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技術 液体脱墨剤、脱墨方法、及び再生紙の製造方法

出願人 花王株式会社
発明者 池田康司濱田義人
出願日 2017年8月21日 (3年4ヶ月経過) 出願番号 2017-158429
公開日 2019年3月7日 (1年9ヶ月経過) 公開番号 2019-035173
状態 未査定
技術分野 紙(4)
主要キーワード 保管容器内 脱インキ剤 PO付加体 資源ゴミ 手すきシート ピッチドパドル 硫酸ばんど アルカリ薬剤
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2019年3月7日)のものです。
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課題

脱墨温度によらず優れた発泡性能脱墨性能を発揮し、低温時でも固化しない高濃度液体脱墨剤を提供する。

解決手段

下記一般式(1)で表される化合物を含有する、液体脱墨剤。 R1−O−(PO)p−[(EO)q/(PO)r]−(PO)s−H (1)〔式中、R1は炭素数12以上22以下のアルキル基又はアルケニル基、EOはエチレンオキシ基、POはプロピレンオキシ基、qはEOの平均付加モル数、p、r、sはそれぞれ独立にPOの平均付加モル数、[(EO)q/(PO)r]はEOとPOのランダム付加であって、pは1以上15以下、qは30以上60以下、rは16以上35以下、sは1以上10以下の数である。〕

概要

背景

情報媒体包装容器など、様々な用途に古くから紙は利用されている。一度利用しただけでゴミとして処分してしまっては資源無駄遣いであり、古紙を資源ゴミとして回収することはゴミ量の削減にもなり、環境意識の高まりとともに回収され、再生利用される古紙の量も増えている。しかし、紙の色が比較的白い印刷用紙や新聞用紙用途で古紙パルプを利用するには、紙に印刷されているインキを取り除いて、古紙を再生する必要がある。このインキを取り除くために行われる工程を脱墨と呼び、脱墨工程で使用される薬剤として多くの脱墨剤が開発されており、工業的には主としてフローテーション法と呼ばれる方法でインキを取り除いている。この方法は、インキをあらかじめ細かな粒子状にして分散させ、気泡の表面に吸着させてパルプとインキを分離することで、効率的に脱墨する方法であり、洗浄、必要に応じて漂白し、脱墨パルプとする。そして、脱墨パルプは木材パルプなどと一緒に、抄紙されることでさまざまな紙として再生される。このフローテーション法では、発泡量と泡へのインキの吸着のバランスを取ることで、脱墨パルプの歩留まり白色度等の性能をバランスさせてきた。

従来、脱墨剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテルが広く使用されている。ポリオキシエチレンアルキルエーテルの脱墨性能を向上させたり、或いは各脱墨工程に必要とされる機能を数種類付与させて脱墨剤で対応させたりするために、付加させるアルキレンオキサイドの種類、付加順序付加モル数などを調整することが行われている。

例えば、特許文献1には、オキシエチレン基オキシプロピレン基とが所定の構造で結合した非イオン界面活性剤を含有するフローテーション用脱墨剤が記載されている。

特許文献2には、下記一般式(I)で表される化合物を含有する古紙再生用脱墨剤が記載されている。
R-O-X-H (I)
(式中、R は1個の水酸基を有する化合物から水酸基を除いた残基を表し、Xは3基以上のブロック配列基と1基以上のランダム配列基とを含むアルキレンオキサイド基であり、当該ランダム配列基の両末端がブロック配列基と隣接しており、且つ、前記ブロック配列基の各々は
(1) [E]:付加モル数が1以上のエチレンオキサイドブロック配列基又は
(2) [As]:付加モル数が1以上のCsH2sO(s ≧3)ブロック配列基
から選ばれ、且つ前記3基以上のブロック配列基は、少なくとも1基の[E] と[As]を含み、また、前記ランダム配列基は、
(3) [E/As]:エチレンオキサイドとCsH2sO (s≧3)のランダム配列基又は
(4) [As/As']:CsH2sO とCs'H2s'O(s,s'≧3、s ≠s')とのランダム配列基
から選ばれる。)

特許文献3には、下記一般式(I)で表される化合物を含有する古紙再生用脱墨剤が記載されている。
R1-O-(CxH2xO)l(AO)m(CyH2yO)n-H (I)
〔式中、
R1:炭素数8〜24の1価高級アルコール又は炭素数6〜16の直鎖もしくは分岐アルキル基もしくはアルケニル基を有するアルキルフェノールから水酸基を除いた残基
AO:エチレンオキサイド基を必須として含む炭素数2〜4の1種類以上のアルキレンオキサイド基がブロックまたはランダムに配列する基
x,y :それぞれ3又は4で、同一でも異なっていてもよい
l :1≦l ≦300
m :50<m ≦300
n :1≦n ≦300
を意味する。〕

特許文献4には、故紙アルカリ薬剤および界面活性剤とともに離解して脱墨するにさいし、高級アルコールにプロピレンオキサイド、次いでエチレンオキサイドを付加して製造した特定の化合物と、脂肪酸塩とを所定の割合で配合して行う故紙の脱墨処理方法が記載されている。

概要

脱墨温度によらず優れた発泡性能と脱墨性能を発揮し、低温時でも固化しない高濃度液体脱墨剤を提供する。下記一般式(1)で表される化合物を含有する、液体脱墨剤。 R1−O−(PO)p−[(EO)q/(PO)r]−(PO)s−H (1)〔式中、R1は炭素数12以上22以下のアルキル基又はアルケニル基、EOはエチレンオキシ基、POはプロピレンオキシ基、qはEOの平均付加モル数、p、r、sはそれぞれ独立にPOの平均付加モル数、[(EO)q/(PO)r]はEOとPOのランダム付加であって、pは1以上15以下、qは30以上60以下、rは16以上35以下、sは1以上10以下の数である。〕なし

目的

特開2015−196932号公報
特開平7−324292号公報
特開平7−3681号公報
特公昭51−13762号公報






前記の通り、脱墨パルプの製造では、工業的には主としてフローテーション法が採用されているが、脱墨パルプの製造現場では、フローテーション法を行う温度が一定ではなく、フローテーション温度に依存せずに安定な効果が得られる脱墨剤が望まれている

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

下記一般式(1)で表される化合物を含有する、液体脱墨剤。R1−O−(PO)p−[(EO)q/(PO)r]−(PO)s−H(1)〔式中、R1は炭素数12以上22以下のアルキル基又はアルケニル基、EOはエチレンオキシ基、POはプロピレンオキシ基、qはEOの平均付加モル数、p、r、sはそれぞれ独立にPOの平均付加モル数、[(EO)q/(PO)r]はEOとPOのランダム付加であって、pは1以上15以下、qは30以上60以下、rは16以上35以下、sは1以上10以下の数である。〕

請求項2

一般式(1)中、p+r+sは17以上50以下である、請求項1記載の液体脱墨剤。

請求項3

一般式(1)中、q/rは1.4以上3.0以下である、請求項1又は2に記載の液体脱墨剤。

請求項4

一般式(1)中、q/(p+r+s)は1.0以上2.1以下である、請求項1から3のいずれかに記載の液体脱墨剤。

請求項5

請求項1から4のいずれかに記載の液体脱墨剤を用いる、脱墨方法

請求項6

請求項5記載の脱墨方法を製造工程に含む、再生紙の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、液体脱墨剤、脱墨方法、及び再生紙の製造方法に関する。

背景技術

0002

情報媒体包装容器など、様々な用途に古くから紙は利用されている。一度利用しただけでゴミとして処分してしまっては資源無駄遣いであり、古紙を資源ゴミとして回収することはゴミ量の削減にもなり、環境意識の高まりとともに回収され、再生利用される古紙の量も増えている。しかし、紙の色が比較的白い印刷用紙や新聞用紙用途で古紙パルプを利用するには、紙に印刷されているインキを取り除いて、古紙を再生する必要がある。このインキを取り除くために行われる工程を脱墨と呼び、脱墨工程で使用される薬剤として多くの脱墨剤が開発されており、工業的には主としてフローテーション法と呼ばれる方法でインキを取り除いている。この方法は、インキをあらかじめ細かな粒子状にして分散させ、気泡の表面に吸着させてパルプとインキを分離することで、効率的に脱墨する方法であり、洗浄、必要に応じて漂白し、脱墨パルプとする。そして、脱墨パルプは木材パルプなどと一緒に、抄紙されることでさまざまな紙として再生される。このフローテーション法では、発泡量と泡へのインキの吸着のバランスを取ることで、脱墨パルプの歩留まり白色度等の性能をバランスさせてきた。

0003

従来、脱墨剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテルが広く使用されている。ポリオキシエチレンアルキルエーテルの脱墨性能を向上させたり、或いは各脱墨工程に必要とされる機能を数種類付与させて脱墨剤で対応させたりするために、付加させるアルキレンオキサイドの種類、付加順序付加モル数などを調整することが行われている。

0004

例えば、特許文献1には、オキシエチレン基オキシプロピレン基とが所定の構造で結合した非イオン界面活性剤を含有するフローテーション用脱墨剤が記載されている。

0005

特許文献2には、下記一般式(I)で表される化合物を含有する古紙再生用脱墨剤が記載されている。
R-O-X-H (I)
(式中、R は1個の水酸基を有する化合物から水酸基を除いた残基を表し、Xは3基以上のブロック配列基と1基以上のランダム配列基とを含むアルキレンオキサイド基であり、当該ランダム配列基の両末端がブロック配列基と隣接しており、且つ、前記ブロック配列基の各々は
(1) [E]:付加モル数が1以上のエチレンオキサイドブロック配列基又は
(2) [As]:付加モル数が1以上のCsH2sO(s ≧3)ブロック配列基
から選ばれ、且つ前記3基以上のブロック配列基は、少なくとも1基の[E] と[As]を含み、また、前記ランダム配列基は、
(3) [E/As]:エチレンオキサイドとCsH2sO (s≧3)のランダム配列基又は
(4) [As/As']:CsH2sO とCs'H2s'O(s,s'≧3、s ≠s')とのランダム配列基
から選ばれる。)

0006

特許文献3には、下記一般式(I)で表される化合物を含有する古紙再生用脱墨剤が記載されている。
R1-O-(CxH2xO)l(AO)m(CyH2yO)n-H (I)
〔式中、
R1:炭素数8〜24の1価高級アルコール又は炭素数6〜16の直鎖もしくは分岐アルキル基もしくはアルケニル基を有するアルキルフェノールから水酸基を除いた残基
AO:エチレンオキサイド基を必須として含む炭素数2〜4の1種類以上のアルキレンオキサイド基がブロックまたはランダムに配列する基
x,y :それぞれ3又は4で、同一でも異なっていてもよい
l :1≦l ≦300
m :50<m ≦300
n :1≦n ≦300
を意味する。〕

0007

特許文献4には、故紙アルカリ薬剤および界面活性剤とともに離解して脱墨するにさいし、高級アルコールにプロピレンオキサイド、次いでエチレンオキサイドを付加して製造した特定の化合物と、脂肪酸塩とを所定の割合で配合して行う故紙の脱墨処理方法が記載されている。

先行技術

0008

特開2015−196932号公報
特開平7−324292号公報
特開平7−3681号公報
特公昭51−13762号公報

発明が解決しようとする課題

0009

前記の通り、脱墨パルプの製造では、工業的には主としてフローテーション法が採用されているが、脱墨パルプの製造現場では、フローテーション法を行う温度が一定ではなく、フローテーション温度に依存せずに安定な効果が得られる脱墨剤が望まれている。
また、作業性、保管時のエネルギー消費低減及び保管・輸送を効率化する観点から、冬季等の低温時でも固化しない高濃度の液体脱墨剤が望まれている。
本発明は、脱墨温度によらず優れた発泡性能と脱墨性能を発揮し、低温時でも固化しない高濃度の液体脱墨剤を提供する。

課題を解決するための手段

0010

本発明は、下記一般式(1)で表される化合物を含有する、液体脱墨剤に関する。
R1−O−(PO)p−[(EO)q/(PO)r]−(PO)s−H (1)
〔式中、R1は炭素数12以上22以下のアルキル基又はアルケニル基、EOはエチレンオキシ基、POはプロピレンオキシ基、qはEOの平均付加モル数、p、r、sはそれぞれ独立にPOの平均付加モル数、[(EO)q/(PO)r]はEOとPOのランダム付加であって、pは1以上15以下、qは30以上60以下、rは16以上35以下、sは1以上10以下の数である。〕

0011

また、本発明は、前記本発明の液体脱墨剤を用いる、脱墨方法に関する。

0012

また、本発明は、前記本発明の脱墨方法を製造工程に含む、再生紙の製造方法に関する。

発明の効果

0013

本発明によれば、脱墨温度によらず優れた発泡性能と脱墨性能を発揮し、低温時でも固化しない高濃度の液体脱墨剤、並びにこれを用いた脱墨方法及び再生紙の製造方法が提供される。

0014

本発明の液体脱墨剤は、脱墨温度に影響されず広い温度範囲において、低添加量でフローテーション時の発泡量が多く、インク除去効率が高いため、白色度が高い脱墨パルプを得ることができ、また、高濃度でありながら低温時でも固化しないため、脱墨パルプ製造において安定操業や工程の簡略化といった作業性を向上できる。
本発明に係る脱墨方法における効果の作用メカニズムの詳細は定かではないが、以下のように考えられる。
フローテーション法による脱墨のメカニズムは、紙を繊維状に解してパルプとし、パルプ表面及びパルプ間に吸着するインキを脱墨剤によってパルプから分離させ、脱墨剤と共にインキを泡に吸着させることで、インキを泡と共に系外に排出し、除去するものである。脱墨剤に求められる主性能はインキをパルプから分離することであり、さらに泡界面へインキと共に吸着する性能が高いものがより良い脱墨剤となる。発泡しやすい条件であれば、発泡性能が低くても脱墨剤として有効に機能するが、古紙の対象が雑誌古紙である、脱墨装置の構造の関係上発泡しにくい、といった発泡しにくい条件においては、インク分離性能に加えて強い発泡性が必要となる。また、脱墨は連続処理で行われるため、冷却あるいは加熱して温度制御しないとパルプスラリーの温度が変化してしまい最適な脱墨条件を維持することが困難である。一般的には循環ポンプが発する熱の影響で、経時的にパルプスラリーの温度が上昇するため、特に脱墨性能が高い非イオン界面活性剤の場合、非イオン界面活性剤特有曇点の影響で、経時的に発泡性が低下してしまう。本発明では、式(1)の化合物の分子構造が広い温度範囲において発泡性とインク吸着性に好適な構造であるため、脱墨剤として上記式(1)の化合物を含有させることにより脱墨温度によらず優れた発泡性能と脱墨性能を発揮する脱墨剤が得られると推定される。特に、上記式(1)の化合物は、分子構造中の全体のEOとPOのバランス、ランダム付加した部位のEOとPOのバランス及び末端のPO付加により、フローテーション時の泡が安定化し、効率よくインクを吸着でき、効率よく脱墨処理ができるものと推定される。
また、式(1)の化合物の分子構造には、EOのみが付加した構造が少ないあるいは短いことから、EOブロックに由来する融点の低下が起こらず、低い温度でも固化せず液体状態を維持できるものと推定される。そのため、本発明の脱墨剤は、冬季等の低温下でも保管容器内固体とはならず、作業性に優れ、液体化するために溶剤等で希釈する必要がなく、高濃縮可能、すなわち使用時に低添加量で性能を発揮できる。

0015

<液体脱墨剤>
本発明の液体脱墨剤は、下記一般式(1)で表される化合物〔以下、化合物(1)という〕を含有する。本発明の液体脱墨剤は、化合物(1)の1種又は2種以上を含有することができる。
R1−O−(PO)p−[(EO)q/(PO)r]−(PO)s−H (1)
〔式中、R1は炭素数12以上22以下のアルキル基又はアルケニル基、EOはエチレンオキシ基、POはプロピレンオキシ基、qはEOの平均付加モル数、p、r、sはそれぞれ独立にPOの平均付加モル数、[(EO)q/(PO)r]はEOとPOのランダム付加であって、pは1以上15以下、qは30以上60以下、rは16以上35以下、sは1以上10以下の数である。〕

0016

一般式(1)中、R1は、炭素数12以上22以下のアルキル基又はアルケニル基であって、脱墨性向上及び発泡性向上の観点から、好ましくはアルキル基である。また、R1は、直鎖でも分岐鎖でもよいが、同様の観点から、好ましくは直鎖である。R1の炭素数は、同様の観点から、12以上であり、好ましくは14以上、より好ましくは16以上であり、そして、22以下であり、好ましくは20以下、より好ましくは18以下である。R1の炭素数は、好ましくは14以上22以下、より好ましくは16以上20以下、更に好ましくは16以上18以下、より更に好ましくは18である。

0017

一般式(1)中、pは、プロピレンオキシ基POの平均付加モル数であって、1以上15以下の数である。脱墨性向上及び高温時の発泡性向上の観点から、pは、1以上であり、好ましくは2以上、より好ましくは3以上、そして、15以下であり、好ましくは10以下、より好ましくは8以下である。

0018

一般式(1)中、[(EO)q/(PO)r]は、EOとPOがランダムに結合していることを意味する。
一般式(1)中、qは、ランダムに付加したエチレンオキシ基EOの平均付加モル数であって、30以上60以下の数である。発泡性向上の観点から、qは、30以上であり、好ましくは35以上、より好ましくは45以上、そして、60以下であり、好ましくは57以下、より好ましくは55以下である。
一般式(1)中、rは、ランダムに付加したプロピレンオキシ基POの平均付加モル数であって、16以上35以下の数である。低温時の脱墨性向上及び低温時の液体状態保持の観点から、rは、16以上であり、好ましくは18以上、より好ましくは20以上、そして、低温時の脱墨性向上の観点から、35以下であり、好ましくは33以下、より好ましくは30以下である。

0019

一般式(1)中、sは、プロピレンオキシ基POの平均付加モル数であって、1以上10以下の数である。脱墨性向上及び高温時の発泡性向上の観点から、pは、1以上であり、好ましくは1.2以上、より好ましくは1.5以上、そして、10以下であり、好ましくは5以下、より好ましくは2以下である。

0020

一般式(1)中、p+r+sは、脱墨性向上及び発泡性向上の観点から、好ましくは17以上、より好ましくは20以上、更に好ましくは22以上、そして、好ましくは50以下、より好ましくは40以下、更に好ましくは32以下である。

0021

一般式(1)中、q/rは、脱墨性向上及び発泡性向上の観点から、好ましくは1.4以上、より好ましくは1.9以上、更に好ましくは2.1以上、そして、好ましくは3.0以下、より好ましくは2.8以下、更に好ましくは2.6以下である。

0022

一般式(1)中、q/(p+r+s)は、脱墨性向上及び発泡性向上の観点から、好ましくは1.0以上、より好ましくは1.3以上、更に好ましくは1.5以上、そして、好ましくは2.10以下、より好ましくは2.05以下、更に好ましくは2.0以下である。

0023

化合物(1)は、R1−OHで表されるアルコールに、pモルのPOを付加させた後にqモルのEOとrモルのPOとをランダムに付加させ、更にsモルのPOを付加させることで製造できる。化合物(1)は、POのブロック重合部分である(PO)p、EOとPOのランダム共重合部分である[(EO)q/(PO)r]、及びPOのブロック重合部分である(PO)sを有する。

0024

化合物(1)は、液体であることが好ましい。例えば、化合物(1)は、0℃以上25℃以下のいわゆる常温において、更に、25℃において、更に、25℃及び5℃において、液体であることが好ましい。

0025

本発明の脱墨剤は液体である。例えば、本発明の脱墨剤は、0℃以上25℃以下のいわゆる常温において、更に、25℃において、更に、25℃及び5℃において、液体である。0℃以上25℃以下で固体の脱墨剤では、冬季等の低温では固化した状態となり、使用前に加熱して溶解させる必要があり作業性が著しく低下する。また、保管容器から配管を通して脱墨処理装置へ輸送する場合に配管内で固化してしまい輸送できず、操業できない状態に陥る恐れがある。また、前記温度で固体であっても水や溶剤等で希釈し液状にすれば使用しやすくなるが、脱墨性能に関与しない水や溶剤で希釈するため、見かけ有効分が減少し、輸送コストや保管コストを増加させてしまう。本発明の脱墨剤は、前記の温度条件でも液体であるため、このような問題が生じない。

0026

本発明の液体脱墨剤は、化合物(1)からなるものであってもよい。また、本発明の液体脱墨剤は、化合物(1)と、化合物(1)以外の成分とを含有するものであってもよい。本発明の脱墨剤として、例えば、化合物(1)からなる液体脱墨剤が挙げられる。

0027

また、本発明の液体脱墨剤は、水を含有することができる。すなわち、本発明の液体脱墨剤として、化合物(1)と水とを含有する液体脱墨剤が挙げられる。この液体脱墨剤では、化合物(1)と水とが均一に混合されていることが好ましく、均一かつ透明であることがより好ましい。なお、液体脱墨剤が均一であるとは、目視にて混合物が一様であり、混合物中に境界が観察されない状態であることをいう。また、液体脱墨剤が透明であるとは、目視にて混合物を通して反対側が透けて確認できる状態であることをいう。
水は、工業用水水道水及び脱イオン水等を用いることができ、供給性及びコストの観点から、工業用水が好ましく、脱墨性の観点から、イオン交換水が好ましい。
化合物(1)と水とを含有する液体脱墨剤は、化合物(1)の含有量が、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、そして、好ましくは95質量%以下である。

0028

本発明の液体脱墨剤は、必要に応じて、従来から脱墨工程に用いられている、化合物(1)以外の成分を、本発明の性能に影響しない範囲内で含有することができる。例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル等の非イオン性界面活性剤アルキル硫酸エステル塩ポリオキシアルキレンアルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩高級脂肪酸及びその塩等の脱インキ剤苛性ソーダ珪酸ソーダ等のアルカリ薬剤;過酸化水素次亜塩素酸塩次亜硫酸塩等の漂白剤スケール防止剤ピッチコントロール剤消泡剤スライムコントロール剤等である。

0029

<脱墨方法>
本発明は、本発明の液体脱墨剤を用いる脱墨方法を提供する。本発明の脱墨方法では、脱墨性向上及び発泡性向上の観点から、古紙100質量部に対する化合物(1)の添加量が、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.03質量部以上、更に好ましくは0.05質量部以上、そして、好ましくは1.0質量部以下、より好ましくは0.5質量部以下、更に好ましくは0.3質量部以下である。

0030

本発明の脱墨方法は、フローテーション工程を含むことが好ましい。本発明の脱墨方法は、フローテーション工程を含む公知の方法に準じて行うことができる。本発明の脱墨方法は、例えば、フローテーション工程の他に、離解工程、漂白工程、ニーディング工程、洗浄工程、脱水工程、乾燥工程などを含むことができる。

0031

本発明において、本発明の液体脱墨剤を添加する工程は、フローテーション工程の前であることが好ましい。この場合、本発明の液体脱墨剤を添加する工程は、フローテーション工程の前であればいずれの工程であってもよく、脱墨性向上及び発泡性向上の観点から、好ましくは離解工程、漂白工程、及びニーディング工程から選ばれる1つ以上の工程で、より好ましくは少なくとも離解工程で添加することである。
ここで、フローテーション工程の前とは、フローテーション工程を行うための気泡をパルプスラリー中で発生させる前をいう。一般に、フローテーション工程は、フローテーターを用いて、パルプスラリーに空気を吹き込んで行われる。この場合、最初にパルプスラリー中に空気を吹き込む時点よりも前の時点がフローテーション工程の前である。

0032

<再生紙の製造方法>
本発明は、上記本発明の脱墨方法を製造工程に含む、再生紙の製造方法を提供する。すなわち、本発明の脱墨方法により得られた脱墨パルプから再生紙を製造することができる。再生紙の製造は、公知の方法に準じて行うことができる。

0033

以下の合成例、実施例、比較例において、特記しない限り「%」は「質量%」を意味する。

0034

<合成例1〜10>
合成例1(化合物1)
ステアリルアルコール(1モル、ナカライテスク株式会社製)と触媒量の水酸化カリウム(ナカライテスク株式会社製)をオートクレーブ仕込み窒素置換後、減圧下で脱水を行い系内の水分を0.2%以下とし、プロピレンオキシド(5モル)を125℃、0.3MPa以下で付加、熟成し、PO付加体を得た。引き続きエチレンオキシド/プロピレンオキシド混合物(49モル/20モル)を160℃、0.3MPa以下で付加、熟成し、PO−(EO/PO)付加体を得た。更にプロピレンオキシド(1モル)を125℃、0.3MPa以下で付加、熟成し、化合物1(PO−(EO/PO)−PO付加体)を得た。得られた化合物は、式(1)で表現すると、R1:炭素数18のアルキル基、p:5、q:49、r:20、s:1である。

0035

合成例2(化合物2)
ステアリルアルコール(1モル、ナカライテスク株式会社製)と触媒量の水酸化カリウム(ナカライテスク株式会社製)をオートクレーブに仕込み、窒素置換後、減圧下で脱水を行い系内の水分を0.2%以下とし、プロピレンオキシド(5モル)を125℃、0.3MPa以下で付加、熟成し、PO付加体を得た。引き続きエチレンオキシド/プロピレンオキシド混合物(53モル/21モル)を160℃、0.3MPa以下で付加、熟成し、PO−(EO/PO)付加体を得た。更にプロピレンオキシド(2モル)を125℃、0.3MPa以下で付加、熟成し、化合物2(PO−(EO/PO)−PO付加体)を得た。得られた化合物は、式(1)で表現すると、R1:炭素数18のアルキル基、p:5、q:53、r:21、s:2である。

0036

合成例3(比較化合物:化合物3)
ステアリルアルコール(1モル、ナカライテスク株式会社製)と触媒量の水酸化カリウム(ナカライテスク株式会社製)をオートクレーブに仕込み、窒素置換後、減圧下で脱水を行い系内の水分を0.2%以下とし、エチレンオキシド/プロピレンオキシド混合物(49モル/20モル)を160℃、0.3MPa以下で付加、熟成し、PO−(EO/PO)付加体を得た。引き続きプロピレンオキシド(6モル)を125℃、0.3MPa以下で付加、熟成し、化合物3((EO/PO)−PO付加体)を得た。得られた化合物は、式(1)で表現すると、R1:炭素数18のアルキル基、p:0、q:49、r:20、s:6である。

0037

合成例4(比較化合物:化合物4)
ステアリルアルコール(1モル、ナカライテスク株式会社製)と触媒量の水酸化カリウム(ナカライテスク株式会社製)をオートクレーブに仕込み、窒素置換後、減圧下で脱水を行い系内の水分を0.2%以下とし、プロピレンオキシド(5モル)を125℃、0.3MPa以下で付加、熟成し、PO付加体を得た。引き続きエチレンオキシド(49モル)を160℃、0.3MPa以下で付加、熟成し、PO−EO付加体を得た。更にプロピレンオキシド(21モル)を125℃、0.3MPa以下で付加、熟成し、化合物4(PO−EO−PO付加体)を得た。得られた化合物は、式(1)で表現すると、R1:炭素数18のアルキル基、p:5、q:49、r:0、s:21である。

0038

合成例5(比較化合物:化合物5)
ステアリルアルコール(1モル、ナカライテスク株式会社製)と触媒量の水酸化カリウム(ナカライテスク株式会社製)をオートクレーブに仕込み、窒素置換後、減圧下で脱水を行い系内の水分を0.2%以下とし、プロピレンオキシド(6モル)を125℃、0.3MPa以下で付加、熟成し、PO付加体を得た。引き続きエチレンオキシド/プロピレンオキシド混合物(49モル/20モル)を160℃、0.3MPa以下で付加、熟成し、化合物5(PO−(EO/PO)付加体)を得た。得られた化合物は、式(1)で表現すると、R1:炭素数18のアルキル基、p:6、q:49、r:20、s:0である。

0039

合成例6(比較化合物:化合物6)
ステアリルアルコール(1モル、ナカライテスク株式会社製)と触媒量の水酸化カリウム(ナカライテスク株式会社製)をオートクレーブに仕込み、窒素置換後、減圧下で脱水を行い系内の水分を0.2%以下とし、プロピレンオキシド(15モル)を125℃、0.3MPa以下で付加、熟成し、PO付加体を得た。引き続きエチレンオキシド/プロピレンオキシド混合物(40モル/10モル)を160℃、0.3MPa以下で付加、熟成し、PO−(EO/PO)付加体を得た。更にプロピレンオキシド(3モル)を125℃、0.3MPa以下で付加、熟成し、化合物6(PO−(EO/PO)−PO付加体)を得た。得られた化合物は、式(1)で表現すると、R1:炭素数18のアルキル基、p:15、q:40、r:10、s:3である。

0040

合成例7(比較化合物:化合物7)
1−ドコサノール(1モル、東京化成工業株式会社製)と触媒量の水酸化カリウム(ナカライテスク株式会社製)をオートクレーブに仕込み、窒素置換後、減圧下で脱水を行い系内の水分を0.2%以下とし、プロピレンオキシド(2モル)を125℃、0.3MPa以下で付加、熟成し、PO付加体を得た。引き続きエチレンオキシド/プロピレンオキシド混合物(45モル/15モル)を160℃、0.3MPa以下で付加、熟成し、PO−(EO/PO)付加体を得た。更にプロピレンオキシド(20モル)を125℃、0.3MPa以下で付加、熟成し、化合物7(PO−(EO/PO)−PO付加体)を得た。得られた化合物は、式(1)で表現すると、R1:炭素数22のアルキル基、p:2、q:45、r:15、s:20である。

0041

合成例8(比較化合物:化合物8)
1−デカノール(1モル、東京化成工業株式会社製)と触媒量の水酸化カリウム(ナカライテスク株式会社製)をオートクレーブに仕込み、窒素置換後、減圧下で脱水を行い系内の水分を0.2%以下とし、プロピレンオキシド(5モル)を125℃、0.3MPa以下で付加、熟成し、PO付加体を得た。引き続きエチレンオキシド/プロピレンオキシド混合物(49モル/20モル)を160℃、0.3MPa以下で付加、熟成し、PO−(EO/PO)付加体を得た。更にプロピレンオキシド(1モル)を125℃、0.3MPa以下で付加、熟成し、化合物8(PO−(EO/PO)−PO付加体)を得た。得られた化合物は、式(1)で表現すると、R1:炭素数10のアルキル基、p:5、q:49、r:20、s:1である。

0042

合成例9(比較化合物:化合物9)
ステアリルアルコール(1モル、ナカライテスク株式会社製)と触媒量の水酸化カリウム(ナカライテスク株式会社製)をオートクレーブに仕込み、窒素置換後、減圧下で脱水を行い系内の水分を0.2%以下とし、プロピレンオキシド(6モル)を125℃、0.3MPa以下で付加、熟成し、PO付加体を得た。引き続きエチレンオキシド(55モル)を160℃、0.3MPa以下で付加、熟成し、PO−EO付加体を得た。更にプロピレンオキシド(17モル)を125℃、0.3MPa以下で付加、熟成し、化合物9(PO−EO−PO付加体)を得た。得られた化合物は、式(1)で表現すると、R1:炭素数18のアルキル基、p:6、q:55、r:0、s:17である。

0043

合成例10(比較化合物:化合物10)
ステアリルアルコール(1モル、ナカライテスク株式会社製)と触媒量の水酸化カリウム(ナカライテスク株式会社製)をオートクレーブに仕込み、窒素置換後、減圧下で脱水を行い系内の水分を0.2%以下とし、プロピレンオキシド(6モル)を125℃、0.3MPa以下で付加、熟成し、PO付加体を得た。引き続きエチレンオキシド(55モル)を160℃、0.3MPa以下で付加、熟成し、PO−EO付加体を得た。更にプロピレンオキシド(10モル)を125℃、0.3MPa以下で付加、熟成し、化合物10(PO−EO−PO付加体)を得た。得られた化合物は、式(1)で表現すると、R1:炭素数18のアルキル基、p:6、q:55、r:0、s:10である。

0044

合成例で得られた化合物1〜化合物10の構造等について、表1に示した。また、各化合物を、5℃及び25℃で1時間静置し、状態を目視観察した。結果を表1に示した。

0045

0046

<実施例1〜2及び比較例1〜6>
化合物1〜化合物8を脱墨剤として用いて、以下の脱墨性能評価を行った。

0047

<脱墨性能評価>
原料古紙
原料古紙としては質量比新聞紙チラシ=7/3で配合した混合古紙を用いた。
この古紙を、夏場劣化を想定し、80℃で5時間加熱し、熱劣化させて使用した。

0048

〔脱墨処理方法〕
脱墨処理は、下記に示す、離解工程、希釈工程、フローテーション工程、抄紙工程を、この順番で行った。

0049

〔離解工程〕
3L円筒容器内径150mm、ステンレス製)に、5cm角に裁断した原料古紙を100g(絶乾質量)に対して、表2中の各成分を添加(パルプ濃度4質量%)し、40℃あるいは60℃に加温し、攪拌機軸径15mm、羽根長35mm、羽根20mm、3枚ピッチドパドル邪魔板あり)を用いて3000rpmの回転数撹拌しながら、10分間、離解を行い、パルプスラリーを得た。
なお、表2中、水酸化ナトリウムと水は以下のものである。
水酸化ナトリウム:ナカライテスク株式会社製、JIS試薬特級
水:オルガノ株式会社製の純水装置G−10DSTSETで製造した1μS/cm以下の純水

0050

〔希釈工程〕
離解工程で得られたパルプスラリーに、パルプ濃度が1質量%になるように水を添加し、撹拌棒で1分間、攪拌した。水は、オルガノ株式会社製の純水装置G−10DSTSETで製造した1μS/cm以下の純水を用いた。

0051

〔フローテーション工程〕
デンバー型フローテーター(5L、極東振興株式会社製)を用い、希釈したパルプスラリー1L当たり毎分2.5Lの送気量で空気を吹き込み、離解工程での温度、すなわち40℃あるいは60℃を維持しながら5分間フローテーションを行った。フローテーション中、1分毎にフローテーションセル上に蓄積したインキを含んだ泡沫を除去した。フローテーション工程で除去した泡沫の総質量を測定した。結果を表2に示す。

0052

〔抄紙工程〕
フローテーション後のパルプスラリーを用いて、硫酸アルミニウム化学株式会社製、硫酸ばんど)をパルプ100質量部に対して有効分10質量部添加して混合し、ステンレス製金網(150メッシュ、直径160mm)で抄紙後のシートのパルプ坪量が100g/m2になるようにJIS P8209−1994に従い手すきシートを作製した。抄紙後のシートは、340kPaで2分間プレス機にてプレスし、2時間風乾した。乾燥したシートを23℃、湿度50%の条件で1日間調湿してから紙の白色度を以下の方法で測定した。
・白色度
分光光度計測色計Color Touch PC(Technidyne Corporation製)を用いて、紙のISO白色度を測定した。白色度の数値が大きいほど白いパルプであることを表す。原料の古紙の種類やロット、脱墨パルプ製造時の目標パルプ歩留まり等により、得られる脱墨パルプの白色度の絶対値が異なるが、同じ抄紙条件での比較で白色度が0.1%(0.1ポイント)異なることは大きな差異である。結果を表2に示す。

実施例

0053

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