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技術 記録装置、制御方法、およびプログラム

出願人 キヤノン株式会社
発明者 深澤拓也中野孝俊高橋敦士中川善統
出願日 2018年7月3日 (2年6ヶ月経過) 出願番号 2018-126878
公開日 2019年1月31日 (1年11ヶ月経過) 公開番号 2019-014249
状態 未査定
技術分野 インクジェット(インク供給、その他)
主要キーワード 循環システム内 インナーガイド 共通供給流路 回収弁 リリーフ流路 温湿度状態 ワイパユニット メンテナンス状態
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (20)

課題

廃インクを低減しつつ、記録ヘッド液体吐出可能な状態にすること。

解決手段

本発明は、液体貯留するタンクと、前記タンクから供給された液体を吐出する吐出口が設けられた吐出口面を有する記録ヘッドと、前記吐出口面をキャッピングするキャップ機構と、前記吐出口面がキャッピングされている時間をカウントするタイマーと、前記タンクと前記記録ヘッドを含む循環経路で前記液体を循環させる循環手段とを有する記録装置であって、前記タイマーが所定時間をカウントした場合、前記循環手段は前記液体を循環させることを特徴とする記録装置である。

概要

背景

特許文献1には、インク中の有効水分量に応じた量のインクを強制的に排出してノズル目詰まりを解消するプリンタが開示されている。

概要

廃インクを低減しつつ、記録ヘッド液体吐出可能な状態にすること。本発明は、液体貯留するタンクと、前記タンクから供給された液体を吐出する吐出口が設けられた吐出口面を有する記録ヘッドと、前記吐出口面をキャッピングするキャップ機構と、前記吐出口面がキャッピングされている時間をカウントするタイマーと、前記タンクと前記記録ヘッドを含む循環経路で前記液体を循環させる循環手段とを有する記録装置であって、前記タイマーが所定時間をカウントした場合、前記循環手段は前記液体を循環させることを特徴とする記録装置である。

目的

本発明は、上記の課題に鑑みて、廃インクを低減しつつ、記録ヘッドをインク等の液体を吐出可能な状態にすることを目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

液体貯留するタンクと、前記タンクから供給された液体を吐出する吐出口が設けられた吐出口面を有する記録ヘッドと、前記吐出口面をキャッピングするキャップ機構と、前記吐出口面がキャッピングされている時間をカウントするタイマーと、前記タンクと前記記録ヘッドを含む循環経路で前記液体を循環させる循環手段とを有する記録装置であって、前記タイマーが所定時間をカウントした場合、前記循環手段は前記液体を循環させることを特徴とする記録装置。

請求項2

前記記録装置の設置環境における温度及び湿度に基づき、前記循環手段による前の循環動作と次の循環動作の間隔を前記所定時間として導出する間隔導出手段を更に有することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。

請求項3

前記液体の蒸発率をカウントするカウント手段を更に有し、前記カウント手段によりカウントされた前記蒸発率に基づき、前記間隔導出手段は、前記間隔を導出することを特徴とする請求項2に記載の記録装置。

請求項4

前記カウント手段は、前記温度と前記湿度とに対応する蒸発速度係数を導出し、該導出した蒸発速度係数と前記吐出口面がキャッピングされていない時間とを乗じることで、前記蒸発率をカウントすることを特徴とする請求項3に記載の記録装置。

請求項5

前記蒸発率が所定の閾値以上の場合、キャップ吸引、又は、予備吐出が実行されることを特徴とする請求項3又は4に記載の記録装置。

請求項6

前記吐出口面がキャッピングされている時間に基づき、前記蒸発率を更新する更新手段を更に有することを特徴とする請求項3乃至5の何れか1項に記載の記録装置。

請求項7

前記更新手段により更新された前記蒸発率に基づき、前記間隔導出手段は、前記間隔を再び導出することを特徴とする請求項6に記載の記録装置。

請求項8

前記吐出口面がキャッピングされている間に前記循環手段によって循環された回数に基づき、前記蒸発率を更新する更新手段を更に有することを特徴とする請求項6に記載の記録装置。

請求項9

前記間隔導出手段は、前記液体の濃度情報に基づき、前記間隔を導出することを特徴とする請求項2乃至8の何れか1項に記載の記録装置。

請求項10

前記記録装置の設置環境における温度、又は、前記記録ヘッドの温度に基づき、前記循環手段が循環を実施する時間を導出する導出手段を更に有することを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項に記載の記録装置。

請求項11

前記記録ヘッドの温度を調節するヘッド温調機構と、前記ヘッド温調機構の設定温度に基づき、前記循環手段が循環を実施する時間を導出する導出手段を更に有することを特徴とする請求項1乃至10の何れか1項に記載の記録装置。

請求項12

液体を貯留するタンクと、前記タンクから供給された液体を吐出する吐出口が設けられた吐出口面を有する記録ヘッドと、前記吐出口面をキャッピングするキャップ機構と、前記吐出口面がキャッピングされている時間をカウントするタイマーと、前記タンクと前記記録ヘッドを含む循環経路で前記液体を循環させる循環手段とを有する記録装置の制御方法であって、前記タイマーが所定時間をカウントした場合、前記循環手段は前記液体を循環させるステップを有することを特徴とする制御方法。

請求項13

コンピュータに請求項12に記載の方法を実行させるためのプログラム

技術分野

0001

本発明は、記録装置制御方法、およびプログラムに関する。

背景技術

0002

特許文献1には、インク中の有効水分量に応じた量のインクを強制的に排出してノズル目詰まりを解消するプリンタが開示されている。

先行技術

0003

特開2008−44337号公報

発明が解決しようとする課題

0004

しかしながら、特許文献1では、目詰まりを解消するためにインクを排出しており、廃インクが発生してしまうという課題がある。

0005

そこで本発明は、上記の課題に鑑みて、廃インクを低減しつつ、記録ヘッドをインク等の液体吐出可能な状態にすることを目的とする。

課題を解決するための手段

0006

本発明は、液体を貯留するタンクと、前記タンクから供給された液体を吐出する吐出口が設けられた吐出口面を有する記録ヘッドと、前記吐出口面をキャッピングするキャップ機構と、前記吐出口面がキャッピングされている時間をカウントするタイマーと、前記タンクと前記記録ヘッドを含む循環経路で前記液体を循環させる循環手段とを有する記録装置であって、前記タイマーが所定時間をカウントした場合、前記循環手段は前記液体を循環させることを特徴とする記録装置である。

発明の効果

0007

本発明により、廃インクを低減しつつ、記録ヘッドを液体吐出可能な状態にすることができる。

図面の簡単な説明

0008

記録装置が待機状態にあるときの図である。
記録装置の制御構成を示すブロック図である。
記録装置が記録状態にあるときの図である。
(a)〜(c)は、第1カセットから給送された記録媒体搬送経路図である。
(a)〜(c)は、第2カセットから給送された記録媒体の搬送経路図である。
(a)〜(d)は、記録媒体の裏面に記録動作を行う場合の搬送経路図である。
記録装置がメンテナンス状態にあるときの図である。
(a)および(b)は、メンテナンスユニットの構成を示す斜視図である。
インク供給ユニットを示す図である。
(a)および(b)は、記録素子基板の吐出部の構成を示す図である。
第1実施形態におけるタイマー循環処理フローチャートである。
第1実施形態におけるタイマー循環処理の説明図である。
第2実施形態におけるタイマー循環処理のフローチャートである。
第2実施形態におけるタイマー循環処理の説明図である。
第3実施形態におけるタイマー循環処理の説明図である。
第4実施形態におけるタイマー循環処理の説明図である。
第5実施形態におけるタイマー循環処理の説明図である。
第6実施形態におけるタイマー循環処理の説明図である。
第7実施形態におけるタイマー循環処理の説明図である。

実施例

0009

以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る液体吐出ヘッド及び液体吐出装置について説明する。以下の実施形態では、インクを吐出するインクジェット記録ヘッド及びインクジェット記録装置について具体的な構成で説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、本発明は、ラインヘッドのプリンタに限らず、シリアルヘッドのプリンタにも適用可能である。また、本発明の液体吐出ヘッド、液体吐出装置、及び液体の供給方法は、プリンタ、複写機通信ステムを有するファクシミリ、プリンタ部を有するワードプロセッサなどの装置、さらには各種処理装置複合的に組み合わせた産業記録装置に適用可能である。例えば、バイオチップ作製や電子回路印刷などの用途としても用いることができる。以下に述べる実施形態は、本発明の具体例であるから、技術的に好ましい様々の限定が付けられている。しかし、本発明の思想に沿うものであれば、実施形態は以下に記載の実施形態やその他の具体的方法に限定されるものではない。
<記録装置の内部構成について>

0010

図1は、インクジェット記録装置1(以下、記録装置1)の内部構成図である。図において、x方向は水平方向、y方向(紙面垂直方向)は後述する記録ヘッド8において吐出口が配列される方向、z方向は鉛直方向をそれぞれ示す。

0011

記録装置1は、プリント部2とスキャナ部3を備える複合機であり、記録動作と読取動作に関する様々な処理を、プリント部2とスキャナ部3で個別にあるいは連動して実行することができる。スキャナ部3は、ADFオートドキュメントフィーダ)とFBSフラットベッドスキャナ)を備えており、ADFで自動給紙される原稿読み取りと、ユーザによってFBSの原稿台に置かれた原稿の読み取り(スキャン)を行うことができる。なお、ここではプリント部2とスキャナ部3を併せ持った複合機を示すが、スキャナ部3を備えない形態であっても良い。図1は、記録装置1が記録動作も読取動作も行っていない待機状態にあるときを示す。

0012

プリント部2において、筐体4の鉛直方向下方の底部には、記録媒体(カットシート)Sを収容するための第1カセット5Aと第2カセット5Bが着脱可能に設置されている。第1カセット5AにはA4サイズまでの比較的小さな記録媒体が、第2カセット5BにはA3サイズまでの比較的大きな記録媒体が、平積みに収容されている。第1カセット5A近傍には、収容されている記録媒体を1枚ずつ分離して給送するための第1給送ユニット6Aが設けられている。同様に、第2カセット5B近傍には、第2給送ユニット6Bが設けられている。記録動作が行われる際にはいずれか一方のカセットから選択的に記録媒体Sが給送される。

0013

搬送ローラ7、排出ローラ12、ピンチローラ7a、拍車7b、ガイド18、インナーガイド19、およびフラッパ11は、記録媒体Sを所定の方向に導くための搬送機構である。搬送ローラ7は、記録ヘッド8の上流側および下流側に配され、不図示の搬送モータによって駆動される駆動ローラである。ピンチローラ7aは、搬送ローラ7と共に記録媒体Sをニップして回転する従動ローラである。排出ローラ12は、搬送ローラ7の下流側に配され、不図示の搬送モータによって駆動される駆動ローラである。拍車7bは、記録ヘッド8の下流側に配される搬送ローラ7及び排出ローラ12と共に記録媒体Sを挟持して搬送する。

0014

ガイド18は、記録媒体Sの搬送経路に設けられ、記録媒体Sを所定の方向に案内する。インナーガイド19は、y方向に延在する部材で湾曲した側面を有し、当該側面に沿って記録媒体Sを案内する。フラッパ11は、両面記録動作の際に、記録媒体Sが搬送される方向を切り替えるための部材である。排出トレイ13は、記録動作が完了し排出ローラ12によって排出された記録媒体Sを積載保持するためのトレイである。

0015

記録ヘッド8は、フルラインタイプカラーインクジェット記録ヘッドであり、記録データに従ってインクを吐出する吐出口が、図1におけるy方向に沿って記録媒体Sの幅に相当する分だけ複数配列されている。記録ヘッド8が待機位置にあるとき、記録ヘッド8の吐出口面8aは、図1のように鉛直下方を向きキャップユニット10によってキャップされている。記録動作を行う際は、後述するプリントコントローラ202によって、吐出口面8aがプラテン9と対向するように記録ヘッド8の向きが変更される。プラテン9は、y方向に延在する平板によって構成され、記録ヘッド8によって記録動作が行われる記録媒体Sを背面から支持する。記録ヘッド8の待機位置から記録位置への移動については、後に詳しく説明する。

0016

インクタンクユニット14は、記録ヘッド8へ供給される4色のインクをそれぞれ貯留する。ここで4色のインクとは、シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)のインクを指す。インク供給ユニット15は、インクタンクユニット14と記録ヘッド8を接続する流路の途中に設けられ、記録ヘッド8内のインクの圧力及び流量を適切な範囲に調整する。記録装置1は循環型インク供給システムを有し、インク供給ユニット15は記録ヘッド8へ供給されるインクの圧力と記録ヘッド8から回収されるインクの流量を適切な範囲に調整する。

0017

メンテナンスユニット16は、キャップユニット10とワイピングユニット17を備え、所定のタイミングにこれらを作動させて、記録ヘッド8に対するメンテナンス動作を行う。メンテナンス動作については後に詳しく説明する。
<記録装置の制御構成について>

0018

図2は、記録装置1における制御構成を示すブロック図である。記録装置1は、主にプリント部2を統括するプリントエンジンユニット200と、スキャナ部3を統括するスキャナエンジンユニット300と、記録装置1全体を統括するコントローラユニット100によって構成されている。プリントコントローラ202は、コントローラユニット100のメインコントローラ101の指示に従ってプリントエンジンユニット200の各種機構を制御する。スキャナエンジンユニット300の各種機構は、コントローラユニット100のメインコントローラ101によって制御される。以下、制御構成の詳細について説明する。

0019

コントローラユニット100において、CPUにより構成されるメインコントローラ101は、ROM107に記憶されているプログラムや各種パラメータに従って、RAM106をワークエリアとしながら記録装置1全体を制御する。例えば、ホストI/F102またはワイヤレスI/F103を介してホスト装置400から印刷ジョブが入力されると、メインコントローラ101の指示に従って、画像処理部108が受信した画像データに対して所定の画像処理を施す。そして、メインコントローラ101はプリントエンジンI/F105を介して、画像処理を施した画像データをプリントエンジンユニット200へ送信する。

0020

なお、記録装置1は無線通信有線通信を介してホスト装置400から画像データを取得しても良いし、記録装置1に接続された外部記憶装置USBメモリ等)から画像データを取得しても良い。無線通信や有線通信に利用される通信方式は限定されない。例えば、無線通信に利用される通信方式として、Wi−Fi(Wireless Fidelity)(登録商標)やBluetooth(登録商標)が適用可能である。また、有線通信に利用される通信方式としては、USB(Universal Serial Bus)等が適用可能である。また、例えばホスト装置400から読取コマンドが入力されると、メインコントローラ101は、スキャナエンジンI/F109を介してこのコマンドをスキャナエンジンユニット300に送信する。

0021

操作パネル104は、ユーザが記録装置1に対して入出力を行うための機構である。ユーザは、操作パネル104を介してコピーやスキャン等の動作を指示したり、印刷モードを設定したり、記録装置1の情報を認識したりすることができる。

0022

プリントエンジンユニット200において、CPUにより構成されるプリントコントローラ202は、ROM203に記憶されているプログラムや各種パラメータに従って、RAM204をワークエリアとしながら、プリント部2が備える各種機構を制御する。コントローラI/F201を介して各種コマンドや画像データが受信されると、プリントコントローラ202は、これを一旦RAM204に保存する。記録ヘッド8が記録動作に利用できるように、プリントコントローラ202は画像処理コントローラ205に、保存した画像データを記録データへ変換させる。記録データが生成されると、プリントコントローラ202は、ヘッドI/F206を介して記録ヘッド8に記録データに基づく記録動作を実行させる。この際、プリントコントローラ202は、搬送制御部207を介して図1に示す給送ユニット6A、6B、搬送ローラ7、排出ローラ12、フラッパ11を駆動して、記録媒体Sを搬送する。プリントコントローラ202の指示に従って、記録媒体Sの搬送動作に連動して記録ヘッド8による記録動作が実行され、印刷処理が行われる。

0023

ヘッドキャリッジ制御部208は、記録装置1のメンテナンス状態や記録状態といった動作状態に応じて記録ヘッド8の向きや位置を変更する。インク供給制御部209は、記録ヘッド8へ供給されるインクの圧力が適切な範囲に収まるように、インク供給ユニット15を制御する。メンテナンス制御部210は、記録ヘッド8に対するメンテナンス動作を行う際に、メンテナンスユニット16におけるキャップユニット10やワイピングユニット17等のクリーニング機構の動作を制御する。

0024

スキャナエンジンユニット300においては、メインコントローラ101が、ROM107に記憶されているプログラムや各種パラメータに従って、RAM106をワークエリアとしながら、スキャナコントローラ302のハードウェアリソースを制御する。これにより、スキャナ部3が備える各種機構は制御される。例えばコントローラI/F301を介してメインコントローラ101がスキャナコントローラ302内のハードウェアリソースを制御することにより、ユーザによってADFに搭載された原稿を、搬送制御部304を介して搬送し、センサ305によって読み取る。そして、スキャナコントローラ302は読み取った画像データをRAM303に保存する。なお、プリントコントローラ202は、上述のように取得された画像データを記録データに変換することで、記録ヘッド8に、スキャナコントローラ302で読み取った画像データに基づく記録動作を実行させることが可能である。
<記録状態における記録装置の動作について>

0025

図3は、記録装置1が記録状態にあるときを示す。図1に示した待機状態と比較すると、キャップユニット10が記録ヘッド8の吐出口面8aから離間し、吐出口面8aがプラテン9と対向している。プラテン9の平面は水平方向に対して約45度傾いており、記録位置における記録ヘッド8の吐出口面8aも、プラテン9との距離が一定に維持されるように水平方向に対して約45度傾いている。

0026

記録ヘッド8を図1に示す待機位置から図3に示す記録位置に移動する際、プリントコントローラ202は、メンテナンス制御部210を用いて、キャップユニット10を図3に示す退避位置まで降下させる。これにより、記録ヘッド8の吐出口面8aは、キャップ部材10aと離間する。その後、プリントコントローラ202は、ヘッドキャリッジ制御部208を用いて記録ヘッド8の鉛直方向の高さを調整しながら45度回転させ、吐出口面8aをプラテン9と対向させる。記録動作が完了し、記録ヘッド8が記録位置から待機位置に移動する際は、プリントコントローラ202によって上記と逆の工程が行われる。

0027

次に、プリント部2における記録媒体Sの搬送経路について説明する。記録コマンドが入力されると、プリントコントローラ202は、まず、メンテナンス制御部210およびヘッドキャリッジ制御部208を用いて、記録ヘッド8を図3に示す記録位置に移動する。その後、プリントコントローラ202は搬送制御部207を用い、記録コマンドに従って第1給送ユニット6Aおよび第2給送ユニット6Bのいずれかを駆動し、記録媒体Sを給送する。

0028

図4(a)〜(c)は、第1カセット5Aに収容されているA4サイズの記録媒体Sが給送されるときの搬送経路を示す図である。第1カセット5A内の1番上に積載された記録媒体Sは、第1給送ユニット6Aによって2枚目以降の記録媒体から分離され、搬送ローラ7とピンチローラ7aにニップされながら、プラテン9と記録ヘッド8の間の記録領域Pに向けて搬送される。図4(a)は、記録媒体Sの先端が記録領域Pに到達する直前搬送状態を示す。記録媒体Sの進行方向は、第1給送ユニット6Aに給送されて記録領域Pに到達する間に、水平方向(x方向)から、水平方向に対して約45度傾いた方向に変更される。

0029

記録領域Pでは、記録ヘッド8に設けられた複数の吐出口から記録媒体Sに向けてインクが吐出される。インクが付与される領域の記録媒体Sは、プラテン9によってその背面が支持されており、吐出口面8aと記録媒体Sの距離が一定に保たれている。インクが付与された後の記録媒体Sは、搬送ローラ7と拍車7bに案内されながら、先端が右に傾いているフラッパ11の左側を通り、ガイド18に沿って記録装置1の鉛直方向上方へ搬送される。図4(b)は、記録媒体Sの先端が記録領域Pを通過して鉛直方向上方に搬送される状態を示す。記録媒体Sの進行方向は、水平方向に対し約45度傾いた記録領域Pの位置から、搬送ローラ7と拍車7bによって鉛直方向上方に変更されている。

0030

記録媒体Sは、鉛直方向上方に搬送された後、排出ローラ12と拍車7bによって排出トレイ13に排出される。図4(c)は、記録媒体Sの先端が排出ローラ12を通過して排出トレイ13に排出される状態を示す。排出された記録媒体Sは、記録ヘッド8によって画像が記録された面を下にした状態で、排出トレイ13上に保持される。

0031

図5(a)〜(c)は、第2カセット5Bに収容されているA3サイズの記録媒体Sが給送されるときの搬送経路を示す図である。第2カセット5B内の1番上に積載された記録媒体Sは、第2給送ユニット6Bによって2枚目以降の記録媒体から分離され、搬送ローラ7とピンチローラ7aにニップされながら、プラテン9と記録ヘッド8の間の記録領域Pに向けて搬送される。

0032

図5(a)は、記録媒体Sの先端が記録領域Pに到達する直前の搬送状態を示す。第2給送ユニット6Bに給送されて記録領域Pに到達するまでの搬送経路には、複数の搬送ローラ7とピンチローラ7aおよびインナーガイド19が配されることで、記録媒体SはS字上に湾曲されてプラテン9まで搬送される。

0033

その後の搬送経路は、図4(b)および(c)で示したA4サイズの記録媒体Sの場合と同様である。図5(b)は、記録媒体Sの先端が記録領域Pを通過して鉛直方向上方に搬送される状態を示す。図5(c)は、記録媒体Sの先端が排出ローラ12を通過して排出トレイ13に排出される状態を示す。

0034

図6(a)〜(d)は、A4サイズの記録媒体Sの裏面(第2面)に対して記録動作(両面記録)を行う場合の搬送経路を示す。両面記録を行う場合、第1面(表面)を記録した後に第2面(裏面)に記録動作を行う。第1面を記録する際の搬送工程は図4(a)〜(c)と同様であるので、ここでは説明を省略する。以後、図4(c)以後の搬送工程について説明する。

0035

記録ヘッド8による第1面への記録動作が完了し、記録媒体Sの後端がフラッパ11を通過すると、プリントコントローラ202は、搬送ローラ7を逆回転させて記録媒体Sを記録装置1の内部へ搬送する。この際、フラッパ11は、不図示のアクチュエータによってその先端が左側に傾くように制御されるため、記録媒体Sの先端(第1面の記録動作における後端)はフラッパ11の右側を通過して鉛直方向下方へ搬送される。図6(a)は、記録媒体Sの先端(第1面の記録動作における後端)が、フラッパ11の右側を通過する状態を示す。

0036

その後記録媒体Sは、インナーガイド19の湾曲した外周面に沿って搬送され、再び記録ヘッド8とプラテン9の間の記録領域Pに搬送される。この際、記録ヘッド8の吐出口面8aに、記録媒体Sの第2面が対向する。図6(b)は、第2面の記録動作のために、記録媒体Sの先端が記録領域Pに到達する直前の搬送状態を示す。

0037

その後の搬送経路は、図4(b)および(c)で示した第1面を記録する場合と同様である。図6(c)は、記録媒体Sの先端が記録領域Pを通過して鉛直方向上方に搬送される状態を示す。この際、フラッパ11は、不図示のアクチュエータにより先端が右側に傾いた位置に移動するように制御される。図6(d)は、記録媒体Sの先端が排出ローラ12を通過して排出トレイ13に排出される状態を示す。
<記録ヘッドに対するメンテナンス動作について>

0038

次に、記録ヘッド8に対するメンテナンス動作について説明する。図1でも説明したように、メンテナンスユニット16は、キャップユニット10とワイピングユニット17とを備え、所定のタイミングにこれらを作動させてメンテナンス動作を行う。

0039

図7は、記録装置1がメンテナンス状態にあるときの図である。記録ヘッド8を図1に示す待機位置から図7に示すメンテナンス位置に移動する際、プリントコントローラ202は、記録ヘッド8を鉛直方向において上方に移動させるとともにキャップユニット10を鉛直方向下方に移動させる。そして、プリントコントローラ202は、ワイピングユニット17を退避位置から図7における右方向に移動させる。その後、プリントコントローラ202は、記録ヘッド8を鉛直方向下方に移動させメンテナンス動作が可能なメンテナンス位置に移動させる。

0040

一方、記録ヘッド8を図3に示す記録位置から図7に示すメンテナンス位置に移動する際、プリントコントローラ202は、記録ヘッド8を45度回転させつつ鉛直方向上方に移動させる。そして、プリントコントローラ202は、ワイピングユニット17を退避位置から右方向に移動させる。その後プリントコントローラ202は、記録ヘッド8を鉛直方向下方に移動させて、メンテナンスユニット16によるメンテナンス動作が可能なメンテナンス位置に移動させる。

0041

図8(a)はメンテナンスユニット16が待機ポジションにある状態を示す斜視図であり、図8(b)はメンテナンスユニット16がメンテナンスポジションにある状態を示す斜視図である。図8(a)は図1に対応し、図8(b)は図7に対応している。記録ヘッド8が待機位置にあるとき、メンテナンスユニット16は図8(a)に示す待機ポジションにあり、キャップユニット10は鉛直方向上方に移動しており、ワイピングユニット17はメンテナンスユニット16の内部に収納されている。キャップユニット10はy方向に延在する箱形のキャップ部材10aを有し、これを記録ヘッド8の吐出口面8aに密着させることにより、吐出口からのインクの蒸発を抑制することができる。キャップ部材10aには、インクを所定量吸収して保持可能な吸収体が配されている。また、キャップユニット10は、キャップ部材10aに予備吐出等で吐出されたインクを回収し、回収したインクを不図示の吸引ポンプ吸引させる機能も備えている(キャップ吸引)。

0042

一方、図8(b)に示すメンテナンスポジションにおいて、キャップユニット10は鉛直方向下方に移動しており、ワイピングユニット17がメンテナンスユニット16から引き出されている。ワイピングユニット17は、ブレードワイパユニット171とバキュームワイパユニット172の2つのワイパユニットを備えている。

0043

ブレードワイパユニット171には、吐出口面8aをx方向に沿ってワイピングするためのブレードワイパ171aが吐出口の配列領域に相当する長さだけy方向に配されている。ブレードワイパユニット171を用いてワイピング動作を行う際、ワイピングユニット17は、記録ヘッド8がブレードワイパ171aに当接可能な高さに位置決めされた状態で、ブレードワイパユニット171をx方向に移動する。この移動により、吐出口面8aに付着するインクなどはブレードワイパ171aに拭き取られる。

0044

ブレードワイパ171aが収納される際のメンテナンスユニット16の入り口には、ブレードワイパ171aに付着したインクを除去するとともにブレードワイパ171aにウェット液を付与するためのウェットワイパクリーナ16aが配されている。ブレードワイパ171aは、メンテナンスユニット16に収納される度にウェットワイパクリーナ16aによって付着物が除去されウェット液が塗布される。そして、次に吐出口面8aをワイピングしたときにウェット液を吐出口面8aに転写し、吐出口面8aとブレードワイパ171a間の滑り性を向上させている。

0045

一方、バキュームワイパユニット172は、y方向に延在する開口部を有する平板172aと、開口部内をy方向に移動可能なキャリッジ172bと、キャリッジ172bに搭載されたバキュームワイパ172cとを有する。バキュームワイパ172cは、キャリッジ172bの移動に伴って吐出口面8aをy方向にワイピング可能に配されている。バキュームワイパ172cの先端には、不図示の吸引ポンプに接続された吸引口が形成されている。このため、吸引ポンプを作動させながらキャリッジ172bをy方向に移動すると、記録ヘッド8の吐出口面8aに付着したインク等は、バキュームワイパ172cによって拭き寄せられながら吸引口に吸い込まれる。この際、平板172aと開口部の両端に設けられた位置決めピン172dは、バキュームワイパ172cに対する吐出口面8aの位置合わせに利用される。

0046

ワイピングユニット17は、ブレードワイパユニット171によるワイピング動作を行いバキュームワイパユニット172によるワイピング動作を行わない第1のワイピング処理と、両方のワイピング処理を順番に行う第2のワイピング処理を実施することができる。第1のワイピング処理を行う際、プリントコントローラ202は、まず、記録ヘッド8を図7のメンテナンス位置よりも鉛直方向上方に退避させた状態で、ワイピングユニット17をメンテナンスユニット16から引き出す。そして、プリントコントローラ202は、記録ヘッド8をブレードワイパ171aに当接可能な位置まで鉛直方向下方に移動させた後、ワイピングユニット17をメンテナンスユニット16内へ移動させる。この移動により、吐出口面8aに付着するインク等はブレードワイパ171aに拭き取られる。すなわち、ブレードワイパ171aは、メンテナンスユニット16から引き出された位置からメンテナンスユニット16内へ移動する際に吐出口面8aをワイピングする。

0047

ブレードワイパユニット171が収納されると、プリントコントローラ202は、次にキャップユニット10を鉛直方向上方に移動させ、キャップ部材10aを記録ヘッド8の吐出口面8aに密着させる。そして、プリントコントローラ202は、その状態で記録ヘッド8を駆動して予備吐出を行わせ、キャップ部材10a内に回収されたインクを吸引ポンプによって吸引する。

0048

一方、第2のワイピング処理を行う際、プリントコントローラ202は、まず、記録ヘッド8を図7のメンテナンス位置よりも鉛直方向上方に退避させた状態で、ワイピングユニット17をメンテナンスユニット16からスライドさせて引き出す。そして、プリントコントローラ202は、記録ヘッド8をブレードワイパ171aに当接可能な位置まで鉛直方向下方に移動させた後、ワイピングユニット17をメンテナンスユニット16内へ移動させる。これにより、ブレードワイパ171aによるワイピング動作が吐出口面8aに対して行われる。次に、プリントコントローラ202は、再び記録ヘッド8を図7のメンテナンス位置よりも鉛直方向上方に退避させた状態で、ワイピングユニット17をメンテナンスユニット16からスライドさせて所定位置まで引き出す。続いて、プリントコントローラ202は、記録ヘッド8を図7に示すワイピング位置下降させながら、平板172aと位置決めピン172dを用いて吐出口面8aとバキュームワイパユニット172の位置決めを行う。その後、プリントコントローラ202は、上述したバキュームワイパユニット172によるワイピング動作を実行する。プリントコントローラ202は、記録ヘッド8を鉛直方向上方に退避させ、ワイピングユニット17を収納した後、第1のワイピング処理と同様に、キャップユニット10によるキャップ部材内への予備吐出と回収したインクの吸引動作を行う。
<インク供給ユニットについて>

0049

図9は、本実施形態のインクジェット記録装置1で採用するインク供給ユニット15を示す図である。インク供給ユニット15は、インクタンクユニット14から記録ヘッド8へインクを供給する構成である。ここでは、1色のインクについての構成を示しているが、実際にはこのような構成が、インク色ごとに用意されている。インク供給ユニット15は、基本的に図2で示したインク供給制御部209によって制御される。以下、ユニットの各構成について説明する。

0050

インクは主にサブタンク151と記録ヘッド8(図9ではヘッドユニット)の間を循環する。ヘッドユニット8では画像データに基づいてインクの吐出動作が行われ、吐出されなかったインクが再びサブタンク151へ回収される。

0051

所定量のインクを収容するサブタンク151は、ヘッドユニット8へインクを供給するための供給流路C2とヘッドユニット8からインクを回収するための回収流路C4に接続されている。すなわち、サブタンク151、供給流路C2、ヘッドユニット8、および回収流路C4によってインクが循環する循環経路が構成される。

0052

サブタンク151には複数のピンで構成される液面検知手段151aが設けられ、インク供給制御部209は、これら複数のピン間の導通電流の有無を検知することによって、インク液面の高さ即ちサブタンク151内のインク残量を把握することができる。減圧ポンプP0は、サブタンク151の内部を減圧するための負圧発生源である。大気開放弁V0は、サブタンク151の内部を大気に連通させるか否かを切り替えるための弁である。

0053

メインタンク141は、サブタンク151へ供給されるインクを収容するタンクである。メインタンク141は可撓性部材で構成され、可撓性部材の容積変化によってサブタンク151へインクが充填される。メインタンク141は、記録装置本体に対して着脱可能な構成である。サブタンク151とメインタンク141を接続するタンク接続流路C1の途中には、サブタンク151とメインタンク141の接続を切り替えるためのタンク供給弁V1が配されている。

0054

以上の構成のもと、インク供給制御部209は、液面検知手段151aによってサブタンク151内のインクが所定量より少なくなったことを検知すると、大気開放弁V0、供給弁V2、回収弁V4、およびヘッド交換弁V5を閉じ、タンク供給弁V1を開く。この状態において、インク供給制御部209は減圧ポンプP0を作動させる。すると、サブタンク151の内部が負圧となりメインタンク141からサブタンク151にインクへ供給される。液面検知手段151aによってサブタンク151内のインクが所定量を超えたことを検知すると、インク供給制御部209は、タンク供給弁V1を閉じ減圧ポンプP0を停止する。

0055

供給流路C2は、サブタンク151からヘッドユニット8へインクを供給するための流路であり、その途中には供給ポンプP1と供給弁V2が配されている。記録動作中は、供給弁V2を開いた状態で供給ポンプP1を駆動することにより、ヘッドユニット8へインクを供給しつつ循環経路においてインクを循環することができる。ヘッドユニット8によって単位時間あたりに吐出されるインクの量は画像データに応じて変動する。供給ポンプP1の流量は、ヘッドユニット8が単位時間あたりのインク吐出量が最大となる吐出動作を行った場合にも対応できるように決定されている。

0056

リリーフ流路C3は、供給弁V2の上流側であって、供給ポンプP1の上流側と下流側を接続する流路である。リリーフ流路C3の途中には差圧弁であるリリーフ弁V3が配される。供給ポンプP1からの単位時間あたりのインク供給量がヘッドユニット8の単位時間あたりの吐出量回収ポンプP2における単位時間あたりの流量(インクを引く量)の合計値よりも多い場合は、リリーフ弁V3は自身に作用する圧力に応じて開放される。これにより、供給流路C2の一部とリリーフ流路C3とで構成される巡回流路が形成される。上記リリーフ流路C3の構成を設けることにより、ヘッドユニット8に対するインク供給量はヘッドユニット8でのインク吐出量に応じて調整され、循環経路内流圧を画像データによらず安定させることができる。

0057

回収流路C4は、ヘッドユニット8からサブタンク151へインクを回収するための流路であり、その途中には回収ポンプP2と回収弁V4が配されている。回収ポンプP2は、循環経路内にインクを循環させる際、負圧発生源となってヘッドユニット8よりインクを吸引する。回収ポンプP2の駆動により、ヘッドユニット8内のIN流路80bとOUT流路80cの間に適切な圧力差が生じ、IN流路80bとOUT流路80cの間でインクを循環させることができる。ヘッドユニット8内の流路構成については後に詳しく説明する。

0058

回収弁V4は、記録動作を行っていないとき、すなわち循環経路内にインクを循環させていないときの逆流を防止するための弁である。本実施形態の循環経路では、サブタンク151はヘッドユニット8よりも鉛直方向において上方に配置されている(図1参照)。このため、供給ポンプP1や回収ポンプP2を駆動していないとき、サブタンク151とヘッドユニット8の水頭差によって、サブタンク151からヘッドユニット8へインクが逆流してしまうおそれがある。このような逆流を防止するため、本実施形態では回収流路C4に回収弁V4を設けている。

0059

同様に供給弁V2も、記録動作を行っていないとき、すなわち循環経路内にインクを循環させていないときに、サブタンク151からヘッドユニット8へのインクの逆流を防止するための弁として機能する。

0060

ヘッド交換流路C5は、供給流路C2とサブタンク151の空気層(インクが収容されていない部分)を接続する流路であり、その途中にはヘッド交換弁V5が配されている。ヘッド交換流路C5の一端は供給流路C2におけるヘッドユニット8の上流に接続し、他端はサブタンク151の上方に接続して内部の空気層と連通する。ヘッド交換流路C5は、ヘッドユニット8を交換する際や記録装置1を輸送する際など、使用中のヘッドユニット8からインクを回収するときに利用される。ヘッド交換弁V5は、記録装置1にインクを初期充填するときとヘッドユニット8からインクを回収するとき以外は閉じるように、インク供給制御部209によって制御される。また、上述した供給弁V2は、供給流路C2において、ヘッド交換流路C5との接続部と、リリーフ流路C3との接続部の間に設けられている。

0061

次に、ヘッドユニット8内の流路構成について説明する。供給流路C2よりヘッドユニット8に供給されたインクは、フィルタ83を通過した後、弱い負圧を発生する第1の負圧制御ユニット81と、強い負圧を発生する第2の負圧制御ユニット82とに供給される。これら第1の負圧制御ユニット81と第2の負圧制御ユニット82における圧力は、回収ポンプP2の駆動により適正な範囲で生成される。

0062

インク吐出ユニット80には、吐出口を有する吐出部が複数配列された記録素子基板80aが複数配置され、長尺吐出口列が形成されている。第1の負圧制御ユニット81より供給されるインクを導くための共通供給流路80b(IN流路)と、第2の負圧制御ユニット82より供給されるインクを導くための共通回収流路80c(OUT流路)も、記録素子基板80aの配列方向に延在している。さらに個々の記録素子基板80aには、共通供給流路80bと接続する個別供給流路と、共通回収流路80cと接続する個別回収流路が形成されている。このため、個々の記録素子基板80aにおいては、相対的に負圧の弱い共通供給流路80bより流入し、相対的に負圧の強い共通回収流路80cへ流出するような、インクの流れが生成される。記録素子基板80aで吐出動作が行われると、共通供給流路80bから共通回収流路80cへ移動するインクの一部は吐出口から吐出されることによって排出されるが、吐出されなかったインクは共通回収流路80cを経て回収流路C4へ移動する。

0063

以上の構成のもと、記録動作を行うとき、インク供給制御部209は、タンク供給弁V1とヘッド交換弁V5を閉じ、大気開放弁V0、供給弁V2、および回収弁V4を開き、供給ポンプP1および回収ポンプP2を駆動する。これにより、サブタンク151→供給流路C2→ヘッドユニット8→回収流路C4→サブタンク151の循環経路が確立する。供給ポンプP1からの単位時間あたりのインク供給量がヘッドユニット8の単位時間あたりの吐出量と回収ポンプP2における単位時間あたりの流量の合計値よりも多い場合は、供給流路C2からリリーフ流路C3にインクが流れ込む。これにより、供給流路C2からヘッドユニット8に流入するインクの流量が調整される。

0064

記録動作を行っていないとき、インク供給制御部209は、供給ポンプP1および回収ポンプP2を停止し、大気開放弁V0、供給弁V2、および回収弁V4を閉じる。これにより、ヘッドユニット8内のインクの流れは止まり、サブタンク151とヘッドユニット8の水頭差による逆流も抑制される。また、大気開放弁V0を閉じることで、サブタンク151からのインク漏れやインクの蒸発が抑制される。

0065

ヘッドユニット8からインクを回収するとき、インク供給制御部209は、タンク供給弁V1、供給弁V2、および回収弁V4を閉じ、大気開放弁V0およびヘッド交換弁V5を開き、減圧ポンプP0を駆動する。これにより、サブタンク151内が負圧状態になり、ヘッドユニット8内のインクは、ヘッド交換流路C5を経由してサブタンク151へ回収される。このように、ヘッド交換弁V5は、通常の記録動作や待機時には閉じられており、ヘッドユニット8からインクを回収する際に開放される弁である。但し、ヘッドユニット8への初期充填においてヘッド交換流路C5にインクを充填する際もヘッド交換弁V5は開放される。
<吐出部について>

0066

図10(a)は記録素子基板80aの一部を拡大した平面模式図であり、図10(b)は、図10(a)の断面線Xb−Xbにおける断面模式図である。記録素子基板80aには、インクが充填される圧力室1005とインクを吐出する吐出口1006が設けられている。圧力室1005において、吐出口1006と対向する位置には記録素子1004が設けられている。また、記録素子基板80aには、共通供給流路80bと接続する個別供給流路1008と、共通回収流路80cと接続する個別回収流路1009とが吐出口1006毎に複数形成されている。

0067

上述した構成により、記録素子基板80aでは、相対的に負圧の弱い(圧力の高い)共通供給流路80bより流入し、相対的に負圧の強い(圧力の低い)共通回収流路80cへ流出するインクの流れが生成される。より詳しくは、共通供給流路80b→個別供給流路1008→圧力室1005→個別回収流路1009→共通回収流路80cの順にインクが流れる。記録素子1004によってインクが吐出されると、共通供給流路80bから共通回収流路80cへ移動するインクの一部は吐出口1006から吐出されることによってヘッドユニット8の外部へ排出される。一方、吐出口1006から吐出されなかったインクは、共通回収流路80cを経て回収流路C4へ回収される。
<予備吐出について>

0068

予備吐出とは、ワイピング処理によって吐出口内に押し込まれて混色したインクを、記録とは無関係な位置で排出するための動作である。上述した第1のワイピング処理または第2のワイピング処理が行われた後に予備吐出が行われる。これは、ワイピング処理において吐出口列が順次払拭されるため、一連のワイピング動作中において、前段の吐出口列で払拭されたインクが、後段の吐出口列の払拭時に後段の吐出口列に付着して混色インクが残存することによる。従って、ワイピング処理の後に、キャップ部材10aに予備吐出を行う。この予備吐出により、吐出口内で混色したインクが排出される。

0069

以下、これまで説明してきた基本構成踏まえ、本発明の好適な実施形態について説明する。
[第1実施形態]

0070

本実施形態は、キャップ機構で記録ヘッド(の吐出口面)を長時間キャッピングするような場合を想定している。このようなキャップクローズ状態では、キャップオープン状態に比べると進行速度は遅いもののインクの蒸発が進行する。従って、キャップクローズ状態でも、長時間が経過してインクの蒸発が進行した場合、濃縮インクが吐出口に滞留して吐出部からインクを吐出することが困難になってしまう虞がある。そこで本実施形態では、キャップクローズ状態で所定時間が経過したときにインクを循環させることで、記録ヘッド内印字可能な状態に保つ。
<タイマー循環処理について>

0071

以下、本実施形態における、タイマーで時間をカウントし所定時間が経過した場合にインクを循環させる処理(タイマー循環処理とする)について、図11を用いて説明する。尚、以下の処理は、記録装置1がキャップオープン状態、即ち吐出口面8aがキャップユニット10でキャッピングされていない状態(例えば、図3の状態)で開始される。

0072

テップS1101において、プリントコントローラ202はメンテナンス制御部210を制御して、吐出口面8aをキャッピングしていないキャップユニット10を移動させることで、記録ヘッド8をキャップオープン状態からキャップクローズ状態に遷移させる。

0073

ステップS1102において、プリントコントローラ202は、キャップクローズ状態でタイマーをスタートする。このタイマーは、記録装置1が備えるタイマーであり、キャップクローズ状態の継続時間(キャッピング時間とする)をカウントする。プリントコントローラ202は任意のタイミングで、キャッピング時間を取得することが可能である。

0074

ステップS1103において、プリントコントローラ202は、所定時間(例えば6時間)が経過したか、即ち、ステップS1102でスタートしたカウンタが所定時間をカウントしたかを判定する。ステップS1103の判定結果が真の場合、ステップS1104に進む一方、該判定結果がの場合、ステップS1106に進む。

0075

ステップS1104において、プリントコントローラ202はインク供給制御部209を制御して、上述の循環経路内でインクを循環させる。これにより、記録ヘッド8内の吐出部1000においてインク流が発生する。図12は、本ステップで発生したインク流1201により、吐出口1006内に滞留した増粘インクが個別回収流路1009から流出する様子を示している。縦軸時間軸に対応しており、図12における上から下へ向かって時間経過を示す。図12に示すように、所定時間が経過する度に発生するインク流1201により、吐出口1006内に滞留したインクは拡散し、吐出口1006内はフレッシュなインクで満たされる。この結果、吐出部1000の(吐出口1006における)吐出安定性(吐出口から安定してインクを吐出できる特性)が回復する。

0076

ステップS1105において、プリントコントローラ202は、タイマーをリセットする。

0077

ステップS1106において、プリントコントローラ202は、印字命令があるか判定する。この判定結果が真の場合、タイマー循環処理は終了する。ステップS1106の判定結果が偽の場合、ステップS1103に戻ってタイマー循環処理は継続する。以上が、本実施形態におけるタイマー循環処理の内容である。
<本実施形態の効果について>

0078

本実施形態により、キャップユニット10で記録ヘッド8を長時間キャッピングするような場合に、吐出口1006が濃縮インクで詰まることを防ぎ、吐出部1000の吐出安定性を確保することが可能になる。
[第2実施形態]

0079

本実施形態では、記録装置1の設置環境、具体的には温度及び湿度に応じて、インクを循環させる時間間隔(循環間隔とする)を変える場合を説明する。尚、以下では既述の実施形態との差分について主に説明し、既述の実施形態と同様の内容については説明を適宜省略する。
<タイマー循環処理について>

0080

以下、本実施形態におけるタイマー循環処理について、図13(a)を用いて説明する。

0081

ステップS1310において、プリントコントローラ202はメンテナンス制御部210を制御して、吐出口面8aをキャッピングしていないキャップユニット10を移動させることで、記録ヘッド8をキャップオープン状態からキャップクローズ状態に遷移させる。

0082

ステップS1320において、プリントコントローラ202は、キャップユニット10内のインクの蒸発率をカウントする処理(キャップ内蒸発率カウント処理とする)を実行する。尚、キャップ内蒸発率カウント処理の詳細については、図13(b)を用いて後述する。

0083

ステップS1330において、プリントコントローラ202は、循環間隔を導出する。具体的には、プリントコントローラ202は循環間隔導出手段として機能し、図14(a)に示すようなテーブルを参照して、ステップS1320で取得したキャップ内蒸発率カウント値に対応する循環間隔の値を導出する。図14(a)に示すテーブルを用いた場合、例えば、キャップ内蒸発率カウント値が200のとき、循環間隔は18時間である。尚、図14(a)のテーブルは例示に過ぎず、キャップ内蒸発率カウントの値域とこれに対応する循環間隔の値とを保持する他のテーブルを用いて良い。但し、このようなテーブルでは一般的に、キャップ内蒸発率カウント値が大きいほど、循環間隔が短くなるように設定されている。これは、キャップ内蒸発率カウントの値が大きいほどインクの蒸発が進行していることから増粘しやすいので、インクの循環を頻繁に実行する必要があるためである。尚、ここではテーブルを用いる場合を説明したが、テーブルの代わりに、キャップ内蒸発率カウント値を代入する数式を用いて循環間隔を算出しても良い。

0084

ステップS1340において、プリントコントローラ202は、キャッピング時間をカウントするタイマーをスタートする。

0085

ステップS1350において、プリントコントローラ202は、ステップS1340でスタートしたタイマーのカウント値がステップS1330で導出した循環間隔に到達したか判定する。ステップS1350の判定結果が真の場合、ステップS1360に進む一方、該判定結果が偽の場合、ステップS1380に進む。

0086

ステップS1360の処理は、ステップS1104の処理と同様であり、ステップS1370の処理は、ステップS1105の処理と同様である。ステップS1370の後、ステップS1380に進む。

0087

ステップS1380において、プリントコントローラ202は、印字命令があるか判定する。この判定結果が真の場合、タイマー循環処理は終了する一方、該判定結果が偽の場合、ステップS1390に進む。

0088

ステップS1390において、プリントコントローラ202は、ステップS1310におけるキャップクローズから所定時間(例えば1週間)が経過したか判定する。本ステップは、記録装置1を長時間使用しないことが見込まれ、記録ヘッド8内を印字可能な状態に保つ必要性が乏しいような場合に、タイマー循環処理を終了させるために実行する処理である。尚、本ステップの処理は、第1実施形態のフローで実行しても良い。ステップS1390の判定結果が真の場合、タイマー循環処理は終了する一方、該判定結果が偽の場合、ステップS1350に戻ってタイマー循環処理は継続する。以上が、本実施形態におけるタイマー循環処理の内容である。
<キャップ内蒸発率カウント処理について>

0089

以下、上述のキャップ内蒸発率カウント処理(ステップS1320)について、図13(b)を用いて詳しく説明する。

0090

ステップS1321において、プリントコントローラ202は、現在のキャップ内蒸発率カウント値を取得する。ここでキャップ内蒸発率とは、キャップユニット10によりキャッピングされている吐出部1000内のインクの蒸発の進行度合いを示すパラメータであり、プリントコントローラによってカウントされる。現在のキャップ内蒸発率カウント値は、ROM203に記憶されている。

0091

ステップS1322において、プリントコントローラ202は、記録装置1の設置環境の温度及び湿度を取得する。尚、記録装置1は、温度計及び湿度計を備え、プリントコントローラ202は任意のタイミングで、記録装置1の設置環境の温度及び湿度を取得することが可能である。

0092

ステップS1323において、プリントコントローラ202は、ステップS1322で取得した温度及び湿度に対応する、蒸発速度係数を導出する。以下、この蒸発速度係数の導出手法について詳しく説明する。

0093

まず、ステップS1322で取得した温度及び湿度に基づき、図14(b)に例示するようなグラフを用いて、設置環境の状態(温湿度状態とする)が分類される。図14(b)に示すグラフを用いた場合、第1の温湿度状態1401と、第2の温湿度状態1402と、第3の温湿度状態1403との何れかに分類される。第1の温湿度状態1401は、低温高湿な状態、つまりインクが濃縮しにくい状態である。第3の温湿度状態1403は、高温低湿な状態、つまりインクが濃縮しやすい状態である。第2の温湿度状態1402は、第1の温湿度状態1401と第3の温湿度状態1403との中間の状態である。

0094

次いで、図14(c)に例示するようなテーブルを参照して、上で分類された温湿度状態に対応する蒸発速度係数が導出される。図14(c)に示すように、インクが濃縮しやすい状態ほど、蒸発速度係数は大きい。尚、図14(b)に示したグラフや図14(c)に示したテーブルは例示に過ぎず、他のグラフやテーブルを用いて良い。このような温度と湿度とに基づいて温湿度状態を分類するためのグラフや、温湿度状態毎の蒸発速度係数を保持するテーブルが、ROM203に予め記憶されており、プリントコントローラ202は、任意のタイミングでこれらを用いることが可能である。

0095

ステップS1324において、プリントコントローラ202は、前回のキャップ内蒸発率カウント処理と今回のキャップ内蒸発率カウント処理との間の、キャップオープン状態の累計時間[分](キャップオープン時間とする)を取得する。尚、記録装置1は、キャップオープン時間をカウントするタイマーを備え、プリントコントローラ202は任意のタイミングで、キャップオープン時間を取得することが可能である。

0096

ステップS1325において、プリントコントローラ202は、ステップS1323で導出した蒸発速度係数と、ステップS1324で取得したキャップオープン時間とを乗じる。そして、この乗算によって得た値を、ステップS1321で取得した現在のキャップ内蒸発率カウント値に加える。

0097

ステップS1326において、プリントコントローラ202は、キャップ内蒸発率カウント値を更新、具体的には、ROM203に記憶されているキャップ内蒸発率カウント値を、ステップS1325で算出した値で上書き保存する。

0098

ステップS1327において、プリントコントローラ202は、キャップ内蒸発率カウント値が所定の閾値以上(本例では500以上)であるか判定する。尚、ここで挙げた閾値500は例に過ぎず、ステップS1330で用いるテーブルが変われば当然、本ステップで用いる閾値も変わってくる。ステップS1327の判定結果が真の場合、ステップS1328に進む一方、該判定結果が偽の場合、キャップ内蒸発率カウント処理は終了する(ステップS1330に進む)。

0099

ステップS1328において、プリントコントローラ202は、記録素子1004を駆動してインクの予備吐出を行わせる。或いは、プリントコントローラ202はメンテナンス制御部210を制御して、キャップ吸引を実行しても良い。キャップ内蒸発率カウント値が500以上の場合(ステップS1327でYES)、インクの蒸発がかなり進行しており、循環だけで吐出部1000の吐出安定性を回復することが難しい。従って、本ステップで予備吐出やキャップ吸引を実行することで、吐出安定性の回復を図る。

0100

ステップS1329において、プリントコントローラ202は、キャップ内蒸発率カウント値をリセットする(0にする)。ステップS1329の後、キャップ内蒸発率カウント処理は終了する(ステップS1330に進む)。以上が、本実施形態におけるキャップ内蒸発率カウント処理の内容である。
<本実施形態の変形例について>

0101

上述の例では、記録装置1の温度と湿度とに基づき循環間隔を導出したが、温度と湿度との何れかに基づき循環間隔を導出しても良い。また、上述の例ではステップS1329でキャップ内蒸発率をリセットしたが、予備吐出の量やキャップ吸引の強度によってカウント値を減算する方法を用いても良い。また、第4実施形態にて後述するようなインクの濃度情報を導出できる機構を備える場合は、濃度情報に応じてキャップ内蒸発率の減算値を変更しても良い。
<本実施形態の効果について>

0102

本実施形態により、記録装置1の設置環境、即ち温度及び湿度に応じた頻度でインクを循環させて、記録ヘッド8内を印字可能な状態に保つこと(吐出部1000の吐出安定性を確保すること)が可能になる。
[第3実施形態]

0103

第2実施形態では、キャップオープン状態におけるインクの蒸発を考慮してキャップ内蒸発率をカウントした。これに対し、本実施形態では、キャップクローズ状態におけるインクの蒸発も考慮してキャップ内蒸発率をカウントする。
<タイマー循環処理について>

0104

以下、本実施形態におけるタイマー循環処理について、図15(a)を用いて説明する。

0105

ステップS1510〜ステップS1560の処理は、ステップS1310〜ステップS1360の処理と同様である。

0106

ステップS1570において、プリントコントローラ202は、キャップクローズ中に進行するインクの蒸発に依るキャップ内蒸発率の変動分を、キャップ内蒸発率のカウント値に加算する、キャップクローズ中のキャップ内蒸発率加算処理を実行する。尚、キャップクローズ中のキャップ内蒸発率カウント処理の詳細については、図15(b)を用いて後述する。

0107

ステップS1590〜ステップS1600の処理は、ステップS1380〜ステップS1390の処理と同様である。但し、本実施形態では、ステップS1600でNOの場合、ステップS1530に戻って循環間隔を再び導出する。このように本実施形態では、循環を実行する毎に循環間隔を導出しており(ステップS1560→・・・→ステップS1600でNO→ステップS1530)、これにより、適切な間隔で循環を実行することが可能である。
<キャップクローズ中のキャップ内蒸発率加算処理について>

0108

以下、上述のキャップクローズ中のキャップ内蒸発率加算処理(ステップS1570)について、図15(b)を用いて詳しく説明する。

0109

ステップS1571において、プリントコントローラ202は、現在のキャップ内蒸発率カウント値を取得する。

0110

ステップS1572において、プリントコントローラ202は、記録装置1の設置環境の温度及び湿度を取得する。

0111

ステップS1573において、プリントコントローラ202は、ステップS1572で取得した温度及び湿度に対応する、蒸発速度係数を導出する。以下、この蒸発速度係数の導出手法について詳しく説明する。

0112

まず、第2実施形態と同様に、ステップS1572で取得した温度及び湿度に基づき、図14(b)に例示するようなグラフを用いて、設置環境の温湿度状態が分類される。

0113

次いで、図15(c)に例示するようなテーブルを参照して、上で分類された温湿度状態に対応する蒸発速度係数が導出される。図15(c)に示すように、インクが濃縮しやすい状態ほど、蒸発速度係数は大きい。但し、キャップクローズ状態はキャップオープン状態に比べてインクの蒸発が進行しにくい状態であるため、図15(c)のテーブルに保持される蒸発速度係数の値は総じて、図14(c)のテーブルに保持される蒸発速度係数の値より小さくなっている。尚、図15(c)に示したテーブルは例示に過ぎず、他のテーブルを用いて良い。

0114

ステップS1574において、プリントコントローラ202は、キャッピング時間を取得する。

0115

ステップS1575において、プリントコントローラ202は、ステップS1573で導出した蒸発速度係数と、ステップS1574で取得したキャッピング時間とを乗じる。そして、この乗算によって得た値を、ステップS1571で取得した現在のキャップ内蒸発率カウント値に加算する。

0116

ステップS1576において、プリントコントローラ202は、キャップ内蒸発率カウント値を更新、具体的には、ROM203に記憶されているキャップ内蒸発率カウント値を、ステップS1575で算出した値で上書き保存する。

0117

ステップS1577〜ステップS1579の処理は、ステップS1327〜ステップS1329の処理と同様である。以上が、本実施形態におけるキャップクローズ中のキャップ内蒸発率加算処理の内容である。
<本実施形態の効果について>

0118

本実施形態では、キャップオープン状態におけるインクの蒸発に加えて、キャップクローズ状態におけるインクの蒸発も考慮してキャップ内蒸発率をカウントする。従って、第2実施形態より精度良く導出したキャップ内蒸発率に基づいて、第2実施形態より適切な頻度でインクを循環させて、記録ヘッド8内を印字可能な状態に保つこと(吐出部1000の吐出安定性を確保すること)が可能になる。
[第4実施形態]

0119

本実施形態では、記録装置1がインクの濃度情報を導出する機構を備えており、該濃度情報に応じてインクの循環間隔を変える場合を説明する。
<濃度情報について>

0120

以下、濃度情報について説明する。本実施形態では、プリントコントローラ202は、循環間隔を決める際に、インクの濃度情報(濃度NCとする)を取得する。尚、濃度NCとして、以下の式によって算出された値がROM203に記憶されており、プリントコントローラ202は、任意のタイミングで濃度NCを取得することが可能である。

0121

0122

ここでNX+1は記録動作後の濃度、NXは記録動作前の濃度を示す。また、Jnは記録動作前のブラックインク循環システム内のインク量、Inは記録によって吐出されたインク量、Vは該循環システムからの蒸発量を示す。プリントコントローラ202は、記録動作毎にNX+1を算出し、該算出した値を濃度NCとしてROM203に上書き保存する。
<濃度情報に基づく循環間隔の導出手法について>

0123

プリントコントローラ202は、図16に例示するようなテーブルを参照して、取得した濃度NCに対応する循環間隔を導出する。図16に示すテーブルを用いた場合、例えば、キャップ内蒸発率カウント値が200、濃度NCが0.087のとき、循環間隔は13.5時間である。尚、図16のテーブルは例示に過ぎず、キャップ内蒸発率カウントと濃度NCとの値域とこれらに対応する循環間隔の値とを保持する他のテーブルを用いて良い。但し、このようなテーブルでは一般的に、キャップ内蒸発率カウント値が大きいほど、または、濃度NCが高いほど、循環間隔が短くなるように設定されている。これは、キャップ内蒸発率カウントの値が大きいほど、または、濃度NCが高いほど、インクの蒸発が進行していることから増粘しやすいので、インクの循環を頻繁に実行する必要があるためである。尚、ここではテーブルを用いる場合を説明したが、テーブルの代わりに、キャップ内蒸発率カウント値と濃度NCとを代入する数式を用いて循環間隔を算出しても良い。
<本実施形態の効果について>

0124

本実施形態では、キャップ内蒸発率カウント値に加えインクの濃度情報も考慮して、循環間隔を導出する。従って、上述の実施形態より適切な頻度でインクを循環させて、記録ヘッド8内を印字可能な状態に保つこと(吐出部1000の吐出安定性を確保すること)が可能になる。
[第5実施形態]

0125

本実施形態では、温度に応じて、インクを循環させる時間(循環実施時間とする)を変える場合を説明する。

0126

プリントコントローラ202は、図17(a)に示すようなテーブルを参照して、取得した温度に対応する循環実施時間を導出する。尚、ここでプリントコントローラ202が取得する温度として、上述した記録装置1の設置環境における温度を用いて良い。或いは、記録装置1が記録ヘッド8の温度を測定する機構を備えている場合、該測定した記録ヘッド8の温度を用いても良い。

0127

図17(a)に示すテーブルを用いた場合、例えば、温度が20℃のとき、循環実施時間は2分である。尚、図17(a)のテーブルは例示に過ぎず、温度の値域とこれに対応する循環実施時間の値とを保持する他のテーブルを用いて良い。但し、このようなテーブルでは一般的に、温度が高いほど、循環実施時間が短くなるように設定されている。これは、図17(b)に示すように温度が高いほどインクの粘度は小さくなることから、短い循環実施時間で吐出部1000の吐出安定性を回復できるためである。尚、ここではテーブルを用いる場合を説明したが、テーブルの代わりに、温度の値を代入する数式を用いて循環実施時間を算出しても良い。
<本実施形態の効果について>

0128

本実施形態により、温度に応じた適切な時間での循環の実施が可能になる。
[第6実施形態]

0129

本実施形態では、記録装置1が記録ヘッド8の温度を調節するヘッド温調機構を備えており、温調設定温度に応じて循環実施時間を変える場合を説明する。

0130

プリントコントローラ202は、図18に示すようなテーブルを参照して、取得した温調の設定温度に対応する循環実施時間を導出する。尚、図18のテーブルは例示に過ぎず、温調の設定温度の値とこれに対応する循環実施時間の値とを保持する他のテーブルを用いて良い。但し、このようなテーブルでは一般的に、温調の設定温度が高いほど、循環実施時間が短くなるように設定されている。これは、第5実施形態で説明したように、温調の設定温度が高いほどインクの粘度は小さくなることから、短い循環実施時間で吐出部1000の吐出安定性を回復できるためである。尚、ここではテーブルを用いる場合を説明したが、テーブルの代わりに、温度の値を代入する数式を用いて循環実施時間を算出しても良い。また、図18に示すようなテーブルがROM203に複数記憶されており、消費可能な電力ユーザ設定に応じて、該テーブルを使い分ける実施形態も考えられる。
<本実施形態の効果について>

0131

本実施形態により、温調の設定温度に応じた適切な時間での循環の実施が可能になる。また、本実施形態では、キャップクローズ状態で循環を実施することから、温調の目標温度印字中より高い温度に設定された場合であっても、インク中の水分の蒸発を抑えることが可能である。
[第7実施形態]

0132

本実施形態では、第1〜3実施形態のようにタイマー循環処理を繰り返した場合に、吐出口のインクから蒸発した水分が、キャップ部材10aに配された吸収体または吸収体に含浸されているインク等によって吸収される。このように水分を吸収した吸収体等によってキャップ部材10aの内部が潤い、吐出口のインクからの水分蒸発の進行が抑制されることを考慮して、キャップ内蒸発率カウントを減算する。

0133

以下、本実施形態におけるタイマー循環処理について、図19(a)を用いて説明する。

0134

ステップS1910〜ステップS1960の処理は、ステップS1510〜ステップS1560の処理と同様である。

0135

ステップS1970において、プリントコントローラ202は、タイマー循環回数カウンタに1を加算して更新する。

0136

ステップS1980において、プリントコントローラ202は、水分を吸収した吸収体によるキャップ内蒸発率の変動分を、キャップ内蒸発率のカウント値から減算する、タイマー循環によるキャップ内蒸発率減算処理を実行する。尚、タイマー循環によるキャップ内蒸発率減算処理の詳細については、図19(b)を用いて後述する。

0137

ステップS1990〜ステップS2020の処理は、ステップS1570〜ステップS1600の処理と同様である。本実施形態ではさらにステップS2030において、プリントコントローラ202は、タイマー循環回数カウンタをリセットする。
<タイマー循環によるキャップ内蒸発率減算処理について>

0138

以下、上述のタイマー循環によるキャップ内蒸発率減算処理(ステップS1980)について、図19(b)を用いて詳しく説明する。

0139

ステップS1981において、プリントコントローラ202は、現在のキャップ内蒸発率カウント値を取得する。 ステップS1982において、プリントコントローラ202は、タイマー循環回数カウント値を取得する。

0140

ステップS1983において、プリントコントローラ202は、ステップS1982で取得したタイマー循環回数カウンタに対応する減算値を、図19(c)に例示されるようなテーブルを参照して導出する。以下、この減算値の導出手法について詳しく説明する。

0141

タイマー循環を行って、吐出口に増粘していないフレッシュなインクが供給されると、そのインクから蒸発する水分を吸収することで、キャップ部材10aに配された吸収体の水分含有量が増加する。その結果、水分含有量が増した吸収体によってキャップ部材10aの内部が潤った状態となり、キャップ内蒸発率は低い状態となる。

0142

また実験結果より、タイマー循環回数が少ないほど、タイマー循環1回あたりのキャップ内部の加湿効果が高いことが分かっている。そのため、図19(c)に示すように、タイマー循環回数が少ないほど、キャップ内蒸発率カウント値から減算する減算値は大きい。タイマー循環回数が多くなるほど、キャップ内部及び吸収体の水分が飽和して、ノズルからの水分蒸発によるキャップ内部の加湿効果はほとんどなくなる。そのため、タイマー循環回数が32回を超えたら、減算値は0とする。

0143

ステップS1984において、プリントコントローラ202は、取得した減算値に基づいてキャップ内蒸発率カウント値を更新する。具体的には、プリントコントローラ202は、ROM203に記憶されているキャップ内蒸発率カウント値から減算値を減算した値で上書き保存する。
<本実施形態の効果について>

0144

本実施形態では、タイマー循環によるキャップ内部の加湿効果も考慮して、キャップ内蒸発率をカウントする。従って、第3実施形態より精度良く導出したキャップ内蒸発率に基づいて、第3実施形態より適切な頻度でインクを循環させて、記録ヘッド8内を印字可能な状態に保つこと(吐出部1000の吐出安定性を確保すること)が可能になる。
[その他の実施形態]

0145

本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。

0146

8記録ヘッド
8a吐出口面
10キャップユニット
209インク供給制御部

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