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技術 レドックスフロー電池用電解液の製造方法

出願人 住友電気工業株式会社リマテックホールディングス株式会社
発明者 久畑満田中靖訓河本一誠張元月
出願日 2017年9月5日 (1年11ヶ月経過) 出願番号 2017-170682
公開日 2019年3月22日 (5ヶ月経過) 公開番号 2019-046723
状態 未査定
技術分野 燃料電池(本体)
主要キーワード 洗浄スラリー 要求スペック 洗浄残渣 バナジン酸カルシウム バナジウムイオン濃度 価バナジウムイオン アンモニウム成分 バナジウム電解液
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (7)

課題

高純度バナジウムを効率よく回収し、レドックスフロー電池電解液を容易に製造する。

解決手段

前記電解液の製造方法は、化石燃料燃焼により生じた集塵機灰を水で洗浄しながら、アンモニアアミン類アルカリ土類金属水酸化物及びアルカリ土類金属の炭酸塩からなる群より選ばれるもののアルカリ溶液の添加によってpH調整を行い、洗浄残渣を分離する第1工程と、洗浄残渣にアルカリ溶液を添加して加熱し、第1濾液を分離する第2工程と、第1濾液中からバナジン酸アルカリ結晶析出させ、第2濾過残渣として分離する第3工程と、第2濾過残渣を酸で中和するとともに第1工程で得られる洗浄廃水を混合して五酸化バナジウムを生成させ、第3濾過残渣として分離する第4工程と、第3濾過残渣をか焼還元して四酸化二バナジウムを生成する第5工程と、四酸化二バナジウムを硫酸に溶解させ硫酸バナジル電解液を製造する第6工程と、を有する。

概要

背景

化石燃料燃焼装置からの排ガスに含まれる集塵機灰から、バナジウムを抽出してレドックスフロー電池電解液を製造する製造方法として、例えば特許文献1に記載の集塵機灰の処理方法で得られるメタバナジン酸アンモニウム(NH4VO3)を電解液の原料とすることが考えられる。特許文献1では、まず、集塵機灰に、水とともに水酸化ナトリウムを添加して中和し、さらに還元剤を添加した後、第1濾液と第1ろ過残渣とに固液分離している。そして、第1ろ過残渣に、水、水酸化ナトリウム及び酸化剤の添加によって酸化してバナジン酸ナトリウムを生成した後、このバナジン酸ナトリウム含有液に、酸の添加によって中和して第2濾液と第2ろ過残渣とに固液分離する。そして、バナジン酸ナトリウムを含む第2濾液に、アンモニウム塩を添加し、加熱及び冷却した後に固液分離することによって、第3ろ過残渣中にメタバナジン酸アンモニウムを生成している。

また、例えば特許文献2に記載の製造方法が提案されている。特許文献2では、まず、集塵機灰を原料として、酸抽出及び還元プロセスを経て、4価のバナジウムを含有する水溶液を抽出し、中間生成物として水酸化バナジウム(VO(OH)2)を固液分離によりろ過残渣として分離回収している。そして、回収した水酸化バナジウムに別途硫黄を還元剤として加熱して3価のバナジウム化合物を合成し、4価のバナジウム化合物(VO(OH)2)と3価のバナジウム化合物とを混合して硫酸を加えてから加熱することにより、電解液を製造している。

概要

高純度のバナジウムを効率よく回収し、レドックスフロー電池用電解液を容易に製造する。前記電解液の製造方法は、化石燃料の燃焼により生じた集塵機灰を水で洗浄しながら、アンモニアアミン類アルカリ土類金属水酸化物及びアルカリ土類金属の炭酸塩からなる群より選ばれるもののアルカリ溶液の添加によってpH調整を行い、洗浄残渣を分離する第1工程と、洗浄残渣にアルカリ溶液を添加して加熱し、第1濾液を分離する第2工程と、第1濾液中からバナジン酸アルカリ結晶析出させ、第2濾過残渣として分離する第3工程と、第2濾過残渣を酸で中和するとともに第1工程で得られる洗浄廃水を混合して五酸化バナジウムを生成させ、第3濾過残渣として分離する第4工程と、第3濾過残渣をか焼還元して四酸化二バナジウムを生成する第5工程と、四酸化二バナジウムを硫酸に溶解させ硫酸バナジル電解液を製造する第6工程と、を有する。

目的

本発明は、上記課題に着目してなされたものであり、高純度のバナジウムを効率よく回収して、容易に電解液を製造することができるレドックスフロー電池用電解液の製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

化石燃料燃焼により生じた集塵機灰を水で洗浄しながら、アンモニアアミン類アルカリ土類金属水酸化物及びアルカリ土類金属の炭酸塩からなる群より選ばれるもののアルカリ溶液の添加によってpH調整のみを行った後、洗浄残渣と、硫酸アンモニウムを含む洗浄廃水とに固液分離する第1工程と、前記洗浄残渣にアルカリ溶液を添加して加熱した後、第1濾液と、第1濾過残渣とに固液分離する第2工程と、前記第1濾液中からバナジン酸アルカリ結晶析出させた後、第2濾液と、バナジン酸アルカリの結晶を含む第2濾過残渣とに固液分離する第3工程と、前記第2濾過残渣を酸で中和するとともに、前記洗浄廃水を混合して、五酸化バナジウムを生成させ、五酸化バナジウムを含む溶液から五酸化バナジウムを含む第3濾過残渣を固液分離により取り出す第4工程と、前記第3濾過残渣をか焼還元して四酸化バナジウムを生成する第5工程と、四酸化二バナジウムを硫酸に溶解させ硫酸バナジル電解液を製造する第6工程と、を有するレドックスフロー電池用電解液の製造方法。

請求項2

前記第1工程では、還元剤の導入無しでpH6〜8になるように前記アルカリ溶液を添加する請求項1に記載のレドックスフロー電池用電解液の製造方法。

請求項3

前記第2工程では、酸化剤の導入無しで前記洗浄残渣にアルカリ溶液を添加して、50℃〜100℃で加熱を行う請求項1又は2に記載のレドックスフロー電池用電解液の製造方法。

請求項4

前記第2工程で得られる前記第1濾過残渣から、ニッケルを含む化合物及び/又は鉄を含む化合物を分離回収する請求項1〜3のいずれか1項に記載のレドックスフロー電池用電解液の製造方法。

請求項5

前記第3工程で得られる前記第2濾液にアルカリを補充したアルカリ溶液を、前記第2工程におけるアルカリ溶液として再利用する請求項1〜4のいずれか1項に記載のレドックスフロー電池用電解液の製造方法。

請求項6

前記第5工程では、300℃以上の加熱温度、且つ、5分以上120分以下の加熱時間で、低酸素条件下でか焼還元する請求項1〜5のいずれか1項に記載のレドックスフロー電池用電解液の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、レドックスフロー電池電解液の製造方法に関する。

背景技術

0002

化石燃料燃焼装置からの排ガスに含まれる集塵機灰から、バナジウムを抽出してレドックスフロー電池用電解液を製造する製造方法として、例えば特許文献1に記載の集塵機灰の処理方法で得られるメタバナジン酸アンモニウム(NH4VO3)を電解液の原料とすることが考えられる。特許文献1では、まず、集塵機灰に、水とともに水酸化ナトリウムを添加して中和し、さらに還元剤を添加した後、第1濾液と第1ろ過残渣とに固液分離している。そして、第1ろ過残渣に、水、水酸化ナトリウム及び酸化剤の添加によって酸化してバナジン酸ナトリウムを生成した後、このバナジン酸ナトリウム含有液に、酸の添加によって中和して第2濾液と第2ろ過残渣とに固液分離する。そして、バナジン酸ナトリウムを含む第2濾液に、アンモニウム塩を添加し、加熱及び冷却した後に固液分離することによって、第3ろ過残渣中にメタバナジン酸アンモニウムを生成している。

0003

また、例えば特許文献2に記載の製造方法が提案されている。特許文献2では、まず、集塵機灰を原料として、酸抽出及び還元プロセスを経て、4価のバナジウムを含有する水溶液を抽出し、中間生成物として水酸化バナジウム(VO(OH)2)を固液分離によりろ過残渣として分離回収している。そして、回収した水酸化バナジウムに別途硫黄を還元剤として加熱して3価のバナジウム化合物を合成し、4価のバナジウム化合物(VO(OH)2)と3価のバナジウム化合物とを混合して硫酸を加えてから加熱することにより、電解液を製造している。

先行技術

0004

特許第3917222号公報
特許第4567254号公報

発明が解決しようとする課題

0005

しかしながら、上述した特許文献1に記載の集塵機灰の処理方法で得られるメタバナジン酸アンモニウムを電解液の原料とすると、アンモニウム成分が多いために、その除去に多くの手間がかかり、しかも、還元剤や酸化剤などの多くの薬剤が必要となる。そのため、処理設備処理コストが多くかかるという問題がある。

0006

また、特許文献2に記載の製造方法では、還元反応及び酸性域での抽出のために、バナジウム以外にニッケルや鉄などの金属も抽出され、バナジウムの高純度化が困難である。しかも、中間生成物である水酸化バナジウムが微粒子であるために、固液分離が困難で分離工程でのロスが大きくなりやすいという問題がある。

0007

本発明は、上記課題に着目してなされたものであり、高純度のバナジウムを効率よく回収して、容易に電解液を製造することができるレドックスフロー電池用電解液の製造方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0008

本発明のレドックスフロー電池用電解液の製造方法は、化石燃料の燃焼により生じた集塵機灰を水で洗浄しながら、アンモニアアミン類アルカリ土類金属水酸化物及びアルカリ土類金属の炭酸塩からなる群より選ばれるもののアルカリ溶液の添加によってpH調整のみを行った後、洗浄残渣と、硫酸アンモニウムを含む洗浄廃水とに固液分離する第1工程と、前記洗浄残渣に酸化剤の導入無しでアルカリ溶液を添加して加熱した後、第1濾液と、第1濾過残渣とに固液分離する第2工程と、前記第1濾液中からバナジン酸アルカリ結晶析出させた後、第2濾液と、バナジン酸アルカリの結晶を含む第2濾過残渣とに固液分離する第3工程と、前記第2濾過残渣を酸で中和するとともに、前記洗浄廃水を混合して、五酸化バナジウムを生成させ、五酸化バナジウムを含む溶液から五酸化バナジウムを含む第3濾過残渣を固液分離により取り出す第4工程と、前記第3濾過残渣をか焼還元して四酸化二バナジウムを生成する第5工程と、四酸化二バナジウムを硫酸に溶解させ硫酸バナジル電解液を製造する第6工程と、を有することを特徴としている。

0009

本発明のレドックスフロー電池用電解液の製造方法によれば、第1工程により、集塵機灰を水で洗浄しながら、アンモニア、アミン類、アルカリ土類金属の水酸化物、又は、アルカリ土類金属の炭酸塩のいずれかのアルカリ溶液の添加によってPH調整のみを行った後、洗浄残渣と、硫酸アンモニウム((NH4)2SO4)を含む洗浄廃水とに固液分離する。これにより、集塵機灰中に含まれる硫酸アンモニウムが水に溶解して洗浄廃水中に含まれ、バナジウム(V)、ニッケル(Ni)、鉄(F)などの金属と分離される。次に、第2工程において、洗浄残渣に例えば水酸化ナトリウム(NaOH)などのアルカリ溶液を添加して加熱することにより、バナジウムが酸化剤の導入無しで酸化され、固液分離された第1濾液には、バナジウムが溶液の形態で含まれ、酸化ニッケル(NiO)、酸化鉄(Fe2O3)、硫酸カルシウム(CaSO4)及び炭化物などの固形物が第1残渣として分離除去される。そして、第3工程で、第1濾液に含まれるバナジウムがバナジン酸アルカリの結晶として析出されて第2濾過残渣として分離され、第4工程で、バナジン酸アルカリが酸により中和された後、混合される洗浄廃水中の硫酸アンモニウムと接触することで、バナジウムに化合していたナトリウムなどのアルカリ金属イオンアンモニウムイオン(NH4+)と置換して除去され、五酸化バナジウム(V2O5)を含む第3ろ過残渣として取り出される。つまり、ここで、バナジウムが5価になっている。よって、従来技術と比較して、五酸化バナジウムを回収するまでの工程において、還元剤や酸化剤を使用しないために、廃液量が少なく廃液処理コストが大きく削減できる。また、第1工程で分離した硫酸アンモニウムを含む洗浄廃水が、バナジン酸アルカリのアルカリ除去のためにそのまま第4工程で使用される。よって、全体として処理量を少なくでき、経済性を向上させることができる。

0010

そして、次の第5工程では、分離された5価のバナジウム化合物(五酸化バナジウム(V2O5))が、4価のバナジウム化合物(四酸化二バナジウム(V2O4))に還元される。その結果、中間生成物としての五酸化バナジウム(V2O5)及び四酸化二バナジウム(V2O4)は、従来技術に比べ、粒径が大きく固液分離が容易で歩留まりを高くできるため、バナジウムを効率よく回収できる。そして、第6工程において、バナジウム回収後の四酸化二バナジウム(V2O4)を硫酸によって溶解して硫酸バナジル溶液とすることで、容易にレドックスフロー電池用のバナジウム電解液を得ることができる。

0011

本発明のレドックスフロー電池用電解液の製造方法の一実施態様においては、前記第1工程では、還元剤の導入無しでpH6〜8になるように前記アルカリ溶液を添加することを特徴としている。

0012

上述した実施態様のレドックスフロー電池用電解液の製造方法によれば、集塵機灰中の硫酸アンモニウムの存在により洗浄廃水が酸性になり過ぎると、洗浄廃水に鉄やニッケルなどの不純物が溶解して洗浄廃水中に含まれてしまう。これに対し、集塵機灰を水で洗浄しながらpHを6〜8にすることにより、効率よく還元剤の導入無しにバナジウムを回収することができるとともに、鉄やニッケルなどの不純物が洗浄廃水に溶解することを防ぐことができる。よって、分離した洗浄廃水を第4工程で好適に再利用することができる。

0013

本発明のレドックスフロー電池用電解液の製造方法の一実施態様においては、前記第2工程では、酸化剤の導入無しで前記洗浄残渣にアルカリ溶液を添加して50℃〜100℃で加熱を行うことを特徴としている。

0014

上述した実施態様のレドックスフロー電池用電解液の製造方法によれば、酸化剤の導入無しにバナジウムを効率よく酸化することができる。

0015

本発明のレドックスフロー電池用電解液の製造方法の一実施態様においては、前記第2工程で得られる前記第1濾過残渣から、ニッケルを含む化合物及び/又は鉄を含む化合物を分離回収することを特徴としている。

0016

上述した実施態様のレドックスフロー電池用電解液の製造方法によれば、レドックスフロー電池用のバナジウム電解液を得ることができるうえに、ニッケルや鉄などの有価物を分離回収することができる。

0017

本発明のレドックスフロー電池用電解液の製造方法の一実施態様においては、前記第3工程で得られる前記第2濾液にアルカリを補充したアルカリ溶液を、前記第2工程におけるアルカリ溶液として再利用することを特徴としている。

0018

上述した実施態様のレドックスフロー電池用電解液の製造方法によれば、第2濾液を再利用できるために、廃棄物を少なくでき、経済性と環境保全とに役立てることができる。

0019

本発明のレドックスフロー電池用電解液の製造方法の一実施態様においては、前記第5工程では、300℃以上の加熱温度、且つ、5分以上120分以下の加熱時間で、低酸素条件下でか焼還元することを特徴としている。

0020

上述した実施態様のレドックスフロー電池用電解液の製造方法によれば、効率よく4価のバナジウム化合物(四酸化二バナジウム)を生成することができる。

発明の効果

0021

本発明によれば、高純度のバナジウムを効率よく回収して、容易にレドックスフロー電池用電解液を製造することができる。

図面の簡単な説明

0022

本発明の一実施形態に係るレドックスフロー電池用電解液の製造方法の処理工程を表すフロー図である。
V2O5とpHとの関係を表すグラフである。
残留アンモニウムイオンとか焼時間との関係を表すグラフである。
か焼雰囲気をO2雰囲気及びN2雰囲気にした時のNH4含有V2O5ケーキのグラフである。
500℃でのか焼還元生成物粉末X線回折分析のグラフである。
700℃でのか焼還元生成物の粉末X線回折分析のグラフである。

0023

以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。本発明は、例えば重油タールアスファルト石炭など、並びにこれらをエマルジョン化した燃料などの化石燃料の燃焼により生じる排ガスに含まれる集塵機灰から、バナジウムを抽出してレドックスフロー電池用電解液を製造する製造方法に関する。集塵機灰は、化石燃料の燃焼装置からから排出される排ガスに含まれており、排ガスから収集される。

0024

本発明の一実施形態に係るレドックスフロー電池用電解液の製造方法は、図1に示すように、(1)集塵機灰を水で洗浄しながら、アンモニア、アミン類、アルカリ土類金属の水酸化物及びアルカリ土類金属の炭酸塩からなる群より選ばれるもののアルカリ溶液の添加によってpH調整のみを行った後、洗浄残渣と、硫酸アンモニウムを含む洗浄廃水とに固液分離する第1工程と、(2)洗浄残渣にアルカリ溶液を添加して加熱した後、第1濾液と、第1濾過残渣とに固液分離する第2工程と、(3)第1濾液中からバナジン酸アルカリの結晶を析出させた後、第2濾液と、バナジン酸アルカリの結晶を含む第2濾過残渣とに固液分離する第3工程と、(4)第2濾過残渣を酸で中和するとともに、洗浄廃水を混合して、五酸化バナジウムを生成させ、五酸化バナジウムを含む溶液から五酸化バナジウムを含む第3濾過残渣を固液分離により取り出す第4工程と、(5)第3濾過残渣をか焼還元して四酸化二バナジウムを生成する第5工程と、(6)四酸化二バナジウムを硫酸に溶解させ硫酸バナジル電解液を製造する第6工程と、を有する。

0025

第1工程では、まず、集塵機灰を水に懸濁して洗浄するとともに、アルカリ溶液を添加して中和し、懸濁液のpHを調整する工程が行われる。集塵機灰中には硫酸アンモニウム((NH4)2SO4)が含まれるため、懸濁液は酸性を呈し、pHが低下している。懸濁液のpHが低いと、懸濁液に鉄(Fe)や、ニッケル(Ni)などの金属が溶解して不純物として存在する。そこで、集塵機灰の水による洗浄時にアルカリ溶液を添加することにより中和し、懸濁液のpHが好ましくは6〜8となるように調整する。これにより、効率よく還元剤の導入無しにバナジウムを回収することができるとともに、懸濁液に鉄、ニッケルなどの不純物の溶解を防止することができる。よって、後述するように、懸濁液の濾過により得られる洗浄廃水に鉄やニッケルなどの不純物が溶解しておらず、洗浄廃水を以後の第4工程で再利用しやすくなる。

0026

pH調整で添加されるアルカリ溶液は、アルカリ金属以外のアンモニア(NH3)、アミン類、アルカリ土類金属の水酸化物(例えばCa(OH)2、Mg(OH)2など)、又は、アルカリ土類金属の炭酸塩(例えばCaCO3など)のいずれかのアルカリ溶液を使用する。これにより、従来技術とは異なり、高価な水酸化ナトリウム(NaOH)の使用量を少なくできるため、経済性を向上させることができ、しかも、バナジウム以外の金属を容易に回収することができる。

0027

そして、懸濁液のpH調整の後、第1工程では、懸濁液を濾過する工程が行われる。これにより、硫酸アンモニウムなどを含有する洗浄廃水と、バナジウム化合物などを含有する濾過残渣とに固液分離する。濾過の方法などは特に限定されるものではなく、従来から公知の方法を用いることができる(以下の工程についても同様)。

0028

次の第2工程では、まず、洗浄残渣にアルカリ溶液を添加して加熱する工程が行われる。これにより、バナジウムが酸化剤の導入無しで酸化されて、溶液に溶解する。洗浄残渣に添加されるアルカリ溶液としては、特に限定されるものではないが、例えば水酸化ナトリウム溶液(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、水酸化アンチモン(Sb(OH)3)、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)などを用いることができ、本実施形態では、濃度18%の水酸化ナトリウム溶液が用いられている。また、第2工程における加熱温度は、好ましくは50℃〜100℃、さらに好ましくは約80℃とすることで、バナジウムを効率よく酸化することができる。

0029

そして、バナジウムの酸化の後、第2工程では、溶液を濾過する工程が行われる。これにより、バナジウムが溶液の形態で含まれる第1濾過液と、第1濾過残渣とに固液分離する。固液分離された第1濾液には、バナジウムが溶液の形で含まれ、第1濾過残渣には、酸化ニッケル(NiO)、酸化鉄(Fe2O3)、硫酸カルシウム(CaSO4)、及び、炭化物などが固形物として含まれる。

0030

次の第3工程では、まず、第1濾液中からバナジン酸アルカリの結晶を析出させる工程が行われる。バナジン酸アルカリは、例えばバナジン酸アルカリ金属塩、バナジン酸アルカリ土類金属塩などがあり、例えばオルトバナジン酸ナトリウム、バナジン酸カリウムバナジン酸カルシウム、バナジン酸ストロンチウム、バナジン酸亜鉛、バナジン酸バリウム、バナジン酸リチウムバナジン酸鉛などを例示できる。バナジン酸アルカリの析出方法は特に限定されるものではなく、溶解度の差によって選択的に分離する方法などの従来から公知の方法を用いることができる。これにより、バナジン酸アルカリの結晶として、バナジン酸ナトリウム(NaVO3)が析出される。

0031

そして、バナジン酸アルカリの析出の後、第3工程では、第1濾過液を濾過する工程が行われる。これにより、バナジン酸アルカリが取り除かれた第2濾過液と、バナジン酸アルカリを含む第2濾過残渣とに固液分離する。

0032

なお、第3工程で得られる第2濾過液は、第2工程におけるアルカリ溶液として再利用される。ここで、第2濾過液は、アルカリ濃度が減少しているために、濃度回復用のアルカリ溶液を補充して所定濃度のアルカリ溶液にした後、第2工程におけるアルカリ溶液として再利用され、洗浄残渣に添加される。これにより、廃棄物を少なくでき、経済性と環境保全とに役立てることができる。補充するアルカリ溶液としては、例えば濃度48%の水酸化ナトリウム溶液(NaOH)を用いることができる。

0033

次の第4工程では、バナジン酸アルカリに酸を加えて中和した後、第1工程で得られる洗浄廃水を混合する工程が行われる。これにより、バナジン酸アルカリが洗浄廃水中の硫酸アンモニウムと接触して、バナジウムに化合していたナトリウムイオンなどのアルカリ金属イオンがアンモニウムイオン(NH4+)と置換して除去され、五酸化バナジウム(V2O5)が生成される。なお、中和に用いられる酸としては、特に限定されるものではないが、例えば濃度35%の塩酸(HCl)などを用いることができる。

0034

そして、五酸化バナジウムの生成後、第4工程では、五酸化バナジウムを含む溶液を濾過する工程が行われ、五酸化バナジウムを含む第3残渣と、第3濾過液とに固液分離する。

0035

この第4工程により、バナジウムが5価になっている。従って、従来技術と比較して、五酸化バナジウムを回収するまでの工程において、還元剤や酸化剤を使用しないために、廃液量が少なく廃液処理のコストを大きく削減することができる。また、第1工程で得られる硫酸アンモニウムを含む洗浄廃水が、バナジン酸アルカリのアルカリ除去(本実施形態ではナトリウム除去)のためにそのまま第4工程で使用される。そのため、全体として処理量を少なくすることができ、経済性を向上させることができる。つまり、バナジン酸ナトリウムにおけるナトリウムイオンがアンモニウムイオン(NH4+)と置換され、不純物としてのナトリウムが第3濾過液中に排出・除去される。これとともに、第3濾過残渣中には、五酸化バナジウムに加えてポリメタバナジン酸アンモニウム((NH4)4V6O17)が存在し、アンモニウム含有量が3%〜7%となる。なお、第3濾過液中には、ナトリウム以外に余剰分の硫酸アンモニウム溶液も排出される。

0036

次の第5工程では、第3濾過残渣をか焼還元して四酸化二バナジウム(V2O4)を生成する。か焼還元は、300℃以上の加熱温度、且つ、5分以上120分以下の加熱時間で、低酸素条件下で行うことができる。これにより、第3残渣中に含まれるアンモニウムイオン(NH4+)が揮散除去されるとともに、5価のバナジウム化合物である五酸化バナジウム(V2O5)が還元されて4価のバナジウム化合物である四酸化二バナジウム(V2O4)を効率よく生成することができる。なお、低酸素条件下とは、酸素濃度5%以下である。

0037

次の第6工程では、第5工程で得られた四酸化二バナジウムを硫酸に溶解することで、硫酸バナジル溶液とする。これにより、レドックスフロー電池用のバナジウム電解液を容易に得ることができる。

0038

また、上述した実施形態のレドックスフロー電池用電解液の製造方法によれば、第2工程で得られる第1濾過残渣から、ニッケルを含む化合物(酸化ニッケル)や鉄を含む化合物(酸化鉄)を分離することで、ニッケルや鉄などの有価物を回収することができる。

0039

以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。

0040

以下、本発明の実施例について説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。

0041

[実施例1]
第1工程において集塵機灰を水で洗浄する際にpHを調整する効果を、第1工程で得られる洗浄廃水の分析結果に基づき検証した結果を表1及び表2に示す。表1に示すように、pHの調整をしない場合には、洗浄スラリーは酸性であるために固液分離後、洗浄廃水中のバナジウムイオン濃度が高くなり、バナジウム回収率に影響を及ぼし、結果としてバナジウム回収率は90%以下であった。

0042

0043

一方で、pHの調整をした場合には、表2に示すように、洗浄廃水中に溶出したバナジウムイオン濃度が100ppm以下となり、結果としてバナジウムの歩留まりは、99%以上となった。また、鉄成分が硫酸アンモニウムを含む洗浄廃水に溶出しないために、洗浄廃水を第4工程で再利用した場合に、電解液中の鉄成分の要求スペックを満たした。

0044

0045

[実施例2]
第2工程において、第1濾過残渣の組成を分析した結果を表3に示す。表3によると、第1濾過残渣中には、酸化ニッケルや酸化マグネシウムなどの付加価値の高い金属酸化物が分離回収できることが確認できる。

0046

0047

[実施例3]
第4工程において、バナジン酸ナトリウム塩(NaVO3)の結晶に塩酸を添加して五酸化バナジウムを生成する際の、pH調整と五酸化バナジウム溶解度との関係を図2に示す。図2によると、pH1〜3の領域で溶解度が小さく、五酸化バナジウムが回収しやすくなることが確認できる。

0048

[実施例4]
第5工程において、第3濾過残渣をか焼還元する目的は、第3濾過残渣に含まれるアンモニウムイオン(NH4+)の揮散除去と、5価バナジウムイオン(V+5)の4価バナジウムイオン(V+4)への還元反応である。そこで、残留アンモニウムイオン(NH4+)濃度とか焼時間との関係を、図3のグラフに示す。図3のグラフは、500℃でか焼した実験例であり、実験開始後約20分で残留アンモニウムイオン(NH4+)濃度はほぼ0%に達した。また、か焼時の雰囲気が、O2雰囲気とN2雰囲気とで違いがあるかを調べた結果を図4に示す。図4で示すように、500℃付近において、N2雰囲気のほうが還元反応のみ進行するために放熱由来ピークが大きく、O2雰囲気では、酸化還元反応が同時に進行するために放熱由来のピークが小さくなっている。つまり、O2雰囲気、N2雰囲気ともに、酸化還元重合分解反応など複数の反応が起きていることが推察できる。

実施例

0049

[実施例5]
次に、か焼還元におけるか焼温度の異なる場合の生成物の粉末X線回折分析を行った結果を図5及び図6に示す。図5では、500℃でか焼した場合のX線回折分析で、下側の既知回折パターン(VO2,V2O4,V2O5,V6O13)を参考にして実測データを見てみると、V2O5及びV2O4の両方が生成していることが明確に確認できる。これに対し、図6では、700℃でか焼した場合のX線回折分析で、下側の既知の回折パターン(VO2,V2O4)を参考にして実測データを見てみると、ほとんどV2O4の生成物であることが確認できる。これは、か焼温度が高いほうが還元力が大きく、低くても、時間を長くとれば還元性が上がるものと推察できる。

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