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技術 脱墨方法、再生紙の製造方法、及び脱墨剤

出願人 花王株式会社
発明者 池田康司濱田義人
出願日 2017年8月21日 (3年4ヶ月経過) 出願番号 2017-158428
公開日 2019年3月7日 (1年9ヶ月経過) 公開番号 2019-035172
状態 未査定
技術分野 紙(4)
主要キーワード 液体苛性ソーダ 脱インキ剤 PO付加体 資源ゴミ 手すきシート ピッチドパドル 硫酸ばんど 再生量
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課題

適度な発泡と優れた脱墨性を有する脱墨方法を提供する。

解決手段

成分Aである下記式(1)に示す化合物及び成分Bである下記式(2)に示す化合物を、成分Cである水と混合し、フローテーション工程の前の工程に添加する、脱墨方法。 R1−O−[(PO)m(EO)n]−H (1)[式(1)において、R1は、炭素数12以上22以下のアルキル基又はアルケニル基、POはプロピレンオキシ基、mはPO基平均付加モル数であって20以上50以下の数、EOはエチレンオキシ基、nはEO基の平均付加モル数であって20以上55以下の数、mとnの比(m/n)が0.5以上2以下である。なお、POとEOはブロックでもランダムでもよく、付加する順番に限定はない。] R2−O−(EO)p−SO3M (2)[式(2)において、R2は、炭素数8以上22以下のアルキル基又はアルケニル基、EOはエチレンオキシ基、pはEO基の平均付加モル数であって0.5以上10以下の数、Mは陽イオン又は水素原子である。]

概要

背景

情報媒体包装容器など、様々な用途に古くから紙は利用されている。一度利用しただけでゴミとして処分してしまっては資源無駄遣いであり、古紙を資源ゴミとして回収することはゴミ量の削減にもなり、環境意識の高まりとともに回収され、再生利用される古紙の量も増えている。しかし、紙の色が比較的白い印刷用紙や新聞用紙用途で古紙パルプを利用するには、紙に印刷されているインキを取り除いて、古紙を再生する必要がある。このインキを取り除くために行われる工程を脱墨と呼び、脱墨工程で使用される薬剤として多くの脱墨剤が開発されており、工業的には主としてフローテーション法と呼ばれる方法でインキを取り除いている。この方法は、インキをあらかじめ細かな粒子状にして分散させ、気泡の表面に吸着させてパルプとインキを分離することで、効率的に脱墨する方法であり、洗浄、必要に応じて漂白し、脱墨パルプとする。そして、脱墨パルプは木材パルプなどと一緒に、抄紙されることでさまざまな紙として再生される。このフローテーション法では、発泡量と泡へのインキの吸着のバランスを取ることで、脱墨パルプの歩留まり白色度等の性能をバランスさせてきた。

一方、スマートフォンタブレットなど電子端末並びにネットワーク環境飛躍的な発展に伴い、新聞紙発行部数は激減している。そのため、これまで主流であり、均質な古紙としての新聞古紙の回収量が減り、インク除去性や発泡性の面で新聞古紙と比較して脱墨しにくい雑誌古紙比率増加傾向にある。この雑誌古紙は、発泡しにくく、発泡させるために発泡剤を多く必要とするが、インクを泡に吸着させる脱墨剤も同時に多く必要とするため、脱墨工程で使用される薬剤の使用量が多くなる傾向にあり、低添加量で効率よく脱墨できる脱墨剤が求められている。

また、インクの種類によって除去されやすさは異なり、紙に含まれるサイズ剤等の他の薬剤の影響で発泡量も大きく変化するため、脱墨処理する古紙に合わせて、脱墨剤、発泡剤及び消泡剤の添加量をそれぞれ調整する必要があった。近年、古紙の回収量及び再生量の増加に伴い、より生産効率の高い脱墨剤が求められ、脱墨パルプの白色度向上といった脱墨性能の向上に加え、安定操業や工程の簡略化といった作業性を向上できる脱墨剤及び脱墨方法が求められ、様々な検討が行われている。

例えば、特許文献1には、アルキレンオキシド末端硫酸基封鎖されたアニオン性脱墨剤と特定の構造を有するプロピレンエチレンブロック付加型の非イオン性脱墨剤を含有する古紙再生用脱墨剤が記載されている。
特許文献2には、古紙離解原料からインキを剥離するインキ剥離工程と剥離したインキを除去するインキ除去工程を含む脱墨方法において、インキ剥離工程にて、脱墨剤と脱墨剤の曇点を上昇させる助剤とを混合することにより、脱墨剤がインキ剥離工程の処理温度より0〜10℃低い曇点を有するようにしてインキ剥離を行なうことを特徴とする脱墨方法が記載されている。
特許文献3には、脱インキ剤非イオン界面活性剤およびアニオン界面活性剤を含有し、脱インキ剤の起泡力が、JISの方法(K3362)で測定した場合、泡高が100mm未満であり、pH7.0〜9.5で行われるインキ剥離工程で脱インキ剤を存在させる脱インキパルプの製造方法が記載されている。
特許文献4には、脱インキ剤が曇点15〜45℃の非イオン界面活性剤とアニオン界面活性剤を含有し、インキ剥離工程でpH7.0〜9.5にて脱インキ剤を存在させる脱インキパルプの製造方法が記載されている。

概要

適度な発泡と優れた脱墨性を有する脱墨方法を提供する。成分Aである下記式(1)に示す化合物及び成分Bである下記式(2)に示す化合物を、成分Cである水と混合し、フローテーション工程の前の工程に添加する、脱墨方法。 R1−O−[(PO)m(EO)n]−H (1)[式(1)において、R1は、炭素数12以上22以下のアルキル基又はアルケニル基、POはプロピレンオキシ基、mはPO基平均付加モル数であって20以上50以下の数、EOはエチレンオキシ基、nはEO基の平均付加モル数であって20以上55以下の数、mとnの比(m/n)が0.5以上2以下である。なお、POとEOはブロックでもランダムでもよく、付加する順番に限定はない。] R2−O−(EO)p−SO3M (2)[式(2)において、R2は、炭素数8以上22以下のアルキル基又はアルケニル基、EOはエチレンオキシ基、pはEO基の平均付加モル数であって0.5以上10以下の数、Mは陽イオン又は水素原子である。]なし

目的

本発明は、適度な発泡と優れた脱墨性を有する脱墨方法、再生紙の製造方法及び脱墨剤を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

成分Aである下記式(1)に示す化合物及び成分Bである下記式(2)に示す化合物を、成分Cである水と混合し、フローテーション工程の前の工程に添加する、脱墨方法。R1−O−[(PO)m(EO)n]−H(1)[式(1)において、R1は、炭素数12以上22以下のアルキル基又はアルケニル基、POはプロピレンオキシ基、mはPO基平均付加モル数であって20以上50以下の数、EOはエチレンオキシ基、nはEO基の平均付加モル数であって20以上55以下の数、mとnの比(m/n)が0.5以上2以下である。なお、POとEOはブロックでもランダムでもよく、付加する順番に限定はない。]R2−O−(EO)p−SO3M(2)[式(2)において、R2は、炭素数8以上22以下のアルキル基又はアルケニル基、EOはエチレンオキシ基、pはEO基の平均付加モル数であって0.5以上10以下の数、Mは陽イオン又は水素原子である。]

請求項2

成分A、成分B及び成分Cを混合し、均一にして添加する、請求項1記載の脱墨方法。

請求項3

成分A、成分B及び成分Cを混合した混合物が均一かつ透明である、請求項1又は2に記載の脱墨方法。

請求項4

古紙100質量部に対する成分Aと成分Bの合計添加量が0.01質量部以上0.5質量部以下である、請求項1〜3のいずれかに記載の脱墨方法。

請求項5

請求項1〜4のいずれかに記載の脱墨方法を製造工程に含む、再生紙の製造方法。

請求項6

下記成分Aを15質量%以上90質量%以下、下記成分Bを0.35質量%以上36質量%以下及び下記成分Cを含有し、成分Aと成分Bの質量比(A/B)が1.5以上100以下である、脱墨剤。成分A:下記式(1)に示す化合物R1−O−[(PO)m(EO)n]−H(1)[式(1)において、R1は、炭素数12以上22以下のアルキル基又はアルケニル基、POはプロピレンオキシ基、mはPO基の平均付加モル数であって20以上50以下の数、EOはエチレンオキシ基、nはEO基の平均付加モル数であって20以上55以下の数、mとnの比(m/n)が0.5以上2以下である。なお、POとEOはブロックでもランダムでもよく、付加する順番に限定はない。]成分B:下記式(2)に示す化合物R2−O−(EO)p−SO3M(2)[式(2)において、R2は、炭素数8以上22以下のアルキル基又はアルケニル基、EOはエチレンオキシ基、pはEO基の平均付加モル数であって0.5以上10以下の数、Mは陽イオン又は水素原子である。]成分C:水

請求項7

成分Cの含有量が25質量%以上75質量%以下である、請求項6に記載の脱墨剤。

請求項8

成分Aと成分Bの合計含有量が25質量%以上65質量%以下である、請求項6又は7のいずれかに記載の脱墨剤。

請求項9

さらに下記式(3)に示す化合物を含有する、請求項6〜8のいずれかに記載の脱墨剤。R3−O−(EO)q−H(3)[式(3)において、R3は、炭素数1以上6以下の炭化水素基、EOはエチレンオキシ基、qはEO基の付加モル数であって1以上5以下の整数である。]

技術分野

0001

本発明は、脱墨方法再生紙の製造方法、及び脱墨剤に関する。

背景技術

0002

情報媒体包装容器など、様々な用途に古くから紙は利用されている。一度利用しただけでゴミとして処分してしまっては資源無駄遣いであり、古紙を資源ゴミとして回収することはゴミ量の削減にもなり、環境意識の高まりとともに回収され、再生利用される古紙の量も増えている。しかし、紙の色が比較的白い印刷用紙や新聞用紙用途で古紙パルプを利用するには、紙に印刷されているインキを取り除いて、古紙を再生する必要がある。このインキを取り除くために行われる工程を脱墨と呼び、脱墨工程で使用される薬剤として多くの脱墨剤が開発されており、工業的には主としてフローテーション法と呼ばれる方法でインキを取り除いている。この方法は、インキをあらかじめ細かな粒子状にして分散させ、気泡の表面に吸着させてパルプとインキを分離することで、効率的に脱墨する方法であり、洗浄、必要に応じて漂白し、脱墨パルプとする。そして、脱墨パルプは木材パルプなどと一緒に、抄紙されることでさまざまな紙として再生される。このフローテーション法では、発泡量と泡へのインキの吸着のバランスを取ることで、脱墨パルプの歩留まり白色度等の性能をバランスさせてきた。

0003

一方、スマートフォンタブレットなど電子端末並びにネットワーク環境飛躍的な発展に伴い、新聞紙発行部数は激減している。そのため、これまで主流であり、均質な古紙としての新聞古紙の回収量が減り、インク除去性や発泡性の面で新聞古紙と比較して脱墨しにくい雑誌古紙比率増加傾向にある。この雑誌古紙は、発泡しにくく、発泡させるために発泡剤を多く必要とするが、インクを泡に吸着させる脱墨剤も同時に多く必要とするため、脱墨工程で使用される薬剤の使用量が多くなる傾向にあり、低添加量で効率よく脱墨できる脱墨剤が求められている。

0004

また、インクの種類によって除去されやすさは異なり、紙に含まれるサイズ剤等の他の薬剤の影響で発泡量も大きく変化するため、脱墨処理する古紙に合わせて、脱墨剤、発泡剤及び消泡剤の添加量をそれぞれ調整する必要があった。近年、古紙の回収量及び再生量の増加に伴い、より生産効率の高い脱墨剤が求められ、脱墨パルプの白色度向上といった脱墨性能の向上に加え、安定操業や工程の簡略化といった作業性を向上できる脱墨剤及び脱墨方法が求められ、様々な検討が行われている。

0005

例えば、特許文献1には、アルキレンオキシド末端硫酸基封鎖されたアニオン性脱墨剤と特定の構造を有するプロピレンエチレンブロック付加型の非イオン性脱墨剤を含有する古紙再生用脱墨剤が記載されている。
特許文献2には、古紙離解原料からインキを剥離するインキ剥離工程と剥離したインキを除去するインキ除去工程を含む脱墨方法において、インキ剥離工程にて、脱墨剤と脱墨剤の曇点を上昇させる助剤とを混合することにより、脱墨剤がインキ剥離工程の処理温度より0〜10℃低い曇点を有するようにしてインキ剥離を行なうことを特徴とする脱墨方法が記載されている。
特許文献3には、脱インキ剤非イオン界面活性剤およびアニオン界面活性剤を含有し、脱インキ剤の起泡力が、JISの方法(K3362)で測定した場合、泡高が100mm未満であり、pH7.0〜9.5で行われるインキ剥離工程で脱インキ剤を存在させる脱インキパルプの製造方法が記載されている。
特許文献4には、脱インキ剤が曇点15〜45℃の非イオン界面活性剤とアニオン界面活性剤を含有し、インキ剥離工程でpH7.0〜9.5にて脱インキ剤を存在させる脱インキパルプの製造方法が記載されている。

先行技術

0006

特開平6−257084号公報
特開2002−88670号公報
特開2007−314893号公報
特開2007−314894号公報

発明が解決しようとする課題

0007

近年、古紙の回収量及び再生量の増加並びに回収される古紙品質の変化に伴い、より生産効率の高い脱墨剤が求められ、また、脱墨パルプの白色度向上といった脱墨性能の向上に加え、安定操業や工程の簡略化といった作業性を向上できる脱墨剤及び脱墨方法が求められている。しかしながら、特許文献1〜4に記載の脱墨方法では、これらの課題をすべて解決することは困難であった。
本発明は、適度な発泡と優れた脱墨性を有する脱墨方法、再生紙の製造方法及び脱墨剤を提供する。

課題を解決するための手段

0008

本発明は、成分Aである下記式(1)に示す化合物及び成分Bである下記式(2)に示す化合物を、成分Cである水と混合し、フローテーション工程の前の工程に添加する、脱墨方法に関する。
R1−O−[(PO)m(EO)n]−H (1)
[式(1)において、R1は、炭素数12以上22以下のアルキル基又はアルケニル基、POはプロピレンオキシ基、mはPO基平均付加モル数であって20以上50以下の数、EOはエチレンオキシ基、nはEO基の平均付加モル数であって20以上55以下の数、mとnの比(m/n)が0.5以上2以下である。なお、POとEOはブロックでもランダムでもよく、付加する順番に限定はない。]
R2−O−(EO)p−SO3M (2)
[式(2)において、R2は、炭素数8以上22以下のアルキル基又はアルケニル基、EOはエチレンオキシ基、pはEO基の平均付加モル数であって0.5以上10以下の数、Mは陽イオン又は水素原子である。]

0009

また、本発明は、前記本発明の脱墨方法を製造工程に含む、再生紙の製造方法に関する。

0010

また、本発明は、下記成分Aを15質量%以上90質量%以下、下記成分Bを0.35質量%以上36質量%以下及び下記成分Cを含有し、成分Aと成分Bの質量比(A/B)が1.5以上100以下である、脱墨剤に関する。
成分A:下記式(1)に示す化合物
R1−O−[(PO)m(EO)n]−H (1)
[式(1)において、R1は、炭素数12以上22以下のアルキル基又はアルケニル基、POはプロピレンオキシ基、mはPO基の平均付加モル数であって20以上50以下の数、EOはエチレンオキシ基、nはEO基の平均付加モル数であって20以上55以下の数、mとnの比(m/n)が0.5以上2以下である。なお、POとEOはブロックでもランダムでもよく、付加する順番に限定はない。]
成分B:下記式(2)に示す化合物
R2−O−(EO)p−SO3M (2)
[式(2)において、R2は、炭素数8以上22以下のアルキル基又はアルケニル基、EOはエチレンオキシ基、pはEO基の平均付加モル数であって0.5以上10以下の数、Mは陽イオン又は水素原子である。]
成分C:水

発明の効果

0011

本発明の脱墨方法は、低添加量でフローテーション時の発泡量が多く、インク除去効率が高いため、白色度が高い脱墨パルプを得ることができる。また、脱墨パルプ製造において安定操業や工程の簡略化といった作業性を向上できる。

0012

<脱墨方法>
本発明の脱墨方法は、低添加量でフローテーション時の発泡量が多く、インク除去効率が高いため、白色度が高い脱墨パルプを得ることができ、脱墨パルプ製造において安定操業や工程の簡略化といった作業性を向上できる。
本発明に係る脱墨方法における効果の作用メカニズムの詳細は定かではないが、以下のように考えられる。
フローテーション法による脱墨のメカニズムは、紙を繊維状に解してパルプとし、パルプ表面及びパルプ間に吸着するインキを脱墨剤によってパルプから分離させ、脱墨剤と共にインキを泡に吸着させることで、インキを泡と共に系外に排出し、除去するものである。脱墨剤に求められる主性能はインキをパルプから分離することであり、さらに泡界面へインキと共に吸着する性能が高いものがより良い脱墨剤となる。発泡しやすい条件であれば、発泡性能が低くても脱墨剤として有効に機能するが、古紙の対象が雑誌古紙である、脱墨装置の構造の関係上発泡しにくい、といった発泡しにくい条件においては、インク分離性能に加えて強い発泡性が必要となる。発泡剤を加えることによって、発泡量を増加させることは容易であるが、発泡剤の間違った選択をすると、発泡はするものの、泡にインキが吸着せず、インキ除去が効率的に行えなくなる。これは、泡の界面が、発泡剤分子の膜でできており、発泡剤と脱墨剤の相性が悪い為であり、用いる脱墨剤に相応しい発泡剤を選択する必要がある。また、脱墨剤自身が発泡性の高いものであれば、発泡剤を併用する必要はないが、異なる機能を両立できる脱墨剤の開発は極めて困難であり、機械力など装置の条件などに依存する必要がある。相性の良い脱墨剤と発泡剤を併用することで、効率よく脱墨できるが、脱墨コスト及び排水処理負荷低減の観点から、脱墨工程で使用する薬剤は低濃度で使用されるので、脱墨剤及び発泡剤は水中に分散し、それぞれがパルプへの吸着、インクへの吸着、泡形成といった個別の機能に応じた作用に消費され、各薬剤の機能を効率よく利用できず、添加量を増やしたり、機械力を付与したりする必要がある。しかし、本発明では、成分Aと成分Bとが、相性の良い脱墨剤と発泡剤のような組み合わせとなって機能して、これらを予め混合し、複合体を形成することで、この複合体で形成した泡とパルプから複合体により分離され複合体に吸着したインキとの吸着性が高くなることから、効率よく脱墨できるものと推定される。また、成分Aと成分Bを個別に添加するよりも、これらの複合体を用いると、速やかに複合体の泡膜が形成でき、一般的に行われる連続脱墨処理を行う上でも、効率よく脱墨処理ができるものと推定される。

0013

〔成分A〕
成分Aは、下記式(1)に示す化合物である。
R1−O−[(PO)m(EO)n]−H (1)
[式(1)において、R1は、炭素数12以上22以下のアルキル基又はアルケニル基、POはプロピレンオキシ基、mはPO基の平均付加モル数であって20以上50以下の数、EOはエチレンオキシ基、nはEO基の平均付加モル数であって20以上55以下の数、mとnの比(m/n)が0.5以上2以下である。なお、POとEOはブロックでもランダムでもよく、付加する順番に限定はない。]

0014

式(1)中、R1は、炭素数12以上22以下のアルキル基又はアルケニル基であって、脱墨性向上の観点から、好ましくはアルキル基である。また、R1は、直鎖でも分岐鎖でもよいが、同様の観点から、好ましくは直鎖である。R1の炭素数は、同様の観点から、12以上であり、好ましくは14以上、より好ましくは16以上であり、そして、22以下であり、好ましくは20以下、より好ましくは18以下である。R1の炭素数は、好ましくは14以上22以下、より好ましくは16以上20以下、更に好ましくは16以上18以下、より更に好ましくは18である。

0015

式(1)中、mは、プロピレンオキシ基POの平均付加モル数であって、20以上50以下の数である。脱墨性向上の観点から、mは、20以上であり、好ましくは22以上、より好ましくは24以上、更に好ましくは25以上であり、そして、50以下であり、好ましくは48以下、より好ましくは45以下、更に好ましくは42以下である。mは、好ましくは22以上48以下、より好ましくは24以上45以下、更に好ましくは25以上42以下である。
式(1)中、nは、エチレンオキシ基EOの平均付加モル数であって、20以上55以下の数である。脱墨性向上の観点から、nは、20以上であり、好ましくは25以上、より好ましくは30以上、更に好ましくは40以上であり、そして、55以下であり、好ましくは53以下、より好ましくは51以下、更に好ましくは49以下である。好ましくは25以上53以下、より好ましくは30以上51以下、更に好ましくは40以上49以下である。
mとnの比(m/n)は、0.5以上2以下である。脱墨性向上の観点から、m/nは、0.5以上であり、好ましくは0.51以上、より好ましくは0.53以上、更に好ましくは0.55以上であり、そして、2以下であり、好ましくは1.7以下、より好ましくは1.5以下、更に好ましくは1.0以下である。m/nは、好ましくは0.51以上1.7以下、より好ましくは0.53以上1.5以下、更に好ましくは0.55以上1.0以下である。

0016

POとEOはブロックでもランダムでもよく、付加する順番に限定はない。成分Aは、脱墨性向上の観点から、末端にPO付加したもの、すなわち式(1)中のHにPOが結合した構造を有するものが好ましい。成分Aは、R1−OHで表されるアルコールに、POを付加させた後に、EOを付加又はPOとEOとをランダムに付加させたものがより好ましく、R1−OHで表されるアルコールに、POを付加させた後にPOとEOとをランダムに付加させ、更にPOを付加させたものが更に好ましい。
すなわち、成分Aは、下記式(1−1)に示す化合物がより好ましい。
R1−O−(PO)m1−[(PO)m2/(EO)n]−(PO)m3−H (1−1)
[式(1−1)において、R1は、炭素数12以上22以下のアルキル基又はアルケニル基、POはプロピレンオキシ基、m1、m2、m3は、それぞれ、PO基の平均付加モル数であって、m1、m2、m3の合計が20以上50以下となる数、EOはエチレンオキシ基、nはEO基の平均付加モル数であって20以上55以下の数、m1、m2、m3の合計とnの比〔(m1+m2+m3)/n〕が0.5以上2以下である。「/」はEOとPOとがランダムに結合していることを意味する記号である。]

0017

成分Aは、上記式(1)に示す化合物の1種又は2種以上であってよい。

0018

〔成分B〕
成分Bは、下記式(2)に示す化合物である。
R2−O−(EO)p−SO3M (2)
[式(2)において、R2は、炭素数8以上22以下のアルキル基又はアルケニル基、EOはエチレンオキシ基、pはEO基の平均付加モル数であって0.5以上10以下の数、Mは陽イオン又は水素原子である。]

0019

式(2)中、R2は、炭素数8以上22以下のアルキル基又はアルケニル基であって、脱墨性及び発泡性向上の観点から、好ましくはアルキル基である。また、直鎖でも分岐でもよいが、同様の観点から、好ましくは直鎖である。R2の炭素数は、同様の観点から、8以上であり、好ましくは10以上、より好ましくは12以上であり、そして、22以下であり、好ましくは18以下、より好ましくは14以下である。すなわち、R2の炭素数は、好ましくは10以上18以下、より好ましくは12以上14以下、更に好ましくは12である。
式(2)中、pは、オキシエチレン基EOの平均付加モル数であって0.5以上10以下の数である。脱墨性及び発泡性向上の観点から、pは、0.5以上であり、好ましくは1.0以上、より好ましくは1.5以上、更に好ましくは2.0以上であり、そして、10以下であり、好ましくは7以下、より好ましくは5以下、更に好ましくは4以下である。すなわち、pは、好ましくは1.0以上7以下、より好ましくは1.5以上5以下、更に好ましくは2.0以上4以下である。
式(2)中、Mは、陽イオン又は水素原子である。Mが陽イオンである場合、式(2)で表される化合物は、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩又はポリオキシエチレンアルケニルエーテル硫酸塩となる。この場合、式(2)で表される化合物は、下記式(2−1)で表すことができる。
R2−O−(EO)p−SO3−M+ (2−1)
式(2−1)中のR2、pは、式(2)中のR2、pと同義であり、好ましい範囲も同様である。M+は陽イオンを示す。
Mである陽イオンとしては、リチウムイオンナトリウムイオンカリウムイオン等のアルカリ金属イオンカルシウムイオン等のアルカリ土類金属イオンアンモニウムイオン、及びトリエタノールアンモニウムイオン等のアルカノールアンモニウムイオン等が挙げられる。これらの中では、脱墨性及び発泡性向上の観点から、Mは、好ましくはアルカリ金属イオン及びアルカノールアンモニウムイオン、より好ましくはアルカリ金属イオン、更に好ましくはナトリウムイオン(Na+)及びカリウムイオン(K+)から選ばれる1種以上であり、より更に好ましくはナトリウムイオン(Na+)である。
なお、Mが二価以上の陽イオンの場合には、−SO3−の陰イオン対イオンとなるように存在すればよく、例えば、二価の陽イオンであれば、−SO3−の量に対して、1/2量が存在すればよい。

0020

〔成分C〕
成分Cは、水であり、工業用水水道水及び脱イオン水等を用いることができ、供給性及びコストの観点から、工業用水が好ましく、脱墨性の観点から、イオン交換水が好ましい。

0021

〔成分A、成分B、成分Cの混合〕
成分A、成分B及び成分Cの混合方法には特に制限はなく、通常の混合方法を用いて混合すればよい。脱墨性及び発泡性向上の観点から、成分A、成分B及び成分Cが均一に混合されていることが好ましく、均一かつ透明であることがより好ましい。すなわち、本発明では、成分A、成分B及び成分Cを混合した均一な混合物を添加することが好ましく、成分A、成分B及び成分Cを混合した均一かつ透明な混合物を添加することがより好ましい。また、性能を損なわない範囲で、成分A、成分B及び成分C以外の成分も同時に混合してもよく、乳化剤分散剤及び可溶化剤等を均一化するために混合してもよい。なお、成分A、成分B及び成分Cの混合物が均一であるとは、目視にて混合物が一様であり、混合物中に境界が観察されない状態であることをいう。また、成分A、成分B及び成分Cの混合物が透明であるとは、目視にて混合物を通して反対側が透けて確認できる状態であることをいう。

0022

成分A、成分B及び成分Cを混合した混合物は、成分Aの含有量が、好ましくは15質量%以上、より好ましくは20質量%以上、そして、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは70質量%以下である。また、該混合物は、成分Bの含有量が、好ましくは0.35質量%以上、より好ましくは2質量%以上、そして、好ましくは36質量%以下、より好ましくは25質量%以下である。

0023

〔添加量〕
本発明の脱墨方法では、脱墨性及び発泡性向上の観点から、古紙100質量部に対する成分Aと成分Bの合計添加量が、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.05質量部以上、更に好ましくは0.07質量部以上、より更に好ましくは0.10質量部以上であり、そして、好ましくは0.5質量部以下、より好ましくは0.45質量部以下、更に好ましくは0.40質量部以下、より更に好ましくは0.35質量部以下である。
また、成分Aと成分Bの質量比(A/B)は、脱墨性及び発泡性向上の観点から、好ましくは1.5以上、より好ましくは2.0以上、更に好ましくは4.0以上、より更に好ましくは5.0以上であって、そして、好ましくは100以下、より好ましくは50以下、更に好ましくは20以下、より更に好ましくは10以下である。

0024

添加時期
本発明の脱墨方法は、フローテーション工程を含む。本発明の脱墨方法は、成分A、成分B及び成分Cの混合物の添加条件以外は、フローテーション工程を含む公知の方法に準じて行うことができる。本発明の脱墨方法は、例えば、フローテーション工程の他に、離解工程、漂白工程、ニーディング工程、洗浄工程、脱水工程、乾燥工程などを含むことができる。

0025

本発明において、成分A、成分B及び成分Cを混合した混合物を添加する工程は、フローテーション工程の前であればいずれの工程であってもよく、脱墨性及び発泡性向上の観点から、好ましくは離解工程、漂白工程、及びニーディング工程から選ばれる1つ以上の工程であり、より好ましくは少なくとも離解工程で添加することである。
ここで、フローテーション工程の前とは、フローテーション工程を行うための気泡をパルプスラリー中で発生させる前をいう。一般に、フローテーション工程は、フローテーターを用いて、パルプスラリーに空気を吹き込んで行われる。この場合、最初にパルプスラリー中に空気を吹き込む時点よりも前の時点がフローテーション工程の前である。

0026

〔任意成分〕
本発明の脱墨方法には、必要に応じて、従来から脱墨工程に用いられている成分A及び成分B以外の成分を、本発明の性能に影響しない範囲内で添加することができる。例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル等の非イオン性界面活性剤アルキル硫酸エステル塩ポリオキシアルキレンアルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩高級脂肪酸及びその塩等の脱インキ剤;苛性ソーダ珪酸ソーダ等のアルカリ薬剤過酸化水素次亜塩素酸塩次亜硫酸塩等の漂白剤スケール防止剤ピッチコントロール剤;消泡剤;スライムコントロール剤等である。

0027

<再生紙の製造方法>
本発明は、上記本発明の脱墨方法を製造工程に含む、再生紙の製造方法を提供する。すなわち、本発明の脱墨方法により得られた脱墨パルプから再生紙を製造することができる。再生紙の製造は、公知の方法に準じて行うことができる。

0028

<脱墨剤>
本発明の脱墨剤は、少なくとも成分A、成分B及び成分Cを所定条件で含有する。すなわち、本発明の脱墨剤は、成分Aを15質量%以上90質量%以下、下記成分Bを0.35質量%以上36質量%以下及び成分Cを含有し、成分Aと成分Bの質量比(A/B)が1.5以上100以下である。
脱墨性及び発泡性向上の観点から、成分A、成分B及び成分Cが均一に混合されていることが好ましく、均一かつ透明であることがより好ましい。ここでの均一、透明は、本発明の脱墨方法で述べた混合物についての均一、透明と同じである。また、性能を損なわない範囲で、成分A、成分B及び成分C以外の成分も同時に混合してもよく、乳化剤、分散剤及び可溶化剤等を均一化するために混合してもよい。また、輸送コスト低減及び保管場所を少なくする観点から、成分A及び成分Bの合計含有量が高いことが好ましい。

0029

本発明の脱墨剤中、成分Aの含有量は、脱墨性向上の観点から、好ましくは15質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは25質量%以上、より更に好ましくは28質量%以上であり、そして、保存安定性の観点から、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下、更に好ましくは80質量%以下、より更に好ましくは70質量%以下である。

0030

本発明の脱墨剤中、成分Bの含有量は、発泡性向上の観点から、好ましくは0.35質量%以上、より好ましくは0.6質量%以上、更に好ましくは1.0質量%以上、より更に好ましくは質量2.0%以上であり、より更に好ましくは質量3.5%以上であり、そして、保存安定性の観点から、好ましくは36質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは25質量%以下、より更に好ましくは20質量%以下である。

0031

本発明の脱墨剤中、成分Aと成分Bの合計含有量は、輸送コスト低減及び保管場所を少なくする観点から、好ましくは25質量%以上、より好ましくは30質量%以上、そして、脱墨性、発泡性、保存安定性及び作業性向上の観点から、好ましくは65質量%以下、より好ましくは60質量%以下、更に好ましくは55質量%以下、より更に好ましくは50質量%以下である。

0032

本発明の脱墨剤は、成分Aと成分Bの質量比(A/B)が、脱墨性及び発泡性向上の観点から、好ましくは1.5以上、より好ましくは2.0以上、更に好ましくは4.0以上、より更に好ましくは5.0以上であって、そして、好ましくは100以下、より好ましくは50以下、更に好ましくは20以下、より更に好ましくは10以下である。

0033

本発明の脱墨剤中、成分Cの含有量は、脱墨性、発泡性、保存安定性及び作業性向上の観点から、好ましくは25質量%以上、より好ましくは30質量%以上、そして、輸送コスト低減及び保管場所を少なくする観点から、好ましくは75質量%以下、より好ましくは60質量%以下、更に好ましくは55質量%以下、より更に好ましくは50質量%以下である。

0034

〔任意成分〕
本発明の脱墨剤は、従来から脱墨工程に用いられている成分A及び成分B以外の成分を、本発明の性能に影響しない範囲内で含有することができる。
本発明の脱墨剤は、保存安定性向上の観点から、均一化剤を含有することが好ましい。均一化剤としては、乳化剤、分散剤及び可溶化剤等、成分A,成分B及び成分Cを均一に保つことができる化合物であれば、いずれのものも用いることができ、保存安定性及び作業性向上の観点から、好ましくは可溶化剤である。

0035

本発明の脱墨剤は、下記式(3)に示す化合物を含有することが好ましい。式(3)の化合物は、均一化剤や可溶化剤として機能してもよい。
R3−O−(EO)q−H (3)
[式(3)において、R3は、炭素数1以上6以下の炭化水素基、EOはエチレンオキシ基、qはEO基の付加モル数であって1以上5以下の整数である。]

0036

式(3)中、R3は、炭素数1以上6以下の炭化水素基であって、保存安定性向上の観点から、好ましくはアルキル基である。また、R3は、直鎖でも分岐鎖でもよいが、同様の観点から、好ましくは直鎖である。R3の炭素数は、同様の観点から、1以上であり、好ましくは2以上であり、そして、6以下であり、好ましくは4以下である。すなわち、R3の炭素数は、1以上6以下であり、好ましくは2以上4以下、更に好ましくは4である。
式(3)中、qは、オキシエチレン基EOの付加モル数であって、1以上5以下の整数である。脱墨性及び発泡性向上の観点から、1以上であり、好ましくは2以上であり、そして、5以下であり、好ましくは4以下、より好ましくは3以下である。すなわち、qは、1以上5以下であり、好ましくは1以上4以下、より好ましくは1以上3以下、更に好ましくは2である。

0037

本発明の脱墨剤中、式(3)の化合物の含有量は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは2質量%以上、そして、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4質量%以下、更に好ましくは3質量%以下である。

0038

本発明の脱墨剤は、成分A、成分B及び成分Cが予め混合されていることで、適度な発泡と優れた脱墨性を有する脱墨剤となる上に、保存安定性にも優れる。すなわち、前記したような、透明や均一な状態で製造が可能であり、保存後もその状態を維持することができる。これらの保存安定性は低温での保存後にも得られる。

0039

<実施例1〜3及び比較例1〜8>
以下の合成例、実施例、比較例において、特記しない限り「%」は「質量%」を意味する。

0040

合成例1(成分A:化合物1)
ステアリルアルコール(1モルナカライテスク株式会社製)と触媒量の水酸化カリウム(ナカライテスク株式会社製)をオートクレーブ仕込み窒素置換後、減圧下で脱水を行い系内の水分を0.2%以下とし、プロピレンオキシド(5モル)を125℃、0.3MPa以下で付加、熟成し、PO付加体を得た。引き続きエチレンオキシド/プロピレンオキシド混合物(46モル/20モル)を160℃、0.3MPa以下で付加、熟成し、PO−(EO/PO)付加体を得た。更にプロピレンオキシド(1モル)を125℃、0.3MPa以下で付加、熟成し、化合物1(PO−(EO/PO)−PO付加体)を得た。得られた化合物は、式(1)で表現すると、R1:炭素数18のアルキル基、m:26、n:46、m/n=0.565である。

0041

合成例2(成分A:化合物2)
ステアリルアルコール(1モル、ナカライテスク株式会社製)と触媒量の水酸化カリウム(ナカライテスク株式会社製)をオートクレーブに仕込み、窒素置換後、減圧下で脱水を行い系内の水分を0.2%以下とし、プロピレンオキシド(10モル)を125℃、0.3MPa以下で付加、熟成し、PO付加体を得た。引き続きエチレンオキシド/プロピレンオキシド混合物(46モル/29モル)を160℃、0.3MPa以下で付加、熟成し、PO−(EO/PO)付加体を得た。更にプロピレンオキシド(2モル)を125℃、0.3MPa以下で付加、熟成し、化合物2(PO−(EO/PO)−PO付加体)を得た。得られた化合物は、式(1)で表現すると、R1:炭素数18のアルキル基、m:41、n:46、m/n=0.891である。

0042

合成例3(成分B:化合物3〜5)
ラウリルアルコール(1モル、花王株式会社製、カルコール2098)と触媒量の水酸化カリウム(ナカライテスク株式会社製)をオートクレーブに仕込み、窒素置換後、減圧下で脱水を行い系内の水分を0.2%以下とし、エチレンオキシド(3モル)を160℃、0.3MPa以下で付加、熟成し、EO付加体を得た。引き続き、得られた化合物(1モル)、アミド硫酸(1モル、ナカライテスク株式会社製)、尿素(0.05モル、ナカライテスク株式会社製)を撹拌機温度計を備えた2L四つ口フラスコに仕込み、窒素雰囲気下125℃で4時間反応させて硫酸化を行った後、未反応のアミド硫酸を加圧濾過により除去し、トリエタノールアミン(東京化成工業株式会社製)で中和を行い、化合物3を得た。得られた化合物3は、式(2)で表現すると、R2:炭素数12のアルキル基、p:3、M:トリエタノールアンモニウムである。なお、同様の方法で、中和を水酸化ナトリウム(株式会社トクヤマ製、液体苛性ソーダ(濃度48質量%))で行い、化合物4を得た。さらに、同様の方法で、エチレンオキシドの付加モル数を2モルとし、中和を水酸化ナトリウムで行い、化合物5を得た。

0043

合成例4(成分A’(成分Aの比較化合物):化合物6)
ステアリルアルコール(1モル、ナカライテスク株式会社製)と触媒量の水酸化カリウム(ナカライテスク株式会社製)をオートクレーブに仕込み、窒素置換後、減圧下で脱水を行い系内の水分を0.2%以下とし、プロピレンオキシド(5モル)を125℃、0.3MPa以下で付加、熟成し、PO付加体を得た。引き続きエチレンオキシド(30モル)を160℃、0.3MPa以下で付加、熟成し、PO−EO付加体を得た。更にプロピレンオキシド(5モル)を125℃、0.3MPa以下で付加、熟成し、PO−EO−PO付加体を得た。得られた化合物6は、式(1)で表現すると、R1:炭素数18のアルキル基、m:10、n:30、m/n=0.333である。

0044

合成例5(成分A’(成分Aの比較化合物):化合物7)
ステアリルアルコール(1モル、ナカライテスク株式会社製)と触媒量の水酸化カリウム(ナカライテスク株式会社製)をオートクレーブに仕込み、窒素置換後、減圧下で脱水を行い系内の水分を0.2%以下とし、エチレンオキシド/プロピレンオキシド混合物(10モル/30モル)を160℃、0.3MPa以下で付加、熟成し、(EO/PO)付加体を得た。得られた化合物6は、式(1)で表現すると、R1:炭素数18のアルキル基、m:10、n:30、m/n=0.333である。

0045

成分B’(成分Bの比較化合物)
化合物8:オレイン酸(花王株式会社製、ルナックO−A)

0046

成分C:オルガノ株式会社製の純水装置G−10DSTSETで製造した1μS/cm以下の純水

0047

その他の成分:ジエチレングリコールモノブチルエーテル(日本乳化剤株式会社製、ブチルジグリコール(BDG))(表中、BDGと表記した)

0048

<脱墨剤の製造>
表1に示す質量比になるように、各成分をそのまま、あるいは混合し、均一透明な液状物又は溶液を得た。得られた液状物又は溶液を、脱墨剤として以下の評価に用いた。

0049

<脱墨性能評価>
原料古紙
原料古紙としては下記に示す2種類を用いた。
原料古紙1:雑誌古紙のみ
原料古紙2:質量比で新聞紙/チラシ=6/4で配合した混合古紙
これら2種類の古紙を、夏場劣化を想定し、80℃で5時間加熱し、熱劣化させて使用した。

0050

〔脱墨処理方法〕
脱墨処理は、下記に示す、離解工程、希釈工程、フローテーション工程、抄紙工程を、この順番で行った。脱墨剤の添加方法は、離解工程で脱墨剤すべてを添加する方法を添加方法1とし、離解工程で脱墨剤C又は脱墨剤Gを除くすべてを添加し、フローテーション工程の前で脱墨剤C又は脱墨剤Gを添加する方法を添加方法2とした。
〔離解工程〕
3L円筒容器内径150mm、ステンレス製)に、5cm角に裁断した原料古紙を100g(絶乾質量)に対して、表2に記載の添加方法に従い、表2中の各成分を添加(パルプ濃度4質量%)し、50℃に加温し、攪拌機軸径15mm、羽根長35mm、羽根20mm、3枚ピッチドパドル邪魔板あり)を用いて3000rpmの回転数撹拌しながら、10分間、離解を行い、パルプスラリーを得た。
〔希釈工程〕
離解工程で得られたパルプスラリーに、パルプ濃度が1質量%になるように水を添加し、撹拌棒で1分間、攪拌した。
〔フローテーション工程〕
一部の比較例では、フローテーターのパルプスラリーに空気を吹き込む前に脱墨剤C又はGを添加した(添加方法2)。デンバー型フローテーター(5L、極東振興株式会社製)を用い、希釈したパルプスラリー1L当たり毎分2.5Lの送気量で空気を吹き込み、40℃を維持しながら5分間フローテーションを行った。フローテーション中、1分毎にフローテーションセル上に蓄積したインキを含んだ泡沫を除去した。
〔抄紙工程〕
フローテーション後のパルプスラリーを用いて、硫酸アルミニウム化学株式会社製、硫酸ばんど)をパルプ100質量部に対して有効分10質量部添加して混合し、ステンレス製金網(150メッシュ、直径160mm)で抄紙後のシートのパルプ坪量が100g/m2になるようにJIS P8209−1994に従い手すきシートを作製した。抄紙後のシートは、340kPaで2分間プレス機にてプレスし、2時間風乾した。乾燥したシートを23℃、湿度50%の条件で1日間調湿してから紙の白色度を以下の方法で測定した。

0051

評価項目・方法〕
・白色度
分光光度計測色計Color Touch PC(Technidyne Corporation製)を用いて、紙のISO白色度を測定した。白色度の数値が大きいほど白いパルプであることを表す。原料の古紙の種類やロット、脱墨パルプ製造時の目標パルプ歩留まり等により、得られる脱墨パルプの白色度の絶対値が異なるが、同じ抄紙条件での比較で白色度が0.1%(0.1ポイント)異なることは大きな差異である。結果を表2に示す。
・泡沫質量
フローテーション工程で除去した泡沫の総質量を測定した。結果を表2に示す。

0052

0053

0054

<配合例1〜17>
表3の記載に従い、各成分をガラス製110mLスクリュー管瓶に配合し脱墨剤を得た。その状態で25℃又は10℃にて7日間保管後の状態を観察し、保存安定性を評価した。評価は下記の基準にて行った。結果を表3に示す。
1:均一透明液体
2:濁った均一な液体
3:沈殿物の存在が確認される
4:固体
5:2相以上に分離

実施例

0055

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