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図面 (3)

課題

活動期のMPO−ANC血管炎と、寛解期のMPO−ANCA血管炎とを、精度よく判定できる血管炎の診断用バイオマーカーや、結節性多発動脈炎の有無を精度よく判定できる血管炎の診断用バイオマーカーを提供すること。

解決手段

被験者から採取された末梢血単核球試料中のケモカイン受容体8(CCR8)をコードするmRNA発現レベル、若しくは該mRNA由来cDNAの発現レベル、或いは、前記CCR8タンパク質の発現レベルが、MPO−ANCA活動期血管炎又はPANに罹患していない対照者と比べ、増加しているか否かを解析することにより、前記被験者が、MPO−ANCA活動期血管炎又は結節性多発動脈炎に罹患しているか否かを判定することができる。

概要

背景

血管炎症候群(単に「血管炎」ともいう)は、全身張り巡らされている血管の壁に炎症を起こし、様々な臓器障害を引き起こす疾患群である。血管炎は、罹患血管のサイズから大型血管炎、中型血管炎、及び小型血管炎に分類される。大型血管炎は、大動脈と、四肢及び頭頸部に向かう最大級の分枝血管における炎症であり、中型血管炎は、各内臓臓器に向かう主要動脈と、その分枝血管における炎症であり、小型血管炎は、細動脈細静脈、及び毛細血管における炎症である。中型血管炎には、PANが含まれ、小型血管炎には、MPO−ACNA血管炎や、後述するPR3−ANCA血管炎等のANCA関連血管炎が含まれる。

MPO−ACNA血管炎を診断又は治療判定する際、血清中に存在するMPO−ANCAの力価指標として用いられる。実際に、MPO−ACNA血管炎の治療により寛解維持に至った例では、MPO−ACNAが陰性化したことが報告されている(非特許文献1)。しかしながら、MPO−ACNAの力価と病態とが必ずしも一致しない場合もあり、EULAR(European League Against Rheumatism)recommendations及びBSR/BHPRガイドラインには、MPO−ACNAの測定値と病勢との間に密接な関係はなく、MPO−ANCA値のみによって治療方法を調整すべきではないとも記載されている。

MPO−ACNAに代わるMPO−ACNA血管炎の診断用バイオマーカーの探索も行われており、例えば、血清中のKL−6濃度は、ANCA関連間質性肺炎活動性を反映することが報告されている(非特許文献2)。また、モエシンに対する自己抗体(MO−ANCA)は、血管炎の病態を診断できる新たなバイオマーカーとなり得ることが報告されている(特許文献1)。しかしながら、かかるKL−6やMO−ANCAは、活動期のMPO−ACNA血管炎と、寛解期のMPO−ACNA血管炎とを区別できるバイオマーカーであるか否かは不明である。

一方、PANについては、ACNAのような自己抗体は存在せず、また、有効な診断用バイオマーカーも知られていないことから、PANの診断は、臨床症状、一般検査所見画像所見等を参考にして行われているのが現状である。

概要

活動期のMPO−ANCA血管炎と、寛解期のMPO−ANCA血管炎とを、精度よく判定できる血管炎の診断用バイオマーカーや、結節性多発動脈炎の有無を精度よく判定できる血管炎の診断用バイオマーカーを提供すること。被験者から採取された末梢血単核球試料中のケモカイン受容体8(CCR8)をコードするmRNA発現レベル、若しくは該mRNA由来cDNAの発現レベル、或いは、前記CCR8タンパク質の発現レベルが、MPO−ANCA活動期血管炎又はPANに罹患していない対照者と比べ、増加しているか否かを解析することにより、前記被験者が、MPO−ANCA活動期血管炎又は結節性多発動脈炎に罹患しているか否かを判定することができる。なし

目的

本発明の課題は、活動期のMPO−ANCA血管炎と、寛解期のMPO−ANCA血管炎とを、精度よく判定できる血管炎の診断用バイオマーカーや、結節性多発動脈炎の有無を精度よく判定できる血管炎の診断用バイオマーカーを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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請求項1

以下の工程(a)〜(c)を含むことを特徴とする、好中球細胞質ミエロペルオキシダーゼ(MPO)に対する抗体(MPO−ANCA)が陽性活動期血管炎(MPO−ANCA活動期血管炎)、又は結節性多発動脈炎(PAN)の判定方法。(a)被験者から採取された末梢血単核球試料中のケモカイン受容体8(CCR8)をコードするmRNA発現レベル、若しくは該mRNA由来cDNAの発現レベル、又は前記CCR8の発現レベルを測定する工程;(b)工程(a)で測定した発現レベルを、MPO−ANCA活動期血管炎又はPANに罹患していない対照者における発現レベルと比較する工程;(c)工程(a)で測定した発現レベルが、対照者における発現レベルよりも高い場合、被験者は、MPO−ANCA活動期血管炎又はPANに罹患している可能性が高いと評価する工程;

請求項2

対照者が、健常者;MPO−ANCA寛解期血管炎患者;又は好中球細胞質のプロテイナーゼ3(PR3)に対する抗体(PR3−ANCA)が陽性の血管炎(PR3−ANCA血管炎)、抗GBM抗体関連血管炎、血管炎を伴う全身性エリテマトーデス、及び紫斑病腎炎からなる群から選択される血管炎に罹患した者;であることを特徴とする請求項1に記載の判定方法。

請求項3

末梢血単核球試料中のケモカイン受容体8(CCR8)をコードするmRNAの発現、若しくは該mRNA由来のcDNAの発現を検出するためのプライマー又はプローブ、若しくはそれらの標識物を含むことを特徴とする、好中球細胞質のミエロペルオキシダーゼ(MPO)に対する抗体(MPO−ANCA)が陽性の活動期血管炎(MPO−ANCA活動期血管炎)、又は結節性多発動脈炎(PAN)の判定用キット

請求項4

末梢血単核球試料中のケモカイン受容体8(CCR8)に特異的に結合する抗体、又はその標識物を含むことを特徴とする、好中球細胞質のミエロペルオキシダーゼ(MPO)に対する抗体(MPO−ANCA)が陽性の活動期血管炎(MPO−ANCA活動期血管炎)、又は結節性多発動脈炎(PAN)の判定用キット。

請求項5

ケモカイン受容体8(CCR8)をコードするmRNA、若しくは該mRNA由来のcDNA、又は、前記CCR8からなることを特徴とする、好中球細胞質のミエロペルオキシダーゼ(MPO)に対する抗体(MPO−ANCA)が陽性の活動期血管炎(MPO−ANCA活動期血管炎)、又は結節性多発動脈炎(PAN)の判定用バイオマーカーであって、MPO−ANCA活動期血管炎又はPANを罹患している者から採取された末梢血単核球試料中のCCR8をコードするmRNAの発現レベル、若しくは該mRNA由来のcDNAの発現レベル、又は、前記CCR8の発現レベルが、MPO−ANCA活動期血管炎又はPANを罹患していない対照者における前記CCR8の発現レベルと比べ、高い、前記判定用バイオマーカー。

請求項6

対照者が、健常者;MPO−ANCA寛解期血管炎患者;又は好中球細胞質のプロテイナーゼ3(PR3)に対する抗体(PR3−ANCA)が陽性の血管炎(PR3−ANCA血管炎)、抗GBM抗体関連血管炎、血管炎を伴う全身性エリテマトーデス、及び紫斑病性腎炎からなる群から選択される血管炎に罹患した者;であることを特徴とする請求項5に記載の判定用バイオマーカー。

技術分野

0001

本発明は、好中球細胞質ミエロペルオキシダーゼ(Myeloperoxidase;MPO)に結合する抗好中球細胞質抗体(anti-neutrophil cytoplasmic antibody;ANCA)(MPO−ANCA)が陽性活動期血管炎(MPO−ACNA活動期血管炎);及び/又は結節性多発動脈炎(Polyarteritis nodosa;PAN又はPNともいう)の判定方法判定用キット、並びに判定用バイオマーカーに関する。

背景技術

0002

血管炎症候群(単に「血管炎」ともいう)は、全身張り巡らされている血管の壁に炎症を起こし、様々な臓器障害を引き起こす疾患群である。血管炎は、罹患血管のサイズから大型血管炎、中型血管炎、及び小型血管炎に分類される。大型血管炎は、大動脈と、四肢及び頭頸部に向かう最大級の分枝血管における炎症であり、中型血管炎は、各内臓臓器に向かう主要動脈と、その分枝血管における炎症であり、小型血管炎は、細動脈細静脈、及び毛細血管における炎症である。中型血管炎には、PANが含まれ、小型血管炎には、MPO−ACNA血管炎や、後述するPR3−ANCA血管炎等のANCA関連血管炎が含まれる。

0003

MPO−ACNA血管炎を診断又は治療判定する際、血清中に存在するMPO−ANCAの力価指標として用いられる。実際に、MPO−ACNA血管炎の治療により寛解維持に至った例では、MPO−ACNAが陰性化したことが報告されている(非特許文献1)。しかしながら、MPO−ACNAの力価と病態とが必ずしも一致しない場合もあり、EULAR(European League Against Rheumatism)recommendations及びBSR/BHPRガイドラインには、MPO−ACNAの測定値と病勢との間に密接な関係はなく、MPO−ANCA値のみによって治療方法を調整すべきではないとも記載されている。

0004

MPO−ACNAに代わるMPO−ACNA血管炎の診断用バイオマーカーの探索も行われており、例えば、血清中のKL−6濃度は、ANCA関連間質性肺炎活動性を反映することが報告されている(非特許文献2)。また、モエシンに対する自己抗体(MO−ANCA)は、血管炎の病態を診断できる新たなバイオマーカーとなり得ることが報告されている(特許文献1)。しかしながら、かかるKL−6やMO−ANCAは、活動期のMPO−ACNA血管炎と、寛解期のMPO−ACNA血管炎とを区別できるバイオマーカーであるか否かは不明である。

0005

一方、PANについては、ACNAのような自己抗体は存在せず、また、有効な診断用バイオマーカーも知られていないことから、PANの診断は、臨床症状、一般検査所見画像所見等を参考にして行われているのが現状である。

0006

国際公開第2012/039161号パンフレット

先行技術

0007

Ara J., et al., Nephrol Dial Transplant. 1999; 14: 621-631.
Iwata Y., et al., Intern Med. 2001; 40: 1093-1097.

発明が解決しようとする課題

0008

本発明の課題は、活動期のMPO−ANCA血管炎と、寛解期のMPO−ANCA血管炎とを、精度よく判定できる血管炎の診断用バイオマーカーや、結節性多発動脈炎の有無を精度よく判定できる血管炎の診断用バイオマーカーを提供することにある。

課題を解決するための手段

0009

生体内の炎症制御には様々なサイトカインケモカイン関与している。本発明者らは、ケモカインのレセプターの中から、近年発見されたケモカイン受容体8(CCR8)に着目し、血管炎の活動性に応じてその発現が変化する可能性を考え、検討を重ねたところ、末梢血単核球試料中のCCR8の発現レベルを指標として、活動期のMPO−ANCA血管炎と、寛解期のMPO−ANCA血管炎とを精度よく判定できることや、結節性多発動脈炎の有無を判定できることを見いだし、本発明を完成するに至った。

0010

すなわち、本発明は、以下のとおりである。
〔1〕以下の工程(a)〜(c)を含むことを特徴とする、
好中球細胞質のミエロペルオキシダーゼ(MPO)に対する抗体(MPO−ANCA)が陽性の活動期血管炎(MPO−ANCA活動期血管炎)、又は
結節性多発動脈炎(PAN)
の判定方法。
(a)被験者から採取された末梢血単核球試料中のケモカイン受容体8(CCR8)をコードするmRNAの発現レベル、若しくは該mRNA由来cDNAの発現レベル、又は前記CCR8の発現レベルを測定する工程;
(b)工程(a)で測定した発現レベルを、MPO−ANCA活動期血管炎又はPANに罹患していない対照者における発現レベルと比較する工程;
(c)工程(a)で測定した発現レベルが、対照者における発現レベルよりも高い場合、被験者は、MPO−ANCA活動期血管炎又はPANに罹患している可能性が高いと評価する工程;
〔2〕対照者が、健常者;MPO−ANCA寛解期血管炎患者;又は好中球細胞質のプロテイナーゼ3(PR3)に対する抗体(PR3−ANCA)が陽性の血管炎(PR3−ANCA血管炎)、抗GBM抗体関連血管炎、血管炎を伴う全身性エリテマトーデス、及び紫斑病腎炎からなる群から選択される血管炎に罹患した者;であることを特徴とする上記〔1〕に記載の判定方法。
〔3〕末梢血単核球試料中のケモカイン受容体8(CCR8)をコードするmRNAの発現、若しくは該mRNA由来のcDNAの発現を検出するためのプライマー又はプローブ、若しくはそれらの標識物を含むことを特徴とする、
好中球細胞質のミエロペルオキシダーゼ(MPO)に対する抗体(MPO−ANCA)が陽性の活動期血管炎(MPO−ANCA活動期血管炎)、又は
結節性多発動脈炎(PAN)
の判定用キット。
〔4〕末梢血単核球試料中のケモカイン受容体8(CCR8)に特異的に結合する抗体、又はその標識物を含むことを特徴とする、
好中球細胞質のミエロペルオキシダーゼ(MPO)に対する抗体(MPO−ANCA)が陽性の活動期血管炎(MPO−ANCA活動期血管炎)、又は
結節性多発動脈炎(PAN)
の判定用キット。
〔5〕ケモカイン受容体8(CCR8)をコードするmRNA、若しくは該mRNA由来のcDNA、又は、前記CCR8からなることを特徴とする、
好中球細胞質のミエロペルオキシダーゼ(MPO)に対する抗体(MPO−ANCA)が陽性の活動期血管炎(MPO−ANCA活動期血管炎)、又は
結節性多発動脈炎(PAN)
の判定用バイオマーカーであって、
MPO−ANCA活動期血管炎又はPANを罹患している者から採取された末梢血単核球試料中のCCR8をコードするmRNAの発現レベル、若しくは該mRNA由来のcDNAの発現レベル、又は、前記CCR8の発現レベルが、MPO−ANCA活動期血管炎又はPANを罹患していない対照者における前記CCR8の発現レベルと比べ、高い、
前記判定用バイオマーカー。
〔6〕対照者が、健常者;MPO−ANCA寛解期血管炎患者;又は好中球細胞質のプロテイナーゼ3(PR3)に対する抗体(PR3−ANCA)が陽性の血管炎(PR3−ANCA血管炎)、抗GBM抗体関連血管炎、血管炎を伴う全身性エリテマトーデス、及び紫斑病性腎炎からなる群から選択される血管炎に罹患した者;であることを特徴とする上記〔5〕に記載の判定用バイオマーカー。

0011

また本発明の実施の他の形態として、上記工程(a)〜(c)を含む、MPO−ANCA活動期血管炎又はPANを診断するためのデータを収集する方法;や、
上記工程(a)〜(c)を含み、さらに、工程(c)において、MPO−ANCA活動期血管炎又はPANに罹患している可能性が高いと評価(診断)された被験者に対して、MPO−ANCA活動期血管炎又はPANの治療を施す工程(p)を任意で含む、MPO−ANCA活動期血管炎又はPANの診断方法;や、
MPO−ANCA活動期血管炎又はPANの判定(診断)に用いるための、末梢血単核球試料中のCCR8をコードするmRNA、若しくは該mRNA由来のcDNAの発現を検出するためのプライマー若しくはプローブ、又はそれらの標識物;や、
MPO−ANCA活動期血管炎又はPANの判定(診断)に用いるための、末梢血単核球試料中のCCR8に特異的に結合する抗体、又はその標識物;や、
MPO−ANCA活動期血管炎又はPANの診断(判定)方法におけるバイオマーカーとしての使用のための、CCR8をコードするmRNA、若しくは該mRNA由来のcDNA、又は、前記CCR8であって、MPO−ANCA活動期血管炎又はPANを罹患している者から採取された末梢血単核球試料中のCCR8をコードするmRNAの発現レベル、若しくは該mRNA由来のcDNAの発現レベル、又は、前記CCR8の発現レベルが、MPO−ANCA活動期血管炎又はPANを罹患していない対照者における前記CCR8の発現レベルと比べ、高い、前記CCR8をコードするmRNA、若しくは該mRNA由来のcDNA、又は、前記CCR8;
を挙げることができる。

発明の効果

0012

本発明によると、MPO−ANCA活動期血管炎や結節性多発動脈炎の有無を診断する上で有用な、精度の高い診断用データを取得できるため、MPO−ANCA活動期血管炎及び結節性多発動脈炎を早期発見し、適切な治療を行うことができ、MPO−ANCA活動期血管炎に起因する疾患(例えば、顕微鏡多発血管炎アレルギー性肉芽腫性血管炎)の予防にも資するものである。

図面の簡単な説明

0013

6種類の血管炎患者(MPO−ANCA活動期血管炎患者[図中の「MPO」]、PR3−ANCA血管炎患者[図中の「PR3」]、PAN患者[図中の「PAN」]、抗GBM抗体関連血管炎患者[図中の「GBM」]、血管炎を伴うSLE患者[図中の「SLE」]、及びHSPN患者[図中の「HSPN」])、及び健常者(図中の「Control」)由来の末梢血単核球試料におけるCCR8遺伝子のcDNAの発現レベルを、定量PCRにより解析した結果を示す図である。図中の黒丸(●)は、個々の対象者を示す。図中の「*」は、t検定を行い、統計学的に有意差(p<0.05)があることを示す。
3種類のMPO−ANCA血管炎患者(活動期血管炎患者[図中の「活動期」]、寛解期血管患者[図中の「寛解期」]、及び感染症合併した寛解期血管患者[図中の「寛解期+感染症」])由来の末梢血単核球試料におけるCCR8遺伝子のcDNAの発現レベルを、定量PCRにより解析した結果を示す図である。図中の黒丸(●)は、個々の対象者を示す。図中の「*」は、t検定を行い、統計学的に有意差(p<0.005)があることを示す。
図3Bは、図1の定量PCRによる発現レベルが3.29を示すMPO−ANCA活動期血管炎患者について、末梢血単核球試料中のCCR8タンパク質の発現レベルを、フローサイトメトリーにより解析した結果を示す図である。図3Aは、図1の定量PCRによる発現レベルが1.25を示す健常者について、末梢血単核球試料中のCCR8タンパク質の発現レベルを、フローサイトメトリーにより解析した結果を示す図である。

0014

本発明のMPO−ANCA活動期血管炎又はPANの判定方法としては、被験者から採取された末梢血単核球試料中のケモカイン受容体8(CCR8)をコードするmRNAの発現レベル、若しくは該mRNA由来のcDNA(該mRNAから合成されたcomplementary DNA)の発現レベル、又は前記CCR8の発現レベル(以下、これらを総称して「被験者におけるCCR8発現レベル」ということがある)を測定し、必要に応じて定量する工程(a);前記工程(a)で測定した「被験者におけるCCR8発現レベル」を、MPO−ANCA活動期血管炎又はPANに罹患していない対照者におけるCCR8をコードするmRNAの発現レベル、若しくは該mRNA由来のcDNAの発現レベル、又は前記CCR8の発現レベル(以下、これらを総称して「対照者におけるCCR8発現レベル」ということがある)と比較する工程(b);及び、前記工程(a)で測定した「被験者におけるCCR8発現レベル」が、「対照者におけるCCR8発現レベル」よりも高い場合、前記被験者は、MPO−ANCA活動期血管炎、及び/又はPANに罹患している可能性が高いと評価(判定)する工程(c);の工程(a)〜(c)を含む方法(以下、「本件判定方法」ということがある)であれば特に制限されず、本件判定方法は、医師によるMPO−ANCA活動期血管炎又はPANの診断を補助する方法であって、医師による診断行為を含まない。

0015

また、本発明のMPO−ANCA活動期血管炎又はPANの判定用キットとしては、末梢血単核球試料中のCCR8をコードするmRNAの発現、若しくは該mRNA由来のcDNAの発現を検出するためのプライマー又はプローブ、若しくはそれらの標識物を含む、MPO−ANCA活動期血管炎又はPANの判定(診断)に用いるためのキット(以下、「本件判定用キット1」ということがある)や、末梢血単核球試料中のCCR8に特異的に結合する抗体、又はその標識物を含む、MPO−ANCA活動期血管炎又はPANの判定(診断)に用いるためのキット(以下、「本件判定用キット2」ということがある)であれば特に制限されず、本件判定用キット1及び2は、MPO−ANCA活動期血管炎又はPANを判定(診断)するためのキットに関する用途発明であり、これらキットには、一般にこの種の診断キットに用いられる成分、例えば担体、pH緩衝剤、安定剤の他、取扱説明書、MPO−ANCA活動期血管炎又はPANを判定(診断)するための説明書等の添付文書が通常含まれる。

0016

また、本発明のMPO−ANCA活動期血管炎又はPANの判定用バイオマーカーとしては、CCR8をコードするmRNA、若しくは該mRNA由来のcDNA、或いは、前記CCR8からなる、MPO−ANCA活動期血管炎又はPANの判定(診断)に用いるためのバイオマーカーであって、MPO−ANCA活動期血管炎又はPANを罹患している者から採取された末梢血単核球試料中のCCR8をコードするmRNAの発現レベル、若しくは該mRNA由来のcDNAの発現レベル、又は、前記CCR8の発現レベル(以下、「MPO−ANCA活動期血管炎又はPAN患者におけるCCR8発現レベル」ということがある)が、「対照者におけるCCR8発現レベル」と比べ、高い、前記バイオマーカー(以下、「本件判定用バイオマーカー」ということがある)であれば特に制限されない。

0017

上記被験者としては、MPO−ANCA活動期血管炎又はPANに罹患しているか否か不明な者であればよく、特に、後述する本実施例において、MPO−ANCA活動期血管炎及びPANと、MPO−ANCA活動期血管炎及びPAN以外の血管炎とを精度よく判定できることが具体的に示されているため、血管炎の症候又は症状を過去若しくは現在有し、かつ、MPO−ANCA活動期血管炎又はPANに罹患しているか否か不明な者が好ましい。なお、上記被験者には、過去にMPO−ANCA活動期血管炎に罹患し、その後寛解した者(MPO−ANCA寛解期血管炎患者)であってMPO−ANCA血管炎を再発しているか否か不明な者も含まれる。

0018

本明細書において、「MPO−ANCA活動期血管炎」とは、小型血管(毛細血管、細動脈、細静脈、小動脈、及び/又は小静脈)に、非免疫複合体性の炎症が認められ、かつ好中球細胞質のミエロペルオキシダーゼ(MPO)に対する自己抗体(MPO−ANCA)が陽性である状態を意味する。「MPO−ANCA活動期血管炎」の具体的な症候又は症状としては、例えば、網状皮斑、皮下結節紫斑皮膚潰瘍指端壊死等の皮膚における症候又は症状;多発性単神経炎等の末梢神経における症候又は症状;筋痛等の筋肉における症候又は症状;関節痛等の関節における症候又は症状;壊死性半月体形成性)糸球体腎炎等の腎臓における症候又は症状;消化管潰瘍消化管出血等の消化管における症候又は症状;心筋炎不整脈等の心臓における症候又は症状;肺胞出血等のにおける症候又は症状;心膜炎胸膜炎等の漿膜における症候又は症状;網膜出血、強膜炎等の眼における症候又は症状などの小型血管炎の症候又は症状を挙げることができる。

0019

また、上記「MPO−ANCAが陽性である」とは、血液中のMPO−ANCA抗体価が、基準値以上であることを意味する。反対に、「MPO−ANCAが陰性である」とは、血液中のMPO−ANCA抗体価が、基準値未満であることを意味する。かかる基準値は、診断基準や各施設測定方法によって異なるため、一概に特定することはできないが、例えば、ELISA法により約2.0U/mLである。

0020

本明細書において、「結節性多発動脈炎(PAN)」とは、上記小型血管又は中型血管(内臓臓器に向かう主要動脈とその分枝)に、壊死性血管炎が認められ、かつ、毛細血管及び細動脈には、炎症の症候又は症状(糸球体腎炎を含む)は認められない状態や、炎症の首座中小型血管(毛細血管、細動脈よりも中枢側の血管)であり、そこに壊死性血管炎が認められ、かつ、毛細血管及び細動脈に炎症の症候又は症状(糸球体腎炎を含む)が認められる状態を意味する。「結節性多発動脈炎」は、ANCA(抗好中球細胞質抗体)とは関連性はなく、通常ANCAは陰性である。「結節性多発動脈炎」の具体的な症候又は症状としては、例えば、発熱(38℃以上、2週間以上);体重減少(6カ月以内に6kg以上);高血圧;急速に進行する腎不全腎梗塞等の腎臓における症候又は症状;脳出血脳梗塞等の脳における症候又は症状;心筋梗塞虚血性心疾患、心膜炎、心不全等の心臓における症候又は症状;胸膜炎等の胸膜における症候又は症状;消化管出血、腸梗塞等の消化管における症候又は症状;多発性単神経炎等の末梢神経における症候又は症状;皮下結節、皮膚潰瘍、壊疽、紫斑等の皮膚における症候又は症状;多関節痛(炎),筋痛(炎),筋力低下等の筋肉における症候又は症状を挙げることができる。

0021

本明細書において、「末梢血単核球試料」としては、末梢血由来単核球が含まれた試料であればよく、末梢血単核球試料中の単核球の純度は、通常60%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、さらにより好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上である。

0022

本明細書において、「末梢血単核球試料」は、公知の方法を用いて採取することができる。具体的には、被験者や対照者から採取された末梢血を、ヘパリンクエン酸等の抗凝固剤で処理した後、単核球分離用に適切に比重が調整された分離剤、例えばフィコールリンプレップに積層するか、或いは該分離剤と混合し、遠心分離操作を行い、単核球を含む画分を、単核球以外の血球成分を含む画分から分離することにより採取することができる。

0023

本件判定方法及び本件判定用バイオマーカーにおいて、CCR8をコードするmRNAの発現レベル、又は該mRNA由来のcDNAの発現レベルは、末梢血単核球試料中のCCR8をコードするmRNA、又はかかるmRNAから合成されたcDNAの一部若しくは全部を特異的に検出できる公知の方法を用いて測定することができる。かかる方法として、具体的には、末梢血単核球試料中の末梢血単核球(PBMC)における全RNAを抽出・精製し、RNA−Seq解析する方法;上記全RNAを、CCR8遺伝子のmRNAに相補的塩基配列からなるプローブを用いたノーザンブロッティング法で検出する方法;上記全RNAを、逆転写酵素を用いてCCR8遺伝子のmRNAの逆転写産物(cDNA)を合成した後、かかる逆転写産物を特異的に増幅するプライマー対を用いた、競合PCR法リアルタイムPCR法等の定量PCR法で検出する方法;上記cDNAを、CCR8遺伝子検出用プローブビオチンアビジン等の標識物質でラベルしたCCR8遺伝子のcDNA)が、ガラスシリコンプラスチックなどのハイブリダイゼーション使用可能な支持体上に固定化したものを用いたマイクロアレイで検出する方法;を挙げることができる。

0024

本件判定方法及び本件判定用バイオマーカーにおいて、末梢血単核球試料中のCCR8タンパク質の発現レベルは、末梢血単核球試料中のCCR8タンパク質の一部又は全部を特異的に検出できる公知の方法を用いて測定することができる。かかる方法として、具体的には、CCR8タンパク質を構成するペプチドを検出する質量分析法や、CCR8タンパク質を特異的に認識する抗体を用いた免疫学的測定法を挙げることができる。

0025

上記免疫学的測定法としては、免疫組織化学染色法、ELISA法、EIA法RIA法、ウェスタンブロッティング法、フローサイトメトリー等を好適に例示することができる。フローサイトメトリーは、蛍光物質アロフィコシアニンAPC]、フィコエリトリン[PE]、FITC[fluorescein isothiocyanate]、Alexa Fluor 488、Alexa Fluor 647、Alexa Fluor 700、PE−Texas Red、PE−Cy5、PE−Cy7等)で標識した、CCR8タンパク質に特異的に結合する抗体を用いた蛍光活性化セルソーター(FACS)により行うことができる。CCR8タンパク質は細胞表面受容体であることから、PBMC中のCCR8タンパク質は、生細胞の状態で検出できる。このため、簡便性を考慮すると、フローサイトメトリーを用いることが好ましい。

0026

本件判定方法及び本件判定用バイオマーカーにおいて、CCR8をコードするmRNAの発現レベル、若しくは該mRNA由来のcDNAの発現レベル、又は前記CCR8の発現レベルは、絶対値(例えば、CCR8をコードするmRNAの濃度、該mRNA由来のcDNAの濃度、CCR8の濃度、CCR8を発現する[CCR8陽性の]PBMCの数)であっても、相対値(例えば、内部標準に対する前記濃度の比率、全PBMC中のCCR8陽性のPBMCの割合)であってもよく、相対値とする場合、例えば、RPLP0、GAPDH、ACTB等のハウスキーピング遺伝子(内部標準)のmRNA、若しくは該mRNA由来のcDNA、又は前記ハウスキーピングタンパク質の発現量を基準とした相対値を挙げることができる。

0027

本件判定方法及び本件判定用バイオマーカーにおいて、「対照者におけるCCR8発現レベル」は、比較対象である「被験者におけるCCR8発現レベル」や、「MPO−ANCA活動期血管炎又はPAN患者におけるCCR8発現レベル」に対応するものを用いる。このため、「被験者におけるCCR8発現レベル」や、「MPO−ANCA活動期血管炎又はPAN患者におけるCCR8発現レベル」を、mRNA、cDNA、若しくはタンパク質、又はCCR8陽性のPBMCに基づき測定する場合、「対照者におけるCCR8発現レベル」は、それぞれmRNA、cDNA、若しくはタンパク質、又はCCR8陽性のPBMCに基づき測定する。また、「被験者におけるCCR8発現レベル」や、「MPO−ANCA活動期血管炎又はPAN患者におけるCCR8発現レベル」が、絶対値又は相対値である場合、「対照者におけるCCR8発現レベル」は、それぞれ絶対値、相対値である。上記「対照者におけるCCR8発現レベル」は、本件判定方法を実施する際、対照者から採取された末梢血単核球試料を調製し、その都度測定してもよいが、予め測定したものを用いてもよい。また、上記対照者から採取された末梢血単核球試料は、被験者やMPO−ANCA活動期血管炎又はPAN患者由来の末梢血単核球試料と実質的に同じ方法により採取されたものが好ましい。また、「対照者におけるCCR8発現レベル」の測定に用いた方法は、「被験者におけるCCR8発現レベル」や、「MPO−ANCA活動期血管炎又はPAN患者におけるCCR8発現レベル」の測定に用いた方法と実質的に同じであることが好ましい。

0028

上記対照者としては、MPO−ANCA活動期血管炎及びPANのいずれか一方、又は両方に罹患していない者(被験者のコントロール)であればよく、健常者の他、MPO−ANCA寛解期血管炎患者、MPO−ANCA活動期血管炎及びPAN以外の血管炎に罹患した者を挙げることができ、特に、後述する本実施例において、MPO−ANCA活動期血管炎及びPANの血管炎と;健常者、MPO−ANCA寛解期血管炎、感染症を合併したMPO−ANCA寛解期血管炎、並びにPR3−ANCA血管炎、抗GBM抗体関連血管炎、血管炎を伴う全身性エリテマトーデス(Systemic lupus erythematosus;SLE)、及び紫斑病性腎炎;とを精度よく判定できることが具体的に示されているため、健常者、MPO−ANCA寛解期血管炎患者(特に、感染症を合併したMPO−ANCA寛解期血管炎患者)、並びにPR3−ANCA血管炎、抗GBM抗体関連血管炎、血管炎を伴うSLE、及び紫斑病性腎炎からなる血管炎群から選択される血管炎に罹患した者が好ましい。

0029

本明細書において、「MPO−ANCA寛解期血管炎」とは、以前にMPO−ANCA活動期血管炎であった状態の活動性が、消失した状態を意味し、かかる活動性には、血管における炎症の他、血管以外の組織や臓器における炎症も含まれる。なお、「MPO−ANCA寛解期血管炎」には、MPO−ANCAが陽性のものも、陰性のものも含まれる。

0030

本明細書において、「PR3−ANCA血管炎」とは、上述の小型血管に、非免疫複合体性の炎症が認められ、かつ好中球細胞質のプロテイナーゼ3(PR3)に対する自己抗体(PR3−ANCA)が陽性である状態を意味する。「PR3−ANCA血管炎」の具体的な症候又は症状としては、例えば、上述の小型血管炎の症候又は症状を挙げることができる。

0031

また、上記「PR3−ANCAが陽性である」とは、血液中のPR3−ANCA抗体価が、基準値以上であることを意味する。かかる基準値は、診断基準や各施設、測定方法によって異なるため、一概に特定することはできないが、例えば、ELISA法により約2.0U/mLである。

0032

本明細書において、「抗GBM抗体関連血管炎」とは、上述の小型血管に、免疫複合体性の炎症が認められ、かつ糸球体基底膜(Glomerular basement membrane;GBM)に対する抗体(抗GBM抗体)が陽性である状態を意味する。かかる免疫複合体性の炎症は、抗GBM抗体が、上述の小型血管の血管壁沈着することによって生じる。「抗GBM抗体関連血管炎」の具体的な症候又は症状としては、例えば、上述の小型血管炎の症候又は症状を挙げることができる。

0033

また、上記「抗GBM抗体が陽性である」とは、血液中の抗GBM抗体価が、基準値以上であることを意味する。かかる基準値は、診断基準や各施設、測定方法によって異なるため、一概に特定することはできないが、例えば、ELISA法により約3.5U/mLである。

0034

上記「約○○U/mL」における「約」の範囲とは、通常±0.5U/mLの範囲内、好ましくは±0.4U/mLの範囲内、より好ましくは±0.3U/mLの範囲内、さらに好ましくは±0.2U/mLの範囲内、最も好ましくは±0.1U/mLの範囲内を意味する。

0035

本明細書において、「紫斑病性腎炎(Henoch-Schonlein purpura nephritis;HSPN)」とは、全身性の血管炎であるHenoch-Schonlein紫斑病(Henoch-Schonleinpurpura;HSP)に伴い、腎糸球体の毛細血管において、免疫複合体性の炎症が認められた状態を意味する。

0036

本件判定方法の工程(b)において、「被験者におけるCCR8発現レベル」を、「対照者におけるCCR8発現レベル」と比較し、「被験者におけるCCR8発現レベル」が、「対照者におけるCCR8発現レベル」よりも高い場合、被験者は、(MPO−ANCA寛解期血管炎ではなく)MPO−ANCA活動期血管炎又はPANに罹患している可能性が高いと評価(判定)し、「被験者におけるCCR8発現レベル」が、「対照者におけるCCR8発現レベル」よりも高くない場合、被験者は、MPO−ANCA活動期血管炎又はPANに罹患している可能性が低いと評価(判定)する。「被験者におけるCCR8発現レベル」が、「対照者におけるCCR8発現レベル」よりも高いか否かを判定するために、閾値カットオフ値)は任意のものを設定することができ、かかる閾値としては、例えば、「対照者におけるCCR8発現レベル」の平均値、「平均値+標準偏差(SD)」、「平均値+2SD」、「平均値+3SD」、中央値、「中央値+SD」、「中央値+2SD」、「中央値+3SD」等を挙げることができる。また、閾値は、感度(MPO−ANCA活動期血管炎患者又はPAN患者を、正しく陽性と判定できる割合)及び特異度(MPO−ANCA活動期血管炎又はPANに罹患していない者を、正しく陰性と判定できる割合)が高くなるように、「被験者におけるCCR8発現レベル」のデータと、「対照者におけるCCR8発現レベル」のデータを基に、統計解析ソフトウェアを用いたROC(Receiver Operating Characteristic)曲線を用いて算出することもできる。

0037

上記CCR8をコードするmRNAとしては、具体的に、配列番号1に示されるヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチド(ヒトCCR8をコードするmRNA[NCBI Reference Sequence:NM_005201])、或いは、配列番号1に示されるヌクレオチド配列において、1若しくは数個ヌクレオチド欠失置換及び/又は付加されたヌクレオチド配列からなり、かつ対照者と比較して被験者における発現が増加するポリヌクレオチドを挙げることができる。

0038

また、上記CCR8をコードするmRNA由来のcDNAとしては、具体的に、配列番号2に示されるヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチド(ヒトCCR8をコードするcRNA)、或いは、配列番号2に示されるヌクレオチド配列において、1若しくは数個のヌクレオチドが欠失、置換及び/又は付加されたヌクレオチド配列からなり、かつ対照者と比較して被験者における発現が増加するポリヌクレオチド(ヒトCCR8をコードするcRNAのバリアント)を挙げることができる。

0039

また、上記CCR8としては、具体的に、配列番号3に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質(ヒトCCR8[NCBI Reference Sequence:NP_005192])、或いは、配列番号1に示されるアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ対照者と比較して被験者における発現が増加するタンパク質を挙げることができる。

0040

上記「1若しくは数個のヌクレオチドが欠失、置換及び/又は付加されたヌクレオチド配列」とは、通常1〜10個の範囲内、好ましくは1〜7個の範囲内、より好ましくは1〜6個の範囲内、さらに好ましくは1〜5個の範囲内、より好ましくは1〜4個の範囲内、さらに好ましくは1〜3個の範囲内、より好ましくは1〜2個の範囲内、最も好ましくは1個の数のヌクレオチドが欠失、置換及び/又は付加されたヌクレオチド配列を意味する。

0041

上記「1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加されたアミノ酸配列」とは、通常1〜10個の範囲内、好ましくは1〜7個の範囲内、より好ましくは1〜6個の範囲内、さらに好ましくは1〜5個の範囲内、さらにより好ましくは1〜4個の範囲内、特に好ましくは1〜3個の範囲内、特により好ましくは1〜2個の範囲内、最も好ましくは1個の数のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加されたアミノ酸配列を意味する。

0042

本件判定用キット1におけるプライマーとしては、末梢血単核球試料中のCCR8をコードするmRNA、又は該mRNA由来のcDNAの上流若しくは下流の配列の一部とアニーリングしうる相補的なプライマーセット(便宜上、それぞれ「フォワードプライマー及びリバースプライマー」という)であれば、プライマー配列の長さ、mRNA又はcDNAとアニーリングする部位、増幅するcDNAの長さ等は、cDNAの増幅効率特異性を考慮して適宜選択することができる。例えば、プライマー配列の長さとしては、通常10〜100塩基長であり、好ましくは10〜40塩基長であり、より好ましくは10〜30塩基長であり、さらに好ましくは15〜30塩基長である。

0043

上記フォワードプライマー及びリバースプライマーは、通常、鋳型DNAである上記ヒトCCR8をコードするcRNA、又はそのバリアントが特異的に生成されるように選択される。すなわち、上記ヒトCCR8をコードするcRNA、又はそのバリアントにおいて、ヌクレオチド配列の1番目を上流とし、末尾を下流とした場合、フォワードプライマーの3’末端におけるヌクレオチドは、フォワードプライマーとリバースプライマーによる二本鎖DNA形成(プライマーダイマー形成)による擬陽性を回避することも考慮すると、通常、リバースプライマーの3’末端におけるヌクレオチドよりも少なくとも上流にアニールするように選択される。

0044

上記フォワードプライマー及びリバースプライマーは、その少なくとも一部が鋳型DNA(上記ヒトCCR8をコードするcRNA、又はそのバリアント)の一部とアニール(ハイブリダイズ)し、かつ、PCRにより増幅産物を生成できるものであればよく、ここでフォワードプライマー又はリバースプライマーの「少なくとも一部」とは、通常、フォワードプライマー又はリバースプライマーのヌクレオチド配列に対して60%以上を意味し、好ましくは65%以上であり、より好ましくは70%以上であり、さらに好ましくは75%以上であり、さらにより好ましくは80%以上であり、特に好ましくは85%以上であり、最も好ましくは90%以上を意味する。

0045

本件判定用キット1におけるプローブとしては、末梢血単核球試料中のCCR8をコードするmRNA、又は該mRNA由来のcDNAの一部又は全部がハイブリダイゼーションするプローブであれば、プローブの長さ、ハイブリダイズする部位等は、ハイブリダイゼーションの効率や特異性を考慮して適宜選択することができる。例えば、プローブの長さは、通常50〜2000塩基長であり、好ましくは100〜1500塩基長であり、より好ましくは200〜1000塩基長であり、さらに好ましくは300〜800塩基長である。

0046

上記プローブは、通常、鋳型DNAである上記ヒトCCR8をコードするcRNA、又はそのバリアントにアニール(ハイブリダイズ)するように選択される。この場合、上記プローブは、その少なくとも一部が鋳型DNA(上記ヒトCCR8をコードするcRNA、又はそのバリアント)の一部とアニール(ハイブリダイズ)できるものであればよく、ここでプローブの「少なくとも一部」とは、通常、プローブのヌクレオチド配列に対して60%以上を意味し、好ましくは65%以上であり、より好ましくは70%以上であり、さらに好ましくは75%以上であり、さらにより好ましくは80%以上であり、特に好ましくは85%以上であり、最も好ましくは90%以上を意味する。

0047

本件判定用キット2における抗体としては、モノクローナル抗体ポリクローナル抗体ヒト抗体キメラ抗体ヒト化抗体などの抗体であってもよく、また、この中には、F(ab’)2、Fab、diabody、Fv、ScFv、Sc(Fv)2などの抗体の一部からなる抗体断片も含まれる。

0048

本件判定用キット1や2の標識物における標識物質としては、ペルオキシダーゼ(例えば、horseradish peroxidase)、アルカリフォスファターゼ、β−D−ガラクトシダーゼグルコースオキシダーゼグルコ−ス−6−ホスフェートデヒドロゲナーゼアルコール脱水素酵素リンゴ酸脱水素酵素ペニシリナーゼカタラーゼアポグルコースオキシダーゼ、ウレアーゼルシフェラーゼ若しくはアセチルコリンエステラーゼ等の酵素、フルオレスセイイソチオシアネートフィビリタンパク希土類金属キレートダンシルクロライド若しくはテトラメチルローダミンイソチオシアネート等の蛍光物質、緑色蛍光タンパク質(Green Fluorescence Protein;GFP)、シアン蛍光タンパク質(Cyan Fluorescence Protein;CFP)、青色蛍光タンパク質(Blue Fluorescence Protein;BFP)、黄色蛍光タンパク質(Yellow Fluorescence Protein;YFP)、赤色蛍光タンパク質(Red Fluorescence Protein;RFP)、ルシフェラーゼ(luciferase)等の蛍光タンパク質、3H 、14C、125I若しくは131I等の放射性同位体、ビオチン、アビジン、又は化学発光物質を挙げることができる。

0049

以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。

0050

1.CCR8が、MPO−ANCA活動期血管炎及びPANの判定用バイオマーカーであることの確認
1−1 方法
[定量PCR]
6種類の血管炎患者(MPO−ANCA活動期血管炎患者32名、PR3−ANCA血管炎患者4名、PAN患者8名、抗GBM抗体関連血管炎患者3名、血管炎を伴うSLE患者5名、及びHSPN患者10名)、及び健常者25名から、BDバキュテイナCPT採血管(Becton Dickinson社製)を用いて末梢血を採取し、密度勾配遠心分離法により末梢血単核球(Peripheral Blood Mononuclear Cells;PBMC)を単離した。単離したPBMCよりNucleoSpin RNA Blood(TaKaRa社製)を用いて添付のプロトコールにしたがってトータルRNAを精製した。RNAの精度をバイオアナライザー(Agilent社製)にて確認した後、PrimeScriptRTreagent(TaKaRa社製)を用いてcDNAを作製した。cDNAを鋳型としてSYBR Premix Ex Taq(TaKaRa社製)と、CCR8遺伝子検出用プライマーセット及び内部コントロールであるRPLP0遺伝子検出用プライマーセット(いずれも、Fasmac社製の合成オリゴDNA)とを用い、定量PCRを行った。デルタデルタCt法により、RPLP0遺伝子のcDNA増幅産物のCt値を基準としたCCR8遺伝子のcDNA増幅産物のCt値の相対値(図1縦軸「CCR8発現レベル」に相当)を定量化した。

0051

[フローサイトメトリー]
MPO−ANCA活動期血管炎患者及び健常者由来のPBMCを、上記[定量PCR]の項目に記載の方法にしたがって単離し、蛍光物質で標識したCCR8に対する抗体(human/Rat CCR8 PE-conjugated Antibody;R&D Systems社製)、又は蛍光物質で標識したラットIgGコントロール抗体(Rat IgG PE-conjugated Antibody;R&D Systems社製)を用いて30分間、4℃条件下で抗原抗体反応を行った。次いで、細胞核を、10μg/mL DAPI(Life Technologies社製)で染色し、CCR8陽性のPBMCの割合(図3中の「P5」の領域)を、フローサイトメーター(FACSCantII、BD Biosciences社製)を用いて解析した。なお、図3中の「P4」の領域は、ラットIgGコントロール抗体で検出される非特異的な蛍光シグナルを有するPBMC(CCR8陰性のPBMC)を示す。

0052

1−2 結果
[定量PCR]
MPO−ANCA活動期血管炎患者、及びPAN患者由来のPBMC試料におけるCCR8遺伝子のcDNAの発現レベルは、MPO−ANCA活動期血管炎及びPAN以外の血管炎患者(PR3−ANCA血管炎患者、抗GBM抗体関連血管炎患者、血管炎を伴うSLE患者、及びHSPN患者)や健常者と比べ、高いことが示された(図1参照)。例えば、MPO−ANCA活動期血管炎患者由来のPBMCにおけるCCR8遺伝子のcDNAの発現レベルは、3.38±2.06(平均値±標準誤差)であり、健常者由来のPBMCにおける発現レベル(1.10±0.42)と比べ、3.1倍増加していた。
この結果は、MPO−ANCA活動期血管炎患者及びPAN患者由来のPBMC試料におけるCCR8遺伝子のmRNA(cDNA)の発現レベルは、MPO−ANCA活動期血管炎及びPANに罹患していない者における発現レベルと比べ、高いことを示している。

0053

図1の定量PCRで得られた、MPO−ANCA活動期血管炎患者及び健常者における発現レベルを基に、ROC曲線を作成したところ、AUC(area under the curve)値は、0.923と高い値を示した。また、MPO−ANCA活動期血管炎患者と、健常者とを区別するためのカットオフ値として、2.1を設定したところ、MPO−ANCA活動期血管炎の感度(MPO−ANCA活動期血管炎患者中で検査陽性者の割合)及び特異度(健常者中で検査陰性者の割合)は、それぞれ87.5%及び100%であった。また、すべてのPAN患者におけるCCR8遺伝子のcDNAの発現レベルは、2.1よりも高かった。
これらの結果は、PBMC試料中のCCR8遺伝子のmRNA(cDNA)の発現レベルを測定し、適切なカットオフ値を設定すると、かかる発現レベルを指標として、MPO−ANCA活動期血管炎やPANを判定(診断)できることを示している。

0054

[フローサイトメトリー]
MPO−ANCA活動期血管炎患者由来のPBMC試料におけるCCR8陽性のPBMCの割合は、15.5%であり、健常者におけるCCR8陽性のPBMCの割合(2.9%)と比べ、高いことが示された(図3参照)。
この結果は、MPO−ANCA活動期血管炎患者由来のPBMC試料におけるCCR8タンパク質の発現レベルは、健常者における発現レベルと比べ、高いことを示しており、上記定量PCRの結果を支持している。

0055

2.CCR8が、活動期特異的なMPO−ANCA血管炎の判定用バイオマーカーであることの確認
2−1 方法
3種類のMPO−ANCA血管炎患者(活動期血管炎患者32名、寛解期血管炎患者36名、及び感染症を合併した寛解期血管患者13名)から、実施例1の項目「1−1 方法[定量PCR]」に記載の方法に従って、PBMC試料におけるCCR8遺伝子のcDNAの発現レベルを測定した。

0056

2−2 結果
MPO−ANCA活動期血管炎患者由来のPBMC試料におけるCCR8遺伝子のcDNAの発現レベルは、3.74±2.12(平均値±標準誤差)であり、MPO−ANCA寛解期血管炎患者、及び感染症を合併したMPO−ANCA寛解期血管炎患者における発現レベル(それぞれ1.21±0.63及び1.11±0.42)と比べ、それぞれ3倍以上高かった(図2参照)。
この結果は、活動期のMPO−ANCA血管炎患者由来のPBMC試料におけるCCR8遺伝子のmRNA(cDNA)の発現レベルは、寛解期のMPO−ANCA血管炎患者(MPO−ANCA寛解期血管炎患者や、感染症を合併したMPO−ANCA寛解期血管患者)における発現レベルと比べ、高いことを示している。

実施例

0057

図2の定量PCRで得られた、MPO−ANCA活動期血管炎患者及びMPO−ANCA寛解期血管炎患者における発現レベルを基に、ROC曲線を作成したところ、AUC値は、0.907と高い値を示した。また、MPO−ANCA活動期血管炎患者と、MPO−ANCA寛解期血管炎患者とを区別するためのカットオフ値として、2.1を設定したところ、活動期のMPO−ANCA血管炎の感度(MPO−ANCA活動期血管炎患者中で検査陽性者の割合)及び特異度(MPO−ANCA寛解期血管炎患者中で検査陰性者の割合)は、それぞれ87.5%及び91.7%であった。
また、図2の定量PCRで得られた、MPO−ANCA活動期血管炎患者及び感染症を合併したMPO−ANCA寛解期血管炎患者における発現レベルを基に、ROC曲線を作成したところ、AUC値は、0.924と高い値を示した。また、MPO−ANCA活動期血管炎患者と、感染症を合併したMPO−ANCA寛解期血管炎患者とを区別するためのカットオフ値として、2.1を設定したところ、活動期のMPO−ANCA血管炎の感度(MPO−ANCA活動期血管炎患者中で検査陽性者の割合)及び特異度(感染症を合併したMPO−ANCA寛解期血管炎患者中で検査陰性者の割合)は、それぞれ87.5%及び100%であった。
これらの結果は、PBMC試料中のCCR8遺伝子のmRNA(cDNA)の発現レベルを測定し、適切なカットオフ値を設定すると、かかる発現レベルを指標として、活動期特異的なMPO−ANCA血管炎を判定(診断)できることを示している。

0058

本発明は、MPO−ANCA活動期血管炎及び結節性多発動脈炎の診断や治療の他、MPO−ANCA活動期血管炎に起因する疾患(例えば、顕微鏡的多発血管炎、アレルギー性肉芽腫性血管炎)の予防に資するものである。

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