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技術 立軸ポンプ

出願人 株式会社荏原製作所
発明者 渡邊裕輔石井正治杉山和彦
出願日 2018年9月21日 (1年5ヶ月経過) 出願番号 2018-177356
公開日 2019年2月14日 (1年1ヶ月経過) 公開番号 2019-023470
状態 未査定
技術分野 すべり軸受 非容積形ポンプの構造 軸受の取付、その他
主要キーワード 流体荷重 駆動機側 流体潤滑軸受 設置体 排水条件 直径隙間 半径方向流 雨水排水用
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (20)

課題

立軸ポンプにおいて、耐摩耗性犠牲にすることなく、ドライ運転時やスラリーを含む排水運転時等においても摩擦力液膜などによる不安定化力による振動を防止する。

解決手段

回転軸10(10´)の外周に、金属製のスリーブ11を有している。スリーブ11の外周側には、第1のすべり軸受1が設けられている。また、第1の軸受ケース12の外周面には、第2のすべり軸受9が設けられている。回転軸10(10´)には、スリーブケース15が固定されている。スリーブケース15の内周面にはスリーブ14が設けられている。

概要

背景

近年、都市化進展により、緑地の減少、並びに路面のコンクリート化及びアスファルト化の拡大が進むことでヒートアイランド現象が発生し、いわゆるゲリラ豪雨と呼ばれる局所的な集中豪雨都市部で頻発している。局所的な大量の降雨は、コンクリート化、アスファルト化した路面では、地中に吸収されることなくそのまま水路に導かれる。その結果、大量の雨水が、短時間のうちに排水機場に流入する。

頻発するこのような集中豪雨によってもたらされる大量の雨水の速やかな排水に備えるために、排水機場に設置される排水ポンプでは、始動遅れによる浸水被害が生じないよう、雨水が排水機場に到達する前に予め始動させておく先行待機運転が行われている。

図1は、先行待機運転を行う立軸ポンプ部分概略図である。排水機場の水槽100には、縦方向に配置された軸の先端にインペラ22を備え、インペラ22に水と共に空気を吸い込ませることにより、水槽100の水位最低運転水位LWL以下であっても運転(先行待機運転)を継続することが可能な立軸ポンプ3が配置されている。この立軸ポンプ3には、インペラ22入口側の吸い込みベル27の側面部に貫通孔5が設けられており、この貫通孔5には、外気に接する開口6aを備えた空気管6を取付けられている。これにより、この立軸ポンプ3では貫通孔5を介して立軸ポンプ3内に供給する空気の供給量を水位に応じて変化させ、最低運転水位LWL以下で立軸ポンプ3の排水量がコントロールされる。

図2は、先行待機運転の運転状態を説明する図である。例えば大都市雨水排水用として、吸込水位に関係なく降雨情報等に基づいて予め立軸ポンプを始動しておく(A:気中運転)。低水位の状態から水位が上昇するに従って、インペラの位置まで水位が達し、立軸ポンプは空運転(気中運転)からインペラで水を撹拌する運転(B:気水撹拌運転)、さらに貫通孔から供給される空気を水と共に吸い込ませつつ水量を徐々に増やす運転(C:気水混合運転)を経て100%水の排出を行う全量運転(D:定常運転)へ移行する。また、高水位から水位が低下するときは、全量運転から貫通孔から供給する空気を水と共に吸い込ませつつ水量を徐々に減らす運転(C:気水混合運転)へ移行する。水位がLLWL近くに至ると、水を吸い込まず排水もしない運転(E:エアロック運転)へ移行する。これら5つの特徴ある運転を総称して先行待機運転という。なお、ポンプ始動は、ケーシング下端よりも低い水位LLLWLから開始する。

図3は、図1に示した先行待機運転を行う立軸ポンプ3の全体を示す断面図である。なお、図2に示した貫通孔5及び空気管6は図示省略されている。図3に示すように、立軸ポンプ3は、ポンプ設置床設置固定される吐出エルボ30と、この吐出エルボ30の下端に接続されるケーシング29と、ケーシング29の下端に接続され、インペラ22を内部に格納する吐出ボウル28と、吐出ボウル28の下端に接続され、水を吸い込むための吸い込みベル27と、を備えている。

立軸ポンプ3のケーシング29、吐出ボウル28、及び吸い込みベル27の径方向略中心部には、軸継手26によって互いに接続された回転軸10、10´が配置されている。
回転軸10、10´は、支持部材を介してケーシング29に固定されている上部軸受32と、支持部材を介して吐出ボウル28に固定されている下部軸受33によって支持されている。回転軸10、10´の一端側(吸い込みベル27側)には、水をポンプ内に吸い込むためのインペラ22が接続されている。回転軸10、10´の他端側は、吐出エルボ30に設けられた孔から立軸ポンプ3の外部へ通じ、インペラ22を回転させる図示しないエンジンモータ等の駆動機へ接続される。

回転軸10、10´と吐出エルボ30に設けられた孔との間にはフローティングシールグランドパッキンまたはメカニカルシール等の軸シール34が設けられており、これにより立軸ポンプ3が扱う水が立軸ポンプ3の外部に流出することを防止する。

駆動機は、保守点検を容易に行うことができるように上に設けられる。駆動機の回転は回転軸10、10´に伝達され、インペラ22を回転させることができる。インペラ22の回転によって水は吸込みベル27から吸い込まれ、吐出ボウル28、ケーシング29を通過して吐出エルボ30から吐出される。

図4は、図3に示した軸受32、33に適用される従来の軸受装置の拡大図であり、図5はすべり軸受の斜視図である。図4に示すように、従来の軸受装置は、回転軸10(10´)の外周に、ステンレス鋼等からなる金属製のスリーブ11を有している。スリーブ11の外周側には、図5に示す、中空円筒樹脂材料セラミックス焼結金属又は表面改質された金属からなるすべり軸受1が設けられている。スリーブ11の外周面は、すべり軸受1の内周面すべり面)と非常に狭いクリアランスを介して対面し、すべり軸受1に対して摺動するように構成されている。すべり軸受1は、金属又は樹脂からなる軸受ケース12によりつば部12aを介してポンプのケーシング29(図3参照)等へ繋がる支持部材13に固定されている。

図3に示した立軸ポンプ3は、ポンプ起動時には大気中で運転される。すなわち、軸受32、33は液体による潤滑のないドライ条件で運転される。ここでドライ条件とは、ポンプ運転中の軸受32、33の雰囲気が、液体による潤滑がない大気中である条件をいい、ドライ運転とはその条件で運転することをいう。また、図3に示した軸受32、33は軸受に通水した排水条件でも運転される。ここで、排水条件とは、ポンプ運転中の軸受32、33の雰囲気が、土砂等の異物スラリー)が混入した水中である条件をいい、排水運転とはその条件で運転すること、例えば気水混合運転、全量運転等、エアロック運転等をいう。このような条件で軸受32、33が使用されるので、軸受32、33には次のような課題があった。

すべり軸受1には様々な材料が使用されるが、ドライ運転を行う立軸ポンプ3の場合には、ドライ摺動性及び排水運転時信頼性の観点から樹脂又はセラミックス製の軸受が用いられることが多い。この場合、すべり軸受1には、ドライ運転時の摩擦発熱に耐えることとともに、排水運転時の水中のスラリーによる摩耗に強いことが要求される。しかしながら、この二つの特性は相反することが多く、一般に耐摩耗性の高い軸受材料摩擦係数が高い傾向がある。このため排水運転時の耐摩耗性を優先して軸受材料を選定すると、ドライ条件での摩擦発熱が大きくなり、ドライ条件での摩擦発熱を抑えるために摩擦係数の低い軸受材料を選定すると、排水運転時のスラリーによる軸受材料の摩耗量が増加する。

また、すべり軸受1やすべり軸受1と軸受ケース12との間に配置する緩衝材に樹脂やゴム等の高分子材料を用いる場合は、材料ごとに決定される使用可能温度の上限があるので、摩擦による発熱限度は、これらの材料の性質により決定される。

以上で説明した特性を有するすべり軸受1において、すべり軸受1の維持管理性を向上
させるためにすべり軸受1の耐摩耗性を向上させると、軸受すべり面の摩擦係数が大きくなる。この軸受すべり面の摩擦が原因となって、以下で説明する振動が発生する可能性がある。

一般に、立軸ポンプ3のような回転機械を運転すると、回転体自体が有する重量の不釣合い流体荷重によって回転体強制的に生じる加振力によって回転機械が振動することがある。しかしながら、この他に回転機械の振動の原因として、回転体の振れ回りによる変位方向(回転体の径方向)と直交する方向(回転体の周方向)に発生する力がある。この力は不安定化力と呼ばれ、回転体の減衰作用打ち消す働きがある。結果、不安定化力によって回転体全体の減衰作用が負になると、発散的な振動(徐々に振れ回りが大きくなるような振動)を引き起こす場合がある。

ここで、立軸ポンプ3の起動時などの気中運転では水中運転と比べて軸受部潤滑流体がないので、軸受すべり面は摩擦係数が大きい。この摩擦力が上記不安定化力となるので、摩擦係数が高い軸受材料を用いた場合には不安定化力が大きくなり、回転軸10、10´に回転方向と逆向きに振れ回る発散的な振動を引き起こすこととなる。また、ドライ運転時にこのような発散的な振動が発生した場合、振動により軸受の面圧が増大し、軸受すべり面で発生する摩擦力が極めて大きくなる。そのため、急激な軸受温度上昇による熱膨張焼付きによって、軸受が機能不全に陥る可能性がある。

一方で立軸ポンプ3の排水運転時には、すべり軸受1のすべり面に液膜が形成される。この液膜によって不安定化力が発生し、これによって大きな振動が発生する場合がある。この現象は、油で潤滑されるすべり軸受においてオイルホイップ又はオイルホワールと呼ばれる現象と同様のメカニズムで発生する。この現象が発生すると、回転軸10、10´は激しく振動し、正常な運転が不可能となる。

これらの振動を防止するには、不安定化力の低減、又は減衰の付加による回転軸10、10´の安定性向上を図る必要がある。しかしながら、ドライ運転時における不安定化力の原因である摩擦係数を大きく下げることは上述したように困難であり、また立軸ポンプ3の構造上、回転軸10、10´に十分な減衰作用を与えることが難しい。

このように、先行待機運転を行う立軸ポンプ用のすべり軸受では、耐摩耗性、耐発熱性低摩擦性)、耐振動性といった性能が要求されるが、これらの要求を高いレベルで同時に満たすことはこれまで困難であった。また、耐摩耗性が高い軸受材料はドライ条件時の摩擦係数が高いため使用できないことが多く、結果として軸受寿命が大きく向上できないという問題点があった。

また、立軸ポンプ3は、回転軸10、10´の長さに応じてより多くの軸受が必要とされる。この場合、前述の振動の発生で、全ての軸受が影響を受けて摩耗が進行するので、短いメインテナンススパンで全ての軸受を交換しなければならなかった。

概要

立軸ポンプにおいて、耐摩耗性を犠牲にすることなく、ドライ運転時やスラリーを含む排水運転時等においても摩擦力や液膜などによる不安定化力による振動を防止する。回転軸10(10´)の外周に、金属製のスリーブ11を有している。スリーブ11の外周側には、第1のすべり軸受1が設けられている。また、第1の軸受ケース12の外周面には、第2のすべり軸受9が設けられている。回転軸10(10´)には、スリーブケース15が固定されている。スリーブケース15の内周面にはスリーブ14が設けられている。

目的

本発明は上記従来の問題に鑑みてなされたもので、その目的の一つは、耐摩耗性を犠牲にすることなく、ドライ運転時やスラリーを含む排水運転時等においても摩擦力や液膜などによる不安定化力による振動を低減することである

効果

実績

技術文献被引用数
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請求項1

外周面に第1の摺動部を有し且つ内周面に第2の摺動部を有し、水中及び大気中で回転可能な回転部材と、前記第1の摺動部を内周面で支持する第1のすべり軸受と、前記第2の摺動部を外周面で支持する第2のすべり軸受と、を有する、立軸ポンプ

請求項2

前記第1のすべり軸受は、ドライ条件及び排水条件において前記第1の摺動部を支持可能に構成され、前記第2のすべり軸受は、ドライ条件及び排水条件において前記第2の摺動部を支持可能に構成される、請求項1に記載された立軸ポンプ。

請求項3

前記第1の摺動部と前記第1のすべり軸受との直径隙間の寸法は、前記第1のすべり軸受の内径の1/1000以上1/100以下であり、前記第2の摺動部と前記第2のすべり軸受との直径隙間の寸法は、前記第2のすべり軸受の外径の1/1000以上1/100以下である、請求項1又は2に記載された立軸ポンプ。

請求項4

前記第1の摺動部と前記第1のすべり軸受との直径隙間の寸法に対する前記第2の摺動部と前記第2のすべり軸受との直径隙間の寸法の比率が0.5以上2.0以下である、請求項1ないし3のいずれか一項に記載された立軸ポンプ。

請求項5

前記第1の摺動部と前記第1のすべり軸受との直径隙間の寸法に対する前記第2の摺動部と前記第2のすべり軸受との直径隙間の寸法の比率が0.7以上1.3以下である、請求項4に記載された立軸ポンプ。

請求項6

前記第1のすべり軸受の内径に対する前記第2のすべり軸受の外径の比率が0.2以上2.0以下である、請求項1ないし5のいずれか一項に記載された立軸ポンプ。

請求項7

前記回転部材の水中に位置する部分の支持は前記すべり軸受のみで行われる、請求項1ないし6のいずれか一項に記載された立軸ポンプ。

請求項8

前記すべり軸受は、PA、PBI、POM、PBT、PET、PPE、PC、UHMW−PE、PTFE、PPS、PI、PEEK、PAR、PSF、PEI、PAI、PES、及びPFのうち少なくとも1つを含む樹脂材料セラミックス又は金属を含む、請求項1ないし7のいずれか一項に記載された立軸ポンプ。

請求項9

前記すべり軸受は、炭素繊維ガラス繊維炭素粒子ガラス粒子、及びグラファイトのうち少なくとも1つが添加された樹脂材料を含む、請求項8に記載された立軸ポンプ。

請求項10

前記第1の摺動部と前記第1のすべり軸受との隙間、及び前記第2の摺動部と前記第2のすべり軸受との隙間へ水を通過させる流路が形成されている、請求項1ないし9のいずれか一項に記載された立軸ポンプ。

請求項11

排水機場に設置可能に構成される、請求項1ないし10のいずれか一項に記載された立軸ポンプ。

請求項12

前記流路に水を通水する給水口ストレーナを備える、請求項10に記載された立軸ポンプ。

請求項13

前記すべり軸受を保持する軸受ケースを備え、前記軸受ケースはその内周面に前記第1のすべり軸受を保持し、その外周面に前記第2のすべり軸受を保持する、請求項1ないし12のいずれか一項に記載された立軸ポンプ。

請求項14

前記回転部材は回転軸であり、前記第2の摺動部は前記回転軸の端部に設けられる、請求項1ないし13のいずれか一項に記載された立軸ポンプ。

請求項15

前記第1のすべり軸受及び/又は前記第2のすべり軸受は、周方向に分割して構成される、請求項1ないし14のいずれか一項に記載された立軸ポンプ。

請求項16

複数の軸受装置を備える立軸ポンプであって、前記軸受装置の少なくとも一つが、請求項1ないし15のいずれか一項に記載された前記第1のすべり軸受及び前記第2のすべり軸受を有する、立軸ポンプ。

技術分野

0001

本発明は、すべり軸受を有する立軸ポンプに関し、特に、先行待機運転ポンプドライ条件管理運転を行うポンプなどの、大気運転と排水(通水)運転を行う立軸ポンプに関する。

背景技術

0002

近年、都市化進展により、緑地の減少、並びに路面のコンクリート化及びアスファルト化の拡大が進むことでヒートアイランド現象が発生し、いわゆるゲリラ豪雨と呼ばれる局所的な集中豪雨都市部で頻発している。局所的な大量の降雨は、コンクリート化、アスファルト化した路面では、地中に吸収されることなくそのまま水路に導かれる。その結果、大量の雨水が、短時間のうちに排水機場に流入する。

0003

頻発するこのような集中豪雨によってもたらされる大量の雨水の速やかな排水に備えるために、排水機場に設置される排水ポンプでは、始動遅れによる浸水被害が生じないよう、雨水が排水機場に到達する前に予め始動させておく先行待機運転が行われている。

0004

図1は、先行待機運転を行う立軸ポンプの部分概略図である。排水機場の水槽100には、縦方向に配置された軸の先端にインペラ22を備え、インペラ22に水と共に空気を吸い込ませることにより、水槽100の水位最低運転水位LWL以下であっても運転(先行待機運転)を継続することが可能な立軸ポンプ3が配置されている。この立軸ポンプ3には、インペラ22入口側の吸い込みベル27の側面部に貫通孔5が設けられており、この貫通孔5には、外気に接する開口6aを備えた空気管6を取付けられている。これにより、この立軸ポンプ3では貫通孔5を介して立軸ポンプ3内に供給する空気の供給量を水位に応じて変化させ、最低運転水位LWL以下で立軸ポンプ3の排水量がコントロールされる。

0005

図2は、先行待機運転の運転状態を説明する図である。例えば大都市雨水排水用として、吸込水位に関係なく降雨情報等に基づいて予め立軸ポンプを始動しておく(A:気中運転)。低水位の状態から水位が上昇するに従って、インペラの位置まで水位が達し、立軸ポンプは空運転(気中運転)からインペラで水を撹拌する運転(B:気水撹拌運転)、さらに貫通孔から供給される空気を水と共に吸い込ませつつ水量を徐々に増やす運転(C:気水混合運転)を経て100%水の排出を行う全量運転(D:定常運転)へ移行する。また、高水位から水位が低下するときは、全量運転から貫通孔から供給する空気を水と共に吸い込ませつつ水量を徐々に減らす運転(C:気水混合運転)へ移行する。水位がLLWL近くに至ると、水を吸い込まず排水もしない運転(E:エアロック運転)へ移行する。これら5つの特徴ある運転を総称して先行待機運転という。なお、ポンプ始動は、ケーシング下端よりも低い水位LLLWLから開始する。

0006

図3は、図1に示した先行待機運転を行う立軸ポンプ3の全体を示す断面図である。なお、図2に示した貫通孔5及び空気管6は図示省略されている。図3に示すように、立軸ポンプ3は、ポンプ設置床設置固定される吐出エルボ30と、この吐出エルボ30の下端に接続されるケーシング29と、ケーシング29の下端に接続され、インペラ22を内部に格納する吐出ボウル28と、吐出ボウル28の下端に接続され、水を吸い込むための吸い込みベル27と、を備えている。

0007

立軸ポンプ3のケーシング29、吐出ボウル28、及び吸い込みベル27の径方向略中心部には、軸継手26によって互いに接続された回転軸10、10´が配置されている。
回転軸10、10´は、支持部材を介してケーシング29に固定されている上部軸受32と、支持部材を介して吐出ボウル28に固定されている下部軸受33によって支持されている。回転軸10、10´の一端側(吸い込みベル27側)には、水をポンプ内に吸い込むためのインペラ22が接続されている。回転軸10、10´の他端側は、吐出エルボ30に設けられた孔から立軸ポンプ3の外部へ通じ、インペラ22を回転させる図示しないエンジンモータ等の駆動機へ接続される。

0008

回転軸10、10´と吐出エルボ30に設けられた孔との間にはフローティングシールグランドパッキンまたはメカニカルシール等の軸シール34が設けられており、これにより立軸ポンプ3が扱う水が立軸ポンプ3の外部に流出することを防止する。

0009

駆動機は、保守点検を容易に行うことができるように上に設けられる。駆動機の回転は回転軸10、10´に伝達され、インペラ22を回転させることができる。インペラ22の回転によって水は吸込みベル27から吸い込まれ、吐出ボウル28、ケーシング29を通過して吐出エルボ30から吐出される。

0010

図4は、図3に示した軸受32、33に適用される従来の軸受装置の拡大図であり、図5はすべり軸受の斜視図である。図4に示すように、従来の軸受装置は、回転軸10(10´)の外周に、ステンレス鋼等からなる金属製のスリーブ11を有している。スリーブ11の外周側には、図5に示す、中空円筒樹脂材料セラミックス焼結金属又は表面改質された金属からなるすべり軸受1が設けられている。スリーブ11の外周面は、すべり軸受1の内周面すべり面)と非常に狭いクリアランスを介して対面し、すべり軸受1に対して摺動するように構成されている。すべり軸受1は、金属又は樹脂からなる軸受ケース12によりつば部12aを介してポンプのケーシング29(図3参照)等へ繋がる支持部材13に固定されている。

0011

図3に示した立軸ポンプ3は、ポンプ起動時には大気中で運転される。すなわち、軸受32、33は液体による潤滑のないドライ条件で運転される。ここでドライ条件とは、ポンプ運転中の軸受32、33の雰囲気が、液体による潤滑がない大気中である条件をいい、ドライ運転とはその条件で運転することをいう。また、図3に示した軸受32、33は軸受に通水した排水条件でも運転される。ここで、排水条件とは、ポンプ運転中の軸受32、33の雰囲気が、土砂等の異物スラリー)が混入した水中である条件をいい、排水運転とはその条件で運転すること、例えば気水混合運転、全量運転等、エアロック運転等をいう。このような条件で軸受32、33が使用されるので、軸受32、33には次のような課題があった。

0012

すべり軸受1には様々な材料が使用されるが、ドライ運転を行う立軸ポンプ3の場合には、ドライ摺動性及び排水運転時信頼性の観点から樹脂又はセラミックス製の軸受が用いられることが多い。この場合、すべり軸受1には、ドライ運転時の摩擦発熱に耐えることとともに、排水運転時の水中のスラリーによる摩耗に強いことが要求される。しかしながら、この二つの特性は相反することが多く、一般に耐摩耗性の高い軸受材料摩擦係数が高い傾向がある。このため排水運転時の耐摩耗性を優先して軸受材料を選定すると、ドライ条件での摩擦発熱が大きくなり、ドライ条件での摩擦発熱を抑えるために摩擦係数の低い軸受材料を選定すると、排水運転時のスラリーによる軸受材料の摩耗量が増加する。

0013

また、すべり軸受1やすべり軸受1と軸受ケース12との間に配置する緩衝材に樹脂やゴム等の高分子材料を用いる場合は、材料ごとに決定される使用可能温度の上限があるので、摩擦による発熱限度は、これらの材料の性質により決定される。

0014

以上で説明した特性を有するすべり軸受1において、すべり軸受1の維持管理性を向上
させるためにすべり軸受1の耐摩耗性を向上させると、軸受すべり面の摩擦係数が大きくなる。この軸受すべり面の摩擦が原因となって、以下で説明する振動が発生する可能性がある。

0015

一般に、立軸ポンプ3のような回転機械を運転すると、回転体自体が有する重量の不釣合い流体荷重によって回転体強制的に生じる加振力によって回転機械が振動することがある。しかしながら、この他に回転機械の振動の原因として、回転体の振れ回りによる変位方向(回転体の径方向)と直交する方向(回転体の周方向)に発生する力がある。この力は不安定化力と呼ばれ、回転体の減衰作用打ち消す働きがある。結果、不安定化力によって回転体全体の減衰作用が負になると、発散的な振動(徐々に振れ回りが大きくなるような振動)を引き起こす場合がある。

0016

ここで、立軸ポンプ3の起動時などの気中運転では水中運転と比べて軸受部潤滑流体がないので、軸受すべり面は摩擦係数が大きい。この摩擦力が上記不安定化力となるので、摩擦係数が高い軸受材料を用いた場合には不安定化力が大きくなり、回転軸10、10´に回転方向と逆向きに振れ回る発散的な振動を引き起こすこととなる。また、ドライ運転時にこのような発散的な振動が発生した場合、振動により軸受の面圧が増大し、軸受すべり面で発生する摩擦力が極めて大きくなる。そのため、急激な軸受温度上昇による熱膨張焼付きによって、軸受が機能不全に陥る可能性がある。

0017

一方で立軸ポンプ3の排水運転時には、すべり軸受1のすべり面に液膜が形成される。この液膜によって不安定化力が発生し、これによって大きな振動が発生する場合がある。この現象は、油で潤滑されるすべり軸受においてオイルホイップ又はオイルホワールと呼ばれる現象と同様のメカニズムで発生する。この現象が発生すると、回転軸10、10´は激しく振動し、正常な運転が不可能となる。

0018

これらの振動を防止するには、不安定化力の低減、又は減衰の付加による回転軸10、10´の安定性向上を図る必要がある。しかしながら、ドライ運転時における不安定化力の原因である摩擦係数を大きく下げることは上述したように困難であり、また立軸ポンプ3の構造上、回転軸10、10´に十分な減衰作用を与えることが難しい。

0019

このように、先行待機運転を行う立軸ポンプ用のすべり軸受では、耐摩耗性、耐発熱性低摩擦性)、耐振動性といった性能が要求されるが、これらの要求を高いレベルで同時に満たすことはこれまで困難であった。また、耐摩耗性が高い軸受材料はドライ条件時の摩擦係数が高いため使用できないことが多く、結果として軸受寿命が大きく向上できないという問題点があった。

0020

また、立軸ポンプ3は、回転軸10、10´の長さに応じてより多くの軸受が必要とされる。この場合、前述の振動の発生で、全ての軸受が影響を受けて摩耗が進行するので、短いメインテナンススパンで全ての軸受を交換しなければならなかった。

発明が解決しようとする課題

0021

本発明は上記従来の問題に鑑みてなされたもので、その目的の一つは、耐摩耗性を犠牲にすることなく、ドライ運転時やスラリーを含む排水運転時等においても摩擦力や液膜などによる不安定化力による振動を低減することである。

0022

また、他の目的の一つは、軸受すべり面に加わる摩擦力を低減することである。

0023

また、さらに他の目的の一つは、立軸ポンプに設けた全てのすべり軸受の摩耗を全体的
に少なくし、寿命を全体的に延ばす効果的な手段を提供することである。

課題を解決するための手段

0024

上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る立軸ポンプは、外周面に第1の摺動部を有し且つ内周面に第2の摺動部を有し、水中及び大気中で回転可能な回転部材と、前記第1の摺動部を内周面で支持する第1のすべり軸受と、前記第2の摺動部を外周面で支持する第2のすべり軸受と、を有する。

0025

本発明の別の形態に係る立軸ポンプは、第1のすべり軸受が、ドライ条件及び排水条件において前記第1の摺動部を支持可能に構成され、前記第2のすべり軸受が、ドライ条件及び排水条件において前記第2の摺動部を支持可能に構成される。

0026

本発明の別の形態に係る立軸ポンプは、前記第1の摺動部と前記第1のすべり軸受との直径隙間の寸法が、前記第1のすべり軸受の内径の1/1000以上1/100以下であり、前記第2の摺動部と前記第2のすべり軸受との直径隙間の寸法が、前記第2のすべり軸受の外径の1/1000以上1/100以下である。

0027

なお、前記第1の摺動部と前記第1のすべり軸受との直径隙間の寸法とは、第1のすべり軸受の内径と第1の摺動部の外径との差をいい、前記第2の摺動部と前記第2のすべり軸受との直径隙間の寸法とは、第2の摺動部の内径と第2のすべり軸受の外径との差をいう。

0028

本発明の別の形態に係る立軸ポンプは、前記第1の摺動部と前記第1のすべり軸受との直径隙間の寸法に対する前記第2の摺動部と前記第2のすべり軸受との直径隙間の寸法の比率が0.5以上2.0以下である。

0029

本発明の別の形態に係る立軸ポンプは、前記第1の摺動部と前記第1のすべり軸受との直径隙間の寸法に対する前記第2の摺動部と前記第2のすべり軸受との直径隙間の寸法の比率が0.7以上1.3以下である。

0030

本発明の別の形態に係る立軸ポンプは、前記第1のすべり軸受の内径に対する前記第2のすべり軸受の外径の比率が0.2以上2.0以下である。

0031

本発明の別の形態に係る立軸ポンプは、前記回転部材の水中に位置する部分の支持が前記すべり軸受のみで行われる。

0032

本発明の別の形態に係る立軸ポンプは、前記すべり軸受は、PA、PBI、POM、PBT、PET、PPE、PC、UHMW−PE、PTFE、PPS、PI、PEEK、PAR、PSF、PEI、PAI、PES、及びPFのうち少なくとも1つを含む樹脂材料、セラミックス又は金属を含む。

0033

本発明の別の形態に係る立軸ポンプは、前記すべり軸受は、炭素繊維ガラス繊維炭素粒子ガラス粒子、及びグラファイトのうち少なくとも1つが添加された樹脂材料を含む。

0034

本発明の別の形態に係る立軸ポンプは、前記第1の摺動部と前記第1のすべり軸受との隙間、及び前記第2の摺動部と前記第2のすべり軸受との隙間へ水を通過させる流路が形成されている。

0035

本発明の別の形態に係る立軸ポンプは、排水機場に設置可能に構成される。

0036

本発明の別の形態に係る立軸ポンプは、前記流路に水を通水する給水口ストレーナを備える。

0037

本発明の別の形態に係る立軸ポンプは、前記すべり軸受を保持する軸受ケースを備え、前記軸受ケースはその内周面に前記第1のすべり軸受を保持し、その外周面に前記第2のすべり軸受を保持する。

0038

本発明の別の形態に係る立軸ポンプは、前記回転部材は回転軸であり、前記第2の摺動部は前記回転軸の端部に設けられる。

0039

本発明の別の形態に係る立軸ポンプは、前記第1のすべり軸受及び/又は前記第2のすべり軸受は、周方向に分割して構成される。

0040

本発明の別の形態に係る立軸ポンプは、複数の軸受装置を備える立軸ポンプであって、前記軸受装置の少なくとも一つが、前記第1のすべり軸受及び前記第2のすべり軸受を有する。

発明の効果

0041

本発明によれば、耐摩耗性を犠牲にすることなく、ドライ運転時やスラリーを含む排水運転時等においても摩擦力や液膜などによる不安定化力による振動を低減することができる。また、本発明によれば、軸受すべり面に加わる摩擦力を低減することができ、その結果、すべり軸受の発熱量を低減できるので、より摩擦係数の高い軸受材料、即ち耐摩耗性の高い軸受材料を使用することができる。

0042

さらに、複数のすべり軸受を備えた立軸ポンプに、前記すべり軸受の少なくとも一組が、第1のすべり軸受と前記第2のすべり軸受の組み合わせとなる構成を備えることにより、立軸ポンプに備えたすべり軸受の摩耗を全体的に少なくし、寿命を全体的に延ばす効果的な手段を提供することができる。

図面の簡単な説明

0043

先行待機運転行う立軸ポンプの部分概略図である。
先行待機運転の運転状態を説明する図である。
先行待機運転を行う立軸ポンプの全体を示す断面図である。
従来の軸受装置の拡大図である。
すべり軸受の斜視図である。
本実施形態に係る立軸ポンプに適用される軸受装置の縦断面図である。
図6に示すXX´断面における断面図である。
ドライ運転時における軸受装置の動作を示す図である。
排水運転時における軸受装置の動作を示す図である。
本実施形態に係る立軸ポンプがドライ運転したときの振動速度を示す図である。
本実施形態に係る立軸ポンプがドライ運転したときの軸受温度を示す図である。
本実施形態に係る立軸ポンプが排水運転したときの振動速度を示す図である。
他の実施形態に係る立軸ポンプに適用される軸受装置の縦断面図である。
他の実施形態に係る立軸ポンプに適用される軸受装置の縦断面図である。
他の実施形態に係る立軸ポンプに適用される軸受装置の縦断面図である。
他の実施形態に係る立軸ポンプに適用される軸受装置の縦断面図である。
他の実施形態に係る立軸ポンプに適用される軸受装置の縦断面図である。
図17に示すXX´断面における断面図である。
他の実施形態に係る立軸ポンプに適用される軸受装置の縦断面図である。
他の実施形態に係る立軸ポンプに適用される軸受装置の横断面図である。
他の実施形態に係る立軸ポンプに適用される軸受装置の横断面図である。
他の実施形態に係る立軸ポンプの概略断面図である。
ボトム軸受として用いられる軸受装置の横断面図である。
ボトム軸受として用いられる他の軸受装置の横断面図である。

実施例

0044

以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図6から図24において、同一または相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。

0045

図6は、本実施形態に係る立軸ポンプに適用される軸受装置の縦断面図である。なお、本実施形態に係る立軸ポンプは、図3に示した先行待機運転を行う立軸ポンプ3の軸受32、33に代えて、図6に示す軸受装置を適用したものであり、軸受32、33を除いて図3に示した立軸ポンプ3と同一の構成であるので、本実施形態に係る立軸ポンプ3全体の説明は省略する。

0046

本軸受装置は、回転軸10(10´)の外周に、超硬合金やステンレス鋼等からなる金属製のスリーブ11を有している。スリーブ11の外周側には、図5に示した中空円筒の樹脂材料、セラミックス、焼結金属又は表面改質された金属からなる第1のすべり軸受1が設けられている。スリーブ11の外周面(第1の摺動部17)は、第1のすべり軸受1の内周面(すべり面)と非常に狭い第1のクリアランス7を介して対面し、第1のすべり軸受1のすべり面に対して摺動するように構成されている。第1のすべり軸受1の外周部は、金属又は樹脂からなる軸受ケース12の内周面に固定されており、軸受ケース12は、つば部12aを介して立軸ポンプ3のケーシング29(図3参照)等へ繋がる支持部材13にボルト等の固定手段21bにより固定されている。

0047

また、第1の軸受ケース12の外周面には、中空円筒の樹脂材料、セラミックス、焼結金属又は表面改質された金属からなる第2のすべり軸受9が設けられている。回転軸10(10´)には、固定ピン又はボルト等の固定手段21aによってスリーブケース15が固定されている。スリーブケース15は、回転軸10(10´)が回転することで回転軸10(10´)と同様に回転するように構成されている。スリーブケース15の内周面にはスリーブ14が設けられる。スリーブ14の内周面(第2の摺動部18)は第2のすべり軸受9の外周面(すべり面)と非常に狭い第2のクリアランス8を介して対面し、第2のすべり軸受9のすべり面に対して摺動するように構成されている。

0048

スリーブケース15には、スラリー等を含む水を第1のクリアランス7及び第2のクリアランス8に通水する給水口19が設けられている。給水口19に流入した水は、流路としての第1のクリアランス7及び第2のクリアランス8を通過する。このように、第1のクリアランス7及び第2のクリアランス8へ水を通過させる流路が形成され、第1のクリアランス7及び第2のクリアランス8も流路として機能するので、排水運転時に空気が滞留することなく速やかに第1のクリアランス7及び第2のクリアランス8に水が流れ、第1のすべり軸受1及び第2のすべり軸受9の機能を速やかに発揮することができる。

0049

第1のすべり軸受1及び第2のすべり軸受9は、立軸ポンプ3の始動時はドライ条件下でスリーブ11及びスリーブ14を支持し、排水条件においては極めて薄い液膜を介してスリーブ11及びスリーブ14を支持する。

0050

回転軸10(10´)の定常的な振れ回りを抑制し、また振れ回りによって第1のすべり軸受1及び第2のすべり軸受9に加わる荷重を抑制するために、第1のクリアランス7の直径隙間寸法(第1のすべり軸受1の内径−スリーブ11の外径)及び第2のクリアランス8の直径隙間寸法(スリーブ14の内径−第2のすべり軸受9の外径)は、それぞれ第1のすべり軸受1の内径の1/1000以上1/100以下、第2のすべり軸受9の外径の1/1000以上1/100以下であることが好ましい。第1のクリアランス7及び第2のクリアランス8の寸法がこれらの範囲より大きい場合は、回転軸10(10´)の定常的な振れ回りが大きくなり、この振れ回りによって第1のすべり軸受1及び第2のすべり軸受9に加わる荷重も大きくなり、安定的な運転が困難になる場合がある。また、第1のクリアランス7及び第2のクリアランス8の寸法がこれらの範囲より小さい場合は、第1のクリアランス7及び第2のクリアランス8が異物により閉塞したり、第1のすべり軸受1及び第2のすべり軸受9が異物との摩擦により焼きついたりすることがある。

0051

第1のクリアランス7の直径隙間寸法と第2のクリアランス8の直径隙間寸法は同一であることが好ましいが、第1のすべり軸受1、第2のすべり軸受9、スリーブ14、又はスリーブ11が樹脂で形成されている等、これらの部材が弾性を有していれば、その寸法に差があっても本発明の機能を発揮する。この場合は、第1のクリアランス7の直径隙間寸法に対する第2のクリアランス8の直径隙間寸法の比率は、好ましくは0.5以上2.0以下であり、より好ましくは0.7以上1.3以下である。ただし、後述するように、第1のすべり軸受1、第2のすべり軸受9、スリーブ14、又はスリーブ11が、さらにゴムなどの緩衝材を介して固定される場合は(図13参照)、緩衝材の変形によって上記寸法の範囲でなくとも第1のすべり軸受1と第2のすべり軸受9が同時に夫々スリーブ11及びスリーブ14と接触可能であり、本発明の機能を発揮する。

0052

図7は、図6に示すXX´断面における断面図である。図示のように、スリーブ11の外周面、第1のすべり軸受1の内周面、第2のすべり軸受9の外周面、及びスリーブ14の内周面のそれぞれの中心が中心軸Oと略一致するように構成されている。なお、図7においては、第1のクリアランス7及び第2のクリアランス9の寸法は、便宜上拡大されて示されている。

0053

図8は、ドライ運転時における軸受装置の動作を示す図である。回転軸10(10´)が回転すると、回転軸10(10´)に固定されたスリーブ11、及びスリーブケース15に固定されたスリーブ14も回転する。ドライ条件においては、スリーブ11の外周面が第1のすべり軸受1に点Aにて接触したときに、回転軸10(10´)には軸受反力FANが発生する。この軸受反力FANによって、回転軸10(10´)の回転方向とは逆方向に摩擦力FAFが発生し、この摩擦力FAFが回転軸10(10´)に回転方向とは逆方向の振れ回り振動を引き起こす不安定化力となる。

0054

一方で、スリーブ14が第2のすべり軸受9に点Bにて接触することで、軸受反力FBNが発生し、この軸受反力FBNによって、摩擦力FAFと逆方向の力である摩擦力FBFが発生する。回転軸10(10´)の系にとって、摩擦力FAFと摩擦力FBFは相殺されるので、回転軸10(10´)は安定して回転することができる。また、回転軸10(10´)に係る荷重(軸受反力)が点Aと点Bに分散されることで、すべり軸受に加わる摩擦力も分散される。その結果摩擦による発熱が低減され、ドライ運転時における軸受の温度上昇が抑制される。

0055

図9は、排水運転時における軸受装置の動作を示す図である。第1のクリアランス7及び第2のクリアランス8は水で満たされており、この水は夫々液膜41、液膜42を構成し、これにより本軸受装置は流体潤滑軸受装置として機能する。このとき液膜41には、回転軸10(10´)の回転による周方向の圧力不均一が生じ、その結果回転軸10(1
0´)に半径方向流体力FARと周方向流体力FATが発生する。この周方向流体力FATは排水運転時に振動を発生させる不安定化力となる。なお、この周方向流体力FATは上記ドライ運転で発生する摩擦力FAFとは逆方向の力である。

0056

従来は、立型の回転軸においてこの液膜による不安定振動を防止するために、軸受の内面形状を真円形状ではなく多円弧形状に形成することが行われていた。しかしながら、スラリーを多く含有する水中において、樹脂からなる軸受を用いた場合、摩耗によって軸受の内面形状が真円形状に近づき、振動抑制効果を失うことがあった。

0057

ここで、本軸受装置によれば、第2のクリアランス8における液膜42において、スリーブ14の回転による周方向の圧力不均一が生じ、その結果回転軸10(10´)に半径方向流体力FBRと周方向流体力FBTが発生する。このとき、周方向流体力FATと周方向流体力FBTとは互いに逆方向であるので、液膜41、液膜42による不安定化力は相殺され、回転軸10(10´)は不安定化力による振動を発生することなく安定して回転することができる。

0058

図10は、図6に示した軸受装置を備えた本実施形態に係る立軸ポンプ3がドライ運転したときの振動速度を示す図である。立軸ポンプ3との比較のため、図4に示した従来構造の軸受装置を備えた立軸ポンプ(従来構造)がドライ運転したときの振動速度が示されている。なお、従来構造の軸受装置及び図6に示した軸受装置は、共にすべり軸受として耐摩耗性が高く摩擦係数が大きい同一の材料を使用している。図示のように、本軸受装置を備えた立軸ポンプ3(本実施形態)では、始動開始から停止まで一定して従来構造と比較して低い振動速度で運転されていることがわかる。

0059

図11は、図6に示した軸受装置を備えた本実施形態に係る立軸ポンプ3がドライ運転したときの軸受温度を示す図である。立軸ポンプ3との比較のため、図4に示した従来構造の軸受装置を備えた立軸ポンプ(従来構造)がドライ運転したときの軸受温度が示されている。なお、従来構造の軸受装置及び図6に示した軸受装置は、共にすべり軸受として耐摩耗性が高く摩擦係数が大きい同一の材料を使用している。図示のように、本軸受装置を備えた立軸ポンプ3(本実施形態)では、始動開始から停止まで一定して従来構造と比較して低い軸受温度が保たれていることがわかる。

0060

図10及び図11に示したように、従来構造の軸受装置を備えた立軸ポンプでは、回転軸に加わる摩擦力が大きいため、大きな振動が発生し、その結果軸受の温度上昇が大きくなっている。一方、本軸受装置を備えた立軸ポンプ3では、図8において説明したように、振動を低減すると共に摩擦力を低減することができ、軸受温度の上昇を抑制することができる。

0061

図12は、図6に示した軸受装置を備えた本実施形態に係る立軸ポンプ3が排水運転したときの振動速度を示す図である。立軸ポンプ3との比較のため、図4に示した従来構造の軸受装置を備えた立軸ポンプ(従来構造)が排水運転したときの振動速度が示されている。なお、図12に示す結果は、立軸ポンプの運転条件として振動が発生しやすい条件で運転して、そのときの振動を計測したものである。図示のように、本軸受装置を備えた立軸ポンプ3(本実施形態)では、始動開始から停止まで一定して従来構造と比較して低い振動速度で運転されていることがわかる。

0062

以上で説明したように、本実施形態に係る立軸ポンプ3によれば、ドライ運転時において回転軸10(10´)の軸の振れ回りにより、第1のすべり軸受1及び第2のすべり軸受9に回転体(スリーブ11及びスリーブ14)が衝突しても、その衝突時に摩擦力の向きが互いに逆向きに作用して相殺するので、回転軸10(10´)の振れ回りの発散を抑
制し、不安定化による振動を防止することができる。加えて、この振動に起因する摩擦を低減して、軸受温度の上昇を抑制することができる。

0063

本実施形態に係る立軸ポンプ3は第1のすべり軸受1と第2のすべり軸受9を有するので、ドライ運転時における軸受すべり面の摩擦力を分散して、軸受すべり面の摩擦による発熱を抑制することができる。これにより、従来構造よりも摩擦係数の高い軸受材料、即ち耐摩耗性の高い軸受材料を使用することができ、長期間にわたって安定した運転をすることができる。

0064

また、本実施形態に係る立軸ポンプ3では、軸受ケース12の内周面に第1のすべり軸受1を保持し、その外周面に第2のすべり軸受9を保持するので、立軸ポンプ3の軸方向にコンパクトな構造とすることができる。

0065

なお、立軸ポンプ3では、回転軸10(10´)の水中に位置する部分(スリーブ11及びスリーブ14)の支持は第1のすべり軸受1及び第2のすべり軸受9等のすべり軸受のみで行われる。即ち、立軸ポンプ3のような排水運転を行う回転機械には、玉軸受コロ軸受のような転がり軸受は適しておらず、すべり軸受によって本実施形態の効果を奏することができる。

0066

次に、他の実施形態に係る立軸ポンプを説明する。図13は、他の実施形態に係る立軸ポンプに適用される軸受装置の縦断面図である。図示のように、この軸受装置では、第1のすべり軸受1の背面側(外周側)及びスリーブ14の背面側(外周側)にゴムなどの緩衝材20a及び緩衝材20bが配置されている。

0067

これら緩衝材20a及び緩衝材20bを設けることで、第1のすべり軸受1及びスリーブ14に窒化珪素炭化珪素等の衝撃に弱い材料を用いても、運転時の衝撃による破損を防止することができる。また、上述したように、第1のクリアランス7と第2のクリアランス8の寸法が上述の範囲でなくとも、緩衝材20a及び/又は緩衝材20bが変形することで、第1のすべり軸受1と第2のすべり軸受9が同時に夫々スリーブ11及びスリーブ14と接触でき、上述した不安定化力の相殺効果を十分に得ることができる。

0068

なお、緩衝材20a及び緩衝材20bは第1のすべり軸受1の背面側及びスリーブ14の背面側に配置されているが、配置場所はこれに限られない。例えば、スリーブ11の背面側(内周側)及び第2のすべり軸受9の背面側(内周側)、スリーブ11の背面側及びスリーブ14の背面側、又は第1のすべり軸受1の背面側及び第2のすべり軸受9の背面側に、緩衝材20a及び緩衝材20bを設けることができる。

0069

図14は、他の実施形態に係る立軸ポンプに適用される軸受装置の縦断面図である。図示のように、この軸受装置では、樹脂材料からなる第1のすべり軸受1の背面側(外周側)に金属製のバックメタル31aが配置され、このバックメタル31aの背面側(外周側)に緩衝材20aが配置されている。同様に、スリーブ14の背面側(外周側)に金属製のバックメタル31bが配置され、このバックメタル31bの背面側(外周側)に緩衝材20bが配置されている。このような複雑な構造であっても、図6に示した軸受装置と同様の効果を奏することができる。

0070

なお、バックメタル31a及びバックメタル31bは第1のすべり軸受1の背面側及びスリーブ14の背面側に配置されているが、配置場所はこれに限られない。例えば、スリーブ11の背面側及び第2のすべり軸受9の背面側、スリーブ11の背面側及びスリーブ14の背面側、又は第1のすべり軸受1の背面側及び第2のすべり軸受9の背面側に、バックメタル31a及びバックメタル31bを緩衝材20a及び緩衝材20bとともに設け
ることができる。

0071

図15は、他の実施形態に係る立軸ポンプに適用される軸受装置の縦断面図である。本軸受装置では、第2のすべり軸受9の材料として超硬合金やステンレス等の金属材料が使用され、スリーブ14の材料として樹脂材料が使用されている。このように、すべり軸受とスリーブの材料が逆であっても、図6に示した軸受装置と同様の効果を奏することができる。

0072

図16は、他の実施形態に係る立軸ポンプに適用される軸受装置の縦断面図である。本軸受装置では、構成部品が回転軸10(10´)の軸方向で逆向きになるように配置されている。このような構造でも、図6に示した軸受装置と同様の効果を奏することができる。

0073

図17は、他の実施形態に係る立軸ポンプに適用される軸受装置の縦断面図であり、図18は、図17に示すXX´断面における断面図である。立軸ポンプ3は、排水機場に設置された状態で、点検消耗部品の交換等、メンテナンスを容易に行うことが要求される。また、組み立てのとき、立軸ポンプ3の形状によっては回転軸10(10´)を第1のすべり軸受1の内側を通過させてからスリーブケース15及びスリーブ14を回転軸10(10´)に固定する必要がある。

0074

そこで、本軸受装置では、図18に示すようにスリーブケース15及びスリーブ14が2つに分割されて形成されており、分割されたスリーブケース15を固定ボルト24で互いに結合することで、回転軸10(10´)に固定可能に構成されている。このようにスリーブケース15及びスリーブ14を構成することで、立軸ポンプ3の設置場所においても容易に組み立て・分解を行うことができる。

0075

図19は、他の実施形態に係る立軸ポンプに適用される軸受装置の縦断面図である。本軸受装置は、第1のクリアランス7の寸法及び第2のクリアランス8の寸法より小さい開口(メッシュ幅)を有するストレーナ23が給水口19に設けられている。これにより、排水中に土砂等のスラリーが混入していても、第1のクリアランス7の寸法及び第2のクリアランス8の寸法より大きいスラリーが第1のクリアランス7及び第2のクリアランス8に侵入することを防止することができる。その結果、第1のクリアランス7及び第2のクリアランス8を通過する水に含まれるスラリーの径が十分小さくなり、第1のすべり軸受1のすべり面及び第2のすべり軸受9のすべり面の摩耗を低減することができる。即ち、第1のクリアランス7の寸法及び第2のクリアランス8の寸法を維持することができ、図8及び図9において説明した不安定化力の相殺を継続的に行うことができる。

0076

なお、ストレーナ23の開口径は、第1のクリアランス7及び第2のクリアランス8の寸法の半分以下であることが好ましい。また、給水口19は、回転軸10(10´)の中心軸を中心とした円周に沿って等間隔でスリーブケース15に設けられることが好ましい。

0077

図20は、他の実施形態に係る立軸ポンプに適用される軸受装置の横断面図である。この軸受装置では、第1のすべり軸受1の内周面(すべり面)及び第2のすべり軸受9の外周面(すべり面)に、溝35aが軸方向に沿って複数形成されている。スリーブ11と第1のすべり軸受1の内周面(すべり面)との曲率の差、及びスリーブ14の摺動面と第2のすべり軸受9の外周面(すべり面)との曲率の差が極めて小さいので、このように溝35aが形成されていても、第1のすべり軸受1とスリーブ11との接触状態及び第2のすべり軸受9とスリーブ14との接触状態に生じる影響は小さく、図6に示した軸受装置と同様の効果を奏することができる。また、このように溝35aを形成することで、第1の
クリアランス7及び第2のクリアランス8を通過する水の流量を増加させることができる。

0078

なお、溝35aは、第1のすべり軸受1及び第2のすべり軸受9のいずれか一方のみに形成されていてもよい。また、溝35aはスリーブ側に設けられていてもよい。溝35aは、回転軸10(10´)の軸方向だけでなく、周方向、軸方向に対して斜め方向、或いは1条又は複数条ネジ状に形成されてもよい。

0079

図21は、他の実施形態に係る立軸ポンプに適用される軸受装置の横断面図である。この軸受装置では、第1のすべり軸受1及び第2のすべり軸受9が周方向に複数に分割され、スリーブケース15の内周面に隙間35bを介して配置されている。このような軸受装置であっても、図6に示した軸受装置と同様の効果を奏することができる。

0080

なお、第1のすべり軸受1及び第2のすべり軸受9のいずれか一方のみが分割されて形成されてもよい。また、隙間35bはスリーブ側に設けられていてもよい、即ち、スリーブ11及び/又はスリーブ14が分割されてもよい。

0081

以上で説明した各実施形態に係る立軸ポンプの軸受装置では、第2のすべり軸受9の回転軸10(10´)上の配置は限定されず、回転軸10(10´)上の接液部、即ち立軸ポンプ内であればどこに設けても本発明の効果を奏する。また、立軸ポンプ内でなくとも揚水時に接液する構造、例えば立軸ポンプ外部(駆動機側)に第2のすべり軸受9を配置し、立軸ポンプ内と配管を連結して、排水運転時に立軸ポンプが排出する水により潤滑される構造であれば、同様に本発明の効果を奏する。

0082

なお、以上で説明した各実施形態に係る立軸ポンプにおいては、図3に示した先行待機運転を行う立軸ポンプ3の軸受32及び軸受33に代えて、図6、13、14、15、16、17、19に示した軸受装置を夫々適用するものとして説明したが、これに限らず軸受32及び軸受33のいずれか一つに代えて、これらの軸受装置を適用してもよい。この場合、立軸ポンプ3がこれらの軸受装置を少なくとも一つ備えることにより、回転軸10(10´)の振れ回りを著しく低減することができる。その結果、全ての軸受に加わる振動が低減して軸受の摩耗が少なくなり、全ての軸受の寿命を全体的に延ばすことができ、メインテナンス・スパンを長くとることができる。

0083

また、立軸ポンプは回転軸10(10´)の長さに応じて軸受装置の配備数が増し、軸受装置が3つ以上となる場合がある。このような場合でも、この軸受装置として、図6、13、14、15、16、17、19に示した軸受装置を少なくとも一つ、すなわち、回転軸10(10´)とともに回転可能な部材の内周面と摺接可能な第1のすべり軸受1、及び回転軸10(10´)とともに回転可能な部材の外周面と摺接可能な第2のすべり軸受9を少なくとも一組備えることにより、回転軸10(10´)の振れ回りを著しく低減することができる。その結果、全ての軸受に加わる振動が低減して軸受の摩耗が少なくなり、全ての軸受の寿命を全体的に延ばすことができ、メインテナンス・スパンを長くとることができる。

0084

図22は、他の実施形態に係る立軸ポンプの概略断面図である。図示のように立軸ポンプ3では、回転軸10´がインペラ22を貫通し、その先端部に支持部材13に支持されたボトム軸受37が設けられている。ボトム軸受37の回転軸10´とは反対側には水流を調整するための軸受カバー38が設けられている。

0085

図23は、図22に示した立軸ポンプ3のボトム軸受37として用いられる軸受装置の横断面図である。図示のように、本軸受装置は、回転軸10´の外周にスリーブ11が設
けられ、回転軸10´の端部が凹状に形成されている。この凹状の端部の内周には、緩衝材20bを介してスリーブ14が設けられている。スリーブ11と第1のクリアランス7を介して相対する第1のすべり軸受1は、その背面側(外周側)に緩衝材20aが配置され、軸受ケース12に固定されている。スリーブ14の内周側には、第2のクリアランス8を介して相対する第2のすべり軸受9が配置されており、スリーブ14の内周面と第2のすべり軸受9の外周面とが摺接するように構成されている。第2のすべり軸受9は、軸受ケース16によって固定されており、軸受ケース16は、ボルト21cによって支持部材13に固定されている。軸受ケース16には給水口19が設けられており、給水口19から通水された水が第1のクリアランス7及び第2のクリアランス8を通過することで、本軸受装置は流体潤滑軸受装置として機能する。

0086

本軸受装置によれば、図6に示した軸受装置と同様の効果を奏することができる。これに加えて、回転軸10´の端部にスリーブ14を設けることで、スリーブ14の内周面(第2の摺動面)の直径を小さくすることができる。これにより、スリーブ14の内周面の周速度を低減させることができ、第2のすべり軸受9の摩擦による発熱を抑制することができる。また、第2のすべり軸受9が回転軸10´の端部付近に配置されているので、第2のすべり軸受9の取り付け・交換を容易に行うことができ、既存の立軸ポンプに本軸受装置を容易に適用することができる。なお、図示していないが、軸受ケース16の下側(水の流入側)には、水流を阻害しないように略半球状の軸受カバー38(図22参照)を設けることが好ましい。この場合、水に混入しているスラリーの第1のクリアランス7及び第2のクリアランス8への混入を低減するために、軸受カバー38には水流方向と直角方向に給水口を設け、この給水口を軸受ケース16の給水口19と接続するように構成することがより好ましい。

0087

図24は、図22に示した立軸ポンプ3のボトム軸受37として用いられる他の軸受装置の横断面図である。本軸受装置では、回転軸10´の端部が凹状に形成されており、この凹状の端部の内周に緩衝材20bを介してスリーブ14が設けられている。スリーブ14は、押さえ板36により下方向から押さえられ、回転軸10´に固定されている。また、このスリーブ14は、スリーブ11に対して軸方向略同一位置に配置されている。これにより、本軸受装置の設置体積を小さくすることができる。

0088

以上で説明した各実施形態に係る立軸ポンプに適用される軸受装置においては、第1のすべり軸受1の内径に対する第2のすべり軸受9の外径の比率が0.2以上2.0以下であることが好ましい。第2のすべり軸受9の外周面(すべり面)の径の比率がこの範囲を上回ると、スリーブ14の周速度が大きくなり、ドライ運転時の摩擦による発熱が大きくなるので好ましくない。なお、内径の異なる複数の第1のすべり軸受1が用いられる場合は、その最小径の0.2倍以上であって最大径の2.0倍以下となる外径を有する第2のすべり軸受9を用いることが好ましい。

0089

また、以上で説明した各実施形態に係る立軸ポンプに適用される軸受装置においては、第1のすべり軸受1及び第2のすべり軸受9に用いる材料は、ドライ運転及び排水運転において長期間軸受として機能するために、ドライ運転時の低い摩擦係数、及びスラリーを含んだ水中での高い耐摩耗性が要求される。このため、第1のすべり軸受1及び第2のすべり軸受9は、PA(ポリアミド)、PBI(ポリベンゾイミダゾール)、POM(ポリアセタール)、PBT(ポリブチレンテレフタラート)、PET(ポリエチレンテレフタラート)、PPE(ポリフェニレンエーテル)、PC(ポリカーボネート)、UHMW−PE(超高分子ポリエチレン)、PTFE(ポリ四フッ化エチレン)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PI(ポリイミド)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PAR(ポリアリレート)、PSF(ポリサルフォン)、PEI(ポリエーテルイミド)、PAI(ポリアミドイミド)、PES(ポリエーテルスルホン)、及びPF(フェノ
ル樹脂)のうち少なくとも1つを含む樹脂材料を含む、耐摩耗性の高い材料で形成されることが好ましい。

0090

さらに、第1のすべり軸受1及び第2のすべり軸受9は、上記樹脂材料に炭素繊維、ガラス繊維、炭素粒子、ガラス粒子、又はグラファイト等を添加した材料を含む、強化改質された材料で形成されることがより好ましい。また、第1のすべり軸受1及び第2のすべり軸受9は、高い耐摩耗性を備える必要がある観点から、窒化珪素や炭化珪素等のセラミックス又は金属を含む材料で形成されてもよい。

0091

これらの材料の比摩耗量摩擦体積/軸受荷重走行距離で定義される耐摩耗性の指標)は少なくとも1×10−6mm2/N以下であり、材料によっては1×10−7mm2/N以下である。このため、従来構造では低摩擦性と耐摩耗性を両立する材料を選択する必要があったが、上記の材料では低摩擦性有するので耐摩耗性のみを考慮すればよい。

0092

スリーブ11及びスリーブ14は、超硬合金及びステンレス等の金属材料、セラミックス、又は上記の樹脂材料を含む材料で形成することができ、耐摩耗性が高い材料が好ましい。第1のすべり軸受1と第2のすべり軸受9の材料は互いに異なる材料であってもよい。スリーブ11とスリーブ14の材料は互いに異なる材料であってもよい。本発明は、どのような摩擦係数を有する材料を第1のすべり軸受1、第2のすべり軸受9、スリーブ11及びスリーブ14に用いたとしても、不安定化力を低減することができる。

0093

本発明は、上述した実施形態に係る立軸ポンプに限らず、すべり軸受を有する立軸ポンプ、特に先行待機運転における気中運転、気水撹拌運転、気水混合運転、定常運転、エアロック運転のような、運転状態毎に軸受に加わる負荷が変化し、不安定化力が変化する立軸ポンプに好適に使用することができる。

0094

また、上記各実施形態に係る立軸ポンプは、排水機場に設置可能に構成されている。合流式等の下水道用雨水を排水する排水機場はスラリーを含む水を排出するので、上記各実施形態に係る立軸ポンプは排水機場に好適である。特に、大深度雨水排水設備であって、沈砂池をポンプの吐出側に設ける後沈砂方式を採用している排水機場においては、ポンプの流入前に沈砂池を設ける前沈砂方式の排水機場に比べてスラリー量が多いため、上記各実施形態に係る立軸ポンプはより好適に使用することができる。

0095

上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用し得る。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。

0096

1 第1のすべり軸受、3立軸ポンプ、5貫通孔、6空気管、6a 開口、7 第1のクリアランス、8 第2のクリアランス、9 第2のすべり軸受、10回転軸、10´ 回転軸、11スリーブ、12軸受ケース、12aつば部、13支持部材、14 スリーブ、15スリーブケース、16 軸受ケース、17 第1の摺動部、18
第2の摺動部、19 給水口、20a緩衝材、20b 緩衝材、21a 固定手段、21b 固定手段、22インペラ、23ストレーナ、24固定ボルト、27 吸い込みベル、28吐出ボウル、29ケーシング、30吐出エルボ、31aバックメタル、31b バックメタル、32上部軸受、33下部軸受、34軸シール、35a 溝、35b 隙間、36押さえ板、37ボトム軸受、38軸受カバー、100
水槽。

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