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技術 太陽電池診断方法及び太陽電池診断システム

出願人 米沢電気工事株式会社石川県国立大学法人東京大学日本無線株式会社
発明者 林猛古川貴之中本圭亮上田喜久中野幸一橘泰至森川博之鈴木誠李丞鎬井上隆義秋山誠司
出願日 2017年7月11日 (2年8ヶ月経過) 出願番号 2017-135715
公開日 2019年2月7日 (1年1ヶ月経過) 公開番号 2019-022251
状態 未査定
技術分野 放射温度計 光起電力装置
主要キーワード 温度分布範囲 記録用デバイス 熱画像カメラ 再生エネルギ エントロピー関数 Y座標 曲線特性 人工ニューロン
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (15)

課題

バイパスダイオード及び発電回路状態診断に向けた深層学習を用いた熱画像分類装置及び方法であって、容易に察知できないバイパスダイオードの異常と正常状態の分離が可能であり、f1−score 0.97の分類性能を高い分類性能を有する方法及びシステムを提供する。

解決手段

太陽電池診断方法及びシステムは、太陽電池表面を熱画像として撮影して太陽電池の故障診断する太陽電池診断方法において、太陽電池表面を熱画像として撮影して、太陽電池モジュール又は太陽電池アレイの全体又は一部のバイパス回路発熱状態と発電回路の発熱状態とを分けて検出するとともに、これらの発熱状態の温度分布を検出して、これらを組み合わせて熱画像に表れる異常発熱状態の特徴として判定する。

概要

背景

近年、石油資源等の使用による温室効果ガスの排出量増加が問題となっており、太陽光発電風力発電等の自然再生エネルギ活用が着目され、太陽光発電システムの導入が拡大している。

図10に本発明の太陽電池診断ステムが、診断の対象とする一般的な太陽光発電システム101の概略的な構造図を示す。太陽光発電システム101は、一般に、太陽電池アレイ3と、該太陽電池アレイ3が発電した直流電力交流電力へ変換するパワーコンディショナ6と、太陽電池アレイ3とパワーコンディショナ6を接続する接続箱7等からなる。太陽電池アレイ3は、住宅の屋根や庭等の基台B上に設置される太陽電池全体を指す。太陽電池アレイ3では、複数の太陽電池モジュール300の直列接続体であるストリング30が接続箱につながり、複数並列に接続されて構成される。太陽電池モジュール300は、一般にソーラーパネルとも呼ばれ、施工上の基本単位となる。太陽電池モジュール300では、複数の太陽電池セル300aが直列に接続され1つのバイパスダイオード300b(BPD)と並列に接続されてクラスタ300Aと呼ばれる単位回路が構成され、クラスタ300Aは、複数直列に接続されて集合体として耐候性パッケージに収められている。この耐候性パッケージに納めたものを「太陽電池モジュール」と呼ぶ。太陽電池モジュール300において、太陽電池セル300a及び/又は太陽電池セル300aを繋ぐ回路全般を「発電回路」、バイパスダイオード300b及び/又はバイパスダイオード300bを繋ぐ回路全般を「バイパス回路」と呼ぶ。バイパス回路は、ジャンクションボックス300cに格納される。太陽電池モジュール300では、各太陽電池セル300aのP極とN極はインターコネクタと呼ばれる帯状導体によってつなぎ合わされている。太陽電池セル300aは、太陽の光エネルギ電気エネルギに変換する機能を持つ機能上の最小単位である。

ここで、本発明において、太陽光発電システム101は、配電系統として配線8、分電盤9、電力量計10等も含み得る。分電盤9及び電力量計10は、パワーコンディショナ6を交流電源11に接続する際等に使用される。また本発明において、太陽電池とは、太陽電池アレイ3、ストリング30、太陽電池モジュール300、太陽電池クラスタ300A、太陽電池セル300a等を含むが、特に限定されず、太陽光発電システム101におけるいずれの構成も含み得る。また太陽電池セル300aは「セル」または「発電素子」と呼ばれてもよい(図10)。

太陽光発電の導入は拡大されつつあり、それに伴い太陽電池におけるメンテナンス技術に対する社会的ニーズが高まっている。劣化した太陽電池は、正常な太陽電池と比較して光エネルギを電気エネルギに十分に変換しきれないため、正常状態の太陽電池より高い温度を示す。太陽電池の劣化は、発電量の低下を招くばかりか、発電システムの安全性欠如を巻き起すため、定期的な劣化管理は非常に重要な課題となっている。

このような太陽電池の故障を診断する太陽電池診断システムの開発が従来から進められている。太陽電池診断システムの分け方は様々考えられるが、例えば、太陽電池診断システムを太陽電池に接触させて、故障を診断する接触式の診断システムと、太陽電池診断システムを太陽電池に接触させずに故障を診断する非接触式の診断システムとがある。接触式の診断システムには、例えば、太陽電池診断システムの一部を太陽電池に直接接続させて、電圧及び/又は電流計測することで故障を診断するものもあれば、診断のために太陽電池に直流電源の接続が必要なもの等もある。また接触式、非接触式の分け方とは異なる観点から、太陽電池診断システムの一部を太陽電池に常時組み込んだ状態で故障を診断する方式として、組込み式の診断システムがある。

また太陽電池診断システムをより具体的なメンテナンス手法の観点から分けた場合、電流−電圧特性を利用する手法と、熱画像を利用する手法の2つに分類することもできる。電流−電圧特性を利用するメンテナンス手法では曲線特性分析から故障要因推定も可能である。しかしながら、診断のために計測装置モジュールに直接つなげる必要があり、上述の接触式の診断システムに該当するため、診断の際、発電状態から切り離すために、モジュールを分離する必要があり、故障モジュールを特定するには膨大な時間とコストがかかるという問題がある。

熱画像を用いる手法は、非接触式に該当する場合が一般的であるが、接触式に該当する場合もある。熱画像を用いる手法で非接触式に該当する場合とは、カメラだけで撮影する方式である。熱画像を用いる手法で接触式に該当する場合とは、撮影用カメラ以外に、太陽電池に接触させる外部電源等を必要とする方式である。非接触式であれば発電を止めずに診断が可能で、発熱箇所視覚的に分かるため故障モジュールを容易に特定できる。しかしながら、太陽電池の熱画像は撮影条件などに依存する。故障が存在する場合においても区別が容易な発熱パターンを示さない場合も存在することから、正しい測定手法に対する専門的な知識が必要となる。また熱画像を用いる手法であっても太陽電池診断システム全体でみた場合に接触式に該当する場合もあり、そのような場合には発電を止めて診断が必要である。

例えば特許文献1では、複数の太陽電池パネル1を含む太陽電池アレイの検査方法であって、太陽電池アレイに直流電源6を接続して通電する工程と、太陽電池アレイの太陽電池パネル1の熱画像を取得する工程と、熱画像を多値化して複数レベル面積比を算出し、面積比に対する太陽電池パネル1の出力特性式を用いて太陽電池パネル1の出力電力推定値演算する工程と、推定値の時間変化所定値以下となった後に、推定値に基づいて太陽電池パネル1を交換すべきか否か判断する工程と、を備え、出力特性式は、各面積比に係数を乗じた値と定数との和を演算する式であって、係数と定数とは予め回帰分析により得られた値であることを特徴とする太陽電池アレイの検査方法が開示されている。

特許文献1に開示された太陽電池アレイの検査方法は、熱画像解析による太陽電池診断システムであり太陽電池アレイと画像撮影部2とは接触することなく熱画像を取得する。しかし太陽電池アレイに診断システムの一部である直流電源6を接続して通電する工程を有しているため、接触式の診断システムにあたり、非接触式と比較して例えば診断作業のために労力や時間が掛かり診断効率が悪くなる。

以上のように、一般に、接触式の診断システムでは、診断システムを太陽電池に接触させる作業のために発電を中断する必要があったり、診断システムの接触先を例えばストリング単位で順次変更する作業が必要になったり、その際の作業者有資格者に限定されたりするため、診断作業の効率が悪い。また組込み式の診断システムでは、電圧や電流等を継続監視するため、診断システムを太陽光発電システムの傍か又は納屋等に常置しておく必要がある。従って、設置スペースを取るばかりでなく設置コストも高くなる。さらに、一般的に太陽電池よりも診断システムの方が寿命が短く、診断システム自体保守する必要がある。そのため、発電の中断を必要とせず、診断システムへの組込みが不要な、非接触式の診断システムへの期待が高まっている。

ところで、異常や劣化等によって太陽電池モジュールに故障が発生すると、太陽電池モジュールの発電能力は低下するものの、太陽光発電システム全体、太陽電池アレイ又は太陽電池ストリング単位でみると発電能力の低下は僅かであり、一般的に発電出力の計測が行われるパワーコンディショナの出力箇所等において予め設定しておく警告の所定値以下となるまで、その発電能力の低下に気づくことは困難であった。そのため、太陽電池モジュールが故障していたとしても気付くことができず、そのまま長期間にわたって使用される場合があった。しかし、太陽電池モジュールの故障が開放断線)により生じている場合には、発電力の低下のみならず、アーク放電による高温発火を伴う場合もある。これが要因となり、故障した太陽電池モジュールをそのまま長期使用したことによる火災事例も発生している。

従来、発電能力の低下を確認する場合には、日射量を計測することで割り出し推定発電量と、実際の発電量とを比較するなどして確認していたが、この方法では発電量を測定している太陽電池アレイ又はストリング単位等での発電量の低下の程度が解るだけであるため、実際に太陽光発電システムの中に故障した太陽電池モジュールがあるのかを特定することは困難であった。また、故障した太陽電池モジュールの存在に気付けたとしても、故障した太陽電池モジュールがどの位置に設置されているのかを特定することも困難であった。この故障した太陽電池モジュールの設置位置を特定するには、例えば発電時に各太陽電池モジュールの電圧を点検する等の作業が必要であり、時間や費用を要していた。また住宅の屋根等、高所での作業には危険がともなっていた。

そこで上述の問題を解決するため、太陽電池モジュールの故障を診断する太陽電池診断システムが各所で検討されている。例えば、特許文献2は、発電中の太陽電池アレイについて、該太陽電池アレイを構成する太陽電池モジュールの表面の温度分布を太陽電池モジュールの集合体ごとに測定することにより、電気的欠陥を有する太陽電池モジュールを検出することを特徴とする太陽電池アレイの欠陥検出方法が記載されている。

しかし特許文献2は、熱画像上に写し出されたモジュールの見かけの形状を、撮影後に本来の長方形の形状へと修正する機能を備えていない。そのため熱画像として得られる太陽電池モジュールの形状が長方形となるよう、建築物外壁に対して一体として配置された太陽電池アレイを撮影している。すなわち本来、太陽電池モジュールは長方形であるが、撮影する角度、距離によっては熱画像として得られる太陽電池モジュールの形状が台形等になり診断精度が低下するため、そのような事態を回避できるよう、従来の方法では太陽電池アレイの配置もしくは角度等、または熱画像撮影部の配置もしくは角度等を予め規定する必要があった。例えば、太陽電池モジュールの形状が長方形となるように撮影する配置構成として、太陽電池アレイのパネル表面と、熱画像撮影部とが正対するように撮影することが想定されるが、一般に熱画像撮影部は地上に配されるため、太陽電池モジュールを地平面に対して略水平に配置する必要がある。もし太陽電池モジュールを地平面に対して略水平に配置しない場合、近位撮影となり複数の太陽電池モジュールの熱画像を一度に取得することが困難となったり、熱画像撮影部が大型化したりする。またドローンを用いて空撮したとしても熱画像として得られる太陽電池モジュールの形状に誤差が生じ、診断精度が低下する。

概要

バイパスダイオード及び発電回路の状態診断に向けた深層学習を用いた熱画像分類装置及び方法であって、容易に察知できないバイパスダイオードの異常と正常状態の分離が可能であり、f1−score 0.97の分類性能を高い分類性能を有する方法及びシステムを提供する。太陽電池診断方法及びシステムは、太陽電池表面を熱画像として撮影して太陽電池の故障を診断する太陽電池診断方法において、太陽電池表面を熱画像として撮影して、太陽電池モジュール又は太陽電池アレイの全体又は一部のバイパス回路の発熱状態と発電回路の発熱状態とを分けて検出するとともに、これらの発熱状態の温度分布を検出して、これらを組み合わせて熱画像に表れる異常発熱状態の特徴として判定する。

目的

熱画像カメラを搭載したドローンなどを用いた太陽電池のメンテナンスシステムが市販されているものの、ホットスポットホットストライプなど明確な高温部の検出に留まっており、故障診断を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

太陽電池表面を熱画像として撮影して太陽電池の故障診断する太陽電池診断方法において、太陽電池表面を熱画像として撮影して、太陽電池モジュール又は太陽電池アレイの全体又は一部のバイパス回路発熱状態発電回路の発熱状態とを分けて検出するとともに、これらの発熱状態の温度分布を検出して、これらを組み合わせて熱画像に表れる異常発熱状態の特徴として判定することを特徴とする太陽電池診断方法。

請求項2

太陽電池表面を熱画像として撮影して太陽電池の故障を診断する太陽電池診断方法において、太陽電池表面を熱画像として撮影する熱画像撮影ステップと、太陽電池モジュール又は太陽電池アレイの全体又は一部のバイパス回路の発熱状態と発電回路の発熱状態から特徴量を抽出する特徴量抽出テップと、前記特徴量に基づき撮影された前記熱画像の状態と熱画像に表れる異常発熱状態との類似度を判定する判定ステップとを備えることを特徴とする太陽電池診断方法。

請求項3

前記異常発熱状態の特徴としては、前記発熱状態の温度分布が所定の温度以上であり、帯状に表れるホットストライプと呼ぶ線状の異常発熱状態を表示するとともに、バイパス回路の状態を短絡開放のいずれか、又は、発電回路の状態の短絡、開放のいずれかとして判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の太陽電池診断方法。

請求項4

前記異常発熱状態の特徴として、ホットスポットと呼ばれる点状の異常発熱状態、及び/又は、帯状に表れるホットストライプと呼ぶ線状の異常発熱状態を温度分布とともに表示して判定するか、又は、太陽電池モジュール内のバイパス回路の発熱状態と発電回路の発熱状態から解析アルゴリズムにより特徴量を抽出し、前記解析アルゴリズムによる識別結果を異常発熱状態として表示して判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の太陽電池診断方法。

請求項5

前記発熱状態の温度分布は、撮影により抽出された太陽電池モジュール又は太陽電池アレイの全体又は一部の温度分布が包括的に含まれる範囲に、温度スケールを自動又は手動で設定して、前記異常発熱状態を検出することを特徴とする請求項1又は2に記載の太陽電池診断方法。

請求項6

前記熱画像診断部は、撮影された前記熱画像中から前記太陽電池モジュール又は太陽電池アレイに該当する画像を抽出及び歪み補正するモジュール抽出部を備え、前記モジュール抽出部は、前記太陽電池モジュールの最外郭となる所定の最外郭点を算出して、前記熱画像診断部が撮影した歪みを補正することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の太陽電池診断方法。

請求項7

前記モジュール抽出部は、画像処理直線検出手法を用いて、前記熱画像診断部が撮影した歪みを補正することを特徴とする請求項6に記載の太陽電池診断方法。

請求項8

前記判定部(判定ステップ)の異常発熱状態の類似度、及び/又は、前記モジュール抽出部の歪み補正は、人工知能深層学習である畳み込みニューラルネットワークを用いることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に太陽電池診断方法。

請求項9

太陽電池表面を撮影した熱画像解析による太陽電池診断システムにおいて、前記太陽電池診断システムは、太陽電池モジュール又は太陽電池アレイの全体又は一部のバイパス回路の発熱状態と発電回路の発熱状態を分けて検出するものであって、前記太陽電池表面を熱画像として撮影する熱画像撮影部と、撮影された前記熱画像を診断するための熱画像診断部とを備え、前記熱画像診断部は、前記バイパス回路の状態と発電回路の状態とに基づいて診断パターンを分けて前記熱画像の判定を行う判定部を備えることを特徴とする太陽電池診断システム。

請求項10

前記熱画像診断部は、撮影された前記熱画像中から前記太陽電池モジュール又は太陽電池アレイに該当する画像を抽出及び歪み補正するモジュール抽出部を備え、前記モジュール抽出部は、前記太陽電池モジュールの最外郭となる所定の最外郭点を算出して、前記熱画像診断部が撮影した歪みを補正することを特徴とする請求項9に記載の太陽電池診断システム。

請求項11

前記モジュール抽出部は、画像処理の直線検出手法を用いて、前記熱画像診断部が撮影した歪みを補正することを特徴とする請求項9に記載の太陽電池診断システム。

請求項12

前記判定部は、前記バイパス回路の状態を正常、短絡、開放の3種類に分け、前記発電回路の状態を正常、開放の2種類に分け、前記バイパス回路の状態と前記発電回路の状態との組み合わせから、前記診断パターンを6種類に分け、各故障状態における発熱源分布や形を元にして特徴量を抽出することを特徴とする請求項9ないし11のいずれか一項に記載の太陽電池診断システム。

請求項13

前記モジュール抽出部は、画像処理の直線検出手法を用いて、前記太陽電池モジュールの最外郭となる縦線及び横線を検出し、前記縦線と前記横線との交点を算出して前記最外郭の4点を自動で算出することを特徴とする9ないし12のいずれか一項に記載の太陽電池診断システム。

請求項14

前記熱画像診断部は、前記太陽電池モジュール又は太陽電池アレイの全体又は一部の温度分布が包括的に含まれる範囲に、温度スケールを自動又は手動で設定する温度スケール設定部を備え、前記熱画像撮影部は、設定された前記温度スケールに基づき、熱画像を再度撮影することを特徴とする9ないし13のいずれか一項に記載の太陽電池診断システム。

技術分野

0001

本発明は、太陽電池故障熱画像解析により診断する太陽電池診断方法及び太陽電池診断システムに関する。

背景技術

0002

近年、石油資源等の使用による温室効果ガスの排出量増加が問題となっており、太陽光発電風力発電等の自然再生エネルギ活用が着目され、太陽光発電システムの導入が拡大している。

0003

図10に本発明の太陽電池診断システムが、診断の対象とする一般的な太陽光発電システム101の概略的な構造図を示す。太陽光発電システム101は、一般に、太陽電池アレイ3と、該太陽電池アレイ3が発電した直流電力交流電力へ変換するパワーコンディショナ6と、太陽電池アレイ3とパワーコンディショナ6を接続する接続箱7等からなる。太陽電池アレイ3は、住宅の屋根や庭等の基台B上に設置される太陽電池全体を指す。太陽電池アレイ3では、複数の太陽電池モジュール300の直列接続体であるストリング30が接続箱につながり、複数並列に接続されて構成される。太陽電池モジュール300は、一般にソーラーパネルとも呼ばれ、施工上の基本単位となる。太陽電池モジュール300では、複数の太陽電池セル300aが直列に接続され1つのバイパスダイオード300b(BPD)と並列に接続されてクラスタ300Aと呼ばれる単位回路が構成され、クラスタ300Aは、複数直列に接続されて集合体として耐候性パッケージに収められている。この耐候性パッケージに納めたものを「太陽電池モジュール」と呼ぶ。太陽電池モジュール300において、太陽電池セル300a及び/又は太陽電池セル300aを繋ぐ回路全般を「発電回路」、バイパスダイオード300b及び/又はバイパスダイオード300bを繋ぐ回路全般を「バイパス回路」と呼ぶ。バイパス回路は、ジャンクションボックス300cに格納される。太陽電池モジュール300では、各太陽電池セル300aのP極とN極はインターコネクタと呼ばれる帯状導体によってつなぎ合わされている。太陽電池セル300aは、太陽の光エネルギ電気エネルギに変換する機能を持つ機能上の最小単位である。

0004

ここで、本発明において、太陽光発電システム101は、配電系統として配線8、分電盤9、電力量計10等も含み得る。分電盤9及び電力量計10は、パワーコンディショナ6を交流電源11に接続する際等に使用される。また本発明において、太陽電池とは、太陽電池アレイ3、ストリング30、太陽電池モジュール300、太陽電池クラスタ300A、太陽電池セル300a等を含むが、特に限定されず、太陽光発電システム101におけるいずれの構成も含み得る。また太陽電池セル300aは「セル」または「発電素子」と呼ばれてもよい(図10)。

0005

太陽光発電の導入は拡大されつつあり、それに伴い太陽電池におけるメンテナンス技術に対する社会的ニーズが高まっている。劣化した太陽電池は、正常な太陽電池と比較して光エネルギを電気エネルギに十分に変換しきれないため、正常状態の太陽電池より高い温度を示す。太陽電池の劣化は、発電量の低下を招くばかりか、発電システムの安全性欠如を巻き起すため、定期的な劣化管理は非常に重要な課題となっている。

0006

このような太陽電池の故障を診断する太陽電池診断システムの開発が従来から進められている。太陽電池診断システムの分け方は様々考えられるが、例えば、太陽電池診断システムを太陽電池に接触させて、故障を診断する接触式の診断システムと、太陽電池診断システムを太陽電池に接触させずに故障を診断する非接触式の診断システムとがある。接触式の診断システムには、例えば、太陽電池診断システムの一部を太陽電池に直接接続させて、電圧及び/又は電流計測することで故障を診断するものもあれば、診断のために太陽電池に直流電源の接続が必要なもの等もある。また接触式、非接触式の分け方とは異なる観点から、太陽電池診断システムの一部を太陽電池に常時組み込んだ状態で故障を診断する方式として、組込み式の診断システムがある。

0007

また太陽電池診断システムをより具体的なメンテナンス手法の観点から分けた場合、電流−電圧特性を利用する手法と、熱画像を利用する手法の2つに分類することもできる。電流−電圧特性を利用するメンテナンス手法では曲線特性分析から故障要因推定も可能である。しかしながら、診断のために計測装置モジュールに直接つなげる必要があり、上述の接触式の診断システムに該当するため、診断の際、発電状態から切り離すために、モジュールを分離する必要があり、故障モジュールを特定するには膨大な時間とコストがかかるという問題がある。

0008

熱画像を用いる手法は、非接触式に該当する場合が一般的であるが、接触式に該当する場合もある。熱画像を用いる手法で非接触式に該当する場合とは、カメラだけで撮影する方式である。熱画像を用いる手法で接触式に該当する場合とは、撮影用カメラ以外に、太陽電池に接触させる外部電源等を必要とする方式である。非接触式であれば発電を止めずに診断が可能で、発熱箇所視覚的に分かるため故障モジュールを容易に特定できる。しかしながら、太陽電池の熱画像は撮影条件などに依存する。故障が存在する場合においても区別が容易な発熱パターンを示さない場合も存在することから、正しい測定手法に対する専門的な知識が必要となる。また熱画像を用いる手法であっても太陽電池診断システム全体でみた場合に接触式に該当する場合もあり、そのような場合には発電を止めて診断が必要である。

0009

例えば特許文献1では、複数の太陽電池パネル1を含む太陽電池アレイの検査方法であって、太陽電池アレイに直流電源6を接続して通電する工程と、太陽電池アレイの太陽電池パネル1の熱画像を取得する工程と、熱画像を多値化して複数レベル面積比を算出し、面積比に対する太陽電池パネル1の出力特性式を用いて太陽電池パネル1の出力電力推定値演算する工程と、推定値の時間変化所定値以下となった後に、推定値に基づいて太陽電池パネル1を交換すべきか否か判断する工程と、を備え、出力特性式は、各面積比に係数を乗じた値と定数との和を演算する式であって、係数と定数とは予め回帰分析により得られた値であることを特徴とする太陽電池アレイの検査方法が開示されている。

0010

特許文献1に開示された太陽電池アレイの検査方法は、熱画像解析による太陽電池診断システムであり太陽電池アレイと画像撮影部2とは接触することなく熱画像を取得する。しかし太陽電池アレイに診断システムの一部である直流電源6を接続して通電する工程を有しているため、接触式の診断システムにあたり、非接触式と比較して例えば診断作業のために労力や時間が掛かり診断効率が悪くなる。

0011

以上のように、一般に、接触式の診断システムでは、診断システムを太陽電池に接触させる作業のために発電を中断する必要があったり、診断システムの接触先を例えばストリング単位で順次変更する作業が必要になったり、その際の作業者有資格者に限定されたりするため、診断作業の効率が悪い。また組込み式の診断システムでは、電圧や電流等を継続監視するため、診断システムを太陽光発電システムの傍か又は納屋等に常置しておく必要がある。従って、設置スペースを取るばかりでなく設置コストも高くなる。さらに、一般的に太陽電池よりも診断システムの方が寿命が短く、診断システム自体保守する必要がある。そのため、発電の中断を必要とせず、診断システムへの組込みが不要な、非接触式の診断システムへの期待が高まっている。

0012

ところで、異常や劣化等によって太陽電池モジュールに故障が発生すると、太陽電池モジュールの発電能力は低下するものの、太陽光発電システム全体、太陽電池アレイ又は太陽電池ストリング単位でみると発電能力の低下は僅かであり、一般的に発電出力の計測が行われるパワーコンディショナの出力箇所等において予め設定しておく警告の所定値以下となるまで、その発電能力の低下に気づくことは困難であった。そのため、太陽電池モジュールが故障していたとしても気付くことができず、そのまま長期間にわたって使用される場合があった。しかし、太陽電池モジュールの故障が開放断線)により生じている場合には、発電力の低下のみならず、アーク放電による高温発火を伴う場合もある。これが要因となり、故障した太陽電池モジュールをそのまま長期使用したことによる火災事例も発生している。

0013

従来、発電能力の低下を確認する場合には、日射量を計測することで割り出し推定発電量と、実際の発電量とを比較するなどして確認していたが、この方法では発電量を測定している太陽電池アレイ又はストリング単位等での発電量の低下の程度が解るだけであるため、実際に太陽光発電システムの中に故障した太陽電池モジュールがあるのかを特定することは困難であった。また、故障した太陽電池モジュールの存在に気付けたとしても、故障した太陽電池モジュールがどの位置に設置されているのかを特定することも困難であった。この故障した太陽電池モジュールの設置位置を特定するには、例えば発電時に各太陽電池モジュールの電圧を点検する等の作業が必要であり、時間や費用を要していた。また住宅の屋根等、高所での作業には危険がともなっていた。

0014

そこで上述の問題を解決するため、太陽電池モジュールの故障を診断する太陽電池診断システムが各所で検討されている。例えば、特許文献2は、発電中の太陽電池アレイについて、該太陽電池アレイを構成する太陽電池モジュールの表面の温度分布を太陽電池モジュールの集合体ごとに測定することにより、電気的欠陥を有する太陽電池モジュールを検出することを特徴とする太陽電池アレイの欠陥検出方法が記載されている。

0015

しかし特許文献2は、熱画像上に写し出されたモジュールの見かけの形状を、撮影後に本来の長方形の形状へと修正する機能を備えていない。そのため熱画像として得られる太陽電池モジュールの形状が長方形となるよう、建築物外壁に対して一体として配置された太陽電池アレイを撮影している。すなわち本来、太陽電池モジュールは長方形であるが、撮影する角度、距離によっては熱画像として得られる太陽電池モジュールの形状が台形等になり診断精度が低下するため、そのような事態を回避できるよう、従来の方法では太陽電池アレイの配置もしくは角度等、または熱画像撮影部の配置もしくは角度等を予め規定する必要があった。例えば、太陽電池モジュールの形状が長方形となるように撮影する配置構成として、太陽電池アレイのパネル表面と、熱画像撮影部とが正対するように撮影することが想定されるが、一般に熱画像撮影部は地上に配されるため、太陽電池モジュールを地平面に対して略水平に配置する必要がある。もし太陽電池モジュールを地平面に対して略水平に配置しない場合、近位撮影となり複数の太陽電池モジュールの熱画像を一度に取得することが困難となったり、熱画像撮影部が大型化したりする。またドローンを用いて空撮したとしても熱画像として得られる太陽電池モジュールの形状に誤差が生じ、診断精度が低下する。

先行技術

0016

特開2013−197173号公報
特開2002−329879号公報

発明が解決しようとする課題

0017

ところで、従来の、太陽電池モジュール単位での診断が可能な、非接触式の、熱画像解析による太陽電池診断システム及び方法では、熱画像撮影部、ならびに熱画像解析部を構成する各構成、例えばモジュール抽出部、判定部等を、一体どのように構成すれば、太陽電池モジュールの状態、又は太陽電池モジュールの故障もしくは劣化の有無ならびにその位置及び原因を正確に診断し、太陽電池モジュールの修繕や交換を必要としない通知不要の状態と、太陽電池モジュールの修繕や交換を必要又は推奨とする通知をすべき状態とを区別して診断することができるか、十分に検討し各部の最適化検討がなされているとは言えなかった。

0018

例えば従来の、太陽電池モジュール単位での診断が可能な、非接触式の、熱画像解析による太陽電池診断システムでは、一般的に、熱画像撮影部において温度スケールを自動で調整する機能を用いる場合、熱画像全体の温度分布を包括する温度スケールが設定される。そのため、熱画像の中に太陽電池以外の背景が映り込む場合には、背景の温度によって温度スケールの最大値が必要以上に大きくなったり、最小値が必要以上に小さくなったりする。そのため、太陽電池に対する温度分解能が低下し、その後の判定精度が低下していた。また、熱画像撮影部において温度スケールを手動固定値に設定した場合であっても、太陽電池部分全体を包括した温度スケールに設定できているとは限らず、太陽電池に対して熱画像撮影部の温度分解能が十分に利用できているとは限らなかった。

0019

また例えば従来の、太陽電池モジュール単位での診断が可能な、非接触式の、熱画像解析による太陽電池診断システムでは、本来、太陽電池モジュールは長方形であるが、撮影する角度、距離によって、熱画像として得られる太陽電池モジュールの形状は台形等になる。そのため、他の熱画像と対比する方式では、類似サイズの太陽電池を、類似撮影角度かつ類似撮影距離から撮影する等の必要があった。例えば特許文献2のように、熱画像として得られる太陽電池モジュールの形状が長方形となるように予め構成した上で、撮影する必要があった。また従来は、カメラ、レンズも類似または同等の仕様で撮影する必要があった。

0020

また例えば従来の、太陽電池モジュール単位での診断が可能な、非接触式の、熱画像解析による太陽電池診断システムでは、診断するための熱画像データ蓄積診断パターンの種類、及び診断精度を向上させるシステムならびに方法等が、太陽電池モジュールの交換を必要とする状態か否かに焦点をあてて十分に検討されたものではなく、太陽電池モジュールの交換を必要としない正常状態又は軽微故障状態も診断及び/又は通知されていた。

0021

一般に、太陽電池の熱画像に現れる高温・発熱の状態には、例えば、(1)太陽電池の汚れか、セルクラックなどによる電流集中か、影部電力消費か、もしくはジャンクションボックス内のBPDへの通電等が原因で生じる、スポット高温部(主にセル単位での高温・発熱、いわゆるホットスポット)、又は(2)発電回路の断線、ハンダ不良、BPDショート等が原因で生じる、クラスタ単位での帯状の高温・発熱(本発明ではホットストライプと呼ぶ。)、又は(3)モジュール内の全てのクラスタが高温・発熱部になった場合等で、モジュール単位での高温・発熱、又は(4)コネクタ抜け・損傷もしくはケーブル損傷等が原因で生じる、ストリング単位での高温・発熱等がある。

0022

これらは全て、高温・発熱状態として熱画像に現れるが、これらの中には太陽電池モジュールの交換を必要としない正常状態又は軽微な故障状態も含まれており、太陽電池モジュールメーカー保証による無償交換の対象とはならない程度のものもある。上述のように、熱画像に現れる高温・発熱の状態と、太陽電池モジュールの交換を必要とする状態とが必要十分に直ちに一致するわけではないにも関わらず、従来の、非接触式の、熱画像解析による太陽電池診断システムでは、熱画像に現れる高温・発熱の状態を通知することに焦点が置かれており、その熱画像に現れた高温・発熱の状態が、果たして太陽電池モジュールの交換を必要とする状態(通知すべき状態)なのかどうか、ということには焦点が置かれていなかった。そのため例えば、太陽電池モジュールの交換を必要としない正常状態又は軽微な故障状態も診断及び/又は通知されていた。

0023

また例えば従来の、太陽電池モジュール単位での診断が可能な、非接触式の、熱画像解析による太陽電池診断システムでは、容易に察知できないバイパスダイオードの異常と正常状態との分離を可能とする装置及び方法の提供は、依然として困難であった。

0024

一般に、太陽電池モジュールの中で、故障の原因として挙げられるのはバイパス回路と発電回路である。バイパス回路の故障には短絡と開放が、発電回路の故障には断線が存在する。図11にて、状態ごとの代表的な熱画像を示す。バイパス回路が正常で、発電回路に断線があった場合(図11、状態04)、発電電流ダイオードに流され、バイパスダイオードが格納されたジャンクションボックスが発熱する。また、クラスタに照射された太陽エネルギは電気エネルギに変換されず熱エネルギになるためクラスタ全体が発熱し、帯状の発熱特性を示すことになる。本発明では、この帯状の発熱をホットストライプと呼ぶ。

0025

バイパス回路が短絡された場合は、発電回路が断線してもバイパスダイオードが発熱しないか、気付かない程度に弱く発熱する程度であり、ホットストライプだけが発生する(図11、状態05)。また、バイパス回路が短絡された場合で、発電回路が正常の場合は発電された電流は発電回路の閉回路の中を流れ、セル特性バラつきから特定セルだけが発熱する(図11、状態02)。バイパス回路が開放状態であると、太陽電池セルの状態に関係なく、満遍なく発熱する(図11、状態03、06)。太陽電池セルが断線している場合は発電が行われていないためであり、正常の場合は、もともとバイパス回路に電流が流されないからである。なお状態03は正常(状態01)と同じになり、一様な温度分布になっている状態であり、状態06は、ホットストライプ部がモジュール全面に拡大することで、一様な温度分布になっている状態である。

0026

しかしながら、バイパス回路が開放状態となると、太陽電池の熱画像にはホットスポットやホットストライプなど明確な高温部が発生しないため、それらの検知だけでは故障有無を正確に診断できない。また、局所的発熱が生じた場合も、発熱の位置や熱画像生成の際決められる温度スケールによってその模様は変化し、具体的な診断を出すには高度な専門知識が必要とされる。熱画像カメラを搭載したドローンなどを用いた太陽電池のメンテナンスシステムが市販されているものの、ホットスポットやホットストライプなど明確な高温部の検出に留まっており、故障診断を提供するところまでは至っていない。すなわち、容易に察知できないバイパスダイオードの異常と正常状態との分離を可能とする装置及び方法の提供は、依然として困難であった。

0027

そこで本発明の目的は、上述の問題を解決し、太陽電池モジュールの状態、又は太陽電池モジュールの故障もしくは劣化の有無ならびに原因を診断し、太陽電池モジュールの交換を必要としない通知不要の状態と、太陽電池モジュールの交換を必要とする通知すべき状態とを区別して診断する太陽電池診断方法及び太陽電池診断システムを提供することである。さらに本発明の目的は、これらの課題に向けて、主な異常部位となるバイパスダイオード及び発電回路の状態診断に向けた深層学習を用いた熱画像分類装置及び方法を提供することにある。すなわち、容易に察知できないバイパスダイオードの異常と正常状態の分離が可能な太陽電池診断方法及び太陽電池診断システムの提供を目的とする。

課題を解決するための手段

0028

本発明の太陽電池診断方法は、太陽電池表面を熱画像として撮影して太陽電池の故障を診断する太陽電池診断方法において、太陽電池表面を熱画像として撮影して、太陽電池モジュール又は太陽電池アレイの全体又は一部のバイパス回路の発熱状態と発電回路の発熱状態とを分けて検出するとともに、これらの発熱状態の温度分布を検出して、これらを組み合わせて熱画像に表れる異常発熱状態の特徴として判定することを特徴とする。
また本発明の太陽電池診断方法は、、太陽電池表面を熱画像として撮影して太陽電池の故障を診断する太陽電池診断方法において、太陽電池表面を熱画像として撮影する熱画像撮影ステップと、太陽電池モジュール又は太陽電池アレイの全体又は一部のバイパス回路の発熱状態と発電回路の発熱状態から特徴量を抽出する特徴量抽出テップと、撮影された前記熱画像と熱画像に表れる異常発熱状態の類似度を前記特徴量に基づき判定する判定ステップとを備えることを特徴とする。
また本発明の太陽電池診断システムは、太陽電池表面を撮影した熱画像解析による太陽電池診断システムにおいて、太陽電池診断システムは、太陽電池モジュール又は太陽電池アレイの全体又は一部のバイパス回路の発熱状態と発電回路の発熱状態を分けて検出するものであって、太陽電池表面を熱画像として撮影する熱画像撮影部と、撮影された熱画像を診断するための熱画像診断部とを備え、熱画像診断部は、バイパス回路の状態と発電回路の状態とに基づいて診断パターンを分けて熱画像の判定を行う判定部を備えることを特徴とする。
また本発明の太陽電池診断システムは、判定部は、バイパス回路の状態を正常、短絡、開放の3種類に分け、発電回路の状態を正常、開放の2種類に分け、バイパス回路の発熱・高温の状態と発電回路の発熱・高温の状態との組み合わせから、診断パターンを6種類に分け、各故障状態における発熱源分布や形を元にして特徴量を抽出することを特徴とする。

0029

熱画像に現れる高温・発熱の状態が、上述の(2)発電回路の断線、ハンダ不良、BPDショート等が原因で生じる、クラスタ単位での帯状の高温・発熱(ホットストライプ)に起因する場合には、これは例えば3つのクラスタから構成される1つの太陽電池モジュールにおいて1つ以上のクラスタが発電せず、太陽電池モジュールの出力が2/3以下に低下するような場合であり、該太陽電池モジュールは、一般に太陽電池モジュールメーカーの保証による無償交換の対象となることが多い。このホットストライプという現象を熱の発生原理から述べれば、1つの太陽電池モジュールで、クラスタ断線によってクラスタが導通不良となるか、又はバイパス回路の短絡によって発電しなくなり、本来電気エネルギに変わるべく受光した太陽の光エネルギが、電気エネルギではなく主に熱エネルギに変わることで生じるものである。

0030

そこで本発明では、ホットストライプに起因して熱画像に現れる高温・発熱の状態と、通知すべき太陽電池モジュールの交換を必要とする発熱・高温の状態との相関性を利用して、これらに着目した太陽電池診断システムを開発した。

0031

本発明によれば、バイパス回路の発熱・高温の状態と、発電回路の発熱・高温の状態とから診断パターンを分けて診断を行うことで、太陽電池表面を撮影した熱画像解析による太陽電池診断システム及び/または方法において、ホットストライプに起因して熱画像に現れる高温・発熱の状態であるかどうかの判断が可能となるとともに、太陽電池モジュールの交換を必要としない正常状態又は軽微な故障状態と、太陽電池モジュールの交換を必要とする状態とを区別することができ、太陽電池モジュールの交換を必要としない正常状態又は軽微な故障状態の通知を低減することができる。
また本発明によれば、バイパス回路の発熱状態と発電回路の発熱状態から特徴量を抽出して、撮影された前記熱画像と熱画像に表れる異常発熱状態の類似度を特徴量に基づき判定することや、あるいは各故障状態における発熱源の分布や形を元にして特徴量を抽出することを行うため、従来容易に察知できないバイパスダイオードの異常と正常状態の分離が可能な装置及び方法の提供が可能となる。

0032

本発明の太陽電池診断方法は、異常発熱状態の特徴として、ホットスポットと呼ばれる点状の異常発熱状態、及び/又は、帯状に表れるホットストライプと呼ぶ線状の異常発熱状態を温度分布とともに表示して判定するか、又は、太陽電池モジュール内のバイパス回路の発熱状態と発電回路の発熱状態から解析アルゴリズムにより特徴量を抽出し、解析アルゴリズムによる識別結果を異常発熱状態として表示して判定することを特徴とする。
また本発明の太陽電池診断方法は、異常発熱状態の特徴としては、発熱状態の温度分布が所定の温度以上であり、帯状に表れるホットストライプと呼ぶ線状の異常発熱状態を表示するとともに、バイパス回路の状態を短絡、開放のいずれか、又は、発電回路の状態の短絡、開放のいずれかとして判定することを特徴とする。

0033

本発明の太陽電池診断システムによれば、太陽電池表面を撮影した熱画像解析による太陽電池診断システムにおいて、太陽電池モジュールのホットストライプの有無の診断精度が向上した構成となる。従って太陽電池モジュールの交換を必要としない正常状態又は軽微な故障状態と、太陽電池モジュールの交換を必要とする発熱・高温の状態とを区別する精度が向上した構成となる。

0034

本発明の太陽電池診断方法は、判定部(判定ステップ)の異常発熱状態の類似度、及び/又は、モジュール抽出部の歪み補正は、人工知能の深層学習である畳み込みニューラルネットワークを用いて検出することを特徴とする。

0035

本発明によれば、従来容易に察知できなかったバイパスダイオードの異常(発熱・温度)と正常状態の分離が可能となる。
また本発明によれば、例えば、アフィン変換による類似度上昇、特徴量抽出の課題、位置依存性の課題等、従来の画像分類上の問題を解消できる。

0036

本発明では、熱画像診断部は、撮影された熱画像中から太陽電池モジュールに該当する画像を自動又は手動で抽出及び歪み補正するモジュール抽出部を備え、モジュール抽出部は、太陽電池モジュールの最外郭となる所定の最外郭点を算出して、熱画像撮影部が撮影した歪みを補正することを特徴とする。
また本発明では、モジュール抽出部は、画像処理直線検出手法を用いて、太陽電池モジュールの最外郭となる縦線及び横線を検出し、縦線と横線との交点を算出して最外郭の4点を自動で算出することを特徴とする。
画像処理の直線検出手法としては、例えばHough変換を用いる。Hough変換(ハフ変換) は、デジタル画像処理で用いられる特徴抽出法の一つである。前記熱画像診断部は、撮影された前記熱画像中から前記太陽電池モジュール又は太陽電池アレイに該当する画像を抽出及び歪み補正するモジュール抽出部を備え、前記モジュール抽出部は、前記太陽電池モジュールの最外郭となる所定の最外郭点を算出して、前記熱画像診断部が撮影した歪みを補正することを特徴とする。

0037

本発明によれば、太陽電池表面を撮影した熱画像解析による太陽電池診断システム及び/または方法において、撮影する角度、距離によって、熱画像として得られる太陽電池モジュールの形状は台形等になることなく、本来の太陽電池モジュールの形状である長方形として、太陽電池モジュールを抽出することができる。そのため、他の熱画像と対比する方式であっても、類似サイズの太陽電池を、類似撮影角度かつ類似撮影距離から撮影する必要がない。
また、前記モジュール抽出部による直線検出手法によれば、距離や角度が任意で良いため、ドローンにより空撮した熱画像をもとに診断をすることができる、また、傾斜角度により台形で撮影しても、長方形のデータで特徴量を抽出して判定できる。
また本発明によれば、太陽電池モジュール単位での診断が可能な装置であるから、太陽電池モジュールよりも大きい構成単位である太陽電池ストリング単位(或いは太陽電池アレイ単位)での診断も可能であり、太陽電池ストリング単位での診断により、ストリングの断線(ヒューズ切れ、コネクタ抜け等)を診断できる。

0038

また本発明の太陽電池診断方法は、発熱状態の温度分布は、撮影により抽出された太陽電池モジュール又は太陽電池アレイの全体又は一部の温度分布が包括的に含まれる範囲に、温度スケールを自動又は手動で設定して、異常発熱状態を検出することを特徴とする。
本発明の太陽電池診断システムは、熱画像診断部は、太陽電池モジュール又は太陽電池アレイの全体又は一部の温度分布が包括的に含まれる範囲に、温度スケールを自動又は手動で設定する温度スケール設定部を備え、熱画像撮影部は、設定された温度スケールに基づき、熱画像を再度撮影することを特徴とする。

0039

本発明によれば、前記抽出後の熱画像の中に太陽電池以外の背景が映り込むことがなく、背景の温度によって温度スケールの最大値が必要以上に大きくなったり、最小値が必要以上に小さくなったりすることがない。すなわち、太陽電池部分全体を包括した温度スケールに設定でき、太陽電池に対して熱画像撮影部の温度分解能が十分に利用できる。そのため、太陽電池に対する温度分解能が向上し、その後の判定精度が向上する。

発明の効果

0040

本発明によれば、太陽電池モジュール単位での診断が可能な、非接触式の、熱画像解析による太陽電池診断システム及び方法において、上述の問題を解決し、太陽電池モジュールの発熱・高温の状態、又は太陽電池モジュールの故障もしくは劣化の有無ならびに原因を診断し、太陽電池モジュールの交換を必要としない通知不要の発熱・高温の状態と、太陽電池モジュールの交換を必要とする通知すべき発熱・高温の状態とを区別して診断する太陽電池診断システム及び方法を提供可能である。さらに本発明によれば、これらの課題に向けて、主な異常部位となるバイパスダイオード及び発電回路の状態診断に向けた深層学習を用いた熱画像分類装置及び方法を提供可能である。すなわち、容易に察知できないバイパスダイオードの異常と正常状態の分離が可能な装置及び方法の提供が可能である。さらに本発明では、分類性能の高い装置及び方法の提供を目的とし、6つの太陽電池モジュールから半年に渡り収集した1400枚の熱画像に基づく検証により、本発明の装置及び方法が、f1−score 0.97の分類性能を有する。さらに、直線検出手法によれば、最外郭点をモジュール抽出部で抽出ことができ、傾斜角度により台形で撮影しても、長方形のデータで特徴量を抽出して判定できる。

図面の簡単な説明

0041

第1の実施形態の太陽電池診断システムの設置例を示す図である。
上記実施形態の太陽電池診断システムの一構成例を示すブロック図である。
上記実施形態の表示部の診断画面を説明する図である。
上記実施形態の表示部の診断履歴画面を説明する図である。
第2の実施形態の太陽電池診断システムの一構成例を示すブロック図である。
第3の実施形態の撮影角度による熱画像の変形を示す熱画像写真である。
上記実施形態のData Augmentationの例を示す画像である。
上記実施形態の畳み込みニューラルネットワークの構造図である。
上記実施形態の抽出された1024次元の特徴量を示す図である。
上記実施形態のepochごとのTrain LossとValid Lossを示すグラフである。
上記実施形態のテストセットを用いたシミュレーション結果である。
上記実施形態の畳み込み層荷重値行列(左:1層目、右:2層目)を示す画像である。
本発明を説明するための太陽光発電システムの図である。
太陽電池セルのバイパス回路又は発電回路の代表的な故障を示す熱画像である。

実施例

0042

本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。

0043

(第1の実施の形態)
図1は、本発明を適用した第1の実施形態の太陽電池診断システム100の設置例を示す図である。太陽電池診断システム100は、熱画像撮影部1と、熱画像診断部2とを備える。熱画像撮影部1の撮影対象となる太陽電池アレイ3は基台Bに設置されている。

0044

本発明の太陽電池診断システム100が、診断の対象とする一般的な太陽光発電システム101の概略的な構造図を図10に示す。太陽光発電システム101は、一般に、太陽電池アレイ3と、該太陽電池アレイ3が発電した直流電力を交流電力へ変換するパワーコンディショナ6と、太陽電池アレイ3とパワーコンディショナ6を接続する接続箱7等からなる。太陽電池アレイ3は、住宅の屋根や庭等の基台B上に設置される太陽電池全体を指す。太陽電池アレイ3では、複数の太陽電池モジュール300の直列接続体であるストリング30が接続箱につながり、複数並列に接続されて構成される。太陽電池モジュール300は、一般にソーラーパネルとも呼ばれ、施工上の基本単位となる。太陽電池モジュール300では、複数の太陽電池セル300aが直列に接続され1つのバイパスダイオード300b(BPD)と並列に接続されてクラスタ300Aと呼ばれる単位回路が構成され、クラスタ300Aは、複数直列に接続されて集合体として耐候性パッケージに収められている。この耐候性パッケージに納めたものを「太陽電池モジュール」と呼ぶ。太陽電池モジュール300において、太陽電池セル300a及び/又は太陽電池セル300aを繋ぐ回路全般を「発電回路」、バイパスダイオード300b及び/又はバイパスダイオード300bを繋ぐ回路全般を「バイパス回路」と呼ぶ。バイパス回路は、ジャンクションボックス300cに格納される。太陽電池モジュール300では、各太陽電池セル300aのP極とN極はインターコネクタと呼ばれる帯状の導体によってつなぎ合わされている。太陽電池セル300aは、太陽の光エネルギを電気エネルギに変換する機能を持つ機能上の最小単位である。

0045

ここで、本発明において、太陽光発電システム100は、配電系統として配線8、分電盤9、電力量計10等も含み得る。分電盤9及び電力量計10は、パワーコンディショナ6を交流電源11に接続する際等に使用される。また本発明において、太陽電池とは、太陽電池アレイ3、ストリング30、太陽電池モジュール300、太陽電池クラスタ300A、太陽電池セル300a等を含むが、特に限定されず、太陽光発電システム100におけるいずれの構成も含み得る。また太陽電池セル300aは「セル」または「発電素子」と呼ばれてもよい(図10)。

0046

熱画像撮影部1は太陽電池アレイ3の表面温度を熱画像撮影し、撮影された熱画像を熱画像診断部2へと送るために使用される。熱画像データはケーブル4により有線伝送されてもよく、記録用デバイスや、無線による方式で伝送されても良い。熱画像撮影部1は、赤外線カメラ等(赤外線サーモグラフィ等)、熱画像撮影(赤外線画像)が可能な装置である。撮影は、手持ちで行っても良く、カメラ架台5により位置及び角度調整して定点固定撮影しても良い。また、ドローンに熱画像撮影部1を搭載して空撮しても良く、その場合、例えば太陽電池アレイ3の全体が収まるようにして広範囲を一度に撮影することもでき、近接して撮影することもできる。

0047

太陽電池アレイ3を熱画像撮影部1により撮影する時の角度を撮影角度αとし、太陽電池アレイ3の面に対して垂直(法線)n方向を撮影角度α=0°とすると、撮影角度αは50°以内とすることが望ましい。

0048

一般的に、撮影角度αが50°以上になると放射率が低下するため、図1では太陽電池アレイ3において熱画像撮影部1に近い部分で撮影角度αが浅くなり、相対的に温度が高く測定され易く、遠い部分では撮影角度が深くなり、放射率が低下するため、温度が低く測定され易い。また太陽電池アレイ3表面を覆うガラスによる鏡面反射の影響により、太陽電池アレイ3周囲に存在する物体の温度が、熱画像に写り込む場合がある。撮影角度αは50°以内とすることで、本発明の診断精度が高まる。

0049

熱画像撮影に最適な条件は、日射量:200W/m2以上、天気晴れ又は曇り、撮影角度α:50°以内、温度スケール:10℃〜20℃、時間帯:9時〜15時である。なお、温度スケールとは熱画像の温度幅を指し、温度スケールを10℃〜20℃とすることで、発熱箇所の確認が容易となる。ただし温度スケールの適切な条件は、周囲温度の影響を受けるため、より好ましくは、周囲温度によって調節する。例えば温度スケールは、本発明の太陽電池診断システム100が温度スケール設定部28を備えることにより、抽出された太陽電池全体の温度分布範囲、又は太陽電池の所望の一部、例えば太陽電池モジュールの温度分布範囲が、包括的に含まれる範囲に自動で設定することが好ましい(図3)。

0050

図2Aは、太陽電池診断システム100の一構成例を示すブロック図である。熱画像診断部2は、表示部21、入力部22、モジュール抽出部23、判定部24、フィードバック部25、熱画像蓄積部26、及び通知部27を備え、これらがソフトウエア画像制御手段)によって制御される。

0051

図2B及び図2Cは表示部21を説明する図である。表示部21は、操作者により診断ボタンa1又は診断履歴ボタンa2のいずれかが選択されることで、診断画面21a(図2B)又は診断履歴画面21b(図2C)を選択的に表示する。すなわち診断画面21aと診断履歴画面21bのいずれも、診断ボタンa1と診断履歴ボタンa2を有しており、診断ボタンa1が選択されることで、診断画面21aを表示し、診断履歴ボタンa2が選択されることで診断履歴画面21bを表示する。

0052

図2Bは表示部21の診断画面21aを示した図である。診断画面21aは熱画像表示欄a3、モジュール数入力欄a4、操作コメント欄a5、診断開始ボタンa6、入力クリアボタンa7を備える。熱画像表示欄a3には撮影された熱画像が表示される。モジュール数入力欄a4には太陽電池モジュール300の行列数が入力される。操作コメント欄a5は操作者がコメントを残すために利用される。診断開始ボタンa6は診断を開始するために利用される。入力クリアボタンa7は診断画面21aにおいて入力された内容をクリアするために利用される。なお熱画像表示欄a3に表示された熱画像には、太陽電池アレイ3もしくはその一部の熱画像の他、周囲の環境も表示される。

0053

図2Cは表示部21の診断履歴画面21bを示した図である。診断履歴画面21bでは、診断画像一覧b1、切出画像b2、熱画像情報b3、診断結果b4、及び類似度b5を表示する。診断画像一覧b1は、それまで撮影された熱画像一覧をリスト形式で表示する。診断画像一覧b1の中から選択された1つの熱画像について、切出画像b2、熱画像情報b3、及び診断結果b4が表示される。切出画像b2は、モジュール抽出部23により太陽電池モジュール300単位で切り出された熱画像を表示する。図2Cにおいては2つの太陽電池モジュール300が切出画像b2として表示されている。熱画像情報b3は、診断画面21aで入力したコメント、及び診断元の画像ファイルのELIF情報がある場合に表示する。診断結果b4は、撮影された熱画像のパネル番号(太陽電池モジュール番号)b6、撮影された熱画像と診断パターンとの類似度b5、及び判定結果b7を、太陽電池モジュール300ごとにリスト形式で表示する。パネル番号(太陽電池モジュール番号)b6とは、切り出した各太陽電池モジュール300ごとに番号を振ったものであり、診断結果b4には各太陽電池モジュール300(パネル番号b6)ごとに、類似度b5と判定結果b7が表示され、判定結果b7には類似度b5の中で最も類似度が高い診断パターンが表示される。診断パターンは状態01〜状態06の6種類あり(各診断パターンの詳細については後述)、診断結果b4には各診断パターンとの類似度b5が各々表示される。類似度1の欄に表示される値は、状態01である可能性を示す数値(状態01の類似度)であり、類似度2の欄に表示される値は、状態02である可能性を示す数値(状態02の類似度)であり、類似度3の欄に表示される値は、状態03である可能性を示す数値(状態03の類似度)であり、類似度4の欄に表示される値は、状態04である可能性を示す数値(状態04の類似度)であり、類似度5の欄に表示される値は、状態05である可能性を示す数値(状態05の類似度)であり、類似度6の欄に表示される値は、状態06である可能性を示す数値(状態06の類似度)である。メモ欄b8には、そのことが分かりやすくなるよう、各類似度1〜6に状態01〜06のどれが対応するかが表示されている。
例えば図2Cであれば、2つの太陽電池モジュール300が切り出されており、各太陽電池モジュール300ごとにパネル番号1、パネル番号2として番号が割り振られる。パネル番号1とされた太陽電池モジュール300に関して、類似度b5の欄に、類似度1の値(状態01の類似度)、類似度2の値(状態02の類似度)、類似度3の値(状態03の類似度)、類似度4の値(状態04の類似度)、類似度5の値(状態05の類似度)、類似度6の値(状態06の類似度)が表示される。類似度1〜6(状態01〜06の類似度)の中で、最も数値の高い状態(診断パターン)が判定結果b7として表示される。パネル番号2も同様である。上記状態01〜06である可能性を示す数字は、後述する人工知能を用いて類似度が算出される(第3の実施の形態)。

0054

入力部22は、例えばマウスキーボード等であり、使用者によって操作され、熱画像の選択や太陽電池モジュール300の数の入力等に用いられる(図2A図2B)。診断対象となる熱画像は、入力部22で指定することで、診断画面21aに表示する。好ましくは、マウス操作によるドラッグアンドドロップ又はクリックにより指定して表示する(図2B)。
表示された熱画像をもとに、マウス操作によって太陽電池モジュール300の最外郭の4点(最外郭点m1,m2,m3,m4)の座標範囲指定する。最外郭点とは、表示された熱画像の中に、1つの太陽電池モジュール300としてその全体を切り出し可能な太陽電池モジュール300が1つ以上存在する時、直線的に切り出すことのできる太陽電池モジュール300の4つの頂点を指す。例えば図2Bであれば、熱画像表示欄a3に表示された熱画像には、1つの太陽電池モジュール300としてその全体を切り出し可能な太陽電池モジュール300は2つ存在しており、これらの2つの太陽電池モジュール300は、最外郭点m1と最外郭点m2とを結ぶ直線(切出画像では横線となる)と、最外郭点m1と最外郭点m3とを結ぶ直線(切出画像では縦線となる)と、最外郭点m2と最外郭点m4とを結ぶ直線(切出画像では縦線となる)と、最外郭点m3と最外郭点m4とを結ぶ直線(切出画像では横線となる)とによって、台形形状として直線的に切り出すことができる。この台形形状として直線的に切り出された2つの太陽電池モジュール300は、モジュール抽出部23によって各々1つの太陽電池モジュール300として抽出され、各々長方形状に補正されることで、診断履歴画面21b上では2つの切出画像b2として長方形状に表示される(図2C)。
なお、上述の太陽電池モジュール300の抽出時、一度に診断するためには最外郭点(図2Bであればm1,m2,m3,m4)を選ぶことが好ましいが、必ずしも最外郭点を選ぶ必要はなく、例えば1つの太陽電池モジュール300の4つの頂点を選び、1つの太陽電池モジュール300だけを切り出して診断してもよい。例えば図2Bであれば、最外郭点m1と、最外郭点m2と、頂点m5と、頂点m6の4つの頂点を選ぶことで4点の座標を範囲指定して、1つの太陽電池モジュール300のモジュール抽出及び診断を行うことができる。同様に最外郭点m3と、最外郭点m4と、頂点m5と、頂点m6の4つの頂点により4点の座標を範囲指定して、1つの太陽電池モジュール300のモジュール抽出及び診断を行うことができる。
モジュール数入力欄a4には、切り出した太陽電池モジュール300の数を行列数で入力する(図2B)。操作コメント欄a5には必要に応じて特記事項等のコメントを入力する。診断開始ボタンa6により診断開始の入力を行う。

0055

モジュール抽出部23は、入力部22によって指定された太陽電池モジュール300の最外郭の4点の座標、及び太陽電池モジュール300の数に基づき、太陽電池モジュール300を自動抽出し、例えば長方形などの診断に適した画像に補正する(図2A)。
熱画像診断部2は、撮影された熱画像中から太陽電池モジュール300又は太陽電池アレイに該当する画像を自動又は手動で抽出及び歪み補正するモジュール抽出部23を備え、モジュール抽出部23が熱画像を自動又は手動で抽出及び歪み補正する。例えば、太陽電池モジュールは長方形であるが、撮影する角度、距離によっては熱画像として得られる太陽電池モジュールの形状が台形等になり診断精度が低下するため、そのような事態を回避できるよう、従来の方法では太陽電池アレイの配置もしくは角度等、または熱画像撮影部の配置もしくは角度等を予め規定することで、太陽電池モジュールの形状が長方形となるように撮影する配置構成として撮影する。

0056

モジュール抽出部23は複数の太陽電池モジュール300を抽出する構成としてもよい。この場合、複数台の太陽電池モジュール300(例えばストリング30)を抽出し、順次診断する方法か、または複数台の太陽電池モジュール300を抽出し、複数台の太陽電池モジュール300(例えばストリング30)単位で診断する方法が考えられる。

0057

熱画像として写し出された、太陽電池(例えば太陽電池アレイ3、太陽電池ストリング30、太陽電池モジュール300、及び/または太陽電池セル300a)に該当する画像部分は、熱画像撮影部1の撮影角度、太陽電池の設置角度、及び熱画像撮影部1と太陽電池との距離により、サイズや形状が変化する。そのため熱画像として写し出された太陽電池モジュール300に該当する画像部分は毎回異なるサイズや形状等となるが、モジュール抽出部23によって熱画像から太陽電池モジュール300に該当する画像部分を抽出し、例えば長方形などの解析に適した画像に自動的に補正することで、熱画像撮影時においてサイズや形状が異なる他の太陽電池モジュール300との比較が可能となる。これにより、太陽電池モジュール300の診断パターンの正確な分類が可能となる。

0058

0059

0060

表1は、本実施形態の太陽電池診断システム100の診断パターン(パターン化判定)を説明する表である。表2は、上記パターン化判定に用いる熱画像に表れる高温・発熱の症状と原因の例である。

0061

判定部24は、太陽電池モジュール300の状態を、太陽電池モジュール300内のバイパス回路の状態と、太陽電池モジュール300内の発電回路の状態とに分けて診断パターンを2種類に分類する(図2A)。また判定部24は、太陽電池モジュール300内のバイパス回路の状態を、正常、短絡、及び開放に分けて診断パターンを3種類に分類し、太陽電池モジュール300内の発電回路の状態を、正常、及び開放に分けて診断パターンを2種類に分類する。また判定部24は、該バイパス回路の該3種類の診断パターンと、該発電回路の該2種類の診断パターンとを組み合わせて、太陽電池モジュール300の診断パターンを計6種類に分類する。なお診断パターンは6種類以上あっても良く、診断パターンを追加することで、6パターン以外の太陽電池状態も診断できるようになる。

0062

本発明において「バイパス回路」とは、太陽電池モジュール300内のバイパス回路を指す。例えば、特定のクラスタ300Aに故障や異常が発生した場合、該クラスタ300Aを構成する各太陽電池セル300aには電流が流れず、迂回して、該クラスタ300Aが接続する1つのバイパスダイオード300bを電流が通過する場合があるが、このようなバイパスダイオード300bを介する回路を指す。バイパス回路の状態のうち、「短絡」とは、バイパス回路の短絡故障を指す。バイパス回路の状態のうち、「開放」とは、開放(断線)故障を指す。バイパス回路の状態のうち、「正常」とは、短絡故障、及び/又は開放故障が生じていない、正常状態を指す。バイパス回路は、発電回路に問題が生じた際、発電回路を迂回して電流を流すように働く。例えば、あるクラスタ300Aに影がかかり、発電不能となった場合、バイパス回路に電流を流すことによって、影となったクラスタ300Aに電流が流れてエネルギ損失を回避できる。

0063

本発明において「発電回路」とは、太陽電池モジュール300内の発電回路を指す。例えば、特定のクラスタ300Aに故障や異常が発生していない通常の場合、該クラスタ300Aを構成する各セルには電流が流れるが、このような各太陽電池セル300aを介する回路を指す。発電回路の発熱・高温の状態のうち、「開放」とは、開放(断線)故障を指し、例えば発電回路が物理的に切れている状態、又は、発電回路を構成する材料の不良等に起因して電気的に切れている状態等であり、通電できない又は通電の確認ができない状態を指す。発電回路の発熱・高温の状態のうち、「正常」とは、開放故障が生じていない、正常、を指す。

0064

判定部24では、熱画像が抽出及び補正されて熱画像蓄積部26に蓄積された太陽電池の熱画像をもとにして、合計6種類の診断パターンを正しく分類判定できるように、特徴抽出の最適化が手動及び/または自動で行われる。判定部24では、最適化された該特徴量を利用して、診断対象となる熱画像と各診断パターンとがどれだけ類似しているかを表す類似度を算出する。算出された各診断パターンとの類似度は通知部27及びフィードバック部25に出力される。各診断パターンとの類似度が各々算出されることにより、太陽電池モジュール300内部の状態を6パターンに分類することが可能となる。

0065

ここで「特徴量」とは、そのデータが持つ「特徴」を数値化又は数式化したものを指す。「特徴」とは、例えば、データが画像であれば被写体の大きさ、形状、配置、頂点の位置、色、及び輝度など、該画像に何が写っているかを判定するために必要となり得る要素全てを指す。この特徴を抽出することを「特徴抽出」と呼び、「特徴抽出」とは、すなわち対象となる画像や文章等の非定型データから正しく判定及び分類するのに有効と思われる特徴を取り出すことを指す。また、前記「類似度」を「特徴量」に含めることもできる。

0066

本発明では、太陽電池モジュール300内のバイパス回路の発熱状態と発電回路の発熱状態から、ホットスポットと呼ばれる点状の異常発熱状態や帯状に表れるホットストライプと呼ぶ線状の異常発熱状態を、特徴として特徴抽出する。又、太陽電池モジュール300内のバイパス回路の発熱状態と発電回路の発熱状態を特徴としてもよく、解析アルゴリズムにより特徴量を算出して分類判定することで特徴抽出する。

0067

特徴抽出の方法は、特に限定はされないが、例えば従来の機械学習手法により人間が行っても良く、深層学習(Deep learning)により自動で行っても良い。従来の機械学習手法により人間が特徴抽出の方法を設計する場合、特徴量としては例えば従来から知られているSIFT特徴量やSURF特徴量等の特徴量を用い、その特徴量を基に分類アルゴリズムにかけて分類するという方法が考えられる。また深層学習による自動で特徴抽出を行う方法では、特徴抽出がアルゴリズムに組み込まれ、例えば重み付けや特徴量の最適化など、抽出すべき特徴の選択自体も機械に学習させるため、人間による特徴量の設定等の必要なく、データの分類判定が可能である。

0068

フィードバック部25は、診断結果の熱画像データを再度学習データとして利用するフィードバック工程のために設けられ、学習データの蓄積数を増やすことで診断精度を向上させる(図2A)。

0069

熱画像蓄積部26は、判定部24により診断が行われた熱画像を、抽出された特徴量及び算出された類似度のデータとともに、データとして蓄積する(図2A)。また以前に撮影されてモジュール抽出部23により抽出、及び補正された太陽電池モジュール300の熱画像も、特徴量及び類似度のデータとともに蓄積されている。なお、クラウド型の熱画像蓄積部26を本発明に適用することが好適である。熱画像の蓄積が増すことで、正確な診断が可能となる。また、熱画像蓄積部26に蓄積する熱画像を、特定の太陽光発電設備、又は特定の型式の太陽電池モジュール300とすることで、特定の太陽光発電設備、特定の型式の太陽電池モジュール300の診断に特化した診断精度の高い診断システムを構築できる。

0070

通知部27は、診断が行われた太陽電池モジュール300の熱画像について、算出された各診断パターンとの類似度を表示部21に表示する(図2A)。

0071

(第2の実施の形態)

0072

図3は、太陽電池診断システム100の一構成例を示すブロック図である。熱画像診断部2は、モジュール抽出部23、温度スケール設定部28、判定部24、フィードバック部25、熱画像蓄積部26、及び通知部27を備える。第1の実施例と重複する説明は省略する。

0073

第2の実施例では、温度スケール設定部28を備え、モジュール抽出部23から、温度スケール設定部28を介して、熱画像撮影部へ最適な温度スケールの情報が出力される。

0074

モジュール抽出部23は、撮影した熱画像の中から、太陽電池アレイ3、ストリング30、及び/又は太陽電池モジュール300を抽出し、温度スケール設定部28に出力する。温度スケール設定部28は、抽出された太陽電池全体の温度分布範囲、又は太陽電池の所望の一部、例えば太陽電池モジュール300の温度分布範囲が、包括的に含まれる範囲に温度スケールを自動で設定する。設定された温度スケールは、熱画像撮影部1に出力される。熱画像撮影部1では、設定された温度スケールに基づき、熱画像を再度撮影する。

0075

これにより、太陽電池に対して高分解能な温度スケールの熱画像が得られる。また従来よりも小さな温度差を認識できるようになり、その後の判定精度を高めることができる。

0076

また、第1の実施例では、太陽電池モジュール300の抽出の一部である、太陽電池モジュール300の最外郭の4点の座標の範囲指定、及び表示部21に表示された熱画像の太陽電池モジュール300の数の入力を、操作者が入力部22で行ったが、第2の実施例では、操作者を介することなく、モジュール抽出部23が自動で行う。すなわち、モジュール抽出部23は入力部22としての機能を含む。

0077

モジュール抽出部23は、1つの太陽電池モジュール300を自動で抽出する際、例えば画像処理で使用される直線検出手法を採用する。直線検出手法としては例えばHough変換(ハフ変換またはHough Transform)方法を用いて、太陽電池モジュール300の縦線m7及び横線m8(輪郭)の直線を検出し、さらにその交点を算出する事により太陽電池モジュール300の最外郭の4点を自動で算出する。ここで最外郭の4点(最外郭点)とは、第1の実施の形態で上述したように、表示された熱画像の中に、1つの太陽電池モジュール300としてその全体を切り出し可能な太陽電池モジュール300が1つ以上存在する時、直線的に切り出すことのできる太陽電池モジュール300の4つの頂点を指す(図2B)。また太陽電池モジュール300の縦線m7とは、左右に2つに並べた太陽電池モジュール300と太陽電池モジュール300との間に生じた直線的隙間を指し、陰となることで温度が低くなっている部分である(図2B)。また太陽電池モジュール300の横線m8とは、上下に2つに並べた太陽電池モジュール300と太陽電池モジュール300との間に生じた直線的隙間を指し、陰となることで温度が低くなっている部分である(図2B)。またモジュール抽出部23は、最外郭の交点の数に応じて、表示部21に表示された熱画像の太陽電池モジュール300の数を自動で算出する。

0078

第2の実施の形態では、ハフ(Hough)変換を用いた。太陽電池モジュール300の縦線m7及び横線m8の直線を検出し、さらにその交点を算出する事により太陽電池モジュール300の最外郭(輪郭)の4点を自動で算出する。なお第1の実施の形態と同様、必ずしも最外郭に限定されることはなく、太陽電池モジュール300の頂点(例えば、図2Bに示したm5やm6等)の自動算出であってもよい。図3に示すように、直線抽出部H11は、最外殻抽出部H11と、交点検出部H12とハフ変換部H13を備えて、これらの処理により前記モジュール抽出部23で前記特徴量が抽出されて、判定部24で判定される。XY座標系を持つ画像の任意の点を通る直線は、ハフ空間上の座標(θ、ρ)に変換される。ハフ空間の座標(θ、ρ)に変換される直線の数を2次元配列[θ][ρ]を用いて集計する。そして、2次元配列[θ][ρ]の中で所定の閾値を上回る集計値を有する座標(θ、ρ)から、XY座標系の直線を検出する。熱画像内のそれぞれの点がハフ空間内の座標(θ、ρ)に変換されたとき、前記対象画像内のそれぞれの点の特徴量の大きさによって重みづけされた値が集計値に加算される。なお、前記温度スケール設定部28での太陽電池モジュールの温度分布範囲の検出とともに、太陽電池モジュール300の最外郭(輪郭)の4点を自動で算出することも可能である(図3)。

0079

撮影された熱画像には、太陽電池モジュール300のフレームに当たる部分又は太陽電池モジュール300間の温度が太陽電池表面の温度と異なる事が多く、直線的に表示されるため、上述のHough変換を用いることが可能である。診断対象の太陽電池モジュール300を自動で切り出し、太陽電池モジュール300の数を自動で算出することが可能となるため、操作者が介在する工程を省くことが可能になり、故障診断の自動化が達成でき、診断の迅速化に大きく寄与することができる。

0080

(第3の実施の形態)
本実施の形態の太陽電池診断システム100は、判定部24では人工知能を用いて太陽電池モジュール300の状態、すなわち「特徴量」(類似度を含む)を判定する。また以下に記載する構成により従来容易に察知できなかったバイパスダイオード300bの異常と正常状態の分離が可能となり、さらには、f1−score 0.97の分類性能を示すことが可能となる。その他、本実施の形態の太陽電池診断システム100に係る構成に関し、第1、2の実施の形態と同様の構成は、説明が重複するため省略する。なお本実施の形態では、判定部24は、第1、2の実施の形態と同様、太陽電池モジュール300の状態を6パターンとして分類及び/または判定しているが、これに限定されず、6パターン以上あるいは6パターン以下のパターン数として分類及び/または判定しても良い。

0081

「人工知能」とは一般に、コンピュータ等を用いて人工的に人間と同様の知能を実現させる試み、及び/またはその技術を指す。人工知能の一つとして機械学習があり、「機械学習」とは一般に、明示的にプログラムしなくても学習する能力をコンピュータに与える試み、及び/またはその技術を指す。機械学習の一つとして、多層構造のニューラルネットワークを用いた「深層学習(ディープラーニング)」がある。従来の機械学習では特徴量の抽出は人間が設計をして行うが、深層学習では、機械が自動でデータから特徴量を抽出し、取得する。ここで「特徴量」とは、人工知能の分野において学習データにどのような特徴があるのかを数値化したものを指す。深層学習における特徴量の自動抽出と取得にはAutoEncoderと呼ばれるニューラルネットワークが使われる。「AutoEncoder」は、入力層・中間層・出力層からなり、入力層と出力層に同じデータを用いて教師あり学習させるものである。AutoEncoderでは入力されたデータを出力で復元させることで、中間層では入力データが圧縮されて特徴が凝縮されるため、特徴量が自動で抽出されることとなる。なお、上記「特徴量」に後述する「類似度」を含めて、バイパス回路の短絡と開放や、発電回路の断線等の異常発熱状態を判定しても良い。
本発明の太陽電池診断方法では、太陽電池表面を熱画像として撮影する熱画像撮影ステップ(第1ステップ、S11)と、太陽電池モジュール又は太陽電池アレイの全体又は一部のバイパス回路の発熱状態と発電回路の発熱状態の特徴量を抽出する特徴量抽出ステップ(第2ステップ、S12)と、撮影された前記熱画像と熱画像に表れる異常発熱状態の前記特徴量との類似度を判定する判定ステップ(第3ステップ、S13)とを順次行う。そして、前記判定ステップ(第3ステップ、S13)において、故障(異常発熱状態)の類似度を判定したり、熱画像の歪みを判定したり、又、これらの組み合わせを判定したり、さらに、これらを人工知能の処理を行ったうえで判定する。

0082

深層学習において中間層が複数層(2層以上)あるニューラルネットワークは、「ディープ・ニューラルネットワーク」と呼ばれる。ディープ・ニューラルネットワークの構造で教師有り学習を上手く行うモデルとして、畳み込みニューラルネットワーク(Convolution Neural Network)がある。「畳み込みニューラルネットワーク」では畳み込みのフィルタ処理により特徴量を抽出する手段が用いたられており、畳み込みニューラルネットワークがある。畳み込みニューラルネットワークの学習では、教師付き学習前提として、バックプロパゲーション(誤差逆伝播法)を用いた勾配降下最適化法で学習する。中間層が複数層ある場合、バックプロパゲーションでは、一般に、不適切極小解に収束してしまうことが知られている。そこで中間層を複数層とする際に、中間層はまず1層だけ作り、次に出力層を取り除いて中間層を入力層と見なし、中間層を新たにもう1層作り、積み上げる。このように繰り返して作る方法をStacked AutoEncoderと呼ぶ。Stacked AutoEncoderは、AutoEncoderを積み重ねたもので、ディープラーニングにおいて事前学習を行って特徴量を抽出する教師無し学習モデルの一つである。

0083

(深層学習による熱画像の分析)
熱画像の取得方法、精度向上に必須となるデータ拡張方式、提案分類器である畳み込みニューラルネットワークの構造を示す。

0084

本実施の形態では、深層学習を用いた故障診断の実現に向け、バイパス回路の状態(正常、開放、短絡)、発電回路の状態(正常、断線)が異なる6種類のモジュールを用意し、半年間の熱画像を蓄積した。蓄積したデータの中で、学習に適したと判断される1400枚の熱画像を本実施の形態の材料として利用した。

0085

本実施の形態では、判定部24の構成として深層学習を選択し、なかでも畳み込みニューラルネットワークを採用した。すなわち、窓と畳み込み、及びpoolingなどを用いた位置依存性の解消、及びデータと誤差信号に基づき生成した特徴量を用いる等の、畳み込みニューラルネットワークを適用した。

0086

図11の状態01、03、06のように肉眼で容易に相違点が察知できない場合や、状態04、05のようにアフィン変換にて類似度が上昇するクラス同士が存在する場合などでは、従来の画像処理だけでは高い精度を出すことが難しくなる。熱画像における画像分類問題は、上記の問題に加え、特徴の位置依存性や特徴量の定義が難しいが、本実施の形態では判定部24において畳み込みニューラルネットワークを用いることによりこれらを解消できる。

0087

学習用に蓄積した熱画像の総数が1400枚と深層ニューラルネットワークの学習には不十分である。このことから、本実施の形態では、P.Vincent,et al.,“Stacked denoising autoencoders:Learninguseful representations in a deep network with a local denoising criterion,”Journal of Machine Learning Research,pp.3371−3408,Dec.2010.の文献に示されるような、Stacked Auto−encoderの手法や、N.Srivastava,et al.,“Dropout:a simple way to prevent neural networks from overfitting,”Journal of Machine Learning Research,vol.15(1),pp.1929−1958,2014.の文献に示されるような、Dropoutの手法を導入して過学習や勾配消失の問題の緩和を図った。特に、過学習の問題を解決するために、適時データを拡張する手法についても検討した。

0088

以上の内容を踏まえ、以下では、1.熱画像データ蓄積、2.学習データの拡張、及び3.畳み込みニューラルネットワークについて、さらにその詳細を記載する。

0089

(1.熱画像データ蓄積に係る装置及び方法)
汎化能力を高めるためには、異なる状態の太陽電池モジュール300をさまざまな撮影条件の元で撮影し、熱画像データを蓄積する必要がある。しかし、太陽電池の熱画像の撮影においては、撮影条件によって太陽電池の発熱特性が全く現れない場合もあり、許容できる撮影条件についての検討が必要となる。

0090

図4に、撮影角度αによる熱画像の差異を示す。本実施の形態で対象とするシリコン製の多結晶セルモジュールにはセル保護のためグラス製のウェハーが表面に取り付けられており鏡面反射が行われる。よって、撮影角度αによっては反射率が高くなり発熱を捉えられなくなり、撮影者周りビルなどの影が映り込む恐れもある。

0091

実験的に、放射率がほぼ一定となる撮影角度αの範囲や放射率が急激に低下する撮影角度αの範囲を評価した。垂直方向、水平方向両方、太陽電池モジュール300の設置面の法線から50°までは放射率がほぼ一定と維持されるが、約60°を超えた時点では急激に放射率が低下した。赤外線サーモグラフィ等の撮影では、ガラス反射太陽光の放射率に影響する。このため、熱画像(赤外線画像)の撮影の際には、法線からの偏角(撮影角度α)は50°以下を保つことを規定した。また、隣のビルやの影が写り込んだイメージは排除し、太陽電池モジュール300を真上から撮影した画像と同じパターンと見なされるデータだけを学習させるように手作業にて画像を選別した。熱画像撮影条件を以下の表3にまとめた。また、表4に、熱画像データ詳細として、クラス(状態)ごとの蓄積した熱画像数を示す。

0092

0093

0094

(2.学習データの拡張に係る装置及び方法:データ拡張(DataAugmentation))
データ拡張により学習データ数を増加させることができる。しかしながら、元データが持つ特性を十分に考慮しないと、モデルの汎化性能の低下及び精度低下を招くことになる。本実施の形態では、A.Krizhevsky,et al.,“Imagenet classification with deep convolutional neural networks,”Advances in Neural Information Processing Systems,vol.25,pp.1106−1114, 2012.の文献に示されるような、AlexNetの構造を参照するともに、太陽電池熱画像の本来の意味をなくさないように調整を加え、データ拡張を行う。

0095

本実施の形態において発明者らの行ったデータ拡張の例を図5に示す。本実施の形態では、反転上下反転)S1、ランダムクロップS2、回転変換S3の手法を用いる。

0096

まず、反転S1によるデータ拡張作業について述べる。今回設置した太陽電池モジュール300は発電回路とバイパス回路を加工しているが、一つの太陽電池モジュール300には3つのクラスタ300Aが含まれているため、クラスタ300A単位で発熱する場合は、同じ故障状態で発熱の位置だけが異なる場合も十分あり得る。一方、バイパスダイオード300bを格納するジャンクションボックス300cは太陽電池モジュール300ごとに一つしか存在しないため、その発熱に起因したホットスポットは非常に位置依存性が高い。これらのことから、反転S1によるデータ拡張作業においては上下反転S1だけを利用し、左右反転は利用しない。

0097

次に、ランダムクロップS2と回転変換S3について述べる。太陽電池モジュール300ごとの熱画像において、熱画像の縁の部分は太陽電池モジュール300間の境界線境界領域)を含む可能性が高く、含まない場合でも隣接する太陽電池モジュール300によって影響を受けている可能性があるため、内部状態の診断の際には無視することが望ましい。ランダムクロップS2と回転変換S3は、両方とも熱画像の縁の部分の有意性(熱画像において意味がある部分とみなされる可能性)を下げることに貢献する。ここでは、入力画像を縁から最大10%までランダムクロップS2しデータを拡張し、また各画像を±2.5°回転S3させることでさらにデータを拡張した。

0098

以上の作業から、1400枚のデータ中でテストセット280枚を除く1120枚のデータを5600枚に拡張した。

0099

(3.畳み込みニューラルネットワークの導入に係る構造及び方法)
図6Aに、設計した畳み込みニューラルネットワーク240の構造を示す。本ネットワークは、入力層P1と出力層P4、またその間に5つの畳み込み層P2と2つの全結合層P3を有する。入力層P1と出力層P4のニューロン数はそれぞれ入力層P1が3×32×64=6144、出力層P4が1×6×1=6となる。出力層P4の各ニューロン数はそれぞれ表4の状態の数(状態01〜06)に対応する。出力層P4の活性化関数はsoftmax関数を採用し、入力画像が状態01〜06のどの状態に該当しているかを確率的に表す。

0100

畳み込み層P2における最初の畳み込みP2aは、入力層P1に次いで位置する(図6A)。ここでは、5×5のサイズの窓を用い畳み込みを行い、16チャネルフィルタを生成する。前述した境界線の問題や、ホットスポットとホットストライプが混在する特性などを考慮し、窓のスライド単位は1とし、zero−paddingは採択しない。最初の畳み込み層P2aに次いで、2×2サイズの窓を用いたmaxpooling層P2bを置く。さらに、32チャネルのフィルタを生成する畳み込み層P2cと2×2サイズの窓を持ったmaxpooling層P2dを置く。その後p=0.5のDropout層P2eを通した出力を1024次元の全結合P3に渡し、またp=0.5のDropout(P3a)を適用する。出力層P4以外の活性化関数はすべてReLUにて統一する。

0101

この構造詳細はKrizhevskyらの、AlexNetの構造とほぼ同様であり、比較的に簡単な構造としているが、最初の畳み込み層P2aにおける特徴抽出にアンサンブル性を持たせない上、データの次元に比べクラスの数が少ないことを配慮しDropout(P3a)を全結合層P3にも適用した点で相違がある。また、タスクの複雑さや画素数を考慮して、元画像の0.4%の面積を持ったフィルタ(5×5、Small size filter)を持った構造を採用しているが、このフィルタのサイズは,セル単位の発熱として現れるホットスポットのサイズがおよそ5×5であり,クラスタのサイズがおよそ10×64であることから採用している。

0102

(3−2.畳み込みニューラルネットワークによる判定方法
図6Aを用いて、畳み込みニューラルネットワーク240により、太陽電池の熱画像の状態を状態01〜06に識別して診断する方法を説明する。太陽電池診断システム100の判定部24は畳み込みニューラルネットワーク240を備え、入力層P1に診断対象となる熱画像がデータとして入力される。入力層P1の熱画像は、畳み込み層P2を経て、全結合層P3で1024次元の特徴量が抽出される(図6B)。出力層P4は分類したいクラス(状態01〜06)と同じ数の6のユニットで構成され、かつ出力層P4では活性化関数のSoftmax関数が用いられるため、ニューラルネットワークの出力があたかも6種類の状態のうちのあるクラス(状態01〜06のいずれか)に属する確率を表しているものとして学習させることができる。すなわち、全結合層P3で抽出された1024次元の特徴量は、出力層P4において、診断対象となる入力画像が状態01〜06のどの状態に該当しているかを0〜1の数値の範囲で確率的に表され、グラフP5に出力されることとなる。なおグラフP5の横軸は、6つのクラス(状態)であり、縦軸はSoftmax関数の値である。

0103

本実施の形態において、判定部24で算出される「類似度」とは、Softmax関数による算出値(グラフP5の縦軸の数値)である。Softmax関数による算出値とは、一般に公知であるが、以下、Softmax関数による算出値を導出する一例を示す。

0104

一般に、人工ニューロンは1つ以上の入力を受け取り、それらを重み付けした総和uを活性化関数φに渡して出力yを生成する。まず、人口ニューロンへの全入力について各ノードに重み付けされた総和uは、nを入力数、wを重み付けベクトル、xを入力ベクトルとした時に、以下の数式(1)によりあらわされる。

0105

通常、この各ノードに重み付けがされた総和uが、活性化関数φに渡されて、出力yが算出される。例えば以下の数式(2)のように、出力yは、総和uにバイアス値bを加え、活性化関数φを通して算出される。

0106

ここで、活性化関数φがSoftmax関数の場合、活性化関数φは、Kをクラス数として、以下の数式(3)により表される。K個のクラスに分類するとして、出力はK個、総和は1となり、出力yはそのクラスに所属する確率と解釈できる。

0107

このようにして算出された出力yが、Softmax関数による算出値であり、本実施の形態において、判定部24で算出される「類似度」である。

0108

なお、本実施の形態の類似度を使用して、図2Cで示すように、診断履歴画面に類似度を表示することができる。このとき、図2Cにおける類似度1の欄に表示される値は、状態01のクラスに所属する確率(状態01の類似度)であり、類似度2の欄に表示される値は、状態02のクラスに所属する確率(状態02の類似度)であり、類似度3の欄に表示される値は、状態03のクラスに所属する確率(状態03の類似度)であり、類似度4の欄に表示される値は、状態04のクラスに所属する確率(状態04の類似度)であり、類似度5の欄に表示される値は、状態05のクラスに所属する確率を示す値(状態05の類似度)であり、類似度6の欄に表示される値は、状態06のクラスに所属する確率を示す値(状態06の類似度)であり、これらは全て0〜1の範囲の値をとる。

0109

判定部24は、学習処理によって予め学習され、最適化されたフィルタ係数を有する畳み込みフィルタ(最適な重み付け及び/または特徴抽出がなされたフィルタ)を備えることで、入力された熱画像に写っている太陽電池の画像認識処理を行うことができる。

0110

(学習処理について)
畳み込みニューラルネットワークにおいて、判定部24が有する、認識処理に用いる畳み込みフィルタ係数は、ラベル真値)付き学習データ集合を用いて学習処理されることで最適化され、最適な重み付け及び/または特徴抽出がなされる。

0111

ニューラルネットワークでの学習原理は、正しさ尺度となる誤差関数の最小化を考える。入力ベクトルの集合{xn}(n=1、2、・・・、N)、出力ベクトルの集合を{yn}(n=1、2、・・・、N)、目標ベクトル(真値)の集合を{tn}(n=1、2、・・・、N)とする。誤差関数E(w)として、例えば、交差エントロピー関数が用いられるとすると、誤差関数E(w)は以下の数式(4)で示され、学習としてはE(w)が最小になるような重み(重み係数)wを求めることとなる。

0112

学習に用いる最適化手法は確率的勾配降下法(stochastic gradient descent、SGD)を利用する。本実施の形態においては、特に、Y.Nesterov,“A method for unconstrained convex minimization problem with the rate of convergence O (1/k2),”Doklady anSSSR,Vol.269(3),1983.の文献に示されるような、nesterov momentum(Nesterov accelerated gradient)を採用し、学習率は0.01、maxepochsはearlystopを適用した上、1000とした。学習用のデータは前述した拡張を終えた5600枚を用いる。

0113

確率的勾配降下法は、最急降下法を改良したものであり、最急降下法とは以下の式(5)により表される。最急降下法では現在の重みwtの勾配∇E(wt)を計算し、勾配∇E(wt)に学習率ηを掛けたもので重みwtを重みwt+1に更新し、誤差関数E(wt)が最小化されるまでその反復を繰り返す。

0114

なお誤差関数E(wt)が、訓練データをN個有する場合、N個の関数に分解可能であり、誤差関数E(wt)は、それぞれの訓練データから得られる誤差の和として、式(6)のように表せる。

0115

出力のラベル(真値)は使用者により予め付与されており、確率的勾配降下法は、識別処理された出力値と真値との誤差に基づいて、出力層に近傍するフィルタ係数から前方へ向けて、順々にフィルタ係数を修正する。確率的勾配降下法では、複数の画像で認識処理を行った累積誤差に基づきフィルタ係数の修正を行うため、単一の画像での誤差に基づいてフィルタ係数を修正する場合と比べて、学習時の偏り振動が減る。

0116

ここでモーメントを付けて位置を更新する場合をモメンタムと呼ぶ。モメンタムは以下の式(7)のように表され、現在の重みwtでの勾配∇E(wt)に学習率ηを掛けたものに加えて、前回更新量に対して減衰率γ(例えば0.9)を掛けたものを使って重みを更新することを繰り返して、誤差関数E(wt)を最小化する。

0117

さらに、nesterov momentum(Nesterov accelerated gradient)は、以下の式(8)のように表され、簡潔には、現在のパラメータに関する勾配計算ではなく、次の位置のパラメータの近似値を用いて学習を効果的に進める方法である。

0118

以上のようにして出力結果(入力画像が識別された結果)と真値とを比較し、フィルタ係数の更新を繰り返すことで、入力画像の識別が容易となるフィルタ係数の最適化(最適な重み付け及び/または特徴抽出)が可能となる。

0119

以上のように判定部24を構成することで、本実施の形態の太陽電池診断システム100及びその方法が構成されるが、以下ではテストセットを用いたシミュレーションの結果を評価し考察することで、本実施の形態の太陽電池診断システム100及びその方法の効果を示す。

0120

(本実施の形態の装置及び方法の効果)
図7に、学習データ(train)とテストデータ(valid)における誤差関数値推移を示す。X軸がepochであり、Y軸が誤差関数の対数値である。epochとは利用した学習データに対して更新を終えるサイクルを指し、一般に、epochを何回か繰り返して学習する。学習データによる誤差が優位であることから、一部過学習が発生していることが分かるが、学習データとテストデータの両方とも減少の傾向を示していることから、有意な学習が進められていることが分かる。

0121

図8はテストデータを用いたシミュレーションの結果を示す。判定精度をPrecision(適合率)、Recall(再現率)、F1値F値)で評価する。PrecisionとRecallとF1値とは以下の数式(9)で算出される。なおSupportとはテストデータ中の正解数である。
(数9)
Precision(適合率)=システムの正解数/システムの出力数
Recall(再現率)=システムの正解数/テストデータ中の正解数
F1値(F値)=2×Precision×Recall/(Precision+Recall)

0122

一般に、PrecisionとRecallにはトレードオフの関係にあり、どちらかを高くするともう一方が低くなる傾向にあるため、機械学習においては」PrecisionとRecallの両方が高くなるように試みがなされる。そこでPrecisionとRecallを調和平均することによって組み合わせた、F1値という評価尺度が利用される。図8の結果から、PrecisionとRecallの全状態における平均値が両方0.97を記録していることが確認できる。一方、正常状態のRecallだけが0.87となっており、他状態より比較的に低く評価されている。これは発熱や歪曲などにネットワークが過剰に敏感であることを示しており、学習に用いた正常状態の熱画像が、異常状態の画像より数少ないことに起因していると考えられる。これは、不均等データを補う方向の追加学習を行うことで、本ネットワークのさらなる性能向上が期待できることを示唆する。

0123

図9に畳み込み層に位置するフィルタを画像として表す。物体認識にて用いられる深層学習モデルでは、一層目の畳み込み層に位置するフィルタには、Edge(色や濃淡が変化する境目)や、Blob(画像内に存在する同じグレイスケールの集合体であり、同濃度の画素かたまり)などの、プリミティブな情報を抽出し、反応するフィルタとして、EdgeとBlobのパターンが現れることが多い。しかしながら、図9の結果からは、一層目のフィルタにてEdgeの形はほとんど見られない。

0124

小規模のデータにて分類問題を解決する際には学習済みのネットワークを用いる転移学習のアプローチが主流となっている。転移学習とは、既に学習したモデルを別の領域に適応させる技術のことであり、多くのデータ収集ができる領域で学習したモデルを、データ収集が困難な別の領域に適応させるなどの使い方がなされる。しかしながら、図8及び図9の結果は、この問題を解決するのに必要な基盤ドメインが、一般の物体認識や分類問題にて用いられるネットワークとは異なることを示唆している。上記の内容から、本実施の形態で行ったフルスクラッチ分類器生成が有用であることが分かる。

0125

本実施の形態では、太陽電池熱画像から異常要因を特定する深層学習構造を提案し、その学習に必要なデータの蓄積や学習手法、またテストセットを用いたシミュレーションの結果を示した。バイパス回路と発電回路から6つのクラスを定義し、それらの分類問題を解く畳み込みニューラルネットワークを構築し、収集された1400枚の熱画像を適時拡張し学習させることで、テストデータにてf1−score 0.97の分類性能を示すことが可能となった。従来、容易に分類できないバイパス回路の開放状態などの分類精度が向上した。

0126

本実施の形態では抽出・補正された太陽電池モジュールを上述の6種類に分けて、それらの特徴を抽出する。そして畳み込みニューラルネットワークの全結合層出力を特徴として扱う手法に取り組んだ。

0127

本実施の形態では、熱画像の6状態を分類することが、物を区別するドメインと違う能力を要するであろうことに着目し、収集されたイメージを適時増加させフルスクラッチビルドを行う方法により畳み込みニューラルネットワークの構築を行った。モデルの構成においては、窓の形、Pooling層、DropOut層を太陽電池の物理的構造に合わせた。特に、各太陽電池モジュール300が3つのクラスタ300Aに構成され、各異常状態はクラスタ300Aごとに独立に現れるとの推測から、窓を長細く設定したことで分類性能が向上した。これらの工夫から、交差検証によって0.94〜0.95のf1−scoreを有するConvolution Neural Networkを構築できた。またこれらのConvolution Neural Networkの全結合層出力を特徴量として用いたRanom Forest構造を導入した。これは故障のものを非故障と診断することが非故障のものを故障と診断することより致命的であることから導入したものであり、Neural Networkの精密性希釈することで、擬陽性犠牲にし、偽陰性を緩和する効果を持つ。これらの工夫を導入することで、f1−scoreが約0.97まで上昇することが確認できた。これらの工夫から本実施の形態を採用することで、転移学習による方法と比較して、ホットスポットやホットストライプが生じないバイパス回路の開放状態に対する識別能力を向上させることが可能である。

0128

(第4の実施の形態)
一般に大規模データにて十分に学習された畳み込みニューラルネットワークは、ドメインに対する抽象化された識別能力を有する。その識別能力はモデルを構成する際、暫定したタスクではないものに対しても、目標ドメイン元ドメインと何らかの共通点を持っているのであれば、高い精度を示すことが最近の研究により示されている。このような学習方法を転移学習と呼ばれる。本発明では転移学習による方法も検討した。ImegeNetやCifar−10など様々なものを含む大規模データセットから生成された畳み込みニューラルネットワークを転移させ、太陽電池モジュールの識別器生成に取り組んだ。6状態に対する識別能力はf1−scoreを基準として約0.80までとなった。以上のように、本実施の形態はその趣旨を逸脱しない範囲で、変更及び拡張を行うことができる。

0129

1熱画像撮影部、
2 熱画像診断部、
3太陽電池アレイ、
23モジュール抽出部、
24 判定部、
25フィードバック部、
26 熱画像蓄積部、
27通知部、
28 温度スケール設定部、
30ストリング、
100太陽電池診断システム、
101太陽光発電システム、
300 太陽電池モジュール

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