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技術 被膜の製造方法

出願人 花王株式会社
発明者 甘利奈緒美東城武彦向井健太
出願日 2018年12月12日 (1年4ヶ月経過) 出願番号 2018-232325
公開日 2019年3月14日 (1年1ヶ月経過) 公開番号 2019-038856
状態 未査定
技術分野 化粧料
主要キーワード 多孔性被膜 繊維堆積物 コーン先端 標準チャート 液体架橋 不連続被膜 経時観察 アルミ金属
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2019年3月14日)のものです。
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図面 (5)

課題

被膜形成対象物密着性が高くなると共に、見た目が透明で被膜形成対象物を自然な状態で被覆できる被膜の製造方法を提供すること。

解決手段

本発明の被膜の製造方法は、被膜形成対象物の表面に被膜を形成する方法である。本発明の製造方法は、被膜形成対象物に組成物を直接に静電スプレーして繊維の堆積物を含む被膜を形成する静電スプレー工程を具備する。前記組成物が、以下の成分(a)、成分(b)及び成分(c)を含む。(a)水、アルコール及びケトンから選択される1種又は2種以上の揮発性物質。(b)被膜形成能を有するポリマー。(c)20℃で液体の油及びポリオールから選択される1種又は2種以上を含有する液剤

概要

背景

化粧料化粧料成分或いは外傷医薬剤を皮膚に有効に活用するために、例えば特許文献1には、化粧料あるいは化粧料成分を保持させてなる化粧用シートが記載されている。また、例えば特許文献2及び3には、静電スプレーによって被膜を形成する方法が記載されている。

概要

被膜形成対象物密着性が高くなると共に、見た目が透明で被膜形成対象物を自然な状態で被覆できる被膜の製造方法を提供すること。本発明の被膜の製造方法は、被膜形成対象物の表面に被膜を形成する方法である。本発明の製造方法は、被膜形成対象物に組成物を直接に静電スプレーして繊維の堆積物を含む被膜を形成する静電スプレー工程を具備する。前記組成物が、以下の成分(a)、成分(b)及び成分(c)を含む。(a)水、アルコール及びケトンから選択される1種又は2種以上の揮発性物質。(b)被膜形成能を有するポリマー。(c)20℃で液体の油及びポリオールから選択される1種又は2種以上を含有する液剤

目的

本発明は、前述した従来技術が有する欠点を解消し得る被膜の製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

被膜形成対象物の表面に被膜を形成する被膜の製造方法であって、前記被膜形成対象物に組成物を直接に静電スプレーして繊維を含む堆積物からなる被膜を形成する静電スプレー工程を具備し、前記組成物が、以下の成分(a)、成分(b)及び成分(c)を含む、被膜の製造方法。(a)水、アルコール及びケトンから選択される1種又は2種以上の揮発性物質。(b)被膜形成能を有するポリマー。(c)20℃で液体の油及びポリオールから選択される1種又は2種以上を含有する液剤

請求項2

前記被膜は、構成する前記繊維の表面側に、前記成分(c)が存在する液剤担持被膜を有している、請求項1に記載の被膜の製造方法。

請求項3

前記被膜あるいは噴霧用組成物における、前記成分(b)と前記成分(c)の合計量に対する前記成分(c)の質量比((c)/((b)+(c)))の値が、0.05以上0.75以下である、請求項1又は2に記載の被膜の製造方法。

請求項4

前記成分(c)が、炭化水素油エステル油シリコーン油高級アルコール、及びポリオールから選択される1種又は2種以上の物質である、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の被膜の製造方法。

請求項5

前記静電スプレー工程において、静電スプレー装置を用いて前記被膜形成対象物に前記組成物を静電スプレーして、繊維の堆積物からなる被膜を形成し、前記静電スプレー装置が、前記組成物を収容する容器と、前記組成物を吐出するノズルと、前記容器中に収容されている前記組成物を前記ノズルに供給する供給装置と、前記ノズルに電圧印加する電源とを備える請求項1ないし4のいずれか一項に記載の被膜の製造方法。

請求項6

前記被膜形成対象物がヒトの皮膚の表面である請求項1ないし5のいずれか一項に記載の被膜の製造方法。

請求項7

成分(a)が成分(a1)エタノールイソプロピルアルコール、及びブチルアルコールから選ばれる1種又は2種以上と成分(a2)水とを含有する請求項1ないし6のいずれか一項に記載の被膜の製造方法。

請求項8

成分(c)が、炭化水素油、エステル油、シリコーン油、及びポリオールから選択される1種又は2種以上である請求項1ないし7のいずれか一項に記載の被膜の製造方法。

請求項9

前記組成物は20℃で液状であって、前記繊維は前記液状の組成物が静電スプレーされて形成される請求項1ないし8のいずれか一項に記載の被膜の製造方法。

請求項10

前記被膜形成対象物がヒトの皮膚であって、被膜は被膜の形成後に被膜を通して皮膚の色を視認できる透明又は半透明である、請求項1ないし9のいずれか一項に記載の被膜の製造方法。

請求項11

成分(b)が水不溶性ポリマーである請求項1ないし10のいずれか一項に記載の被膜の製造方法。

請求項12

前記被膜を形成する繊維が連続繊維である請求項1ないし11のいずれか一項に記載の被膜の製造方法。

請求項13

前記被膜は、形成する繊維の交差する部分における結合部を含む請求項1ないし12のいずれか一項に記載の被膜の製造方法。

請求項14

成分(a)が(a1)エタノールと(a2)水を含み、成分(b)が完全鹸化ポリビニルアルコール部分鹸化ポリビニルアルコールポリビニルブチラール樹脂、(アクリル酸アルキルオクチルアミド)共重合体オキサゾリン変性シリコーンポリエステル、及びツエインから選ばれる1種又は2種以上であり、成分(c)が炭化水素油、エステル油、シリコーン油、及びポリオールから選ばれる1種又は2種以上である請求項1ないし13のいずれか一項に記載の被膜の製造方法。

請求項15

前記静電スプレーの装置が、ヒトの手で把持可能な静電スプレー装置又はヒトの手で把持可能なスプレーノズルを備える操作部を有する静電スプレー装置である請求項1ないし14のいずれか一項に記載の被膜の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、被膜の製造方法に関する。

背景技術

0002

化粧料化粧料成分或いは外傷医薬剤を皮膚に有効に活用するために、例えば特許文献1には、化粧料あるいは化粧料成分を保持させてなる化粧用シートが記載されている。また、例えば特許文献2及び3には、静電スプレーによって被膜を形成する方法が記載されている。

先行技術

0003

特開2008−179629号公報
特開2006−104211号公報
特表2000−516130号公報

発明が解決しようとする課題

0004

特許文献1に記載の化粧用シートは、化粧料あるいは化粧料成分を保持しているので、化粧料等を皮膚に有効に活用させることができる。しかし、特許文献1に記載の化粧用シートは、予め作製されたシートに化粧料等を含有させるため、着用中に摩擦力がかかるとシートの際から剥離し易い。また、予め作製されたシートの繊維中に、化粧料等に加え、アーモンド油、アボカド油、或いはオリーブ油等の不揮発性の油やポリオールを含有した状態で保管すると、シートの構成繊維繊維形態崩れシート形態が崩れ易く、保存安定性が悪くなってしまう。

0005

特許文献2に記載の静電スプレーによる皮膚の処理方法は、粒子状粉末物質である粒子静電気的適用によって皮膚を処理する方法である。よって、被膜が繊維の堆積物ではないため、一枚の膜の形態を維持し難く、使用中に部分的に粒子が脱落するなど耐久性が劣り、また、使用後に剥がし難い。

0006

一方、特許文献3に記載の静電スプレーによる被覆を形成する方法は、形成される被膜が繊維の堆積物であるため、一枚膜として取り扱うことができ、使用後に剥がし易くなる。しかし、静電スプレーによって形成された被膜と基板との密着性が十分でなく、摩擦等の外力に起因して被膜が損傷したり剥離したりすることがある。更に、特許文献3には、繊維の堆積物からなる被膜を透明化し皮膚を自然な状態で被覆することに関して、何ら記載されていない。

課題を解決するための手段

0007

したがって本発明は、前述した従来技術が有する欠点を解消し得る被膜の製造方法を提供することにある。

0008

本発明は、被膜形成対象物の表面に被膜を形成する被膜の製造方法であって、前記被膜形成対象物に組成物を直接に静電スプレーして繊維の堆積物からなる被膜を形成する静電スプレー工程を具備し、前記組成物が、以下の成分(a)、成分(b)及び成分(c)を含む、被膜の製造方法。(a)水、アルコール及びケトンからなる群より選択される1種又は2種以上の揮発性物質。(b)被膜形成能を有するポリマー。(c)20℃で液体の油及びポリオールから選択される1種又は2種以上を含有する液剤

発明の効果

0009

本発明によれば、被膜形成対象物と静電スプレーによって形成された被膜との密着性が高くなると共に、被膜の見た目が透明で被膜形成対象物を自然な状態で被覆できる。

図面の簡単な説明

0010

図1は、本発明で好適に用いられる静電スプレー装置の構成を示す概略図である。
図2は、静電スプレー装置を用いて静電スプレー法を行う様子を示す模式図である。
図3は、実施例3の被膜のSEM画像である。
図4は、比較例1の被膜のSEM画像である。

0011

以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。本発明の製造方法は、被膜形成対象物の表面に被膜を形成する被膜の製造方法である。本実施形態においては、所定の成分を含む組成物を、被膜形成対象物の一例であるヒトの皮膚の表面に直接施して被膜を形成する。被膜の形成方法として、本発明では静電スプレー法を採用している。静電スプレー法は、組成物に正又は負の高電圧印加して該組成物を帯電させ、帯電した該組成物を被膜形成対象物に向けて噴霧する方法である。噴霧された組成物はクーロン反発力によって微細化を繰り返しながら空間に広がり、その過程で、又は被膜形成対象物に付着した後に、揮発性物質である溶媒が乾燥することで、被膜形成対象物の表面に被膜を形成する。

0012

本発明において用いられる前記の組成物(以下、この組成物のことを「噴霧用組成物」とも言う。)は、静電スプレー法が行われる環境下(例えば20℃)において液体のものである。この組成物は、以下の成分(a)、成分(b)及び成分(c)を含んでいる。
(a)水、アルコール及びケトンから選ばれる1種又は2種以上の揮発性物質。
(b)被膜形成能を有するポリマー。
(c)20℃で液体の油及びポリオールから選択される1種又は2種以上を含有する液剤。
噴霧用組成物は、静電スプレー法によって、被膜形成対象物の一例であるヒトの皮膚に、繊維を含む堆積物からなる透明又は半透明の被膜を形成する被膜の製造方法に使用される。
以下、各組成物について説明する。

0013

成分(a)の揮発性物質は、液体の状態において揮発性を有する物質である。噴霧用組成物において成分(a)は、電界内に置かれた該噴霧用組成物を十分に帯電させた後、ノズル先端から被膜形成対象物である例えば皮膚に向かって吐出され、成分(a)が蒸発していくと、噴霧用組成物の電荷密度が過剰となり、クーロン反発によって更に微細化しながら成分(a)が更に蒸発していき、最終的に乾いた被膜を形成させる目的で配合される。この目的のために、揮発性物質はその蒸気圧が20℃において0.01kPa以上、106.66kPa以下であることが好ましく、0.13kPa以上、66.66kPa以下であることがより好ましく、0.67kPa以上、40.00kPa以下であることが更に好ましく、1.33kPa以上、40.00kPa以下であることがより一層好ましい。

0014

成分(a)の揮発性物質のうち、アルコールとしては例えば一価鎖式脂肪族アルコールや、一価の環式脂肪族アルコールや、一価の芳香族アルコールが好適に用いられる。それらの具体例としては、エタノールイソプロピルアルコールブチルアルコールフェニルエチルアルコールプロパノールペンタノールなどが挙げられる。これらのアルコールは、これらから選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。

0015

成分(a)の揮発性物質のうち、ケトンとしては例えばアセトンメチルエチルケトンメチルイソブチルケトンなどが挙げられる。これらのケトンは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。

0016

成分(a)の揮発性物質は、より好ましくはエタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、及び水から選ばれる1種又は2種以上であり、より好ましくはエタノール、及びブチルアルコールから選ばれる1種又は2種以上であり、そして最も好ましくはエタノールである。また、成分(a)の揮発性物質は、後述する成分(b)が水不溶性ポリマーである場合、成分(b)の分散性の観点から、(a1)エタノール、イソプロピルアルコール、及びブチルアルコールから選ばれる1種又は2種以上を含有し、電荷付与の観点から(a2)水との混合液が好ましい。成分(a2)と成分(a1)との質量比(a2)/(a1)は、噴霧用組成物による繊維の形成性と被膜の密着性の観点から0.00
25以上0.3以下であることが好ましい。

0017

噴霧用組成物は、成分(a)とともに、成分(b)である被膜形成能を有するポリマーを含有する。成分(b)である被膜形成能を有するポリマーは、一般に、成分(a)の揮発性物質に溶解することが可能な物質である。ここで、溶解するとは20℃において分散状態にあり、その分散状態が目視で均一な状態、好ましくは目視で透明又は半透明な状態であることを言う。

0018

被膜形成能を有するポリマーとしては、成分(a)の揮発性物質の性質に応じて適切なものが用いられる。具体的には、被膜形成能を有するポリマーは水溶性ポリマーと水不溶性ポリマーとに大別される。本明細書において「水溶性ポリマー」とは、1気圧・23℃の環境下において、ポリマー1gを量したのちに、10gのイオン交換水に浸漬し、24時間経過後、浸漬したポリマーの0.5g以上が水に溶解する性質を有するものをいう。一方、本明細書において「水不溶性ポリマー」とは、1気圧・23℃の環境下において、ポリマー1g秤量したのちに、10gのイオン交換水に浸漬し、24時間経過後、浸漬したポリマーの0.5g超が溶解しない性質を有するものをいう。被膜形成能を有するポリマーは、水不溶性ポリマーを含むことが好ましい。

0019

水溶性である被膜形成能を有するポリマーとしては、例えばプルランヒアルロン酸コンドロイチン硫酸ポリ−γ−グルタミン酸変性コーンスターチ、β-グルカン、グ
ルコオリゴ糖ヘパリンケラト硫酸等のムコ多糖セルロースペクチンキシランリグニングルコマンナンガラクツロン酸サイリウムシードガムタマリンド種子ガムアラビアガムトラガントガム大豆水溶性多糖アルギン酸カラギーナンラミナラン寒天アガロース)、フコイダンメチルセルロースヒドロキシプロピルセルロースヒドロキシプロピルメチルセルロース等の天然高分子部分鹸化ポリビニルアルコール架橋剤と併用しない場合)、低鹸化ポリビニルアルコールポリビニルピロリドンPVP)、ポリエチレンオキサイドポリアクリル酸ナトリウム等の合成高分子などが挙げられる。これらの水溶性ポリマーは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの水溶性ポリマーのうち、被膜の製造が容易である観点から、プルラン、並びに部分鹸化ポリビニルアルコール、低鹸化ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン及びポリエチレンオキサイド等の合成高分子を用いることが好ましい。水溶性ポリマーとしてポリエチレンオキサイドを用いる場合、その数平均分子量は、5万以上300万以下であることが好ましく、10万以上250万以下であることが一層好ましい。

0020

一方、水不溶性である被膜形成能を有するポリマーとしては、例えば被膜形成後不溶化処理できる完全鹸化ポリビニルアルコール、架橋剤と併用することで被膜形成後に架橋処理できる部分鹸化ポリビニルアルコール、ポリ(N−プロパノイルエチレンイミングラフトジメチルシロキサン/γ−アミノプロピルメチルシロキサン共重合体等のオキサゾリン変性シリコーンポリビニルアセタールジエチルアミノアセテートツエインとうもろこし蛋白質の主要成分)、ポリエステルポリ乳酸PLA)、ポリアクリロニトリル樹脂ポリメタクリル酸樹脂等のアクリル樹脂ポリスチレン樹脂ポリビニルブチラール樹脂ポリエチレンテレフタレート樹脂ポリブチレンテレフタレート樹脂ポリウレタン樹脂ポリアミド樹脂ポリイミド樹脂ポリアミドイミド樹脂などが挙げられる。これらの水不溶性ポリマーは単独で(1種)又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの水不溶性ポリマーのうち、被膜形成後に不溶化処理できる完全鹸化ポリビニルアルコール、架橋剤と併用することで被膜形成後に架橋処理できる部分鹸化ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール樹脂、(アクリル酸アルキルオクチルアミド)共重合体等のアクリル樹脂、ポリ(N−プロパノイルエチレンイミン)グラフト−ジメチルシロキサン/γ−アミノプロピルメチルシロキサン共重合体等のオキサゾリン変性シリコーン、ポリエステル、ツエイン等を用いることが好ましい。

0021

噴霧用組成物は、成分(a)及び成分(b)とともに、成分(c)である20℃で液体の油及びポリオールから選択される1種又は2種以上を含有する液剤を含有する。成分(c)は、液体の状態において不揮発性であるのが好ましい。成分(c)は、一般に、成分(b)のポリマーと同様に、成分(a)の揮発性物質に溶解することが可能な物質である。ここで、溶解するとは、20℃において分散状態にあり、その分散状態が目視で均一な状態、好ましくは目視で透明又は半透明な状態であることを言う。

0022

成分(c)である20℃で液体の油としては、成分(a)の揮発性物質の性質に応じて適切なものが用いられる。前記油としては、20℃において液状の炭化水素油エステル油シリコーン油高級アルコールが挙げられ、これらから選ばれる液体油を1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。本発明において、20℃において液体の油を「液体油」ともいう。ここでエステル油とは、植物油に含まれるトリアシルグリセライドトリグリセリン脂肪酸エステル)等の油以外に、HLB値が10以下のエステル構造を有する化合物も含まれる。ここでHLB値は、親水性親油性バランス(Hydrophile Lipophile Balance)を示す指標であり、本発明においては、小田及びらによる次式により算出した値を用いる。
HLB=(Σ無機性値/Σ有機性値)×10
成分(c)は、成分(b)のポリマーの被膜形成対象物への密着性をより向上する観点から、20℃において液体の油を含有することが好ましく、極性を有し、成分(b)のポリマーの被膜対象物へ密着性をより良好にする観点から、好ましくはエステル油、及び高級アルコールから選ばれる1種又は2種以上を含有することが好ましく、エステル油から選ばれる1種又は2種以上を含有することが好ましい。

0023

成分(c)として上述した20℃で液体の炭化水素油としては、流動パラフィンスクワランスクワレンn−オクタン、n−ヘプタンシクロヘキサン軽質イソパラフィン流動イソパラフィン等が挙げられ、使用感を向上させる観点から流動パラフィン、スクワランが好ましい。また、静電噴霧された被膜を皮膚に密着させる観点から、炭化水素油の30℃における粘度は、好ましくは10mPa・s以上であり、より好ましくは30mPa・s以上である。かかる観点から30℃において粘度が10mPa・s未満である、イソドデカンイソヘキサデカン水添ポリイソブテンの噴霧用組成物中の含有量は、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは5質量%以下であり、更に好ましくは1質量%以下であり、より更に好ましくは0.5質量%以下であり、含有しなくてもよい。ここでの粘度は、30℃においてBM型粘度計(トキメック社製、測定条件ローターNo.1、60rpm、1分間)により測定される。なお、成分(c)は20℃で液体であるため、30℃における粘度の上限は、流動性のある範囲であればよく、好ましくは2000mPa・s以下である。

0024

成分(c)として上述した20℃で液体のエステル油としては、HLB値が10以下のエステル化合物が挙げられ、脂肪酸エステル脂肪酸アルコールエステル多価アルコールエステルグリセリン脂肪酸エステルポリグリセリン脂肪酸エステルソルビタン脂肪酸エステルが挙げられ、これらから選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。なお、グリセリン脂肪酸エステルとしては、モノグリセリン脂肪酸エステルジグリセリン脂肪酸エステル、トリグリセリン脂肪酸エステルが含まれる。

0025

成分(c)として上述した20℃で液体のエステル油としては、例えば、ミリスチン酸イソプロピルオクタン酸セチルミリスチン酸オクチルドデシルパルミチン酸イソプロピルステアリン酸ブチルラウリン酸ヘキシルミリスチン酸ミリスチルオレイン酸デシルジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル乳酸ミリスチル酢酸ラノリンステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12−ヒドロキシステアリルコレステリル、ジ2−エチルヘキサン酸エチレングリコールジペンタエリスリトール脂肪酸エステルモノイソステアリン酸N−アルキルグリコールジカプリン酸ネオペンチルグリコールリンゴ酸ジイソステアリル、ジ2−ヘプチルウンデカン酸グリセリントリ2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリット、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2−エチルヘキサノエート、2−エチルヘキシルパルミテートナフタレンジカルボン酸ジエチルヘキシル安息香酸炭素数12〜15)アルキルイソノニルイソノナノエート、セテアリルイソノナノエート、トリ(カプリル酸カプリン酸)グリセリン、(ジカプリル酸/カプリン酸)ブチレングリコールトリラウリン酸グリセリル、トリミリスチン酸グリセリル、トリパルミチン酸グリセリルトリイソステアリン酸グリセリル、トリ2−ヘプチルウンデカン酸グリセリル、トリベヘン酸グリセリル、トリヤシ油脂肪酸グリセリルトリオレイン酸グリセリル、トリリノール酸グリセリル、ヒマシ油脂肪酸メチルエステルオレイン酸オレイルパルミチン酸2−ヘプチルウンデシルアジピン酸ジイソブチル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチルドデシルエステルアジピン酸ジ2−ヘプチルウンデシル、エチルラウレートアジピン酸イソブチルセバシン酸ジエチルセバシン酸ジ2−エチルヘキシル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、アジピン酸2−ヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピルコハク酸ジ2−エチルヘキシル、クエン酸トリエチルパラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、ジピバリントリプロピレングリコール等が挙げられる。

0026

これらの中では、静電噴霧された被膜を皮膚に密着させる観点及び皮膚に塗布した際の感触を向上させる観点から、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸ミリスチル、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、セテアリルイソノナノエート、アジピン酸イソブチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジ2−エチルヘキシル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、安息香酸(炭素数12〜15)アルキル、イソノニルイソノナノエート、トリ(カプリル酸・カプリン酸)グリセリン、及びオレイン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、エイコセン酸、イコセン酸、並びにドコセン酸等の脂肪酸を構成要素とするトリアシルグリセライドから選ばれる少なくとも1種(1種又は2種以上)が好ましく、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、リンゴ酸ジイソステアリル、セバシン酸ジエチル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、安息香酸(炭素数12〜15)アルキル、イソノニルイソノナノエート、トリ(カプリル酸・カプリン酸)グリセリン、及びオレイン酸、エイコセン酸、イコセン酸、ドコセン酸から選ばれる1種又は2種以上を構成要素とするトリアシルグリセライドから選ばれる1種又は2種以上が好ましい。

0027

また、上述したトリグリセライド等のエステル油を含むオリーブ油、ホホバ油マカデミアナッツ油、メドフォーム油、ヒマシ油紅花油、ヒマワリ油、アボカド油、キャノーラ油キョウニン油、米胚芽油米糠油などの植物油、ラノリン等を含む動物油を用いることもできる。

0028

成分(c)として上述した20℃で液体のエステル油に含まれる、ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、HLB値が10以下である、イソステアリン酸ポリグリセリルジイソステアリン酸ポリグリセリルトリイソステアリン酸ポリグリセリル、ステアリン酸ポリグリセリルオレイン酸ポリグリセリルセスキカプリン酸ポリグリセリルが挙げられる。また、ソルビタン脂肪酸エステルとしては、HLB値が10以下である、モノステアリン酸ソルビタンモノオレイン酸ソルビタンセスキオレイン酸ソルビタンセスキイソステアリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタントリステアリン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、ヤシ油脂肪酸ソルビタン等が挙げられる。
これらの中では、静電噴霧された被膜を皮膚に密着させる観点及び皮膚に塗布した際の感触を向上させる観点から、イソステアリン酸ポリグリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、トリイソステアリン酸ポリグリセリル、ステアリン酸ポリグリセリル、オレイン酸ポリグリセリル、セスキカプリン酸ポリグリセリルが好ましく、ジイソステアリン酸ポリグリセリルがより好ましい。

0029

成分(c)として上述した20℃で液体のシリコーン油としては、ジメチルポリシロキサンジメチルシクロポリシロキサンメチルフェニルポリシロキサンメチルハイドロジェンポリシロキサン、高級アルコール変性オルガノポリシロキサン等が挙げられる。本発明の噴霧用組成物は、皮膚等への密着性を向上させる観点から、シリコーン油の噴霧用組成物中の含有量は、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは7質量%以下であり、好ましくは、0.1質量%以上であり、より好ましくは1質量%以上である。なお、シリコーン油は、本発明の噴霧用組成物中に含有しなくてもよく、その場合は、含有量は5質量%以下であり、更に好ましくは1質量%以下であり、より更に好ましくは0.1質量%以下である。
25℃におけるシリコーン油の動粘度は、静電噴霧された被膜を皮膚等に密着させる観点から、好ましくは3mm2/s以上であり、より好ましくは4mm2/s以上であり、更に好ましくは5mm2/s以上であり、好ましくは30mm2/s以下であり、より好ましくは20mm2/s以下であり、更に好ましくは10mm2/s以下である。これらの中では静電噴霧された被膜を密着させる観点から、シリコーン油はジメチルポリシロキサンを含むことが好ましい。

0030

成分(c)として上述した20℃で液体の高級アルコールとしては、炭素数12〜20の液状の高級アルコールが挙げられ、分岐脂肪酸あるいは不飽和脂肪酸の高級アルコールが好ましく、イソステアリルアルコールオレイルアルコールがより好ましい。

0031

また、成分(c)がポリオールである場合、成分(a)の揮発性物質の性質に応じて適切なものが用いられる。具体的に、前記ポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール等のアルキレングリコールジエチレングリコールジプロピレングリコール、数平均分子量が1000以下のポリエチレングリコールポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール;グリセリン、ジグリセリントリグリセリン等のグリセリン又はポリグリセリルが挙げられる。これらのうち、使用感を向上させる観点から、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ジグリセリンが好ましく、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、グリセリン、ジプロピレングリコールがより好ましい。なお、ポリエチレングリコールは、その数平均分子量が、より好ましくは600以下であり、更に好ましくは400以下である。

0032

成分(c)の例として上述した20℃で液体の油及びポリオールは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。前記成分(c)は、被膜形成能を有するポリマーの可塑剤であることが好ましい。上述した通り、前記成分(c)は、炭化水素油、エステル油、シリコーン油、及び高級アルコールから選ばれる20℃で液体の油、並びにアルキレングリコール、ポリアルキレングリコール、グリセリン及びトリグリセリンから選ばれるポリオールから選択される1種又は2種以上の物質であることが好ましい。

0033

噴霧用組成物における成分(a)の含有量は、50質量%以上であることが好ましく、55質量%以上であることが更に好ましく、60質量%以上であることが一層好ましい。また98質量%以下であることが好ましく、96質量%以下であることが更に好ましく、94質量%以下であることが一層好ましい。噴霧用組成物における成分(a)の含有量は、50質量%以上98質量%以下であることが好ましく、55質量%以上96質量%以下であることが更に好ましく、60質量%以上94質量%以下であることが一層好ましい。この割合で噴霧用組成物中に成分(a)を配合することで、静電スプレー法を行うときに噴霧用組成物を十分に揮発させることができる。
本発明における噴霧用組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、固体状半固体状の油、すなわち、成分(c)以外の油を含有することができる。被膜の被膜形成対象物への密着性を向上させる観点から、噴霧用組成物の安定性の観点から、成分(c)以外の油は、噴霧用組成物中には、10質量%以下であることが好ましく、8質量%以下であることがより好ましく、6質量%以下であることが更に好ましい。

0034

また、噴霧用組成物における成分(b)の含有量は、噴霧用組成物の粘度を適度な範囲にして繊維の太さを適度に調整する観点から、2質量%以上であることが好ましく、4質量%以上であることが更に好ましく、6質量%以上であることが一層好ましい。また50質量%以下であることが好ましく、45質量%以下であることが更に好ましく、40質量%以下であることが一層好ましい。噴霧用組成物における成分(b)の含有量は、2質量%以上50質量%以下であることが好ましく、4質量%以上45質量%以下であることが更に好ましく、6質量%以上40質量%以下であることが一層好ましい。この割合で噴霧用組成物中に成分(b)を配合することで、目的とする被膜を首尾よく形成することができる。

0035

また、噴霧用組成物における成分(c)の含有量は、0.5質量%以上であることが好ましく、1.0質量%以上であることが更に好ましく、1.5質量%以上であることが一層好ましい。また30質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることが更に好ましく、20質量%以下であることが一層好ましい。噴霧用組成物における成分(c)の含有量は、0.5質量%以上30質量%以下であることが好ましく、1質量%以上25質量%以下であることが更に好ましく、1.5質量%以上20質量%以下であることが一層好ましい。この割合で噴霧用組成物中に成分(c)を配合することで、目的とする被膜の被膜形成対象物への密着性を向上させることができる。

0036

噴霧用組成物中には、上述した成分(a)、成分(b)及び成分(c)のみが含まれていてもよく、あるいは本発明の効果を阻害しない範囲で、成分(a)、成分(b)及び成分(c)に加えて他の成分が含まれていてもよい。他の成分としては、例えば、着色顔料体質顔料染料、HLB値が10超の界面活性剤、UV防御剤香料忌避剤酸化防止剤、安定剤、防腐剤制汗剤、各種ビタミン等が挙げられる。なお、これらの各剤は、各剤としての用途に限られず、目的に応じて他の用途、例えば制汗剤を香料として使用することができる。あるいは、他の用途との併用として、例えば制汗剤と香料としての効果を奏するものとして使用することができる。噴霧用組成物中に他の成分が含まれる場合、当該他の成分の配合割合は、0.1質量%以上30質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上20質量%以下であることが更に好ましい。

0037

静電スプレー法を行う場合、噴霧用組成物として、その粘度が、25℃において、好ましくは1mPa・s以上、より好ましくは10mPa・s以上、更に好ましくは50mPa・s以上であるものを用いる。また粘度が、25℃において、好ましくは5000mPa・s以下、より好ましくは2000mPa・s以下、更に好ましくは1500mPa・s以下であるものを用いる。噴霧用組成物の粘度は、25℃において、好ましくは1mPa・s以上5000mPa・s以下であり、より好ましくは10mPa・s以上2000mPa・s以下であり、更に好ましくは50mPa・s以上1500mPa・s以下である。この範囲の粘度を有する噴霧用組成物を用いることで、静電スプレー法によって被膜、具体的には繊維の堆積物からなる多孔性被膜を首尾よく形成することができる。噴霧用組成物の粘度は、密着性と感触の両立の観点から、25℃において、より好ましくは50mPa・s以上1000mPa・s以下である。多孔性被膜の形成は、皮膚の蒸れ防止等を向上させる観点から有利なものである。噴霧用組成物の粘度は、E型粘度計を用いて25℃で測定される。E型粘度計としては例えば東京計器株式会社製のE型粘度計を用いることができる。例えばローターとしては、ローターNo.43を用いることができる。粘度を測定する際の条件、具体的には、ローターの型番回転数、回転時間等は、各E型粘度計において粘度により定められたものを用いる。

0038

噴霧用組成物は静電スプレー法によって、被膜形成対象物である例えばヒトの皮膚に直接噴霧される。静電スプレー法は、静電スプレー工程において、静電スプレー装置を用いて、皮膚に噴霧用組成物を静電スプレーして、被膜を形成する工程を含む。該静電スプレー装置は、噴霧用組成物を収容する容器と、噴霧用組成物を吐出するノズルと、容器中に収容されている噴霧用組成物をノズルに供給する供給装置と、ノズルに電圧を印加する電源とを備える。好適に、図1には、本発明で好適に用いられる静電スプレー装置の構成を表す概略図が示されている。図1に示す静電スプレー装置10は、低電圧電源11を備えている。低電圧電源11は、数Vから十数Vの電圧を発生させ得るものである。静電スプレー装置10の可搬性を高める目的で、低電圧電源11は1個又は2個以上の電池からなることが好ましい。また、低電圧電源11として電池を用いることで、必要に応じ取り替えを容易に行えるという利点もある。電池に代えて、ACアダプタ等を低電圧電源11として用いることもできる。

0039

静電スプレー装置10は、高電圧電源12も備えている。高電圧電源12は、低電圧電源11と接続されており、低電圧電源11で発生した電圧を高電圧に昇圧する電子回路(図示せず)を備えている。昇圧電子回路は一般にトランスキャパシタ及び半導体素子等から構成されている。

0040

静電スプレー装置10は、補助電気回路13を更に備えている。補助的電気回路13は、上述した低電圧電源11と高電圧電源12との間に介在し、低電圧電源11の電圧を調整して高電圧電源12を安定的に動作させる機能を有する。更に補助的電気回路13は、後述するマイクロギヤポンプ14に備えられているモータの回転数を制御する機能を有する。モータの回転数を制御することで、後述する噴霧用組成物の容器15からマイクロギヤポンプ14への噴霧用組成物の供給量が制御される。補助的電気回路13と低電圧電源11との間にはスイッチSWが取り付けられており、スイッチSWの入り切りによって、静電スプレー装置10を運転/停止できるようになっている。

0041

静電スプレー装置10は、ノズル16を更に備えている。ノズル16は、金属を初めとする各種の導電体や、プラスチックゴムセラミックなどの非導電体からなり、その先端から噴霧用組成物の吐出が可能な形状をしている。ノズル16内には噴霧用組成物が流通する微小空間が、該ノズル16の長手方向に沿って形成されている。この微小空間の横断面の大きさは、直径で表して100μm以上1000μm以下であることが好ましい。ノズル16は、管路17を介してマイクロギヤポンプ14と連通している。管路17は導電体でもよく、あるいは非導電体でもよい。また、ノズル16は、高電圧電源12と電気的に接続されている。これによって、ノズル16に高電圧を印加することが可能になっている。この場合、ノズル16に人体が直接触れた場合に過大な電流が流れることを防止するために、ノズル16と高電圧電源12とは、電流制限抵抗19を介して電気的に接続されている。

0042

管路17を介してノズル16と連通しているマイクロギヤポンプ14は、容器15中に収容されている噴霧用組成物をノズル16に供給する供給装置として機能する。マイクロギヤポンプ14は、低電圧電源11から電源の供給を受けて動作する。また、マイクロギヤポンプ14は、補助的電気回路13による制御を受けて所定量の噴霧用組成物をノズル16に供給するように構成されている。

0043

マイクロギヤポンプ14には、フレキシブル管路18を介して容器15が接続されている。容器15中には噴霧用組成物が収容されている。容器15は、カートリッジ式交換可能な形態をしていることが好ましい。

0044

以上の構成を有する静電スプレー装置10は、例えば図2に示すように使用することができる。図2には、片手把持できる寸法を有するハンディタイプの静電スプレー装置10が示されている。同図に示す静電スプレー装置10は、図1に示す構成図の部材のすべてが円筒形筐体20内に収容されている。筐体20の長手方向の一端10aには、ノズル(図示せず)が配置されている。ノズルは、その組成物の吹き出し方向を、筐体20の縦方向と一致させて、被膜形成対象物である肌側に向かい凸状になるように該筐体20に配置されている。ノズル先端が筐体20の縦方向においてに被膜形成対象物に向かい凸状になるように配置されていることによって、筐体に噴霧用組成物が付着しにくくなり、安定的に被膜を形成することができる。

0045

被膜形成対象物が使用者の自身の皮膚である場合、静電スプレー装置10を動作させるときには、使用者、すなわち静電スプレーによって自己の皮膚に被膜を形成する者が該装置10を手で把持し、ノズル(図示せず)が配置されている該装置10の一端10aを、静電スプレーを行う対象部位に向ける。図2では、使用者の前腕部内側に静電スプレー装置10の一端10aを向けている状態が示されている。この状態下に、装置10のスイッチをオンにして静電スプレー法を行う。装置10に電源が入ることで、ノズルと皮膚との間には電界が生じる。図2に示す実施形態では、ノズルに正の高電圧が印加され、皮膚が負極となる。ノズルと皮膚との間に電界が生じると、ノズル先端部の噴霧用組成物は、静電誘導によって分極してその先端部分がコーン状になり、コーン先端から帯電した噴霧用組成物の液滴が電界に沿って、皮膚に向かって空中に吐出される。空間に吐出され且つ帯電した噴霧用組成物から溶媒である成分(a)が蒸発していくと、噴霧用組成物表面の電荷密度が過剰となり、クーロン反発力によって微細化を繰り返しながら空間に広がり、皮膚に到達する。この場合、噴霧用組成物の粘度を適切に調整することで、噴霧された該組成物を液滴の状態で皮膚に到達させることができる。あるいは、空間に吐出されている間に、溶媒である揮発性物質の成分(a)を該組成物から揮発させ、溶質である被膜形成能を有するポリマーを固化させつつ、電位差によって伸長変形させながら繊維を形成し、その繊維を皮膚の表面に堆積させることもできる。例えば、噴霧用組成物の粘度を高めると、該組成物を繊維の形態で皮膚の表面に堆積させやすい。これによって、繊維の堆積物からなる被膜が皮膚の表面に形成される。繊維の堆積物からなる被膜は、ノズルと皮膚との間の距離や、ノズルに印加する電圧を調整することでも形成することが可能である。

0046

静電スプレー法を行っている間は、被膜形成対象物である皮膚とノズルとの間に高い電位差が生じている。しかし、インピーダンスが非常に大きいので、人体を流れる電流は極めて微小である。例えば通常の生活下において生じる静電気によって人体に流れる電流よりも、静電スプレー法を行っている間に人体に流れる電流の方が数桁小さいことを、本発明者は確認している。

0047

静電スプレー法によって繊維の堆積物を形成する場合、該繊維の太さは、円相当直径で表した場合、10nm以上であることが好ましく、50nm以上であることが更に好ましい。また3000nm以下であることが好ましく、1000nm以下であることが更に好ましい。繊維の太さは、例えば走査型電子顕微鏡(SEM)観察によって、繊維を10000倍に拡大して観察し、その二次元画像から欠陥(繊維の塊、繊維の交差部分、液滴)を除き、繊維を任意に10本選び出し、繊維の長手方向に直交する線を引き、繊維径を直接読み取ることで測定することができる。

0048

静電スプレー法によって形成された繊維の堆積物である被膜は、構成する繊維の表面側に、成分(c)が存在する液剤担持被膜を有している。繊維の表面側とは、表面あるいは、表面の一部、繊維間を意味する。噴霧用組成物における成分(c)の含有量が、ポリマーと成分(c)との親和性にも依存するが、概ね1質量%以上であれば、構成する繊維が膨潤して柔らかくなり肌への追従性が高まり、更に構成する繊維の中から成分(c)がブリードアウトし易く、構成する繊維と繊維どうしの間に前記液剤担持被膜が形成され易く、一方、噴霧用組成物における成分(c)の含有量が1質量%未満であれば、構成する繊維の表面に前記液剤担持被膜が形成されにくい。このように被膜を構成する繊維に前記液剤担持被膜が形成されると、被膜形成対象物である皮膚との密着性が高まり、被膜が透明化する傾向にあり、自然な見た目に近づく。本発明において、透明又は半透明な被膜とは、被膜が被膜形成対象物に形成された状態で、例えば、被膜対象物がヒトの皮膚である場合には、被膜を通して被膜形成対象物であるヒトの皮膚の色、好ましくは細かな模様等を視認することができる状態をいい、皮膚の色等を肉眼で確認でき、好ましくは皮膚の皮丘等の細かな構造を肉眼で視認できる状態であり、被膜の存在がわかりにくいことがより好ましい。なお、半透明な被膜の場合、被膜が皮膚等の被膜形成対象物の表面への存在をわかりにくくする観点から、被膜の色は白色であることが好ましく、例えば透明又は白色の対象物に静電スプレーした場合のL値は、好ましくは80以上であり、より好ましくは90以上であり、同様の観点から、a値、b値は好ましくは−20〜30であり、より好ましくは−10〜20であり、さらに好ましくは0〜10である。なおL値はCIE1976(L*,a*,b*) 色空間(CIELAB)に定められた値であり、100が白色、0が黒色である。更に、密着の持続性が高まることから被膜形成対象物である皮膚の保湿性、或いは皮膚の状態改善に効果的である。

0049

被膜形成対象物が皮脂などを含む皮膚の場合、繊維中に成分(c)が複合されることで、繊維が膨潤し可塑化しやすくなる。例えば、同じ溶液組成物を、水分や油分を含まない金属表面と、水分や油分を含む肌表面、例えば手のひらに対して5秒間静電スプレーして薄膜を作製した場合、繊維径の変化を経時観察すると、肌表面に静電スプレーされた繊維は、金属表面に静電スプレーされた繊維よりも、膨潤により経時で大径化する。このように、静電スプレーにより形成された、繊維を含む被膜が、皮膚中の油分や水分で可塑化して一層柔らかくなることで、繊維そのものの皮膚のキメへの追従性が向上し、また繊維から液剤、即ち成分(c)がブリードアウトして、繊維表面や繊維と繊維の間に存在することで、繊維を含む被膜が半透明または透明化し、見た目の自然さが付与される。被膜形成対象物が汗や皮脂などを含む皮膚の場合、膨潤による繊維径は以下の(1)式を満たす。
(皮膚に対して紡糸し、30秒後の繊維径)>(金属板に対して紡糸し、30秒後の繊維径)・・・(1)

0050

静電スプレー法によって形成された繊維の堆積物である被膜あるいは噴霧用組成物における、成分(c)と成分(b)の合計量に対する成分(c)の質量比((c)/((b)+(c)))の値は、被膜の密着性と被膜の外観を向上する観点から、好ましくは0.05以上であり、より好ましくは0.08以上であり、更に好ましくは0.1以上であり、静電スプレーによる被膜の形成性の観点から、好ましくは0.75以下であり、より好ましくは0.7以下であり、更に好ましくは0.55以下である。同様な観点から、被膜あるいは噴霧用組成物における、成分(c)と成分(b)の合計量に対する成分(c)の質量比((c)/((b)+(c)))は、0.05以上0.75以下であることが好ましく、0.08以上0.7以下であることが更に好ましく、0.1以上0.55以下であることが一層好ましい。((c)/((b)+(c)))の値が上記の範囲内であれば、繊維が形成されやすく、静電スプレーにより形成された被膜表面のべた付きが抑制され、被膜の感触が向上する。

0051

噴霧用組成物である成分(a)、成分(b)及び成分(c)の含有量は以下のようにして測定する。揮発性物質である成分(a)は形成された被膜に存在せず、又は存在しても揮発するため、形成された被膜には成分(b)及び成分(c)のみが含有される状態で測定し、その含有量は以下のようにして測定する。

0052

<噴霧用組成物の成分(a)、成分(b)及び成分(c)の含有量の測定法
溶液状態にて液体クロマトグラフHPLC)による分離同定や、赤外分光光度計(IR)にて同定する方法がある。液体クロマトグラフでは、分子量の大きい成分から溶出するため、分子量の予測や、成分の溶出位置によって組成を同定することもできる。IR分析では個々の吸収体より官能基帰属し同定することも可能であり、一般的には市販添加剤標準チャートと成分のIRチャートを比較することで同定することが可能である。

0053

<形成された被膜における成分(b)及び成分(c)の含有量の測定法>
被膜を溶解可能な溶媒の探索を行い、溶媒に被膜を溶解後、液体クロマトグラフ(HPLC)による分離同定や、赤外分光光度計(IR)にて同定する。

0054

被膜を形成する前記繊維は、製造の原理上は無限長の連続繊維となるが、少なくとも繊維の太さの100倍以上の長さを有することが好ましい。例えば、形成された被膜は、成分(b)を含む、好ましくは10μm以上の長さ、より好ましくは50μm以上の長さ、さらに好ましくは100μm以上の長さの繊維を含有することが好ましい。本明細書においては、繊維の太さの100倍以上の長さを有する繊維のことを「連続繊維」と定義する。繊維の断面形状は好ましくは円形、又は楕円形であり、繊維の太さは円形の場合は直径、楕円形の場合は長径の長さである。そして、静電スプレー法によって製造される被膜は、1本又は2本以上の連続繊維の堆積物からなる多孔性不連続被膜であることが好ましい。このような形態の被膜は、繊維自体が柔軟でやわらかいため、集合体として1枚のシートとして扱えるだけでなく、非常に柔らかい特徴を持っており、それに剪断力が加わってもばらばらになりにくく、身体の動きへの追従性に優れるという利点がある。また、被膜の完全除去が容易であるという利点もある。これに対して、細孔を有さない連続被膜は剥離が容易でなく、また汗の放散性が低いので、皮膚に蒸れが生じる虞がある。また、粒子の集合体からなる多孔性の不連続被膜は、被膜を完全に除去するために、被膜全体に摩擦をかける等の動作が必要となるなど、皮膚へのダメージなく完全除去することは困難である。

0055

さらに、本発明は、噴霧用組成物が成分(c)を含有することにより、形成された被膜は、繊維同士が交差する部分において結合する結合部を含むことが好ましい。前述の結合部を含む場合は、被膜を皮膚の表面に形成した場合に、当該皮膚を含む身体の動きへの追随性が良好になり密着性を向上することができる。なお、前記結合部は、繊維同士が粘着しているレベルでもよいし完全に結合しているものであってもよい。前記結合部はSEMの画像により確認することができる。

0056

静電スプレー装置10を用いた静電スプレー工程において、静電スプレーされ繊維状となった噴霧用組成物は、成分(a)が蒸発しながら、成分(b)及び成分(c)が帯電した状態で皮膚に直接到達する。先に述べたとおり皮膚も帯電しているので、繊維は静電力によって一枚の膜の形態で皮膚に密着する。皮膚の表面には肌理等の微細な凹凸が形成されているので、その凹凸によるアンカー効果と相まって繊維は一枚の膜の形態で皮膚の表面に一層密着する。このようにして静電スプレーが完了したら、静電スプレー装置10の電源を切る。これによってノズルと皮膚との間の電界が消失し、皮膚の表面は電荷固定化される。その結果、一枚の膜の形態の被膜の密着性が一層発現し、着用中に被膜の際からの剥離がし難く、使用中の耐久性が向上する。また、被膜を構成する繊維が成分(c)を含有しているので、皮膚に別途液体を塗布しなくても、皮膚に被膜を十分に密着させることができる。この理由としては、成分(c)が繊維中に存在することで、可塑効果により繊維自体が柔らかくなり微細な凹凸面への追従性が高まることや、成分(c)が繊維表面にブリードアウトすることで繊維と皮膚との間を液体架橋するためと考えられる。更に、被膜を構成する繊維の繊維間又は繊維の表面に成分(c)が存在する液剤担持被膜を有しているので、被膜を構成する繊維が光を反射し難く、被膜の見た目が透明となり易く、見た目が自然な状態で皮膚を被覆できる。

0057

ノズルと皮膚との間の距離は、ノズルに印加する電圧にも依存するが、50mm以上、150mm以下であることが、被膜を首尾よく形成するうえで好ましい。ノズルと皮膚との間の距離は、一般的に用いられる非接触式センサ等で測定することができる。

0058

静電スプレー法によって形成された被膜が多孔性のものであるか否かを問わず、被膜の坪量は、0.1g/m2以上であることが好ましく、1g/m2以上であることが更に好ましい。また50g/m2以下であることが好ましく、40g/m2以下であることが更に好ましい。例えば被膜の坪量は、0.1g/m2以上50g/m2以下であることが好ましく、1g/m2以上40g/m2以下であることが更に好ましい。被膜の坪量をこのように設定することで、被膜の密着性を向上させることができる。

0059

以上の説明は、被膜形成対象物である皮膚に被膜を直接形成しているが、被膜形成対象物は、皮膚以外の、例えば自動車ボディー或いはシステムキッチン等を構成するステンレス食器などの金属部分やセラミックスであってもよい。被膜形成対象物は、従来のように、基台に膜を形成してから対象物に膜を付着させる場合の基台ではなく、噴霧させて直接被膜を形成する対象物である。従って、被膜形成対象物の表面は、大小の凹凸のある表面や、曲げ伸ばし等の動く対象物、うねりのある表面であっても、本発明の被膜は高い密着性と、優れた外観を得ることができる。被膜形成対象物としては、例えば、湾曲部分や段差のある食器、車、微細な凹凸や細孔のある壁、あるいは、皮膚、爪などが挙げられ、より好適には皮膚、爪であり、更に好適には皮膚である。

0060

被膜形成対象物が皮膚である場合、本発明の被膜製造方法は、人体の手術治療又は診断方法を目的としない各種の美容方法として有用なものである。例えば本発明の被膜製造方法を、美容の目的で、皮膚の美白、皮膚のシミ隠蔽、皮膚のくすみ・くまの隠蔽、皮膚の皺の隠蔽、皮膚のぼかし、紫外線からの皮膚の保護、皮膚の保湿に適用することができる。これ以外に、家庭内個人的に行う皮膚の保護のための各種の行為、例えば擦過傷切創裂創及び刺創等の各種の創傷の保護、褥瘡の防止、などに本発明の被膜製造方法を適用することもできる。形成された被膜は、関節等の皮膚の伸び縮みの程度が大きい部位や、肩などの曲率の大きい部位に被膜を形成しても、その剥離や破れ等が生じにくくなる。

0061

以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。例えば前記実施形態においては、自己の皮膚に被膜を形成させたい者が静電スプレー装置10を把持し、該装置10のノズルとその者の皮膚との間に電界を生じさせたが、両者間に電界が生じる限り、自己の皮膚に被膜を形成させたい者が静電スプレー装置10を把持する必要はない。また、図2に示すように、静電スプレー装置10は、ヒトの手で把持可能な装置であるが、ヒトの手で把持可能なスプレーノズルを備える操作部を有する静電スプレー装置であってもよい。

0062

上述した実施形態に関し、本発明は更に以下の被膜の製造方法を開示する。
<1>
被膜形成対象物の表面に被膜を形成する被膜の製造方法であって、前記被膜形成対象物に組成物を直接に静電スプレーして繊維を含む堆積物からなる被膜を形成する静電スプレー工程を具備し、前記組成物が、以下の成分(a)、成分(b)及び成分(c)を含む、被膜の製造方法。(a)水、アルコール及びケトンからなる群より選択される1種又は2種以上の揮発性物質。(b)被膜形成能を有するポリマー。(c)20℃で液体の油及びポリオールから選択される1種又は2種以上を含有する液剤。

0063

<2>
前記被膜は、構成する前記繊維の表面側に、前記成分(c)が存在する液剤担持被膜を有している、前記<1>に記載の被膜の製造方法。
<3>
前記被膜あるいは噴霧用組成物における、前記成分(b)と前記成分(c)の合計量に対する前記成分(c)の質量比((c)/((b)+(c)))の値が、好ましくは0.05以上0.75以下であり、より好ましくは0.08以上0.7以下である、前記<1>又は<2>に記載の被膜の製造方法。
<4>
前記被膜あるいは噴霧用組成物における、成分(b)と成分(c)の合計量に対する成分(c)の質量比((c)/((b)+(c)))の値が、好ましくは0.1以上0.55以下である、前記<1>又は<2>に記載の被膜の製造方法。
<5>
前記成分(c)が、炭化水素油、エステル油、シリコーン油、高級アルコール、及びポリオールから選択される1種又は2種以上の物質である、前記<1>ないし<4>のいずれか一に記載の被膜の製造方法。
<6>
前記静電スプレー工程において、静電スプレー装置を用いて前記被膜形成対象物に前記組成物を静電スプレーして、繊維の堆積物からなる被膜を形成し、前記静電スプレー装置が、前記組成物を収容する容器と、前記組成物を吐出するノズルと、前記容器中に収容されている前記組成物を前記ノズルに供給する供給装置と、前記ノズルに電圧を印加する電源とを備える前記<1>ないし<5>のいずれか一に記載の被膜の製造方法。

0064

<7>
前記成分(a)の揮発性物質は、その蒸気圧が20℃において0.01kPa以上106.66kPa以下であり、好ましくは0.13kPa以上66.66kPa以下であり、更に好ましくは0.67kPa以上40.00kPa以下であり、より一層好ましくは1.33kPa以上40.00kPa以下である、前記<1>ないし<6>のいずれか一に記載の被膜の製造方法。
<8>
前記成分(a)の揮発性物質は、アルコールを含有し、好ましくは一価の鎖式脂肪族アルコール、一価の環式脂肪族アルコール、及び一価の芳香族アルコールから選ばれる1種又は2種以上を含有し、より好ましくは、エタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、フェニルエチルアルコール、プロパノール、及びペンタノールから選ばれる1種又は2種以上を含有する、前記<1>ないし<7>のいずれか一に記載の被膜の製造方法。
<9>
前記成分(a)の揮発性物質が、(a1)エタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコールから選ばれる1種又は2種以上と、(a2)水の混合液であり、好ましくは成分((a2)と成分(a1)の質量比(a2)/(a1)が0.0025以上0.3以下である、前記<1>ないし<8>のいずれか一に記載の被膜の製造方法。
<10>
前記成分(a)の揮発性物質は、ケトンを含有し、好ましくはアセトン、メチルエチルケトン、及びメチルイソブチルケトンから選ばれる1種又は2種以上を含有する、前記<1>ないし<9>のいずれか一に記載の被膜の製造方法。
<11>
前記成分(a)の揮発性物質は、(a1)エタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、及び(a2)水から選ばれる1種又は2種以上であり、好ましくはエタノール、及びブチルアルコールから選ばれる1種又は2種及び(a2)水であり、より好ましくは(a1)エタノール及び(a2)水である、前記<1>ないし<10>のいずれか一に記載の被膜の製造方法。

0065

<12>
被膜形成能を有するポリマーは水溶性ポリマーを含有し、好ましくは、前記水溶性である被膜形成能を有するポリマーは、プルラン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ポリ−γ−グルタミン酸、変性コーンスターチ、β-グルカン、グルコオリゴ糖、ヘパリン、
ケラト硫酸等のムコ多糖、セルロース、ペクチン、キシラン、リグニン、グルコマンナン、ガラクツロン酸、サイリウムシードガム、タマリンド種子ガム、アラビアガム、トラガントガム、大豆水溶性多糖、アルギン酸、カラギーナン、ラミナラン、寒天(アガロース)、フコイダン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の天然高分子、部分鹸化ポリビニルアルコール(架橋剤と併用しない)、低鹸化ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレンオキサイド、及びポリアクリル酸ナトリウムから選ばれる1種又は2種以上である、前記<1>ないし<11>のいずれか一に記載の被膜の製造方法。
<13>
成分(b)被膜形成能を有するポリマーは水不溶性ポリマーを含有し、前記水不溶性である被膜形成能を有するポリマーは、被膜形成後に不溶化処理できる完全鹸化ポリビニルアルコール、架橋剤と併用することで被膜形成後に架橋処理できる部分鹸化ポリビニルアルコール、オキサゾリン変性シリコーン、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、ツエイン、ポリエステル、ポリ乳酸(PLA)、ポリアクリロニトリル樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、及びポリアミドイミド樹脂から選ばれる1種又は2種以上であり、より好ましくは成分(b)は水不溶性ポリマーである、前記<1>ないし<12>のいずれか一に記載の被膜の製造方法。
<14>
前記成分(c)である20℃で液体の油は、20℃において液状の炭化水素油、エステル油、シリコーン油、及び高級アルコールから選ばれる1種又は2種以上であり、好ましくはエステル油、及び高級アルコールから選ばれる1種又は2種以上であり、より好ましくはエステル油から選ばれる1種又は2種以上を含有する、前記<1>ないし<13>のいずれか一に記載の被膜の製造方法。
<15>
前記成分(c)が、炭化水素油、エステル油、シリコーン油、及びポリオールから選択される1種又は2種以上である、前記<1>ないし<13>のいずれか一に記載の被膜の製造方法。
<16>
前記成分(c)である20℃で液体の油は、好ましくは20℃において液状の炭化水素油、エステル油、シリコーン油、及び高級アルコールから選ばれる1種又は2種以上であり、より好ましくは20℃において液状の炭化水素油、エステル油、及びシリコーン油から選ばれる1種又は2種以上を含む、前記<1>ないし<14>のいずれか一に記載の被膜の製造方法。
<17>
前記成分(c)である20℃で液体の炭化水素油は、流動パラフィン、スクワラン、スクワレン、n−オクタン、n−ヘプタン、シクロヘキサン、軽質イソパラフィン、及び流動イソパラフィンから選ばれる1種又は2種以上であり、好ましくは流動パラフィン、及びスクワランから選ばれる1種又は2種である、前記<14>ないし<16>のいずれか一に記載の被膜の製造方法。
<18>
前記炭化水素油の30℃における粘度は、好ましくは10mPa・s以上であり、より好ましくは30mPa・s以上である、前記<14>ないし<17>のいずれか一に記載の被膜の製造方法。

0066

<19>
30℃において粘度が10mPa・s未満である、イソドデカン、イソヘキサデカン、及び水添ポリイソブテンの前記組成物中の含有量は、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは5質量%以下であり、更に好ましくは1質量%以下であり、より更に好ましくは0.5質量%以下であるか、または、好ましくは前記組成物は30℃において粘度が10mPa・s未満である、イソドデカン、イソヘキサデカン、及び水添ポリイソブテンを含有しない、前記<1>ないし<18>のいずれか一に記載の被膜の製造方法。
<20>
前記成分(c)である20℃で液体のエステル油は、HLB値が10以下のエステル化合物であり、脂肪酸エステル、脂肪酸アルコールエステル、多価アルコールエステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルから選ばれる1種又は2種以上である、前記<14>又は<16>に記載の被膜の製造方法。
<21>
前記成分(c)である20℃で液体のエステル油は、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12−ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ジ2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリット、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2−エチルヘキサノエート、2−エチルヘキシルパルミテート、ナフタレンジカルボン酸ジエチルヘキシル、安息香酸(炭素数12〜15)アルキル、イソノニルイソノナノエート、セテアリルイソノナノエート、トリ(カプリル酸・カプリン酸)グリセリン、(ジカプリル酸/カプリン酸)ブチレングリコール、トリラウリン酸グリセリル、トリミリスチン酸グリセリル、トリパルミチン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリ2−ヘプチルウンデカン酸グリセリル、トリベヘン酸グリセリル、トリヤシ油脂肪酸グリセリル、トリオレイン酸グリセリル、トリリノール酸グリセリル、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オレイル、パルミチン酸2−ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ2−ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、アジピン酸イソブチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジ2−エチルヘキシル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、アジピン酸2−ヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸ジ2−エチルヘキシル、クエン酸トリエチル、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、ジピバリン酸トリプロピレングリコールから選ばれる1種又は2種以上である、前記<20>に記載の被膜の製造方法。
<22>
前記成分(c)である20℃で液体のエステル油の脂肪酸エステル、脂肪酸アルコールエステル、多価アルコールエステル、及びグリセリン脂肪酸エステルは、好ましくはミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸ミリスチル、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、セテアリルイソノナノエート、アジピン酸イソブチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジ2−エチルヘキシル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、安息香酸(炭素数12〜15)アルキル、イソノニルイソノナノエート、トリ(カプリル酸・カプリン酸)グリセリン、トリアシルグリセライドから選ばれる1種又は2種以上であり、より好ましくはミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、リンゴ酸ジイソステアリル、セバシン酸ジエチル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、安息香酸(炭素数12〜15)アルキル、イソノニルイソノナノエート、トリ(カプリル酸・カプリン酸)グリセリン、及びトリアシルグリセライドから選ばれる1種又は2種以上である、前記<21>に記載の被膜の製造方法。
<23>
前記成分(c)である20℃で液体のエステル油のポリグリセリン脂肪酸エステルは、HLB値が10以下である、イソステアリン酸ポリグリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、トリイソステアリン酸ポリグリセリル、ステアリン酸ポリグリセリル、オレイン酸ポリグリセリル、及びセスキカプリン酸ポリグリセリルから選ばれる1種又は2種以であり、より好ましくはジイソステアリン酸ポリグリセリルである前記<20>に記載の被膜の製造方法。

0067

<24>
前記成分(c)である20℃で液体のエステル油のソルビタン脂肪酸エステルは、HLB値が10以下である、モノステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、ヤシ油脂肪酸ソルビタンから選ばれる1種又は2種以上である、前記<20>に記載の被膜の製造方法。
<25>
前記成分(c)である20℃で液体のシリコーン油は、ジメチルポリシロキサン、ジメチルシクロポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、高級アルコール変性オルガノポリシロキサンから選ばれる1種又は2種以上である、前記<14>又は<16>に記載の被膜の製造方法。
<26>
前記シリコーン油の組成物中の含有量は、10質量%以下、好ましくは5質量%以下、更に好ましくは1質量%以下、より更に好ましくは0.1質量%以下であり、
25℃における前記シリコーン油の動粘度は、3mm2/s以上、好ましくは4mm2/s以上、更に好ましくは5mm2/s以上であり、30mm2/s以下、好ましくは20mm2/s以下、更に好ましくは10mm2/s以下であり、
前記シリコーン油はジメチルポリシロキサンを含む、前記<25>に記載の被膜の製造方法。
<27>
前記成分(c)である20℃で液体の高級アルコールは、炭素数12〜20の液状の高級アルコールであり、前記高級アルコールは、分岐脂肪酸あるいは不飽和脂肪酸の高級アルコールから選ばれる1種又は2種以上であり、好ましくはイソステアリルアルコール、及びオレイルアルコールから選ばれる1種又は2種である、前記<14>又は<16>に記載の被膜の製造方法。

0068

<28>
前記成分(c)であるポリオールは、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、数平均分子量が1000以下のポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、及びトリグリセリンから選ばれる1種又は2種以上であり、好ましくは数平均分子量が600以下のエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、及びジグリセリンから選ばれる1種又は2種以上であり、より好ましくはプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、グリセリン、及びジプロピレングリコールから選ばれる1種又は2種以上である、前記<1>ないし<27>のいずれか一に記載の被膜の製造方法。
<29>
前記成分(c)の20℃で液体の油及びポリオールは、炭化水素油、エステル油、シリコーン油、及び高級アルコールから選ばれる20℃で液体の油、並びにアルキレングリコール、ポリアルキレングリコール、グリセリン及びトリグリセリンから選ばれるポリオールから選択される1種又は2種以上の物質であり、好ましくは、流動パラフィン、スクワラン、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、リンゴ酸ジイソステアリル、セバシン酸ジエチル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、安息香酸(炭素数12〜15)アルキル、イソノニルイソノナノエート、トリ(カプリル酸・カプリン酸)グリセリン、トリアシルグリセライド、HLB値が10以下である、イソステアリン酸ポリグリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、トリイソステアリン酸ポリグリセリル、ステアリン酸ポリグリセリル、オレイン酸ポリグリセリル、セスキカプリン酸ポリグリセリル、イソステアリン酸ポリグリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、トリイソステアリン酸ポリグリセリル、ステアリン酸ポリグリセリル、オレイン酸ポリグリセリル、セスキカプリン酸ポリグリセリル、ジメチルポリシロキサン、数平均分子量が600以下のエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、及びジグリセリンから選ばれる1種又は2種以上である、前記<1>ないし<28>のいずれか一に記載の被膜の製造方法。
<30>
前記成分(a)が(a1)エタノールと(a2)水を含み、成分(b)が完全鹸化ポリビニルアルコール、部分鹸化ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール樹脂、(アクリル酸アルキル・オクチルアミド)共重合体、オキサゾリン変性シリコーン、ポリエステル及びツエインから選ばれる1種又は2種以上であり、成分(c)が炭化水素油、エステル油、シリコーン油、及びポリオールから選ばれる1種又は2種以上である、前記<1>ないし<29>のいずれか一に記載の被膜の製造方法。
<31>
前記成分(a)が(a1)エタノールと(a2)水を含み、成分(b)がポリビニルブチラール樹脂、(アクリル酸アルキル・オクチルアミド)共重合体から選ばれる1種又は2種以上であり、成分(c)が炭化水素油、エステル油、シリコーン油、及びポリオールから選ばれる1種又は2種以上である、前記<1>ないし<29>のいずれか一に記載の被膜の製造方法。
<32>
前記組成物における前記成分(a)の含有量は、好ましくは50質量%以上98質量%以下であり、より好ましくは55質量%以上96質量%以下であり、更に好ましくは60質量%以上94質量%以下である、前記<1>ないし<31>のいずれか一に記載の被膜の製造方法。
<33>
成分(c)以外の油は、前記組成物中の含有量が、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは8質量%以下であり、さらに好ましくは6質量%以下である、前記<1>ないし<32>のいずれか一に記載の被膜の製造方法。
<34>
前記組成物における前記成分(b)の含有量は、好ましくは2質量%以上50質量%以下であり、より好ましくは4質量%以上45質量%以下であり、更に好ましくは6質量%以上40質量%以下である、前記<1>ないし<33>のいずれか一に記載の被膜の製造方法。

0069

<35>
前記組成物における前記成分(c)の含有量は、好ましくは0.5質量%以上30質量%以下であり、より好ましくは1質量%以上25質量%以下であり、更に好ましくは1.5質量%以上20質量%以下である、前記<1>ないし<34>のいずれか一に記載の被膜の製造方法。
<36>
前記組成物における成分(a)の含有量が55質量%以上96質量%以下であり、成分(b)の含有量が4質量%以上45質量%以下であり、成分(c)の含有量が1質量%以上25質量%以下であり、より好ましくは1.5質量%以上20質量%以下である、前記<1>ないし<35>のいずれか一に記載の被膜の製造方法。
<37>
前記組成物中には、前記成分(a)、前記成分(b)及び前記成分(c)のみが含まれているか、あるいは、該成分(a)、該成分(b)及び該成分(c)に加えて他の成分が含まれており、
前記他の成分は、着色顔料、体質顔料、染料、HLB値が10超の界面活性剤、UV防御剤、香料、忌避剤、酸化防止剤、安定剤、防腐剤、制汗剤、各種ビタミンである、前記<1>ないし<36>のいずれか一に記載の被膜の製造方法。
<38>
前記組成物中の前記他の成分の配合割合は、0.1質量%以上30質量%以下、好ましくは0.5質量%以上20質量%以下である、前記<37>に記載の被膜の製造方法。
<39>
前記組成物は、その粘度が、25℃において、1mPa・s以上、好ましくは10mPa・s以上、更に好ましくは50mPa・s以上であり、また、25℃において、5000mPa・s以下、好ましくは2000mPa・s以下、更に好ましくは1500mPa・s以下であり、好ましくは1mPa・s以上5000mPa・s以下であり、より好ましくは10mPa・s以上2000mPa・s以下である、更に好ましくは50mPa・s以上1500mPa・s以下である、前記<1>ないし<38>のいずれか一に記載の被膜の製造方法。

0070

<40>
前記被膜形成対象物がヒトの皮膚の表面である、前記<1>ないし<39>のいずれか一に記載の被膜の製造方法。
<41>
前記被膜は、被膜の形成後に被膜を通して皮膚の色を視認できる透明又は半透明である、前記<40>に記載の被膜の製造方法。
<42>
前記組成物は20℃で液状であって、前記繊維は前記液状の組成物が静電スプレーされて形成される、前記<1>ないし<41>のいずれか一に記載の被膜の製造方法。
<43>
前記被膜を形成する繊維が連続繊維である、前記<1>ないし<42>のいずれか一に記載の被膜の製造方法。
<44>
前記被膜は、形成する繊維の交差する部分における結合部を含む、前記<1>ないし<43>のいずれか一に記載の被膜の製造方法。
<45>
前記被膜形成対象物がヒトの皮膚であり、静電スプレーにより皮膚に繊維を含む堆積物からなる透明又は半透明の被膜を形成するための前記<1>ないし<44>のいずれか一に記載の被膜の製造方法のための前記組成物の使用。
<46>
前記被膜形成対象物がヒトの皮膚であり、前記組成物の前記<1>ないし<44>に記載のいずれか一に記載の静電スプレーによる被膜の製造のための使用。
<47>
前記静電スプレーに用いる装置が、ヒトの手で把持可能な静電スプレー装置又はヒトの手で把持可能なスプレーノズルを備える操作部を有する静電スプレー装置である、前記<1>ないし<44>のいずれか一に記載の被膜の製造方法。

0071

以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。特に断らない限り、「%」は「質量%」を意味する。

0072

〔実施例1〕
(1)噴霧用組成物の調製 噴霧用組成物の成分(a)としてエタノール(和光純薬工業(株)社製:商品名エタノール(99.5))を用いた。噴霧用組成物の成分(b)としてポリビニルブチラール(積水化学工業(株)社製:商品名S−LEC B BM−1)を用いた。噴霧用組成物の成分(c)としてグリセリン(花王(株)社製:商品名化粧品用濃グリセリン)を用いた。噴霧用組成物における配合割合は、表1及び2に示すとおりである。なお、表1及び2に示すエタノール及びグリセリンの量は、有効量であり水を含まない。
(2)静電スプレー工程
図1に示す構成を有し、図2に示す外観を有する静電スプレー装置10を用い、直接皮膚に向けて静電スプレー法を20秒間行った。静電スプレー法の条件は以下に示すとおりとした。
印加電圧:10kV
・ノズルと皮膚との距離:100mm
・噴霧用組成物の吐出量:5ml/h
・環境:25℃、30%RH
この静電スプレーによって、皮膚の表面に繊維の堆積物からなる一枚の膜の形態である被膜が形成された。被膜は直径約4cmの円であり、質量は約3.8mgであった。上述した方法で測定された繊維の太さは660nmであった。

0073

〔実施例2〜実施例5〕
噴霧用組成物における成分(a)、(b)及び(c)を、以下の表1に示す条件とした以外は実施例1と同様にして、静電スプレー工程を行い、繊維の堆積物からなる被膜を得た。

0074

〔実施例6〜実施例10〕
噴霧用組成物における成分(c)をジイソステアリン酸ポリグリセリル—2(日清オイリグループ株式会社製:商品名コスモール42V)に変更し、以下の表1に示す条件とした以外は実施例1と同様にして、静電スプレー工程を行い、繊維の堆積物からなる被膜を得た。

0075

〔実施例11〕
噴霧用組成物における成分(a)を実施例1に用いたエタノールに1−ブタノール(和光純薬工業(株)社製:商品名 1Butanol)を更に加えたものに変更し、成分(b)を(アクリル酸アルキル・オクチルアクリルアミドコポリマー(Akzonobel社製:商品名DERACRYL 79)に変更し、成分(c)をジイソステアリン酸ポリグリセリル—10(マツモトファインケミカル株式会社製:商品名マツネートMI−102)に変更し、以下の表1に示す条件とした以外は実施例1と同様にして、静電スプレー工程を行い、繊維の堆積物からなる被膜を得た。

0076

〔比較例1〕
噴霧用組成物に成分(c)を含有しない以外は、実施例1と同様にして、静電スプレー工程を行い、繊維の堆積物からなる被膜を得た。

0077

〔比較例2〕
噴霧用組成物に成分(c)を含有せず、成分(a)を実施例1に用いたエタノールに1−ブタノール(和光純薬工業(株)社製:商品名 1Butanol)を更に加えたものに変更し、成分(b)を(アクリル酸アルキル・オクチルアクリルアミド)コポリマー(Akzonobel社製:商品名DERMACRYL 79)に変更する以外は、実施例1と同様にして、静電スプレー工程を行い、繊維の堆積物からなる被膜を得た。

0078

〔評価〕
実施例及び比較例で形成された被膜について、皮膚との密着性、被膜の外観を、以下の基準で評価した。その結果を表1に示す。

0079

<皮膚との密着性>
1:静電スプレー工程での紡糸直後から被膜がほぼすべて剥離する。
2:静電スプレー工程での紡糸直後では被膜が貼り着くが、静止状態30分後に被膜面積の50%以上が剥離する。
3:静電スプレー工程での紡糸直後では被膜が貼り着くが、静止状態30分後に被膜面積の50%未満が剥離する。
4:静電スプレー工程での紡糸後、静止状態で30分間は被膜が貼り着くが、指で平行方向に剪断力を与えると剥離する。
5:静電スプレー工程での紡糸後、静止状態で30分間は被膜が貼り着き、指で平行方向に剪断力を与えても剥離しない。

0080

<被膜の外観>
1:被膜の外観が白く見える。
2:被膜の外観が白に近い半透明に見える。
3:被膜の外観が半透明に見える。
4:被膜の外観が薄い半透明に見える。
5:被膜の外観が透明に見える。

0081

0082

〔実施例12〕
実施例3の噴霧用組成物を用いて、実施例1の静電スプレー工程にて、以下に示す対象物(d)及び(e)に静電スプレー法を5秒間行った。付着してから30秒経過後の繊維の堆積物からなる被膜を得た。
(d)手のひら
(e)100mm×100mm×10mmのアルミ金属板表面

0083

〔実施例13〕
実施例7の噴霧用組成物を用いて、実施例12と同様にして静電スプレー工程を行い繊維の堆積物からなる被膜を得た。

0084

〔実施例14〕
噴霧用組成物における成分(a)、(b)、(c)を、以下の表1に示す条件とした以外は実施例12と同様にして、静電スプレー工程を行い、繊維の堆積物からなる被膜を得た。

0085

〔比較例3〕
比較例1の噴霧用組成物を用いて、実施例1の静電スプレー工程にて、実施例12と同様にして、静電スプレー工程を行い、繊維の堆積物からなる被膜を得た。

0086

〔評価〕
対象物(d)と(e)に静電スプレーして30秒間付着させた後に、被膜を剥がし、走査型電子顕微鏡(SEM)観察によって、繊維径を直接読み取ることで平均繊維径を得た。繊維の太さは、走査型電子顕微鏡(SEM)観察によって、繊維を10000倍に拡大して観察し、その二次元画像から欠陥(繊維の塊、繊維の交差部分、液滴)を除き、繊維を任意に10本選び出し、繊維の長手方向に直交する線を引き、繊維径を直接読み取ることで測定した。(1)式を満たす場合は皮膚との密着性や被膜の外観が良好となり、(2)式を満たす場合は皮膚と密着しにくく、外観も白く不自然な状態であった。結果を表2に示す。
(d)の平均繊維径>(e)の平均繊維径・・・(1)
(d)の平均繊維径≦(e)の平均繊維径・・・(2)

0087

0088

表1及び表2に示す結果から明らかなとおり、各実施例の方法によって形成された被膜は、比較例の方法によって形成された被膜に比べて、皮膚との密着性が高く、透明性が高いことが認められた。

0089

〔実施例15〜実施例28〕
表3、表4に示す噴霧用組成物について、実施例1と同様にして、静電スプレー工程を行い、繊維堆積物からなる被膜を得た。実施例1と同様にして、皮膚との密着性、被膜の外観の評価と、下記の被膜の感触の評価を行った。評価結果を表3及び表4に示す。

0090

<被膜の感触>
実施例15〜実施例28の被膜について、被膜形成後30分後の被膜を指で押したときの感触を以下の評価基準により評価した。評価は3名で行い、協議の結果を表3に示す。1:べとべとする
2:ややべとつく
3:しっとりした感触
4:なめらか
5:すべるようになめらか
—:密着性の評価が5未満

0091

※1 KF−96A- 63CS(信越化学工業株式会社製)
※2エステモールN-01(日清オイリオグループ株式会社製)
※3 サラコス99(日清オイリオグループ株式会社製)

0092

0093

実施例23、25〜28の被膜の形成に使用した噴霧組成物の粘度を下記の条件で測定した。該粘度の測定結果と、実施例23、25〜28の被膜の密着性及び感触の評価を表5に示す。
表5に示す実施例26、28の被膜は、皮膚との密着性が高くしっとりした感触の被膜であるが、ややタック力があり、成分(b)が完全に乾燥せずにタック力が発現したことによる感触であると考えられる。一方、成分(b)に対して成分(c)の含有量が多い実施例27の被膜は、皮膚との密着性が高くややべとつく感触であり、成分(c)に由来するべとつきであると考えられる。
粘度の測定条件は、噴霧組成物を調製後1日25℃にて保存後、25℃において、E型粘度計(VisconicEMD、東京計器株式会社製)により、ローターNo.43を用い、回転数は1280mPa・s以上の場合は1rpm、128mPa・s以上1280mPa・s未満の場合は10rpm、128mPa・s未満の場合は100rpmとした。

0094

0095

実施例3の被膜と、比較例1の被膜のSEM画像を各々図3図4に示す。SEM画像は、被膜形成をしてから30分経過後、金蒸着処理し、加速電圧10kV、5000倍の条件で電子顕微鏡(JEOL、JSM−6510)により観察し撮影した画像である。図3に示すように実施例3の被膜には繊維同士の交差部分に結合している結合点の存在が認められる。

0096

〔実施例29〕
表6に記載の噴霧組成物について、実施例1と同様にして、静電スプレー工程を行い、繊維堆積物からなる被膜を得た。実施例1と同様にして、被膜の外観の評価を行った。評価結果を表6に示す。

実施例

0097

表6に示す結果から明らかなとおり、実施例29の被膜は、外観が半透明であった。

0098

10静電スプレー装置
11低電圧電源
12高電圧電源
13補助的電気回路
14マイクロギヤポンプ
15容器
16ノズル
17管路
18フレキシブル管路
19電流制限抵抗
20 筐体

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