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課題
解決手段
概要
背景
周知のように、ガラス板の製造工程では、製品サイズに切り出すためにガラス板を切断する場合が多い。切断に伴って形成されたガラス板の端面には、微小クラック等の欠陥が多数含まれるため、これらの欠陥を除去することを目的として、切断後のガラス板に対して研削加工を施す等して、端面を加工することが通例となっている。そして、特許文献1には、端面を加工する態様の一例が開示されている。
同文献に開示された態様では、吸着孔(同文献では複数の吸着孔)が形成された支持テーブルにガラス板を吸着させて固定すると共に、支持テーブルから食み出したガラス板の端面に対して砥石により研削加工を施している。なお、支持テーブル上には水等の液体を供給する場合がある。例えば、支持テーブルに液体の供給口を形成し、この供給口から支持テーブル上に液体を流出させて供給する。これは、研削加工の前に支持テーブル上でガラス板の位置決めを行う際に、ガラス板を移動させやすくするためである。
ところで、支持テーブルにガラス板を吸着させるには、流体の流路(配管)を通じて吸着孔と接続された真空ポンプやタンク等を備える負圧発生源を利用する場合が多い。負圧発生源は、大型であることから、製造ライン外に配置される。このような負圧発生源により、吸着孔を介して支持テーブル上のガラス板に負圧を作用させることで吸着を行う。そして、特許文献2には、ガラス板ではなく、半導体ウェーハを吸着の対象としたものではあるが、負圧発生源(同文献では真空生成源)を利用して、支持テーブルに半導体ウェーハを吸着させる態様が開示されている。
概要
負圧発生源を利用して支持テーブルにガラス板を吸着させて固定する場合に、所望の大きさの負圧がガラス板に作用するまでの時間を削減し、タクトタイムを短縮すること。吸着孔3aが形成された支持テーブル3上に液体9を供給する工程と、支持テーブル3上にガラス板2を載置する工程と、流路4を通じて吸着孔3aと接続された真空タンク10により、支持テーブル3にガラス板2を吸着固定する工程と、ガラス板2の端面2aを加工する工程とを実行するにあたり、流路4を複数の分岐ヘッダー6,7により複数回分岐させた。また、流路4上に設けた第一電磁弁8から真空ポンプ5側での流路断面積を吸着孔3a側よりも大きくした。
目的
本発明は、負圧発生源を利用して支持テーブルにガラス板を吸着させて固定する場合に、所望の大きさの負圧がガラス板に作用するまでの時間を削減し、タクトタイムを短縮することを技術的な課題とする
効果
実績
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請求項1
複数の吸着孔が形成された支持テーブル上にガラス板を載置する載置工程と、流体の流路を通じて前記複数の吸着孔の各々と接続された負圧発生源により、該複数の吸着孔を介して前記支持テーブルに前記ガラス板を吸着固定する吸着固定工程とを含んだガラス板の製造方法であって、前記流路のうちで前記負圧発生源から前記複数の吸着孔に至る区間に、前記流路を開放した開状態と閉鎖した閉状態とを切換可能な切換機構を設け、前記切換機構から前記複数の吸着孔に至るまでに、前記流路を複数の分岐ヘッダーにより複数回分岐させたことを特徴とするガラス板の製造方法。
請求項2
前記複数の分岐ヘッダーに、前記流路上で相対的に前記複数の吸着孔側に配置された第一分岐ヘッダーと、相対的に前記負圧発生源側に配置された第二分岐ヘッダーとが含まれ、前記複数の吸着孔の各々から前記第一分岐ヘッダーまでの流路長さ、及び、前記第一分岐ヘッダーから前記第二分岐ヘッダーまでの流路長さを、前記第二分岐ヘッダーから前記切換機構までの流路長さと比べて短くすることを特徴とする請求項1に記載のガラス板の製造方法。
請求項3
前記ガラス板を平置き姿勢で前記支持テーブルに対して搬入出するための並列な複数本の搬送ベルトを設けると共に、該複数本の搬送ベルトを挿通させるための並列に形成された複数の隙間により前記支持テーブルが複数の分割テーブルに分割され、前記分割テーブルの下方に前記第一分岐ヘッダーを配置すると共に、前記搬送ベルトによって前記ガラス板を搬送可能な領域内に前記第二分岐ヘッダーを配置することを特徴とする請求項2に記載のガラス板の製造方法。
請求項4
前記切換機構を基準として、該切換機構から前記負圧発生源側における前記流路の流路断面積を、該切換機構から前記複数の吸着孔側における前記流路の流路断面積よりも大きくすることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のガラス板の製造方法。
請求項5
前記支持テーブル上に液体を供給する液体供給手段を設け、前記負圧発生源が、前記流路と接続され内部が負圧で維持される第一室と、該第一室と通路を介して連なった第二室と、前記通路を開放した開状態と閉鎖した閉状態とを切換可能な第一開閉手段と、前記第二室から排液を行う経路を開放した開状態と閉鎖した閉状態とを切換可能な第二開閉手段とを備え、前記第一開閉手段を開状態とし、且つ、前記第二開閉手段を閉状態とした状態で、前記流路から前記第一室および前記通路を介して前記第二室に前記液体を流入させて貯留する貯留工程と、前記第一開閉手段を閉状態とし、且つ、前記第二開閉手段を開状態とした状態で、前記経路を通じて前記第二室に貯留された前記液体を排液する排液工程とを実行することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のガラス板の製造方法。
請求項6
前記複数の吸着孔側から前記負圧発生源側に向かって、前記流路の高さ位置を漸次に低下させることを特徴とする請求項5に記載のガラス板の製造方法。
請求項7
吸着孔が形成された支持テーブル上にガラス板を載置する載置工程と、流体の流路を通じて前記吸着孔と接続された負圧発生源により、該吸着孔を介して前記支持テーブルに前記ガラス板を吸着固定する吸着固定工程とを含んだガラス板の製造方法であって、前記流路上における前記吸着孔と前記負圧発生源との間に、前記流路を開放した開状態と閉鎖した閉状態とを切換可能な切換機構を設け、前記切換機構を基準として、該切換機構から前記負圧発生源側における前記流路の流路断面積を、該切換機構から前記吸着孔側における前記流路の流路断面積よりも大きくしたことを特徴とするガラス板の製造方法。
請求項8
吸着孔が形成された支持テーブル上に液体を供給する液体供給工程と、前記支持テーブル上にガラス板を載置する載置工程と、流体の流路を通じて前記吸着孔と接続された負圧発生源により、該吸着孔を介して前記支持テーブルに前記ガラス板を吸着固定する吸着固定工程とを含んだガラス板の製造方法であって、前記負圧発生源が、前記流路と接続され内部が負圧で維持される第一室と、該第一室と通路を介して連なった第二室と、前記通路を開放した開状態と閉鎖した閉状態とを切換可能な第一開閉手段と、前記第二室から排液を行う経路を開放した開状態と閉鎖した閉状態とを切換可能な第二開閉手段とを備え、前記第一開閉手段を開状態とし、且つ、前記第二開閉手段を閉状態とした状態で、前記流路から前記第一室および前記通路を介して前記第二室に前記液体を流入させて貯留する貯留工程と、前記第一開閉手段を閉状態とし、且つ、前記第二開閉手段を開状態とした状態で、前記経路を通じて前記第二室に貯留された前記液体を排液する排液工程とを実行することを特徴とするガラス板の製造方法。
請求項9
複数の吸着孔が形成された支持テーブルと、流体の流路を通じて前記複数の吸着孔の各々と接続され、且つ、該複数の吸着孔を介して前記支持テーブル上に載置されたガラス板に負圧を作用させる負圧発生源とを備えたガラス板の製造装置であって、前記流路のうちで前記負圧発生源から前記複数の吸着孔に至る区間に、前記流路を開放した開状態と閉鎖した閉状態とを切換可能な切換機構を設け、前記切換機構から前記複数の吸着孔に至るまでに、前記流路が複数の分岐ヘッダーにより複数回分岐していることを特徴とするガラス板の製造装置。
技術分野
背景技術
0002
周知のように、ガラス板の製造工程では、製品サイズに切り出すためにガラス板を切断する場合が多い。切断に伴って形成されたガラス板の端面には、微小クラック等の欠陥が多数含まれるため、これらの欠陥を除去することを目的として、切断後のガラス板に対して研削加工を施す等して、端面を加工することが通例となっている。そして、特許文献1には、端面を加工する態様の一例が開示されている。
0003
同文献に開示された態様では、吸着孔(同文献では複数の吸着孔)が形成された支持テーブルにガラス板を吸着させて固定すると共に、支持テーブルから食み出したガラス板の端面に対して砥石により研削加工を施している。なお、支持テーブル上には水等の液体を供給する場合がある。例えば、支持テーブルに液体の供給口を形成し、この供給口から支持テーブル上に液体を流出させて供給する。これは、研削加工の前に支持テーブル上でガラス板の位置決めを行う際に、ガラス板を移動させやすくするためである。
0004
ところで、支持テーブルにガラス板を吸着させるには、流体の流路(配管)を通じて吸着孔と接続された真空ポンプやタンク等を備える負圧発生源を利用する場合が多い。負圧発生源は、大型であることから、製造ライン外に配置される。このような負圧発生源により、吸着孔を介して支持テーブル上のガラス板に負圧を作用させることで吸着を行う。そして、特許文献2には、ガラス板ではなく、半導体ウェーハを吸着の対象としたものではあるが、負圧発生源(同文献では真空生成源)を利用して、支持テーブルに半導体ウェーハを吸着させる態様が開示されている。
先行技術
0005
特開2012−11547号公報
特開2016−174074号公報
発明が解決しようとする課題
0006
しかしながら、上記のごとく、ガラス板の端面を加工するに際し、負圧発生源を利用して支持テーブルにガラス板を吸着させて固定する態様では、下記のような解決すべき問題があった。すなわち、吸着を開始させた後、ガラス板に所望の大きさ(端面の加工に支障のない大きさ)の負圧が作用するまでに不当に時間が掛かる難点があった。そのため、端面を加工するための工程のタクトタイムを短縮する観点から改善を図る必要があったのが現状である。
0007
上記の事情に鑑みなされた本発明は、負圧発生源を利用して支持テーブルにガラス板を吸着させて固定する場合に、所望の大きさの負圧がガラス板に作用するまでの時間を削減し、タクトタイムを短縮することを技術的な課題とする。
課題を解決するための手段
0008
上記の課題を解決するために創案された本発明に係る第一の方法は、複数の吸着孔が形成された支持テーブル上にガラス板を載置する載置工程と、流体の流路を通じて複数の吸着孔の各々と接続された負圧発生源により、複数の吸着孔を介して支持テーブルにガラス板を吸着固定する吸着固定工程とを含んだガラス板の製造方法であって、流路のうちで負圧発生源から複数の吸着孔に至る区間に、流路を開放した開状態と閉鎖した閉状態とを切換可能な切換機構を設け、切換機構から複数の吸着孔に至るまでに、流路を複数の分岐ヘッダーにより複数回分岐させたことに特徴付けられる。
0009
流路のうちで負圧発生源から複数の吸着孔に至る区間に切換機構を設ける場合、負圧発生源から切換機構に至る区間の流路は常に負圧となる。一方、切換機構から複数の吸着孔に至る区間の流路は、閉状態で常圧となり、開状態で負圧となる。ここで、本方法においては、切換機構から複数の吸着孔に至るまでに、流路を複数の分岐ヘッダーにより複数回分岐させている。これにより、流路を複数回分岐させた分だけ、切換機構から複数の吸着孔に至る区間の流路の長さ(負圧を発生させるべき流路の容積)を低減することに成功している。そのため、負圧発生源により、迅速に切換機構から複数の吸着孔に至る区間に負圧を発生させることが可能となり、ひいては、所望の大きさの負圧がガラス板に作用するまでの時間を削減することができる。その結果、載置工程から吸着固定工程に至る一連の工程のタクトタイムを短縮することが可能となる。
0010
上記の方法では、複数の分岐ヘッダーに、流路上で相対的に複数の吸着孔側に配置された第一分岐ヘッダーと、相対的に負圧発生源側に配置された第二分岐ヘッダーとが含まれ、複数の吸着孔の各々から第一分岐ヘッダーまでの流路長さ、及び、第一分岐ヘッダーから第二分岐ヘッダーまでの流路長さを、第二分岐ヘッダーから切換機構までの流路長さと比べて短くすることが好ましい。
0011
複数の分岐ヘッダーに、第一分岐ヘッダーと第二分岐ヘッダーとが含まれる場合、複数の吸着孔と第一分岐ヘッダーとを結ぶ流路(以下、第一流路と表記)、及び、第一分岐ヘッダーと第二分岐ヘッダーとを結ぶ流路(以下、第二流路と表記)は、いずれも第二分岐ヘッダーと切換機構とを結ぶ流路(以下、第三流路と表記)と比較して、流路の本数が多数となる。従って、多数となる第一流路および第二流路の長さを、第三流路の長さと比べて短くしておけば、切換機構から複数の吸着孔に至る区間の流路の容積を低減する上で更に有利となる。
0012
上記の方法では、ガラス板を平置き姿勢で支持テーブルに対して搬入出するための並列な複数本の搬送ベルトを設けると共に、複数本の搬送ベルトを挿通させるための並列に形成された複数の隙間により支持テーブルが複数の分割テーブルに分割され、分割テーブルの下方に第一分岐ヘッダーを配置すると共に、搬送ベルトによってガラス板を搬送可能な領域内に第二分岐ヘッダーを配置することが好ましい。
0013
ここで、第一分岐ヘッダーを分割テーブルの下方に配置すれば、複数の吸着孔と第一分岐ヘッダーを可及的に近接させることが可能である。また、搬送ベルトによってガラス板を搬送可能な領域内に第二分岐ヘッダーを配置すれば、製造(搬送)ライン内で複数の第二流路を合流させることができる。このため、上記の第一流路および第二流路の長さを短くする上で更に有利となる。ここで、「搬送ベルトによってガラス板を搬送可能な領域内に第二分岐ヘッダーを配置する」は、複数本の搬送ベルトの下方かつ支持テーブルの下方に第二分岐ヘッダーを配置する場合と、支持テーブルの下方でないが、複数本の搬送ベルトの下方に第二分岐ヘッダーを配置する場合を含む。第二流路の長さをより短くする観点では、複数本の搬送ベルトの下方かつ支持テーブルの下方に第二分岐ヘッダーを配置することがより好ましい。設備コストや配管の作業性の観点では、支持テーブルの下方でないが、複数本の搬送ベルトの下方に第二分岐ヘッダーを配置することがより好ましい。
0014
上記の方法では、切換機構を基準として、切換機構から負圧発生源側における流路の流路断面積を、切換機構から複数の吸着孔側における流路の流路断面積よりも大きくすることが好ましい。
0015
このようにすれば、切換機構から負圧発生源側においては、切換機構から複数の吸着孔側よりも流路の流路断面積を大きくした分だけ、圧力損失を小さくできるため、流路内を流れ得る流体の流量が多くなる。その結果、一層迅速に流路全域に負圧を発生させることができると共に、所望の大きさの負圧がガラス板に作用するまでの時間を一層削減することが可能となる。
0016
上記の方法では、支持テーブル上に液体を供給する液体供給手段を設け、負圧発生源が、流路と接続され、内部が負圧で維持される第一室と、第一室と通路を介して連なった第二室と、通路を開放した開状態と閉鎖した閉状態とを切換可能な第一開閉手段と、第二室から排液を行う経路を開放した開状態と閉鎖した閉状態とを切換可能な第二開閉手段とを備え、第一開閉手段を開状態とし、且つ、第二開閉手段を閉状態とした状態で、流路から第一室および通路を介して第二室に液体を流入させて貯留する貯留工程と、第一開閉手段を閉状態とし、且つ、第二開閉手段を開状態とした状態で、経路を通じて第二室に貯留された液体を排液する排液工程とを実行することが好ましい。
0017
支持テーブル上へ液体を供給すると、液体が吸着孔から流路や負圧発生源が備えるタンク等に浸入する。これに起因して、吸着固定工程を実行した際に、流路内での負圧の発生が遅れる等の不具合が生じやすい。そして、本方法においては、液体の排液のために、負圧発生源に第一室及び第二室を設けると共に、貯留工程と排液工程とを実行している。貯留工程においては、第一開閉手段を開状態とし、且つ、第二開閉手段を閉状態とすることで、流路から第一室および通路を介して第二室に液体を流入させて貯留していく。その後、排液工程においては、第一開閉手段を閉状態とし、且つ、第二開閉手段を開状態として、経路を通じて第二室に貯留された液体を排液する。このとき、第一開閉手段が閉状態とされ、流路上に位置した第一室と、通路を介して第一室と連なった第二室との両室が、通路を閉鎖した状態にある第一開閉手段で仕切られていることで、第一室によって流路等に負圧を発生させながら排液を行うことが可能となる。このように負圧発生源の機能を実行しながら排液を行えることにより、液体の浸入による不具合を防止できる。
0018
上記の方法では、複数の吸着孔側から負圧発生源側に向かって、流路の高さ位置を漸次に低下させることが好ましい。ここで、「流路の高さ位置を漸次に低下させる」とは、複数の吸着孔側から負圧発生源側に向かって、流路の高さ位置を連続的に低下させた場合のみならず、流路の一部に水平区間が含まれる場合をも含む。
0019
このようにすれば、吸着孔から流路内に浸入した液体が、重力によって複数の吸着孔側から負圧発生源側に向かって流れやすくなるため、上記の貯留工程と排液工程とを実行する上で好適となる。
0020
上記の課題を解決するために創案された本発明に係る第二の方法は、吸着孔が形成された支持テーブル上にガラス板を載置する載置工程と、流体の流路を通じて吸着孔と接続された負圧発生源により、吸着孔を介して支持テーブルにガラス板を吸着固定する吸着固定工程とを含んだガラス板の製造方法であって、流路上における吸着孔と負圧発生源との間に、流路を開放した開状態と閉鎖した閉状態とを切換可能な切換機構を設け、切換機構を基準として、切換機構から負圧発生源側における流路の流路断面積を、切換機構から吸着孔側における前記流路の流路断面積よりも大きくしたことに特徴付けられる。
0021
この方法によれば、流路上における吸着孔と負圧発生源との間に切換機構を設けたことで、負圧発生源から切換機構に至る区間の流路は常に負圧となる。一方、切換機構から吸着孔に至る区間の流路は、閉状態で常圧となり、開状態で負圧となる。また、切換機構から負圧発生源側においては、切換機構から吸着孔側よりも流路の流路断面積を大きくした分だけ、圧力損失を小さくできるため、流路内を流れ得る流体の流量が多くなる。このため、負圧発生源により、迅速に切換機構から吸着孔に至る区間の流路に負圧を発生させることが可能となり、所望の大きさの負圧がガラス板に作用するまでの時間をより削減することが可能となる。以上のことから、本方法によれば、載置工程から吸着固定工程に至る一連の工程のタクトタイムを短縮できる。
0022
上記の課題を解決するために創案された本発明に係る第三の方法は、吸着孔が形成された支持テーブル上に液体を供給する液体供給工程と、支持テーブル上にガラス板を載置する載置工程と、流体の流路を通じて吸着孔と接続された負圧発生源により、吸着孔を介して支持テーブルにガラス板を吸着固定する吸着固定工程とを含んだガラス板の製造方法であって、負圧発生源が、流路と接続され内部が負圧で維持される第一室と、第一室と通路を介して連なった第二室と、通路を開放した開状態と閉鎖した閉状態とを切換可能な第一開閉手段と、第二室から排液を行う経路を開放した開状態と閉鎖した閉状態とを切換可能な第二開閉手段とを備え、第一開閉手段を開状態とし、且つ、第二開閉手段を閉状態とした状態で、流路から第一室および通路を介して第二室に液体を流入させて貯留する貯留工程と、第一開閉手段を閉状態とし、且つ、第二開閉手段を開状態とした状態で、経路を通じて第二室に貯留された液体を排液する排液工程とを実行することに特徴付けられる。
0023
液体供給工程の実行に起因して、液体が吸着孔から流路や負圧発生源が備えるタンク等に浸入する。これに起因して、吸着固定工程を実行した際に、流路内における負圧の発生が遅れる等の不具合が生じやすい。そして、本方法においては、液体の排液のために、負圧発生源に第一室及び第二室を設けると共に、貯留工程と排液工程とを実行している。ここで、排液工程の実行時には、第一開閉手段が閉状態とされ、流路と接続する第一室と、通路を介して第一室と連なった第二室との両室が、通路を閉鎖した状態にある第一開閉手段で仕切られている。このため、第一室によって流路等に負圧を発生させながら排液を行うことが可能である。このように負圧発生源の機能を実行しながら排液を行えることにより、液体の浸入による負圧の発生の遅れを抑制できる。このため、所望の大きさの負圧がガラス板に作用するまでの時間を削減することが可能となる。以上のことから、本方法によれば、タクトタイムを短縮できる。
0024
上記の課題を解決するために創案された本発明に係る装置は、複数の吸着孔が形成された支持テーブルと、流体の流路を通じて複数の吸着孔の各々と接続され、且つ、複数の吸着孔を介して支持テーブル上に載置されたガラス板に負圧を作用させる負圧発生源とを備えたガラス板の製造装置であって、流路のうちで負圧発生源から複数の吸着孔に至る区間に、流路を開放した開状態と閉鎖した閉状態とを切換可能な切換機構を設け、切換機構から複数の吸着孔に至るまでに、流路が複数の分岐ヘッダーにより複数回分岐していることに特徴付けられる。
0025
この装置によれば、上記の第一の方法と同一の作用・効果を得ることが可能である。
発明の効果
0026
本発明に係るガラス板の製造方法および製造装置によれば、負圧発生源を利用して支持テーブルにガラス板を吸着させて固定する場合に、所望の大きさの負圧がガラス板に作用するまでの時間を削減できるため、タクトタイムを短縮することが可能となる。
図面の簡単な説明
0027
本発明の第一実施形態に係るガラス板の製造装置における流路の配管を示す配管図である。
本発明の第一実施形態に係るガラス板の製造装置における負圧発生源の周辺を示す部分縦断側面図である。
本発明の第一実施形態に係るガラス板の製造装置における支持テーブルの周辺を示す部分縦断正面図である。
本発明の第一実施形態に係るガラス板の製造装置における支持テーブルの周辺を示す部分縦断側面図である。
本発明の第二実施形態に係るガラス板の製造装置における負圧発生源の周辺を示す部分縦断側面図である。
実施例
0028
以下、本発明の実施形態に係るガラス板の製造方法および製造装置について、添付の図面を参照しながら説明する。
0029
<第一実施形態>
はじめに、本発明の第一実施形態に係るガラス板の製造装置について説明する。
0030
図1に示すように、ガラス板の製造装置1(以下、単に製造装置1と表記)は、ガラス板2を吸着固定するための複数の吸着孔3aが形成された支持テーブル3と、流体の流路4を通じて複数の吸着孔3aの各々と接続され、且つ、複数の吸着孔3aを介して支持テーブル3上のガラス板2に負圧を作用させる真空ポンプ5と、複数の吸着孔3aと真空ポンプ5との間で、流路4を分岐させる第一分岐ヘッダー6および第二分岐ヘッダー7と、第二分岐ヘッダー7と真空ポンプ5との間で、流路4を開放した開状態と閉鎖した閉状態とを切換可能な切換機構としての第一電磁弁8と、第一電磁弁8と真空ポンプ5との間で、流路4内に浸入した液体9(図2を参照)を流路4外に排液することが可能な真空タンク10と、第二分岐ヘッダー7と第一電磁弁8との間で流路4と接続された接続流路11を通じて、圧縮ガスを流路4内に送るコンプレッサー12と、接続流路11を開放した開状態と閉鎖した閉状態とを切換可能な第二電磁弁13とを備えている。なお、製造装置1において、負圧発生源は、真空ポンプ5及び真空タンク10によって構成される。
0031
支持テーブル3は、ガラス板2を平置き姿勢で下方から支持することが可能である。この支持テーブル3は、並列に形成された複数の隙間14を挟んで複数の分割テーブルに分割されており、各分割テーブルに複数の吸着孔3aが形成されている。本実施形態では、合計十四の分割テーブル(図1に一部のみを図示)が存在している。以下の説明では、各分割テーブルを順番に、分割テーブルA,分割テーブルB,…,分割テーブルNと表記する。
0032
分割テーブルA〜Nの各々には、複数の吸着孔3aの他、各分割テーブル上に液体9(例えば、水)を流出させて供給する液体供給手段としての供給口3bが複数形成されている。複数の供給口3bの各々は、供給管15(図1では図示省略)を通じて液体供給源(例えば、ポンプであり、図示省略)と接続されている。さらに、詳細は後述するが、複数の隙間14の一部では、ガラス板2を支持テーブル3に対して搬入出するための搬送ベルト16(図1では図示省略)を挿通させることが可能である。
0033
流路4は、複数の吸着孔3aから真空タンク10に至る全域において、円形の流路断面を有する。この流路4内は、当該流路4内に存するガス(例えば、空気)、及び、吸着孔3aから流路4内に浸入した液体9を通過させることが可能である。流路4の高さ位置は、複数の吸着孔3a側から真空タンク10側に向かって連続的に低下している。これにより、流路4内に浸入した液体9が重力により真空タンク10(負圧発生源)側に流れるようになっている。
0034
両分岐ヘッダー6,7のうち、第一分岐ヘッダー6は、流路4上で相対的に複数の吸着孔3a側に配置されており、第二分岐ヘッダー7は、相対的に真空タンク10側に配置されている。
0035
第一分岐ヘッダー6は、分割テーブルA〜Nの各々に対して一つずつが配置されている。各第一分岐ヘッダー6により分岐した複数の分岐流路4aのそれぞれは、各分割テーブルに形成された吸着孔3aに接続されている。つまり、一つの第一分岐ヘッダー6により形成される分岐流路4aの数と、各分割テーブルに形成された吸着孔3aの数とは同数となっている。
0036
第二分岐ヘッダー7は一つのみが配置されている。この第二分岐ヘッダー7により十四の分岐流路4b(図1に一部のみを図示)に分岐しており、十四の分岐流路4bのそれぞれが第一分岐ヘッダー6に接続されている。つまり、第二分岐ヘッダー7により分岐される分岐流路4bの数と、第一分岐ヘッダー6の数とが同数(本実施形態では、共に十四)となっている。
0037
なお、図1では、流路4の配管についての理解を容易にするために、第一分岐ヘッダー6を、実際とは異なった配置で図示している。後述の図3及び図4を用いて詳述するが、実際には、各第一分岐ヘッダー6が各分割テーブルの下方に配置される。第二分岐ヘッダー7は、支持テーブル3の下方でない、複数本の搬送ベルト16の下方に配置されている。なお、第一電磁弁8と、負圧発生源(真空ポンプ5及び真空タンク10)と、コンプレッサー12と、第二電磁弁13とは、製造(搬送)ライン外に配置される。
0038
ここで、本実施形態では、第一分岐ヘッダー6および第二分岐ヘッダー7により、二回(二段)に亘って流路4を分岐させているが、これに限定されるものではない。本実施形態の変形例として、三回(三段)以上に亘って流路4を分岐させてもよい。
0039
第一電磁弁8は、これが開状態となれば、複数の吸着孔3a側から真空タンク10側に向かって、ガスおよび液体9が第一電磁弁8を通過可能な状態となると共に、これが閉状態となれば、ガスおよび液体9が第一電磁弁8を通過不可能な状態となる。なお、第一電磁弁8が閉状態となった際には、コンプレッサー12からの圧縮ガスについても、第一電磁弁8を通過不可能な状態となる。
0040
真空ポンプ5は常時稼働させており、真空タンク10の内部は常に負圧で維持されている。これにより、流路4における第一電磁弁8と真空タンク10(負圧発生源)とを結ぶ区間4dでは、第一電磁弁8の開閉とは無関係に、常に負圧が発生した状態となる。これに対し、流路4における第一電磁弁8と複数の吸着孔3aとを結ぶ区間(両分岐流路4a,4b、及び、第二分岐ヘッダー7と第一電磁弁8とを結ぶ区間4c)では、支持テーブル3上にガラス板2が載置された状態で、第一電磁弁8が開状態となれば、負圧が発生した状態となり、支持テーブル3にガラス板2を吸着固定できる。一方、第一電磁弁8が閉状態となれば、負圧が発生した状態が解除され、支持テーブル3によるガラス板2の吸着固定を解除できる。
0041
第一電磁弁8を基準として、真空タンク10側の流路断面積S1は、複数の吸着孔3a側の流路断面積S2よりも大きくなっている。第一電磁弁8から複数の吸着孔3aに至る区間に負圧をより迅速に発生させる観点では、流路断面積の比(S1/S2、単位なし)を2以上とすることが好ましい。一方、設備コストの削減及び配管設置の作業性の観点では、流路断面積の比(S1/S2、単位なし)を15以下とすることが好ましい。本実施形態では、第一電磁弁8を介して接続する2本の配管において、真空タンク10側の配管の断面積は、複数の吸着孔3a側の配管の断面積よりも大きくなっている。これにより、区間4dの流路断面積は、区間4cの流路断面積よりも大きくなっている。
0042
なお、分岐流路4aと分岐流路4bと区間4cとの間での流路断面積の大小については、第一電磁弁8に近接しているものほど、流路断面積が大きくなっている。さらに、これら三者4a,4b,4cの長さについて、分岐流路4aおよび分岐流路4bの長さは、共に区間4cの長さよりも短くなっている。そして、分岐流路4aおよび分岐流路4bの長さは、共に区間4cの長さを基準として75%以下の長さとすることが好ましい。一方、分岐流路4aおよび分岐流路4bの長さは、共に区間4cの長さを基準として5%以上の長さとすることが好ましい。ここで、「分岐流路4a(分岐流路4b)の長さ」とは、複数の分岐流路4a(分岐流路4b)の長さが共通している場合には、その共通した長さを意味し、複数の分岐流路4a(分岐流路4b)の長さが不揃いである場合には、最長のものの長さを意味する。
0043
第二電磁弁13は、これが開状態となれば、コンプレッサー12側から流路4側に向かって、圧縮ガス(例えば、圧縮空気)が第二電磁弁13を通過可能な状態となる。そして、コンプレッサー12から流路4内に圧縮ガスを送ることで、流路4内の気圧の上昇を速め、ガラス板2の吸着固定の解除を高速化させることが可能である。一方、第二電磁弁13は、これが閉状態となれば、圧縮ガスが第二電磁弁13を通過不可能な状態となる。なお、第二電磁弁13が閉状態となった際には、流路4から接続流路11に浸入したガスおよび液体9についても、第二電磁弁13を通過不可能な状態となる。なお、コンプレッサー12と第二電磁弁13の間に内部が正圧で維持されるバッファータンクを配置してもよい。
0044
ここで、図1を含め、本実施形態の説明で参照する各図面において、白抜き矢印は、第一電磁弁8を開状態とし、且つ、第二電磁弁13を閉状態とした状態でのガスおよび液体9の流れを表している。また、破線矢印は、当該状態でのガスのみの流れを表している。さらに、実線矢印は、当該状態での液体9のみの流れを表している。
0045
図2に示すように、真空タンク10は、流路4と接続される第一室としての第一タンク17と、第一タンク17と第一通路18を介して連なった第二室としての第二タンク19と、第一通路18を開放した開状態と閉鎖した閉状態とを切換可能な第一開閉手段としての第一弁20と、第二タンク19から排液を行う経路21を開放した開状態と閉鎖した閉状態とを切換可能な第二開閉手段としての第二弁22と、第二タンク19に圧縮ガス、又は、大気を送ることが可能な第二通路23を開閉させる第三弁24と、第一タンク17の上部と真空ポンプ5とを接続する第三通路25とを備えている。
0046
第一タンク17は、バッファータンクであり、真空ポンプ5の稼働に伴って第一タンク17の内部は常に負圧で維持される。加えて、第一タンク17は、流路4内を通過して第一タンク17まで到達したガスと液体9との進路を振り分ける機能を有する。第一タンク17は、自身まで到達したガスを第三通路25に進入させることが可能であると共に、自身まで到達した液体9を第二タンク19に連なる第一通路18に進入させることが可能である。
0047
第二タンク19は、第一タンク17よりも下方に配置されている。また、第一通路18は、第一タンク17の底部と第二タンク19の頂部とを接続すると共に、その高さ位置が、第一タンク17側から第二タンク19側に向かって連続的に低下している。これにより、第一弁20が開状態である際に、第一タンク17に到達した液体9を自重により第一通路18を通過させて第二タンク19に流入させることが可能である。
0048
通常は、第一弁20が開状態となると共に、第二弁22が閉状態となる。この場合、流路4内を通過して第一タンク17まで到達した液体9が第二タンク19に貯留される。排液時は、第一弁20を閉状態とした後で第二弁22を開状態とする。これにより、経路21を通じて第二タンク19に貯留された液体9を排液することが可能である。経路21は、第二タンク19の底部に接続されると共に、その高さ位置が、第二タンク19から離反するに連れて低下している。そのため、液体9は自重により経路21を流れていく。
0049
通常、第三弁24は閉じた状態にある。排液時に第一弁20を閉状態とした後で第三弁24を開状態とし、その後、第二弁22を開状態とすれば、第二通路23を経由して空気等が第二タンク19へ流入することから、液体9の排液を促進できる。
0050
図3および図4に示すように、製造装置1は、既述の構成要素に加え、ガラス板2を平置き姿勢で支持テーブル3に対して搬入出するための並列な複数本の搬送ベルト16と、支持テーブル3に吸着固定されたガラス板2の支持テーブル3から食み出した端面2aを加工する端面加工手段としての砥石26とを備えている。
0051
複数本の搬送ベルト16は、端面2aの加工前のガラス板2をT1方向に沿って支持テーブル3に搬入すると共に、加工後のガラス板2をT2方向に沿って支持テーブル3から搬出することが可能である。このため、搬送ベルト16の長手方向の長さは、支持テーブル3の長手方向の長さよりも長く、搬送ベルト16は、支持テーブル3の隙間を貫通するように配置される。これら搬送ベルト16は、駆動プーリーおよび従動プーリー(共に図示省略)に巻き掛けられると共に、昇降機構(図示省略)により、搬送面の高さ位置を上下に変更することが可能である。
0052
複数本の搬送ベルト16は、最初に、搬送面の高さ位置を支持テーブル3よりも高くした状態でガラス板2をT1方向に沿って搬送する。次に、図3および図4に二点鎖線で示すように、ガラス板2が支持テーブル3の真上に到達すると、送り動作を停止すると共に、搬送面の高さ位置を漸次に降下させて支持テーブル3にガラス板2を受け渡す。受け渡し後には、図3および図4に実線で示すように、隙間14にて端面2aの加工が完了するまで待機する。次に、端面2aの加工が完了すると、搬送面の高さ位置を漸次に上昇させて支持テーブル3からガラス板2を引き取る。最後に、送り動作を再開すると共に、搬送面の高さ位置を支持テーブル3よりも高くした状態でガラス板2をT2方向に沿って搬送する。
0053
砥石26は、ガラス板2の平行に延びた両端面2a,2aの一方の研削用と、他方の研削用とが配置されている。両砥石26,26の各々は、上下方向に延びる軸線を中心に回転しつつ、T3方向(T1方向およびT2方向とは逆方向)に移動することにより、両端面2a,2aに研削加工を施す。なお、研削加工時の砥石の移動方向は、T1方向およびT2方向と同じ方向であってもよい。本実施形態では、両砥石26,26が、ガラス板2を挟んで並走しながら研削加工を行う構成とされている。
0054
なお、図示は省略しているが、製造装置1は、既述の構成要素に加え、研削加工前のガラス板2を支持テーブル3上で移動させて位置決めを行うための第一位置決め機構を備えている。第一位置決め機構は、例えば、両端面2a,2aのうちの一方の端面2aに当接させるための複数の位置決め用ピンと、他方の端面2aに当接した状態でガラス板2を一方の端面2a側に押すことで、各位置決め用ピンにガラス板2の一方の端面2aを押し付ける押付部材とを有する。この第一位置決め機構により、ガラス板2を分割テーブルA〜Nの並び方向に沿って移動させ、所望の位置に配置することが可能である。製造装置1は、ガラス板2をT1方向に沿って移動させることによって所望の位置に配置するため、第二位置決め機構(図示なし)をさらに備えてもよい。
0055
図3および図4に示すように、各第一分岐ヘッダー6は、各分割テーブルA〜Nの真下に配置されている。これにより、各第一分岐ヘッダー6と各分割テーブルA〜Nに形成された吸着孔3aとを接続する分岐流路4aが上下に延びている。また、第二分岐ヘッダー7は、支持テーブル3の真下でない、複数本の搬送ベルト16の真下に配置される。加えて、第二分岐ヘッダー7は、各第一分岐ヘッダー6よりも下方に配置されている。
0056
次に、上記の製造装置1を用いた本発明の第一実施形態に係るガラス板の製造方法について説明する。
0057
本実施形態に係るガラス板の製造方法では、最初に、支持テーブル3上に液体9を供給する液体供給工程を実行する。液体供給工程では、各分割テーブルに形成された複数の供給口3bから液体9を流出させて供給する。これにより、後の位置決め工程において、支持テーブル3上でガラス板2を移動させやすくなる。この液体供給工程の実行に伴い、一部の液体9が各分割テーブルに形成された吸着孔3aから流路4内に浸入する。
0058
液体供給工程が完了すると、次に、支持テーブル3上にガラス板2を載置する載置工程を実行する。載置工程は、複数本の搬送ベルト16により搬入したガラス板2(端面2aの加工前のガラス板2)を、これら複数本の搬送ベルト16から支持テーブル3に受け渡すことで行う。
0059
載置工程が完了すると、次に、ガラス板2を支持テーブル3上で移動させて位置決めする位置決め工程を実行する。位置決め工程の実行には、上記の第一位置決め機構を用いる。これにより、ガラス板2を分割テーブルA〜Nの並び方向に沿って移動させ、所望の位置に配置する。
0060
位置決め工程が完了すると、次に、流路4を通じて複数の吸着孔3aの各々と接続された真空タンク10により、複数の吸着孔3aを介して支持テーブル3にガラス板2を吸着固定する吸着固定工程を実行する。吸着固定工程の実行は、初期状態では閉状態にある第一電磁弁8を開状態とすることで行う。なお、第二電磁弁13については、初期状態である閉状態を維持する。
0061
第一電磁弁8を開状態とすると、流路4上の両分岐流路4a,4b、及び、区間4c内に存するガスおよび液体9が、第一電磁弁8を通過して順次に区間4dに流入していく。これに伴って、両分岐流路4a,4b、及び、区間4c内の気圧が次第に低下して負圧が発生すると共に、ガラス板2に負圧が作用して、支持テーブル3にガラス板2が吸着固定される。なお、本実施形態では、真空タンク10の第一タンク17を常に負圧で維持していることから、流路4上の区間4dでは、第一電磁弁8が開状態とされる以前から負圧が発生した状態となっている。
0062
区間4dに流入したガスおよび液体9は、区間4dを通過し、真空タンク10に備わった第一タンク17に到達する。そこで、第一タンク17によって進路を振り分けられる。ガスは第三通路25に進入した後、真空ポンプ5に到達する。一方、液体9は第二タンク19に連なる第一通路18に進入した後、下記の貯留工程と排液工程とが実行されることで、流路4外に排液される。
0063
貯留工程では、初期状態として第一弁20を開状態とすると共に、第二弁22を閉状態とすることで、第一通路18を通過して空の状態の第二タンク19に流入してくる液体9を貯留していく。排液工程では、第一弁20を閉状態とすると共に、第二弁22を開状態とする。これにより、経路21を通じて第二タンク19に貯留された液体9を排液する。なお、排液により第二タンク19内が再び空の状態になると、第二弁22を閉状態に復帰させた後、第一弁を開状態に復帰させる。このようにして、貯留工程と排液工程とを繰り返し実行できる状態とする。
0064
吸着固定工程の実行により、支持テーブル3にガラス板2が吸着固定された状態となると、次に、ガラス板2の支持テーブル3から食み出した端面2aを加工する端面加工工程を実行する。端面加工工程では、ガラス板2の平行に延びた両端面2a,2aに対して研削加工を施す。なお、本実施形態の変形例として、研削加工に代えて、或いは、研削加工に加えて、両端面2a,2aに対して研磨加工を施してもよい。
0065
端面加工工程が完了すると、次に、支持テーブル3によるガラス板2の吸着固定を解除する吸着解除工程を実行する。吸着解除工程の実行は、第一電磁弁8を閉状態とし、且つ、第二電磁弁13を開状態とした上で、コンプレッサー12から流路4内に圧縮ガスを送ることで行う。
0066
圧縮ガスを流路4内に送ると、両分岐流路4a,4b、及び、区間4c内の気圧が次第に上昇して負圧が発生した状態が解除される。これにより、支持テーブル3によるガラス板2の吸着固定が解除される。
0067
なお、本実施形態では、吸着解除工程の実行に伴い、流路4内に圧縮ガスを送っているが、この限りではない。本実施形態の変形例として、圧縮ガスを送ることなく、第一電磁弁8を閉状態とするのみでも、ガラス板2の吸着固定の解除が可能である。また、本実施形態の変形例として、流路4外から取り込んだ大気を流路4内に送ることで、ガラス板2の吸着固定を解除してもよい。
0068
吸着解除工程が完了すると、最後に、複数本の搬送ベルト16により支持テーブル3からガラス板2(端面2aの加工後のガラス板2)を引き取ると共に、これら複数本の搬送ベルト16による搬送に伴って、ガラス板2を更に下流側の工程に送る。
0069
次に、上記の製造装置1および製造方法による主たる作用・効果について説明する。
0070
上記の製造装置1および製造方法では、第一電磁弁8(切換機構)から複数の吸着孔3aに至るまでに、流路4を第一分岐ヘッダー6および第二分岐ヘッダー7により複数回(二回)分岐させている。これにより、第一電磁弁8から複数の吸着孔3aに至る区間の流路4の容積が低減されることから、真空タンク10(負圧発生源)によって迅速に第一電磁弁8から複数の吸着孔3aに至る区間の流路4に負圧を発生させることが可能となる。このため、所望の大きさの負圧がガラス板2に作用するまでの時間を削減することができる。その結果、端面2aを加工するための工程のタクトタイムを短縮することが可能となる。
0071
また、第一電磁弁8から真空タンク10側では、第一電磁弁8から複数の吸着孔3a側よりも流路断面積を大きくした分だけ、圧力損失を小さくできる。従って、第一電磁弁8よりも真空タンク10側の流路4内を流れ得るガスおよび液体9の流量が多くなる。このため、より迅速に第一電磁弁8よりも複数の吸着孔3a側の流路4に負圧を発生させることができると共に、所望の大きさの負圧がガラス板2に作用するまでの時間を更に削減することが可能となる。
0072
加えて、負圧の発生が遅れる原因ともなる液体9を流路4内から流路4外に排液するに際して、真空タンク10(負圧発生源)の稼働を停止させることなく排液を行うことができる。これにより、液体9の浸入による負圧の発生の遅れを抑制できる。このため、迅速に流路4全域に負圧を発生させることができると共に、所望の大きさの負圧がガラス板2に作用するまでの時間を削減することが可能となる。
0073
<第二実施形態>
次に、本発明の第二実施形態に係るガラス板の製造装置、及び、当該装置を用いた本発明の第二実施形態に係るガラス板の製造方法について説明する。なお、第二実施形態については、上記の第一実施形態との相違点についてのみ説明する。第一実施形態との共通点については、第二実施形態の説明で参照する図面に同一の符号を付すことで重複する説明を省略する。
0074
図5に示すように、第二実施形態に係る製造装置1が、上記の第一実施形態に係る製造装置1と相違している点は、真空タンク10の構成である。第二実施形態における真空タンク10では、第一実施形態における真空タンク10の第一タンク17、第二タンク19、及び、第一弁20が、それぞれタンク27の上室27a、タンク27の下室27b、及び、上室27aと下室27bとを連続させる通路の開放および閉鎖が可能なシャッター28に置き換わっている。
0075
第二実施形態に係る製造装置1を用いた第二実施形態に係るガラス板の製造方法についても、第一実施形態に係るガラス板の製造方法と同様にして実施が可能である。また、第二実施形態に係る製造装置1および製造方法によっても、第一実施形態に係る製造装置1および製造方法と同様の主たる作用・効果を得ることができる。
0076
1ガラス板の製造装置
2 ガラス板
2a 端面
3支持テーブル
3a吸着孔
3b 供給口
4流路
4a分岐流路
4b 分岐流路
4c区間
4d 区間
5真空ポンプ
6 第一分岐ヘッダー
7 第二分岐ヘッダー
8 第一電磁弁
9液体
10真空タンク
14 隙間
16搬送ベルト
17 第一タンク
18 第一通路
19 第二タンク
20 第一弁
21経路
22 第二弁
26砥石
A〜N 分割テーブル