踏み込みによる先引きローラー21の上昇と空環カッター17による切断動作の実行後、ミシンモーター16を駆動しない状態で先引きローラー21を下降させて送り動作を実行させる制御を行っている。
このため、先引きローラー21を上昇させた状態で空環Kを切断し、弛みを生じた場合でも、先引きローラー21が下降した際にミシンモーター16の駆動を伴わない先引きローラーの送り動作を行うことによって空環Kを引き延ばすことができ、次の縫製において、空環Kの弛みによる巻き込みや絡みつきの発生を抑制することができ、縫製作業を安定的に行い、縫い品質の高い縫製を行うことが可能となる。

0073

また、ミシン100は、布押さえ71の周囲で被縫製物Cの有無を検出する布端センサ77を備え、制御装置90は、図14に示すように、先引きローラー21を下降させてから実行する送り動作を、布端センサ77により被縫製物Cが検出されない場合に実行することができる。
従って、空環Kではなく被縫製物Cが誤って先引きローラー21により送られることを回避することができ、縫製作業をより安定的に行うことが可能となる。

0074

また、制御装置90は、図15に示すように、ペダル95の後側への一段階目の踏み込みにより布押さえ71を退避位置に上昇させ、二段階目の踏み込みにより先引きローラー21を退避位置に上昇させ、その後、先引きローラー21を下降させてから空環カッター17による切断動作を実行させる制御を行うことも可能である。
このため、ミシンの作業者は、先引きローラー21の上昇時に被縫製物Cを引っ張って空環Kを構成する糸が弛まないように保持しておけば、その後の先引きローラー21の下降により空環Kの弛みの発生を回避することが出来、先引きローラー21の下降後の駆動を不要とすることができるので、より迅速に次の縫製に移行することができ、作業効率の向上を図ることが可能となる。

0075

また、ミシン100の制御装置90は、図16のフローチャートに示すように、主電源の投入時に布端センサ77が被縫製物Cを検出した場合には、布押さえ71と先引きローラー21を縫製時の基準押さえ圧となるように押さえモーター73及びローラー昇降モーター24を制御し、布端センサ77が被縫製物Cを検出しない場合には、布押さえ71と先引きローラー21を縫製時の基準押さえ圧よりも小さい低減押さえ圧となるように押さえモーター73及びローラー昇降モーター24を制御している。
このため、被縫製物Cを押さえる必要がない時には、押さえモーター73及びローラー昇降モーター24の消費電力を抑えることができ、また、発熱等も低減することが可能となる。

0076

また、ミシン100の制御装置90は、図17のフローチャートに示すように、縫製時に布厚センサ762が布厚増加により布押さえ71の位置における被縫製物Cの存在を検出した場合には、先引きローラー21を縫製時の基準押さえ圧となるようにローラー昇降モーター24を制御し、布厚センサ762が布厚減少により布押さえ71の位置における被縫製物Cの存在を検出しない場合には、先引きローラー21を縫製時の基準押さえ圧よりも小さい低減押さえ圧となるようにローラー昇降モーター24を制御している。
このため、布押さえ71の位置における被縫製物Cの存在を検出しない状態から、空環Kのみが先引きローラー21に送られている状態と認識することができ、空環Kのみを送る際には、先引きローラー21の押さえ圧を低減することで、当該先引きローラー21の外周面と針板11との摺動による摩耗劣化を抑制することが可能となる。また、先引きローラー21の摺動摩擦を低減し、先引きモーター25の消費電力を低減することも可能となる。
ちなみに、空環Kのみが先引きローラー21に送られている際に、先引きローラー21の押さえ圧を強くするようにローラー昇降モーター24を制御することによって、先引きローラー21による空環Kの送り力を強くするようにしてもよい。これにより、被縫製物Cよりも厚さが薄い空環Kを滑ることなく良好に送ることができる。

0077

[その他]
上記ミシン100は、二本針の二重環縫いミシンを例示したが、縫い針の本数はより多くとも良い。
また、ミシン100は、送り出し腕型ミシンを例示したが、ミシンベッド部の形状はこれに限らず、いかなる形状のミシンであっても良い。

0078

また、先引きローラー機構20は、先引きローラー21が直接、被縫製物に接触して送りを行う構成を例示したが、これに限らず、例えば、先引きローラー21が搬送ベルトを介して被縫製物を搬送する構成としても良い。

0079

また、ペダル95は、中立位置から後側に二段階に踏み込み可能とする場合を例示したが、より段数を増やすと共に、増えた段数には、他の機能を割り当ててもよい。

0080

11針板
16ミシンモーター
17空環カッター
20ローラー機構
21先引きローラー
24ローラー昇降モーター(ローラー昇降用アクチュエーター)
25 先引きモーター
70布押さえ機構
73押さえモーター(布押さえ昇降用アクチュエーター)
762布厚センサ(布検知部)
77布端センサ(布検知部)
90制御装置
95ペダル
96操作入力部
100ミシン
C被縫製物
K 空環

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