図面 (/)
課題
解決手段
概要
背景
概要
本発明は、眼球の状態の微細な変化も検出可能で、疾患の早期発見等に有用な眼球分析装置および眼球分析方法を提供することを目的とする。 本発明の眼球分析装置は、例えば、光照射手段10、光分離手段20、分光手段31を含み、光照射手段10により、光が眼球1に照射され、光分離手段20により、前記光を照射された眼球1から出射する出射光が、眼球1の空間の位置に応じて分離され、分光手段31により、前記光を照射された眼球1から出射する出射光が、分光される。
目的
本発明は、眼球の状態の微細な変化も検出可能で、疾患の早期発見等に有用な眼球分析装置および眼球分析方法を提供する
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 0件
- 牽制数
- 0件
この技術が所属する分野
(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成
請求項1
光照射手段、光分離手段、分光手段を含み、前記光照射手段により、光が眼球に照射され、前記光分離手段により、前記光を照射された前記眼球から出射する出射光が、前記眼球の空間の位置に応じて分離され、前記分光手段により、前記光を照射された前記眼球から出射する出射光が、分光される、眼球分析装置。
請求項2
下記のAユニット及びBユニットの少なくとも一方のユニットを含む請求項1記載の眼球分析装置。 (Aユニット)前記光分離手段および前記分光手段を含み、前記光分離手段が、マイクロレンズアレイを含み、前記分光手段が、回折格子を含み、前記マイクロレンズアレイにより、前記出射光が二次元的に分離され、前記回折格子により、前記二次元的に分離された出射光が分光される、ユニット。(Bユニット)前記光分離手段および前記分光手段を含み、前記光分離手段が、撮像手段を含み、前記分光手段が、波長可変フィルターを含み、前記波長可変フィルターにより、前記出射光が分光され、前記撮像手段により、前記分光された出射光が撮像され、撮像して得られた画像上の画素によって前記分光された出射光が二次元的に分離される、ユニット。
請求項3
前記Aユニットを含む眼球分析装置において、さらに、コヒーレントアンチストークスラマン分光(CARS)用光照射手段を含み、前記CARS用光照射手段により、連続光及びレーザー光の混合光が眼球に照射され、前記回折格子により、前記混合光が照射された眼球からの出射光に含まれるラマン散乱光が分光される請求項2記載の眼球分析装置。
請求項4
請求項5
請求項6
前記Aユニット及び前記Bユニットにおいて、前記分光手段が、さらに、狭帯域フィルターを含み、前記分光された出射光が前記狭帯域フィルターを通過する、請求項2から5のいずれか一項に記載の眼球分析装置。
請求項7
請求項8
請求項9
さらに、直線偏光手段を含み、前記直線偏光手段により、前記連続光を照射された前記眼球から出射する出射光が、直線偏光される、請求項1から8のいずれか一項に記載の眼球分析装置。
請求項10
さらに、直線偏光分析手段を含み、前記直線偏光分析手段により前記直線偏光が分析されることで、前記眼球の少なくとも一部における、左右の円偏光に対する屈折率の違いが検出される、請求項9記載の眼球分析装置。
請求項11
眼球に光を照射する照射工程と、前記照射された眼球から出射する出射光を、前記眼球の空間の位置に応じて分離する光分離工程と、前記照射された眼球から出射する出射光を、分光する分光工程と、を含む眼球分析方法。
技術分野
背景技術
先行技術
0003
特開平5−261067号公報
発明が解決しようとする課題
0005
そこで、本発明は、眼球の状態の微細な変化も検出可能で、疾患の早期発見等に有用な眼球分析装置および眼球分析方法を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
0006
前記目的を達成するために、本発明の眼球分析装置は、光照射手段、光分離手段、分光手段を含み、前記光照射手段により、光が眼球に照射され、前記光分離手段により、前記光を照射された前記眼球から出射する出射光が、前記眼球の空間の位置に応じて分離され、前記分光手段により、前記光を照射された前記眼球から出射する出射光が、分光される。
0007
本発明の眼球分析方法は、眼球に光を照射する照射工程と、前記照射された眼球から出射する出射光を、前記眼球の空間の位置に応じて分離する光分離工程と、前記照射された眼球から出射する出射光を、分光する分光工程と、を含む。
発明の効果
0008
本発明によれば、眼球の状態の微細な変化も検出可能で、疾患の早期発見等に有用な眼球分析装置および眼球分析方法を提供することができる。
図面の簡単な説明
0009
図1は、本発明の眼球分析装置の構成の一例を示す図である。
図2は、本発明の眼球分析装置の構成の別の一例を示す図である。
図3は、本発明の眼球分析装置の構成のさらに別の一例を示す図である。
図4は、本発明の眼球分析装置の構成のさらに別の一例を示す図である。
図5は、本発明の眼球分析装置の構成のさらに別の一例を示す図である。
図6は、本発明の眼球分析装置の構成のさらに別の一例を示す図である。
図7は、本発明の眼球分析装置の構成のさらに別の一例を示す図である。
図8は、本発明の眼球分析装置の構成のさらに別の一例を示す図である。
図9は、本発明の眼球分析装置の構成のさらに別の一例を示す図である。
図10は、図9の波長選択フィルターの機能の一例を示すグラフである。
図11は、図9の波長選択フィルターの構成の一例を示す図である。
図12は、波長を変化させた三次元分光分析の概念を示す模式図である。
実施例
0010
つぎに、本発明について、例を挙げて説明する。ただし、本発明は、以下の説明により、なんら限定されない。
0011
本発明において、前記眼球に照射される光は、例えば、単色光でも、また、例えば、複数の波長の光を含む混合光であっても良く、例えば、連続光、単色光またはそれらの混合光であっても良い。前記単色光は、例えば、レーザー光であっても良い。前記レーザー光は、例えば、パルスレーザー光でも良いし、CW(連続発振)レーザー光でも良い。また、前記複数の波長の光を含む混合光は、例えば、連続光であってもよく、複数の単色光の混合光であってもよい。前記連続光は、例えば、白色光、またはスーパーコンティニューム(SC)光であっても良い。
0012
本発明の眼球分析装置は、例えば、下記のAユニット及びBユニットの少なくとも一方のユニットを含んでいても良い。
(Aユニット)
前記光分離手段および前記分光手段を含み、
前記光分離手段が、マイクロレンズアレイを含み、
前記分光手段が、回折格子を含み、
前記マイクロレンズアレイにより、前記出射光が二次元的に分離され、
前記回折格子により、前記二次元的に分離された出射光が分光される、
ユニット。
(Bユニット)
前記光分離手段および前記分光手段を含み、
前記光分離手段が、撮像手段を含み、
前記分光手段が、波長可変フィルターを含み、
前記波長可変フィルターにより、前記出射光が分光され、
前記撮像手段により、前記分光された出射光が撮像され、撮像して得られた画像上の画素によって前記分光された出射光が二次元的に分離される、
ユニット。
0013
本発明の眼球分析装置は、例えば、前記Aユニットを含む眼球分析装置において、さらに、コヒーレントアンチストークスラマン分光(CARS)用光照射手段を含み、前記CARS用光照射手段により、連続光及びレーザー光の混合光が眼球に照射され、前記回折格子により、前記混合光が照射された眼球からの出射光に含まれるラマン散乱光が分光されても良い。これにより、例えば、さらに感度が高い分析をすることができる。
0014
本発明の眼球分析装置は、例えば、前記CARS用光照射手段が、波長選択フィルターを含み、前記波長選択フィルターにより、前記混合光が分光され、必要な波長の光のみが選択的に眼球に照射されても良い。また、例えば、前記波長選択フィルターが、回折格子および波長選択マスクを含み、前記回折格子により、前記混合光が分光され、必要な波長の光のみが前記波長選択マスクを通過し、眼球に照射されても良い。
0015
本発明の眼球分析装置は、例えば、前記Aユニット及び前記Bユニットにおいて、前記分光手段が、さらに、狭帯域フィルターを含み、前記分光された出射光が前記狭帯域フィルターを通過しても良い。
0016
本発明の眼球分析装置は、例えば、さらに、円偏光手段を含み、前記円偏光手段により、前記眼球に入射する光が、円偏光されても良い。この場合、例えば、本発明の眼球分析装置が、さらに、円偏光分析手段を含み、前記円偏光分析手段により、前記眼球の少なくとも一部における、左右の円偏光に対する吸光度の違い(二色性)が検出されても良い。
0017
本発明の眼球分析装置は、例えば、さらに、直線偏光手段を含み、前記直線偏光手段により、前記連続光を照射された前記眼球から出射する出射光が、直線偏光されても良い。この場合、例えば、本発明の眼球分析装置が、さらに、直線偏光分析手段を含み、前記直線偏光分析手段により前記直線偏光が分析されることで、前記眼球の少なくとも一部における、左右の円偏光に対する屈折率の違い(旋光性)が検出されても良い。
0018
本発明において、前記分光手段による分光は特に制限されず、例えば、前記出射光がラマン散乱光であれば、ラマン分光である。
0020
以下、本発明の具体的な実施形態について説明する。以下の実施形態1〜3は、前記Aユニットを含む眼球分析装置の例である。実施形態4〜6は、前記Bユニットを含む眼球分析装置の例である。実施形態7〜8は、前記Aユニットおよび前記Bユニットを両方含む眼球分析装置の例である。ただし、以下の実施形態は例示であり、本発明は、これにより、なんら限定されない。
0021
[実施形態1]
図1に、本発明の眼球分析装置の構成の一例を示す。同図は、前記Aユニットを含む眼球分析装置の一例である。図示のとおり、この眼球分析装置は、連続光を眼球に照射する光照射手段10と、Aユニット100Aとから構成されている。Aユニット100Aは、前記連続光を照射された眼球1から出射(射出)する出射光(射出光)を、眼球1の空間の位置に応じて分離する光分離手段20と、前記出射光を波長ごとに分光する分光手段31とを含む。また、Aユニット100Aは、さらに、レンズ41および撮像手段42を含む。
0022
光照射手段10は、光源10A、レンズ11、ビームスプリッタ12およびレンズ13により構成されている。光源10Aとしては、例えば、白色光源、スーパーコンティニューム(以下「SC」ということがある。)光源、またはLED(発光ダイオード)等を用いることができる。なお、本発明において、ビームスプリッタは、特に限定されないが、例えば、偏光分離能を有するビームスプリッタでも良いし、偏光分離能が必要ない場合は、偏光分離能を有しないハーフミラー等でも良い。
0023
光分離手段20は、マイクロレンズアレイ21、マスク(視野マスク)22およびレンズ23により構成されている。レンズ23は、例えば、テレセントリックレンズであっても良い。
0025
レンズ41は、例えば、コリメータレンズであっても良い。図1において、撮像手段42は、光が像を表示する撮像素子の前面の部分を示している。撮像手段42は、例えば、一般的なカメラ、冷却CCD(Charge Coupled Device)カメラ、またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)カメラ、または赤外線に感度を有するカメラであっても良い。
0026
光源10Aから照射される連続光の光路には、前記連続光の照射側から順に、レンズ11およびビームスプリッタ12がこの順序で配置されている。また、眼球1から出射される出射光の光路には、前記出射光の出射側から順に、レンズ13、ビームスプリッタ12、マイクロレンズアレイ21、マスク22、レンズ23、回折格子31、レンズ41および撮像手段42が、この順序で配置されている。また、光源10Aから照射される連続光の照射方向と、眼球1から出射される出射光の出射方向とは、図1では互いに垂直であるが、角度は垂直に限定されず、任意である。
0027
図1の眼球分析装置は、例えば、以下のようにして使用することができる。まず、光照射手段10により、連続光が眼球1に照射される。具体的には、まず、光源10Aから連続光を照射される。前記連続光は、例えば、白色光、またはスーパーコンティニューム(SC)光であっても良い。光源10Aから照射された前記連続光は、レンズ11によって収束され、つぎに、ビームスプリッタ12によって反射され、さらに、レンズ13によって収束された後に、眼球1に照射される。なお、眼球1の眼底に光が照射される場合は、前記光が眼底よりも下層にも届くことにより、後述するように、眼底および眼底よりも下層の間の空間の状態を分析可能である。本発明により分析可能な眼底および眼底よりも下層の間の空間の部位としては、例えば、後述するように、眼底、網膜、前記眼底および眼底よりも下層の間の空間の断層、前記空間に存在する血管等が挙げられる。また、本実施例および後述する他の実施例では、主に、眼球1に照射される光が連続光である場合について説明する。しかし、本発明において、眼球に照射される光(例えば、光源10Aから出射される光)は、前述のとおり、連続光に限定されない。
0028
つぎに、眼球1に照射された前記連続光の少なくとも一部が、眼球1による反射、蛍光もしくは散乱等で、眼球1から出射される。眼球1から出射された出射光は、レンズ13によって収束され、ビームスプリッタ12を透過する。
0029
ビームスプリッタ12を透過した前記出射光は、Aユニット100Aにより、以下のように処理される。すなわち、まず、前記出射光は、光分離手段20のマイクロレンズアレイ21に入射し、二次元的に分離され、その後、マスク22を透過することで、眼球1の空間の位置に応じて分離され、さらに、レンズ23によりコリメートされる。二次元的に分離されてレンズ23を透過した前記出射光は、分光手段(回折格子)31により波長ごとに分光される。なお、同図では、前記出射光が、回折格子31により、各単色光に分離される例を示している。そして、回折格子31により分光された光は、レンズ41によって収束され、撮像手段42に照射される。これにより、撮像手段42に画像が形成される。その画像を、例えば、スペクトル解析手段(図示せず)に供し、各視野の分光スペクトルを解析する。これにより、眼球1の状態の微細な変化も検出可能である。
0030
図1の眼球分析装置によれば、分光手段(回折格子)31により波長ごとに分光した異なる波長の光を、同時に撮像手段42に照射して画像を形成する。これにより、分析の時間同時性が確保できる。また、例えば、分析の視野(分析対象となる眼球1の空間の範囲)を広げるために、スキャン機構(図示せず)によりスキャンを行いながら眼球1を分析しても良い。このように、ユニットAを含む眼球分析装置は、分析の時間同時性が確保できるという利点がある。また、ユニットAは、異なる波長の光を同時に分析できるため、例えば、複数の波長の情報をプローブとした分析に有用である。ただし、ユニットAを含む眼球分析装置の用途はこれに限定されず、例えば、赤外光を用いた分析等にも使用できる。
0031
なお、分光手段として、回折格子31に代えて、例えば、プリズム等を用い、前記出射光を波長ごとに分光しても良い。また、例えば、回折格子31に代えて、波長フィルターを用い、前記出射光から特定の光の波長のみを取り出すようにしても良い。また、光分離手段20は、例えば、さらに、イメージスライサー、スリット、アパーチャー(ダイヤフラム)、ファイバーバンドル等の少なくとも一つを含んでいても良い。
0032
[実施形態2]
図2に、本発明の眼球分析装置の構成の別の一例を示す。図1の装置は、分光手段が回折格子31のみにより構成されていたが、図2の装置は、図示のとおり、さらに狭帯域フィルター33を含み、回折格子31および狭帯域フィルター33により分光手段30が構成されている。なお、狭帯域フィルター33は、狭帯域フィルターに代えて、オーダーカットフィルターであっても良い。また、狭帯域フィルター33は、図2では、回折格子31とレンズ41との間に配置されている。ただし、狭帯域フィルター33の位置は、これに限定されず、例えば、レンズ23と回折格子31との間に配置されていても、同様の効果を得ることができる。回折格子31を透過した前記出射光は、必要な波長帯域の光のみが選択的に狭帯域フィルター33を透過し、レンズ41に照射される。これら以外は、図2の眼球分析装置は、図1の眼球分析装置と同じである。狭帯域フィルター33によって、必要のない波長帯の光をカットできるので、例えば、撮像手段42の画像形成面(検出器面)を有効に用いることができる。より具体的には、例えば、前記画像形成面(検出器面)において、分光スペクトルを映さない部分を、眼球内の測定視野の拡大に充てることができる。これにより、本実施形態は、特に、波長分解能が高い(波長またはそれに関する、より詳細な情報を分析する)スペクトルの場合に有効である。
0033
[実施形態3]
図3に、本発明の眼球分析装置の構成のさらに別の一例を示す。図示のとおり、この眼球分析装置は、光照射手段10において、レンズ11とビームスプリッタ12との間に、偏光板61が配置されている。偏光板61は、例えば、光軸を軸として回転可能であっても良い。また、Aユニット100Aにおいて、レンズ23と分光手段(回折格子)31との間に、1/2波長板26および偏光板27が、光出射側から前記順序で配置されている。なお、偏光板27は、例えば、偏光板に代えて偏光ビームスプリッタであっても良い。これら以外は、図3の眼球分析装置は、図1の眼球分析装置と同じである。
0034
図3の眼球分析装置は、例えば、以下のようにして使用することができる。まず、図1と同様、光源10Aから連続光を照射させる。光源10Aから照射された連続光は、レンズ11によって収束された後、偏光板61によって直線偏光にされる。偏光された前記連続光は、ビームスプリッタ12、レンズ13によって図1と同様に処理されて眼球1に照射され、さらに、その少なくとも一部が、眼球1からの出射光となってレンズ13およびビームスプリッタ12を通過する。
0035
ビームスプリッタ12を透過した前記出射光は、Aユニット100Aにより、以下のように処理される。すなわち、まず、前記出射光は、光分離手段20のマイクロレンズアレイ21、マスク22およびレンズ23によって、図1と同様に処理され、眼球1の空間の位置に応じて分離される。つぎに、レンズ23を透過した前記出射光は、1/2波長板26に入射する。1/2波長板26は、回転させることが可能であり、これにより、前記出射光の直線偏光の方位を変えることができる。1/2波長板26を透過した前記出射光は、偏光板27により、特定の方向の直線偏光が選択的に出射され、その後、分光手段(回折格子31)により波長ごとに分光される。分光手段(回折格子31)により波長ごとに分光された光は、レンズ41、撮像手段42および任意にスペクトル解析手段(図示せず)により、図1と同様に処理される。このとき、前記スペクトル解析手段によって異なる方向の直線偏光の分光スペクトルを比較することにより、眼球1の少なくとも一部における、左右の円偏光に対する屈折率の違い(旋光性)が検出されてもよい。
0036
なお、本発明において、偏光板の配置および使用方法は、図3の例に限定されない。例えば、本発明の眼球分析装置により得られたデータをラマン分光法により分析する場合、ラマン散乱によって生じる特定の方位の直線偏光だけを通すフィルターを使えば、眼球内の分子から発せられるルミネッセンス光などのバックグラウンド光(直線偏光を持たない光、無偏光)を抑えることができる。具体的には、例えば、光源10Aから照射された連続光または眼球1からの出射光がバックグラウンド光を含む場合、ビームスプリッタ12とマイクロレンズアレイ21との間(マイクロレンズアレイ21の光入射側)等に直線偏光板(直線偏光手段)を配置して偏光フィルターとする。これにより、バックグラウンド光を透過させず、ラマン散乱に必要な直線偏光だけを透過させて用いることができる。
0037
また、例えば、直線偏光板に代えて、円偏光板を用い、眼球1に入射する光または眼球1から出射(射出)される光を円偏光しても良い。円偏光板を用いた場合は、例えば1/2波長板26を回転可能な1/4波長板に置き換えるか、または、1/2波長板26の光入射側または光出射側に隣接して、回転可能な1/4波長板を用いても良い。円偏光板(円偏光手段)61は、例えば、透過させる円偏光の回転方向の左右を切り替え可能であっても良い。また、前記1/4波長板により、円偏光を直線偏光に変換することができる。また、1/2波長板26により、直線偏光の方位または円偏光の回転方向を変えることができる。このようにすれば、例えば、眼球1の少なくとも一部における、左右の円偏光に対する吸光度の違いを検出することができる。これにより、例えば、眼球1中の光学異性体の検出を行うことができる。前記光学異性体としては、例えば、アミノ酸又はアミノ酸残基のL体とD体が挙げられる。
0038
[実施形態4]
図4に、本発明の眼球分析装置の構成のさらに別の一例を示す。同図は、前記Bユニットを含む眼球分析装置の一例である。図示のとおり、この眼球分析装置は、連続光を眼球に照射する光照射手段10と、Bユニット100Bとから構成されている。
0039
光照射手段10の構成は、図1と同じである。Bユニット100Bは、前記連続光を照射された眼球1から出射する出射光を、眼球1の空間の位置に応じて分離する光分離手段(撮像手段)20Bと、前記出射光を波長ごとに分光する分光手段(波長可変フィルター)32とを含む。また、Bユニット100Bは、さらに、レンズ25および41を含む。Bユニット100Bの構成要素は、図示のとおり、眼球1からの出射光の出射側から、レンズ25、分光手段(波長可変フィルター)32、レンズ41、光分離手段(撮像手段)20Bの順序で配置されている。
0040
また、図4の眼球分析装置は、分光手段として、図1〜3の回折格子31に代えて、前述のとおり、波長可変フィルター32を有する。波長可変フィルター(チューナブルフィルター)32は、例えば、ファブリペローエタロン等であっても良い。
0041
図4の眼球分析装置において、レンズ41は、例えば、コリメータレンズであっても良い。
0042
撮像手段20Bは、例えば、光が像を表示する撮像素子を含んでも良く、その撮像素子の前面に画像が形成されても良い。撮像手段20Bは、実施形態1(図1〜3)の撮像手段42と同様、例えば、カメラであっても良く、その撮像面に画像が形成されても良い。図4において、撮像手段20Bの画像形成面は、例えば、カメラレンズ、または赤外線カメラ(例えば、波長1.2μm以下の場合はブラックシリコン素子、波長0.7〜1.8μmの場合はInGaAs素子やHgCdTe素子、波長1〜5μmの場合はInSb素子またはHgCdTe)の撮像面であっても良い。
0043
図4の眼球分析装置は、例えば、以下のようにして使用することができる。まず、光源10Aから連続光を照射する。照射された連続光が、レンズ11、ビームスプリッタ12およびレンズ13を透過して眼球1に照射され、さらに、眼球1からの出射光に変換されてレンズ13およびビームスプリッタ12を透過するまでは、図1の眼球分析装置と同様である。
0044
つぎに、ビームスプリッタ12を透過した前記出射光により、レンズ25の光入射側の像面24に、眼球1の少なくとも一部の画像(例えば眼底像)が結像される。さらに、前記出射光は、像面24からレンズ25に入射し、レンズ25によりコリメートされた後に、波長可変フィルター32により分光され、特定波長の単色光が取り出される。取り出された単色光は、レンズ41によって収束され、撮像手段20Bに照射される。そして、撮像手段20Bにより、前記分光された出射光が撮像され、撮像して得られた画像上の画素によって前記分光された出射光が二次元的に分離される。このようにして、光分離手段20により、眼球1から出射する出射光を、眼球1の空間の位置に応じて二次元的に分離することができる。その画像を、例えば、スペクトル解析手段(図示せず)に供し、各視野の分光スペクトルを解析する。これにより、眼球1の状態の微細な変化も検出可能である。また、波長可変フィルター32により取り出される単色光の波長を変更することで、異なる波長の光による分析が可能である。
0045
図4のようにユニットBを含む眼球分析装置によれば、例えば、空間分解能が高いという利点を有する。このため、ユニットBを含む眼球分析装置は、例えば、赤外光を用いた分析に有用である。ただし、ユニットBを含む眼球分析装置の用途はこれに限定されず、例えば、可視光を用いた分析等にも使用できる。また、例えば、実施形態1〜3(図1〜3)の装置と同様、必要に応じ、スキャン機構(図示せず)を用いてスキャンすることにより、分析の視野を広げても良い。
0046
[実施形態5]
図5に、本発明の眼球分析装置の構成のさらに別の一例を示す。図4の装置は、分光手段が波長可変フィルター32のみにより構成されていたが、図5の装置は、図示のとおり、さらに狭帯域フィルター33を含み、波長可変フィルター32および狭帯域フィルター33により分光手段30が構成される。なお、狭帯域フィルター33は、狭帯域フィルターに代えて、他の任意のフィルターでも良く、例えば、広帯域フィルターでも良いし、オーダーカットフィルターでも良い。また、狭帯域フィルター33は、図5では波長可変フィルター32とレンズ41との間に配置されている。波長可変フィルター32を透過した前記出射光は、必要な波長帯域の光のみが選択的に狭帯域フィルター33を透過し、レンズ41に照射される。これら以外は、図5の眼球分析装置は、図4の眼球分析装置と同じである。また、狭帯域フィルター33の配置位置は、図5の位置に限定されず、例えば、波長可変フィルター23を透過した前記出射光を狭帯域フィルター33に入射させることができれば良く、具体的には、レンズ41と撮像手段20Bとの間等でも良い。狭帯域フィルター33により、波長可変フィルター23を透過した前記出射光に含まれる不要な波長帯域の光(検出対象の波長とは異なる波長の光、または他の次数の光)を遮断(カット)し、前記のとおり、必要な波長帯域の光のみを選択的に透過させることができる。
0047
[実施形態6]
図6に、本発明の眼球分析装置の構成のさらに別の一例を示す。図示のとおり、この眼球分析装置は、光照射手段10において、レンズ11とビームスプリッタ12との間に、偏光板61が配置されている。また、Bユニット100Bにおいて、レンズ25と波長可変フィルター32との間に、1/2波長板26および偏光板27が、光出射側から前記順序で配置されている。なお、偏光板27は、図3と同様、例えば、偏光板に代えて偏光ビームスプリッタであっても良い。これら以外は、図6の眼球分析装置は、図4の眼球分析装置と同じである。また、図6の眼球分析装置は、Aユニット100Aに代えてBユニット100Bを有すること以外は、図3の眼球分析装置と同じである。
0048
図6の眼球分析装置は、例えば、以下のようにして使用することができる。まず、光源10Aから出射された連続光が眼球1に照射され、さらに眼球1からの出射光となってビームスプリッタ12を通過するまでは、図3と同じである。ビームスプリッタ12を透過した前記出射光は、Bユニット100Bにより、以下のように処理される。すなわち、まず、前記出射光は、光分離手段20の像面24およびレンズ25によって、図4と同様に処理され、眼球1の空間の位置に応じて分離される。つぎに、レンズ25を透過した前記出射光は、1/2波長板26に入射する。1/2波長板26は、回転させることが可能であり、これにより、前記出射光の直線偏光の方位を変えることができる。1/2波長板26を透過した前記出射光は、偏光板27により、一方向の直線偏光が選択的に出射され、その後、波長可変フィルター32により、波長ごとに分離され、特定波長の単色光が取り出される。取り出された単色光は、レンズ41、撮像手段20Bおよび任意にスペクトル解析手段(図示せず)により、図4と同様に処理される。
0049
図6の眼球分析装置は、例えば、図3と同様に、直線偏光だけを通すフィルターを用いてラマン分光法等に用いることも出来るし、直線偏光板に代えて円偏光板を用い、眼球1中の光学異性体の検出等に用いても良い。
0050
[実施形態7]
図7に、本発明の眼球分析装置のさらに別の構成の一例を示す。図示のとおり、この装置は、光照射手段10、Aユニット200AおよびBユニット200Bにより構成されている。光照射手段10は、光源を2つ含む。また、AユニットおよびBユニットは、実施形態1〜6(図1〜6)と同様、光分離手段および分光手段を含む。
0051
光照射手段10は、2つの光源10Aおよび10Bと、反射鏡71およびレンズ72と、ビームスプリッタ73、74および75とにより構成されている。光源10Aおよび10Bは、特に限定されないが、例えば、実施形態1〜6(図1〜6)の光源10Aと同様でも良い。反射鏡71は、例えば、ガルバノミラーであっても良い。反射鏡71は、回転により光の反射方向変化させることができる。
0052
光源10Aから照射される連続光の光路には、前記連続光の照射側から順に、レンズ72およびビームスプリッタ73が、この順序で配置され、光源10A、レンズ72およびビームスプリッタ73により、照射ユニット300Aが構成されている。なお、照射ユニット300Aを透過する連続光の照射方向は、図7では、Aユニット200AおよびBユニット200Bをそれぞれ透過する光の透過方向に対し垂直であるが、角度は特に限定されず、垂直でなくても良い。そして、ビームスプリッタ73は、Aユニット200Aにおけるレンズ77の光入射側に配置されている。また、照射ユニット300Aの光出射側には、ビームスプリッタ75が配置されている。ビームスプリッタ75は、Bユニット200Bにおけるレンズ76の光入射側に配置されている。
0053
光源10Bの光出射側には、反射鏡71が配置されている。また、眼球1から出射される出射光の光路には、前記出射光の出射側から順に、ビームスプリッタ74、ビームスプリッタ75、およびAユニット200Aが配置されている。
0054
Aユニット200Aは、マイクロレンズアレイ21の光入射側にレンズ76が配置されていること以外は、図2の装置のAユニット100Aと同じである。Bユニット200Bは、像面24の光入射側にレンズ77が配置されていること以外は、図5のBユニット100Bと同じである。なお、Aユニット200AおよびBユニット200Bをそれぞれ透過する光の透過方向は、図7では互いに平行であるが、角度は特に平行に限定されず、任意である。
0055
図7の眼球分析装置は、例えば、以下のようにして使用することができる。まず、光源10Aから連続光を照射させる。光源10Aから照射された連続光は、レンズ72およびビームスプリッタ73をこの順序で透過した後、ビームスプリッタ75で反射され、ビームスプリッタ74を透過して眼球1に照射される。眼球1に照射された前記連続光の少なくとも一部は、眼球1による反射、蛍光もしくは散乱等で、眼球1から出射される。眼球1から出射された出射光は、ビームスプリッタ74を透過する。ビームスプリッタ74を透過した前記出射光の一部は、ビームスプリッタ75を透過し、Aユニット200Aのレンズ76によって収束される。レンズ76を透過した光は、Aユニット200Aによって、図2のAユニット100Aと同様に処理される。Aユニット200Aの撮像手段42に形成された画像は、例えば、スペクトル解析手段(図示せず)に供され、各視野の分光スペクトルが解析される。
0056
また、ビームスプリッタ74を透過した前記出射光の一部は、ビームスプリッタ75により反射され、さらにビームスプリッタ73により反射され、Bユニット200Bのレンズ77によって収束される。レンズ77を透過した光は、Bユニット200Bによって、図5のBユニット100Bと同様に処理される。Bユニット200Bの撮像手段20Bに形成された画像は、例えば、スペクトル解析手段(図示せず)に供され、各視野の分光スペクトルが解析される。
0057
また、図7の眼球分析装置は、例えば、以下のようにしても使用することができる。まず、光源10Bから連続光を照射させる。光源10Bから照射された連続光は、反射鏡71により反射され、さらにビームスプリッタ74により反射されて眼球1に照射される。反射鏡71は、前記のとおり、回転により光の反射方向を変化させることが可能であり、これにより、眼球1内をスキャンして分析視野を拡大することができる。眼球1に照射された前記連続光の少なくとも一部は、眼球1による反射等で、眼球1から出射される。眼球1から出射された出射光は、ビームスプリッタ74を透過し、その後、ビームスプリッタ75を透過し、または反射され、光源10Aからの光と同様に、Aユニット200AおよびBユニット100Bで処理される。
0058
図7の装置によれば、例えば、2つの光源(光照射手段)10Aおよび10Bを、目的に応じて適宜切り替えて、または2つを同時に用いることができる。例えば、2つの光源の一方が可視光を照射する光源で、他方が赤外光を照射する光源でも良い。また、例えば、Aユニット200AおよびBユニット200Bを、目的に応じて適宜切り替えて、または2つを同時に用いることができる。
0060
[実施形態8]
図8に、本発明の眼球分析装置のさらに別の構成の一例を示す。この装置は、図7の光源10Bに代えて照射ユニット(レーザーユニット)300Bを有すること以外は、図7と同じである。レーザーユニット300Bは、コヒーレントアンチストークスラマン分光(CARS)用光照射手段である。レーザーユニット300Bは、光照射手段(光源)10Cおよび10Dと、光路長調整ユニット101と、リレーレンズ102とにより構成される。光路長調整ユニット101は、例えば、光を反射可能なミラー等から構成されており、光源10Dから照射された連続光(ストークス光)を反射する。そして、光路長調整ユニット101が、図中の矢印に示すとおり、光源10Dからの前記連続光の照射方向に沿って前後に移動することで、前記連続光の光路長を調整できる。これによって、光路長調整ユニット101は、例えば、後述する、連続光と超短パルスレーザー(ポンプ光およびプローブ光)の眼球への入射タイミングを合わせる役割を果たす。
0061
光源10Dは、例えば、スーパーコンティニューム光(SC)を発する光源である。光源10Cは、レーザー光(単色パルス光)を照射する。前記レーザー光は、例えばフェムト秒またはピコ秒レーザーを種光とし、光源10Dから照射されるスーパーコンティニューム光の励起光の役割を果たす。また、前記レーザー光は、例えば、可視光または赤外線の超短パルスレーザーである。
0062
また、図8の装置において、光源10Aが、白色光源であり、照射ユニット300Aが、前記白色光源を含む白色光源ユニットであっても良い。光源10Aは、例えば、ハロゲン光源または黒体(波長域による)であっても良い。レンズ72は、例えば、拡散板、コンデンサーレンズ、コリメータレンズ等であっても良い。
0063
図8の眼球分析装置は、例えば、以下のようにして使用することができる。まず、光源10Cおよび10Dから光を照射させる。光源10Dから照射されたスーパーコンティニューム光は、光路長調整ユニット101により光路長が調整される。光源10Cから照射されたレーザー光は、リレーレンズ102により反射される。これにより、前記スーパーコンティニューム光(連続光)および前記レーザー光の光路が重なって混合光となる。前記混合光は、反射鏡71により反射され、図7の装置と同様の経路により、眼球1に照射され、眼球1から射出されたアンチストークスラマン散乱光がさらにAユニット200AおよびBユニット200Bに入射する。Bユニット200Bでは、回折格子32により、眼球1からの出射光が分光される。これら以外は、図8の眼球分析装置は、図7の装置と同様にして使用できる。例えば、光源10Cおよび10Dに加え、またはそれに代えて、光源10Aから連続光を照射させて、図7の装置と同様に使用することができる。
0064
図8の装置によれば、前記のとおり、光源10Dによるスーパーコンティニューム光(SC)と光源10Cによるレーザー光(単色パルス光)との混合光を眼球1に照射し、眼球内で生成されたアンチストークスラマン散乱光を回折格子32により分光する。一般に、アンチストークスラマン光は通常のラマン散乱光にくらべて非常に強度が高く、かつポンプ光によって発生するルミネッセンス光の影響を受けないので、これによりさらに感度が高い分析をすることができる。
0065
図8の装置によれば、例えば、レーザーユニット300BおよびBユニット200Bを用いてCARSを行うことで、例えば、眼内における白内障の空間分布情報を取得し、白内障マッピングができる。これにより、例えば、進行が進んでいない状態においても白内障が検知できる。また、前記CARSを行うことで、例えば、眼底断層の3次元マッピング(眼底写真+深さ)を行うことができる。このためには、ラマン散乱光としては解像度が高いことが好ましい。また、透過力の高い近赤外線光(波長1000〜1550nm)を用いることが好ましい。ただし、これらの用途は例示であり、図8の装置の用途は、これらに限定されない。また、この装置の構成も、特に限定されない。例えば、図5の装置(Bユニットを含みAユニットを含まない)の光源10をレーザーユニット300Bに変えた装置を、図8の装置と同様の用途に用いることも出来る。なお、本発明において「眼底断層」は、眼底および眼底よりも下層の間の空間の断層を含む。
0066
なお、図8の装置において、ストークス光(眼球1に照射される連続光のうち、プローブとなる眼球中の分子の励起に関わる光)の波長は、特に限定されないが、例えば、1000〜1550nmである。網膜、眼底等を分析する場合は、眼球中の水の吸収帯等を考慮して、分析対象部位まで光を届きやすくする観点から、波長が1400nmを超えないことが好ましい。また、ポンプ光(光源10Cから出射されるレーザー光)の波長も特に限定されないが、例えば、700nm以上である。光源10Cの出力も特に限定されないが、例えば、光源10Cからの光の放出持続時間が10秒の場合、15.6mW以下である。
0067
図8の装置に限らず、本発明の眼球分析装置において、眼球に照射される光の波長、出力等は、安全性を考慮して適切に選択することが好ましい。また、光源の出力は、例えば、レーザ安全性の標準化(JISC6802)および眼光学機器における光ハザードからの保護(JIST15004-2)等に定める最大許容露光量(MPE:Maximum Permissible Exposure)を超えないようにすることが好ましい。光源が複数の場合であって、それぞれの出射光の波長における最大許容露光量が同じ(同じ規制波長帯)場合は、全光源の出力の和が、最大許容露光量を超えないようにすることが好ましい。また、光源が2つの場合であって、それぞれの出射光の波長における最大許容露光量が異なる(異なる規制波長帯)場合は、第1の光源の露光量と、第2の光源の露光量とが、下記数式(1)の関係を満たすことが好ましい。光源が3つ以上の場合も、同様である。また、例えば、後述する図9のように、混合光が波長選択フィルターにより分光され、必要な波長の光のみが選択的に眼球に照射される場合は、光源からの出射光に代えて、眼球に照射される光の露光量が、最大許容露光量を超えないようにしても良い。
(E1/E1max)+(E2/E2max)≦1 (1)
E1:第1の光源の出射光の露光量
E1max:第1の光源の出射光の波長における最大許容露光量
E2:第2の光源の出射光の露光量
E2max:第2の光源の出射光の波長における最大許容露光量
0068
[実施形態9]
図9に、本発明の眼球分析装置のさらに別の構成の一例を示す。この装置は、光照射手段10が、波長選択フィルター(バンドパスフィルター)78を含み、波長選択フィルター78が、反射鏡71とビームスプリッタ74との間に配置されていること以外は、図8と同じである。反射鏡71により反射された混合光は、波長選択フィルター78により分光され、必要な波長の光のみが、選択的に眼球1に照射される。具体的には、例えば、前記混合光に含まれる光のうち、ストークス光(眼球1に照射される連続光のうち、プローブとなる眼球中の分子の励起に関わる光)およびポンプ光(光源10Cから出射されるレーザー光)のみが波長選択フィルター78を通過(透過)し、選択的に眼球1に照射される。
0069
図10のグラフに、波長選択フィルター78の機能を模式的に示す。同図において、横軸は波長であり、縦軸は透過率である。図示のとおり、ポンプ光の波長λpと、ストークス光の波長帯λsの光のみが波長選択フィルター78を通過し、他の波長の光はカットされる。ただし、図10は例示であり、本発明をなんら限定しない。例えば、図10におけるポンプ光の波長λpおよびストークス光の波長帯λsは、一例であって、本発明はこれに限定されない。また、例えば、図10ではストークス光の波長帯が1つであるが、ストークス光の波長帯が複数の場合は、前記複数の波長帯のストークス光が全て波長選択フィルター78を透過しても良い。ストークス光の波長帯が複数であると、例えば、複数の疾患(例えば、白内障およびアルツハイマー病)に対応する分析が可能であり、それらの早期診断等に対応できる。
0070
必要な波長以外の光を波長選択フィルター78で遮断(カット)し、眼球1に入射させないようにすることで、例えば、眼球1に入射する光エネルギー量を抑え、眼球分析の安全性を高めることができる。また、例えば、必要な波長以外の光がなくなることで、眼内で発生する散乱光およびルミネッセンス光が減少することでバックグラウンド光が減少し、ラマン光が検出しやすくなり、ラマン光の波長に対応した分析(例えば、特定タンパク質等の分子の分析)の精度が向上する。
0071
また、例えば、光源10Dとして、連続光に代えてストークス光のみを出射する単色レーザー光源を用い、波長選択フィルター78を用いなくても、波長選択フィルター78の使用と同様の効果を得ることができる。しかしながら、連続光を用いた方が、温度変化によるレーザー出力波長の温度ドリフトなどの不安定性に強くなる(ロバストになる)ため好ましい。
0072
ストークス光の波長帯が複数の場合は、例えば、波長選択フィルター78を複数用い、それぞれを切り替えることで、それぞれの波長選択フィルターに対応したストークス光の波長帯を通過させるようにしても良い。また、例えば、波長選択フィルター78を複数用いることに加え、またはそれに代えて、波長選択フィルター78が波長可変フィルターであっても良い。
0073
また、例えば、複数の波長帯のストークス光を通過させるために、波長選択フィルター78が回折格子および波長選択マスクを含んでいても良い。図11に、回折格子および波長選択マスクを含む波長選択フィルター78の一例を示す。図示のとおり、この波長可変フィルター78は、回折格子78a、レンズ78b、波長選択マスク78c、レンズ78d、および回折格子78eが、光入射側(図の下側)から前記順序で配置されている。図示のとおり、まず、回折格子78aにより混合光が分光される。分光された混合光は、レンズ78bを通過し、波長選択マスク78cにより、1つまたは複数(図では2つ)の波長帯の光のみが選択的に通過される。波長選択マスク78cを通過した光は、レンズ78dおよび回折格子78eを通過した後に、眼球1に照射される。なお、波長選択マスク78cは、例えば、波長選択フィルターまたは波長可変フィルターであっても良い。また、図11の波長選択フィルター78において、光入射側と光出射側とを逆にして用いることも出来る。
0074
[本発明の用途]
本発明の眼球分析装置および眼球分析方法は、例えば、以下の用途に用いることができる。ただし、これらは例示であって、本発明をなんら限定しない。
0075
本発明によれば、例えば、眼球内において、前記眼球への光の入射方向に対し垂直な面を、前記眼球の空間の位置に応じて分析することができる。分析対象とする前記面は、特に限定されないが、例えば、眼底であっても良いし、網膜、角膜、または水晶体の少なくとも一部であっても良い。
0076
また、本発明によれば、前記眼球からの出射光を波長ごとに分光することにより、例えば、前記面方向の分析において、さらに波長を変化させた分析(三次元分光分析)を行うことができる。図12に、本発明における三次元分光分析の概念を模式的に示す。図12は、前記平面方向(X方向およびY方向とする)に加え、さらに、波長の変化(Z方向とする)に応じた分析を行うことを示している。異なる波長帯で三次元分光分析を行うことによって、例えば、眼底断層写真の撮像により、赤外線波長の違いによる深度の違いの分析を行うことができる。また、例えば、可視光または赤外線の特定の波長の吸収を利用して、白内障検査に用いることができる。また、例えば、眼内血管、視神経等の撮像により、可視光の特定の波長での分光分析を行うことができる。
0077
また、本発明によれば、例えば、前記眼球への光の入射方向に対し垂直な面方向に加え、前記光の入射方向に平行な方向(前記眼球の奥行き方向)も含めて三次元的に分析することも可能である。また、これに加え、さらに波長を変化させた分析(四次元分光分析)を行うことができる。また、例えば、前記波長を変化させた四次元分光分析に加え、さらに、測定時刻を変化させた(測定方向に時間を加えた)五次元分光分析も可能である。
0078
また、本発明によれば、例えば、前記眼球内の空間の特定位置において、前記特定位置からの出射光の波長と、前記出射光の偏光方位角(Δθ)との関係を二次元的にプロットすることで、前記特定位置における眼球の状態を分析できる。前記眼球の状態としては、例えば、疾患の進行度合い等が挙げられる。より具体的には、例えば、前記特定位置における波長と偏光方位角(Δθ)との関係から、前記特定位置におけるL−アルギン酸とD−アルギン酸との割合を算出し、これにより、前記特定位置における白内障の進行度合いを判断できる。また、同様にして前記眼球内の様々な位置の波長と偏光方位角(Δθ)との関係をプロットすることで、前記様々な位置の疾患の進行度合いを判断できる。
0079
また、本発明の用途は、前記の説明に限定されず、眼球分析における任意の用途に広く使用可能である。例えば、本発明は、タンパク質(クリスタリンなど)の変性、眼球に分泌される物質などの分析に用いることができる。具体的には、例えば、眼球中のアミロイドタンパク質の分析により、アルツハイマー病の早期発見等に用いることができる。また、例えば、水晶体構成タンパク質(クリスタリン)中のトリプトファンが、酸化されたキヌレニンもしくは3-ヒドロキシキヌレニンを分析することで、または、タンパク質中のリジン残基と体内の糖が結合してできたAGE(advanced glycated end products)を分析することで、前述した白内障の早期発見も可能である。また、例えば、本発明は、透過力が高い長波長の光を用いることにより、眼底の深部、または、眼底および眼底よりも下層の間の空間まで分析可能であり、これにより、視神経の状態、毛細血管の状態、網膜の状態などを分析することができる。また、本発明によれば、例えば、非侵襲的に、かつ簡便に眼球の分析を行うことができる。
0080
また、本発明では、例えば、前述のとおり、眼球に照射する光を、複数の波長の光を含む混合光(例えば、白色光、SC光等の連続光、または複数の単色光の混合光)とすることができる。現在広く用いられている波長掃引型OCT(SS-OCT:Swept Source Optical Coherence Tomography)では、複数の波長の光を時間的に分けて入射するため、測定(分析)時間が長くなり、患者への負担も大となる。これに対し、本発明においては、例えば、前記複数の波長の光を含む混合光を一度だけ眼球に照射するのみで眼球の分析が可能である。これにより、SS-OCTと比較して分析時間を大幅に短縮可能であり、患者への負担を軽減できる。ただし、この説明は例示であり、本発明をなんら限定しない。
0081
以上、実施形態1〜9により、本発明の眼球分析装置および眼球分析方法の例について説明し、さらに、本発明の用途の例について説明した。ただし、本発明は、これらに限定されず、任意の変更が可能である。例えば、本発明は、AユニットおよびBユニットの一方または両方を含む眼球装置のみには限定されない。また、例えば、分光法としては、CARS等のラマン分光法を中心に説明したが、本発明に用いることのできる分光法はこれに限定されず、例えば、フーリエ分光、時間領域分光等の、一般的に用いられる任意の分光法を使用可能である。
0082
以上、説明したとおり、本発明によれば、眼球の状態の微細な変化も検出可能で、疾患の早期発見等に有用な眼球分析装置および眼球分析方法を提供することができる。これにより、本発明は、眼球の状態に関連した各種疾患の早期発見等に多大な貢献が可能である。
0083
10光照射手段
10A、10B、10C、10D光源
11、13、23、25、41、72、76、77レンズ
12、73、74、75ビームスプリッタ
20光分離手段
20B撮像手段(光分離手段)
21マイクロレンズアレイ
22マスク(視野マスク)
24 像面
26 1/2波長板
27偏光板
61 偏光板または円偏光板(円偏光手段)
42 撮像手段
30分光手段
31回折格子(分光手段)
32波長可変フィルター(分光手段)
33狭帯域フィルター
71反射鏡
78波長選択フィルター
78a、78e 回折格子
78b、78d レンズ
78c波長選択マスク
100A、200A Aユニット
100B、200B Bユニット
300A照射ユニット(白色光源ユニット)
300B 照射ユニット(レーザーユニット)
技術視点だけで見ていませんか?
この技術の活用可能性がある分野
分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -
(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成