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技術 切削インサート

出願人 日本特殊陶業株式会社
発明者 安藤巨樹長谷川拓哉藤元隆志
出願日 2017年7月18日 (3年7ヶ月経過) 出願番号 2017-139487
公開日 2019年2月7日 (2年0ヶ月経過) 公開番号 2019-018288
状態 特許登録済
技術分野 バイト、中ぐり工具、ホルダ及びタレット
主要キーワード テーパ座 ネジ締 陥没状 大切り クランプスクリュー 先端寄り部位 着座体 三角チップ
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2019年2月7日)のものです。
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図面 (11)

課題

三角などの多角形コーナ同形状で、その中心軸回り回転対称性を有して切れ刃が設けられてなる切削インサートで、高切り込みで、大径から小径加工のテーパ加工を伴う外径旋削加工用で、縦置きでホルダに固定され、横切れ刃すくい面ネガ状の横すくい角が付けられるもので、切り屑処理性を高める。

解決手段

多角形面140とその外周面110との交差160に横切れ刃210があり、その切れ刃のすくい面120と、該横切れ刃210と別の切れ刃200をなす前切れ刃220の逃げ面130とが外周面110にあるもので、逃げ面130に、当該横切れ刃210のネガ状の横すくい角αと逆のポジ状の傾斜角βを付け、すくい面120にブレーカ溝300を先後に延びる形で形成し、その逃げ面130に切り込ませ、すくい面120を分断する形で形成した。切り屑をこのブレーカ溝300の後端から後方に流れやすくした。

概要

背景

多角形で板状をなし、ホルダ縦置きでクランプ(固定)され、上記したような外径加工に使用される切削インサート(以下、単にインサートともいう)で、例えば、それが三角形で板状をなすものは、三角の各コーナに、その外周面すくい面が存するよう切れ刃を備えている。このようなインサートにおいて、切れ刃が、そのすくい面の一側(多角形面)に沿って、そのノーズ(先端)から後方に延びる横切れ刃主切れ刃)と、横切れ刃の先端からそれと鋭角をなすよう、斜め後方に延びる前切れ刃副切れ刃)を有するように形成されているインサート(突っ切り溝入れ用ではなく、三角形板状で縦置きクランプされる外径加工用のインサート)に係る先行技術文献は「特許文献」としては存在しない(調査しても確認できない)が、切削インサートを含む切削工具等を製造、販売する出願人の商品としては自身発行カタログ明記されているよう存在する(例えば、非特許文献1参照)。

このようなインサートにおいて各コーナに設けられた3つの切れ刃は、三角の中心軸回りに120度の回転対称性を有するよう形成されるのが普通であり、外径加工ではこれをホルダに縦置き状態でクランプして切削工具となる。そして、このような切削工具は、横切れ刃が、旋盤スピンドルの軸と例えば略垂直となるようにして刃物台に配置、固定され、前切れ刃を被削材の外周面に対向させ、例えば、所定の切り込み縦送り)を付与した状態の下で、これを相対的に横送りする(スピンドルの軸に沿う方向に動かす)ことで外径加工に供される。また、加工の進行による切れ刃(刃先)の寿命に対応して、別のコーナの同一形状の切れ刃に順次、刃先を交替してその加工に供される。

ところで、上記したような切削インサート(三角チップ)を縦置きでクランプするホルダのポケット(凹部)は、ホルダ(シャンク)のヘッドの側部(旋盤の主軸寄りの一側)に向けて開口され、かつ、上面(すくい面側)を開口するV字形の座面と、その奥の横向きの側壁とからなる形状を呈するのが普通である。図10は、上記したような切削インサート(三角チップ)10を、前記ホルダ400のポケットに固定した状態を説明するもので、同図−Aに示したように、上記切削インサート(三角チップ)10は、このようなホルダ400のポケットの側壁415に、三角チップの片側の多角形面(板面)150をあてがわせ、そのコーナを挟む2つの辺(外周面)を、V字形をなす座面413に着座させ、例えば、三角(多角形面)の中心に設けられたクランプ用の穴にクランプスクリュー止めネジ)450を通し、ポケットの側壁415に設けられたネジ穴にこれをねじ込むことで、縦置き状態で固定される。このようなV字形の座面413への縦置きによる固定により、大きな切り込み量の外径加工で、切削抵抗(発生する主分力)が大きい高負荷加工となる場合でも、切削インサート10の安定した固定が得られることになる。

また、このようなインサート10を固定するV字形の座面413は、側壁415に垂直ではなく、座面413の奥の側壁415側が、上下、左右に広くなるよう、その垂直に対し傾斜(逆テーパ)が付けられることがある(図10中の座面413の破線部参照)。そして、このようなポケットに固定される三角チップ10は、その隣接するコーナ相互間の面(外周面のうち三角の辺に沿う面)に、座面413の傾斜(逆テーパ)に対応して、側壁に押し付けられる側の三角の面(多角形面)150が、それと反対側の横切れ刃が設けられている側の三角形の面(多角形面140)より微量大きく形成される。これにより、コーナ相互間の面をなす、すくい面120は、各辺とも横切れ刃210側が低位をなし、その反対側が高位をなす、ネガ状の横すくい角となる傾斜(逆テーパ)が付けられる。このような座面413、及びすくい面120の傾斜に基づき、ポケットにクランプされるインサート10に、高負荷加工におけるような切削時の横送り分力Fが大きく作用しても、それが側壁からズレや分離を生じることの防止が図られている。

一方、このような切削インサート10による外径加工において、大きな切り込み(高負荷加工)で、外径加工をする場合には、発生する切り屑も、その切り込み量に対応して幅の広い切り屑となって排出される。このような幅の広い切り屑は、破断されにくく、カールするとしても比較的延びやすく、それが被削材の加工面に接触して傷を付け、面粗度低下を招く等の問題がある。よって、このような加工においても、切り屑の排出を如何に円滑に処理するかということが極めて重要である。この対策として、この種のインサートにも、切り屑の排出処理性(以下、切り屑処理性という)を高めるため、インサート10のすくい面120にはブレーカ溝チップブレーカ溝)30が設けられるが、このようなブレーカ溝30は、従来、インサートの製造過程で、砥石円形回転砥石)による研削で形成するというのが普通であり、そして、そのブレーカ溝30は、すくい面120において陥没し、横切れ刃210に沿ってその刃先から所定の溝幅で後方に延び、その砥石による研削加工上、そのすくい面において切り上げられるように設けられていた。

概要

三角などの多角形のコーナに同形状で、その中心軸回りに回転対称性を有して切れ刃が設けられてなる切削インサートで、高切り込みで、大径から小径加工のテーパ加工を伴う外径旋削加工用で、縦置きでホルダに固定され、横切れ刃のすくい面にネガ状の横すくい角が付けられるもので、切り屑処理性を高める。多角形面140とその外周面110との交差160に横切れ刃210があり、その切れ刃のすくい面120と、該横切れ刃210と別の切れ刃200をなす前切れ刃220の逃げ面130とが外周面110にあるもので、逃げ面130に、当該横切れ刃210のネガ状の横すくい角αと逆のポジ状の傾斜角βを付け、すくい面120にブレーカ溝300を先後に延びる形で形成し、その逃げ面130に切り込ませ、すくい面120を分断する形で形成した。切り屑をこのブレーカ溝300の後端から後方に流れやすくした。

目的

本発明は、こうした課題に鑑みてなされたもので、高切り込みで、大径から小径加工のテーパ加工を伴うような外径加工をするのに用いられ、縦置きでホルダに固定される切削インサートであって、高い固定力を要求されるため、その外周面であって横切れ刃のすくい面にネガ状の横すくい角(逆テーパ)が付けられる切削インサートでありながら、切り屑処理性にも優れた切削インサートを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

略多角形板状をなし、その多角形外周面すくい面が存するよう形成された切れ刃が、多角形の複数のコーナ同形状で、多角形の中心軸回り回転対称性を有して設けられてなる外径加工用の切削インサートであって、その複数の各切れ刃は、横切れ刃が一方の多角形面と前記外周面との交差に沿い隣接する2つのコーナ相互間に形成され、前切れ刃がその各コーナにおいて該横切れ刃とノーズを介して鋭角をなして形成され、前記隣接する2つのコーナ相互間の外周面は、当該切れ刃のすくい面と、隣接する別の切れ刃をなす前切れ刃の逃げ面を含むものとされ、当該切れ刃のすくい面は、当該切れ刃をなす前切れ刃と、その後方の隣接する別の切れ刃をなす前切れ刃との間において、該横切れ刃側が低位をなし、その反対側が高位をなすネガ状の横すくい角となる傾斜が付けられている一方、隣接する別の切れ刃をなす前切れ刃の逃げ面は、前記横切れ刃側よりもその反対側が低位をなす、前記ネガ状の横すくい角をなす傾斜と逆のポジ状の傾斜が付けられており、当該切れ刃のすくい面には、ブレーカ溝が、該横切れ刃に沿って該横切れ刃の先端から後方に向けて延び、かつ、前記ポジ状の傾斜が付けられている隣接する別の切れ刃をなす前切れ刃の逃げ面に切り込まれて該すくい面を先後に分断する形で形成されていることを特徴とする切削インサート。

請求項2

前記ブレーカ溝は、前記すくい面を先後に分断する後端寄り位置において、前記横切れ刃に沿う側の該ブレーカ溝をなす側壁が、該横切れ刃と反対側に向かって延びるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の切削インサート。

請求項3

前記ブレーカ溝は、その溝底最低部が前記横切れ刃の先端から後方に向かうにつれて該横切れ刃から離れるように形成されていることを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項に記載の切削インサート。

請求項4

前記横切れ刃は、その先端から後方に向かう所定範囲が、すくい面に対し、該先端から後方に向かうにつれて低位をなすように形成されており、そして、前記逃げ面に切り込まれている該ブレーカ溝を形成する前記横切れ刃側を向く側壁と、前記逃げ面との交差稜における前端の位置が、前記所定範囲の後端又はその近傍と、該ブレーカ溝を挟んで対向する位置となるよう、該ブレーカ溝が前記逃げ面に切り込まれていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の切削インサート。

請求項5

前記ブレーカ溝は、その溝幅が、前記所定範囲の後端又はその近傍まで、該横切れ刃の先端から後方に向かうにつれて広くなり、該ブレーカ溝の後端寄り部位におけるその溝幅が、その後端に向かうにつれて狭くなるように形成されていることを特徴とする請求項4に記載の切削インサート。

請求項6

前記ブレーカ溝は、前記横切れ刃から溝底の最低部までの溝深さが、前記所定範囲の後端又はその近傍まで、該横切れ刃の先端から後方に向かうにつれて深くなるよう形成されており、そして、その溝深さが最深である該後端又は該近傍から後方に向かうにつれて、溝底の最低部が高位をなすように形成されていることを特徴とする請求項4又は5のいずれか1項に記載の切削インサート。

請求項7

多角形面の中央にクランプスクリューを通す穴が貫通して設けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の切削インサート。

技術分野

0001

本発明は、旋削で、金属材料からなる丸棒等の被削材外径加工をするのに用いられる切削インサートスローアウェイ方式(刃先交換方式)等の切れ刃チップ)に関し、特に、被削材の外周面を大径から小径テーパ加工する外径加工や、外径が連続的に変化するような倣い加工を含む外径加工に適用可能な切削インサートで、多角形で板状をなし、ホルダ縦置きでクランプされる切削インサートに関する。

背景技術

0002

多角形で板状をなし、ホルダに縦置きでクランプ(固定)され、上記したような外径加工に使用される切削インサート(以下、単にインサートともいう)で、例えば、それが三角形で板状をなすものは、三角の各コーナに、その外周面にすくい面が存するよう切れ刃を備えている。このようなインサートにおいて、切れ刃が、そのすくい面の一側(多角形面)に沿って、そのノーズ(先端)から後方に延びる横切れ刃主切れ刃)と、横切れ刃の先端からそれと鋭角をなすよう、斜め後方に延びる前切れ刃副切れ刃)を有するように形成されているインサート(突っ切り溝入れ用ではなく、三角形板状で縦置きクランプされる外径加工用のインサート)に係る先行技術文献は「特許文献」としては存在しない(調査しても確認できない)が、切削インサートを含む切削工具等を製造、販売する出願人の商品としては自身発行カタログ明記されているよう存在する(例えば、非特許文献1参照)。

0003

このようなインサートにおいて各コーナに設けられた3つの切れ刃は、三角の中心軸回りに120度の回転対称性を有するよう形成されるのが普通であり、外径加工ではこれをホルダに縦置き状態でクランプして切削工具となる。そして、このような切削工具は、横切れ刃が、旋盤スピンドルの軸と例えば略垂直となるようにして刃物台に配置、固定され、前切れ刃を被削材の外周面に対向させ、例えば、所定の切り込み縦送り)を付与した状態の下で、これを相対的に横送りする(スピンドルの軸に沿う方向に動かす)ことで外径加工に供される。また、加工の進行による切れ刃(刃先)の寿命に対応して、別のコーナの同一形状の切れ刃に順次、刃先を交替してその加工に供される。

0004

ところで、上記したような切削インサート(三角チップ)を縦置きでクランプするホルダのポケット(凹部)は、ホルダ(シャンク)のヘッドの側部(旋盤の主軸寄りの一側)に向けて開口され、かつ、上面(すくい面側)を開口するV字形の座面と、その奥の横向きの側壁とからなる形状を呈するのが普通である。図10は、上記したような切削インサート(三角チップ)10を、前記ホルダ400のポケットに固定した状態を説明するもので、同図−Aに示したように、上記切削インサート(三角チップ)10は、このようなホルダ400のポケットの側壁415に、三角チップの片側の多角形面(板面)150をあてがわせ、そのコーナを挟む2つの辺(外周面)を、V字形をなす座面413に着座させ、例えば、三角(多角形面)の中心に設けられたクランプ用の穴にクランプスクリュー止めネジ)450を通し、ポケットの側壁415に設けられたネジ穴にこれをねじ込むことで、縦置き状態で固定される。このようなV字形の座面413への縦置きによる固定により、大きな切り込み量の外径加工で、切削抵抗(発生する主分力)が大きい高負荷加工となる場合でも、切削インサート10の安定した固定が得られることになる。

0005

また、このようなインサート10を固定するV字形の座面413は、側壁415に垂直ではなく、座面413の奥の側壁415側が、上下、左右に広くなるよう、その垂直に対し傾斜(逆テーパ)が付けられることがある(図10中の座面413の破線部参照)。そして、このようなポケットに固定される三角チップ10は、その隣接するコーナ相互間の面(外周面のうち三角の辺に沿う面)に、座面413の傾斜(逆テーパ)に対応して、側壁に押し付けられる側の三角の面(多角形面)150が、それと反対側の横切れ刃が設けられている側の三角形の面(多角形面140)より微量大きく形成される。これにより、コーナ相互間の面をなす、すくい面120は、各辺とも横切れ刃210側が低位をなし、その反対側が高位をなす、ネガ状の横すくい角となる傾斜(逆テーパ)が付けられる。このような座面413、及びすくい面120の傾斜に基づき、ポケットにクランプされるインサート10に、高負荷加工におけるような切削時の横送り分力Fが大きく作用しても、それが側壁からズレや分離を生じることの防止が図られている。

0006

一方、このような切削インサート10による外径加工において、大きな切り込み(高負荷加工)で、外径加工をする場合には、発生する切り屑も、その切り込み量に対応して幅の広い切り屑となって排出される。このような幅の広い切り屑は、破断されにくく、カールするとしても比較的延びやすく、それが被削材の加工面に接触して傷を付け、面粗度低下を招く等の問題がある。よって、このような加工においても、切り屑の排出を如何に円滑に処理するかということが極めて重要である。この対策として、この種のインサートにも、切り屑の排出処理性(以下、切り屑処理性という)を高めるため、インサート10のすくい面120にはブレーカ溝チップブレーカ溝)30が設けられるが、このようなブレーカ溝30は、従来、インサートの製造過程で、砥石円形回転砥石)による研削で形成するというのが普通であり、そして、そのブレーカ溝30は、すくい面120において陥没し、横切れ刃210に沿ってその刃先から所定の溝幅で後方に延び、その砥石による研削加工上、そのすくい面において切り上げられるように設けられていた。

先行技術

0007

日本特殊陶業株式会社発行、「2017−2018切削工具総合カタログ(日本特殊陶業)」、2016年発行、「H/SS小物部品・前挽き」の欄(品番:TF3300R,TF3305R,TF3315R,TF3320R)、p.39

発明が解決しようとする課題

0008

しかし、上記したようなブレーカ溝30が設けられている従来の切削インサート10では、切り屑処理性が十分ではなく、切り屑が加工面に接触しがちであるといった課題があった。理由は次のようである。上記形状、構造のブレーカ溝30では、横切れ刃210による切削で発生する切り屑は、そのブレーカ溝30の底、及び横切れ刃210側と反対側のその溝の側壁に押し付けられて、すくい面120側から見たとき、その横切れ刃210と略垂直方向に排出されるが、その溝30から出た後はすくい面120に乗り上げる形となる。一方、このすくい面120は、上記したように、横切れ刃210側と反対側に向かうほど高位をなすネガ状(上向き傾斜のある)の横すくい角となっている。このネガ状の横すくい角は、傾斜角度としてはさほど大きくはないとしても、切り屑が乗り上げるそのすくい面120は、切り屑の流れに関していえば、いわば障壁となる。これにより、切り屑が加工面から離れる方への流れを阻害することになる結果、切り屑処理性が十分ではなく、切り屑が加工面に接触しがちとなると考えられる。

0009

このような課題の解決手段の1つとしては、そのすくい面120を、横切れ刃210側が高位をなし、その反対側が低位をなす、ポジ状の横すくい角となる傾斜が付くものとすればよいといえるが、そのようにすれば、クランプされたインサート10に、切削時の横送り分力Fが大きく作用したときの固定力の低下を招く。それにより、高切り込みによる外径加工では、それが側壁からズレを生じたり、分離をする危険性が高まる。すなわち、上記した従来の切削インサートにおいては、その固定力を高めるために付けられている横切れ刃のネガ状の横すくい角をなくして、ポジ状の横すくい角を付けることにすれば、切り屑処理性は高められるが、インサートの固定力が低下するという二律背反の課題があった。

0010

本発明は、こうした課題に鑑みてなされたもので、高切り込みで、大径から小径加工のテーパ加工を伴うような外径加工をするのに用いられ、縦置きでホルダに固定される切削インサートであって、高い固定力を要求されるため、その外周面であって横切れ刃のすくい面にネガ状の横すくい角(逆テーパ)が付けられる切削インサートでありながら、切り屑処理性にも優れた切削インサートを提供することをその目的とする。

課題を解決するための手段

0011

請求項1に記載の本発明は、略多角形板状をなし、その多角形の外周面にすくい面が存するよう形成された切れ刃が、多角形の複数のコーナに同形状で、多角形の中心軸回りに回転対称性を有して設けられてなる外径加工用の切削インサートであって、
その複数の各切れ刃は、横切れ刃が一方の多角形面と前記外周面との交差に沿い隣接する2つのコーナ相互間に形成され、前切れ刃がその各コーナにおいて該横切れ刃とノーズを介して鋭角をなして形成され、
前記隣接する2つのコーナ相互間の外周面は、当該切れ刃のすくい面と、隣接する別の切れ刃をなす前切れ刃の逃げ面を含むものとされ、当該切れ刃のすくい面は、当該切れ刃をなす前切れ刃と、その後方の隣接する別の切れ刃をなす前切れ刃との間において、該横切れ刃側が低位をなし、その反対側が高位をなすネガ状の横すくい角となる傾斜が付けられている一方、
隣接する別の切れ刃をなす前切れ刃の逃げ面は、前記横切れ刃側よりもその反対側が低位をなす、前記ネガ状の横すくい角をなす傾斜と逆のポジ状の傾斜が付けられており、
当該切れ刃のすくい面には、ブレーカ溝が、該横切れ刃に沿って該横切れ刃の先端から後方に向けて延び、かつ、前記ポジ状の傾斜が付けられている隣接する別の切れ刃をなす前切れ刃の逃げ面に切り込まれて該すくい面を先後に分断する形で形成されていることを特徴とする。

0012

請求項2に記載の本発明は、前記ブレーカ溝は、前記すくい面を先後に分断する後端寄り位置において、前記横切れ刃に沿う側の該ブレーカ溝をなす側壁が、該横切れ刃と反対側に向かって延びるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の切削インサートである。
請求項3に記載の本発明は、前記ブレーカ溝は、その溝底最低部が前記横切れ刃の先端から後方に向かうにつれて該横切れ刃から離れるように形成されていることを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項に記載の切削インサートである。

0013

請求項4に記載の本発明は、前記横切れ刃は、その先端から後方に向かう所定範囲が、すくい面に対し、該先端から後方に向かうにつれて低位をなすように形成されており、そして、前記逃げ面に切り込まれている該ブレーカ溝を形成する前記横切れ刃側を向く側壁と、前記逃げ面との交差稜における前端の位置が、前記所定範囲の後端又はその近傍と、該ブレーカ溝を挟んで対向する位置となるよう、該ブレーカ溝が前記逃げ面に切り込まれていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の切削インサートである。
請求項5に記載の本発明は、前記ブレーカ溝は、その溝幅が、前記所定範囲の後端又はその近傍まで、該横切れ刃の先端から後方に向かうにつれて広くなり、該ブレーカ溝の後端寄り部位におけるその溝幅が、その後端に向かうにつれて狭くなるように形成されていることを特徴とする請求項4に記載の切削インサートである。

0014

請求項6に記載の本発明は、前記ブレーカ溝は、前記横切れ刃から溝底の最低部までの溝深さが、前記所定範囲の後端又はその近傍まで、該横切れ刃の先端から後方に向かうにつれて深くなるよう形成されており、そして、その溝深さが最深である該後端又は該近傍から後方に向かうにつれて、溝底の最低部が高位をなすように形成されていることを特徴とする請求項4又は5のいずれか1項に記載の切削インサートである。
請求項7に記載の本発明は、多角形面の中央にクランプスクリューを通す穴が貫通して設けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の切削インサートである。

発明の効果

0015

請求項1に記載の本発明の切削インサートでは、外径加工を担う主切れ刃である横切れ刃の横すくい角がネガ状(逆テーパ)の傾斜を有するものであるから、その傾斜に対応するポケット(ホルダのポケット)に縦置きでクランプされて切削される場合の横送り分力に起因する固定力の低下の問題もない。その上に、上記形状、構成のブレーカ溝、すなわち、その後端においてすくい面と逆のポジ状の傾斜が付けられている逃げ面に切り込まれているブレーカ溝を有するため、発生する切り屑を、その溝の後端である切り込まれている部分を出口として後方に排出させることができる。よって、その分、切り屑処理性を高めることができる。すなわち、当該切れ刃のブレーカ溝は、当該切れ刃をなす前切れ刃の後方において隣接する別の切れ刃の前切れ刃の逃げ面(以下、前逃げ面ともいう)に切り込まれており、その切り込まれによって形成されているその溝の後端が、切り屑を後方へ排出させる出口(抜け道)を形成している。このため、従来の切削インサートのようにブレーカ溝があるとしても、このような切り込まれが無く、その後端がネガ状傾斜のすくい面において切り上げられているために切り屑がそれに乗り上げることで、その処理性が悪かったのと異なり、本発明の切削インサートでは、切り屑をその切り込みを出口ないし抜け道として横切れ刃から離れる方に円滑に排出させ得る。このように、本発明の切削インサートによれば、クランプにおける固定力の低下を招くこともなく、しかも、切り屑処理性が高められることから、切り屑が加工面(仕上げ面)に接触することの防止作用が得られ、加工面粗度の低下防止が図られる。

0016

そして、請求項2に記載のように、前記ブレーカ溝が、該すくい面を先後に分断する同溝の後端寄り位置において、該横切れ刃に沿う側の該ブレーカ溝をなす側壁(溝壁)が、該横切れ刃と反対側に向かって延びるように形成されているものでは、その反対側向きの側壁がある分、切り屑をより積極的に、該横切れ刃と反対側に導くことができる。よって、切り屑が加工面に接触するのを一層低減できる。また、前記ブレーカ溝の溝底の最低部(横断面における最深部)は、前記横切れ刃の先端から後方に向かい、横切れ刃と平行に形成し、後端寄り部位において逃げ面に切り込まれるようにしてもよいが、請求項3に記載の本発明のように、前記横切れ刃の先端から後方に向かうにしたがい該横切れ刃から離れるように形成されているものがよい。このようにすれば、切り屑を該横切れ刃と反対側に、さらに一層、積極的に導くことができるためである。すなわち、切削において排出される切り屑は、溝底の最深部に沿って後方に流れようとするため、このように溝底の最深部が先後に連なるように形成することで、切り屑を加工中の被削材の外周面から、より離れる方に、方向性良く積極的にコントロールできるためである。なお、本発明において横切れ刃と鋭角をなす前切れ刃には、その横切れ刃と繋がるノーズ(コーナ)にワイパー刃さらい刃)を設けてもよい。

0017

本発明において、横切れ刃は、その先端(刃先)から後方に向けて同一高さとしてもよいが、 請求項4に記載の本発明のように、その先端から後方に向かう所定範囲(例えば、横切れ刃の有効刃部の長さ範囲)が、すくい面に対し、該先端から後方に向かうにしたがい低位をなすように形成されているものとすることで、切削抵抗を低減でき、切れ味の向上が図られる。そして、この場合には、前記逃げ面に切り込まれている該ブレーカ溝を形成する横切れ刃側を向く側壁と、前記逃げ面との交差稜における前端の位置が、前記所定範囲の後端又はその近傍と、該ブレーカ溝を挟んで対向する位置となるよう、該ブレーカ溝が前記逃げ面に切り込まれているのがよい。このようにすることで、ブレーカ溝における横切れ刃側を向く側壁の上端位置が、それと対向する反対側に位置する横切れ刃の上端位置よりも、該所定範囲において後方に向かうに従い高くなる。このこと自体は、切り屑が加工面から離れる方への流れを阻害することとなる一方で、切り屑のカール作用が高められる。他方、この構成により、該横切れ刃側を向く側壁のうち、該所定範囲の後端又はその近傍に対応する位置より後方では、ブレーカ溝の前記逃げ面への切り込みがあることより、逆にその側壁の高さが急減するため、このカール作用が得られた切り屑をその切り込みに積極的に誘導することができるから、加工面から離れる方へ積極的に誘導できる。

0018

また、請求項4に記載の本発明においては、請求項5に記載の本発明のように、前記ブレーカ溝は、その溝幅が、前記所定範囲の後端又はその近傍まで、該横切れ刃の先端から後方に向かうにつれて広くなり、ブレーカ溝の後端寄り部位ではその後端に向かうにつれて狭くなるように形成されているものとするのがよい。横切れ刃を主切れ刃とする外径加工では、縦送り(切り込み)量が大きくなるほど、切り屑はその幅が広くなり、破断しにくくなる。このため、請求項5に記載の本発明のように、ブレーカ溝の横断面における溝幅を後方に向かうしたがい漸増させることで、幅広となる切り屑の切り屑処理性を高めることができる。一方、上記所定範囲の後端(又はその近傍)までが、通常、該切削インサートの仕様上の最大切り込み量として設定されるから、それより後方のブレーカ溝の後端寄り部位では、切り屑の排出方向を規制ないし限定させる役割を担わせるのがよい。そのためには、ブレーカ溝の溝幅はその後端寄り部位において後端に向けて漸減させるのがよい。

0019

また、幅の広い切り屑の処理性を一層高めるため、請求項4又は5に記載の本発明においては、請求項6に記載の本発明のように、前記ブレーカ溝は、前記横切れ刃から溝底の最低部までの溝深さが、前記所定範囲の後端又はその近傍まで、該横切れ刃の先端から後方に向かうにつれて深くなるよう形成されており、そして、その溝深さが最深である該後端又は該近傍から後方に向かうにつれて、溝底の最低部が高位をなすように形成されていることとするのがよい。

0020

本発明の切削インサートが、請求項7に記載のような、穴付きのものとされる場合には、次のような特有の効果も得られる。本発明におけるような切削インサートは、穴付きチップとされ、ホルダのポケットへのクランプに際しては、クランプスクリューによるねじ止めとするのが、構造の単純化等より好ましい。一方、穴付きチップでは、コーナ相互間に位置するその穴の内周面の部分と、インサートの外周面との間の肉(肉厚)がコーナ寄り部位に比べると薄くなる。このため、焼結体からなるインサートのように成形体焼結して製造されるものでは、その薄肉部に対応するインサートのコーナ相互間の外周面が微量であるが膨らむ傾向があり、それに起因する形状、寸法精度上の課題がある。というのは、その焼成前の成形体の製造では、その薄肉部が相対的に緻密となり、焼結後においては、その影響として外周面に向けてこの部位が相対的に膨らむことになる。結果、このような焼結体からなるインサートが、そのコーナ相互間の辺に沿う外周面を、ホルダのポケットの座面に押し付けられてクランプされる場合には、その辺に沿う外周面では、座面との間で微視的に見ると、1点接触となってぐらつきを発生させる状態になることがあり、クランプの安定上において好ましくない。

0021

これに対し本願発明では、その薄肉部の外周面に位置するすくい面が、先後にブレーカ溝で分断されているため、前述したような膨らみの発生を防ぎ、そこでの座面との接触を2点接触とできるから、クランプにおける安定化が図られる。すなわち、本発明では、インサートの固定上において特されるべき大きな副次的効果が得られる。例えば、三角チップでは、V字形の座面に、三角の下向きの2辺を当接させて縦置きとされ、ポケットの側壁に押付けるようにして、その穴にスクリューを通し、側壁面に設けられたネジ穴にネジ込み、固定されるのは上述したとおりであるが、この場合、V字形の前後の座面に、当接させる三角の2辺の各辺(すくい面)は、それぞれ、上記ブレーカ溝がすくい面を先後に分断しているため、分断されているその先後における2点が座面に圧接され得るから、その着座体勢において安定したクランプが得られる。

図面の簡単な説明

0022

本発明の切削インサートを具体化した実施の形態例の説明図であって、Aはその横切れ刃をその逃げ面側から見た図、Bはすくい面側から見たA1矢視図(A2矢視、A3矢視とも同じ図)、CはAの左側面図(前逃げ面側から見た図)、DはAの背面図、EはDのSd−Sd断面図。
図1の切削インサートの形状、構造を説明するもので、右図は図1のCを右上から見た斜視図、左図は図1のCを左上から見た斜視図。
Aは図1−Aの部分拡大図、Bは図1−Bの拡大図。
図3−Aを左から見た図(左側面図)。
図3−Aをその背面(他方の多角形面)側から見た図。
図3の各部の断面図(A−A断面図〜F−F断面図)。
図3の各部の断面図(G−G断面図〜J−J断面図)。
図1の切削インサートをホルダの先端のポケットに固定して切削工具としたときの説明図であって、インサートを横逃げ面側から見た上方斜視図
図1の切削インサートをホルダの先端のポケットに固定して切削工具としたときの説明図であって、インサートを横逃げ面と反対側から見た上方斜視図。
テーパ加工を伴う外径加工に用いられる縦置きの切削インサート(三角チップ)をホルダのポケットに固定した状態を説明するもので、Aは、横逃げ面側から見た説明図、Bは、すくい面の上から見た説明図。

実施例

0023

本発明の切削インサートを具体化した実施の形態例について、図1図7に基づいて詳細に説明する。本例の切削インサート100は、前挽きの外径加工に使用されるもので、正三角形の板をベースとして形成されており、その三角形の外周面(周囲のコーナ寄り部位)110にすくい面120が存するよう形成された切れ刃200が、三角形の3つのコーナ100cに、それぞれ同形状で三角形(多角形)の中心軸G回りに3回(120度)の回転対称性を有して設けられている(図1−A等参照)。3つの切れ刃は、そのコーナ100cにおいて、回転対称性を有し、同一の大きさ、形状、構造のものである。このため、以下、そのうちの一の切れ刃200、及びこれを構成するすくい面120など、当該切れ刃200のすくい面120を形成するところの、三角の外周面110である隣接する2つのコーナ100c相互間をなす外周面(三角の辺に沿う面)110の形状、構造を中心として説明する。

0024

本例の切削インサート100において、各切れ刃(3つとも)200は、それを構成する横切れ刃(主切れ刃)210が一方の三角形面(多角形面)140とその外周面110である隣接する2つのコーナ100c相互間をなす三角の辺に沿う面110との交差稜(横切れ刃の形成部位)160に沿って形成されている(図1−A,図3−A等参照)。そして、前切れ刃(副切れ刃)220は、その三角の各コーナ100cで、すくい面120を三角の外周面110に存するものとして形成されている。ただし、前切れ刃220は、これをすくい面120の上から見たとき、横切れ刃210と、ノーズ215を介して鋭角をなして形成されている(図1−B,図3−B等参照)。具体的には、すくい面120を上から見たとき(図1−B,図3−B等参照)、前切れ刃220は、ノーズ215を介して横切れ刃210の先端部位から斜め後方に、例えば、両刃交角が60度で延びるように形成されている。そして、横切れ刃210のうち、切削を受け持つその有効刃部の長さの範囲(所定範囲)L1は、前切れ刃220の先端(ノーズ215)から、前記交差稜160に沿って後方に向かい、三角の辺の中間寄り部位までとされている。なお、この横切れ刃(刃稜)210は、後述するブレーカ溝300の形成により、その先端(ノーズ215)から後方に向かう前記所定範囲L1が、すくい面120に対し、該先端から後方に向かうにしたがい低位をなすように形成され(図1−A,図3−A等参照)、その有効刃部の長さ範囲L1の後端において、円弧状に切り上げられている。横切れ刃210については、ブレーカ溝300の説明においてあわせて詳述する。

0025

一方、三角形の外周面110である隣接する2つのコーナ100c相互間をなす各面(三角の辺に沿う面)は、当該切れ刃200のすくい面120を上から見たとき(図1−B,図3−B等参照)、そのすくい面120と、そのすくい面120における前切れ刃220(図1−B,図3−Bの左端の前切れ刃220)のあるコーナ100cと反対側のコーナ100c側に位置する別の切れ刃200における前切れ刃220の逃げ面(前逃げ側の面)130とを形成している。このうち、すくい面120は、当該切れ刃200の前切れ刃220の後端(図1−B,図3−Bの左上端)よりも後方位置MP1と、横切れ刃210、及びその後方に連なる上記した交差稜(横切れ刃の形成部位)160の後端寄り部位(別の切れ刃200のノーズ215近傍)と、を結ぶ、図1−B,図3−Bにおいて右下がり傾斜をなす直線(仮想直線)SLを境界として、その境界よりも当該切れ刃200のノーズ215(図1−B,図3−Bの左下)側に位置する平面(略平面)領域(後述するブレーカ溝300を除く平面領域)である。ここで、すくい面120の後端が横切れ刃210の後端寄り部位(別の切れ刃200のノーズ215近傍)であるというのは、本例では、ノーズ215に、微小幅のワイパー刃217を設けているため、当該横切れ刃210の後端寄り部位(図1−B,図3−Bの右端寄り部位)は、隣接する他方のコーナ100cの別の切れ刃200をなすワイパー刃217に対応する微小な前逃げ面137が存するためである。

0026

そして、このようなすくい面(すくい面領域)120は、横切れ刃210及びそれに連なって後方に延びる交差稜160に沿い、当該前切れ刃220の後方において隣接する別の他方の切れ刃200をなす前切れ刃220との間において、横切れ刃210側が低位をなし、その反対(他方の多角形面150)側が高位をなすよう形成されている。これにより、三角の辺に沿う面(外周面)をなす、すくい面120は、その横切れ刃210を含むその交差稜160の先後方向に沿い、ネガ状の横すくい角αが、例えば本例ではその先後方向に沿って一定で、水平に対して適度の傾斜(例えば5度)で付けられている(図6図7等参照)。

0027

一方、隣接する2つのコーナ100c相互間の外周面(三角の辺に沿う面)110のうち、当該切れ刃200のすくい面120を除く、前記境界をなす直線SLにおけるすくい面120側と反対側の領域である、別の切れ刃200の前切れ刃220の逃げ面(逃げ面を形成する領域)130は、この別の切れ刃200が切削を担う際において適度の逃げ角が得られるよう、1つの平面で、上記した直線SLにおいて、すくい面120と交差するようカットしたものとして形成されている。そして、この逃げ面130には、すくい面120につけられたネガ状の横すくい角αをなす傾斜とは逆のポジ状の傾斜であり、横切れ刃210の先後方向に沿い、水平に対して所定角度で、例えば、35度と比較的大きな角度で、本例ではその先後方向に沿って一定(同一)の角度βの傾斜が付けられている(図6図7等参照)。すなわち、逃げ面130は、横切れ刃210側が、高位をなし、その反対(他方の多角形面150)側が低位をなすよう形成されている。なお、この角度βが大きいほど、後述するブレーカ溝300がこの逃げ面130に切り込まれるとき、切り屑の排出のための出口ないし抜け道が大きく確保される。そして、当該切れ刃200をなす前切れ刃220の逃げ面130は、図1−Cに図示されるところであり、前記した別の切れ刃200の前切れ刃220の逃げ面130と、回転対称で同じ形状、構造をなすものである。

0028

なお、横切れ刃210の先端(ノーズ215)に連なる前切れ刃220の先端には、上述したように微小幅のワイパー刃217が設けられているため、このワイパー刃217に適度の前逃げ角が付くよう、各切れ刃200のワイパー刃217の前逃げ面137はカット状に形成されている(図1−A,図3−A等参照)。これにより、本例では、隣接する2つのコーナ100c相互間の外周面(三角の辺に沿う面)110は、次に述べるブレーカ溝300を除くと、実質的に、当該切れ刃200のすくい面120をなすべき平面と、別の切れ刃200の前切れ刃220の逃げ面130をなすべき平面とが交差してなる直線状の稜線(直線SL)を介し、2つの平面で形成されており、これが三角の各辺に沿う面において120度の回転対称性を有して形成されている。

0029

さて、次に、本例の切削インサート100における要部であり、すくい面120において陥没状に形成されているブレーカ溝300について説明する。本例においてこのブレーカ溝300は、横切れ刃210に沿って、先端が前切れ刃220の先端寄り部位を円弧状に欠いて後方に延びている。ただし、この溝300は、横切れ刃210ないし交差稜160に垂直な横断面で、少なくとも底部が円弧状をなし、溝の両縁寄りの側壁(溝壁)が、後述するよう水平に対し30度〜50度といった勾配の傾斜状をなすものとして形成されている。そして、その溝300の後端KP1部位が、上記したネガ状の横すくい角αが付けられているすくい面120とは逆の、ポジ状の相対的に大きな傾斜角βをなす傾斜が付けられている隣接する別の切れ刃200をなす前切れ刃220の逃げ面130に切り込まれており、それによって、すくい面120を先後に分断している(図3図5等参照)。ただし、本例において、このブレーカ溝300は、すくい面120を上から見たとき、すくい面120を先後に分断する後端KP1寄り位置において、横切れ刃210に沿う側のブレーカ溝300をなす側壁320が、横切れ刃210と反対側に向かって直線状に延び、隣接する別の切れ刃200をなす前切れ刃220の逃げ面130に切り込まれている。

0030

一方、上記したように、この横切れ刃(刃稜)210は、このブレーカ溝300の形成により、横切れ刃210の先端(ノーズ215)から後方に向かう所定範囲L1が、すくい面120に対し、先端から後方に向かうにつれて低位をなすように形成されている。そして、その所定範囲L1の後端が円弧状に切り上げられているが、図6図7の各横断面で示したように、その横切れ刃(切れ刃稜)210は鋭利な刃先をなすものとされている。なお、図3−A中の1点鎖線CLは、ブレーカ溝300の横断面における溝底305の最低部(最深部)を示したものであり、ブレーカ溝300は、その最低部が同1点鎖線CLで示したように、すくい面120を上から見たとき、横切れ刃210の先端(ノーズ215)から後方に向かうに従い、横切れ刃210から離れるように形成されている。

0031

また、ブレーカ溝300の側壁のうち、横切れ刃210側を向く側壁330は、すくい面120を上から見たとき(図1−B,図3−B参照)、前切れ刃220の中間部位から後方に向け、横切れ刃210と反対(他方の多角形面150)側に傾斜するような直線で延びている。そして、ブレーカ溝300が逃げ面130に切り込まれることで、この側壁(側壁面)330とその逃げ面130との境界には、その両面が交差することによる交差稜135が形成され、後方に向けてブレーカ溝300の後端KP1の底部に向けて連なるものとなっている。さらに、この交差稜135の前端の位置RP1、すなわち、ブレーカ溝300により分断されたすくい面120のうち、前方にある部位(前方すくい面120)の後端の位置RP1が、横切れ刃210の先後方向において、その有効刃部の長さの範囲(所定範囲)L1の後端と同じか、その後端の近傍(後端付近)に対応する位置となるよう、ブレーカ溝300が形成されている。

0032

そして、このブレーカ溝300は、その先端から後方に向けて、所定範囲L1まで、その溝幅Wmが漸増する(次第に広くなる)ように形成されている。一方、隣接する別の切れ刃200をなす前切れ刃220の逃げ面130に切り込まれている後端寄り部位においては、その後端KP1に向けて溝幅Wmが漸減するように形成されている。なお、このブレーカ溝300は、上述したように横断面において、その溝底305部分が円弧状をなし、その両側をなす側壁は、水平に対し、横切れ刃210側が30度程度の傾斜、そして、その反対(他方の多角形面150)側が40度程度の傾斜をなすものとなっている。

0033

また、本例において横切れ刃210は、上述したように、その先端から後方に向かう所定範囲(横切れ刃210の有効刃部の長さ範囲)L1が、すくい面120に対し、該先端から後方に向かうにつれて低位をなすように形成されているが、この刃の上端(切れ刃稜)と、ブレーカ溝300の深さDmとの関係は次のようである。すなわち、ブレーカ溝300は、その横断面における横切れ刃210から溝底305の最低部までの溝深さDmが、図6−A〜Fに示したように、所定範囲L1の後端YP1又はその近傍までは、横切れ刃210の先端から後方に向かうにしたがい深くなるよう形成されている。そして、その溝深さDmが最深である該後端YP1又は該近傍から後方に向かうにつれては、溝底305の最低部が高位をなすように形成されている(図7−G、H参照)。なお、本例のインサート100は、多角形面である三角形面の中央(中心軸G)に、クランプスクリューを通す穴(円形穴)180が、片側のテーパ座185を介し、貫通して設けられている。

0034

このように形成されている本例の切削インサート100は、図8図9に示したように、所定のホルダ400のV字状のポケットの座面(チップ座)413に縦置きされ、所定のクランプスクリュー450のネジ締めでクランプされて切削工具をなし、前挽きで、大径から小径をなすテーパ加工を含む外径加工(旋削)に使用される。このようにクランプされるホルダ400のポケットは、V字状の座面(チップ座)413を有し、その座面は、上記すくい面120に付与されているネガの横すくい角αに対応する傾斜角を有するものである。したがって、そのインサート100に、切削時の横送り分力Fが大きく作用したとしても、そのインサート100が、ポケットの側壁からズレを生じたり、分離をすることを、従来同様に防止できる。

0035

しかも、横切れ刃210に所定の切り込み量で、横送りをして外径加工を行うときにおいては、すくい面120にネガの横すくい角αが付与されているものの、発生する切り屑Kを、ブレーカ溝300の後端において後方へ切り込まれている部分を出口又は抜け道として、後方に排出させることができる(図8図9参照)。すなわち、本例の切削インサート100においては、その切れ刃200のブレーカ溝300は、当該切れ刃200をなす前切れ刃220の後方において隣接する別の切れ刃200の前切れ刃220の逃げ面130に切り込まれているため、その切り込まれている部分350を抜け道として切り屑Kを後方へ流すことができる。よって、ブレーカ溝300があるとしても、その後方にこのような切り込まれが無く、すくい面120において切り上げられているため、ブレーカ溝300の後端において、横すくい角がネガ状の傾斜を有するすくい面に沿って流れることになっていた従来の切削インサートによる外径加工によって排出される切り屑と異なり、本例の切削インサート100による場合には、切り屑Kを横切れ刃210から離れる方に円滑に排出させ得ることができる。これにより、切り屑Kが被削材の加工面(仕上げ面)に接触することの防止作用が得られるため、加工面粗度の低下防止が図られる。このように本例のインサート100によれば、インサート100の固定力の低下を招くことなく、切り屑処理性も高めることができるという特有の効果が得られる。

0036

とくに本例では、上述したように、ブレーカ溝300が、すくい面120を先後に分断する後端寄り位置において、横切れ刃210に沿う側のブレーカ溝300をなす側壁(溝壁)320が、該横切れ刃210と反対(他方の多角形面150)側に向かって延びるように形成されているため、切り屑Kをより積極的に、横切れ刃210と反対側に導くことができる。よって、切り屑が加工面に接触するのを一層低減できる。しかも、本例では、溝底305の最低部が、横切れ刃210の先端(ノーズ215)から後方に向かうにしたがい横切れ刃210から離れるように形成されているため、切り屑を横切れ刃210と反対側に一層、積極的に導くことができるため、より方向性良く、その排出方向をコントロールできる。

0037

そして、本例では、横切れ刃210(横切れ刃210の有効長さ範囲L1)が、すくい面120に対し、先端から後方に向かうにつれて低位をなすように形成されているため、切削抵抗を低減できる上に、そのようにしたことで、ブレーカ溝300の横切れ刃210側を向く側壁(上端)330が、先端から後方に向かうに従い、所定範囲L1の後端の位置YP1又はその近傍まで、横切れ刃210の上端(切れ刃稜)より相対的に高くなっている。これにより、この所定範囲L1では、切り屑が加工面から離れる方への流れを阻害されるものの、上記交差稜315の前端の位置RP1より後方では、ブレーカ溝300の逃げ面130への切り込みにより、逆にその側壁330の高さが急減することによる切り屑の出口を積極的に形成することになるため、切り屑をその切り込みに積極的に誘導する作用が得られる。

0038

また本例では、ブレーカ溝300は、その溝幅Wmが、前記所定範囲L1の後端YP1又はその近傍まで、該横切れ刃210の先端から後方に向かうにつれて広くなり、その後端寄り部位において後端に向かうにつれて狭くなるように形成されているから、高切り込み量で幅が広くなる切り屑となっても、その切り屑処理性を高めることができる。一方、ブレーカ溝300の後端寄り部位では溝幅Wmを漸減させているため、切り屑の排出方向を規制ないし限定する作用が得られる。これにより、幅の広い切り屑となる外径加工においても、方向性よく切り屑の排出を行わせることができる。さらに本例では、ブレーカ溝300を、横切れ刃210から溝底305の最低部までの溝深さDmが、所定範囲L1の後端YP1又はその近傍まで、横切れ刃210の先端から後方に向かうにつれて深くなるよう形成されており、そして、その最深部から後方に向かうにつれて溝底305の最低部が高位をなすように形成されていることから、幅の広い切り屑であっても、その処理性を一層高いものとすることができる。以上のように、本例インサート100による場合には、その特有の構成に基づき、高切り込み量で、大径から小径加工のテーパ加工を伴うような外径加工をする場合でも、横分力に対し高い固定力が得られる上に、優れた切り屑処理性が得られる。

0039

本発明は、上記した本例記載のものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において適宜に変更して具体化できる。すなわち、横切れ刃と、前切れ刃のなす鋭角の角度は、テーパ加工等におけるその角度に応じ、前切れ刃が加工面に干渉しないように適宜の角度に設定すればよい。また、隣接する2つのコーナ相互間の外周面は、当該切れ刃のすくい面と、隣接する別の切れ刃をなす前切れ刃の逃げ面とを含むものであるかぎり、それら各面が占める領域は、適宜の比率のものとして、或いは、その両面の境界も適宜のものに変更して具体化できるし、そのそれぞれ、ブレーカを形成する前の面は平面でなくともよい。

0040

そして、すくい面に付与するネガ状の横すくい角となる傾斜の角度も、適宜のものとすることができる。また、隣接する別の切れ刃をなす前切れ刃の逃げ面は、前記横切れ刃側よりもその反対側縁が低位をなす、前記ネガ状の横すくい角をなす傾斜と逆のポジ状の傾斜の角度も適宜に設定すればよい。ただし、このポジ状の傾斜角度は大きくするほど、上述もしたように、ブレーカ溝の後端における切り屑の出口(抜け道)を大きく確保でき、切り屑の流出を容易とすることができる。そして、これらの角度は、横切れ刃に沿う先後方向において、それぞれ一定のものとした場合を例示したが、本発明では一定でなくともよい。また、ブレーカ溝の横断面、そして、その溝幅と深さとの関係は、加工条件に応じて、適宜のものに設定すればよい。

0041

また、本発明に係る切削インサートは、多角形が略三角で、その3つのコーナに切れ刃が設けられているものが、インサートの製造コスト等、トータルリット上、好ましいといえるが、これに限定されるものではない。すなわち、本発明に係る切削インサートは、三角形のものに限られず、他の多角形のものとしても具体化できるのは上記したとおりである。また、本発明に係る切削インサートは、前挽きの外径加工用のものにおいて具体化したが、後挽きの外径加工用のものにおいても適用できるし、穴付きチップに限定されるものでもないことは明らかである。またインサート自体の材料、材質は、超硬合金など、公知の各種の他の材料のものとして具体化できる。

0042

100切削インサート
100c多角形のコーナ
110外周面
120すくい面
130前切れ刃の逃げ面
140 一方の多角形面
150 他方の多角形面
160 一方の多角形面と外周面との交差稜
180クランプスクリューを通す穴
200切れ刃
210横切れ刃
215ノーズ(横切れ刃の先端)
220 前切れ刃
300ブレーカ溝
305 ブレーカ溝の溝底
315 横切れ刃側を向く側壁と、逃げ面との交差稜における前端の位置
320 横切れ刃に沿う側の該ブレーカ溝をなす側壁
330 ブレーカ溝を形成する横切れ刃側を向く側壁
αネガ状の横すくい角
βポジ状の傾斜(角)
G 多角形の中心軸
CL 溝底の最低部が横切れ刃の先端から後方に向かうにつれて延びる状態をすくい面の上から見て示した線
L1 横切れ刃の先端から後方に向かう所定範囲
RP1 横切れ刃側を向く側壁と、逃げ面との交差稜における前端の位置
Wm ブレーカ溝の溝幅
Dm ブレーカ溝における横切れ刃から溝底の最低部までの溝深さ

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