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図面 (11)

課題

カプセル周辺での線維性過剰増殖が減少した埋め込み用生体医療デバイスを提供すること。

解決手段

デバイスは、生体適合性材料を含み、特定の特徴を有し、これらの特徴は、デバイスに存在するこれらの特徴の1つまたは複数を欠く同じデバイスより埋め込み後の線維化反応の誘発を少なくすることができる。哺乳動物細胞封入し、1mm超の直径、および任意選択細胞を含まないコアを有し、対象への埋め込み後の線維性過剰増殖を低減した、生体適合性ヒドロゲルカプセルを開示する。開示された封入された細胞の治療有効量を対象に投与することを含む、対象における疾患を処置する方法も開示する。

概要

背景

体内移植される生体材料およびデバイスは、細胞移植、制御された薬物放出生理学
的状態の連続的感知およびモニタリング電子ペーシングならびに組織再生などの幅広
い領域の臨床的応用に用いられている。これらの応用において、デバイスの寿命および忠
実度は、デバイスが宿主免疫系による認識を避ける能力に高く依存する。持続性の炎症、
線維形成仕切り(walling-off))および周囲の組織への損傷を含めた異物反応を導く
、宿主が編成する細胞プロセスカスケードが、免疫認識によって引き起こされる。これ
らの不要な効果は、デバイスの機能に有害であり、患者疼痛および不快感の重大な原因
でもある。

1980年、LimおよびSunは、膵臓膵島封入のためのアルギナートポリリシン複合
体でコーティングされたアルギナートミクロカプセル紹介した。それまで、組織工学
よび再生医療用の生細胞または細胞集合体の封入のためには、ヒドロゲルミクロカプセル
が広く調査されていた(Oriveら、Nat. Medicine、9巻:104頁(2003年);Pau
lら、Regen. Med.、4巻:733頁(2009年);Readら、Biotechnol.、19巻:2
9頁(2001年))。一般的に、カプセルは、細胞によって分泌される治療用タンパク
質を放出しながら、封入された細胞への酸素および栄養の容易な拡散が可能となるように
、かつ免疫系による攻撃から細胞が防御されるように設計される。これらは、I型糖尿病
がん、およびパーキンソン病などの神経変性障害を含めた疾患の範囲に有望な治療剤
して開発されてきた(Wilsonら、Adv. Drug. Deliv. Rev.、60巻:124頁(20
08年);Jokiら、Nat. Biotech.、19巻:35頁(2001年);Kishimaら、Neuro
biol. Dis.、16巻:428頁(2004年))。最も普及しているカプセル製剤の1
つは、イオン架橋を通じて形成され得るアルギナートヒドロゲルをベースとしたものであ
る。典型的なプロセスにおいて、まず、細胞が粘性のアルギナート溶液ブレンドされる
。その後、細胞懸濁液は、空気剪断、音響振動または静電液滴形成などの種々の方法を使
用して、ミクロ液滴へと加工される(Rabaneletら、Biotechnol. Prog.、25巻:94
6頁(2009年))。アルギナート液滴は、Ca2+またはBa2+などの二価イオン
の溶液と接触するとゲル化する。

しかしながら、細胞封入用のアルギナートミクロカプセルにまつわる課題の1つは、カ
セル内での細胞の相対的位置の制御に欠くということである。細胞は、カプセル表面上
捕捉され曝露されることがあり、これは不適切免疫防御につながる(Wongら、Biomat
. Artific. Cells Immobiol. Biotechnol.、19巻:675頁(1991年))。不
完全な被覆は、曝露された細胞の拒絶を引き起こすばかりでなく、曝露されたエリアを通
ってのマクロファージおよび線維芽細胞のカプセル中への侵入を可能にする場合もあると
いうことが分かった(Chang、Nat, Rev. Drug Discovery、4巻:221頁(2005
年))。アルギナートヒドロゲルミクロカプセルは、I型糖尿病の処置のための膵臓膵島
と共に用いたその有用性について広く調査されてきた(Calafiore、Expert Opin. Biol
. Ther.、3巻:201頁(2003年))。げっ歯動物(Lim、Science、210巻:9
08頁(1980年);Qiら、Artifi. Cells, Blood Substitutes, Biotechnol.、
36巻:403頁(2008年))、イヌ(Soon-Shiongら、Proc. Natl. Acad. Sci.
USA、90巻:5843頁(1993年))、および非ヒト霊長類(El, X. Ma、D.
Zhou、I. Vacek、A. M. Sun.、J. Clin. Invest.、98巻:417頁(1996年
))を含めたいくつかの動物モデルにおける多くの有望な結果が報告されている。Soon-S
hiongら、Lancet、343巻:950頁(1994年);Elliottら、Xenotransplantatio
n、14巻:157頁(2007年);Calafioreら、Diabetes Care、29巻:137頁
(2006年)、Bastaら、Diabetes Care、34巻:2406頁(2011年)、およ
びTuchら、Diabetes Care、32巻:1887頁(2009年)によって、臨床試験も行
われている。概して、これらの臨床試験は、インスリン分泌について報告しているが、長
期の血糖制御矯正についての報告はなく、これらの系を前進させるには、さらなる課題
が残っている(Tamら、J. Biomed. Mater. Res. Part A、98A巻:40頁(20
11年);deVosら、Biomaterials、27巻:5603頁(2006年))。

1つの課題は、カプセルの生体適合性である。移植時に、異物応答が、カプセル上での
線維性細胞の過剰増殖を引き起こし、この過剰増殖は、酸素および栄養の拡散を遮り、封
入された膵島の壊死につながる。このため、研究グループは、線維化反応を低減するため
ポリマーを開発してきた(Ma etら、Adv. Mater.、23巻:H189頁(2011年
))。別の課題は、カプセル内での膵島の不完全な被覆である(deVosら、Transplantati
on、62巻:888頁(1996年);deVosら、Transplantation、62巻:893頁(
1996年))。カプセルの外側へ突出した膵島は、アルギナート溶液中での膵島数密度
が増加する場合またはカプセルサイズが小さい場合に、より頻繁に観察されるが、これら
の場合のいずれも、移植体積を最小化するためには望ましい(Leungら、Biochem. Eng.
J.、48巻:337頁(2010年))。たとえ小さくとも膵島の断片が曝露している
と、免疫エフェクター細胞は、膵島全体を破壊する場合があるという仮説が立てられてき
た(Kingら、Graft、4巻:491頁(2001年);Weberら、Ann. NY Acad. Sci.
、875巻:233頁(1999年))。さらに、少数の膵島の曝露によって、増強され
た抗体特異的細胞免疫および移植の失敗につながる、事象のカスケードが始まる場合があ
る。

二重封入法(Elliot、2007年;Wongら、Biomat. Artific. Cells Immobiol. B
iotechnol.、19巻:687頁(1991年))は、細胞を含有する非常に小さいカプセ
ルをまず形成し、次いでいくつかの小さなカプセルを大きなカプセルそれぞれの中に入れ
るものであり、封入および異種移植片生存の改善のために使用されてきた。このアプロー
チは、2つのプロセス工程、ならびに細胞の生存能力および機能性に不可欠な物質輸送
必然的に限定する大きなサイズの最終カプセルを必要とする。Schneiderら(Biomaterial
s、22巻(14号):1961〜1970頁(2001年))によって報告されている
ように、これらの問題のいくつかを解決するため、膵島含有アルギナートビーズが、ポリ
エチレンイミンポリアクリル酸またはカルボキシメチルセルロースとアルギナートとの
交互の層でコーティングされる。膵島の薄いコンフォーマルコーティングは、拡散距離
よび総移植体積を低減する(Teramuraら、Adv. Drug Deliv. Rev.、62巻:827号
(2010年);Wilsonら、J. Am. Chem. Soc.、131巻:18228頁(2009
年))。しかしながら、この方法は、膵島に損傷を引き起こす複数の工程を伴うことが多
く、コーティングが臨床での使用にとって十分に強固であるかどうか明らかではない(Ca
lifiore、2003年;Bastaら、Curr. Diab. Rep.、11巻:384頁(2011年)
)。Bastら(Transpl. Immunol.、13巻:289頁(2004年))によるこれまでの
データは、コンフォーマルコーティングは、ヒドロゲルカプセルと比較して免疫防御能力
を低減している可能性があるということを示唆している。

要するに、長年にわたる様々な動物モデルにおける有望な研究にもかかわらず、封入さ
れたヒト膵島はこれまで、臨床的な環境においてインパクトを与えてこなかった。生体
合性、低減された免疫防御、低酸素、カプセル周辺での線維性過剰増殖、封入プロセス
影響、および移植後の炎症などの多くの非免疫学的および免疫学的因子が、この有望な技
術の応用の成功を阻んでいる(Vaithilingaら、Diabet Stud、8巻(1号):51〜6
7頁(2011年))。近年使用されているアルギナートミクロカプセルは、カプセルの
外側に突出した膵島を有していることが多く、これは不適切な免疫防御につながる。カプ
セルのコア領域中に膵島を閉じ込めるための二流同軸電気噴射法を用いた改善された封
入が、Maら、Adv. Healthcare Materials、2巻(5号):667〜672頁(201
3年)によって報告されている。
封入された細胞および他の生体材料ならびに医療デバイスの臨床的応用への大きな課題
の1つは、それらが非特異的な宿主応答を誘発する可能性である(Williams、Biomateria
ls、29巻(20号):2941〜53頁(2008年);Parkら、Pharm Res、13巻
(12号):1770〜6頁(1996年);Kvistら、Diabetes Technol、8巻(4号
):463〜75頁(2006年);Wisniewskiら、J Anal Chem、366巻(6号)
:611〜21頁(2000年);Van der Giessenら、Circulation、94巻(7号)
:1690〜7頁(1996年);Granchiら、J Biomed Mater Res、29巻(2号)
:197〜202頁(1995年);Wardら、ObstetGynecol、86巻(5号):84
8〜50頁(1995年);Remesら、Biomaterials、13巻(11号):731〜43
頁(1992年))。この反応は、初期には好中球およびマクロファージなどの先天的
疫細胞、続いて、コラーゲン堆積する線維芽細胞の補充を伴って、埋め込まれた対象物
を囲む線維性カプセルを形成する(Williams、Biomaterials、29巻(20号):294
1〜53頁(2008年);Remesら、Biomaterials、13巻(11号):731〜43
頁(1992年);Andersonら、Semin Immunol、20巻(2号):86〜100頁(2
008年);Andersonら、Adv Drug Deliver Rev、28巻(1号):5〜24頁(1
997年);Abbasら、Pathologic Basis of Disease.第7版、Philadelphia:W.B S
aunders(2009年))。線維性細胞層は、電気的伝達(Singarayarら、PACE、28巻
(4号):311〜5頁(2005年))または化学的伝達を妨害し、分析物(Sharkawy
ら、J Biomed Mater Res、37巻(3号):401〜12頁(1997年);Sharkaw
yら、J Biomed Mater Res、40巻(4号):598〜605頁(1998年);Shar
kawyら、J Biomed Mater Res、40巻(4号):586〜97頁(1998年))お
よび栄養の輸送を妨げる可能性があり、そうして、免疫的孤立した膵臓膵島など多くの
埋め込み可能な医療デバイスの最終的な失敗につながる(De Grootら、J Surg Res、
121巻(1号):141〜50頁(2004年);De Vosら、Diabetologia、40巻
(3号):262〜70頁(1997年);Van Schilfgaardeら、J Mol Med、77巻
(1号):199〜205頁(1999年))。

概要

カプセル周辺での線維性過剰増殖が減少した埋め込み用生体医療デバイスを提供すること。デバイスは、生体適合性材料を含み、特定の特徴を有し、これらの特徴は、デバイスに存在するこれらの特徴の1つまたは複数を欠く同じデバイスより埋め込み後の線維化反応の誘発を少なくすることができる。哺乳動物細胞を封入し、1mm超の直径、および任意選択で細胞を含まないコアを有し、対象への埋め込み後の線維性過剰増殖を低減した、生体適合性ヒドロゲルカプセルを開示する。開示された封入された細胞の治療有効量を対象に投与することを含む、対象における疾患を処置する方法も開示する。なし

目的

本発明の目的は、カプセル周辺での線維性過剰増殖が低減された、細胞移植のための細
胞封入系を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

本明細書に記載の発明。

技術分野

0001

連邦支援研究開発に関する申立て
この発明は、米国国立衛生研究所により与えられた政府支援R01 DE016516
によってなされた。政府は、本発明について一定の権利を有する。

0002

本発明は、概して、治療剤を含有し細胞封入した構造的デバイスを含めた生体医療
バイス製作および使用の分野に関する。より詳細には、本発明の一部の態様は、哺乳動
物細胞を封入した生体適合性ヒドロゲルおよび抗炎症薬を搭載したポリマー粒子を含む、
埋め込みされる生体医療デバイス生体適合性の改善を確実にするための改善された物理
パラメーターに関する。

背景技術

0003

体内移植される生体材料およびデバイスは、細胞移植、制御された薬物放出生理学
的状態の連続的感知およびモニタリング電子ペーシングならびに組織再生などの幅広
い領域の臨床的応用に用いられている。これらの応用において、デバイスの寿命および忠
実度は、デバイスが宿主免疫系による認識を避ける能力に高く依存する。持続性の炎症、
線維形成仕切り(walling-off))および周囲の組織への損傷を含めた異物反応を導く
、宿主が編成する細胞プロセスカスケードが、免疫認識によって引き起こされる。これ
らの不要な効果は、デバイスの機能に有害であり、患者疼痛および不快感の重大な原因
でもある。

0004

1980年、LimおよびSunは、膵臓膵島の封入のためのアルギナートポリリシン複合
体でコーティングされたアルギナートミクロカプセル紹介した。それまで、組織工学
よび再生医療用の生細胞または細胞集合体の封入のためには、ヒドロゲルミクロカプセル
が広く調査されていた(Oriveら、Nat. Medicine、9巻:104頁(2003年);Pau
lら、Regen. Med.、4巻:733頁(2009年);Readら、Biotechnol.、19巻:2
9頁(2001年))。一般的に、カプセルは、細胞によって分泌される治療用タンパク
質を放出しながら、封入された細胞への酸素および栄養の容易な拡散が可能となるように
、かつ免疫系による攻撃から細胞が防御されるように設計される。これらは、I型糖尿病
がん、およびパーキンソン病などの神経変性障害を含めた疾患の範囲に有望な治療剤と
して開発されてきた(Wilsonら、Adv. Drug. Deliv. Rev.、60巻:124頁(20
08年);Jokiら、Nat. Biotech.、19巻:35頁(2001年);Kishimaら、Neuro
biol. Dis.、16巻:428頁(2004年))。最も普及しているカプセル製剤の1
つは、イオン架橋を通じて形成され得るアルギナートヒドロゲルをベースとしたものであ
る。典型的なプロセスにおいて、まず、細胞が粘性のアルギナート溶液ブレンドされる
。その後、細胞懸濁液は、空気剪断、音響振動または静電液滴形成などの種々の方法を使
用して、ミクロ液滴へと加工される(Rabaneletら、Biotechnol. Prog.、25巻:94
6頁(2009年))。アルギナート液滴は、Ca2+またはBa2+などの二価イオン
の溶液と接触するとゲル化する。

0005

しかしながら、細胞封入用のアルギナートミクロカプセルにまつわる課題の1つは、カ
セル内での細胞の相対的位置の制御に欠くということである。細胞は、カプセル表面上
捕捉され曝露されることがあり、これは不適切免疫防御につながる(Wongら、Biomat
. Artific. Cells Immobiol. Biotechnol.、19巻:675頁(1991年))。不
完全な被覆は、曝露された細胞の拒絶を引き起こすばかりでなく、曝露されたエリアを通
ってのマクロファージおよび線維芽細胞のカプセル中への侵入を可能にする場合もあると
いうことが分かった(Chang、Nat, Rev. Drug Discovery、4巻:221頁(2005
年))。アルギナートヒドロゲルミクロカプセルは、I型糖尿病の処置のための膵臓膵島
と共に用いたその有用性について広く調査されてきた(Calafiore、Expert Opin. Biol
. Ther.、3巻:201頁(2003年))。げっ歯動物(Lim、Science、210巻:9
08頁(1980年);Qiら、Artifi. Cells, Blood Substitutes, Biotechnol.、
36巻:403頁(2008年))、イヌ(Soon-Shiongら、Proc. Natl. Acad. Sci.
USA、90巻:5843頁(1993年))、および非ヒト霊長類(El, X. Ma、D.
Zhou、I. Vacek、A. M. Sun.、J. Clin. Invest.、98巻:417頁(1996年
))を含めたいくつかの動物モデルにおける多くの有望な結果が報告されている。Soon-S
hiongら、Lancet、343巻:950頁(1994年);Elliottら、Xenotransplantatio
n、14巻:157頁(2007年);Calafioreら、Diabetes Care、29巻:137頁
(2006年)、Bastaら、Diabetes Care、34巻:2406頁(2011年)、およ
びTuchら、Diabetes Care、32巻:1887頁(2009年)によって、臨床試験も行
われている。概して、これらの臨床試験は、インスリン分泌について報告しているが、長
期の血糖制御矯正についての報告はなく、これらの系を前進させるには、さらなる課題
が残っている(Tamら、J. Biomed. Mater. Res. Part A、98A巻:40頁(20
11年);deVosら、Biomaterials、27巻:5603頁(2006年))。

0006

1つの課題は、カプセルの生体適合性である。移植時に、異物応答が、カプセル上での
線維性細胞の過剰増殖を引き起こし、この過剰増殖は、酸素および栄養の拡散を遮り、封
入された膵島の壊死につながる。このため、研究グループは、線維化反応を低減するため
ポリマーを開発してきた(Ma etら、Adv. Mater.、23巻:H189頁(2011年
))。別の課題は、カプセル内での膵島の不完全な被覆である(deVosら、Transplantati
on、62巻:888頁(1996年);deVosら、Transplantation、62巻:893頁(
1996年))。カプセルの外側へ突出した膵島は、アルギナート溶液中での膵島数密度
が増加する場合またはカプセルサイズが小さい場合に、より頻繁に観察されるが、これら
の場合のいずれも、移植体積を最小化するためには望ましい(Leungら、Biochem. Eng.
J.、48巻:337頁(2010年))。たとえ小さくとも膵島の断片が曝露している
と、免疫エフェクター細胞は、膵島全体を破壊する場合があるという仮説が立てられてき
た(Kingら、Graft、4巻:491頁(2001年);Weberら、Ann. NY Acad. Sci.
、875巻:233頁(1999年))。さらに、少数の膵島の曝露によって、増強され
た抗体特異的細胞免疫および移植の失敗につながる、事象のカスケードが始まる場合があ
る。

0007

二重封入法(Elliot、2007年;Wongら、Biomat. Artific. Cells Immobiol. B
iotechnol.、19巻:687頁(1991年))は、細胞を含有する非常に小さいカプセ
ルをまず形成し、次いでいくつかの小さなカプセルを大きなカプセルそれぞれの中に入れ
るものであり、封入および異種移植片生存の改善のために使用されてきた。このアプロー
チは、2つのプロセス工程、ならびに細胞の生存能力および機能性に不可欠な物質輸送
必然的に限定する大きなサイズの最終カプセルを必要とする。Schneiderら(Biomaterial
s、22巻(14号):1961〜1970頁(2001年))によって報告されている
ように、これらの問題のいくつかを解決するため、膵島含有アルギナートビーズが、ポリ
エチレンイミンポリアクリル酸またはカルボキシメチルセルロースとアルギナートとの
交互の層でコーティングされる。膵島の薄いコンフォーマルコーティングは、拡散距離
よび総移植体積を低減する(Teramuraら、Adv. Drug Deliv. Rev.、62巻:827号
(2010年);Wilsonら、J. Am. Chem. Soc.、131巻:18228頁(2009
年))。しかしながら、この方法は、膵島に損傷を引き起こす複数の工程を伴うことが多
く、コーティングが臨床での使用にとって十分に強固であるかどうか明らかではない(Ca
lifiore、2003年;Bastaら、Curr. Diab. Rep.、11巻:384頁(2011年)
)。Bastら(Transpl. Immunol.、13巻:289頁(2004年))によるこれまでの
データは、コンフォーマルコーティングは、ヒドロゲルカプセルと比較して免疫防御能力
を低減している可能性があるということを示唆している。

0008

要するに、長年にわたる様々な動物モデルにおける有望な研究にもかかわらず、封入さ
れたヒト膵島はこれまで、臨床的な環境においてインパクトを与えてこなかった。生体適
合性、低減された免疫防御、低酸素、カプセル周辺での線維性過剰増殖、封入プロセス
影響、および移植後の炎症などの多くの非免疫学的および免疫学的因子が、この有望な技
術の応用の成功を阻んでいる(Vaithilingaら、Diabet Stud、8巻(1号):51〜6
7頁(2011年))。近年使用されているアルギナートミクロカプセルは、カプセルの
外側に突出した膵島を有していることが多く、これは不適切な免疫防御につながる。カプ
セルのコア領域中に膵島を閉じ込めるための二流同軸電気噴射法を用いた改善された封
入が、Maら、Adv. Healthcare Materials、2巻(5号):667〜672頁(201
3年)によって報告されている。
封入された細胞および他の生体材料ならびに医療デバイスの臨床的応用への大きな課題
の1つは、それらが非特異的な宿主応答を誘発する可能性である(Williams、Biomateria
ls、29巻(20号):2941〜53頁(2008年);Parkら、Pharm Res、13巻
(12号):1770〜6頁(1996年);Kvistら、Diabetes Technol、8巻(4号
):463〜75頁(2006年);Wisniewskiら、J Anal Chem、366巻(6号)
:611〜21頁(2000年);Van der Giessenら、Circulation、94巻(7号)
:1690〜7頁(1996年);Granchiら、J Biomed Mater Res、29巻(2号)
:197〜202頁(1995年);Wardら、ObstetGynecol、86巻(5号):84
8〜50頁(1995年);Remesら、Biomaterials、13巻(11号):731〜43
頁(1992年))。この反応は、初期には好中球およびマクロファージなどの先天的
疫細胞、続いて、コラーゲン堆積する線維芽細胞の補充を伴って、埋め込まれた対象物
を囲む線維性カプセルを形成する(Williams、Biomaterials、29巻(20号):294
1〜53頁(2008年);Remesら、Biomaterials、13巻(11号):731〜43
頁(1992年);Andersonら、Semin Immunol、20巻(2号):86〜100頁(2
008年);Andersonら、Adv Drug Deliver Rev、28巻(1号):5〜24頁(1
997年);Abbasら、Pathologic Basis of Disease.第7版、Philadelphia:W.B S
aunders(2009年))。線維性細胞層は、電気的伝達(Singarayarら、PACE、28巻
(4号):311〜5頁(2005年))または化学的伝達を妨害し、分析物(Sharkawy
ら、J Biomed Mater Res、37巻(3号):401〜12頁(1997年);Sharkaw
yら、J Biomed Mater Res、40巻(4号):598〜605頁(1998年);Shar
kawyら、J Biomed Mater Res、40巻(4号):586〜97頁(1998年))お
よび栄養の輸送を妨げる可能性があり、そうして、免疫的孤立した膵臓膵島など多くの
埋め込み可能な医療デバイスの最終的な失敗につながる(De Grootら、J Surg Res、
121巻(1号):141〜50頁(2004年);De Vosら、Diabetologia、40巻
(3号):262〜70頁(1997年);Van Schilfgaardeら、J Mol Med、77巻
(1号):199〜205頁(1999年))。

0009

Oriveら、Nat. Medicine、9巻:104頁(2003年)
Paulら、Regen. Med.、4巻:733頁(2009年)
Readら、Biotechnol.、19巻:29頁(2001年)
Wilsonら、Adv. Drug. Deliv. Rev.、60巻:124頁(2008年)
Jokiら、Nat. Biotech.、19巻:35頁(2001年)
Kishimaら、Neurobiol. Dis.、16巻:428頁(2004年)
Rabaneletら、Biotechnol. Prog.、25巻:946頁(2009年)

0010

移植の際のカプセルに対する線維化反応は、膵島の移植に対する大きな課題を提起する
。線維形成は、最終的に膵島の壊死および移植の失敗へとつながる。

0011

ヒト膵島細胞の移植のための改善された封入方法およびデバイスが、依然として実質的
に必要とされている。

0012

本発明の目的は、カプセル周辺での線維性過剰増殖が低減された、細胞移植のための細
胞封入系を提供することにある。

0013

本発明のさらなる目的は、カプセル周辺での線維性過剰増殖が低減された、細胞移植方
法を提供することにある。

0014

本発明のさらなる目的は、封入された膵島細胞を使用して糖尿病を処置する、改善され
た方法を提供することにある。

先行技術

0015

本発明のさらなる目的は、線維性隔離ならびに機能および長期間治療効率の妨げを防止
する一般的なデバイス製作のための方法およびデバイスを提供することにある。

課題を解決するための手段

0016

ある特定の物理的特徴を有するように設計された生体医療デバイスは、宿主の拒絶なら
びに生体材料および生体医療デバイスの線維性過剰増殖の低減を呈することを発見した。

0017

カプセル周辺での線維性過剰増殖が減じられた埋め込み用生体医療デバイスを開発した
。デバイスは、生体適合性材料を含み、直径が少なくとも1mmかつ10mm未満であり
回転楕円体様形状を有し、以下の追加の特徴の1つまたは複数を有する:デバイスの表
面孔は、0nm超10μm未満である;デバイスの表面は、中性または親水性である;デ
バイスの表面の曲率は、表面の全ての点において、少なくとも0.2かつ2未満である;
およびデバイスの表面は、平面、鋭角、溝またはを有さない。デバイスは、デバイス上
に存在するこれらの特徴の1つまたは複数を欠く同じデバイスより、埋め込み後の線維化
反応の誘発が少ない。一部の実施形態において、デバイスは、例えば、生物学的細胞もし
くは組織、合成電気リード線またはセンサーを封入した、生体適合性の球様(回転楕円体
)の外側シェルであり得る。

0018

生体医療デバイスは、ヒドロゲル、化学的に精製されたアルギナートおよび食品グレー
ドのエンドトキシン含有アルギナートの両方、ガラスのような二酸化ケイ素系セラミック
スなどの半導体材料、ならびにPCLおよびポリスチレンなどの分解性および非分解性
リマーおよびプラスチックを含めた、様々な材料から作製することができる。特色の特定
組合せは、デバイスの生体適合性という結果をもたらしまたは生体適合性を改善する(
特に、デバイスへの免疫反応およびデバイスのカプセル様の線維形成を低減しまたはなく
すことによって)。

0019

生体医療デバイスは、例えば、長期埋め込み可能なセンサーおよびアクチュエーター
制御された薬物放出デバイス、プロステーシスおよび組織再生生体材料、ならびに移植に
付随する技術を含めた、任意の生体医療用途に使用することができる。

0020

哺乳動物細胞を封入し、任意選択で抗炎症薬を含み、カプセル周辺での線維性過剰増殖
が減少した、移植用生体適合性カプセルを開発した。カプセルは、その中に封入された哺
動物細胞を有している。哺乳動物細胞は、カプセルのコア中には位置していない。好ま
しくは、カプセルは、2つまたは3つの層を含有する。無細胞コアヒドロゲル層および
外側のバリア層を有する3層カプセルにおいて、細胞は中間層中に位置している。コアお
よびシェルを含有する2層カプセルについては、細胞はシェル中に位置している。あるい
はまた、細胞は、2層カプセルのコア中にあってもよい。任意選択で、カプセルは、その
中に封入された、抗炎症薬または放射線不透過性撮像試薬などの1種または複数種治療
剤、診断剤または予防剤も含有する。

0021

一般的に、コア−シェルカプセルは、2つまたはそれ超のまとまった層を有するカプセ
ルおよびミクロカプセルを形成するためのミクロ流体または針システムを用いて膜層なし
で製作される。例えば、2つの同時液体流を用いて、2層の液滴を形成してもよい。3層
カプセルは、膜層なしで製作することができる。例えば、3つの同時流を用いて、硬化
てカプセルおよびミクロカプセルを形成する3層の液滴を形成してもよい。

0022

封入および移植に適した細胞は、一般的に、分泌もしくは代謝細胞(すなわち、それら
は、治療因子を分泌するもしくは毒素を代謝する、もしくは両方)、または構造細胞(例
えば、皮膚、筋肉、血管)、または代謝細胞(すなわち、それらは毒性物質を代謝する)
である。一部の実施形態において、細胞は、自然にインスリンを分泌する膵島細胞など、
自然分泌性であり、または、自然に解毒し分泌する肝細胞など、自然代謝性である。一部
の実施形態において、細胞は、分泌タンパク質または代謝酵素などの組み換えタンパク質
発現するように生体工学によって作られたものである。細胞のタイプに応じて、細胞は
、単一の細胞、細胞集合体、回転楕円体、または天然のもしくは生体工学によって作られ
た組織として組織され得る。

0023

カプセルは、好ましくはヒドロゲルカプセルである。一部の実施形態において、カプセ
ルのコアは、非ヒドロゲルポリマーである。好ましくは、カプセルは1mm超の直径を有
し、より好ましくは、直径は1.5mmまたはそれ超のサイズであるが8mm未満である
。より大きなカプセルは、ヒドロゲル中にわたる拡散によって細胞が適切な栄養および気
交換を受けることができることを確実にするため、無細胞コアを必要とする。

0024

細胞を封入したヒドロゲルカプセルの集団を開発した。集団中のカプセルは、哺乳動物
分泌細胞、哺乳動物代謝細胞、哺乳動物構造細胞およびそれらの集合体からなる群から選
択される、移植される細胞を含有する。カプセルの集団中の全てのカプセルは、直径が少
なくとも1mmかつ8mm未満である。集団中のカプセルは、直径1mm未満の同じカプ
セルより、埋め込み後の線維化反応の誘発が少ない。集団中のカプセルは、直径が1mm
未満であるカプセルおよび直径が少なくとも8mmであるカプセルから、直径が少なくと
も1mmかつ8mm未満であるカプセルを分離することによって選択することができる。

0025

封入された膵島細胞を含有する人工膵臓などの人工臓器を、組成物から製作してもよい
。これらの実施形態の一部において、細胞は、単一のヒドロゲル区画中へ封入される。他
の実施形態において、組成物は、生体適合性構造中に分散または封入された複数の封入さ
れた細胞を含有する。

0026

疾患を処置する方法は概して、対象に、哺乳動物細胞および抗炎症薬を封入した生体適
合性ヒドロゲルを投与することを伴う。一部の実施形態において、抗炎症薬は、制御放出
ポリマー中に封入される。これらの実施形態の一部において、封入された細胞は、疾患を
処置するための治療有効量の物質を、少なくとも30日間、好ましくは少なくとも60日
間、より好ましくは少なくとも90日間、好ましくは分泌する。特に好ましい実施形態に
おいて、細胞は、対象において糖尿病を処置するための治療有効量のインスリンを、少な
くとも30日間、好ましくは少なくとも60日間、より好ましくは少なくとも90日間分
泌する膵島細胞である。

図面の簡単な説明

0027

図1は、コアヒドロゲル中に細胞が封入されており、かつ外側の(包膜)ヒドロゲル中に薬物搭載粒子を含有する、3層カプセルの図である。コアと包膜ヒドロゲルとを分離する任意選択の膜材料が示されている。

0028

図2は、三流体同軸電気スプレーにより3層カプセルを形成するためのノズルの図である。

0029

図3Aおよび3Bは、外側の架橋シェルを有するヒドロゲルマトリックス内に細胞を分散させる従来の細胞封入方法(図3A)、および、細胞を含有し、細胞がカプセルの外壁に接触することを防ぐためにシェルによって囲まれており、カプセルが埋め込まれる宿主において、免疫細胞に曝露され得る、ヒドロゲルコアを形成するための二流体同軸電気噴射デバイスの模式図である。

0030

図4Aおよび4Bは、I型糖尿病の処置における対照標準カプセルおよびコア−シェルカプセルを比較したグラフである。図4Aは、封入された500ラット膵島当量を移植した後のSTZ誘発糖尿病マウス血糖データを示す。エラーバーは、標準誤差を表す。図4Bは、正常血糖マウスの数を時間の関数として示したものである。両方のタイプのカプセルについて、8回の再現を使用した。

0031

図5Aおよび5Bは、膵島細胞を含有する500μmヒドロゲルカプセル(図5A)およびラット膵島(500IE)を封入した1.5mmアルギナートカプセル(図5B)を埋め込まれたSTZ誘発C57BL/6糖尿病マウスにおける血糖レベルを比較したグラフである。

0032

図6は、種々のサイズの空のカプセル中での免疫応答(マクロファージまたは好中球から作られた細胞集団パーセント)のグラフである。300μm、500μm、900μmおよび1500μmのカプセルについて評定した。

0033

図7は、ウエスタンブロットによって決定した0.3mm、0.5mm、1mmおよび1.5mmのカプセルに関連する平滑筋アクチンおよびβ−アクチン正規化シグナル強度のグラフである。

0034

図8は、カプセルの表面積図8上部)またはカプセルの体積図8下部)について正規化した、300μm、500μmおよび800μmのカプセルについての線維形成レベルのグラフである。

0035

図9A〜9Dは、SLG20アルギナート(PRONOVA)、ポリスチレン、ガラス、ポリカプロラクトン(PCL)およびLF10/60アルギナート(FMCBioPolymer)から作製された500μmおよび1500μmのカプセル中での線維形成マーカーの相対的発現のグラフである。線維形成は、CD68(マクロファージマーカー;図9A)、Ly6g(好中球マーカー;図9B)、CD11b(骨髄性細胞マーカー;図9C)、およびCol1a1(線維形成マーカー;図9D)を用いて測定した。
図9A〜9Dは、SLG20アルギナート(PRONOVA)、ポリスチレン、ガラス、ポリカプロラクトン(PCL)およびLF10/60アルギナート(FMC BioPolymer)から作製された500μmおよび1500μmのカプセル中での線維形成マーカーの相対的発現のグラフである。線維形成は、CD68(マクロファージマーカー;図9A)、Ly6g(好中球マーカー;図9B)、CD11b(骨髄性細胞マーカー;図9C)、およびCol1a1(線維形成マーカー;図9D)を用いて測定した。

0036

図10Aおよび10Bは、種々の材料から作製された500μmおよび1500μmのカプセル中での免疫応答(マクロファージ(図10A)または好中球(図10B)から作られた細胞集団のパーセント)のグラフである。カプセルは、SLG20アルギナート(PRONOVA)、ポリスチレン、ガラス、ポリカプロラクトン(PCL)およびLF10/60アルギナート(FMCBioPolymer)から作製された。

0037

I.定義
「ヒドロゲル」は、有機ポリマー(天然または合成)が、共有結合イオン結合または
水素結合を介して架橋し、水分子を捕捉してゲルを形成する3次元開放格子構造を作り出
すときに形成される物質を指す。生体適合性ヒドロゲルは、生細胞に対して毒性がなく、
かつ捕捉された細胞への、生存能力を維持するための酸素および栄養の十分な拡散を可能
にするゲルを形成するポリマーを指す。

0038

「アルギナート」は、任意のM/G比のβ−D−マンヌロン酸およびα−L−グルロン
酸から形成された直鎖多糖ならびにそれらの塩および誘導体を指すのに使用される総称で
ある。用語「アルギナート」は、本明細書で使用する場合、以下に示す構造を有する任意
のポリマーおよびその塩を包含する。

0039

「生体適合性」は、受容者に対し一般的に非毒性であり、対象に対しいかなる重大な有
害効果も引き起こさない、材料およびその任意の代謝生成物または分解生成物を一般的に
指す。

0040

生分解性」は、生理的条件下加水分解または酵素作用によって、対象により代謝、
排出または排泄することが可能な小さい単位または化学種へと分解または腐食する材料を
一般的に指す。分解時間は、ポリマーの組成および形態と相関関係にある。

0041

「薬物搭載粒子」は、そこへ溶解、分散、捕捉、封入または結合された薬物を有するポ
リマー粒子を指す。

0042

ミクロ粒子」および「ナノ粒子」は、それぞれ、そこへ溶解、分散、捕捉、封入また
は結合された薬物を任意選択で含有する、ミクロスケールおよびナノスケールのサイズの
ポリマー粒子を指す。

0043

「抗炎症薬」は、組織における炎症を直接的にまたは間接的に低減する薬物を指す。こ
の用語は、限定されるものではないが、免疫を抑制する薬物を含む。この用語は、リンパ
球の増殖を阻害する薬物など、抗増殖免疫抑制薬を含む。

0044

「免疫抑制薬」は、対象内での異物への免疫応答を阻害するまたは防止する薬物を指す
。免疫抑制薬は、T細胞の活性化を阻害すること、増殖を妨害すること、または炎症を抑
制することによって、一般的に作用する。免疫抑制が起きている人は、免疫不全であると
言われる。

0045

「哺乳動物細胞」は、同じまたは異なる対象への移植に適した哺乳動物対象由来する
任意の細胞を指す。細胞は、異種、自家性または同種異系であってよい。細胞は、哺乳動
物対象から直接得られる1次細胞であり得る。細胞は、対象から得た細胞の培養および増
大に由来する細胞であってもよい。例えば、細胞は、幹細胞であってよい。不死化細胞
また、この定義に含まれる。一部の実施形態において、細胞は、組み換えタンパク質およ
び/または核酸を発現するように遺伝子操作されたものである。

0046

「自家性」は、同一個体から取られて移植された生物学的物質を指す。

0047

「同種異系」は、同一種の異なる個体から取られて移植された生物学的物質を指す。

0048

「異種」は、異なる種から取られて移植された生物学的物質を指す。

0049

「膵島細胞」は、哺乳動物の膵臓に由来する内分泌細胞を指す。膵島細胞は、グルカゴ
ンを分泌するアルファ細胞、インスリンおよびアミリンを分泌するベータ細胞、ソマトス
タチンを分泌するデルタ細胞、膵臓ポリペプチドを分泌するPP細胞、またはグレリン
分泌するイプシロン細胞を含む。この用語は、これらの細胞の均一な集団および不均一な
集団を含む。好ましい実施形態において、膵島細胞の集団は、少なくともベータ細胞を含
有する。

0050

「移植」は、細胞、組織または臓器を、対象へ別の出所から移転することを指す。この
用語は、特定の様式の移転に限定されるものではない。封入された細胞は、注入または外
科的な埋め込みなどの任意の適切な方法によって移植されてよい。

0051

「球様形状」は、球を概ね形成する表面を有する物体を指す。完全なまたは模範的な球
形状を超えて、球様形状は、波および起伏を有し得る。一般的に、球様形状は、準主軸
互いに10%以内である楕円体(その平均された表面について)である。球様形状の直径
は、平均直径、例えば準主軸の平均である。

0052

「回転楕円体様形状」は、回転楕円体を概ね形成する表面を有する物体を指す。完全な
または模範的な球、扁回転楕円体または扁長回楕円体形状を超えて、回転楕円体様形状
は、波および起伏を有し得る。一般的に、回転楕円体様形状は、準主軸が互いに100%
以内である楕円体(その平均された表面について)である。回転楕円体様形状の直径は、
平均直径、例えば準主軸の平均である。

0053

「平面」は、曲率が0の表面が5%超である連続エリアを指す。

0054

「鋭角」は、表面に対する正接が、円周の表面の2%またはそれ未満の距離で10%超
変化する表面上の場所を指す。表面内の端、角、溝および峰は、全て鋭角の形態である。
II.生体医療デバイスおよびカプセル
A.繊維形成が低減された生体医療デバイス
対象への埋め込みのための生体医療デバイスを開示する。デバイスは、生体適合性ポリ
マー、生分解性および非生分解性ポリマー、半導体材料、セラミックスならびにガラスな
どの生体適合性材料から形成される。線維形成を低減または防止するため、デバイスは、
一組の特徴のうちの一部または全部を含むべきである。

0055

(1)サイズ:デバイスは、最小直径1mm(好ましくは1.5mm)を有するべきであ
る。直径は、8から10mmまで増加し得る。

0056

(2)形状:デバイス全体は、球、球様、回転楕円体または回転楕円体様であるべきであ
る。デバイスの表面上の任意の点における曲率は、0.2以上2以下であるべきである。
デバイスの表面の曲率を計算する目的において、表面孔は無視される。

0057

(3)疎水性:デバイスの表面は、中性またはより好水性(親水性)のいずれかであるべ
きであり、テフロン登録商標)のように疎水性の化学的性質を有するべきではない。

0058

(4)表面孔サイズ:デバイスの表面上の孔は、0nm超であるべきであるが、10μm
を超えるべきではない。

0059

(5)表面トポグラフィー:デバイスは、いかなる平面、鋭角、溝または峰も有するべき
ではない。

0060

これらの特徴は埋め込まれたデバイスの線維形成へ影響するということが発見された。
はじめの2つの特徴と他の特徴のうちの少なくとも1つとを有するデバイスは、低減され
た線維形成を呈することが分かった。これらの特徴のいずれか1つまたは組合せを有する
デバイスを作製することができる。これらの特徴の全てを有するデバイスが好ましい。一
般的に、開示されるデバイスは、これらの特徴のいずれか1つまたは複数を有する同じデ
バイスより、埋め込み後の線維化反応の誘発が少なくなる。一部の実施形態において、デ
バイスは、はじめの2つの特徴と他の特徴のうちの少なくとも1つとを有する同じデバイ
スより、埋め込み後の線維化反応の誘発が少なくなる。一部の実施形態において、デバイ
スは、全ての特徴を有する同じデバイスより、埋め込み後の線維化反応の誘発が少なくな
る。一部の実施形態において、生体医療デバイスは、本明細書に記載するカプセルまたは
ヒドロゲルカプセルである。本明細書におけるカプセルまたはヒドロゲルカプセルへの言
及は、言及されるカプセルと同じ説明の生体医療デバイスへの言及も意図している。

0061

開示されるデバイスは、既存のデバイスおよび材料を超える利点および改良点を有する
。例えば、円柱などの平らな表面(曲率ゼロ)を有する物体は、たとえ全体のサイズが大
きい(1mmを超える)場合でも線維化するということが発見された。これとは対極的に
、高い曲率(したがって、とても直径が小さい、すなわち1mm未満である)を有する物
体は、他の埋め込み材料および/または周辺組織と共に高充填密度が可能であり、このこ
とは、免疫細胞の着生および線維性沈着を容易にする。特色の特定の組合せは、一緒にな
って、ヒドロゲル(化学的に精製されたものおよびエンドトキシン含有食品グレードアル
ギナートの両方)、半導体材料(ガラスのような二酸化ケイ素系セラミックスなど)、な
らびに分解性および非分解性ポリマーおよびプラスチック(PCLおよびポリスチレンな
ど)を含めた多くの種別の材料の線維形成を低減または防止することが確立された。した
がって、開示されるデバイスは、これらおよび多様な他の材料から作製することができる

0062

特定した特徴を有するヒドロゲルアルギナートの球が産生され、ヒドロゲルアルギナー
トの球は、線維形成を防止し、かつ、疾患(1型糖尿病)の処置について、移植された様
々な起源の哺乳動物細胞(すなわち、ラット、マウス、ブタ、ヒト)の長期生存能力およ
び機能性を確実にすることが実証された。任意選択で、デバイスのシェルは、1種または
複数種の治療剤(抗炎症剤など)または診断剤(酸素検知もしくは撮像化学物質など)も
含有してもよい。

0063

生体医療デバイスは、例えば、長期埋め込み可能なセンサーおよびアクチュエーター、
制御された薬物放出デバイス、プロステーシスおよび組織再生生体材料、ならびに埋め込
みおよび移植に付随する技術を含めた、任意の生体医療用途に使用することができる。多
くの生体医療デバイスおよび目的が公知であり、開示されるデバイスは、そのような目的
適合させることができる。

0064

B.線維形成が低減された、封入された細胞
哺乳動物細胞を対象へ移植するためのカプセルを開示する。カプセルは、移植される細
胞を封入した、ヒドロゲル形成性生体適合性ポリマーから形成される。カプセル様の過
剰増殖(線維形成)を阻害するため、細胞材料がカプセル表面上に位置することを、カプ
セルの構造によって防止する。加えて、細胞に適切な気体交換が起こること、およびそこ
に封入されている細胞によって栄養が受け取られることが、カプセルの構造によって確実
になる。任意選択で、カプセルは、制御放出のためにその中に封入された1種または複数
種の抗炎症薬も含有してもよい。

0065

C.生体適合性ポリマー
開示される組成物は、移植される細胞を封入した、ヒドロゲル形成性の生体適合性ポリ
マーから形成される。適したヒドロゲルを形成するのに使用することができる材料の例に
は、アルギナート、コラーゲン、キトサン硫酸セルロースナトリウムゼラチンおよび
アガロース水溶性ポリアクリレート、ポリホスファジン、ポリ(アクリル酸)、ポリ(
メタクリル酸)、ポリ(アルキレンオキシド)、ポリ(ビニルアセテート)、ポリビニル
ピロリドンPVP)ならびにそれぞれのコポリマーおよびブレンドなどの多糖が含まれ
る。例えば、米国特許第5,709,854号、同6,129,761号および同6,8
58,229号を参照されたい。

0066

一般的に、荷電側基またはその一価イオン塩を有するこれらのポリマーは、水、緩衝塩
溶液またはアルコール水溶液などの水溶液中に、少なくとも部分的に可溶である。カチオ
ンと反応することができる酸性側基を有するポリマーの例は、ポリ(ホスファゼン)、ポ
リ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(ビニルアセテート)、およびスルホン
化ポリスチレンなどのスルホン化ポリマーである。アクリルまたはメタクリル酸とビニル
エーテルモノマーまたはポリマーとの反応によって形成される酸性側基を有するコポリマ
ーも使用することができる。酸性基の例は、カルボン酸基およびスルホン酸基である。

0067

アニオンと反応することができる塩基性側基を有するポリマーの例は、ポリ(ビニルア
ミン)、ポリ(ビニルピリジン)、ポリ(ビニルイミダゾール)、および一部のイミノ
ポリホスファゼンである。ポリマーのアンモニウムまたは第四級塩も、主鎖の窒素また
ペンダントイミノ基から形成することができる。塩基性側基の例は、アミノおよびイミ
ノ基である。

0068

ヒドロゲル形成性の生体適合性ポリマーは、好ましくは水溶性ゲル化剤である。好まし
い実施形態において、水溶性ゲル化剤は、多糖ガム、より好ましくはポリアニオン性ポリ
マーである。

0069

細胞は、ヒドロゲル層(例えばコア)を提供するアルギナートなどのアニオン性ポリマ
ーを使用して封入されることが好ましく、ここでは、ヒドロゲル層は、引き続いてポリカ
チオン性ポリマー(例えば、ポリリシンなどのアミノ酸ポリマー)で架橋されて、シェル
を形成する。例えば、Goosenらの米国特許第4,806,355号、同4,689,29
3号および同4,673,566;Limらの米国特許第4,409,331号、同4,4
07,957号、同4,391,909号および同4,352,883号;Rhaらの米国
特許第4,749,620号および同4,744,933号;ならびにWangらの米国特許
第5,427,935号を参照されたい。アルギナートなどのヒドロゲル形成性ポリマー
を架橋するために使用してもよいアミノ酸ポリマーには、ポリリシン、ポリアルギニン
ポリオルチニンならびにそれらのコポリマーおよびブレンドなどのカチオン性ポリアミ
ノ酸)が含まれる。

0070

1.多糖
細胞の封入に関し、いくつかの哺乳動物性および非哺乳動物性多糖について検討した。
細胞の封入に適した例示的な多糖には、アルギナート、キトサン、ヒアルロナンHA
およびコンドロイチン硫酸が含まれる。アルギナートおよびキトサンは、ある特定の溶液
条件下で架橋ヒドロゲルを形成するのに対し、HAおよびコンドロイチン硫酸は、ヒドロ
ゲルを形成するための架橋性基を含有するように好ましくは修飾される。

0071

好ましい実施形態において、細胞を封入するヒドロゲル形成性の生体適合性ポリマーは
、アルギナートである。アルギナートは、主として褐藻に由来し、乾燥重量にておよそ2
0%から40%で細胞外および細胞内に存在する、非分岐アニオン性多糖ファミリー
ある。1,4−結合したα−1−グルロン酸(G)およびβ−d−マンヌロン酸(M)が
ホモポリマーブロック構造(GGGブロックおよびMMMブロック)またはヘテロポリ
マーブロック構造(MGMブロック)で配列する。褐藻の細胞壁は、主な構成成分として
1−フコース硫酸ブロックを有する分岐多糖硫酸エステルであるフコイダンも5%から
20%含有する。市販のアルギナートは、海岸洗われ藻類から抽出されることが多く
、それらの特性は、収集および抽出プロセスに依存する。

0072

アルギナートは、二価カチオンの存在下で、イオン架橋を介してゲルを形成する。ヒド
ロゲルの特性は、アルギナート前駆体における変化を通じてある程度制御することができ
る(分子量、組成およびマクロマー濃度)が、アルギナートは分解せず、むしろ、二価
チオンが一価イオンによって置き換えられると溶解する。加えて、アルギナートは、細胞
相互作用を促進しない。

0073

特に好ましい組成は、ポリリシンシェルを有するアルギナートのコア中に固定された細
胞を含有するカプセルまたはミクロカプセルである。好ましいカプセルまたはミクロカプ
セルは、追加の外部アルギナート層(例えば包膜)を含有して、アルギナート/ポリリシ
ン−アルギナート/アルギナート−細胞の多層カプセルまたはミクロカプセルを形成して
もよい。ポリリシンで架橋されたアルギナートヒドロゲルの説明については、Limらの米
国特許第4,391,909号を参照されたい。ポリリシンに代えて架橋剤として使用す
るのに適した他のカチオン性ポリマーには、ポリ(βアミノアルコール)(PBAA)が
含まれる(Ma Mら、Adv. Mater.、23巻:H189−94(2011年))。

0074

キトサンは、天然の非哺乳動物性多糖であるキチンの部分脱アセチル化によって作製さ
れ、キチンは哺乳動物性多糖に近い類似性を呈し、このことが、キトサンを細胞封入にと
って魅力的なものにしている。キトサンは、主にリゾチームによって、アセチル化残基の
加水分解を通じて分解される。脱アセチル化度が高いと、分解時間が遅くなるが、疎水性
が増すことにより細胞接着がより良好になる。希釈酸条件下(pH<6)では、キトサン
はプラスに荷電し水溶性であるのに対し、生理学的なpHでは、キトサンは中性で疎水性
であり、このことは、物理的に架橋した固体のヒドロゲルの形成につながる。ポリオール
塩の添加によって、中性pHでの細胞の封入が可能となり、ここでは、ゲル化は温度依存
性になる。

0075

キトサンは、修飾され得る多くのアミン基およびヒドロキシ基を有する。例えば、キト
サンは、架橋性マクロマーを作り出すためにメタクリル酸をグラフトし、同時に生理学的
なpHにおける水溶性を高めるために乳酸もグラフトすることによって、修飾されてきた
。この架橋したキトサンヒドロゲルは、リゾチームおよび軟骨細胞の存在下で分解する。
光重合性キトサンマクロマーは、光反応性アジド安息香酸基でキトサンを修飾することに
よって合成することができる。開始剤の不存在下でUVへ曝露すると、反応性ニトレン
が形成され、これは互いにまたはキトサン上の他のアミン基と反応して、アゾ架橋を形成
する。

0076

ヒアルロナン(HA)は、体中の多くの組織中に存在するグリコサミノグリカンであり
胚発生、傷の治癒および血管新生において重要な役割を果たす。加えて、HAは、細胞
表面のレセプターを介して細胞と相互作用して、細胞内シグナル経路に影響する。これら
性質が一緒になって、HAを、組織工学の足場に魅力的なものにしている。HAは、細
胞封入のために、メタクリレートおよびチオールなどの架橋性部分で修飾され得る。架橋
HAゲルは、HAを様々な分子量のオリゴ糖断片に分けるヒアルロニダーゼによって依然
として分解されやすいままである。細胞は、ゲル構造がマクロマー濃度およびマクロマー
分子量によって制御された、光重合したHAヒドロゲル中に封入することができる。加え
て、光重合したHAおよびデキストランヒドロゲルは、未分化ヒト胚性幹細胞長期培養
を維持する。HAヒドロゲルは、アクリル化HAをPEGテトラチオールと反応させるこ
と、またはチオール修飾HAをPEGジアクリレートと反応させることのいずれかのマイ
ケル型付加反応メカニズムを通じて製作された。

0077

コンドロイチン硫酸は、肌、軟骨および心臓弁を含めた多くの組織において見出だ
される構造プロテオグリカンの多くのパーセンテージを占め、このことは、コンドロイチ
ン硫酸を、組織工学用途の領域に魅力的なバイオポリマーにしている。光架橋コンドロイ
チン硫酸ヒドロゲルは、コンドロイチン硫酸をメタクリレート基で修飾することによって
調製することができる。ヒドロゲルの特性は、メタクリレート置換度および重合前の溶液
中のマクロマー濃度によって容易に制御された。さらに、マイナスに荷電したポリマーは
、ゲルがその機械的特性犠牲にすることなくより多くの水を吸収することを可能にする
、増加した膨潤圧を生み出す。コンドロイチン硫酸とPEGまたはPVAなどの不活性ポ
リマーとのコポリマーヒドロゲルも使用してもよい。

0078

2.合成ポリマー
ポリエチレングリコール(PEG)は、細胞封入のためのマクロマーを作り出すために
最も広く使用されてきた合成ポリマーである。いくつかの研究では、様々な細胞を封入す
るために、ポリ(エチレングリコール)ジ(メタ)アクリレートが使用されてきた。生分
解性PEGヒドロゲルは、架橋を可能にするため(メタ)アクリレート官能基末端封鎖
されたポリ(α−ヒドロキシエステル)−b−ポリ(エチレングリコール)−b−ポリ(
α−ヒドロキシエステル)のトリブロックコポリマーから調製することができる。PL
およびポリ(8−カプロラクトン)(PCL)は、細胞封入のための生分解性PEGマク
ロマーを作り出す際に、最も一般的に使用されてきたポリ(α−ヒドロキシエステル)で
ある。分解プロファイルおよび速度は、分解性ブロックの長さおよび化学的性質を通じて
制御される。エステル結合は、分解を加速する、血清中に存在するエステラーゼによって
分解される場合もある。生分解性PEGヒドロゲルは、PEG−ビス−[2−アクリロイ
ルオキシプロパノエート]の前駆体から製作することもできる。直鎖PEGマクロマーの
代替として、PEG1分子当たり複数の反応性ビニル基を含有するポリ(グリセロール
コハク酸)−PEGのPEG系デンドリマーを使用することができる。これらの材料の魅
力的な特色は、分岐度を制御する能力であり、これは、ヒドロゲルの全体的な構造特性
よびその分解へ最終的に影響する。分解は、デンドリマー主鎖中に存在するエステル結合
を通じて起こる。

0079

ヒドロゲル形成性の生体適合性ポリマーは、ポリホスホエステルまたはポリホスフェ
トを含有することができ、ここで、ホスホエステル結合は、結果としてホスフェートを放
出する加水分解を起こしやすい。例えば、ホスホエステルは、架橋性PEGマクロマーの
鎖ポリ(エチレングリコール)−ジ−[エチルホスファチジル(エチレングリコール)
メタクリレート](PhosPEG−dMA)へ組み込まれて、生分解性ヒドロゲルを形
成することができる。骨細胞によって合成されるECM構成成分であるアルカリホスファ
ターゼを添加すると、分解が強まる。分解生成物であるリン酸は、媒体中でカルシウム
オンと反応して、ヒドロゲル内での自己石灰化を誘発する不溶性リン酸カルシウムを生成
する。ポリホスホエステルであるポリ(6−アミノエチルプロピレンホスフェート)は、
メタクリレートで修飾して、マルチビニルマクロマーを作り出すことができ、ここで、分
解速度は、ポリホスホエステルポリマーの誘導体化度によって制御された。

0080

ポリホスファゼンは、交互になった単結合および二重結合によって分けられた窒素およ
リンからなる主鎖を有するポリマーである。それぞれのリン原子は、2つの側鎖へ共有
結合している。架橋に適したポリホスファゼンは、大部分の側鎖基が、酸性であり二また
三価カチオン塩橋を形成することができる。好ましい酸性側基の例は、カルボン酸基
およびスルホン酸基である。加水分解に安定なポリホスファゼンは、Ca2+またはAl
3+などの二価または三価カチオンによって架橋するカルボン酸側基を有するモノマー
ら形成される。加水分解によって分解するポリマーは、イミダゾールアミノ酸エステル
またはグリセロール側基を有するモノマーを組み込むことによって合成することができる
生体内浸食性ポリホスファゼン(polyphosphazine)は、多価カチオンと塩橋を形成す
ることができる酸性側基、ならびにin vivo条件下で加水分解する側基、例えば、
イミダゾール基、アミノ酸エステル、グリセロールおよびグリコシルという、少なくとも
2つの異なるタイプの側鎖を有する。側鎖の加水分解は、ポリマーの浸食という結果をも
たらす。加水分解性側鎖の例は、未置換または置換イミダゾール(imidizole)、および
アミノ酸エステルであり、この基はアミノ結合を介してリン原子へ結合する(両方のR基
がこの様式で結合したポリホスファゼンポリマーは、ポリアミノホスファゼンとして公知
である)。ポリイミダゾールホスファゼンについては、ポリホスファゼン主鎖上の「R」
基のいくつかは、環窒素原子を介して主鎖中のリンに結合したイミダゾール環である。

0081

D.薬物とヒドロゲル形成性ポリマーとのコンジュゲート
一部の実施形態において、1種または複数種の抗炎症薬が、ヒドロゲル形成性ポリマー
に共有結合する。これらの場合、抗炎症薬は、in vivoで切断されるように設計さ
れた結合部分を介してヒドロゲル形成性ポリマーに付着する。結合部分は、in viv
oで抗炎症薬の持続放出をもたらすように、加水分解的酵素的またはそれらの組合せで
切断されるように設計され得る。結合部分の組成および抗炎症剤へのその結合点の両方は
、結合部分の切断によって抗炎症剤または適したそのプロドラッグのいずれかが放出され
るように選択される。結合部分の組成も、抗炎症剤の所望の放出速度の観点から選択する
ことができる。

0082

結合部分は、1つまたは複数の有機官能基を一般的に含む。適した有機官能基の例には
、第2級アミド(−CONH−)、第3級アミド(−CONR−)、第2級カルバメート
(−OCONH−;−NHCOO−)、第3級カルバメート(−OCONR−;−NRC
OO−)、尿素(−NHCONH−;−NRCONH−;−NHCONR−、−NRCO
NR−)、カルビノール(−CHOH−、−CROH−)、ジスルフィド基ヒドラゾン
ヒドラジドエーテル(−O−)およびエステル(−COO−、−CH2O2C−、C
HRO2C−)が含まれ、式中、Rは、アルキル基アリール基またはヘテロ環基である
。一般的に、結合部分内の1つまたは複数の有機官能基の実体は、抗炎症剤の所望の放出
速度の観点から選択することができる。加えて、1つまたは複数の有機官能基は、ヒドロ
ゲル形成性ポリマーへの抗炎症剤の共有結合を容易にするように選択することができる。
好ましい実施形態において、結合部分は、in vivoで単純な加水分解によって切断
されて抗炎症剤を放出することができる、1つまたは複数のエステル結合を含有する。

0083

ある特定の実施形態において、結合部分は、上に記載した1つまたは複数の有機官能基
を、スペーサー基と組み合わせて含む。スペーサー基は、オリゴマー鎖およびポリマー鎖
を含めた、原子の任意の集まりから構成することができるが、スペーサー基中の原子の総
数は、好ましくは3から200原子の間、より好ましくは3から150原子の間、より好
ましくは3から100原子の間、最も好ましくは3から50原子の間である。適したスペ
ーサー基の例には、アルキル基、ヘテロアルキル基アルキルアリール基オリゴおよび
ポリエチレングリコール鎖、ならびにオリゴおよびポリ(アミノ酸)鎖が含まれる。スペ
ーサー基の変動は、in vivoでの抗炎症剤の放出に対する追加的な制御をもたらす
。結合部分がスペーサー基を含む実施形態において、1つまたは複数の有機官能基は、ス
ペーサー基を抗炎症剤およびヒドロゲル形成性ポリマーの両方につなげるために一般的に
使用される。

0084

ある特定の実施形態において、1種または複数種の抗炎症剤は、アルキル基、エステル
基およびヒドラジド基を含有する結合部分を介して、ヒドロゲル形成性ポリマーへ共有結
合する。例えば、抗炎症剤デキサメタゾンのアルギナートへのコンジュゲートは、アルキ
ル基と、アルキル基を抗炎症剤へつなげるエステル基と、アルキル基をアルギナート上に
位置するカルボン酸基へつなげるヒドラジド基とを含有する結合部分を介してなすことが
できる。この実施形態において、in vivoでのエステル基の加水分解は、長期間に
わたって低用量でデキサメタゾンを放出する。

0085

抗炎症剤をヒドロゲル形成性ポリマーへ共有結合するのに有用な反応および方策は、当
技術分野において公知である。例えば、March、「Advanced Organic Chemistry」、第
5版、2001年、Wiley-Interscience Publication、ニューヨーク、およびHermanson
、「Bioconjugate Techniques」、1996年、Elsevier Academic Press、米国を参
照されたい。所与の抗炎症剤の共有結合の適切な方法は、所望の結合部分ならびに抗炎症
剤およびヒドロゲル形成性ポリマー全体の構造の観点から選択することができ、なぜなら
ば、それは、官能基適合性保護基の方策および不安定な結合の存在に関係するからで
ある。

0086

E.抗炎症薬および抗増殖薬
開示する組成物において使用するのに適した薬物について説明する。薬物は、開示する
方法を使用して特定することができる。代表的な薬物には、グルココルチコイドフェノ
ール系酸化防止剤、抗増殖薬またはそれらの組合せが含まれる。本明細書において、別段
断らない限り、これらをまとめて「抗炎症薬」という。

0087

非限定的な例には、ステロイド系抗炎症剤が含まれる。特に好ましいステロイド系抗炎
症薬には、デキサメタゾン、5−FU、ダウノマイシンおよびマイトマイシンが含まれる
。抗血管新生または抗増殖薬も有用である。例には、モノエステルおよびテトラヒドロ
クミンを含めたクルクミン、ならびにシロリムスラパマイシン)、シクロスポリン
タクロリムスドキソルビシンミコフェノール酸およびパクリタキセルならびにそれら
の誘導体などの薬物が含まれる。一部の実施形態において、抗炎症薬は、mTOR阻害剤
(例えば、シロリムスおよびエベロリムス)である。新規な抗増殖薬は、42−O位の水
素原子アルコキシ−アルキル基で置き換えた高親油性半合成シロリムスアナログであ
バイオリムスA9である。リソフィリンは、高炎症特性を有する合成小分子である。一
部の実施形態において、抗炎症薬は、カルシニューリン阻害剤(例えば、シクロスポリン
ピメクロリムスおよびタクロリムス)である。

0088

一部の実施形態において、抗炎症薬は、合成または天然の抗炎症性タンパク質である。
免疫抑制療法には、免疫構成成分を特異的に選択する抗体を加えることができる。一部の
実施形態において、抗炎症薬は、抗T細胞抗体(例えば、抗胸腺細胞グロブリンもしくは
抗リンパ球グロブリン)、抗IL−2Rαレセプター抗体(例えば、バシリキシマブもし
くはダクリズマブ)または抗CD−20抗体(例えばリツキシマブ)である。

0089

好ましい実施形態において、1種または複数種の抗炎症薬は、組成物の線維形成を阻害
するのに有効な量で哺乳動物対象に投与された後に、少なくとも30日間、好ましくは少
なくとも60日間、より好ましくは少なくとも90日間にわたって、カプセルから放出さ
れる。一部の実施形態において、抗炎症薬は、少なくとも10日間、好ましくは少なくと
も14日間、より好ましくは少なくとも30日間にわたって、全身的な免疫抑制なしで、
対象中で空間的に局部化された炎症阻害をもたらす。一部の実施形態において、空間的に
局部化された炎症は、対象における注入部位カテプシン活性を測定することによって、
検出される。他の実施形態において、空間的に局部化された炎症は、対象における注入部
位で反応性酸素種(ROS)を測定することによって、検出される。一部の実施形態にお
いて、全身的な免疫抑制は、対象における対照部位、例えば、薬物なしのポリマー粒子ま
たはヒドロゲルを注入した部位において、カテプシン活性またはROSがないということ
を測定することによって、検出される。開示する組成物中で使用する抗炎症薬の特定、選
択および最適化の方法について、以下に説明する。

0090

放出速度および量は、ポリマー粒子の薬物搭載を加減することによって、ある程度選択
することができる。本明細書に開示するように、高い薬物搭載は、顕著な初期バースト
出を引き起こし得る。これは、空間的に局部化された炎症阻害よりむしろ全身的な免疫抑
制という結果にもなり得る。これとは対照的に、薬物搭載レベルが低すぎると、治療有効
量の抗炎症薬が放出されない。

0091

最適な薬物搭載は、薬物、ポリマー、ヒドロゲル、細胞および埋め込み部位の選択を含
めた多くの因子に必然的に依存する。一部の実施形態において、1種または複数種の抗炎
症薬は、約0.01重量%から約15重量%、好ましくは約0.1重量%から約5重量%
、より好ましくは約1重量%から約3重量%の濃度で、ポリマー粒子に搭載される。一部
の実施形態において、1種または複数種の抗炎症薬は、0.01から10.0mg/ml
ヒドロゲル、好ましくは0.1から4.0mg/mlヒドロゲル、より好ましくは0.3
から2.0mg/mlヒドロゲルの濃度で、ヒドロゲル中に封入される。しかしながら、
任意の所与の薬物、ポリマー、ヒドロゲル、細胞および移植部位に最適な薬物搭載は、本
明細書に記載されるものなどの常法によって特定され得る。

0092

F.薬物送達のための生分解性ポリマー
抗炎症薬を含有する薬物搭載粒子は、薬物送達に適した生体適合性の生分解性ポリマー
から好ましくは形成される。一般的に合成ポリマーが好ましいが、天然ポリマー、とりわ
け、一部のポリヒドロキシアルカノエートなど、加水分解によって分解する天然のバイオ
ポリマーの一部も使用することができ、同等のまたはより良好な特性を有することがある

0093

代表的な合成ポリマーには、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)およびポリ(乳酸−
co−グリコール酸)などのポリ(ヒドロキシ酸)、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコ
ド)、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)、ポリ無水物ポリオルトエステル、ポリア
ミド、ポリカーボネートポリエチレンおよびポリプロピレンなどのポリアルキレン、ポ
リ(エチレングリコール)などのポリアルキレングリコール、ポリ(エチレンオキサイド
)などのポリアルキレンオキサイド、ポリ(エチレンテレフタレート)などのポリアル
レンテレフタレートポリビニルアルコールポリビニルエーテルポリビニルエステル
ポリ塩化ビニルなどのポリビニルハライドポリビニルピロリドンポリシロキサン
ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルアセテート)、ポリスチレン、ポリウレタン
ならびにこれらのコポリマー、アルキルセルロースヒドロキシアルキルセルロース、セ
ルロスエテルセルロースエステルニトロセルロースメチルセルロース、エチル
セルロースヒドロキシプロピルセルロースヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒ
ロキシブチルメチルセルロース、セルロースアセテートセルロースプロピオネート
セルロースアセテートブチレートセルロースアセテートフタレートカルボキシエチル
セルロース、セルローストリアセテートおよびセルロース硫酸ナトリウム塩などの誘導体
化セルロース(本明細書において、まとめて「合成セルロース」という)、エステル、ポ
リ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリ
ート)、ポリ(イソブチルメタクリレート)、ポリ(ヘキシルメタクリレート)、ポリ(
イソデシルメタクリレート)、ポリ(ラウリルメタクリレート)、ポリ(フェニルメタク
リレート)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(イソプロピルアクリレート)、ポリ(
イソブチルアクリレート)およびポリ(オクタデシルアクリレート)を含めた、アクリル
酸、メタクリル酸のポリマーまたはそれらのコポリマーもしくは誘導体(本明細書におい
て、まとめて「ポリアクリル酸」という)、ポリ(酪酸)、ポリ(吉草酸)およびポリ(
ラクチド−co−カプロラクトン)、それらのコポリマーおよびブレンドが含まれる。本
明細書において使用する場合、「誘導体」には、置換、化学基の付加および当業者によっ
て慣例的になされる他の修飾を有するポリマーが含まれる。

0094

好ましい生分解性ポリマーの例には、乳酸およびグリコール酸などのヒドロキシ酸のポ
リマーおよびPEGとのコポリマー、ポリ無水物、ポリ(オルト)エステル、ポリウレタ
ン、ポリ(酪酸)、ポリ(吉草酸)、ポリ(ラクチド−co−カプロラクトン)、それら
のブレンドおよびコポリマーが含まれる。

0095

好ましい天然ポリマーの例には、アルブミン、コラーゲン、ゼラチンおよびプロラミン
(例えばゼイン)などのタンパク質、ならびにアルギナートなどの多糖、セルロース誘導
体およびポリヒドロキシアルカノエート(例えばポリヒドロキシブチレート)が含まれる
。粒子およびミクロ粒子のin vivo安定性は、PEGと共重合したポリ(ラクチド
−co−グリコリド)などのポリマーを使用することによって、製造中に調整することが
できる。

0096

最も好ましい実施形態において、生分解性ポリマーとしてPLGAが使用される。PL
GA粒子およびミクロ粒子は、封入または結合される分子を数日から数週間の期間にわた
って放出するように設計される。放出期間に影響する因子には、周囲の媒体のpH(pH
5およびそれ未満では、PLGAの酸触媒加水分解のため、放出速度が速い)、およびポ
リマー組成物が含まれる。脂肪族ポリエステルは、疎水性が異なり、それが今度は分解速
度に影響する。例えば、疎水性のポリ(乳酸)(PLA)、より親水性のポリ(グリコー
ル酸)PGA、およびそれらのコポリマーであるポリ(ラクチド−co−グリコリド)(
PLGA)は、様々な放出速度を有する。これらのポリマーの分解速度は、また対応する
薬物放出速度もしばしば、数日(PGA)から数ヶ月(PLA)まで変動することがあり
、PLAとPGAとの比を変動することによって容易に巧みに操作することができる。

0097

薬物搭載粒子の直径および多孔度は、送達される薬物ならびに所望の投与量および放出
速度に基づいて最適化することができる。好ましい実施形態において、薬物搭載粒子は、
ミクロ粒子またはナノ粒子である。より好ましい実施形態において、薬物搭載粒子は粒子
である。粒子の平均直径は、必要とされる個々の薬物、投薬量および放出速度に基づいて
、選択および最適化してもよい。好ましい実施形態において、薬物搭載ポリマー粒子は、
約1μmから約100μm、好ましくは約1μmから約50μm、より好ましくは約1μ
mから約10μmの平均直径を有するミクロ粒子である。他の実施形態において、薬物搭
載ポリマー粒子は、少なくとも約50nm、好ましくは少なくとも約100nm、より好
ましくは少なくとも約200nmを含め、約10nmから約999nmの平均直径を有す
るナノ粒子である。より好ましい実施形態において、薬物搭載ポリマー粒子は、1mm超
、好ましくは1.5mmまたはそれ超の平均直径を有する。一部の実施形態において、薬
物搭載ポリマー粒子は、直径8mmの大きさであり得る。

0098

G.カプセル
カプセルは、2または3層カプセルである。好ましくは、カプセルは、1mm超、好ま
しくは1.5mmまたはそれ超の平均直径を有する。一部の実施形態において、カプセル
は、直径8mmの大きさであり得る。例えば、カプセルは、1mmから8mm、1mmか
ら6mm、1mmから5mm、1mmから4mm、1mmから3mm、1mmから2mm
、1mmから1.5mm、1.5mmから8mm、1.5mmから6mm、1.5mmか
ら5mm、1.5mmから4mm、1.5mmから3mm、または1.5mmから2mm
サイズ範囲であり得る。

0099

細胞の生存能力のために必要な分子がカプセルへ入る速度、ならびに治療用生成物およ
廃棄物がカプセル膜から出る速度は、マクロカプセル透過性を変えることによって選
択される。マクロカプセルの透過性は、免疫細胞、抗体およびサイトカインがカプセルま
たはミクロカプセル中へ入ることを限定するためにも加減される。

0100

異なるタイプの細胞は異なる代謝要件を有するため、膜の透過性は、ヒドロゲル中に封
入される細胞のタイプに基づいて最適化されるべきであるということが示された。カプセ
ルまたはミクロカプセルの直径は、細胞カプセルに対する免疫応答およびカプセル膜を横
断する物質輸送の両方に影響する重要な因子である。

0101

H.細胞
開示する組成物に封入するために選択する細胞のタイプは、所望の治療効果に依存する
。細胞は、患者から(自家細胞)であっても、同一種の別の提供者から(同種異系細胞
であっても、または別の種から(異種)であってもよい。異種細胞は、入手し易いが、拒
絶の可能性、および患者へのウイルス伝染の可能性の危険によって、それらの臨床的応用
が制限されている。抗炎症薬は、そのような細胞の存在によって誘発される免疫応答と戦
う。自家細胞の場合、抗炎症薬は、異物であるヒドロゲル材料の存在によってまたは移植
手術外傷によって引き起こされる免疫応答を低減する。細胞は、患者もしくは提供者、
細胞培養または死体の、バイオプシーまたは切除から得ることができる。

0102

一部の実施形態において、細胞は、タンパク質または核酸などの治療に効果的な物質を
分泌する。一部の実施形態において、細胞は毒性物質を代謝する。一部の実施形態におい
て、細胞は、皮膚、骨、軟骨、血管または筋肉などの構造組織を形成する。一部の実施形
態において、細胞は、インスリンを自然に分泌する膵島細胞または自然に解毒する肝細胞
など、天然のものである。一部の実施形態において、細胞は、異種のタンパク質もしくは
核酸を発現するように、および/または内因性のタンパク質もしくは核酸を過剰発現する
ように、遺伝子操作される。

0103

封入のための細胞の例には、肝細胞、膵島細胞、副甲状腺細胞、腸を起源とする細胞、
腎臓に由来する細胞、ならびに材料を主として合成および分泌または代謝するために作用
する他の細胞を含む。好ましい細胞のタイプは、膵臓膵島細胞である。遺伝子操作された
細胞もまた、開示される方法に従って封入するのに適している。一部の実施形態において
、細胞は、例えば血友病の処置のために、血塊因子を分泌するように、または遺伝子欠損
のある個人の処置のための成長ホルモンを分泌するように、操作される。あるいはまた、
細胞は、がんまたは他の有害な材料を標的とする物質を生成するように操作されてもよい
。一部の実施形態において、細胞は、天然のまたは生体工学的に操作された組織中に含有
される。一部の実施形態において、細胞は、神経変性疾患の処置のために中枢神経系中へ
移植するのに適している。

0104

カプセルおよびミクロカプセルなどの開示される組成物中に封入される細胞の量および
密度は、細胞、ヒドロゲルおよび埋め込み部位の選択に応じて変動する。一部の実施形態
において、単一種の細胞が、0.1×106から4×106細胞/ml、好ましくは0.
5×106から2×106細胞/mlの濃度でヒドロゲル中に存在する。他の実施形態に
おいて、細胞は細胞集合体として存在する。例えば、膵島細胞集合体(または膵島全体)
は、150μm直径の各集合体について約1500〜2000細胞を好ましくは含有し、
これは、1膵島当量(IE)として定義される。したがって、一部の実施形態において、
膵島細胞は、100〜10000IE/ml、好ましくは200〜3,000IE/ml
、より好ましくは500〜1500IE/mlの濃度で存在する。

0105

1.膵島細胞
好ましい実施形態において、開示する組成物は、インスリンを生成する膵島細胞を含有
する。膵臓膵島細胞を単離する方法は、当技術分野において公知である。Fieldら、Trans
plantation、61巻:1554頁(1996年);Linetskyら、Diabetes、46巻:11
20頁(1997年)。新鮮膵臓組織は、刻むこと、ほぐすこと、粉砕、および/また
コラゲナーゼ消化によって、分割することができる。その後、膵島は、洗浄、ろ過、遠
心分離または採集手順によって、コンタミネーションしている細胞および材料から単離さ
れ得る。膵島細胞を単離および精製する方法および装置は、Langleyの米国特許第5,4
47,863号、Scharpらの同5,322,790号、Langleyの同5,273,904
号、およびScharpらの同4,868,121号に記載されている。単離された膵臓細胞
、当技術分野において公知の任意の適した膵島細胞培養方法を使用して、封入またはミク
ロ封入前に、任意選択で培養してもよい。例えば、Brothersの米国特許第5,821,1
21号を参照されたい。単離された細胞は、抗原性の構成成分を排除する助けとなる条件
下にて培地中で培養してもよい。

0106

2.遺伝子操作細胞
一部の実施形態において、開示する組成物は、治療用タンパク質または核酸を生成する
ように遺伝子操作された細胞を含有する。これらの実施形態において、細胞は、幹細胞(
例えば多分化能性)、始原細胞(例えば、マルチ化能もしくはオリゴ化能)、または高分
化型細胞(すなわち単分化能)であり得る。細胞は、miRNAもしくはRNAiなどの
治療用のポリヌクレオチドまたはタンパク質をコード化するポリヌクレオチドをコード化
する核酸を含有するように操作され得る。核酸は、安定した発現のために細胞ゲノムDN
A中へ組み入れることができ、または発現ベクター(例えばプラスミドDNA)中へ組み
入れることができる。治療用のポリヌクレオチドまたはタンパク質は、処置される疾患お
よび移植部位に基づいて選択することができる。一部の実施形態において、治療用のポリ
ヌクレオチドまたはタンパク質は抗腫瘍性である。他の実施形態において、治療用のポリ
ヌクレオチドまたはタンパク質は、増殖因子であるホルモン、または酵素である。

0107

III.カプセルを作製する方法
A.2および3層カプセルを作製する方法
3層カプセルは、三流体同軸電気スプレー法によって作製することができる。

0108

好ましくは、3層カプセルは、3つの別個同心チューブからなるノズルを出口に有す
る電気スプレー装置中で形成される。ノズル(100)の例を図2例証する。ヒドロゲ
形成性材料を含有し、1種または複数種の抗炎症薬または撮像試薬を任意選択で含む第
1の流れが、ノズルの最も内側のチューブ(110)中へポンプ注入される。ヒドロゲル
形成性材料および膵島を含有する第2の流れが、ノズルの中間のチューブ(112)内へ
ポンプ注入される。ヒドロゲル形成材料を含有する第3の流れが、最も外側のチューブ(
114)へ送達される。

0109

3つの流れが、ノズルの出口で合流する。アルギナート溶液の比較的高い粘度によって
、3つの流れの間のいかなる顕著な混じり合いも防止され、3つの明瞭な同心層を有する
液滴が、電界下で形成される。カルシウムまたはバリウムイオンなどの二価イオンを含有
するゲル浴中へ液滴が落下した後、瞬時に架橋が起こり、3層カプセルが形成される。3
層カプセルは、三流体同軸電気スプレーによって作製することができる。

0110

例えば、抗炎症薬または撮像試薬を含有する流れは、最も内側のチューブ中へポンプ
入され、膵島を含有する第2の流れは、中間のチューブ内へポンプ注入され、別の流れが
、最も外側のチューブへ送達される。3つの流れが、ノズルの出口で合流する。アルギナ
ート溶液の比較的高い粘度によって、3つの流れの間のいかなる顕著な混じり合いも防止
され、3つの明瞭な同心層を有する液滴が、電界下で形成される。カルシウムまたはバリ
ウムイオンなどの二価イオンを含有するゲル浴中へ液滴が落下した後、瞬時に架橋が起こ
り、3層カプセルが形成される。

0111

B.2層カプセルを作製する方法
二流体同軸電気噴射が、コア−シェルカプセルの製作および細胞または細胞集合体の封
入に使用される。好ましい実施形態において、シェル流体は、細胞を含まないアルギナー
ト溶液からなるのに対し、コア流体は、膵島または他の治療用細胞を含有する。2つの流
体の比較的高い粘度およびそれらの間の短い相互作用時間によって、それらの混じり合い
が防止される。静電気力下において、コア−シェル構造を有するミクロ液滴が形成され、
二価架橋イオンを含有するゲル化浴中でヒドロゲルカプセルに転換される。

0112

C.多糖ヒドロゲルを用いた細胞封入
ヒドロゲル中に細胞を封入する方法は公知である。好ましい実施形態において、ヒドロ
ゲルは多糖である。例えば、哺乳動物細胞をアルギナートポリマーに封入する方法は、周
知であり、以下に簡単に説明する。例えばLimの米国特許第4,352,883号を参照
されたい。

0113

アルギナートは、水中において室温にて二価カチオンでイオン的に架橋され、ヒドロゲ
ルマトリックスを形成することができる。封入される生物学的材料を含有する水溶液は、
水溶性ポリマー溶液中に懸濁され、懸濁液は、多価カチオンと接触することによって個別
のカプセルまたはミクロカプセルへと構成される液滴に形成され、次いで、カプセルまた
はミクロカプセルの表面が、ポリアミノ酸で架橋されて、封入された材料の周囲に半透過
性膜を形成する。

0114

荷電した側基を有する水溶性ポリマーは、ポリマーが反対の電荷多価イオンを含有す
る水溶液と反応することによって架橋し、反対の電荷の多価イオンは、ポリマーが酸性側
基を有する場合には多価カチオンまたはポリマーが塩基性側基を有する場合には多価アニ
オンのいずれかである。アルキルアンモニウム塩などの2、3または4官能有機カチオン
、例えばR3N+−−\/\/\/−−+NR3も使用することができるが、酸性側基を
有するポリマーと架橋してヒドロゲルを形成するのに好ましいカチオンは、銅、カルシウ
ム、アルミニウムマグネシウムストロンチウムバリウムおよびスズなどの二価およ
び三価カチオンである。これらのカチオンの塩の水溶液がポリマーに添加されて、軟質
膨潤ヒドロゲルおよび膜を形成する。カチオンの濃度が高いほどまたは価数が高いほど
、ポリマーの架橋度が大きい。0.005Mという低い濃度から、ポリマーの架橋が実証
された。より高い濃度は、塩の溶解性によって限定される。

0115

塩基性側鎖を含有するポリマーと架橋してヒドロゲルを形成するのに好ましいアニオン
は、低分子量二価カルボン酸、例えばテレフタル酸硫酸イオン、および炭酸イオンなど
の、二価および三価アニオンである。カチオンについて説明したのと同様に、これらのア
ニオンの塩の水溶液がポリマーに添加されて、軟質の高膨潤ヒドロゲルおよび膜を形成す
る。

0116

様々なポリカチオンが、ポリマーヒドロゲル複合化し、それによってポリマーヒドロ
ゲルを半透過性表面膜へと安定化するために、使用され得る。使用することができる材料
の例には、アミンまたはイミン基などの塩基性反応基を有し、3,000から100,0
00の間の好ましい分子量を有するポリマー、例えばポリエチレンイミンおよびポリリシ
ンが含まれる。これらは市販されている。ポリカチオンの1つはポリ(L−リシン)であ
り、合成ポリアミンの例は、ポチエチレンイミン、ポリ(ビニルアミン)およびポリ(ア
リルアミン)である。多糖であるキトサンなどの天然ポリカチオンもある。

0117

ポリマーヒドロゲル上の塩基性表面基との反応によって半透過性膜を形成するために使
用することができるポリアニオンには、アクリル酸、メタクリル酸およびアクリル酸の他
の誘導体のポリマーおよびコポリマー、スルホン化ポリスチレンなどのペンダントSO3
H基を有するポリマー、ならびにカルボン酸基を有するポリスチレンが含まれる。

0118

好ましい実施形態において、アルギナートカプセルは、懸濁した細胞を含有するアルギ
ナート溶液から、封入機(Inotech封入機など)を使用して製作される。一部の実
施形態において、アルギナートは、Ca2+、Ba2+またはSr2+などの多価カチオ
ンとイオン的に架橋する。特に好ましい実施形態において、アルギナートは、BaCl2
を使用して架橋される。一部の実施形態において、カプセルは、形成後にさらに精製され
る。好ましい実施形態において、カプセルは、例えば、HEES溶液、Krebs溶液
および/またはRPMI−1640培地で洗浄される。

0119

細胞は、提供者から直接、提供者からの細胞の細胞培養物から、または確立された細胞
培養系から、得ることができる。好ましい実施形態において、細胞は、提供者から直接得
て、洗浄され、ポリマー材料と組み合わせて直接埋め込まれる。細胞は、組織培養の分野
における当業者に公知の技術を使用して培養される。

0120

細胞の付着および生存能力は、組織学および蛍光顕微鏡検査法などの標準的な技術を使
用して評定することができる。埋め込まれた細胞の機能は、上記の技術と機能的アッセイ
との組合せを使用して決定することができる。例えば、肝細胞の場合、in vivoの
肝臓機能研究は、受容者の総胆管中へカニューレを配置することによって行うことができ
る。胆汁は、その後漸増して採取することができる。胆汁色素は、未誘導体化テトラピロ
ールを探索する高圧液体クロマトグラフィーによって、またはP−グルクロニダーゼによ
る処置有りまたは無しのいずれかで、ジアゾ化されたアゾジピロールエチルアントラニレ
ートとの反応によってアゾジピロールへ転換した後に薄層クロマトグラフィーによって、
分析することができる。ジコンジュゲートおよびモノコンジュゲートしたビルビリンは、
コンジュゲートした胆汁色素のアルカリメタノリシス後に薄層クロマトグラフィーによっ
て決定することもできる。一般的に、機能する移植された肝細胞の数が増加すると、コン
ジュゲートビルビリンのレベルが増加する。アルブミン製造などの簡便な肝臓機能テスト
は、血液試料で行うこともできる。埋め込み後の細胞機能の程度を決定するために必要で
あれば、類似の臓器機能研究を、当業者に公知の技術を使用して実行することができる。
例えば、膵臓の膵島細胞を、肝細胞を埋め込むために特に使用されるのと同じ様式で送達
して、インスリンの適切な分泌によってグルコース調節を達成して、糖尿病を回復させて
もよい。他の内分泌性組織も埋め込むことができる。

0121

細胞が埋め込まれる1つの部位または複数の部位は、個人の必要性に基づいて決定され
、必要な細胞の数もまた同様である。臓器機能を有する細胞、例えば肝細胞または膵島細
胞については、混合物を、腸間膜皮下組織後腹膜腔腹膜前空間および筋肉内空間の
中へ注入することができる。

0122

所望であれば、カプセルまたはミクロカプセル中に含有される細胞の生理学的応答性を
保持しながらまたは過度に損なわずにカプセルまたはミクロカプセルの耐久性を増加する
ために、カプセルまたはミクロカプセルは、硫酸ナトリウムなどの生理学的に許容される
塩または類似の薬剤で処理またはそれらと共にインキュベートしてもよい。「生理学的に
許容される塩」は、カプセルまたはミクロカプセル中に封入された細胞の生理学的応答性
に対して過度に有害ではない塩を意味する。一般的に、そのような塩は、カプセルの中に
含有される細胞の機能および/または生存能力を実質的に損なうことなく、カルシウムイ
オンに結合するアニオンを有してカプセルを十分に安定化する塩である。硫酸ナトリウム
および硫酸カリウムなどの硫酸塩が好ましく、硫酸ナトリウムが最も好ましい。インキュ
ベーション工程は、上記のようにカプセルの中に含有される細胞の機能および/または生
存能力を実質的に損なうことなく、カプセルを安定化するのに有効な量の生理的塩類を含
有する水溶液中で実施される。一般的に、塩は、約0.1または1ミリモルから、約20
または100ミリモルまで、最も好ましくは約2から10ミリモルの量で含まれる。イン
キュベーション工程の期間は重要ではなく、約1または10分から、約1もしくは2時間
またはそれ超(例えば一晩)であってよい。インキュベーション工程が実施される温度も
同様に重要ではなく、典型的には約4℃から約37℃までであり、室温(約21℃)が好
ましい。

0123

IV.疾患または障害の処置
封入された細胞は、それを必要とする患者に、疾患または障害の処置のために投与する
、例えば注入するまたは埋め込むことができる。一部の実施形態において、疾患または障
害は、患者におけるホルモンまたはタンパク質分泌細胞の機能不全によって引き起こされ
、またはそのような機能不全を伴う。これらの実施形態において、ホルモンまたはタンパ
ク質分泌細胞が封入され、患者に投与される。例えば、封入された膵島細胞は、糖尿病を
有する患者に投与され得る。別の実施形態において、細胞は、対象における組織を修復
るために使用される。これらの実施形態において、細胞は、皮膚、骨、軟骨、筋肉または
血管などの構造組織を形成する。これらの実施形態において、細胞は、好ましくは幹細胞
または始原細胞である。

0124

1.糖尿病
半透過性膜中に膵島細胞を封入することに基づく糖尿病処置用バイオ人工膵臓の使用の
可能性は、化学者らによって広く研究されている。ミクロ封入は、膵島細胞を免疫拒絶
ら防御し、動物細胞または遺伝子修飾されたインスリン生産性細胞の使用を可能にする。

0125

エドモントンプロトコルは、死亡している提供者から抜き取ったヒト膵島の埋め込みを
伴い、無自覚低血糖に陥りやすい1型糖尿病患者の処置に向けた改良点を示した。しか
しながら、この技術において直面している2つの大きなハードルは、提供者臓器の利用可
能性が限られていること、および患者の体内における免疫応答を防止するための免疫抑制
剤が必要であることである。

0126

いくつかの研究は、ポリマーカプセル内部での膵島細胞の固定を伴うバイオ人工膵臓の
開発に向けて専念されてきた。この目的に向けた最初の試みは、1980年にLimらによ
って実証され、異種移植膵島細胞が、アルギナートポリリシンミクロカプセル内部に封入
され、これは、数週間という意義深いin vivoの結果となった。

0127

膵島ミクロ封入に典型的に使用されるポリマーは、アルギナート、キトサン、ポリエチ
レングリコール(PEG)、アガロース、硫酸セルロールナトリウムおよび水不溶性ポリ
アクリレートである。

0128

2.がん
いくつかの形態のがんの処置に向けた細胞封入ミクロカプセルの使用は、大きな可能性
を示してきた。研究者によってなされてきた1つのアプローチは、遺伝子修飾されたサイ
トカイン分泌細胞を含有するミクロカプセルの埋め込みを通じたものである。マウスに埋
め込まれた、遺伝子修飾されたIL−2サイトカイン分泌非自家マウス筋芽細胞は、腫瘍
の増殖を遅らせ、動物生存率が増加した。しかしながら、この処置の効率は、植え込ま
れたミクロカプセルへの免疫応答のために小さかった。がん抑制への別のアプローチは、
腫瘍の広がりにつながる増殖因子の放出を防止するための血管新生阻害剤の使用を通じた
ものである。硫酸セルロールポリマー中に封入された、遺伝子修飾されたチトクローム
450発現細胞が、固形腫瘍の処置のために有用である場合もある。

0129

3.心臓疾患
虚血性心臓疾患後の患者における心臓組織再生を可能にするための細胞投与についての
多くの方法が研究されてきたが、埋め込み後の拍動している心臓において保持される細胞
数の効率は、今も非常に低い。この問題を克服するための有望なアプローチは、細胞ミク
ロ封入療法の使用を通じたものであり、これは、遊離の幹細胞の心臓中への注入と比較し
て高い細胞保持を可能にすることが示された。

0130

心臓再生用途向けの封入技術に基づいた細胞の影響を改善するための別の方策は、新生
血管形成刺激し損傷を受けた虚血性心臓における灌流を回復する血管内皮増殖因子(V
EGF)などの血管新生因子を分泌することが可能な、遺伝子修飾された幹細胞の使用を
通じたものである。

0131

4.肝臓疾患
ミクロ封入された肝細胞は、バイオ人工肝臓補助デバイス(BLAD)において使用す
ることができる。急性肝臓不全(ALF)は、現代集中治療において改善されてはいる
ものの今も相当な致死率をもたらす医学的な非常事態である。最も深刻な場合、緊急の同
所性肝臓移植(OLT)が、目下のところ唯一救命の可能性を提示する。しかしながら
、提供者臓器の供給は限られており、臓器は、時間に間に合うように利用可能にならない
場合がある。効果的な仮の肝臓サポートシステムは、提供者肝臓が利用可能になるまで患
者を維持することによって、この状況において生存の可能性を改善する。さらに、ALF
からの快癒に続く本来の肝臓の既知再生能力は、十分な時間にわたって仮の肝臓サポ
トを使用すると少なくとも一部の場合においてOLTの必要性がなくなりさえするという
可能性を、上昇させる。

0132

一部の実施形態において、肝細胞は、修飾されたコラーゲンの内部コアならびにメチル
メタクリレート(MMA)、メタクリレート(MAA)およびヒドロキシエチルメタクリ
レート(HEMA)のターポリマーの外側シェルを有するカプセルまたはミクロカプセル
中に封入される(Yin Cら、Biomaterials、24巻:1771〜1780頁(2003年
))。

0133

バイオ人工肝臓サポートシステムにおいて使用するために採用されてきたまたは現在調
査中の細胞系には、ヒトまたは動物の肝臓から単離された初代肝細胞ならびに肝細胞癌
肝芽細胞腫および不死化肝細胞株などの様々に変形したヒト細胞が含まれる。

0134

以下の非限定的な実施例を参照することによって本発明はさらに理解される。

0135

実施例は、コア−シェルアルギナート系カプセルおよびミクロカプセルの形成を実証す
るものであり、これらは、ヒドロゲルカプセル内に細胞を隔離し、体内の免疫細胞によっ
て細胞が検出されることを防止することが可能であること(実施例1)、直径が1mm超
のより大きなヒドロゲルカプセルは、より小さな直径を有する同じヒドロゲルカプセルよ
り、引き起こす繊維化反応が少ないということ(実施例2)を実証している。

0136

(実施例1)コア−シェルアルギナート系ミクロカプセルの調製
材料および方法
コア−シェルノズルの設計およびコア−シェルカプセルの形成

0137

現在のアルギナート系細胞封入プロトコル互換性のある二流体同軸電気噴射を使用し
た、コア−シェル構造を有するタイプのアルギナート系ヒドロゲルミクロカプセルを開発
した。コアおよびシェルの組成および厚さは、生体医療用途の多くのタイプのために、独
立して設計および制御することができる。図3Aおよび3Bは、従来の細胞封入アプロー
チ(図3A)ならびにコア−シェルカプセルおよび細胞封入のための二流体同軸電気噴射
図3B)の模式図である。図3Bは、コア−シェルカプセルの製作および細胞または細
胞集合体の封入のための二流体同軸電気噴射の概略を示している。この二流体の立体配置
は、コア−シェルヒドロゲルカプセルを作製し生細胞を封入するために使用された。

0138

シェル流体は、細胞を含まないアルギナート溶液からなるのに対し、コア流体は、膵島
または他の治療用細胞を含有する。2つの流体の比較的高い粘度およびそれらの間の短い
相互作用時間によって、それらの混じり合いが防止される。静電気力下において、コア−
シェル構造を有するミクロ液滴が形成され、ゲル化浴中でヒドロゲルカプセルに転換され
る。

0139

まず、コア−シェルヒドロゲルカプセルの形成を実証するため、蛍光標識されたアルギ
ナートを使用してシェルを形成し、標識されていないアルギナートを使用してコアを形成
した。コアおよびシェルの厚さは、単純にそれらそれぞれの流速を合わせることによって
制御することができる。次に、細胞封入のため、カプセル当たりの所望の細胞質量に基づ
いて、コアのサイズを設計することができるのに対し、機械強度および物質輸送の要求に
従って、シェルのサイズを調整することができる。コアおよびシェルの組成も調整可能で
ある。これは、封入する細胞と直接接触する材料と、移植したときに宿主免疫系と隣接す
る材料との独立した最適化を可能にする。例えば、抗炎症薬または撮像コントラスト試薬
(例えば、酸化鉄ナノ粒子)を、コア中の細胞に接触させることなく、シェル中に搭載す
ることができる。アルギナートシェルの内側のコアとしてMatrigelなどの異なる
材料を置くことも可能である。コア材料は、単独では機械的に強固なカプセルを形成する
ことはできない場合があるが、それゆえ、封入された細胞にとって好ましい局所的環境
提供することができる。

0140

同軸ノズルの設計は、カプセルの均一なコア−シェル構造の安定した形成および膵島の
完全な封入にとって重要であった。第一に、ノズルは同軸でなければならず、何らかの偏
心は、コア流体を囲むシェル流体の不均一流を引き起こし、コア−シェル構造を乱す場合
がある。第二に、ノズルは、ノズルの内側のシェル流体流コアチューブ周りに均一で
あるように設計されなければならない。第三に、コアチューブの内径は、膵島のサイズに
対応しなければならない。同軸ノズルは、内径0.014インチおよび外径0.022イ
ンチのコアチューブ、ならびに内径0.04インチおよび外径0.0625インチのシェ
ルチューブを有する。ノズル本体から突出するシェルチューブの長さは0.5インチであ
り、出口端においてテーパーが付けられていた。コアチューブは、出口において、シェル
チューブに対して100ミクロン内側に置かれていた。コアおよびシェル流体の流速は、
別個のシリンジポンプによって、独立して調整された。電圧は6.2kVであり、ノズル
先端とゲル化溶液の表面との間の距離は1.8cmであった。

0141

封入を最適化するため、所与の分子量のアルギナートの溶液濃度を最適化する必要があ
る。コアおよびシェル溶液の濃度の両方が低すぎると、コアおよびシェル溶液の間で顕著
な混じり合いが生じ、不均一なコア−シェル構造につながる。PRONOVA SLG2
0アルギナート(Mwおよそ75〜220,000、FMCBiopolymer)に
ついて、最適な濃度範囲は、0.8%(w/v)から2%(w/v)であることが見出さ
れた。全てのアルギナート溶液は1.4%(w/v)であり、封入前のゲル化を避けるた
めMatrigel(BD Biosciences)は4℃の冷却室内において4mg
/mLにて使用した。コアおよびシェル溶液の特性のほかに、操作パラメーターの最適化
も、理想的な封入を得るために重要であった。典型的な流速は、コア流については0.0
05mL/分から0.1mL/分、シェル流については0.1mL/分から0.5mL/
分であった。

0142

ラット膵島の単離および精製:
膵島を収集するために、およそ300グラムの重さのCharles River L
aboratoriesからのSprague−Dawleyラットを使用した。全ての
ラットは、1:20のキシラジン(10mg/kg)とケタミン(150mg/kg)の
腹腔内注入によって麻酔し、各注入の総体積は、ラットの体重に応じて0.4〜0.5m
Lであった。単離手術を行った。簡単に説明すると、胆管にカニューレを挿入し、RPM
I1640培地中の0.15%リベラーゼ(研究用グレード、Roche)の溶液のin
vivo注入によって膵臓を膨張させた。ラットは、下行大動脈を切ることによって屠
殺し、膨張した膵臓臓器を取り出し、全ての手術が完了するまで上の50mLコニカル
チューブ中に保った。全てのチューブを37℃の水浴中に置いて30分間消化し、10%
熱不活性化ウシ胎児血清を含む冷M199培地を10〜15mL添加し軽く振とうする
ことによって、消化を停止した。消化された膵臓を、上述の同じM199培地で2回洗浄
し、450μmのを通してろ過し、その後、Histopaque1077(Sigm
a)/M199培地勾配中に懸濁し、1,700RCFで4℃にて遠心分離した。勾配中
で形成された膵島層の厚さに応じて、高純度の膵島のためにこの工程を繰り返した。最後
に、膵島を勾配から採取し、一連の6つの重力沈降によってさらに単離し、ここで、それ
ぞれの上澄みは4分の沈下の後に廃棄した。精製された膵島は、光学顕微鏡下でアリコー
トによって手で数え、その後、無菌の1Xリン酸塩緩衝食塩水中で3回洗浄した。その後
、膵島を、10%加熱不活性化ウシ胎児血清および1%ペニシリンストレプトマイシン
を含むRPMI1640培地中で1回洗浄し、さらなる使用のためにこの培地中で一晩培
養した。

0143

肝臓組織均質化および封入
肝臓は、肝門、系の導管および連結している組織から肝臓を切り離すことによって、屠
殺したラットから得た。それを0.9%NaCl溶液中に入れ、シャーレ中で外科用鉗子
およびハサミを使用して刻んだ。これらの切片を、0.9%食塩水で2回洗浄して血液を
取り除き、その後、簡易のMACS Dissociator(Miltenyi Bi
otec)を使用して解離した。解離後、組織試料を100μm細胞ストレーナー、続い
て40μm細胞ストレーナーを通してろ過した。このろ過をもう1回繰り返して、封入用
肝臓組織細胞を得た。単流体封入のため、解離した肝臓組織細胞0.06mLを、1.4
%SLG20アルギナート溶液4.5mLに分散させた。二流体同軸封入のため、解離し
肝臓細胞0.06mLを、1.4%SLG20アルギナート溶液0.5mLに分散させ
、コア流体として使用した。別個の1.4%アルギナート溶液4mLをシェルとして使用
した。

0144

膵島の封入および移植
封入の直前に、培養した膵島を1400rpmで1分間遠心分離し、Caを含有しない
Krebs−Henseleit(KH)緩衝液(4.7mM KCl、25mMHE
PES、1.2mM KH2PO4、1.2mM MgSO4×7H2O、135mM
NaCl、pHおよそ7.4、浸透圧およそ290mOsm)で洗浄した。洗浄後、膵島
を再度遠心分離し、全ての上澄みを吸引した。その後、膵島沈渣を、所望の膵島数密度で
、0.8%NaCl溶液中に溶解した1.4%SLG20アルギナート溶液中に再懸濁
た。標準カプセルの場合、1000膵島毎にアルギナート溶液0.27mLを使用した。
コア−シェルカプセルには、1000膵島毎に溶液0.03mLをコア流体として使用し
た。別の膵島なしの1.4%アルギナート溶液0.24mLをシェル流体として使用した
。シェルの流速は0.2mL/分であり、コアの流速は0.025mL/分であった。し
たがって、同じ数の膵島について、通常の封入およびコア−シェル封入の両方において使
用したアルギナート溶液の総体積は同じであった。カプセルをBaCl2ゲル化溶液(2
0mM BaCl2、250mM D−マンニトール、25mM HEPES、pH約7
.4、浸透圧およそ290mOsm)を使用して架橋した。架橋の直後に、封入した膵島
HEPES緩衝液で4回、RPMI培地1640で2回洗浄し、移植のため37℃にて
一晩培養した。膵島は不定サイズであり(50〜400μm)、封入プロセス中に膵島の
不可避損失があったため、封入された膵島の総数を再度数え、移植前に膵島当量(IE
、150μmサイズに正規化)に換算した。

0145

免疫適格性の雄C57BL/6マウスを移植に利用した。インスリン依存性糖尿病マウ
スを作り出すため、健康なC57BL/6マウスを、MITへの出荷前にストレプトゾシ
ン(STZ)を用いて販売者(Jackson Laboratory、バーハーバー
メイン州)が処理した。全てのマウスの血糖レベルを、移植前に再テストした。2日続け
非絶食時血糖レベルが300mg/dL超であったマウスのみが糖尿病とみなされ、移
植を受けた。酸素中で3%イソフルオランを使用してマウスを麻酔し、手順全体を通じて
同じ割合を維持した。手術前に、全てのマウスが、脱水症状を防止するための皮下の0.
9%食塩水0.3mLと共に、手術前の鎮痛剤として0.05mg/kg用量のブプレ
フィンを皮下に受けた。手術現場運ぶ前に、マウスの腹部の毛を剃り、ベタジンおよ
イソプロピルアルコールで交互に擦って、無菌フィールドを作り出した。腹部の中央線
に沿って0.5mm切開し、鈍的解剖を用いて腹膜を曝露した。その後、腹膜を鉗子で掴
み、白線に沿って0.5〜1mm切開した。その後、所定数の膵島当量を有する所望の体
積のカプセルを無菌ピペット中へ採り、切開部を通して腹腔中へ移植した。その後、切開
部を5−0先端テーパーポリジオキサノンPDSII)吸収性縫合糸を使用して閉じ
た。その後、創傷クリップおよび組織グルーを使用して、切開部にかけて皮膚を閉じた。

0146

全ての動物プロトコルは、MIT動物飼育委員会によって承認され、全ての外科的手順
および術後ケアは、MIT比較医学部獣医スタッフによって監督された。

0147

封入された膵島の共焦点画像
膵臓膵島をHoechst染料(2μg/mL)で染色し、蛍光の標準カプセル、また
はシェルが蛍光標識されたコア−シェルカプセルに封入した。チャンバーのあるカバー
ラス(LabTek)上にカプセルを置き沈降させた。その後、レーザー走査共焦点
微鏡710(LSM710)を使用して、10倍対物レンズ下で、封入された膵島を画像
化した。試料の底部から頂部までの複数の共焦点スライスを画像化し、Zスタックを作成
した。LSMブラウザソフトウェアを使用して直交画像化および3D描画を行い、膵島含
有カプセルを可視化した。

0148

血糖モニタリング
移植手術に続いて、血糖レベルを1週間に3回モニタリングした。ランセットを使用し
尾静脈から血液の小滴を採取し、市販のグルコースメーター(Clarity One
、Clarity Diagnostic Test Group、ボカラトンフロ
ダ州)を使用してテストした。非絶食時血糖レベルが200mg/dL未満のマウスを正
血糖とみなした。実験群の全てのマウスが高血糖状態に戻るまでモニタリングを継続し
、その時点でマウスは安楽死させた。

0149

結果
コア−シェルカプセルを使用した良好な細胞封入が、均質化したラット肝臓組織細胞お
よびラット膵臓膵島の両方を使用して実証された。膵島を含有する標準カプセルおよびコ
ア−シェルカプセルの両方についての顕微鏡画像は、膵島当たり比較的少ない体積のアル
ギナート溶液(すなわち、1000膵島毎に溶液0.27mL)が使用されて、移植され
るカプセルの総体積が最小化されたことを示す。これは、典型的に使用される体積のおよ
そ3分の1である(deVosら、Transplantation、1996年、62巻、888頁)。架橋
のため、BaCl2溶液(deVosら、Transplantation、1996年、62巻、888頁)
を使用し、平均カプセルサイズは、両方とも500μm近辺であった。標準カプセルにつ
いては、膵島はカプセル内でランダムに位置し、外部へ突出した膵島が頻繁に観察された
。これとは対照的に、コア−シェルカプセル中の膵島は完全に封入されていた。カプセル
のコア−シェル構造は、シェルにおいて蛍光アルギナートを使用し、コアにおいて非蛍光
アルギナートを使用することによって実証された。膵島が青色に染色される(すなわち核
染色)蛍光画像は、一部の場合において、膵島はコア−シェル界面に近いが、追加のシェ
ル層のために、なお完全に封入されていることを示した。共焦点顕微鏡技術は完全な封入
を確認するために使用されたということに留意することが重要である。従来の顕微鏡検査
では、比較的密集した膵島塊が対物レンズと列になってカプセルの底に落ちたときに、誤
って理解されることがある。旧来のようにして形成されたアルギナートカプセルでは、従
来の光学顕微鏡下で、膵島が完全に封入されたように見える。しかしながら、共焦点顕微
鏡を使用したzシリーズおよび直交視野は、膵島がカプセルの外側へ部分的に曝露してい
ることを明らかにした。これとは対照的に、コア−シェルカプセルは、3方向全てから見
たときに、膵島を完全に入れていた。量的には、共焦点顕微鏡を使用した複数の膵島含有
カプセルの試験に基づくと、標準カプセルは約30%で膵島が突出していたのに対し、コ
ア−シェルカプセルでは膵島の突出はなかった。コア−シェル構造を有するヒドロゲルミ
クロカプセルは、FITCで部分的に修飾されたアルギナートのシェルで形成されたのに
対し、コアは標識されていないアルギナートまたはMatrigelである。シェルおよ
びコア−シェルの厚さは、それらのそれぞれの流速を合わせることによって制御される:
(a)0.1mL/分および0.1mL/分;(b)0.15mL/分および0.05m
L/分;(c)0.2mL/分および0.02mL/分。コアおよびシェルの組成も、独
立して制御することができる。(d)シェルアルギナートは、抗炎症薬であるクルクミン
の粒子を含有する。薬物粒子は、自己蛍光性である。シェルは蛍光アルギナートであり、
コアは非蛍光Matrigelである。

0150

ストレプトゾシン(STZ)誘発糖尿病マウスモデル(Brodskyら、Diabetes、196
9年、18巻、606頁)を使用して、同軸封入された膵島の機能性を評価し、標準カプ
セルと効能を比較した。比較は、標準カプセルおよびコア−シェルカプセルに封入された
膵島で実行した。コア−シェルカプセルに封入された膵島の3D再構築共焦点蛍光画像で
は、膵島が青色に染色されているのに対し、シェルは緑色に標識されていることが示され
た。

0151

封入されたラットの膵島を糖尿病マウスの腹腔中へ移植し、それらの血糖を測定した。
図4Aは、コア−シェルカプセル(ダイアモンド)および標準カプセル(丸)の両方につ
いての移植後の日数の関数としてのマウスの血糖レベルを示している。両方のタイプのカ
プセルについて、アルギナート溶液0.27mLあたり1000の膵島密度を使用し、各
マウスに500膵島当量(150μmサイズに正規化)を移植した。血糖が200mg/
dL未満のマウスを正常血糖とみなす(Kimら、Lab Chip、2011年、11巻、246
頁)。移植から2日後、全ての糖尿病マウスが、予測通り正常血糖となった。しかしなが
ら、図4Bに実証されているように、2つのタイプのカプセルの間の差が、約2週間後に
明らかになり始めた。標準カプセルを受けたマウスの平均血糖レベルは、15日で200
mg/dL超に戻り、コア−シェルカプセルを受けたマウスの平均血糖レベルは、50日
まで200mg/dL未満を維持した。図4Bは、移植後の日数に対する正常血糖マウス
のパーセントを示す。標準カプセルは、全てのマウスにおいて、糖尿病を20日まで制御
することができなかったのに対し、コア−シェルカプセルは、一部のマウスにおいて、移
植後約80日まで制御することができ、コア−シェルカプセルは、標準カプセルと比較し
て顕著に処置を改善したことが示された。

0152

要するに、コア−シェル構造を有するヒドロゲルミクロカプセルが作製され、改善され
た細胞封入および免疫防御のためのそれらの使用がなされた。膵島当たりの材料体積が低
減したコア−シェルカプセルを使用した、より良好な膵島封入が実証された。カプセルの
コア領域中に細胞または細胞集合体を単純に閉じ込めることによって、単一の工程で、改
善された免疫防御が達成された。コア−シェル構造およびより良好な封入の両方が、共焦
顕微鏡によって確認された。1型糖尿病マウスモデルを使用して、ラット膵島を封入し
たコア−シェルカプセルが、現在使用されている標準カプセルより顕著に良好な処置を提
供することが示された。

0153

膵島ミクロ封入は、1型糖尿病の処置のための有望なアプローチを提示し、数十年にわ
たり熱心な研究の主題となってきた(Bratlieら、Adv. Healthcare Mater.、2012
年、1巻、267頁)。異なる研究グループからの結果は、たびたび矛盾していた。膵島
品質、および生体適合性などの材料特性は、処置の成果に影響を与える実に重要な因子
である。封入の品質も、結果に影響し矛盾を生じ得た。コア−シェルカプセルは、標準カ
プセルを作製するために使用されてきたのと同じ封入プロトコルを使用する単一工程で作
製することができ、膵島を傷付けることがない。シェルおよびコアの組成を制御する機会
は、より良好な免疫防御を提供することに加えて、ミクロ封入における追加の機会を提供
する。その例には、コア中のアルギナートを、膵島の長期生存を増強し得る異なる材料で
置き換えることが含まれる。加えて、幹細胞に由来するインスリン生成細胞(Calneら、N
ature Reviews Endocrinology、2010年、6巻、173頁)または成人細胞(Zhou
ら、Nature、2008年、455巻、627頁)は、膵島に大きな選択肢を提供する。コ
ア−シェルカプセルは、改善された封入のみならず、シェル中に封入する材料およびコア
中の細胞に直接接触する材料の設計における、より大きな自由度も可能にする。

0154

(実施例2)治療用細胞および細胞集合体の封入のための大きな2層ヒドロゲルカプセ
ル(>1mm)の調製
材料および方法
封入方法は、(a)膵島を含有するアルギナート溶液の液滴の形成、および(b)液滴
のヒドロゲルカプセルのへ転換という2つの大まかな工程を含む。機械または静電気力を
使用して、液滴またはカプセルサイズを制御することができる。膵島は、カプセル内にラ
ダム分布し得る。物質輸送を容易にするため、膵島をカプセルのシェル領域中に導入
することもできる。これは、二流体封入アプローチを使用することによって達成すること
ができ、このアプローチでは、膵島を含有するアルギナート溶液の1つの流れがシェル流
体として働き、かつ細胞を含有しないアルギナート溶液の別個の流れがコアに流れる。抗
炎症薬などの追加の構成成分もコアに組み込むことができる。

0155

膵島を封入するための2つのタイプの大きな(D>1mm)アルギナートヒドロゲルカ
プセルを調製した。1つ目では、膵島をカプセル内にランダムに分散させた。2つ目では
、膵島をカプセルのシェル領域中に意図的に置いた。

0156

ラット膵島を封入した1.5mmカプセルを、STZ誘発糖尿病マウスへ注入した。5
00μmカプセルを対照として使用し、両方のカプセルサイズについて500IEを使用
した。

0157

結果
大きいサイズ(D>1mm)のカプセルは、従来の(0〜500μm)カプセルより、
線維形成がはるかに少なく、はるかに長い回復をもたらした。500μmカプセルは対照
として使用し、500IEが両方のサイズのカプセルに使用された。500μmカプセル
群の5匹のマウス全てが、43日までに弱まった(3つの連続した測定で血糖レベルが2
00mg/dl超)のに対し、大きなカプセルははるかに長く持続した。5匹のマウスの
うちの1匹は43日で弱まり、1匹は75日で弱まり、別の1匹は146日で弱まり、残
りの2匹は、実験を止めた196日で回復状態を維持した。500μmカプセル群の5匹
のマウス全てが、43日までに弱まった(すなわち、3つの連続した測定で血糖レベルが
200mg/dl超)のに対し、大きなカプセルははるかに長く持続した。5匹のマウス
のうちの1匹は43日で弱まり、1匹は75日で弱まり、別の1匹は146日で弱まり、
残りの2匹は、実験を止めた196日で回復状態を維持した。

0158

再び500IEを用いた別個の追跡研究において、500μmカプセル群における8匹
全てのマウスは35日までに弱まったのに対し、1.5mmカプセル群においては、6匹
のうちの1匹が28日で弱まり、1匹は105日で弱まり、1匹は134日で弱まり、別
の1匹は137日で弱まり、残りの2匹は、実験を止めた175日で回復状態に留まって
いた。

0159

500ミクロンカプセルについては図5A、1.5mmカプセルについては図5Bを参
照されたい。

0160

回収したカプセルの分析によって、500μmカプセルは、全て線維形成して塊になっ
ていたが、1.5mmカプセルは、はるかに線維化が少なかったことが明らかになった。

0161

要するに、アルギナートヒドロゲルなどの材料を使用して膵島などの細胞または細胞集
合体を封入することによって、直径1mm超の大きなヒドロゲルカプセルを作製した。ア
ルギナートヒドロゲルカプセル中に封入された膵島は、免疫抑制薬を使用することなく、
1型糖尿病の処置のために移植することができた。1つの大きな課題は、最終的に膵島の
壊死および移植の失敗につながる、移植時のカプセルに対する線維化反応である。現在使
用されているカプセルの典型的な直径は、1mm未満と比較的小さい。より大きなカプセ
ルは、線維形成が少なく、したがって臨床的使用にとってより良好な疾患の転帰を有する

0162

(実施例3)大きい(>1mm)および小さい(<1mm)ヒドロゲルカプセルに対す
る線維化の影響の比較
開示した2または3層ヒドロゲルカプセルは、センサーまたは薬物放出制御用途に有用
である。一部の実施形態において、カプセルは、異物応答に抵抗するように設計される。
好ましいカプセルの大まかな特徴には、1mm超のサイズおよび球形状、直線端のない滑
らかな表面、親水性材料から作製されること、およびカプセルは多孔性であってよく孔は
1μm未満のサイズが好ましいことが含まれる。1mmより大きいカプセルは、マクロ
ァージ細胞の接着に効果的に抵抗する。例えば、マクロファージ被覆は、カプセルの総表
面積の30%未満であり得る。この実施例は、1mm超のカプセルへの低減した線維化の
影響を示す。1mm超のカプセルは、マクロファージおよび好中球の接着に効果的に抵抗
し、マクロファージおよび好中球の補充を減少させる(図6)。例えば、マクロファージ
および好中球のレベルは、カプセルと関連する線維化組織においてFACSによってアッ
セイされ、300μm未満のカプセルで観察されたレベルの30%未満まで低減した(図
6)。より大きなコア−シェル(複層アルギナートカプセル)を、二重ノズル電気スプレ
ー法(図1に例証されている)を使用して生産したところ、それらも、マクロファージ/
好中球の補充および接着の同様の低減を示した。これは、移植後の多くの時点を通して(
例えば、7、14および28日、ならびに1、6ヶ月ならびに1年)、完全に健康なおよ
びSTZ誘発糖尿病C57BL/6マウスから取られたカプセルについて当てはまる。さ
らに、線維形成を、位相差明視野画像上での細胞接着および線維性過剰増殖の目視検査
によって、ならびにF−アクチン(細胞過剰増殖マーカー)およびアルファ平滑筋アクチ
ン(線維形成マーカー)についての共焦点画像化およびウエスタンブロットによって測定
した。qPCRを使用してコラーゲン(1A1)沈着の相対レベルも決定した。これらの
実施例は、1mm超のカプセルへの線維化の影響の低減を示す。

0163

種々のサイズの空のカプセル(封入された細胞がないカプセル)をSLG100アルギ
ナート(PRONOVA)を使用して生産した。カプセルをC57BL/6マウスの腹腔
内に移植し、回収、ならびにFACS分析、qPCR、共焦点画像化および/またはウエ
スタブロットによって決定する宿主拒絶応答(すなわち、免疫炎症および線維形成)の
分析の前に、2週間インキュベートした。位相差画像を使用して、処置群(すなわち、カ
プセルサイズ)当たりn=5の個体で、細胞の過剰増殖および線維形成の相対的レベル
評定した。300μmおよび500μmのカプセルは、1100μmのカプセルより、2
8日後に顕著に多く線維化していた。

0164

小さい(300μm)、中間(500μm)および大きい(1500μm)均一なサイ
ズのカプセルを、電気スプレー技術を使用して生産し、C57BL/6マウスの腹腔内で
インキュベートし、分析のため14日後に回収した。線維形成のいくつかの尺度FA
S分析、qPCR、共焦点画像化および/またはウエスタンブロット)を使用して、カプ
セルを試験した。300μmおよび500μmのカプセルは、明視野および共焦点画像化
において、1500μmのカプセルより顕著に多い線維形成を示した。

0165

種々のサイズのカプセルへの免疫応答を、マクロファージまたは好中球のいずれかによ
り構成される免疫細胞集団のパーセントを測定することによって評定した(図6)。30
0μm、500μm、900μmおよび1500μmのカプセルを、FACSによる分析
のため試料を回収する前に、免疫適確性C57BL/6マウスの腹腔内で14日間インキ
ュベートした。マクロファージのパーセントは、300μmのカプセルで高く、カプセル
サイズが大きくなるにつれて着実減退した。好中球のパーセントは、300μm、50
0μmおよび900μmのカプセルで高く、1500μmのカプセルでは対照レベル近く
まで下落した。0.3mm、0.5mm、1mmおよび1.5mmのカプセルの回収され
たカプセルからのタンパク質も、ウエスタンブロットによって分析した。平滑筋アクチン
(SMA)およびβ−アクチンのウエスタンブロットによって、カプセルサイズが大きく
なると線維形成が低減するという同じ傾向が確認された。種々のカプセルサイズに関連す
る平滑筋アクチンおよびβ−アクチンの量を、ウエスタンブロットによって決定した。平
滑筋アクチンについてのシグナルを、β−アクチンについてのシグナルに対して正規化し
た。平滑筋アクチンのレベルは、1.5mmおよび1mmのカプセルで低かったが、1.
5mmおよび1.0mmのカプセルでははるかに高かった(図7)。

0166

線維形成の低減効果は、カプセルの表面積または体積を正規化したときも依然として明
白である。300μm、500μmおよび800μmのカプセルをC57BL/6マウス
の腹腔内で14日間インキュベートし、14日後に回収し、位相差顕微鏡を使用して画像
化した。観察された線維形成量を、カプセルの表面積(図8上)またはカプセルの体積(
図8下)について正規化した。両方の場合において、線維形成の尺度は、300μmのカ
プセルで最も大きく、800μmのカプセルで最も低かった。小さいカプセルに対する大
きいカプセルの線維形成の低減は、小さいカプセル(300μm)の体積の9倍大きいカ
プセル(1000μm)をテストしたときでも明らかであった。

0167

大きいカプセルの線維形成の低減効果は、様々な材料にわたって依然として明白である
。500μmおよび1500μmのカプセルを、SLG20アルギナート(PRONOV
A)、ポリスチレン、ガラス、ポリカプロラクトン(PCL)、LF10/60アルギナ
ート(FMCBioPolymer)から作製し、また、大きな2000μmテフロン
(登録商標)球を作製した。カプセルをC57BL/6マウス中で14日間インキュベー
トし、様々な技術(すなわち、qPCRおよびFACS)によって分析した。線維形成は
、CD68(マクロファージマーカー)、Ly6g(好中球マーカー)、CD11b(骨
細胞マーカー)およびCol1a1(線維形成マーカー)を使用して測定し、qPCR
によってアッセイした。1組のみの例外があったが、マーカーは1500μmのカプセル
の全てにおいて対照レベルまたはその近傍で発現し、500μmのカプセルの全てについ
て対照レベルを顕著に超えた(図9)。例外は、ポリカプロラクトン(PCL)カプセル
およびLF10/60アルギナートカプセルについてのLy6g発現ならびにLF10/
60アルギナートカプセルについてのCD11b発現であった。これらの場合それぞれに
おいて、マーカーの発現は、1500μmのカプセルについては対照より高かったが、5
00μmのカプセルについての発現レベルよりなお顕著に低かった。

0168

これらの異なる材料から作製された500μmおよび1500μmのカプセルへの免疫
応答も、マクロファージおよび好中球から構成される細胞集団のパーセントをFACSに
よって測定することにより、細胞レベルで評定した(図10)。SLG20アルギナート
(PRONOVA)、ポリスチレン、ガラス、ポリカプロラクトン(PCL)およびLF
10/60アルギナート(FMCBioPolymer)からカプセルを作製した。カ
プセルをC57BL/6マウス中で14日間インキュベートし、様々な技術(すなわち、
qPCRおよびFACS)によって分析した。各場合において、マクロファージのパーセ
ントおよび好中球のパーセントは、1500μmのカプセルより500μmのカプセルで
顕著に高かった(図10)。

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