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課題
解決手段
概要
背景
土木作業や建築作業の中には、熟練した作業者と未熟な作業者とで完成品質が全く異なる作業がある。例えば、左官作業は熟練者にしか行えない高度な仕上がりを要求されるものがあり、未熟者が熟練者と同様の作業を行うことができるようになるには長期間を要していた。このような熟練者にしか行えない作業は、他の分野においても種々存在する。熟練者の動作を未熟者に教えることは容易ではなく、熟練者にしか解らない所謂コツがあるのも事実である。そこで、熟練者の動作を未熟者に教え込むための技術が種々提案されている(例えば、特許文献1〜特許文献4参照)。
特許文献1には、芸能人やスポーツ選手等との握手を利用者に体感させたり、書道、スポーツ、機械や乗り物の操縦等の特殊な技能を保持する熟練者の動作を利用者に体感させたりするための技術が記載されている。この体験動作復元装置は、手の形をした装置の構成に準じて、ヒンジ、可動ヒンジ、曲げ機構を備えた板とアクチュエータおよびリンクがボディスーツのような形状を呈する同装置の内側に貼り巡らされ、第1の端末装置およびネットワークを介して第2の端末装置から送られたデータに従って身体の各部位を適宜曲げたり動かしたりするようになっている。これにより、体験者は当該装置を着衣することによりあたかも体験提供者のような動作を体験することができるとしている。
特許文献2には、現場熟練作業者の作業技能的なノウハウを体感する体感型訓練システムが記載されている。この感覚印加装置は、例えば、作業手袋や作業靴に内蔵した圧力印加装置であり、感覚取得装置で取得されたデータに基づいて技能取得対象物や技能取得工具、地面からの抗力又は抵抗感が加わるようになっている。また、訓練シミュレータ用計算機は、訓練者用端末表示手段、作業感覚印加手段及び物理量発生手段に、作業現場映像、熟練作業者の作業感覚及び物理量発生を再現するようになっている。これにより、熟練作業者による熟練作業を体感で学び、かつ体感で真似することができ、現場熟練作業者の作業技能的なノウハウを取得することができるとしている。
特許文献3には、競技指導者が競技中の競技者にリアルタイムに支援情報を提供できるようにするための技術が記載されている。この競技能力向上支援方法では、競技者に皮膚刺激を行う装置を装着させる。そして、「右移動せよ」を意味するものとして右個所の出力部から任意な皮膚感覚信号を発生させ、「左移動せよ」を意味するものとして左個所の出力部から任意な皮膚感覚信号を発生させ、「前移動せよ」を意味するものとして前個所の出力部から任意な皮膚感覚信号を発生させ、「後移動せよ」を意味するものとして後個所の出力部から任意な皮膚感覚信号を発生させるようにしている。
特許文献4には、熟練した技能者が塗装用手吹きガンを用いて塗装対象物を塗装したときの塗装用手吹きガンの動きを塗装用ロボットに容易に再現させるための技術が記載されている。この塗装用ロボットのティーチング装置は、塗装用手吹きガンに取り付けられて塗装用手吹きガンに作用する加速度を時系列で検出する加速度センサと、加速度センサにより検出された加速度を記憶する記憶手段と、記憶手段に記憶されている加速度に基づいて、塗装用ロボット20に塗装用手吹きガン10の動きを再現させるための位置制御データを生成する生成手段とを備えている。
概要
熟練者と学習者との間における属性(性別、年齢、体格、筋力、身長、握力、腕の長さ、脚の長さ等)の差違を考慮して、学習者に過度の負担を掛けることなく、熟練動作を適切に教示する。 熟練者の属性に関するデータを取得するための熟練者属性データ取得手段10と、熟練者の動作データを取得するための動作データ取得手段20と、取得した動作データを、熟練者の属性に関するデータと関連付けて記憶するための動作データ記憶手段30と、学習者の属性に関するデータを取得するための学習者属性データ取得手段40と、熟練者の属性と学習者の属性との差違に基づいて、記憶した動作データを学習者の属性に合わせて補正するための動作データ補正手段50と、補正した動作データに基づいて、学習者に熟練者の動作を再現させるための動作再現手段60とを備える。
目的
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 0件
- 牽制数
- 0件
この技術が所属する分野
請求項1
熟練者の属性に関するデータを取得するための熟練者属性データ取得手段と、熟練者の動作データを取得するための動作データ取得手段と、取得した動作データを、熟練者の属性に関するデータと関連付けて記憶するための動作データ記憶手段と、学習者の属性に関するデータを取得するための学習者属性データ取得手段と、熟練者の属性と学習者の属性との差違に基づいて、記憶した動作データを学習者の属性に合わせて補正するための動作データ補正手段と、補正した動作データに基づいて、学習者に熟練者の動作を再現させるための動作再現手段と、を備えたことを特徴とする熟練動作教示システム。
請求項2
前記動作データ取得手段は、それぞれ属性に関するデータが異なる複数の熟練者から動作データをそれぞれ取得し、前記動作データ補正手段は、複数の動作データの中から学習者の属性に関するデータに合致又は近似した動作データを選択することにより補正を行う、ことを備えたことを特徴とする請求項1に記載の熟練動作教示システム。
請求項3
前記動作データ取得手段が取得する動作データは、熟練者の動作に関する三次元データと時間データとを組み合わせて作成する、ことを備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の熟練動作教示システム。
請求項4
前記動作再現手段は、補正した動作データに基づいて、学習者の動作を許容又は制限する、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の熟練動作教示システム。
請求項5
前記動作データ取得手段が取得する動作データは、熟練者が動作した際の筋電情報とし、前記動作再現手段は、学習者の筋肉に動作データを直接入力して熟練者の動作を再現させる、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の熟練動作教示システム。
請求項6
前記学習者は、ロボットである、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の熟練動作教示システム。
技術分野
背景技術
0002
土木作業や建築作業の中には、熟練した作業者と未熟な作業者とで完成品質が全く異なる作業がある。例えば、左官作業は熟練者にしか行えない高度な仕上がりを要求されるものがあり、未熟者が熟練者と同様の作業を行うことができるようになるには長期間を要していた。このような熟練者にしか行えない作業は、他の分野においても種々存在する。熟練者の動作を未熟者に教えることは容易ではなく、熟練者にしか解らない所謂コツがあるのも事実である。そこで、熟練者の動作を未熟者に教え込むための技術が種々提案されている(例えば、特許文献1〜特許文献4参照)。
0003
特許文献1には、芸能人やスポーツ選手等との握手を利用者に体感させたり、書道、スポーツ、機械や乗り物の操縦等の特殊な技能を保持する熟練者の動作を利用者に体感させたりするための技術が記載されている。この体験動作復元装置は、手の形をした装置の構成に準じて、ヒンジ、可動ヒンジ、曲げ機構を備えた板とアクチュエータおよびリンクがボディスーツのような形状を呈する同装置の内側に貼り巡らされ、第1の端末装置およびネットワークを介して第2の端末装置から送られたデータに従って身体の各部位を適宜曲げたり動かしたりするようになっている。これにより、体験者は当該装置を着衣することによりあたかも体験提供者のような動作を体験することができるとしている。
0004
特許文献2には、現場熟練作業者の作業技能的なノウハウを体感する体感型訓練システムが記載されている。この感覚印加装置は、例えば、作業手袋や作業靴に内蔵した圧力印加装置であり、感覚取得装置で取得されたデータに基づいて技能取得対象物や技能取得工具、地面からの抗力又は抵抗感が加わるようになっている。また、訓練シミュレータ用計算機は、訓練者用端末表示手段、作業感覚印加手段及び物理量発生手段に、作業現場映像、熟練作業者の作業感覚及び物理量発生を再現するようになっている。これにより、熟練作業者による熟練作業を体感で学び、かつ体感で真似することができ、現場熟練作業者の作業技能的なノウハウを取得することができるとしている。
0005
特許文献3には、競技指導者が競技中の競技者にリアルタイムに支援情報を提供できるようにするための技術が記載されている。この競技能力向上支援方法では、競技者に皮膚刺激を行う装置を装着させる。そして、「右移動せよ」を意味するものとして右個所の出力部から任意な皮膚感覚信号を発生させ、「左移動せよ」を意味するものとして左個所の出力部から任意な皮膚感覚信号を発生させ、「前移動せよ」を意味するものとして前個所の出力部から任意な皮膚感覚信号を発生させ、「後移動せよ」を意味するものとして後個所の出力部から任意な皮膚感覚信号を発生させるようにしている。
0006
特許文献4には、熟練した技能者が塗装用手吹きガンを用いて塗装対象物を塗装したときの塗装用手吹きガンの動きを塗装用ロボットに容易に再現させるための技術が記載されている。この塗装用ロボットのティーチング装置は、塗装用手吹きガンに取り付けられて塗装用手吹きガンに作用する加速度を時系列で検出する加速度センサと、加速度センサにより検出された加速度を記憶する記憶手段と、記憶手段に記憶されている加速度に基づいて、塗装用ロボット20に塗装用手吹きガン10の動きを再現させるための位置制御データを生成する生成手段とを備えている。
先行技術
0007
特開2002−123165号公報
特開2004−240264号公報
特開2008−48972号公報
特開2011−45951号公報
発明が解決しようとする課題
0008
しかし、上述した従来の技術では、熟練者と学習者の性別、年齢、体格、筋力、身長、握力、腕の長さ、脚の長さ等からなる属性の差違を考慮していない。すなわち、熟練者と学習者の属性が同様であればよいが、両者の属性が異なる場合には、正確な動作を教示できない場合がある。
0009
また、例えば、学習者に装着具を装着させて熟練者の動作を教示する場合に、熟練者と学習者の属性が異なると、学習者に無理な動作(関節の可動範囲を外れる動作や筋力以上の重量物を持ち上げさせる動作等)を強いることとなり、学習者が怪我をする恐れがある。
0010
本発明は、上述した事情に鑑み提案されたもので、熟練者と学習者の性別、年齢、体格、筋力等の属性の差違を考慮して、学習者の属性に応じて適切な熟練動作を教示することが可能な熟練動作教示システムを提供することを目的とする。
0011
また、学習者に対して熟練者の動作を教示するための装置は、学習者の負担を軽減するために可能な限り小型であることが好ましい。
0012
本発明は、上述した事情に鑑み提案されたもので、熟練者と学習者との間における属性(性別、年齢、体格、筋力、身長、握力、腕の長さ、脚の長さ等)の差違を考慮して、学習者に過度の負担を掛けることなく、熟練動作を適切に教示することが可能な熟練動作教示システムを提供すること目的とする。
課題を解決するための手段
0013
本発明に係る熟練動作教示システムは、上述した目的を達成するため、以下の特徴点を備えている。すなわち、本発明に係る熟練動作教示システムは、熟練者属性データ取得手段と、動作データ取得手段と、動作データ記憶手段と、学習者属性データ取得手段と、動作データ補正手段と、動作再現手段とを備えたことを特徴とする。
0014
熟練者属性データ取得手段は、熟練者の属性に関するデータを取得するための手段である。動作データ取得手段は、熟練者の動作データを取得するための手段である。動作データ記憶手段は、取得した動作データを、熟練者の属性に関するデータと関連付けて記憶するための手段である。学習者属性データ取得手段は、学習者の属性に関するデータを取得するための手段である。動作データ補正手段は、熟練者の属性と学習者の属性との差違に基づいて、記憶した動作データを学習者の属性に合わせて補正するための手段である。動作再現手段は、補正した動作データに基づいて、学習者に熟練者の動作を再現させるための手段である。なお、学習者をロボットとすることが可能である。
0015
また、上述した構成からなる熟練動作教示システムにおいて、動作データ取得手段は、それぞれ属性に関するデータが異なる複数の熟練者から動作データをそれぞれ取得することが可能である。この場合、動作データ補正手段は、複数の動作データの中から学習者の属性に関するデータに合致又は近似した動作データを選択することにより補正を行う。
0016
また、上述した構成からなる熟練動作教示システムにおいて、動作データ取得手段が取得する動作データは、熟練者の動作に関する三次元データと時間データとを組み合わせて作成することが可能である。
0017
また、上述した構成からなる熟練動作教示システムにおいて、動作再現手段は、補正した動作データに基づいて、学習者の動作を許容又は制限することが可能である。
0018
また、上述した構成からなる熟練動作教示システムにおいて、動作データ取得手段が取得する動作データは、熟練者が動作した際の筋電情報とすることが可能である。この場合、動作再現手段は、学習者の筋肉に動作データを直接入力して熟練者の動作を再現させる。
発明の効果
0019
本発明に係る熟練動作教示システムによれば、熟練者と学習者との間における属性(性別、年齢、体格、筋力、身長、握力、腕の長さ、脚の長さ等)の差違を考慮して、熟練者の動作データを学習者の属性に適合するように補正することにより、学習者に対して適切な熟練動作の教示を行うことが可能となる。
図面の簡単な説明
0020
本発明の実施形態に係る熟練動作教示システムの概略構成を示す説明図。
本発明の実施形態に係る熟練動作教示システムの概略構成を示すブロック図。
本発明の実施形態に係る熟練動作教示システムで使用する熟練動作データの構成を示す説明図。
実施例
0021
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る熟練動作教示システムを説明する。図1〜図3は本発明の実施形態に係る熟練動作教示システムを説明するもので、図1は熟練動作教示システムの概略構成を示す説明図、図2は熟練動作教示システムの概略構成を示すブロック図、図3は熟練動作データの構成を示す説明図である。
0022
<熟練動作教示システムの概要>
本発明の実施形態に係る熟練動作教示システムは、例えば、土木作業(パワーショベル、ブルドーザ、クレーンの操作)、建築作業(壁塗り、カンナがけ、ノコギリ引き)や、その他の作業(マッサージ、調理、演奏等)において、熟練者の動作を学習者に教示するためのシステムである。この熟練動作教示システムは、図2に示すように、熟練者属性データ取得手段10と、動作データ取得手段20と、動作データ記憶手段30と、学習者属性データ取得手段40と、動作データ補正手段50と、動作再現手段60とを備えている。
0023
本発明の実施形態に係る熟練動作教示システムは、図1に示すように、熟練者の動作データと、性別、年齢、体格、筋力、身長、握力、腕の長さ、脚の長さ等の属性情報を取得して熟練動作データとして記憶する。また、学習者の性別、年齢、体格、筋力、身長、握力、腕の長さ、脚の長さ等の属性情報を取得し、学習者属性データテーブルを作成して記憶する。
0024
そして、学習者に熟練者の動作を教示する際に、熟練者の属性と学習者の属性との差違に基づいて、記憶した熟練動作データを学習者の属性に合わせて補正し、補正後の熟練動作データを学習者に対する再現データとして提供することにより、学習者に熟練者の動作を教示する。
0025
<熟練者属性データ取得手段>
熟練者属性データ取得手段10は、熟練者の属性に関するデータを取得するための手段であり、パーソナルコンピュータ及びこれにインストールされたソフトウェアと、パーソナルコンピュータに付帯する種々の機器により構成することができる。
0026
例えば、パーソナルコンピュータに接続されたキーボード、マウス、タッチパネル等の入力手段から入力された熟練者の属性に関するデータを取得する。また、熟練者の動作を撮影し、当該撮影画像を画像認識して特徴点を抽出することにより熟練者の属性に関するデータを取得してもよいし、熟練者に加速度センサ、ストレインゲージ、圧力計等の計測器を装着させ、当該計測器からのセンシングデータに基づいて熟練者の属性に関するデータを取得してもよい。
0027
取得した熟練者の属性に関するデータは、熟練者属性データとして、パーソナルコンピュータに付帯したHDD等に記憶する。この際、熟練者を識別するためのIDと、当該熟練者の属性に関するデータとが関連付けられて、熟練者属性データが作成される。なお、熟練者属性データは、動作データ記憶手段30に記憶する熟練動作データの一部としてもよいし、熟練者の動作データに関連付けて記憶してもよい。
0028
なお、熟練者の属性とは、性別、年齢、体格、筋力、身長、握力、腕の長さ、脚の長さ等のことであり、熟練者の動作に対して影響を与える種々の身体的要因が含まれる。学習者の属性についても同様である。
0029
<動作データ取得手段>
動作データ取得手段20は、熟練者の動作データを取得するための手段であり、パーソナルコンピュータ及びこれにインストールされたソフトウェアと、パーソナルコンピュータに付帯する種々の機器により構成することができる。
0030
例えば、熟練者の身体の適宜箇所(関節近傍、頭、腰、指先、足先等)に加速度センサ、ストレインゲージ、圧力計等の計測器を装着させ、当該計測器からのセンシングデータに基づいて熟練者の動作データを取得することができる。このように各種の計測器を動作データ取得手段20の構成要素とする場合には、熟練者属性データ取得手段10の機能を兼ね備えることができる。また、動作データは、熟練者が動作した際の筋電情報であってもよい。
0031
取得した熟練者の動作データは、熟練者の属性に関する情報と関連付けた熟練動作データとしてパーソナルコンピュータに付帯したHDD等に記憶する。この際、熟練者の動作データと熟練者属性データを同一のファイルである熟練者動作データファイルに含めてもよいし、熟練者の動作データと熟練者の属性データとを別個のファイルとして、両者を関連付けて記憶してもよい。
0032
動作データ取得手段20は、それぞれ属性に関するデータが異なる複数の熟練者から動作データをそれぞれ取得するように構成することが好ましい。このように、性別、年齢、体格、筋力、身長、握力、腕の長さ、脚の長さ等がそれぞれ異なる複数の熟練者から動作データを取得することにより、多様な属性を有する学習者に対して、より一層近似した動作データを取得することができる。
0033
動作データ取得手段20が取得する動作データは、熟練者の動作に関する三次元データと時間データとを組み合わせて作成することが好ましい。すなわち、熟練者の三次元動作を時系列的に取得することにより、複雑な動作であっても正確に再現することができる。
0034
<動作データ記憶手段>
動作データ記憶手段30は、動作データ取得手段20により取得した動作データを、熟練者の属性に関するデータと関連付けて記憶するための手段であり、パーソナルコンピュータに付帯したHDD等により構成する。なお、パーソナルコンピュータに付帯したHDD等の記憶手段は、他のデータを記憶するための記憶手段としても機能する。
0035
図3に、動作データ記憶手段30する熟練動作データの一例を示す。熟練動作データは、図3に示すように、どのような動作を行っているかを示す動作種別、熟練者を識別するための熟練者ID、熟練者の属性データ、実際に取得した動作データである実動作データファイルのファイル名等からなる。熟練動作データに含まれるデータは図3に示すものに限られず、必要なデータのみであってもよいし、他のデータを含んでいてもよい。
0036
なお、属性データは、熟練動作データファイルに含ませてもよいし、別データファイルとして、熟練動作データファイルに関連付けて記憶してもよい。また、実動作データは、熟練動作データファイルに含ませてもよいし、別データファイルとして、熟練動作データファイルに関連付けて記憶してもよい。
0037
<学習者属性データ取得手段>
学習者属性データ取得手段40は、学習者の属性に関するデータを取得するための手段であり、熟練者属性データ取得手段10と同様の構成とすることができる。すなわち、学習者属性データ取得手段40は、パーソナルコンピュータ及びこれにインストールされたソフトウェアと、パーソナルコンピュータに付帯する種々の機器により構成することができる。
0038
例えば、パーソナルコンピュータに接続されたキーボード、マウス、タッチパネル等の入力手段から入力された学習者の属性に関するデータを取得する。また、学習者の動作を撮影し、当該撮影画像を画像認識して特徴点を抽出することにより学習者の属性に関するデータを取得してもよいし、学習者に加速度センサ、ストレインゲージ、圧力計等の計測器を装着させ、当該計測器からのセンシングデータに基づいて学習者の属性に関するデータを取得してもよい。
0039
取得した学習者の属性に関するデータは、学習者属性データとして、パーソナルコンピュータに付帯したHDD等に記憶する。この際、学習者を識別するためのIDと、当該学習者の属性に関するデータとが関連付けられて、学習者属性データファイルが作成される。
0040
<動作データ補正手段>
動作データ補正手段50は、熟練者の属性と学習者の属性との差違に基づいて、記憶した動作データを学習者の属性に合わせて補正するための手段であり、パーソナルコンピュータ及びこれにインストールされたソフトウェアにより構成する。
0041
熟練者の属性と学習者の属性との差違とは、男性及び女性の区別、年齢の差、体格の差、筋力の差等のことであり、熟練者と学習者の動作に対して影響を与える種々の身体的要因に関する差違のことである。一般的に、男性は女性よりも体格がよいため筋力が強く、高齢者よりも若年者は筋力が強く、関節の可動範囲も広い。また、直接、筋力を比較して、両者の差違を求めることもできる。
0042
それぞれ属性に関するデータが異なる複数の熟練者から動作データをそれぞれ取得した場合には、複数の動作データの中から学習者の属性に関するデータに合致又は近似した動作データを選択することにより補正を行うことができる。
0043
このように、熟練者と学習者の動作に対して影響を与える種々の身体的要因に関する差違を求め、学習者に教示する熟練者の動作データについて当該学習者に適するように補正することにより、学習者に対して適切な熟練動作の教示を行うことができるとともに、学習者に無理な動作(関節の可動範囲を外れる動作や筋力以上の重量物を持ち上げさせる動作等)を強いることがなくなる。
0044
<動作再現手段>
動作再現手段60は、補正した動作データに基づいて、学習者に熟練者の動作を再現させるための手段であり、学習者の身体の適宜箇所(関節近傍、頭、腰、指先、足先等)に装着した補助器具や電流発生器からなる。すなわち、学習者の身体の適宜箇所にアクチュエータを備えた補助器具を装着させ、アクチュエータを動作させることにより、熟練者の動作を再現することができる。また、学習者の皮膚に電流発生器を貼り付け、電流発生器から発生する電流の強さに応じて学習者の筋肉を動かすことにより、熟練者の動作を再現することができる。
0045
動作再現手段60は、補正した動作データに基づいて、学習者の動作を許容又は制限することが好ましい。例えば、学習者に対して熟練者の手の動きを学習させる場合に、学習者は、熟練者の動作データの範囲内では何ら制限を受けずに手を動かすことができる。一方、学習者の手の動きが熟練者の動作データの範囲を超えそうになった場合に、それ以上、手を動かせないようにすればよい。このように、熟練者の動作データが補正されていることを前提として、熟練者の動作の範囲内で学習者の動作を許容又は制限することにより、学習者は模範となる動作を倣って適切な動作を再現することができる。
0046
<ロボットへの適用>
本発明に係る熟練動作教示システムは、ロボットに適用することができる。この場合、ロボットが学習者となり、ロボットの仕様諸元が学習者の属性に関するデータとなり、ロボットのアーム等を動作させるためのアクチュエータ等が動作再現手段60となる。このように、本発明に係る熟練動作教示システムをロボットに適用することにより、熟練者の動作をロボットに再現させることができる。
0047
10熟練者属性データ取得手段
20動作データ取得手段
30 動作データ記憶手段
40学習者属性データ取得手段
50 動作データ補正手段
60動作再現手段