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技術 プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法

出願人 株式会社プラズマイオンアシスト渡邉正則
発明者 鈴木泰雄渡邉正則
出願日 2017年7月26日 (3年0ヶ月経過) 出願番号 2017-144289
公開日 2019年2月21日 (1年5ヶ月経過) 公開番号 2019-026867
状態 未査定
技術分野 CVD プラズマの発生及び取扱い 物理蒸着
主要キーワード 発明項 両電極板間 電子振動 設備投資コスト 多孔金属板 パンチングメタル板 ダイヤモンドライクカーボン被膜 窒化チタン被膜
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課題

板状又はシート被加工基板表面を耐食性耐摩耗性、或いは親水性等の機能性表面改質すること、或いは基材表面にこれらの機能性薄膜を形成することができるプラズマ処理装置及びプラズマ処理方法を提供する。

解決手段

板状又はシート状の被加工基板12と、これに対向して配置したターゲット電極板13でホローカソード電極を構成し、ターゲット電極板13に隣接して配置された陽極板14に正のバイアス電圧給電して、作業ガスホローカソード放電プラズマ励起して被加工基板12表面をプラズマ処理する方法。また、プラズマ処理装置100及びプラズマ処理方法を用いたロール・ツー・ロール方式又はカセット・ツー・カセット方式インライン方式プラズマ処理装置。

概要

背景

近年、固体高分子電解質型燃料電池に用いられるセパレータリチウムイオン電池などの二次電池用集電体など、板状又はシート状基材の表面に耐食性に優れ、導電性機能性被膜を安価に製造できる製造装置及び製造方法が要望されている。従来、このような機能性被膜の形成には、真空蒸着法、或いはスパッタリング法PBIID法やイオンプレーティング法など放電プラズマを用いた所謂プラズマCVD(Plasma chemical vapor deposition)法が一般的に採用されている。

従来、上記放電プラズマを用いたプラズマCVD法では、周波数13.56MHzの高周波電力を用いるプラズマ処理装置が一般的に用いられている。最近では、被処理基板面積が大きくなり、量産性、コスト低減等に優れたメートルサイズ基板処理装置が要望されているが、メートルサイズの大面積基板を処理する場合、10MHz以上の高周波電力を用いるプラズマ処理装置では、高周波定在波に起因するプラズマ不均一性が発生し易く、基板全面に亘って均一な膜厚、且つ均一な膜質成膜が困難であることが知られている。また、被加工基板表面を高速、つ安価にプラズマ処理できる、或いは機能性薄膜を形成できるプラズマCVD装置の実用化が望まれている。

特許文献1では、真空チャンバと、成膜処理対象の基板が搭載される搭載面を有し、チャンバ内に配置されたアノード電極と、チャンバ内で搭載面と対向するように配置された、少なくとも表面の一部がガラス状炭素被覆された炭素材料からなるカソード電極と、アノード電極とカソード電極間交流電力を供給して、アノード電極とカソード電極間においてプロセスガスプラズマ状態にする交流電源とを備えるプラズマ処理装置及びプラズマ処理技術が開示されている。

また、上記文献で開示される技術は、前記カソード電極が前記搭載面に対向する主面に形成された凹部又は前記基板にそれぞれ対向する2つの主面にそれぞれ開口部を有する貫通孔を有し、前記アノード電極との間にホローカソード放電を生じさせるホローカソード電極であることを特徴とする。

概要

板状又はシート状被加工基板表面を耐食性、耐摩耗性、或いは親水性等の機能性表面改質すること、或いは基材表面にこれらの機能性薄膜を形成することができるプラズマ処理装置及びプラズマ処理方法を提供する。板状又はシート状の被加工基板12と、これに対向して配置したターゲット電極板13でホローカソード電極を構成し、ターゲット電極板13に隣接して配置された陽極板14に正のバイアス電圧給電して、作業ガスのホローカソード放電プラズマを励起して被加工基板12表面をプラズマ処理する方法。また、プラズマ処理装置100及びプラズマ処理方法を用いたロール・ツー・ロール方式又はカセット・ツー・カセット方式インライン方式プラズマ処理装置。

目的

また、被加工基板表面を高速、つ安価にプラズマ処理できる、或いは機能性薄膜を形成できるプラズマCVD装置の実用化が望まれている

効果

実績

技術文献被引用数
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請求項1

プラズマ処理チャンバと、当該チャンバ内に作業ガスを導入するガス導入手段と、チャンバ内を高真空排気する排気手段と、被加工基板表面をプラズマ処理するプラズマ処理手段とを具備するプラズマ処理装置であって、前記プラズマ処理手段が、(a)前記プラズマ処理チャンバ内の中央部に配置されたターゲット電極板と、(b)前記ターゲット電極板に対向して略平行に配置された被加工基板と、(c)前記被加工基板又は前記ターゲット電極板の少なくとも一側面に配置された陽極板と、(d)前記陽極板に正のバイアス電圧給電するための第1のバイアス電源と、(e)前記ターゲット電極板に正又は負のバイアス電圧を給電するための第2のバイアス電源と、を具備していることを特徴とするプラズマ処理装置。

請求項2

前記陽極板に高周波電力を給電するための高周波電源を具備していることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ処理装置。

請求項3

前記ターゲット電極板が、網状、或いは格子状の多孔金属板で構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のプラズマ処理装置。

請求項4

前記ターゲット電極板の少なくともその表層部が、導電性炭素、又はクロムニッケルジルコニウムチタニウムモリブデンタンタルタングステンハフニウム及びこれらの金属を主成分とする合金からなる金属群から選ばれる少なくとも1種の金属、又はこれらの金属化合物で構成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のプラズマ処理装置。

請求項5

請求項1から4のいずれか1項に記載の少なくとも1つのプラズマ処理装置と、当該プラズマ処理装置の前後に前記被加工基板を格納するためのロードチャンバアンロードチャンバとを備え、前記被加工基板を搬送するための搬送手段を備えたカセット・ツー・カセット方式又はロール・ツー・ロール方式によるインライン式プラズマ処理装置。

請求項6

請求項1から5のいずれか1項に記載のプラズマ処理装置において、(a)前記被加工基板を前記ターゲット電極板と略平行に搬送する基板搬送工程と、(b)前記プラズマ処理チャンバ内に導入するプラズマ処理用作業ガスのガス流量と圧力を調整する作業ガス調整工程と、(c)前記被加工基板と前記ターゲット電極板の双方を接地し、前記陽極板に正のバイアス電圧を給電して前記被加工基板と前記ターゲット電極板との間にホローカソード放電励起する放電励起工程と、(d)プラズマ処理条件を調整して前記被加工基板表面をプラズマ処理する工程、或いは前記被加工基板表面に機能性被膜を形成するプラズマ処理工程と、からなることを特徴とするプラズマ処理方法

請求項7

前記被加工基板を接地し、前記ターゲット電極板に正又は負のバイアス電圧を給電し、前記陽極板に正のバイアス電圧を給電して前記被加工基板と前記ターゲット電極板との間に非平衡ホローカソード放電を励起してプラズマ処理することを特徴とする請求項6に記載のプラズマ処理方法。

請求項8

前記ターゲット電極板を所望のターゲット材料で構成し、前記プラズマ処理チャンバ内にスパッタリングガス、又はリアクティブスパッタリング用ガスを導入し、前記ターゲット電極板に負のバイアス電圧を給電して前記被加工基板表面にターゲット材料の被膜、又はターゲット材料とリアクティブスパッタリング用ガスとの化合物皮膜を形成することを特徴とする請求項6又は7に記載のプラズマ処理方法。

請求項9

前記陽極板又は/及び前記ターゲット電極板にパルスバイアス電圧を給電して前記被加工基板と前記ターゲット電極板との間にパルスホローカソード放電を励起して前記被加工基板表面をプラズマ処理することを特徴とする請求項6から8のいずれか1項に記載のプラズマ処理方法。

請求項10

請求項1から5のいずれか1項に記載のプラズマ処理装置よって表面処理されたプラズマ処理部材及び当該プラズマ処理部材を用いた工業製品

技術分野

0001

本発明は、板状又はシート状の被加工基板表面をプラズマ処理できるプラズマ処理装置及びプラズマ処理方法に関する。

背景技術

0002

近年、固体高分子電解質型燃料電池に用いられるセパレータリチウムイオン電池などの二次電池用集電体など、板状又はシート状基材の表面に耐食性に優れ、導電性機能性被膜を安価に製造できる製造装置及び製造方法が要望されている。従来、このような機能性被膜の形成には、真空蒸着法、或いはスパッタリング法PBIID法やイオンプレーティング法など放電プラズマを用いた所謂プラズマCVD(Plasma chemical vapor deposition)法が一般的に採用されている。

0003

従来、上記放電プラズマを用いたプラズマCVD法では、周波数13.56MHzの高周波電力を用いるプラズマ処理装置が一般的に用いられている。最近では、被処理基板面積が大きくなり、量産性、コスト低減等に優れたメートルサイズ基板処理装置が要望されているが、メートルサイズの大面積基板を処理する場合、10MHz以上の高周波電力を用いるプラズマ処理装置では、高周波定在波に起因するプラズマ不均一性が発生し易く、基板全面に亘って均一な膜厚、且つ均一な膜質成膜が困難であることが知られている。また、被加工基板表面を高速、つ安価にプラズマ処理できる、或いは機能性薄膜を形成できるプラズマCVD装置の実用化が望まれている。

0004

特許文献1では、真空チャンバと、成膜処理対象の基板が搭載される搭載面を有し、チャンバ内に配置されたアノード電極と、チャンバ内で搭載面と対向するように配置された、少なくとも表面の一部がガラス状炭素被覆された炭素材料からなるカソード電極と、アノード電極とカソード電極間交流電力を供給して、アノード電極とカソード電極間においてプロセスガスプラズマ状態にする交流電源とを備えるプラズマ処理装置及びプラズマ処理技術が開示されている。

0005

また、上記文献で開示される技術は、前記カソード電極が前記搭載面に対向する主面に形成された凹部又は前記基板にそれぞれ対向する2つの主面にそれぞれ開口部を有する貫通孔を有し、前記アノード電極との間にホローカソード放電を生じさせるホローカソード電極であることを特徴とする。

先行技術

0006

特開2013−251367号公報

発明が解決しようとする課題

0007

特許文献1に開示されるプラズマCVD装置は、ホローカソード電極板を陰極とし、これに対向する被加工基板を陽極板とし、前記ホローカソード電極板に高周波電力を給電して高密度プラズマ励起する構成である。従って、イオン照射エネルギーを必要とする被加工基板表面のクリーニング処理、或いはイオン照射エネルギーを必要とするダイヤモンドライクカーボン被膜(以下、DLC被膜とも記す)の形成などができないという課題があった。本発明はこのような課題に鑑みてなされたもので、板状又はシート状基板表面をイオンボンバードによってクリーニングし、同時にDLC被膜等の機能性被膜を形成できる生産性の高い安価なプラズマ処理装置及びプラズマ処理方法を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0008

本発明は、下記のプラズマ処理装置及びプラズマ処理方法を提供する。本発明に係るプラズマ処理装置は、導電性の板状、或いはシート状の被加工基板(以下、基板電極とも記す)の表面に作業ガスの均一、かつ高密度の放電プラズマを生成することによって、短時間に基板表面をプラズマ処理することを可能にする。本発明によれば、前記基板電極と前記ターゲット電極板で構成するホローカソード電極(以下、HCD電極とも記す)を接地し、その近傍に配置した陽極板に高周波電力と正のバイアス電圧を給電して前記被加工基板と前記ターゲット電極板との間に均一なホローカソード放電(以下、HCD放電とも記す)を励起して前記被加工基板の表面をプラズマ処理することができるもので下記の発明項目を含む。本明細書で使用する用語「プラズマ処理」は放電プラズマ中で被加工基板表面に耐食性、親水性などの機能性を付与する表面改質表面クリーニング及び機能性被膜の形成などを含む。また、本明細書で使用する用語「非平衡ホローカソード放電」は前記被加工基板とホローカソード電極板に異なるバイアス電圧を印加した場合のHCD放電を意味する。

0009

請求項1に係る発明は、プラズマ処理チャンバと、当該チャンバ内に作業ガスを導入するガス導入手段と、チャンバ内を高真空排気する排気手段と、被加工基板表面をプラズマ処理するプラズマ処理手段とを具備するプラズマ処理装置であって、前記プラズマ処理手段が、
(a)前記プラズマ処理チャンバ内の中央部に配置されたターゲット電極板と、
(b)前記ターゲット電極板に対向して略平行に配置された被加工基板と、
(c)前記被加工基又は前記ターゲット電極板の少なくとも一側面に配置された陽極板と、
(d)前記陽極板に正のバイアス電圧を給電するための第1のバイアス電源と、
(e)前記ターゲット電極板に正又は負のバイアス電圧を給電するための第2のバイアス電源と、を具備していることを特徴とするプラズマ処理装置である。
この構成ならば、前記被加工基板とターゲット電極板との間にホローカソード放電プラズマを励起することができ、被加工基板表面に高密度、かつ均一な放電プラズマを生成することができるため高速プラズマ処理が可能になる。また、非平衡ホローカソード放電プラズマを励起することが可能になり、スパッタリング法、或いはリアクティブスパッタリング法によって基板表面に被膜形成ができる。前記被加工基板表面を短時間にプラズマ処理することができるため生産性を向上することができる。

0010

請求項2に係る発明は、前記陽極板に高周波電力を給電するための高周波電源を具備していることを特徴とするプラズマ処理装置である。
この構成ならば、作業ガスの1Pa以下の低ガス圧領域においても均一性に優れた放電プラズマを生成することが可能になる。

0011

請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載の前記ターゲット電極が、網状、或いは格子状の多孔金属板で構成されていることを特徴とするプラズマ処理装置である。
この構成ならば、前記ターゲット電極板と被加工基板の間に均一な作業ガスを供給することができるため、均質な放電プラズマが生成され、被加工基板の全面に亘って均一なプラズマ処理ができる。

0012

請求項4に係る発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載の前記ターゲット電極の少なくともその表層部が、クロムニッケルジルコニウムチタニウムモリブデンタンタルタングステンハフニウム及びこれらの金属を主成分とする合金、又は金属化合物からなる金属群から選ばれる少なくとも1種の金属、又は金属化合物で構成されていることを特徴とするプラズマ処理装置である。
この構成ならば、前記被加工基板表面に前記金属又は金属化合物の被膜を形成することができる。

0013

請求項5に係る発明は、請求項1から4のいずれか1項に記載の少なくとも1つのプラズマ処理装置と、当該プラズマ処理装置の前後に前記被加工基板を格納するためのロードチャンバアンロードチャンバとを備え、前記被加工基板を搬送するための搬送手段を備えたカセット・ツー・カセット方式又はロール・ツー・ロール方式によるインライン式プラズマ処理装置である。
この構成ならば、プラズマ処理時間を短縮することができ、生産性を向上することが可能になり、生産コストを低減することができる。

0014

請求項6に係る発明は、請求項1から5のいずれか1項に記載のプラズマ処理装置において、
(a)前記ターゲット電極板と略平行に前記被加工基板を搬送する基板搬送工程と、
(b)前記プラズマ処理チャンバ内に導入するプラズマ処理用作業ガスのガス流量と圧力を調整するガス調整工程と、
(c)前記被加工基板と前記ターゲット電極板の双方を接地し、前記陽極板に正のバイアス電圧を給電して前記被加工基板と前記ターゲット電極板との間にホローカソード放電を励起する放電励起工程と、
(d)プラズマ処理条件を調整して前記被加工基板の表面をプラズマ処理する工程、或いは前記被加工基板表面に機能性被膜を形成するプラズマ処理工程と、からなることを特徴とするプラズマ処理方法である。
このプラズマ処理方法によれば、前記被加工基板と前記ターゲット電極板の対向面を同時にプラズマ処理することができる。即ち、ターゲット電極板を被加工基板に置き換えれば生産性を2倍にすることができる。

0015

請求項7に係る発明は、請求項6記載のプラズマ処理方法において、前記被加工基板を接地し、前記ターゲット電極板に正又は負のバイアス電圧を給電し、前記陽極板に正のバイアス電圧を給電して前記被加工基板と前記ターゲット電極板との間に非平衡ホローカソード放電を励起してプラズマ処理することを特徴とするプラズマ処理方法である。
このプラズマ処理方法によれば、前記被加工基板と前記ターゲット電極板に異なるバイアス電圧を印加することによって、基板表面のエッチング、被膜形成など両電極表面に異なったプラズマ処理を施すことができる。

0016

請求項8に係る発明は、請求項6又は7に記載の前記ターゲット電極板を所望のターゲット材料で構成し、前記プラズマ処理チャンバ内にスパッタリングガス、又はリアクティブスパッタリング用ガスを導入し、前記ターゲット電極板に負のバイアス電圧を給電して前記被加工基板表面にターゲット材料の被膜、又はターゲット材料とリアクティブスパッタリング用ガスとの化合物皮膜を形成することを特徴とするプラズマ処理方法である。

0017

請求項9に係る発明は、請求項6から8のいずれか1項に記載の前記陽極板又は/及び前記ターゲット電極板にパルスバイアス電圧を給電して前記被加工基板と前記ターゲット電極板との間にパルスホローカソード放電を励起して前記被加工基板表面をプラズマ処理することを特徴とするプラズマ処理方法である。
このプラズマ処理方法によれば、パルス電圧パルス幅繰り返し周波数等を制御することによってプラズマ処理速度、被加工基板の処理温度等を制御することができる。

0018

請求項10に係る発明は、請求項1から5のいずれか1項に記載のプラズマ処理装置によって表面処理されたプラズマ処理部材及び当該プラズマ処理部材を用いた工業製品である。

発明の効果

0019

本発明によって、
(a)板状被加工基板の表面に均一性に優れた高密度のホローカソード放電プラズマを生成することが可能になり、生産性の高い安価なプラズマ処理装置及びプラズマ処理方法を提供することができる。
(b)被加工基板を接地電位に保持し、ターゲット電極板に正又は負のバイアス電圧を印加することによって、被加工基板表面のクリーニング、又は被膜形成等のプラズマ処理を同一装置内で連続して実施すことが可能になった。
(c)被加工基板とターゲット電極板に異なるバイアス電圧を印加することによって非平衡ホローカソード放電を励起してスパッタリング法、或いはリアクティブスパッタリング法による被膜形成が可能になった。
(d)前記ターゲット電極板を多孔金属板とすることによって、基板全面に亘って均質なプラズマ処理が可能になった。
(e)前記プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法を用いたロール・ツー・ロール方式又はカセット・ツー・カセット方式のインライン方式プラズマ処理装置を構成することができる。

図面の簡単な説明

0020

本発明に係るプラズマ処理装置の電極構成及び駆動するための要部構成を示す図面である。
本発明に係るインライン方式によるプラズマ処理装置の断面模式図である。
第1のパルスバイアス電圧と第2のパルスバイアス電圧との時間関係を示す図面である。
ホローカソード放電の原理を説明するための電極構成を示す概念図である。
照射イオンのエネルギーとスパッタリング率の関係を示す図面である。

実施例

0021

本発明に係るプラズマ処理装置及びプラズマ処理方法を実施するための実施形態について図を用いて具体的に説明する。

0022

本発明に係るプラズマ処理装置及びプラズマ処理方法の特長は、被加工基板の表面にHCD放電を励起することによって高密度の放電プラズマを生成することができ、均一性に優れた高速プラズマ処理が可能になったことである。また、プラズマ処理装置の構成が単純で、設備投資コスト及びランニングコストを低減することができる。

0023

本発明に係るプラズマ処理装置について図1を用いて詳細に説明する。図1は本発明に係るプラズマ処理装置100の要部構成を示す電極断面と当該処理装置を駆動するための電源とその基本的な結線を示す概略図面である。プラズマ処理装置100は、プラズマ処理チャンバ11と、当該チャンバ内を真空排気するための真空排気手段20と、前記プラズマ処理チャンバ内に作業ガスを導入するためのガス導入手段19とを具備している。前記プラズマ処理手段は、前記プラズマ処理チャンバ内の中央部に配置されたターゲット電極板13と、当該ターゲット電極板に対向して略平行に配置された被加工基板12と、前記被加工基板12と前記ターゲット電極板13の両側面に配置された陽極板14とからなる。被加工基板12とターゲット電極板13の両側面に配置された一対の陽極板14はコネクタ21で接続されている。前記陽極板は第1のバイアス電源15と、整合器17を介して高周波電源16に接続されている。本実施形態では、前記基板電極(被加工基板)12と前記ターゲット電極板13で一対のホローカソード電極を構成している。

0024

前記プラズマ処理装置を駆動するための電源部は、第1のバイアス電源15と、高周波電源16と、整合器17と、第2のバイアス電源18で構成されている。第1のバイアス電源15は正の直流電圧又は正のパルス電圧を給電して前記被加工基板12と前記ターゲット電極板13の間にホローカソード放電を励起するためのバイアス電源であり、高周波電源16は前記陽極板14の近傍に高周波放電プラズマを励起するためのものである。また、第2のバイアス電源18は、接地電位にある被加工基板12に対して正又は負のバイアス電圧を前記ターゲット電極板13に印加して前記被加工基板12と前記ターゲット電極13との間に非平衡ホローカソード放電を励起するためのバイアス電源である。本明細書では、一対のホローカソード電極板に異なるバイアス電圧を給電して励起したホローカソード放電を非平衡ホローカソード放電(非平衡HCD放電)という。

0025

前記ターゲット電極板13はホローカソード放電空間に均一な作業ガスを供給するため、網状、或いは格子状等の多孔金属板で構成されていることが好ましい。大面積の被加工基板では、被加工基板の全面に亘って作業ガスを均一に供給し、反応に伴う副生成物ガスを速やかに排出することが必要である。全面に亘って均一なプラズマ処理を行うためには、前記ターゲット電極板の少なくとも前記被加工基板に対向する電極部分を網状、格子状、或いは短冊状の多孔電極板で構成することが望ましい。前記多孔電極板の開口率孔径等はプラズマ処理条件、例えばプラズマ密度、作業ガスの圧力、電極間隔プラズマ生成条件等に依存し、プラズマ処理条件に応じて設定されるべきものである。

0026

また、本発明に係るプラズマ処理装置100では、非平衡HCD放電を励起することによって前記被加工基板12の表面に前記ターゲット電極材の被膜、或いはターゲット電極材と原料ガスに含まれる元素との化合物被膜を形成することができる。前記ターゲット電極板13は金属材料に限られるものではなく、導電性材料であればよい。具体例としては、クロム、ニッケル、ジルコニウム、チタニウム、モリブデン、タンタル、タングステン、ハフニウム、及びこれらの金属を主成分とする合金などの金属系材料、或いは黒鉛など導電性炭素、或いは金属カーバイド金属ナイトライド金属シリサイドなど金属化合物からなる導電性セラミックスなどを挙げることができる。

0027

図4にホローカソード放電の原理を説明するための電極構成の概念図を示す。一対の平行な陰極板31の少なくとも一方の側面に対向して陽極板32が設置されている。一対の平行電極板(ホローカソード電極板)31は、例えば接地電位にある真空チャンバ等に接地され、一方、陽極板32は正電圧のバイアス電源33に接続されている。ホローカソード放電とは、陰極表面から放出された二次電子(γ電子)35が陽極より低電位にある一対の陰極板31間で往復運動をすることにより電離効率が飛躍的に高められる放電のことである。HCD放電では一対のHCD電極板31間の中央部に放電プラズマ、例えばアルゴンプラズマ、が生成されて陰極板31に対して高電位になる。両陰極表面にはイオンシースが発生し、このイオンシース電界36で加速されたイオン34の衝突により二次電子35が放出され、該二次電子はイオンシース電界36で加速されるが、対向電極表面のイオンシース電界36で減速されるため、両電極板間電子振動を繰り返すことになる。従って、イオンシース電界で加速された電子は作業ガス分子と衝突して励起し、イオン化する確率が飛躍的に高くなる。このHCD放電を利用することにより両陰極板間に非常に高密度の放電プラズマ(プラズマ密度:3×1010/cm3〜5×1011/cm3)を生成することができる。

0028

前記HCD電極間におけるHCD放電は、前記γ電子の平均自由工程が前記一対のHCD電極板間隔dの0.5〜1倍程度のとき面積効率のよい高密度プラズマが生成される。電子の平均自由工程は雰囲気温度と圧力とガス分子の大きさで決まる。従って、最も面積効率よくHCD放電を生成するには、HCD電極板の間隔を電子の平均自由工程の1倍から2倍程度とすることが望ましい。電子の平均自由工程λeは、下記の式(1)で表される。
λe=λg ×4√2 ・・・・・(1)
ここで、λgは作業ガスの平均自由行程で、雰囲気温度T(K)、ガス圧力P(Pa)、ガス分子の直径d(m)とするとき、ガス分子の平均自由工程λgは、下記の式(2)で表される。
λg=3.11×10−24×T/(P×d2) ・・・(2)
例えば、アルゴンガス、温度400K、ガス圧力10Paの場合では、電子の平均自由工程λeは約2cmとなる。

0029

本発明は前述のホローカソード放電原理を利用するものである。被加工基板の全面に亘って均一な放電プラズマを得るには、作業ガス圧力をできるだけ下げてγ電子の平均自由行程を大きくすることが望ましい。放電空間におけるHCD放電の均一性には、前記被加工基板12と前記ターゲット電極板13の形状や面積、両電極の間隔、作業ガスの圧力、陽極板に給電する第1のバイアス電圧など、多くのパラメータに依存することから電極構成を特定することは困難である。前記関係式(1)及び(2)を考慮すれば、前記被加工基板12と前記ターゲット電極板13の間隔は数cm以上、例えば2〜20cmとすることが好ましい。また、作業ガス圧力は、0.1Pa以上、例えば0.2〜30Paの領域が好適である。作業ガス圧力が0.1Pa以下では放電が不安定になり、30Pa以上では放電が不均一になる。

0030

図1に示す電極構成の一実施形態について具体的に説明する。一対のホローカソード電極は前記被加工基板12と、その表面に対向して略平行に設置されたターゲット電極板13で構成される。前記陽極板14のサイズ、一対のホローカソード電極との間隔については特定されるものではないが、均一なHCD放電を得るにはターゲット電極のサイズ、例えばターゲット電極板が長方形であれば、その一辺の長さと同程度であることが好ましい。ターゲット電極板との間隔についても基板電極とターゲット電極板の間隔と同程度以上であるあることが望ましい。

0031

被加工基板である基板電極12は、接地電位にあるプラズマ処理チャンバ11の容器に接続され、ターゲット電極板13は第2のバイアス電源18に接続されている。一方、陽極板14は前記第1のバイアス電源15に接続されている。また、陽極板14は整合器17を介して高周波電源16に接続されている。前記高周波電源16は陽極板14の近傍に高周波放電プラズマを励起するための電源であって、その周波数は30kHz〜30MHzであることが好ましい。前記第1のバイアス電源15はHCD放電を励起するための電源であって、150V〜500Vの正の直流電圧、又は正のパルス電圧を給電できる電源である。一方、前記第2のバイアス電源18は非平衡ホローカソード放電を励起するための電源であって、0V〜±300Vの正又は負の直流電圧、又はパルス電圧を給電できる電源であることが好ましい。

0032

<実施形態1>
図1に示すプラズマ処理装置100によるプラズマ処理方法の実施形態について具体的に説明する。実施形態1では、前記被加工基板12とターゲット電極板13を共に接地し、陽極板14に正のバイアス電圧を給電してホローカソード放電を励起するプラズマ処理方法である。真空排気手段20によって、前記プラズマ処理チャンバ内を高真空に排気した後、ガス導入手段19によって必要な作業ガスをプラズマ処理チャンバ内に導入してガス圧力を例えば、1Paに調整する。前記陽極板14に、例えば300Vの正の直流電圧、又は正のパルス電圧を給電すると、前記基板電極12とターゲット電極板13とが一対のホローカソード電極を構成し、両電極板が作る放電空間にホローカソード放電プラズマ22が励起される。この時、作業ガスとして、例えばアルゴン水素混合ガスを導入すれば、基板電極とターゲット電極表面をイオンボンバードによってクリーニングすることができる。また、作業ガスとしてメタンアセチレンの混合ガスを導入すれば、対向する電極面にDLC被膜を形成することができる。

0033

本発明によるプラズマ処理装置では、作業ガスの低ガス圧力領域、例えば1Pa以下の領域においては、前記第1のバイアス電源15によるバイアス電圧のみではHCD放電の励起が困難になることがある。前記陽極板14に高周波電力、例えば13.56MHz、300Wを印加して予め陽極板近傍に放電プラズマを励起しておくことによってHCD放電を容易にすることができる。高周波電力の給電は、HCD放電を容易にするための補助電源であって主電源ではない。HCD放電の主電源は前記第1のバイアス電源15である。高周波放電を併用することによって、作業ガス圧力を低減することができ、放電空間に均一なHCD放電を励起することができる。一方、作業ガス圧力が数Pa以上であればHCD放電が容易になり、高周波電力は必ずしも必要としない。また、前記第1のバイアス電源15に、例えば繰り返し周波数が30kHz以上のパルス電圧を給電する場合は、前記高周波電源は必ずしも必要ではない。

0034

また、本発明に係る第1のバイアス電源15は、陽極板14に正の直流バイアス電圧又は/及び正のパルス電圧を給電することができる電源であることが好ましい。正のパルス電圧を印加することによって間歇的なホローカソード放電(以下、パルスHCD放電とも記す)を励起することができる。HCD放電を活用するプラズマ処理方法では、1010/cm3 以上の高密度プラズマが生成され、基板電極12及びターゲット電極板13に高密度のイオン電流が流入する。被加工基板である基板電極12が熱容量の小さい基板、例えば厚さ100μm以下のアルミニウム箔である場合、プラズマ処理中に加熱されて熔断する恐れがある。このような場合、間歇的なパルスHCD放電を活用することによって被加工基板の温度上昇を抑制しながら、或いは所定の温度に保持しながらプラズマ処理することが可能になる。更に、パルスHCD放電によって、アーキング等の異常放電の発生を抑制することができるなど極めて有効なプラズマ処理方法である。

0035

また、プラズマ処理中における基板温度所定温度に保持する必要がある場合、例えば導電性DLC被膜を形成する場合は200〜400℃の基板温度を必要とする。このような場合は、前記被加工板の背面に所定温度に保持するための温度制御手段23を配置して、被加工基板12を前記温度制御手段表面に接触させて所定温度に保持することができる。特に、厚さ100μm以下のシート、或いはフィルム状基板である場合は基板温度の均一性の保持、熱膨張による皺の発生の抑制等のため、温度制御手段は不可欠である。

0036

<実施形態2>
本発明のプラズマ処理方法は、前記実施形態1に限られるものではない。本発明の他の実施形態2について図1を用いて説明する。本実施形態は非平衡ホローカソード放電を活用するものである。実施形態1では、対向する一対のHCD電極板(基板電極12とターゲット電極13)に同電圧のバイアス電圧(接地電位)が印加されるが、実施形態2では、前記基板電極12と前記ターゲット電極板13に異なるバイアス電圧を印加して非平衡ホローカソード放電を励起する。即ち、前記陽極板14に正の直流バイアス電圧又はパルス電圧V1を印加し、基板電極12を接地し(0V)、ターゲット電極板13に第2のバイアス電源18から正又は負のパルス電圧V2を印加する。ホローカソード電極を構成する前記基板電極12と、これに対向するターゲット電極板13との間にバイアス電圧が異なる非平衡ホローカソード放電を励起することになる。

0037

本発明によれば、前記ターゲット電極をスパッタリング材料で構成して、前記ターゲット電極板13に印加する第2のバイアス電圧V2を制御することによって、何れか一方の電極面のスパッタリングイールド(以下、スパッタリング率とも記す)を大きく、又は小さくすることができる。例えば、前記基板電極表面をイオンボンバードによりクリーニングする場合は、ターゲット電極13に正のバイアス電圧V2を印加する。即ち、基板電極板12と陽極板14の電位差はV1であるが、ターゲット電極板13と陽極板14との電位差は(V1−V2)、即ちV2だけ小さくなる。従って、基板電極12表面がより多くスパッタリングされてクリーニングされる。また逆に、基板電極表面にターゲット電極の金属被膜を形成する場合は、ターゲット電極板に負のバイアス電圧(−V2)を印加することによって、陽極板との電位差を(V1+V2)と、大きくすることによって、ターゲット電極板13のスパッタリングイールドを相対的に大きくすることができ、被加工基板表面にターゲット電極の金属被膜を形成することができる。

0038

例えば、前記ターゲット電極板をニッケル金属で構成し、プラズマ処理チャンバ11内に作業ガス、例えばアルゴンと水素の混合ガスを導入して所定のガス圧力、例えば1Pa〜10Paに調整し、陽極板に13.56MHz、300Wの高周波電力と第1のバイアス電圧、例えば300Vを給電してHCD放電を励起し、ターゲット電極板13に正の直流バイアス電圧、例えば50Vを印加すれば、非平衡ホローカソード放電が励起されて前記被加工基板の表面をクリーニングすることができる。引き続いて、前記ターゲット電極13に負の直流バイアス電圧、例えば−50Vを印加すれば、非平衡ホローカソード放電が励起されて前記被加工基板の表面にニッケル被膜を形成することがでる。

0039

前記ターゲット電極板13の材料は導電性を有する材料であればよく特定されるものではないが、スパッタリング法、或いはリアクティブスパッタリング法によって前記被加工基板表面をプラズマ処理する場合は、所望のターゲット金属板で構成することができる。具体的にはクロム(Cr)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、ジルコニウム(Zr)、チタニウム(Ti)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、ハフニウム(Hf)及びこれらの金属を主成分とする合金、或いは金属カーバイド、金属ナイトライド、金属ボライドなどの導電性セラミックスを挙げることができる。また、前記ターゲット電極板の少なくともその表層部を、前記金属群から選ばれる少なくとも1種の金属で構成してもよい。

0040

前記ターゲット電極板13に印加する第2のバイアス電圧は、非平衡ホローカソード放電が維持できる範囲であることが好ましく、第2のバイアス電圧の絶対値は陽極板に給電する前記第1のバイアス電圧、例えば300Vの3分の1以下、−100V〜+100Vの範囲であることが好ましい。

0041

<実施形態3>
また、本発明の他の実施形態3では、前記ターゲット電極板13をターゲット材料、例えばチタニウム金属で構成し、プラズマ処理チャンバ11内にリアクティブスパッタリング用ガスとして、例えばアルゴンガスと水素ガス窒素化合物ガスの混合ガスを導入して所定のガス圧力、例え0.5Pa〜10Paに調整し、陽極板14に13.56MHz、300Wの高周波電力と第1のバイアス電圧V1、例えば300Vを給電してHCD放電を励起し、ターゲット電極13に直流バイアス電圧、例えば−50Vのバイアス電圧を印加すれば、非平衡HCD放電が励起されて前記ターゲット電極板の表面が多くスパッタリングされる。

0042

スパッタリングされたチタニウム原子は放電プラズマ中で窒素イオン或いは窒素ラジカル化学反応して前記被加工基板表面にチタニウムナイトライド(TiN)化合物として堆積する。また、放電プラズマ中で反応しなかったチタニウム原子は前記被加工基板表面に堆積し、窒素イオンの照射によりTiN被膜が形成される。このとき、ターゲット電極板13に印加する負のバイアス電圧をより大きくすることによって、ターゲット電極板に流入するイオン電流及びイオンエネルギーを大きくすることができ、スパッタリングイールドを大きくすることによって被膜の成長速度を大きくすることができる。

0043

前記ターゲット電極板をニッケル、鉄、チタニウム、ジルコニウム、モリブデン、タンタル、タングステン、ハフニウム等の遷移金属、又はこれらの合金で構成し、プラズマ処理チャンバ11内にリアクティブスパッタリング用ガスとして、例えばアルゴンガスに水素ガス、炭化水素ガス、窒素化合物ガス、ボロン化合物ガス及びシリコン化合物ガスから選択される少なくとも一種のガスを混合した原料ガスを導入して非平衡ホローカソード放電を励起して前記被加工基板表面に金属カーバイド、金属ナイトライド、金属ボライド及び金属シリサイド、又はこれらの混合物からなる機能性薄膜を形成することができる。

0044

<実施形態4>
前述の実施形態では、前記陽極版14に正の直流電圧又はパルス電圧を給電してHCD放電を励起したが、本実施形態では陽極板14に正のパルス電圧を給電してパルスHCD放電を励起し、当該パルスHCD放電の終了直後に前記ターゲット電極板13に負のパルス電圧を給電してプラズマ処理する実施形態について説明する。パルスHCD放電の終了直後の高密度プラズマの残存中に前記ターゲット電極板に負の高電圧パルスを印加することによってターゲット電極板のスパッタリング率を著しく向上させることができ、より効果的なプラズマ処理を施すことができる。図5シリコン基板アルゴンイオンを照射した場合の照射イオンのエネルギーとスパッタリング率の関係を示す。イオンエネルギーの増加と共にスパッタリング率が著しく増加する。例えば、照射イオンのエネルギーが200eVから2000eVに増加すればスパッタリング率は3〜5倍に増加する。前記第2のバイアス電圧を直流低電圧からパルス高電圧切り替えることによって同じバイアス電力で数倍のプラズマ処理速度を得ることができる。

0045

前記陽極板14に給電するパルス電圧とターゲット電極板13に給電するパルス電圧との時間関係を図3に示す。陽極板14に第1のバイアス電圧として正のパルス電圧、例えば繰り返し周波数30kHz、波高値250〜400Vのパルス電圧を給電してパルス状のHCD放電を励起し、該HCD放電の終了直後に同期して波高値1〜2kVの負の高電圧パルスをターゲット電極13に給電する。即ち、実施形態2又は3と同様に、パルスHCD放電を励起して高密度のプラズマを生成し、該高密度プラズマの残存中にターゲット電極板に負の高電圧パルスを印加するもので、ターゲット電極板13に高エネルギーのイオンを照射することができる。従って、スパッタリング率を数倍大きくすることができ、成膜速度を向上することができる。負のパルス電圧の印加のタイミングはHCD放電の休止期間中であればよくパルスHCD放電の終了直後である必要はない。また、パルスHCD放電の周波数は30kHzに特定されるものではなく、パルスHCD放電が可能な約200kHz以下であればよい。

0046

更に、前記ターゲット電極板に正の高電圧パルスを印加すれば、被加工基板表面に高エネルギーイオンを照射することができるため、前記基板表面のクリーニングやDLC被膜を形成することができる。

0047

本発明に係るプラズマ処理装置によるスパッタリング法及びリアクティブスパッタリング法の大きな特長は、成膜速度が大きいだけでなく、高密度プラズマを生成する放電空間がほぼ閉空間であって、前記ターゲット電極板からスパッタされた金属原子は殆どすべて対向する被加工基板表面に堆積するため、ターゲット金属を有効に利用できることである。

0048

<実施形態5>
本発明による他の実施形態5について図2を用いて説明する。図2図1に記載のプラズマ処理装置100を用いたロール・ツー・ロール方式によるインライン式プラズマ処理装置200の概念図を示す。図2は正面から見た断面模式図である。前記プラズマ処理装置200のプラズマ処理チャンバ11の左右にロードチャンバ11aとアンロードチャンバ11bを有する構成である。ロードチャンバ11aには被加工基板12が巻き出しロール24aに巻かれて格納されていて、搬送手段(図示せず)によって順次プラズマ処理チャンバ11内に搬送され、請求項6から9のいずれか1項に記載のプラズマ処理方法によって処理される。前記プラズマ処理手段によって処理された被加工基材12は前記搬送手段によってアンロードチャンバ11b内に格納された巻き取りロール24bに巻き取られて保管され、定期的に製品として外部に搬出される。

0049

図2に示すインライン式プラズマ処理装置200は、一個のプラズマ処理チャンバ11を有するが、必要に応じて複数のプラズマ処理チャンバを連結することができる。例えば、第1のプラズマ処理チャンバで被加工基板の表面をクリーニングし、第2のプラズマ処理チャンバで機能性薄膜の形成を行うことができる。

0050

このように複数のプラズマ処理プロセスを連続して実施する場合は、実施形態1に示すプラズマ処理装置100を複数個連結すればよく、処理チャンバ毎に異なるプラズマ処理を実施することができる。即ち、前記被加工基板12を接地し、プラズマ処理チャンバ毎に必要な作業ガスを導入してガス圧力を調整し、前記陽極板14に異なる第1のバイアス電圧と、ターゲット電極板13に異なる第2のバイアス電圧を給電することによって複数のプラズマ処理を同時に行うことができる。プラズマ処理工程毎に専用の処理チャンバと処理条件を設定することによって生産性の向上と製品の品質向上を図ることができる。

0051

本発明によるインライン式プラズマ処理装置200では、被加工基材の各チャンバ間の搬送は隔壁板26に設けられた基板搬送スリット27を介して行うことができる特長を有する。各プラズマ処理チャンバは、作業ガス導入手段19と真空排気手段20を備えているため、隣接するチャンバ間の作業ガスの圧力差は数10Pa以下に制御することができる。従って、作業ガスの圧力差が数10Pa以下であって、前記基板搬送スリット27のガスコンダクタンスを十分小さくすることができるためプラズマ処理チャンバ間の作業ガスの混合は考慮する必要がない。

0052

以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を変えない限り、以下の実施例により何ら制限されるものではない。

0053

<実施例1>
前記プラズマ処理チャンバ11内にターゲット電極板13としてサイズ25cm×30cm、孔径3mmφ、開孔率約32%のパンチングメタル板材質SUS304)を配置し、これに略並行してサイズ20cm×25cm、厚さ1mmのアルミニウム合金板(材質5052)を被加工基板12としてターゲット電極板13との間隔を約4cmに保って配置した。被加工基板とターゲット電極板は接地電位に接続した。

0054

プラズマ処理チャンバ内を真空排気手段20によって10−2Pa以下の高真空に排気した後、プラズマ処理チャンバ11内にアルゴンと水素の混合ガスを導入してガス圧力を0.8Paに調整し、高周波電源16から13.56MHz、300Wの高周波電力を整合器17を介して陽極板14に給電して陽極板近傍に高周波放電プラズマを発生させた。引き続いて、前記陽極板に波高値270V、繰り返し周波数30kHzの正のパルス電圧を印加して前記被加工基板12とターゲット電極板13との間にホローカソード放電プラズマ22を発生させた。 この時のHCD放電電流は1.08Aで、両電極板表面に形成されるイオンシースの厚さは目視により4〜5mmであることが確認された。

0055

引き続いてプラズマ処理チャンバ11内にDLC(ダイヤモンドライクカーボン)被膜を形成するための作業ガスとしてメタン(流量10ccm/min)とアセチレン(流量10ccm/min)の混合ガスを導入して全ガス圧力を1.2Paに調整し、前記陽極板14に13.56MHzの高周波電力と波高値280Vのパルス電圧を給電してホローカソード放電を励起した。3分間のプラズマ処理でアルミニウム基板とターゲット電極板の内面(対向面)に厚さ約140nmのDLC被膜を形成することができた。一方、アルミニウム基板とターゲット電極板の外面にはDLC被膜の堆積は殆ど認められなかった。

0056

<実施例2>
実施例1と同じ電極構成のプラズマ処理装置100を使用し、前記アルミニウム基板電極を接地し、前記ターゲット電極板13に第2のバイアス電源から負の直流バイアス電圧を印加したこと以外は実施例1と同じとした。プラズマ処理チャンバ11内に作業ガスとしてアルゴン(流量15ccm/min)と水素(流量3ccm/min)の混合ガスを導入して全ガス圧力を0.8Paに調整し、前記ターゲット電極板13に0Vから−15Vの負のバイアス電圧を印加して非平衡HCD放電プラズマを励起した。放電電流は1.08Aから1.21Aまで増加した。この放電電流の増加分はターゲット電極板への電流増加推定される。3分間のプラズマ処理でアルミニウム基板の表面に厚さ約70nmのターゲット電極板の金属被膜を形成することができた。

0057

<実施例3>
実施例1と同じ電極構成のプラズマ処理装置100を使用し、ターゲット電極板13としてサイズ20cm×30cmの純チタン板を使用し、これに略並行してサイズ20cm×25cm、厚さ1mmのアルミニウム合金板(材質5052)を被加工基板12としてターゲット電極板との間隔を約4cm保って配置した。被加工基板を接地電位に接続し、ターゲット電極板13は第2のバイアス電源に接続した。プラズマ処理チャンバ11内に作業ガスとしてアルゴン(流量15ccm/min)、水素(流量3ccm/min)及び窒素(流量3ccm/min)の混合ガスを導入して全ガス圧力を0.8Paに調整した。前記ターゲット電極板13に0Vから−20Vの負のバイアス電圧を印加して非平衡HCD放電プラズマを励起した。3分間のプラズマ処理でアルミニウム基板表面に厚さ約200nm、薄い色の窒化チタン被膜を形成することができた。

0058

<実施例4>
本発明の他の実施例4について説明する。実施例1と同じ電極構成のプラズマ処理装置100を使用した。前記被加工基板12を接地し、前記ターゲット電極板13は前記第2のバイアス電源18に接続した。プラズマ処理チャンバ11内に作業ガスとしてアルゴンと水素の混合ガスを導入してガス圧力を約1Paに調整し、前記陽極板14に30kHz、270Vの第1のパルス電圧を給電してHCD放電を励起し、当該パルス電圧の立ち下がりと同期して、パルス電圧1〜2kV、パルス幅5〜10μsの負のパルス電圧を前記ターゲット電極板13に印加した。ターゲット電極板はスパッタリングされ、前記アルミニウム基板表面にターゲット電極板と同材質の金属被膜を形成した。2分間のプラズマ処理でアルミニウム基板表面に厚さ150〜300nmの金属被膜を形成することができた。

0059

11・・プラズマ処理チャンバ、12・・被加工基板、13・・ターゲット電極板、14・・陽極板、15・・第1のバイアス電源、16・・高周波電源、17・・整合器、18・・第2のバイアス電源、35・・γ電子(二次電子)、36・・イオンシース電界、100・・プラズマ処理装置、24a・・巻出しローラ、24b・・巻き取りローラ、27・・基板搬送スリット

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