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技術 半導体装置用銅合金ボンディングワイヤ

出願人 日鉄マイクロメタル株式会社日鉄ケミカル&マテリアル株式会社
発明者 小田大造山田隆江藤基稀榛原照男宇野智裕
出願日 2018年11月6日 (1年0ヶ月経過) 出願番号 2018-208645
公開日 2019年4月4日 (7ヶ月経過) 公開番号 2019-052375
状態 特許登録済
技術分野 ボンディング 非鉄金属または合金の熱処理
主要キーワード 複数個セット ワイヤ製品 設定温度域 オージェ分光法 ワイヤ軸 保証寿命 ループ形 後方散乱電子線
関連する未来課題
重要な関連分野

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課題

半導体装置用銅合金ボンディングワイヤにおいて、高温高湿環境下でのボール接合寿命の向上を実現する。

解決手段

Ni,Zn,Ga,Ge,Rh,In,Ir,Ptから選ばれる少なくとも1種以上の元素(第1の元素)を総計で0.03質量%以上3質量%以下含有し、残部がCuと不可避不純物からなることを特徴とする半導体装置用銅合金ボンディングワイヤである。第1の元素を所定量含有することにより、ワイヤ接合界面において高温高湿環境下で腐食しやすい金属間化合物の生成を抑制し、ボール部接合寿命の向上がなされる。

概要

背景

現在、半導体素子上の電極外部リードとの間を接合する半導体装置用ボンディングワイヤ(以下、「ボンディングワイヤ」という)として、線径15〜50μm程度の細線が主として使用されている。半導体装置の電極へのボンディングワイヤの接合方法は、超音波併用熱圧着方式が一般的であり、汎用ボンディング装置、ボンディングワイヤをその内部に通して接続に用いるキャピラリ冶具等が用いられる。ボンディングワイヤの接合プロセスは、ワイヤ先端アーク入熱加熱溶融し、表面張力によりボールFAB:Free Air Ball)を形成した後に、150〜300℃の範囲内で加熱した半導体素子の電極上にこのボール部を圧着接合(以下、「ボール接合」という)し、次にループを形成した後、外部リード側の電極にワイヤ部を圧着接合(以下、「ウェッジ接合」という)することで完了する。ボンディングワイヤの接合相手である半導体素子上の電極にはSi基板上にAlを主体とする合金成膜した電極構造、外部リード側の電極にはAgめっきやPdめっきを施した電極構造等が用いられる。

これまでボンディングワイヤの材料は金(Au)が主流であったが、LSI用途を中心に銅(Cu)への代替が進んでいる。一方、近年の電気自動車ハイブリッド自動車の普及を背景に、車載用デバイス用途においてもAuからCuへの代替に対するニーズが高まっている。

銅ボンディングワイヤについては、高純度Cu(純度:99.99質量%以上)を使用したものが提案されている(例えば、特許文献1)。銅ボンディングワイヤを用いる場合においても、高密度実装において接合信頼性やループの安定性が高いことが要求される。接合信頼性評価は、実際の半導体デバイス使用環境における接合部寿命を評価する目的で行われる。一般的に接合信頼性評価には高温放置試験高温高湿試験が用いられる。高温高湿試験は温度が121℃、相対湿度が100%の条件で行うPCT(Pressure Cooker Test)と呼ばれる試験が一般的に用いられていた。

特許文献2には、Pdを0.13〜1.15質量%の濃度範囲で含有する銅合金からなる半導体用銅合金ボンディングワイヤが記載されている。前記濃度範囲でPdを添加することにより、PCT試験による高湿熱信頼性を向上できる。

概要

半導体装置用銅合金ボンディングワイヤにおいて、高温高湿環境下でのボール部接合寿命の向上を実現する。Ni,Zn,Ga,Ge,Rh,In,Ir,Ptから選ばれる少なくとも1種以上の元素(第1の元素)を総計で0.03質量%以上3質量%以下含有し、残部がCuと不可避不純物からなることを特徴とする半導体装置用銅合金ボンディングワイヤである。第1の元素を所定量含有することにより、ワイヤ接合界面において高温高湿環境下で腐食しやすい金属間化合物の生成を抑制し、ボール部接合寿命の向上がなされる。なし

目的

本発明は、ボンディングワイヤにおいて、高温高湿環境でのボール接合部の接合信頼性を改善し、車載用デバイスに好適な半導体装置用ボンディングワイヤを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

Ni,Zn,Ga,Ge,Rh,In,Ir,Ptから選ばれる少なくとも1種以上の元素総計で0.03質量%以上3質量%以下含有し、残部がCuと不可避不純物からなることを特徴とする半導体装置用銅合金ボンディングワイヤ

請求項2

前記銅合金ボンディングワイヤワイヤ軸垂直方向芯材断面における平均結晶粒径(μm)が、ワイヤ線径をR(μm)とすると、0.02×R+0.4以上(1a)0.1×R+0.5以下(1b)であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置用銅合金ボンディングワイヤ。

請求項3

ワイヤ表面酸化銅平均膜厚が0.0005〜0.02μmの範囲であることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置用銅合金ボンディングワイヤ。

請求項4

前記銅合金ボンディングワイヤがさらにTi、B、P、Mg、Ca、La、As、Te、Seから選ばれる少なくとも1種以上の元素を、ワイヤ全体に対し、それぞれ0.0001〜0.050質量%含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体装置用銅合金ボンディングワイヤ。

請求項5

前記銅合金ボンディングワイヤがさらにAg、Auから選ばれる少なくとも1種以上の元素を、ワイヤ全体に対し、総計で0.0005〜0.5質量%含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体装置用銅合金ボンディングワイヤ。

請求項6

前記銅合金ボンディングワイヤがさらにPdを1.15質量%以下含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の半導体装置用銅合金ボンディングワイヤ。

請求項7

前記銅合金ボンディングワイヤがNi,Zn,Ga,Ge,Rh,In,Ir,Ptから選ばれる元素を2種以上含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の半導体装置用銅合金ボンディングワイヤ。

技術分野

0001

本発明は、半導体素子上の電極外部リード等の回路配線基板配線とを接続するために利用される半導体装置用銅合金ボンディングワイヤに関する。

背景技術

0002

現在、半導体素子上の電極と外部リードとの間を接合する半導体装置用ボンディングワイヤ(以下、「ボンディングワイヤ」という)として、線径15〜50μm程度の細線が主として使用されている。半導体装置の電極へのボンディングワイヤの接合方法は、超音波併用熱圧着方式が一般的であり、汎用ボンディング装置、ボンディングワイヤをその内部に通して接続に用いるキャピラリ冶具等が用いられる。ボンディングワイヤの接合プロセスは、ワイヤ先端アーク入熱加熱溶融し、表面張力によりボールFAB:Free Air Ball)を形成した後に、150〜300℃の範囲内で加熱した半導体素子の電極上にこのボール部を圧着接合(以下、「ボール接合」という)し、次にループを形成した後、外部リード側の電極にワイヤ部を圧着接合(以下、「ウェッジ接合」という)することで完了する。ボンディングワイヤの接合相手である半導体素子上の電極にはSi基板上にAlを主体とする合金成膜した電極構造、外部リード側の電極にはAgめっきやPdめっきを施した電極構造等が用いられる。

0003

これまでボンディングワイヤの材料は金(Au)が主流であったが、LSI用途を中心に銅(Cu)への代替が進んでいる。一方、近年の電気自動車ハイブリッド自動車の普及を背景に、車載用デバイス用途においてもAuからCuへの代替に対するニーズが高まっている。

0004

銅ボンディングワイヤについては、高純度Cu(純度:99.99質量%以上)を使用したものが提案されている(例えば、特許文献1)。銅ボンディングワイヤを用いる場合においても、高密度実装において接合信頼性やループの安定性が高いことが要求される。接合信頼性評価は、実際の半導体デバイス使用環境における接合部寿命を評価する目的で行われる。一般的に接合信頼性評価には高温放置試験高温高湿試験が用いられる。高温高湿試験は温度が121℃、相対湿度が100%の条件で行うPCT(Pressure Cooker Test)と呼ばれる試験が一般的に用いられていた。

0005

特許文献2には、Pdを0.13〜1.15質量%の濃度範囲で含有する銅合金からなる半導体用銅合金ボンディングワイヤが記載されている。前記濃度範囲でPdを添加することにより、PCT試験による高湿熱信頼性を向上できる。

先行技術

0006

特開昭61−48543号公報
国際公開第2010/150814号

発明が解決しようとする課題

0007

車載用デバイスは一般的な電子機器に比べて、過酷な高温高湿環境下での接合信頼性が求められる。特に、ワイヤのボール部を電極に接合したボール接合部の接合寿命が最大の問題となる。高温高湿環境下での接合信頼性を評価する方法はいくつかの方法が提案されているが、近年代表的な評価方法として、HAST(Highly Accelerated Temperature and Humidity Stress Test)(高温高湿環境暴露試験)が用いられるようになっている。HASTは、評価パッケージへの吸湿が均一であり、評価結果の再現性が高いという特徴がある。HASTによってボール接合部の接合信頼性を評価する場合、評価用のボール接合部を温度が130℃、相対湿度が85%の高温高湿環境に暴露し、接合部の抵抗値経時変化を測定したり、ボール接合部のシェア強度の経時変化を測定したりすることで、ボール接合部の接合寿命を評価する。また、バイアス電圧印加することにより、PCTよりも厳しい評価をすることが可能である。最近は、このような条件でのHASTにおいて100時間以上の接合寿命が要求されるようになっている。

0008

本発明は、ボンディングワイヤにおいて、高温高湿環境でのボール接合部の接合信頼性を改善し、車載用デバイスに好適な半導体装置用ボンディングワイヤを提供することを目的とする。具体的には、本発明は、より厳しい評価方法であるバイアス電圧を印加したHASTにおいても、十分な接合信頼性を有する銅合金ボンディングワイヤに最適な添加元素およびそれらの最適な添加濃度を見出したものである。

課題を解決するための手段

0009

即ち、本発明の要旨とするところは以下のとおりである。
(1)Ni,Zn,Ga,Ge,Rh,In,Ir,Ptから選ばれる少なくとも1種以上の元素総計で0.03質量%以上3質量%以下含有し、残部がCuと不可避不純物からなることを特徴とする半導体装置用銅合金ボンディングワイヤ。
(2)前記銅合金ボンディングワイヤのワイヤ軸垂直方向芯材断面における平均結晶粒径(μm)が、ワイヤの線径をR(μm)とすると、
0.02×R+0.4以上 (1a)
0.1×R+0.5以下 (1b)
であることを特徴とする(1)に記載の半導体装置用銅合金ボンディングワイヤ。
(3)ワイヤ表面酸化銅平均膜厚が0.0005〜0.02μmの範囲であることを特徴とする(1)または(2)に記載の半導体装置用銅合金ボンディングワイヤ。
(4)前記銅合金ボンディングワイヤがさらにTi、B、P、Mg、Ca、La、As、Te、Seから選ばれる少なくとも1種以上の元素を、ワイヤ全体に対し、それぞれ0.0001〜0.050質量%含有することを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1つに記載の半導体装置用銅合金ボンディングワイヤ。
(5)前記銅合金ボンディングワイヤがさらにAg、Auから選ばれる少なくとも1種以上の元素を、ワイヤ全体に対し、総計で0.0005〜0.5質量%含有することを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1つに記載の半導体装置用銅合金ボンディングワイヤ。
(6)前記銅合金ボンディングワイヤがさらにPdを1.15質量%以下含有することを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1つに記載の半導体装置用銅合金ボンディングワイヤ。
(7)前記銅合金ボンディングワイヤがNi,Zn,Ga,Ge,Rh,In,Ir,Ptから選ばれる元素を2種以上含有することを特徴とする(1)〜(6)のいずれか1つに記載の半導体装置用銅合金ボンディングワイヤ。

発明の効果

0010

本発明によれば半導体装置用の銅合金ボンディングワイヤ中にNi,Zn,Ga,Ge,Rh,In,Ir,Ptから選ばれる少なくとも1種以上の元素を総計で0.03質量%以上3質量%以下含有することにより、高温高湿環境下でのボール接合部の接合寿命を向上し、接合信頼性を改善することができる。

0011

《第1の元素とその効果》
本発明の半導体装置用銅合金ボンディングワイヤ(以下、単に「ボンディングワイヤ」ともいう。)は、Ni,Zn,Ga,Ge,Rh,In,Ir,Ptから選ばれる少なくとも1種以上の元素(「第1の元素」ともいう。)を総計で0.03質量%以上3質量%以下含有し、残部がCuと不可避不純物からなる銅合金を伸線してなることを特徴とする。本発明のボンディングワイヤは、銅を主体とする合金であることから、「銅合金ボンディングワイヤ」ともいう。本発明の半導体装置用銅合金ボンディングワイヤは、銅以外の金属を主成分とする被覆層を有していないボンディングワイヤであり、「ベアCu合金ワイヤ」ともいう。本発明のボンディングワイヤは、車載用デバイスで要求される高温高湿環境でのボール接合部の接合信頼性を改善することができる。

0012

半導体装置のパッケージであるモールド樹脂エポキシ樹脂)には、分子骨格塩素(Cl)が含まれている。HAST評価条件である130℃、相対湿度が85%の高温高湿環境下では、分子骨格中のClが加水分解して塩化物イオン(Cl−)として溶出する。銅合金ボンディングワイヤをAl電極に接合した場合、Cu/Al接合界面が高温下に置かれると、CuとAlが相互拡散し、最終的に金属間化合物であるCu9Al4が形成される。Cu9Al4はClなどのハロゲンによる腐食を受けやすく、モールド樹脂から溶出したClによって腐食が進行し、接合信頼性の低下につながる。そのため、従来の銅合金ボンディングワイヤでは、HAST評価でのボール接合部寿命が十分ではなかった。

0013

それに対し、本発明のように銅合金ボンディングワイヤが第1の元素(Ni,Zn,Ga,Ge,Rh,In,Ir,Ptから選ばれる少なくとも1種以上の元素)を、総計で0.03質量%以上含有することにより、当該銅合金ボンディングワイヤを用いたボール接合部については、HAST評価でのボール接合部寿命が向上する。第1の元素を総計で0.03質量%以上含有していると、接合部におけるCu9Al4金属間化合物の生成が抑制される傾向にあると考えられる。ボール接合部におけるCuとAl界面に存在する第1の元素が、CuとAlの相互拡散抑制効果を高め、結果として、高温高湿環境下で腐食し易いCu9Al4の生成を抑制するものと思われる。また、ワイヤに含まれる第1の元素がCu9Al4の形成を直接阻害する効果がある可能性もある。接合界面近傍の第1の元素の役割は、腐食を誘発するハロゲンの移動を阻害するバリア機能、Cu、Alの相互拡散及び金属間化合物の成長等を制御する機能等が考えられる。

0014

さらに、第1の元素を所定量含有した銅合金ボンディングワイヤを用いてボール部を形成し、FABを走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)で観察したところ、FABの表面に直径数十nm程度の析出物が多数見られた。エネルギー分散X線分析(EDS:Energy Dispersive X-ray Spectroscopy)で分析すると第1の元素が濃化していることが確認された。以上のような状況から、詳細なメカニズムは不明だが、FABに観察されるこの析出物がボール部と電極との接合界面に存在することで、温度が130℃、相対湿度が85%の高温高湿環境でのボール接合部の接合信頼性が格段に向上しているものと思われる。本発明のボンディングワイヤは、PCT評価よりも厳しい条件であるHAST評価で良好な結果が得られていることからも明らかなように、PCT評価においても良好な結果を得ることができる。

0015

温度が130℃、相対湿度が85%の高温高湿環境下でのボール接合部の接合寿命を向上させ、接合信頼性を改善する観点から、ワイヤ中の第1の元素の含有量(「濃度」ともいう)は総計で0.03質量%以上であり、好ましくは0.050質量%以上、より好ましくは0.070質量%以上、さらに好ましくは0.090質量%以上、0.100質量%以上、0.150質量%以上、又は0.200質量%以上である。ワイヤ中の第1の元素の濃度が総計で0.100質量%以上であると、より厳しい接合信頼性に対する要求に対応することができる。

0016

一方で、良好なFAB形状を得る観点、ボンディングワイヤの硬質化を抑制して良好なウェッジ接合性を得る観点から、ワイヤ中の第1の元素の濃度は総計で3質量%以下、好ましくは2.5質量%以下であり、より好ましくは2.0質量%以下、さらに好ましくは1.9質量%以下、又は1.5質量%以下である。また、第1の元素の含有量の上限をこのように規定することにより、低温接合でのAl電極との初期接合強度が良好であり、HAST試験での長期信頼性や、BGA(Ball Grid Array)、CSP(Chip Size Package)等の基板テープ等への接合の量産マージンに優れるボンディングワイヤを得る観点、チップダメージを低減する観点からも、良好な結果を得ることができる。第1の元素の含有量が3.0質量%を超えると、チップダメージを発生させないように低荷重ボールボンディングを行う必要があり、電極との初期の接合強度が低下し、結果としてHAST試験信頼性が悪化する場合がある。本発明のボンディングワイヤでは、第1の元素の含有量(濃度)の総計を上記好適な範囲とすることにより、HAST試験での信頼性がさらに向上する。例えば、HAST試験の不良発生までの寿命が250時間を超えるボンディングワイヤを実現することが可能である。これは、従来のCuボンディングワイヤの1.5倍以上の長寿命化に相当する場合もあり、過酷な環境での使用にも対応可能となる。

0017

温度が130℃、相対湿度が85%の高温高湿環境下でのボール接合部の接合寿命において著しく優れた銅合金ボンディングワイヤを実現する観点から、本発明の半導体装置用Cu合金ボンディングワイヤは、Ni,Zn,Ga,Ge,Rh,In,Ir,Ptから選ばれる元素(第1の元素)を2種以上含有することが好ましい。なかでも、第1の元素の組み合わせとしては、NiとZn、NiとGa、NiとGe、NiとIn、PtとZn、PtとGa、PtとGe、PtとIn、IrとZn、IrとGe、RhとGa、RhとIn、NiとPtとZn、NiとPtとGa、NiとPtとGe、NiとPtとIn、PtとIrとZn、PtとIrとGa、IrとRhとGe、IrとRhとInなどの組み合わせが好ましい。

0018

《ボンディングワイヤの平均粒径
ボンディングワイヤ中の結晶粒径がワイヤ品質に及ぼす影響について評価した。その結果、ボンディングワイヤのワイヤ軸に垂直方向の芯材断面における平均結晶粒径には好適範囲があり、平均結晶粒径(μm)が、ワイヤの線径をR(μm)としたとき、
0.02×R+0.4以上 (1a)
0.1×R+0.5以下 (1b)
であるときには、ボール接合部のつぶれ形状や、ウェッジ接合性が特に良好になることが判明した。

0019

結晶粒径を測定するに際しては、後方散乱電子線回折法(EBSD、Electron Backscattered Diffraction)を用いると好ましい。粒径測定については、EBSD法による測定結果に対して、装置に装備されている解析ソフトを利用することで求めることができる。本発明で規定する結晶粒径は、測定領域内に含まれる結晶粒相当直径(結晶粒の面積に相当する円の直径)を算術平均したものである。

0020

《ワイヤ表面の酸化銅の平均膜厚》
本発明において好ましくは、ワイヤ表面の酸化銅の平均膜厚を0.0005〜0.02μmの範囲とする。第1の元素を総計で0.03〜3質量%の濃度範囲で含有する銅合金ボンディングワイヤにおいて、ワイヤ表面の酸化銅の平均膜厚が0.0005〜0.02μmの範囲であれば、HAST信頼性を量産レベルで安定して向上させる効果をより一層高められる。ワイヤ表面の酸化銅の膜厚が0.02μmよりも厚くなると、第1の元素を含有する銅合金からなるボンディングワイヤのボール接合部のHAST信頼性の改善効果にばらつきが生じて、HAST加熱後の接合強度等が不安定となる傾向がある。このHAST信頼性のばらつきは線径が20μm以下のボンディングワイヤでより問題となる可能性がある。第1の元素を含有する銅合金の表面の酸化銅がHAST信頼性を不安定化させる要因について、まだ不明な点もあるが、銅合金ボンディングワイヤの長手方向又はワイヤ表面から深さ方向での第1の元素の濃度分布が不均一となること、あるいは、ボール内部の侵入酸素又は残留酸化物が第1の元素のHAST信頼性の向上効果を阻害する可能性があること、等が考えられる。第1の元素を含有する銅合金ボンディングワイヤによれば表面酸化を遅らせる効果が得られるため、酸化銅の平均膜厚を薄い範囲である0.0005〜0.02μmに制御することが容易である。第1の元素を総計で0.03〜3質量%の濃度範囲で含有する銅合金ボンディングワイヤでは、高純度銅に比較して、20〜40℃程度の低温域におけるワイヤ表面の酸化銅膜の成長を遅らせる作用を有することも確認された。

0021

ワイヤ表面の酸化銅の平均膜厚が0.02μmを超えると、前述したように、HAST評価の改善効果にばらつきが生じ易くなり、例えば、評価する接合数を増やすと改善効果にばらつきが生じて不安定となる可能性が高まるので、ワイヤ表面の酸化銅の平均膜厚の上限は0.02μmとするのが好ましい。ワイヤ表面の酸化銅の平均膜厚は、改善効果におけるばらつきを少なくすることができるという観点から、0.02μm以下が好ましく、0.015μm以下がより好ましく、0.013μm以下がさらに好ましい。一方、ワイヤ表面の酸化銅の平均膜厚を0.0005μm未満に安定して抑えるには特殊な表面処理製品管理等が必要となり、接合性の低下、コスト上昇等を誘発して、工業的に適応することが困難となることがあるので、ワイヤ表面の酸化銅の平均膜厚の下限は0.0005μmとするのが好ましい。例えば、酸化銅の平均膜厚を0.0005μm未満に抑える目的で、ワイヤ表面の防錆剤塗布膜を厚くすると接合強度が低下して連続ボンディング性が低下するという問題がある。また、酸化銅の平均膜厚を0.0005μm未満に抑える目的で、ワイヤ製品大気保管保証寿命極端に短くすれば、ワイヤボンディングの量産工程での操業が困難となり、スクラップ問題が発生したりするため、工業的には容認されない場合もある。ワイヤ表面の酸化銅の平均膜厚は、工業的に適したボンディングワイヤを提供することができるという観点から、0.0005μm以上が好ましく、0.0008μm以上がより好ましく、0.001μm以上がさらに好ましい。

0022

ワイヤ表面の酸化銅の平均膜厚の測定に関しては、表面分析に適したオージェ分光分析が有効であり、ワイヤ表面のランダムな位置の最低3か所以上、可能であれば5か所以上で測定した酸化銅の膜厚の平均値を用いることが望ましい。酸素濃度とは、Cu、O、金属元素を総計した濃度に対するO濃度比率を用いる。ワイヤ表面の代表的な汚染である有機物は除外するため、上記の濃度計算ではC量は含まれない。酸化銅の膜厚の絶対値を高精度に求めることが困難であるため、オージェ分光法で一般的に用いられるSiO2換算値を用いて酸化銅膜厚を算出することが望ましい。本発明では、酸素濃度が30質量%を酸化銅と金属銅境界とする。主な酸化銅はCu2O、CuOが知られているが、第1の元素を含有する銅合金の表面には低温(25〜500℃)ではCu2Oが優先的に形成される場合が多いため、酸素濃度が30質量%を境界とする。

0023

《第2の元素とその効果》
本発明のボンディングワイヤはさらにTi、B、P、Mg、Ca、La、As、Te、Seから選ばれる少なくとも1種以上の元素(「第2の元素」ともいう。)をワイヤ全体に対し、それぞれ0.0001〜0.050質量%含有すると好ましい。これにより、高密度実装に要求されるボール接合部のつぶれ形状を改善、すなわちボール接合部形状の真円性を改善することができる。またこれにより、より良好なボール形状を実現することができる。第2の元素の含有量(濃度)は、ボール接合部の圧着形状を真円化させる効果を向上できるという観点から、総計で0.0001質量%以上が好ましく、0.0002質量%以上がより好ましく、0.0003質量%以上がさらに好ましい。また、ボールの硬質化を抑制してボール接合時のチップダメージを抑制する観点から、第2の元素の含有量は0.050質量%以下が好ましく、0.045質量%以下がより好ましく、0.040質量%以下がさらに好ましい。また、当該第2の元素をそれぞれ0.0005質量%以上含有することにより、ウェッジ接合部の不良発生を低減させる効果が得られるので、より好ましい。第2の元素の添加により、ワイヤが変形するときにワイヤの加工硬化を低減して、ウェッジ接合のワイヤ変形を促進する作用を高められる。詳細な機構は不明であるが、第1の元素はCu中に固溶すること、第2の元素はCu中の固溶度が小さいため析出偏析することで、これらの元素が補完的に作用し、ウェッジ接合のワイヤ変形に、一段と優れた効果が発揮できていると考えられる。

0024

《第3の元素とその効果》
本発明のボンディングワイヤはさらにAg、Auから選ばれる少なくとも1種以上の元素(「第3の元素」ともいう。)を総計で0.0005〜0.5質量%含有すると好ましい。最近の高密度実装で要求される狭ピッチ接続では、ボール接合部の変形形状が重要であり、花弁状偏芯等の異形を抑えて、真円化させることが求められる。第3の元素を第1の元素と併用して添加することで、ボール変形を容易に等方的にでき、圧着形状を真円化させる効果が高められる。これにより、50μm以下の狭ピッチ接続にも十分適応できることが確認された。この効果は、第3の元素含有量が総計で0.0005質量以上であればより効果的に発揮される。第3の元素の含有量は、ボール接合部の圧着形状を真円化させる効果を向上できるという観点から、総計で0.0005質量%以上が好ましく、0.0007質量%以上がより好ましく、0.001質量%以上がさらに好ましい。また、良好なFAB形状を得るという観点から、第3の元素の含有量は0.5質量%以下が好ましく、0.4質量%以下がより好ましく、0.3質量%以下がさらに好ましい。一方、第3の元素の含有量が総計で0.5質量%を超えると、FAB形状が悪化するおそれがある。ボンディングワイヤにAuを含有させると、再結晶温度が上がって、伸線加工中の動的再結晶を防ぐため加工組織が均一になり、熱処理後の結晶粒サイズが比較的均一になる。それによりワイヤの破断伸びが向上し、ボンディングした際に安定的なワイヤループを形成することができる。Auをさらに含有させる場合、ワイヤ中の第1の元素の総計が0.1質量%を超えるように含有量を定めることが好適である。本発明のボンディングワイヤは、第2の元素とともに第3の元素を含んでいていてもよいし、第2の元素に代えて、第3の元素を含有していてもよい。

0025

《Pdの含有とその効果》
本発明のボンディングワイヤはさらにPdを1.15質量%以下の範囲で含有すると好ましい。これにより、ボール接合部の高湿加熱信頼性をさらに向上できる。ボンディングワイヤ中にPdを上記濃度範囲で含有させることにより、Pdが接合界面まで拡散又は濃化して、CuとAlとの相互拡散に影響を及ぼすことで、ボール接合部接合界面に成長するCu−Al系の金属間化合物の腐食反応を遅らせると考えられる。Pdの含有量はHAST信頼性を顕著に高められるという観点から、1.15質量%以下であるのが好ましく、1.0質量%以下であるのがより好ましく、0.9質量%以下であるのがさらに好ましい。一方、Pd濃度が1.15質量%を超えると、ワイヤの常温強度高温強度等が上昇することで、ループ形状のバラツキの発生、ウェッジ接合性の低下等が見られることがあるので、Pd含有量上限は1.15質量%とするのが好ましい。本発明のボンディングワイヤは、第2の元素及び/又は第3の元素とともにPdを含んでいてもよいし、第2の元素及び第3の元素のいずれか一方または双方に代えてPdを含んでいてもよい。

0026

《ボンディングワイヤの製造方法》
本発明の半導体装置用ボンディングワイヤの製造方法の概要について説明する。

0027

銅純度が4N〜6N(99.99〜99.9999質量%)である高純度銅を用い、添加元素を必要な濃度含有した銅合金を溶解により作製する。溶解には、アーク加熱炉高周波加熱炉抵抗加熱炉等を利用することができる。大気中からのO2、H2等のガス混入を防ぐために、真空雰囲気あるいはArやN2等の不活性雰囲気中で溶解を行うことが好ましい。その後に炉中で徐冷してインゴット鋳塊)を作製する。インゴット表面の洗浄のため、酸洗浄及び水洗し、乾燥させる。銅中の添加元素の濃度分析には、ICP(Inductively Coupled Plasma)分析等が有効である。

0028

この合金化では、高純度の成分を直接添加する方法と、添加元素を1%程度の高濃度含有する母合金を利用する手法がある。母合金を利用する手法は、低濃度に含有して元素分布を均一化させるためには有効である。本発明の添加成分において、第1の元素を0.5質量%以上の比較的高濃度に含有させる場合には、高純度の直接添加が利用でき、第1の元素および第2の元素を低濃度に安定して含有させるには、母合金を添加する手法が有利である。

0029

ボンディングワイヤ中に第1の元素、第2の元素、第3の元素、その他の元素を含有させるに際し、上述のように、これら元素を溶解時に含有させる方法の他、ボンディングワイヤ表面に合金元素被着させて含有させる方法を採用したとしても、上記本発明の効果を発揮することができる。

0030

ワイヤ製造工程の途中で、ワイヤ表面に合金成分を被着させることによって含有させることもできる。この場合、ワイヤ製造工程のどこに組み込んでも良いし、複数回繰り返しても良い。複数の工程に組み込んでも良い。被着方法としては、(1)水溶液の塗布⇒乾燥⇒熱処理、(2)めっき法(湿式)、(3)蒸着法(乾式)、から選択することができる。

0031

製造した銅合金塊はまず圧延により大径に加工し、次いで伸線加工により最終線径まで細くされる。圧延工程では、溝型ロール又はスエージング等を使用する。伸線工程では、ダイヤモンドコーティングされたダイス複数個セットできる連続伸線装置を用いる。必要に応じて、加工の途中段階又は最終線径で熱処理を施す。

0032

銅合金ボンディングワイヤに、第1の元素を含有させると、ワイヤの材料強度硬度)が高くなる。そのため、ボンディングワイヤを伸線加工するに際しては、伸線時の減面率を5〜8%と低い減面率としていた。また、伸線後の熱処理において、やはり硬度が高いため、ボンディングワイヤとして使用できるレベルまで軟質化するために700℃以上の温度で熱処理を行っていた。高い熱処理温度のため、芯材断面における平均結晶粒径(μm)が(0.1×R+0.5)超となり(Rはワイヤ線径(μm))、ウェッジ接合性が若干低下することとなった。一方、熱処理温度を低下すると、芯材断面における平均結晶粒径(μm)が(0.02×R+0.4)未満となり、ボール接合部のつぶれ形状が若干低下する結果となっていた。

0033

そこで、本発明においては、ダイスを用いた伸線時において、全ダイス数のうちの半分以上のダイスにおいて減面率を10%以上とし、さらに伸線後の熱処理における熱処理温度を600℃以下と低い温度とするのが好ましい。その結果、ボンディングワイヤのワイヤ軸に垂直方向の芯材断面における平均結晶粒径(μm)を好適範囲(0.02×R+0.4以上、0.1×R+0.5以下)とすることができる(Rはワイヤ線径(μm))。最新の伸線加工技術を適用し、潤滑液として、潤滑液に含まれる非イオン系界面活性剤の濃度を従来よりも高めに設計し、ダイス形状として、ダイスのアプローチ角度を従来のものよりも緩やかに設計し、ダイスの冷却水温度を従来よりも低めに設定することなどの相乗効果により、銅合金ボンディングワイヤ中に第1の元素成分を総計で0.03質量%以上含有して硬質化しているにもかかわらず、減面率10%以上の伸線加工が可能となった。

0034

ワイヤ表面の酸化銅の平均膜厚が0.0005〜0.02μmの範囲に量産レベルで管理するための製造条件としては、ワイヤ製造工程での酸化を抑えることが好ましい。熱処理工程での酸化銅の形成を制御するには、温度(200〜850℃)、熱処理工程での不活性ガス流量の調整(1〜8L/分)、炉内の酸素濃度の管理等が有効である。酸素濃度は、炉の中央部で測定して、その濃度範囲が0.1〜6体積%であるように調整することが有効である。酸素濃度を上記範囲に制御する手法として、上記ガス流量の適正化、炉の入り口、出口等の形状を変えることで外界から熱処理炉内への大気巻込みの防止等を管理することでできる。さらに量産レベルでは、伸線工程も管理することが望ましく、例えば、水中での伸線工程の1パス後にワイヤを巻き取る前に乾燥(40〜60℃の温風大気の吹き付け)することによりワイヤ表面の水分を積極的に除去すること、製造工程途中での保管の湿度を管理(2日以上保管では相対湿度60%以下)すること等も有効である。

0035

以下では、実施例を示しながら、本発明の実施形態に係るボンディングワイヤについて、具体的に説明する。

0036

サンプル)
まずサンプルの作製方法について説明する。芯材の原材料となるCuは純度が99.99質量%以上(本実施例では6N(濃度は99.9999質量%以上のもの)を使用)で残部が不可避不純物から構成されるものを用いた。第1の元素、第2の元素、第3の元素及びPdは純度が99質量%以上で残部が不可避不純物から構成されるものを用いた。ワイヤ又は芯材の組成が目的のものとなるように、芯材への添加元素である第1の元素、第2の元素、第3の元素、Pdの合金元素を調合する。各元素の添加に関しては、単体での調合も可能であるが、単体で高融点の元素や添加量が極微量である場合には、添加元素を含むCu母合金をあらかじめ作製しておいて目的の添加量となるように調合しても良い。

0037

銅合金は、連続鋳造より数mmの線径になるように製造した。得られた数mmの合金に対して、引抜加工を行ってφ0.3〜1.4mmのワイヤを作製した。伸線には市販の潤滑液を用い、伸線速度は20〜150m/分とした。一部の実施例を除き、ワイヤ表面の酸化膜を除去するために、塩酸等による酸洗処理を行った後、全ダイス数のうちの半分以上のダイスにおいて減面率10〜21%のダイスを使用して伸線加工を行い、更には途中に1乃至3回の熱処理を200〜600℃で行うことによって直径20μmまたは直径18μmまで加工した。加工後は最終的に破断伸びが約5〜15%になるように熱処理をした。熱処理方法はワイヤを連続的に掃引しながら行い、N2もしくはArガスを流しながら行った。ワイヤの送り速度は10〜90m/分、熱処理温度は350〜600℃で熱処理時間は1〜10秒とした。実施例6、10、11、23、55、56、62、77の製造方法については、実施例11、56では熱処理温度を300℃以下と低い温度とし、実施例6、10、55、62、77では熱処理温度を700℃以上と高い温度とした。

0038

(評価方法)
[元素の含有量]
ワイヤ中の各合金元素の含有量については、ICP発光分光分析装置を利用して分析した。

0039

[結晶粒径]
結晶粒径については、EBSD法で評価した。EBSD測定データの解析には専用ソフト(TSLソリューションズ製 OIMAnalysis等)を利用した。結晶粒径は、測定領域内に含まれる結晶粒の相当直径(結晶粒の面積に相当する円の直径)を算術平均したものである。

0040

[酸化銅の平均膜厚]
ワイヤ表面の酸化銅の平均膜厚の測定には、オージェ分光分析による深さ分析を行い、ワイヤ表面のランダムな位置の最低3か所以上で測定した酸化銅の膜厚の平均値を用いた。Arイオンスパッタしながら深さ方向に測定して、深さの単位はSiO2換算で表示した。酸素濃度が30質量%を酸化銅と金属銅の境界とする。ここでの酸素濃度とは、Cu、酸素、金属元素を総計した濃度に対する酸素濃度の比率を用いた。測定にはSAM−670(PHI社製、FE型)を用い、電子ビーム加速電圧を5kV、測定領域は10nAとし、Arイオンスパッタの加速電圧が3kV、スパッタ速度は11nm/分で測定を実施した。酸化銅の平均膜厚の測定結果を各表の「酸化銅平均膜厚」の欄に記載した。

0041

[HAST]
高温高湿環境又は高温環境でのボール接合部の接合信頼性は、接合信頼性評価用のサンプルを作製し、HAST評価を行い、ボール接合部の接合寿命によって判定した。接合信頼性評価用のサンプルは、一般的な金属フレーム上のSi基板に厚さ0.8μmのAl−1.0%Si−0.5%Cuの合金を成膜して形成した電極に、市販のワイヤーボンダーを用いてボール接合を行い、市販のエポキシ樹脂によって封止して作製した。ボールはN2+5%H2ガスを流量0.4〜0.6L/minで流しながら形成させ、その大きさはφ33〜34μmの範囲とした。

0042

HAST評価については、作製した接合信頼性評価用のサンプルを、不飽和型プレッシャークッカー試験機を使用し、温度130℃、相対湿度85%の高温高湿環境に暴露し、7Vのバイアスをかけた。ボール接合部の接合寿命は48時間毎にボール接合部のシェア試験を実施し、シェア強度の値が初期に得られたシェア強度の1/2となる時間とした。高温高湿試験後のシェア試験は、酸処理によって樹脂を除去して、ボール接合部を露出させてから行った。

0043

HAST評価のシェア試験機はDAGE社製の試験機を用いた。シェア強度の値は無作為に選択したボール接合部の10か所の測定値の平均値を用いた。上記の評価において、接合寿命が96時間未満であれば実用上問題があると判断し×印、96時間以上144時間未満であれば実用可能であるがやや問題有りとして△印、144時間以上192時間未満であれば実用上問題ないと判断し○印、192時間以上であれば優れていると判断し◎印とし、各表の「HAST」の欄に表記した。×のみが不合格であり、それ以外は合格である。

0044

[FAB形状]
ボール部におけるボール形成性(FAB形状)の評価は、接合を行う前のボールを採取して観察し、ボール表面気泡の有無、本来真球であるボールの変形の有無を判定した。上記のいずれかが発生した場合は不良と判断した。ボールの形成は溶融工程での酸化を抑制するために、N2ガスを流量0.5L/minで吹き付けながら行った。ボールの直径は、ワイヤ線径の1.7倍とした。1条件に対して50個のボールを観察した。観察にはSEMを用いた。ボール形成性の評価において、不良が5個以上発生した場合には問題があると判断し×印、不良が3〜4個であれば実用可能であるがやや問題有りとして△印、不良が1〜2個の場合は問題ないと判断し○印、不良が発生しなかった場合には優れていると判断し◎印とし、各表の「FAB形状」の欄に表記した。×のみが不合格であり、それ以外は合格である。

0045

[ウェッジ接合性]
ワイヤ接合部におけるウェッジ接合性の評価は、リードフレームリード部分に1000本のボンディングを行い、接合部の剥離発生頻度によって判定した。リードフレームは1〜3μmのAgめっきを施したFe−42原子Ni合金リードフレームを用いた。本評価では、通常よりも厳しい接合条件を想定して、ステージ温度を一般的な設定温度域よりも低い150℃に設定した。上記の評価において、不良が11個以上発生した場合には問題があると判断し×印、不良が6〜10個であれば実用可能であるがやや問題有りとして△印、不良が1〜5個の場合は問題ないと判断し○印、不良が発生しなかった場合には優れていると判断し◎印とし、各表の「ウェッジ接合性」の欄に表記した。×のみが不合格であり、それ以外は合格である。

0046

[つぶれ形状]
ボール接合部のつぶれ形状の評価は、ボンディングを行ったボール接合部を直上から観察して、その真円性によって判定した。接合相手はSi基板上に厚さ1.0μmのAl−0.5%Cuの合金を成膜した電極を用いた。観察は光学顕微鏡を用い、1条件に対して200箇所を観察した。真円からのずれが大きい楕円状であるもの、変形に異方性を有するものはボール接合部のつぶれ形状が不良であると判断した。上記の評価において、不良が6個以上発生した場合には問題があると判断し×印、不良が4〜5個であれば実用可能であるがやや問題有りとして△印、1〜3個の場合は問題ないと判断し○印、全て良好な真円性が得られた場合は、特に優れていると判断し◎印とし、各表の「つぶれ形状」の欄に表記した。

0047

0048

0049

0050

0051

0052

0053

(評価結果)
表1、2に示すように、第1の元素の濃度が合計で0.03〜3.0質量%の実施例1〜103に係る銅合金ボンディングワイヤでは、温度が130℃、相対湿度が85%の高温高湿環境下でのHAST試験でボール接合部信頼性が得られることを確認した。

0054

また、ワイヤ表面の酸化銅の平均膜厚が0.0005〜0.02μmの範囲である実施例1〜103に係るボンディングワイヤはいずれも、HAST評価結果が良好であった。

0055

また、実施例のボンディングワイヤのうち、全ダイス数のうちの半分以上のダイスにおいて伸線時の減面率を10%以上とし、伸線後の熱処理における熱処理温度を600℃以下と低い温度とした実施例1〜5、7〜9、12〜22、24〜54、57〜61、63〜69、71〜76、78〜103に係るボンディングワイヤでは、ボンディングワイヤのワイヤ軸に垂直方向の芯材断面における平均結晶粒径(μm)が、0.02×R+0.4以上、0.1×R+0.5以下の範囲内(Rはワイヤの線径(μm))であった。ここで、第1の元素の含有量が0.8〜1.0質%の実施例7〜14の評価結果を比較すると、平均結晶粒径が前記範囲内のボンディングワイヤ(実施例7〜9、実施例12〜14)においては、平均結晶粒径が前記範囲外のボンディングワイヤ(実施例10,11)よりも、ウェッジ接合性とボール接合部のつぶれ形状が良好であった。この結果から、ボンディングワイヤのワイヤ軸に垂直方向の芯材断面における平均結晶粒径(μm)が、0.02×R+0.4以上、0.1×R+0.5以下の範囲内(Rはワイヤの線径(μm))であると、ウェッジ接合性とボール接合部のつぶれ形状が良好となることがわかった。

0056

実施例11では、熱処理温度を300℃以下と低くしたため平均結晶粒径が好適範囲の下限未満であり、ウェッジ接合性が「△」であって若干低下する結果となった。
実施例10では、熱処理温度を700℃以上と高い温度としたために平均結晶粒径が好適範囲の上限超であり、その結果として、実施例10では、つぶれ形状が「△」であって若干低下する結果となった。

0057

第1の元素を2種以上含む実施例24〜43に係るボンディングワイヤでは、第1の元素を1種類だけ含み、その含有量が同程度の実施例7〜14に係るボンディングワイヤよりもHAST試験の結果がさらに良好であった。この結果から、第1の元素を2種類以上含むボンディングワイヤにおいては、温度が130℃、相対湿度が85%の高温高湿環境下でのHAST試験でボール接合部信頼性がさらに良好となることがわかった。

0058

実施例に係るボンディングワイヤのうち、さらに第2の元素をそれぞれ0.0001〜0.050質量%含む実施例44〜66に係るボンディングワイヤでは、ボール接合部のつぶれ形状が良好であった。
実施例に係るボンディングワイヤのうち、さらに、Ag、Auから選ばれる少なくとも1種以上の元素(第3の元素)を総計で0.0005〜0.5質量%含有する実施例67〜92に係るボンディングワイヤでは、ボール接合部のつぶれ形状が良好であった。
実施例に係るボンディングワイヤのうち、さらにPdを1.15質量%以下含有する実施例93〜103に係るボンディングワイヤでは、温度が130℃、相対湿度が85%の高温高湿環境下でのHAST試験でボール接合部信頼性がさらに良好となることを確認した。
実施例に係るボンディングワイヤのうち、第1の元素に加えて、さらに、第2の元素をそれぞれ0.0001〜0.050質量%、及び、Ag、Auから選ばれる少なくとも1種以上の元素(第3の元素)を総計で0.0005〜0.07質量%を含有する、実施例75、76、84、85、90〜92に係るボンディングワイヤでは、HAST評価結果、ウェッジ接合性、及びボール接合部のつぶれ形状がすべて良好であるという好ましい結果が得られた。なかでも第1の元素を2種類以上含む、実施例75および76ではHAST評価結果が特に良好であった。
また、実施例に係るボンディングワイヤのうち、第1の元素に加えて、さらに第2の元素をそれぞれ0.0001〜0.050質量%、及び、Pdを1.15質量%以下含有する実施例98〜99に係るボンディングワイヤでは、HAST評価結果がさらに良好で、FAB形状、ウェッジ接合性、及びボール接合部のつぶれ形状が良好であるという好ましい結果が得られた。

実施例

0059

一方、比較例のボンティングワイヤのうち、第1の元素合計濃度が0.03質量%よりも少ない比較例3、4のボンディングワイヤでは、HAST試験でボール接合部信頼性が得られず、第1の元素合計濃度が3質量%よりも多い比較例1、2、5、6のボンディングワイヤでは、FAB形状及びウェッジ接合性が不良であった。

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