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技術 摺動性樹脂組成物及びその成形体

出願人 テクノUMG株式会社
発明者 大野征紀渡辺丈一
出願日 2017年7月28日 (3年0ヶ月経過) 出願番号 2017-146826
公開日 2019年2月21日 (1年5ヶ月経過) 公開番号 2019-026716
状態 未査定
技術分野 高分子組成物
主要キーワード 長期品質 ローラー部品 方鉛鉱 赤外分光測定装置 製品デザイン 隙間距離 摺動性樹脂組成物 エポキシ変性ポリジメチルシロキサン
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2019年2月21日)のものです。
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課題

被印刷体に対する摺動性が高い上に、耐摩耗性に優れ、しかも被印刷体の傷付きを防止することができ、被印刷体摺動用樹脂材料として好適な摺動性樹脂組成物を提供する。

解決手段

スチレン系樹脂(A)と摺動性改良剤(B)とを含む摺動性樹脂組成物であって、該摺動性改良剤(B)が、スチレン系樹脂と、ジメチルポリシロキサン構造を持ったシリコーンオイルとを用いたシリコーン変性スチレン系樹脂であり、該スチレン系樹脂(A)100質量部に対する該摺動性改良剤(B)の含有量が1〜7質量部である摺動性樹脂組成物。

概要

背景

プリンタ等においては、印刷のずれをなくすために、紙等の被印刷体を所定の印刷位置に供給する必要がある。そのためには、被印刷体に接する部品(例えば、フィーダ等)において、被印刷体に対する摺動性が高いことが要求される。また、プリンタを長期間使用すると、被印刷体との摺動によって被印刷体に接する部品が摩耗し、その摩耗によって被印刷体との隙間距離が広がるので、印刷の画質鮮明性)を損ねることがあった。そのため、被印刷体に接する部品として、耐摩耗性にも優れるものが求められる。
また、印刷の際に、被印刷体に傷が付くと、印刷物としての品質を低下させるため、被印刷体に接する部品としては、被印刷体への傷付きを防止できるものが求められている。

被印刷体に対する摺動性および耐摩耗性が高い材料として、特許文献1には摺動性を向上させるコーティング剤が表面に塗布された鋼板が開示されている。しかし、特許文献1に記載の表面処理鋼板では、長期間連続的に使用すると、コーティング剤が摩耗するため、経時により摺動性が損なわれることがあった。また、近年の製品デザインの複雑化・多機能化に対応するためには、鋼板よりも熱可塑性樹脂を使用するのが有利である。
特許文献2には、合成樹脂の摺動性を向上させる添加剤として特定のポリエチレン成分を添加する方法が開示されている。
また、ガラス繊維ガラスビーズ等の充填材樹脂に配合する方法も知られている。例えば、特許文献3には、ガラスビーズを配合して、耐摩耗性、耐久性耐衝撃性耐化学薬品性ならびに光沢を向上させる方法が開示されている。また、特許文献4には、ポリカプロラクトン樹脂やポリメタクリル酸メチル樹脂を配合して、成形品の表面を平滑にし、摩擦磨耗特性耐擦傷性等を改善する方法が開示されている。

概要

被印刷体に対する摺動性が高い上に、耐摩耗性に優れ、しかも被印刷体の傷付きを防止することができ、被印刷体摺動用樹脂材料として好適な摺動性樹脂組成物を提供する。スチレン系樹脂(A)と摺動性改良剤(B)とを含む摺動性樹脂組成物であって、該摺動性改良剤(B)が、スチレン系樹脂と、ジメチルポリシロキサン構造を持ったシリコーンオイルとを用いたシリコーン変性スチレン系樹脂であり、該スチレン系樹脂(A)100質量部に対する該摺動性改良剤(B)の含有量が1〜7質量部である摺動性樹脂組成物。なし

目的

本発明は、被印刷体に対する摺動性が高い上に、耐摩耗性に優れ、しかも被印刷体の傷付きを防止することができ、被印刷体摺動用樹脂材料として好適な摺動性樹脂組成物と、この摺動性樹脂組成物を成形してなる成形体を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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請求項1

スチレン系樹脂(A)と摺動性改良剤(B)とを含む摺動性樹脂組成物であって、該摺動性改良剤(B)が、スチレン系樹脂と、ジメチルポリシロキサン構造を持ったシリコーンオイルとを用いたシリコーン変性スチレン系樹脂であり、該スチレン系樹脂(A)100質量部に対する該摺動性改良剤(B)の含有量が1〜7質量部であることを特徴とする摺動性樹脂組成物。

請求項2

更に、モース硬度4以下の無機充填材(C)を含有する、請求項1に記載の摺動性樹脂組成物。

請求項3

前記無機充填材(C)がタルクおよび/または炭酸カルシウムである、請求項2に記載の摺動性樹脂組成物。

請求項4

前記無機充填材(C)の含有量が、前記スチレン系樹脂(A)100質量部に対して5〜30質量部である、請求項2又は3に記載の摺動性樹脂組成物。

請求項5

請求項1ないし4のいずれかに記載の摺動性樹脂組成物を成形してなる成形体

請求項6

被印刷体摺動用成形体である、請求項5に記載の成形体。

技術分野

0001

本発明は、摺動性に優れた摺動性樹脂組成物係り、特に、被印刷体(例えば、紙、樹脂シート等)が摺動する部品成形材料として好適な摺動性樹脂組成物と、この摺動性樹脂組成物を成形してなる成形体に関する。

背景技術

0002

プリンタ等においては、印刷のずれをなくすために、紙等の被印刷体を所定の印刷位置に供給する必要がある。そのためには、被印刷体に接する部品(例えば、フィーダ等)において、被印刷体に対する摺動性が高いことが要求される。また、プリンタを長期間使用すると、被印刷体との摺動によって被印刷体に接する部品が摩耗し、その摩耗によって被印刷体との隙間距離が広がるので、印刷の画質鮮明性)を損ねることがあった。そのため、被印刷体に接する部品として、耐摩耗性にも優れるものが求められる。
また、印刷の際に、被印刷体に傷が付くと、印刷物としての品質を低下させるため、被印刷体に接する部品としては、被印刷体への傷付きを防止できるものが求められている。

0003

被印刷体に対する摺動性および耐摩耗性が高い材料として、特許文献1には摺動性を向上させるコーティング剤が表面に塗布された鋼板が開示されている。しかし、特許文献1に記載の表面処理鋼板では、長期間連続的に使用すると、コーティング剤が摩耗するため、経時により摺動性が損なわれることがあった。また、近年の製品デザインの複雑化・多機能化に対応するためには、鋼板よりも熱可塑性樹脂を使用するのが有利である。
特許文献2には、合成樹脂の摺動性を向上させる添加剤として特定のポリエチレン成分を添加する方法が開示されている。
また、ガラス繊維ガラスビーズ等の充填材樹脂に配合する方法も知られている。例えば、特許文献3には、ガラスビーズを配合して、耐摩耗性、耐久性耐衝撃性耐化学薬品性ならびに光沢を向上させる方法が開示されている。また、特許文献4には、ポリカプロラクトン樹脂やポリメタクリル酸メチル樹脂を配合して、成形品の表面を平滑にし、摩擦磨耗特性耐擦傷性等を改善する方法が開示されている。

先行技術

0004

特開2005−089848号公報
特開昭63−175069号公報
特開平10−130483号公報
特開平8−217951号公報

発明が解決しようとする課題

0005

鋼板の代替としての熱可塑性樹脂では、近年の印刷の高速化に対しても摺動性を満たすものの、耐摩耗性が不充分であり、印刷を重ねると、被印刷体に接する部品の摩耗が進んで印刷の画質に影響を与えることがあった。また、充分な耐摩耗性を有することもあるが、その場合には、摺動性が低下する傾向にあり、被印刷体を傷付けることがあった。
例えば、特許文献2に記載の樹脂材料では摺動性が優れるものの、耐摩耗性が不十分であり、印刷数が多くなると部品の摩耗が進み画質に影響を与えることがあった。また、特許文献3に記載の樹脂材料では、摺動性および耐摩耗性に優れるものの、ガラスビーズによって被印刷体に傷が付くことがあった。
特許文献4に記載の樹脂材料では、摺動性が不充分であった。

0006

これらのことから、被印刷体に対する摺動性を有しつつ、耐摩耗性と被印刷体の傷付き防止性とを両立できる被印刷体摺動用樹脂組成物が求められていた。

0007

そこで、本発明は、被印刷体に対する摺動性が高い上に、耐摩耗性に優れ、しかも被印刷体の傷付きを防止することができ、被印刷体摺動用樹脂材料として好適な摺動性樹脂組成物と、この摺動性樹脂組成物を成形してなる成形体を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0008

本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、スチレン系樹脂と、ジメチルポリシロキサン構造を持ったシリコーンオイルとを用いたシリコーン変性スチレン系樹脂よりなる摺動性改良剤(B)であれば、スチレン系樹脂組成物の摺動性、耐摩耗性を高めることができ、また、被印刷体に対する傷付き防止効果にも優れることを見出し、本発明を完成させた。

0009

すなわち、本発明は以下を要旨とする。

0010

[1]スチレン系樹脂(A)と摺動性改良剤(B)とを含む摺動性樹脂組成物であって、該摺動性改良剤(B)が、スチレン系樹脂と、ジメチルポリシロキサン構造を持ったシリコーンオイルとを用いたシリコーン変性スチレン系樹脂であり、該スチレン系樹脂(A)100質量部に対する該摺動性改良剤(B)の含有量が1〜7質量部であることを特徴とする摺動性樹脂組成物。

0011

[2] 更に、モース硬度4以下の無機充填材(C)を含有する、[1]に記載の摺動性樹脂組成物。

0012

[3] 前記無機充填材(C)がタルクおよび/または炭酸カルシウムである、[2]に記載の摺動性樹脂組成物。

0013

[4] 前記無機充填材(C)の含有量が、前記スチレン系樹脂(A)100質量部に対して5〜30質量部である、[2]又は[3]に記載の摺動性樹脂組成物。

0014

[5] [1]ないし[4]のいずれかに記載の摺動性樹脂組成物を成形してなる成形体。

0015

[6]被印刷体摺動用成形体である、[5]に記載の成形体。

発明の効果

0016

本発明の摺動性樹脂組成物およびその成形体は、摺動性が高い上に、耐摩耗性に優れ、しかも被印刷体等への傷付きを防止できる。本発明の摺動性樹脂組成物及びその成形体は、特に、各種のプリンターコピー機ファクシミリイメージスキャナ、これらの複合機等の印刷機において、紙等の被印刷体に接する部品と摺動するフィーダ、排紙部品、ローラー部品等に有用である。

0017

以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。

0018

なお、本願明細書において「単位」とは、重合体中に含まれる、重合前の化合物単量体、即ちモノマー)に由来する構造部分を意味し、例えば、「芳香族ビニル系単量体単位」とは「芳香族ビニル系単量体に由来して重合体中に含まれる構造部分」を意味する。各重合体の単量体単位の含有量は、当該重合体の製造に用いた全単量体合物中の当該単量体の含有量に該当する。

0019

〔摺動性樹脂組成物〕
[スチレン系樹脂(A)]
本発明の摺動性樹脂組成物(以下、「本発明の樹脂組成物」と称す場合がある。)に含まれるスチレン系樹脂(A)とは、スチレン等の芳香族ビニル系単量体単位を有する重合体を含む樹脂であり、具体的には、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル−スチレン(AS樹脂)、ゴムにより強化されたゴム強化スチレン系樹脂等が挙げられる。ゴム強化スチレン系樹脂としては、ハイインパクトポリスチレンHIPS)、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体ABS樹脂)、エチレン系ゴム質重合体を用いたアクリロニトリル−エチレン−スチレン共重合体(AES樹脂)、アクリルゴムを用いたアクリロニトリル−アクリル−スチレン共重合体(ASA樹脂)等が挙げられる。これらの中でも、成形性に優れることから、芳香族ビニル系単量体単位を有するグラフト重合体(A−1)と、芳香族ビニル系単量体単位を有する共重合体(A−2)とを含有するものが好ましい。

0020

<グラフト重合体(A−1)>
本発明で用いるグラフト重合体(A−1)は、好ましくは、ゴム質重合体(a)の存在下に、芳香族ビニル系単量体を必須成分として含むビニル系単量体混合物(b)をグラフト重合してなるものである。

0021

(ゴム質重合体(a))
ゴム質重合体(a)としては、ポリブタジエン、ポリブタジエンの水素添加物ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、エチレン−プロピレン非共役ジエン共重合体などのエチレン系ゴム質重合体、イソブチレン−イソプレン共重合体、アクリルゴム、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、SEBS等の水素添加ジエン系(ブロック、ランダムおよびホモ)(共)重合体、ポリウレタンゴムおよびシリコーンゴム等が挙げられる。これらの中では、得られる成形体の耐衝撃性が良好になることから、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、アクリルゴム、ジエン−アクリル複合ゴムシリコーン−アクリル複合ゴム、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体などのエチレン系ゴムが好ましい。

0022

ジエン−アクリル複合ゴムのジエン成分としては、ブタジエン単位を50質量%以上含むものが好ましく、具体的には、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム等である。ジエン−アクリル複合ゴムにおけるアクリルゴム成分は、アルキルメタアクリレート多官能性単量体とが重合されたものである。

0023

ここで、アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチルアクリレートエチルアクリレート、n−プロピルアクリレートn−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等のアルキルアクリレートヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−ラウリルメタクリレート等のアルキルメタクリレートが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。

0024

多官能性単量体としては、例えば、アリルメタクリレートエチレングリコールジメタクリレートプロピレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、トリアリルシアヌレートトリアリルイソシアヌレート等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。

0025

ジエン−アクリル複合ゴムの複合化構造としては、ジエン系ゴムコア層の周囲がアルキル(メタ)アクリレート系ゴムで覆われたコアシェル構造、アルキル(メタ)アクリレート系ゴムのコア層の周囲がジエン系ゴムで覆われたコアシェル構造、ジエン系ゴムとアルキル(メタ)アクリレート系ゴムが相互にからみあっている構造、ジエン系単量体とアルキル(メタ)アクリレート系単量体がランダムに配列した共重合構造等が挙げられる。

0026

シリコーン−アクリル複合ゴムのシリコーン成分は、ポリオルガノシロキサンを主成分とするものであり、中でも、ビニル重合性官能基を含有するポリオルガノシロキサンが好ましい。シリコーン−アクリル複合ゴムにおけるアクリルゴム成分は、ジエン−アクリル複合ゴムのアクリルゴム成分と同様である。

0027

シリコーン−アクリル複合ゴムの複合化構造としては、ポリオルガノシロキサンゴムのコア層の周囲がアルキル(メタ)アクリレート系ゴムで覆われたコアシェル構造、アルキル(メタ)アクリレート系ゴムのコア層の周囲がポリオルガノシロキサンゴムで覆われたコアシェル構造、ポリオルガノシロキサンゴムとアルキル(メタ)アクリレート系ゴムが相互に絡み合っている構造、ポリオルガノシロキサンのセグメントポリアルキル(メタ)アクリレートのセグメントが互いに直線的および立体的に結合しあって網目状のゴム構造となっている構造等が挙げられる。

0028

これらのゴム質重合体(a)は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。

0029

ゴム質重合体(a)は、例えば、ゴム質重合体(a)を形成する単量体に、ラジカル重合開始剤を作用させて乳化重合することによって調製される。乳化重合法による調製方法によれば、ゴム質重合体(a)の粒子径を制御しやすい。

0030

グラフト重合体(A−1)の製造に用いるゴム質重合体(a)の平均粒子径は、得られる成形体の耐衝撃性をより高くできることから、0.1〜0.6μmであることが好ましい。なお、ここで、ゴム質重合体(a)の平均粒子径とは粒度分布測定器を用いて体積基準粒子径分布を測定し、得られた粒子径分布により算出することが出来る。

0031

また、本発明で用いるスチレン系樹脂(A)中のゴム質重合体(a)の含有量は、スチレン系樹脂(A)100質量%中において5〜25質量%であることが好ましい。スチレン系樹脂(A)中のゴム質重合体(a)の含有量が5質量%以上であれば、得られる成形体の耐衝撃性をより高くでき、25質量%以下であれば、本発明の樹脂組成物の成形性がより高くなり、得られる成形体の外観が良好になる傾向がある。

0032

(ビニル系単量体混合物(b))
ビニル系単量体混合物(b)は、芳香族ビニル系単量体を必須成分として含み、シアン化ビニル系単量体、芳香族ビニル系単量体およびシアン化ビニル系単量体と重合可能な他のビニル系単量体を任意成分として含む混合物である。

0033

芳香族ビニル系単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン等の1種又は2種以上が挙げられる。シアン化ビニル系単量体としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の1種又は2種以上が挙げられる。他のビニル系単量体としては、例えば、アクリル酸アルキルエステル(例えば、アクリル酸メチルアクリル酸エチルアクリル酸プロピルおよびアクリル酸ブチル等)、メタクリル酸アルキルエステル(例えば、メタクリル酸メチルメタクリル酸エチルメタクリル酸プロピレンおよびメタクリル酸ブチル等)、N−置換マレイミド系単量体(例えば、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(2−メチルフェニル)マレイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等)が挙げられる。これらの中でも、アクリル酸ブチルまたはメタクリル酸メチルが好ましく用いられる。

0034

ビニル系単量体混合物(b)の組成は、得られる樹脂組成物の物性バランスに優れることから、ビニル系単量体混合物(b)100質量%中に芳香族ビニル系単量体が60〜76質量%、シアン化ビニル系単量体が40〜24質量%、他のビニル系単量体が0〜20質量%であることが好ましい。

0035

(グラフト重合体(A−1)の製造方法)
グラフト重合体(A−1)を製造する方法としては、ゴム質重合体(a)のラテックスにビニル系単量体混合物(b)を添加し、所定の重合温度に加熱して乳化グラフト重合させる方法が挙げられる。中でも、ビニル系単量体混合物(b)にレドックス系開始剤を混合した上で、ビニル系単量体混合物(b)を1時間以上にわたって、ゴム質重合体(a)のラテックスに連続的に添加することが好ましい。ビニル系単量体混合物(b)の添加時間が1時間未満の場合、ラテックス安定性が低下して重合収率が低下することがある。

0036

ここで使用されるレドックス系開始剤としては、油溶性有機過酸化物と、硫酸第一鉄キレート剤及び還元剤とが組み合わされたものが好ましい。油溶性有機過酸化物としては、クメンハイドロパーオキサイドジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイドターシャリーブチルハイドロパーオキサイド等が挙げられる。より好ましいレドックス系開始剤は、クメンハイドロパーオキサイド、硫酸第一鉄、ピロリン酸ナトリウム、及びデキストロースからなるものである。

0037

グラフト重合体(A−1)の製造においては、ゴム質重合体(a)40〜80質量%(固形分として)に、ビニル系単量体混合物(b)60〜20質量%を重合させることが好ましい(ただし、ゴム質重合体(a)とビニル系単量体混合物(b)の合計で100質量%)。ゴム質重合体(a)が40質量%未満でビニル系単量体混合物(b)が60質量%を超える場合、ゴム質重合体(a)が80質量%を超え、ビニル系単量体混合物(b)が20質量%未満である場合のいずれも、得られる熱可塑性組成物の耐衝撃性が低下する傾向にある。

0038

上記グラフト重合体(A−1)の製造方法によりグラフト重合体(A−1)のラテックスが得られる。グラフト重合体(A−1)のラテックスからグラフト重合体(A−1)を回収する方法としては、例えば、グラフト重合体(A−1)のラテックスに析出剤を添加し、加熱、攪拌した後、析出剤を分離し、これを水洗脱水、乾燥する析出法が採用される。
析出法における析出剤としては、例えば、硫酸酢酸塩化カルシウムまたは硫酸マグネシウム等の水溶液を単独で或いは2種以上を併用して用いることができる。
このようにして得られたグラフト重合体(A−1)には、必要に応じて酸化防止剤を添加してもよい。

0039

アセトン可溶分シアン化ビニル系単量体単位含有量)
本発明で用いるグラフト重合体(A−1)のメタノール洗浄後のアセトン可溶分のシアン化ビニル系単量体単位の含有量は、22.0〜34.0質量%、特に24.3〜30.0質量%であることが好ましい。アセトン可溶分中にシアン化ビニル系単量体単位をこの含有量で有するグラフト重合体(A−1)であれば、得られる熱可塑性組成物の耐衝撃性、成形加工性が優れたものとなる。

0040

なお、本発明において、グラフト重合体(A−1)のメタノール洗浄後のアセトン可溶分のシアン化ビニル系単量体単位の含有量は、後述の実施例の項に記載するように、グラフト重合体(A−1)をメタノール洗浄後にアセトンに溶解させ、アセトン可溶分を濃縮した後、メタノールで再沈殿させ、濾過により沈殿物採取後、この沈殿物を元素分析にかけ、窒素原子換算することによる求めることができる。

0041

ゴム含有量
本発明で用いるグラフト重合体(A−1)のゴム含有量は40〜80質量%、特に60〜70質量%であることが好ましい。グラフト重合体(A−1)のゴム含有量が上記下限以上であれば、得られる熱可塑性組成物の流動性が優れたものとなり、上記上限以下であると耐衝撃性が優れたものとなる。
ここで、グラフト重合体(A−1)のゴム含有量は赤外分光測定装置を使用することにより求めることができる。

0042

<共重合体(A−2)>
本発明で用いる共重合体(A−2)は、好ましくは芳香族ビニル系単量体とシアン化ビニル系単量体とが共重合したものである。また、この共重合体(A−2)には、芳香族ビニル系単量体およびシアン化ビニル系単量体と共重合可能な他のビニル系単量体が共重合していてもよい。芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、他のビニル系単量体の具体例としては、グラフト重合体(A−1)の製造に用いるビニル系単量体混合物(b)に含まれるものとして前述したものと同様のものが挙げられる。

0043

共重合体(A−2)の組成には特に制限はないが、芳香族ビニル系単量体60〜76質量%、シアン化ビニル系単量体40〜24質量%およびこれらの単量体と共重合可能なその他のビニル系単量体0〜20質量%を共重合してなるものが好ましい(ただし、芳香族ビニル系単量体とシアン化ビニル系単量体とその他のビニル系単量体との合計で100質量%)。即ち、共重合体(A−2)100質量%中の芳香族ビニル系単量体単位の含有率は60〜76質量%で、シアン化ビニル系単量体単位の含有率は40〜24質量%で、その他のビニル系単量体単位の含有率は0〜20質量%であることが好ましい。

0044

共重合体(A−2)の製造には、乳化重合や懸濁重合等の重合法が採用される。

0045

共重合体(A−2)を乳化重合で製造する場合、反応器内に各単量体と乳化剤重合開始剤連鎖移動剤とを仕込み、加熱して重合し、得られた共重合体(A−2)のラテックスから析出法により共重合体(A−2)を回収する。ここで、乳化剤としては、ロジン酸カリウムおよびアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム等の一般的な乳化重合用乳化剤を用いることができる。また、重合開始剤としては、有機無機過酸化物系開始剤を用いることができ、連鎖移動剤としては、メルカプタン類、α−メチルスチレンダイマーテルペン類等を用いることができる。析出法としては、グラフト重合体(A−1)のラテックスからグラフト重合体(A−1)を回収するのと同様の方法を採用できる。

0046

共重合体(A−2)を懸濁重合で製造する場合、反応器内に各ビニル系単量体と懸濁剤と懸濁助剤と重合開始剤と連鎖移動剤を仕込み、加熱して重合し、得られた共重合体(A−2)スラリーを脱水して共重合体(A−2)を回収する。ここで、懸濁剤としては、トリカルシウムフォスファイトポリビニルアルコール等を用いることができ、懸濁助剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム等が用いることができる。また、重合開始剤としては、有機パーオキサイド類を用いることができ、連鎖移動剤としては、メルカプタン類、α−メチルスチレンダイマー、テルペン類等を用いることができる。

0047

本発明で用いる共重合体(A−2)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算質量平均分子量が50000〜200000、特に100000〜150000であることが好ましい。共重合体(A−2)の質量平均分子量が上記下限以上であれば、得られる熱可塑性組成物の流動性が優れたものとなり、上記上限以下であれば耐衝撃性に優れたものとなる。

0048

<グラフト重合体(A−1)と共重合体(A−2)の配合割合
スチレン系樹脂(A)として用いるグラフト重合体(A−1)と共重合体(A−2)は、本発明の樹脂組成物の表面外観機械的強度バランスが特に良くなることから、グラフト重合体(A−1)と共重合体(A−2)の合計100質量部に対し、グラフト重合体(A−1)の含有量が5〜70質量部で共重合体(A−2)の含有量が95〜30質量部となるように用いることが好ましく、特にグラフト重合体(A−1)の含有量が10〜50質量部で共重合体(A−2)の含有量が90〜50質量部となるように用いることが好ましい。

0049

上記範囲よりもグラフト重合体(A−1)が多く、共重合体(A−2)が少ないと、得られる熱可塑性組成物の成形加工性が低下し、逆にグラフト重合体(A−1)が少なく共重合体(A−2)が多いと成形品の耐衝撃性が低下する。

0050

なお、グラフト重合体(A−1)、共重合体(A−2)は、それぞれ1種のみを用いてもよく、単量体組成や物性等の異なるものを2種以上混合して用いてもよい。

0051

[摺動性改良剤(B)]
本発明で用いる摺動性改良剤(B)は、スチレン系樹脂と、ジメチルポリシロキサン構造を持ったシリコーンオイルとを用いたシリコーン変性スチレン系樹脂である。

0052

シリコーン変性スチレン系樹脂のスチレン系樹脂としては、前述の本発明の樹脂組成物に用いるスチレン系樹脂(A)として例示したものを用いることができるが、スチレン系樹脂(A)とシリコーン変性スチレン系樹脂のスチレン系樹脂とは同一である必要はなく、異なるものであってもよい。

0053

シリコーン変性スチレン系樹脂に用いるスチレン系樹脂としては、具体的には、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル−スチレン(AS樹脂)、ゴムにより強化されたゴム強化スチレン系樹脂等が挙げられる。ゴム強化スチレン系樹脂としては、ハイインパクトポリスチレン(HIPS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、エチレン系のゴム質重合体を用いたアクリロニトリル−エチレン−スチレン共重合体(AES樹脂)、アクリルゴムを用いたアクリロニトリル−アクリル−スチレン共重合体(ASA樹脂)等が挙げられる。このようなスチレン系樹脂は1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。

0054

ジメチルポリシロキサン構造を持ったシリコーンオイルは、分子量10万以上のポリオルガノシロキサンである。ここでポリオルガノシロキサンとは、ケイ素原子酸素原子を介して他のケイ素原子と結合した構造に有機基が付加している高分子物質である。

0055

シリコーン変性スチレン系樹脂を構成するポリオルガノシロキサンの骨格は、直鎖状分岐状、環状でもよく、又はこれらの混合物でもよい。

0056

上記のポリオルガノシロキサンが有する有機基としては、メチル基エチル基プロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、3−クロロプロピル基等のアルキル基シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基フェニル基キシリル基等のアリール基ベンジル基フェネチル基、3−フェニルプロピル基等のアラルキル基メトキシ基エトキシ基プロポキシ基等のアルコキシ基ポリエーテル基等の非反応性の有機基、カルビノール基カルボキシル基アミノ基、エポキシ基ビニル基等の反応性の有機基が挙げられ、好ましくは非反応性の有機基である。反応性の有機基を含有するシリコーンオイルを用いた場合、他の物質と反応して摺動性改良剤(B)としてのシリコーン変性スチレン系樹脂の性能が変化する虞があるため、反応しない条件で用いることが好ましい。

0057

シリコーンオイルのジメチルポリシロキサン構造の具体的な構造としては、ポリジメチルシロキサンポリメチルフェニルシロキサンポリメチルハイドロジェンシロキサンアラルキル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンアルキル変性ポリジメチルシロキサン高級脂肪酸変性ポリジメチルシロキサンフルオロアルキル変性ポリジメチルシロキサン、アミノ変性ポリジメチルシロキサン、エポキシ変性ポリジメチルシロキサンカルビノール変性ポリジメチルシロキサン、カルボキシル変性ポリジメチルシロキサン、フェノール変性ポリジメチルシロキサン、シラノール変性ポリジメチルシロキサン等が挙げられる。これらは、単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。

0058

前述のスチレン系樹脂と上記のシリコーンオイルとから、摺動性改良剤(B)としてのシリコーン変性スチレン系樹脂を製造する方法としては、例えば、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル−スチレン(AS樹脂)、ゴムにより強化されたゴム強化スチレン系樹脂、具体的にはハイインパクトポリスチレン(HIPS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、エチレン系のゴム質重合体を用いたアクリロニトリル−エチレン−スチレン共重合体(AES樹脂)、アクリルゴムを用いたアクリロニトリル−アクリル−スチレン共重合体(ASA樹脂)等のスチレン系樹脂とシリコーンオイルを加熱混練する方法が挙げられる。

0059

摺動性改良剤(B)に占めるシリコーンオイルの含有量は特に制限はないが、スチレン系樹脂とシリコーンオイルの合計100質量%中80質量%未満、より好ましくは50質量%以下であると、摺動性改良剤(B)の製造過程、および樹脂組成物への添加工程で扱いやすいものとなる。一方、摺動性改良剤(B)としての摺動性改良効果の観点から、摺動性改良剤(B)に占めるシリコーンオイルの含有量は、スチレン系樹脂とシリコーンオイルの合計100質量%中1質量%以上、特に20質量%以上であることが好ましい。

0060

このようなシリコーン変性スチレン系樹脂であれば、シリコーンオイルを直接スチレン系樹脂(A)に混合する場合に比べて、摺動性改良剤(B)の取扱いが容易で材料中に均一に分散できることにより、安定して摺動性に優れる成形品を得ることが出来、この摺動性改良剤(B)をスチレン系樹脂(A)に配合することで、摺動性、耐摩耗性を大幅に向上させることができると共に、被印刷体への傷付き防止性に優れた成形体を得ることができる。

0061

本発明の樹脂組成物において、摺動性改良剤(B)の含有量は、スチレン系樹脂(A)100質量部に対して、1〜7質量部であり、好ましくは1〜5質量部である。摺動性改良剤(B)の含有量が1質量部以上であると、摺動性改良剤(B)を含有することによる摺動性等の向上効果を確実に得ることができ、7質量部以下、特に5質量部以下であると成形品表面のベタツキ等外観不良もない摺動性が付与された成形品を得ることが出来る。

0062

なお、本発明の樹脂組成物は、摺動性改良剤(B)の1種のみを含有するものであってもよく、シリコーン変性スチレン系樹脂を構成するスチレン系樹脂やシリコーンオイルの種類や量の異なるものの2種以上を混合して用いてもよい。

0063

[無機充填材(C)]
本発明の樹脂組成物は、無機充填材(C)を含有することにより、耐摩耗性がより一層向上する。本発明で使用される無機充填材(C)は、モース硬度が4以下のものであることが好ましい。無機充填材(C)のモース硬度が4以下であることにより、被印刷体の傷付き防止性を向上させることができる。無機充填材(C)のモース硬度の下限には特に制限はないが、通常1以上である。ここで、モース硬度は、標準物質に対するひっかき傷の有無で硬さの順列を決定する。

0064

モース硬度4以下の無機充填材(C)としては、例えば、リン青銅、銅、フッ化カルシウム鐘青銅白雲石、銀、蛇紋石大理石真鍮重晶石アンチモンウッド合金方解石、炭酸カルシウム、ホウ酸雲母、金、セピオライト亜鉛方鉛鉱ビスマスアルミニウムテルル含水珪酸アルミニウム、ミョウバン琥珀無煙炭硫黄、銀、マグネシウムセレン岩塩カドミウム石膏ストロンチウム、錫、鉛、ガリウム、カルシウム、塩化銀珪藻土インジウム、タルク、黒鉛リチウムリン、カリウム、ナトリウム黄土ルビジウムセシウム等の物質を粉体状にしたものが挙げられる。これらの無機充填材(C)は1種を単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
上記無機充填材(C)のなかでも、耐摩耗性および被印刷体の傷付き防止性がより高いことから、炭酸カルシウムまたはタルクが好ましい。

0065

無機充填材(C)の形状としては、樹脂材料中での分散性に優れ、摺動性、耐摩耗性のバランスが良くなることから、粉体状が好ましい。無機充填材(C)粉体の平均粒子径としては0.4〜10μmであることが好ましく、0.7〜5μmであることがより好ましい。無機充填材(C)の平均粒子径が0.4μm以上であれば、溶融混錬時に凝集して外観不良の原因となる可能性が低減され、10μm以下であれば、耐衝撃性低下の懸念も最小限に留められる。ここで、無機充填材(C)の平均粒子径とは、島津製作製粉比表面積測定装置SS−100型で測定した粉末1g当たりの比表面積値を下記計算式に従って算出した粉末の平均粒子径である。
平均粒子径=6/(比重×比表面積)×10000 〔μm〕

0066

本発明の樹脂組成物が無機充填材(C)を含有する場合、その含有量は、スチレン系樹脂(A)100質量部に対して5〜30質量部であることが好ましく、10〜20質量部であることがより好ましい。無機充填材(C)の含有量が5質量部以上であれば、耐摩耗性がより高くなり、30質量部以下であれば、摺動性がより優れたものとなる。

0067

[他の重合体(D)]
本発明の樹脂組成物は、スチレン系樹脂(A)以外の樹脂成分として、芳香族ビニル系単量体単位を有さない他の重合体(D)を含むものであってもよい。他の重合体(D)としては、例えば、ポリメチルメタクリレート系樹脂ナイロン6樹脂ナイロン66樹脂、ポリブチレンテレフタレート系樹脂ポリエチレンテレフタレート系樹脂ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。これら他の重合体(D)は単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。

0068

ただし、本発明の樹脂組成物が他の重合体(D)を含有する場合、前述のスチレン系樹脂(A)と摺動性改良剤(B)とを含有することによる本発明の効果をより確実に得る上で、スチレン系樹脂(A)と他の重合体(D)との合計100質量部に対するスチレン系樹脂(A)の含有率が30質量部以上となるように、他の重合体(D)を用いることが好ましい。

0069

[樹脂組成物の製造方法]
本発明の樹脂組成物は、スチレン系樹脂(A)、摺動性改良剤(B)、及び必要に応じて用いられる無機充填材(C)、好ましくはモース硬度4以下の無機充填材(C)、更に必要に応じてその他の重合体(D)や、酸化防止剤、滑剤加工助剤顔料難燃剤等の各種添加剤を混合し、例えば、押出機バンバリーミキサーまたは混練ロール等にてペレット化することで容易に製造することができる。

0070

〔成形体〕
本発明の成形体は、上述の本発明の樹脂組成物を成形してなるものである。その成形方法としては、例えば、射出成形法プレス成形法押出成形法真空成形法ブロー成形法などが挙げられる。

0071

本発明の成形体は、上述の本発明の樹脂組成物を成形したものであるから、被印刷体の摺動性が高い上に、耐摩耗性に優れ、しかも被印刷体の傷付きを防止できる。このような本発明の成形体は、例えば、プリンタのフィーダ等の被印刷体摺動用成形体として好適であり、特に紙と摺動する摺動部材等に好適に使用される。

0072

以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。なお、以下において、「部」は「質量部」、「%」は「質量%」を意味する。

0073

[製造例1:グラフト共重合体(A−1−1)の製造]
蒸留水170部に、ジエン系ゴム(ポリブタジエン、ゲル含有量:95%、平均粒子径:0.3μm)50部と、スチレン74%およびアクリロニトリル26%のビニル系単量体混合物50部と、不均化ロジン酸カリウム1部、水酸化ナトリウム0.01部、ピロリン酸ナトリウム0.45部、硫酸第1鉄0.01部、デキストローズ0.57部、t−ドデシルメルカプタン0.08部およびクメンハイドロパーオキサイド1.0部とを仕込み、60℃から反応を開始し、途中で75℃まで昇温し、2時間半後に乳化グラフト重合を完結させた。
反応生成物のラテックスを硫酸水溶液凝固、水洗した後、乾燥してグラフト共重合体(A−1−1)を得た。得られたグラフト共重合体(A−1−1)の単量体転化率は96%であり、赤外分光測定装置により求めたゴム含有量は50.9%であった。

0074

グラフト共重合体(A−1−1)をメタノールで洗浄後、アセトンに溶解させた後、このアセトン可溶分を濃縮し、メタノールで再沈殿させ、濾過により沈殿物を採取した。この沈殿物を乾燥させた後、元素分析装置としてYanaco製MT−6を使用して求めた、窒素原子換算によるシアン化ビニル系単量体単位の含有量を、グラフト共重合体(A−1−1)のシアン化ビニル系単量体単位の含有量とした。
このグラフト共重合体(A−1−1)のメタノール洗浄後のアセトン可溶分のシアン化ビニル系単量体単位の含有量は24.3%であった。

0075

[製造例2:共重合体(A−2−1)の製造]
窒素置換した攪拌機付きステンレス重合反応槽反応器に、イオン交換水120部、ポリビニルアルコール0.1部、アゾビスイソブチロニトリル0.3部、アクリロニトリル30部、スチレン70部、t−ドデシルメルカプタン0.35部を仕込んだ。そして、その反応器の温度を60℃にして5時間加熱した後、120℃に昇温し、4時間重合して共重合体(A−2−1)を得た。重合終了後に単量体の転化率を求めたところ、98%であった。また、得られた共重合体(A−2−1)の質量平均分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィにより測定したところ、1.0×105(ポリスチレン換算値)であった。

0076

[実施例1〜13、比較例1〜8]
上記製造例1〜3で得たグラフト重合体(A−1−1)及び共重合体(A−2−1)と、以下に示す原材料を、表1〜3に示す配合割合でタンブラーミキサー一括投入し、5分間混合した。得られた混合物を、二軸押出機(神戸製鋼所製 KTX30)を用いて溶融温度240℃にて混練し、熱可塑性樹脂組成物ペレットを得た。

0077

使用原材料]
摺動性改質剤(B−1)>
富士ケミカル社製クリベルCB−50AB(シリコーンオイルとABS樹脂を溶融混合してなるシリコーン変性スチレン系樹脂)
<摺動性改質剤(B−2)>
シリコーンオイル:東レ・ダウコーニング社製 SH−200−100CS

0078

<無機充填材(C)>
C−1:炭酸カルシウム日東粉化工業社製 NS#1000 (平均粒子径:1.2μm)
C−2:タルク富士タルク工業社製TP−A25(平均粒子径:5.0μm)
C−3:ガラスビーズポッターズ・バロティーニ社製 GB301SC
C−4:マイクロビーズポッターズ・バロティーニ社製EMB−10
C−5:カーボンファイバー三菱ケミカル社製パイロフィルチョップドファイバーTRO6U−B4J
C−6:ガラス繊維日東紡績社製ガラスチョップドストランドCSF3PE−332

0079

なお、各無機充填材のモース硬度を、粉体の無機充填材については、粉体にする前の各無機物質を標準物質でこすり、標準物質に対するひっかき傷の有無で硬さを測定することにより求めた。繊維状、ビーズ状の無機充填材はそのまま標準物質でこすり、標準物質に対するひっかき傷の有無で硬さを測定した。
モース硬度の測定結果を表1〜3に示す。

0080

[評価]
各実施例および各比較例で得た熱可塑性樹脂組成物のペレットを溶融温度240℃の条件で成形加工して耐摩耗性評価試験片と、品安定性評価用試験片を作製した。ペレットの射出成形加工には、日本製鋼社製 J75E−P射出成形機を使用した。
作製した試験片を用いて、以下の評価を行った。結果を表1〜3に示す。

0081

<品質安定性>
被印刷体摺動用樹脂材料としての長期品質安定性を以下の方法で評価した。
外寸直径25.6mm、内寸直径20mm、高さ15mmの円筒形摺動面積200mm2)の品質安定性評価用試験片に、相手材としてコピー用紙を用いて、(株)オリエンテック製 EFM−III−N型試験機で、回転速度は100mm/秒とし、試験荷重は1.5kgf又は2.0kgfに変更して動摩擦係数を測定した。動摩擦係数が試験荷重に関係なく安定している程、材料の摺動性が優れ長期にわたって品質安定性に優れることを示す。動摩擦係数が大きく相手材のコピー用紙が破れた場合は「測定不能」とした。
また、試験後の試験片に触れて表面のベタつきの有(×)無(○)を確認した。

0082

RCAテープ摩耗量・紙の傷付き防止性>
耐摩耗性評価用試験片を用い、RCA摩耗試験機(米国The Norman Tool&StampingCompany製:紙テープ幅17mm、紙テープ移動速度65mm/秒)を使用し、無荷重で連続的に紙テープを試験片に接触させて試験片の摩耗深さ(μm)を測定した。摩耗深さが浅い程、耐摩耗性に優れる。
また、試験後の紙テープの状態を目視で観察し、以下の基準で紙テープの傷付き防止性を評価した。
◎:どの角度から見ても傷がない
○:ある角度から見ると傷が見え
×:どの角度から見ても傷が見える

0083

<静摩耗係数
コピー用紙に対する耐摩耗性評価用試験片の静摩擦係数を、新東科学社製 静摩擦係数測定機TYPEHEDON 10にて傾斜法で測定した。静摩耗係数は小さい程摺動性が優れる。

0084

総合評価
摺動用樹脂材料として、以下の基準で総合評価した。
◎:紙テープへの傷付き防止性が◎、かつ摩耗試験による摩耗深さが220μm以下のもので、試験荷重によらず動摩擦係数が安定しており、試験片表面状態にベタつきが確認されないもの
○:紙テープの傷付き防止性が◎、または摩耗試験による摩耗深さが220μm以下のもので、試験荷重によらず動摩擦係数が安定しており、試験片表面状態にベタつきが確認されないもの
×:試験荷重の変更により動摩擦係数が大幅に変化(測定不能)するもの、もしくは試験片表面状態にベタつきが見られるもの

0085

0086

0087

実施例

0088

表1〜3より次のことが分かる。
グラフト共重合体(A−1−1)と共重合体(A−2−1)と摺動性改質剤(B−1)を含有する実施例1〜13の熱可塑性樹脂組成物によれば、試験荷重を増加させても動摩擦係数が安定しており摺動性が優れ、紙テープの傷付き防止性に優れる成形品を得ることができた。上記熱可塑性樹脂組成物にモース硬度が4以下の無機充填材を添加した実施例2〜9では摺動性、紙テープの傷付き防止性に加えて樹脂の摩耗量が少ない結果が得られた。実施例10〜13では摺動性と樹脂の摩耗量が少ない結果が得られた。
摺動性改質剤(B−1)の添加量を0.5部とした比較例3,5では荷重変更により動摩擦係数の値が大きくなり(測定不能)、満足する摺動性が得られず、摺動性改質剤(B−1)の添加量を8部に増やした比較例4,6では試験片表面にベタつきが確認された。
摺動性改質剤(B−1)を添加していない比較例1,2,7,8はいずれの材料でも荷重の変更によって大きく動摩擦係数が変化して、或いは荷重変動にかかわらず満足する摺動性は得られなかった。

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