図面 (/)

技術 化成被膜を有する鋼板、化成被覆された鋼板の製造方法、および鋼板に化成被膜を適用するための処理剤

出願人 ティッセンクルップラッセルシュタインゲーエムベーハーティッセンクルップアクチェンゲゼルシャフト
発明者 アンドレアマルマンタニアロンメルタジャーナカスドルフマーティンシュライヒ
出願日 2018年5月2日 (1年11ヶ月経過) 出願番号 2018-088538
公開日 2019年2月21日 (1年2ヶ月経過) 公開番号 2019-026929
状態 未査定
技術分野 金属の化成処理
主要キーワード プラスチック被膜 酸化物残渣 ラッカー被膜 電解被覆 ラッカー処理 酸洗い溶液 化成層 構造的構成要素
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2019年2月21日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (0)

図面はありません

課題

鋼板上に化成被膜を形成するためのクロムフリー剤、クロムフリー化成被膜を有する鋼板およびその製造方法の提供。

解決手段

水に溶解した成分から調製される化成被膜を有し、特に帯形状の原板である鋼板を利用可能にし、成分は、i)ヘキサフルオロチタネート、ii)リン酸亜鉛、iii)リン酸、iv)i)〜iii)のいずれかの混合物の群から選択され、ただし成分i)、ii)およびiii)は有機成分を含有しない。

概要

背景

従来技術では、金属表面を、その金属とは異なり、一般的にはその金属よりも卑である金属(例えば、亜鉛およびクロム)の被膜被覆する方法を用いることによって、金属表面を腐食から保護することが知られている。したがって、例えば、亜鉛またはクロム、または場合によってはスズ(鋼よりも貴である)で鋼板を被覆することが知られている。包装材料の製造、特に食品分野では、例えば、スズで被覆された原板ブリキ)が広く使用されている。ブリキの顕著な特徴は優れた耐腐食性、良好な成形性およびその溶接性であり、そのためブリキは包装材料、例えば飲料缶の製造に使用するのに一番適している。

ブリキは、食品用の包装材料として優れた特性を有し、この目的のために何十年も製造され加工に供されてきた。しかしながら、ブリキの腐食防止被膜を構成するスズは、この資源の世界的な不足によって比較的高価な材料となっている。ブリキの代わりに、特に包装材料として使用するために、クロムで電解被覆され「ティンフリースチール(TFS)」または「電解クロムめっき鋼(ECCS)」と呼ばれる鋼板を使用することが従来技術から知られている。一方で、このティンフリー鋼板は、ラッカーまたは有機保護被膜(例えば、PPまたはPET)に対する優れた接着性によって特徴付けられるが、他方で、この被覆プロセスは、被膜に使用されるクロム(VI)含有材料の毒性および健康を危険にさらす特性のためにかなりの欠点を伴う。

鋼板を腐食から保護し、ラッカーおよび合成被膜のための良好な接着表面を形成するために、化成被膜が鋼板の表面に適用されることが多い。鋼板(原板)上に目標とする化成被膜を生成することにより、鋼板の腐食を防ぐか、または少なくとも腐食をかなり遅らせる。

化成被膜は、金属表面上の非常に薄い非金属被膜であり、原則として、水性処理溶液の、金属基板との化学反応によって生成される。特に薄鋼板(厚さ0.1〜0.5mmの範囲の原板)に適用した場合、化成被膜は、腐食に対する高い保護効果と、ラッカーや合成材料のための良好な接着表面とをもたらし、表面摩擦摩耗を低減する。

化成被膜を鋼板に適用する電解方法は、従来技術から知られている。このような化成被膜は、発ガン性クロム(VI)酸化物ベースのクロム電解液で生成されることが多かった。しかしながら、法的禁止により、クロム(VI)含有化成被膜の使用は極めて少なくなりつつある。典型的なクロム(VI)電解液の代替法は、酸化クロム(III)または複合フッ化物チタン化合物ジルコニウム化合物ベースの処理である。化成被膜を形成する別の可能性は、リン酸塩水溶液によるリン酸化である。

特許文献1には、クロム(VI)化合物を含まない水性組成物を有する鋼表面を含む金属表面被覆方法が記載されており、その水性組成物は、溶媒水に加えて、水溶性または水分散性ポリマーを有する少なくとも1種の有機被膜形成物質と、Ti、Zr、Hf、Si、AlおよびBの群から選択される、カチオンおよび/またはカチオンのヘキサ−およびテトラフルオロ錯体の内容物と、粒子径0.005〜0.2μmの粒子形状の少なくとも1種の無機化合物と、オプションシランおよび/またはシロキサンと、オプションで腐食防止剤も含む。

金属上に化成被膜を形成するための従来の市販のクロムフリー剤は、被膜形成物質または有機溶媒のいずれかを含有する。一般に、被膜形成物質は、化成被膜に接着能力など多くの有益な特性を付与するポリマーである。しかしながら、これらのポリマー物質の適用には、追加の労力と設備が必要であり、そのために物質はより高価にもなる。一般に、化成被膜を形成するために使用される従来のクロムフリー物質に含有される溶媒は、水よりも高価であり、化成被膜の適用中に人間の健康に何らかのリスクを呈し、ほとんどの場合、環境上の理由から避けるべきである、いわゆるVOC(揮発性有機化合物クラスに属する。

概要

鋼板上に化成被膜を形成するためのクロムフリー剤、クロムフリー化成被膜を有する鋼板およびその製造方法の提供。水に溶解した成分から調製される化成被膜を有し、特に帯形状の原板である鋼板を利用可能にし、成分は、i)ヘキサフルオロチタネート、ii)リン酸亜鉛、iii)リン酸、iv)i)〜iii)のいずれかの混合物の群から選択され、ただし成分i)、ii)およびiii)は有機成分を含有しない。なし

目的

本発明によって解決すべき課題は、鋼板上に化成被膜を形成するためのクロムフリー剤を利用可能にすることである

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

少なくとも1つの表面に化成被膜を有する鋼板であって、前記化成被膜は、i)ヘキサフルオロチタネート、ii)リン酸亜鉛および/またはリン酸鉄、iii)リン酸、の少なくとも1つを含有し、ただし前記成分i)、ii)およびiii)は有機成分を含有しない、鋼板。

請求項2

前記化成被膜は、i)ヘキサフルオロチタネート、ii)リン酸亜鉛および/またはリン酸鉄、iii)リン酸、の1つまたはこれらの成分の混合物から成り、ただし前記成分i)、ii)およびiii)は有機成分を含有しない、請求項1に記載の鋼板。

請求項3

前記化成被膜に有機ラッカーおよび/またはプラスチック被膜が適用される、請求項1または請求項2に記載の鋼板。

請求項4

前記化成被膜はリン酸イオンを含有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の鋼板。

請求項5

前記化成被膜中の前記ヘキサフルオロチタネートのチタンに対する被膜重量は、1mg/m2〜50mg/m2の範囲、好ましくは10mg/m2〜40mg/m2の範囲である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の鋼板。

請求項6

前記化成被膜中のリン酸塩のリン酸イオンに対する被膜重量は、10mg/m2〜1000mg/m2の範囲、好ましくは100mg/m2〜400mg/m2の範囲である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の鋼板。

請求項7

化成被膜鋼板を製造する方法であって、a)鋼板、特に鋼帯の形状の鋼板を入手するステップと、b)前記鋼板の少なくとも1つの表面をカソード脱脂するステップと、c)前記鋼板の前記脱脂された表面に化成被膜の湿膜を適用するステップであって、前記化成被膜の前記湿膜は、水に溶解した成分から調製され、前記成分は、i)ヘキサフルオロチタネート、ii)リン酸亜鉛および/またはリン酸鉄、iii)リン酸、並びに、iv)前記i)〜iii)のいずれか1つの混合物、の群から選択される成分であり、ただし前記成分は有機物質を含有しないステップと、d)前記化成被膜の前記湿膜を乾燥させるステップと、を含む、化成被膜鋼板の製造方法。

請求項8

前記乾燥させた化成被膜に、有機ラッカーおよび/またはプラスチック被膜を適用する、請求項7に記載の方法。

請求項9

カソード脱脂の後に、前記鋼板の脱脂された表面をアルカリ電解液中アノード分極する、請求項7または請求項8に記載の方法。

請求項10

鋼板に化成被膜を適用するための処理剤であって、前記処理剤は、水と、i)ヘキサフルオロチタネート、ii)リン酸亜鉛および/またはリン酸鉄、iii)リン酸、並びに、iv)前記i)〜iii)のいずれか1つの混合物、の群から選択された少なくとも1つの成分と、を含有し、ただし、前記成分i)、ii)およびiii)は有機成分を含まない、処理剤。

請求項11

前記処理剤は、水と、ヘキサフルオロチタネート、リン酸亜鉛および/またはリン酸鉄、並びにリン酸の混合物と、から成る、請求項10に記載の処理剤。

請求項12

前記処理剤は、水と、i)ヘキサフルオロチタネート、ii)リン酸亜鉛および/またはリン酸鉄、iii)リン酸、の1つまたはこれらの成分の混合物と、から成り、ただし前記成分i)、ii)およびiii)は有機成分を含有しない、請求項10に記載の処理剤。

技術分野

0001

本発明は、化成被膜を有する鋼板化成被覆された鋼板の製造方法、および鋼板に化成被膜を適用するための処理剤に関する。

背景技術

0002

従来技術では、金属表面を、その金属とは異なり、一般的にはその金属よりも卑である金属(例えば、亜鉛およびクロム)の被膜被覆する方法を用いることによって、金属表面を腐食から保護することが知られている。したがって、例えば、亜鉛またはクロム、または場合によってはスズ(鋼よりも貴である)で鋼板を被覆することが知られている。包装材料の製造、特に食品分野では、例えば、スズで被覆された原板ブリキ)が広く使用されている。ブリキの顕著な特徴は優れた耐腐食性、良好な成形性およびその溶接性であり、そのためブリキは包装材料、例えば飲料缶の製造に使用するのに一番適している。

0003

ブリキは、食品用の包装材料として優れた特性を有し、この目的のために何十年も製造され加工に供されてきた。しかしながら、ブリキの腐食防止被膜を構成するスズは、この資源の世界的な不足によって比較的高価な材料となっている。ブリキの代わりに、特に包装材料として使用するために、クロムで電解被覆され「ティンフリースチール(TFS)」または「電解クロムめっき鋼(ECCS)」と呼ばれる鋼板を使用することが従来技術から知られている。一方で、このティンフリー鋼板は、ラッカーまたは有機保護被膜(例えば、PPまたはPET)に対する優れた接着性によって特徴付けられるが、他方で、この被覆プロセスは、被膜に使用されるクロム(VI)含有材料の毒性および健康を危険にさらす特性のためにかなりの欠点を伴う。

0004

鋼板を腐食から保護し、ラッカーおよび合成被膜のための良好な接着表面を形成するために、化成被膜が鋼板の表面に適用されることが多い。鋼板(原板)上に目標とする化成被膜を生成することにより、鋼板の腐食を防ぐか、または少なくとも腐食をかなり遅らせる。

0005

化成被膜は、金属表面上の非常に薄い非金属被膜であり、原則として、水性処理溶液の、金属基板との化学反応によって生成される。特に薄鋼板(厚さ0.1〜0.5mmの範囲の原板)に適用した場合、化成被膜は、腐食に対する高い保護効果と、ラッカーや合成材料のための良好な接着表面とをもたらし、表面摩擦摩耗を低減する。

0006

化成被膜を鋼板に適用する電解方法は、従来技術から知られている。このような化成被膜は、発ガン性クロム(VI)酸化物ベースのクロム電解液で生成されることが多かった。しかしながら、法的禁止により、クロム(VI)含有化成被膜の使用は極めて少なくなりつつある。典型的なクロム(VI)電解液の代替法は、酸化クロム(III)または複合フッ化物チタン化合物ジルコニウム化合物ベースの処理である。化成被膜を形成する別の可能性は、リン酸塩水溶液によるリン酸化である。

0007

特許文献1には、クロム(VI)化合物を含まない水性組成物を有する鋼表面を含む金属表面被覆方法が記載されており、その水性組成物は、溶媒水に加えて、水溶性または水分散性ポリマーを有する少なくとも1種の有機被膜形成物質と、Ti、Zr、Hf、Si、AlおよびBの群から選択される、カチオンおよび/またはカチオンのヘキサ−およびテトラフルオロ錯体の内容物と、粒子径0.005〜0.2μmの粒子形状の少なくとも1種の無機化合物と、オプションシランおよび/またはシロキサンと、オプションで腐食防止剤も含む。

0008

金属上に化成被膜を形成するための従来の市販のクロムフリー剤は、被膜形成物質または有機溶媒のいずれかを含有する。一般に、被膜形成物質は、化成被膜に接着能力など多くの有益な特性を付与するポリマーである。しかしながら、これらのポリマー物質の適用には、追加の労力と設備が必要であり、そのために物質はより高価にもなる。一般に、化成被膜を形成するために使用される従来のクロムフリー物質に含有される溶媒は、水よりも高価であり、化成被膜の適用中に人間の健康に何らかのリスクを呈し、ほとんどの場合、環境上の理由から避けるべきである、いわゆるVOC(揮発性有機化合物クラスに属する。

先行技術

0009

DE10161383A1

発明が解決しようとする課題

0010

したがって、本発明によって解決すべき課題は、鋼板上に化成被膜を形成するためのクロムフリー剤を利用可能にすることである。さらに、本発明は、クロムフリー化成被膜を有する鋼板およびその製造方法を提供することも目的としており、この鋼板はできる限り安価に製造することができ、ティンフリー鋼板(TFSまたはECCS)およびブリキの代替品として使用することができ、特に耐腐食性およびラッカーまたは有機被膜への接着性に関して、ブリキまたはティンフリー鋼板に匹敵するものである。

0011

これらの問題は、請求項1に記載の鋼板、請求項7に記載の化成被膜鋼板の製造方法、および請求項10に記載の鋼板に化成被膜を適用するための処理剤によって解決される。

0012

本発明で開示される鋼板は、特に、耐食性金属膜コーティングで被覆された帯(ストリップ)状の原板(ブラックプレート;blackplate)または鋼板であり、少なくとも1つの表面に化成被膜を有し、化成被膜は、
i)ヘキサフルオロチタネート
ii)リン酸亜鉛および/若しくはリン酸鉄
iii)リン酸、または、
iv)上記成分i)〜iii)の混合物
の少なくとも1つを含有するが、化成被膜は有機物質を含有しない。

0013

化成被膜は、好ましくは成分i)〜iii)の1つまたはこれらの成分の混合物から成り(consist of)、最も好ましくは成分i)とii)の混合物、または3つの成分i)、ii)およびiii)全ての混合物から成る。

0014

本発明で開示される鋼板を製造するには、金属で被覆されているかまたは被覆されていない鋼板(原板)を使用し、最初の加工工程で表面を脱脂した後、水または別の濯ぎ液濯ぎ、最後に次工程において、少なくとも1つの脱脂された鋼板表面に、無機成分のみから成るクロムフリー処理溶液の湿膜を適用することによって化成被膜の湿膜を適用し、その化成被膜の湿膜は水に溶解した成分から調製され、その成分はヘキサフルオロチタネート、リン酸亜鉛および/若しくはリン酸鉄、リン酸並びに/またはこれらの成分の混合物を含む群から選択され、ただし、成分は有機物質および平均粒径が0.005μmを超える無機粒子を含有しない。湿潤被膜体積は、好ましくは1mL/m2〜10mL/m2の範囲である。本発明により開示される方法の最後の工程では、最終的に化成被膜の湿膜を乾燥させる。

0015

クロムフリー処理溶液は、専ら、好ましくは水と、ヘキサフルオロチタネート、リン酸亜鉛および/若しくはリン酸鉄、若しくはリン酸、またはこれらの成分の混合物のうちの少なくとも一つと、から成り、最も好ましくは、水と、ヘキサフルオロチタネートおよびリン酸亜鉛の成分の混合物、または、ヘキサフルオロチタネート、リン酸亜鉛およびリン酸の成分の混合物のうちの1つと、から成る。水性処理溶液から調製された化成被膜の湿膜が乾燥している間、溶媒(水)は蒸発し、その結果、これらの好ましい実施例の乾燥化成被膜は、クロムフリー処理溶液の有効成分(活性成分)、すなわち、ヘキサフルオロチタネート、リン酸亜鉛および/若しくはリン酸鉄並びにリン酸の有効成分、またはこれらの有効成分の混合物のみから成る。

0016

本発明の好ましい実施形態は、従属請求項に記載されている。本発明を以下により詳細に説明する。

実施例

0017

本発明で開示される鋼板の出発材料は、好ましくは、炭素含有量が20〜1000重量ppmの鋼からなる、冷間圧延焼鈍調質圧延または調質パス(temper-passed)された鋼板である。鋼板(原板)は、好ましくは、以下の特性を有する:
引張強度:300〜1000MPa
破断伸び:1〜40%
厚さ:0.05〜0.49mm
表面粗さ:0.1〜1μm

0018

鋼板の鋼は、例えばフェライト鋼、または複数の構造的構成要素を含む、特にフェライトマルテンサイトベイナイトおよび/若しくは残留オーステナイトを含む多相鋼とすることができる。このような多相鋼は、500MPaを超える高い引張強度と同時に、10%を超える高い破断伸びによって特徴付けられる。本発明で開示するように処理される原板の意図された用途に関しては、包装用鋼として、好ましくはDIN EN10202:2001:「Cold reduced tin mill products-Electrolytic tinplate and electrolytic chromium/chromium oxide coated steel」に定義された鋼板のグレードを使用する。この規格は、とりわけ、鋼の分析および機械的特性も規定している。グレードは特に、TS230(軟鋼グレード、バッチ焼鈍降伏強度230MPa)からTH620(連続焼鈍炉、620MPa)の範囲に及ぶ。鋼板は、金属被覆鋼板、例えば電解スズめっき鋼板であってもよい。

0019

本発明に開示されている方法は、好ましくは帯状の鋼板を200m/分から750m/分までの帯速度で移動させ、電気化学的前処理を行うことによって実施する。この前処理の過程で、移動する鋼板をまず洗浄し脱脂する。洗浄および脱脂は、鋼板をカソード陰極)として電解液に通すことによって行うことが好ましい。再結晶焼鈍の後、冷間圧延および再結晶焼鈍された鋼板は通常調質圧延又は調質パスされ、その工程において例えば湿式調質圧延中に鋼板表面は水−油懸濁液で汚染され、乾式調質圧延中に、油、摩耗した鉄粒子石鹸および他の汚染物質で汚染されるため、脱脂は重要である。これらの汚染物質は洗浄工程で除去される。

0020

鋼板を洗浄および脱脂するために、例えば、アルカリ性水酸化ナトリウム溶液または水酸化カリウム溶液を含有する洗浄槽に鋼板を通すことができる。アルカリ性脱脂剤の濃度は、20〜70℃の浴温度で、20〜100g/Lの範囲であることが好ましい。原板の脱脂は、好ましくは2つの工程で行い、第1の工程は浸漬プロセスを含み、第2の工程は電流密度2〜30A/dm2による電解プロセスを含む。脱脂後、原板帯の各表面を、例えば10〜30m3/hの水によるトリプルカスケード濯ぎによって、濯ぐ。必要に応じて、2回連続の浸漬工程で例えば濃度10〜120g/Lの塩酸酸洗い液または硫酸酸洗い液を含む追加の洗浄槽に原板帯を通し、その後、1回の浸漬工程で浸漬濯ぎをすることによって、酸化物残渣を除去することができる。酸洗い溶液および濯ぎ水の温度は、典型的には20〜60℃の範囲内である。

0021

洗浄および脱脂の後、化成被膜のための良好な接着表面を提供する均一な鋼表面を創出するために、鋼板に追加の電気化学的処理を行うことができる。この追加の電気化学的処理では、鋼板をアノード陽極)として使用し、アルカリ電解液を通過させる。アルカリ電解液は、例えば、水酸化ナトリウム溶液または炭酸ナトリウム溶液(Na2CO3)であり得る。

0022

アルカリ電解液中でのアノード処理後、鋼板を水または別の濯ぎ液で濯ぎ、続いて乾燥させる。乾燥は、例えば、連続乾燥炉内で、または移動する鋼板の表面に熱風流の層流を吹き付ける吹き付け装置によって行うことができる。

0023

濯ぎおよび乾燥の後、鋼板の少なくとも1つの表面に化成被膜を適用する。この目的のために、無機成分のみをベースとする水性のクロムフリー処理溶液の湿膜を、電解前処理し乾燥させた鋼板表面に適用する。これは、湿膜適用後の濯ぎ工程を省略した濯ぎなしのプロセスで行うことが好ましい。化成被膜を形成する水性処理溶液は、例えばロールコータを用いて鋼板の表面に塗布することができ、または回転式噴霧器などのスプレーノズルを用いて表面に噴霧することができる。

0024

処理溶液の湿膜を適用した後、このようにして形成された化成被膜を乾燥させる。この目的のため、鋼板を、化成被膜の湿膜を乾燥させるために例えばベルトドライヤを通過させる。乾燥は、好ましくは50℃〜250℃の温度で行う。化成被膜が乾燥した後、(各面において)このように形成された、表面重量1〜1000mg/m2、好ましくは10mg/m2〜400mg/m2の化成被膜の乾燥膜が、鋼板の表面に残存する。化成被膜の所望の乾燥膜厚は、適用工程において単位時間当たりに送られる水性処理溶液の量によって制御することができる。必要に応じて、適用される化成被膜の表面重量は、過剰の処理溶液を絞ることによって乾燥工程の前に調整することもできる。

0025

最後のステップとして、オプションで、乾燥化成被膜の表面を、ジオクチルセバケートセバシン酸ジオクチル)(DOS)、アセチルトリブチルシトレートクエン酸アセチルトリブチル)(ATBC)、ブチルステアレートステアリン酸ブチル)(BSO)またはポリアルキレングリコール、特にポリエチレングリコール(PEG、好ましくは分子量6000g/mol)、またはこれらの組み合わせによって処理することができる。

0026

溶媒水に加えて、化成被膜を鋼板に適用するために使用される水性処理溶液は、
i)ヘキサフルオロチタネート、
ii)リン酸亜鉛および/またはリン酸鉄、
iii)リン酸、または、
成分i)〜iii)の混合物
の少なくとも1つを含有し、ただし成分i)〜iii)は有機物質を含有しない。

0027

好ましい実施例において、水性処理溶液は、溶媒水に加えて、以下の成分又はそれらの混合物から成る(特に明記しない限り、全ての部および百分率は重量部および重量%を示す):
ヘキサフルオロチタン酸[CAS:17439−11−1]、
−リン酸亜鉛[CAS:14485−28−0]および/またはリン酸鉄[CAS:10045−86−0]、
−ヘキサフルオロチタン酸とリン酸亜鉛および/またはリン酸鉄との混合物、
−ヘキサフルオロチタン酸とリン酸との混合物、
−ヘキサフルオロチタン酸と、リン酸亜鉛および/またはリン酸鉄と、リン酸との混合物、または、
−リン酸亜鉛および/またはリン酸鉄とリン酸との混合物。

0028

処理溶液の効果および化成被膜の特性は、水性処理溶液に使用される成分の濃度および鋼板表面上の処理水溶液の湿膜体積に依存する。

0029

水性処理溶液中で、化成被膜の上記成分は、例えば、以下の濃度で使用することができ、これらの濃度は、互いに成分の任意の混合物に等しく適用される:
ヘキサフルオロチタン酸:1%、3%、5%、7%および10%であり、これらの値は想定可能な濃度範囲境界みなすこともできる;
リン酸亜鉛(Zn3(PO4)2):1%、3%、5%、7%および10%であり、この濃度はこれらから対応して導出できる範囲で変動する;
リン酸鉄(FePO4):1%、3%、5%、7%および10%であり、この濃度はこれらから対応して導出できる範囲で変動する;
リン酸との混合物中のリン酸亜鉛(Zn3(PO4)2)および/またはリン酸鉄(FePO4):上に挙げたリン酸亜鉛およびリン酸鉄と同様の濃度に加えて、リン酸1.4%、2.3%、3.2%、4.2%および5.5%であり、この濃度はこれらから対応して導出できる範囲で変動する;
TiPO4、すなわち、ヘキサフルオロチタン酸とリン酸亜鉛について上記で特定した成分の出発濃度で、1:2.5:1〜4:10:4の比率で、ヘキサフルオロチタン酸とリン酸亜鉛にリン酸を加えた混合物である。

0030

チタンを含有する本発明に開示された化成被膜、すなわち特にヘキサフルオロチタネートを含有する化成被膜またはヘキサフルオロチタネートとリン酸塩との混合物を含有する化成被膜の場合、チタンに対する好ましい乾燥被膜重量は1mg/m2〜50mg/m2、好ましくは10mg/m2〜40mg/m2の範囲であることが判明した。リン酸塩を含有する本発明に開示された化成被膜、すなわち特にリン酸亜鉛またはリン酸鉄からまたはリン酸亜鉛またはリン酸鉄を用いて作製された化成被膜の場合、リン酸イオンに対する好ましい乾燥被膜重量は10mg/m2〜1000mg/m2、好ましくは100mg/m2〜400mg/m2の範囲であることが判明した。

0031


以下、本発明の実施例について詳細に説明する。鋼板の表面上に化成被膜を生成するために適用される処理溶液の成分の特定の濃度は、処理溶液そのものを指し、場合により使用される可能性があるより高い濃度の出発溶液を指すわけではない。全ての所定の濃度は、使用された原材料そのものが例えば水溶液として既に希釈されているどうかにかかわらず、水性処理溶液中の有効成分の重量部を指す。

0032

実施例の試験には、厚さ0.27mmの原板シート(被覆されていない冷延鋼板)状の試験シートを用いた。最初に試験シートの表面を5%炭酸ナトリウム溶液Na2CO3中でカソード脱脂し(時間=30秒、温度=38℃、電流=5A/dm3)、続いて水および脱イオン水で濯いだ。ロールコータ(LARA)を用いて、脱脂した表面に、表1に示す水性処理溶液の湿膜を塗布し、続いて乾燥チャンバ内で乾燥させた(時間=50秒、温度98℃)。得られた化成被膜の表面重量(処理溶液の乾燥重量)を表1に示す。続いて、化成被覆された試験シートの表面を検査した。化成被膜の乾燥重量をXRFによって測定し、試験シートをサイクリックボルタンメトリーに供して電子移動障壁を決定した。電流密度は−770mV電位で測定した。これは鉄の二価形態への酸化の特徴を示す。測定値が高いほど、酸化性が高くなる。乾燥被膜重量およびサイクリックボルタンメトリーの測定結果を表1に示す。

0033

ヘキサフルオロチタネートを含有する化成被膜では、サイクリックボルタンメトリーによって測定し表1に列挙した値は比較的高く、それは被膜が透過性浸透性)であることを示す。リン酸塩(リン酸亜鉛、リン酸鉄)を含有する化成被膜の値は常に低く、それは不透明で高密度の被膜を示す。したがって、酸化性に関して、リン酸塩含有化成被膜はより良好な特性、特により高い耐腐食性を有する。サイクリックボルタンメトリーによる測定は、ヘキサフルオロチタネートまたはヘキサフルオロチタン酸とリン酸亜鉛との組み合わせが驚くほど良好な結果(10μA/cm2〜50μA/cm2)をもたらすことを示している。これらの値は、金属上の化成被膜の製造に使用するための複雑な構造を有する商業的に入手可能な物質の範囲にある。チタン含有化成被膜とリン酸塩含有化成被膜の有益な特性は、溶媒としての水と、ヘキサフルオロチタネートまたはヘキサフルオロチタン酸と、リン酸亜鉛および/またはリン酸鉄との混合物から水性処理溶液を調製することによって、特に、ヘキサフルオロチタン酸については1〜10重量%、リン酸亜鉛および/またはリン酸鉄については(合計で)1〜10重量%で、水性処理溶液を調製することによって組み合わせることができる。さらに、この好ましい混合物に例えば1〜10%の重量%でリン酸を添加することができる。リン酸の添加は、リン酸亜鉛を溶解できるという利点を提供する。

0034

続いて、4つの異なるラッカー(被膜重量5g/m2のゴールドラッカーAN 101.597;被膜重量5g/m2のゴールドラッカーBPA NI Metlac 816714;被覆重量5g/m2のゴールドラッカーGL 300MF;被膜重量15g/m2のホワイトラッカーBPA NI Valspar R 1016)を乾燥化成被膜に適用し、ラッカー処理した試験シートを負荷試験(変形および消毒)に供し、クロスカット試験およびエリクセンスケール(Erichsen scale)を用いて試験してラッカー接着性を評価した。この目的のために、ラッカーの接着の質に応じて、0(接着なし)から7(最適接着)までのポイント割り当てたポイント得点システムを使用した。異なるラッカーに対して化成被膜に与えられたポイントを合算し、この加算の合計を表2に列挙する。合計値が高いほど、有機ラッカーに対する化成被膜の接着性は良好である。

0035

表2は、ヘキサフルオロチタネートで作製された化成被膜がラッカー接着に関して最良の結果をもたらし、被膜重量が増加するにつれて接着性が向上することを示している。リン酸塩(リン酸亜鉛、リン酸鉄)を用いた化成被膜では、被膜重量が低いほうがラッカー接着性を改善する傾向があり、同一の被膜重量ではリン酸亜鉛の接着性はリン酸鉄の接着性よりも良好であることが判明した。したがって、亜鉛は、ラッカーの接着に有益な効果を有する。化成被膜がリン酸亜鉛成分を含有する場合、亜鉛は上記被膜重量範囲のいずれかに対応する被膜重量で存在することができる。(化成被膜の総重量に対して)1〜5重量%の亜鉛、好ましくは2〜4重量%の亜鉛を有する化成被膜が特に有利であることが判明した。

0036

ラッカー接着試験の結果を、従来のティンフリー鋼板(ECCSまたはTFS)で作製された比較試料の結果、および、Henkelによる市販の材料「Bonderite(登録商標)」で被覆された鋼板と比較した。従来のティンフリー鋼板(ECCSまたはTFS)は総得点115を得、「Bonderite(登録商標)」で被覆された鋼板は被膜重量に依存して総得点88〜118を得た。

0037

異なる被膜重量(表面重量)の化成被膜を用いた比較試験に基づいて、(チタンに対して)被膜重量約50mg/m2までヘキサフルオロチタネートを用いた化成被膜が良好な結果を示すことを実証することができた。したがって、(チタンに対する)化成被膜の表面重量の好ましい範囲は、1〜50mg/m2、より好ましくは3〜40mg/m2、特に10〜40mg/m2、さらには20〜40mg/m2または15〜30mg/m2の範囲である。

0038

リン酸塩被覆では、(リン酸イオンPO4に対して)被膜重量約500mg/m2まで良好な結果が得られる。したがって、リン酸塩(PO4)に対する化成層の表面重量の好ましい範囲は、10〜500mg/m2、より好ましくは20〜400mg/m2、特に50〜300mg/m2、さらには100〜250mg/m2または150〜300mg/m2の範囲である。

0039

別の試験では、ラッカー処理した試験シートの成形性を調べた。この目的のために、ラッカー処理した試験シートを深絞りによってβ−2カップに成形した。一方で、ヘキサフルオロチタネート(ヘキサフルオロチタン酸)を用いた化成被膜は、極端な変形を受けた場合でも最高の性能を示すことが判明した。他方では、成形性試験の結果から、40mg/m2を超える被膜要件を備えたチタン含有化成被膜は劣っていることが判明し、この理由は、チタン含有化成被膜では40mg/m2未満の被膜要件が好ましいためである。

0040

さらに、化成被覆された試験シートを、(ラッカー被膜の代わりに)フィルムラミネートした試験を行った。フィルムラミネート試験シートを深絞りして標準カップを形成した後、フィルムラミネートの剥離を試験する調査を行った。

0041

本発明により開示された処理溶液の各々について得られた試験結果は、熱による短い後処理の後、接着性値が非常に良好であり、有機物質を含む市販の複雑な化成被膜剤の値と同等であることを示す。

0042

概して、結果は、鋼板上に、50nmより大きい粒径を有する粒子状の有機物質(ポリマーおよび有機膜形成剤など)および有機化合物を含有する化成被膜を生成するためには、ラッカーおよびプラスチックラミネートの良好な耐腐食性および良好な接着特性を達成するために複雑な処理溶液を使用する必要はないことを示す。本発明に開示されているように、有効成分に限定され、したがってコストが低い、より単純な組成の純粋な無機処理溶液で同等の結果が得られ、この結果は鋼板の従来のクロム含有化成被膜に匹敵する。

0043

したがって、本発明に基づき、チタン被膜重量1〜50mg/m2の範囲、好ましくは10〜40mg/m2の範囲の有効成分チタンによる被覆から良好な結果が得られると結論付けることができる。本発明により開示されたリン酸塩含有化成被膜において、亜鉛元素は特性に有益な効果を有し、亜鉛濃度5%まで良好な結果をもたらす。

0044

本発明によって開示された方法は、既存の被覆ライン、例えばECCS(またはTFS)の製造に使用される帯被覆ラインに、大幅な設置費用および努力なしに統合することができる。このような帯被覆ラインでは、帯速度は典型的には80〜600m/分である。

0045

本発明に開示された方法は、鋼板をクロムフリー化成被膜で被覆できるという利点を有し、そのクロムフリー化成被膜は、無機成分のみをベースとし、したがって環境に優しく、健康に適合し、非常に費用対効果が高い。本発明で説明したように処理された鋼板は、包装材料、特にの製造において優れた適合性を有し、したがって包装用鋼として従来使用されているブリキおよびティフリー鋼(TFSまたはECCS)の代替になり得る。化成被膜で被覆された原板(金属被膜なしの冷延鋼板)は、その耐腐食性に関してブリキに匹敵し、ティンフリー鋼板(TFSまたはECCS)と同様に、有機ラッカーおよびプラスチック被膜(例えば、PPまたはPET)に対する良好な接着特性を有する。

0046

0047

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

該当するデータがありません

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

この 技術と関連性が強い技術

関連性が強い 技術一覧

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

該当するデータがありません

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ