図面 (/)

技術 味質改善剤および味質の改善方法

出願人 味の素株式会社
発明者 関哲也太田雅文
出願日 2017年7月25日 (1年10ヶ月経過) 出願番号 2017-144006
公開日 2019年2月21日 (3ヶ月経過) 公開番号 2019-024331
状態 未査定
技術分野 調味料 医薬品製剤 種実、スープ、その他の食品
主要キーワード プライベートブランド バニリルアミン 各評価点 トウガラシ類 ビニルグアヤコール 減塩食品 アサイー 塩味増強
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2019年2月21日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (0)

図面はありません

課題

味質改善作用に優れ、かつ安全性が高い味質改善剤を提供することである。更には、該味質改善剤を含有する飲食品組成物または医薬品を提供し、また、該味質改善剤を用いて、飲食品組成物または医薬品の味質を改善する方法を提供することである。

解決手段

カプシノイドならびにバニリン酸およびその配糖体からなる群より選択される1種または2種以上を含有する味質改善剤とする。

概要

背景

味は大きく分けて5つの基本味甘味塩味酸味旨味苦味)の他、辛味渋味えぐ味収れん味等の味で構成されており、その中でも辛味は風味を良くするのみでなく、食物消化を促進する重要な要素である。

辛味を示す食品の中でトウガラシは用途が広く、日本人の食生活に浸透している。トウガラシの辛味物質であるカプサイシン類の辛味は、食した直後に発現するのではなく、食後しばらくしてから発現する性質を有する。
しかしながら、食品によっては、食後すぐに辛味が発現する方がおいしく感じられるものも多く、カプサイシンの辛味の発現を調節する素材が求められてきた(特許文献1)。また、カプサイシンの辛みには、摂取後後味として残存するという課題があり、カプサイシン類の量を増やして辛味を強めれば、後味はますます残存することになる(特許文献2、非特許文献1)。それゆえ、かかるカプサイシン類の先味を高め、後味の切れを良くする素材も求められてきた。

しかし、これまでそのような効果を持つ素材の報告はほとんどなされていない。たとえば、特許文献1には、揮発成分であるl−カルボン、2−メトキシ−3−イソブチルピラジン、β−ヨノン、4−ビニルグアヤコール、β−シクロシトラール、β−カリオフィレン、シス−3−ヘキセノールサフラナールフェニル酢酸オイゲノール及び酢酸が、カプサイシンの辛味の発現を速くし、辛味を強く感じさせる、すなわち、カプサイシンの辛味の先味を高める効果を有することが開示されている。
また、特許文献2には、メントールが、トウガラシ抽出物ショウガ抽出物由来する辛味、特に後味の辛味を抑制する、すなわち辛味の後味の切れを改善することが報告されている。
しかし、これら特許文献に記載された成分を用いると、対象となる飲食品本来の味や香りに影響が生じる恐れがあり、必ずしも応用範囲の広い技術とは言えない。
一方で、トウガラシ類に含まれるカプサイシン類の中で、カプサイシンとジヒドロカプサイシンの比において、後者の占める割合が小さい程、辛味の後味の切れが良いことも報告されている(非特許文献1)。
しかしながら、辛味の先味を高め、後味の切れを同時に改善し得る素材の報告はなく、トウガラシの辛味の質を満足できる程度に改善できる素材は見出されていない。

トウガラシの非辛味品種であるCH−19甘では、カプサイシン類(カプサイシノイド)の生合成関与するputative aminotransferase(p−AMT)遺伝子に変異があるために、カプサイシノイドの生合成量が少なく、カプシノイドが多く生合成されることが知られている(非特許文献2、3)。このようにp−AMTに変異があり、カプサイシノイドに比べてカプシノイドを多く生合成するトウガラシは、複数の種および品種が知られており、カプシノイドについて、エネルギー代謝促進作用、体熱産生促進作用等が報告されている(非特許文献2、3)。
しかし、辛味に関しては、カプシノイドがカプサイシノイドの1000分の1程度の辛味しか示さないことが報告されているに過ぎず、飲食品医薬品に配合された場合の味質の改善に関する報告はない。

また、カプシノイドを生合成する植物の選別方法(特許文献3)や、カプシノイドを生合成する遺伝子改変植物作出方法(特許文献4)が開示されているが、それらの特許文献には、カプシノイドの辛味の質、カプサイシノイドまたはカプサイシノイドを含むトウガラシもしくは食品との間における辛味の相加相乗作用や、辛味の修飾作用に関して、報告はなされていない。
さらに、既存品種のカプシノイド、カプサイシノイドの含量を測定した報告はあるものの、味の修飾作用に関しては報告がなく、既存のカプシノイドを含むトウガラシ品種が小果で食味が悪く、生食には不適であるとの報告があるのみである(非特許文献2、4)。

また更に、食塩塩化ナトリウム)は、飲食品への塩味の付与により嗜好性を高め、保存性や物性を向上させる効果を有する等、食品業界においては欠かすことのできない素材であるが、ナトリウムの過剰摂取は高血圧症等の多くの疾患の原因となるので、塩化ナトリウムの摂取量の減少が望まれている。
しかし、単に塩化ナトリウムの使用量を減らした減塩食品は、味のメリハリがなく、食品本来おいしさを著しく欠くものとなってしまうため、様々な対処法が検討されてきた。
例えば、コショウショウガクローブ及びシナモン各香辛料抽出物の混合物を含有する塩味増強剤(特許文献5)、天然物由来塩味増強化合物(特許文献6)、ワニリルアルコール誘導体を含有する呈味増強剤(特許文献7)が提案され、先味が出ず後味の悪い塩化カリウムうま味を改善する方法(非特許文献5)や、カプサイシンの塩化ナトリウム摂取低減効果(非特許文献1、6)が報告されている。
しかし、上記特許文献および非特許文献で提案または報告された塩味または呈味増強剤等については、素材特有の辛味、苦味、酸味、えぐ味、香気等が指摘されており、必ずしも、塩味を増強するための汎用技術とはなり得ていない。

特許文献8では、バニロイド受容体−1アゴニストを含有する塩味の修飾剤が提案され、カプサイシン等の塩味に及ぼす影響が鼓索神経応答により評価されている。また、鼓索神経を用いた評価系にて、カプシエイトがカプサイシンと類似の効果を示すことが報告されている(非特許文献7)。
しかし、カプサイシンは、鼓索神経のナトリウム特異的な神経線維(N−線維)の塩化ナトリウムに対する応答を抑制するが、2種のサブタイプを有するカチオン感受性線維(E−線維)の応答に対しては、増強および抑制という異なる効果を示したことが報告され、作用する神経線維の種類により、カプサイシンの効果が異なることが示されている(非特許文献8)。
従って、鼓索神経を用いた評価系における結果は、必ずしもカプシエイトが塩味増強効果を有することを示唆するものであるということはできない。

また、トウガラシの辛味の主原因であるカプサイシンは、「辛味」と「痛み」と「熱」に関わる受容体であるTRPV1のアゴニスト活性を介して辛味を発現する。それゆえ、カプサイシンによる「辛味」は、灼熱感を伴う「痛み」に似た感覚であることが知られており(非特許文献9)、カプサイシンをはじめとするTRPV1アゴニストが、「痛みに似た辛味」を利用して飲食品の味付けに利用されている。
一方、カプシエイト、ジヒドロカプシエイトノルジヒドロカプシエイトをはじめとするカプシノイドは、TRPV1アゴニストとして作用するものの、「痛みに似た辛味」を示さないため、飲食品等の味付けにおける利用は困難と考えられ、未だに利用されていない(非特許文献1、9、10)。

また、減塩食の食塩を減らすと味がもの足りなくなることから、うま味物質を添加し、「おいしさ」、「塩味の強さ」、「味全体の強さ」を高める方法が報告されているが、個々の味を高めることで塩味の不足回復させる素材は知られていない(非特許文献11)。

概要

味質改善作用に優れ、かつ安全性が高い味質改善剤を提供することである。更には、該味質改善剤を含有する飲食品組成物または医薬品を提供し、また、該味質改善剤を用いて、飲食品組成物または医薬品の味質を改善する方法を提供することである。カプシノイドならびにバニリン酸およびその配糖体からなる群より選択される1種または2種以上を含有する味質改善剤とする。なし

目的

また更に、食塩(塩化ナトリウム)は、飲食品への塩味の付与により嗜好性を高め、保存性や物性を向上させる効果を有する等、食品業界においては欠かすことのできない素材であるが、ナトリウムの過剰摂取は高血圧症等の多くの疾患の原因となるので、塩化ナトリウムの摂取量の減少が望まれている

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

カプシノイドならびにバニリン酸およびその配糖体からなる群より選択される1種または2種以上を含有する、味質改善剤

請求項2

カプシノイドが、カプシエイトジヒドロカプシエイトおよびノルジヒドロカプシエイトからなる群より選択される1種または2種以上である、請求項1に記載の味質改善剤。

請求項3

甘味酸味塩味苦味うま味辛味およびこく味からなる群より選択される1種以上の味の改善剤である、請求項1または2に記載の味質改善剤。

請求項4

請求項1〜3のいずれか1項に記載の味質改善剤を含有し、味質の改善された飲食品組成物

請求項5

請求項1〜3のいずれか1項に記載の味質改善剤を含有し、味質の改善された医薬品。

請求項6

請求項1〜3のいずれか1項に記載の味質改善剤を含有させることを含む、味質の改善された飲食品組成物の製造方法。

請求項7

味質改善剤の含有量が、カプシノイドの含有量として0.0001重量%〜50重量%、またはバニリン酸の含有量として0.01重量%〜50重量%である、請求項6に記載の製造方法。

請求項8

請求項1〜3のいずれか1項に記載の味質改善剤を含有させることを含む、味質の改善された医薬品の製造方法。

請求項9

味質改善剤の含有量が、カプシノイドの含有量として0.0001重量%〜50重量%、またはバニリン酸の含有量として0.01重量%〜50重量%である、請求項8に記載の製造方法。

請求項10

請求項1〜3のいずれか1項に記載の味質改善剤を含有させることを含む、飲食品組成物の味質の改善方法

請求項11

味質改善剤の含有量が、カプシノイドの含有量として0.0001重量%〜50重量%、またはバニリン酸の含有量として0.01重量%〜50重量%である、請求項10に記載の味質の改善方法。

請求項12

請求項1〜3のいずれか1項に記載の味質改善剤を含有させることを含む、医薬品の味質の改善方法。

請求項13

味質改善剤の含有量が、カプシノイドの含有量として0.0001重量%〜50重量%、またはバニリン酸の含有量として0.01重量%〜50重量%である、請求項12に記載の味質の改善方法。

請求項14

カプサイシノイドの1種または2種以上と、請求項1〜3のいずれか1項に記載の味質改善剤を含有する、辛味の改善された組成物

請求項15

カプサイシノイドの1種または2種以上1重量部に対する味質改善剤の含有量が、カプシノイドならびにバニリン酸およびその配糖体からなる群より選択される1種または2種以上が1重量部〜1000重量部となる量である、請求項14に記載の組成物。

請求項16

カプサイシノイドの1種または2種以上を含有する組成物に、請求項1〜3のいずれか1項に記載の味質改善剤を含有させることを含む、カプサイシノイドの1種または2種以上の辛味の改善方法。

請求項17

カプサイシノイドの1種または2種以上1重量部に対する味質改善剤の含有量が、カプシノイドならびにバニリン酸およびその配糖体からなる群より選択される1種または2種以上が1重量部〜1000重量部となる量である、請求項16に記載の辛味の改善方法。

技術分野

0001

本発明は、飲食品組成物医薬品の味質を改善し得る味質改善剤、および、飲食品組成物や医薬品の味質の改善方法に関する。

背景技術

0002

味は大きく分けて5つの基本味甘味塩味酸味旨味苦味)の他、辛味渋味えぐ味収れん味等の味で構成されており、その中でも辛味は風味を良くするのみでなく、食物消化を促進する重要な要素である。

0003

辛味を示す食品の中でトウガラシは用途が広く、日本人の食生活に浸透している。トウガラシの辛味物質であるカプサイシン類の辛味は、食した直後に発現するのではなく、食後しばらくしてから発現する性質を有する。
しかしながら、食品によっては、食後すぐに辛味が発現する方がおいしく感じられるものも多く、カプサイシンの辛味の発現を調節する素材が求められてきた(特許文献1)。また、カプサイシンの辛みには、摂取後後味として残存するという課題があり、カプサイシン類の量を増やして辛味を強めれば、後味はますます残存することになる(特許文献2、非特許文献1)。それゆえ、かかるカプサイシン類の先味を高め、後味の切れを良くする素材も求められてきた。

0004

しかし、これまでそのような効果を持つ素材の報告はほとんどなされていない。たとえば、特許文献1には、揮発成分であるl−カルボン、2−メトキシ−3−イソブチルピラジン、β−ヨノン、4−ビニルグアヤコール、β−シクロシトラール、β−カリオフィレン、シス−3−ヘキセノールサフラナールフェニル酢酸オイゲノール及び酢酸が、カプサイシンの辛味の発現を速くし、辛味を強く感じさせる、すなわち、カプサイシンの辛味の先味を高める効果を有することが開示されている。
また、特許文献2には、メントールが、トウガラシ抽出物ショウガ抽出物由来する辛味、特に後味の辛味を抑制する、すなわち辛味の後味の切れを改善することが報告されている。
しかし、これら特許文献に記載された成分を用いると、対象となる飲食品本来の味や香りに影響が生じる恐れがあり、必ずしも応用範囲の広い技術とは言えない。
一方で、トウガラシ類に含まれるカプサイシン類の中で、カプサイシンとジヒドロカプサイシンの比において、後者の占める割合が小さい程、辛味の後味の切れが良いことも報告されている(非特許文献1)。
しかしながら、辛味の先味を高め、後味の切れを同時に改善し得る素材の報告はなく、トウガラシの辛味の質を満足できる程度に改善できる素材は見出されていない。

0005

トウガラシの非辛味品種であるCH−19甘では、カプサイシン類(カプサイシノイド)の生合成関与するputative aminotransferase(p−AMT)遺伝子に変異があるために、カプサイシノイドの生合成量が少なく、カプシノイドが多く生合成されることが知られている(非特許文献2、3)。このようにp−AMTに変異があり、カプサイシノイドに比べてカプシノイドを多く生合成するトウガラシは、複数の種および品種が知られており、カプシノイドについて、エネルギー代謝促進作用、体熱産生促進作用等が報告されている(非特許文献2、3)。
しかし、辛味に関しては、カプシノイドがカプサイシノイドの1000分の1程度の辛味しか示さないことが報告されているに過ぎず、飲食品や医薬品に配合された場合の味質の改善に関する報告はない。

0006

また、カプシノイドを生合成する植物の選別方法(特許文献3)や、カプシノイドを生合成する遺伝子改変植物作出方法(特許文献4)が開示されているが、それらの特許文献には、カプシノイドの辛味の質、カプサイシノイドまたはカプサイシノイドを含むトウガラシもしくは食品との間における辛味の相加相乗作用や、辛味の修飾作用に関して、報告はなされていない。
さらに、既存品種のカプシノイド、カプサイシノイドの含量を測定した報告はあるものの、味の修飾作用に関しては報告がなく、既存のカプシノイドを含むトウガラシ品種が小果で食味が悪く、生食には不適であるとの報告があるのみである(非特許文献2、4)。

0007

また更に、食塩塩化ナトリウム)は、飲食品への塩味の付与により嗜好性を高め、保存性や物性を向上させる効果を有する等、食品業界においては欠かすことのできない素材であるが、ナトリウムの過剰摂取は高血圧症等の多くの疾患の原因となるので、塩化ナトリウムの摂取量の減少が望まれている。
しかし、単に塩化ナトリウムの使用量を減らした減塩食品は、味のメリハリがなく、食品本来おいしさを著しく欠くものとなってしまうため、様々な対処法が検討されてきた。
例えば、コショウショウガクローブ及びシナモン各香辛料抽出物の混合物を含有する塩味増強剤(特許文献5)、天然物由来塩味増強化合物(特許文献6)、ワニリルアルコール誘導体を含有する呈味増強剤(特許文献7)が提案され、先味が出ず後味の悪い塩化カリウムうま味を改善する方法(非特許文献5)や、カプサイシンの塩化ナトリウム摂取低減効果(非特許文献1、6)が報告されている。
しかし、上記特許文献および非特許文献で提案または報告された塩味または呈味増強剤等については、素材特有の辛味、苦味、酸味、えぐ味、香気等が指摘されており、必ずしも、塩味を増強するための汎用技術とはなり得ていない。

0008

特許文献8では、バニロイド受容体−1アゴニストを含有する塩味の修飾剤が提案され、カプサイシン等の塩味に及ぼす影響が鼓索神経応答により評価されている。また、鼓索神経を用いた評価系にて、カプシエイトがカプサイシンと類似の効果を示すことが報告されている(非特許文献7)。
しかし、カプサイシンは、鼓索神経のナトリウム特異的な神経線維(N−線維)の塩化ナトリウムに対する応答を抑制するが、2種のサブタイプを有するカチオン感受性線維(E−線維)の応答に対しては、増強および抑制という異なる効果を示したことが報告され、作用する神経線維の種類により、カプサイシンの効果が異なることが示されている(非特許文献8)。
従って、鼓索神経を用いた評価系における結果は、必ずしもカプシエイトが塩味増強効果を有することを示唆するものであるということはできない。

0009

また、トウガラシの辛味の主原因であるカプサイシンは、「辛味」と「痛み」と「熱」に関わる受容体であるTRPV1のアゴニスト活性を介して辛味を発現する。それゆえ、カプサイシンによる「辛味」は、灼熱感を伴う「痛み」に似た感覚であることが知られており(非特許文献9)、カプサイシンをはじめとするTRPV1アゴニストが、「痛みに似た辛味」を利用して飲食品の味付けに利用されている。
一方、カプシエイト、ジヒドロカプシエイトノルジヒドロカプシエイトをはじめとするカプシノイドは、TRPV1アゴニストとして作用するものの、「痛みに似た辛味」を示さないため、飲食品等の味付けにおける利用は困難と考えられ、未だに利用されていない(非特許文献1、9、10)。

0010

また、減塩食の食塩を減らすと味がもの足りなくなることから、うま味物質を添加し、「おいしさ」、「塩味の強さ」、「味全体の強さ」を高める方法が報告されているが、個々の味を高めることで塩味の不足回復させる素材は知られていない(非特許文献11)。

0011

特開2005−143308号公報
特開2016−140300号公報
特開2010−000067号公報
国際公開第2009/157376号
特開2012−239398号公報
特表2016−506747号公報
国際公開第2005/004635号
国際公開第2005/006881号

先行技術

0012

トウガラシ辛味の科学、岩井和夫、渡辺達夫著、幸書房、P.14-242、2008年
トウガラシにおける新規カプサイシン類似物質・カプシコニノイドの含量;岡山大農学部学術報告Vol.103 37-43(2014)
トウガラシ果実から新規に見出された非辛味カプサイシン類似物質の生合成を決定する遺伝子の解明とその成分育種への利用(Abstract_要旨)、田中義行、2010-03-23、京都大学学術情報リポジトリ;http://hdl.handle.net/2433/120462
トウガラシの辛味成分に関する遺伝育種、岡山大学環境生命科学研究科田中義行;特産種苗Vol. 20 13-17 (2015)
業界の動向食塩の概要減塩調味料、石田 賢吾;JAS情報 47(1) 3-7 2012-01,日本農林規格協会
Effect of Dietary protein levels and capsaicin on salt intake in SHR and Wister rats, Chi-Ho Lee, M.Komai and S.Kimura; Nutr. Res., 11 917 (1991)
カプシエイトによる鼓索神経の電気生理学的応答原水聡史、大貫宏一郎、隠岐加寿美、伏木亨、渡辺達夫、矢沢進、橋爪秀一;日本香辛料研究会講演要旨集 13-14 15 (2000)
Capsaicin Modifies Responses of Rat Chorda Tympani Nerve Fibers to NaCl, K.Osada, M.Komai, B.P.Bryant, H.Suzuki, A.Goto, K.Tsunoda, S.Kimura and Y. Furukawa; Chem. Senses 22 249 (1997)
トウガラシの辛味と痛みとエネルギー代謝、川端二功、伏木亨;化学生物Vol.43 No.3 160-165 (2005)
温度感受性TRPチャネル漢方医学Vol.37 No.3 pp. 164-175 (2013)
うま味を利用した減塩料理の提案とその官能評価;日本栄養・食糧学会誌Vol.64 No.5 pp. 305-311 (2011)

発明が解決しようとする課題

0013

従って、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、味質改善作用に優れ、かつ安全性が高い味質改善剤を提供することを目的とする。
更には、該味質改善剤を含有し、味質の改善された飲食品組成物または医薬品を提供し、また、該味質改善剤を用いて、飲食品組成物または医薬品の味質を改善する方法を提供することである。

課題を解決するための手段

0014

本発明者らは、前記課題を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、カプシノイドおよびバニリン酸に、優れた味質改善作用があることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。

0015

[1]カプシノイドならびにバニリン酸およびその配糖体からなる群より選択される1種または2種以上を含有する、味質改善剤。
[2]カプシノイドが、カプシエイト、ジヒドロカプシエイトおよびノルジヒドロカプシエイトからなる群より選択される1種または2種以上である、[1]に記載の味質改善剤。
[3]甘味、酸味、塩味、苦味、うま味、辛味およびこく味からなる群より選択される1種以上の味の改善剤である、[1]または[2]に記載の味質改善剤。
[4][1]〜[3]のいずれかに記載の味質改善剤を含有し、味質の改善された飲食品組成物。
[5][1]〜[3]のいずれかに記載の味質改善剤を含有し、味質の改善された医薬品。
[6][1]〜[3]のいずれかに記載の味質改善剤を含有させることを含む、味質の改善された飲食品組成物の製造方法。
[7]味質改善剤の含有量が、カプシノイドの含有量として0.0001重量%〜50重量%、またはバニリン酸の含有量として0.01重量%〜50重量%である、[6]に記載の製造方法。
[8][1]〜[3]のいずれかに記載の味質改善剤を含有させることを含む、味質の改善された医薬品の製造方法。
[9]味質改善剤の含有量が、カプシノイドの含有量として0.0001重量%〜50重量%、またはバニリン酸の含有量として0.01重量%〜50重量%である、[8]に記載の製造方法。
[10][1]〜[3]のいずれかに記載の味質改善剤を含有させることを含む、飲食品組成物の味質の改善方法。
[11]味質改善剤の含有量が、カプシノイドの含有量として0.0001重量%〜50重量%、またはバニリン酸の含有量として0.01重量%〜50重量%である、[10]に記載の味質の改善方法。
[12][1]〜[3]のいずれかに記載の味質改善剤を含有させることを含む、医薬品の味質の改善方法。
[13]味質改善剤の含有量が、カプシノイドの含有量として0.0001重量%〜50重量%、またはバニリン酸の含有量として0.01重量%〜50重量%である、[12]に記載の味質の改善方法。
[14]カプサイシノイドの1種または2種以上と、[1]〜[3]のいずれかに記載の味質改善剤を含有する、辛味の改善された組成物
[15]カプサイシノイドの1種または2種以上1重量部に対する味質改善剤の含有量が、カプシノイドならびにバニリン酸およびその配糖体からなる群より選択される1種または2種以上が1重量部〜1000重量部となる量である、[14]に記載の組成物。
[16]カプサイシノイドの1種または2種以上を含有する組成物に、[1]〜[3]のいずれかに記載の味質改善剤を含有させることを含む、カプサイシノイドの1種または2種以上の辛味の改善方法。
[17]カプサイシノイドの1種または2種以上1重量部に対する味質改善剤の含有量が、カプシノイドならびにバニリン酸およびその配糖体からなる群より選択される1種または2種以上が1重量部〜1000重量部となる量である、[16]に記載の辛味の改善方法。

発明の効果

0016

本発明の味質改善剤によれば、飲食品組成物または医薬品の味質を改善することができ、甘味、酸味、塩味、苦味およびうま味の基本味のみならず、辛味やこく味の発現をも調節して、これらの味の強さを向上させるとともに、先味を高め、後味の切れを改善することができる。
従って、本発明により、味質の改善された飲食品組成物および医薬品を提供することができる。
また、本発明の味質改善剤は、食経験の豊かな食品素材中に含まれる成分を有効成分とするため、高い安全性を有する。

0017

本発明の味質改善剤は、カプシノイドならびにバニリン酸およびその配糖体からなる群より選択される1種または2種以上を含有する。

0018

本明細書において、「味質」とは、味覚という感覚種の感覚の中に弁別される質、すなわち味の差異をいい、甘味、酸味、塩味、苦味およびうま味の五基本味のみならず、辛味、こく味等の感覚から来る味も包含される。
従って、本発明における「味質改善剤」は、甘味、酸味、塩味、苦味またはうま味の発現を調節し、あるいは辛味またはこく味の発現を調節して、それらの総量としての強さを高めるとともに、先味を高め、後味の切れを良くする等により、味質を改善する作用を有する。

0019

本発明の味質改善剤に含有される「カプシノイド」は、バニリルアルコール脂肪酸エステルである。カプシノイドに包含される化合物のうち、代表的な化合物としては、下記の式(1)で示されるカプシエイト、下記の式(2)で示されるジヒドロカプシエイト、および下記の式(3)で示されるノルジヒドロカプシエイトが挙げられる。これらは、無辛味品種のトウガラシに含有されることが確認されている。
更に、バニリルデカノエイトバニリルナノエイト、バニリルオクタノエイト等、カプシエイトやノルジヒドロカプシエイトと同程度の脂肪酸鎖長を有する各種直鎖あるいは分岐鎖脂肪酸と、バニリルアルコールとの脂肪酸エステルをも包含するが、これらには制限されない。
また、本発明の味質改善剤に含有されるカプシノイドは、上記したバニリルアルコールの脂肪酸エステルの配糖体であってもよい。これらは、無辛味品種のトウガラシに含有されることが確認されている(国際公開第2012/086811号)。また、国際公開第2012/086811号に記載された方法で合成できるが、これらの方法に制限されない。

0020

0021

0022

0023

カプシノイドは、トウガラシ属(Capsicum)に属する植物(以下「トウガラシ属植物」という)に多く含まれるものであるため、トウガラシ属植物の植物体および/または果実から抽出し、分離、精製することによって得ることができる。
カプシノイドの供給材料として使用するトウガラシ属植物としては、Capsicum annuum、Capsicum baccatum、Capsicum praetermissum、Capsicum chinense、Capsicum glabrisuculam、Capsicum angulosum(glosum)、Capsicum acuminoum、Capsicum fasciculatum、Capsicum pabro-accuminatum、Capsicum cardenasii、Capsicum eximium、Capsicum pubescens、Capsicum tovari、Capsicum chacoense、Capsicum galapagoense等が挙げられる。
上記トウガラシ属植物のうち、カプシノイドを含有するトウガラシ属植物であれば特に制限なく用いることができ、「日光」や「五色」等に代表される在来の辛味を有する品種由来のトウガラシ(C. annuum L.)でもよいが、無辛味品種のトウガラシ(C. annuum L.)が好ましい。中でも、「CH−19甘」、「万願寺」、「伏見甘長」等の無辛味品種のトウガラシ(C. annuum L.)や、シシトウ(C. annuum L. var. angulosum)、ピーマン(C. annuum L. var. grossum)等にはカプシノイドが多く含まれており、好適に用いることができる。
特に、無辛味品種である「CH−19甘」はカプシノイドの含有量が高いため、さらに好ましい。本明細書において、「CH−19甘」の語は、「CH−19甘」品種、および「CH−19甘」に由来する後代類縁品種等を含む一群の品種を意味する。

0024

また、本発明においては、カプシノイドの供給材料として、カプシノイドの産生が増大された遺伝子改変植物を用いることもできる。かかる遺伝子改変植物としては、たとえば、国際公開第2009/157367号等に記載されるように、バニリンからバニリルアミンへのアミノ基転移反応触媒するアミノトランスフェラーゼの発現または活性が低減されたトウガラシ属植物等が挙げられる。

0025

カプシノイドを得るには、トウガラシ属植物の果実が好ましく用いられる。
トウガラシ属植物の果実等の植物体は、そのまま、または細切、乾燥、粉砕等して、水や、メタノールエタノールイソプロパノールアセトン酢酸エチル等の有機溶媒により抽出することができる。また、超臨界抽出亜臨界抽出により、抽出することもできる。
なお、抽出物中のカプシノイドの含有量は、高速液体クロマトグラフィーHPLC)により定量することができる。

0026

カプシノイドの分離、精製は、当業者にとってよく知られた溶媒抽出や、シリカゲルクロマトグラフィー等の各種のクロマトグラフィー調製用高速液体クロマトグラフィー等の手段を単独で、又は適宜組み合わせて実施することにより行うことができ、たとえば、特開平11−246478号公報に記載の方法を用いることができる。

0027

また、上記のカプシノイドは、たとえば、特開平11−246478号公報に記載されるように、対応する脂肪酸エステルとバニリルアルコールを出発原料としたエステル交換反応により合成することもできる。または、その構造式に基づいて、当業者にとって周知のその他の反応手法により合成することもできる。さらには、酵素を用いる合成法により容易に調製することも可能である。たとえば、特開2000−312598号公報や、Kobataら(Biosci. Biotechnol. Biochem., 66 (2), 319-327, (2002))記載の方法により、所望のカプシノイドに対応する脂肪酸エステル、および/または当該脂肪酸を有するトリグリセリド等の化合物と、バニリルアルコールとを基質としたリパーゼ逆反応を利用することにより、容易に所望のカプシノイドを得ることができる。

0028

本発明においては、カプシノイドとしては、上記の抽出物や合成品のいずれを用いてもよく、粗生成物を用いることもできる。
カプシノイドを得る手法の簡便性、効率およびコスト等の観点からは、上記したエステル交換反応等の化学的合成法、上記した酵素を用いる合成法により得られる合成品、および無辛味品種のトウガラシ(C. annuum L.)の抽出物が好ましい。
味質改善効果の観点からは、好ましいカプシノイドとして、カプシエイト、ジヒドロカプシエイトおよびノルジヒドロカプシエイトが挙げられ、これらより1種以上を選択して用いることが好ましい。
あるいは、「CH−19甘」等の無辛味品種のトウガラシ(C. annuum L.)からの抽出物であって、カプシエイト、ジヒドロカプシエイトおよびノルジヒドロカプシエイトの混合物、たとえば、カプシエイト62.5重量%、ジヒドロカプシエイト32.0重量%およびノルジヒドロカプシエイト5.5重量%を含有する混合物等も、好適に用いることができる。

0029

本発明の味質改善剤に含有されるバニリン酸(4−ヒドロキシ−3−メトキシ安息香酸CAS登録番号:121−34−6)は、バニロイド類の1種であり、バニリンの酸化により得られる成分である。
バニリン酸は、トウガラシ属植物に含まれており、また、トウキ(Angelica sinensis)の根やアサイー油にも多く含まれることが知られている。
本発明においては、バニリン酸グルコシド等のバニリン酸配糖体を用いることもできる。

0030

本発明においては、バニリン酸またはその配糖体は、上記植物の抽出物または植物油から単離、精製されたものでもよく、自体公知の方法に従って化学的に合成され、または酵素を用いて合成されたものでもよい。さらには、バニリン酸またはその配糖体含有量の高い植物等の抽出物を用いてもよい。
なお、植物抽出物等のバニリン酸またはその配糖体含有量は、HPLCにより定量することができる。

0031

本発明の味質改善剤には、上記したカプシノイドならびにバニリン酸およびその配糖体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を選択し、組み合わせて用いてもよい。

0032

本発明の味質改善剤は、水性液状、油性液状、乳状、懸濁液状等の液状;ゲル状、クリーム状等の半固形状粉末状、粒状、顆粒状、タブレット状カプセル状等の固形状の形態で提供することができる。

0033

上記形態の味質改善剤は、製剤の分野で周知の製剤化手段、たとえば第十七改正日本薬局方製剤総則[3]製剤各条に記載された方法等により、調製することができる。その際、必要に応じて、薬理学的に許容し得る各種の製剤用添加剤を配合することができる。当該添加剤は、本発明の味質改善剤の形態に応じて適宜選択することができるが、たとえば、賦形剤結合剤崩壊剤滑沢剤被覆剤基剤溶剤希釈剤溶解補助剤可溶化剤乳化剤分散剤懸濁化剤安定化剤粘稠剤、pH調整剤抗酸化剤防腐剤保存剤矯味剤風味剤甘味剤香料着色剤等が挙げられる。

0034

具体的には、たとえば賦形剤として、炭酸マグネシウム二酸化チタン、糖類(たとえば、ラクトース等)、糖アルコール(たとえば、マンニトール等)、カゼイン等が挙げられる。
結合剤としては、ゼラチン澱粉セルロースおよびその誘導体等が挙げられる。
崩壊剤としては、クロスポビドン結晶セルロース等が挙げられる。
滑沢剤としては、タルクステアリン酸マグネシウム等が挙げられる。
被覆剤としては、メタクリル酸メタクリル酸メチル共重合体、メタクリル酸・アクリル酸エチル共重合体メタクリル酸メチル・メタクリル酸ブチル・メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体アクリル酸エチル・メタクリル酸メチル・メタクリル酸塩化トリメチルアンモニウムエチル共重合体等が挙げられる。
基剤としては、動物および植物油脂(たとえば、カカオ脂牛脂コーン油ダイズ油オリーブ油菜種油ベニバナ油ヒマワリ油ゴマ油硬化油ヒマシ油等)、ロウカルナウバロウミツロウ等)、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
溶剤としては、精製水一価アルコール(たとえば、エタノール等)、多価アルコール(たとえば、グリセリン等)等が挙げられる。
希釈剤としては、精製水、生理食塩水等が挙げられ、溶解補助剤としては、プロピレングリコール中鎖脂肪酸トリグリセリド等が挙げられる。
可溶化剤、乳化剤、分散剤または懸濁化剤としては、ソルビタン脂肪酸エステルグリセリン脂肪酸エステルポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルポリソルベート20、ポリソルベート80等)、ショ糖脂肪酸エステル等の界面活性剤が挙げられる。
安定化剤としては、アジピン酸、β−シクロデキストリン等が挙げられる。
粘稠剤としては、水溶性高分子(たとえばポリアクリル酸ナトリウムカルボキシビニルポリマー等)、多糖類アルギン酸ナトリウムキサンタンガムトラガント等)等が挙げられる。
pH調整剤としては、塩酸硫酸、酢酸、クエン酸乳酸水酸化ナトリウム水酸化カリウム等が挙げられる。
抗酸化剤としては、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、α−トコフェロールエリソルビン酸等が挙げられる。
防腐剤または保存剤としては、パラベン(たとえば、メチルパラベン等)、ベンジルアルコールデヒドロ酢酸ナトリウムソルビン酸等が挙げられる。
矯味剤または風味剤としては、アスコルビン酸エリスリトール、L−グルタミン酸ナトリウム等が挙げられ、甘味剤としては、アスパルテームカンゾウエキスサッカリン等が挙げられる。
香料としては、l−メントール、d−カンファーシネオール等が挙げられる。
着色剤としては、タール色素(たとえば、赤色2号、青色1号、黄色4号等)、無機顔料(たとえば、三二酸化鉄黄酸化鉄黒酸化鉄等)、天然色素(たとえば、アナトー色素ウコン色素β−カロテン等)等が挙げられる。

0035

本発明の味質改善剤におけるカプシノイドならびにバニリン酸およびその誘導体からなる群より選択される1種または2種以上の含有量は、カプシノイドとして、通常0.0001重量%〜50重量%であり、好ましくは0.001重量%〜40重量%であり、より好ましくは0.01重量%〜30重量%であり、バニリン酸として、通常0.01重量%〜50重量%であり、好ましくは0.1重量%〜30重量%であり、より好ましくは0.2重量%〜20重量%である。

0036

本発明の味質改善剤を飲食品組成物や医薬品に添加することにより、味覚の受容体の感受性を高めて、飲食品組成物や医薬品の摂取時に感じられる甘味、酸味、塩味、苦味、うま味、辛味、こく味等のそれぞれの発現を調節して、味質を向上させることができる。
また、本発明の味質改善剤を摂取させることにより、その後に摂取される飲食品組成物や医薬品により発現される甘味、酸味、塩味、苦味、うま味、辛味、こく味等のそれぞれの味を高めることができる。より詳細には、甘味、酸味、塩味、苦味、うま味、辛味、こく味等の味において、全体の強さを高めるのみでなく、それぞれの味の先味を向上させ、後味の切れを良くすることができる。
ここで、「先味」とは、摂取後すぐに感じる味をいい、「後味」とは、摂取後に持続する味をいう。
さらに、本発明の味質改善剤は、飲食品組成物本来の味を損なうことなく、味質を改善することができる。

0037

ここで、上記飲食品組成物としては、本発明の味質改善剤により味質の改善が期待されるものであれば特に限定されないが、たとえば、ジュース類清涼飲料水炭酸飲料果実飲料豆乳類ココア飲料等)、コーヒー茶類緑茶紅茶、青等)等の飲料;乳酸菌飲料発酵乳バターチーズヨーグルト加工乳脱脂乳等の乳製品豆腐納豆等の大豆加工品畜肉およびハムソーセージハンバーグ等の畜肉加工品魚介類およびすり身、魚卵魚肉練り製品蒲鉾竹輪、さつま揚げ等)等の水産加工品;だし巻き、卵豆腐等の卵製品クッキーゼリーチューイングガムキャンディースナック菓子冷菓等の菓子類パン類およびケーキ類麺類漬物類;燻製品干物佃煮塩蔵品ラーメンスープ粉末スープ等のスープ類;酢、醤油味噌ソースケチャップラー油カレー粉等の調味料等が挙げられる。
また、甘味料、うま味調味料、香辛料(ショウガ、サンショウ、一味唐辛子、七味唐辛子、カラシマスタード、わさび等)、アニスアルデヒド、オイゲノール、ゲラニオール、酢酸エチル、d−ボルネオール等の合成香料オレンジ油ペパーミント油ユーカリ油ローズ油等の天然香料等の食品添加物に対しても、本発明の味質改善剤を添加することができる。
さらに、本発明の味質改善剤を添加し得る飲食品組成物は、特定保健用食品栄養機能食品、機能性表示食品等の保健機能食品、病者用食品、高齢者用食品等の特別用途食品、健康補助食品等として提供されるものであってもよい。

0038

また、上記医薬品としては、苦味や不快な味を呈する医薬品であり、本発明の味質改善剤により味質の改善が期待されるものであれば特に限定されないが、チアラミドイブプロフェンフェンブフェンロキソプロフェン等の非ステロイド性抗炎症薬ジフェンヒドラミンクロルフェニラミンセチリジンプロメタジン等の抗ヒスタミン薬プロプラノロール等の降圧薬クロフィブラート等の高脂血症治療薬デキストロメトルファンペントキシベリン等の鎮咳薬ベネキサート等の消化性潰瘍治療薬パパベリン等の排胆薬;ベルベリン等の腸疾患治療薬キニーネ等の抗マラリア薬クロルプロマジン等の抗精神病薬チアミンリボフラビン等のビタミン類クロラムフェニコールクリンダマイシン等の抗菌薬等、およびこれらの無機酸塩塩酸塩臭化水素酸塩硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩等)、有機酸塩酢酸塩クエン酸塩マレイン酸塩フマル酸塩等)等が挙げられる。
さらに、本発明の味質改善剤は、矯味剤、風味剤、甘味剤、香料等の製剤用添加剤に対して添加することができる。

0039

本発明の味質改善剤は、飲食品組成物や医薬品、または調味料、香辛料、香料等、これらに添加される添加剤等の製造時にこれらの原材料の一部として含有させてもよく、飲食品組成物の調理時または医薬品製剤の調製時に添加してもよく、飲食品組成物の喫食時または医薬品の摂取時にそれらに添加してもよく、飲食品組成物または医薬品とともに摂取させてもよい。

0040

本発明の味質改善剤の飲食品組成物または医薬品等への添加量またはこれらとともに摂取すべき量は、改善すべき味質の種類および程度に応じて適宜設定することができるが、飲食品組成物または医薬品等におけるカプシノイドの含有量として通常0.0001重量%〜50重量%であり、好ましくは0.001重量%〜40重量%、更に好ましくは0.01重量%〜30重量%であり、バニリン酸の含有量として通常0.01重量%〜50重量%、好ましくは0.1重量%〜30重量%である。

0041

従って、本発明は、本発明の上記味質改善剤を含有し、味質の改善された飲食品組成物(以下、「本発明の飲食品組成物」と表記することがある)または医薬品(以下、「本発明の医薬品」と表記することがある)を提供する。

0042

本発明の飲食品組成物における、上記した本発明の味質改善剤の含有量は、カプシノイドの含有量またはバニリン酸の含有量として、飲食品組成物への味質改善剤の添加量として上記した量とすることが好ましい。
本発明の飲食品組成物は、各種飲食品成分または飲食品原材料に、本発明の味質改善剤を加え、必要に応じて飲食品の分野で汎用される食品添加物(たとえば、製造用剤、増粘安定剤、ガムベース、乳化剤、保存料酸化防止剤光沢剤、pH調整剤、甘味料、苦味料酸味料着色料、香料等)を加えて、一般的な飲食品の製造方法により製造することができ、上記した各種飲食品組成物、保健機能食品、特別用途食品、健康補助食品等として提供することができる。
本発明の飲食品組成物は、粉末状、顆粒状、シート状、カプセル状、タブレット状、ゼリー状等の形態で提供することもでき、瓶詰め食品缶詰食品レトルトパウチ食品等であってもよい。
本発明の飲食品組成物における「味質の改善」については、上記した通りである。

0043

本発明の医薬品における、上記した本発明の味質改善剤の含有量は、カプシノイドの含有量またはバニリン酸の含有量として、医薬品への味質改善剤の添加量として上記した量とすることが好ましい。
本発明の医薬品は、各種薬物に本発明の味質改善剤を加え、必要に応じて上記した製剤用添加剤を加え、製剤の分野で周知の製剤化手段により製造することができ、錠剤被覆錠剤チュアブル錠丸剤、(マイクロカプセル剤顆粒剤細粒剤散剤エリキシル剤リモナーゼ剤、シロップ剤懸濁剤乳剤経口ゼリー剤等の剤形で提供され得る。
本発明の医薬品における「味質の改善」については、上記した通りである。

0044

また、本発明は、上記した本発明の味質改善剤を含有させることを含む、味質の改善された飲食品組成物または医薬品の製造方法(以下、本明細書において、それぞれ「本発明の飲食品組成物の製造方法」または「本発明の医薬品の製造方法」とも称する)を提供する。
本発明の飲食品組成物の製造方法において、本発明の味質改善剤は、各種飲食品または飲食品原材料に対し、必要に応じて一般的な食品添加物とともに、含有させることができる。
本発明の飲食品組成物の製造方法において、本発明の味質改善剤の含有量、味質の改善等については、上記した通りである。

0045

本発明の医薬品の製造方法において、本発明の味質改善剤は、各種医薬品または各種薬物に対し、必要に応じて一般的な製剤用添加剤とともに、含有させることができる。
本発明の医薬品の製造方法において、本発明の味質改善剤の含有量、「味質の改善」については、上記した通りである。

0046

また本発明は、飲食品組成物または医薬品の味質の改善方法(以下本明細書において、「本発明の味質の改善方法」とも称する)を提供する。
本発明の味質の改善方法は、上記した本発明の味質改善剤を、飲食品組成物または医薬品に含有させることを含む。

0047

本発明の味質改善方法には、例えば、本発明の味質改善剤を、飲食品組成物や医薬品、または調味料、香辛料、香料等の食品添加物または製剤用添加剤を製造するときに、原材料の一部として添加する方法、飲食品組成物の調理または医薬品製剤の調製時に添加する方法、飲食品組成物の喫食時または医薬品の摂取時に同時に摂取させる方法等が含まれる。
「飲食品組成物」、「医薬品」、飲食品組成物または医薬品における本発明の味質改善剤の含有量、「味質の改善」については、上記した通りである。

0048

本発明の味質改善剤は、カプサイシン等、カプサイシノイドの1種または2種以上とともに含有させることにより、特に辛味の改善された組成物とすることもできる。カプサイシノイドの1種または2種以上は、それを高含有量で含有する辛味の強いトウガラシ属植物の抽出物として含有されてもよい。
上記辛味の改善された組成物において、本発明の味質改善剤は、カプサイシノイドの1種または2種以上1重量部に対し、カプシノイドならびにバニリン酸およびその配糖体からなる群より選択される1種または2種以上が1重量部以上となるように含有されることが好ましく、2重量部以上となるように含有されることがより好ましく、4重量部以上となるように含有されることがさらに好ましい。
また、上記辛味の改善された組成物において、本発明の味質改善剤は、カプサイシノイドの1種または2種以上1重量部に対し、カプシノイドならびにバニリン酸およびその配糖体からなる群より選択される1種または2種以上が1000重量部以下となるように含有されることが好ましく、100重量部以下となるように含有されることがより好ましく、50重量部以下となるように含有されることがさらに好ましく、25重量部以下となるように含有されることがさらにより好ましい。

0049

従って、本発明は、カプサイシノイドの1種または2種以上を含有する組成物に、本発明の味質改善剤を含有させることを含む、カプサイシノイドの1種または2種以上の辛味の改善方法をも提供する。
カプサイシノイドの1種または2種以上を含有する組成物における本発明の味質改善剤の含有量は、上記した通りである。

0050

以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、これは単に例示であって本発明の範囲を限定するものではない。また、「%」は、特に断らない限り、「重量%」を示す。

0051

[カプシエイト、ジヒドロカプシエイト、ノルジヒドロカプシエイトの製造]
カプシエイト、ジヒドロカプシエイト、ノルジヒドロカプシエイトは、(6E)-8-Methyl-6-nonenoic Acid、8-Methylnonanoic acidまたは7-Methyloctanoic acidに、ノボザイム435を用いて、バニリルアルコールをそれぞれエステル化して製造した。

0052

[カプサイシン、ジヒドロカプサイシン、ノルジヒドロカプサイシン]
カプサイシン、ジヒドロカプサイシン、ノルジヒドロカプサイシンとしては、トウガラシ由来の精製物として市販されているものを使用した。

0053

[市販のトウガラシ乾燥物
市販のトウガラシ乾燥物として、一味唐辛子(株式会社セブンイレブン製、プライベートブランド)を使用した。一味唐辛子中のカプサイシノイドの含有量を表1に示した。

0054

0055

[実施例1〜10、比較例1、2]ごま油の味質に対するカプシノイドの影響の検討
市販のごま油(株式会社セブンイレブン製、プライベートブランド)に一味唐辛子(株式会社セブンイレブン製、プライベートブランド)およびカプシノイドを表2に示す量加え、ごま油の味質への影響を検討した。
一味唐辛子はごま油に分散し、電子レンジで500Wにて1分間加熱した。カプシエイト、ジヒドロカプシエイト、およびノルジヒドロカプシエイトは、前記加熱後の上清にそれぞれ加えた。
なお、実施例8〜10については、それぞれ(1)の試料を摂取させた後、水で口内を5回洗浄させ、次いで(2)の試料を摂取させて、辛味を評価させた。
各試料の辛味について、比較例1の試料を比較対照として、50代の男性1名、40代の男性2名からなるパネラーにより官能評価を行なわせ、下記の5段階の基準により点数化させた。なお、評価に迷った場合には、各評価点中点(0.5点、1.5点、2.5点、3.5点、4.5点)での評価も許可した。3名のパネラーの評価点平均値を求め、パネラーのコメントとともに表3に示した。
評価基準
5点:比較対照に比べ、強い辛味を感じる。
4点:比較対照に比べ、やや強い辛味を感じる。
3点:比較対照と同等の辛味を感じる。
2点:比較対照に比べ、やや弱い辛味を感じる。
1点:比較対照に比べ、弱い辛味を感じる。
0点:辛味を全く感じない。

0056

0057

0058

表3に示される結果から、カプシエイト、ジヒドロカプシエイトおよびノルジヒドロカプシエイトは、それぞれをごま油に添加しても、全く辛味を発現しないことが認められた(実施例1〜3)。
しかしこれらを、カプサイシノイドを含む一味唐辛子を含有するごま油に添加すると、一味唐辛子を含有するごま油の辛味が総量として高まり、一方で、辛味の質も変化し、舌先で感じる辛味が増すが、辛味のキレが良くなり、の奥に残存する辛味が緩和されることが認められた(実施例4〜7)。
また、事前にカプシノイドを摂取させた後に一味唐辛子を含有するごま油を摂取させた場合も、辛味の強さ及び質が変化したと評価された(実施例8〜10)ことから、カプシエイト、ジヒドロカプシエイト、ノルジヒドロカプシエイト等のカプシノイドを喫食前に摂取させることによっても、辛味を鋭敏に感じることができるようになることが示唆された。
さらに、カプシノイドを摂取させた後に、口腔内の感覚が鋭敏になる傾向が見られた(実施例4〜10)。
さらにまた、カプシノイドを摂取させた場合、ごま油の香り(風味)を高く感じる傾向が認められた(実施例1〜3)。

0059

[実施例11〜14、比較例3、4]ごま油の味質に対するカプシノイドおよびバニリン酸の影響の検討
市販のごま油(株式会社セブンイレブン製、プライベートブランド)に、一味唐辛子(株式会社セブンイレブン製、プライベートブランド)ならびに、カプシノイドおよびバニリン酸を含有するトウガラシ(Capsicum annuum)の乾燥粉末(カプシノイド含有量=0.81mg/g、バニリン酸含有量=0.97mg/g)を表4に示す量加え、ごま油の味質への影響を検討した。
一味唐辛子はごま油に分散し、電子レンジで500Wにて1分間加熱した。上記トウガラシの乾燥粉末は、前記加熱後の上清に添加した。
なお、実施例14については、(1)の試料を摂取させた後、水で口内を5回洗浄させ、次いで(2)の試料を摂取させて、後述の評価を行わせた。
各試料の辛味について、比較例3の試料を比較対照として、30代の男性1名、40代の男性1名からなるパネラーにより官能評価を行なわせ、実施例1〜10および比較例1、2の場合において上記した評価基準により点数化させ、2名のパネラーの評価点の平均値を求めた。評価結果は、パネラーのコメントとともに、表5に示した。

0060

0061

0062

表5に示される結果より、カプシノイドおよびバニリン酸を含有するトウガラシの乾燥粉末を添加することにより、一味唐辛子を含有するごま油の辛味が総量として高まり、また、辛味の質も変化し、舌先で感じる辛味が増す一方で、辛味のキレが良くなり、喉の奥に残存する辛味が緩和されることが示唆された(実施例12、13)。
また、事前にカプシノイドおよびバニリン酸を含有するトウガラシ粉末を摂取させた後に一味唐辛子を含有するごま油を摂取させた場合も、辛味の強さ及び質が変化したと評価された(実施例14)ことから、カプシノイドおよびバニリン酸含有物を喫食前に摂取させることによっても、辛味を鋭敏に感じることができるようになることが示唆された。
さらに、カプシノイドおよびバニリン酸含有物を摂取させた場合、その後に口腔内の感覚が鋭敏になる傾向が見られた(実施例12〜14)。
さらにまた、カプシノイドおよびバニリン酸含有物を摂取させた場合、ごま油の香り(風味)が高まる傾向が見られた(実施例11)。

0063

[実施例15〜18、比較例5、6]ごま油の味質に対するカプシエイトおよびバニリン酸の影響の検討
市販のごま油(株式会社セブンイレブン製、プライベートブランド)に、一味唐辛子(株式会社セブンイレブン製、プライベートブランド)ならびにカプシエイトおよびバニリン酸(ナカライテスク株式会社製、コードNo.36124−64)を表6に示す量加え、ごま油の味質への影響を評価した。
一味唐辛子はごま油に分散し、カプシエイトおよびバニリン酸は、ごま油を電子レンジで500Wにて5分間加熱した後、上清に加えた。
各試料の辛味について、50代の男性1名、40代の男性1名からなるパネラーにより官能評価を行なわせ、下記の10段階の基準により点数化させて、2名のパネラーの評価点の平均値を求めた。結果は、パネラーのコメントとともに表7に示した。
<評価基準>
1点:辛味をほぼ感じない 〜10点:非常に強い辛味を感じる

0064

0065

0066

表7に示されるように、カプシエイトを添加することにより、一味唐辛子を含有するごま油の辛味が総量として高まり、辛味の質も変化し、舌先の辛味が増すとともに辛味のキレが良くなり、喉の奥に残存する辛味が緩和されることが示唆された(実施例17)。
また、バニリン酸を添加することにより、一味唐辛子を含有するごま油の辛味の質が変化し、特に後味の切れが良くなることが示唆された(実施例18)。

0067

[実施例19〜21、比較例7]カプシノイドのカレーに対する効果の検討
(1)カレールウの調製
玉葱143gをみじん切りし、オリーブ油(株式会社セブンイレブン製、プライベートブランド)7gを加え、フライパンで4分、中火で炒め、次いで市販のおろしにんにく(株式会社セブンイレブン製、プライベートブランド)10g、おろしショウガ(株式会社セブンイレブン製、プライベートブランド)10gを添加し、さらに中火で1分炒めた。
これにカレー粉パウダー5.7gを加え、弱火で1分炒めた。この混合物を沸騰したお湯500gに加え、コンソメスープの素(味の素株式会社製)1個(5.3g)、塩0.7g、砂糖5gを加え、中火で10分間煮込んだ。容器に移し、全量360gのカレールウを調製した(一味唐辛子の含有量は0.11%)。
カレー粉パウダーの組成(5.7gあたり)は以下の通りである。
(i)クミン(株式会社ギャバン製)1g
(ii)コリアンダー(株式会社ギャバン製)1g
(iii)オールスパイス(株式会社ギャバン製)0.5g
(iv)カルダモン(株式会社ギャバン製)1g
(v)クローブ(株式会社ギャバン製)0.3g
(vi)ターメリック(株式会社ギャバン製)1.5g
(vii)一味唐辛子(株式会社セブンイレブン製、プライベートブランド)0.4g(カプサイシノイド含有量=1.38mg/g)

0068

このカレールウ80gに、カプシノイドを含有するトウガラシの粉末(カプシノイド含有量=2.79mg/g粉末)を表8に示す量添加して、実施例19〜21の試料とした。なお、前記トウガラシの粉末を添加しない試料を比較例7とした。
30代〜50代の男性からなる熟練パネラー3名に、各試料を小さじ喫食させ、辛味の質を評価させ、評価点の平均値を求めた。
辛味の立ち上がりについては、喫食してから辛味を感じるまでにかかった時間(秒)を計測し、辛みの残存時間については、喫食してから辛味が弱まり始めるまでの時間(秒)を計測した。辛味の強さについては、辛味の立ち上がり時の強さと、その後に喉に残存すると感じる辛味の最大の強さを、10段階で評価させた。
評価結果は、表8に併せて示した。

0069

0070

表8に示される結果から、カプシノイドを含有するトウガラシ粉末をカレーに添加すると、カレーの辛味の立ち上がりが早くなり、辛みの残存時間も短くなり、さらに残存する辛味の強さはあまり変わらないか、含有量比によってはやや強くなることが示され、カプシノイドを含有するトウガラシがカレーの辛味の調整に有用であることが示唆された。
また、カプシノイドを含有するトウガラシを摂取させた場合、立ち上がり時の辛味が強く感じられたことから、摂取後に口腔内の感覚が鋭敏になる傾向が認められた。さらに、カプシノイド含有物の摂取により、カレーの香りが複雑に感じられ、細かな香りを感じることができることで、全体に濃厚に感じられる傾向が見られた。

0071

[実施例22〜25、比較例8]バニリン酸のカレーに対する効果の検討
前記実施例19〜21および比較例7の場合と同様に、カレールウを調製した。
上記カレールウ80gに、バニリン酸(ナカライテスク株式会社製、コードNo.36124−64)を表9に示す量添加し、実施例22〜25の試料とした。なお、バニリン酸を添加しない試料を比較例8とした。
40代〜50代の男性からなる熟練パネラー2名に、前記試料をそれぞれ小さじ1杯喫食させ、辛味の質について官能評価させ、評価点の平均値を求めた。
上記実施例19〜21および比較例7の場合と同様に、辛味の立ち上がりに要する時間および辛みの残存時間を計測し、辛味の立ち上がり時の強さおよび、残存する辛味の最大の強さを評価させた。
結果は表9に併せて示した。

0072

0073

表9に示される結果から、バニリン酸をカレーに添加すると、カレーの辛味の立ち上がりが早くなるとともに辛みの残存時間も短くなり、残存する辛味が減弱されることが示された。さらにカプサイシノイドに対する含有量比が低い場合には、立ち上がり時の辛味はやや強いが、バニリン酸の含有量比が高くなると、減弱されることが認められ、バニリン酸がカレーの辛味調整に有用であることが示唆された。

0074

[実施例26、比較例9]カプシノイドの担々麺に対する効果の検討
担々麺(株式会社セブンイレブン製、プライベートブランド)365g、(お湯290g、カプサイシノイド0.6mg含有)に、カプシノイドを含有するトウガラシ粉末(カプシノイド含有量=2.79mg/g粉末)を表10に示す量添加して、実施例26の試料とした。なお、前記トウガラシ粉末を添加しない試料を比較例9とした。
40代〜50代の男性からなる熟練パネラー2名に、実施例26および比較例9の各試料を、麺ごと一口分喫食させ、立ち上がり時の辛味の強さについて10段階で官能評価させて、評価点の平均値を求めた。
また、辛味の立ち上がりとして、喫食してから辛味を感じるまでにかかった時間(秒)を計測し、さらに、喫食後の平均的な体感を記した。
評価結果は、表10に併せて示した。

0075

表10に示される結果から、カプシノイドを含有するトウガラシ粉末を担々麺に添加すると、担々麺の辛味の立ち上がりが早くなり、さらに辛味の強さがやや強くなることが認められ、カプシノイドを含有するトウガラシが、担々麺の辛味調整に有用であることが示唆された。
また、カプシノイドを含有するトウガラシの摂取により、体が温まる感覚が向上する傾向が認められた。さらに、比較例9に比べて、立ち上がり時の辛味がやや強く感じられたことから、カプシノイド含有物を摂取することにより、口腔内の感覚が鋭敏になる傾向が認められた。

0076

[実施例27、比較例10]バニリン酸の担々麺に対する効果の検討
担々麺(株式会社セブンイレブン製、プライベートブランド)365g(お湯290g、カプサイシノイド0.6mg含有)に、バニリン酸(ナカライテスク株式会社製、コードNo.36124−64)を表11に示す量添加して、実施例27の試料とした。なお、バニリン酸を添加しない試料を比較例10とした。
上記実施例26および比較例9の場合と同様に、立ち上がり時の辛味の強さについて官能評価させ、評価点の平均値を求めた。また、同様に辛味の立ち上がりに要する時間を計測し、喫食後の平均的な体感を記した。
評価結果は表11に併せて示した。

0077

0078

表11に示される結果から、バニリン酸を担々麺に添加すると、担々麺の辛味の強さがやや低下する一方、辛味のキレが良くなることが認められ、バニリン酸が担々麺の辛味調整に有用であることが示唆された。

0079

[実施例28、比較例11]カプシノイドのキムチに対する効果の検討
キムチ鍋(エバラ食品工業株式会社製)75g(カプサイシノイド0.6mg含有)にカプシノイドを含有するトウガラシ粉末(カプシノイド含有量=2.79mg/g粉末)を表12に示す量添加し、実施例29の試料とした。なお、前記トウガラシ粉末を添加しない試料を、比較例11とした。
40代〜50代の男性からなる熟練パネラー2名に、実施例28および比較例11の各試料を一口分喫食させ、立ち上がり時の辛味の強さについて、10段階で官能評価させ、評価点の平均値を求めた。
また、辛味の立ち上がりとして、喫食してから辛味を感じるまでにかかった時間(秒)を計測し、さらに食後の平均的な体感を記した。
結果を表12に併せて示した。

0080

0081

表12に示される結果から、カプシノイドを含有するトウガラシ粉末をキムチ鍋に添加することにより、キムチ鍋の辛味の立ち上がりが早くなり、さらに辛味の強さがやや高まることが認められ、カプシノイドを含有するトウガラシ粉末が、キムチ鍋の辛味の調整に有用であることが示唆された。また、カプシノイドを含有するトウガラシ粉末の添加により、喉に残存する辛みが低減される一方で、口腔内で感じる辛味が高まり、口腔内の感覚が鋭敏になる傾向が認められた。

0082

[実施例29、比較例12]カプシエイトのショウガに対する効果の検討
ショウガ(株式会社セブンイレブン製、プライベートブランド)5gにカプシエイトを表13に示す量添加し、実施例29の試料とした。なお、カプシエイトを添加しない試料を、比較例12とした。
40代〜50代の男性からなる熟練パネラー2名に、上記の各試料を箸先端に付けて喫食させ、辛味の強さについて10段階で官能評価させ、評価点の平均値を求めた。また、喫食後の平均的な体感を記した。
結果は表13に併せて示した。

0083

0084

表13に示される結果から、カプシエイトをショウガに添加すると、で感じる辛味の強さが劇的に向上することが分かり、カプシエイトがショウガの辛味の調整に有用であることが示唆された。また辛味の量的な変化は大きいが、質的な変化が少ないことが認められ、調理等におけるショウガの使用量を低減することができ、コストの低減にも有用であることが示唆された。またカプシエイトの摂取により、口腔内の感覚が鋭敏になる傾向が見られた。

0085

[実施例30、比較例13]カプシエイトのワサビに対する効果の検討
ワサビ(株式会社セブンイレブン製、プライベートブランド)5gにカプシエイトを表14に示す量添加し、実施例30の試料とした。なお、カプシエイトを添加しない試料を、比較例13とした。
40代〜50代の男性からなる熟練パネラー2名に、上記の各試料を箸先端に付けて喫食させ、辛味の強さについて10段階で官能評価させ、評価点の平均値を求めた。
結果は表14に併せて示した。また、喫食後の平均的な体感を記した。

0086

0087

表14に示される結果から、カプシエイトをワサビに添加すると、舌で感じる辛味の強さが劇的に向上することが分かり、カプシエイトがワサビの辛味の調整に有用であることが示唆された。また辛味の量的な変化は大きいが、質的な変化が少ないことから、調理等におけるワサビの使用量を低減することができ、コストの低減にも有用であることが示唆された。さらに、カプシエイトの摂取により、口腔内の感覚が鋭敏になる傾向が見られた。

0088

[実施例31、比較例14]カプシエイトのカラシに対する効果の検討
カラシ(ハウス食品株式会社製)5gにカプシエイトを表15に示す量添加し、実施例31の試料とした。なお、カプシエイトを添加しない試料を、比較例14とした。
40代〜50代の男性からなる熟練パネラー2名に、上記の各試料を箸先端に付けて喫食させ、辛味の強さについて10段階で官能評価させ、評価点の平均値を求めた。また、喫食後の平均的な体感を記した。
結果は表15に併せて示した。

0089

0090

表15に示される結果から、カプシエイトをカラシに添加すると、舌で感じる辛味の強さが劇的に向上することが分かり、カプシエイトがカラシの辛味の調整に有用であることが示唆された。また辛味の量的な変化は大きいが質的な変化が少ないことから、調理等におけるカラシの使用量を低減することができ、カプシエイトがコストの低減にも有用であることが示唆された。またカプシエイトの摂取により、口腔内の感覚が鋭敏になる傾向が見られた。

0091

[実施例32、33、比較例15〜17]カプシノイドの塩化ナトリウム(食塩)に対する効果の検討
塩化ナトリウム(ナカライテスク株式会社製)にカプシノイドを含有するトウガラシ粉末(カプシノイド含有量=2.79mg/g粉末)を表16に示す量添加し、実施例32および33の各試料とした。なお、前記トウガラシ粉末を添加しない試料を比較例15、カプシノイドを含有するトウガラシ粉末の代わりに、一味唐辛子粉末(株式会社セブンイレブン製、プライベートブランド、カプサイシノイド含有量=1.38mg/g)を添加した試料を比較例16および17とした。
40代〜50代の男性からなる熟練パネラー2名に、スプーン先端に約0.02gの各試料を採取して喫食させ、または各試料1gを水10gに溶解して喫食させて、塩味の強さについて10段階で官能評価させ、評価点の平均値を求めた。塩味とは別に辛味を感じた場合は、パネラーのコメントとともに備考欄に示した。
結果は表16に併せて示した。

0092

0093

表16に示される結果から、カプシノイドを含有するトウガラシ粉末を塩化ナトリウム(食塩)に添加すると、その塩味が増強される一方、カプサイシノイドを含有する唐辛子に特有の後味をひく辛味は殆ど感じられないことが認められ、カプシノイドを含有するトウガラシ粉末が、食塩の塩味の増強および調整に有用であることが示唆された。
また、カプシノイドを含有するトウガラシ粉末による上記効果は、塩化ナトリウムを固形状のまま食した場合、および水溶液として食した場合の双方において認められた。

0094

[実施例34]カプシノイドの塩化ナトリウムの塩味に対する効果の検討
次に、カプシノイドの摂取が塩化ナトリウムの塩味に及ぼす影響について、検討した。
カプシノイドを含有するトウガラシ粉末を摂取させた後、水でうがいを5回繰り返して口腔内を洗浄させ、次いで塩化ナトリウムを摂取させて、上記実施例32、33および比較例15〜17の場合と同様に塩味の強さを評価させた。塩味とは別に感じた辛味、その他パネラーのコメントを備考欄に示した。カプシノイドを含有するトウガラシ粉末の摂取量は、塩化ナトリウム摂取量に対し2%となる量とした。
評価結果は、表17に示した。

0095

0096

表17に示されるように、カプシノイドを含有するトウガラシ粉末を摂取した後に塩化ナトリウムを摂取した場合においても、塩味が増強され、カプシノイドを含有するトウガラシ粉末を先に喫食した場合にも、カプシノイドによる塩味増強効果が口腔内において残存することが示唆された。
また、カプシノイドを含有するトウガラシ粉末を事前に摂取することにより認められる上記効果は、塩化ナトリウムを固形状のまま喫食した場合、および水溶液として喫食した場合の双方において認められた。

0097

[実施例35、36、比較例18]カプシノイドのグルタミン酸ナトリウム(うま味物質)に対する効果の検討
グルタミン酸ナトリウムに、カプシノイドを含有するトウガラシ粉末(カプシノイド含有量=2.79mg/g粉末)を表18に示す量添加し、実施例35および36の試料とした。また、前記トウガラシ粉末を添加しない試料を比較例18の試料とした。
40代の男性の熟練パネラー1名に、実施例および比較例の各試料をスプーン先端に約0.02g採取させて喫食させ、うま味の強さを10段階で官能評価させた。また、うま味とは別に、辛味や別種の感覚等があった場合は、備考欄に示した。
結果は表18にまとめて示した。

0098

0099

表18に示される結果から、カプシノイドを含有するトウガラシ粉末をグルタミン酸ナトリウム(うま味物質)に添加すると、うま味が増強される一方、カプサイシノイドを含有する唐辛子に特有の後味をひく辛味は殆ど感じないことが認められ、カプシノイドを含有するトウガラシ粉末が、うま味の増強および調整に有用であることが示唆された。また、カプシノイドを含有するトウガラシ粉末により、うま味に厚みおよびこく味が付加されることが示唆された。

0100

[実施例37]カプシノイドのグルタミン酸ナトリウムのうま味に対する効果の検討
次に、カプシノイドの摂取がグルタミン酸ナトリウムのうま味に及ぼす影響について、検討した。
カプシノイドを含有するトウガラシ粉末を摂取させた後、水でうがいを5回繰り返して口腔内を洗浄させ、上記実施例35、36および比較例18の場合と同様にうま味の強さを評価させた。また、うま味とは別に、辛味や別種の感覚等があった場合は、備考欄に示した。カプシノイドを含有するトウガラシ粉末の摂取量は、グルタミン酸ナトリウム摂取量に対し2%となる量とした。
評価結果を表19に示した。

0101

0102

表19に示されるように、カプシノイドを含有するトウガラシを摂取した後に、グルタミン酸ナトリウムを摂取した場合においても、うま味が増強され、カプシノイドを含有するトウガラシを先に摂取することによっても、口腔内でうま味増強効果が生じることが示唆された。

0103

[実施例38および39、比較例19]カプシノイドのスクロース甘味物質)に対する効果の検討
スクロースにカプシノイドを含有するトウガラシ粉末(カプシノイド含有量=2.79mg/g粉末)を表20に示す量添加し、実施例38および39の試料とした。
なお、前記トウガラシ粉末を添加しない試料を比較例19とした。
40代の男性の熟練パネラー1名に、スプーン先端に実施例および比較例の各試料約0.02gを採取して喫食させ、甘味の強さを10段階で官能評価させた。甘味とは別に、辛味や別種の感覚等を感じた場合は、備考欄に示した。
結果は、表20に併せて示した。

0104

0105

表20に示される結果から、カプシノイドを含有するトウガラシ粉末をスクロース(甘味物質)に添加すると、甘味が増強される一方、カプサイシノイドを含有するトウガラシに特有の後味をひく辛味は殆ど感じられないことが認められ、カプシノイドを含有するトウガラシ粉末がスクロースの甘味の増強および調整に有用であることが示唆された。また、カプシノイドを含有するトウガラシ粉末により、甘味に厚みおよびこく味が付加されることが示唆された。

0106

[実施例40]カプシノイドのスクロースの甘味に対する効果の検討
次に、カプシノイドの摂取がスクロースの甘味に及ぼす影響について、検討した。
カプシノイドを含有するトウガラシ粉末を摂取させた後、水でうがいを5回繰り返して口腔内を洗浄させ、上記実施例38、39および比較例19の試料の場合と同様に、スクロースの甘味を評価させた。甘味とは別に、辛味や別種の感覚等を感じた場合は、備考欄に示した。
カプシノイドを含有するトウガラシ粉末の摂取量は、スクロース摂取量に対し2%となる量とした。
評価結果を表21に示した。

0107

0108

表21に示されるように、カプシノイドを含有するトウガラシ粉末を摂取した後に、スクロースを摂取した場合においても、甘味が増強され、カプシノイドを含有するトウガラシ粉末を先に摂取することによっても、口腔内で甘味増強効果が生じることが示唆された。

0109

[実施例41および42、比較例20]カプシノイドのグルコース(甘味物質)に対する効果の検討
グルコースに、カプシノイドを含有するトウガラシ粉末(カプシノイド含有量=2.79mg/g粉末)を表22に示す量添加し、実施例41および42の試料とした。
なお、前記トウガラシ粉末を添加しない試料を比較例20とした。
40代の男性の熟練パネラー1名に、スプーン先端に実施例および比較例の試料をそれぞれ約0.02g採取して喫食させ、甘味の強さを10段階で官能評価させた。甘味とは別に、辛味や別種の感覚等を感じた場合は、備考欄に示した。
評価結果は表22に併せて示した。

0110

0111

表22に示される結果から、カプシエイトを含有するトウガラシ粉末をグルコース(甘味物質)に添加すると、甘味が増強される一方、カプサイシノイドを含有するトウガラシに特有の後味をひく辛味は殆ど感じられないことが認められ、カプシノイドを含有するトウガラシ粉末が、グルコースの甘味の増強および調整に有用であることが示唆された。また、カプシノイドを含有するトウガラシ粉末により、甘味に厚みおよびこく味が付加されることが示唆された。

0112

[実施例43]カプシノイドのグルコース(甘味物質)に対する効果の検討
次に、カプシノイドの摂取がグルコースの甘味に及ぼす影響について、検討した。
カプシノイドを含有するトウガラシ粉末を摂取させた後、水でうがいを5回繰り返して口腔内を洗浄させ、上記実施例41、42および比較例20の試料と同様に、グルコースの甘味を評価させた。甘味とは別に、辛味や別種の感覚等を感じた場合は、備考欄に示した。
カプシノイドを含有するトウガラシ粉末の摂取量は、グルコース摂取量に対し2%となる量とした。
評価結果を表23に示した。

0113

0114

表23に示されるように、カプシノイドを含有するトウガラシ粉末を摂取した後に、グルコースを摂取した場合においても、甘味が増強され、カプシノイドを含有するトウガラシを先に摂取することによっても、口腔内で甘味増強効果が生じることが示唆された。

0115

[実施例44〜48、比較例21〜25]カプシノイドの塩化ナトリウム(塩味物質)、スクロース(甘味物質)、クエン酸(酸味物質)、カフェイン(苦味物質)、グルタミン酸ナトリウム(うま味物質)に対する効果の検討
20%塩化ナトリウム(塩味物質)、40%スクロース(甘味物質)、5%クエン酸(酸味物質)、0.02%カフェイン(苦味物質)、10%グルタミン酸ナトリウム(うま味物質)のそれぞれの水溶液各0.5mLに、カプシノイドを含有するトウガラシ粉末(カプシノイド含有量=2.79mg/g粉末)をそれぞれ10mg添加して撹拌し、実施例44〜48の試料とした。
なお、上記各実施例の水溶液において、カプシノイドを含有するトウガラシ粉末を添加しない試料を、それぞれ比較例21〜25とした。
50代の男性及び40代の男性の熟練パネラー2名に、上記実施例および比較例の各試料を摂取させ、各味の質と量について官能評価させた。各味の強さについては10段階で評価させ、2名のパネラーの評価点の平均値を求めた。また、各味とは別に、辛味や別種の感覚等が感じられる場合は、備考に示した。
評価結果は表24に示した。

0116

0117

表24に示される結果から、カプシノイドを含有するトウガラシ粉末を、20%塩化ナトリウム(塩味物質)、40%スクロース(甘味物質)、5%クエン酸(酸味物質)、0.02%カフェイン(苦味物質)、10%グルタミン酸ナトリウム(うま味物質)のそれぞれの水溶液に添加すると、それぞれの味が増強される一方、カプサイシノイドを含有するトウガラシに特有の後味をひく辛味は殆ど感じられないことが認められ、カプシノイドを含有するトウガラシ粉末が、塩味、甘味、酸味、苦味およびうま味のそれぞれの増強および調整に有用であることが示唆された。また、特に各味の先味が増強されることが判明した。

0118

[実施例49および50、比較例26、27]カプシノイドのグリチルリチン(甘味物質)およびステビア(甘味物質)に対する効果の検討
0.05%グリチルリチン(甘味物質、東京化成工業株式会社製)、0.05%ステビア(甘味物質、株式会社ナチュラルライフ製)の各水溶液0.5mLに、カプシノイドを含有するトウガラシ粉末(カプシノイド含有量=2.79mg/g粉末)を5mg添加し、撹拌して、実施例49および50の試料とした。
なお、前記トウガラシ粉末を添加しない試料を、比較例26および27とした。
40代の男性及び30代の男性の熟練パネラー2名に各試料を摂取させ、甘味の質と量を評価させた。甘味の強さについては、10段階で官能評価させ、2名のパネラーの評価点の平均値を求めた。また、甘味とは別に、辛味や別種の感覚等が感じられる場合は、備考に示した。
評価結果は、表25に示した。

0119

実施例

0120

表25に示される結果から、カプシノイドを含有するトウガラシ粉末を0.05%グリチルリチン、0.05%ステビアの各水溶液に添加すると、それらの甘味が増強される一方、カプサイシノイドを含有するトウガラシに特有の後味をひく辛味は殆ど感じられないことが認められ、カプシノイドを含有するトウガラシ粉末がグリチルリチンおよびステビアの甘味の増強および調整に有用であることが示唆された。また、特に、グリチルリチンおよびステビアの先味が増強されることが判明した。

0121

以上、詳述したように、本発明により、飲食品または医薬品の味質を改善することができ、甘味、酸味、塩味、苦味およびうま味の基本味のみならず、辛味やこく味の発現をも調節して、これらの味の強さを向上させるとともに、先味を高め、後味の切れを改善することができる味質改善剤を提供することができる。
従って、本発明により、味質の改善された飲食品組成物および医薬品を提供することができる。

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

  • DSP五協フード&ケミカル株式会社の「 シームレスカプセル及びその製造方法」が 公開されました。( 2019/04/11)

    【課題・解決手段】カプセル皮膜を備えたシームレスカプセルであって、前記カプセル皮膜は、ガラクトキシログルカンのガラクトース部分分解物とポリフェノールとを含有する、シームレスカプセル。... 詳細

  • MCフードスペシャリティーズ株式会社の「 増粘剤含有液状調味料の製造方法」が 公開されました。( 2019/03/22)

    【課題】 本発明の課題は、増粘剤としてキサンタンガムを使用するとフレーバーリリースが悪化する液状調味料のフレーバーリリースを改善する方法、およびフレーバーリリースが良好な、増粘剤を含有する液状調味料... 詳細

  • 興和株式会社の「 医薬組成物」が 公開されました。( 2019/03/22)

    【課題】ピタバスタチン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を安定的に製剤化する新たな技術の提供。【解決手段】次の成分(A)及び(B):(A)ピタバスタチン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物;(B)エゼチ... 詳細

この 技術と関連性が強い技術

関連性が強い 技術一覧

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ