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技術 熱電素子の金属元素の分離回収方法

出願人 株式会社アビヅ国立大学法人島根大学
発明者 笹井亮
出願日 2017年8月1日 (3年6ヶ月経過) 出願番号 2017-149490
公開日 2019年2月21日 (1年11ヶ月経過) 公開番号 2019-026909
状態 特許登録済
技術分野 金属の製造または精製
主要キーワード ビスマス含有率 中和処理剤 アンチモン含有率 テルル含有 テルル酸化物 耐圧密閉容器 発熱エネルギー 溶解塩
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (13)

課題

熱電素子から金属元素を分離して回収する簡便な方法を提供する。

解決手段

(1)熱電素子を、硝酸水熱処理によって溶解させる第一の工程によって、熱電素子が溶解される。その後、熱電素子がアンチモンを含有するものであれば、溶解したアンチモンが硝酸により酸化され、アンチモン(Sb)酸化物を含む不溶物が生じ、沈降する。(2)第一の工程により得られた硝酸水溶液から、沈殿物(不溶物)を回収する第二の工程によって、アンチモン酸化物が回収される。

概要

背景

熱電素子は、希少金属であるビスマス(Bi)とテルル(Te)、人体に有害なアンチモン(Sb)を高い割合で含有し、冷却素子などとして大量に使用されている。これら金属(Bi,Sb,Te)を高い割合で含有する熱電素子は、役目を終えた後、破棄されるのではなく、リサイクルされることが望ましい。

熱電素子に含まれる金属を分離・回収する方法として、特許文献1には、熱電素子の処理システムが記載されている。この処理システムは、溶解塩電解質に浸漬した熱電素子(Bi,Sb,Te)を陽極とし、所定の電圧印加させ、溶解塩電解質中の特定の元素イオンのみを陰極析出させる精製処理(特許文献1第1実施形態)、あるいは、熱電素子(Bi,Sb,Te)を塩化物転換し、塩化物を所定の温度に加熱させ、塩化物中の特定の元素の塩化物を蒸留分離させる精製処理(特許文献1第3実施形態)、をすることにより、熱電素子に含まれる金属の分離・回収を行っている。

概要

熱電素子から金属元素を分離して回収する簡便な方法を提供する。(1)熱電素子を、硝酸水熱処理によって溶解させる第一の工程によって、熱電素子が溶解される。その後、熱電素子がアンチモンを含有するものであれば、溶解したアンチモンが硝酸により酸化され、アンチモン(Sb)酸化物を含む不溶物が生じ、沈降する。(2)第一の工程により得られた硝酸水溶液から、沈殿物(不溶物)を回収する第二の工程によって、アンチモン酸化物が回収される。

目的

本発明は、上述の課題を解決するものであり、熱電素子から金属元素を分離して回収する簡便な方法を提供する

効果

実績

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請求項1

下記第一の工程と第二の工程とを含むことを特徴とする熱電素子金属元素分離回収方法。(1)熱電素子を、硝酸水熱処理によって溶解させる第一の工程。(2)前記第一の工程により得られた硝酸水溶液から、アンチモン(Sb)を主成分とする不溶物回収する第二の工程。

請求項2

下記第三の工程と第四の工程とを含むことを特徴とする請求項1に記載の熱電素子の金属元素の分離回収方法。(3)前記第二の工程後の硝酸水溶液を、中和処理液性塩基性とする第三の工程。(4)前記第三の工程により得られた塩基性水溶液から、ビスマス(Bi)を主成分とする不溶物を回収する第四の工程。

請求項3

下記第五の工程と第六の工程とを含むことを特徴とする請求項2に記載の熱電素子の金属元素の分離回収方法。(5)前記第四の工程後の塩基性水溶液を、還元剤によって化学的還元する第五の工程。(6)前記第五の工程により得られた水溶液から、テルル(Te)を主成分とする不溶物を回収する第六の工程。

技術分野

0001

本発明は、使用済みの熱電素子から、金属元素を分離して回収する方法に関する。

背景技術

0002

熱電素子は、希少金属であるビスマス(Bi)とテルル(Te)、人体に有害なアンチモン(Sb)を高い割合で含有し、冷却素子などとして大量に使用されている。これら金属(Bi,Sb,Te)を高い割合で含有する熱電素子は、役目を終えた後、破棄されるのではなく、リサイクルされることが望ましい。

0003

熱電素子に含まれる金属を分離・回収する方法として、特許文献1には、熱電素子の処理システムが記載されている。この処理システムは、溶解塩電解質に浸漬した熱電素子(Bi,Sb,Te)を陽極とし、所定の電圧印加させ、溶解塩電解質中の特定の元素イオンのみを陰極析出させる精製処理(特許文献1第1実施形態)、あるいは、熱電素子(Bi,Sb,Te)を塩化物転換し、塩化物を所定の温度に加熱させ、塩化物中の特定の元素の塩化物を蒸留分離させる精製処理(特許文献1第3実施形態)、をすることにより、熱電素子に含まれる金属の分離・回収を行っている。

先行技術

0004

特開2002−246661号公報

発明が解決しようとする課題

0005

使用済みの熱電素子から、ビスマス、アンチモン及びテルルを分離回収して、リサイクルする方法は、コスト的観点から、簡便な方法であることが必要とされる。

0006

しかしながら、上記の熱電素子の処理システムの第1実施形態の精製処理は、溶解塩電解質に特定の電圧を印加することにより、ビスマス、アンチモン及びテルルから回収目的としている元素のイオンのみを還元させて析出させるものである。しかし、溶解塩電解質からの析出は、大量のエネルギーを要するものであるため、簡便に行うことができないという問題があった。また、第3実施形態の精製処理は、塩化物を特定の温度に調整することによって、回収目的としている元素の塩化物を蒸留分離させものである。このため、僅かな温度変化によって目的外の元素の塩化物も蒸留されてしまうため、特定の元素の塩化物を分離回収するには、温度調整が難しく、上記の熱電素子の処理システムは、簡便に処理を行うことができないという課題があった。

0007

本発明は、上述の課題を解決するものであり、熱電素子から金属元素を分離して回収する簡便な方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0008

本発明に係る熱電素子の金属元素の分離回収方法は、下記第一の工程と第二の工程とを含むことを特徴とする。
(1) 熱電素子を、硝酸水熱処理によって溶解させる第一の工程。
(2) 前記第一の工程により得られた硝酸水溶液から、アンチモン(Sb)を主成分とする不溶物を回収する第二の工程。

0009

本発明の熱電素子の金属元素の分離回収方法によれば、熱電素子が、硝酸水熱処理によって溶解される。その後、熱電素子がアンチモンを含有するものであれば、溶解したアンチモンが硝酸により酸化され、アンチモン酸化物を含む不溶物が生じ、沈降する。このため、アンチモン酸化物を効率よく回収することができる。

0010

ここで、熱電素子の金属元素の分離回収方法は、下記第三の工程と第四の工程とを含む構成とすることができる。
(3) 前記第二の工程後の硝酸水溶液を、中和処理液性塩基性とする第三の工程。
(4) 前記第三の工程により得られた塩基性硝酸水溶液から、ビスマス(Bi)を主成分とする不溶物を回収する第四の工程。

0011

これによれば、第二の工程後の硝酸水溶液が、ビスマスを含有する場合、中和処理により液性が塩基性とされることによって、ビスマス酸化物を含む不溶物が生じ、沈降する。このため、ビスマス酸化物を効率よく回収することができる。

0012

また、熱電素子の金属元素の分離回収方法は、下記第五の工程と第六の工程とを含む構成とすることができる。
(5) 前記第四の工程後の塩基性水溶液を、還元剤によって化学的に還元する第五の工程。
(6) 前記第五の工程により得られた水溶液から、テルル(Te)を主成分とする不溶物を回収する第六の工程。

0013

これによれば、第四の工程後の塩基性水溶液が、テルルを含有する場合、塩基性水溶液に溶解しているテルルが還元剤によって化学的に還元され、金属テルルを含む不溶物が生じ、沈降する。このため、金属テルルを効率よく回収することができる。

発明の効果

0014

本発明の熱電素子の金属元素の分離回収方法によれば、熱電素子が、硝酸水熱処理によって溶解される。その後、熱電素子がアンチモンを含有するものであれば、溶解したアンチモンが硝酸により酸化され、アンチモン酸化物を含む不溶物が生じ、沈降する。このため、アンチモン酸化物を効率よく回収することができる。

図面の簡単な説明

0015

本発明の実施形態のフロー図である。
硝酸水熱処理の温度に対する必要な処理時間を示す図である。
硝酸水熱処理における時間と温度に対する熱電素子の溶解率を示す図である。
硝酸水熱処理における時間と温度に対するアンチモンの溶解量を示す図である。
硝酸水熱処理における時間と温度に対するビスマスの溶解量を示す図である。
硝酸水熱処理における時間と温度に対するテルルの溶解量を示す図である。
硝酸水熱処理における時間と温度に対する回収物アンチモン含有率を示す図である。
ビスマスとテルルを含有する硝酸水溶液の中和処理に対するビスマスとテルルの溶解量を示す図である。
中和処理された硝酸水溶液のpHに対する回収物のビスマスの含有率を示す図である。
中和処理された硝酸水溶液に還元剤として水素化ホウ素ナトリウムを加えたときのテルルの溶解量を示す図である。
中和処理された硝酸水溶液に還元剤としてアスコルビン酸を加えたときのテルルの溶解量を示す図である。
実施例1の第二の工程で回収した不溶物のX線回析パターンを示す図である。

0016

本発明の実施形態の熱電素子の金属元素の分離回収方法は、下記工程を含むことを特徴とするものである。
(1) 熱電素子を、硝酸水熱処理によって溶解させる第一の工程。
(2) 第一の工程により得られた硝酸水溶液から、アンチモン(Sb)を主成分とする不溶物を回収する第二の工程。
(3) 第二の工程後の硝酸水溶液を、中和処理し液性を塩基性とする第三の工程。
(4) 第三の工程により得られた塩基性水溶液から、ビスマス(Bi)を主成分とする不溶物を回収する第四の工程。
(5) 第四の工程後の塩基性水溶液を、還元剤によって化学的に還元する第五の工程。
(6) 第五の工程により得られた水溶液から、テルル(Te)を主成分とする不溶物を回収する第六の工程。
以下に詳細を述べる。

0017

熱電素子とは、電気エネルギー吸熱又は発熱エネルギーに変換するペルチェ効果を発揮する素子のことである。ペルチェ効果を発揮する素子は、ビスマス、アンチモン、テルルを高い割合で含有するものが多い。また、この3つの元素を全て含むものを、ビスマス−アンチモン−テルル系ペルチェ素子という。なお、ビスマス−アンチモン−テルル系ペルチェ素子に限らず、ビスマス、アンチモン又はテルルを高い割合で含有する素子であれば、実施形態の熱電素子の金属元素の分離回収方法の熱電素子として供することができる。また、熱電素子は、硝酸水熱処理を施す前に、裁断粉砕されることが好ましい。熱電素子の表面積を大きくし、硝酸水熱処理により熱電素子が溶解されやすくするためである。

0018

(1)熱電素子を、硝酸水熱処理によって溶解させる第一の工程。

0019

硝酸水熱処理とは、熱電素子を高温の硝酸水によって溶解させる処理である。

0020

硝酸水熱処理に使用する硝酸水の濃度は、2〜6mol/dm3であることが好ましい。効率よく熱電素子に含まれる金属元素を溶解させることができ、その後、硝酸の酸化力により、溶解したアンチモンを酸化・沈降させることができるためである。硝酸水熱処理に使用する硝酸水の濃度が2mol/dm3未満だと、熱電素子に含まれる金属元素の溶解が進みにくくなるおそれがある。一方、6mol/dm3を超えると、酸化力が低下するためか、溶解したアンチモンが沈降し難くなるおそれがある。より好ましくは、硝酸水熱処理に使用する硝酸水の濃度は、3〜5mol/dm3である。

0021

硝酸水熱処理に使用する硝酸水の温度は、120〜230℃であることが好ましい。熱電素子を効率よく溶解させることができるためである。硝酸水熱処理に使用する硝酸水の温度が120℃未満の場合には、熱電素子の溶解が不十分となるおそれがある。一方、230℃を超える場合には、過剰な熱量を必要とし、エネルギー効率が劣るおそれがあると共に、容器内張りされたフッ素樹脂融解が起こり、ステンレス容器腐食される恐れがある。容器の耐酸性などを考慮してより好ましくは、硝酸水熱処理に使用する硝酸水の温度は、140〜200℃であり、さらに好ましくは、160〜180℃である。なお、硝酸水の硝酸は、90℃未満の温度で揮発が始まるため、硝酸水熱処理に使用する容器には、耐圧性を有する密閉容器を使用する。

0022

硝酸水熱処理の処理時間は、硝酸水の温度によってより望ましい反応時間が異なる。具体的には、図2に示すように、硝酸水の温度が120℃以下の場合には、反応時間の下限値は、少なくとも20時間を要する。120℃を超え160℃以下の場合には、反応時間の下限値は、少なくとも6時間を要する。160℃を超え180℃以下の場合には、反応時間の下限値は、少なくとも3時間を要する。180℃を超える場合には、反応時間の下限値は、少なくとも2時間を要する。反応時間の上限値は、特に限定されるものではないが、エネルギー効率が悪くなることより、図2には示されていないが、30時間以下が好ましい。より好ましくは、25時間以下である。

0023

図3は、硝酸水熱処理の処理時間と硝酸水の温度に対する、熱電素子(ビスマス−アンチモン−テルル系ペルチェ素子)の溶解率を示す図である。溶解率は、硝酸水熱処理に供した熱電素子の溶解した質量%を示す。硝酸水の温度が120℃の場合には、少なくとも20時間を要し、140℃と160℃の場合には、少なくとも6時間を要し、180℃の場合には、少なくとも3時間を要し、200℃の場合には、少なくとも2時間を要することがおよそ分かる。

0024

図4〜6は、熱電素子(ビスマス−アンチモン−テルル系ペルチェ素子)の硝酸水熱処理の処理時間と硝酸水の温度に対する各金属元素の溶解量を示し、アンチモンの溶解量を図4に、ビスマスの溶解量を図5に、テルルの溶解量を図6に示す。溶解量は、硝酸水熱処理に供した熱電素子1gに対して、溶解した金属元素の質量(mg)を示す。図4において、1から3時間後のアンチモンの溶解量が多く、20時間後のアンチモンの溶解量が少なくなっているが、これは、アンチモンが不溶物として沈降したことによる。また、図5,6から、ビスマスとテルルが不溶物とならず溶解していることが分かる。

0025

硝酸水熱処理における硝酸水(3mol/dm3)に対する熱電素子の処理量は、1〜10g/dm3であることが好ましい。効率よく、熱電素子を硝酸水に溶解させることができるためである。硝酸水(3mol/dm3)に対する熱電素子の処理量が1g/dm3未満である場合には、熱電素子が過少となり反応に寄与しない硝酸が無駄になるおそれがある。一方、10g/dm3を超えると、硝酸が過少となり熱電素子を十分に溶解させることができないおそれがある。より好ましくは、硝酸水(3mol/dm3)に対する熱電素子の処理量は、2〜6g/dm3であり、さらに好ましくは、3〜4g/dm3である。なお、溶解率を考慮した最適の処理量は、3.4g/dm3である。

0026

(2) 第一の工程により得られた硝酸水溶液から、アンチモン(Sb)を主成分とする不溶物を回収する第二の工程。

0027

硝酸水溶液から、アンチモン(Sb)酸化物を含む沈殿物(不溶物)の回収は、吸引ろ過分離法遠心ろ過分離法などの一般的な分離方法によって回収することができる。

0028

硝酸水熱処理の処理時間と硝酸水の温度に対する、回収物のアンチモンの含有率を図7に記載する。なお、アンチモンの含有率は、誘導プラズマ発光分析により定量分析を行うことによって行った。回収物におけるアンチモンの含有率は、最大で60質量%であった。これは、ビスマスとテルルがアンチモン酸化物を含む沈殿物(不溶物)に混ざったためである。

0029

(3) 第二の工程後の硝酸水溶液を、中和処理し液性を塩基性とする第三の工程。

0030

第二の工程後の硝酸水溶液は、アンチモンが回収され、ビスマス(Bi)とテルル(Te)とが溶解しているものである。第二の工程後の硝酸水溶液(3mol/dm3、pH≒0.5)にアルカリ性中和処理剤を用いて中和処理を行うと、図8に示すような挙動を示すことを見出した。つまり、ビスマスは、pH=2未満で溶液中に溶解、pH=2以上でビスマス酸化物の不溶物として沈降する。テルルは、pH=3未満で溶液中に溶解、pH=3〜6でテルル酸化物として沈降する割合が多くなり、pH=6を超えると、再び溶液中に溶解する。また、図には記載されていないが、pH=14を超えると、ビスマスが再び溶解するため、ビスマスの分離回収に適さなくなる。従って、第三の工程において、硝酸水溶液のpHを7〜14に中和処理することによって、テルルを溶解させた状態で、ビスマス酸化物を不溶物として沈降させることができるため、ビスマスを分離回収することができる。より好ましくは、第三の工程での硝酸水溶液の中和処理のpHの範囲は、8〜12である。

0031

中和処理に用いるアルカリ性中和処理剤は、特に限定されるものではないが、アルカリ性中和処理剤自体が沈降し難い、軽金属アルカリ塩が好ましく、具体的には、水酸化リチウム水酸化ナトリウム水酸化カリウムなどを好適に使用することができる。

0032

(4) 第三の工程により得られた塩基性水溶液から、ビスマス(Bi)を主成分とする不溶物を回収する第四の工程。

0033

中和処理された硝酸水溶液から、ビスマス(Bi)酸化物を含む沈殿物(不溶物)の回収は、吸引ろ過分離法や遠心ろ過分離法などの一般的な分離方法によって回収することができる。

0034

中和処理された硝酸水溶液の中和処理後のpHに対する、回収物のビスマスの含有率を図9に記載する。なお、ビスマスの含有率は、誘導プラズマ発光分析により定量分析を行うことによって行った。回収物におけるビスマスの含有率は、中和処理後のpH=12としたときが最大であり、95質量%であった。逆にpH=3〜6としたときが低く、30質量%未満であった。これは、図8に示すように、pH=3〜6ではビスマスに加えてテルルが大きい割合で沈降しているためと考えられる。

0035

(5) 第四の工程後の塩基性水溶液を、還元剤によって化学的に還元する第五の工程。

0036

第四の工程後の塩基性水溶液は、アンチモンとビスマスとが回収され、テルル(Te)が溶解しているものである。第四の工程後の塩基性水溶液に還元剤を加えることによって、テルルを化学的に還元・分離回収することができる。

0037

還元剤としては、アスコルビン酸、水素化ホウ素ナトリウムなどを使用することができる。還元に要する時間は、常温(23℃)で24時間程度であるが、温度を上げることによって、反応を早めることができる。

0038

図10は、常温(23℃)下で、中和処理された硝酸水溶液(pH=10)に還元剤として水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)を加えたときのテルルの溶解量を示す図である。含有テルルの2倍モル量以上の水素化ホウ素ナトリウムを添加することによって、溶解していたテルルが還元され、沈降することが分かる。

0039

図11は、常温(23℃)下で、中和処理され、pH=10,11,12に調整された硝酸水溶液に還元剤としてアスコルビン酸を加えたときのテルルの溶解量を示す図である。含有テルルの6倍モル量以上のアスコルビン酸を添加することによって、溶解していたテルルが還元され、沈降することが分かる。

0040

(6) 第五の工程により得られた水溶液から、テルル(Te)を主成分とする不溶物を回収する第六の工程。

0041

還元処理後の水溶液から、テルル(Te)を含む沈殿物(不溶物)の回収は、吸引ろ過分離法や遠心ろ過分離法などの一般的な分離方法によって回収することができる。なお、水素化ホウ素ナトリウムを用いて還元したとき、アスコルビン酸を用いて還元したとき、共に、テルルの純度はほぼ100質量%であり、その化学形態は金属である。

0042

以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。分離回収した金属元素の含有率の測定には、Perkin−Elmer社の誘導プラズマ発光分析装置「OPTIMA−2000DV」を使用した。実施例は、表1に記載した条件で熱電素子から金属元素の分離回収を行った。

0043

0044

(実施例1)
実施例1は、ベストモードとなる実施例であり、熱電素子には、ビスマス−アンチモン−テルル系ペルチェ素子を用い、メノウ乳鉢で粉砕して試験に供した。

0045

(1)硝酸水熱処理は、ビスマス−アンチモン−テルル系ペルチェ素子3.4gを、3mol/dm3の硝酸1dm3と共に耐圧密閉容器注入し、200℃に保ちながら20時間反応させた(第一の工程)。

0046

(2)硝酸水熱処理後の不溶物の回収は、反応後の硝酸水溶液を吸引ろ過器によって沈殿物(不溶物)を分離させた(第二の工程)。アンチモン含有率を測定したところ、アンチモン含有率は、55質量%であった。図12に、回収した沈殿物のX線回析パターンを示す。アンチモン酸化物由来回折線観測され、酸化アンチモンが含まれていることが確認できる。

0047

(3)中和処理は、水酸化ナトリウム水溶液滴下することによって、pHを10に調整した(第三の工程)。

0048

(4)不溶物の回収は、中和処理後の硝酸水溶液を吸引ろ過器によって沈殿物(不溶物)を分離させた(第四の工程)。ビスマス含有率を測定したところ、ビスマス含有率は、81質量%であった。

0049

(5)中和処理された硝酸水に還元剤としてアスコルビン酸を滴下して、テルルを沈降させた(第五の工程)。

0050

(6)沈殿物の回収は、反応後の硝酸水溶液を吸引ろ過器によって沈殿物(不溶物)を分離させた(第六の工程)。テルル含有率を測定したところ、テルル含有率は、ほぼ100質量%であった。

0051

(実施例2)
実施例2は、熱電素子に、ビスマス−アンチモン−テルル系ペルチェ素子を用い、メノウ乳鉢で粉砕して試験に供した。

0052

(1)硝酸水熱処理は、ビスマス−アンチモン−テルル系ペルチェ素子3.4gを、3mol/dm3の硝酸1dm3と共に耐圧密閉容器に注入し、180℃に保ちながら20時間反応させた(第一の工程)。

0053

(2)硝酸水熱処理後の不溶物の回収は、反応後の硝酸水溶液を吸引ろ過器によって沈殿物(不溶物)を分離させた(第二の工程)。アンチモン含有率を測定したところ、アンチモン含有率は、54質量%であった。

0054

(3)中和処理は、水酸化ナトリウム水溶液を滴下することによって、pHを11に調整した(第三の工程)。

0055

(4)不溶物の回収は、中和処理後の硝酸水溶液を吸引ろ過器によって沈殿物(不溶物)を分離させた(第四の工程)。ビスマス含有率を測定したところ、ビスマス含有率は、80質量%であった。

0056

(5)中和処理された硝酸水に還元剤として水素化ホウ素ナトリウム水溶液を滴下して、テルルを沈降させた(第五の工程)。

0057

(6)沈殿物の回収は、反応後の硝酸水溶液を吸引ろ過器によって沈殿物(不溶物)を分離させた(第六の工程)。テルル含有率を測定したところ、テルル含有率は、ほぼ100質量%であった。

0058

(実施例3)
実施例3は、熱電素子に、ビスマス−テルル系熱電素子を用い、メノウ乳鉢で粉砕して試験に供した。

0059

(1)硝酸水熱処理は、ビスマス−テルル系熱電素子3.4gを、3mol/dm3の硝酸1dm3と共に耐圧密閉容器に注入し、140℃に保ちながら20時間反応させた(第一の工程)。

0060

(2)硝酸水熱処理後に沈殿物(不溶物)が確認され、沈殿物の回収は、反応後の硝酸水溶液を吸引ろ過器によって沈殿物を分離させた(第二の工程)。アンチモン含有率を測定したところ、アンチモンは検出できなかった。

0061

(3)中和処理は、水酸化ナトリウム水溶液を滴下することによって、pHを8.5に調整した(第三の工程)。

0062

(4)沈殿物(不溶物)の回収は、反応後の硝酸水溶液を吸引ろ過器によって沈殿物を分離させた(第四の工程)。ビスマス含有率を測定したところ、ビスマス含有率は、75質量%であった。

0063

(5)中和処理された硝酸水を還元剤として水素化ホウ素ナトリウム水溶液を滴下して、テルルを沈降させた(第五の工程)。

実施例

0064

(6)沈殿物(不溶物)の回収は、反応後の硝酸水溶液を吸引ろ過器によって沈殿物を分離させた(第六の工程)。テルル含有率を測定したところ、テルル含有率は、ほぼ100質量%であった。

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