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技術 硬化性樹脂組成物、その塗膜及び硬化物

出願人 日鉄ケミカル&マテリアル株式会社
発明者 川辺正直
出願日 2017年9月4日 (2年9ヶ月経過) 出願番号 2017-169554
公開日 2019年3月22日 (1年3ヶ月経過) 公開番号 2019-044091
状態 未査定
技術分野 塗料、除去剤 重合方法(一般) マクロモノマー系付加重合体
主要キーワード 機械構成部材 分散硬化 紙質材料 単位部材 機能性充填剤 プラスチック製シート 網状金属 水系製品
関連する未来課題
重要な関連分野

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課題

耐熱性接着性、相溶性ガスバリア性分散性及び柔軟性が改善された新規硬化性樹脂組成物及びそれを使用した水系溶媒使用可能な塗工液を提供する。

解決手段

ポリエーテル構造を有する1種以上のアクリレート化合物ジビニル芳香族化合物、及びモノビニル芳香族化合物を含有するか、又はこれらを反応して誘導されるプレポリマーを含有する硬化性樹脂組成物である。 無溶剤、或いは水系溶剤又はアルコール系溶剤で使用できる。

概要

背景

近年、導電性フィラー磁性粒子又は光触媒など各種の機能性材料を含有させた分散液又はペーストなど(以下、スラリーともいう。)を塗工液となし、この塗工液を塗布することにより形成させた塗膜の機能性を利用する試みが様々な分野で検討されている。

例えば、導電性フィラー、バインダー樹脂硬化剤溶媒などからなるペースト状の導電性塗工液は、導電性接着剤導電性塗料導電性インキ、2次電池用電極材などとして用いられている(非特許文献1)。また、オーディオテープビデオテープフロッピィディスクなどの塗布型磁気記録媒体は、サブミクロンサイズの磁性粒子を高分子溶液中に均一に分散させた磁性塗料を、ポリエステルなどのベースフィルムに塗布することにより作られている。更に、酸化チタン系光触媒を、分散剤を使用して高分散させ、バインダー樹脂、硬化剤、溶媒などからなる酸化チタン塗布液、この塗布液を用いて形成された光触媒塗膜及び光触媒塗装体は、紫外線を吸収すると強い酸化作用を発揮するため、近年、大気浄化脱臭浄水抗菌防汚などの様々な用途に光触媒として利用されている。(特許文献1〜3)。

上記のような各種塗工液がその機能性を十分発揮できる共通の属性は、分散質分散媒に均一に分散しており、しかも形成される塗工膜が高い密着性を実現するということである。換言すれば、機能性フィラーを含有させたスラリーにおけるフィラーの機能性を十分に発現させるためには、スラリーの状態が機能性発現に適正であること、即ち、フィラーが均一かつ安定的に分散されており、しかも密着性の高い塗工膜を形成できることが必須条件になる。このような目的から、先ず、フィラーの分散性を中心にして適正な溶媒を考えると、スラリーの溶媒(分散媒)には、フィラーの均一分散性に優れ、高い密着力を示し、乾燥が容易である非水系の有機溶媒が圧倒的に有利であり、実際広く用いられてきた。

しかしながら、有機溶媒は揮発性で環境への負荷が大きいばかりでなく、遺伝毒性も考慮しなければならず、安全性、作業性においても課題を残している。近年、多くの産業分野環境保護や健康被害防止に対する意識が高まってきており、上記のような課題を持つ有機溶剤の使用に対して、VOC低減、無溶剤化などへの要求が高まりつつあり、環境や人に優しい製品への転換が求められている。

そこで、環境や健康に優しい製品として最も注目されるのが、水系製品あるいは生物由来原料からなる製品であり、無溶剤化あるいは脱石油製品の一を担うものとして期待されている。しかしながら、導電性炭素フィラ含有スラリー等においては、有機溶媒の代わりに水を溶媒として用いる場合、様々な問題点が生じてくる。例えば、水系スラリーにおいては、フィラー粒子荷電状態にあるとスラリー中で粒子凝集しやすく、更に、溶媒と溶質比重差が大きいために沈降し易く、均一な分散が非常に難しいという問題がある。また、従来の石油由来の原料に代わり得る塗膜形成能分散能を発揮する生物由来の分散媒を見出すことは容易なことではない。

ここで、一般的な分散不良対策としては、分散剤の添加、フィラーの表面処理マイクロカプセル化超音波処理、バインダー樹脂への極性基の導入などが考えられる。分散剤添加としては、塗料インキ、ゴムプラスチック電子材料などに使用される微粒子化された黒色無機酸化物を含むスラリー組成物に対して、水溶性両性系分散剤を用いる試み(特許文献4)や、導電助剤を含む電池用組成物において、塩基性官能基を有する化合物を使用する試み(特許文献5)がある。また、フィラー表面処理としては、金属酸化物微粒子フィラーに親水性シランカップリング剤を反応させて表面処理層を形成させる試み(特許文献6)など種々提案されている。その他、無機酸化物フィラーを含むペーストに超音波振動を加えてフィラーを分散させることや、導電性フィラーの表面に絶縁性樹脂を形成させてマイクロカプセル型導電性フィラーとすることなどについての提案もある。

しかしながら、これらの試みで用いられる分散媒には有機溶媒が主に使用されており、水系溶媒を使用する例は非常に少ない。これに対し、近年の環境保護や健康被害防止に対する意識の高まりから、環境に優しく、安全性も高い水系スラリーを用い、なおかつ機能性充填剤が均一に分散される手法の登場が強く望まれている。

水系スラリーのフィラー分散安定化を試みる場合も、上記の各手法が考えられるが、製造プロセスや塗工系の簡素化、更にはコストの点を考慮すると、水系バインダー樹脂の使用が有利である。水素結合性の部位を有するバインダー樹脂は、主鎖間の分子間相互作用の強さを反映した優れた耐候性ガスバリア性を付与することも可能である。

上記の水系スラリー組成物の期待される用途としては、特に近年その成長が著しい二次電池キャパシタなどの蓄電装置電極板用塗工液が考えられる。電極板は、蓄電装置の性能に大きく影響を及ぼし、電極層集電体などの単位部材一体化した電極部材であるが、電極板に関しては、充放電サイクル寿命延長させ、かつ、高エネルギー密度化のために薄膜大面積化を図ることが提案されている。例えば、リチウムイオン電池について、特許文献7や特許文献8などに記載されているように、金属酸化物硫化物ハロゲン化物などの正極活物質粉末に、導電性材料及びバインダーを適当な溶媒に分散溶解させて、ペースト状の塗工液を調製し、アルミニウムなどの金属箔からなる集電体を基体とし、基体表面に上記塗工液を塗布して塗工膜層を形成して得られる正極電極板が開示されている。バインダー樹脂としては、スチレンブタジエンゴム及びポリアクリル酸カリウムを含む高分子バインダー(特許文献7)、四フッ化エチレンを主成分とする樹脂(特許文献8)が知られている。

分極性電極板電解質との界面で形成される電気二重層を利用したキャパシタは、メモリバックアップ電源として使用され、電気自動車用電源などの大出力を必要とする用途への適用も注目され、大出力のために高い静電容量と低い内部抵抗両立が求められている。上記キャパシタ用の電極板は、上記電池正極板や負極板と同様に、一般にバインダーと導電性材料などを混合した塗工液を集電体に塗布及び乾燥して製造されている。ただし、特許文献7、8に開示されたバインダー樹脂は、種々の工業製品活用することを考えた場合、柔軟性や耐熱性に課題があり、高温での環境信頼性に課題があった。

概要

耐熱性、接着性、相溶性、ガスバリア性、分散性及び柔軟性が改善された新規硬化性樹脂組成物及びそれを使用した水系溶媒が使用可能な塗工液を提供する。ポリエーテル構造を有する1種以上のアクリレート化合物ジビニル芳香族化合物、及びモノビニル芳香族化合物を含有するか、又はこれらを反応して誘導されるプレポリマーを含有する硬化性樹脂組成物である。 無溶剤、或いは水系溶剤又はアルコール系溶剤で使用できる。なし

目的

したがって、本発明の目的は、上記の問題を解決し、環境に対する負荷が少ない水系スラリーに適合した材料でありながら、機能性充填剤に対する優れた分散機能を有し、しかもバインダーとしても優れた機能を示し、密着性、耐熱性と柔軟性のバランスに優れる機能性の塗工膜の形成を可能とし得るバインダー樹脂組成物を提供すること、及び水系の機能性充填剤分散塗工液を提供することにある。より具体的には、長期間保存しても粘度が維持され、機能性充填剤の沈降分離が起こりにくく、分散性の高い低臭気の溶剤又は水系の機能性充填剤分散塗工液を提供することにある。このような塗工液が提供されれば、機能性充填剤が均一に分散されてなる密着性に優れる高機能な塗工膜の形成が可能になるため、電子材料塗料、インキ、トナー、ゴム・プラスチック、セラミック磁性体、接着剤液晶カラーフィルター、電池など、多方面での応用分野で、導電性接着剤、導電性塗料、導電性インキ、2次電池用電極材、高性能誘電体、高機能磁性体、機能性ディスプレイ材料などとしての利用が期待できる。本発明の目的は、社会問題になっている環境保護や健康被害防止に寄与することができる多くの産業分野で無溶剤、水系溶剤又はアルコール系溶剤にて利用可能なバインダー樹脂組成物を提供することにある。
かかる観点から、本発明は、耐熱性、接着性、相溶性、ガスバリア性、分散性及び柔軟性が改善され、充填剤が均一に分散された硬化性樹脂組成物、環境負荷の少ない導電性の塗工膜の形成を可能にする低臭気の溶剤、若しくは水系溶剤からなる硬化性樹脂組成物、その塗膜、及びそれらの硬化物、並びにそれらの利用技術を提供することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
0件

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請求項1

(1)下記(A)成分、(B)成分、(C)成分、及び(D)成分、(2)下記(A)成分、(B)成分及び(C)成分から選ばれる1種以上の成分と下記(F)成分、及び(D)成分、又は(3)下記(F)成分、及び(D)成分、を含む硬化性樹脂組成物であって、(A)成分が、下記式(I)で表されるポリエーテル構造を有するジアクリレート化合物(a1)、又はジアクリレート化合物(a1)と下記式(II)若しくは下記式(III)で表されるポリエーテル構造を有するアクリレート化合物(a2)からなるものであり、 (式中、R1およびR2は水素炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐アルキル基、またはハロゲンであり、R3は水素であり、R4は水素または炭素数1〜4のアルキル基であり、mは3〜20の整数である。) (式中、R5は水素、炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐のアルキル基、またはハロゲンであり、R6は炭素数1〜20の直鎖、分岐もしくは環状のアルキル基、または炭素数6〜30のアリール基であり、R7は水素であり、およびR8は水素または炭素数1〜4のアルキル基である。nは3〜50の整数である。) (式中、R10は水素であり、R11は水素または炭素数1〜4のアルキル基であり、Yは水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数7〜11のアラルキル基、アリール基、アクリロイル基又はメタクリロイル基であり、かつ、Yの内1つ以上がアクリロイル基又はメタクリロイル基であり、pは1〜50の整数であるが、pの1つ以上は3<p≦50を満足する。Zは活性水素化合物残基を示し、qは1〜6の整数である。)(B)成分が、ジビニル芳香族化合物であり、(C)成分が、モノビニル芳香族化合物であり、(D)成分が、充填剤であり、(F)成分が、上記(A)成分、(B)成分及び(C)成分から誘導されるプレポリマーであること、(A)成分、(B)成分、及び(C)成分及び(F)成分の総和を100重量部としたときに、(A)成分が50〜99.9重量部、(B)成分が0.05〜25重量部、(C)成分が0.05〜25重量部、(D)成分が20〜20,000重量部であること(但し、(F)成分を含む場合は、(F)成分を構成する単位中の(A)成分、(B)成分、及び(C)成分に由来する単位をそれぞれ(A)成分、(B)成分、及び(C)成分として計算する。)、及び硬化性樹脂組成物が、無溶剤で使用されるか、又は水系溶剤若しくはアルコール系溶剤と共に使用されることを特徴とする硬化性樹脂組成物。

請求項2

(A)成分、(B)成分、(C)成分、及び(D)成分を含む請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。

請求項3

(F)成分及び(D)成分を含む請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。

請求項4

(A)成分、(B)成分及び(C)成分から選ばれる1種以上の成分と(F)成分、及び(D)成分含む請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。

請求項5

(E)成分として、重合開始剤を含む請求項1〜4のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。

請求項6

(A)成分におけるアクリレート化合物(a2)が、上記式(II)で表されるポリエーテル構造を有するアクリレート化合物である請求項1〜5のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。

請求項7

請求項1〜6のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物を水系溶剤又はアルコール系溶剤で溶解してなることを特徴とする塗工液

請求項8

(H)成分として増粘剤を含む請求項7に記載の塗工液。

請求項9

請求項1〜6のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物からなる塗膜

請求項10

請求項1〜6のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物の硬化物

技術分野

0001

本発明は、耐熱性接着性、相溶性ガスバリア性分散性及び柔軟性が改善され、充填剤が均一に分散された硬化性樹脂組成物に関する。更に、環境負荷の少ない導電性塗工膜の形成を可能にする低臭気溶剤、若しくは水系溶剤からなる充填剤分散硬化性樹脂組成物、その塗膜、及びそれらの硬化物、並びにそれらの利用技術に関する。

背景技術

0002

近年、導電性フィラー磁性粒子又は光触媒など各種の機能性材料を含有させた分散液又はペーストなど(以下、スラリーともいう。)を塗工液となし、この塗工液を塗布することにより形成させた塗膜の機能性を利用する試みが様々な分野で検討されている。

0003

例えば、導電性フィラー、バインダー樹脂硬化剤溶媒などからなるペースト状の導電性塗工液は、導電性接着剤導電性塗料導電性インキ、2次電池用電極材などとして用いられている(非特許文献1)。また、オーディオテープビデオテープフロッピィディスクなどの塗布型磁気記録媒体は、サブミクロンサイズの磁性粒子を高分子溶液中に均一に分散させた磁性塗料を、ポリエステルなどのベースフィルムに塗布することにより作られている。更に、酸化チタン系光触媒を、分散剤を使用して高分散させ、バインダー樹脂、硬化剤、溶媒などからなる酸化チタン塗布液、この塗布液を用いて形成された光触媒塗膜及び光触媒塗装体は、紫外線を吸収すると強い酸化作用を発揮するため、近年、大気浄化脱臭浄水抗菌防汚などの様々な用途に光触媒として利用されている。(特許文献1〜3)。

0004

上記のような各種塗工液がその機能性を十分発揮できる共通の属性は、分散質分散媒に均一に分散しており、しかも形成される塗工膜が高い密着性を実現するということである。換言すれば、機能性フィラーを含有させたスラリーにおけるフィラーの機能性を十分に発現させるためには、スラリーの状態が機能性発現に適正であること、即ち、フィラーが均一かつ安定的に分散されており、しかも密着性の高い塗工膜を形成できることが必須条件になる。このような目的から、先ず、フィラーの分散性を中心にして適正な溶媒を考えると、スラリーの溶媒(分散媒)には、フィラーの均一分散性に優れ、高い密着力を示し、乾燥が容易である非水系の有機溶媒が圧倒的に有利であり、実際広く用いられてきた。

0005

しかしながら、有機溶媒は揮発性で環境への負荷が大きいばかりでなく、遺伝毒性も考慮しなければならず、安全性、作業性においても課題を残している。近年、多くの産業分野環境保護や健康被害防止に対する意識が高まってきており、上記のような課題を持つ有機溶剤の使用に対して、VOC低減、無溶剤化などへの要求が高まりつつあり、環境や人に優しい製品への転換が求められている。

0006

そこで、環境や健康に優しい製品として最も注目されるのが、水系製品あるいは生物由来原料からなる製品であり、無溶剤化あるいは脱石油製品の一を担うものとして期待されている。しかしながら、導電性炭素フィラ含有スラリー等においては、有機溶媒の代わりに水を溶媒として用いる場合、様々な問題点が生じてくる。例えば、水系スラリーにおいては、フィラー粒子荷電状態にあるとスラリー中で粒子凝集しやすく、更に、溶媒と溶質比重差が大きいために沈降し易く、均一な分散が非常に難しいという問題がある。また、従来の石油由来の原料に代わり得る塗膜形成能分散能を発揮する生物由来の分散媒を見出すことは容易なことではない。

0007

ここで、一般的な分散不良対策としては、分散剤の添加、フィラーの表面処理マイクロカプセル化超音波処理、バインダー樹脂への極性基の導入などが考えられる。分散剤添加としては、塗料インキ、ゴムプラスチック電子材料などに使用される微粒子化された黒色無機酸化物を含むスラリー組成物に対して、水溶性両性系分散剤を用いる試み(特許文献4)や、導電助剤を含む電池用組成物において、塩基性官能基を有する化合物を使用する試み(特許文献5)がある。また、フィラー表面処理としては、金属酸化物微粒子フィラーに親水性シランカップリング剤を反応させて表面処理層を形成させる試み(特許文献6)など種々提案されている。その他、無機酸化物フィラーを含むペーストに超音波振動を加えてフィラーを分散させることや、導電性フィラーの表面に絶縁性樹脂を形成させてマイクロカプセル型導電性フィラーとすることなどについての提案もある。

0008

しかしながら、これらの試みで用いられる分散媒には有機溶媒が主に使用されており、水系溶媒を使用する例は非常に少ない。これに対し、近年の環境保護や健康被害防止に対する意識の高まりから、環境に優しく、安全性も高い水系スラリーを用い、なおかつ機能性充填剤が均一に分散される手法の登場が強く望まれている。

0009

水系スラリーのフィラー分散安定化を試みる場合も、上記の各手法が考えられるが、製造プロセスや塗工系の簡素化、更にはコストの点を考慮すると、水系バインダー樹脂の使用が有利である。水素結合性の部位を有するバインダー樹脂は、主鎖間の分子間相互作用の強さを反映した優れた耐候性やガスバリア性を付与することも可能である。

0010

上記の水系スラリー組成物の期待される用途としては、特に近年その成長が著しい二次電池キャパシタなどの蓄電装置電極板用塗工液が考えられる。電極板は、蓄電装置の性能に大きく影響を及ぼし、電極層集電体などの単位部材一体化した電極部材であるが、電極板に関しては、充放電サイクル寿命延長させ、かつ、高エネルギー密度化のために薄膜大面積化を図ることが提案されている。例えば、リチウムイオン電池について、特許文献7や特許文献8などに記載されているように、金属酸化物硫化物ハロゲン化物などの正極活物質粉末に、導電性材料及びバインダーを適当な溶媒に分散溶解させて、ペースト状の塗工液を調製し、アルミニウムなどの金属箔からなる集電体を基体とし、基体表面に上記塗工液を塗布して塗工膜層を形成して得られる正極電極板が開示されている。バインダー樹脂としては、スチレンブタジエンゴム及びポリアクリル酸カリウムを含む高分子バインダー(特許文献7)、四フッ化エチレンを主成分とする樹脂(特許文献8)が知られている。

0011

分極性電極板電解質との界面で形成される電気二重層を利用したキャパシタは、メモリバックアップ電源として使用され、電気自動車用電源などの大出力を必要とする用途への適用も注目され、大出力のために高い静電容量と低い内部抵抗両立が求められている。上記キャパシタ用の電極板は、上記電池正極板や負極板と同様に、一般にバインダーと導電性材料などを混合した塗工液を集電体に塗布及び乾燥して製造されている。ただし、特許文献7、8に開示されたバインダー樹脂は、種々の工業製品活用することを考えた場合、柔軟性や耐熱性に課題があり、高温での環境信頼性に課題があった。

0012

特開2007−252987号公報
特開2009−056348号公報
特開2010−222444号公報
特開2009−148681号公報
特開2009−26744号公報
特開2008−184485号公報
特表2015−535643号公報
特開平3−285262号公報

先行技術

0013

郷司憲、今井高史、若原章博:「第3章、目的に応じた分散剤の選定・配合と分散剤によるトラブル対策」、「最新顔料分散ノウハウ集」、技術情報協会、第69〜105頁、2008年

発明が解決しようとする課題

0014

したがって、本発明の目的は、上記の問題を解決し、環境に対する負荷が少ない水系スラリーに適合した材料でありながら、機能性充填剤に対する優れた分散機能を有し、しかもバインダーとしても優れた機能を示し、密着性、耐熱性と柔軟性のバランスに優れる機能性の塗工膜の形成を可能とし得るバインダー樹脂組成物を提供すること、及び水系の機能性充填剤分散塗工液を提供することにある。より具体的には、長期間保存しても粘度が維持され、機能性充填剤の沈降分離が起こりにくく、分散性の高い低臭気の溶剤又は水系の機能性充填剤分散塗工液を提供することにある。このような塗工液が提供されれば、機能性充填剤が均一に分散されてなる密着性に優れる高機能な塗工膜の形成が可能になるため、電子材料塗料、インキ、トナー、ゴム・プラスチック、セラミック磁性体、接着剤液晶カラーフィルター、電池など、多方面での応用分野で、導電性接着剤、導電性塗料、導電性インキ、2次電池用電極材、高性能誘電体、高機能磁性体、機能性ディスプレイ材料などとしての利用が期待できる。本発明の目的は、社会問題になっている環境保護や健康被害防止に寄与することができる多くの産業分野で無溶剤、水系溶剤又はアルコール系溶剤にて利用可能なバインダー樹脂組成物を提供することにある。
かかる観点から、本発明は、耐熱性、接着性、相溶性、ガスバリア性、分散性及び柔軟性が改善され、充填剤が均一に分散された硬化性樹脂組成物、環境負荷の少ない導電性の塗工膜の形成を可能にする低臭気の溶剤、若しくは水系溶剤からなる硬化性樹脂組成物、その塗膜、及びそれらの硬化物、並びにそれらの利用技術を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0015

本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、ポリエーテル構造を有するアクリレート化合物、又はこれから誘導されるプレポリマーを含有する硬化性樹脂組成物が、上述の課題を解決することを見出し、本発明を完成した。

0016

本発明は、下記(1)、(2)又は(3)に示される成分を含む硬化性樹脂組成物であって、無溶剤で使用されるか、又は水系溶剤若しくはアルコール系溶剤と共に使用されることを特徴とする硬化性樹脂組成物である。
(1)下記(A)成分、(B)成分、(C)成分、及び(D)成分
(2)下記(A)成分、(B)成分及び(C)成分から選ばれる1種以上の成分と下記(F)成分、及び(D)成分、又は
(3)下記(F)成分、及び(D)成分、
ここで、(A)成分は、下記式(I)で表されるポリエーテル構造を有するジアクリレート化合物(a1)、又はジアクリレート化合物(a1)と下記式(II)若しくは下記式(III)で表されるポリエーテル構造を有するアクリレート化合物(a2)からなるものであり、




(式中、R1およびR2は水素炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐アルキル基、またはハロゲンであり、R3は水素であり、R4は水素または炭素数1〜4のアルキル基であり、mは3〜20の整数である。)




(式中、R5は水素、炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐のアルキル基、またはハロゲンであり、R6は炭素数1〜20の直鎖、分岐もしくは環状のアルキル基、または炭素数6〜30のアリール基であり、R7は水素であり、およびR8は水素または炭素数1〜4のアルキル基である。nは3〜50の整数である。)




(式中、R10は水素であり、R11は水素または炭素数1〜4のアルキル基であり、Yは水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数7〜11のアラルキル基、アリール基、アクリロイル基又はメタクリロイル基であり、かつ、Yの内1つ以上がアクリロイル基又はメタクリロイル基であり、pは1〜50の整数であるが、pの1つ以上は3<p≦50を満足する。Zは活性水素化合物残基を示し、qは1〜6の整数である。)
(B)成分が、ジビニル芳香族化合物であり、
(C)成分が、モノビニル芳香族化合物であり、
(D)成分が、充填剤であり、
(F)成分が、上記(A)成分、(B)成分及び(C)成分から誘導されるプレポリマーである。
そして、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(F)成分の総和を100重量部としたときに、(A)成分が50〜99.9重量部、(B)成分が0.05〜25重量部、(C)成分が0.05〜25重量部、(D)成分が20〜20,000重量部であることを満足する。但し、(F)成分を含む場合は、(F)成分を構成する単位中の(A)成分、(B)成分、及び(C)成分に由来する単位をそれぞれ(A)成分、(B)成分、及び(C)成分として計算する。(F)成分を構成する単位中にその他の成分を含む場合は、その他の成分は計算から除外される。

0017

本発明の硬化性樹脂組成物は、(1)、(2)又は(3)に示される態様があり、いずれでもよい。
(1);(A)成分、(B)成分、(C)成分、及び(D)成分を含む態様、
(2);(F)成分及び(D)成分を含む態様、
(3):(A)成分、(B)成分及び(C)成分から選ばれる1種以上の成分と(F)成分、及び(D)成分含む態様。

0018

本発明の硬化性樹脂組成物は、(E)成分として、重合開始剤を含むことができる。

0019

また、本発明は上記の硬化性樹脂組成物を水系溶剤又はアルコール系溶剤で溶解してなることを特徴とする塗工液である。
この塗工液には、(H)成分として増粘剤を含むことができる。

0020

また、本発明は上記の硬化性樹脂組成物からなる塗膜である。更に、本発明は上記の硬化性樹脂組成物の硬化物である。

発明の効果

0021

本発明の硬化性樹脂組成物は、環境に対する負荷が少ない低臭気の溶剤、或いは水系スラリーに適合した材料又はその中間体でありながら、機能性充填剤に対する優れた分散機能を有し、しかもバインダーとしても優れた機能を示し、密着性、耐熱性と柔軟性のバランスに優れる機能性の塗工膜の形成を可能とする。また、長期間保存しても粘度が維持され、機能性充填剤の沈降分離が起こりにくい。そして、機能性充填剤が均一に分散されてなる密着性に優れる高機能な塗工膜の形成が可能になるため、電子材料塗料、インキ、トナー、ゴム・プラスチック、セラミック、磁性体、接着剤、液晶カラーフィルター、電池など、多方面の応用分野で、導電性接着剤、導電性塗料、導電性インキ、2次電池用電極材、高性能誘電体、高機能磁性体、機能性ディスプレイ材料などとしての利用が期待できる。
本発明の硬化性樹脂組成物から生じる塗膜又はそれらの硬化物は、耐熱性、接着性、相溶性、分散性及び柔軟性といった特性の他に、イオン伝導性耐熱劣化性が改善される。このため、本発明の硬化性樹脂組成物を2次電池用電極材向けバインダー材料として使用することにより、電池特性の高性能化と寿命の改善に寄与する機能性の塗工膜の形成を可能にする。

0022

本発明の硬化性樹脂組成物は、上記(A)成分、(B)成分、(C)成分、及び(D)成分を含むか、(F)成分と、(D)成分を含むか、又は(A)成分、(B)成分及び(C)成分から選ばれる1種以上の成分と(F)成分、及び(D)成分を含む。
(A)成分、(B)成分、及び(C)成分は、重合性化合物であるので、モノマーとして機能する。(F)成分は、(A)成分、(B)成分、及び(C)成分を部分的に重合させて得られるプレポリマーであるが、重合性を残しているので、重合性成分である。

0023

(A)成分は、上記式(I)で表されるポリエーテル構造を有するジアクリレート化合物(a1)を必須するが、ジアクリレート化合物(a1)共に、上記式(II)若しくは下記式(III)で表されるポリエーテル構造を有するアクリレート化合物(a2)を使用することができる。アクリレート化合物(a2)は、式(II)で表されるアクリレート化合物(a22)であっても、式(III)で表されるアクリレート化合物(a23)であってもよく、両者を含んでもよい。

0024

一般式(I)において、R1およびR2は水素、炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐のアルキル基、およびハロゲンから選ばれる。アルキル基の具体例としてはメチルエチルプロピルイソプロピルn−ブチルおよびイソブチルなどが挙げられ、ハロゲンの具体例としては塩素臭素フッ素などが挙げられる。R1およびR2は、好ましくは水素またはメチル基である。R3は水素であり、R4は水素または炭素数1〜4のアルキル基であるが、好ましくはメチル基である。mは3〜20の整数である。mが1および2のときは、硬化性樹脂組成物は電解液に対し膨潤性または溶解性を示す。mは好ましくは3〜15、より好ましくは3〜10の整数である。

0025

一般式(I)で表わされるジアクリレート化合物(a1)の具体例としては、トリエチレングリコールジメタクリレートテトラエチレングリコールジメタクリレートペンタエチレングリコールジメタクリレートヘキサエチレングリコールジメタクリレート、ヘプタエチレングリコールジメタクリレート、オクタエチレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、テトラプロピレングリコールジメタクリレート、ペンタプロピレングリコールジメタクリレート、ヘキサプロピレングリコールジメタクリレート、ヘプタプロピレングリコールジメタクリレート、オクタプロピレングリコールジメタクリレート;これらのメタクリレートの一部をアクリレート替えた化合物;トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエチレングリコールジアクリレート、ヘキサエチレングリコールジアクリレート、ヘプタエチレングリコールジアクリレート、オクタエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、テトラプロピレングリコールジアクリレート、ペンタプロピレングリコールジアクリレート、ヘキサプロピレングリコールジアクリレート、ヘプタプロピレングリコールジアクリレート、オクタプロピレングリコールジアクリレートなどが挙げられる。

0026

上記式(II)において、R5は式(I)におけるR1、R2と同意である。R6は炭素数1〜20の直鎖、分岐もしくは環状のアルキル基、または炭素数6〜30のアリール基であり、R7は水素であり、R8は式(I)におけるR4と同意である。nは3〜50の整数である。

0027

一般式(II)で表わされるアクリレート化合物(a22)の具体例としては、メトキシポリエチレングリコールメタクリレートエトキシポリエチレングリコールメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、エトキシポリエチレングリコールアクリレート、メトキシジエチレングリコールメタクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシジプロピレングリコールメタクリレート、メトキシジプロピレングリコールアクリレート、メトキシエチルメタクリレート、メトキシエチルアクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、2−エトキシエチルアクリレートブトキシエチルメタクリレート、ブトキシエチルアクリレート、フェノキシエチルメタクリレートおよびフェノキシエチルアクリレートなどが挙げられる。

0028

上記式(III)において、R10は水素であり、R11は式(I)におけるR4と同意である。Yは水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数7〜11のアラルキル基、アリール基、アクリロイル基又はメタクリロイル基であり、かつ、Yの内1つ以上がアクリロイル基又はメタクリロイル基であり、pは1〜50の整数であるが、pの1つ以上は3<p≦50を満足する。qは1〜6の整数である。
Zは、3〜6官能性の活性水素化合物残基を示す。Zの構造単位出発物質として使用される活性水素化合物としては、1分子中に3〜6個の水酸基を含有する多価アルコール化合物があげられ、例えばグリセリントリメチロールプロパンペンタエリスリトールジトリメチロールプロパンジペンタエリスリトールなどの脂肪族多価アルコール水添糖アルコール配糖体化合物などの糖誘導体などを挙げることができる。なかでも、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパンまたはジペンタエリスリトールなどが好ましい。

0029

一般式(III)で表されるアクリレート化合物(a23)の具体例としては、ジグリセリン、ペンタエリスリトール等の活性水素化合物を出発物質として、エチレンオキシドプロピレンオキシド等の単量体をこれに付加させ、さらにアクリル酸メタクリル酸等の不飽和有機酸エステル化反応させるか、又はアクリル酸クロリドメタクリル酸クロリド等の酸クロリド類脱塩酸反応させることによって得られるものがある。

0030

(A)成分の必須の成分として使用される上記式(I)で表されるポリエーテル構造を有するジアクリレート化合物(a1)は、架橋構造を形成することにより、化学的定性、及び耐熱性を向上させる2個の反応性二重結合を有すると同時に、接着性、相溶性、分散性及び柔軟性を向上させるポリエーテル構造を有する。
上記式(II)又は(III)で表されるポリエーテル構造を有するアクリレート化合物(a2)は、反応性二重結合を1個以上有すると同時に、接着性、相溶性、分散性及び柔軟性を向上させるポリエーテル構造を有するため、ポリエーテル構造を有するジアクリレート化合物(a1)の機能を向上させ、又は調節することができる。

0031

(B)成分として、ジビニル芳香族化合物を使用する。(B)成分は、導電性フィラーの分散性を高めると共に、剛直で小さな架橋構造を形成させることによって、(A)成分の密着性、柔軟性及びイオン導電性を高める。

0032

ジビニル芳香族化合物の例としては、ビニル基を二つ有する芳香族化合物であれば限定されないが、ジビニルベンゼン(各位置異性体又はこれらの混合物を含む)、ジビニルナフタレン(各位置異性体又はこれらの混合物を含む)、ジビニルビフェニル(各位置異性体又はこれらの混合物を含む)が好ましく使用される。また、これらは単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。成形加工性の観点から、より好ましくはジビニルベンゼン(m−体、p−体又はこれらの位置異性体混合物)である。ここで、ジビニル芳香族化合物、モノビニル芳香族化合物において、ビニル基は反応性の観点から芳香族環炭素直接結合するものであることがよい。

0033

(C)成分として、モノビニル芳香族化合物を使用する。(C)成分は導電性フィラーの分散性を高める。

0034

モノビニル芳香族化合物の例としては、ビニル基を一つ有する芳香族化合物であれば限定されないが、スチレンビニルナフタレンビニルビフェニルなどのビニル芳香族化合物;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o,p−ジメチルスチレン、o−エチルビニルベンゼン、m−エチルビニルベンゼン、p−エチルビニルベンゼンなどの核アルキル置換ビニル芳香族化合物;などが挙げられる。好ましくは、硬化性樹脂組成物の塗膜の硬化物の耐溶剤性改良効果、充填剤の分散効果が高く、コストが低く、入手が容易であることから、スチレン、エチルビニルベンゼン(各位置異性体又はこれらの混合物を含む)、エチルビニルビフェニル(各位置異性体又はこれらの混合物を含む)、及び、エチルビニルナフタレン(各位置異性体又はこれらの混合物を含む)である。より好ましくは、充填剤の分散効果とコストの観点から、スチレン、エチルビニルベンゼン(m−体、p−体又はこれらの位置異性体混合物)である。

0035

本発明の硬化性樹脂組成物は、(A)成分、(B)成分、及び(C)成分を、予め部分的に重合させて、(F)プレポリマーとして含有することができる。(F)成分であるプレポリマーを生成させることによって、硬化収縮率が小さくすることができるため、特に、無溶剤系での効果が大きいが、乾燥が困難な水系及びアルコール系溶剤を使用した場合でも、硬化反応を終了したあとの塗膜の性状が良くなり、部材の信頼性が向上するので好ましい。

0036

(F)成分としてのプレポリマーの製造方法としては、(A)、(B)及び(C)成分の混合物を単に加熱する方法(1)、上記混合物に有機過酸化物等を少量添加して加熱する方法(2)、上記混合物に少量の光重合開始剤を添加して紫外線を照射する方法(3)等があげられるが、反応速度の制御の面からは、方法(1)が好ましい。反応させる温度としては反応速度の制御の点で5℃から120℃が好ましい。より好ましくは40℃から100℃、特に好ましくは50℃から80℃である。
また、この重合反応は、溶剤を使用しない塊状重合で行うこともできるが、プレポリマーを溶解する1種以上の有機溶媒中で行うこともできる。有機溶媒としてはラジカル重合を本質的に阻害しない化合物であって、連鎖移動剤開始剤、モノマー成分及びプレポリマーを溶解して、均一溶液を形成するものであれば、特に制約なく使用することができる。

0037

プレポリマー合成のために使用可能な有機溶媒としては、メタノールエタノール1−プロパノール2−プロパノール、1−ブタノール2−ブタノール等のアルコール類アセトン2−ブタノンメチルエチルケトンジエチルケトンメチルプロピルケトンメチルイソブチルケトンシクロペンタノンシクロヘキサノン等のケトン類酢酸エチル酢酸プロピル酢酸ブチル等のエステル類ジエチルエーテルテトラヒドロフランプロピレングリコールモノメチルエーテルプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエーテル類ベンゼントルエンキシレンエチルベンゼンプロピルベンゼンブチルベンゼン等の芳香族炭化水素等を挙げることができる。この中で、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トルエン、キシレンが好ましい。重合性、溶解性のバランスと入手の容易さの観点から2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノン、及び、メチルエチルケトンが更に好ましい。これらの化合物は、単独又は2種以上を組み合わせて使用される。溶剤の使用量に特に制限はない。

0038

(F)成分としてのプレポリマーは、溶剤に溶解し、重合性を有することが好ましい。このためには、(B)成分の有する2つのビニル基の全部を反応させることなく、一部はビニル基として残存させることがよい。ジビニル芳香族化合物を含むモノマーを重合すると架橋発達して熱可塑性又は溶剤溶解性を示さない硬化樹脂となるが、連鎖移動剤等を使用して反応を制御すれば、溶剤可溶性で、重合性を有するプレポリマーを得ることができる。このような重合反応は公知であり、そのような重合法を採用できる。(F)成分のプレポリマーは、本発明の効果を阻害しない範囲で、(A)、(B)、(C)成分の他に、他のモノマー成分を含むモノマーを重合させて得られるものでもよい。

0039

本発明の硬化性樹脂組成物において、(A)、(B)、(C)及び(D)成分の含有量は、(A)成分、(B)成分、及び(C)成分及び(F)成分の総和を100重量部としたときに、(A)成分が50〜99.9重量部、(B)成分が0.05〜25重量部、(C)成分が0.05〜25重量部、(D)成分が20〜20,000重量部である。

0040

本明細書において、(F)成分については、(F)成分を構成する単位中の(A)成分、(B)成分、及び(C)成分に由来する構造単位をそれぞれ(A)成分、(B)成分、及び(C)成分として計算する。すなわち、(F)成分をf重量部含有し、(F)成分中の(A)成分に由来する構造単位がa%、(B)成分、及び(C)成分に由来する構造単位がそれぞれb%、及びc%である場合は、(F)成分には(A)成分がfxa/100、(B)成分がfxb/100及び(C)成分がfxc/100(重量部)含まれるとして計算する。また、(A)成分、(B)成分、又は(C)成分という場合、量の計算にあっては、明らかに矛盾する場合を除き、(F)成分中の(A)成分、(B)成分、又は(C)成分由来する構造単位をこれら成分として計算する。(A)成分、(B)成分、(C)成分又は(F)成分が溶剤等の揮発成分を含む場合、その量は固形分に換算したものである。

0041

(A)成分、(B)成分、及び(C)成分及び(F)成分の総和を100重量部したときに、それぞれの好ましい含有量は次の通りである。なお、(F)成分は上記のように(A)成分、(B)成分、及び(C)成分に換算して計算する。
(A)成分は、60〜99.5重量%、より好ましくは70〜99.0重量%であり、(B)成分のジビニル芳香族化合物は、0.25〜20重量%、より好ましくは0.5〜15重量%であり、(C)成分のモノビニル芳香族化合物は、0.25〜20重量%、より好ましくは0.5〜15重量%である。

0042

(A)成分は、上記ジアクリレート化合物(a1)とアクリレート化合物(a2)を含み得るが、(A)成分におけるジアクリレート化合物(a1)の割合は、10〜100wt%、好ましくは20〜90wt%、より好ましくは25〜75wt%である。アクリレート化合物(a2)の割合は、上記から計算される。

0043

別の観点からは、式(I)で表されるアクリレート化合物(a1)の含有量は、(A)〜(C)及び(F)成分の総重量に対し0.2〜90重量%、好ましくは0.5〜80重量%、より好ましくは1.0〜60重量%であることがよい。
また、式(II)で表されるアクリレート化合物(a22)の含有量は、上記の総重量に対し0.2〜90重量%、好ましくは0.5〜80重量%、より好ましくは1.0〜60重量%であることがよい。
一般式(III)で表されるアクリレート化合物(a23)の含有量は、上記の総重量に対し0.2〜70重量%、好ましくは0.5〜60重量%、より好ましくは1.0〜50重量%である。

0044

本発明の硬化性樹脂組成物は、各種機能性材料を含有したスラリー塗工液として有用であるから、(D)成分としての充填剤を含む。
充填剤としては、導電性フィラー、磁性粒子、光触媒など各種の機能性材料として汎用されているものを広く使用できる。例えば、銀、銅、アルミニウム、鉄、ステンレスニッケル、金、亜鉛、ニッケル、スズ、鉛、クロムプラチナパラジウムタングステンモリブデンタンタルニオブチタンハフニウムジルコニウム、亜鉛、タングステン、ビスマスアンチモン白金等の金属系充填剤、酸化マグネシウム(MgO)、酸化アルミニウム(Al2O3)、窒化ホウ素(BN)、窒化アルミニウム(AlN)、水酸化アルミニウム(Al(OH)3)、二酸化ケイ素(SiO2)、炭酸マグネシウム(MgCO3)、水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)、炭酸カルシウム(CaCO3)、クレータルクマイカ酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、窒化ケイ素炭化ケイ素炭化ホウ素炭化チタン酸化カルシウムゼオライト、非晶性アルミノシリケート合成シリカアルミナ硫酸バリウム硫酸アルミニウム、水酸化マグネシウム、チタン酸バリウムフェライト等の無機系充填剤ダイヤモンド黒鉛グラファイトカーボンブラックアセチレンブラックケッチェンブラックファーネスブラック炭素繊維カーボンナノチューブグラフェン、ダイヤモンド等の炭素系充填剤等を挙げることができる。

0045

(D)成分の配合量は、用途に応じて適宜選択されるが、例えば、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(F)成分の総量100重量部に対して、例えば20〜20,000重量部、好ましくは40〜10,000重量部、さらに好ましくは20〜5,000重量部である。(D)成分が多すぎると、充填剤の凝集体が発生し易くなり、少ないと充填剤の分散性が低下し易くなる。

0046

本発明の硬化性樹脂組成物は、さらに(E)成分として開始剤を含有することができる。本発明の樹脂組成物は後述するように加熱等の手段により架橋反応を起こして硬化するが、その際、反応温度を低く設定したり、不飽和基の架橋反応を促進するために(E)成分の配合は有効である。(E)成分の量は、(A)〜(C)、(F)成分を基準として0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜8重量%である。この開始剤はラジカル重合触媒でもある。

0047

(E)成分としては、公知の物質を用いることができる。代表的な例を挙げると、例えばシクロヘキサノンパーオキサイド、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類;1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルパーオキシ)バレレート等のパーオキシケタール類;クメンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類;1,3−ビス(tert−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジイソプロピルベンゼンパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド類;デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイドベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類;ビス(tert−ブチルシクロヘキシルパーオキシジカーボネート等のパーオキシカーボネート類;tert−ブチルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン等のパーオキシエステル類等の有機過酸化物系重合開始剤、並びに4,4'-アゾビス(4-シア吉草酸)、2,2'-アゾビス[N-(2-カルボキシエチル)-2-メチルプロピオンアミジン]塩酸塩、ジメチル2,2'-アゾビスイソブチレート、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2'-アゾビス(2-メチルブチニトチル)、1,1'-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、2,2'-アゾビス{2-メチル-N-[2-(1-ヒドロキシブチル)]プロピオンアミド}、2,2'-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2'-アゾビス(2-アミジノプロパン)塩酸塩、2,2'-アゾビス[2-(5-メチル-2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]塩酸塩、2,2'-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]塩酸塩、2,2'-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]硫酸塩、2,2'-アゾビス[2-(3,4,5,6-テトラヒドロピリミジン-2-イル)プロパン]塩酸塩、2,2'-アゾビス{2-[1-(2-ヒドロキシエチル)-2-イミダゾリン-2-イル]プロパン}塩酸塩、2,2'-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]、2,2'-アゾビス(2-メチルブタンアミドキシム)ジヒドロクロライド及び1,1'-アゾビス(1-アセトキシ-1-フェニル)エタン等のアゾ系重合開始剤も挙げることができる。さらには、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタンも開始剤として使用できる。

0048

本発明の硬化性樹脂組成物は、上記成分の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、トリビニル芳香族化合物、トリビニル脂肪族化合物、ジビニル脂肪族化合物、モノビニル脂肪族化合物、単官能メタアクリル酸エステル、2官能(メタ)アクリル酸エステル等のその他のモノマーを(J)成分として使用することができる。

0049

上記その他のモノマーの具体例としては、1,3,5−トリビニルベンゼン、1,3,5−トリビニルナフタレン、1,2,4−トリビニルシクロキサンブタジエンイソボルニルメタクリレートイソボルニルアクリレートシクロヘキシルメタクリレートシクロヘキシルアクリレートジシクロペンテニルアクリレ−ト、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレ−ト、ジシクロペンタニルアクリレ−ト、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレ−ト、ジシクロペンタニルメタクリレート、シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、シクロヘキサンジメタノールジメタクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジメタクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート等が挙げられるが、これらに制限されるものではない。これらは単独で又は2種以上を組合せて用いることができる。上記その他のモノマーは、全モノマー類の30重量%未満の範囲内で使用されることがよい。

0050

本発明の硬化性樹脂組成物には、充填剤の分散性を高め、充填剤の沈降を抑える成分として、(H)成分として増粘剤を配合することもできる。
増粘剤としては、特に限定されないが、ポリビニルアルコールポリビニルアセタール、ポリアクリル酸、含フッ素高分子セルロース系高分子澱粉系高分子スチレン系重合体アクリル系重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体ポリアミドポリイミド及びポリアミドイミドなど、従来公知の樹脂が挙げられる。これらの樹脂成分は市販品をそのまま使用できるが、溶剤に対する溶解性の点を考慮して調製されたそれらの誘導体がより好ましい。
増粘剤の使用量は、樹脂成分(充填剤、溶剤を除く固形分であり、(A)〜(C)、(E)、(F)及び(J)成分を含む。)の総重量に基づき、0.2〜20重量%、好ましくは0.5〜10重量%、より好ましくは1.0〜5.0重量%である。

0051

本発明の硬化性樹脂組成物は、無溶剤で、又は溶剤を配合することによって、塗工液とすることができる。

0052

本発明の塗工液は、本発明の硬化性樹脂組成物を水系溶剤又はアルコール系溶剤で溶解してなるものである。この塗工液には、(H)成分として増粘剤を含むことができる。

0053

本発明の硬化性樹脂組成物は、無溶剤での使用も可能であるが、水系溶剤、アルコール系溶剤、又はこれらの混合溶剤を添加することによって、その固形分濃度を、塗布作業性等を損なわない範囲で適宜選択できる。
溶剤の使用量は、硬化性樹脂組成物100重量部(溶剤を除く)に対し、1〜10000重量部、好ましくは10〜1000重量部の範囲がよい。この使用量は目的とする粘度によって変化させることがよい。

0054

水系溶剤としては、水、水と相溶性の有機溶剤との混合溶剤。水と界面活性剤を含む水溶液等が挙げられるが、水の含有量が50%以上、好ましくは70%以上であることがよい。水と相溶性の有機溶剤としては、アルコール類が好ましく挙げられる。

0055

アルコール系溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノールイソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルアルコールジアセトンアルコールフルフリルアルコールエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリンなどのアルコール類、又はアルコール類を50%以上、好ましくは70%以上含む混合溶剤を挙げることができる。これらのアルコール系溶剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。

0056

水系溶剤又はアルコール系溶剤には、本発明の効果を損なわない範囲内で、そして相分離しない範囲内で、その他の有機溶剤を溶解させて使用できる。
その他の有機溶剤を例示すると、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、エチレングリコールメチルエーテルアセテートプロピレングリコールメチルエーテルアセテートなどのエステル;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテルジブチルエーテルエチレングリコールモノメチルエーテルエチレングリコールモノエチルエーテルエチレングリコールモノブチルエーテルジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの鎖状又は環状エーテル;アセトン、メチルエチルケトン、アセチルアセトンアセト酢酸エチルなどのケトンなどが挙げられる。その他の有機溶剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。

0057

本発明の硬化性樹脂組成物には、必要に応じて、既知熱硬化性樹脂、例えば、ビニルエステル樹脂ポリビニルベンジル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂硬化型ビニル樹脂変性ポリフェニレンエーテル樹脂マレイミド樹脂エポキシ樹脂ポリシアナート樹脂フェノール樹脂等や、既知の熱可塑性樹脂、例えば、ポリスチレンポリフェニレンエーテルポリエーテルイミドポリエーテルサルホンPPS樹脂ポリシクロペンタジエン樹脂、ポリシクロオレフィン樹脂等や、あるいは、既知の熱可塑性エラストマー、例えば、スチレン−エチレン−プロピレン共重合体、スチレン−エチレン−ブチレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体水添スチレン−ブタジエン共重合体、水添スチレン−イソプレン共重合体等やあるいはゴム類、例えばポリブタジェンポリイソプレンと配合することも可能である。

0058

硬化性樹脂組成物の調製方法としては、特に限定されず、上述した各成分を混合することにより調製できる。各成分の添加順序は特に制限はないが、例えば、(D)充填剤と溶剤を含むスラリー溶液に、(A)〜(C)、(F)成分などの各成分を加え、混合機を用いて混合することにより、硬化性樹脂組成物を調製することができる。混合撹拌としては、スラリー中に充填剤の凝集体が残らない程度に撹拌し得る混合機と、必要にして十分な分散条件とを選択する必要がある。分散の程度は粒ゲージにより測定可能であるが、少なくとも100μmより大きい凝集物がなくなるように混合分散することが好ましい。このような条件に適合する混合機としては、例えばビーズミルジェットミルロールミルハンマーミル振動ミルボールミルサンドミルパールミルスパイクミル、アジテータミル、コボールミル、脱泡機顔料分散機、擂潰機超音波分散機ホモジナイザープラネタリーミキサーホバートミキサー等の混合機を挙げることができる。
本発明の硬化性樹脂組成物の調製(各成分の混合操作)は、少なくともその工程の一部を減圧下で行うことが好ましい。これにより、得られる充填剤層内に気泡が生じることを防止することができる。減圧の程度としては、絶対圧として、5.0×104〜5.0×105Pa程度とすることが好ましい。

0059

本発明の塗膜は、本発明の硬化性樹脂組成物からなる塗膜であり、上記塗工液から生じる塗膜であってもよい。

0060

本発明の塗膜は、金属箔、樹脂フィルムなどの基材の表面に、本発明の硬化性樹脂組成物又はこれを含む塗工液を塗布し、次いで、溶剤を除去、乾燥することにより、製造することができる。本発明の塗膜を有する基材は、基材と塗膜間の接着性に優れるとともに、充填剤によって付与される機能特性に優れる機能性塗膜を与える。

0061

上記基材としては、特に制限はなく、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体EVA)等のα−オレフィンをモノマー成分とするオレフィン系樹脂ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系樹脂ポリ塩化ビニルPVC);酢酸ビニル系樹脂ポリフェニレンスルフィド(PPS);ポリアミド(ナイロン)、全芳香族ポリアミドアラミド)等のポリアミド系樹脂ポリイミド系樹脂ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等の各種プラスチック材料ゴム材料(例えば、天然ゴム合成ゴムシリコンゴム等)、金属材料(例えば、アルミニウム、銅、鉄、ニッケル、ステンレス等)、紙質材料(例えば、紙、紙類似物質等)、木質材料(例えば、木材、MDF等の木質ボード合板等)、繊維材料(例えば、不織布、織布等)、革材料無機材料(例えば、石、コンクリート等)、ガラス材料磁器材料等の各種の素材を挙げることができる。これらのなかでも、プラスチック材料製基材(プラスチック製シートフィルム等)及び金属材料(金属箔、パンチングメタルエキスパンドメタル金網発泡金属網状金属繊維焼結体金属メッキ樹脂板)が好ましい。
基材の形状および厚みは特に制限されないが、厚さ0.001〜0.5mm程度のフィルム、シート状のものとすることが好ましい。

0062

硬化性樹脂組成物の基材への塗布方法については、特に制限はない。塗布は、例えばドクターブレード法ディップ法リバースロール法、ダイレクトロール法グラビア法、エクストルージョン法浸漬法ハケ塗り法などの適宜の方法によることができる。硬化性樹脂組成物の塗布量も特に制限されないが、溶剤を除去した後に形成される充填剤層の厚さが、0.001〜5mmとなる量とすることが好ましく、0.005〜2mmとなる量とすることがより好ましい。

0063

塗布後の塗膜からの溶剤の除去方法についても特に制限されず、例えば温風熱風、低湿風による乾燥;真空乾燥;(遠)赤外線電子線などの照射による乾燥などによることができる。乾燥速度としては、応力集中によって充填剤層に亀裂が入ったり、充填剤層が基材から剥離したりしない程度の速度範囲の中で、できるだけ早く溶剤が除去できるように適宜に設定することができる。

0064

本発明の硬化物は、本発明の硬化性樹脂組成物を硬化させて得られる。例えば、本発明の塗膜を、加熱等の方法により乾燥、硬化することによって硬化物が得られる。加熱乾燥に際しては、60℃以上で1秒間以上、より好ましくは60℃以上200℃以下で1秒以上60分間以下、加熱することが好ましい。これらの条件であれば、塗膜中の(A)〜(C)、(F)成分等の重合性成分を十分に架橋させ、形成される塗工膜層の基材に対する接着性及び各種用途に対する充填剤層の機能特性を向上させることができる。加熱処理条件が60℃未満又は1秒未満では、塗工膜層の基材に対する塗膜層の接着性及び塗膜硬化物に対する充填剤層の機能特性が満足できない場合がある。

0065

本発明の硬化性樹脂組成物は、必要により炭素繊維やガラス繊維等の補強材を配合して、硬化性複合材料とすることもできる。硬化性複合材料には、必要に応じて樹脂と補強材の界面における接着性を改善する目的でカップリング剤や接着剤を用いることができる。カップリング剤としては、シランカップリング剤チタネートカップリング剤アルミニウム系カップリング剤ジルコアルミネートカップリング剤等、一般のものが使用できる。また、接着剤としては、エポキシ系、アクリル系、フェノール系、シアノアクリレート系等が挙げられるが、特にこれらに限定されない。積層成形と硬化は、通常の硬化複合材料の製造と同様の条件で行うことができる。

0066

本発明によれば、水系スラリーに適合した材料でありながら、機能性充填剤に対する優れた分散機能を有し、しかもバインダーとしても優れた機能を示し、密着性、耐熱性と柔軟性のバランスに優れる機能性の塗工膜の形成が可能であり、長期間保存しても粘度が維持され、機能性充填剤の沈降分離が起こりにくく、分散性の高い水系の機能性充填剤分散塗工液を提供することができる。このため、機能性充填剤が均一に分散されてなる密着性に優れる高機能な塗工膜の形成が可能になるため、電子材料塗料、インキ、トナー、ゴム・プラスチック、セラミック、磁性体、接着剤、液晶カラーフィルター、リチウムイオン二次電池等の電池やキャパシタなどの蓄電池用電極材など、多方面での利用が期待できる。

0067

本発明の硬化物を有する基材の用途としては特に制限されることがなく、例えば、導電性接着剤、導電性塗料、導電性インキなど導電性塗膜が挙げられる。また、オーディオテープ、ビデオテープ、フロッピィディスクなどの塗布型の磁気記録媒体、あるいは、光触媒塗膜及び光触媒塗装体などの光触媒なども好適な用途である。電気自動車ハイブリッド自動車電動工具などの駆動用電源パーソナルコンピュータ携帯電話機などの電池;太陽光発電風力発電などの発電装置付属する蓄電池などの蓄電デバイス電極コーティング剤セパレーターシーリング剤も好適な用途である。さらに、レンズ(例えば、眼鏡カメラのレンズ等)、プリズム自動車鉄道車両等の乗物部材(窓ガラス照明灯カバーバックミラー等)、建築部材(例えば、外壁材内壁材窓枠、窓ガラス等)、機械構成部材交通標識等の各種表示装置広告塔遮音壁道路用鉄道用等)、橋梁ガードレ−ル、トンネル碍子太陽電池カバー太陽熱温水器集熱カバー照明器具浴室用品浴室部材(例えば、鏡、浴槽等)、台所用品台所部材(例えば、キッチンパネル流し台レンジフード換気扇等)、空調、トイレ用品、トイレ部材(例えば、便器等)等の抗菌・防カビ、脱臭、大気浄化、水質浄化、防汚効果が期待される物品や、前記物品表面に貼着させるためのフィルム、シート、シール等を挙げることができる。

0068

以下、本発明について実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、各例中の部はいずれも重量部であり、物性の測定は以下に示す方法により行った。

0069

1)プレポリマーの分子量及び分子量分布
分子量及び分子量分布測定は、GPC(東ソー製、HLC−8120GPC)を使用し、溶媒にテトラヒドロフラン、流量1.0ml/min、カラム温度38℃、単分散ポリスチレンによる検量線を用いて行った。

0070

2)プレポリマーの構造
日本電子製JNM−LA600型核磁気共鳴分光装置を用い、13C−NMR及び1H−NMR分析により決定した。溶媒としてクロロホルム−d1を使用し、テトラメチルシラン共鳴線内部標準として使用した。

0071

3)プレポリマーの溶剤可溶性
可溶性の評価は、共重合体5.0gに対し、溶剤5.0gを加え、撹拌して共重合体を溶解した。これを静置し、ゲル等の不溶物の有無を目視で確認し、不溶物が認められない場合を可溶とした。

0072

以下の例において、使用した各成分は、以下のとおり。
モノマーA:メトキシ-ポリエチレングリコールアクリレート(ライトアクリレート 130A共栄社化学社製)
モノマーB:PEG400#ジアクリレート(ライトアクリレート 9EG−A 共栄社化学社製)
オリゴマーC:トリメチロールプロパン(EO)15トリアクリレート(Miramer M3150、Miwon Specialty Chemical製)
DVB−810:ジビニルベンゼン81%、エチルビニルベンゼン19%の混合物(DVB−810、新日鉄住金化学製)
増粘剤:カルボキシメチルセルロースCMC1120、ダイセル社製)
開始剤:4,4'-アゾビス(4−シアノ吉草酸)(V−501、和光純薬社製)
酸化防止剤テトラキスメチレン-3-(3',5'-ジ゛-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオネートメタンアデカスタブAO−60、ADEKA社製)

0073

合成例1
モノマーA 0.16モル(72.64g)、モノマーB 0.036モル(18.29g)、DVB−810 18.71g(ジビニルベンゼンを15.16g、エチルビニルベンゼンを3.55g含む。)、エタノール518.21gを1.0Lの反応器内に投入し、60℃で0.6ミリモルのビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネートの工業純品(純度90%;日油(株)製パーロイルTCP)を添加し、重合をスタートさせた。重合開始後、4時間、反応させ、重合溶液をtert−ブチルカテコールで停止させた。それから、60℃で減圧脱揮し、残存していたエタノールを除去し、プレポリマー(共重合体)A溶液回収した。
得られたプレポリマーAのMnは11600、Mwは18500、Mw/Mnは1.59であった。13C‐NMR及び1H‐NMR分析を行うことにより、プレポリマーAに存在する残存ビニル基の定量を行った。その結果から、全てのモノマーユニットに占める残存ビニル基を含有するモノマーユニットのモル分率は0.26であった。プレポリマーAは水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、THF、ジクロロエタンジクロロメタン、クロロホルムに50wt%の濃度で、可溶であり、ゲルの生成は認められなかった。

0074

実施例1
バインダー樹脂として、合成例1で得られたプレポリマーAを使用し、これに重合開始剤としてV−501、酸化防止剤としてAO−60、増粘剤としてCMC1120、及び充填剤としてカーボンを表1に示す割合で配合し、溶剤としてイオン交換水を53部加え、バッチ式混錬機で30分間混錬して水系導電性塗料を作製した。
なお、充填剤としてのカーボンは、黒鉛80部とカーボンブラック20部の混合物を用いた。

0075

実施例2〜5、比較例1〜2
表1に示した配合処方とし、モノマー、重合開始剤、及び酸化防止剤を40℃で1時間加熱混合して、プレポリマー化してから、配合に使用したこと以外は、実施例1と同じ方法で導電性塗料を得た。実施例2、3、及び5、並びに、比較例1〜2は溶剤として水を使用し、実施例4は溶剤としてイソプロパノールを使用した。ここで、実施例2〜5、比較例1〜2の配合の際に、加熱混合により作成したプレポリマーは、水、エタノール、イソプロパノール、ブタノールといった溶剤に50wt%の濃度で、可溶であり、ゲルの生成も認められなかった。表1中、0.08部のDVB−810は、ジビニルベンゼンを0.0648部、エチルビニルベンゼンを0.0152部含む。

0076

得られた水系導電性塗料の流動性塗料性、膜強度、抵抗値耐酸性及び耐熱性について評価を行った結果を表1に示す。

0077

なお、塗料及びその硬化物の特性の評価は、下記方法により行った。
4)流動性:水系導電性塗料を塗布乾燥したシートの外観
PETフィルム上に、ギャップ500μmのドクターブレードで形成した塗膜を120℃で1時間乾燥、硬化してなる導電性塗料シート表面の外観を目視し、亀裂等の有無を判断した。なお、表1においては亀裂等の欠陥がない場合には○、亀裂等の欠陥がある場合には×として示した。

0078

5)塗料性:シート平滑度
レーザー深度計で、導電性塗料シート表面の粗さを測定した。JIS B0633:’01に準拠してRaを求めた。Raは、10μm以下であると平滑であることを示している。

0079

6)膜強度:剥離強度
SUS板に水系導電性塗料を、ギャップ500μmのドクターブレードで塗布形成した塗膜を90℃で1時間乾燥し、これに、幅10mmの粘着テープ張り付け、180°剥離強度を測定した。剥離強度は10N以上であると良好であることを示している。

0080

7)抵抗値
PETフィルム上に、水系導電性塗料をギャップ500μmのドクターブレードで塗布形成した塗膜を120℃で1時間乾燥し、これを所定の大きさに切り出し、金属端子を表面に接触させて体積抵抗率を測定した。体積抵抗率は、500mΩcm以下であると良好であると言える。

0081

8)耐酸性:抵抗値
上記膜強度の評価で得た導電性塗料を塗布、乾燥したSUS板を、硫酸でpH3に調整した酸性水に浸漬し、60℃に加温し、100時間浸漬した後、イオン交換水で洗浄、乾燥したシートについて抵抗値(体積抵抗率)を測定した。体積抵抗率は、500mΩcm以下であると良好であると言える。

0082

9)耐熱性:抵抗値
上記膜強度の評価で得た導電性塗料を塗布、乾燥したSUS板を、130℃のエアオーブンに入れ、120時間放置した後、イオン交換水で洗浄、乾燥したシートについて同様に抵抗値(体積抵抗率)を測定した。体積抵抗率は、500mΩcm以下であると良好であると言える。

0083

0084

合成例2
Fe2O3に換算して0.4gの塩化第二鉄と、TiO2に換算して99.6gの四塩化チタンとを純水に溶解し、10kgの混合水溶液を調製した。この混合水溶液に、4℃の28%のアンモニア水溶液を、液温が10℃以上にならないように冷却しながら急激に添加し、pHが7.5になった時点で添加を終了した。この時生成した水和酸化鉄水和酸化チタン共沈ゲルの温度は9.8℃であった。
得られた共沈ゲルを脱水・洗浄した後、共沈ゲル880gに、H2O2濃度35重量%の過酸化水素水910gおよび純水200gを添加し、80℃で3時間加熱して黄橙色の溶液(M液)1990gを得た。このM液995gに、3005gの水を加え、オートクレーブにて200℃で20時間加熱処理して、酸化鉄・酸化チタン複合酸化物微粒子が分散したゾルを得た。
このゾルにメタノール4000mlを加えた後、メチルトリメトキシシランを2g加え、50℃で1時間熟成した後、溶媒置換により水を除去して固形分濃度20重量%の酸化鉄・酸化チタン複合酸化物微粒子分散メタノールゾル200gを得た。複合酸化物微粒子の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡写真により測定したところ、8nmであった。

0085

実施例6
モノマーB 0.68g、オリゴマーC 0.30g、DVB−810 0.02g、V−501を0.01g、及びエタノール1.5gを混合して、重合させてプレポリマー化して得られたエタノール溶液2.5gと、合成例2で得られた酸化鉄・酸化チタン複合酸化物微粒子が分散したメタノールゾル50gを混合して透明被膜形成用塗布液を調製した。

0086

上記塗布液をガラス基材(50mm×50mm)上にスピンコーターで塗布し、50℃で予備乾燥し、光触媒塗膜を形成した。さらに、70℃で乾燥した後、120℃で加熱硬化して透明被膜付基材を作製した。被膜の厚さは1μmであり、被膜の硬度鉛筆硬度で4Hであった。

実施例

0087

石英製容器(縦150mm×横150mm×高さ60mm)に上記被膜付基材を入れ、窒素ガス置換した後密閉し、次いで濃度が50ppmとなるようにアセトアルデヒド注入し、被膜の表面からの距離が100mmの高さよりブラックライト紫外線波長365nm、強度 0.6mW/cm2)を1時間照射した。次いで、容器中に残存するアセトアルデヒドの濃度をガスクロマトグラフィーにより測定したところ、10.5ppmであったことから、アセトアルデヒドの減少率により光触媒活性を評価したところ、光触媒活性は79%であった。フィラーの分散性、耐熱性などの物性も優れていた。

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