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技術 膜ろ過処理装置および膜ろ過処理方法

出願人 水ing株式会社
発明者 鈴木祐喜
出願日 2017年7月21日 (3年7ヶ月経過) 出願番号 2017-142114
公開日 2019年2月7日 (2年0ヶ月経過) 公開番号 2019-018191
状態 未査定
技術分野 半透膜を用いた分離
主要キーワード 余剰状態 飲料製造業 ダルシーの法則 含油廃液 循環水入口 アレニウスの式 制御限界 流速変化
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重要な関連分野

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図面 (11)

課題

被処理水性状変動が生じた場合に、その性状変動に追随して膜の透過流束をより適正な範囲に制御することができ、膜ろ過処理装置運転条件を最適化することが可能な膜ろ過処理装置及び膜ろ過処理方法を提供する。

解決手段

分離膜を透過する被処理水の性状変動因子となる複数の実測値を用いて演算された分離膜の透過流束予測値に基づいて、分離膜の膜間差圧及び膜面流速の少なくとも一方を制御する制御手段5を備えることを特徴とする膜ろ過処理装置である。

概要

背景

膜ろ過処理装置運転条件は、被処理水や使用する膜の性状等に応じて、膜閉塞が起こりにくくなるように経済性を考慮して設定されているが、従来の膜ろ過処理装置の運転条件は、予備試験やそれまでの経験によって決定されていることが多い。そのため、被処理水の性状が変動する場合には、当初の運転条件の設定値が、被処理水の性状変動後においても最適値であるとは限らず、性状変動に基づいて運転条件の設定値を制御することが困難である。

被処理水の性状変動に基づく運転条件の制御方法として例えば、特開2000−61466号公報(特許文献1)には、被処理水を膜モジュール循環させてろ過処理する際に、被処理水中汚泥濃度、つまり溶質濃度の大きさに応じて、膜モジュールを通過する被処理排水膜面流速を変更することにより、膜の目詰まりの防止や透過流束を向上する方法が記載されている。

概要

被処理水の性状変動が生じた場合に、その性状変動に追随して膜の透過流束をより適正な範囲に制御することができ、膜ろ過処理装置の運転条件を最適化することが可能な膜ろ過処理装置及び膜ろ過処理方法を提供する。分離膜を透過する被処理水の性状変動因子となる複数の実測値を用いて演算された分離膜の透過流束予測値に基づいて、分離膜の膜間差圧及び膜面流速の少なくとも一方を制御する制御手段5を備えることを特徴とする膜ろ過処理装置である。

目的

本発明は、被処理水の性状変動が生じた場合に、その性状変動に追随して膜の透過流束をより適正な範囲に制御することができ、膜ろ過処理装置の運転条件を最適化することが可能な膜ろ過処理装置及び膜ろ過処理方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

分離膜を透過する被処理水性状変動因子となる複数の実測値を用いて演算された前記分離膜の透過流束予測値に基づいて、前記分離膜の膜間差圧及び膜面流速の少なくとも一方を制御する制御手段を備えることを特徴とする膜ろ過処理装置

請求項2

前記複数の実測値が、前記被処理水の温度、溶質濃度、及び膜面流速の実測値を含むことを特徴とする請求項1に記載の膜ろ過処理装置。

請求項3

被処理水の供給を受けて膜透過水及び排出水を得る分離膜と、前記分離膜の前記被処理水の供給側に設けられたポンプと、前記分離膜の排出水を得る排出側に設けられたバルブと、前記分離膜を透過する前の前記被処理水、前記膜透過水及び前記排出水の圧力をそれぞれ検出する圧力検出手段と、前記分離膜を透過する前の前記被処理水、前記透過水流速又は流量をそれぞれ検出する流速・流量検出手段と、前記分離膜を透過する前の前記被処理水の温度を検出する温度検出手段と、前記分離膜を透過する前の前記被処理水の溶質濃度を検出する濃度検出手段と、前記圧力検出手段、前記流速・流量検出手段、前記温度検出手段、前記濃度検出手段の検出結果から演算された前記分離膜の透過流束予測値に基づいて、前記分離膜の膜間差圧及び膜面流速の少なくとも一方を制御するように、前記ポンプの駆動及び前記バルブの開度の少なくとも一方の制御を行う制御手段とを備えることを特徴とする膜ろ過処理装置。

請求項4

前記透過流束予測値が、前記分離膜の限界透過流束であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の膜ろ過処理装置。

請求項5

前記制御手段が、前記透過流束予測値と前記分離膜の透過流束の実測値とを比較し、前記透過流束予測値が前記実測値よりも大きい場合には、前記膜間差圧を上げるように制御し、前記透過流束予測値が前記実測値と等しい場合には、前記膜間差圧を下げるように制御することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の膜ろ過処理装置。

請求項6

前記制御手段が、前記透過流束予測値と前記分離膜の透過流束の目標値とを比較し、前記透過流束予測値が前記目標値以上の場合には膜面流速を下げるように制御し、前記透過流束予測値が前記目標値より小さい場合には、膜面流速を上げるように制御することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の膜ろ過処理装置。

請求項7

前記制御手段が、前記分離膜の透過流束予測値を、以下の関係式(1)に基づいて演算することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の膜ろ過処理装置。Jlim=Jlim0×ln(Cg/C)/ln(Cg/C0)×exp(E/T0)×exp(E/T)×(v/v0)n×exp(−Q/T)/exp(−Q/T0)・・・(1)(ここでJlimは限界透過流束、Jlim0は基準点における分離膜の限界透過流束、Cgはゲル層の溶質濃度、Cは被処理水の溶質濃度の実測値、C0は基準点における被処理水の溶質濃度、E、Qは係数、T0は基準点における被処理水の温度、Tは被処理水の温度の実測値、vは膜面流速の実測値、v0は基準点における膜面流速の実測値を示す。)

請求項8

前記被処理水が含油廃液を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の膜ろ過処理装置。

請求項9

分離膜を透過する被処理水の性状変動因子となる複数の実測値を用いて前記分離膜の透過流束予測値を演算し、前記透過流束予測値の演算結果に基づいて前記分離膜の膜間差圧及び膜面流速の少なくとも一方を制御することを含む膜ろ過処理方法。

技術分野

0001

本発明は、膜ろ過処理装置及び膜ろ過処理方法に関する。

背景技術

0002

膜ろ過処理装置の運転条件は、被処理水や使用する膜の性状等に応じて、膜閉塞が起こりにくくなるように経済性を考慮して設定されているが、従来の膜ろ過処理装置の運転条件は、予備試験やそれまでの経験によって決定されていることが多い。そのため、被処理水の性状が変動する場合には、当初の運転条件の設定値が、被処理水の性状変動後においても最適値であるとは限らず、性状変動に基づいて運転条件の設定値を制御することが困難である。

0003

被処理水の性状変動に基づく運転条件の制御方法として例えば、特開2000−61466号公報(特許文献1)には、被処理水を膜モジュール循環させてろ過処理する際に、被処理水中汚泥濃度、つまり溶質濃度の大きさに応じて、膜モジュールを通過する被処理排水膜面流速を変更することにより、膜の目詰まりの防止や透過流束を向上する方法が記載されている。

先行技術

0004

特開2000−61466号公報

発明が解決しようとする課題

0005

しかしながら、特許文献1に記載された方法は、被処理排水中の汚泥濃度に対して最適な膜面流速を決定する根拠が明確でなく、膜ろ過処理装置の運転条件の設定方法として最適な手法であるとはいえない。

0006

例えば、特許文献1に記載された方法では、汚泥濃度値に対してあらかじめ設定された条件を満足するように、循環ポンプの出力及びバルブ開度が調整されることが記載されている。しかしながら、その制御方法は比較的単純であり、汚泥濃度が高くなるにつれて、膜面流速を大きくするような制御が記載されているだけである。

0007

膜処理において、透過流束の大きさを決定する因子は、被処理水の溶質濃度の大きさだけではない。そのため、特許文献1に記載された方法では、被処理水の溶質濃度以外の膜透過流束決定因子が変動した場合に最適な膜面流速の条件を決定することが困難である。

0008

上記課題を鑑み、本発明は、被処理水の性状変動が生じた場合に、その性状変動に追随して膜の透過流束をより適正な範囲に制御することができ、膜ろ過処理装置の運転条件を最適化することが可能な膜ろ過処理装置及び膜ろ過処理方法を提供する。

課題を解決するための手段

0009

上記目的を達成するために、本発明者が鋭意検討したところ、被処理水の性状変動因子となる複数の実測値の変動に基づいて分離膜の透過流束を予測し、その予測結果に基づいて運転条件を制御することが有効であるとの知見を得た。

0010

以上の知見を基礎として完成した本発明は一側面において、分離膜を透過する被処理水の性状変動因子となる複数の実測値を用いて演算された分離膜の透過流束予測値に基づいて、分離膜の膜間差圧及び膜面流速の少なくとも一方を制御する制御手段を備える膜ろ過処理装置が提供される。

0011

本発明に係る膜ろ過処理装置は一実施態様において、複数の実測値が、被処理水の温度、溶質濃度、及び膜面流速の実測値を含む。

0012

本発明は別の一側面において、被処理水の供給を受けて膜透過水及び排出水を得る分離膜と、分離膜の被処理水の供給側に設けられたポンプと、分離膜の排出水を得る排出側に設けられたバルブと、分離膜を透過する前の被処理水、膜透過水及び排出水の圧力をそれぞれ検出する圧力検出手段と、分離膜を透過する前の被処理水、透過水流速又は流量をそれぞれ検出する流速・流量検出手段と、分離膜を透過する前の被処理水の温度を検出する温度検出手段と、分離膜を透過する前の被処理水の溶質濃度を検出する濃度検出手段と、圧力検出手段、流速・流量検出手段、温度検出手段、濃度検出手段の検出結果から演算された分離膜の透過流束予測値に基づいて、分離膜の膜間差圧及び膜面流速の少なくとも一方を制御するように、ポンプの駆動及びバルブの開度の少なくとも一方の制御を行う制御手段とを備える膜ろ過処理装置が提供される。

0013

本発明に係る膜ろ過処理装置は一実施態様において、透過流束予測値が、分離膜の限界透過流束である。

0014

本発明に係る膜ろ過処理装置は別の一実施態様において、制御手段が、透過流束予測値と分離膜の透過流束の実測値とを比較し、透過流束予測値が実測値よりも大きい場合には、膜間差圧を上げるように制御し、透過流束予測値が実測値と等しい場合には、膜間差圧を下げるように制御する。

0015

本発明に係る膜ろ過処理装置は更に別の一実施態様において、制御手段が、透過流束予測値と分離膜の透過流束の目標値とを比較し、透過流束予測値が目標値以上の場合には膜面流速を下げるように制御し、透過流束予測値が目標値より小さい場合には、膜面流速を上げるように制御する。

0016

本発明に係る膜ろ過処理装置は更に別の一実施態様において、制御手段が、分離膜の透過流束予測値を、以下の関係式(1)に基づいて演算する。
Jlim=Jlim0×ln(Cg/C)/ln(Cg/C0)×exp(E/T0)×exp(E/T)×(v/v0)n×exp(−Q/T)/exp(−Q/T0)・・・(1)
(ここでJlimは限界透過流束、Jlim0は基準点における分離膜の限界透過流束、Cgはゲル層の溶質濃度、Cは被処理水の溶質濃度の実測値、C0は基準点における被処理水の溶質濃度、E、Qは係数、T0は基準点における被処理水の温度、Tは被処理水の温度の実測値、vは膜面流速の実測値、v0は基準点における膜面流速の実測値を示す。)

0017

本発明に係る膜ろ過処理装置は更に別の一実施態様において、被処理水が含油廃液を含む。

0018

本発明は更に別の一側面において、分離膜を透過する被処理水の性状変動因子となる複数の実測値を用いて分離膜の透過流束予測値を演算し、透過流束予測値の演算結果に基づいて分離膜の膜間差圧及び膜面流速の少なくとも一方を制御することを含む膜ろ過処理方法が提供される。

発明の効果

0019

本発明によれば、被処理水の性状変動が生じた場合に、その性状変動に追随して膜の透過流束をより適正な範囲に制御することができ、膜ろ過処理装置の運転条件を最適化することが可能な膜ろ過処理装置及び膜ろ過処理方法が提供できる。

図面の簡単な説明

0020

本発明の実施の形態に係る膜ろ過処理装置の一例を示す概略図である。
膜間差圧ΔPと透過流束Jとの関係を表すグラフである。
分離膜近傍の溶質濃度の変化と分離膜上に堆積されるゲル層を表す模式図である。
関係式(1)のゲル層の溶質濃度Cgの算出に用いられるグラフを示し、過去のデータ群について透過流束を縦軸とし、溶質濃度の自然対数横軸とした場合の関係を表すグラフである。
本発明の実施の形態に係る膜ろ過処理装置において、理論値>実測値、即ち、透過流束予測値が実測値よりも大きくなった場合に行われる膜間差圧制御方法を説明するグラフである。
本発明の実施の形態に係る膜ろ過処理装置において、理論値=実測値、即ち、透過流束予測値が実測値と等しくなった場合に行われる膜間差圧制御方法を説明するグラフである。
本発明の実施の形態に係る膜ろ過処理装置において、目標値に基づく膜面流速の制御方法を説明するグラフである。
本発明の実施の形態に係る膜ろ過処理装置を用いた膜間差圧の制御方法を説明するフローチャートである。
本発明の実施の形態に係る膜ろ過処理装置を用いた膜面流速の制御方法を説明するフローチャートである。
透過流束の実測値と本発明の実施の形態に係る関係式を使って求めた透過流束の計算値との関係を表すグラフである。

0021

以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。以下の図面の記載においては、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。なお、以下に示す実施の形態はこの発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の技術的思想は、構成部品の構造、配置等を下記のものに特定するものではない。

0022

本発明の実施の形態に係る膜ろ過処理装置は、図1に示すように、被処理水を貯蔵する原水槽1と、被処理水を膜ろ過処理する分離膜を備える膜ろ過手段2と、原水槽1から膜ろ過手段2に被処理水を供給するポンプ3と、膜ろ過手段2の排出側に設けられ、ろ過手段2で得られる排出水を原水槽1へ循環させる循環ラインL3に設けられたバルブ4と、ポンプ3の駆動及びバルブ4の開度の少なくとも一方の制御が可能な制御手段5とを備える。

0023

原水槽1に収容される被処理水の種類は特に限定されない。被処理水としては、溶解性有機物や濁質、油分などの汚染物を含む流体が用いられる。例えば、下水二次処理水水産加工業、自動車製造業石油精製業、乳製品製造業、飲料製造業金属加工業等に関する工場などから排出される含油廃液や、地下水、用水、海水汽水廃棄物の最終処分場から発生する浸出水などが、本実施形態に係る被処理水として利用可能である。

0024

膜ろ過手段2は、被処理水の供給を受けて膜透過水及び排出水を得る分離膜を備える。分離膜の種類は特に限定されず、限外ろ過膜精密ろ過膜ナノろ過膜等の種々の膜を用いることができる。膜ろ過手段2で得られた膜透過水は、膜ろ過手段2に接続された供給ラインL2を介して分離される。膜ろ過手段2で得られた排出水は、循環ラインL3を介して排出されるとともにその一部が原水槽1へ循環される。

0025

ポンプ3は、膜ろ過手段2へ被処理水を供給する被処理水の供給側、即ち、原水槽1から膜ろ過手段2へ被処理水を供給する供給ラインL1に設けられている。供給ラインL1には、分離膜を透過する前の被処理水の溶質濃度を検出する濃度検出手段11と、分離膜を透過する前の被処理水の温度を検出する温度検出手段12と、分離膜を透過する前の被処理水の流速又流量をそれぞれ検出する流速・流量検出手段13と、分離膜を透過する前の被処理水の圧力を検出する圧力検出手段14が設けられている。

0026

供給ラインL2には、膜透過水の流速又流量を検出する流速・流量検出手段23と、膜透過水の圧力を検出する圧力検出手段24とが設けられている。循環ラインL3には、排出水の圧力を検出する圧力検出手段34が設けられている。濃度検出手段11、温度検出手段12、流速・流量検出手段13、23、圧力検出手段14、24、34の検出結果は、膜ろ過処理装置の実測値として制御手段5へ出力される。

0027

制御手段5は、分離膜を透過する被処理水の性状変動因子となる複数の実測値、即ち、本実施形態では、被処理水の温度、溶質濃度、及び膜面流速の実測値を少なくとも用いて分離膜の透過流束予測値を演算し、透過流束予測値の演算結果に基づいて、分離膜の膜間差圧及び膜面流速の少なくとも一方を制御する。制御手段5としては、図示しない演算処理部と記憶装置を少なくとも備え、所定の制御アルゴリズムに基づいて所定の動作指令送出する汎用又は専用の計算機が利用可能である。

0028

具体的には、制御手段5は、圧力検出手段14、24、34、流速・流量検出手段13、23、温度検出手段12、濃度検出手段11の検出結果から、分離膜の透過流束予測値を演算し、透過流束予測値の演算結果に基づいて、分離膜の膜間差圧及び膜面流速の少なくとも一方を制御するように、ポンプ3の駆動及びバルブ4の開度の少なくとも一方の制御を行う。

0029

膜ろ過処理では、図2に示すように、膜間差圧ΔPの上昇に比例して透過流束Jが徐々に増加していくが、ある程度以上に膜間差圧ΔPを上昇させると、透過流束Jがある一定値収束していく。これは、図3に示すように、被処理水中の溶質が膜面近傍に溜まることで、膜表面に被処理水中の溶質濃度の数十〜数百倍程度となるゲル層が生じ、ゲル層の抵抗が膜間差圧ΔPに比例して増加するようになるためである。

0030

ゲル層における物質収支より、以下の式(2)が成り立つ。
J×C−D×dC/dx=JCp・・・(2)
(ここで、J:透過流束、C:被処理水の溶質濃度、D:溶質拡散係数、Cp:膜透過水の溶質濃度である。)

0031

ゲル層の溶質濃度をCg、膜透過水の溶質濃度Cp=0とし、式(2)を積分すると、透過流束Jについて、式(3)が得られる。
J=k×ln(Cg/C)・・・(3)
(ここで、k:物質移動係数(=溶質拡散係数D/境膜厚さδ)である。)

0032

つまり、上述の透過流束Jがある一定値に収束する現象が生じる際、式(3)が成り立ち、そのときの透過流束のことを「限界透過流束」と呼ぶことができる。限界透過流束となる膜間差圧(以下「限界膜間差圧」という)以下で、膜ろ過処理装置を運転することは、膜処理の経済性を考慮する上で重要である。

0033

本実施形態によれば、制御手段5が、透過流束予測値として、分離膜の限界透過流束Jlimを演算する。制御手段5による限界透過流束Jlimの演算結果から、分離膜の透過流束Jが限界透過流束Jlimに近づくように被処理水の性状変動に応じてリアルタイムで運転条件を設定することができるため、膜ろ過手段2の運転条件を常に適正な範囲内に制御することができ、より効率の高い膜ろ過処理を実現することができる。

0034

透過流束Jは、ダルシーの法則より式(4)のように表すことができる。
J=ΔP/μR・・・(4)
(ここで、ΔP:膜間差圧、μ:被処理水の粘度、R:膜ろ過抵抗である。)

0035

アンドレードの式より、被処理水の粘度μは、被処理水の温度Tに依存し、式(5)の関係がある。
μ=A×exp(E/T)・・・(5)
(ここで、A、E:係数、T:被処理水の温度である。)

0036

一方、アレニウスの式より、式(2)の拡散係数Dは、被処理水の温度Tに依存し、式(6)の関係がある。
D=B×exp(−Q/T)・・・(6)
(ここで、B、Q:係数である。)

0037

物質移動係数kは膜面流速vに依存し、流速変化法により、式(7)の関係がある。
k/k0=(v/v0)n・・・(7)
(ここで、v0:基準点における膜面流速、k0:v0における基準物質移動係数、n:係数である。)

0038

限界透過流束Jlimは、膜間差圧ΔPに依存しないため、式(3)〜(7)により、膜ろ過処理における現時点での限界透過流束Jlimは、式(8)のように表現できる。
Jlim=Jlim0×R0/R×In(Cg/C)/ln(Cg/C0)×exp(E/T0)/exp(E/T)×(v/v0)n×exp(−Q/T)/exp(−Q/T0)・・・(8)
(ここで、C0は基準点における被処理水の溶質濃度、Cgはゲル層の溶質濃度、Cは現時点における被処理水の溶質濃度、T0は基準点における被処理水の温度、Jlim0は基準点における分離膜の限界透過流束をそれぞれ示すものであり、基準点とは過去のある任意の時点の実測値を適宜設定した値を示す。)

0039

基準点、つまり測定の基準となる時から現時点、つまり測定時における膜閉塞が無視できると仮定すると、
R0/R≒1・・・(9)
となる。

0040

式(9)を用いて式(8)を変形すると、分離膜の限界透過流束Jlimは、以下の関係式(1)に基づいて計算することができる。
Jlim=Jlim0×ln(Cg/C)/ln(Cg/C0)×exp(E/T0)×exp(E/T)×(v/v0)n×exp(−Q/T)/exp(−Q/T0)・・・(1)
(ここで、Jlimは限界透過流束、Jlim0は基準点における分離膜の限界透過流束、Cgはゲル層の溶質濃度、Cは被処理水の溶質濃度の実測値、C0は基準点における被処理水の溶質濃度、E、Qは係数、T0は基準点における被処理水の温度、Tは被処理水の温度の実測値、vは膜面流速の実測値、v0は基準点における膜面流速の実測値を示す。)なお、ゲル層の溶質濃度Cgは、図4に示すように、過去のデータ群についての透過流束を縦軸とし、溶質濃度の自然対数を横軸としたグラフにおける横軸の切片として求められる。

0041

制御手段5は、上記の関係式(1)に基づいて分離膜の透過流束予測値として、測定時の限界透過流束Jlimを演算する。即ち、制御手段5は、基準点における被処理水の温度T0、溶質濃度C0、膜面流速v0、限界透過流束Jlim0の値と、圧力検出手段14、24、34、流速・流量検出手段13、23、温度検出手段12、濃度検出手段11が検出した被処理水の温度T、溶質濃度C、膜面流速vの値とを用いて、分離膜の透過流束予測値として、限界透過流束Jlimを演算する。

0042

更に制御手段5は、限界透過流束Jlimの演算結果(演算値)と、分離膜の透過流束の実測値Jとを比較する。比較の結果、限界透過流束Jlimが実測値Jよりも大きい場合には、その比較結果、即ち透過流束の差分に応じて、制御手段5は、限界透過流束Jlim=実測値Jとなるまで、膜間差圧ΔPを上昇させるようにポンプ3の駆動及びバルブ4の開度の少なくとも一方を制御する(図5参照)。

0043

なお、限界透過流束Jlim=実測値Jである場合であっても、透過流束が所定の値に収束している場合がある(図6参照)。これは、被処理水中の溶質が膜面近傍に留まることで、膜表面にゲル層が生じ、ゲル層の抵抗が膜間差圧ΔPに比例して増加するためである。この場合、膜間差圧ΔPが余剰状態にあるといえる。そこで、制御手段5は、限界透過流束Jlim=実測値Jである場合、膜間差圧ΔPが低下するように、一旦、ポンプ3の駆動及びバルブの開度を調整する制御を行う。具体的には、限界透過流束Jlim=実測値Jである場合、限界透過流束Jlim>実測値Jとなるまで膜間差圧ΔPを一旦下げ、その後、限界透過流束Jlim=実測値Jとなるように膜間差圧ΔPを上昇させる。これにより、被処理水の性状変動に応じてより適切な運転条件に設定し、制御することが可能となる。

0044

或いは、制御手段5は、限界透過流束Jlimと分離膜の透過流束の目標値JTとを比較するようにしてもよい。目標値JTは被処理水の性状及び分離膜の特性に応じて予め種々に設定することができる。比較の結果、限界透過流束Jlimが目標値JT以上の場合には、限界透過流束Jlim=目標値JTとするために、膜面流速vを下げるようにポンプ3の駆動及びバルブ4の開度の少なくとも一方を制御してもよい。限界透過流束Jlimが目標値JTより小さい場合には、制御手段5は、制御限界透過流束Jlim=目標値JTとなるように膜面流速vを上げるようにポンプ3の駆動及びバルブ4の開度の少なくとも一方を制御してもよい(図7参照)。

0045

本発明の実施の形態に係る膜ろ過処理装置によれば、制御手段5により、関係式(1)を用いて分離膜の限界透過流束Jlimを予測することができ、限界透過流束Jlimに近づくようにポンプ3の駆動及びバルブ4の開度の少なくとも一方を調節することで、無駄な動力を軽減することができ、かつ常に高い透過流束を得ることができる。

0046

なお、図1に示す膜ろ過処理装置において、図示していない加温設備を、例えば被処理水の任意の流路や、原水槽1に別途、設けることで、加温された温度を制御手段5で検出するようにして、透過流束の実測値Jが限界透過流束Jlimに近づくように、或いは限界透過流束Jlimが目標値JTに近づくように、被処理水の温度を調節するよう制御することも可能である。これにより、被処理水の温度変動に追随して膜の透過流束をより適正な範囲に制御することができる。

0047

更に、図1に示す膜ろ過処理装置においては制御手段5が限界透過流束Jlimを演算する例を示したが、制御手段5は別に、限界透過流束Jlimを演算するための独立した演算手段(図示せず)を配置してもよいことは勿論である。

0048

本発明の実施の形態に係る膜ろ過処理装置の運転方法の例を図8及び図9を用いて説明する。図8に示す例は、被処理水の変動に基づいて分離膜の膜間差圧ΔPを調整するフローの例を示し、図9に示す例は、被処理水の変動に基づいて分離膜の膜面流速vを調整するフローの例を示すものである。

0049

図8のステップS11において、図1の圧力検出手段14、24、34、流速・流量検出手段13、23、温度検出手段12、濃度検出手段11を用いて、被処理水の温度、溶質濃度、循環水の流量(膜面流速)、透過水の流量(透過流束)、循環水入口側圧力出口側圧力及び透過水側圧力の実測値を検出する。ステップS12において、制御手段5が、ステップS11で測定された各実測値を用いて、透過流束予測値(演算値)として現時点での限界透過流束Jlimを演算する。

0050

ステップS13において、制御手段5が、ステップS11で測定された透過流束の実測値Jと、ステップS12で演算された現時点での限界透過流束Jlimを比較し、限界透過流束Jlim>実測値Jとなるか否かを判断する。限界透過流束Jlim>実測値Jとなる場合には、ステップS15に進む。限界透過流束Jlim>実測値Jとならない場合にはステップS14に進む。

0051

ステップS14において、制御手段5が、限界透過流束Jlim>実測値Jとなるまで、ポンプ3の出力を下げるか、バルブ4の開度を上げるか或いはポンプ3の出力及びバルブ4の開度の両方を調整し、ステップS15へ進む。

0052

ステップS15において、制御手段5が、限界透過流束Jlim=実測値Jとなるまで、分離膜の膜間差圧ΔPを上げるように、限界透過流束Jlimと実測値Jとの差分に応じて、ポンプ3の出力を上げるか、バルブ4の開度を下げるか或いはポンプ3の出力及びバルブ4の開度の両方を調整する。

0053

ステップS16において、制御手段5が、予め任意に設定された目標総透過水量もしくは目標濃縮倍率を達成しているか否かを判断する。目標総透過水量もしくは目標濃縮倍率を達成している場合には、運転を終了する。目標透過水量もしくは目標濃縮倍率を達成していない場合には、ステップS11へ戻り、ステップS12〜S16を繰り返す。

0054

分離膜の膜面流速を制御する場合には、図9のステップS21において、図1の圧力検出手段14、24、34、流速・流量検出手段13、23、温度検出手段12、濃度検出手段11を用いて、被処理水の温度、溶質濃度、循環水の流量(膜面流速)、透過水の流量(透過流束)、循環水入口側圧力・出口側圧力及び透過水側圧力の実測値を測定する。ステップS22において、制御手段5が、ステップS21で測定された各実測値を用いて、透過流束予測値として、現時点での限界透過流束Jlimを演算する。

0055

ステップS23において、制御手段5が、予め定められた分離膜の透過流束Jの目標値JTと、ステップS22で演算された現時点での限界透過流束Jlimを比較し、限界透過流束Jlim<目標値JTとなるか否かを判断する。限界透過流束Jlim<目標値JTとなる場合には、ステップS25に進む。限界透過流束Jlim<目標値JTとならない場合にはステップS24に進む。

0056

ステップS24において、制御手段5が、限界透過流束Jlim=目標値JTとなるまで、ポンプ3の出力を下げるか、バルブ4の開度を上げるか或いはポンプ3の出力及びバルブ4の開度の両方を調整し、ステップS25へ進む。

0057

ステップS25において、制御手段5が、限界透過流束Jlim=目標値JTとなるまで、分離膜の膜間差圧ΔPを上げるように、ポンプ3の出力を上げるか、バルブ4の開度を下げるか或いはポンプ3の出力及びバルブ4の開度の両方を調整する。

0058

ステップS26において、制御手段5が、目標透過水量もしくは目標濃縮倍率を達成しているか否かを判断し、目標透過水量もしくは目標濃縮倍率を達成している場合には、運転を終了する。目標透過水量もしくは目標濃縮倍率を達成していない場合には、ステップS21へ戻り、ステップS22〜S26を繰り返す。

0059

本発明は上記の実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態及び運用技術が明らかとなろう。

0060

例えば、上記の実施の形態では、制御手段5の中に図示しない演算手段が包含され、図示しない演算手段により透過流束予測値を演算する例を示したが、制御手段5とは独立して設けられた演算手段(図示せず)によって演算処理を実行し、その演算結果に基づいて、制御手段5が所定の制御を行うこともまた本発明に包含される。このように、本発明は上記の開示から妥当な特許請求の範囲の発明特定事項によって表されるものであって、その要旨を逸脱しない範囲において当業者の技術常識に基づき変形し具体化し得るものである。

0061

以下に本発明の実施例を比較例と共に示すが、これらの実施例は本発明及びその利点をよりよく理解するために提供するものであり、発明が限定されることを意図するものではない。

0062

工場から排出された水溶性切削油剤廃液試験原水として、限外ろ過膜(分画分子量30万)を用いて濃縮処理した。濃縮液ノルマルヘキサン抽出物質濃度(=溶質濃度C)が16000、33000、54000mg/Lとなったとき、表1に示した濃縮液の温度Tと膜面流速vの条件の組み合わせにおける限界透過流束を測定した。

0063

0064

各条件の限界透過流束Jlimは、上述の関係式(1)を用いて求めた。(1)式における各係数は、別途予備実験を実施して求めた。図10に限界透過流束の実測値と、関係式(1)を用いた計算値(予測値)の比較を示す。なお、各透過流束は、任意で定めた透過流束に対する比で示している。

実施例

0065

図10に示すように、限界透過流束の実測値と、式(1)による計算値(予測値)はほぼ一致していることがわかる。

0066

1…原水槽
2…膜ろ過手段
3…ポンプ
4…バルブ
5…制御手段
11…濃度検出手段
12…温度検出手段
13、23…流速・流量検出手段
14、24、34…圧力検出手段

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