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課題

CXCR4に高親和性で特異的に結合する単離モノクローナル抗体、特にヒトモノクローナル抗体を提供すること。

解決手段

単離ヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合部分に関し、ここで抗体は、(a)細胞表面上に発現される天然ヒトCXCR4に結合し、(b)SDF−1のヒトCXCR4への結合を阻害し、(c)ヒトCXCR4を発現する細胞内でのSDF−1誘発性カルシウム流束を阻害し、(d)ヒトCXCR4を発現する細胞のSDF−1誘発性の遊走を阻害し、および(e)ヒト臍静脈内皮細胞による毛細管形成を阻害する。

概要

背景

CXCR4は、胚形成ホメオスタシスおよび炎症において役割を担う。CXCR4またはSDF−1が欠損するように改変されたマウスを用いる試験には、器官血管新生ならびに免疫系および造血系におけるCXCR4/SDF−1経路関与する(非特許文献2)。さらに、CXCR4はTリンパ増殖性HIV−1単離体における共受容体として機能することが示されている(非特許文献3)。CXCR4はまた、多種多様癌細胞種上に発現されることが示されている。さらに、CXCR4/SDF−1経路は、多種多様な新生物における転移プロセス刺激に関与することが示されている(非特許文献4)。例えば、CXCR4およびSDF−1は、原発性腫瘍部位と転移部位との間に走化性勾配(chemotactic gradient)をもたらすことによって器官特異的な転移を媒介することが示されている(非特許文献5;非特許文献6;非特許文献7)。

概要

CXCR4に高親和性で特異的に結合する単離モノクローナル抗体、特にヒトモノクローナル抗体を提供すること。単離ヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合部分に関し、ここで抗体は、(a)細胞表面上に発現される天然ヒトCXCR4に結合し、(b)SDF−1のヒトCXCR4への結合を阻害し、(c)ヒトCXCR4を発現する細胞内でのSDF−1誘発性カルシウム流束を阻害し、(d)ヒトCXCR4を発現する細胞のSDF−1誘発性の遊走を阻害し、および(e)ヒト臍静脈内皮細胞による毛細管形成を阻害する。なし

目的

(ヴィカリA.P.(Vicari A.P.)およびコー C.(Caux C.)(2002年)Cytokine Growth Factor Rev.13:143−154頁
タチバナ K.(Tachibana K.)ら(1998年)Nature 393:591−594頁
フェンY.(Feng Y.)ら(1996年)Science 272:872−877頁
マーフィP.M.(Murphy P.M.)(2001年)N.Engl.J.Med.345:833−835頁
ミュラーA.(Muller A.)ら(2001年)Nature 410:50−56頁
ムラカミT.(Murakami T.)ら(2002年)Cancer Res.62:7328−7334頁
ハナハン D.(Hanahan D.)ら(2003年)Cancer Res.63:3005−3008頁





本開示は、ヒトCXCR4に結合しかつ極めて多数の所望の特性を示す単離モノクローナル抗体、特にヒトモノクローナル抗体を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
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請求項1

細胞表面上に発現される天然ヒトCXCR4に結合する単離ヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合部分

請求項2

前記抗体がSDF−1のヒトCXCR4への結合を阻害する、請求項1に記載の抗体。

請求項3

前記抗体がSDF−1のヒトCXCR4への結合を阻害しない、請求項1に記載の抗体。

請求項4

ヒトCXCR4を発現する細胞内でのSDF−1誘発性カルシウム流束を阻害する、請求項1に記載の抗体。

請求項5

ヒトCXCR4を発現する細胞のSDF−1誘発性の遊走を阻害する、請求項1に記載の抗体。

請求項6

ヒト臍静脈内皮細胞による毛細管形成を阻害する、請求項1に記載の抗体。

請求項7

ヒトCXCR4を発現する細胞内でのアポトーシスを誘発する、請求項1に記載の抗体。

請求項8

インビボでCXCR4+腫瘍細胞成長を阻害するかまたはアポトーシスを誘発する、請求項1に記載の抗体。

請求項9

前記抗体がヒトCXCR4に1×10−7M以下のKDで結合する、請求項1に記載の抗体。

請求項10

前記抗体がヒトCXCR4に5×10−8M以下のKDで結合する、請求項9に記載の抗体。

請求項11

(a)細胞表面上に発現される天然ヒトCXCR4に結合し、(b)SDF−1のヒトCXCR4への結合を阻害し、(c)ヒトCXCR4を発現する細胞内でのSDF−1誘発性のカルシウム流束を阻害し、(d)ヒトCXCR4を発現する細胞のSDF−1誘発性の遊走を阻害し、および(e)ヒト臍静脈内皮細胞による毛細管形成を阻害する、単離ヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合部分。

請求項12

ヒトCXCR4を発現する細胞内でのアポトーシスを誘発する、請求項11に記載の抗体。

請求項13

インビボでCXCR4+腫瘍細胞の成長を阻害するかまたはアポトーシスを誘発する、請求項11に記載の抗体。

請求項14

SDF−1のヒトCXCR4への結合を50nM以下のEC50で阻害する、請求項11に記載の抗体。

請求項15

ヒトCXCR4を発現する細胞内でのSDF−1誘発性のカルシウム流束を3nM以下のEC50で阻害する、請求項11に記載の抗体。

請求項16

ヒトCXCR4を発現する細胞のSDF−1誘発性の遊走を50nM以下のEC50で阻害する、請求項11に記載の抗体。

請求項17

CXCR4への結合に対し、(a)配列番号25のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号29のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、または(b)配列番号26のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号30のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、または(c)配列番号27のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、または(d)配列番号28のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号32のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む参照抗体と交差競合する、単離ヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合部分。

請求項18

ヒトCXCR4に特異的に結合する、ヒトVH3−48遺伝子の産物であるかまたはそれから誘導される重鎖可変領域を含む、単離モノクローナル抗体またはその抗原結合部分。

請求項19

ヒトCXCR4に特異的に結合する、ヒトVKL15遺伝子の産物であるかまたはそれから誘導される軽鎖可変領域を含む、単離モノクローナル抗体またはその抗原結合部分。

請求項20

ヒトCXCR4に特異的に結合する、ヒトVH3−48遺伝子の産物であるかまたはそれから誘導される重鎖可変領域およびヒトVKL15遺伝子の産物であるかまたはそれから誘導される軽鎖可変領域を含む、単離モノクローナル抗体またはその抗原結合部分。

請求項21

(a)配列番号1を含む重鎖可変領域CDR1、(b)配列番号5を含む重鎖可変領域CDR2、(c)配列番号9を含む重鎖可変領域CDR3、(d)配列番号13を含む軽鎖可変領域CDR1、(e)配列番号17を含む軽鎖可変領域CDR2、および(f)配列番号21を含む軽鎖可変領域CDR3を含む、請求項1に記載の抗体。

請求項22

(a)配列番号2を含む重鎖可変領域CDR1、(b)配列番号6を含む重鎖可変領域CDR2、(c)配列番号10を含む重鎖可変領域CDR3、(d)配列番号14を含む軽鎖可変領域CDR1、(e)配列番号18を含む軽鎖可変領域CDR2、および(f)配列番号22を含む軽鎖可変領域CDR3を含む、請求項1に記載の抗体。

請求項23

(a)配列番号3を含む重鎖可変領域CDR1、(b)配列番号7を含む重鎖可変領域CDR2、(c)配列番号11を含む重鎖可変領域CDR3、(d)配列番号15を含む軽鎖可変領域CDR1、(e)配列番号19を含む軽鎖可変領域CDR2、および(f)配列番号23を含む軽鎖可変領域CDR3を含む、請求項1に記載の抗体。

請求項24

(a)配列番号4を含む重鎖可変領域CDR1、(b)配列番号8を含む重鎖可変領域CDR2、(c)配列番号12を含む重鎖可変領域CDR3、(d)配列番号16を含む軽鎖可変領域CDR1、(e)配列番号20を含む軽鎖可変領域CDR2、および(f)配列番号24を含む軽鎖可変領域CDR3を含む、請求項1に記載の抗体。

請求項25

ヒトCXCR4に特異的に結合する、(a)配列番号25〜28および41〜44からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および(b)配列番号29〜32および45〜48からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、単離モノクローナル抗体またはその抗原結合部分。

請求項26

(a)配列番号25または41のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および(b)配列番号29または45のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項25に記載の抗体。

請求項27

(a)配列番号26または42のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および(b)配列番号30または46のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項25に記載の抗体。

請求項28

(a)配列番号27または43のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および(b)配列番号31または47のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項25に記載の抗体。

請求項29

(a)配列番号28または44のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および(b)配列番号32または48のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項25に記載の抗体。

請求項30

請求項1に記載の抗体またはその抗原結合部分および医薬的に許容できる担体を含む組成物

請求項31

治療物質に連結された、請求項1に記載の抗体またはその抗原結合部分を含む免疫複合体

請求項32

請求項31に記載の免疫複合体および医薬的に許容できる担体を含む組成物。

請求項33

前記治療物質が細胞毒素である、請求項31に記載の免疫複合体。

請求項34

請求項33に記載の免疫複合体および医薬的に許容できる担体を含む組成物。

請求項35

前記治療物質が放射性同位体である、請求項31に記載の免疫複合体。

請求項36

請求項35に記載の免疫複合体および医薬的に許容できる担体を含む組成物。

請求項37

請求項1に記載の抗体またはその抗原結合部分をコードする単離核酸分子

請求項38

請求項37に記載の核酸分子を含む発現ベクター

請求項39

請求項38に記載の発現ベクターを含む宿主細胞

請求項40

抗CXCR4抗体を調製するための方法であって、請求項39に記載の宿主細胞内で前記抗体を発現するステップと、前記宿主細胞から前記抗体を単離するステップと、を含む方法。

請求項41

細胞内でCXCR4活性を調節する方法であって、前記細胞を請求項1に記載の抗体またはその抗原結合部分と前記細胞内でのCXCR4活性が調節されるように接触させるステップを含む方法。

請求項42

CXCR4活性がインビトロで前記細胞を前記抗体またはその抗原結合部分とともに培養することにより調節される、請求項41に記載の方法。

請求項43

対象におけるCXCR4活性がインビボで前記対象に前記抗体またはその抗原結合部分を投与することにより調節される、請求項41に記載の方法。

請求項44

前記細胞がCXCR4を発現する腫瘍細胞であり、かつ前記方法が前記腫瘍細胞の成長の阻害または前記腫瘍細胞の転移の阻害をもたらす、請求項41に記載の方法。

請求項45

前記細胞がCXCR4を発現するT細胞であり、かつ前記方法がHIVの前記細胞への侵入の阻害をもたらす、請求項41に記載の方法。

請求項46

前記細胞が炎症性疾患におけるリンパ球であり、かつ前記方法が炎症の阻害をもたらす、請求項41に記載の方法。

請求項47

前記細胞が血管新生関与し、かつ前記方法が血管新生の調節をもたらす、請求項41に記載の方法。

請求項48

対象における骨髄から末梢血へのCD34+幹細胞動員刺激する方法であって、前記対象に請求項1に記載の抗体またはその抗原結合部分を骨髄から末梢血へのCD34+幹細胞の動員が刺激されるように投与するステップを含む方法。

請求項49

前記CD34+幹細胞を前記末梢血から採取するステップをさらに含む、請求項48に記載の方法。

技術分野

0001

ケモカインは、細胞輸送および血管新生を調節する約50の小タンパク質ファミリーであり、さらに腫瘍微環境内で重要な役割を担う非特許文献1)。ケモカインは、それらの構造に依存し、(システイン−システインモチーフを有する)C−Cケモカインまたは(システイン−X−システインモチーフを有する)C−X−Cケモカインとして分類される。したがって、かかるケモカインに結合する各受容体は、CCRファミリーまたはCXCRファミリーのメンバーとして分類される。CXCRファミリーの1つのメンバーは、主にリンパ球上に発現されかつ化学走性活性化する7回膜貫通型Gタンパク質共役受容体のCXCR4である。CXCR4はケモカインCXCL12(SDF−1)に結合する。

背景技術

0002

CXCR4は、胚形成ホメオスタシスおよび炎症において役割を担う。CXCR4またはSDF−1が欠損するように改変されたマウスを用いる試験には、器官の血管新生ならびに免疫系および造血系におけるCXCR4/SDF−1経路関与する(非特許文献2)。さらに、CXCR4はTリンパ増殖性HIV−1単離体における共受容体として機能することが示されている(非特許文献3)。CXCR4はまた、多種多様癌細胞種上に発現されることが示されている。さらに、CXCR4/SDF−1経路は、多種多様な新生物における転移プロセス刺激に関与することが示されている(非特許文献4)。例えば、CXCR4およびSDF−1は、原発性腫瘍部位と転移部位との間に走化性勾配(chemotactic gradient)をもたらすことによって器官特異的な転移を媒介することが示されている(非特許文献5;非特許文献6;非特許文献7)。

先行技術

0003

(ヴィカリA.P.(Vicari A.P.)およびコー C.(Caux C.)(2002年)Cytokine Growth Factor Rev.13:143−154頁
タチバナ K.(Tachibana K.)ら(1998年)Nature 393:591−594頁
フェンY.(Feng Y.)ら(1996年)Science 272:872−877頁
マーフィP.M.(Murphy P.M.)(2001年)N.Engl.J.Med.345:833−835頁
ミュラーA.(Muller A.)ら(2001年)Nature 410:50−56頁
ムラカミT.(Murakami T.)ら(2002年)Cancer Res.62:7328−7334頁
ハナハン D.(Hanahan D.)ら(2003年)Cancer Res.63:3005−3008頁

0004

本開示は、ヒトCXCR4に結合しかつ極めて多数の所望の特性を示す単離モノクローナル抗体、特にヒトモノクローナル抗体を提供する。これらの特性は、細胞表面上に発現される天然ヒトCXCR4に対する結合能、SDF−1のヒトCXCR4への結合に対する阻害能、CXCR4を発現する細胞内でのSDF−1誘発性カルシウム流束に対する阻害能、CXCR4を発現する細胞のSDF−1誘発性の遊走に対する阻害能、ヒト臍静脈内皮細胞(HuVEC)による毛細管形成に対する阻害能、CXCR4を発現する細胞内でのアポトーシスに対する誘発能、インビトロでの腫瘍細胞増殖に対する阻害能、インビボでの腫瘍細胞増殖に対する阻害能、CXCR4+腫瘍細胞転移に対する阻害能および/またはCXCR4+腫瘍を担持する対象の生存時間を増加させる能力を含む。

0005

一態様では、本開示は、単離ヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合部分に関し、ここで抗体は細胞表面上に発現される天然ヒトCXCR4に結合する。一実施形態では、抗体はまた、好ましくは50nM以下、または30nM以下、または15nM以下、または10nM以下、または5nM以下、または3nM以下の阻害に対するEC50(例えば、28.60nM以下、または12.51nM以下、または2.256nM以下の阻害に対するEC50)でSDF−1のヒトCXCR4への結合を阻害する。別の実施形態では、抗体は細胞表面上に発現される天然ヒトCXCR4に結合するが、SDF−1のヒトCXCR4への結合を阻害することはない。さらに他の実施形態では、抗体はまた、ヒトCXCR4を発現する細胞内でのSDF−1誘発性のカルシウム流束を、好ましくは3nM以下、または2nM以下、または1nM以下、または0.9nM以下、または0.8nM以下、または0.7nM以下、または0.6nM以下、または0.5nM以下、または0.4nM以下(例えば、0.9046nM以下、0.5684nM以下、または0.3219nM以下)の阻害に対するEC50で阻害する。さらに他の実施形態では、抗体はまた、ヒトCXCR4を発現する細胞のSDF−1誘発性の遊走を、好ましくは50nM以下、または30nM以下、または20nM以下、または15nM以下(例えば、18.99nM以下、または12.44nM以下)の阻害に対するEC50で阻害する。さらに他の実施形態では、抗体はまた、HuVECによる毛細管形成を阻害し、CXCR4を発現する細胞のアポトーシスを誘発し、インビトロで腫瘍細胞増殖を阻害し、インビボで腫瘍細胞増殖を阻害するかまたは腫瘍細胞のアポトーシスを誘発し、CXCR4+腫瘍細胞転移を阻害し、および/またはCXCR4+腫瘍を担持する対象の生存時間を増加させる。

0006

好ましくは、抗体は、ヒトCXCR4に高親和性、例えば1×10−7M以下のKDまたは5×10−8M以下のKDで結合する。好ましくは、本開示の抗体は完全長抗体(すなわち可変および定常領域を含む)である。さらに、本開示の抗体は、好ましくは、宿主細胞上または人工膜内にその天然立体構造で発現される完全長ヒトCXCR−4に対して産生される。

0007

好ましい態様では、本開示は、単離ヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合部分に関し、ここで抗体は、
(a)細胞表面上に発現される天然ヒトCXCR4に結合し、
(b)SDF−1のヒトCXCR4への結合を阻害し、
(c)ヒトCXCR4を発現する細胞内でのSDF−1誘発性のカルシウム流束を阻害し、
(d)ヒトCXCR4を発現する細胞のSDF−1誘発性の遊走を阻害し、および
(e)ヒト臍静脈内皮細胞による毛細管形成を阻害する。

0008

さらにより好ましくは、抗体はまた、ヒトCXCR4を発現する細胞のアポトーシスを誘発し、および/またはCXCR4+腫瘍細胞成長を阻害し、および/またはインビボで腫瘍細胞のアポトーシスを誘発する。

0009

別の態様では、本開示は、単離ヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合部分に関し、ここで抗体はCXCR4への結合に対して参照抗体と交差競合し、ここで参照抗体は、
(a)配列番号25のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号29のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、または
(b)配列番号26のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号30のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、または
(c)配列番号27のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、または
(d)配列番号28のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号32のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域
を含む。

0010

特定の実施形態では、本開示は、ヒトVH3−48遺伝子の産物であるかまたはそれから誘導される重鎖可変領域を含む単離モノクローナル抗体またはその抗原結合部分を提供し、ここで抗体はヒトCXCR4に特異的に結合する。他の実施形態では、本開示は、ヒトVKL15遺伝子の産物であるかまたはそれから誘導される軽鎖可変領域を含む単離モノクローナル抗体またはその抗原結合部分を提供し、ここで抗体はヒトCXCR4に特異的に結合する。さらに他の実施形態では、本開示は、ヒトVH3−48遺伝子の産物であるかまたはそれから誘導される重鎖可変領域およびヒトVKL15遺伝子の産物であるかまたはそれから誘導される軽鎖可変領域を含む単離モノクローナル抗体またはその抗原結合部分を提供し、ここで抗体はヒトCXCR4に特異的に結合する。

0011

別の態様では、本開示は、
CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む重鎖可変領域とCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域を含み、ここでは
(a)重鎖可変領域のCDR3配列は配列番号9〜12のアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列ならびにその保存的修飾を含み、
(b)軽鎖可変領域のCDR3配列は配列番号21〜24のアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列ならびにその保存的修飾を含み、
(c)抗体は細胞表面上に発現される天然ヒトCXCR4に結合する。

0012

好ましい実施形態では、本抗体はまた、SDF−1のCXCR4への結合を阻害し、CXCR4を発現する細胞内でのSDF−1誘発性のカルシウム流束を阻害し、CXCR−4を発現する細胞のSDF−1誘発性の遊走を阻害し、HuVECによる毛細管形成を阻害し、(インビトロおよび/またはインビボで)CXCR4を発現する細胞内でのアポトーシスを誘発し、インビトロおよび/またはインビボでCXCR4+腫瘍細胞成長を阻害し、および/またはCXCR4+腫瘍細胞転移を阻害するといった特性のうちの1つ以上を有する。

0013

好ましくは、重鎖可変領域CDR2配列は、配列番号5〜8のアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列とその保存的修飾を含み、かつ軽鎖可変領域のCDR2配列は、配列番号17〜20のアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列とその保存的修飾を含む。好ましくは、重鎖可変領域のCDR1配列は、配列番号1〜4のアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列とその保存的修飾を含み、かつ軽鎖可変領域のCDR1配列は、配列番号13〜16のアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列とその保存的修飾を含む。

0014

好ましい組み合わせは、
(a)配列番号1を含む重鎖可変領域のCDR1
(b)配列番号5を含む重鎖可変領域のCDR2;
(c)配列番号9を含む重鎖可変領域のCDR3;
(d)配列番号13を含む軽鎖可変領域のCDR1;
(e)配列番号17を含む軽鎖可変領域のCDR2;および
(f)配列番号21を含む軽鎖可変領域のCDR3
を含む。

0015

別の好ましい組み合わせは、
(a)配列番号2を含む重鎖可変領域CDR1、
(b)配列番号6を含む重鎖可変領域CDR2、
(c)配列番号10を含む重鎖可変領域CDR3、
(d)配列番号14を含む軽鎖可変領域CDR1、
(e)配列番号18を含む軽鎖可変領域CDR2、および
(f)配列番号22を含む軽鎖可変領域CDR3
を含む。

0016

別の好ましい組み合わせは、
(a)配列番号3を含む重鎖可変領域のCDR1;
(b)配列番号7を含む重鎖可変領域のCDR2;
(c)配列番号11を含む重鎖可変領域のCDR3;
(d)配列番号15を含む軽鎖可変領域のCDR1;
(e)配列番号19を含む軽鎖可変領域のCDR2;および
(f)配列番号23を含む軽鎖可変領域のCDR3
を含む。

0017

別の好ましい組み合わせは、
(a)配列番号4を含む重鎖可変領域のCDR1;
(b)配列番号8を含む重鎖可変領域のCDR2;
(c)配列番号12を含む重鎖可変領域のCDR3;
(d)配列番号16を含む軽鎖可変領域のCDR1;
(e)配列番号20を含む軽鎖可変領域のCDR2;および
(f)配列番号24を含む軽鎖可変領域のCDR3
を含む。

0018

本開示の他の好ましい抗体またはその抗原結合部分は、
(a)配列番号25〜28および41〜44からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および
(b)配列番号29〜32および45〜48からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域
を含み、ここで抗体はCXCR4に対して特異的に結合する。

0019

好ましい組み合わせは、
(a)配列番号25または41のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および
(b)配列番号29または45のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域
を含む。

0020

別の好ましい組み合わせは、
(a)配列番号26または42のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および
(b)配列番号30または46のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域
を含む。

0021

別の好ましい組み合わせは、(a)配列番号27もしくは43のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、(b)配列番号31もしくは47のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む。

0022

別の好ましい組み合わせは、(a)配列番号28もしくは44のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、(b)配列番号32もしくは48のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む。

0023

本開示の別の態様では、CXCR4への結合に対して上記抗体のいずれかと競合する抗体またはその抗原結合部分が提供される。

0024

本開示の抗体は、例えばIgG1またはIgG4アイソタイプの例えば完全長抗体でありうる。あるいは、抗体は、抗体断片、例えばFab、Fab’またはFab’2断片、または一本鎖抗体でありうる。

0025

本開示は、治療物質、例えば細胞毒素または放射性同位体に連結された本開示の抗体またはその抗原結合部分を含む免疫複合体も提供する。本開示は、抗体またはその抗原結合部分とは異なる結合特異性を有する第2の機能部分に連結された本開示の抗体またはその抗原結合部分を含む二重特異性分子も提供する。

0026

本開示の抗体またはその抗原結合部分あるいは免疫複合体または二重特異性分子と医薬的に許容できる担体とを含む組成物も提供される。

0027

本開示の抗体またはその抗原結合部分をコードする核酸分子、ならびにかかる核酸を含む発現ベクターおよびかかる発現ベクターを含む宿主細胞も本開示によって包含される。かかる発現ベクターを含む宿主細胞を用いて抗CXCR4抗体を調製するための方法も提供され、それは(i)宿主細胞内で抗体を発現するステップと、(ii)宿主細胞から抗体を単離するステップとを含みうる。

0028

本開示の別の態様は細胞内でのCXCR4活性を調節する方法に関し、ここで細胞は本開示の抗体またはその抗原結合部分と接触される。細胞は、インビトロで細胞を抗体とともに培養することにより接触されうるか、または細胞はインビボで抗体を対象に投与することにより接触されうる。好ましい実施形態では、細胞はCXCR4を発現する腫瘍細胞であり、かつ本方法により腫瘍細胞成長の阻害および/または腫瘍細胞の転移の阻害がもたらされる。別の実施形態では、細胞はCXCR4を発現するT細胞であり、かつ本方法によりHIVの細胞への侵入の阻害がもたらされる。さらに別の実施形態では、細胞は炎症性障害におけるリンパ球であり、かつ本方法により炎症の阻害がもたらされる。さらに別の実施形態では、細胞は血管新生に関与し、かつ本方法により血管新生の調節がもたらされる。

0029

別の態様では、本開示は、対象における骨髄から末梢血へのCD34+幹細胞動員を刺激する方法であって、対象に本開示の抗体またはその抗原結合部分を骨髄から末梢血へのCD34+幹細胞の動員が刺激されるように投与するステップを含む、方法に関する。本方法は、例えば自家幹細胞移植での使用においては末梢血からCD34+幹細胞を回収するステップをさらに含みうる。

0030

本開示の他の特徴および利点は以下の詳細な説明および実施例から明白となり、それらは限定するものとして解釈されるべきではない。本願の全体を通じて言及されるあらゆる参考文献の内容、GenBank登録番号、特許および公開された特許出願は、参照により本明細書中に明示的に援用される。

図面の簡単な説明

0031

F7ヒトモノクローナル抗体の重鎖可変領域のヌクレオチド配列(配列番号33)およびアミノ酸配列(配列番号25)を示す。CDR1(配列番号1)、CDR2(配列番号5)およびCDR3(配列番号9)領域が図示され、かつV、DおよびJ生殖細胞系誘導体が示される。
F7ヒトモノクローナル抗体の軽鎖可変領域のヌクレオチド配列(配列番号37)およびアミノ酸配列(配列番号29)を示す。CDR1(配列番号13)、CDR2(配列番号17)およびCDR3(配列番号21)領域が図示され、かつVおよびJ生殖細胞系誘導体が示される。
F9ヒトモノクローナル抗体の重鎖可変領域のヌクレオチド配列(配列番号34)およびアミノ酸配列(配列番号26)を示す。CDR1(配列番号2)、CDR2(配列番号6)およびCDR3(配列番号10)領域が図示され、かつV、DおよびJ生殖細胞系誘導体が示される。
F9ヒトモノクローナル抗体の軽鎖可変領域のヌクレオチド配列(配列番号38)およびアミノ酸配列(配列番号30)を示す。CDR1(配列番号14)、CDR2(配列番号18)およびCDR3(配列番号22)領域が図示され、かつVおよびJ生殖細胞系誘導体が示される。
D1ヒトモノクローナル抗体の重鎖可変領域のヌクレオチド配列(配列番号35)およびアミノ酸配列(配列番号27)を示す。CDR1(配列番号3)、CDR2(配列番号7)およびCDR3(配列番号11)領域が図示され、かつV、DおよびJ生殖細胞系誘導体が示される。
D1ヒトモノクローナル抗体の軽鎖可変領域のヌクレオチド配列(配列番号39)およびアミノ酸配列(配列番号31)を示す。CDR1(配列番号15)、CDR2(配列番号19)およびCDR3(配列番号23)領域が図示され、かつVおよびJ生殖細胞系誘導体が示される。
E2ヒトモノクローナル抗体の重鎖可変領域のヌクレオチド配列(配列番号36)およびアミノ酸配列(配列番号28)を示す。CDR1(配列番号4)、CDR2(配列番号8)およびCDR3(配列番号12)領域が図示され、かつV、DおよびJ生殖細胞系誘導体が示される。
E2ヒトモノクローナル抗体の軽鎖可変領域のヌクレオチド配列(配列番号40)およびアミノ酸配列(配列番号32)を示す。CDR1(配列番号16)、CDR2(配列番号20)およびCDR3(配列番号24)領域が図示され、かつVおよびJ生殖細胞系誘導体が示される。
F7(配列番号25)およびF7GL(配列番号41)の重鎖可変領域のアミノ酸配列とヒト生殖細胞系VH3−48アミノ酸配列(配列番号49)とのアラインメントを示す(配列番号52として開示されるJH6b生殖細胞系)。
F7(配列番号29)およびF7GL(配列番号45)の軽鎖可変領域のアミノ酸配列とヒト生殖細胞系VKL15アミノ酸配列(配列番号50)とのアラインメントを示す(配列番号53として開示されるJK1生殖細胞系)。
F9(配列番号26)およびF9GL(配列番号42)の重鎖可変領域のアミノ酸配列とヒト生殖細胞系VH3−48アミノ酸配列(配列番号49)とのアラインメントを示す(配列番号52として開示されるJH6b生殖細胞系)。
F9(配列番号30)およびF9GL(配列番号46)の軽鎖可変領域のアミノ酸配列とヒト生殖細胞系VKL15アミノ酸配列(配列番号50)とのアラインメントを示す(配列番号53として開示されるJK1生殖細胞系)。
D1(配列番号27)およびD1GL(配列番号43)の重鎖可変領域のアミノ酸配列とヒト生殖細胞系VH3−48アミノ酸配列(配列番号49)とのアラインメントを示す(配列番号52として開示されるJH6b生殖細胞系)。
D1(配列番号31)およびD1GL(配列番号47)の軽鎖可変領域のアミノ酸配列とヒト生殖細胞系VKL15アミノ酸配列(配列番号50)とのアラインメントを示す(配列番号53として開示されるJK1生殖細胞系)。
E2(配列番号28)およびE2GL(配列番号44)の重鎖可変領域のアミノ酸配列とヒト生殖細胞系VH3−48アミノ酸配列(配列番号49)とのアラインメントを示す(配列番号52として開示されるJH6b生殖細胞系)。
E2(配列番号32)およびE2GL(配列番号48)の軽鎖可変領域のアミノ酸配列とヒト生殖細胞系VKL15アミノ酸配列(配列番号50)とのアラインメントを示す(配列番号53として開示されるJK1生殖細胞系)。
抗CXCR4ヒト抗体F7、F9、D1およびE2の、細胞表面上に天然ヒトCXCR4を発現するCEM細胞への結合を示すグラフである。
FITC標識抗CXCR4抗体F9と一群の未標識抗CXCR4ヒト抗体との間でのCEM細胞への結合に対する抗体競合を示すグラフである。
抗CXCR4ヒト抗体F7、F9およびD1による125I標識SDF−1のCEM細胞への結合の阻害を示すグラフである。
抗CXCR4ヒト抗体F7、F9およびD1によるCEM細胞内でのSDF−1誘発性のカルシウム流束の阻害を示すグラフである。
抗CXCR4ヒト抗体F7およびF9によるCEM細胞のSDF−1誘発性の遊走の阻害を示すグラフである。
抗CXCR4ヒト抗体F7、F9およびE2によるインビトロでのラモス(Ramos)腫瘍細胞増殖の阻害を示すグラフである。
抗CXCR4ヒト抗体F7およびF9による皮下腫瘍モデルでのインビボでのラモス腫瘍細胞増殖の阻害を示すグラフである。平均腫瘍体積成長曲線を示す。
抗CXCR4ヒト抗体F7およびF9による皮下腫瘍モデルでのインビボでのラモス腫瘍細胞増殖の阻害を示すグラフである。腫瘍体積中央値成長曲線を示す。
抗CXCR4ヒト抗体F7およびF9による皮下腫瘍モデルでのインビボでのラモス腫瘍細胞増殖の阻害を示すグラフである。%体重変化の中央値を示す。
ラモス全身性腫瘍細胞モデルでの抗CXCR4ヒト抗体F9で治療されたマウスの%生存率を示すグラフである。

0032

本開示は、細胞表面上に発現される天然ヒトCXCR4に特異的に結合する単離モノクローナル抗体、特にヒトモノクローナル抗体に関する。特定の実施形態では、本開示の抗体は、特定の重鎖および軽鎖生殖細胞系配列から誘導され、および/または特定のアミノ酸配列を含むCDR領域などの特定の構造的特徴を含む。本開示は、単離抗体、かかる抗体を作製する方法、かかる抗体を含む免疫複合体および二重特異性分子、ならびに本開示の抗体、免疫複合体または二重特異性分子を含有する医薬組成物を提供する。本開示は、抗体を用い、例えばCXCR4を検出するとともに、CXCR4の発現を伴うかまたはCXCR4/SDF−1経路を含む疾患または障害、例えば癌、腫瘍転移HIV感染、炎症および血管新生におけるCXCR4活性を調節する方法にも関する。したがって、本開示は、本開示の抗CXCR4抗体を用い、癌を治療する、例えば、乳癌卵巣癌前立腺癌非小細胞肺癌膵臓癌甲状腺癌メラノーマ鼻咽頭癌、腎細胞リンパ腫神経芽細胞腫グリア芽腫横紋筋肉腫結腸直腸癌腎臓癌骨肉腫急性リンパ芽球性白血病または急性骨髄性白血病などの癌を治療する方法も提供する。さらに、本開示は、本開示の抗CXCR4抗体を用いて腫瘍転移を阻害する方法を提供する。

0033

定義
本開示がより容易に理解されうるように、最初に特定の用語が定義される。さらなる定義が詳細な説明を通じて示される。

0034

「CXCR4」という用語は、変異体アイソフォーム相同体オーソログおよびパラログを含む。例えば、CXCR4に特異的な抗体は、特定の場合、ヒト以外の種由来のCXCR4と交差反応しうる。他の実施形態では、ヒトCXCR4に特異的な抗体は、ヒトCXCR4に完全に特異的でありうるとともに、交差反応の種または他のタイプを示す可能性はない。「ヒトCXCR4」という用語は、ヒト配列CXCR4、例えばGenbank登録番号P61073(配列番号51)を有するヒトCXCR4の完全なアミノ酸配列を示す。例えばLESTR、フシン(Fusin)またはCD184などのCXCR4も当該技術分野で既知である。ヒトCXCR4配列は、例えば保存された変異または非保存領域内の変異を有する点で配列番号51のヒトCXCR4と異なる場合があり、かつCXCR4は配列番号51のヒトCXCR4と実質的に同じ生物学的機能を有する。例えば、ヒトCXCR4の生物学的機能は、本開示の抗体により特異的に結合されたCXCR4の細胞外ドメイン内にエピトープを有することであるかまたはヒトCXCR4の生物学的機能は転移プロセスにおけるケモカインとの結合または関与である。

0035

特定のヒトCXCR4配列は、一般にアミノ酸配列が配列番号51のヒトCXCR4と少なくとも90%同一であり、アミノ酸配列が他の種(例えばマウス)のCXCR4アミノ酸配列と比較される場合にヒトであることが同定されるアミノ酸残基を有する。特定の場合、ヒトCXCR4は、アミノ酸配列が配列番号51のCXCR4と少なくとも95%、またはさらに少なくとも96%、97%、98%、もしくは99%同一でありうる。特定の実施形態では、ヒトCXCR4配列は、配列番号51のCXCR4と10個以下のアミノ酸の違いを示す。特定の実施形態では、ヒトCXCR4は、配列番号51のCXCR4と5個以下、またはさらに4、3、2、もしくは1個以下のアミノ酸の違いを示すことになる。パーセント同一性は本明細書中に記載のように決定されうる。

0036

「SDF−1」という用語は、CXCR4のリガンドである間質細胞由来因子1を示す。「SDF−1」という用語は、SDF−1の異なるアイソフォーム、例えばSDF−1αおよびSDF−1βを包含する。ヒトSDF−1αのアミノ酸配列は、Genbank登録番号NP_954637を有する。ヒトSDF−1βのアミノ酸配列は、Genbank登録番号NP_000600を有する。ヒトSDF−1は、米国特許第5,756,084号明細書にも記載されている。SDF−1はCXCL12としても既知である。ヒトSDF−1のアミノ酸配列は、CXCR4について本明細書中に記載のようにNP_954637またはNP_000600のSDF−1と異なる可能性がある。

0037

免疫応答」という用語は、侵入する病原体、病原体に感染した細胞もしくは組織、癌細胞、または自己免疫もしくは病的炎症の場合での正常なヒト細胞もしくは組織に対する選択的損傷、それらの破壊または人体からの除去をもたらす、例えば、(抗体、サイトカイン、および補体を含む)上記の細胞または肝臓によって生成されるリンパ球、抗原提示細胞食細胞顆粒球、および可溶性高分子の作用を示す。

0038

シグナル伝達経路」は、細胞のある部分から細胞の別の部分へのシグナルの伝達を担う種々のシグナル伝達分子間の生化学的関係を示す。本明細書で用いられる「細胞表面受容体」という語句は、例えばシグナルの受け取りおよび細胞の原形質膜を通過するかかるシグナルの伝達が可能な分子および分子の複合体を含む。本発明の「細胞表面受容体」の例として、CXCR4受容体が挙げられる。

0039

本明細書で記載の「抗体」という用語は、全抗体および任意の抗原結合断片(すなわち「抗原結合部分」)またはその一本鎖を含む。「抗体」は、ジスルフィド結合により相互接続された少なくとも2つの重(H)鎖および2つの軽(L)鎖またはその抗原結合部分を含む糖タンパク質を示す。各重鎖は重鎖可変領域(本明細書中でVHと略記)および重鎖定常領域からなる。重鎖定常領域はCH1、CH2およびCH3という3つのドメインからなる。各軽鎖は軽鎖可変領域(本明細書中でVLと略記)および軽鎖定常領域からなる。軽鎖定常領域はCLという1つのドメインからなる。VHおよびVL領域は、相補性決定領域(CDR)と称される超可変領域にさらに再分化され、フレームワーク領域(FR)と称されるより保存される領域が組み入れられうる。各VHおよびVLは3つのCDRおよび4つのFRからなり、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4の順序アミノ末端からカルボキシ末端へ配列される。重鎖および軽鎖の可変領域は抗原相互作用する結合ドメインを有する。抗体の定常領域は、免疫グロブリン宿主組織または免疫系の様々な細胞(例えばエフェクター細胞)および古典的補体系の第1の成分(Clq)を含む因子への結合を媒介しうる。

0040

本明細書で用いられる抗体の「抗原結合部分」(または単に「抗体部分」)という用語は、抗原(例えばCXCR4)に特異的に結合する能力を保持する抗体の1つ以上の断片を示す。抗体の抗原結合機能が完全長抗体の断片により果たされうることが示されている。抗体の「抗原結合部分」という用語の範囲内に包含される結合断片の例として、(i)VL、VH、CLおよびCH1ドメインからなる一価断片であるFab断片;(ii)ヒンジ領域でのジスルフィド架橋により連結された2つのFab断片を含む二価断片であるF(ab’)2断片;(iii)本質的にヒンジ領域の一部を有するFabであるFab’断片(「基礎免疫学(FUNDAMENTALIMMUNOLOGY)」(ポール(Paul)編、第3版、1993年)を参照);(iv)VHおよびCH1ドメインからなるFd断片;(v)抗体の単一の腕のVLおよびVHドメインからなるFv断片、(vi)VHドメインからなるdAb断片(ワード(Ward)ら、(1989年)Nature 341:544−546頁);(vii)単離された相補性決定領域(CDR);ならびに(viii)1つの可変ドメインおよび2つの定常ドメインを有する重鎖可変領域であるナノボディ(nanobody)が挙げられる。さらに、Fv断片の2つのドメインのVLおよびVHが別々の遺伝子でコードされるが、VLおよびVH領域が、それらの一価分子を形成するように対をなす場合の単一のタンパク質鎖としての作製を可能にする合成リンカーによる組換え方法を用いて連結されうる(一本鎖Fv(scFv)として知られる;例えばバード(Bird)ら(1988年)Science 242:423−426頁、およびハストン(Huston)ら(1988年)Proc.Natl.Acad.Sci.USA85:5879−5883頁を参照)。かかる一本鎖抗体は、抗体の「抗原結合部分」という用語の範囲内に包含されるようにも意図されている。これらの抗体断片は、当業者に既知の従来の技術を用いて得られ、断片における有用性無傷抗体の場合と同様の方法でスクリーニングされる。

0041

本明細書で用いられる「単離抗体」は、異なる抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まない抗体を示すように意図されている(例えば、CXCR4に対して特異的に結合する単離抗体は、CXCR4以外の抗原に対して特異的に結合する抗体を実質的に含まない)。しかし、CXCR4に対して特異的に結合する単離抗体は、他の抗原、例えば他の種由来のCXCR4分子に対する交差反応性を有しうる。さらに、単離抗体は、他の細胞材料および/または化学物質を実質的に含まない場合がある。

0042

本明細書で用いられる「モノクローナル抗体」または「モノクローナル抗体組成物」という用語は、単一の分子組成物抗体分子調製物を示す。モノクローナル抗体組成物は、特定のエピトープに対する単一の結合特異性および親和性を示す。

0043

本明細書で用いられる「ヒト抗体」という用語は、フレームワークおよびCDR領域の双方がヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列から誘導される場合の可変領域を有する抗体を含むように意図されている。さらに、抗体が定常領域を有する場合、定常領域もヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列から誘導される。本開示のヒト抗体は、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列によりコードされることのないアミノ酸残基(例えば、インビトロでのランダムまたは部位特異的な突然変異誘発またはインビボでの体細胞突然変異により導入される突然変異)を含みうる。しかし、本明細書で用いられる「ヒト抗体」という用語は、別の哺乳類種、例えばマウスの生殖細胞系から誘導されたCDR配列がヒトフレームワーク配列上に移植されている場合の抗体を含むように意図されていない。

0044

「ヒトモノクローナル抗体」という用語は、フレームワークおよびCDR領域の双方がヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列から誘導される場合の可変領域を有する単一の結合特異性を提示する抗体を示す。一実施形態では、ヒトモノクローナル抗体は、不死化細胞に融合されたヒト重鎖トランス遺伝子および軽鎖トランス遺伝子を含むゲノムを有するトランスジェニック非ヒト動物、例えばトランスジェニックマウスから得られるB細胞を含むハイブリドーマにより産生される。

0045

本明細書で用いられる「組換えヒト抗体」という用語は、組換え手段により調製、発現、作製または単離されるすべてのヒト抗体、例えば(a)ヒト免疫グロブリン遺伝子におけるトランスジェニックまたはトランスクロモゾ−ム(transchromosomal)である動物(例えばマウス)あるいはそれから調製されるハイブリドーマから単離される抗体(さらに下記に記載)、(b)形質転換されることでヒト抗体を発現する宿主細胞、例えばトランスフェクトーマ(Transfectoma)から単離される抗体、(c)組換えられたコンビナトリアルヒト抗体ライブラリから単離される抗体、および(d)ヒト免疫グロブリン遺伝子配列の他のDNA配列へのスプライシングを含む任意の他の手段により調製、発現、作製または単離される抗体を含む。かかる組換えヒト抗体は、フレームワークおよびCDR領域がヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列から誘導される場合の可変領域を有する。しかし、特定の実施形態では、かかる組換えヒト抗体に対し、インビトロでの突然変異誘発(または、ヒトIg配列に対してトランスジェニックな動物が用いられる場合、インビボでの体細胞突然変異誘発)を実施可能であり、それ故、組換え抗体のVHおよびVL領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖細胞系VHおよびVL配列から誘導されかつそれらに関連する一方、インビボでヒト抗体生殖細胞系レパートリーの範囲内に天然に存在することがない配列である。

0046

本明細書で用いられる「アイソタイプ」は、重鎖定常領域遺伝子によりコードされる抗体クラス(例えばIgMまたはIgGl)を示す。

0047

「抗原を認識する抗体」および「抗原に対して特異的な抗体」という語句は、本明細書中で「抗原に対して特異的に結合する抗体」という用語と同義的に用いられる。

0048

「ヒト抗体誘導体」という用語は、ヒト抗体の任意の修飾形態、例えば抗体と別の作用物質または抗体との複合体を示す。

0049

ヒト化抗体」という用語は、別の哺乳類種、例えばマウスの生殖細胞系から誘導されるCDR配列がヒトフレームワーク配列上に移植されている場合の抗体を示すように意図されている。さらなるフレームワーク領域の修飾がヒトフレームワーク配列内でなされうる。

0050

キメラ抗体」という用語は、可変領域配列が1種から誘導されかつ定常領域配列が別種から誘導される場合の抗体、例えば可変領域配列がマウス抗体から誘導されかつ定常領域配列がヒト抗体から誘導される場合の抗体を示すように意図されている。

0051

本明細書で用いられる「ヒトCXCR4に特異的に結合する」抗体は、ヒトCXCR4(および場合により1つ以上の非ヒト種に由来するCXCR4)に結合するが、非CXCR4タンパク質に実質的に結合することがない抗体を示すように意図されている。特定の実施形態では、本開示の抗体は配列番号51のヒトCXCR4またはその変異体に特異的に結合する。好ましくは、抗体は1×10−7M以下、より好ましくは5×10−8M以下、より好ましくは3×10−8M以下、より好ましくは1×10−8M以下、さらにより好ましくは5×10−9M以下のKDでヒトCXCR4に結合する。

0052

本明細書で用いられる、タンパク質または細胞に「実質的に結合することのない」という用語は、タンパク質または細胞に高親和性で結合することのない、すなわちタンパク質または細胞に1×10−6M以上、より好ましくは1×10−5M以上、より好ましくは1×10−4M以上、より好ましくは1×10−3M以上、さらにより好ましくは1×10−2M以上のKDで結合することを示す。

0053

本明細書で用いられる「Kassoc」または「Ka」という用語は特定の抗体−抗原相互作用の結合速度を示すように意図されている一方、本明細書で用いられる「Kdis」または「Kd」という用語は特定の抗体−抗原相互作用の解離速度を示すように意図されている。本明細書で用いられる「KD」という用語は解離定数を示すように意図されており、それはKd対Kaの比(すなわちKd/Ka)から得られ、かつモル濃度(M)として表現されるものである。抗体におけるKD値は、当該技術分野で十分に確立された方法を用いて決定可能である。抗体のKDを決定するための好ましい方法は、表面プラスモン共鳴、好ましくはビアコア(Biacore)(登録商標)システムなどのバイオセンサーシステムの利用によるものである。

0054

本明細書で用いられるIgG抗体における「高親和性」という用語は、標的抗原に対して1×10−7M以下、より好ましくは5×10−8M以下、さらにより好ましくは1×10−8M以下、さらにより好ましくは5×10−9M以下およびさらにより好ましくは1×10−9M以下のKDを有する抗体を示す。しかし、「高親和性」結合は、他の抗体アイソタイプに応じて変化しうる。例えば、IgMアイソタイプに対する「高親和性」結合は、10−6M以下、より好ましくは10−7M以下、さらにより好ましくは10−8M以下のKDを有する抗体を示す。

0055

本明細書で用いられる「対象」という用語は任意のヒトまたは非ヒト動物を示す。「非ヒト動物」という用語は、すべての脊椎動物、例えば哺乳類および非哺乳類、例えば非ヒト霊長類ヒツジイヌネコウマウシニワトリ両生類爬虫類などを含む。

0056

本開示の様々な態様は、以下のサブセクションでさらに詳述される。

0057

抗CXCR4抗体
本開示の抗体は、抗体の特定の機能特徴または特性により特徴づけられる。例えば、この抗体は細胞表面上に発現される天然ヒトCXCR4に結合する。好ましくは、本開示の抗体は、高親和性、例えば1×10−7M以下のKDでCXCR4に結合する。本開示の抗CXCR4抗体は、好ましくは、
(a)細胞表面上に発現される天然ヒトCXCR4に結合する、
(b)SDF−1のCXCR4への結合を阻害する、
(c)CXCR4を発現する細胞内でのSDF−1誘発性のカルシウム流束を阻害する、
(d)CXCR4を発現する細胞のSDF−1誘発性の遊走を阻害する、
(e)ヒト臍静脈内皮細胞による毛細管形成を阻害する、
(f)ヒトCXCR4に1×10−7M以下のKDで結合する、
(g)CXCR4を発現する細胞内でのアポトーシスを誘発する、
(h)インビトロで腫瘍細胞増殖を阻害する、
(i)インビボで腫瘍細胞増殖を阻害する、および/または腫瘍細胞のアポトーシスを誘発する、
(j)CXCR4+腫瘍細胞の転移を阻害する;および/または
(k)CXCR4+腫瘍を担持する対象の生存時間を増加させる、
といった特徴のうちの1つ以上を示す。

0058

特定の実施形態では、本開示の抗体は、細胞表面上で天然ヒトCXCR4に結合するが、SDF−1のCXCR4への結合を阻害することがなく、かつCXCR4を発現する細胞内でのSDF−1誘発性のカルシウム流束を阻害することがなく、かつCXCR4を発現する細胞のSDF−1誘発性の遊走を阻害することがない。他の実施形態では、本開示の抗体は、細胞表面上で天然ヒトCXCR4に結合し、SDF−1のCXCR4への結合を阻害し、かつCXCR4を発現する細胞内でのSDF−1誘発性のカルシウム流束を阻害するが、CXCR4を発現する細胞のSDF−1誘発性の遊走を阻害することがない。さらに他の実施形態では、本開示の抗体は、細胞表面上で天然ヒトCXCR4に結合し、かつSDF−1のCXCR4への結合を阻害し、かつCXCR4を発現する細胞内でのSDF−1誘発性のカルシウム流束を阻害し、かつCXCR4を発現する細胞のSDF−1誘発性の遊走を阻害する。さらに他の実施形態では、本開示の抗体は、細胞表面上で天然ヒトCXCR4に結合し、SDF−1のCXCR4への結合を阻害し、CXCR4を発現する細胞内でのSDF−1誘発性のカルシウム流束を阻害し、CXCR4を発現する細胞のSDF−1誘発性の遊走を阻害し、かつHuVECによる毛細管形成を阻害する。

0059

好ましくは、本開示の抗体は、ヒトCXCR4に5×10−8M以下のKDで結合するか、ヒトCXCR4に2×10−8M以下のKDで結合するか、ヒトCXCR4に5×10−9M以下のKDで結合するか、ヒトCXCR4に4×10−9M以下のKDで結合するか、ヒトCXCR4に3×10−9M以下のKDで結合するか、またはヒトCXCR4に2×10−9M以下のKDで結合する。

0060

好ましくは、本開示の抗体は、SDF−1のヒトCXCR4への結合を、50nM以下、より好ましくは30nM以下、または15nM以下、または10nM以下、または5nM以下、または3nM以下の阻害に対するEC50(例えば、28.60nM以下、または12.51nM以下、または2.256nM以下の阻害に対するEC50)で阻害する。

0061

好ましくは、本開示の抗体は、ヒトCXCR4を発現する細胞内でのSDF−1誘発性のカルシウム流束を、3nM以下、より好ましくは2nM以下、または1nM以下、または0.9nM以下、または0.8nM以下、または0.7nM以下、または0.6nM以下、または0.5nM以下、または0.4nM以下(例えば、0.9046nM以下、0.5684nM以下、または0.3219nM以下)の阻害に対するEC50で阻害する。

0062

好ましくは、本開示の抗体は、ヒトCXCR4を発現する細胞のSDF−1誘発性の遊走を、50nM以下、より好ましくは30nM以下、または20nM以下、または15nM以下(例えば、18.99nM以下、または12.44nM以下)の阻害に対するEC50で阻害する。

0063

細胞表面上に発現される天然ヒトCXCR4に対する抗体の結合能を評価するための標準アッセイは、当該技術分野で既知であり、例えば天然CXCR4を天然に発現するかまたは形質移入により天然CXCR4を発現している細胞系を用いるフローサイトメトリー分析を含む。適切なアッセイについては実施例に詳述される。天然CXCR4を発現する好ましい細胞系はCEMT細胞系である。SDF−1の結合の阻害、SDF−1誘発性のカルシウム流束の阻害、SDF−1誘発性の細胞遊走の阻害、HuVECによる毛細管形成の阻害、インビトロおよび/またはインビボでのCXCR4を発現する細胞内でのアポトーシスの誘発、インビトロおよび/またはインビボでのCXCR4+腫瘍細胞の成長の阻害、および/またはCXCR4+腫瘍細胞の転移の阻害の評価に適するアッセイについても実施例に詳述される。また抗体の結合親和性は、標準の方法、例えばスカッチャード(Scatchard)分析により決定されうる。

0064

モノクローナル抗体F7、F9、D1およびE2
本開示の好ましい抗体は、実施例1および2で記載のように単離されかつ構造的に特徴づけられるヒトモノクローナル抗体F7、F9、D1およびE2である。F7、F9、D1およびE2のVHアミノ酸配列は、それぞれ配列番号25、26、27および28で示される。F7、F9、D1およびE2のVLアミノ酸配列は、それぞれ配列番号29、30、31および32で示される。さらに、特定のフレームワーク残基が生殖細胞系残基で置換された、F7、F9、D1およびE2の他の形態が作製されたが、それらは本明細書中でF7GL、F9GL、D1GLおよびE2GLと称される。F7GL、F9GL、D1GLおよびE2GLのVHアミノ酸配列は、それぞれ配列番号41、42、43および44で示される。F7GL、F9GL、D1GLおよびE2GLのVLアミノ酸配列は、それぞれ配列番号45、46、47および48で示される。

0065

これらの各抗体がCXCR4に結合しうると仮定すると、VHおよびVL配列が「混合されて一致する」ことで本開示の他の抗CXCR4結合分子の作製が可能である。かかる「混合されて一致する」抗体のCXCR4への結合については、上記や実施例における結合アッセイ(例えばCEM細胞でのフローサイトメトリー)を用いて試験可能である。好ましくは、VHおよびVL鎖が混合されて一致する場合、特定のVH/VL対からのVH配列が構造的に類似のVH配列と置換される。同様に、好ましくは特定のVH/VL対からのVL配列は構造的に類似のVL配列と置換される。

0066

したがって、一態様では、本開示は、
(a)配列番号25〜28および41〜44からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および
(b)配列番号29〜32および45〜48からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域
を含む単離モノクローナル抗体またはその抗原結合部分を提供し、ここで抗体はCXCR4、好ましくはヒトCXCR4に対して特異的に結合する。

0067

好ましい重鎖および軽鎖の組み合わせは、
(a)配列番号25または41のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と配列番号29または45のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、または
(b)配列番号26または42のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と配列番号30または46のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、または
(c)配列番号27または43のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と配列番号31または47のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、または
(d)配列番号28または44のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号32または48のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域
を含む。

0068

別の態様では、本開示は、F7、F9、D1またはE2の重鎖および軽鎖のCDR1、CDR2およびCDR3またはそれらの組み合わせを含む抗体を提供する。F7、F9、D1およびE2のVHCDR1のアミノ酸配列はそれぞれ配列番号1〜4で示される。F7、F9、D1およびE2のVHCDR2のアミノ酸配列はそれぞれ配列番号5〜8で示される。F7、F9、D1およびE2のVHCDR3のアミノ酸配列はそれぞれ配列番号9〜12で示される。F7、F9、D1およびE2のVKCDR1のアミノ酸配列はそれぞれ配列番号13〜16で示される。F7、F9、D1およびE2のVKCDR2のアミノ酸配列はそれぞれ配列番号17〜20で示される。F7、F9、D1およびE2のVKCDR3のアミノ酸配列はそれぞれ配列番号21〜24で示される。CDR領域は、カバト(Kabat)システム(カバト E.A.(Kabat E.A.)ら(1991年)「免疫学的利益に関するタンパク質配列(Sequences of Proteins of Immunological Interest)(第5版)」、米国保健福祉省(U.S.Department of Health and Human Services)、NIH Publication No.91−3242)を用いて図示される。

0069

これらの各抗体がCXCR4に結合可能でありかつ抗原結合特異性が主にCDR1、CDR2、およびCDR3領域により提供されると仮定すると、VHCDR1、CDR2、およびCDR3配列とVKCDR1、CDR2、およびCDR3配列が「混合されて一致する」(すなわち、各抗体がVHCDR1、CDR2、およびCDR3とVKCDR1、CDR2、およびCDR3を有する必要があるが、異なる抗体由来のCDRが混合されて一致する)ことで、本開示の他の抗CXCR4結合分子の作製が可能である。かかる「混合されて一致する」抗体のCXCR4への結合は、上記や実施例に記載の結合アッセイ(例えば、ELISA、ビアコア(Biacore)(登録商標)分析)を用いて試験可能である。好ましくは、VHCDR配列が混合されて一致する場合、特定のVH配列由来のCDR1、CDR2および/またはCDR3配列は構造的に類似のCDR配列と置換される。同様に、VKCDR配列が混合されて一致する場合、特定のVK配列由来のCDR1、CDR2および/またはCDR3配列は、好ましくは構造的に類似のCDR配列と置換される。新規のVHおよびVL配列の作製が、1つ以上のVHおよび/またはVLCDR領域配列をモノクローナル抗体F7、F9、D1およびE2における本明細書中に開示されるCDR配列由来の構造的に類似の配列と置換することにより可能であることは当業者に容易に理解されるであろう。

0070

したがって、別の態様では、本開示は、
(a)配列番号1〜4からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域のCDR1;
(b)配列番号5〜8からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域のCDR2;
(c)配列番号9〜12からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域のCDR3;
(d)配列番号13〜16からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域のCDR1;
(e)配列番号17〜20からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域のCDR2;および
(f)配列番号21〜24からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域のCDR3;
を含む単離モノクローナル抗体またはその抗原結合部分を提供し、ここで抗体はCXCR4、好ましくはヒトCXCR4に対して特異的に結合する。

0071

好ましい実施形態では、抗体は、
(a)配列番号1を含む重鎖可変領域のCDR1;
(b)配列番号5を含む重鎖可変領域のCDR2;
(c)配列番号9を含む重鎖可変領域のCDR3;
(d)配列番号13を含む軽鎖可変領域のCDR1;
(e)配列番号17を含む軽鎖可変領域のCDR2;および
(f)配列番号21を含む軽鎖可変領域のCDR3
を含む。

0072

別の好ましい実施形態では、抗体は、
(a)配列番号2を含む重鎖可変領域のCDR1;
(b)配列番号6を含む重鎖可変領域のCDR2;
(c)配列番号10を含む重鎖可変領域のCDR3;
(d)配列番号14を含む軽鎖可変領域のCDR1;
(e)配列番号18を含む軽鎖可変領域のCDR2;および
(f)配列番号22を含む軽鎖可変領域のCDR3
を含む。

0073

別の好ましい実施形態では、抗体は、
(a)配列番号3を含む重鎖可変領域のCDR1;
(b)配列番号7を含む重鎖可変領域のCDR2;
(c)配列番号11を含む重鎖可変領域のCDR3;
(d)配列番号15を含む軽鎖可変領域のCDR1;
(e)配列番号19を含む軽鎖可変領域のCDR2;および
(f)配列番号23を含む軽鎖可変領域のCDR3
を含む。

0074

別の好ましい実施形態では、抗体は、
(a)配列番号4を含む重鎖可変領域CDR1、
(b)配列番号8を含む重鎖可変領域CDR2、
(c)配列番号12を含む重鎖可変領域CDR3、
(d)配列番号16を含む軽鎖可変領域CDR1、
(e)配列番号20を含む軽鎖可変領域CDR2、および
(f)配列番号24を含む軽鎖可変領域CDR3
を含む。

0075

CDR1および/またはCDR2ドメインから独立したCDR3ドメインが単独で抗体の同族抗原に対する結合特異性を決定しうることと、共通のCDR3配列に基づく同じ結合特異性を有する複数の抗体が予測どおりに産生されうることは、当該技術分野で周知である。例えば、(マウス抗CD30抗体Ki−4の重鎖可変ドメインCDR3のみを用いるヒト化抗CD30抗体の産生について記載する)クリムカ(Klimka)ら、British J.of Cancer 83(2):252−260頁(2000年);(親マウスMOC−31抗EGP−2抗体の重鎖CDR3配列のみを用いる組換え上皮糖タンパク質−2(EGP−2)抗体について記載する)ベイボアー(Beiboer)ら、J.Mol.Biol.296:833−849頁(2000年);(マウス抗インテグリンαvβ3抗体LM609の重鎖および軽鎖可変CDR3ドメインを用いる一群のヒト化抗インテグリンαvβ3抗体においては、各メンバー抗体は、CDR3ドメイン外部の異なる配列を含み、親マウス抗体と同じエピトープに親マウス抗体と同程度に高いまたはそれより高い親和性で結合可能である点について記載する)レイダー(Rader)ら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.95:8910−8915頁(1998年);(CDR3ドメインが抗原結合に対して最も有意な寄与をもたらす点を開示する)バーバス(Barbas)ら、J.Am.Chem.Soc.116:2161−2162頁(1994年);(ヒト胎盤DNAに対する3つのFab(SI−1、SI−40、およびSI−32)の重鎖CDR3配列の抗破傷風トキソイドFabの重鎖上への移植により既存の重鎖CDR3が置換される点を記載し、CDR3ドメインが単独で結合特異性を与えた点について示している)バーバス(Barbas)ら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.92:2529−2533頁(1995年);(単一特異性IgG破傷風トキソイドに結合するFab p313抗体の重鎖に対する親多重特異性Fab LNA3の重鎖CDR3のみの転移が親Fabの結合特異性を保持するのに十分であったという移植試験について記載する)ディッツェル(Ditzel)ら、J.Immunol.157:739−749頁(1996年)を参照のこと。(抗HER2モノクローナル抗体のCDR3に基づくペプチドミメティクスについて記載する)ベレゾフ(Berezov)ら、BIAjournal 8:Scientific Review 8(2001年);(抗ホスファチジルセリン抗体のCDR3ドメインに対応する12個のアミノ酸合成ポリペプチドについて記載する)五十(Igarashi)ら、J.Biochem(Tokyo)117:452−7頁(1995年);(抗呼吸器合胞体ウイルス(RSV)抗体の重鎖CDR3ドメインから誘導される単一のペプチドがインビトロでウイルス中和可能であることを示す)ブルジョア(Bourgeois)ら、J.Virol 72:807−10頁(1998年);(マウス抗HIV抗体の重鎖CDR3ドメインに基づくペプチドについて記載する)レビ(Levi)ら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.90:4374−8頁(1993年);(scFvの結合をZ−DNA結合抗体の重鎖CDR3領域の移植により可能にすることについて記載する)ポリニス(Polymenis)およびストーラー(Stoller)、J.Immunol.152:5218−5329頁(1994年);ならびに(重鎖CDR3での多様性が通常では同一のIgM分子における種々のハプテンタンパク質抗原との識別を可能にするのに十分であることについて記載する)シュー(Xu)およびデイビス(Davis)、Immunity 13:37−45頁(2000年)。さらに、単一のCDRドメインによって定義される特許化された抗体について記載する米国特許第6,951,646号明細書;米国特許第6,914,128号明細書;米国特許第6,090,382号明細書;米国特許第6,818,216号明細書;米国特許第6,156,313号明細書;米国特許第6,827,925号明細書;米国特許第5,833,943号明細書;米国特許第5,762,905号明細書および米国特許第5,760,185号明細書を参照のこと。これらの各参考文献はその全体が参照により本明細書中に援用される。

0076

したがって、本開示は、ヒトまたは非ヒト動物から誘導される抗体由来の1つ以上の重鎖および/または軽鎖CDR3ドメインを含むモノクローナル抗体を提供し、ここでモノクローナル抗体はCXCR4に特異的に結合可能である。特定の態様の範囲内で、本開示は、非ヒト抗体、例えばマウスまたはラット抗体に由来する1つ以上の重鎖および/または軽鎖CDR3ドメインを含むモノクローナル抗体を提供し、ここでモノクローナル抗体はCXCR4に特異的に結合可能である。一部の実施形態の範囲内で、非ヒト抗体由来の1つ以上の重鎖および/または軽鎖CDR3ドメインを含む本発明の抗体は、(a)結合に対して競合可能であり、(b)機能特性を保持し、(c)同じエピトープに結合し、および/または(d)対応する親非ヒト抗体と類似の結合親和性を有する。

0077

他の態様の範囲内で、本開示は、例えば非ヒト動物から得られるヒト抗体などのヒト抗体由来の1つ以上の重鎖および/または軽鎖CDR3ドメインを含むモノクローナル抗体を提供し、ここでヒト抗体はCXCR4に特異的に結合可能である。他の態様の範囲内で、本開示は、例えば非ヒト動物から得られるヒト抗体などの第1のヒト抗体由来の1つ以上の重鎖および/または軽鎖CDR3ドメインを含むモノクローナル抗体を提供し、ここで第1のヒト抗体はCXCR4に特異的に結合可能であり、かつ第1のヒト抗体由来のCDR3ドメインはCXCR4への結合特異性が欠如したヒト抗体内のCDR3ドメインを置き換えることでCXCR4に特異的に結合可能な第2のヒト抗体が産生される。一部の実施形態の範囲内で、第1のヒト抗体由来の1つ以上の重鎖および/または軽鎖のCDR3ドメインを含む本発明の抗体は、(a)結合に対して競合可能であり、(b)機能特性を保持し、(c)同じエピトープに結合し、および/または(d)対応する第1の親ヒト抗体と類似の結合親和性を有する。

0078

特定の生殖細胞系配列を有する抗体
特定の実施形態では、本開示の抗体は、特定の生殖細胞系重鎖免疫グロブリン遺伝子由来の重鎖可変領域および/または特定の生殖細胞系軽鎖免疫グロブリン遺伝子由来の軽鎖可変領域を含む。

0079

例えば、好ましい実施形態では、本開示は、ヒトVH3−48遺伝子の産物であるかまたはそれから誘導される重鎖可変領域を含む単離モノクローナル抗体またはその抗原結合部分を提供し、ここで抗体はCXCR4に特異的に結合する。別の好ましい実施形態では、本開示は、ヒトVKL15遺伝子の産物であるかまたはそれから誘導される軽鎖可変領域を含む単離モノクローナル抗体またはその抗原結合部分を提供し、ここで抗体はCXCR4に特異的に結合する。さらに別の好ましい実施形態では、本開示は、単離モノクローナル抗体またはその抗原結合部分を提供し、ここで抗体はヒトVH3−48遺伝子の産物であるかまたはそれから誘導される重鎖可変領域を含みかつヒトVKL15遺伝子の産物であるかまたはそれから誘導される軽鎖可変領域を含み、ここで抗体はCXCR4、好ましくはヒトCXCR4に特異的に結合する。かかる抗体は、上で詳述の機能特性、例えば細胞表面上に発現される天然CXCR4への結合、SDF−1のCXCR4への結合の阻害、CXCR4を発現する細胞内でのSDF−1誘発性のカルシウム流束の阻害、CXCR4を発現する細胞のSDF−1誘発性の遊走の阻害、HuVECによる毛細管形成の阻害、インビトロおよび/またはインビボでのCXCR4を発現する細胞内でのアポトーシスの誘発、インビトロおよび/またはインビボでのCXCR4+腫瘍細胞の成長の阻害、および/またはCXCR4+腫瘍細胞の転移の阻害のうちの1つ以上も有しうる。

0080

VH3−48のVHおよびVKL15のVKを有する抗体の例がF7、F9、D1およびE2抗体である。

0081

本明細書で用いられるヒト抗体は、抗体の可変領域がヒト生殖細胞系免疫グロブリン遺伝子を用いる系から得られる場合、特定の生殖細胞系配列「の産物」であるかまたはそれ「から誘導される」重鎖または軽鎖可変領域を含む。かかる系は、目的の抗原とともにヒト免疫グロブリン遺伝子を保有するトランスジェニックマウスを免疫するステップまたは目的の抗原とともにファージ上に提示されたヒト免疫グロブリン遺伝子ライブラリをスクリーニングするステップを含む。ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列「の産物」であるかまたはそれ「から誘導される」ヒト抗体が、ヒト抗体のアミノ酸配列をヒト生殖細胞系免疫グロブリンのアミノ酸配列と比較し、配列においてヒト抗体の配列に対して最も近い(すなわち最大の%同一性がある)ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列を選択することにより、かかるものとして同定されうる。特定のヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列「の産物」であるかまたはそれ「から誘導される」ヒト抗体は、例えば自然発生的体細胞突然変異または部位特異的突然変異の意図的導入に起因し、生殖細胞系配列と比べてアミノ酸の差を有しうる。しかし、選択されたヒト抗体は、典型的にはアミノ酸配列においてヒト生殖細胞系免疫グロブリン遺伝子にコードされるアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一であり、かつ、ヒト抗体が他種の生殖細胞系免疫グロブリンアミノ酸配列(例えばマウス生殖細胞系配列)と比較される場合にヒトであるものと同定されるアミノ酸残基を有する。特定の場合、ヒト抗体は、アミノ酸配列において生殖細胞系免疫グロブリン遺伝子にコードされるアミノ酸配列に対して少なくとも95%またはさらに少なくとも96%、97%、98%もしくは99%同一でありうる。典型的には、特定のヒト生殖細胞系配列から誘導されるヒト抗体は、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン遺伝子にコードされるアミノ酸配列とは10個以下のアミノ酸の差を示すことになる。特定の場合、ヒト抗体は、生殖細胞系免疫グロブリン遺伝子にコードされるアミノ酸配列とは5個以下またはさらには4、3、2もしくは1個以下のアミノ酸の差を示しうる。

0082

相同抗体
さらに別の実施形態では、本開示の抗体は、本明細書中に記載の好ましい抗体のアミノ酸配列に相同なアミノ酸配列を含む重鎖および軽鎖可変領域を含み、ここで抗体は本開示の抗CXCR4抗体の所望の機能特性を保持する。

0083

例えば、本開示は、
(a)重鎖可変領域は配列番号25〜28および41〜44からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%相同なアミノ酸配列を含み、
(b)軽鎖可変領域は配列番号29〜32および45〜48からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%相同なアミノ酸配列を含み
(c)抗体は細胞表面上に発現される天然ヒトCXCR4に結合する、
重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む単離モノクローナル抗体またはその抗原結合部分を提供する。

0084

さらにまたはその他として、抗体は、(i)ヒトCXCR4に1×10−7M以下のKDで結合し、(ii)SDF−1のCXCR4への結合を阻害し、(iii)CXCR4を発現する細胞内でのSDF−1誘発性のカルシウム流束を阻害し、(iv)CXCR4を発現する細胞のSDF−1誘発性の遊走を阻害し、(v)HuVECによる毛細管形成を阻害し、(vi)インビトロおよび/またはインビボでCXCR4を発現する細胞内でのアポトーシスを誘発し、(vii)インビトロおよび/またはインビボでCXCR4+腫瘍細胞の成長を阻害し、および/または(viii)CXCR4+腫瘍細胞の転移を阻害するといった機能特性のうちの1つ以上を有しうる。

0085

様々な実施形態では、抗体は、例えばヒト抗体、ヒト化抗体またはキメラ抗体でありうる。

0086

他の実施形態では、VHおよび/またはVLアミノ酸配列は、上で示される配列に85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%相同でありうる。上で示される配列のVHおよびVL領域に対して高い(すなわち80%以上の)相同性を有するVHおよびVL領域を有する抗体が、配列番号25〜32または41〜48をコードする核酸分子の突然変異誘発(例えば、部位特異的またはPCR媒介性突然変異誘発)と、その後の本明細書中に記載の機能アッセイを用いてのコードされた改変抗体の保持された機能(すなわち上記に示される機能)についての試験により得られうる。

0087

本明細書で用いられる2つのアミノ酸配列間のパーセント同一性は、2つの配列間のパーセント同一性に相当する。2つの配列間のパーセント同一性は、ギャップの数および各ギャップの長さを考慮した、配列で共有される同一位置の数の関数(すなわち%相同性=同一位置の数/位置の全体数×100)であり、2つの配列の最適なアラインメントにおいて導入される必要がある。配列の比較および2つの配列間のパーセント同一性の決定は、下記の非限定例にて記載のように数学アルゴリズムを用いて行われうる。

0088

2つのアミノ酸配列間のパーセント同一性は、E.メイヤーズ(E.Meyers)およびW.ミラー(W.Miller)のアルゴリズム(Comput.Appl.Biosci.、4:11−17頁(1988年))を用いて決定可能であり、同アルゴリズムはPAM120重み残基テーブル(weight residue table)、12のギャップ長ペナルティ(Gap length penalty)および4のギャップペナルティを用いてALIGNプログラムバージョン2.0)に導入されている。さらに、2つのアミノ酸配列間のパーセント同一性は、ニードルマン(Needleman)およびヴンシュ(Wunsch)(J.Mol.Biol.48:444−453頁(1970年))アルゴリズムを用いて決定可能であり、同アルゴリズムはブロサム(Blossum)62マトリックスまたはPAM250マトリックスのいずれかと、16、14、12、10、8、6もしくは4のギャップ重量および1、2、3、4、5もしくは6の長さ重量を用いてGCソフトウェアパッケージ(http://www.gcg.comで入手可能)内のGAPプログラム中に包含されている。

0089

さらにまたはその他として、本開示のタンパク質配列をさらに「クエリー配列」として用い、公的データベースで探索を行い、例えば関連配列を同定することが可能である。かかる探索は、アルツシュル(Altschul)ら、(1990年)J.Mol.Biol.215:403−10頁のXBLASTプログラム(バージョン2.0)を用いて実行可能である。BLASTタンパク質の探索をXBLASTプログラム、スコア=50、ワード長=3を用いて行うことで、本開示の抗体分子に相同なアミノ酸配列が得られうる。比較目的でギャップドアラインメント(gapped alignments)を得るため、アルツシュル(Altschul)ら、(1997年)Nucleic AcidsRes.25(17):3389−3402頁に記載のようにギャップドBLAST(Gapped BLAST)が用いられうる。BLASTおよびギャップドBLAST(Gapped BLAST)プログラムを用いる場合、各プログラムのデフォルトパラメータ(例えばXBLASTおよびNBLAST)が有用である。www.ncbi.nlm.nih.govを参照のこと。

0090

保存的修飾を有する抗体
特定の実施形態では、本開示の抗体は、CDR1、CDR2およびCDR3配列を含む重鎖可変領域およびCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域を含み、ここでこれらのCDR配列のうちの1つ以上は本明細書中に記載の好ましい抗体(例えば、F7、F9、D1またはE2)に基づく特定のアミノ酸配列またはその保存的修飾を含み、かつここで抗体は本開示の抗CXCR4抗体の所望の機能特性を保持する。抗原結合を除去することのない特定の保存的配列修飾の作製が可能であることは当該技術分野で理解されている。例えば、(サルモネラ(Salmonella)に特異的な抗体のCDR3重鎖ドメインにおける突然変異分析について記載する)ブルメル(Brummell)ら(1993年)Biochem 32:1180−8頁;(抗UA1抗体における突然変異試験について記載する)デ・ヴィルト(de Wildt)ら(1997年)Prot.Eng.10:835−41頁;(HCDR3の中央における変異が親和性の欠如または低下をもたらしたことを示す)コミッサロフ(Komissarov)ら(1997年)J.Biol.Chem.272:26864−26870頁;(CDR3領域内での単一のアミノ酸変化により結合活性が失われたことを記載する)ホール(Hall)ら(1992年)J.Immunol.149:1605−12頁;(抗原結合におけるTyr残基の寄与について記載する)ケリー(Kelley)およびオコンネル(O’Connell)(1993年)Biochem.32:6862−35頁;(結合における疎水性の効果について記載する)アディブ−コンキー(Adib−Conquy)ら(1998年)Int.Immunol.10:341−6頁;ならびに(HCDR3アミノ酸変異体について記載する)ビアズ(Beers)ら(2000年)Clin.Can.Res.6:2835−43頁を参照のこと。

0091

したがって、本開示は、CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む重鎖可変領域およびCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域を含む単離モノクローナル抗体またはその抗原結合部分を提供し、ここで
(a)重鎖可変領域のCDR3配列は、配列番号9〜12のアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列とその保存的修飾を含み、
(b)軽鎖可変領域のCDR3配列は、配列番号21〜44のアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列とその保存的修飾を含み、かつ
(c)抗体は細胞表面上に発現される天然ヒトCXCR4に結合する。

0092

さらにまたはその他として、抗体は、(i)ヒトCXCR4に1×10−7M以下のKDで結合し、(ii)SDF−1のCXCR4への結合を阻害し、(iii)CXCR4を発現する細胞内でのSDF−1誘発性のカルシウム流束を阻害し、(iv)CXCR4を発現する細胞のSDF−1誘発性の遊走を阻害し、(v)HuVECによる毛細管形成を阻害し、(vi)インビトロおよび/またはインビボでCXCR4を発現する細胞内でのアポトーシスを誘発し、(vii)インビトロおよび/またはインビボでCXCR4+腫瘍細胞の成長を阻害し、および/または(viii)CXCR4+腫瘍細胞の転移を阻害するといった機能特性のうちの1つ以上を有しうる。

0093

好ましい実施形態では、重鎖可変領域のCDR2配列は、配列番号5〜8のアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列とその保存的修飾を含み、かつ軽鎖可変領域のCDR2配列は、配列番号17〜20からなる群から選択されるアミノ酸配列とその保存的修飾を含む。別の好ましい実施形態では、重鎖可変領域のCDR1配列は、配列番号1〜4のアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列とその保存的修飾を含み、かつ軽鎖可変領域のCDR1配列は、配列番号13〜16からなる群から選択されるアミノ酸配列とその保存的修飾を含む。

0094

様々な実施形態では、抗体は、例えばヒト抗体、ヒト化抗体またはキメラ抗体でありうる。

0095

本明細書で用いられる「保存的配列修飾(conservative sequence modifications)」という用語は、アミノ酸配列を有する抗体の結合特性に対して有意に作用または改変することのないアミノ酸修飾を示すように意図されている。かかる保存的修飾は、アミノ酸置換、付加および欠失を含む。修飾は、当該技術分野で既知の標準技術、例えば部位特異的突然変異誘発およびPCR媒介性突然変異誘発により本開示の抗体に導入されうる。保存的アミノ酸置換は、アミノ酸残基が類似の側鎖を有するアミノ酸残基と置換される場合の置換である。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーについては当該技術分野で定義されている。これらのファミリーは、塩基性側鎖を有するアミノ酸(例えば、リジンアルギニンヒスチジン)、酸性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アスパラギン酸グルタミン酸)、非荷電極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、グリシンアスパラギングルタミンセリントレオニンチロシン、システイン、トリプトファン)、非極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アラニンバリンロイシンイソロイシンプロリンフェニルアラニンメチオニン)、β分岐側鎖を有するアミノ酸(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖を有するアミノ酸(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を含む。したがって、本開示の抗体のCDR領域内の1つ以上のアミノ酸残基は同じ側鎖ファミリー由来の他のアミノ酸残基で置換可能であり、改変抗体は保持された機能(すなわち上記に示される機能)について本明細書中に記載の機能アッセイを用いて試験可能である。

0096

抗CXCR4抗体と同じエピトープに結合する抗体
別の実施形態では、本開示は、本開示の抗CXCR4モノクローナル抗体のいずれかの場合と同じヒトCXCR4上のエピトープに結合する抗体(すなわちCXCR4への結合に対して本開示のモノクローナル抗体のいずれかと交差競合する能力を有する抗体)を提供する。好ましい実施形態では、交差競合試験における参照抗体は、モノクローナル抗体F7(VHおよびVL配列(各々、配列番号25および29で示される)を有する)またはモノクローナル抗体F9(VHおよびVL配列(各々、配列番号26および30で示される)を有する)またはモノクローナル抗体D1(VHおよびVL配列(各々、配列番号27および31で示される)を有する)またはモノクローナル抗体E2(VHおよびVL配列(各々、配列番号28および32で示される)を有する)でありうる。

0097

かかる交差競合抗体は、標準のCXCR4結合アッセイで、F7、F9、D1またはE2と交差競合するその能力に基づいて同定されうる。例えば、CEM細胞でフローサイトメトリーを用いることで、本開示の抗体との交差競合の実証が可能であり、ここで参照抗体はFITCで標識され、試験抗体におけるFITCで標識された参照抗体のCEM細胞への結合に対する阻害能が評価される。試験抗体の、例えば、F7、F9、D1またはE2のヒトCXCR4への結合に対する阻害能は、試験抗体がヒトCXCR4への結合に対してF7、F9、D1またはE2と競合可能であり、それ故にF7、F9、D1またはE2の場合と同じヒトCXCR4上のエピトープに結合することを示す。好ましい実施形態では、F7、F9、D1またはE2の場合と同じCXCR4上のエピトープに結合する抗体はヒトモノクローナル抗体である。かかるヒトモノクローナル抗体は、実施例に記載のように調製され、単離されうる。

0098

改変され修飾された抗体
さらに、本開示の抗体を出発原料として本明細書中に開示されるVHおよび/またはVL配列のうちの1つ以上を有する抗体を用いて調製し、修飾抗体を改変することが可能であり、ここで修飾抗体は最初の抗体からの改変された特性を有しうる。抗体は、一方もしくは両方の可変領域(すなわちVHおよび/またはVL)内、例えば1つ以上のCDR領域内および/または1つ以上のフレームワーク領域内での1つ以上の残基の修飾によって改変可能である。さらにまたはその他として、抗体は、例えば定常領域内で残基を修飾し、抗体のエフェクター機能を改変することによって改変可能である。

0099

特定の実施形態では、CDR移殖を用いて抗体の様々な領域を改変することが可能である。抗体は、6つの重鎖および軽鎖の相補性決定領域(CDR)内に位置するアミノ酸残基全体に支配的な標的抗原と相互作用する。この理由のため、CDR内のアミノ酸配列は、各抗体間でCDR外部の配列よりも多様である。CDR配列が大部分の抗体−抗原相互作用に関与することから、特定の天然抗体の特性を模倣する組換え抗体を、異なる特性を有する異なる抗体由来のフレームワーク配列上に移植された特定の天然抗体由来のCDR配列を含む発現ベクターの作成により発現することは可能である(例えば、リーヒマンL.(Riechmann L.)ら(1998年)Nature 332:323−327頁;ジョーンズP.(Jones P.)ら(1986年)Nature 321:522−525頁;クイーン C.(Queen C.)ら(1989年)Proc.Natl.Acad.See.U.S.A.86:10029−10033頁;ウインター(Winter)に交付された米国特許第5,225,539号明細書ならびにクイーン(Queen)らに交付された米国特許第5,530,101号明細書;米国特許第5,585,089号明細書;米国特許第5,693,762号明細書および米国特許第6,180,370号明細書を参照)。

0100

したがって、本開示の別の実施形態は、CDR1、CDR2、およびCDR3配列(各々、配列番号1〜4、配列番号5〜8、ならびに配列番号9〜12からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む)を含む重鎖可変領域と、CDR1、CDR2、およびCDR3配列(各々、配列番号13〜16、配列番号17〜20、ならびに配列番号21〜24からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む)を含む軽鎖可変領域とを含む単離モノクローナル抗体またはその抗原結合部分に関する。したがって、かかる抗体は、モノクローナル抗体F7、F9、D1またはE2のVHおよびVLCDR配列を有し、これらはさらにこれらの抗体由来の異なるフレームワーク配列を有しうる。

0101

かかるフレームワーク配列は、生殖細胞系の抗体遺伝子配列を含む公的なDNAデータベースまたは出版された参考文献から得られうる。例えば、ヒト重鎖および軽鎖可変領域遺伝子における生殖細胞系DNA配列は、(インターネット上のwww.mrc−cpe.cam.ac.uk/vbaseで入手可能な)「Vベース(VBase)」ヒト生殖細胞系配列データベースや、カバト E.A.(Kabat E.A.)ら(1991年)「免疫学的利益に関するタンパク質配列(Sequences of Proteins of Immunological Interest)(第5版)」、米国保健福祉省(U.S.Department of Health and Human Services)、NIH Publication No.91−3242;トムリンソンI.M.(Tomlinson I.M.)ら(1992年)「The Repertoire of Human Germline VH Sequences Reveals about Fifty Groups of VH Segments with different Hypervariable Loops」J.Mol.Biol.227:776−798;ならびにコックスJ.P.L.(Cox J.P.L.)ら(1994年)「A Directory of Human Germ−line VH Segments Reveals a Strong Bias in their Usage」Eur.J.Immunol.24:827−836頁(これら各々の内容は参照により本明細書中に明示的に援用される)において見出されうる。別の例として、ヒト重鎖および軽鎖可変領域遺伝子における生殖細胞系DNA配列は、Genbankデータベース内に見出されうる。例えば、HCo7 HuMAbマウス内で見出される以下の重鎖生殖細胞系配列は、付属のGenbank登録番号:1−69(NG_0010109、NT_024637およびBC070333)、3−33(NG_0010109およびNT_024637)ならびに3−7(NG_0010109およびNT_024637)にて入手可能である。別の例として、HCo12 HuMAbマウス内で見出される以下の重鎖生殖細胞系配列は、付属のGenbank登録番号:1−69(NG_0010109、NT_024637およびBC070333)、5−51(NG_0010109およびNT_024637)、4−34(NG_0010109およびNT_024637)、3−30.3(CAJ556644)ならびに3−23(AJ406678)にて入手可能である。ヒト重鎖および軽鎖生殖細胞系配列のさらに別の供給源は、IMGT(http://imgt.cines.fr)から利用可能なヒト免疫グロブリン遺伝子のデータベースである。

0102

抗体タンパク質配列は、当業者に周知のギャップドBLAST(Gapped BLAST)と称される配列類似性を探索する方法(アルツシュル(Altschul)ら(1997年)Nucleic AcidsResearch 25:3389−3402頁)の1つを用いて集められたタンパク質配列データベースに対して比較される。BLASTは、抗体配列とデータベース配列の間での統計的に有意なアラインメントが整列されたワードの高スコアリングセグメント対(HSP)を有する傾向が高いという点でヒューリスティックアルゴリズムである。スコアが延長またはトリミングにより改善されえないセグメント対はヒットと称される。つまり、Vベース(VBASE)由来のヌクレオチド配列(http://vbase.mrc−cpe.cam.ac.uk/vbase1/list2.php)が翻訳され、かつFR1〜FR3フレームワーク領域の間の領域および同領域を含む領域が保持される。データベース配列は平均98残基長を有する。タンパク質の全長にわたり正確に一致する二重配列が除去される。オフの低複雑性フィルタを除くデフォルト標準パラメータおよびBLOSUM62の置換マトリックスを備えたblastpプログラムを用いるタンパク質におけるBLAST探索では、配列一致をもたらす上位5つのヒットがフィルタにかけられる。ヌクレオチド配列は全部で6つのフレームで翻訳され、データベース配列の一致するセグメント内停止コドンを全く有しないフレームはヒットの可能性があると考えられる。次いで、これはBLASTプログラムtblastxを用いて確認され、これにより全部で6つのフレーム内で抗体配列が翻訳され、全部で6つのフレーム内で動的に翻訳されたVベース(VBASE)ヌクレオチド配列に対する翻訳が比較される。例えばIMGT(http://imgt.cines.fr)から利用可能な他のヒト生殖細胞系配列データベースでは、上記のVBASEと同様に検索可能である。

0103

同一性は、抗体配列と配列の全長にわたるタンパク質データベースとの間の正確なアミノ酸の一致である。正(同一性+置換の一致)は同一ではなく、BLOSUM62置換行列によって導かれるアミノ酸置換である。抗体配列がデータベース配列のうちの2つと同じ同一性で一致する場合、大部分の正を伴うヒットであれば一致する配列ヒットであることが決定されることになる。

0104

本開示の抗体で用いられる好ましいフレームワーク配列は、本開示の選択される抗体により用いられるフレームワーク配列、例えば本開示の好ましいモノクローナル抗体により用いられるVH3−48フレームワーク配列(配列番号49)および/またはVKL15フレームワーク配列(配列番号50)と構造的に類似する配列である。VHCDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにVKCDR1、CDR2、およびCDR3配列はフレームワーク配列の元となる生殖細胞系免疫グロブリン遺伝子内に見出される配列と同一の配列を有するフレームワーク領域上に移植されうるか、あるいはCDR配列は生殖細胞系配列と比べて1つ以上の突然変異を有するフレームワーク領域上に移植されうる。例えば、特定の例ではフレームワーク領域内の残基を突然変異させ、抗原の抗体への結合能を維持または促進することが有益であることが見出されている(例えば、クイーン(Queen)らに交付された米国特許第5,530,101号明細書;米国特許第5,585,089号明細書;米国特許第5,693,762号明細書および米国特許第6,180,370号明細書を参照)。

0105

可変領域修飾の別のタイプは、アミノ酸残基をVHおよび/またはVKのCDR1、CDR2および/またはCDR3領域内で変異させ、それにより目的の抗体の1つ以上の結合特性(例えば親和性)を改善するものである。部位特異的突然変異誘発またはPCR媒介性突然変異誘発を行い、突然変異を導入可能であり、かつ、目的の抗体の結合または他の機能特性に対する効果が、本明細書中に記載されかつ実施例に提供されるインビトロまたはインビボアッセイにおいて評価されうる。好ましくは、(上で考察の)保存的修飾が導入される。突然変異は、アミノ酸の置換、付加または欠失でありうるが、好ましくは置換である。さらに典型的には、CDR領域内の1つ、2つ、3つ、4つもしくは5つ以下の残基が改変される。

0106

したがって、別の実施形態では、本開示は、(a)配列番号1〜4からなる群から選択されるアミノ酸配列あるいは配列番号1〜4と比べて1つ、2つ、3つ、4つもしくは5つのアミノ酸置換、欠失または付加を有するアミノ酸配列を含むVHCDR1領域;(b)配列番号5〜8からなる群から選択されるアミノ酸配列あるいは配列番号5〜8と比べて1つ、2つ、3つ、4つもしくは5つのアミノ酸置換、欠失または付加を有するアミノ酸配列を含むVHCDR2領域;(c)配列番号9〜12からなる群から選択されるアミノ酸配列あるいは配列番号9〜12と比べて1つ、2つ、3つ、4つもしくは5つのアミノ酸置換、欠失または付加を有するアミノ酸配列を含むVHCDR3領域;(d)配列番号13〜16からなる群から選択されるアミノ酸配列あるいは配列番号13〜16と比べて1つ、2つ、3つ、4つもしくは5つのアミノ酸置換、欠失または付加を有するアミノ酸配列を含むVKCDR1領域;(e)配列番号17〜20からなる群から選択されるアミノ酸配列あるいは配列番号17〜20と比べて1つ、2つ、3つ、4つもしくは5つのアミノ酸置換、欠失または付加を有するアミノ酸配列を含むVKCDR2領域;ならびに(f)配列番号21〜24からなる群から選択されるアミノ酸配列あるいは配列番号21〜24と比べて1つ、2つ、3つ、4つもしくは5つのアミノ酸置換、欠失または付加を有するアミノ酸配列を含むVKCDR3領域を含む重鎖可変領域を含む単離抗CXCR4モノクローナル抗体またはその抗原結合部分を提供する。

0107

本開示の改変抗体は、例えば抗体の特性を改善するためにVHおよび/またはVK内のフレームワーク残基に修飾が施されている場合の抗体を含む。典型的には、かかるフレームワーク修飾を施すことで抗体の免疫原性が低下する。例えば、1つのアプローチは、1つ以上のフレームワーク残基を対応する生殖細胞系配列に「復帰突然変異する(backmutate)」ことである。より詳細には、体細胞突然変異を経ている抗体は、抗体が誘導される生殖細胞系配列とは異なるフレームワーク残基を有しうる。かかる残基は、抗体フレームワーク配列を抗体が誘導される生殖細胞系配列と比較することにより同定されうる。

0108

例えば、F7VH領域においては、(カバト(Kabat)番号付与システムを用いると)フレームワーク領域のアミノ酸位置1、6および25は生殖細胞系と異なる。これらの位置の1つ、2つもしくは3つ全部が、Q1E、Q6EおよびA25Sの置換のうちの1つ、2つもしくは3つ全部を作製することにより生殖細胞系配列に復帰突然変異されうる。F7VH領域の好ましい修飾形態は、F7GLVH(図5Aおよび配列番号41に示されるアミノ酸配列)であり、フレームワーク置換Q1EおよびQ6Eを有する。

0109

さらに、F7VK領域においては、(カバト(Kabat)番号付与システムを用いると)フレームワーク領域のアミノ酸位置1、3および84は生殖細胞系と異なる。これらの位置の1つ、2つもしくは3つ全部が、A1D、R3QおよびV84Aの置換のうちの1つ、2つもしくは3つ全部を作製することにより生殖細胞系配列に復帰突然変異されうる。F7VK領域の好ましい修飾形態は、F7GLVK(図5Bおよび配列番号45に示されるアミノ酸配列)であり、A1DおよびR3Qのフレームワーク置換を有する。

0110

さらに、F9VH領域においては、(カバト(Kabat)番号付与システムを用いると)フレームワーク領域のアミノ酸位置1、6および25は生殖細胞系と異なる。これらの位置の1つ、2つもしくは3つ全部が、Q1E、Q6EおよびA25Sの置換のうちの1つ、2つもしくは3つ全部を作製することにより生殖細胞系配列に復帰突然変異されうる。F9VH領域の好ましい修飾形態は、F9GLVH(図6Aおよび配列番号42に示されるアミノ酸配列)であり、Q1EおよびQ6Eのフレームワーク置換を有する。

0111

さらに、F9VK領域においては、(カバト(Kabat)番号付与システムを用いると)フレームワーク領域のアミノ酸位置1、3、4および60は生殖細胞系と異なる。これらの位置の1つ、2つ、3つもしくは4つ全部が、E1D、V3Q、L4MおよびP60Sの置換のうちの1つ、2つ、3つもしくは4つ全部を作製することにより生殖細胞系配列に復帰突然変異されうる。F9VK領域の好ましい修飾形態は、F9GLVK(図6Bおよび配列番号46に示されるアミノ酸配列)であり、E1D、V3QおよびL4Mのフレームワーク置換を有する。

0112

さらに、D1VH領域においては、(カバト(Kabat)番号付与システムを用いると)フレームワーク領域のアミノ酸位置6、25および76は生殖細胞系と異なる。これらの位置の1つ、2つもしくは3つ全部が、Q6E、A25SおよびR76Kの置換のうちの1つ、2つもしくは3つ全部を作製することにより生殖細胞系配列に復帰突然変異されうる。D1VH領域の好ましい修飾形態は、D1GLVH(図7Aおよび配列番号43に示されるアミノ酸配列)であり、Q6Eのフレームワーク置換を有する。

0113

さらに、D1VK領域においては、(カバト(Kabat)番号付与システムを用いると)フレームワーク領域のアミノ酸位置1、3、4、45および46は生殖細胞系と異なる。これらの位置の1つ、2つ、3つ、4つもしくは5つ全部が、V1D、W3Q、V4M、E45KおよびL46Sの置換のうちの1つ、2つ、3つ、4つもしくは5つ全部を作製することにより生殖細胞系配列に復帰突然変異されうる。D1VK領域の好ましい修飾形態は、D1GLVK(図7Bおよび配列番号47に示されるアミノ酸配列)であり、V1D、W3QおよびV4Mのフレームワーク置換を有する。

0114

さらに、E2VH領域においては、(カバト(Kabat)番号付与システムを用いると)フレームワーク領域のアミノ酸位置6および25は生殖細胞系と異なる。これらの位置の一方もしくは双方が、Q6EおよびA25Sの置換のうちの一方もしくは双方を作製することにより生殖細胞系配列に復帰突然変異されうる。E2VH領域の好ましい修飾形態は、E2GLVH(図8Aおよび配列番号44に示されるアミノ酸配列)であり、Q6Eのフレームワーク置換を有する。

0115

さらに、E2VK領域においては、(カバト(Kabat)番号付与システムを用いると)フレームワーク領域のアミノ酸位置1、3および4は生殖細胞系と異なる。これらの位置の1つ、2つもしくは3つ全部が、E1D、V3QおよびL4Mの置換のうちの1つ、2つもしくは3つ全部を作製することにより生殖細胞系配列に復帰突然変異されうる。E2VK領域の好ましい修飾形態は、E2GLVK(図8Bおよび配列番号48に示されるアミノ酸配列)であり、E1D、V3QおよびL4Mのフレームワーク置換を有する。

0116

フレームワーク修飾の別のタイプは、フレームワーク領域内またはさらに1つ以上のCDR領域内で1つ以上の残基を変異させ、T細胞エピトープを除去し、それにより抗体の潜在的な免疫原性を低下させることを含む。このアプローチは、「脱免疫(deimmunization)」とも称され、カー(Carr)らによる米国特許出願公開第20030153043号明細書にさらに詳述されている。

0117

フレームワークまたはCDR領域内でなされる修飾に加えまたはその他として、本開示の抗体は、Fc領域内で修飾を含み、典型的には抗体の1つ以上の機能特性、例えば血清半減期補体固定Fc受容体結合性および/または抗原依存性細胞毒性を変化させるように改変されうる。さらに、本開示の抗体は、化学的に修飾されうる(例えば1つ以上の化学的部分が抗体に付着されうる)か、または修飾によりそのグリコシル化が改変されさらに抗体の1つ以上の機能特性が改変されうる。これらの各実施形態は下記にさらに詳述されている。Fc領域内の残基の番号付与はカバト(Kabat)のEU指数のものである。

0118

一実施形態では、CH1のヒンジ領域が、ヒンジ領域内のシステイン残基の数が変化する、例えば増加または減少するように修飾される。このアプローチは、ボドマー(Bodmer)らによる米国特許第5,677,425号明細書にさらに記載されている。CH1のヒンジ領域内のシステイン残基の数が変化することで、例えば軽鎖および重鎖の構築が促進されるかあるいは抗体の安定性が増大または低下する。

0119

別の実施形態では、抗体のFcヒンジ領域の突然変異により抗体の生物学的半減期が減少する。より詳細には、抗体により天然Fc−ヒンジドメインSpA結合に対するブドウ球菌(Staphylococcyl)プロテインA(SpA)結合が低下している程度に、1つ以上のアミノ酸変異がFc−ヒンジ断片のCH2−CH3ドメイン界面領域に導入される。このアプローチは、ワード(Ward)らによる米国特許第6,165,745号明細書にさらに詳述されている。

0120

別の実施形態では、抗体の修飾によりその生物学的半減期が増加する。様々なアプローチが可能である。例えば、ワード(Ward)に交付された米国特許第6,277,375号明細書に記載のように、1つ以上の以下の変異、すなわちT252L、T254S、T256Fが導入可能である。あるいは、プレスタ(Presta)らによる米国特許第5,869,046号明細書および米国特許第6,121,022号明細書に記載のように、生物学的半減期を増加させるため、抗体はIgGのFc領域のCH2ドメインの2つのループから得られるサルベージ(salvage)受容体結合エピトープを有するようにCH1またはCL領域内で改変されうる。

0121

さらに他の実施形態では、Fc領域は少なくとも1つのアミノ酸残基を異なるアミノ酸残基と置換し、抗体のエフェクター機能を改変することによって改変される。例えば、アミノ酸残基234、235、236、237、297、318、320および322から選択される1つ以上のアミノ酸が、抗体がエフェクターリガンドに対して改変された親和性を有しても親抗体の抗原への結合能を保持する程度に異なるアミノ酸残基と置換されうる。親和性が改変される対象のエフェクターリガンドは、例えばFc受容体または補体のC1成分でありうる。このアプローチは、米国特許第5,624,821号明細書および米国特許第5,648,260号明細書(いずれもウインター(Winter)らによる)にさらに詳述されている。

0122

別の例では、アミノ酸残基329、331および322から選択される1つ以上のアミノ酸が、抗体がC1q結合を改変しおよび/または補体依存性の細胞毒性(CDC)を低減または根絶している程度に異なるアミノ酸残基と置換されうる。このアプローチは、米国特許第6,194,551号明細書(イドゥソギー(Idusogie)らによる)にさらに詳述されている。

0123

別の例では、アミノ酸位置231および239内の1つ以上のアミノ酸残基が改変されることにより、抗体の補体を固定する能力が改変される。このアプローチは、ボドマー(Bodmer)らによるPCT公開、国際公開第94/29351号パンフレットにさらに記載されている。

0124

さらに別の例では、以下の位置、すなわち238、239、248、249、252、254、255、256、258、265、267、268、269、270、272、276、278、280、283、285、286、289、290、292、293、294、295、296、298、301、303、305、307、309、312、315、320、322、324、326、327、329、330、331、333、334、335、337、338、340、360、373、376、378、382、388、389、398、414、416、419、430、434、435、437、438もしくは439での1つ以上のアミノ酸の修飾によるFc領域の修飾により、抗体の抗体依存性細胞毒性(ADCC)を媒介する能力が増大しおよび/または抗体のFcγ受容体に対する親和性が増大する。このアプローチは、PCT公開、国際公開第00/42072号パンフレット(プレスタ(Presta)による)にさらに記載されている。さらに、ヒトIgG1上のFcγR1、FcγRII、FcγRIIIおよびFcRnに対する結合部位マッピングされており、かつ結合が改善された変異体についての記載がなされている(シールズ R.L.(ShieldsR.L.)ら(2001年)J.Biol.Chem.276:6591−6604頁を参照)。位置256、290、298、333、334および339での特異的変異がFcγRIIIに対する結合を改善することが示された。さらに、以下の変異体の組み合わせ、すなわちT256A/S298A、S298A/E333A、S298A/K224AおよびS298A/E333A/K334AがFcγRIIIに対する結合を改善することが示された。

0125

さらに別の実施形態では、抗体のグリコシル化が修飾される。例えば、アグリコシル化(aglycosylated)抗体が作製されうる(すなわち抗体におけるグリコシル化が失われる)。グリコシル化の改変により、例えば抗体の抗原に対する親和性が増大しうる。かかる炭水化物修飾は、例えば抗体配列内の1つ以上のグリコシル化部位を改変することによりなされうる。例えば、1つ以上のアミノ酸置換がなされうる結果、1つ以上の可変領域フレームワークグリコシル化部位の除去によりその部位でのグリコシル化が失われる。かかるアグリコシル化により、抗原に対する抗体の親和性が増大しうる。かかるアプローチは、米国特許第5,714,350号明細書および米国特許第6,350,861号明細書(コ(Co)らによる)にさらに詳述されている。

0126

さらにまたはその他として、グリコシル化の改変タイプを有する抗体、例えば減量されたフコシル残基を有する低フコシル化(hypofucosylated)抗体または増強されたGlcNac二分構造を有する抗体が作製されうる。かかる改変されたグリコシル化パターンにより、抗体のADCC能力が増大することが示されている。かかる炭水化物修飾は、例えばグリコシル化機構が改変された宿主細胞内で抗体を発現することにより行われうる。グリコシル化機構が改変された細胞については当該技術分野で記載がなされており、本開示の組換え抗体を発現することによりグリコシル化が改変抗体が産生される宿主細胞として用いられうる。例えば、細胞系Ms704、Ms705およびMs709は、Ms704、Ms705およびMs709細胞系内で発現される抗体がその炭水化物上にフコースを含まないように、フコシルトランスフェラーゼ遺伝子UT8(α(1、6)フコシルトランスフェラーゼ)を含まない。Ms704、Ms705およびMs709 FUT8−/−細胞系は、2つの置換ベクターを用いたCHO/DG44細胞内での標的化されたFUT8遺伝子の破壊により作製された(ヤマネ(Yamane)らによる米国特許出願公開第20040110704号明細書およびヤマネ−オオヌキ(Yamane−Ohnuki)ら(2004年)Biotechnol Bioeng 87:614−22頁を参照)。別の例として、ハナイ(Hanai)らによる欧州特許第1,176,195号明細書は、機能的に破壊されたフコシルトランスフェラーゼをコードするFUT8遺伝子を有する細胞系について記載している。かかる細胞系内で発現される抗体は、α1,6結合に関連した酵素の低減または除去により低フコシル化(hypofucosylation)を示す。花井(Hanai)らは、フコースを抗体のFc領域に結合するN−アセチルグルコサミンに添加するのに低い酵素活性を有するかまたは酵素活性を有することのない細胞系、例えばラット骨髄腫細胞系YB2/0(ATCCCRL 1662)についても記載している。プレスタ(Presta)によるPCT公開、国際公開第03/035835号パンフレットには、フコースをAsn(297)に連結された炭水化物に付着させる能力が低下した(その宿主細胞内で発現される抗体の低フコシル化ももたらす)変異CHO細胞系、Lec13細胞について記載されている(シールズ R.L.(ShieldsR.L.)ら(2002年)J.Biol.Chem.277:26733−26740頁も参照)。米国特許出願第PCT/US06/05853号明細書に記載のように、修飾されたグリコシル化特性を有する抗体は鶏卵内でも産生されうる。あるいは、修飾されたグリコシル化特性を有する抗体は、植物細胞、例えばレムナ(Lemna)内で産生されうる。植物系内で抗体を産生するための方法は、2006年8月11日に出願されたアルストンアンド・バードLLP(Alston&Bird LLP)代理人整理番号040989/314911に対応する米国特許出願に開示されている。ウマナ(Umana)らによるPCT公開、国際公開第99/54342号パンフレットには、糖タンパク質を修飾するグリコシルトランスフェラーゼ(例えばβ(1,4)−N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII(GnTIII))を、改変された細胞系内で発現される抗体が抗体のADCC活性の増大をもたらすGlcNac二分構造の増大を示すように発現するように改変された細胞系について記載されている(ウマナ(Umana)ら(1999年)Nat.Biotech.17:176−180頁も参照)。あるいは、抗体のフコース残基フコシダーゼ酵素を用いて切断されうる。例えば、フコシダーゼのα−L−フコシダーゼはフコシル残基を抗体から除去する(タラティーノ A.L.(Tarentino A.L.)ら(1975年)Biochem.14:5516−23頁)。

0127

本開示で検討される本明細書中の抗体の別の修飾がペグ化(pegylation)である。抗体をペグ化することで、例えば抗体の生物学的(例えば血清半減期が増加されうる。抗体をペグ化するため、抗体またはその断片は典型的にはポリエチレングリコール(PEG)、例えばPEGの反応性エステルまたはアルデヒド誘導体と、1つ以上のPEG基が抗体または抗体断片に付着した状態になるという条件下で反応する。好ましくは、ペグ化は、反応性PEG分子(または類似反応性の水−可溶性ポリマー)とのアシル化反応またはアルキル化反応を介して行われる。本明細書で用いられる「ポリエチレングリコール」という用語は、他のタンパク質、例えばモノ(C1−C10)アルコキシ−もしくはアリールオキシ−ポリエチレングリコールまたはポリエチレングリコール−マレイミド誘導体化するのに用いられているPEGの形態のいずれかを包含するように意図されている。特定の実施形態では、ペグ化されるべき抗体はアグリコシル化(aglycosylated)抗体である。タンパク質をペグ化するための方法は当該技術分野で既知であり、本開示の抗体に適用可能である。例えば、ニシムラ(Nishimura)らによる欧州特許第0154316号明細書およびイシカワ(Ishikawa)らによる欧州特許第0401384号明細書を参照のこと。

0128

抗体断片および抗体模倣体
本発明は、従来の抗体に限定されることなく、抗体断片および抗体模倣体の使用を通じて実施可能である。下記に詳述のように、多種多様な抗体断片および抗体模倣技術が現在では開発されており、当該技術分野で広く知られている。多数のこれら技術、例えばドメイン抗体、ナノボディ、およびユニボディでは従来の抗体構造の断片またはそれに対する他の修飾が用いられる一方、他の技術、例えば従来の抗体結合を模倣する一方、異なる機序から産生され、それを介して機能する結合構造を用いるアフィボディダルピンアンチカリンアビマー、およびバーサボディも存在する。

0129

ドメイン抗体(dAb)は抗体の最小の機能結合単位であり、ヒト抗体の重鎖(VH)または軽鎖(VL)のいずれかの可変領域に対応するものである。ドメイン抗体は約13kDaの分子量を有する。ドマンティス(Domantis)は、完全ヒトVHおよびVL dAbにおける一連の大規模かつ高度に機能的なライブラリ(各ライブラリ内に100億超の異なる配列)を開発しており、これらのライブラリを用いて治療標的に特異的なdAbを選択する。多数の従来の抗体に対し、ドメイン抗体は細菌、酵母、および哺乳類細胞系内で十分に発現される。ドメイン抗体およびその産生方法のさらなる詳細については、米国特許第6,291,158号明細書;米国特許第6,582,915号明細書;米国特許第6,593,081号明細書;米国特許第6,172,197号明細書;米国特許第6,696,245号明細書;米国特許出願公開第2004/0110941号明細書;欧州特許出願第1433846号明細書および欧州特許第0368684号明細書および欧州特許第0616640号明細書;国際公開第05/035572号パンフレット、国際公開第04/101790号パンフレット、国際公開第04/081026号パンフレット、国際公開第04/058821号パンフレット、国際公開第04/003019号パンフレットおよび国際公開第03/002609号パンフレットの参照により得られうる(これら各々はその全体が参照により本明細書中に援用される)。

0130

ナノボディは、天然の重鎖抗体固有の構造および機能特性を有する抗体由来の治療タンパク質である。これらの重鎖抗体は、単一の可変ドメイン(VHH)および2つの定常ドメイン(CH2およびCH3)を有する。重要なことには、クローン化され、単離されたVHHドメインは、元の重鎖抗体の完全な抗原結合能内在する完全に安定的なポリペプチドである。ナノボディは、ヒト抗体のVHドメインとの高い相同性を有し、かつ活性の任意の低下を伴うことなくさらにヒト化されうる。重要なことには、ナノボディは免疫原性の低い可能性を有し、動物試験でナノボディのリード化合物を用いて確認されている。

0131

ナノボディでは、従来の抗体の利点を小分子薬物の重要な特徴と組み合わされる。ナノボディは、従来の抗体と同様、その標的および低い固有の毒性に対し、高い標的特異性、高親和性を示す。しかし、ナノボディは、小分子薬物と同様、酵素を阻害し、受容体のクレフトに容易に接近可能である。さらに、ナノボディは極めて安定的であり、注射以外の手段で投与可能であり(例えば国際公開第04/041867号パンフレットを参照(その全体が参照により本明細書中に援用される)、製造が容易である。ナノボディの他の利点は、小さいサイズに起因するまれであるかまたは隠されたエピトープの認識、タンパク質標的の空洞または活性部位へのその固有の三次元構造に起因する高い親和性および選択性による結合性、薬物形式の柔軟性、半減期の調整ならびに薬物発見容易性および速度を含む。

0132

ナノボディは、単一の遺伝子によりコードされ、ほぼすべての原核生物および真核生物宿主、例えば大腸菌(E.coli)(例えば米国特許第6,765,087号明細書を参照(その全体が参照により本明細書中に援用される))、かび(例えばコウジカビ属(Aspergillus)またはトリコデルマ(Trichoderma))ならびに酵母(例えば、サッカロマイセス(Saccharomyces)、クリベロマイセス(Kluyveromyces)、ハンゼヌラ(Hansenula)またはピヒア(Pichia))(例えば米国特許第6,838,254号明細書を参照(その全体が参照により本明細書中に援用される))において効率的に産生される。産生プロセスは拡張可能であり、数キログラム量のナノボディが産生されている。ナノボディは、従来の抗体と比べて優れた安定性を示すことから、貯蔵寿命が長く即使用可能な溶液として調合可能である。

0133

ナノクローン(Nanoclone)法(例えば国際公開第06/079372号パンフレットを参照(その全体が参照により本明細書中に援用される))は、B細胞の自動化された高スループットな選択に基づき所望の標的に対するナノボディを産生するための独自の方法であり、場合により本発明との関連で用いられうる。

0134

ユニボディは別の抗体断片技術であるが、この技術はIgG4抗体のヒンジ領域の除去に基づくものである。ヒンジ領域の欠失により、従来のIgG4抗体に対して本質的に半分のサイズでありかつIgG4抗体の二価結合領域ではなく一価結合領域を有する分子が生成される。IgG4抗体が不活性であることから免疫系と相互作用することがないことも周知であり、これは免疫応答が望ましくない場合の疾患の治療において有利な場合があり、この利点はユニボディ上に受け継がれる。例えば、ユニボディは、その結合対象の細胞を殺滅することなく阻害または沈黙するように機能しうる。さらに、癌細胞に結合するユニボディは、それらを刺激して増殖させることはない。さらに、ユニボディが従来のIgG4抗体の約半分のサイズであることから、それは大きい固形腫瘍全体により適切な分布を示すとともに有利な有効性を発揮する可能性がある。ユニボディは、全IgG4抗体と同様の速度で身体から除去され、その抗原に対して全抗体と同様の親和性で結合可能である。ユニボディのさらなる詳細は、特許国際公開第2007/059782号パンフレット(その全体が参照により本明細書中に援用される)の参照により得られうる。

0135

アフィボディ(Affibody)分子は、スタフィロコッカル(staphylococcal)プロテインAのIgG結合ドメインのうちの1つから誘導される、58−アミノ酸残基のタンパク質ドメインに基づく親和性タンパク質の新しいクラスを表す。この3つのヘリックスバンドル(helix bundle)ドメインはコンビナトリアルファージミドライブラリの作成物における足場として用いられており、それから所望の分子を標的にするアフィボディ変異体がファージディスプレイ技術を用いて選択されうる(ノードK.(Nord K.)、ガンネリュッソンE.(Gunneriusson E.)、リングダールJ.(Ringdahl J.)、スタール S.(Stahl S.)、ウーレンM.(Uhlen M.)、ナイグレンP.A.(Nygren P.A.)、「Binding proteins selected from combinatorial libraries of an α−helical bacterial receptor domain」、Nat Biotechnol 1997年;15:772−7頁、ロンマークJ.(Ronmark J.)、グロルンドH.(Gronlund H.)、ウーレン M.(Uhlen M.)、ナイグレン P.A.(Nygren P.A.)、「Human immunoglobulin A(IgA)−specific ligandsfrom combinatorial engineering of protein A」、Eur J Biochem 2002年;269:2647−55頁)。アフィボディ分子におけるその低い分子量(6kDa)とともに単純で強固な構造により、それが例えば検出試薬のような多種多様な用途に適するようになり(ロンマーク J.(Ronmark J.)、ハンソン M.(Hansson M.)、ナイグレン T.(Nygren T.)ら、「Construction and characterization of affibody−Fc chimeras produced in Escherichia coli」、J Immunol Methods 2002年;261:199−211頁)、かつ受容体相互作用が阻害される(サンドストームK.(Sandstorm K.)、スー Z.(Xu Z.)、フォルスバーグ G.(Forsberg G.)、ナイグレン P.A.(Nygren P.A.)、「Inhibition of the CD28−CD80 co−stimulation signal by a CD28−binding Affibody ligand developed by combinatorial protein engineering」、Protein Eng 2003年;16:691−7頁)。アフィボディおよびそれを産生する方法のさらなる詳細が、米国特許第5831012号明細書により得られうる(その全体が参照により本明細書中に援用される)。

0136

標識されたアフィボディは、多数のアイソフォームを判定するためのイメージング用途においても有用でありうる。

0137

ダルピン(設計されたアンキリンリピートタンパク質)は、非抗体ポリペプチドの結合能を用いるように開発された抗体模倣DRP(設計されたリピートタンパク質)技術の一例である。アンキリンまたはロイシンリッチのリピートタンパク質などのリピートタンパク質は、偏在する結合分子であり、抗体と異なり細胞内および細胞外に生じる。それら固有のモジュール構造は、構造単位の反復(リピート)を特徴とし、共に蓄積され、可変でかつモジュール式の標的に結合する表面を示す伸長されたリピートドメインが形成される。このモジュール性に基づき、非常に多様化された結合特異性を有するポリペプチドのコンビナトリアルライブラリが生成されうる。この方法は、可変の表面残基およびリピートドメインへのランダムアセンブリを示す自家和合性リピートに共通の設計を含む。

0138

ダルピンは、細菌発現系内で極めて高収量に産生可能であり、既知の最も安定なタンパク質に属する。ヒト受容体、サイトカイン、キナーゼヒトプロテアーゼ、ウイルスおよび膜タンパク質を含む広範囲標的タンパク質に対して極めて特異的な高親和性のダルピンが選択されている。1桁のナノモルピコモルの範囲内の親和性を有するダルピンが得られうる。

0139

ダルピンは、ELISA、サンドイッチELISA、フローサイトメトリー分析(FACS)、免疫組織化学(IHC)、チップ用途、親和性精製またはウエスタンブロッティングを含む広範囲の用途で用いられている。ダルピンは、例えば緑色蛍光タンパク質(GFP)に融合された細胞内マーカータンパク質としての細胞内区画内で活性が高いことも判明した。ダルピンは、pM範囲内のIC50でウイルスの侵入を阻害するのにさらに用いられた。ダルピンは、タンパク質−タンパク質相互作用遮断に望ましいだけでなく酵素の阻害に望ましい。プロテアーゼ、キナーゼおよびトランスポーターの阻害に奏功しており、ほとんどの場合、アロステリック阻害様式である。腫瘍に対する極めて迅速で特異的な濃縮および極めて好ましい腫瘍対血液比により、インビボでの診断的または治療的アプローチに十分に適合するダルピンが作製される。

0140

ダルピンおよび他のDRP技術に関するさらなる情報が、米国特許出願公開第2004/0132028号明細書および国際特許出願公開、国際公開第02/20565号パンフレットに見出されうる(それら双方はそれら全体が参照により本明細書中に援用される)。

0141

アンチカリンはさらなる抗体模倣技術であるが、この場合、結合特異性は、ヒト組織内および体液中で自然にかつ豊富に発現される低分子量タンパク質のファミリーであるリポカリンから誘導される。リポカリンは、進化することで、化学的感受性があるかまたは不可溶性化合物生理輸送および保存に関連したインビボでの機能の範囲を果たしている。リポカリンは、タンパク質の一末端で4つのループを支持する高度に保存されたβ−バレルを含む強固な固有の構造を有する。これらのループは結合ポケットに対する入口(entrance)を形成し、分子のこの部分における高次構造上の差は各リポカリン間の結合特異性におけるばらつきを示している。

0142

保存されたβシートフレームワークにより支持される超可変ループの全体構造から免疫グロブリンが連想されるが、リポカリンはサイズの観点で抗体とはかなり異なり、単一の免疫グロブリンドメインよりもわずかに大きい160−180個のアミノ酸の単一のポリペプチド鎖からなる。

0143

リポカリンはクローン化され、アンチカリンの作製のため、そのループには改変がなされる。構造的に多様なアンチカリンのライブラリが生成されており、アンチカリンの提示は、結合機能の選択およびスクリーニング、それに続く、原核系または真核系におけるさらなる分析のための可溶性タンパク質の発現および産生を可能にする。試験によると、仮想的に任意のヒト標的タンパク質に特異的なアンチカリンの開発が可能で、その単離が可能であり、ナノモルのまたはより高い範囲での結合親和性が得られうることを示すことに奏功している。

0144

アンチカリンは、二重標的化された(dual targeting)タンパク質、いわゆるデュオカリンとしても形式化されうる。デュオカリンは、標準の作製プロセスを用いて1つの容易に生成される単量体タンパク質内の2つの別々の治療標的に結合する一方、その2つの結合ドメインの構造的方向性にかかわらず標的の特異性および親和性を保持する。

0145

単一の分子を通じての複数の標的の調節は、2つ以上の病原因子を含むことで知られる疾患において特に有利である。さらに、デュオカリンなどの二価または多価の結合形式は、疾患における細胞表面分子の標的化において有意な可能性を有し、シグナル伝達経路に対して作動効果を媒介するか、または細胞表面受容体の結合およびクラスタリングを介して内在化効果の増大を誘発する。さらに、デュオカリンの固有の高い安定性は単量体アンチカリンに匹敵し、デュオカリンに対して柔軟な製剤および送達の可能性をもたらす。

0146

アンチカリンに関するさらなる情報が、米国特許第7,250,297号明細書および国際特許出願公開番号、国際公開第99/16873号パンフレットに見出されうる(それら双方はそれら全体が参照により本明細書中に援用される)。

0147

本発明との関連で有用な別の抗体模倣技術がアビマーである。アビマーは、インビトロでのエクソンシャッフリングおよびファージディスプレイによりヒト細胞外受容体ドメインの大きいファミリーから進化したものであり、結合および阻害特性を備えた多重ドメインタンパク質を生成する。複数の独立した結合ドメインの連結により結合活性がもたらされることが示されており、結果として従来の単一のエピトープ結合タンパク質に対して親和性および特異性が改善される。他の有望な利点として、大腸菌(Escherichia coli)内での多重標的に特異的な分子の単純かつ効率的な産生、プロテアーゼに対する改善された熱安定性および耐性が挙げられる。ナノメートル以下の親和性を有するアビマーが種々の標的に対して得られている。

0148

アビマーに関するさらなる情報が、米国特許出願公開第2006/0286603号明細書、米国特許出願公開第2006/0234299号明細書、米国特許出願公開第2006/0223114号明細書、米国特許出願公開第2006/0177831号明細書、米国特許出願公開第2006/0008844号明細書、米国特許出願公開第2005/0221384号明細書、米国特許出願公開第2005/0164301号明細書、米国特許出願公開第2005/0089932号明細書、米国特許出願公開第2005/0053973号明細書、米国特許出願公開第2005/0048512号明細書、米国特許出願公開第2004/0175756号明細書に見出されうる(それらすべてはそれら全体が参照により本明細書中に援用される)。

0149

バーサボディは、本発明との関連で利用可能な別の抗体模倣技術である。バーサボディは、15%を超えるシステインを有する3〜5kDaの小さいタンパク質であり、高いジスルフィド密度の足場を形成し、典型的なタンパク質が有する疎水性コアの代わりとなる。疎水性コアを含む多数の疎水性アミノ酸少数のジスルフィドとの置換により、より小さくより親水性が高く(低下した凝集および非特異的結合)、プロテアーゼおよび熱に対してより耐性があり、かつMHC提示の大部分に寄与する残基が疎水性であることからより低いT細胞エピトープの密度を有するタンパク質が生成される。これらの特性の4つすべてが免疫原性に作用することで周知であり、それらは共に免疫原性の大幅な低下の原因になると予想される。

0150

バーサボディについての着想は、ヒルヘビクモサソリカタツムリ、およびアネモネにより生成される天然の注射可能な生物医薬品から得られるものであり、予想外に低い免疫原性を示すことが知られている。選択された天然タンパク質ファミリーから、サイズの設計およびスクリーニングにより、疎水性、タンパク質分解の抗原プロセシング、およびエピトープ密度が注射可能な天然タンパク質における平均を大幅に下回るレベルまで最小化される。

0151

バーサボディの構造を仮定すると、これらの抗体模倣体は多価、多重特異性、半減期機構の多様性、組織標的モジュールおよび抗体Fc領域の非存在を含む多目的形式を提供する。さらに、バーサボディは、高収量で大腸菌(E.coli)内で作製され、かつ、バーサボディはその親水性および小サイズ故に可溶性が高く、高濃度に調合されうる。バーサボディは、特に熱安定的であり(それは沸騰可能であり)、長い貯蔵寿命をもたらす。

0152

バーサボディに関するさらなる情報が、米国特許出願公開第2007/0191272号明細書に見出されうる(その全体が参照により本明細書中に援用される)。

0153

上で提供された抗体断片および抗体模倣技術の詳細な説明は、本明細書との関連で用いられうるあらゆる技術の包括リストであるように意図されていない。例えば、また限定を目的としない場合、他のポリペプチドに基づく技術、例えばクイ(Qui)ら、Nature Biotechnology、25(8)921−929頁(2007年)(その全体が参照により本明細書中に援用される)で概説された相補性決定領域の融合、ならびに核酸に基づく技術、例えば米国特許第5,789,157号明細書、米国特許第5,864,026号明細書、米国特許第5,712,375号明細書、米国特許第5,763,566号明細書、米国特許第6,013,443号明細書、米国特許第6,376,474号明細書、米国特許第6,613,526号明細書、米国特許第6,114,120号明細書、米国特許第6,261,774号明細書、および米国特許第6,387,620号明細書(これらのすべては参照により本明細書中に援用される)に記載のRNAアプタマー技術を含む種々のさらなる技術が本発明との関連で利用可能である。

0154

抗体の物理的特性
本開示の抗体は、抗CXCR4抗体の様々な物理的特性によりさらに特徴づけられうる。様々なアッセイを用い、これらの物理的特性に基づいて抗体の異なるクラスの検出および/または識別が可能である。

0155

いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、軽鎖または重鎖可変領域のいずれかにおいて1つ以上のグリコシル化部位を有しうる。可変領域内に1つ以上のグリコシル化部位が存在する結果、抗原結合の改変により抗体の免疫原性または抗体のpKの変化が増大しうる(マーシャル(Marshall)ら(1972年)Annu Rev Biochem 41:673−702頁;ガラF.A.(Gala F.A.)およびモリソン S.L.(Morrison S.L.)(2004年) J Immunol 172:5489−94頁;ワリック(Wallick)ら(1988年)J Exp Med 168:1099−109頁;スピロR.G.(Spiro R.G.)(2002年)Glycobiology 12:43R−56R;パレク(Parekh)ら(1985年)Nature 316:452−7頁;ミムラ(Mimura)ら(2000年)Mol Immunol 37:697−706頁)。グリコシル化はN−X−S/T配列を有するモチーフで生じることが知られている。可変領域のグリコシル化はグライコブロット(Glycoblot)アッセイを用いて試験可能であり、同アッセイでは、抗体の切断によりFabが産生され、次いで過ヨウ素酸酸化およびシッフ(Schiff)塩基形成を測定するアッセイを用いてグリコシル化が試験される。あるいは、可変領域のグリコシル化はディオネックス(Dionex)光クロマトグラフィー(ディオネックス−LC(Dionex−LC))を用いて試験可能であり、そこでは糖類がFabから切断されて単糖類にされ、各糖類の含量が分析される。いくつかの例では、可変領域のグリコシル化を有することのない抗CXCR4抗体を有することが好ましい。これは、可変領域内にグリコシル化モチーフを有することのない抗体を選択するかまたはグリコシル化モチーフ内の残基を当該技術分野で周知の標準技術を用いて突然変異させることにより実現されうる。

0156

好ましい実施形態では、本開示の抗体はアスパラギン異性部位を有することがない。脱アミドまたはイソアスパラギン酸効果が各々、N−GまたはD−G配列上で生じうる。脱アミドまたはイソアスパラギン酸効果の結果、主鎖ではなく側鎖のカルボキシ末端から離れてキンク構造を生成することにより抗体の安定性を低下させるイソアスパラギン酸が生成される。イソアスパラギン酸の生成は等量(iso−quant)アッセイを用いて測定可能であり、そこでは逆相HPLCを用いてイソアスパラギン酸についての試験が行われる。

0157

各抗体は特有等電点(pI)を有することになるが、一般に抗体は6〜9.5のpH範囲に収まることになる。IgG1抗体におけるpIは典型的には7〜9.5のpH範囲内に収まり、かつIgG4抗体におけるpIは典型的には6〜8のpH範囲内に収まる。抗体はこの範囲外のpIを有する場合がある。効果は一般に未知であるが、正常な範囲外のpIを有する抗体がインビボ条件下である程度のアンフォールディングおよび不安定性を有しうることが推定される。等電点はキャピラリー等電点電気泳動アッセイを用いて試験可能であり、それはpH勾配を生成し、そこでは精度向上のためにレーザー集光が用いられうる(ジャニニ(Janini)ら(2002年)Electrophoresis 23:1605−11頁;マ(Ma)ら(2001年)Chromatographia 53:S75−89頁;ハント(Hunt)ら(1998年)J Chromatogr A 800:355−67頁)。いくつかの例では、正常な範囲内に収まるpI値を有する抗CXCR4抗体を有することが好ましい。これは正常な範囲内のpIを有する抗体を分泌するかまたは帯電した表面残基を当該技術分野で周知の標準の技術を用いて突然変異することによりなされうる。

0158

各抗体は、熱安定性を示す融解温度を有することになる(クリシュナムルティR.(Krishnamurthy R.)およびマニングM.C.(Manning M.C.)(2002年) Curr Pharm Biotechnol 3:361−71頁)。より高い熱安定性は、インビボで全体的により高い抗体安定性を示す。抗体の融解点は、示差走査熱量測定などの技術を用いて測定されうる(チェン(Chen)ら(2003年)Pharm Res 20:1952−60頁;ガーランド(Ghirlando)ら(1999年)Immunol Lett 68:47−52頁)。TM1は抗体の初期のアンフォールディングの温度を示す。TM2は抗体の完全なアンフォールディングの温度を示す。一般に、本開示の抗体のTM1が60℃超、好ましくは65℃超、さらにより好ましくは70℃超であることが好ましい。あるいは、抗体の熱安定性は円二色性を用いて測定されうる。(マレイ(Murray)ら(2002年)J.Chromatogr Sci 40:343−9頁)。

0159

好ましい実施形態では、急速に分解することのない抗体が選択される。抗CXCR4抗体の断片化は、当該技術分野で十分に理解されているようにキャピラリー電気泳動(CE)およびMALDI−MSを用いて測定されうる(アレキサンダー A.J.(Alexander A.J.)およびヒュー D.E.(Hughes D.E.)(1995年)Anal Chem 67:3626−32頁)。

0160

別の好ましい実施形態では、最小の凝集効果を有する抗体が選択される。凝集が、望ましくない免疫応答および/または改変されるかもしくは好ましくない薬物動態学的特性誘因となりうる。一般に、抗体では、25%以下、好ましくは20%以下、さらにより好ましくは15%以下、さらにより好ましくは10%以下およびさらにより好ましくは5%以下の凝集が許容される。凝集は、単量体、二量体三量体または多量体を同定するためのサイズ排除カラム(SEC)高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)および光散乱を含む、当該技術分野で周知のいくつかの技術により測定されうる。

0161

抗体を改変する方法
上で考察のように、本明細書中に開示されるVHおよびVK配列を有する抗CXCR4抗体を用い、VHおよび/またはVK配列またはそれらに付着される定常領域を修飾することにより新しい抗CXCR4抗体の作製が可能である。したがって、本開示の別の態様では、本開示の抗CXCR4抗体、例えばF7、F9、D1またはE2の構造的特徴を用い、本開示の抗体の少なくとも1つの機能特性、例えばヒトCXCR4への結合性を保持する構造的に関連のある抗CXCR4抗体が作製される。上で考察のように、例えばF7、F9、D1もしくはE2の1つ以上のCDR領域またはその変異を既知のフレームワーク領域および/または他のCDRと組換え的に組み合わせて、さらなる組換え操作された本開示の抗CXCR4抗体の作製が可能である。修飾の他のタイプとして、前セクションに記載のタイプが挙げられる。改変方法における出発原料は、本明細書中に提供される1つ以上のVHおよび/もしくはVK配列またはそれらの1つ以上のCDR領域である。改変抗体を作製するのに、本明細書中に提供される1つ以上のVHおよび/もしくはVK配列またはそれらの1つ以上のCDR領域を有する抗体を実際に調製する(すなわちタンパク質として発現させる)必要はない。それに対し、配列内に含まれる情報を出発原料として用い、元の配列から誘導される「第二世代」配列が作製され、次いで「第二世代」配列が調製され、タンパク質として発現される。

0162

したがって、別の実施形態では、本開示は、抗CXCR4抗体を調製するための方法であって、
(a)(i)配列番号1〜4からなる群から選択されるCDR1配列、配列番号5〜8からなる群から選択されるCDR2配列、および/または配列番号9〜12からなる群から選択されるCDR3配列を含む重鎖可変領域抗体配列;ならびに/あるいは(ii)配列番号13〜16からなる群から選択されるCDR1配列、配列番号17〜20からなる群から選択されるCDR2配列、および/または配列番号21〜24からなる群から選択されるCDR3配列を含む軽鎖可変領域抗体配列を提供するステップと、
(b)重鎖可変領域抗体配列および/または軽鎖可変領域抗体配列の内部の少なくとも1つのアミノ酸残基を改変し、少なくとも1つの改変抗体配列を作製するステップと、
(c)改変抗体配列をタンパク質として発現するステップと、
を含む方法を提供する。

0163

標準の分子生物学技術を用い、改変抗体配列の調製および発現が可能である。

0164

好ましくは、改変された抗体配列によりコードされる抗体は、本明細書中に記載の抗CXCR4抗体の機能特性のうちの1つ、一部または全部を保持する抗体であり、ここでの機能特性は、限定はされないが、
(i)細胞表面上に発現される天然ヒトCXCR4に結合し、
(ii)SDF−1のCXCR4への結合を阻害し、
(iii)CXCR4を発現する細胞内でのSDF−1誘発性のカルシウム流束を阻害し、
(iv)CXCR4を発現する細胞のSDF−1誘発性の遊走を阻害し、
(v)HuVECによる毛細管形成を阻害し、
(vi)ヒトCXCR4に1×10−7M以下のKDで結合し、
(vii)CXCR4を発現する細胞内でのアポトーシスを誘発し、
(viii)インビトロで腫瘍細胞増殖を阻害し、
(ix)インビボで腫瘍細胞増殖を阻害し、および/または腫瘍細胞のアポトーシスを誘発し、
(x)CXCR4+腫瘍細胞の転移を阻害し、および/または
(xi)CXCR4+腫瘍を担持する対象の生存時間を増加させる
といった機能特性を含む。

0165

改変抗体の機能特性は、当該技術分野で使用可能でありおよび/または本明細書中に記載の標準アッセイ、例えば実施例で示されるアッセイ(例えば、フローサイトメトリー、結合アッセイ、機能アッセイ)を用いて評価可能である。

0166

本開示の抗体を改変する方法の特定の実施形態では、変異が、抗CXCR4抗体のコード配列の全部もしくは一部に沿ってランダムまたは選択的に導入可能であり、かつ、得られる修飾された抗CXCR4抗体における結合活性および/または本明細書中に記載の他の機能特性についてスクリーニング可能である。突然変異方法については当該技術分野で記載がなされている。例えば、ショート(Short)によるPCT公開、国際公開第02/092780号パンフレットでは、抗体変異を飽和突然変異誘発、合成的ライゲーションアセンブリー(synthetic ligation assembly)またはそれらの組み合わせを用いて作製しスクリーニングするための方法が記載されている。あるいは、レーザー(Lazar)らによるPCT公開、国際公開第03/074679号パンフレットでは、コンピュータによるスクリーニング方法を用いて抗体の生理化学的特性を最適化する方法が記載されている。

0167

本開示の抗体をコードする核酸分子
本開示の別の態様は、本開示の抗体をコードする核酸分子に関する。核酸は、全細胞内に、細胞溶解液中にまたは部分精製形態もしくは実質的に純粋な形態で存在しうる。核酸は、当該技術分野で周知のアルカリ/SDS処理、CsClバンディングカラムクロマトグラフィーアガロースゲル電気泳動およびその他を含む標準技術により、他の細胞成分または他の汚染物質、例えば他の細胞核酸もしくはタンパク質から除去精製される場合、「単離される」かまたは「実質的に純粋な状態にされる」。F.アウスベル(F.Ausubel)ら編(1987年)「分子生物学の最新プロトコル(Current Protocol in Molecular Biology)」、ニューヨーク(New York)のグリーンパブリッシング・アンド・ワイリー・インターサイエンス(Greene Publishing and Wiley Interscience)を参照のこと。本開示の核酸が例えばDNAまたはRNAでありうるとともに、イントロン配列を有するかまたは有しない場合がある。好ましい実施形態では核酸はcDNA分子である。

0168

本開示の核酸は、標準の分子生物学技術を用いて得られうる。ハイブリドーマ(例えばさらに下記のヒト免疫グロブリン遺伝子を有するトランスジェニックマウスから調製されるハイブリドーマ)により発現される抗体においては、ハイブリドーマにより作製される抗体の軽鎖および重鎖をコードするcDNAが標準のPCR増幅またはcDNAクローニング技術により得られうる。(例えばファージディスプレイ技術を用いる)免疫グロブリン遺伝子ライブラリから得られる抗体については、かかる抗体をコードする核酸が遺伝子ライブラリから回収されうる。

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